(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】作業マップ提供システム
(51)【国際特許分類】
A01C 21/00 20060101AFI20240311BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20240311BHJP
【FI】
A01C21/00 Z
G06Q50/02
(21)【出願番号】P 2022128003
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2019064280の分割
【原出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】村田 想介
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特許第6280854(JP,B2)
【文献】国際公開第2019/004305(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 3/00 - 3/08
15/04 -23/04
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から受信するマップ取得要求に応じて、当該マップ取得要求に含まれるマップ絞込情報と、各作業マップの属性情報とに基づいて、圃場内の小領域毎の追肥作業用の施肥量設定情報から構成されている複数の作業マップのうちから、当該マップ取得要求に適合した1または複数の作業マップを作業機械に提供すべき作業マップとして選択するマップ選択部を備え、
前記各作業マップの属性情報が、
当該作業マップが作成されてから作物の生育状況の変化に応じた時間長さの期間であって、当該作業マップが使用されるべき期間である作業予定期間を特定する作業予定期間情報を含み、
前記マップ選択部が、前記マップ取得要求の受信日時と前記作業予定期間情報とに基づいて、前記複数の作業マップのうちから、前記受信日時が前記作業予定期間に含まれる作業マップを選択するように構成されている、作業マップ提供システム。
【請求項2】
外部から受信するマップ取得要求に応じて、当該マップ取得要求に含まれるマップ絞込情報と、各作業マップの属性情報とに基づいて、圃場内の小領域毎の追肥作業用の施肥量設定情報から構成されている複数の作業マップのうちから、当該マップ取得要求に適合した1または複数の作業マップを作業機械に提供すべき作業マップとして選択するマップ選択部を備え、
前記各作業マップの属性情報が、
当該作業マップが作成されてから作物の生育状況の変化に応じた時間長さの期間であって、当該作業マップが使用されるべき期間である作業予定期間を特定する作業予定期間情報を含み、
前記マップ絞込情報が、作業予定日を特定する作業予定日情報を含み、
前記マップ選択部が、前記作業予定日情報と前記作業予定期間情報とに基づいて、前記複数の作業マップのうちから、前記作業予定日が前記作業予定期間に含まれる作業マップを選択するように構成されている、作業マップ提供システム。
【請求項3】
前記作業予定期間は、各作業マップが作成されてからの所定期間である、
請求項1又は2に記載の作業マップ提供システム。
【請求項4】
前記複数の作業マップは、前記圃場の作物の生育状況に基づいて作成される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の作業マップ提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業マップ提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、開発者端末PCと、開発者端末PCに接続されたGISサーバと、GISサーバにインターネットを介して接続された営農者端末PCとを含む、施肥マップ生成システムが開示されている。
特許文献1に記載の施肥マップ生成システムでは、開発者端末PCは、圃場のリモートセンシングデータと、圃場の土壌サンプリングデータに基づいて、熱水抽出性窒素マップを作成する。GISサーバは、営農者端末PCから取得した作物、肥料名、肥料成分等の情報、開発者端末PCから取得した熱水抽出性窒素マップ等に基づいて、圃場内のメッシュ毎の施肥量を演算することにより、施肥マップを作成する。GISサーバによって作成された施肥マップは、営農者端末PCにダウンロードされることによって営農者端末PCに提供されるか、またはCD-ROM等の記憶媒体を利用して営農者端末PCに提供される。
【0003】
営農者端末PCに提供された施肥マップは、トラクタ型施肥機に搭載された可変施肥用PCのメモリに入力されて記憶される。可変施肥用PCは、トラクタ型施肥機の現在位置に対応する施肥量データを抽出し、抽出した施肥量データを制御用データに変換する。そして、トラクタ型施肥機に搭載された施肥量制御用マイコンが、可変施肥用PCによって変換された制御用データに基づいて、施肥機を駆動することにより、施肥が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムでは、営農者が多数の圃場を所有している場合には、GISサーバによって多数の施肥マップが作成されることになる。また、同じ圃場に対する施肥マップであっても、基肥散布作業用の施肥マップや、側条施肥作業用の施肥マップや、追肥作業用の施肥マップが作成される可能性がある。そうすると、営農者は、施肥作業を行う場合に、当該施肥作業に使用すべき施肥マップをGISサーバから取得するのに手間がかかるおそれがある。
【0006】
この発明の目的は、作業マップを取得するための労力を軽減できる作業マップ提供システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る作業マップ提供システムは、マップ選択部を備える。前記マップ選択部は、外部から受信するマップ取得要求に応じて、当該マップ取得要求に含まれるマップ絞込情報と、各作業マップの属性情報とに基づいて、圃場内の小領域毎の追肥作業用の施肥量設定情報から構成されている複数の作業マップのうちから、当該マップ取得要求に適合した1または複数の作業マップを作業機械に提供すべき作業マップとして選択する。前記各作業マップの属性情報は、当該作業マップが使用されるべき期間である作業予定期間を特定する作業予定期間情報を含む。前記マップ選択部は、前記マップ取得要求の受信日時と前記作業予定期間情報とに基づいて、前記複数の作業マップのうちから、前記受信日時が前記作業予定期間に含まれる作業マップを選択するように構成されている。
【0008】
他の態様に係る作業マップ提供システムは、マップ選択部を備える。前記マップ選択部は、外部から受信するマップ取得要求に応じて、当該マップ取得要求に含まれるマップ絞込情報と、各作業マップの属性情報とに基づいて、圃場内の小領域毎の追肥作業用の施肥量設定情報から構成されている複数の作業マップのうちから、当該マップ取得要求に適合した1または複数の作業マップを作業機械に提供すべき作業マップとして選択する。前記各作業マップの属性情報は、当該作業マップが使用されるべき期間である作業予定期間を特定する作業予定期間情報を含む。前記マップ絞込情報は、作業予定日を特定する作業予定日情報を含む。前記マップ選択部は、前記作業予定日情報と前記作業予定期間情報とに基づいて、前記複数の作業マップのうちから、前記作業予定日が前記作業予定期間に含まれる作業マップを選択するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る作業マップ提供サーバを含む作業マップ提供システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、作業車両、作業機および作業マップ提供サーバの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、マップ属性テーブルの一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、車両ID/作業IDテーブルの一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、作業車両が作業マップ提供サーバから作業マップを取得する場合の、走行機制御部およびサーバ制御部内のマップ選択部の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る作業マップ提供サーバを含む作業マップ提供システムの構成を示す模式図である。作業マップ提供システム1は、作業機械2に作業マップを提供するためのシステムである。
作業マップ提供システム1は、作業機械2と、マップ提供サーバ(以下、単に「サーバ5」という)とを含む。作業機械2は、ネットワーク6を介してサーバ5と通信可能である。
【0011】
この明細書において、作業機械2は、作業車両、作業用飛行体等を含む。作業車両は、走行機と走行機に牽引される作業機とからなる作業車両や、走行機と作業機が一体となっている作業車両を含む。作業用飛行体は、作業機が搭載されたヘリコプター、マルチコプター、ドローン等の飛行体を含む。
図1には、作業機械2として作業車両が例示されている。
図1に例示された作業機械2としての作業車両は、走行機3と、走行機3に牽引される作業機4とからなる。
図1の例では、走行機3は、トラクタである。作業機4の種類には、例えば、肥料散布機、農薬散布機、ロールベーラ、耕耘機、プラウ、レベラー、草刈機、播種機、収穫機等がある。なお、走行機と作業機が一体となっている作業車両としては、例えば、田植機、コンバイン等を挙げることができる。
【0012】
なお、作業機械2としては、作業の種類に応じて、作業車両が用いられたり、作業用飛行体が用いられたりする。ただし、この実施形態においては、作業機械2が、走行機3と、走行機3に牽引される作業機4とからなる作業車両である場合を主として説明する。
作業機械2は、特定ユーザが所有する圃場に対して作業を行う。サーバ5は、管理センター7内に設けられている。サーバ5は、複数のユーザが所有する各圃場に対して行われる1または複数の作業に使用される作業マップを記憶している。しかし、説明の便宜上、サーバ5は、特定ユーザが所有する各圃場に対して行われる1または複数の作業に使用される作業マップのみを記憶しているものとする。この実施形態では、作業マップは、圃場内のメッシュ単位の作業設定情報からなる。なお、作業マップは、圃場内の網目状のメッシュ単位ではなく、圃場内の離散的な小領域毎の作業設定情報からなっていてもよい。
【0013】
作業設定情報としては、基肥散布作業に使用される目標施肥量、側条施肥作業に使用される目標施肥量および追肥作業に使用される目標施肥量、目標農薬散布量等が挙げられる。メッシュとは、圃場を複数の矩形状(この実施形態では正方形状)の小領域に分割した場合の個々の小領域を意味する。
図2は、走行機3、作業機4およびサーバ5の電気的構成を示すブロック図である。
【0014】
走行機3は、制御部(以下、「走行機制御部10」という。)を含む。走行機制御部10は、CPUおよびメモリ(揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)10Aを備えたマイクロコンピュータを含む。走行機制御部10は、走行機3の動作(前進、後進、停止、旋回等の動作)を制御する。走行機制御部10には、走行機3の各部を制御するための複数のコントロ-ラ(コントローラ群11)が電気的に接続されている。複数のコントローラは、エンジンの回転数等を制御するエンジンコントローラ、走行機3の車速を制御する車速コントローラ、走行機3の前輪の転舵角を制御する操向コントローラ、PTO軸の回転を制御するPTO軸コントローラ等を含む。
【0015】
走行機制御部10には、さらに、位置情報算出部12、通信部13等が接続されている。
位置情報算出部12には、衛星信号受信用アンテナ14が電気的に接続されている。衛星信号受信用アンテナ14は、衛星測位システムを構成する測位衛星8(
図1参照)からの信号を受信するものである。衛星測位システムは、たとえば、GNSS(Global Navigation Satellite System)である。位置情報算出部12は、衛星信号受信用アンテナ14で受信された測位信号に基づいて、走行機3(厳密には、衛星信号受信用アンテナ14)の位置を算出する。具体的には、位置情報算出部12は、時刻情報と位置情報とを含む測位情報を生成する。位置情報は、例えば、緯度情報と経度情報とからなる。
【0016】
通信部13は、走行機制御部10がネットワーク6を介してサーバ5と通信するための通信インターフェースである。
作業機4は、作業機4の動作を制御する制御部(以下、「作業機制御部20」という。)を含む。作業機制御部20は、CPUおよびメモリ(揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)を備えたマイクロコンピュータを含む。作業機制御部20は、CAN(Controller Area Network)を介して走行機制御部10に接続されている。
【0017】
作業機制御部20には、作業用アクチュエータ21等が接続されている。作業機4が肥料散布機である場合には、作業用アクチュエータ21は、例えば、肥料貯留タンクの底部に設けられた電子シャッタを駆動するためのアクチュエータである。作業機4が農薬散布機である場合には、作業用アクチュエータ21は、例えば、農薬貯留薬タンクから吐出ノズルに農薬を供給するためのポンプを駆動するためのアクチュエータである。作業機4が播種機である場合には、作業用アクチュエータ21は、例えば、種子収容タンクから種子を繰り出す繰出装置を駆動するためのアクチュエータである。
【0018】
サーバ5は、サーバ5を制御する制御部(以下、「サーバ制御部30」という。)を含む。制御部30は、CPUおよびメモリ(揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)30Aを備えたマイクロコンピュータを含む。サーバ制御部30には、通信部31、操作表示部32、操作部33および記憶部34が電気的に接続されている。
通信部31は、サーバ制御部30がネットワーク6を介して走行機制御部10と通信するための通信インターフェースである。操作表示部32は、例えば、タッチパネル式ディスプレイからなる。操作部33は、例えば、キーボード、マウス等を含む。
【0019】
記憶部34は、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成されている。記憶部34には、複数の作業マップファイル(作業マップファイル群)34A、マップ属性テーブル34B、車両ID/作業IDテーブル34C等が格納されている。
作業マップファイル群34Aは、説明の便宜上、特定ユーザが所有する圃場で行われる作業に使用される作業マップファイル(以下、単に「作業マップ」という)のみを含んでいるものとする。ある圃場に対する作業マップは、圃場内の各メッシュの位置を特定するための位置情報と、各メッシュに対する作業設定情報とを含んでいる。メッシュの位置を特定するための位置情報は、例えば、当該メッシュの4頂点の位置情報または4頂点のうちの一組の対頂点の位置情報からなる。メッシュの位置を特定するための位置情報は、当該メッシュの中心の位置情報を含んでいてもよい。
【0020】
図3に示すように、マップ属性テーブル34Bには、作業マップファイル群34Aに含まれている各作業マップの属性情報が、作業マップ毎に記憶されている。属性情報は、作業予定期間と、圃場番号と、圃場位置情報と、作業識別情報(作業ID)と、作業名と、ファイル名とを含む。
ある作業マップに対する作業予定期間は、当該作業マップが使用されるべき期間を表す情報である。ある作業マップに対する圃場番号は、当該作業マップが使用されるべき圃場の番号である。ある作業マップに対する圃場位置情報は、当該作業マップが使用されるべき圃場位置を表す情報である。この実施形態では、圃場位置情報は、圃場の中心位置の緯度・経度情報からなる。
【0021】
ある作業マップに対する作業識別情報(作業ID)は、当該作業マップが使用されるべき作業を識別するための情報である。ある作業マップに対する作業名は、当該作業マップが使用されるべき作業の名称である。ある作業マップに対するファイル名は、当該作業マップ(作業マップファイル)のファイル名である。
図3の例では、特定ユーザが所有している圃場としては、圃場番号が“1”~”7”の7つの圃場がある。また、作業マップを使用して行われる作業としては、基肥散布作業と、側条施肥作業と、追肥作業とがある。以下において、これらの作業を総称して施肥作業という場合がある。施肥作業に対する作業設定情報(メッシュ単位の作業設定情報)は、所定面積当たりの目標施肥量からなる。追肥作業は、作物が生育されている状態で行われるので、追肥用の作業機が搭載された作業用飛行体を用いて行われることもある。
【0022】
追肥作業に使用される作業マップは、例えば、次のようにして作成される。すなわち、まず、マルチコプター等の飛行体を用いて圃場の上空からマルチスペクトルカメラで作物が撮影される。次に、撮影された画像に基づいてメッシュ毎の作物の生育状況が演算される。そして、演算されたメッシュ毎の作物の生育状況に基づいて、メッシュ毎の目標施肥量からなる作業マップが作成される。作物の生育状況は時間が経過すると変化するので、作物の生育状況に基づいて作成された作業マップは、作成されてから所定期間内に使用されることが好ましい。追肥作業に使用される作業マップに対する作業予定期間は、このような観点から設定される。
【0023】
図4に示すように、車両ID/作業IDテーブル34Cには、作業機械2の種類を特定するための車両ID毎に、その車両IDに対応する作業車両によって行われる作業を特定するための作業識別情報(作業ID)が記憶されている。車両IDは、例えば、走行機3の型番および作業機4の型番の両方または一方が用いられる。
サーバ制御部30は、機能処理部として、作業機械2から送信されてくるマップ取得要求コマンドに基づいて、マップ取得要求コマンドに適合した1または複数の作業マップを、作業マップファイル群34Aから選択して作業機械2に送信するマップ選択部30Bを備えている。
【0024】
図5は、作業機械2がサーバ5から作業マップを取得する場合の、走行機制御部10およびサーバ制御部30内のマップ選択部30Bの動作を説明するためのフローチャートである。
走行機制御部10は、作業機械2が起動されると(ステップS1)、位置情報算出部12によって生成される測位情報(車両位置情報および時刻情報)と当該作業機械2の車両IDとからなるマップ絞込情報を含むマップ取得要求コマンドを、サーバ5に送信する(ステップS2)。作業機械2が起動されるとは、例えば走行機3のエンジンが駆動されたことをいう。走行機3が所定時間以上停止した状態から走行を開始したときに、作業機械2が起動されたと判別してもよい。車両IDは、本発明の「作業特定用情報」の一例である。
【0025】
サーバ制御部30内のマップ選択部30Bは、作業機械2から送信されたマップ取得要求コマンドを受信すると(ステップS11:YES)、ステップS12に移行する。
ステップS12では、マップ選択部30Bは、受信したマップ絞込情報に含まれる車両位置情報と、マップ属性テーブル34B内の圃場位置情報とに基づいて、マップ属性テーブル34B内のファイル名のうち、作業機械2の位置から所定距離以内に存在する圃場に対応するファイル名を、ファイル名候補として選択する(ステップS12)。
【0026】
具体的には、マップ選択部30Bは、車両位置情報で示される作業車両位置から、中心位置が所定距離以内にある圃場に対する1または複数のファイル名をファイル名候補として選択する。所定距離は、例えば500mに設定される。
また、マップ選択部30Bは、車両ID/作業IDテーブル34Cとマップ取得要求コマンドに含まれている車両IDとに基づいて、車両IDに対応する作業IDを特定する(ステップS13)。
【0027】
次に、マップ選択部30Bは、ステップS12で選択したファイル名候補のうち、作業予定期間がマップ取得要求コマンドの受信日時を含んでおり、かつ作業IDがステップS13で特定した作業IDと一致するファイル名候補を、最終的なファイル名候補として選択する(ステップS14)。
なお、マップ取得要求コマンドの受信日時の代わりに受信した測位情報に含まれている時刻情報を用いてもよい。言い換えれば、受信した測位情報に含まれている時刻情報を、マップ取得要求コマンドの受信日時とみなしてもよい。
【0028】
そして、マップ選択部30Bは、作業マップファイル群34Aに含まれている作業マップのうち、ステップS14で選択された最終的なファイル名候補に対応する1または複数の作業マップを選択して、作業機械2に送信する(ステップS15)。
走行機制御部10は、サーバ5から送信された1または複数の作業マップを受信すると(ステップS3:YES)、受信した作業マップをメモリ10Aに記憶する(ステップS4)。
【0029】
この後、作業機械2が作業を開始すると、走行機制御部10は、所定時間毎に、ステップS4でメモリ10Aに記憶された作業マップから、位置情報算出部12によって算出される位置情報に対応する作業設定情報(目標施肥量)を取得して、作業機制御部20に与える。作業機制御部20は、走行機制御部10から与えられた作業設定情報(目標施肥量)に基づいて、作業用アクチュエータ21を制御する。これにより、作業対象のメッシュに対する単位面積当たりの施肥量が、作業マップ内の当該メッシュに対応した目標施肥量となるように制御される。
【0030】
前述の実施形態では、特定ユーザは、ユーザ端末を操作することによってサーバ5から作業に使用すべき作業マップを取得する必要がないので、作業マップを取得するための労力が軽減される。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。例えば前述の実施形態では、走行機制御部10は、作業特定用情報として作業機械2の種類を特定するための車両IDをサーバ5に送信しているが(
図5のステップS2参照)、作業特定用情報として作業識別情報(作業ID)を送信してもよい。このようにすると、サーバ制御部30は、車両IDに対応する作業IDを車両ID/作業IDテーブル34Cから取得する必要がなくなる。
【0031】
また、前述の実施形態では、走行機制御部10は、作業機械2が起動されたときに、測位情報と車両IDとからなるマップ絞込情報を含むマップ取得要求コマンドを、サーバ5に送信している(
図5のステップS2参照)。
しかし、走行機制御部10は、作業機械2が起動されたときに、作業機械2の位置情報を表す車両位置情報のみをマップ絞込情報として含むマップ取得要求コマンドを、サーバ5に送信してもよい。この場合には、マップ選択部30Bは、車両位置情報で示される作業機械2の位置から、中心位置が所定距離以内にある圃場に対する1または複数のファイル名に対応した作業マップを選択して作業機械2に送信する。
【0032】
また、この場合、マップ選択部30Bは、次のようにして、作業マップを選択してもよい。すなわち、マップ選択部30Bは、車両位置情報で示される作業機械2の位置から、中心位置が所定距離以内にある圃場に対する1または複数のファイル名をファイル名候補として選択する。次に、マップ選択部30Bは、ファイル名候補のうち、マップ取得要求コマンドの受信時刻が作業予定期間に含まれるファイル名に対応する作業マップを選択して、作業機械2に送信する。
【0033】
また、走行機制御部10は、作業機械2が起動されたときに、車両IDのみをマップ絞込情報として含むマップ取得要求コマンドを、サーバ5に送信してもよい。この場合には、マップ選択部30Bは、車両IDに対応する作業IDを車両ID/作業IDテーブル34Cから取得し、取得した作業IDに適合する1または複数のファイル名に対応した作業マップを選択して作業機械2に送信する。
【0034】
また、この場合、マップ選択部30Bは、次のようにして、作業マップを選択してもよい。すなわち、マップ選択部30Bは、車両IDに対応する作業IDを車両ID/作業IDテーブル34Cから取得する。そして、サーバ制御部30は、取得した作業IDに適合しかつマップ取得要求コマンドの受信時刻が作業予定期間に含まれるファイル名に対応する作業マップを選択して、作業機械2に送信する。
【0035】
また、走行機制御部10は、作業機械2が起動されたときに、単にマップ取得要求コマンドのみを、サーバ5に送信してもよい。この場合には、サーバ制御部30は、マップ取得要求コマンドの受信時刻が作業予定期間に含まれるファイル名に対応する作業マップを選択して、作業機械2に送信する。
また、前述の実施形態では、作業を行う日に走行機制御部10がサーバ5から作業マップを取得することを前提に説明したが、作業を行う予定日よりも前に走行機制御部10がサーバ5から作業マップを取得するようにしてよい。この場合、走行機制御部10は、マップ絞込情報として少なくとも作業予定日時(または作業予定日)を含んでいるマップ取得要求コマンドを、サーバ5に送信してもよい。この場合には、サーバ5は、マップ絞込情報に含まれている作業予定日時が作業予定期間に含まれるファイル名に対応する作業マップを選択候補として選択する。そして、マップ絞込情報に作業予定日時以外の絞り込み情報が含まれていなければ、サーバ5は、当該選択候補を作業機械2に送信する。
【0036】
一方、マップ絞込情報に作業予定日時以外の絞り込み情報が含まれている場合には、サーバ5は、当該選択候補のうち作業予定日時以外の絞り込み情報に適合した選択候補を選択して、作業機械2に送信する。
また、前述の実施形態は、作業マップを使用して行われる作業が、基肥散布作業、側条施肥作業および追肥作業である場合について説明した。しかし、作業マップを使用して行われる作業は、農薬散布作業、播種作業等の施肥作業以外の作業であってもよい。
【0037】
農薬散布作業に使用される作業マップは、メッシュ毎の目標農薬散布量からなる農薬散布量マップである。播種作業に使用される作業マップは、メッシュ毎の目標播種量からなる播種量マップである。
なお、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【0038】
<発明の付記>
この発明の一実施形態は、個々の作業マップが圃場内の小領域毎の作業設定情報から構成されている複数の作業マップと、前記各作業マップの属性情報とが記憶されている記憶部と、作業車両からのマップ取得要求を受信したときに、当該マップ取得要求に含まれるマップ絞込情報および/または当該マップ取得要求の受信日時と、前記各作業マップの属性情報とに基づいて、前記複数の作業マップのうちから、当該マップ取得要求に適合した1または複数の作業マップを選択して、前記作業車両に送信するマップ選択部とを含む、作業マップ提供サーバを提供する。
【0039】
この構成では、ユーザは、ユーザ端末を操作することによって作業マップ提供サーバから作業に使用すべき作業マップを取得する必要がないので、作業マップを取得するための労力が軽減される。
この発明の一実施形態では、前記各作業マップの属性情報が、対応する作業マップが使用されるべき圃場の位置を表す圃場位置情報を含み、前記マップ絞込情報が前記作業車両の位置を示す車両位置情報であり、前記マップ選択部が、前記車両位置情報と前記圃場位置情報とに基づいて、前記複数の作業マップのうちから、前記車両位置情報によって示される車両位置から所定距離以内に存在する圃場で使用される作業マップを選択して、前記作業車両に送信するように構成されている。
【0040】
この発明の一実施形態では、前記各作業マップの属性情報が、対応する作業マップが使用されるべき作業を表す作業識別情報を含み、前記マップ絞込情報が作業を特定するための作業特定用情報であり、前記マップ選択部が、前記作業特定用情報と前記作業識別情報とに基づいて、前記複数の作業マップのうちから、前記作業特定用情報によって特定される作業に使用される作業マップを選択して、前記作業車両に送信するように構成されている。
【0041】
この発明の一実施形態では、前記各作業マップの属性情報が、対応する作業マップが使用されるべき期間を表す作業予定期間情報を含み、前記マップ選択部が、前記マップ取得要求の受信日時と前記作業予定期間情報とに基づいて、前記複数の作業マップのうちから、前記受信日時が前記作業予定期間情報に含まれる作業マップを選択して、前記作業車両に送信するように構成されている。
【0042】
この発明の一実施形態では、前記各作業マップの属性情報が、対応する作業マップが使用されるべき圃場の位置を表す圃場位置情報と、対応する作業マップが使用されるべき作業を表す作業識別情報と、対応する作業マップが使用されるべき期間を表す作業予定期間情報とを含み、前記マップ絞込情報が、前記作業車両の位置を示す車両位置情報と、作業を特定するための作業特定用情報とからなり、前記マップ選択部が、前記車両位置情報と前記圃場位置情報とに基づいて、前記複数の作業マップのうちから、前記車両位置情報によって示される車両位置から所定距離以内に存在する圃場で使用される作業マップを作業マップ候補として選択し、選択された作業マップ候補のうち、前記マップ取得要求の受信日時が前記作業予定期間に含まれておりかつ前記作業特定用情報によって特定される作業に使用される作業マップを最終的な作業マップ候補として選択して、前記作業車両に送信するように構成されている。
【0043】
この発明の一実施形態では、前記作業マップが、小領域毎の目標施肥量から構成される施肥マップである。
【符号の説明】
【0044】
1 作業マップ提供システム
2 作業機械
3 走行機
4 作業機
5 管理サーバ
6 ネットワーク
8 測位衛星(GNSS衛星)
10 作業車両制御部
10A メモリ
11 コントローラ群
12 位置情報算出部
13 通信部
14 衛星信号受信用アンテナ
20 作業機制御部
21 作業用アクチュエータ
30 制御部
30A メモリ
30B マップ選択部
31 通信部
32 操作表示部
33 操作部
34 記憶部
34A 作業マップファイル群
34B 作業マップテーブル
34C 車両ID/作業IDテーブル