(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、成形体、及び発泡体
(51)【国際特許分類】
C08F 210/02 20060101AFI20240311BHJP
C08J 9/04 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
C08F210/02
C08J9/04 101
(21)【出願番号】P 2022200231
(22)【出願日】2022-12-15
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2021208995
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】菊地 章友
(72)【発明者】
【氏名】那須 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 理久
(72)【発明者】
【氏名】柿原 一郎
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-162352(JP,A)
【文献】特表平07-500621(JP,A)
【文献】特開昭51-147591(JP,A)
【文献】特開2021-017579(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0145022(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 210/02
C08J 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3.0質量%以上10.0質量%未満の酢酸ビニル単位と、エチレン単位と、を含み、
190℃における2.16kg加重でのメルトフローレイトが0.1g/10min以上1.0g/10min以下であり、
クロス分別クロマトグラフィーの昇温溶出分別測定により得られる溶出温度-溶出量曲線における溶出ピークトップ温度が58℃以上75℃以下であり、
前記溶出ピークトップ温度におけるdw/dTが6以上12以下である、
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
【請求項2】
長鎖分岐度gLが0.20以上0.35以下であり、
長鎖分岐度gLとは、示差屈折計、粘度検出器、及び光散乱検出器を備えたGPC測定装置によって測定されるポリマーの極限粘度を、該ポリマーと同一の絶対分子量をもつ線形ポリマーの極限粘度で除すことによって得られる分岐指数g’のうち、上記GPC測定装置で測定される絶対分子量10万から100万の間での最小値である、
請求項1に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
【請求項3】
クロス分別クロマトグラフィーの昇温溶出分別測定における50℃での積算溶出量が15質量%以下である請求項1又は2に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
【請求項4】
クロス分別クロマトグラフィーの昇温溶出分別測定における30℃での積算溶出量が3.0質量%以下である請求項1~3のいずれか一項に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含む、
成形体。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含む、
発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、成形体、及び発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、柔軟性、機械強度、電気絶縁性、耐候性、耐久性等の性能に優れることから、発泡成形体として断熱材や緩衝材など広範な産業分野で使用されており、上記性能の更なる向上が期待されている。
【0003】
特許文献1には、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂とポリスチレン系樹脂とを含み、表面層がエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂であり、芯部がポリスチレン系樹脂である発泡性複合樹脂粒子、及びそれを用いた複合発泡成形体が提案されている。該発泡性複合樹脂粒子の製造は、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を水中で懸濁させた状態でスチレンモノマーを含浸し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂中でスチレンを重合させることにより得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記発泡性複合樹脂粒子の作製においては、市販のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂ペレットでは粒径が大きく、そのまま複合化させることが困難であるため、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のペレットを再度押出機にて造粒し、例えば、100粒あたり40mg~80mg程度になるようにミニペレット化処理をする必要がある。
【0006】
しかしながら、当該処理においては、ミニペレット同士が連結し、連結粒子が発生することで、所定の粒径制御ができず複合化における歩留まり、及び発泡工程での歩留まりが悪化するというミニペレットを生産する上での課題が存在する。
【0007】
これに対して、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂中の酢酸ビニル含有量を下げることや、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のメルトフローレイトを下げることにより、ミニペレット製造時の連結粒子の発生は抑制される方向にあるが、一方で、溶融張力が上がってしまうため、均一な発泡が困難になり、発泡成形性が低下する傾向にある。つまり、ミニペレット製造時の連結粒子の抑制と複合発泡成形体の特性を両立することは困難であった。
【0008】
そこで、本発明においては、上述した問題点に鑑み、ミニペレット製造時の連結粒子の発生を抑制しつつ、所望の発泡成形性を有するエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、それを用いた成形体、及び発泡体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の特定の物性を組み合わせて採用することにより、ミニペレット製造時の連結粒子の発生を抑制することができ、かつ、所定の溶融張力をもち、所望の発泡成形性を有するエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂により、上記の課題を解決することができることを見出し、本発明を創出するに至った。
【0010】
本発明は、所定の酢酸ビニル単位の含有量と、所定のメルトフローレイトとを有し、さらに、後述するクロス分別クロマトグラフィー(CFC)の昇温溶出分別測定(TREF)により得られる溶出温度-溶出量曲線における所定の溶出ピークトップ温度、及び該溶出ピークトップ温度における高い溶出ピーク強度から示唆されるように、結晶構造と分岐構造が制御されたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂である。
【0011】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
3.0質量%以上10.0質量%未満の酢酸ビニル単位と、エチレン単位と、を含み、
2.16kg加重でのメルトフローレイトが0.1g/10min以上1.0g/10min以下であり、
クロス分別クロマトグラフィーの昇温溶出分別測定により得られる溶出温度-溶出量曲線における溶出ピークトップ温度が58℃以上75℃以下であり、
前記溶出ピークトップ温度におけるdw/dTが6以上12以下である、
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
〔2〕
長鎖分岐度gLが0.20以上0.35以下であり、
長鎖分岐度gLとは、示差屈折計、粘度検出器、及び光散乱検出器を備えたGPC測定装置によって測定されるポリマーの極限粘度を、該ポリマーと同一の絶対分子量をもつ線形ポリマーの極限粘度で除すことによって得られる分岐指数g’のうち、上記GPC測定装置で測定される絶対分子量10万から100万の間での最小値である、
〔1〕に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
〔3〕
クロス分別クロマトグラフィーの昇温溶出分別測定における50℃での積算溶出量が15質量%以下である〔1〕又は〔2〕に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
〔4〕
クロス分別クロマトグラフィーの昇温溶出分別測定における30℃での積算溶出量が3.0質量%以下である〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
〔5〕
〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含む、
成形体。
〔6〕
〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含む、
発泡体。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ミニペレット製造時の連結粒子の発生を抑制しつつ、かつ、所望の発泡成形性を有する、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、それを用いた成形体、及び発泡体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】TREFにより得られる溶出温度-溶出量曲線における溶出ピークトップ温度、及びdw/dTの算出例である。
【
図2】TREFにおける溶出温度が50℃での積算溶出量の算出例である。
【
図3】TREFにおける溶出温度が30℃での積算溶出量の算出例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態(以下、本実施形態、という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0015】
〔エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂〕
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、3.0質量%以上10.0質量%未満の酢酸ビニル単位と、エチレン単位と、を含み、2.16kg加重でのメルトフローレイト(以下、MFR、という)が0.1g/10min以上1.0g/10min以下であり、クロス分別クロマトグラフィーの昇温溶出分別測定(以下、TREF、という)における溶出ピークトップ温度が58℃以上75℃以下であり、上記溶出ピークトップ温度におけるdw/dTが6以上12以下である。
【0016】
本発明者らが鋭意検討したところ、上記構成を有するエチレン-酢酸ビニル共重合体は、ミニペレット製造時の連結粒子の発生を抑制しつつ、所望の発泡成形性に優れることが分かった。以下、本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂について詳説する。
【0017】
なお、dw/dTは、TREFにおいて、単位温度で溶出するポリマーの質量分率である。
【0018】
また、本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、必要に応じて、エチレン単位、酢酸ビニル単位以外のその他のモノマー単位を含んでいてもよい。その他のモノマー単位としては、特に限定されないが、例えば、プロピレン、1-ブテン等に由来するα-オレフィン単位が挙げられる。
【0019】
加えて、本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、2種類以上のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を任意の比率でドライブレンド、又はメルトブレンドしたものを使用することもできる。2種類以上のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を用いる場合、これら樹脂の総量に対する、酢酸ビニル単位、エチレン単位の含有量が上述の範囲であることが好ましい。
【0020】
(酢酸ビニル単位)
酢酸ビニル単位の含有量は、エチレン-酢酸ビニル共重合体の総量に対して、3.0質量%以上10.0質量%未満であり、好ましくは3.5質量%以上9.0質量%以下であり、より好ましくは4.0質量%以上8.0質量%以下である。酢酸ビニル単位の含有量が上記範囲内であることにより、ミニペレット製造時の連結粒子の発生量とポリスチレンとの相溶性のバランスが優れ、複合発泡成形体の生産性と機械物性のバランスが優れる傾向にある。
【0021】
酢酸ビニル単位の含有量の調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を重合する工程における酢酸ビニルモノマーの添加量や、重合温度、重合圧力を適宜調整すること等が挙げられる。
【0022】
なお、エチレン-酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニル単位の含有量は、JIS K7192:1999に準拠し、基準試験法として、けん化と電位差滴定とにより検量線を作成し、対照試験法として、赤外分光法により酢酸ビニル換算することにより測定することができる。より具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0023】
(エチレン単位)
エチレン-酢酸ビニル共重合体におけるエチレン単位の含有量は、エチレン-酢酸ビニル共重合体の総量に対して、好ましくは90.0質量%以上97.0質量%未満であり、より好ましくは91.0質量%以上96.5質量%以下であり、さらに好ましくは92.0質量%以上96.0質量%以下である。エチレン単位の含有量が上記範囲内であることにより、ミニペレット製造時の連結粒子の発生量とポリスチレンとの相溶性のバランスが優れ、複合発泡成形体の生産性と機械物性のバランスが優れる傾向にある。
【0024】
(MFR)
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のMFRは、0.1g/10min以上1.0g/10min以下であり、好ましくは0.12g/10min以上0.9g/10min以下であり、より好ましくは0.15g/10min以上0.8g/10min以下であり、さらに好ましくは0.2g/10min以上0.7g/10min以下である。MFRが上記範囲内であることにより、ミニペレット製造時連結粒子の発生量と発泡成形性のバランスがより優れる傾向にある。
【0025】
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のMFRを調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を重合する際、反応温度、反応圧力、連鎖移動剤の種類、及び/又は連鎖移動剤の量を調整する方法が挙げられる。より具体的には、反応温度を高くするほどMFRは大きくなる傾向にあり、反応圧力を低くするほどMFRは小さくなる傾向にあり、また、連鎖移動剤の量を多くするほどMFRは大きくなる傾向にある。
【0026】
なお、MFRは、JIS K7210:1999 コードD(温度=190℃、荷重=2.16kg)に準拠して測定することができる。
【0027】
(TREFにおける溶出ピークトップ温度)
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のTREFにおける溶出ピークトップ温度は58℃以上75℃以下であり、好ましくは60℃以上72℃以下であり、より好ましくは62℃以上71℃以下であり、さらに好ましくは63℃以上70℃以下である。溶出ピークトップ温度が上記範囲内であることにより、ミニペレット製造時の連結粒子の発生が抑制されるとともに、発泡成形性が維持される傾向にある。
【0028】
溶出ピークトップ温度を上記範囲内に調整する方法としては特に限定されないが、例えば、MFRと酢酸ビニル単位の含有量を所定の範囲に調整した上で重合する方法、重合開始剤として酸素を用いることで重合速度を抑えて均一に重合する方法、連鎖移動剤として低級アルカンを用いて短鎖分岐を抑制する方法、又は重合後のペレタイズ時に押出機に水を添加して低温で溶出する低結晶性成分を共沸除去する方法が挙げられる。
【0029】
TREFにおける溶出ピークトップ温度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0030】
(TREFの溶出ピークトップ温度におけるdw/dT)
溶出ピークトップ温度におけるdw/dTは6以上12以下であり、好ましくは7以上11以下であり、より好ましくは8以上10以下であり、さらに好ましくは8.5以上9.5以下である。溶出ピークトップ温度におけるdw/dTが上記範囲内であることにより、ミニペレット製造時の連結粒子の発生が抑制される傾向にある。
【0031】
溶出ピークトップ温度におけるdw/dTを上記範囲内に調整する方法としては特に限定されないが、例えば、MFRと酢酸ビニル単位の含有量を所定の範囲に調整した上で重合する方法、重合開始剤として酸素を用いることで重合速度を抑えて均一に重合する方法、連鎖移動剤として低級アルカンを用いて短鎖分岐を抑制する方法、又は重合後のペレタイズ時に押出機に水を添加し低温で溶出する低結晶性成分を共沸除去する方法が挙げられる。
【0032】
TREFにおける溶出ピークトップ温度でのdw/dTは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0033】
(高分子量体に含まれる長鎖分岐度gL)
本実施形態における長鎖分岐度gLとは、示差屈折計、粘度検出器、及び光散乱検出器を備えたGPC測定装置により測定されるポリマーの極限粘度を、該ポリマーと同一の絶対分子量をもつ線形ポリマーの極限粘度で除すことによって得られる分岐指数g’のうち、上記GPC測定装置で測定される絶対分子量10万から100万の間での最小値、として定義したものである。
【0034】
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂に含まれる長鎖分岐度gLは、好ましくは0.20以上0.35以下であり、より好ましくは0.22以上0.33以下であり、さらに好ましくは0.25以上0.30以下である。該gLが上記範囲内であることにより、高分子量体でありながら長鎖分岐が抑制されたポリマー構造となるため、溶融張力が適度な範囲に抑えられ、さらに発泡成形性に優れる傾向にある。
【0035】
一般に、ポリマーに長鎖分岐が導入されると、同じ分子量の線形ポリマーと比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると極限粘度が小さくなる関係にあることから、長鎖分岐が導入されるに従い同じ分子量の線形ポリマーの極限粘度(ηlinear)に対する分岐ポリマーの極限粘度(ηbranch)の比(ηbranch/ηlinear)は小さくなる。分岐指数g’は、g’=ηbranch/ηlinearとして定義され、分岐指数g’が1より小さい場合には分岐が導入されていることを意味し、その値がより小さい程、導入されている分岐の数や長鎖分岐が多いことを意味する。
【0036】
ポリマー中の長鎖分岐度gLを上記範囲内に調整する方法としては特に限定されないが、例えば、重合温度、重合圧力を適宜調整する方法や、重合後期に開始剤を追添しない方法、又は重合後期に重合開始剤を追添する場合に重合開始剤を連鎖移動剤で希釈することで重合反応後期の長鎖分岐生成反応を抑制する方法が挙げられる。
【0037】
なお、長鎖分岐度gLは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0038】
(TREFにおける特定の温度での積算溶出量)
本実施形態において、TREFにおける特定の温度での積算溶出量とは、TREFにおいて、試料を溶媒に溶解させた試料溶液を調製し、試料室へ導入した後、試料室を室温から140℃に40℃/分の昇温速度で昇温した後、120分間保持し、その後試料室の温度を降温速度0.5℃/分で30℃まで降温した後、20分間保持し、試料を試料室内の充填剤表面に析出させ、続けて、試料室とカラムの温度を、昇温速度20℃/分で30℃から昇温してから特定の温度に至るまでの間に、溶出した試料の合計質量を意味する。
【0039】
(TREFにおける50℃での積算溶出量)
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のTREFにおける50℃での積算溶出量は、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは9.0質量%以下である。該積算溶出量が上記範囲内であることにより、酢酸ビニル単位の含有量が比較的多いエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂においてもミニペレット製造時の連結粒子の発生をさらに抑制することができる傾向にある。
【0040】
積算溶出量を上記範囲内に調整する方法としては特に限定されないが、例えば、MFRと酢酸ビニル単位の含有量を所定の範囲内に制御して重合する方法、重合開始剤として酸素を用いることで重合速度を抑えて均一に重合する方法、連鎖移動剤として低級アルカンを用いて短鎖分岐を抑制する方法、重合後のペレタイズ時に押出機に水を添加し、低温で溶出する低結晶性成分を共沸除去する方法が挙げられる。
【0041】
TREFにおける50℃での積算溶出量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0042】
(TREFにおける30℃での積算溶出量)
また、本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のTREFにおける30℃での積算溶出量は、好ましくは3.0質量%以下であり、より好ましくは2.5質量%以下であり、さらに好ましくは2.0質量%以下である。該積算溶出量が上記範囲内であることにより、酢酸ビニル単位の含有量が比較的多いエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂においてもミニペレット製造時の連結粒子の発生をさらに抑制することができる傾向にある。
【0043】
積算溶出量を上記範囲内に調整する方法としては特に限定されないが、例えば、MFRと酢酸ビニル単位の含有量を所定の範囲内に制御して重合する方法、重合開始剤として酸素を用いることで重合速度を抑えて均一に重合する方法、連鎖移動剤として低級アルカンを用いて短鎖分岐を抑制する方法、重合後のペレタイズ時に押出機に水を添加し、低温で溶出する低結晶性成分を共沸除去する方法が挙げられる。
【0044】
TREFにおける30℃での積算溶出量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0045】
〔エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の製造方法〕
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、特に限定されないが、例えば、加圧加温下において、重合開始剤、連鎖移動剤の存在下で、エチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーとを重合して得られる。
【0046】
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の重合方式は、特に限定されないが、例えば、オートクレーブ方式、チューブラー方式が挙げられる。このなかでも、高分子量体の長鎖分岐生成を抑制するという観点から、チューブラー方式が好ましい。
【0047】
平均重合温度は、好ましくは150℃以上280℃以下であり、より好ましくは180℃以上240℃以下である。また、平均重合圧力は、好ましくは100MPa以上350MPa以下であり、より好ましくは120MPa以上280MPa以下であり、さらに好ましくは180MPa以上270MPa以下である。
【0048】
なお、リアクターは、エチレンモノマー、酢酸ビニルモノマー及び重合開始剤を投入する箇所を複数有する。以下、本実施形態において、リアクターの前段とはリアクター全体の長さ(A)に対するリアクターの入口から所定の位置までの直線距離(B)の比(B/A)が0%以上10%未満の位置を指し、リアクターの中段とは上記B/Aが10%以上40%未満の位置を指し、リアクターの後段とは上記B/Aが40%以上70%未満の位置を指す。
【0049】
リアクターに供給されるエチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーは、気体状であっても液体状であってもよく、気体状(ガス)であることが好ましい。
【0050】
重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、空気中に含まれる酸素や、空気中から精製された酸素、又は市販のラジカル発生剤等が挙げられる。ラジカル発生剤としては、特に限定されないが、例えば、t-ブチル-ペルオキシピバレート(TBPP)、t-ブチル-ペルオキシ-2-エチルヘキサノアート(TBPO)、t-ブチル-ペルオキシアセテート(TPA)、ジ-t-ブチルペルオキシド(DTBP)が挙げられる。
【0051】
この中でも、リアクター前段における重合開始剤は酸素を含むことが好ましい。酸素が存在することにより、重合開始直後の反応速度を低下させることができ、均一な重合反応により結晶部をより均一に多く含むエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を製造することができる傾向にある。
【0052】
連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、エタン、プロパン、ブタン等の低級アルカン類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、等のケトン類又はアルデヒド類が挙げられる。
【0053】
この中でも、連鎖移動剤としてはブタンが好ましく、添加方法としてはリアクターの前段、中段、及び後段の全領域に分割して添加することがより好ましく、その際、リアクター後段への添加は重合開始剤を希釈する形で同時に添加することが更に好ましい。ブタンを使用することにより、ポリマー中に結晶部が生成しやすくなる傾向にあり、リアクターの全領域に分割して添加することで、結晶部を均一に生成させやすい傾向にある。
【0054】
さらに、リアクター後段に重合開始剤を添加する場合は、高分子量体に長鎖分岐を生成する反応が起きやすくなる傾向にあるため、開始剤と混合して同一箇所で添加することにより、長鎖分岐の生成反応を抑制しやすい傾向にある。
【0055】
上記のようにして重合して得たエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、高圧分離器及び低圧分離器にて圧力を下げつつ未反応原料等とエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂とを分離し、溶融状態のエチレン-酢酸ビニル共重合体を押出機にてペレット状に造粒する。その際、ベント機構のある押出機が好ましく、水を添加して共沸により低結晶性成分を除去することが好ましい。
【0056】
高圧分離器及び低圧分離器内では、溶融状態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂と原料であるエチレンガスや酢酸ビニルガス等の未反応ガスが気液混合流体として存在しており、該未反応ガスを、各分離器の容器の上部から回収し、重合反応に再利用してもよい。
【0057】
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色顔料等の公知の添加剤を、必要に応じて含んでもよい。
【0058】
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニレン-ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、6-tert-ブチル-4-[3-(2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イルオキシ)プロピル]-o-クレゾール等のリン/フェノール系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤が挙げられる。
【0059】
[成形体]
本実施形態の成形体は、上述したエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含む。本実施形態の成形体は、特に限定されないが、例えば、公知の射出成形や押出成形や延伸成形によって得ることができ、様々な用途に好適に用いることができる。そのような用途として具体的には、特に限定されないが、例えば、人工芝マット、自動車用マットガード、泥除けカバー、排水ホース等が挙げられる。また、繊維などとして用いることもできる。
【0060】
[発泡体]
本実施形態の発泡体は、上述したエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含み、更に必要に応じてエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂以外のその他の成分が含まれても良い。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、エチレン-α-オレフィンブロック共重合体(OBC)、エチレン-α-オレフィンランダム共重合体(POE)、フッ素樹脂やフッ素ゴムなどのフッ素系ポリマー、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610などのポリアミド樹脂やポリアミド系エラストマーといったポリアミド系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂、シリコーン系エラストマー、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE))などのポリエチレン樹脂、プロピレンホモポリマー(ホモPP)、ランダムポリプロピレン樹脂(ランダムPP)、ブロックポリプロピレン樹脂(ブロックPP)などのポリプロピレン樹脂、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂等のポリウレタン系ポリマー、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)等のスチレン系ポリマーなどが含まれてもよい。
【0061】
また、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)としては、特に限定されないが、例えば、スチレン-エチレン-ブチレン共重合体(SEB)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、SBSの水素添加物(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS))、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、SISの水素添加物(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(SEPS))、スチレン-ブタジエン-イソプレン-スチレン共重合体(SBIS)、SBISの水素添加物(スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(SEEPS))、スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体(SIBS)、スチレン-ブタジエン-スチレン-ブタジエン共重合体(SBSB)、スチレン-ブタジエン-スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBSBS)が挙げられる。
【0062】
本実施形態の発泡体は公知の方法により断熱材や緩衝材など広範な産業分野に用いることができ、本実施形態の発泡体の製法としては、特に、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂とポリスチレン樹脂とを上述の方法により複合化させて複合発泡成形体を製造することが好ましく、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の存在下でスチレンモノマーを重合させて複合化することにより複合発泡成形体を製造することがより好ましい。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本実施形態は、以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
【0064】
〔酢酸ビニル単位の含有量測定〕
JIS K7192:1999に準拠し、基準試験法として、けん化と電位差滴定とにより酢酸ビニル単位の含有量が既知のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を用いて検量線を作成し、対照試験法として、赤外分光法により、実施例及び比較例で得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂における酢酸ビニル単位の含有量(VA含有量)を測定した。
【0065】
〔メルトフローレイト(MFR)測定〕
JIS K7210:1999 コードD(温度=190℃、荷重=2.16kg)に準拠し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のMFRを測定した。
【0066】
〔クロス分別クロマトグラフィーの昇温溶出分別測定(TREF)〕
TREF測定により得られる溶出温度-溶出量曲線を以下のように測定し、試料であるエチレン-酢酸ビニル共重合体が単位温度あたりの局所的な溶出が最大となる温度である溶出ピークトップ温度、該溶出ピークトップ温度におけるdw/dT、溶出温度が50℃での積算溶出量、溶出温度が30℃での積算溶出量を求めた。
【0067】
まず、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂20mgをオルトジクロロベンゼン0.5mLに溶解させた試料溶液を調製し、試料室へ導入した。その後、試料室を室温から140℃に40℃/分の昇温速度で昇温した後、120分間保持した。次に、試料室の温度を降温速度0.5℃/分で30℃まで降温した後、20分間保持し、試料を試料室内の充填剤表面に析出させた。続けて、試料室とカラムの温度を、昇温速度20℃/分で30℃から120℃まで順次昇温した。昇温時においては、所定の各測定温度において21分間該当する温度を保持した後、次の測定温度への昇温を行った。
【0068】
それにより、各測定温度で溶出した試料であるエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の濃度を検出した。そして、試料の溶出量質量分率(質量%)と、対応するカラム内温度(℃)との値により、溶出温度-溶出量曲線を作成し、各測定温度における試料の溶出量を求めた。
【0069】
測定の条件は以下のとおりである。
・装置:Polymer Char社製Automated 3D analyzer
CFC-2
・カラム: ステンレススチールマイクロボールカラム(外径3/8インチ、長さ150mm)
・溶離液:o-ジクロロベンゼン(高速液体クロマトグラフ用)
・試料溶液濃度:試料(エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂)20mg/o-ジクロロベンゼン0.5mL
・注入量:0.5mL
・ポンプ流量:1.0mL/分
・検出器:Polymer Char社製赤外分光光度計IR4
・検出波数:3.42μm
【0070】
〔3D-GPC測定によるgL算出〕
示差屈折計(RI)及び粘度検出器(Viscometer)及び光散乱検出器を備えたGPC装置として、Waters社のAlliance・GPCV2000を用いた。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)であるWyatt・Technology社のDAWN-Eを用いた。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4-trichlorobenzene(酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社 GMHHR-H(S)・HTを2本連結して用いた。カラム、試料注入部及び各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLであった。
【0071】
MALLSから得られる絶対分子量(M)、及びViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用した。
【0072】
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、該サンプルに含まれるポリマーと同一の絶対分子量(M)をもつ線形ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlinear)との比(ηbranch/ηlinear)として算出し、MALLSから得られる絶対分子量として、分子量10万から100万における上記g’の最小値をgLとした。
【0073】
〔発泡成形性の指標〕
東洋精機社製キャピログラフ1Dを用い、以下の条件で溶融張力(mN)の測定を行った。
バレル径 :9.55mm
オリフィス径 :2.095mm
オリフィス長さ:7.98mm
流入角 :90度
温度 :190℃
ピストン速度 :6mm/min
引取速度 :2mm/min
【0074】
以下の指標で、発泡成形性を評価した。
〇:80mN以上120mN未満
△:60mN以上80mN未満又は120mN以上130mN未満
×:130mN以上(発泡しない)
【0075】
〔連結粒子の発生量〕
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を20mm単軸押出機にて溶融混練し、水中カット方式により造粒ペレット化し、ミニペレットを得た。エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のミニペレットが100粒あたり40mgになるように回転数を調整した。
得られたミニペレット100gを目視で確認し、ペレットが繋がった形の物である連結粒子を取出して、該ペレット中の連結粒子の質量を測定した。その質量割合に基づき、以下の指標で、ミニペレット製造時の連結粒子の発生量を評価した。
〇:1%未満
△:1%以上10%未満
×:10%以上
【0076】
〔総合評価〕
連結粒子の発生量と発泡成形性の結果から、下記の通り総合評価を行った。
◎:〇が2つ
〇:〇が1つ、△が1つ
△:△が2つ
×:1つでも×がある
【0077】
〔実施例1〕
エチレンモノマーに対して酢酸ビニルモノマーの量が1.90mol%となるようにモノマーを調製した。チューブラーリアクターに対して、モノマー及び重合開始剤を前段、中段、後段にて分割投下して重合を開始した。前段は圧縮空気(酸素濃度21%)を開始剤として用い、中段はTBPO:DTBP=3:7の比率の開始剤を用い、後段はTBPO:DTBP:ブタン=3:6:1の比率の開始剤を用い、平均重合温度230℃、平均重合圧力220MPa、平均ブタン濃度が0.5mol%となるように設定し、重合を完了した。重合後は高圧分離器、低圧分離器に順次導入し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂と残留モノマーを含む気体に分離した。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の溶融体を押出機にフィードし、ペレタイズを行うことでエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。
【0078】
〔実施例2〕
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の溶融体に対し、0.5重量%になるように水を添加し、押出機を-0.009MPaで運転(表1~表2において、水ベント押出と表記)したこと以外は、表1に示す条件で実施例1と同様に重合した後ペレタイズし、実施例2のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。
【0079】
〔実施例3~8及び比較例1~7〕
それぞれ表1~表2に示す条件に変更した以外は、実施例1及び実施例2と同様の操作により、実施例3~8及び比較例1~7のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。
【0080】
得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法により測定し、測定結果を表3~表4にまとめた。
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】