(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】カメラ、アダプタ装置、交換レンズ装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03B 17/14 20210101AFI20240311BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240311BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20240311BHJP
【FI】
G03B17/14
G03B17/56 F
H04N23/66
(21)【出願番号】P 2022132984
(22)【出願日】2022-08-24
(62)【分割の表示】P 2018170178の分割
【原出願日】2018-05-30
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2017107260
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】重田 潤二
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-171392(JP,A)
【文献】特開2003-121722(JP,A)
【文献】特開2010-266595(JP,A)
【文献】特開2014-023070(JP,A)
【文献】特開2013-231946(JP,A)
【文献】特開2014-071289(JP,A)
【文献】特開2012-037692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
G03B 17/56
H04N 23/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換レンズ装置が少なくとも1つのアダプタ装置を介して接続可能なカメラであって、
カメラ-レンズ通信チャネルを用いて、前記交換レンズ装置との通信を行うレンズ-カメラ通信制御部と、
前記カメラ-レンズ通信チャネルとは別に設けられたカメラ-アダプタ通信チャネルを用いて、前記少なくとも1つのアダプタ装置との間で通信を行うアダプタ-カメラ通信制御部とを有し、
前記カメラ-レンズ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第1のデータ通信ラインと、前記カメラ-レンズ通信チャネルを用いた前記カメラと前記交換レンズ装置の通信のタイミングの通知に用いられる第1の通知ラインとを含み、
前記カメラ-アダプタ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第2のデータ通信ラインと、前記カメラ-アダプタ通信チャネルを用いた前記カメラと前記少なくとも1つのアダプタ装置の通信のタイミングの通知に用いられる第2の通知ライン
のみから構成されることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記アダプタ-カメラ通信制御部は、前記交換レンズ装置と前記少なくとも1つのアダプタ装置と前記カメラとの間で通信するために用いられる第1通信方式と、前記交換レンズ装置および前記少なくとも1つのアダプタ装置のうちのいずれかと個別に通信するために用いられ、通信相手にデータを送信している間の前記第2の通知ラインの電圧レベルが前記第1通信方式とは異なる第2通信方式との間で、前記少なくとも1つのアダプタ装置との通信方式を切り替え可能であることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記アダプタ-カメラ通信制御部は、前記第1通信方式においてデータを送信している間の前記第2の通知ラインの電圧レベルを第1のレベルとし、前記第2通信方式においてデータを送信している間の前記第2の通知ラインの電圧レベルを前記第1のレベルよりも高い第2のレベルとすることを特徴とする請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記アダプタ-カメラ通信制御部は、前記第1通信方式において、前記第2通信方式における前記カメラの通信相手を示す通信相手指定データを前記第2のデータ通信ラインを介して送信することを特徴とする請求項2または3に記載のカメラ。
【請求項5】
前記レンズ-カメラ通信制御部は、前記アダプタ-カメラ通信制御部が通信中であるか否かにかかわらず、通信を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項6】
前記カメラ-レンズ通信チャネルを介した通信と前記カメラ-アダプタ通信チャネルを介した通信は、通信方式、通信タイミング、通信レートおよび通信電圧のうち少なくとも1つが互いに異なることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項7】
前記レンズ-カメラ通信制御部は、前記交換レンズ装置に対して、該交換レンズ装置の動作を制御するためのレンズ制御コマンドを送信することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項8】
前記アダプタ-カメラ通信制御部は、前記少なくとも1つのアダプタ装置から、該少なくとも1つのアダプタ装置の固有情報を受信することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項9】
前記固有情報は、前記少なくとも1つのアダプタ装置の光学データを含むことを特徴とする請求項8に記載のカメラ。
【請求項10】
前記アダプタ-カメラ通信制御部は、前記少なくとも1つのアダプタ装置から、該少なくとも1つのアダプタ装置に対するユーザ操作を示す操作データを受信することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項11】
前記レンズ-カメラ通信制御部は、前記カメラ-レンズ通信チャネルにおいて前記交換レンズ装置が使用する通信電圧を検出し、該検出の結果に応じて前記カメラ-レンズ通信チャネルにおける前記交換レンズ装置との通信に使用する通信電圧を設定することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項12】
前記アダプタ-カメラ通信制御部は、前記カメラ-アダプタ通信チャネルを介して、前記交換レンズ装置から該交換レンズ装置に関するデータを受信することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項13】
前記レンズ-カメラ通信制御部および前記アダプタ-カメラ通信制御部はそれぞれ、前記交換レンズ装置および前記少なくとも1つのアダプタ装置を個別に、通信を行う第1の状態から通信を行わない第2の状態に移行させるための通信を行うことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項14】
前記レンズ-カメラ通信制御部は、前記交換レンズ装置を前記第2の状態から前記第1の状態に移行させるレンズ起動信号または前記交換レンズ装置から出力される該交換レンズ装置の前記第2の状態から前記第1の状態への移行を要求するレンズ起動要求信号を、前記カメラ-レンズ通信チャネルを介して、前記第1の状態での通信とは異なる伝達方式で前記交換レンズ装置との間で伝達することを特徴とする請求項13に記載のカメラ。
【請求項15】
前記アダプタ-カメラ通信制御部は、前記少なくとも1つのアダプタ装置を前記第2の状態から前記第1の状態に移行させるアダプタ起動信号または前記少なくとも1つのアダプタ装置から出力される該少なくとも1つのアダプタ装置の前記第2の状態から前記第1の状態への移行を要求するアダプタ起動要求信号を、前記カメラ-アダプタ通信チャネルを介して、前記第1の状態での通信とは異なる伝達方式で前記少なくとも1つのアダプタ装置との間で伝達することを特徴とする請求項13または14に記載のカメラ。
【請求項16】
前記第2の状態は、前記第1の状態より消費電力が低い状態であることを特徴とする請求項13から15のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のカメラと、
前記カメラに接続される交換レンズと、
前記カメラに接続され、前記交換レンズが接続されるアダプタ装置とを有することを特徴とするカメラシステム。
【請求項18】
カメラと交換レンズを接続可能なアダプタ装置であって、
前記カメラと前記交換レンズとで通信を行うためのカメラ-レンズ通信チャネルの一部を形成する中継チャネルと、
前記カメラとの間に前記中継チャネルとは別に設けられたカメラ-アダプタ通信チャネルを用いて前記カメラとの間で通信を行うアダプタ-カメラ通信制御部とを有し、
前記カメラ-レンズ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第1のデータ通信ラインと、前記第1のデータ通信ラインを介した通信のタイミングの通知に用いられる第1の通知ラインとを含み、
前記カメラ-アダプタ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第2のデータ通信ラインと、前記カメラ-アダプタ通信チャネルを用いた前記カメラと前記アダプタ装置の通信のタイミングの通知に用いられる第2の通知ライン
のみから構成されることを特徴とするアダプタ装置。
【請求項19】
前記アダプタ-カメラ通信制御部は、前記交換レンズと前記アダプタ装置と前記カメラとの間で通信するために用いられる第1通信方式と、前記カメラと個別に通信するために用いられ、通信相手にデータを送信している間の前記第2の通知ラインの電圧レベルが前記第1通信方式とは異なる第2通信方式との間で、前記カメラとの通信方式を切り替え可能であることを特徴とする請求項18に記載のアダプタ装置。
【請求項20】
前記アダプタ-カメラ通信制御部は、前記第1通信方式においてデータを送信している間の前記第2の通知ラインの電圧レベルを第1のレベルとし、前記第2通信方式においてデータを送信している間の前記第2の通知ラインの電圧レベルを前記第1のレベルよりも高い第2のレベルとすることを特徴とする請求項19に記載のアダプタ装置。
【請求項21】
前記アダプタ-カメラ通信制御部は、前記第1通信方式において、前記第2通信方式における前記カメラの通信相手を示す通信相手指定データを前記第2のデータ通信ラインを介して前記カメラから受信することを特徴とする請求項19または20に記載のアダプタ装置。
【請求項22】
前記アダプタ-カメラ通信制御部は、前記アダプタ装置の固有情報を前記カメラに送信することを特徴とする請求項19から21のいずれか一項に記載のアダプタ装置。
【請求項23】
前記固有情報は、前記アダプタ装置の光学データを含むことを特徴とする請求項22に記載のアダプタ装置。
【請求項24】
前記アダプタ-カメラ通信制御部は、前記アダプタ装置に対するユーザ操作を示す操作データを前記カメラに送信することを特徴とする請求項19から23のいずれか一項に記載のアダプタ装置。
【請求項25】
前記アダプタ-カメラ通信制御部は、前記交換レンズとの間に前記中継チャネルとは別に設けられたレンズ-アダプタ通信チャネルを介して前記交換レンズとの通信を行うことを特徴とする請求項19から24のいずれか一項に記載のアダプタ装置。
【請求項26】
アダプタ装置に接続され、前記アダプタ装置を介してカメラに接続される交換レンズ装置であって、
前記カメラから前記アダプタ装置を介して前記交換レンズに繋がるカメラ-レンズ通信チャネルを介して、前記カメラとの通信を行う第1のレンズ-カメラ通信制御部と、
前記カメラーレンズ通信チャネルとは別に設けられ、前記アダプタと前記カメラに繋がるカメラ-アダプタ通信チャネルを含む通信チャネルを介して、前記カメラとの通信を行う第2のレンズ-カメラ通信制御部とを有し、
前記カメラ-レンズ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第1のデータ通信ラインと、前記第1のデータ通信ラインを介した通信のタイミングの通知に用いられる第1の通知ラインとを含み、
前記カメラ-アダプタ通信チャネルを含む通信チャネルは、データ通信時に用いられる第2のデータ通信ラインと、前記第2のデータ通信チャネルを介した通信のタイミングの通知に用いられる第2の通知ライン
のみから構成されることを特徴とする交換レンズ装置。
【請求項27】
前記第2のレンズ-カメラ通信制御部は、前記交換レンズ装置と前記アダプタ装置と前記カメラとの間で通信するために用いられる第1通信方式と、前記カメラと個別に通信するために用いられ、通信相手にデータを送信している間の前記第2の通知ラインの電圧レベルが前記第1通信方式とは異なる第2通信方式との間で、前記カメラとの通信方式を切り替え可能であることを特徴とする請求項26に記載の交換レンズ装置。
【請求項28】
前記第2のレンズ-カメラ通信制御部は、前記第1通信方式においてデータを送信している間の前記第2の通知ラインの電圧レベルを第1のレベルとし、前記第2通信方式においてデータを送信している間の前記第2の通知ラインの電圧レベルを前記第1のレベルよりも高い第2のレベルとすることを特徴とする請求項27に記載の交換レンズ装置。
【請求項29】
前記第2のレンズ-カメラ通信制御部は、前記第1通信方式において、前記第2通信方式における前記カメラの通信相手を示す通信相手指定データを前記第2のデータ通信ラインを介して前記カメラから受信することを特徴とする請求項27または28に記載の交換レンズ装置。
【請求項30】
交換レンズ装置が少なくとも1つのアダプタ装置を介して接続可能なカメラのコンピュータに処理を実行させるコンピュータプログラムであって、
前記処理は、
カメラ-レンズ通信チャネルを用いて前記交換レンズ装置との通信を行い、かつ、前記少なくとも1つのアダプタ装置との間に前記カメラ-レンズ通信チャネルとは別に設けられたカメラ-アダプタ通信チャネルを用いて前記少なくとも1つのアダプタ装置との間で通信を行う処理と、
前記交換レンズ装置との通信により得られたデータを用いて前記交換レンズ装置の動作を制御し、前記少なくとも1つのアダプタ装置との通信により得られたデータを用いて前記少なくとも1つのアダプタ装置の動作を制御する処理とを含み、
前記カメラ-レンズ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第1のデータ通信ラインと、前記カメラ-レンズ通信チャネルを用いた前記カメラと前記交換レンズ装置の通信のタイミングの通知に用いられる第1の通知ラインとを含み、
前記カメラ-アダプタ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第2のデータ通信ラインと、前記カメラ-アダプタ通信チャネルを用いた前記カメラと前記少なくとも一つのアダプタ装置の通信のタイミングの通知に用いられる第2の通知ライン
のみから構成されることを特徴とする撮像制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に通信が可能なカメラ、交換レンズ装置(以下、単に交換レンズという)およびカメラと交換レンズとの間に配置されるアダプタ装置(以下、単にアダプタという)に関する。
【背景技術】
【0002】
交換レンズが着脱可能なカメラを含むレンズ交換型カメラシステムでは、カメラが交換レンズの動作を制御したり交換レンズがその制御や撮像に必要なデータをカメラに提供したりするための通信が行われる。特に、交換レンズを用いて記録用動画やライブビュー表示用動画を撮像する際にはその撮像周期に合わせた滑らかなレンズ制御が求められるため、カメラの撮像タイミングと交換レンズの制御タイミングとの同期をとる必要がある。したがって、カメラは、交換レンズからのデータの受信と交換レンズへの各種指示や要求等のコマンドの送信とを撮像周期内で完了させる必要がある。ただし、カメラが交換レンズから受信するデータ量が増加したり撮像周期が短縮したり(高フレームレート化したり)することで、より高速で大量のデータの通信が求められる。
【0003】
また、カメラと交換レンズとの間にワイドコンバータやテレコンバータ(エクステンダ)等のアダプタが装着される場合がある。この場合、カメラから交換レンズへのコマンドの送信や交換レンズからカメラへのデータの送信がアダプタを介して行われる。さらに、カメラにおいてAFやAE等を適切に行うためには、交換レンズのデータだけでなく、アダプタ固有のデータも必要となる。特許文献1にて開示されたカメラシステムでは、カメラからアダプタへのコマンドの送信とアダプタからカメラへのデータの送信が、カメラから交換レンズへのコマンドの送信と交換レンズからカメラへのデータとの送信と共通の通信チャネルで行われている。すなわち、カメラと交換レンズおよびアダプタとの一対多の通信が1つの通信チャネルで行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、1つの通信チャネルのみを用いた一対多の通信では、例えばアダプタからカメラにデータが送信されている間は、カメラは交換レンズに対してコマンドを送信したり交換レンズからデータを受信したりすることができない。この結果、カメラと交換レンズとの間の通信高速化が阻害される。
【0006】
本発明は、カメラと交換レンズ装置との間の通信を高速化しつつ、カメラとアダプタ装置との間の通信もスムーズに行えるようにしたカメラ、交換レンズ装置およびアダプタ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としてのカメラは、交換レンズ装置が少なくとも1つのアダプタ装置を介して接続可能なカメラであって、カメラ-レンズ通信チャネルを用いて、交換レンズ装置との通信を行うレンズ-カメラ通信制御部と、カメラ-レンズ通信チャネルとは別に設けられたカメラ-アダプタ通信チャネルを用いて、少なくとも1つのアダプタ装置との間で通信を行うアダプタ-カメラ通信制御部とを有し、カメラ-レンズ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第1のデータ通信ラインと、カメラ-レンズ通信チャネルを用いたカメラと交換レンズ装置の通信のタイミングの通知に用いられる第1の通知ラインとを含み、カメラ-アダプタ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第2のデータ通信ラインと、カメラ-アダプタ通信チャネルを用いたカメラと少なくとも1つのアダプタ装置の通信のタイミングの通知に用いられる第2の通知ラインのみから構成されることを特徴とする。
【0008】
なお、上記カメラと、該カメラに接続される交換レンズと、該カメラに接続され、交換レンズが接続されるアダプタ装置とを有するカメラシステムも、本発明の他の一側面を構成する。
【0009】
また、本発明の他の一側面としてのアダプタ装置は、カメラと交換レンズを接続可能なアダプタ装置であって、カメラと交換レンズとで通信を行うためのカメラ-レンズ通信チャネルの一部を形成する中継チャネルと、カメラとの間に中継チャネルとは別に設けられたカメラ-アダプタ通信チャネルを用いてカメラとの間で通信を行うアダプタ-カメラ通信制御部とを有し、カメラ-レンズ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第1のデータ通信ラインと、第1のデータ通信ラインを介した通信のタイミングの通知に用いられる第1の通知ラインとを含み、カメラ-アダプタ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第2のデータ通信ラインと、カメラ-アダプタ通信チャネルを用いたカメラとアダプタ装置の通信のタイミングの通知に用いられる第2の通知ラインのみから構成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の一側面としての交換レンズ装置は、アダプタ装置に接続され、アダプタ装置を介してカメラに接続される交換レンズ装置であって、カメラからアダプタ装置を介して交換レンズに繋がるカメラ-レンズ通信チャネルを介して、カメラとの通信を行う第1のレンズ-カメラ通信制御部と、カメラーレンズ通信チャネルとは別に設けられ、アダプタとカメラに繋がるカメラ-アダプタ通信チャネルを含む通信チャネルを介して、カメラとの通信を行う第2のレンズ-カメラ通信制御部とを有し、カメラ-レンズ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第1のデータ通信ラインと、第1のデータ通信ラインを介した通信のタイミングの通知に用いられる第1の通知ラインとを含み、カメラ-アダプタ通信チャネルを含む通信チャネルは、データ通信時に用いられる第2のデータ通信
ラインと、第2のデータ通信チャネルを介した通信のタイミングの通知に用いられる第2の通知ラインのみから構成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の一側面としてのプログラムは、交換レンズ装置が少なくとも1つのアダプタ装置を介して接続可能なカメラのコンピュータに処理を実行させるコンピュータプログラムであって、処理は、カメラ-レンズ通信チャネルを用いて交換レンズ装置との通信を行い、かつ、少なくとも1つのアダプタ装置との間にカメラ-レンズ通信チャネルとは別に設けられたカメラ-アダプタ通信チャネルを用いて少なくとも1つのアダプタ装置との間で通信を行う処理と、交換レンズ装置との通信により得られたデータを用いて交換レンズ装置の動作を制御し、少なくとも1つのアダプタ装置との通信により得られたデータを用いて少なくとも1つのアダプタ装置の動作を制御する処理とを含み、カメラ-レンズ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第1のデータ通信ラインと、カメラ-レ
ンズ通信チャネルを用いたカメラと交換レンズ装置の通信のタイミングの通知に用いられる第1の通知ラインとを含み、カメラ-アダプタ通信チャネルは、データ通信時に用いられる第2のデータ通信ラインと、カメラ-アダプタ通信チャネルを用いたカメラと少なくとも一つのアダプタ装置の通信のタイミングの通知に用いられる第2の通知ラインのみから構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カメラと交換レンズ装置との間の通信を高速化しつつ、カメラとアダプタ装置との間の通信も行えるようにしたカメラ、交換レンズ装置およびアダプタ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例1であるカメラシステムの構成を示すブロック図。
【
図2】実施例1におけるレンズ制御処理を示すフローチャート。
【
図4】実施例1におけるアダプタ情報取得処理を示すフローチャート。
【
図5】実施例1における各通信のデータ占有状況を説明する図。
【
図6】本発明の実施例2であるカメラシステムの構成を示すブロック図。
【
図7】実施例2におけるレンズ制御処理を示すフローチャート。
【
図8】実施例2においてカメラから交換レンズを起動させるときの第1通信を説明する図。
【
図9】実施例2において交換レンズから交換レンズを起動させるときの第1通信を説明する図。
【
図10】実施例2におけるアダプタ制御処理を示すフローチャート。
【
図12】実施例1における第3通信(一対多)を説明する図。
【
図13】実施例1における第3通信(一対一)を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0015】
図1には、本発明の実施例1であるカメラシステムの構成を示している。カメラシステムは、カメラ20と、交換レンズ装置(以下、交換レンズという)10と、カメラ20と交換レンズ10の間に配置された2つのアダプタ装置(以下、アダプタという)30,40とにより構成されている。カメラシステムは、カメラ20から交換レンズ10に指示や要求のためのコマンドを送信するための第1通信用のカメラ-レンズ通信チャネル100(以下、第1通信チャネル100という)を有する。またカメラシステムは、交換レンズ10からその光学データや状態等を示すデータをカメラ20に送信するための第2通信用のレンズ-カメラ通信チャネル(以下、第2通信チャネル200という)を、第1通信チャネル100とは別の通信チャネルとして有する。さらにカメラシステムは、カメラ20と2つのアダプタ30,40との間でコマンドや各アダプタの光学データおよびその状態等を示すデータを通信するための第3通信用のカメラ-アダプタ通信チャネル(以下、第3通信チャネル300という)も別に有する。
【0016】
交換レンズ10は、レンズや絞り(アイリス)等の複数の可動光学部材を含む撮像光学系を有する。カメラ20は、撮像光学系により形成された被写体像を撮像する撮像素子204を有し、該撮像素子204からの出力信号を用いて映像信号を生成する。アダプタ40は、そのマウント402においてカメラ20のマウント201に取り外し可能に接続(装着)される。アダプタ30は、そのマウント302においてアダプタ40のマウント401に取り外し可能に接続される。アダプタ30はエクステンダやワイドコンバータ等として構成され、アダプタ40はNDアダプタ等として構成されており、それぞれ変倍レンズやNDフィルタ等のアダプタ光学部材309,409を有する。さらに、交換レンズ10は、そのマウント101においてアダプタ30のマウント301に取り外し可能に接続される。
【0017】
マウント101,301,302,401,402,201が全て接続されると、それぞれのマウントに設けられた第1通信接点102,303,306,403,406,202が互いに導通し、第1通信を行うためのカメラ-レンズ通信チャネルが形成される。第1通信は、交換レンズ10の可動光学部材の動作をカメラ20が制御するための通信に用いられる。
【0018】
またマウント101,301,302,401,402,201が全て接続されると、それぞれのマウントに設けられた第2通信接点103,304,307,404,407,202が互いに導通し、第2通信を行うためのカメラ-レンズ通信チャネルが形成される。第2通信は、交換レンズ10の光学データ(以下、レンズ光学データという)や交換レンズ10の状態を示すデータ(以下、レンズ状態データという)をカメラ20に送信するために用いられる。さらにマウント101,301,302,401,402,201の接続により、それぞれのマウントに設けられた第3通信接点104,305,308,405,408,203が互いに導通し、第3通信を行うためのカメラ-アダプタ通信チャネルが形成される。第3通信は、カメラ20と2つのアダプタ30,40との間の一対多通信である。第3通信は、カメラ20がアダプタ30,40に対してそれらの動作を制御するためのコマンドを送信するために用いられる。さらに、アダプタ30,40からカメラ20に対して、アダプタ光学部材309,409の光学データやアダプタ30,40に対するユーザ操作を示す操作データを送信するために用いられる。以下の説明において、アダプタ30,40のそれぞれの光学データを、第1アダプタ光学データおよび第2アダプタ光学データという。また、アダプタ30,40のそれぞれの操作データを、第1アダプタ操作データおよび第2アダプタ操作データという。第3通信は、交換レンズ10とアダプタ30,40との間の通信にも用いられる。
【0019】
交換レンズ10において、上述した撮像光学系内の可動光学部材は、フォーカスレンズ105、変倍レンズの106、アイリス107および防振レンズ108である。フォーカスレンズ105は、撮像光学系の光軸方向に移動してフォーカスを行う。変倍レンズ106は、光軸方向に移動して変倍を行う。アイリス107は、光量調節を行う。防振レンズ108は、光軸方向に対して直交する方向に移動(シフト)して、手振れ等によるカメラシステムの振れに起因する被写体像の振れを低減する。
【0020】
フォーカス制御部109は、フォーカスレンズ105を移動させるフォーカスアクチュエータと、その駆動を制御するフォーカスドライバと、フォーカスレンズ105の位置を検出するフォーカス位置センサとにより構成される。ズーム制御部110は、変倍レンズ106を移動させるズームアダプタと、その駆動を制御するズームドライバと、変倍レンズ106の位置を検出するズーム位置センサとにより構成される。アイリス制御部111は、アイリス107に設けられたアイリスモータを駆動するアイリスドライバと、アイリス107の開閉位置(絞り値)を検出するアイリス位置センサとを有する。防振制御部112は、防振レンズ108をシフト駆動する防振アクチュエータと、その駆動を制御する防振ドライバと、防振レンズ108のシフト位置を検出するシフト位置センサとを有する。
【0021】
振れ検出部113は、振動ジャイロ等により構成され、交換レンズ10(つまりはカメラシステム)の振れ量であるカメラ振れ量を検出する。
【0022】
レンズ制御部114は、カメラ20内のカメラ制御部205から受信したレンズ制御コマンドに応じて、フォーカス、ズームおよびアイリス制御部109~111を通じてフォーカスレンズ105、変倍レンズ106およびアイリス107の動作を制御する。また、レンズ制御部114は、レンズ制御コマンドを受信することに応じて、防振制御部112を通じて防振レンズ108の動作(シフト)を制御する。さらにレンズ制御部114は、レンズ光学データやレンズ状態データをカメラ制御部205に送信する。レンズ制御部114は、レンズ第1通信部115およびレンズ第2通信部116を通じてカメラ制御部205と通信を行い、レンズ第3通信部117を通じてアダプタ30,40と通信を行う。
【0023】
レンズ第1通信部115は、レンズ制御部114とともにカメラ-レンズ通信制御部を構成し、カメラ制御部205と第1通信を行う。第1通信は、カメラ制御部205からレンズ制御コマンド等のコマンドを受信するために用いられる。
【0024】
レンズ第2通信部116は、カメラ制御部205と第2通信を行う。第2通信は、カメラ制御部205に対してレンズ光学データやレンズ状態データを送信するために用いられる。レンズ第3通信部117は、レンズ制御部114とともにアダプタ-レンズ通信制御部を構成し、アダプタ30,40内のアダプタ第3通信部310,410と第3通信を行う。アダプタ第3通信部310,410との間の第3通信は、レンズ制御部114からアダプタ制御部311,411にレンズ光学データやレンズ状態データを送信するためにも用いられる。
【0025】
レンズ制御部114とレンズ第1~第3通信部115~117は、交換レンズ10内に設けられたCPU等のコンピュータにより構成される。レンズ操作部材118は、交換レンズ10においてユーザにより操作される操作部材であり、スイッチや電子リング等である。
【0026】
カメラ20において、撮像素子204は、CMOSイメージセンサ等により構成され、被写体像を光電変換(撮像)する。カメラ制御部205は、撮像素子204からの出力信号を映像信号に変換して映像表示部206に出力する。
【0027】
また、カメラ制御部205は、レンズ制御部114に対してレンズ制御コマンドを送信して交換レンズ10の動作を制御したり、レンズ制御部114からレンズ光学データやレンズ状態データを受信したりする。カメラ制御部205は、カメラ第1通信部207およびカメラ第2通信部208を通じてレンズ制御部114と通信を行い、カメラ第3通信部209を通じてアダプタ30,40と通信を行う。
【0028】
カメラ第1通信部207は、カメラ制御部205とともにレンズ-カメラ通信制御部を構成し、レンズ第1通信部115と第1通信を行う。第1通信は、前述したように、カメラ制御部205からレンズ制御部114にレンズ制御コマンド等のコマンドを送信するため、または、レンズ制御部114からカメラ制御部205にデータを送信するために用いられる。カメラ第2通信部208は、レンズ第1通信部115と第2通信を行う。第2通信は、前述したように、レンズ制御部114からレンズ光学データやレンズ状態データを受信するために用いられる。
【0029】
カメラ第3通信部209は、カメラ制御部205とともにアダプタ-カメラ通信制御部を構成し、アダプタ第3通信部310,410と第3通信を行う。第3通信は、アダプタ制御部311,411に対してアダプタ制御コマンドやアダプタ送信要求コマンド(アダプタの固有情報の送信を要求するコマンド)を送信するために用いられる。さらに、第3通信は、アダプタ制御部311,411からアダプタの固有情報を受信するために用いられる。アダプタの固有情報は、例えば、第1および第2アダプタ光学データや第1および第2アダプタ操作データを含む。カメラ制御部205とカメラ第1~第3通信部207~209は、カメラ20内に設けられたCPU等のコンピュータにより構成される。第1通信と第3通信では、通信方式、通信タイミング、通信速度(通信レート)および通信電圧のうち少なくとも1つが互いに異なる。
【0030】
映像表示部206は、液晶モニタ等により構成され、カメラ制御部205からの映像信号(撮像映像)を表示する。カメラ操作部材210は、撮像条件を設定するためにカメラ20においてユーザにより操作される操作部材であり、ダイヤルやスイッチ等である。
【0031】
アダプタ30,40において、上述したアダプタ光学部材309,409は、交換レンズ10に対して特定の光学作用を付加するための光学部材であり、変倍レンズやNDフィルタ等である。本実施例では、アダプタ30はアダプタ光学部材309としての変倍レンズを有するエクステンダであり、アダプタ40はアダプタ光学部材409としてのNDフィルタを有するNDアダプタである。なお、アダプタ光学部材は、変倍レンズやNDフィルタ以外のものであってもよい。
【0032】
アダプタ制御部311,411は、カメラ制御部205から受信したアダプタ制御コマンドに応じて、アダプタ30,40の動作(変倍レンズやNDフィルタの撮像光路に対する挿抜等)を制御する。
【0033】
アダプタ制御部311,411は、アダプタ第3通信部310,410を介してカメラ制御部205およびレンズ制御部114と通信を行う。アダプタ第3通信部310,410は、アダプタ制御部311,411とともにカメラ-アダプタ通信制御部およびレンズ-アダプタ通信制御部を構成し、カメラ第3通信部209およびレンズ第3通信部117と第3通信を行う。カメラ第3通信部209との第3通信は、前述したように、カメラ制御部205からのアダプタ制御コマンドやアダプタ要求コマンドを受信したり、カメラ制御部205に対して第1および第2アダプタ光学データを送信したりするための通信である。レンズ第3通信部117との間の第3通信は、前述したように、レンズ制御部114からレンズ光学データやレンズ状態データを受信するために用いられる。
【0034】
アダプタ制御部311およびアダプタ第3通信部310は、アダプタ30内に設けられたCPUにより構成される。アダプタ制御部411およびアダプタ第3通信部410は、アダプタ40内に設けられたCPU等のコンピュータにより構成される。
【0035】
アダプタ操作部材312,412は、アダプタ30,40においてユーザにより操作される操作部材であり、スイッチや電子リング等である。ここで、アダプタ操作部材312,412の操作に対して所定の機能が割り当てられている。または、カメラ20の不図示の設定手段を介して、ユーザにより好みの機能が割り当てられている。アダプタ操作部材312,412の操作に対する機能として、例えば、以下のものが挙げられる。アダプタ操作部材312,412がスイッチの場合は、防振機能のON/OFF、防振機能の防振レベルの設定、オートフォーカスとマニュアルフォーカスの切り替えの少なくともいずれかである。アダプタ操作部材312,412が電子リングの場合は、交換レンズ10の絞りの位置(開口径)の調整機能、フォーカス位置の調整機能、およびズーム位置の調整機能の少なくともいずれかである。電子リングが操作された量に応じた調整量で、レンズ10において、絞り位置、フォーカス位置、ズーム位置の少なくともいずれかが調整される。
【0036】
次に、カメラ20(カメラ制御部205)が交換レンズ10(レンズ制御部114)を制御する処理について、
図2のフローチャートを用いて説明する。カメラ制御部205およびレンズ制御部114はそれぞれ、コンピュータプログラムである撮像制御プログラムに従って本処理(および後述するそれぞれの処理)を実行する。
【0037】
S201においてカメラ20が起動すると、カメラ制御部205はS202に進む。S202では、カメラ制御部205は、不図示の電源供給用マウント接点を介して、交換レンズ10、アダプタ30,40に電源を供給する。
【0038】
次にS203では、カメラ制御部205は、カメラ第1通信部207に交換レンズ10が使用する通信電圧を検出させ、該検出の結果に応じてカメラ第1通信部207およびカメラ第2通信部208が使用する通信電圧を設定する。この後、カメラ第1通信部207およびカメラ第2通信部208はそれぞれ、設定された通信電圧を用いてレンズ第1通信部115およびレンズ第2通信部116と第1通信および第2通信を行う。カメラ第1通信部207が交換レンズ10の通信電圧を検出する処理については後述する。
【0039】
次にS204では、レンズ制御部114は、レンズ第1通信部115(およびカメラ第1通信部207)を介して、レンズ名称やレンズスペック等の交換レンズ10のID情報(以下、レンズIDという)をカメラ制御部205に送信する。カメラ制御部205は、カメラ第1通信部207を介してレンズIDを受信する。またレンズ制御部114は、レンズ第2通信部116(およびカメラ第2通信部208)を介して、カメラ制御部205に交換レンズ10の現在の状態(レンズ状態)を示すレンズ状態データを送信する。カメラ制御部205は、カメラ第2通信部208を介してレンズ状態データを受信する。
【0040】
レンズ状態データは、フォーカス、ズームおよびアイリス制御部109,110,111と防振制御部112から取得された現在のフォーカスレンズ105、変倍レンズ106、アイリス107および防振レンズ108の位置(以下、光学部材位置という)を含む。またレンズ状態データは、振れ検出部113から取得したカメラ振れ量を正規化した値や、レンズ操作部材118から取得したそのユーザ操作の操作量や操作状態を示すレンズ操作データを含む。レンズ操作部材118が電子リングである場合は、該電子リングの単位時間当たりの操作量をレンズ操作データに含んでもよい。また、レンズ操作部材118がスイッチである場合は、該スイッチのON/OFF状態をレンズ操作データに含んでもよい。
【0041】
次にS205では、カメラ制御部205は、S204にて取得したレンズ状態データに基づいて、第2通信によりレンズ制御部114から受信するレンズ状態データを決定する。そして、決定したレンズ状態データの送信を要求するコマンドをカメラ第1通信部207(およびレンズ第1通信部115)を介してレンズ制御部114に送信する。
【0042】
次にS206では、レンズ制御部114は、S205にてレンズ第1通信部115を介してカメラ制御部205から受信した上記コマンドに基づいて、カメラ制御部205に送信すべき現在のレンズ状態を示すレンズ状態データを決定する。
【0043】
次にS207では、レンズ制御部114は、レンズ第2通信部116(およびカメラ第2通信部208)を介して、決定したレンズ状態データをカメラ制御部205に送信する。
【0044】
次にS208では、カメラ制御部205は、レンズ制御部114からカメラ第2通信部208を介して受信したレンズ状態データと、アダプタ(エクステンダ)30の変倍率およびアダプタ(NDアダプタ)40の透過率とから撮像条件を決定する。そして、該撮像条件での撮像を行う。撮像条件は、被写体距離、焦点距離、F値、T値、単位時間当たりのカメラ振れ量および防振のための振れ補正角(防振レンズ108のシフト量)を含む。カメラ制御部205は、生成した撮像映像を映像表示部206に表示するとともに、撮像条件を示す数字、記号、マーク、アイコン等を撮像映像に重畳表示する。カメラ制御部205が、アダプタ30,40の変倍率および透過率を取得する方法については後述する。
【0045】
次にS209では、カメラ制御部205は、カメラ操作部材210に対するユーザ操作を示す操作データ(以下、カメラ操作データという)を取得し、またアダプタ操作部材312,412から第1アダプタ操作データおよび第2アダプタ操作データを取得する。カメラ操作データは、ダイヤルや電子リングの操作による露出(F値、シャッタ速度等)やズーム位置の設定、スイッチの操作によるAFおよび防振の実行/停止の指示等を示すデータである。第1および第2アダプタ操作データについては後述する。また、カメラ制御部205が、第1および第2アダプタ操作データを取得する処理については後述する。
【0046】
次にS210では、カメラ制御部205は、S207で取得したレンズ状態データとS209で取得したカメラ操作データと第1および第2アダプタ操作データとに基づいて、レンズ制御データを決定する。具体的には、カメラ制御部205は、AFの実行を指示するスイッチのONに応じて、撮像素子204に設けられた位相差センサから位相差を取得し、該位相差から撮像光学系のデフォーカス量を算出する。さらに、算出したデフォーカス量から、合焦状態を得るためのフォーカスレンズ105の駆動量を決定する。また、カメラ制御部205は、ダイヤルまたは電子リングの操作量を示すデータに基づいて、変倍レンズ106の駆動量を決定する。さらに、カメラ制御部205は、ダイヤルの操作によって設定された露出設定値と撮像素子204からの出力を用いて生成した映像信号の輝度レベルとに基づいて、アイリス107の駆動量を決定する。また、カメラ制御部205は、防振の実行/停止を指示するスイッチのON/OFFに応じて、防振レンズ108のシフト駆動の可否を決定する。
【0047】
このようにして、カメラ制御部205は、フォーカスレンズ105、変倍レンズ106およびアイリス107の駆動量と防振の可否を含むレンズ制御データを決定する。
【0048】
次にS211では、カメラ制御部205は、カメラ第1通信部207(およびレンズ第1通信部115)を介して、レンズ制御データを含むレンズ制御コマンドをレンズ制御部114に送信する。
【0049】
次にS212では、レンズ制御部114は、受信したレンズ制御コマンドに含まれるレンズ制御データをフォーカス、ズームおよびアイリス制御部109,110,111に渡す。フォーカス、ズームおよびアイリス制御部109,110,111は、レンズ制御データに応じて、フォーカスレンズ105、ズームレンズ106およびアイリス107を駆動する。また、レンズ制御部114は、レンズ制御データに含まれる防振の可否を防振制御部112に通知する。防振制御部112は、防振が許可されている場合は、振れ検出部113にて検出されたカメラ振れ量に応じて像振れを低減するように防振レンズ108をシフト駆動する。
【0050】
以上説明したように、カメラ20と交換レンズ10の間の初期通信(システム起動時)には、交換レンズ10の、名称や仕様(スペック)、レンズ補正データ等のレンズ固有情報が通信される。それ以降のシステムの起動中は、所定のタイミングで、焦点距離やフォーカス位置を含む交換レンズ10の撮像光学系の状態を示すデータ、ユーザからカメラ20になされた操作の内容を示すデータ、前述のレンズ制御データ等が通信される。
【0051】
次に、カメラ第1通信部207が、交換レンズ10の通信電圧を検出する処理と第1通信での通信処理について、
図3(a),(b)を用いて説明する。
【0052】
図3(a)は、第1通信を行うための第1通信チャネル100の構成を示している。カメラ20からアダプタ30,40を介して交換レンズ10に繋がる第1通信チャネル100を形成するため、第1通信接点102,303,306,403,406,202には、以下の端子が設けられている。
【0053】
第1通信接点303は、第1通信LCLK端子303a、第1通信DCL端子303b、第1通信DLC端子303c、TYPE端子303dを含む。第1通信接点306は、第1通信LCLK端子306a、第1通信DCL端子306b、第1通信DLC端子306c、TYPE端子306dを含む。第1通信接点403は、第1通信LCLK端子403a、第1通信DCL端子403b、第1通信DLC端子403c、TYPE端子403dを含む。第1通信接点406は、第1通信LCLK端子406a、第1通信DCL端子406b、第1通信DLC端子406c、TYPE端子406dを含む。
【0054】
カメラ第1通信部207から出力されるクロック信号LCLK用のライン(以下、LCLKラインという)を形成するために、第1通信LCLK端子102a,303a,306a,403a,406a,202aが設けられている。また、カメラ第1通信部207から出力されるカメラデータ信号DCL用のライン(以下、DCLラインという)を形成するために、第1通信DCL端子102b,303b,306b,403b,406b,202bも設けられている。また、レンズ第1通信部115から出力されるレンズデータ信号DLC用のライン(以下、DLCラインという)を形成するために第1通信DLC端子102c,303c,306c,403c,406c,202cも設けられている。DLCライン、DCLラインは、それぞれ、データ通信時に用いられる第1のデータ通信チャネルに相当する。LCLKラインは、DCLラインやDLCラインを介した通信のタイミングの通知に用いられる第1の通知チャネルに相当する。第1通信は、後述のクロック同期式通信に限らず、調歩同期式通信により行ってもよい。
【0055】
さらに、交換レンズ10の通信電圧を検出するための交換レンズタイプ検出信号TYPE用のライン(以下、TYPEラインという)を形成するためのTYPE端子102d,303d,306d,403d,406d,202dも設けられている。アダプタ30,40に設けられた第1通信接点303,306,403,406間の4つのラインは、第1通信チャネル100の一部を形成する中継チャネルを構成する。
【0056】
図3(a)に示すように、LCLKラインおよびDCLラインは、交換レンズ10内でプルアップされている。また、LCLKラインおよびDLCラインは、カメラ20内でプルアップされている。
【0057】
アダプタ30,40内のLCLKライン、DCLライン、DLCラインおよびTYPEラインはそれぞれ、第1通信接点303,306間および第1通信接点間403,406間で短絡されている。
【0058】
TYPEラインは、交換レンズ10内で通信電圧毎に予め定められた抵抗値によりプルダウンされるとともに、カメラ20内で予め定められた抵抗値によりプルアップされている。カメラ第1通信部207は、TYPEラインの電圧値を検出し、交換レンズ10内の抵抗値とカメラ20内の抵抗値から決定される電圧値により交換レンズ10の通信電圧を特定する。
【0059】
図3(b)は、第1通信の通信フォーマット例を示す。この図では、LCLKライン、DCLラインおよびDLCライン上での信号波形を示している。以下の説明において、クロック信号LCLKをLCLK信号といい、DCLラインで送受信されるカメラデータ信号DCLをDCL信号といい、DLCラインで送受信されるレンズデータ信号DLCをDLC信号という。
【0060】
カメラ第1通信部207は、LCLKラインにLCLK信号を出力するとともに、該LCLK信号の立ち上がりに合わせて、DCLラインにDCL信号としてB7~B0の8ビットのデータを出力する。レンズ第1通信部115は、LCLK信号の立ち上がりに合わせて、DLCラインにDLC信号としてB7~B0の8ビットのデータを出力する。
【0061】
カメラ第1通信部207は、LCLK信号の立ち上がりに合わせて、DLCラインからの8ビット(B7~B0)のデータを受信する。レンズ第1通信部115は、LCLK信号の立ち上がりに合わせて、DCLラインからの8ビット(B7~B0)のデータを受信する。これにより、カメラ第1通信部207とレンズ第1通信部115は、データを互いにやり取りすることができる。
【0062】
レンズ第1通信部115は、DCLラインからの8ビットデータを受信すると、LCLKラインを所定時間TbusyだけLCLKラインの電圧レベルをLowとし、所定時間Tbusyが経過するとLowを解除する。すなわち、Highにする。所定時間Tbusyは、レンズ制御部114において受信したデータに対する処理を行う時間であり、この時間中にはカメラ第1通信部207はレンズ第1通信部115にデータ送信を行わない。このような通信処理を繰り返すことで、第1通信によりカメラ第1通信部207とレンズ第1通信部115との間で複数バイトのデータの通信が行われる。
【0063】
第2通信は、交換レンズ10からカメラ20への一方向通信を、第1通信と同じクロック同期式通信で行ってもよいし、調歩同期式通信で行ってもよい。また、第3通信も、カメラ20とアダプタ30,40間および交換レンズ10とアダプタ30,40間の双方向通信としてのクロック同期式通信や調歩同期式通信をマスタ・スレーブ方式やトークンパッシング方式等で行ってもよい。
【0064】
図11(a)は、第2通信チャネル200での第2通信で行われる調歩同期式通信の通信フォーマット例を示す。ここでは、通信されるデータのフォーマットとして、1ビットのスタートビット、8ビットのデータビットおよび1ビットのストップビットを含む10ビットを1フレームとする例を示している。なお、データビットは7ビットや16ビットでもよいし、パリティビットを含めてもよい。また、ストップビットを2ビットとしてもよい。
【0065】
図11(b)は、第2通信での調歩同期式通信のタイミング同期方法を示す。カメラ制御部205(およびカメラ第2通信部208)とレンズ制御部114(およびレンズ第2通信部117)は、互いに予め取り決めたクロック周波数、すなわちクロックレートに応じて内部クロックを動作させてデータの送受信を行う。例えば、内部クロックをカメラ制御部205とレンズ制御部114間の通信レートの16倍のクロックレートに設定する。データサンプリングの起点は、図中に同期タイミングとして示すように、受信データのスタートビットの立ち下りを内部クロックでサンプリングすることで決める。そして、図中にデータサンプリングタイミングとして示すように、この同期タイミングを起点とした8クロックの位置にてデータをラッチする。これにより各ビットの中央でデータを取り込むことができる。ビット毎にこのようなデータのサンプリングを行うことで、第2通信用の1本のライン(レンズ-カメラ送信チャネル:DLC2)のみでのデータ通信が行われる。
【0066】
第3通信チャネル300は、カメラ20、アダプタ30,40との間で通信可能にするために設けられた通信チャネルである。第3通信チャネル300はカメラ制御部205から、アダプタ制御部311,411およびレンズ制御部114に対して、省電力モードへの移行指示を示すコマンドを送信する場合に用いられる。ここで、省電力モードとは、通常の動作時よりも消費電力が低いモードである。例えば、省電力モードでは、データの送受信や、撮像光学系内の可動光学部材や光学部材309,409の駆動などが禁止されるモードである。さらに、第3通信チャネル300は一対一通信における通信相手を示すコマンドを送信する場合にも用いられる。さらにアダプタ制御部30,40の固有の情報をカメラ制御部205に送信するためにも用いられる。アダプタ制御部30,40の固有の情報については、後述する。
【0067】
図12、13を用いて、第3通信チャネル300を用いて行われる調歩同期式通信について説明する。第3通信チャネル300は、通信タイミングの通信に用いられる通知チャネルCSとデータの送受信に用いられるデータ通信チャネルDATAの2本の信号線により構成される。ここで、データ通信チャネルDATAは、データ通信時に用いられる第2のデータ通信チャネルに相当する。通知チャネルCSは、データ通信チャネルDATAを介した通信のタイミングの通知に用いられる第2の通知チャネルに相当する。
【0068】
図12は、第3通信チャネル300において第3通信で行われる調歩同期式通信の通信波形を示す。特に、データ送信側の装置から複数のデータ受信側の装置に対して同時にデータを送信することが可能な一対多通信の例を示している。具体的には、カメラ20がデータを送信し、次いで、アダプタ30(またはアダプタ30)がデータを送信する様子を示している。以下、このような一対多の構成要素で行われる通信を、ブロードキャスト通信という。
【0069】
図12では、2つのアダプタ30,40(アダプタ制御部311,411)からの信号出力を1つにまとめて示している。
【0070】
カメラ制御部205、アダプタ制御部311,411およびレンズ制御部114の全てが通知チャネルCSにHighを出力することで、通知チャネルCSの信号レベルはHighとなるように構成されている。一方、カメラ制御部205、アダプタ制御部311,411およびレンズ制御部114のうち少なくとも1つが通知チャネルCSにLowを出力することで、通知チャネルCSの信号レベルはLowとなるように構成されている。
【0071】
第3通信では、データ送信側とデータ受信側の双方で通信速度を予め設定し、この設定に基づいた通信ビットレートでデータ通信を行う。通信ビットレートとは、1秒間に転送することができるデータ量を示し、単位はbps(bit per second)である。
【0072】
データ通信を行っていない状態では、データ通信チャネルDATAの信号レベルはHiレベルに維持されている。続いて、データの送信開始をデータ受信側に通知するため、データ通信チャネルDATAの信号レベルが1ビット期間の間Lowとされる。この1ビット期間をスタートビットSTと呼び、スタートビットSTからデータフレームが開始される。スタートビットSTに続く2ビット目から9ビット目までの8ビット期間で1バイトのデータが送信される。
【0073】
通知チャネルCSは、カメラ制御部205、アダプタ制御部311,411およびレンズ制御部114に接続されており、各制御部は、通知チャネルCSの信号レベル(電圧レベル)を検出可能である。また、通知チャネルCSは、カメラ20内に配置された不図示の電源にプルアップ接続されている。
【0074】
各制御部は、通知チャネルCSの信号レベルをそれぞれ設定可能であり、全ての制御部205,311,411,114が、通知チャネルCSの信号レベルをHiに設定することで、通信チャネルCSの信号レベルはHiとなる。また、いずれかの制御部が通知チャネルCSの信号レベルをLowに設定することで、通信チャネルCSの信号レベルはLowとなる。
【0075】
第3通信では、カメラ制御部205(およびカメラ第3通信部209)を通信マスタとし、アダプタ制御部311,411およびレンズ制御部114を通信スレーブとした通信が行われる。
【0076】
通信マスタであるカメラ制御部205は、通知チャネルCSにLowを出力することで、通信スレーブであるアダプタ30、40および交換レンズ10に対して通信の開始を通知する。次にカメラ制御部205は、データ通信チャネルDATAを介してアダプタ30、40および交換レンズ10にデータを送信する。一方、アダプタ制御部311,411およびレンズ制御部114は、データ通信チャネルDATAを介して上述したスタートビットSTを検出することに応じて、通知チャネルCSにLowを出力する。なお、アダプタ制御部311,411およびレンズ制御部114が通知チャネルCSにLowを出力する時点で、カメラ制御部205がLowを出力しているため、通知チャネルCSの信号レベルはLowのままである。
【0077】
アダプタ制御部311,411およびレンズ制御部114は、通知チャネルCSにLowを出力することで通信待機要求を通知する。通信待機要求は、カメラシステムにおける通信を一時停止させるためのものであり、通知チャネルCSの信号レベルにより通信待機要求の有無が判断される。
【0078】
カメラ制御部205は、全てのデータを送信した後に通知チャネルCSにHigh出力を行う。アダプタ制御部311,411およびレンズ制御部114は、データ通信チャネルDATAから送信されたストップビットSPを受信した後に、受信したデータの解析と該受信データに対応する内部処理を実行する。その後、次の通信を実行するための準備が整った後に通知チャネルCSにHighを出力する。
【0079】
カメラ制御部205、アダプタ制御部311,411およびレンズ制御部114は、通知チャネルCSの信号レベルがHighに戻ったことにより、各制御部が次の通信を実行可能な状態になったことを確認することができる。
【0080】
図12では、カメラ制御部205が送信するデータに、アダプタ制御部311,411に対する送信要求命令が含まれており、アダプタ制御部311,411によるデータ送信に続いて該アダプタ制御部311,411によるデータ送信が行われる。具体的には、通知チャネルCSの信号レベルがHighになった後に、アダプタ制御部311,411は、通知チャネルCSにLowを出力する。これによりレンズ制御部114およびカメラ制御部205に通信の開始を通知する。次に、アダプタ制御部311,411は、データ通信チャネルDATAを介してレンズ制御部114およびカメラ制御部205にデータを送信する。
【0081】
一方、レンズ制御部114とカメラ制御部205は、データ通信チャネルDATAを介して上述したスタートビットSTを検出することに応じて、通知チャネルCSにLowを出力する。なお、レンズ制御部114とカメラ制御部205が通知チャネルCSにLowを出力する時点では、アダプタ制御部311,411が通知チャネルCSにLowを出力しているため、通知チャネルCSの信号レベルはLowのままである。
【0082】
アダプタ制御部311,411は、全てのデータを送信した後に通知チャネルCSにHighを出力する。レンズ制御部114とカメラ制御部205は、データ通信チャネルDATAから送信されたストップビットSPを受信した後に、受信したデータの解析と該受信データに対応する内部処理を実行する。その後、次の通信を実行するための準備が整った後に通知チャネルCSにHigh出力を行う。
【0083】
カメラ制御部205、アダプタ制御部311,411およびレンズ制御部114の全てが通知チャネルCSにHighを出力することで、通知チャネルCSの信号レベルはHighとなる。カメラ制御部205、アダプタ制御部311,411およびレンズ制御部114は、通知チャネルCSの信号レベルがHighに戻ったことにより、各制御部が次の通信を実行可能な状態になったことを確認することができる。
【0084】
図13は、第3通信チャネル300において第3通信で行われる調歩同期式通信の通信波形を示す。特に、カメラ20と、カメラ20に通信相手として選択された1つの構成要素(交換レンズ10、アダプタ30,40のうちのいずれか)との間で個別に通信する例を示している。以下、このような一対一の構成要素で行われる通信を、P2P通信と言う。
【0085】
P2P通信における通信相手となる通信スレーブを示す情報は、ブロードキャスト通信によってカメラ制御部205から送信される。P2P通信においては、データ送信側が、通知チャネルCSにLow出力を行わず、通知チャネルCSをHighに維持したままデータ受信側にデータを送信する。すなわち、カメラ20から交換レンズ10、アダプタ30にデータを送信する間の通知チャネルCSの電圧レベルを、ブロードキャスト通信とP2P通信とで異ならせている。
【0086】
ブロードキャスト通信からP2P通信への切り替えが実行されると、最初に通信マスタであるカメラ制御部205からデータ送信が開始される。
【0087】
図13は、カメラ制御部205からレンズ制御部114への1バイトのデータ送信後に、レンズ制御部114からカメラ制御部205に対して2バイトのデータ送信が行われる例を示している。
【0088】
カメラシステムを構成する各構成要素においてブロードキャスト通信からP2P通信への切り替えが完了した後に、通信マスタとしてのカメラ制御部205はデータ通信チャネルDATAを介してレンズ制御部114にデータを送信する。カメラ制御部205は、データ送信が完了すると、通知チャネルCSの信号レベルをLow出力にして通信待機要求の通知を行う。そして、カメラ制御部205は、データ受信側としてデータを受信する準備が完了した後に通知チャネルCSの信号レベルをHigh出力に戻す。
【0089】
一方、レンズ制御部114は、通知チャネルCSの信号レベルがLowになったことによりカメラ制御部205からのデータ送信が完了したことを認識し、受信したデータの解析や受信したデータに対応する内部処理を実行する。
図5の例では、カメラ制御部205から受信したデータに、レンズ制御部114からカメラ制御部205へのデータ送信要求が含まれており、レンズ制御部114はカメラ制御部205に送信するデータの生成も行う。
【0090】
その後、通知チャネルCSの信号レベルがHighに戻ったことにより、通信待機要求の解除を認識したレンズ制御部114は、カメラ制御部205に対して2バイトのデータ送信を行う。
【0091】
レンズ制御部114は、データ送信が終了すると、通知チャネルCSの信号レベルをLow出力にして通信待機要求の通知を行う。そして、レンズ制御部114は、データ受信側としてデータを受信する準備が完了した後に通知チャネルCSの信号レベルをHigh出力に戻す。なお、P2P通信の通信相手として選択されていないアダプタマイコン302は、通知チャネルCSへの出力を変化させず、データの送受信に関与しない。
【0092】
レンズ制御部114は、通知チャネルCSの信号レベルをHighに戻した後のカメラ制御部205からのデータ送信タイミングによって、P2P通信が継続されているのか、ブロードキャスト通信への切り替えが行われたのかを判断する。
【0093】
カメラ制御部205がデータを送信している間の通知チャネルCSの信号レベルをブロードキャスト通信とP2P通信とで異ならせている。通知チャネルCSの信号レベルがHigh(第2の電圧レベル)のままの状態で、カメラ制御部205からのデータを受信した場合、レンズ制御部114はP2P通信が継続されていると判断する。一方、通知チャネルCSの信号レベルがLow(第1の電圧レベル)に変化した後に、カメラ制御部205からのデータを受信した場合、レンズ制御部114はP2P通信からブロードキャスト通信に切り換えられたと判断する。
【0094】
以上説明したように、P2P通信においては、データ送信側が通知チャネルCSの信号レベルをHigh出力からLow出力にすることで、データ送信側によるデータの送信が完了したことをデータ受信側に通知している。そのため、P2P通信においては、データ送信側が通知チャネルCSの信号レベルを変化させるまで、複数のデータフレームを連続して送信することができる。これにより、カメラ20と、交換レンズ10やアダプタ30、マイコン302等のアクセサリ装置との間の通信を高速に行うことができる。そして、データ送信側は、次の通信におけるデータ受信側としてのデータ受信準備が完了するまで、通知チャネルCSの信号レベルをLow出力のままとすることで、通信待機要求を通知している。
【0095】
次に、カメラ制御部205が、アダプタ光学部材(変倍レンズ)309の変倍率およびアダプタ光学部材(NDフィルタ)409の透過率と、第1および第2アダプタ操作データを取得する処理について、
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0096】
S401およびS402は、
図2のS201およびS202と同じである。S402からS403に進んだカメラ制御部205は、カメラ第3通信部209(およびアダプタ第3通信部310)を介して、アダプタ制御部311にアダプタ光学部材309の光学データである第1アダプタ光学データの送信を要求するコマンドを送信する。
【0097】
次にS404では、アダプタ制御部311は、その内部メモリに保持している第1アダプタ光学データを、アダプタ第3通信部310(およびカメラ第3通信部209)を介してカメラ制御部205に送信する。第1アダプタ光学データは、アダプタ光学部材309の変倍率を示すデータである。
【0098】
次にS405では、カメラ制御部205は、カメラ第3通信部209(およびアダプタ第3通信部410)を介して、アダプタ制御部411にアダプタ光学部材409の光学データである第2アダプタ光学データの送信を要求するコマンドを送信する。
【0099】
次にS406では、アダプタ制御部411は、その内部メモリに保持している第2アダプタ光学データを、アダプタ第3通信部410(およびカメラ第3通信部209)を介してカメラ制御部205に送信する。第2アダプタ光学データは、アダプタ光学部材409の透過率を示すデータである。
【0100】
次にS407では、カメラ制御部205は、カメラ第3通信部209(およびアダプタ第3通信部310)を介して、アダプタ制御部311にアダプタ操作部材312の操作データである第1アダプタ操作データの送信を要求するコマンドを送信する。
【0101】
次にS408では、アダプタ制御部311は、アダプタ操作部材312からその操作量や操作状態を取得する。そして、それらを示すデータを第1アダプタ操作データとして、アダプタ第3通信部310(およびカメラ第3通信部209)を介してカメラ制御部205に送信する。第1アダプタ操作データは、アダプタ操作部材312が電子リングである場合は、該電子リングの単位時間当たりの操作量を示すデータである。また、アダプタ操作部材312がスイッチである場合は、該スイッチのON/OFF状態を示すデータである。
【0102】
次にS409では、カメラ制御部205は、カメラ第3通信部209(およびアダプタ第3通信部410)を介して、アダプタ制御部411にアダプタ操作部材412の操作データである第2アダプタ操作データの送信を要求するコマンドを送信する。
【0103】
次にS410では、アダプタ制御部411は、アダプタ操作部材412からその操作量や操作状態を取得する。そして、それらを示すデータを第2アダプタ操作データとして、アダプタ第3通信部310(およびカメラ第3通信部209)を介してカメラ制御部205に送信する。第2アダプタ操作データは、第1アダプタ操作データと同様のデータである。S407からS410の処理を繰り返すことで、カメラ制御部205はアダプタ操作部材312およびアダプタ操作部材412の操作データを周期的に取得することができる。
【0104】
例えば、アダプタ操作部材312に対して絞り位置の調整機能が割り当てられている場合、カメラ20は、S410で取得したアダプタ操作部材412の操作量に応じて第1通信チャネル100を介して交換レンズ10に対して絞り位置の変更を指示する。アダプタ操作部材312に対して防振機能のON/OFF機能が割り当てられている場合、カメラ20は、S410で取得したアダプタ操作部材412の操作状態(ONまたはOFF)に応じて第1通信チャネル100を介して交換レンズ10に対して防振制御のONまたはOFFを指示する。これらのことは、アダプタ操作部材412についても同様である。アダプタ操作部材312,412の操作を介して、ユーザは交換レンズ10の撮像光学系の状態を制御することができる。
【0105】
以上説明した実施例では、第1アダプタ光学データおよび第2アダプタ光学データとして、アダプタ光学部材309,409それぞれの変倍率及び透過率を例に説明した。
【0106】
第1アダプタ光学データおよび第2アダプタ光学データ以外の、アダプタ30に固有の情報や,アダプタ40に固有の情報を、第3通信チャネル300を介して通信しても良い。アダプタ30の固有の情報が、例えば、アダプタ30の、名称、仕様(スペック)、アダプタ光学部材309の補正データの少なくともいずれかを含んでいてもよい。同様に、アダプタ40の固有の情報が、例えば、アダプタ40の、名称、仕様(スペック)、アダプタ光学部材409の補正データの少なくともいずれかを含んでいてもよい。例えば、名称、仕様(スペック)、アダプタ光学部材309、アダプタ光学部材409の補正データの少なくともいずれかは、カメラ20とアダプタ30の間、カメラ20とアダプタ40の間における初期通信時にカメラ20に送信される。
【0107】
また、交換レンズ10の撮像光学系やアダプタ光学部材309,409等の状態が変化することにより、焦点距離の情報および光線の透過率の情報等が時変化した場合、アダプタ30やアダプタ40は、撮影待機中等の通常状態においてカメラ20にこれらの更新データを送信してもよい。 以上の処理により、カメラ制御部205は、アダプタ光学部材309,409の変倍率や透過率を電源供給開始の直後に取得することができ、アダプタ操作部材312,412の操作量や操作状態を電源供給開始から周期的に取得することができる。
【0108】
次に、第1通信チャネル100、第2通信チャネル200および第3通信チャネル300における通信データの占有状況について、
図5(a),(b)を用いて説明する。ここでの説明では、レンズ制御コマンド、レンズ状態データおよびアダプタ操作データのサイズは全て同じサイズを有するものとする。
【0109】
図5(a)は、通信チャネルが1つのみ設けられた比較例としてのカメラシステムにおいて、該通信チャネルにおける通信データの占有状況を示す。図中の横軸は時間を示す。Ta1,Ta2,Ta3およびTa4はそれぞれ、レンズ制御コマンド、レンズ状態データ、第1アダプタ操作データおよび第2アダプタ操作データの送信時間を示す。また、Ca1およびCa2はそれぞれ、レンズ制御コマンド間およびレンズ状態データ間の送信間隔を示す。
【0110】
レンズ送信要求コマンドは、カメラ制御部205がレンズ制御部114に対してレンズ状態データの送信を要求するコマンド(データ)である。レンズ制御部114は、レンズ送信要求データを受信することに応じて、レンズ状態データをカメラ制御部205に送信する。第1アダプタ送信要求データおよび第2アダプタ送信要求コマンドはそれぞれ、カメラ制御部205がアダプタ制御部309およびアダプタ制御部409に対して第1アダプタ操作データおよび第2アダプタ操作データの送信を要求するデータである。アダプタ制御部311およびアダプタ制御部411はそれぞれ、第1アダプタ送信要求データおよび第2アダプタ送信要求データを受信することに応じて、第1アダプタ操作データおよび第2アダプタ操作データをカメラ制御部205に送信する。
【0111】
図5(a)では、1つの通信チャネルにおいてレンズ制御コマンド、レンズ状態データ、第1および第2アダプタ操作データを順次通信するため、レンズ制御データ間とレンズ状態データ間の送信間隔Ca1,Ca2が長くなっている。また、アダプタ制御部311,411は、レンズ制御部114およびカメラ制御部205と同じ通信速度に対応する必要がある。
【0112】
一方、
図5(b)は、第1通信、第2通信および第3通信チャネル300を有する本実施例のカメラシステムにおける通信データの占有状況を示す。図の横軸は、時間である。Tb1,Tb2,Tb3,Tb4はそれぞれ、レンズ制御コマンド、レンズ状態データ、第1アダプタ操作データおよび第2アダプタ操作データの送信時間を示す。また、Cb1,Cb2はそれぞれ、レンズ制御コマンド間およびレンズ状態データ間の送信間隔を示す。
【0113】
図5(b)に示すように、レンズ制御コマンドと、レンズ状態データと、第1および第2アダプタ操作データは互いに異なる通信チャネルで通信される。これにより、カメラ制御部205は、該カメラ制御部205とアダプタ制御部30,40とが第3通信中であるか否かにかかわらず、第1通信を行う。また、レンズ制御コマンドと、レンズ状態データと、第1および第2アダプタ操作データとを互いに異なる通信チャネルで通信することで、レンズ制御コマンド間の送信間隔Cb1が
図5(a)に示したCa1に比べて十分に短くなっている。同様に、レンズ状態データ間の送信間隔Cb2も、Cb1に比べて十分短くなっている。これにより、カメラ20は、
図5(a)の比較例に比べて、交換レンズ10を高速に制御することができる。
【0114】
また本実施例では、第1および第2通信チャネル200に接続されるデバイスをカメラ20と交換レンズ10に限定する。これにより、比較例のように他のデバイス(アダプタ)がカメラ20と交換レンズ10の通信チャネルに接続される場合に比べて、通信される信号の反射による信号の劣化を防ぐことができる。この結果、比較例に比べて、カメラ20と交換レンズ10間の通信速度を速くすることができる。したがって、通信されるデータのサイズが同じであれば、Ta1とTa2に比べて、Tb1とTb2が短くなっている。さらに第2通信チャネル200に接続されるデバイスがカメラ20と交換レンズ10に限定されることで、カメラ20から交換レンズ10へのレンズ送信要求コマンドの送信が不要となり、その分、レンズ状態データ間の送信間隔を短くすることができる。
【0115】
また本実施例では、第1および第2アダプタ操作データの送信時間Tb3,Tb4が、Tb3,Tb4に比べて長くなっている。これは、第3通信の通信レートを第1および第2通信の通信レートに関係なく遅く設定することで、アダプタ30,40が高速通信に対応する必要をなくしている。
【0116】
さらに本実施例では、レンズ制御コマンド、レンズ状態データ、第1アダプタ操作データおよび第2アダプタ操作データをそれぞれ、他のデータの通信によるチャネル占有により阻害されることなく、自由な通信タイミングで通信することができる。例えば、カメラ20に対して交換レンズ、アダプタ30,40などが装着されたときに行われる初期通信の際だけでなく、カメラ20における撮影待機中や撮影動作中においても通信することができる。
【0117】
以上説明したように、本実施例によれば、カメラ20と交換レンズ10およびアダプタ30,40との間で行われる様々なコマンドやデータの通信を、それらコマンドやデータの通信が他の通信により阻害されることなく、適切な通信タイミングに行う事ができる。また、通信チャネルが1つのみである場合に比べて、様々なコマンドやデータを短い間隔で安定的に通信することができ、交換レンズの制御の安定性やアダプタの操作性等を向上させることができる。
【0118】
また、第1および第2通信チャネル200にはカメラ20と交換レンズ10のみが接続されているため、第1および第2通信の高速化と高機能化を図ることができ、交換レンズの制御性をより向上させることができる。また、交換レンズ10の通信電圧に応じてカメラ20が通信電圧を切り替えることで、通信電圧が互いに異なる複数の交換レンズをカメラ20に接続することができる。さらに、カメラ20とアダプタ30,40との間の第3通信を、第1および第2通信と別に行うことで、カメラ20および交換レンズ10の速い通信速度に合ったアダプタの使用を不要とすることができる。以上により、例えば通信電圧が高い第1通信に対応し、第2通信、第3通信の接点を持たない古い交換レンズと、消費電力を低下させることを目的とした通信電圧が低い第1通信、第2通信、第3通信に対応した新しい交換レンズの両方を装着可能となるカメラ20を実現する事ができる。この場合、新しい交換レンズは第1通信の通信電圧を低く設定する事ができるため、通信電圧が低い、第二通信、第三通信と同じ電圧で通信する事が可能となり、新しい交換レンズの電気回路のコストを抑える事ができる。
【0119】
なお、本実施例では、アダプタ30,40から第3通信により第1および第2アダプタ操作データをカメラ20に通信する場合について説明した。しかし、レンズ第3通信部117、アダプタ第3通信部310およびカメラ第3通信部209を介して、交換レンズ10から該交換レンズ10に関するデータ(例えば、レンズ操作データ)をカメラ20に通信してもよい。
【0120】
また、アダプタ30,40の通信電圧と異なる通信電圧で通信を行う交換レンズは、レンズ第3通信部117および第3通信接点104を有さない構成としてもよい。これにより、レンズ第3通信部117とアダプタ第3通信部310,410とが互いに異なる通信電圧で接続されることが防ぐことができる。
【実施例2】
【0121】
次に、
図6を用いて本発明の実施例2について説明する。本実施例において、実施例1と共通する構成については同符号を付して説明に代える。
【0122】
本実施例では、カメラが交換レンズとアダプタを個別に、通信を行う通常動作状態(第1の状態:以下、ノーマル状態という)と、ノーマル状態より消費電力が低く、通信を行わない低消費電力状態(第2の状態:以下、スリープ状態という)とに移行させる。そして、本実施例では、交換レンズがスリープ状態にあるときに、第1通信チャネル100を該交換レンズを起動させるレンズ起動信号を伝達するためのチャネルとして使用する。また、本実施例では、アダプタがスリープ状態にあるときに、第3通信チャネル300を該アダプタを起動させるアダプタ起動信号を伝達するためのチャネルとして使用する。レンズ起動信号およびアダプタ起動信号は、ノーマル状態において行われる第1通信や第3通信とは異なる伝達方式で交換レンズやアダプタに伝達される。
【0123】
図6において、カメラ20′内のカメラ制御部2201は、交換レンズ10′がスリープ状態にあるときに、カメラスリープ状態信号制御部2202および第1通信チャネル100を介して、レンズ制御部2101にレンズ起動信号を送信する。また交換レンズ10′内のレンズ制御部2101は、交換レンズ10′がスリープ状態にあるときに、第1通信チャネル100とレンズスリープ状態信号制御部2102を介してカメラ制御部2201からのレンズ起動信号を受信する。さらにカメラ制御部2201は、アダプタ30′,40′がスリープ状態にあるときに、カメラスリープ状態信号制御部2202および第3通信チャネル300を介して、アダプタ30′,40′内のアダプタ制御部2301,2401にアダプタ起動信号を送信する。
【0124】
図7のフローチャートには、カメラ20′が交換レンズ10′を通常動作状態(以下、ノーマル状態という)からスリープ状態に移行させ、再度、交換レンズ10′をノーマル状態に移行させる処理を示している。交換レンズ10′のノーマル状態とは、交換レンズ10′が第1、第2および第3通信を行い、カメラ20′から交換レンズ10′の撮像光学系内の可動光学部材の駆動を制御することができる状態を示す。交換レンズ10′のスリープ状態とは、交換レンズ10′が第1、第2および第3通信を停止し、ノーマル状態よりも低い電力を消費している状態を示す。
【0125】
S701において処理を開始したカメラ制御部2201は、S702において、実施例1で説明したカメラ操作データと第1および第2アダプタ操作データを取得する。そして、S703に進む。
【0126】
S703では、カメラ制御部2201は、カメラ操作データまたは第1および第2アダプタ操作データに変化がない時間が所定時間を超えたか否かを判定する。言い換えれば、カメラ20′またはアダプタ30′,40′の操作部材207,312,412がユーザにより操作されない無操作時間が所定時間を超えたか否かを判定する。カメラ制御部2201は、無操作時間が所定時間を超えた場合はS704に進み、そうでなければ(操作があれば)S703の処理を繰り返す。所定時間は、ユーザが撮像のための操作を行っていないと判定するために十分な時間であり、例えば数秒である。
【0127】
S704では、カメラ制御部2201は、カメラ第1通信部207(およびレンズ第1通信部115)を介して、レンズ制御部2101にスリープ状態への移行を要求するコマンドを送信する。そして、S705に進む。
【0128】
S705では、レンズ制御部2101は、レンズ第1通信部115を通じて受信したスリープ状態への移行要求に応じて、交換レンズ10′をスリープ状態に移行させる。スリープ状態の交換レンズ10′では、レンズスリープ状態信号制御部2102のみが動作する。
【0129】
次にS706では、カメラ制御部2201は、再びカメラ操作データと第1および第2アダプタ操作データを取得する。そして、S707に進む。
【0130】
S707では、カメラ制御部2201は、S702とS706で取得したカメラ操作データまたは第1および第2アダプタ操作データに変化があったか否かを判定する。言い換えれば、カメラ20′またはアダプタ30′,40′の操作部材207,312,412がユーザにより操作されたか否かを判定する。カメラ制御部2201は、操作されたと判定した場合はS708に進み、そうでなければ(操作がなければ)S707の判定を繰り返す。
【0131】
S708では、カメラ制御部2201は、カメラスリープ状態信号制御部2202を介して、第1通信チャネル100にレンズ起動信号を出力する。第1通信チャネル100にレンズ起動信号を出力する処理については後述する。
【0132】
次にS709では、レンズ起動信号が入力されたレンズスリープ状態信号制御部2102は、レンズ制御部2101を起動させ、交換レンズ10′をノーマル状態に移行させる。そして、本処理を終了する。
【0133】
本処理により、カメラ制御部2201は、交換レンズ10′のみをノーマル状態からスリープ状態に移行させ、またスリープ状態からノーマル状態に移行させることができる。
【0134】
次に、第1通信チャネル100にレンズ起動信号を出力する処理について、
図8を用いて説明する。
図8は、カメラスリープ状態信号制御部2202がレンズ起動信号を出力するときのLCLKライン、DCLラインおよびDLCラインにおける信号波形を示している。
【0135】
カメラスリープ状態信号制御部2202は、
図7のS708にてカメラ制御部2201からレンズ起動信号が入力されると、時間Tcl0からLCLKラインにLCLK信号を出力するとともに、DCLラインに特定のデータビット列(B7~B0)を出力する。これらLCLK信号および特定のデータビット列の信号がレンズ起動信号としてレンズスリープ状態信号制御部2102に伝達される。
【0136】
レンズスリープ状態信号制御部2102は、スリープ状態においてLCLKラインとDCLラインのうち少なくとも一方の信号の変化の検出に応じてレンズ制御部2101を起動させる。これにより、交換レンズ10′がノーマル状態に移行する。この後、レンズ第1通信部115は、LCLKラインに所定時間Tbusyの間、Lowを出力し、所定時間Tbusyが経過した時間Tc11にてLow出力を解除する。これ以後は、カメラ制御部2201とレンズ制御部2101との間で
図3(b)に示した第1通信を行うことができる。
【0137】
本処理により、第1通信チャネル100を使用して、交換レンズ10′のみをスリープ状態からノーマル状態に移行させることができる。
【0138】
次に、
図9を用いて、レンズ操作部材118の操作に応じて交換レンズ10′をスリープ状態からノーマル状態に移行させる処理について説明する。
図9は、レンズ操作部材118の操作に応じて交換レンズ10′がスリープ状態からノーマル状態に移行する際のLCLKライン、DCLラインおよびDLCラインにおける信号波形を示している。
【0139】
レンズスリープ状態信号制御部2102は、レンズ操作部材118の操作を検出すると、
図9に示す時間Tlc0からDLCラインにレンズ起動要求信号としてのLowを出力する。カメラスリープ状態信号制御部2202は、DLCラインのLowを検出すると、カメラ第1通信部207に時間Tlc1からLCLKラインにLCLK信号を出力させ、DCLラインに特定のデータビット列(B7~B0)を出力させる。これらLCLK信号および特定のデータビット列の信号がレンズ起動信号としてレンズスリープ状態信号制御部2102に伝達される。
【0140】
レンズスリープ状態信号制御部2102は、交換レンズ10′のスリープ状態においてLCLKラインおよびDCLラインのうち少なくとも一方の信号の変化を検出することに応じてレンズ制御部2101を起動させる。これにより、交換レンズ10′がノーマル状態に移行する。その後、レンズ第1通信部115は、時間Tlc2にてDLCラインのLow出力を解除する。さらにその後、レンズ第1通信部115は、LCLKラインに所定時間Tbusyの間、Lowを出力し、所定時間Tbusyが経過するとLow出力を解除する。これ以後は、カメラ制御部2201とレンズ制御部2101との間で
図3(b)に示した第1通信を行うことができる。
【0141】
本処理により、スリープ状態にある交換レンズ10′のレンズ操作部材118が操作されることに応じて、第1通信チャネル100を使用して交換レンズ10′のみをノーマル状態に移行させることができる。
【0142】
次に、
図10のフローチャートを用いて、カメラ20′がアダプタ30′,40′をノーマル状態からスリープ状態に移行させ、再度、アダプタ30′,40′をノーマル状態に移行させる処理について説明する。アダプタ30′,40′のノーマル状態とは、アダプタ30′,40′が第3通信を行い、カメラ20′から交換レンズ10′の撮像光学系の可動光学部材の駆動を制御することができる状態を示す。また、アダプタ30′,40′のスリープ状態とは、アダプタ30′,40′が第3通信を停止し、ノーマル状態よりも低い電力を消費している状態を示す。
【0143】
S1001において処理を開始したカメラ制御部2201は、S1002において、実施例1で説明したカメラ操作データとレンズ操作データを取得する。そして、S1003に進む。
【0144】
S1003では、カメラ制御部2201は、カメラ操作データまたはレンズ操作データに変化がない時間が所定時間を超えたか否かを判定する。言い換えれば、カメラ20′または交換レンズ10′の操作部材207,118がユーザにより操作されない無操作時間が所定時間を超えたか否かを判定する。カメラ制御部2201は、無操作時間が所定時間を超えた場合はS1004に進み、そうでなければ(操作があれば)S1003の処理を繰り返す。所定時間は、ユーザが撮像のための操作を行っていないと判定するために十分な時間であり、例えば数秒である。
【0145】
S1004では、カメラ制御部2201は、カメラ第3通信部209(およびアダプタ第3通信部310,410)を介して、アダプタ制御部2301,2401にスリープ状態への移行を要求するコマンドを送信する。そして、S1005に進む。
【0146】
S1005では、アダプタ制御部2301,2401はそれぞれ、アダプタ30′,40′をスリープ状態に移行させる。スリープ状態のアダプタ30′,40′は、アダプタスリープ状態信号制御部2302,2402のみが動作する。
【0147】
次にS1006では、カメラ制御部2201は、再びカメラ操作データとレンズ操作データを取得する。そして、S1007に進む。
【0148】
S1007では、カメラ制御部2201は、S1002とS1006で取得したカメラ操作データまたはレンズ操作データに変化があるか否かを判定する。言い換えれば、カメラ20′または交換レンズ′の操作部材207,118がユーザにより操作されたか否かを判定する。カメラ制御部2201は、操作されたと判定した場合はS1008に進み、そうでなければ(操作がなければ)S1007の判定を繰り返す。
【0149】
S1008では、カメラ制御部2201は、カメラスリープ状態信号制御部2202を介して、第3通信チャネル300にアダプタ起動信号を出力する。第3通信チャネル300にアダプタ起動信号を出力する処理は、先に説明した第1通信チャネル100にレンズ起動信号を出力する処理と同様である。
【0150】
次にS1009では、アダプタスリープ状態信号制御部2302,2402はそれぞれ、アダプタ制御部2301,2401を起動させ、アダプタ30′,40′をノーマル状態に移行させる。そして、本処理を終了する。
【0151】
本処理により、カメラ制御部2201は、アダプタ30′,40′のみをノーマル状態からスリープ状態に移行させ、またスリープ状態からノーマル状態に移行させることができる。
【0152】
また、アダプタ操作部材312,412の操作に応じてアダプタ30′,40′をスリープ状態からノーマル状態に移行させる処理については、先に説明したレンズ操作部材118の操作に応じて交換レンズ10′をノーマル状態に移行させる方法と同様である。つまり、スリープ状態にあるアダプタ30′,40′のアダプタ操作部材312,412が操作されることに応じて、第3通信チャネル300を使用してアダプタ起動要求信号をカメラ20′に送信する。そして、カメラ20′からアダプタ起動信号を第3通信チャネル300を使用してアダプタ30′,40′に伝達する。これにより、アダプタ30′,40′のみをスリープ状態からノーマル状態に移行させることができる。
【0153】
本実施例によれば、カメラ20′は交換レンズ10′およびアダプタ30′,40′をそれらの状態に依存することなく、ノーマル状態とスリープ状態に移行させることができる。このため、交換レンズおよびアダプタの使用状況や種類に応じて適切な電力制御を行うことができる。例えば、カメラ20′がバッテリーにて駆動する場合、バッテリーの電力が低下した事をカメラ20′が検知した場合はアダプタのみをスリープ状態にすることにより、カメラの撮影時間を出来るだけ長くすることが出来る。
【0154】
以上説明した実施例では、交換レンズ10とカメラ20との間に2つのアダプタが配置される場合を説明したが、アダプタの数はこれに限られない。少なくとも1つのアダプタを交換レンズ10とカメラ20との間に配置可能なカメラシステムを構成する交換レンズ、カメラ、アダプタにおいて、本発明は適用されうる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0155】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0156】
114 レンズ制御部
115 レンズ第1通信部
116 レンズ第2通信部
117 レンズ第3通信部
205 カメラ制御部
207 カメラ第1通信部
208 カメラ第2通信部
209 カメラ第3通信部
310,410 アダプタ第3通信部
311,411 アダプタ制御部