(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】アクセサリ及びこれを装着可能な撮像装置、撮像システム
(51)【国際特許分類】
G03B 17/14 20210101AFI20240311BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240311BHJP
【FI】
G03B17/14
G03B17/56 Z
(21)【出願番号】P 2022167223
(22)【出願日】2022-10-18
(62)【分割の表示】P 2020539953の分割
【原出願日】2018-08-30
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】田村 昌久
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 敏宣
(72)【発明者】
【氏名】重松 正康
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-157248(JP,A)
【文献】特開2004-341265(JP,A)
【文献】特開2014-038300(JP,A)
【文献】特開2013-003389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
G03B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1のバヨネット爪部と規制部とを有する撮像装置に対して着脱可能なアクセサリであって、
アクセサリ本体と、
前記複数の第1のバヨネット爪部と係合可能な複数の第2のバヨネット爪部と、前記撮像装置に前記アクセサリが装着された際に前記規制部により規制される被規制部とを有するマウント部と、
前記マウント部を前記アクセサリ本体に固定するための固定部材とを備え、
前記複数の第2のバヨネット爪部は、周方向において前記被規制部に隣接する第1及び第2の爪部を含み、
前記複数の第1のバヨネット爪部は、周方向において前記規制部に隣接する第3及び第4の爪部と、周方向において該第3及び第4の爪部に対して前記規制部とは反対側に位置する第5の爪部とを含み、
前記撮像装置に前記アクセサリが装着される際に、前記第1の爪部は周方向における前記第3及び第5の爪部の間に挿入された後に前記第3の爪部と係合し、前記第2の爪部は周方向における前記第3及び第4の爪部の間に挿入された後に前記第4の爪部と係合し、
前記マウント部の中心軸の方向視において、該中心軸及び前記被規制部の中心を通る線を第1の基準線とし、前記第1の爪部の前記被規制部に近い側の端部及び前記中心軸を通る線と前記第1の基準線とのなす角度をθ1、前記第2の爪部の前記被規制部に近い側の端部及び前記中心軸を通る線と前記第1の基準線とのなす角度をθ2とするとき、
90°<θ1+θ2<180°
なる条件式を満足することを特徴とするアクセサリ。
【請求項2】
90°<θ1+θ2<120°
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のアクセサリ。
【請求項3】
90°<θ1+θ2<100°
なる条件式を満足することを特徴とする請求項2に記載のアクセサリ。
【請求項4】
40°<θ1<70°
40°<θ2<70°
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項5】
40°<θ1<60°
40°<θ2<60°
なる条件式を満足することを特徴とする請求項4に記載のアクセサリ。
【請求項6】
1.00≦θ1/θ2≦1.40
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項7】
1.00≦θ1/θ2≦1.35
なる条件式を満足することを特徴とする請求項6に記載のアクセサリ。
【請求項8】
前記中心軸の方向視において、前記第1及び第2の爪部は、前記第1の基準線と直交し前記中心軸を通る線と重なることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項9】
前記第2の爪部は、正位置において前記第1の爪部に対して重力方向の側に位置することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項10】
前記第2の爪部の周方向における寸法は、前記第1の爪部の周方向における寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項11】
前記第3及び第4の爪部の間の切欠き部の周方向における寸法は、前記第3及び第5の爪部の間の切欠き部の周方向における寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項12】
前記第3及び第4の爪部の間の切欠き部の周方向における寸法は、前記第4及び第5の爪部の間の切欠き部の周方向における寸法よりも大きいことを特徴とする請求項11に記載のアクセサリ。
【請求項13】
前記撮像装置及び前記アクセサリが互いに当接した状態での前記中心軸の方向視において、前記第1及び第3の爪部の互いに重なる領域における前記規制部に最も近い点及び前記中心軸を通る線と前記規制部の中心及び前記中心軸を通る第2の基準線とのなす角度の最小値をθ7、前記第2及び第4の爪部の互いに重なる領域における前記規制部に最も近い点及び前記中心軸を通る線と前記第2の基準線とのなす角度の最小値をθ8とするとき、
0.75≦θ7/θ8≦1.25
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項14】
0.80≦θ7/θ8≦1.20
なる条件式を満足することを特徴とする請求項13に記載のアクセサリ。
【請求項15】
前記撮像装置及び前記アクセサリが互いに当接した状態での前記中心軸の方向視において、前記第1及び第3の爪部の互いに重なる領域における前記規制部に最も近い点及び前記中心軸を通る線と前記規制部の中心及び前記中心軸を通る第2の基準線とのなす角度の最小値及び最大値を各々θ7及びθ9、前記第2及び第4の爪部の互いに重なる領域における前記規制部に最も近い点及び前記中心軸を通る線と前記第2の基準線とのなす角度の最小値をθ8とするとき、
90°<θ7+θ8<180°
90°<θ9+θ8<180°
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項16】
90°<θ7+θ8<110°
140°<θ9+θ8<170°
なる条件式を満足することを特徴とする請求項15に記載のアクセサリ。
【請求項17】
前記撮像装置及び前記アクセサリが互いに当接した状態での前記中心軸の方向視において、前記第1及び第3の爪部の互いに重なる領域における前記規制部に最も近い点及び前記中心軸を通る線と前記規制部の中心及び前記中心軸を通る第2の基準線とのなす角度の最小値をθ7、前記第2及び第4の爪部の互いに重なる領域における前記規制部に最も近い点及び前記中心軸を通る線と前記第2の基準線とのなす角度の最小値をθ8とするとき、
45°≦θ7
45°≦θ8
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項18】
前記複数の第2のバヨネット爪部は、周方向において前記第1及び第2の爪部に対して前記被規制部とは反対側に位置する第6の爪部を含むことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項19】
前記撮像装置に前記アクセサリが装着される際に、前記第6の爪部は周方向における前記第4及び第5の爪部の間に挿入された後に前記第5の爪部と係合することを特徴とする請求項18に記載のアクセサリ。
【請求項20】
前記第2の爪部の周方向における寸法は、前記第6の爪部の周方向における寸法よりも大きいことを特徴とする請求項18又は19に記載のアクセサリ。
【請求項21】
前記中心軸の方向視において、前記第1の基準線と前記第6の爪部とが重なることを特徴とする請求項18乃至20のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項22】
前記第6の爪部の前記第1の爪部の側の端部及び前記中心軸を通る線と前記第1の基準線とのなす角度をθ3、前記第6の爪部の前記第2の爪部の側の端部及び前記中心軸を通る線と前記第1の基準線とのなす角度をθ4とするとき、
0.6≦θ3/θ4≦0.9
なる条件式を満足することを特徴とする請求項18乃至21のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項23】
0.6≦θ3/θ4≦0.8
なる条件式を満足することを特徴とする請求項22に記載のアクセサリ。
【請求項24】
前記第1及び第2の爪部の間の切欠き部の周方向における寸法は、前記第1及び第6の爪部の間の切欠き部及び前記第6及び第2の爪部の間の切欠き部の夫々の周方向における寸法よりも大きいことを特徴とする請求項18乃至23のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項25】
前記撮像装置に前記アクセサリが装着された状態での前記中心軸の方向視において、前記第1及び第3の爪部の互いに重なる領域における両端部と、前記第2及び第4の爪部の互いに重なる領域における両端部と、前記第6及び第5の爪部の互いに重なる領域における両端部とを結ぶ六角形の辺のうち、前記規制部に最も近い辺が最も長いことを特徴とする請求項18乃至24のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項26】
前記第6の爪部の中心と、前記第2の爪部の中心と、前記第1の爪部の中心と、前記被規制部の中心とを結ぶ四角形において、前記第6の爪部の中心を頂点とする内角をθ10、前記第2の爪部の中心を頂点とする内角をθ20、前記第1の爪部の中心を頂点とする内角をθ30、前記被規制部の中心を頂点とする内角をθLとするとき、
75°≦θ10≦105°
75°≦θ20≦105°
75°≦θ30≦105°
75°≦θL≦105°
なる条件式を満足することを特徴とする請求項18乃至25のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項27】
前記第6の爪部の中心と、前記第2の爪部の中心と、前記第1の爪部の中心と、前記被規制部の中心とを結ぶ四角形において、前記第6の爪部の中心を頂点とする内角をθ10、前記第2の爪部の中心を頂点とする内角をθ20、前記第1の爪部の中心を頂点とする内角をθ30、前記被規制部の中心を頂点とする内角をθLとするとき、
60°≦θ10≦100°
60°≦θ20≦100°
60°≦θ30≦100°
60°≦θL≦100°
なる条件式を満足することを特徴とする請求項18乃至25のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項28】
65°≦θ10≦100°
65°≦θ20≦100°
65°≦θ30≦100°
65°≦θL≦100°
なる条件式を満足することを特徴とする請求項27に記載のアクセサリ。
【請求項29】
70°≦θ10≦100°
70°≦θ20≦100°
70°≦θ30≦100°
70°≦θL≦100°
なる条件式を満足することを特徴とする請求項28に記載のアクセサリ。
【請求項30】
前記θ10、前記θ20、前記θ30、及び前記θLのうち少なくとも一つが85度以上95度以下であることを特徴とする請求項26乃至29のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項31】
85°≦θL≦95°
なる条件式を満足することを特徴とする請求項26乃至30のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項32】
90°≦θL≦95°
なる条件式を満足することを特徴とする請求項31に記載のアクセサリ。
【請求項33】
前記第6の爪部の中心と、前記第2の爪部の中心と、前記第1の爪部の中心と、前記被規制部の中心とを結ぶ四角形において、前記第2の爪部の中心を頂点とする内角をθ20、前記第1の爪部の中心を頂点とする内角をθ30とするとき、
0.75≦θ30/θ20≦1.25
なる条件式を満足することを特徴とする請求項18乃至32のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項34】
0.85≦θ30/θ20≦1.15
なる条件式を満足することを特徴とする請求項33に記載のアクセサリ。
【請求項35】
0.95≦θ30/θ20≦1.05
なる条件式を満足することを特徴とする請求項34に記載のアクセサリ。
【請求項36】
前記マウント部は、前記撮像装置に前記アクセサリが装着された際に、前記マウント部の中心軸に対して直交する方向において前記撮像装置を規制する嵌合部を有することを特徴とする請求項1乃至3
5のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項37】
レンズを備えることを特徴とする請求項1乃至3
6のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項38】
レンズ装置に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至3
7のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項39】
前記複数の第1のバヨネット爪部と前記規制部とを備え、請求項1乃至
38のいずれか一項に記載のアクセサリに対して着脱可能であることを特徴とする撮像装置。
【請求項40】
請求項1乃至
38のいずれか一項に記載のアクセサリと、請求項
39に記載の撮像装置とを備えることを特徴とする撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセサリ及びこれを装着可能な撮像装置、撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置としてのカメラボディと、このカメラボディに対して着脱可能なカメラアクセサリあるいは光学機器としての交換レンズとして特許文献1に記載のカメラボディと交換レンズが知られている。特許文献1では、挿抜位相で交換レンズをカメラボディに挿入した後、交換レンズを取付方向に回転させる。この操作によって交換レンズが装着位相となり、交換レンズ側のバヨネット爪部とカメラボディ側のバヨネット爪部が互いに結合し、交換レンズのカメラボディへの装着が完了する。
【0003】
特許文献1ではカメラボディ側に交換レンズの光軸方向に進退可能なロックピン、交換レンズ側にロックピンが挿入されるロックピン溝部を設けている。特許文献1の装着位相においては、ロックピンがロックピン溝部に挿入されることで、ロックピンの進退無しに交換レンズがカメラボディから外れないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
交換レンズには、カメラボディに装着された際に振動などの外力が交換レンズに加わったとしても交換レンズをカメラボディに対して安定して装着し続けられることが求められる。しかしながら、特許文献1に記載の交換レンズでは、3つのバヨネット爪部のうち、ロックピンが挿入されるロックピン溝部に近い2つのバヨネット爪部のうち一方とロックピン溝部との配置関係と、他方とロックピン溝部との配置関係が大きく異なる。このため、特許文献1では様々な方向からの外力に対して、あるいは、交換レンズの姿勢が変わった際に、交換レンズをカメラボディに安定して装着し続けることが困難なおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、撮像装置に対してより安定して装着することが可能なアクセサリ及びこれを装着可能な撮像装置、撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一側面としてのアクセサリは、
複数の第1のバヨネット爪部と規制部とを有する撮像装置に対して着脱可能なアクセサリであって、
アクセサリ本体と、
前記複数の第1のバヨネット爪部と係合可能な複数の第2のバヨネット爪部と、前記撮像装置に前記アクセサリが装着された際に前記規制部により規制される被規制部とを有するマウント部と、
前記マウント部を前記アクセサリ本体に固定するための固定部材とを備え、
前記複数の第2のバヨネット爪部は、周方向において前記被規制部に隣接する第1及び第2の爪部を含み、
前記複数の第1のバヨネット爪部は、周方向において前記規制部に隣接する第3及び第4の爪部と、周方向において該第3及び第4の爪部に対して前記規制部とは反対側に位置する第5の爪部とを含み、
前記撮像装置に前記アクセサリが装着される際に、前記第1の爪部は周方向における前記第3及び第5の爪部の間に挿入された後に前記第3の爪部と係合し、前記第2の爪部は周方向における前記第3及び第4の爪部の間に挿入された後に前記第4の爪部と係合し、
前記マウント部の中心軸の方向視において、該中心軸及び前記被規制部の中心を通る線を第1の基準線とし、前記第1の爪部の前記被規制部に近い側の端部及び前記中心軸を通る線と前記第1の基準線とのなす角度をθ1、前記第2の爪部の前記被規制部に近い側の端部及び前記中心軸を通る線と前記第1の基準線とのなす角度をθ2とするとき、
90°<θ1+θ2<180°
なる条件式を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮像装置に対してより安定して装着することが可能なアクセサリ及びこれを装着可能な撮像装置、撮像システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態におけるカメラボディと交換レンズのブロック図
【
図2】本発明の実施形態におけるマウント部分の分解斜視図
【
図3A】正位置における撮像面側から見たレンズマウント図
【
図3B】レンズマウントのIIIB-IIIB断面図
【
図4A】正位置における撮像面側から見たカメラマウント図
【
図5】正位置における撮像面側から見たレンズマウントとカメラマウントの挿抜状態図
【
図6】正位置における撮像面側から見たレンズマウントとカメラマウントの装着状態図
【
図7】ロックピン溝の中心及びレンズ側爪部の中心からなる多角形についての説明図
【
図8A】ロックピン溝の中心及び爪部の中心の説明図
【
図8B】ロックピン溝の中心及び爪部の中心の説明図
【
図9A】本実施の形態に係わるカメラと交換レンズのブロック図
【
図9B】本実施の形態に係わるカメラと交換レンズの端子部のブロック図
【
図11A】変形例における非結合状態のマウント機構を示す図
【
図11B】変形例における非結合状態のマウント機構を示す図
【
図11C】変形例における非結合状態のマウント機構を示す図
【
図12A】変形例における結合状態のマウント機構を示す図
【
図12B】変形例における結合状態のマウント機構を示す図
【
図12C】変形例における結合状態のマウント機構を示す図
【
図13A】本実施の形態に係わるカメラ接点ピンの配置関係を表す詳細図
【
図13B】本実施の形態に係わるカメラ接点ピンの配置関係を表す斜視図
【
図14A】本実施の形態に係わるレンズ接点部の配置関係を表す詳細図
【
図14B】本実施の形態に係わるレンズ接点部の配置関係を表す斜視図
【
図15A】本実施の形態に係わるカメラに交換レンズを取り付ける際の挿入位相状態をカメラ撮影者側から見た図
【
図15B】本実施の形態に係わるカメラに交換レンズを取り付ける際のロック位相状態をカメラ撮影者側から見た図
【
図16A】カメラ本体200に装着可能な第1の変換アダプタ40および第2の交換レンズ50を説明する図
【
図16B】カメラ本体200に装着可能な第1の変換アダプタ40および第2の交換レンズ50を説明する図
【
図17A】カメラ本体60に装着可能な第2の変換アダプタ70および第1の交換レンズ100を説明する図
【
図17B】カメラ本体60に装着可能な第2の変換アダプタ70および第1の交換レンズ100を説明する図
【
図18A】第1の変換アダプタ40の一方の端に設けられたカメラマウント1401におけるバヨネット爪部の設置角度を例示的に説明する図
【
図18B】第1の変換アダプタ40の一方の端に設けられたカメラマウント1401におけるバヨネット爪部の設置角度を例示的に説明する図
【
図18C】第1の変換アダプタ40の一方の端に設けられたカメラマウント1401におけるバヨネット爪部の設置角度を例示的に説明する図
【
図19A】第1の変換アダプタ40の他方の端に設けられたレンズマウント1101におけるバヨネット爪部の設置角度を例示的に説明する図
【
図19B】第1の変換アダプタ40の他方の端に設けられたレンズマウント1101におけるバヨネット爪部の設置角度を例示的に説明する図
【
図20A】互いに干渉する爪部と切欠き部とを有する所定の撮像装置1000と所定の交換レンズ2000との装着方法を例示的に説明する図
【
図20B】互いに干渉する爪部と切欠き部とを有する所定の撮像装置1000と所定の交換レンズ2000との装着方法を例示的に説明する図
【
図21A】本発明の実施形態に係るカメラマウント1401側に対してレンズマウント1101側を装着しようとした際の、爪部同士の干渉する様子を例示的に説明した図
【
図21B】本発明の実施形態に係るカメラマウント1401側に対してレンズマウント1101側を装着しようとした際の、爪部同士の干渉する様子を例示的に説明した図
【
図22A】本発明の実施形態に係るレンズマウント1101側およびカメラマウント1401側において、対応しない爪部を切欠き部に挿入しようとする場合を例示的に説明する図
【
図22B】本発明の実施形態に係るレンズマウント1101側およびカメラマウント1401側において、対応しない爪部を切欠き部に挿入しようとする場合を例示的に説明する図
【
図22C】本発明の実施形態に係るレンズマウント1101側およびカメラマウント1401側において、対応しない爪部を切欠き部に挿入しようとする場合を例示的に説明する図
【
図22D】本発明の実施形態に係るレンズマウント1101側およびカメラマウント1401側において、対応しない爪部を切欠き部に挿入しようとする場合を例示的に説明する図
【
図23A】第2の変換アダプタ70の一方の端に設けられたカメラマウント1201におけるバヨネット爪部の設置角度を例示的に説明する図
【
図23B】第2の変換アダプタ70の一方の端に設けられたカメラマウント1201におけるバヨネット爪部の設置角度を例示的に説明する図
【
図24A】第2の変換アダプタ70の他方の端に設けられたレンズマウント1501におけるバヨネット爪部の設置角度を例示的に説明する図
【
図24B】第2の変換アダプタ70の他方の端に設けられたレンズマウント1501におけるバヨネット爪部の設置角度を例示的に説明する図
【
図24C】第2の変換アダプタ70の他方の端に設けられたレンズマウント1501におけるバヨネット爪部の設置角度を例示的に説明する図
【
図25A】本発明の実施形態に係るカメラマウント1201側の基準となる凹部にレンズマウント1501側の基準となる爪部を装着しようとした際の、爪部同士の干渉する様子を例示的に説明した図
【
図25B】本発明の実施形態に係るカメラマウント1201側の基準となる凹部にレンズマウント1501側の基準となる爪部を装着しようとした際の、爪部同士の干渉する様子を例示的に説明した図
【
図26A】本発明の実施形態に係るカメラマウント1201側の基準となる凹部にレンズマウント1501側の基準以外の爪部を装着しようとした際の、爪部同士の干渉する様子を例示的に説明した図
【
図26B】本発明の実施形態に係るカメラマウント1201側の基準となる凹部にレンズマウント1501側の基準以外の爪部を装着しようとした際の、爪部同士の干渉する様子を例示的に説明した図
【
図26C】本発明の実施形態に係るカメラマウント1201側の基準となる凹部にレンズマウント1501側の基準以外の爪部を装着しようとした際の、爪部同士の干渉する様子を例示的に説明した図
【
図26D】本発明の実施形態に係るカメラマウント1201側の基準となる凹部にレンズマウント1501側の基準以外の爪部を装着しようとした際の、爪部同士の干渉する様子を例示的に説明した図
【
図27】本発明の実施形態に係るカメラマウント401側とレンズマウント501側のそれぞれに設けられた爪部同士を係合させた状態を例示的に説明する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(交換レンズ及びカメラボディのブロック構成)
まず、
図1を用いて本実施例における交換レンズ100及びカメラボディ200のブロック構成について説明する。
図1は交換レンズ(光学機器、アクセサリ、レンズ装置)100とカメラボディ200を備えるカメラシステム(撮像システム)300のブロック図である。
図1と以後説明する各図においては不要な部品や意匠に関わる部品等は省略している。交換レンズ100はカメラボディ200に対して装着可能、着脱可能である。
【0011】
カメラボディ200は、CCDやCMOSなどを含み、交換レンズ100を介して得られた被写体の光情報を電気信号に変換する(被写体像の光電変換を行う)光電変換素子あるいは撮像素子である撮像手段202を備えている。カメラボディ200はさらに、交換レンズ100側のレンズマウント(第2のマウント部)101と結合するカメラマウント(第1のマウント部)201と、撮像手段202などを保持するカメラ筐体205を備えている。
【0012】
カメラボディ200は撮像手段202及びカメラマウント201以外に、交換レンズ100側のレンズ通信手段と通信を行うカメラ通信手段、測光を行う測光手段、測距を行う測距手段、撮影した写真や動画のデータなどを記録する記録装置も備えている。カメラボディ200はさらに、シャッタースピードなどの撮影条件などの設定を行う設定手段、ユーザーが操作可能なレリーズ手段、ユーザーに様々な情報を表示するための表示手段、電源を備えている。そして、カメラボディ200はさらに、撮像手段202などを制御するための制御手段であるカメラCPUを備えている。
【0013】
交換レンズ100は、レンズ鏡筒104と、レンズマウント(カメラアクセサリマウント)101を備える。交換レンズ100とカメラボディ200の電気的通信に関しては、相手側と電気的に接続可能な複数の電気コンタクト部を備えるレンズ通信手段とカメラ通信手段によって行う。電力供給情報や制御情報といった各種の情報はカメラCPUとレンズCPUとの間でやり取りが可能となっている。
【0014】
交換レンズ100はレンズマウント101以外に、ズーミングの際に移動するズーミングレンズユニットZLU、フォーカシングの際に移動するフォーカシングレンズユニットFLU、手振れ補正のために移動するシフトレンズユニットSLUを備えている。交換レンズ100はさらに、ズーミングレンズユニットZLU、フォーカシングレンズユニットFLU、シフトレンズユニットSLU以外のレンズユニットLU、絞りユニットDU,NDフィルターNDFを備える。
【0015】
交換レンズ100はさらに、ズーミングレンズユニットZLUを駆動させるためのズーム駆動手段、フォーカシングレンズユニットFLUを駆動させるためのフォーカス駆動手段、絞りユニットDUを駆動させるための絞り駆動手段を備える。交換レンズ100はさらに、NDフィルターNDFを駆動させるためのND駆動手段、シフトレンズユニットSLUを駆動させるための防振駆動手段を備える。交換レンズ100はさらにレンズ通信手段と、レンズ通信手段及び前述の各駆動手段を制御するための制御手段としてのレンズCPUを備える。
【0016】
(レンズ側マウント部及びカメラ側マウント部の構成)
次に
図2を用いて、交換レンズ100及びカメラボディ200のマウント部分について説明する。
図2は、交換レンズ100及びカメラボディ200のマウント部分の分解斜視図である。
【0017】
光軸Oは交換レンズ100によって導かれる交換レンズ100に対して理想的に正対する被写体からの光束の中心を示す軸である。ロックピン(ピン、挿入部、凸部)203はレンズマウント101とカメラマウント201の装着状態において、装着状態からの解除を規制するための突き当てピン(規制部)である。ロックピン203は、光軸Oに平行な方向に進退可能であり、退避した状態では常に進出する方向に付勢力がかかる付勢構造を有している。
【0018】
交換レンズ100がカメラボディ200に対する挿抜状態にされた際に、ロックピン203はレンズマウント101と当接することによって退避位置に押し込まれる。このとき、レンズマウント101とカメラマウント201は互いに接触している。装着状態ではロックピン203が、レンズマウント101のロックピン溝部102(被挿入部、溝部、凹部)に入り込む(挿入する)ことで、装着状態からの解除がロックピン203及びロックピン溝部102によって規制される。
【0019】
交換レンズ100を取り外すために装着状態を解除するときは、解除操作部材204を押し込んでロックピン203を進出位置から退避位置へ移動させ、交換レンズ100を非ロック位置へ回転させる。交換レンズ100とカメラボディ200は、レンズマウント101とカメラマウント201の当接面同士が互いに接触した状態(挿抜状態)で、非ロック位置からロック位置へと相対的に移動されることで互いに接続される(装着状態)。
【0020】
前述のように、カメラ筺体205はカメラボディ200の各部を保持する母材である。より具体的には、
図2においては、カメラ筐体205はカメラマウント201、通信手段である各カメラ側電気コンタクト部(カメラ側端子部、第1の端子部)の保持部材、カメラマウント固定部材206、レンズマウント付勢部材207を保持する。レンズマウント付勢部材207は、後述するレンズマウント101に設けられたレンズ爪部をカメラマウント201側に引き込む付勢手段であり、カメラマウント201とカメラ筺体205の間の空間に挟持されている。
【0021】
レンズマウント101は、レンズマウント固定部材(マウント固定部材)103によってレンズ鏡筒(アクセサリ本体)104に固定されている。レンズ接点部(レンズ側端子部、第2の端子部)保持部材105は交換レンズ100側に設けられた複数の電気コンタクト部(端子部)を保持するための保持部材であり、レンズマウント101に対してレンズ接点部保持部材固定部材106で固定されている。
【0022】
(レンズ側マウントのバヨネット爪部の配置)
次に、
図3Aを用いてレンズマウント101のレンズ側のバヨネット爪部の位相(配置)について説明する。なお、本実施例においてはレンズ側のバヨネット爪部をレンズ側爪部、カメラ側のバヨネット爪部をカメラ側爪部とする。
【0023】
図3Aは、ロックピン203がロックピン溝部102に係合している状態である装着状態において、撮像面側から見てロックピン溝部102が左側に位置する位置(以後、正位置)にした際の、レンズマウント101を撮像面側から見た図である。なお、本実施例におけるレンズ側は光学機器(アクセサリ)側と言い換えてよく、カメラ側は撮像装置側と言い換えてもよい。
【0024】
図3Aに示すように、レンズマウント101には、光軸Oの方向視においてレンズマウント101が有する開口部の径方向と周方向に寸法を有する第1のレンズ側爪部107a、第2のレンズ側爪部107b、第3のレンズ側爪部107cが設けられている。第1のレンズ側爪部107a、第2のレンズ側爪部107b、第3のレンズ側爪部107cは交換レンズ100が有し、複数のカメラ側爪部(複数の第1の係合部、複数の第1のバヨネット爪部)と係合可能な複数のレンズ側爪部(複数の第2の係合部、複数の第2のバヨネット爪部)である。また、
図3Bに示すように、レンズマウント101は、レンズマウント101がカメラマウント201に取り付いた際に光軸に対して直交する方向の規制となるレンズ側径嵌合部109を備える。
【0025】
なお、以後の説明では、第3のレンズ側爪部107cと第1のレンズ側爪部107aとの間を第1のレンズ側切欠き部(第1の切欠き部、第1の凹部)108aとし、第1のレンズ側爪部107aと第2のレンズ側爪部107bとの間を第2のレンズ側切欠き部(第2の切欠き部、第2の凹部)108bとする。そして、第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部(第3の切欠き部、第3の凹部)107cとの間を第3のレンズ側切欠き部108cとする。また、第1のレンズ側爪部107aの一端を第1のレンズ側端部107a1とし、他端を第2のレンズ側端部107a2とする。そして、第2のレンズ側端部107a2から
図3Aにおける時計回り方向に、各レンズ側爪部の各レンズ側端部を第3のレンズ側端部107b1、第4のレンズ側端部107b2、第5のレンズ側端部107c1、第6のレンズ側端部107c2とする。
【0026】
本実施例では、
図3Aで示すように、第1のレンズ側爪部107aは装着状態において、撮影者側から見て、ロックピン203が左側に位置する正位置において、ロックピン203と光軸Oを挟んで反対側に配置されている。そして、第1のレンズ側爪部107aから時計回りの方向に第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部107cが順に配置されている。
【0027】
(カメラボディ200に対して交換レンズ100をより安定して装着するための構成)
次に、カメラボディ200に対して交換レンズ100をより安定して装着するための各レンズ側爪部の配置について説明する。まず、各レンズ側爪部の配置の説明に必要な線、角度などを定義する。
【0028】
交換レンズ100の中心軸方向視(レンズマウント101の中心軸方向視)、すなわち、交換レンズ100の光軸方向視において、ロックピン溝部102の中心と交換レンズ100の中心軸すなわち光軸Oを通る線を線L1(基準線)とする。なお、線L1をロックピン203の中心と光軸Oを通る線としてもよい。交換レンズ100の中心軸あるいはレンズマウント101の中心軸を、レンズマウント101の開口部の中心軸としても良い。
【0029】
線L1と直交するとともに光軸Oを通る線を線L2とする。そして、線L2を境界線としてロックピン溝部102が設けられている側、すなわち、
図3Aにおいて線L2の左側をロックピン溝部側(被挿入部側、溝部側、凹部側)とする。
【0030】
そして、各レンズ側爪部のうちロックピン溝部側に少なくとも一部があるレンズ側爪部を第1の被挿入部側の係合部(第1の凹部側のバヨネット爪部、第1の溝部側のバヨネット爪部)、第2の被挿入部側の係合部(第2の凹部側のバヨネット爪部、第2の溝部側のバヨネット爪部)とする。
図3Aにおいて第1の被挿入部側の係合部は第3のレンズ側爪部107cであり、第2の被挿入部側の係合部は第2のレンズ側爪部107bである。
【0031】
第1の被挿入部側の係合部のロックピン溝部102側のレンズ側端部である第5のレンズ側端部107c1と光軸Oを通る線である線L3と線L1とのなす角度をθ1とする。第2の被挿入部側の係合部のロックピン溝部102側のレンズ側端部である第4のレンズ側端部107b2と光軸Oを通る線である線L4と線L1とのなす角度をθ2とする。
【0032】
このとき、交換レンズ100は、
0.65≦θ1/θ2≦1.35 (1)
を満足する。本実施例においてはθ1=54°、θ2=42°となっており、θ1/θ2=1.29であるため、条件式(1)を満足している。本実施例においてはθ1はθ2よりも大きくなっている。この場合、条件式(1)は1.00<θ1/θ2≦1.35となる。なお、θ1とθ2の値が一致していてもよく、この場合には条件式(1)の値は1.00になる。つまり、θ1≧θ2の場合には、条件式(1)は1.00≦θ1/θ2≦1.35となる。
【0033】
なお、交換レンズ100が、
0.70≦θ1/θ2≦1.30 (1a)
を満足するとより好ましい。なお、条件式(1a)の下限値を0.80あるいは0.90としてもよい。さらに、条件式(1)を0.60≦θ1/θ2≦1.40としてもよい。この条件式も前述のようにθ1がθ2よりも大きくなっている本実施例においては、1.00<θ1/θ2≦1.40となる。
【0034】
図3Aに示すようにアクセサリが正位置であるとき、基準線L1に対して重力方向側の角度θ2は、基準線L1に対して重力方向側と反対側の角度θ1よりも小さくなっている。言い換えれば、アクセサリが正位置にあるとき、第2の溝部側のバヨネット爪部は、第1の溝部側のバヨネット爪部よりも重力方向側に位置している。θ1とθ2がこのような大小関係になることで、正位置において交換レンズ100の先端が重力方向に倒れてしまうことを抑制することができる。
【0035】
すなわち、交換レンズ100において、ロックピン溝部102から見て第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部107cが略均等に配置されている。言い換えれば、交換レンズ100において、第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部107cの間の領域の中心付近にロックピン溝部102が設けられている。交換レンズ100が上記の構成を持つことによって、カメラボディ200に対して交換レンズ100をより安定して装着することができる。
【0036】
交換レンズ100がカメラボディ200に装着された際に交換レンズ100の位置を固定するロックピン203及びロックピン溝部102と、第2のレンズ側爪部107bと、第3のレンズ側爪部107cがバランスよく配置されている。このため、様々な方向からの外力が交換レンズ100に対して加えられた際、あるいは、交換レンズ100の姿勢が変わった際にもカメラボディ200に対して交換レンズ100をより安定して装着することができる。
【0037】
また、交換レンズ100が以下の条件をさらに満足するとより好ましい。複数のレンズ側爪部は、前述の第1の被挿入部側の係合部と、第2の被挿入部側の係合部に加えて次に説明する反対側係合部を有しているとより好ましい。反対側係合部とは、境界線である線L2に対してロックピン溝部側の反対側、すなわち、
図3Aにおいては線L2の右側に両レンズ側端部が設けられているレンズ側爪部のことであり、本実施例においては、第1のレンズ側爪部107aが反対側係合部である。
図3Aに示すように、この反対側係合部の両端部は前述の線L2の右側に位置している。
【0038】
そして、線L1と反対側係合部が重なっている。ロックピン溝部102が第2のレンズ側爪部107b及び第3のレンズ側爪部107cとの間の領域の中心付近に設けられている前述の構成に加えて、上記の位置にある反対側係合部があることによって、以下の効果を得ることができる。すなわち、本実施例においては、交換レンズ100がカメラボディ200に装着された際に交換レンズ100の位置を固定するロックピン203及びロックピン溝部102と、各レンズ側爪部が略90°間隔で均等に配置されている。このため、カメラボディ200に対して交換レンズ100をより安定して装着することができる。
【0039】
また、前述の反対側係合部である第1のレンズ側爪部107aの第3のレンズ側爪部107c側のレンズ側端部である第1のレンズ側端部107a1と光軸Oを通る線L5と線L1とのなす角度をθ3とする。そして、第1のレンズ側爪部107aの第2のレンズ側爪部107b側のレンズ側端部である第2のレンズ側端部107a2と光軸Oを通る線である線L6と線L1とのなす角度をθ4とする。このとき、交換レンズ100が、
0.60≦θ3/θ4≦0.90 (2)
あるいは、
0.60≦θ3/θ4≦0.80 (2a)
を満足すると好ましい。言い換えれば、第1のレンズ側爪部107aを線L1で
図3Aにおける上下方向に分けた際に、下側の部分の方が上側の部分よりもやや長いことが好ましい。なお、条件式(2a)の上限値は0.70としてもよい。本実施例においては、θ3=21°、θ4=32°、θ3/θ4=0.66であるため、条件式(2)を満足している。本実施例においてはθ3よりもθ4の方が大きくなっている。
【0040】
θ3/θ4が条件式(2)の上限値を逸脱すると、線L1すなわちロックピン溝部102に対して第1のレンズ側爪部107aを線L1で分けた上側の部分に対して下側の部分が長すぎることになる。この状態では、第2のレンズ側切欠き部108bの長さを短くする必要があり、それに合わせて後述の第2のカメラ側爪部208bの長さも短くする必要がある。その結果、レンズ側爪部とカメラ側爪部とが係合している領域の面積が狭くなってしまい、交換レンズ100をカメラボディ200に対して安定して装着できなくなるおそれがある。
【0041】
θ3/θ4が条件式(2)の下限値を逸脱すると、次に述べる第1のレンズ側爪部107aを線L1で分けた上側の部分に対して下側の部分の方が長いことによる効果を充分に得ることができないおそれがある。
【0042】
一般的には、撮像手段202側から見てロックピン溝部102が左側にある正位置でカメラシステム300を使って撮影することが多い。カメラシステム300が正位置である場合、
図3Aにおいては紙面下方向が重力方向である。このため、正位置において交換レンズ100がカメラボディ200に対して地面に近づく方向に自重によって倒れることを抑制するためには、第1のレンズ側爪部107aを線L1で分けた上側の部分に対して下側の部分の方が長いことが好ましい。
【0043】
また、
図3Aに示すように、第1の被挿入部側の係合部である第3のレンズ側爪部107cと、第2の被挿入部側の係合部である第2のレンズ側爪部107bの双方が前述の境界線である線L2と重なっている。このような構成によって、交換レンズ100が倒れる方向の姿勢変化を抑制することができる。
【0044】
また、交換レンズ100が以下の条件をさらに満足するとより好ましい。すなわち、交換レンズ100が、
90°<θ1+θ2<180° (3)
を満足するとより好ましい。条件式(3)を満足する構成は、第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部107cとの間の角度が鈍角であることを意味している。前述のように本実施例においては、θ1=54°、θ2=42°、θ1+θ2=96°である。条件式(3)の上限値は120°あるいは100°としてもよい。
【0045】
第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部107cとの間の範囲の角度が鈍角であるということは、第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部107cがある程度離れていることを意味している。
図3Aに示すように、ロックピン溝部102は第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部107cとの間に設けられている。
【0046】
本実施例において、互いにある程度離れている第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部107cとの間、つまり、ガタがある程度ある領域にロックピン溝部102を設けている。そして、前述のように、ロックピン溝部102が、第2のレンズ側爪部(第2の凹部側バヨネット爪部)107bと第3のレンズ側爪部(第1の凹部側バヨネット爪部)107cとの間の第3のレンズ側切欠き部108c(第3のレンズ側切欠き部108cが設けられている領域)に設けている。このため、本実施例では、交換レンズ100をカメラボディ200に装着しようとする際に、ロックピン203からの付勢力をガタがある程度ある領域で受ける。このため、本実施例では、ロックピン203からの付勢力によってレンズマウント101でロックピン203が滑る部分の摩耗をより抑制することができる。また、本実施例においては、第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部107cとの間、すなわち、第3のレンズ側切欠き部108cが他のレンズ側切欠き部よりも長くなっているため、前述の摩耗をより抑制することができる。
【0047】
また、本実施例では、
40°<θ1<70°、40°<θ2<70° (4)
を満足している。つまり、本実施例では、ロックピン溝部102に対して、第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部107cがバランスよく配置されているため、前述のように、交換レンズ100をカメラボディ200に対してより安定して装着することができる。条件式(4)の上限値は60°としてもよい。
【0048】
また、第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部107cが境界線である線L2と重なっているため、ロックピン溝部102に対して、第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部107cをバランスよく配置することができる。
【0049】
(カメラ側マウントのバヨネット爪部の配置)
次に、
図4Aを用いてカメラマウント201のカメラ側爪部の位相(配置)について説明する。
図4Aは、正位置状態でカメラマウント201をカメラボディ200の撮像面側から見た図である。
【0050】
図4Aに示すように、カメラマウント201には、光軸Oの方向視においてカメラマウント201が有する開口部の径方向と周方向に寸法を有する第1のカメラ側爪部(第3のバヨネット爪部)208a、第2のカメラ側爪部(第4のバヨネット爪部)208b、第3のカメラ側爪部(第5のバヨネット爪部)208cが設けられている。第1のカメラ側爪部208a、第2のカメラ側爪部208b、第3のカメラ側爪部208cはカメラボディ200が有する複数の第1の係合部である。また、カメラマウント201は、レンズマウント101がカメラマウント201に取り付いた際に光軸に対して直交する方向の規制となるカメラ側径嵌合部210を備える。レンズマウント101がカメラマウント201に取り付いた際には、このカメラ側径嵌合部210と前述のレンズ側径嵌合部109とが互いに径嵌合する。
【0051】
なお、以後の説明では、第3のカメラ側爪部208cと第1のカメラ側爪部208aとの間を第1のカメラ側切欠き部209aとし、第1のカメラ側爪部208aと第2のカメラ側爪部208bとの間を第2のカメラ側切欠き部209bとする。そして、第2のカメラ側爪部208bと第3のカメラ側爪部208cとの間を第3のカメラ側切欠き部209cとする。また、第1のカメラ側爪部208aの一端を第1のカメラ側端部208a1とし、他端を第2のカメラ側端部208a2とする。そして、第2のカメラ側端部208a2から
図4Aにおける時計回り方向に、各カメラ側爪部の各カメラ側端部を第3のカメラ側端部208b1、第4のカメラ側端部208b2、第5のカメラ側端部208c1、第6のカメラ側端部208c2とする。
【0052】
本実施例では、各カメラ側爪部のうち、第1のカメラ側爪部208aが、カメラマウント201を撮影者側から見た時の正位置において、ロックピン203と光軸Oを挟んで略反対側に位置している。
【0053】
(交換レンズ100のカメラボディ200への取付動作)
次に
図5及び
図6を用いて、交換レンズ100をカメラボディ200に取り付ける動作について説明する。
図5は正位置での挿抜状態におけるレンズマウント101とカメラマウント201を撮像手段202側から見た図であり、
図6は正位置での装着状態におけるレンズマウント101とカメラマウント201を撮影手段202側から見た図である。
【0054】
カメラボディ200への交換レンズ100の装着は、まず、交換レンズ100とカメラボディ200を、上述した各カメラ側爪部と各レンズ側切欠き部の位相を合わせ、各カメラ側切欠き部と各レンズ側爪部の位相を合わせた状態(挿抜状態)とする。そして、この挿抜状態で、レンズ側径嵌合部109とカメラ側径嵌合部210とが互いに径嵌合し、かつレンズマウント101側の当接面とカメラマウント201側の当接面とが互いに当接する位置まで交換レンズ100をカメラボディ200に挿入する。
【0055】
交換レンズ100をカメラボディ200へ挿入しきったら、挿抜状態から装着状態の位相に向けて(
図5中の矢印で示す方向へ)カメラボディ200に対して交換レンズ100を約60°相対的に回転させる。これらの動作の結果、カメラボディ200への交換レンズ100の装着は完了する。装着状態の位相においては、光軸方向視でカメラ側爪部とレンズ側爪部が重なっている、つまり、両者がバヨネット結合しているために、交換レンズ100がカメラボディ200に対して光軸方向へ抜けることを抑制することができる。
【0056】
より具体的には、装着状態において、第1のレンズ側爪部107aは、第1のカメラ側爪部208aの撮像手段202側に、第2のレンズ側爪部107bは、第2のカメラ側爪部208bの撮像手段202側に位置している。また、第3のレンズ側爪部107cは、第3のカメラ側爪部208cの撮像手段202側に位置している。このため、ロックピン203がロックピン溝部102から外れない限り、光軸方向の離間が発生しなくなっている。また、その際、レンズマウント付勢部材207によって各レンズ側爪部が撮像手段202方向に付勢される(引き込まれる)ことで片寄せされており、カメラボディ200と交換レンズ100との光軸方向のガタの発生が抑制されている。
【0057】
(挿抜状態~遷移状態においてロックピン203が退避していることによる影響)
上記の取付動作のうち、挿抜状態及び、挿抜状態から装着状態の間の遷移状態においては常にロックピン203がレンズマウント101によって押されてロックピン203がレンズマウント101に押し付けられている。装着状態になるとロックピン203がロックピン溝部102に挿入され、ロックピン203は退避状態から進出状態となる。
【0058】
つまり、挿抜状態及び遷移状態においては、レンズマウント101とカメラマウント201との間には両マウントを互いに離間させようとする力が加わっている。このため、挿抜状態から遷移状態に移るまでの間はユーザーの力で両マウント同士を互いに押し付ける必要がある。言い換えると、各レンズ側爪部と各カメラ側爪部の係合が始まるまではロックピン203の付勢力以上の力で両マウント同士を互いに押しつける必要がある。また、遷移状態においては、ロックピン203の付勢力が、そのままレンズマウント101のロックピン走行面110(
図3A破線部)にかかり続けることとなる。
【0059】
ロックピン203は、強度が必要なため、硬度の高い材質を使用する場合が多く、本実施例においてもステンレスを使用している。対して、レンズマウント101は強度で劣る材質を使用する場合が多く、例を挙げるとアルミニウム合金、真鍮をはじめとする銅合金、樹脂部材、その他金属材料が一般的に使用される。このため、交換レンズ100のカメラボディ200に対する着脱動作を繰り返すと、レンズマウント101に摩耗や摺りキズが生じて美観を損ねる、摺動抵抗が増える、平面度が悪化するといった低下、劣化が起きる可能性がある。
【0060】
なお、本実施例では、平面度の悪化に対する対策として、ロックピン走行面110と、レンズマウント101とカメラマウント201との当接面111との間に段差を設けている。これにより、レンズマウント101とカメラマウント201の当接の精度を確保することで、その発生を抑制している。
【0061】
摩耗や摺りキズを抑制する方法として、ロックピン203の付勢力を低下させることが考えられる。しかしながら、ロックピン203の付勢力を低下させると、装着状態において解除操作部材204にユーザーが不用意に触れた際や各マウントに振動がかかった際に装着状態が解除される危険性が高まる。そのため、ロックピン203に対する付勢力そのものは低下させず、ロックピン203に対する付勢力による影響を抑制することが必要である。
【0062】
(ロックピン203の付勢力による影響を抑制するための構成)
ここで、
図6において、第3のレンズ側爪部107cと第3のカメラ側爪部208cの重なっている範囲(領域)における最もロックピン203に近い点と光軸O、ロックピン203あるいはロックピン溝部102の中心とでなす角をθ5とする。この最もロックピン203に近い点は本実施例においては第5のレンズ側端部107c1上の点である。また、第2のレンズ側爪部107bと第2のカメラ側爪部208bの重なっている範囲における最もロックピン203に近い点と光軸O、ロックピン203の中心とでなす角をθ6とする。この最もロックピン203に近い点は本実施例においては第4のカメラ側端部208b2上の点である。
【0063】
なお、レンズ側爪部とカメラ側爪部とが重なっている範囲(領域)における最もロックピン203あるいはロックピン溝部102に近い点は、レンズ側爪部の端部あるいはカメラ側爪部の端部上の点である。ここでいうレンズ側爪部の端部あるいはカメラ側爪部の端部上の点を爪部の端部における中点としてもよい。あるいは、レンズ側爪部の端部とカメラ側爪部の外周面あるいは内周面との交点を、前述のレンズ側爪部の端部あるいはカメラ側爪部の端部上の点としてもよい。あるいは、カメラ側爪部の端部とレンズ側爪部の外周面あるいは内周面との交点を、前述のレンズ側爪部の端部あるいはカメラ側爪部の端部上の点としてもよい。
【0064】
ここで、各レンズ側爪部と各カメラ側爪部で決まる光軸方向の寸法の違いがAだとすると互いのマウントが平行に動くと互いのマウント同士の光軸方向のガタ成分はAのままとなる。また、各爪部の重なり角度、言い換えれば各レンズ爪部と各カメラ爪部が重なっている面積の大きさにより、マウント同士の倒れやすい方向が決まる。つまり、各レンズ側爪部と各カメラ側爪部の重なっている範囲(あるいは領域)と範囲の間の中間点が最も倒れやすい方向となる。
図6中の破線で示した六角形の頂点が実質的にマウント同士の倒れを規制する点であり、六角形の各辺の中心付近の倒れが大きくなり、かつ、長い辺ほどその辺への方向の倒れの絶対値が大きくなる。
【0065】
なお、
図6に示す六角形の各頂点の2つは、第1の被挿入部側の係合部と第3の撮像装置側の係合部とが重なっている領域における一方側の端部及び他方側の端部と言い換えることができる。他の頂点についても同様に言い換えることができる。
【0066】
本実施例においては、各レンズ側爪部と各カメラ爪部の重なっている範囲と範囲の間のうち、第4のカメラ側端部208b2から第5のレンズ側端部107c1との間の範囲、つまり、θ5+θ6の角度を有する範囲が最も広い。言い換えれば、
図6に示す六角形の各辺のうち、第4のカメラ側端部208b2と第5のレンズ側端部107c1との間の辺が最長である。つまり、本実施例においては、レンズマウント101のカメラマウント201に対する相対的な倒れが最も起きやすいのは第4のカメラ側端部208b2から第5のレンズ側端部107c1との間の範囲である。
【0067】
このように本実施例においては、各レンズ側爪部と各カメラ爪部の重なっている範囲と範囲の間のうち、最も広い角度を有し、レンズマウント101が相対的に最も倒れやすい(ガタが発生しやすい)範囲にロックピン203を設けている。このため、ロックピン203の付勢力を弱めなくてもロックピン203の付勢力によってレンズマウント101上の面が摩耗することを抑制することができる。
【0068】
なお、上記の説明は交換レンズ100及びカメラボディ200が
図6に示す装着状態にある場合に形成される角度θ5及び角度θ6を用いたものであるが、挿抜状態から遷移状態を経て装着状態に至る過程においてθ5は変化している。そこで、各状態すべてにおいて最も小さいθ5をθ7、最も小さいθ6をθ8と定義する。本実施例においてはθ7=54°、θ8=46°となっている。
【0069】
なお、θ5は常に第5のレンズ側端部107c1と光軸Oとロックピン203とで決まっており、挿抜状態から遷移状態を経て装着状態に至る過程において変化しており、θ5が最小値となる状態は装着状態である。θ6は常に第4のカメラ側端部208b2と光軸Oとロックピン203とで決まっており、挿抜状態から遷移状態を経て装着状態に至る過程において変化せず、常に一定であり、常にθ6=θ8である。このとき、本実施例においては、交換レンズ100は、
0.75≦θ7/θ8≦1.25 (8)
あるいは
0.80≦θ7/θ8≦1.20 (8a)
を満足するように構成されている。本実施例においてはθ7/θ8=1.17であり、上記の条件式(8)は満足されている。交換レンズ100が条件式(8)を満足することによって、θ5+θ6が最小になる状態が実現する。この装着状態においては、ロックピン203が第5のレンズ側端部107c1と第4のカメラ側端部208b2との間の範囲の略中心に位置している。
【0070】
つまり、装着状態においてレンズマウント101が倒れやすい方向(場所)にロックピン203が位置することになる。このため、付勢力が最も強くなる装着状態におけるロックピン203の付勢力による影響を抑制することができる。また、交換レンズ100をカメラボディに対してより安定して装着することができる。本実施例においてはθ7はθ8よりも大きくなっている。
【0071】
また、本実施例において、交換レンズ100は、
90°<θ7+θ8<180°、90°<θ9+θ8<180° (9)
あるいは、
90°<θ7+θ8<110°、140°<θ9+θ8<170° (9a)
を満足している。θ9は、
図6に示すように第6のカメラ側端部208c2と光軸Oとロックピン203の中心とで作られる角度であり、θ5の最大値でもある。
【0072】
交換レンズ100をカメラボディ200に取り付けてから装着が完了するまでの間で交換レンズ100が条件式(9)を満足すると次の効果を得ることができる。すなわち、ロックピン203は常にレンズ側爪部とカメラ側爪部とが接触している点同士の間隔が広い領域に位置する。このため、ロックピン203は挿抜状態から遷移状態にかけて常に倒れやすい状態にあるため、ロックピン203の付勢力を弱めなくても前述のロックピン203の付勢力による影響を抑制することができる。本実施例においてはθ7+θ8=100°、θ9+θ8=160°である。
【0073】
また、θ7、θ8共に45度以上であり、ロックピン203は、倒れ規制部材である各爪部の重なり位置から遠くなっているため、ロックピン203はより倒れやすくなっている。
【0074】
以上の構成を取ることで、ロックピン203の位相方向(周方向)の倒れを大きくすることができ、マウント同士がロックピン203の付勢力によって離間し、遷移状態のロックピン203の付勢力が弱まり、摩耗や摺りキズの発生を抑制することが可能となる。また、装着状態においては、ロックピン203の付勢力以上の力でレンズマウント付勢部材207によって各レンズ側爪部を付勢することで装着状態におけるガタを抑制している。
【0075】
(ロックピン溝部及び各レンズ側爪部の配置関係)
図3Aを用いてロックピン溝部及び各レンズ側爪部の配置関係を説明したが、本実施例におけるロックピン溝部及び各レンズ側爪部の配置関係は
図7及び
図8を用いて以下のように説明することができる。
【0076】
前述のように各レンズ側爪部は、レンズマウント付勢部材207によって撮像手段202方向へ付勢されている。この付勢力によって交換レンズ100とカメラボディ200との間、言い換えれば、レンズマウント101とカメラマウント201との間のガタの発生を抑制している。さらにこの付勢力は、レンズマウント101とカメラマウント201との間に摩擦力を発生させ、光軸方向と直交するラジアル方向へのガタの発生、レンズマウント101がカメラマウント201に対してラジアル方向へ相対的に変位することも抑制している。また、このラジアル方向へのガタ及び相対的な変位は、前述のようにロックピン203がロックピン溝部102に挿入されることによっても抑制されている。
【0077】
このような付勢力が仮にある1つのレンズ爪部に集中してしまうと、そのレンズ爪部がある方向にレンズマウント101ひいては交換レンズ100が倒れてしまうおそれがある。このため、レンズマウント付勢部材207による付勢力は、レンズマウント101すなわち交換レンズ100に対して均等に作用することが好ましい。そこで、本実施例においては、レンズマウント付勢部材207からの付勢力を受ける各レンズ爪部を略均等に配置している。以下にその配置について具体的に説明する。
【0078】
図7において、第1のレンズ側爪部107aの中心を第1のレンズ側爪部中心107a3とし、第2のレンズ側爪部107bの中心を第2のレンズ側爪部中心107b3とし、第3のレンズ側爪部107cの中心を第3のレンズ側爪部中心107c3とする。つまり、レンズマウント101とカメラマウント201のガタの抑制は、上記の3つのレンズ側爪部中心107a3、107b3、107c3に加えて、ロックピン溝部中心102aを中心とした摩擦力と位置規制によって抑制されている。したがって、これらの各中心をレンズマウント101上に略均等に配置することで、レンズマウント101とカメラマウント201の間に発生する摩擦力を均一化することができる。本実施例ではこのような構成を取ることによって、交換レンズ100をカメラボディ200に対してより安定して装着することができる。
【0079】
なお、各レンズ側爪部中心及びロックピン溝部中心102aの定義を、
図8を参照して説明する。具体的には、まず、
図8Aに示すように、レンズ側爪部の周方向の寸法を2等分する点、つまり、周方向の寸法c1とc2が等しくなる点と光軸Oを通る線を線L7とする。そして、レンズ側爪部の径方向の寸法を2等分する点を通る曲線、つまり径方向の寸法d1とd2が等しくなる曲線を線L8とする。このとき、線L7と線L8の交点をレンズ側爪部の中心とする。ここでいうレンズ側爪部の径方向の寸法とは、レンズマウント101の一部からレンズ側爪部が立ち上がった点P1あるいはP2からレンズ側爪部の外周面までの寸法である。あるいは、前述のレンズ側爪部が立ち上がった点P1あるいはP2の2点と、レンズ側爪部の外周面の端点の2点の計4点を結ぶ四角形の2つの対角線の交点をレンズ側爪部の中心としてもよい。
【0080】
また、ロックピン溝部中心102aは
図8Bに示す通りである。具体的には、まず、ロックピン溝部102の線L1方向の寸法を2等分する点、つまり線L1方向の寸法h1とh2が等しくなる点と線L1と直交する線を線L9とする。このとき、線L9と線L1との交点をロックピン溝部中心102aとする。なお、線L1は、ロックピン溝部102の線L9方向の寸法を2等分する点、つまり、線L9方向の寸法v1とv2が等しくなる点を通る線でもある。
【0081】
次に、
図7を用いて、前述の各中心をレンズマウント101上に略均等に配置する構成をより具体的に説明する。
図7には、各レンズ側爪部中心107a3~107c3とロックピン溝部中心102aと頂点とする四角形と、その四角形の各内角を示している。
【0082】
ここで各内角のうち、第1のレンズ側爪部中心107a3を頂点とした第1の内角の角度をθ10、107b3を頂点とした第2の内角の角度をθ20、107c3を頂点とした第3の内角の角度をθ30、102aを頂点とした第4の内角の角度をθLとする。本実施例においては、各レンズ側爪部中心及びロックピン溝部中心が略均等に配置されるように各内角の角度が設定されている。θ10、θ20、θ30、θLは四角形の各内角であるため、θ10+θ20+θ30+θL=360°を満足する。
【0083】
より具体的には、本実施例における交換レンズ100は、
75°≦θ10≦105°、75°≦θ20≦105°、75°≦θ30≦105°、
75°≦θL≦105° (10)
を満足している。つまり、θ10、θ20、θ30、θLのそれぞれがある所定の角度範囲内に収まっているため、前述のように各レンズ側爪部中心及びロックピン溝部中心が略均等に配置される。なお、条件式(10)を、
60°≦θ10≦120°、60°≦θ20≦120°、60°≦θ30≦120°、60°≦θL≦120° (10a)
としてもよい。
【0084】
あるいは、条件式(10)を、
60°≦θ10≦100°、60°≦θ20≦100°、60°≦θ30≦100°、60°≦θL≦100° (10b)、
65°≦θ10≦100°、65°≦θ20≦100°、65°≦θ30≦100°、65°≦θL≦100° (10c)
70°≦θ10≦100°、70°≦θ20≦100°、70°≦θ30≦100°、70°≦θL≦100° (10d)
のいずれかとしてもよい。なお、条件式(10b)(10c)(10d)の上限値を99°としてもよい。
【0085】
また、θ10、θ20、θ30、θLのうち少なくとも一つが85度以上95度以下であれば、各レンズ側爪部中心及びロックピン溝部中心がより略均等に配置されることになるためより好ましい。
【0086】
さらに好ましくは、交換レンズ100が、
85°≦θL≦95° (11)
あるいは
90°<θL≦95° (11a)
を満足すると、ロックピン溝部中心102aに対して、各レンズ側爪部中心がより均等に配置されるためより好ましい。
【0087】
さらに好ましくは、交換レンズ100が、
0.75≦θ30/θ20≦1.25 (12)
あるいは、
0.85≦θ30/θ20≦1.15 (12a)
あるいは、
0.95≦θ30/θ20≦1.05 (12b)
を満足するとより好ましい。これにより、ロックピン溝部102に対して第2のレンズ側爪部107bと第3のレンズ側爪部107cが均等に配置されるために好ましい。また、θLが90°よりも大きい、つまりθLが鈍角であれば、第3のレンズ側切欠き部108cが他のレンズ側切欠き部よりも長くなるため、ロックピン203の付勢力による影響を抑制することができる。本実施例においてはθ20はθ30よりも大きくなっている。
【0088】
なお、本実施例の各内角は、θ10=77°、θ20=98°、θ30=92°、θL=93°となっており、交換レンズ100は内角に関する前述の各条件を満足している。このように、本実施例では、各中心点がレンズマウント101上に略均等に配置されている。このため、レンズマウント101とカメラマウント201の間に発生する摩擦力を均一化でき、ガタを抑制しながら交換レンズ100をカメラボディ200に対してより安定して装着することができる。
【0089】
交換レンズ100とカメラボディ200の装着状態においては、カメラボディ200を保持しながら交換レンズ100を操作することが多い。このため、レンズマウント101とカメラマウント201の間に光軸方向と直角の方向であるラジアル方向へ力が加わることがある。これに対して本実施例においては前述の構成を採用しているために、交換レンズ100をカメラボディ200に対してより安定して装着することができる。このため、高速連写や動画撮影をした際にレンズマウント101とカメラマウント201のガタに起因するフレームごとの位置ズレが発生しにくい。
【0090】
近年、APS-Hサイズ(約29.2×20.2mm)のセンサにおいて、2億5000万画素を実現したセンサが開発されるなど、撮像手段の高解像度化が顕著である。高解像度の映像であればあるほど、フレームごとの映像を確認すると位置ズレが目立つ。このような状況に対して本実施例によれば、撮像手段が高解像度化しても位置ズレを抑制することができる。
【0091】
なお、レンズマウント101とカメラマウント201との間のラジアル方向のガタを抑制するために、レンズ側径嵌合部109とカメラ側径嵌合部210の嵌め合いをきつくすることが考えられる。しかしながら、レンズ側径嵌合部109とカメラ側径嵌合部210の嵌め合いをきつくしてしまうと、レンズマウント101とカメラマウント201の取り付けの作業性が低下してしまう。これに対して本実施例の構成を採用すれば、レンズ側径嵌合部109とカメラ側径嵌合部210の嵌め合いをきつくする必要がないため、前述の作業性の低下を抑制することができる。
【0092】
また、レンズマウント101とカメラマウント201との間のラジアル方向のガタを抑制するために、レンズマウント付勢部材207による付勢力を大きくすることが考えられる。しかしながら、レンズマウント付勢部材207による付勢力を大きくするとレンズマウント101とカメラマウント201の挿抜状態における操作力を大きくする必要がある。これに対して本実施例の構成を採用すれば、レンズマウント付勢部材207による付勢力を大きくする必要がないため、前述のような大きな操作力が不要となる。
【0093】
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0094】
例えば、本実施例の構成を光学機器(アクセサリ)に使用するのであれば、交換レンズ以外にもアダプタやエクステンダーのようなマウントを介して使用するカメラアクセサリに使用可能である。また、各爪部には切欠きや段差部などが設けられていてもよい。また、本実施例で示した構成は、一眼レフカメラ用の交換レンズ以外にも、レンズシャッタカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の各種撮像機器用のレンズ鏡筒に用いることも可能である。交換レンズ100においてもアダプタにおいてもレンズマウント101がレンズマウント固定部材103によって固定されている部材をアクセサリ本体とする。
【0095】
なお、本実施例においては、θ7が実質的に第5のレンズ側端部107c1によって決まっているが、第3のレンズ側爪部107cの角度範囲もしくは第3のカメラ側爪部208cによっては、第5のカメラ側端部208c1によってθ7が決まってもよい。
【0096】
また、前述した実施形態における各マウントに設けられた3つのバヨネット爪部のそれぞれを、さらに細分化するように分割する構成であってもよい。すなわち、1つのバヨネット爪部を複数のバヨネット爪部の集合(バヨネット爪群)として形成する構成であってもよい。例えば、1つのバヨネット爪部に溝部を設けた場合が、これに該当する。この場合、各マウントの円周方向において配されるバヨネット爪群の角度範囲は、前述した実施形態の通りである。
【0097】
ここで、レンズ接点部(レンズ側端子部)保持部材105が備える複数の電気コンタクト部(端子群、電気接点群)について
図9A、Bを用いて説明する。
図9Aは、前述の
図1とは別観点のカメラシステムのブロック図である。
図9中のレンズ601は
図1におけるズームレンズユニットZLU、フォーカスレンズユニットFLUなどの光学素子のことである。レンズ制御部603は
図1におけるレンズCPUである、マウント600はレンズマウント101とカメラマウント201の総称である。レンズ駆動部602は
図1における各駆動手段の総称であり、イメージセンサ611は
図1における撮像手段202である。レンズ制御部603は後述の各端子を介してカメラ制御部618と第1、第2、第3通信を行うことが可能である。
【0098】
カメラボディ200は、イメージセンサ611から出力されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換部612と、A/D変換部612によって変換されたデジタル信号に対する各種画像処理を行って映像信号を生成する画像処理部613とを有する。
【0099】
画像処理部613にて生成された映像信号(静止画像や動画像)は、表示部614に表示されたり、記録媒体615に記録されたりする。また、カメラボディ200は、映像信号に対する処理を行う際のバッファとしての機能を果たすとともに、後述するカメラ制御部618が用いる動作プログラムを格納するメモリ616を有する。また、カメラボディ200は、電源のオン/オフを行うための電源スイッチ、映像信号の記録を開始させる撮影スイッチおよび各種メニューの設定を行うための選択/設定スイッチ等を含むカメラ操作入力部617を有する。
【0100】
また、カメラボディ200は、マイクロコンピュータを含むカメラ制御部618を有する。カメラ制御部618は、カメラ操作入力部617からの信号を入力して各種設定を行ったり、マウント600を介して交換レンズ100に備えられたレンズ制御部603との通信を制御したりする。
【0101】
次に、
図9Bを用いて、カメラボディ200と交換レンズ100との電気的な接続構成について説明する。
図9Bには、マウント600を介してカメラボディ200と交換レンズ100とが接続された際の電気回路構成と、それらを電気的に接続するためにマウント1に設けられた端子部(電気接点)と、各端子部のそれぞれの接続状態を示している。
【0102】
カメラシステムにおけるマウント600はカメラボディ200側のマウント部(第1のマウント部)Aと交換レンズ100側のマウント部(第2のマウント部)Bとで構成されており、マウント部Aおよびマウント部Bは相手側と電気的に接続可能な複数の端子部(接点あるいは電気接点)を備えている。
【0103】
より詳細には、マウント600は、カメラボディ200から交換レンズ100に電源を供給するための電源端子部であるVDD端子部とVBAT端子部と、グラウンド端子部であるDGND端子部とPGND端子部を備える。マウント600はさらに、カメラ制御部618とレンズ制御部603とが通信するため通信用端子部であるLCLK端子部、DCL端子部、DLC端子部、DLC2端子部、CS端子部、DCA端子部を備える。マウント600はさらに、その他の端子部として、カメラボディ20に交換レンズ100が装着されたことを検出するためのMIF端子部、カメラボディ200に装着されたカメラアクセサリの種類を判別するためのTYPE端子部を備える。
【0104】
なお、
図9Bにおいて、カメラ電源部1103は、装着されたアクセサリに対して、VDD端子を介して給電するための電源、または電源切り替え部1104を介して第1通信用I/F部1102aに供給するための電源として、通信制御用電源(VDD)を生成する。また、カメラ電源部1103は、装着されたアクセサリに対してVBAT端子を介して給電するための電源として、駆動用電源(VBAT)を生成する。
【0105】
また、カメラ電源部1103は、カメラ制御部618および第1通信用I/F部1102aと第2・第3通信用I/F部1102bへと供給するための電源として、3.3Vの電源を生成する。また、カメラ電源部1103は、電源切り替え部1104を介して第1通信用I/F部1102aと第2・第3通信用I/F部1102bへ供給するための電源として、3.0Vの電源を生成する。
【0106】
電源切り替え部1104は、カメラ電源部1103と接続されている。そして電源切り替え部1104は、カメラ電源部1103で生成されたVDDと3.0Vの電源のうちの何れか一方のみを通信インターフェース用の電源Vsとして第1通信用I/F部1102aに対して供給する。なお、電源電圧の切り替えは、カメラ制御部618からの指示に従い実行される。
【0107】
レンズ電源部1205は、カメラ本体200側から供給されたVDDに基づいて、レンズ制御部603、及び、レンズ側通信用I/F部1202へと供給するための電源電圧として3.0Vの電源を生成する。また、交換レンズ100がカメラ本体200に装着された状態で、交換レンズ100側の駆動回路部1204には、前述したカメラ電源部103からVBAT端子を介して駆動用電源(VBAT)が供給される。
【0108】
なお、本実施形態ではレンズ制御部603とレンズ側通信用I/F部1202の電源電圧のレベルを同一(3.0V)としているが、レンズ制御部603が示す電圧レベルは3.3Vに設定する構成であってもよい。この場合、レンズ側通信用I/F部1202に対して3.0Vと3.3Vの電圧レベルの電源を供給する必要があるため、レンズ電源部1205は、3.0Vおよび3.3Vの電源を生成する。
【0109】
以下、各端子部についてより詳細に説明する。
【0110】
(電源端子部)
VDD端子部は、主に通信制御に用いられる通信電力としての通信制御用電源(VDD)をカメラボディ200から交換レンズ100に電源供給するための端子部である。本実施例では通信制御用電源を5.0Vとしている。VBAT端子部は、上記通信制御を除く、主にモータ等を含む機械的な駆動系等の動作に用いられる駆動電力としての駆動用電源(VBAT)をカメラボディ200から交換レンズ100に電源供給するための端子部である。本実施例では駆動用電源を4.25Vとしている。
【0111】
DGND端子部は、カメラボディ200と交換レンズ100の通信制御系とをグラウンドに接続する端子部である。つまり、上記VDD電源に対応した接地(GND)端子部である。ここでの接地は電池などの電源の負極側と同レベルにすることである。PGND端子部は、カメラボディ200と交換レンズ100に設けられたモータ等を含むメカニカル駆動系とをグラウンドに接続するための端子部である。つまり、上記VBAT電源に対応した接地(GND)端子部である。
【0112】
(通信用端子部)
通信用端子部は、第1の通信を行うための第1通信部である端子部群(LCLK、DCL、DLC端子部)、第1の通信とは独立した第2の通信を行うための第2通信部である端子部(DLC2端子部)を備える。通信用端子部はさらに、第1及び第2の通信とは独立した第3の通信を行うための第3通信部である端子部群(CS、DCA端子部)を備える。カメラ制御部618とレンズ制御部603は、これらの通信用端子部を介してそれぞれ独立した第1、第2、第3の通信を行うことができる。
【0113】
LCLK端子部は、カメラボディ200から交換レンズ100に出力される通信クロック信号用の端子部であり、交換レンズ100のビジー状態をカメラボディ200が監視するための端子部でもある。DCL端子部は、カメラボディ200と交換レンズ100との双方向通信データ用の端子部であり、CMOSタイプのインターフェースである。DLC端子部は、交換レンズ100からカメラボディ200へ出力される通信データ用の端子部であり、CMOSタイプのインターフェースである。
【0114】
DLC2端子部は、交換レンズ100からカメラボディ200に出力される通信データ用の端子部であり、CMOSタイプのインターフェースである。DCA端子部は、カメラボディ200と交換レンズ100との双方向通信データ用の端子部であり、CMOSタイプのインターフェースである。CS端子部は、カメラボディ200と交換レンズ100との通信要求信号端子部であり、オープンタイプのインターフェースである。
【0115】
(その他の端子部)
MIF端子部は、交換レンズ100がカメラボディ200に装着されたかどうか、交換レンズ100がカメラボディ200から取り外されたかどうかを検出するための端子部である。カメラ制御部18は、MIF端子部の電圧レベルの変化を検出することで、カメラボディ200に交換レンズ100が装着されたことを検出した後、VDD端子部やVBAT端子部への電源供給を開始し、通信を開始する。つまり、MIF端子部はカメラボディ200から交換レンズ100への電源供給開始のきっかけとなる。TYPE端子部は、上述した通り、カメラボディ200に装着されたカメラアクセサリの種類を判別するための端子部である。カメラ制御部618は、TYPE端子部の信号の電圧を検出し、その値に基づいて、カメラボディ200に装着されたカメラアクセサリの種類を判別する。交換レンズ100は、後述する所定の抵抗値でDGNDにプルダウン接続される。本実施例ではカメラボディ200に交換レンズ100が装着された場合においては、第1通信部、及び、第2通信部、及び、第3通信部の端子部におけるインターフェース電圧を3.0Vとして通信を行う。
【0116】
また、前述した実施形態では、カメラマウントとアクセサリマウントの何れかを備えた機器を他方のマウントを備えた機器に対して実際に回転させることで、双方の機器同士をバヨネット結合する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、カメラマウントとアクセサリマウント同士を相対的に回転させる構成を採用して、カメラマウントとアクセサリマウント同士のバヨネット結合を可能とする構成であってもよい。以下、この詳細について具体的に説明する。
【0117】
図10は、本発明の変形例に係るマウント機構5000の分解斜視図である。
図11は、本発明の変形例に係るマウント機構5000の非結合状態について例示的に説明する図である。
図12は、本発明の変形例に係るマウント機構5000の結合状態について例示的に説明する図である。なお、
図10~
図12においては、説明のために、マウント機構5000の可動マウント部5010と、マウント機構5000の可動マウント部5010とバヨネット結合が可能なレンズマウント101を同時に図示している。また、前述した実施形態と同一の部材については説明を省略し同一の符号を付す。
【0118】
図10に図示するように、本変形例のマウント機構5000は、光軸Oを中心軸として、レンズマウント101が取り付けられる側から順に、操作部5030、固定マウント部5020、可動マウント部5010、接点保持部材2030が配されている。操作部材5030は、中心軸を中心に回転可能なリング状の操作手段であって、腕部5040とビスにより、可動マウント部5010にビスで固定されている。なお、本変形例では、中心軸に対して直交方向に配された2つの腕部5040を用いて、操作部5030と可動マウント部5010とが計2箇所で固定されている。この構成により、操作部5030が回転操作されることに応じて、可動マウント部5010も一体的に中心軸を中心として回転する。
【0119】
可動マウント部5010には、レンズマウント101に設けられたバヨネット爪部とそれぞれバヨネット結合が可能な可動マウント爪部5011a、5011b、5011cが設けられている。また、可動マウント部5010には、中心軸回りにねじ切りされたねじ部5012が設けられており、可動マウント部5010の中心軸回りの回転に伴って、後述する固定マウント部5020のねじ部5022との螺合状態が変化する。
【0120】
固定マウント部5020には、レンズマウント101のマウント面と当接するカメラマウント面5021と、前述した可動マウント部5010のねじ部5012と螺合するねじ部5022が備えられている。固定マウント部5020は、前述した可動マウント部5010とは異なり、操作部材5030の回転操作に応じて、中心軸回りに回転することはない。
【0121】
次に、
図11、
図12を参照して、本変形例に係るマウント機構のバヨネット結合方法について説明する。なお、レンズマウント101に設けられた各バヨネット爪は、操作部材5030の開口部分および固定マウント部5020の開口部分を挿通した状態で、可動マウント部5010の可動マウント爪部5011a~cと係合可能な状態となる。
図11に図示する状態は、操作部5030が非ロック位置に位置する状態である。この状態では、レンズマウント101のレンズマウント面と固定マウント部5020のカメラマウント面5021とを当接するが、中心軸方向から見て、レンズマウント101および可動マウント部5010のそれぞれの爪部同士が互いに係合せず重ならない。
図11Cは、
図11Bに図示するC-C断面の断面図を示す。この状態から、操作部5030を回転操作した状態のマウント機構5000を例示するのが
図12である。
【0122】
図12に図示する状態は、操作部材5030がロック位置に位置する状態である。この状態では、中心軸方向から見て、レンズマウント101および可動マウント部5010のそれぞれの爪部同士が互いに重なることで中心軸方向において係合する。そして、この状態では、操作部材5030の回転操作に伴って、固定マウント部5020のねじ部5022と可動マウント部5010のねじ部との螺合状態が変化し、可動マウント部5010が中心軸方向において、撮像装置側へと移動する。
図12Cは、
図12Bに図示するXIIC-XIIC断面の断面図を示す。
図11Cおよび
図12Cに図示するように、マウント機構5000の非ロック状態がロック状態に変化することに応じて、中心軸方向において、可動マウント部5010が固定マウント部5020から離れる方向に移動する。この構成により、レンズマウント101側のバヨネット爪部と係合した状態の可動マウント爪部5011a~5011cのそれぞれが、撮像装置側へと移動する。
【0123】
以上説明したように、本変形例のマウント機構5000は、レンズマウント側の爪部と係合可能な爪部を備えた可動マウント部が中心軸回りに回転することにより、可動マウント部を固定マウント部に対して中心軸方向に移動させることが出来る。この構成により、本変形例のマウント機構5000は、レンズマウントとカメラ側のマウントとの結合状態において、両者の間に生じる隙間(ガタ)の発生を低減することが出来る。
【0124】
なお、上述した変形例では、撮像装置側にマウント機構5000を設ける構成について説明したが、例えば、交換レンズ側などのカメラアクセサリ側にマウント機構5000を備える構成に適用可能である。
【0125】
以下、前述の端子部と前述のマウント部との配置関係の詳細について説明する。
【0126】
図13A、Bを用いて前述のカメラマウント201とカメラ側端子部との配置関係について説明する。
【0127】
図13Aは、カメラマウント201と複数のカメラ側端子部(第1の端子部)である複数の端子ピン203a~203k、203m、及びカメラ側の端子部保持部材2030の配置関係を被写体側(カメラ本体200の正面側)からみた図である。
図13Bは、カメラマウント201と端子ピン203a~203k、203m、及び保持部材203を被写体側(カメラ本体200の正面側)の斜め上方から見た図である。
【0128】
図13Aに示すように、保持部材2030には端子ピン203a~203k、203mがカメラ端子ピン配列線3001に沿って配列されている。端子ピン203a~203k、203mは、光軸Oと平行な方向に進退可能な可動方式の端子部であり、交換レンズ100側に不図示のバネで付勢されている。
【0129】
前述の
図9Bに示した各端子部と各端子ピンとの関係は次に示す通りである。すなわち、端子ピン203aがカメラ側VDD端子部、端子ピン203bがカメラ側VBAT端子部、端子ピン203cがカメラ側TYPE端子部、端子ピン203dがカメラ側PGND端子部、端子ピン203eがカメラ側MIF端子部である。そして、端子ピン203fがカメラ側DCL端子部、端子ピン203gがカメラ側DLC端子部、端子ピン203hがカメラ側LCLK端子部、端子ピン203iがカメラ側DLC2端子部、端子ピン203jがカメラ側DCA端子部である。そして、端子ピン203kがカメラ側CS端子部、端子ピン203mがカメラ側DGND端子部である。
【0130】
図13Bに示すように、端子ピン203a、203b、203c、203dの光軸O方向の高さは端子ピン203e、203f、203g、203h、203i、203j、203k、203mの光軸O方向の高さよりも高くなっている。これは、保持部材2030が光軸O方向の高さが互いに異なる2つの面を有しており、高い方の面に端子ピン203a、203b、203c、203dが設けられており、低い方の面に残りの端子ピンが設けられているためである。
【0131】
つまり、本実施例では全ての端子ピンが同じ高さの面に設けられているわけではない。本実施例ではこのような構成を取ることによって、交換レンズ100をカメラ本体200に取りつける際に生じるカメラ側端子部がレンズ側端子部上を摺動することによる端子部の摩耗を抑制することができる。より詳細には、交換レンズ100をカメラ本体200に装着するために交換レンズ100をロック位置から非ロック位置へ回転させる際に端子ピン203e~203k、203mがレンズ側端子部と接触しない期間がある。このため、前述の端子部の摩耗を抑制することができる。
【0132】
次に、
図14A、Bを用いて前述のレンズマウント101とレンズ側端子部との配置関係について説明する。
図14Aは、交換レンズ100が前述したロック位相状態にあるときのレンズマウント101と、複数のレンズ側端子部(第2の端子部)である端子面303a~303k、303m及び保持部材105の配置関係を撮影者側から見た図である。
図14Bは、交換レンズ100が前述したロック位相状態にあるときのレンズマウント101と端子面303a~303k、303m及び保持部材105を交換レンズ100がカメラ本体200に装着された際の撮影者側の斜め上方から見た図である。
【0133】
図14Aに示すように、保持部材105には端子面303a~303k、303mがレンズ接点配列線3008上に配列されている。前述の
図9Bに示した各端子部と各端子面との関係は次に示す通りである。すなわち、端子面303aがレンズ側VDD端子部、端子面303bがレンズ側VBAT端子部、端子面303cがレンズ側TYPE端子部、端子面303dがレンズ側PGND端子部、端子面303eがレンズ側MIF端子部である。
【0134】
そして、端子面303fがレンズ側DCL端子部、端子面303gがレンズ側DLC端子部、端子面303hがレンズ側LCLK端子部、端子面303iがレンズ側DLC2端子部、端子面303jがレンズ側DCA端子部である。そして、端子面303kがレンズ側CS端子部、端子面303mがレンズ側DGND端子部である。
【0135】
図14Bに示すように、端子面303a、303b、303c、303dの光軸O方向の高さは端子面303e、303f、303g、303h、303i、303j、303k、303mの光軸O方向の高さよりも低くなっている。これは、保持部材105が光軸O方向の高さが互いに異なる2つの面を有しており、低い方の面に端子面303a、303b、303c、303dが設けられており、高い方の面に残りの端子面が設けられているためである。前述のカメラ側端子部の構成に対して、レンズ側端子部がこの構成を取ることによって前述の端子部の摩耗を抑制することができる。
【0136】
303nおよび303qは、交換レンズ100をカメラ本体200に装着するために交換レンズ100を回転させる際に端子ピンを撮像手段202側に押しこむための誘い込み斜面である。誘い込み斜面を設けることで、カメラ本体200側に設けられた各端子ピンのレンズマウント101との接触圧が段階的に緩やかに変化するため、カメラ本体200側に設けられた各端子ピンの変形や摩耗を低減することができる。
【0137】
次に
図15A、Bを用いて、交換レンズ100のカメラ本体200への取付動作について説明する。
【0138】
カメラ本体200への交換レンズ100等のカメラアクセサリの装着は、大きく分けて次に述べる第1の動作と第2の動作に分けられる。
【0139】
第1の動作は、各レンズ爪部が各カメラ切欠き部に入り込めるようにカメラ本体200と交換レンズ100との間の回転方向の位置を所定の位置に合わせて交換レンズ100をカメラ本体200に挿入する動作である。このとき、
図3Aに示すレンズ側径嵌合部109と
図4Aに示すカメラ側径嵌合部210とを径嵌合させる。また、第2の動作はレンズ側径嵌合部109とカメラ側径嵌合部210とが径嵌合した状態でロック位置に向けてカメラ本体200と交換レンズ100とを相対的に回転させる。そして、カメラ本体200と交換レンズ100が互いにバヨネット結合をした状態にする。
【0140】
図15Aは、本実施例のカメラ本体200に交換レンズ100を取り付ける際の挿入位相状態(第1の状態)をカメラマウント201側(撮影者側)から見た図である。ここでいう挿入位相状態とは、第1のレンズ側爪部107aを第2のカメラ側切欠き部209bへ、第2のレンズ側爪部107bを第3のカメラ側切欠き部209cへ、第3のレンズ側爪部107cを第1のカメラ側切欠き部209aに挿入した状態のことである。この状態でレンズ側径嵌合部109とカメラ側径嵌合部210が径嵌合している。
【0141】
図15Bは、本実施例のカメラ本体200と交換レンズ100の取り付ける際のロック位相状態(第2の状態)をカメラマウント201側(撮影者側)から見た図である。ここでいうロック位相状態とは、前述の
図15Aに示す挿入位相状態から、交換レンズ100の被写体側から見て時計まわりに交換レンズ100を約60°回転させて各レンズ爪部と各カメラ爪部とを互いに係合させた状態のことである。
【0142】
より詳細には、ロック位相状態では第1のレンズ側爪部107aは第1のカメラ側爪部208aの撮像手段202側に、第2のレンズ側爪部107bは第2のカメラ側爪部208bの撮像手段202側に位置している。また、第3のレンズ側爪部107cは第3のカメラ側爪部208cの撮像手段202側に位置している。この状態でレンズ爪部とカメラ爪部とが互いに係合しており、また、ロックピン203がロックピン用溝102に挿入されて交換レンズ100の回転がロックされる。また、ロック位相状態では各レンズ爪部はレンズマウント付勢部材207によって撮像手段202の方向に付勢されている。なお、レンズマウント付勢部材207の代わりに、各カメラ爪部に板バネ部を設けてもよい。
【0143】
また、前述の誘い込み斜面303nおよび303qにより、交換レンズ100が挿入位相状態からロック位相状態へ遷移する際に、カメラ本体200側の各端子ピンが撮像手段202側に押圧される。
【0144】
そして、これらカメラ本体200側の各端子ピンは押圧されたまま端子面303a~303k、303mの対応する箇所に接触する。なお、初めに接触するのは端子ピン203mと端子面303eである。
【0145】
前述のように、例えば、本実施例においては光学機器としての交換レンズ100を例示して交換レンズ100の構成について説明したが、本発明における光学機器は交換レンズ100に限らない。例えば、交換レンズ100とカメラ本体200との間に介在させることが可能なアダプタを本発明でいう光学機器(アクセサリ)としてもよい。以下、このアダプタについてより詳細に説明する。なお、後述の第2変換アダプタ70はカメラ本体200が有するカメラマウント201と同じ構成のカメラマウント1201を有する。そして、第1の変換アダプタ40は第1のレンズ100(交換レンズ100)が有するレンズマウント101と同じ構成のレンズマウント1101を有する。
【0146】
また、カメラマウント201とレンズマウント101の形状はリング形状であるが、以下に示す形状であってもよい。すなわち、カメラマウント201とレンズマウント101の形状、特に開口部の形状あるいは相手側に接触する部分の形状は円弧形状であってもよい。言い換えれば、カメラマウント201とレンズマウント101の形状、特に開口部の形状あるいは相手側に接触する部分の形状が、一部欠けているリング形状であってもよい。
【0147】
まず、
図16~
図17を参照して、前述したカメラ本体200のカメラマウント201に装着可能なカメラアクセサリである変換アダプタ(アダプタ装置)の基本構成について説明する。
図16は、カメラ本体200に装着可能な第1の変換アダプタ40および第2の交換レンズ50を説明する図である。
図16Aは、カメラ本体200に第1の変換アダプタ40を介して第2の交換レンズ50が装着された状態の外観斜視図を示す。
図16Bはカメラ本体200、第1の変換アダプタ40、第2の交換レンズ50をそれぞれ取り外した状態の外観斜視図を示す。なお、カメラ本体200に対して第2の交換レンズ(以下、第2のレンズと称す)50は、フランジバックが短いがカメラマウント201と同一のマウント径を有するレンズマウント501を備えている。すなわち、第2のレンズ50は、前述した第1のレンズ100と同一のマウント径であるが、第1のレンズ100とは異なり、カメラ本体200への直接装着に対応していないカメラアクセサリである。
【0148】
図17は、カメラ本体60に装着可能な第2の変換アダプタ70および第1のレンズ100を説明する図である。
図17Aはカメラ本体60に第2の変換アダプタ70を介して第1のレンズ100が装着された状態の外観斜視図を示し、
図17Bはカメラ本体60、第2の変換アダプタ70、第1のレンズ100をそれぞれ取り外した状態の外観斜視図を示す。
【0149】
ここで、フランジバックが短い撮像装置にフランジバックが長い交換レンズが直接装着されると、正確な位置に焦点が結ばれないなどの不具合が生じ、その際に被写体を撮像することで不自然な画像が取得されてしまう。例えば、前述したカメラ本体200にフランジバックが長い第2のレンズ50が装着された場合に上述の問題が生じる。
【0150】
同様に、フランジバックの長い撮像装置にフランジバックの短い交換レンズが直接装着された場合も、正確な位置に焦点が結ばれないなどの不具合が生じ、その際に被写体を撮像することで不自然な画像が取得されてしまう。例えば、前述したカメラ本体200よりもフランジバックが長い第2の撮像装置としてカメラ本体60に、フランジバックが短い第1のレンズ100が装着された場合に上述の問題が生じる。
【0151】
特に、カメラ本体200およびカメラ本体60と、第1のレンズ100および第2のレンズ50は同一のマウント径を有するため、どの撮像装置と交換レンズとが直接装着に対応したフランジバックを有するかを両者の外観からユーザーが判断するのは困難である。
【0152】
したがって、互いに対応しないフランジバックを有する撮像装置と交換レンズとが誤って直接装着されないように、所定の撮像装置には対応する交換レンズのみが直接接続可能であるのが好ましい。
【0153】
また、対応しない交換レンズを撮像装置に装着する場合、フランジバックを調整するには、両者の間に変換アダプタを介する必要がある。しかしながら、変換アダプタの一方の側に撮像装置に装着された状態で、当該変換アダプタの他方の側に当該撮像装置への直接接続に対応した交換レンズが誤って装着されてしまうと、前述したように正確に焦点が結ばれない虞がある。したがって、変換アダプタの一方の側と他方の側ではそれぞれ装着可能な撮像装置およびカメラアクセサリを制限する構成を備えることが望ましい。
【0154】
具体的に、フランジバックが短い撮像装置にフランジバックが長い交換レンズを装着する場合、一方の端側が当該撮像装置のみに装着可能であって、他方の端側が当該交換レンズのみに装着可能な変換アダプタが好ましい。また、フランジバックが長い撮像装置にフランジバックが短い交換レンズを装着する場合、一方の端側が当該撮像装置のみに装着可能であって、他方の端側が当該交換レンズのみに装着可能な変換アダプタが望ましい。
【0155】
第1の変換アダプタ40には、光軸方向における一方の端側に、レンズマウント1101がアダプタ鏡筒40aに対して締結ビス(不図示)で取り付けられている。このレンズマウント1101は、前述したカメラ本体200に設けられたカメラマウント201に着脱できるアクセサリマウントである。
【0156】
また、第1の変換アダプタ40の光軸方向における他方の端側には、カメラマウント1401がアダプタ鏡筒40aに対して締結ビス(不図示)によって取り付けられている。このカメラマウント1401は、第2のレンズ50のレンズマウント501に着脱できるカメラマウントである。なお、第1の変換アダプタ40のカメラマウント401は、第2のレンズ50におけるフランジバックに対応した位置にカメラ本体200の撮像センサ11の撮像面が位置するように取り付けられている。
【0157】
第2の変換アダプタ70には、光軸方向における一方の端側に、レンズマウント1501がアダプタ鏡筒70aに対して締結ビス(不図示)によって取り付けられている。このレンズマウント1501は、カメラ本体60に設けられたカメラマウント401に着脱できるアクセサリマウントである。
【0158】
また、第2の変換アダプタ70には、光軸方向における他方の端側に、カメラマウント1201がアダプタ鏡筒70aに対して締結ビス(不図示)によって取り付けられている。このカメラマウント1201は、前述したように、第1のレンズ100のレンズマウント101に着脱できるカメラマウントである。
【0159】
なお、第2の変換アダプタ70には、光軸方向におけるアダプタ鏡筒70aとレンズマウント1501の間に、第1の光学部材701a、第2の光学部材701bが設けられている。この第1の光学部材701a、第2の光学部材701bにより、第2の変換アダプタ70は、カメラ本体60に配された撮像センサの撮像面に合わせて第1のレンズ100のフランジバックの長さを延長することができる。なお、光学部材は便宜上2つのレンズとしたが、これに限定されるものではない。
【0160】
次に
図18~
図22を参照して、第1の変換アダプタ40のカメラマウントおよびレンズマウントの円周方向における、バヨネット爪が配設されている角度(位相)について説明する。
図18は、第1の変換アダプタ40の一方の端に設けられたカメラマウント1401におけるバヨネット爪の設置角度を例示的に説明する図である。
図18Aは、背面側(カメラ本体200側)から見た、カメラマウント1401の円周方向において、ロックピン1401zを基準としたカメラ爪部およびカメラ切欠き部が占める角度範囲を説明した図である。
図18Bは、背面側(カメラ本体200側)から見た、カメラマウント401の円周方向において、複数のカメラ爪部1401a~1401cが占める角度範囲を説明する図である。
図18Cは、
図18Bに図示するXVIIIB-XVIIIB断面の断面図を示す。
【0161】
第1の変換アダプタ40は、フランジバックが短いカメラ本体200にフランジバックが長い第2のレンズ50を装着するのに用いるマウントアダプタである。したがって、第1の変換アダプタ40としては、レンズマウント1101にフランジバックが長いカメラ本体60に直接装着できず、カメラマウント1401にフランジバックが短い第1のレンズ100が直接装着できないような構成が望ましい。該構成により、第1の変換アダプタ40における一方の端(第1の端)側に設けられたレンズマウント1101と、他方の端(第2の端)側に設けられたカメラマウント1401とがそれぞれ直接装着できないような爪部および切欠き部の位置関係を満たすことができる。
【0162】
カメラマウント1401には円周方向(内径方向)に向かって、第1のカメラ爪部1401a、第2のカメラ爪部1401b、第3のカメラ爪部1401cが順に設けられている。なお、
図17Aに図示するようにカメラマウント1401を背面側から見た場合、ロックピン1401zから最も離れた位置に設けられたカメラ爪部が第1のカメラ爪部1401aである。そして、第1のカメラ爪部1401aから時計回りに第2のカメラ爪部1401b、第3のカメラ爪部1401cが順に設けられている。
【0163】
また、カメラマウント1401には円周方向(内径方向)に向かって、第1のカメラ切欠き部1401d、第2のカメラ切欠き部1401e、第3のカメラ切欠き部1401fが順に設けられている。なお、
図18Aに図示するようにカメラマウント1401を背面側から見た場合、ロックピン1401zに最も近い位置に設けられた切欠き部が第2のカメラ切欠き部1401eである。そして、第2のカメラ切欠き部1401eから時計回りに第3のカメラ切欠き部1401f、第1のカメラ切欠き部1401dが順に設けられている。
【0164】
また、
図18Cに図示するように、カメラマウント1401側には、カメラアクセサリが装着された際に、当該カメラアクセサリの光軸と平行な方向への移動を規制する嵌合部1401xが円周方向に設けられている。本実施形態では、カメラマウント1401側において、嵌合部1401xの光軸と直交する方向における径をマウント径とする。
【0165】
なお、第1の変換アダプタ40と第2のレンズ50とのバヨネット結合の仕方は、前述したカメラ本体200と第1のレンズ100とのバヨネット結合の仕方と略同一なので説明は省略する。
【0166】
また、説明のために、カメラ爪部1401a、1401b、1401cの円周方向における端部のそれぞれを、第1の端部1401a1、第2の端部1401a2、第3の端部1401b1、第4の端部1401b2、第5の端部1401c1、第6の端部1401c2と称する。それぞれの端部には、前述したようにカメラマウント1401を背面側から見た場合に、第1のカメラ爪部1401aから時計周りで順に部番を付す。
【0167】
図18Aに図示するように、本実施形態における第1の変換アダプタ40において、各カメラ爪部および各カメラ切欠き部の、カメラマウント1401の円周方向に占める角度(角度範囲)を、以下のように規定する。第1のカメラ爪部1401aの角度θA1=56°、第2のカメラ爪部1401bの角度θA2=62°、第3のカメラ爪部1401cの角度θA3=62°である。また、第1のカメラ切欠き部1401dの角度は57°、第2のカメラ切欠き部1401eの角度は66°、第3のカメラ切欠き部1401fの角度は57°である。すなわち、カメラマウント1401は、前述したカメラ本体200のカメラマウント201に対して、各カメラ爪部の角度は異なるが、各カメラ切欠き部の角度は同一である。
【0168】
また、第1の変換アダプタ40を背面側からカメラ爪部を見た場合、カメラマウント1401の円周方向において各カメラ爪部が配されるロックピン1401zの位置(基準位置と称す)を基準とした時計回りの角度は以下のように規定する。第1のカメラ爪部1401aは、基準位置を起点に159°から215°の間に配置される。第2のカメラ爪部1401bは、基準位置を起点に272°から334°の間に配置される。第3のカメラ爪部1401cは、基準位置を起点に40°から102°の間に配置される。
【0169】
次に、
図19は、第1の変換アダプタ40の他方の端に設けられたレンズマウント1101におけるバヨネット爪の設置角度を例示的に説明する図である。
図19Aは、背面側から見た、レンズマウント1101の円周方向において、ロックピン溝部1102を基準としたレンズ爪およびレンズ切欠き部が占める角度範囲を説明した図である。
図19Bは、背面側から見た、レンズマウント1101の円周方向において、複数のレンズ側切欠き部1108a~1108cが占める角度範囲を説明する図である。
【0170】
図19Aにおいて、1101yは、第1の変換アダプタ40がカメラ本体200に装着された際に所望の位置から更に回転することを抑制するための周方向位置決めピンである。周方向位置決めピン1101yが前述の第4の端1208b2に接触することで、第1の変換アダプタ40が前述の所望の位置を超えて回転することが止まる。第1のレンズ(
図2に示した交換レンズ)100は周方向位置決めピン1101yと同じ周方向位置決めピンを有している。
【0171】
図19Bに図示するように、各レンズ切欠き部の、レンズマウント1101の円周方向に占める角度(角度範囲)は、第1のレンズ側切欠き部1108aの角度をθA4、第2のレンズ側切欠き部1108bの角度をθA5とする。なお、第1の変換アダプタ40のレンズマウント1101における各爪および切欠き部の設置角度は、前述した第1のレンズ100のレンズマウント101と同様なので説明は省略する。
【0172】
第1の変換アダプタ40に設けられたレンズマウント1101とカメラマウント1401との各爪と切欠き部の円周方向における角度を比較する。例えば、レンズマウント1101側において、最小の角度を有する第2のレンズ側切欠き部1108bの角度θA5は44°であり、これに対して、カメラマウント1401側において、最小の角度を有する第1のカメラ爪部1401aの角度θA1は56°である。すなわち、レンズマウント1101側における最も小さい角度を有する切欠き部よりもカメラマウント1401側における最も小さい角度を有する爪の方が大きい(θA5<θA1)。この場合、レンズマウント1101側の切欠き部とカメラマウント1401側の爪のうち、少なくとも1つ以上のレンズ切欠き部とカメラ爪部同士は互いに干渉する。したがって、カメラマウント1401側とレンズマウント1101側の光軸同士が略平行となるようにカメラ本体に交換レンズを装着しようとしても、爪部と切欠き部とが干渉するため、カメラ本体に対して交換レンズを装着することはできない。
【0173】
しかしながら、1つの爪部と切欠き部とが互いに干渉しているだけでは、レンズマウント側の各切欠き部にカメラマウント側の各爪を挿入可能となる場合がある。
図20は、互いに干渉する爪部と切欠き部とを有する所定の撮像装置1000と所定の交換レンズ2000との装着方法を例示的に説明する図である。
図20Aは、互いに干渉する爪部と切欠き部とを有する所定の撮像装置に所定の交換レンズを装着する途中の正面図を例示的に説明する図である。
図20Bは、
図20Aに図示するXXB-XXB断面の断面図である。
【0174】
例えば、
図20A、Bに図示するように、カメラマウント側の光軸に対してレンズマウント側の光軸を斜めに傾けた状態で、カメラ爪部の一端をレンズ切欠き部に挿入し、その状態からレンズマウントとカメラマウントとを相対的に回転させる。この場合、本来は互いに干渉するカメラ爪部とレンズ切欠き部であっても、レンズマウントとカメラマウントとの相対回転途中で互いの干渉が解消されて、当該レンズ切欠き部にカメラ爪部が挿入された状態へと遷移可能である。この場合、他のカメラ爪部とレンズ切欠き部とが干渉していなければ、カメラ本体に対して交換レンズを装着可能である。
【0175】
そこで、本実施形態では、基準となるレンズ爪に隣り合う所定のレンズ切欠き部の角度が、基準となるカメラ切欠き部に隣り合う2つのカメラ爪部の角度よりも小さくなるように、レンズマウント1101側とカメラマウント1401側における各爪部と切欠き部を配する。
【0176】
具体的に本実施形態では、第1のレンズ側爪部1107aに隣り合う第1のレンズ側切欠き部1108aと第2のレンズ側切欠き部部1108bの角度θA4、θA5が、第1のカメラ切欠き部1401dに隣り合う第1のカメラ爪部1401aと第2のカメラ爪部1401bの角度θA1、θA2よりも小さい。すなわち、θA4(52°)がθA1(56°)より小さく、θA5(44°)がθA2(62°)よりも小さい(θA4<θA1、θA5<θA2)。
【0177】
したがって、
図21に図示するように、第1のレンズ側爪部1107aを第1のカメラ切欠き部1401dに挿入させようとしても、第2のレンズ側爪部1107bが第2のカメラ爪部1401bと、第3のレンズ側爪部1107cが第1のカメラ爪部1401aとが確実に干渉する。
【0178】
図21は、本発明の実施形態に係るカメラマウント1401側に対してレンズマウント1101側を装着しようとした際の、爪同士の干渉する様子を例示的に説明した図である。
図21Aは、第3のレンズ側爪部1107cと第1のカメラ爪部1401aとが干渉する様子を示し、
図21Bは、第2のレンズ側爪部1107bと第2のカメラ爪部1401bとが干渉する様子を示している。
【0179】
以上説明したように、本実施形態では、対応しない交換レンズと撮像装置の各マウント部における各爪のうち、互いの2つの爪同士が干渉するように、対応しない交換レンズと撮像装置、および変換アダプタの各マウント部を構成する。この構成により、対応しない交換レンズが撮像装置に誤装着される、あるいは、変換アダプタの両端に設けられた各マウント部に対応しない交換レンズおよび撮像装置が誤装着されるリスクを低減することができる。
【0180】
しかしながら、上記の条件を満たす場合であっても、例えば、3つの爪を対応しない切欠き部に挿入しようとした場合に、各爪部および切欠き部の角度によっては、2つの爪部が切欠き部に挿入されてしまう場合がある。
【0181】
そこで本実施形態では、さらに、少なくとも2つの隣り合うレンズ切欠き部の角度が、全てのカメラ爪部の角度よりも小さい構成とする。具体的に、本実施形態では、第1のレンズ側切欠き部1108aと第2のレンズ側切欠き部1108bの円周方向における角度θA4、θA5が、第1~第3のカメラ爪部1401a~1401cの円周方向における角度θA1~θA3よりも小さい。すなわち、本実施形態におけるレンズマウント1101側とカメラマウント1401側の各爪部および各切欠き部の関係は、θA4<θA1、θA4<θA2、θA4<θA3、θA5<θA1、θA5<θA2、θA5<θA3を満たす。
【0182】
図22は、本発明の実施形態に係るレンズマウント1101側およびカメラマウント1401側において、対応しない爪部を切欠き部に挿入しようとする場合を例示的に説明する図である。
図22Aは第1のレンズ側爪部1107aを第3のカメラ切欠き部1401fに挿入しようとする場合の、第3のレンズ側爪部1107cと第3のカメラ爪部1401cとが干渉する様子を示している。また、
図22Bは第1のレンズ側爪部1107aを第3のカメラ切欠き部1401fに挿入しようとする場合の、第2のレンズ側爪部1107bと第1のカメラ爪部1401aとが干渉する様子を示している。また、
図22Cは第1のレンズ側爪部1107aを第2のカメラ切欠き部1401eに挿入しようとする場合の、第3のレンズ側爪部1107cと第2のカメラ爪部1401bとが干渉する様子を示している。また、
図22Dは第1のレンズ側爪部1107aを第2のカメラ切欠き部1401eに挿入しようとする場合の、第2のレンズ側爪部1107bと第3のカメラ爪部1401cとが干渉する様子を示している。
【0183】
図22A~Dに図示するように、本実施形態では、レンズマウント1101とカメラマウント1401の相対的な回転角度に依らずに、少なくとも2箇所のレンズ爪部とカメラ爪部同士が干渉する。この構成により、レンズマウント101(1101)を備えた交換レンズおよび変換アダプタが、カメラマウント401(1401)を備えた撮像装置および変換アダプタに誤装着されることをより効果的に防止することができる。
【0184】
次に、
図23~27を参照して、第2の変換アダプタ70のカメラマウントおよびレンズマウントの円周方向における、バヨネット爪が配設されている角度(位相)について説明する。
【0185】
第2の変換アダプタ70は、フランジバックが長いカメラ本体60にフランジバックが短い第1のレンズ100を装着するのに用いるマウントアダプタである。第2の変換アダプタ70の一方の端(第3の端)側にはレンズマウント1501が設けられ、他方の端(第4の端)側にはカメラマウント1201が設けられている。なお、第2の変換アダプタ70のカメラマウント1201は、前述した第1の撮像装置であるカメラ本体200のカメラマウント201と同一の構成を備える。また、第2の変換アダプタ70のレンズマウント1501は、前述した第2のレンズ50のレンズマウント501と同一の構成を備える。
【0186】
したがって、第2の変換アダプタ70としては、レンズマウント1501にフランジバックが短いカメラ本体200に直接装着できず、カメラマウント1201にフランジバックが長い第2のレンズ50が直接装着できないような構成が望ましい。該構成は、第2の変換アダプタ70における一方の端(第3の端)側に設けられたレンズマウント1501と、他方の端(第4の端)側に設けられたカメラマウント1201とがそれぞれ直接装着できないような爪部および切欠き部の位置関係を満たすことで実現できる。
【0187】
図23は、第2の変換アダプタ70の一方の端に設けられたカメラマウント1201におけるバヨネット爪の設置角度を例示的に説明する図である。
図23Aは、背面側から見た、カメラマウント1201の円周方向において、ロックピン1203を基準としたカメラ爪部およびカメラ切欠き部が占める角度範囲を説明した図である。
図23Bは、背面側から見た、カメラマウント1201の円周方向において、複数のカメラ爪部1201a~1201cに関して各爪が設けられている角度範囲を説明する図である。なお、第2の変換アダプタ70のカメラマウント1201における各爪部および切欠き部の設置角度は、前述したカメラ本体200のカメラマウント201と同様なので説明は省略する。
【0188】
図23Bに図示するように、カメラマウント1201の円周方向において、第3のカメラ側爪部1208cの第6の端1208c2から第1のカメラ側爪部1208aを含み第2のカメラ側爪部1208bの第3の端1208b1までの角度をθA6(162°)とする。また、カメラマウント1201の円周方向において、第1のカメラ側爪部1208aの第2の端1208a2から第2のカメラ側爪部1208bを含み第3のカメラ側爪部1208cの第5の端1208c1までの角度をθA7(163°)とする。また、カメラマウント1201の円周方向において、第2のカメラ側爪部1208bの第4の端1208b2から第3のカメラ側爪部1208cを含み第1のカメラ側爪部1208aの第1の端1208a1までの角度をθA8(215°)とする。
【0189】
次に、
図24は、第2の変換アダプタ70の他方の端に設けられたレンズマウント1501におけるバヨネット爪の設置角度を例示的に説明する図である。
図24Aは、背面側から見た、レンズマウント1501の円周方向において、ロックピンが挿入される凹部1501zを基準としたレンズ爪部およびレンズ切欠き部が占める角度範囲を説明した図である。
図24Bは、背面側から見た、レンズマウント1501の円周方向において、複数のレンズ切欠き部1501a~1501cに関して各切欠き部が設けられている角度範囲を説明する図である。
図24Cは、
図24Bに図示するXXIVC-XXIVC断面の断面図を示す。
【0190】
レンズマウント1501には円周方向(内径方向)に向かって、第1のレンズ爪部1501d、第2のレンズ爪部1501e、第3のレンズ爪部1501fが順に設けられている。なお、
図24Aに図示するようにレンズマウント1501を背面側から見た場合、凹部1501zから最も離れた位置に設けられたレンズ爪部が第1のレンズ爪部1501dである。そして、第1のレンズ爪部1501dから時計回りに第2のレンズ爪部1501e、第3のレンズ爪部1501fが順に設けられている。
【0191】
また、レンズマウント1501には円周方向(内径方向)に向かって、第1のレンズ切欠き部1501a、第2のレンズ切欠き部1501b、第3のレンズ切欠き部1501cが順に設けられている。なお、
図24Aに図示するようにレンズマウント1501を背面側から見た場合、凹部1501zに最も近い位置に設けられた切欠き部が第3のレンズ切欠き部1501cである。そして、第3のレンズ切欠き部1501cから時計回りに第1のレンズ切欠き部1501a、第2のレンズ切欠き部1501bが順に設けられている。
【0192】
なお、説明のために、レンズ爪部1501d、1501e、1501fの円周方向における端部のそれぞれを、第1の端部1501d1、第2の端部1501d2、第3の端部1501e1、第4の端部1501e2、第5の端部1501f1、第6の端部1501f2と称する。それぞれの端部には、前述したようにレンズマウント1501を背面側から見た場合に、第1のレンズ爪部1501dから時計周りで順に部番を付す。
【0193】
図24Aに図示するように、本実施形態では、各レンズ爪部および各レンズ切欠き部の、レンズマウント1501の円周方向に占める角度(角度範囲)を、以下のように規定する。第1のレンズ爪部1501dの角度は53°、第2のレンズ爪部1501eの角度は62°、第3のレンズ爪部1501fの角度は53°である。すなわちレンズマウント1501側における各レンズ爪部の角度は前述したレンズマウント1101側におけるレンズ爪部の角度と同一である。
【0194】
これに対して、レンズマウント1501側のレンズ切欠き部の角度は、前述したレンズマウント1101側のレンズ切欠き部の角度と異なる。具体的に、第1のレンズ切欠き部1501aの角度は60°、第2のレンズ切欠き部1501bの角度は66°、第3のレンズ切欠き部1501cの角度は66°である。
【0195】
また、背面側からレンズ爪部を見た場合に、レンズマウント1501の円周方向において各レンズ爪部が配される凹部1501zの位置(基準位置と称す)を基準とした時計回りの角度は以下のように規定する。第1のレンズ爪部1501dは、基準位置を起点に157°から210°の間に配置される。第2のレンズ爪部1501eは、基準位置を起点に276°から338°の間に配置される。第3のレンズ爪部1501fは、基準位置を起点に44°から97°の間に配置される。
【0196】
また、
図24Cに図示するように、レンズマウント1501側には、撮像装置に装着された際に、当該撮像装置の光軸と直交する方向への移動を規制する嵌合部1501xが円周方向に設けられている。本実施形態では、カメラマウント1201側において、嵌合部1501xの光軸と平行な方向における径をマウント径とする。以上説明した、各カメラマウントおよびレンズマウントにおけるマウント径は略同一の長さであるとする。
【0197】
また、
図25A、Bに図示するように、レンズマウント1501の円周方向において、第3のレンズ爪部1501fの第5の端1501f1から第1のレンズ切欠き部1501aを含み第1のレンズ爪部1501dの第2の端1501d2までの角度をθA9(166°)とする。また、レンズマウント1501の円周方向において、第1のレンズ爪部1501dの第1の端1501d1から第2のレンズ切欠き部1501bを含み第2のレンズ爪部1501eの第4の端1501e2までの角度をθA10(181°)とする。また、レンズマウント1501の円周方向において、第2のレンズ爪部1501eの第3の端1501e1から第3のレンズ切欠き部1501cを含み第3のレンズ爪部1501fの第6の端1501f2までの角度をθA11(181°)とする。
【0198】
第2の変換アダプタ70に設けられたカメラマウント1201とレンズマウント1501との各爪部と切欠き部の円周方向における角度を比較する。例えば、カメラマウント1201側における第3のカメラ爪部1208cの角度(92°)は、レンズマウント1501側におけるレンズ切欠き部のうち最大の角度を有する第2、第3のレンズ切欠き部1501b、1501cの角度(66°)よりも大きい。すなわち、カメラマウント1201側における少なくとも1つのカメラ爪部の角度が、レンズマウント1501側における最大の角度を有するレンズ切欠き部の角度よりも大きい。
【0199】
この場合、カメラマウント1201側の爪部とレンズマウント1501側の切欠き部のうち、少なくとも1つ以上のカメラ爪部とレンズ切欠き部同士は互いに干渉する。したがって、カメラマウント1201側とレンズマウント1501側の光軸同士が略平行となるようにカメラ本体に交換レンズを装着しようとしても、爪部と切欠き部とが干渉するため、カメラ本体に対して交換レンズを装着することはできない。
【0200】
しかしながら、前述した第1の変換アダプタ40での説明と同様に、1つの爪部と切欠き部とが互いに干渉しているだけでは、レンズマウント側の各切欠き部にカメラマウント側の各爪部を挿入可能となる場合がある。例えば、カメラマウント側の光軸に対してレンズマウント側の光軸を斜めに傾けた状態で、カメラ爪部の一端をレンズ切欠き部に挿入し、レンズマウントとカメラマウントとを相対的に回転させることで、カメラ本体に対して交換レンズを装着できる場合がある。
【0201】
そこで、本実施形態では、円周方向において、カメラマウント1201側とレンズマウント1501側における爪部および切欠き部を、θA6<θA9、且つθA7<θA10を満たすように配設する。
図25は、本発明の実施形態に係るカメラマウント1201側の基準となる切欠き部にレンズマウント1501側の基準となる爪を装着しようとした際の、爪部同士の干渉する様子を例示的に説明した図である。
図25Aは、第3のレンズ爪部1501fと第3のカメラ側爪部1208cとが干渉する様子を示し、
図25Bは、第2のレンズ爪部1501eと第3のカメラ側爪部1208cとが干渉する様子を示している。
【0202】
図25A、Bに図示するように、例えば、基準となる第1のレンズ爪部1501dを基準となるカメラ切欠き部1209dに挿入させようとした場合、第3のカメラ側爪部1208cが第2、第3のレンズ爪部1501e、1501fと干渉する。
【0203】
すなわち、背面側から見て、基準となる1つのレンズ爪部と、その時計周り方向で隣接する他のレンズ爪部と、これらのレンズ爪部の間に位置するレンズ切欠き部の角度の総和を第1の角度とする。そして、背面側から見て、基準となる1つのカメラ切欠き部と、その時計回り方向で隣接する他のカメラ切欠き部と、その間に位置するカメラ爪部の角度の総和を第2の角度とする。また、背面側から見て、基準となる1つのレンズ爪部と、その反時計周り方向で隣接する他のレンズ爪部と、これらのレンズ爪部の間に位置するレンズ切欠き部の角度の総和を第3の角度とする。さらに、背面側から見て、基準となる1つのカメラ切欠き部と、その反時計回り方向で隣接する他のカメラ切欠き部と、その間に位置するカメラ爪部の角度の総和を第4の角度とする。本実施形態では、上述した第1の角度が第2の角度よりも大きく第3の角度が第4の角度よりも大きくなるように、カメラマウント1201側とレンズマウント1501側における爪部および切欠き部を配設すればよい。
【0204】
この構成により、少なくとも2つのレンズ爪部と1つのカメラ爪とが互いに干渉する。したがって、対応しない交換レンズが撮像装置に誤装着される、あるいは、変換アダプタの両端に設けられた各マウント部に対応しない交換レンズおよび撮像装置が誤装着されるリスクを低減することができる。
【0205】
しかしながら、上記の条件を満たす場合であっても、例えば、3つの爪部を対応しない切欠き部に挿入しようとした場合に、各爪部およびの角度によっては、2つの爪部が切欠き部に挿入されてしまう場合がある。
【0206】
そこで、本実施形態では、円周方向において、カメラマウント1201側とレンズマウント1501側における爪部および切欠き部を、θA6<θA9、θA6<θA10、θA6<θA11且つθA7<θA9、θA7<θA10、θA7<θA11を満たすように配設する。すなわち、背面側から見て、前述した基準となるレンズ爪部以外の2つの爪とその間に位置するレンズ切欠き部の総和を第5の角度とする。本実施形態では、前述した第2の角度および第4の角度が、第1の角度および第3の角度および第5の角度のいずれよりも小さくなるように、カメラマウント1201側とレンズマウント1501側における爪部および切欠き部を配設すればよい。
【0207】
図26は、本発明の実施形態に係るカメラマウント1201側の基準となる切欠き部にレンズマウント1501側の基準以外の爪部を装着しようとした際の、爪同士の干渉する様子を例示的に説明した図である。
図26Aは、第2のレンズ爪部1501eを第2のカメラ側切欠き部1209bに挿入させようとする場合の、第1のレンズ爪部1501dと第3のカメラ側爪部1208cとが干渉する様子を示している。また、
図26Bは、第2のレンズ爪部1501eを第2のカメラ側切欠き部1209bに挿入させようとする場合の、第3のレンズ爪部1501cと第3のカメラ側爪部1208cとが干渉する様子を示している。また、
図26Cは、第3のレンズ爪部1501fを第2のカメラ側切欠き部1209bに挿入させようとする場合の、第2のレンズ爪部1501eと第3のカメラ側爪部1208cとが干渉する様子を示している。また、
図26Dは、第3のレンズ爪部1501fを第2のカメラ側切欠き部1209bに挿入させようとする場合の、第1のレンズ爪部1501dと第3のカメラ側爪部1208cとが干渉する様子を示している。
【0208】
図26A~Dに図示するように、本実施形態では、レンズマウント1501とカメラマウント1201の相対的な回転角度に依らずに、少なくとも2つのレンズ爪部が1つのカメラ爪部と干渉する。この構成により、レンズマウント501(1501)を備えた交換レンズおよび変換アダプタが、カメラマウント201(1201)を備えた撮像装置および変換アダプタに誤装着されることをより効果的に防止することができる。
【0209】
図27は、本発明の実施形態に係るカメラマウント401側とレンズマウント501側のそれぞれに設けられた爪部同士を係合させた状態を例示的に説明する図である。
図27に図示するように、第1のレンズ爪部501dは第1のカメラ切欠き部401dに挿入できる。また、第2のレンズ爪部501eは第2のカメラ切欠き部401eに挿入できる。さらに、第3のレンズ爪部501fは第3のカメラ切欠き部401fに挿入できる。すなわち、カメラマウント401側とレンズマウント501側とは、互いに直接装着に対応した組合せである。なお、
図5に図示したように、カメラマウント201側とレンズマウント101側とは、互いに直接装着に対応した組合せである。
【0210】
以上説明したように、フランジバックの長い撮像装置(例えばカメラ本体60)に対応するカメラマウント401と、フランジバックの長い交換レンズ(例えば第2のレンズ50)に対応するレンズマウント501は互いに直接装着が可能である。しかしながら、フランジバックの短い撮像装置(例えばカメラ本体200)に対応するカメラマウント201と、フランジバックの長い交換レンズ(例えば第2のレンズ50)に対応するレンズマウント501は互いに直接装着ができない。また、フランジバックの短い撮像装置(例えばカメラ本体200)に対応するカメラマウント201と、フランジバックの短い交換レンズ(例えば第1のレンズ100)に対応するレンズマウント101は互いに直接装着が可能である。しかしながら、フランジバックの長い撮像装置(例えばカメラ本体60)に対応するカメラマウント401と、フランジバックの短い交換レンズ(例えば第1のレンズ100)に対応するレンズマウント101は互いに直接装着ができない。
【0211】
したがって、上述した本実施形態の構成を採用した撮像装置およびカメラアクセサリは、略同一のマウント径を有するが互いに対応しない撮像装置およびカメラアクセサリの誤装着を防止することができる。
【0212】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために以下の請求項を添付する。