(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】音響装置
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20240311BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20240311BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20240311BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H04R17/00
H04R1/00 310F
H04R1/02 102Z
H04R7/04
(21)【出願番号】P 2022206165
(22)【出願日】2022-12-23
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】▲イェ▼ 載憲
【審査官】中嶋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-106298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 17/00
H04R 1/00
H04R 1/02
H04R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された駆動信号によって振動する第1振動素子と、
互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、前記第1振動素子が前記第1主面の少なくとも一部の上に配された第1基板と、
互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、前記第1主面の一部が前記第1基板の前記第2主面の一部と接するように配された第2基板と、
前記第2基板の前記第2主面の少なくとも一部と接するように配され、入力された前記駆動信号によって振動する第2振動素子と、
振動部材と、
前記第1基板と前記振動部材とを連結する第1弾性部材と、
前記第2振動素子と前記振動部材とを連結する第2弾性部材と、
を含む、音響装置。
【請求項2】
前記第1弾性部材は、前記第1基板の前記第2主面と接しており、平面視において前記第1基板と前記第1振動素子とが重畳する領域に配される、請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記第1振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、
前記第1弾性部材の一の縁部は、平面視において、前記第1振動素子の長手方向の縁部に対応する位置に配される、請求項2に記載の音響装置。
【請求項4】
前記第2弾性部材は、前記第2振動素子と接しており、平面視において前記第2基板と前記第2振動素子とが重畳する領域に配される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項5】
前記第2振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、
前記第2弾性部材の一の縁部は、平面視において、前記第2振動素子の長手方向の縁部に対応する位置に配される、請求項4に記載の音響装置。
【請求項6】
入力された駆動信号によって振動する第1振動素子と、
互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、前記第1振動素子が前記第1主面の少なくとも一部の上に配された第1基板と、
前記第1基板の前記第2主面の一部と接するように配され、入力された前記駆動信号によって振動する第2振動素子と、
互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、前記第1主面の少なくとも一部が前記第2振動素子と接するように配された第2基板と、
振動部材と、
前記第1基板と前記振動部材とを連結する第1弾性部材と、
前記第2基板と前記振動部材とを連結する第2弾性部材と、
を含む、音響装置。
【請求項7】
前記第1弾性部材は、前記第1基板の前記第2主面と接しており、平面視において前記第1基板と前記第1振動素子とが重畳する領域に配される、請求項6に記載の音響装置。
【請求項8】
前記第1振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、
前記第1弾性部材の一の縁部は、平面視において、前記第1振動素子の長手方向の縁部に対応する位置に配される、請求項7に記載の音響装置。
【請求項9】
前記第2弾性部材は、前記第2基板の前記第2主面と接しており、平面視において前記第2基板と前記第2振動素子とが重畳する領域に配される、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項10】
前記第2振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、
前記第2弾性部材の一の縁部は、平面視において、前記第2振動素子の長手方向の縁部に対応する位置に配される、請求項9に記載の音響装置。
【請求項11】
前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方は、ステンレス鋼を含む、請求項1乃至3及び請求項6乃至8のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項12】
前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方の厚みは、0.1mmから0.5mmの間である、請求項1乃至3及び請求項6乃至8のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項13】
前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方の厚みは、0.2mmから0.4mmの間である、請求項12に記載の音響装置。
【請求項14】
前記第1基板及び前記第1振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、
前記第1基板の長手方向の長さは、前記第1振動素子の長手方向の長さ以上である、請求項1乃至3及び請求項6乃至8のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項15】
前記第2基板及び前記第2振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、
前記第2基板の長手方向の長さは、前記第2振動素子の長手方向の長さ以上である、請求項1乃至3及び請求項6乃至8のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項16】
前記第1基板、前記第1振動素子、前記第2基板及び前記第2振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、
前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方の長手方向の長さは、前記第1振動素子及び前記第2振動素子の少なくとも一方の長手方向の長さと同一である、請求項1乃至3及び請求項6乃至8のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項17】
前記第1基板、前記第1振動素子、前記第2基板及び前記第2振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、
前記第1基板の長手方向及び前記第1振動素子の長手方向は第1方向に延び、
前記第2基板の長手方向及び前記第2振動素子の長手方向は第2方向に延び、
前記第1基板及び前記第1振動素子は、平面視において前記第2基板及び前記第2振動素子と交差する、請求項1乃至3及び請求項6乃至8のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項18】
前記振動部材は、表示装置の表示パネルであり、
前記表示パネルは、画像が表示される画像表示面と、前記画像表示面に対向する裏面と、を含み、
前記第1振動素子及び前記第2振動素子の振動は、前記表示パネルの前記裏面に伝達される、請求項1乃至3及び請求項6乃至8のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項19】
前記第1基板と前記第2基板とは、平面視において「+」字形状を含むように配置された、請求項1乃至3及び請求項6乃至8のいずれか1項に記載の音響装置。
【請求項20】
前記振動部材は、金属、樹脂、ガラス、木材、ゴム、プラスチック、繊維、布、紙、皮革、またはカーボンの材料で構成される、または
映像を表示するように構成された画素を含む表示パネル、表示装置から映像が投影されるスクリーンパネル、照明パネル、発光ダイオード照明パネル、有機発光照明パネル、無機発光照明パネル、サイネージパネル、運送手段の内装材、運送手段のガラス窓、運送手段の外装材、運送手段の座席内装材、建物の天井材、建物の内装材、建物のガラス窓、航空機の内装材、航空機のガラス窓、または鏡を含む、請求項1乃至3及び請求項6乃至8のいずれか1項に記載の音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音響装置は、入力された電気信号を物理的な振動に変換する振動系を有している。強誘電性セラミックなどの圧電素子からなる圧電スピーカは、軽量で低消費電力であるという利点を有するため、様々な用途に利用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
圧電スピーカに利用される圧電素子は、振動幅(または変位幅)が限定されているので、音質が十分ではない場合がある。
【0004】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、本明細書の発明者は、音質が向上し得る振動装置を具現するために、いくつかの実験を行った。いくつかの実験を通じて、音質が向上し得る新しい音響装置を発明した。本発明は、音質が向上された音響装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、入力された駆動信号によって振動する第1振動素子と、互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、第1振動素子が第1主面の少なくとも一部の上に配された第1基板と、互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、第1主面の一部が第1基板の第2主面の一部と接するように配された第2基板と、第2基板の第2主面の少なくとも一部と接するように配され、入力された駆動信号によって振動する第2振動素子と、振動部材と、第1基板と振動部材とを連結する第1弾性部材と、第2振動素子と振動部材とを連結する第2弾性部材とを含む、音響装置が提供される。
【0006】
本発明の別の一観点によれば、入力された駆動信号によって振動する第1振動素子と、互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、第1振動素子が第1主面の少なくとも一部の上に配された第1基板と、第1基板の第2主面の一部と接するように配され、入力された駆動信号によって振動する第2振動素子と、互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、第1主面の少なくとも一部が第2振動素子と接するように配された第2基板と、振動部材と、第1基板と振動部材とを連結する第1弾性部材と、第2基板と振動部材とを連結する第2弾性部材とを含む、音響装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、音質が向上された音響装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る音響装置及びホストシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る音響装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る音響装置の構成を示す平面図である。
【
図4】第1実施形態に係る音響装置の構成を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る音響装置の構成を示す断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る音響装置の構造をより詳細に示す断面図である。
【
図7】第1実施形態に係る音響装置に電圧が印加されたときの変形を示す模式図である。
【
図8】第1実施形態に係る音響装置に電圧が印加されたときの変形を示す模式図である。
【
図9】第1実施形態に係る音響装置の音響特性を示すグラフである。
【
図10】第1実施形態に係る音響装置の変形例の構造を詳細に示す断面である。
【
図11】第1実施形態に係る音響装置の変形例の構造を詳細に示す断面である。
【
図12】第1実施形態に係る音響装置の変形例の構造を詳細に示す断面である。
【
図13】第2実施形態に係る音響装置の構成を示す平面図である。
【
図14】第2実施形態に係る音響装置の構成を示す断面図である。
【
図15】第2実施形態に係る音響装置の構成を示す断面図である。
【
図16】第2実施形態に係る音響装置の構造をより詳細に示す断面図である。
【
図17】第2実施形態に係る音響装置の変形例の構造を詳細に示す断面である。
【
図18】第2実施形態に係る音響装置の変形例の構造を詳細に示す断面である。
【
図19】第2実施形態に係る音響装置の変形例の構造を詳細に示す断面である。
【
図20】第3実施形態に係る音響装置の構成を示す平面図である。
【
図21】第3実施形態に係る音響装置の構成を示す平面図である。
【
図22】第3実施形態に係る音響装置の構成を示す平面図である。
【
図23】第3実施形態に係る音響装置の構成を示す平面図である。
【
図24】第3実施形態に係る音響装置の音響特性を示すグラフである。
【
図25】第4実施形態に係る音響装置の構成を示す平面図である。
【
図26】第4実施形態に係る音響装置の構成を示す平面図である。
【
図27】第4実施形態に係る音響装置の構成を示す平面図である。
【
図28】第4実施形態に係る音響装置の音響特性を示すグラフである。
【
図29】第5実施形態に係る振動素子の構造を示す平面図である。
【
図30】第5実施形態に係る振動素子の構造を示す断面図である。
【
図31】第6実施形態に係る振動素子の振動層を示す斜視図である。
【
図32】第7実施形態に係る振動素子の振動層を示す斜視図である。
【
図33】第8実施形態に係る振動素子の構造を示す平面図である。
【
図34】第8実施形態に係る振動素子の構造を示す断面図である。
【
図35】第9実施形態に係る表示装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。各図面を通じて共通する機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略又は簡略化することがある。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る音響装置1の構成を示すブロック図である。
図1を参照しつつ、音響装置1に入力される駆動信号(または音声信号)について説明する。音響装置1は、単独でスピーカとして用いられてもよく、広告用看板、ポスター、案内板、表示装置等に内蔵されるものであってもよい。本実施形態の音響装置1の用途は、特に限定されるものではない。
【0011】
音響装置1は、2つの振動素子11、21を有する。振動素子11、21は、入力された駆動信号に基づく電圧が印加されると、逆圧電効果により変位する素子である。振動素子11、21は、例えば、バイモルフ(Bimorph)、ユニモルフ(Unimorph)、マルチモルフ(Multimorph)等の電圧に応じて屈曲変位する素子であり得る。入力される駆動信号は通常は交流電圧であるため、振動素子11、21は、入力された駆動信号に応じて振動して振動および/または音響を發生することができる。例えば、振動素子11、21は、振動発生素子、音響発生素子、または音声発生素子であり得る。
【0012】
ホストシステム7は、駆動信号を供給することにより音響装置1を制御する装置又は複数の装置を含むシステムである。しかしながら、ホストシステム7は、音響装置1の用途に応じて、画像信号(例えばRGBデータ)、タイミング信号(垂直同期信号、水平同期信号、データイネーブル信号等)等の他の信号を更に供給する場合もある。ホストシステム7は、例えば、音源再生装置、構内放送装置、ラジオ放送再生システム、テレビシステム、セットトップボックス、ナビゲーションシステム、光ディスクプレーヤー、コンピュータ、ホームシアターシステム、ビデオ電話システム等であり得る。なお、音響装置1とホストシステム7は一体の装置であってもよく、別の装置であってもよい。
【0013】
ホストシステム7は、入力部701、D/A(Digital/Analog)変換器711、PWM(Pulse Width Modulation)回路712、トランジスタ721、722、コイル723、キャパシタ724を備える。入力部701は、振動素子11、21を制御するためのデジタル信号を入力する。D/A変換器711は、入力部701から入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。PWM回路712は、D/A変換器711から入力されたアナログ信号をパルス幅変調し、パルス信号を出力する。PNP型のトランジスタ721及びNPN型のトランジスタ722はプッシュプル回路を形成する。例えば、トランジスタ721、722のコレクタ端子は互いに接続され、トランジスタ721、722のベース端子は互いに接続されている。トランジスタ721のエミッタ端子には正の電圧+Vddが印加され、トランジスタ722のエミッタ端子には負の電圧-Vddが印加される。トランジスタ721、722のベース端子には、PWM回路712からパルス信号が印加され、トランジスタ721、722はパルス信号に応じて相補的にオン又はオフに駆動される。例えば、正のパルス信号がトランジスタ721、722のベース端子に印加されると、トランジスタ721はオンとなり、トランジスタ722はオフとなる。このため、トランジスタ721、722のコレクタ端子の電圧は電圧+Vddとなる。一方、負のパルス信号がトランジスタ721、722のベース端子に印加されると、トランジスタ721はオフとなり、トランジスタ722はオンとなる。このため、トランジスタ721、722のコレクタ端子の電圧は電圧-Vddとなる。また、パルス信号の電位が接地電位になると、トランジスタ721、722はともにオフとなる。コイル723、キャパシタ724はローパスフィルタとして機能し、トランジスタ721、722のコレクタ端子におけるパルス信号を平滑化し、駆動信号(または音声信号)として振動素子11、21に出力する。
【0014】
図2は、本実施形態に係る音響装置の構成を示す斜視図である。
図3は、本実施形態に係る音響装置の構成を示す平面図である。
図4及び
図5は、本実施形態に係る音響装置の構成を示す断面図である。
図6は、本実施形態に係る振動素子の構造をより詳細に示す断面図である。
図4及び
図6は、
図3のA-A’線における断面図を示している。
図5は、
図3のB-B’線における断面図を示している。
図2から
図6を相互に参照しつつ、本実施形態に係る音響装置1の具体的構成を説明する。
【0015】
図2に示されているように、音響装置1は、第1振動素子11、第1基板13、第2振動素子21、第2基板23、第1弾性部材31、第2弾性部材33及び振動部材90を有している。
図2及び
図3に示されているように、第1振動素子11、第2振動素子21、第1基板13及び第2基板23は、平面視において矩形の平板状をなしている。
図2から
図6には、第1振動素子11の短手方向をx軸、長手方向をy軸とし、x軸及びy軸に垂直な方向をz軸とする座標軸が示されている。第1振動素子11の長手方向を第1方向、第2振動素子21の長手方向を第2方向と呼ぶものとする。本実施形態では第1方向と第2方向は、平面視において直角をなしているが、第1振動素子11及び第2振動素子21の配置は特にこれに限定されるものではない。第1基板13及び第2基板23は、互いに対向する2つの主面をそれぞれ有している。ここでは、第1基板13の2つの主面のうち、z軸の正方向側の面を第1主面13aと呼び、z軸の負方向側の面を第2主面13bと呼ぶものとする。同様に、第2基板23の2つの主面のうち、z軸の正方向側の面を第1主面23aと呼び、z軸の負方向側の面を第2主面23bと呼ぶものとする。
【0016】
第1基板13は、第1振動素子11に連結されている。例えば、第1基板13の第1主面13aは、第1振動素子11に連結されている。
図2及び
図4に示されているように、本実施形態においては第1基板13の第1主面13aの一部が第1振動素子11に連結されている。しかしながら、後述するように第1基板13の第1主面13aの全面が第1振動素子11に連結される構成であってもよい。第1基板13は、例えば、ステンレス鋼等の金属を含む材料で構成され得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。
【0017】
第1基板13は、第2基板23に連結されている。例えば、第1基板13と第2基板23とは、接着剤または柔軟な接着剤によって互いに連結され得る。第1基板13の第2主面13bは、第2基板23の第1主面23aに連結されている。
図2及び
図4に示されているように、本実施形態においては第1基板13の第2主面13bの一部が第2基板23の第1主面23aの一部に連結されている。よって、
図3に示されているように、第1基板13と第2基板23とは平面視において交差するように配置されている。例えば、第1基板13と第2基板23とは平面視において「+」字形状を有するように配置されている。
【0018】
第2基板23は、第2振動素子21に連結されている。例えば、第2基板23の第2主面23bは、第2振動素子21に連結されている。
図5に示されているように、本実施形態においては第2基板23の第2主面23bの一部が第2振動素子21に連結されている。しかしながら、後述するように第2基板23の第2主面23bの全面が第2振動素子21に連結される構成であってもよい。第2基板23は、例えば、ステンレス鋼等の金属を含む材料で構成され得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。
【0019】
第1基板13は、複数の第1弾性部材31を介して振動部材90に連結されている。例えば、第1基板13の第2主面13bは、2つの第1弾性部材31を介して振動部材90に連結されている。第1弾性部材31は、高調波の発生を抑制するために平面視において第1振動素子11と第1基板13とが重畳する領域内に配置され得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。特に、
図4に示されているように、第1弾性部材31の端部(または縁部)のうちの露出している外側の面が第1振動素子11の長手方向の端部(または縁部)の面と対応するように配置され得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。このとき、第1弾性部材31の一の端部は、平面視において、第1振動素子11と第1基板13とが重畳する領域内の、第1振動素子11の長手方向の端部に対応する位置に配されることになる。第1弾性部材31は、例えば、樹脂等の材料であり得る。例えば、複数の第1弾性部材31は、六面体形状、すなわちz軸方向からの平面視で四角形状を有することができるが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。例えば、複数の第1弾性部材31は、円柱状、すなわち、z軸方向からの平面視において円形状を有することができる。例えば、複数の第1弾性部材31は、第1振動素子11の振動に応じた第1基板13の振動を振動部材90に伝達する伝達部材または振動伝達部材であり得る。
【0020】
振動部材90は、例えば、金属、樹脂、ガラス、硬質紙、木材、ゴム、プラスチック、繊維、布、紙、皮革、またはカーボン等の材料で構成され得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。例えば、他の実施形態に係る振動部材90は、映像を表示するように構成された画素を有する表示パネル、表示装置から映像が投影されるスクリーンパネル、照明パネル、発光ダイオード照明パネル、有機発光照明パネル、無機発光照明パネル、サイネージパネル、運送手段の内装材、運送手段のガラス窓、運送手段の外装材、運送手段の座席内装材、建物の天井材、建物の内装材、建物のガラス窓、航空機の内装材、航空機のガラス窓、または鏡を含むことができる。第1弾性部材31に用いられ得る樹脂の例としては、ポリウレタン及びポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられるが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。振動部材90に用いられ得る金属の例としては、ステンレス鋼が挙げられるが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。
【0021】
第2振動素子21は、複数の第2弾性部材33を介して振動部材90に連結されている。例えば、第2振動素子21は、2つの第2弾性部材33を介して振動部材90に連結されている。第2弾性部材33は、平面視において、第2基板23と第2振動素子21とが重畳する領域に配される。本実施形態では、
図5に示されているように、第2弾性部材33の端部(または縁部)のうちの露出している外側の面が第2振動素子21の長手方向の端部(または縁部)の面に対応する位置に配置されている。第2弾性部材33は、第1弾性部材31と同様の材料であり得る。例えば、複数の第2弾性部材33は、六面体形状、すなわちz軸方向からの平面視で四角形状を有することができるが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。例えば、複数の第2弾性部材33は、円柱状、すなわち、z軸方向からの平面視において円形状を有することができる。例えば、複数の第2弾性部材33は、第2振動素子21の振動に応じた第2基板23の振動を振動部材90に伝達する伝達部材または振動伝達部材であり得る。
【0022】
図6を参照して、音響装置1の構造の例をより詳細に説明する。
図6は、
図4と同様の断面において、第1振動素子11、第1基板13,第2振動素子21及び第2基板23を拡大して示す図である。また、
図6では、振動素子11への駆動信号の入力方法を説明するため、第1振動素子11及び第2振動素子21に含まれる各電極の接続関係を回路図により模式的に示している。
【0023】
第1振動素子11は、電極(または第1電極)111、振動層(または圧電層)112、電極(または第2電極)113、接着層116及び保護層117を含む。電極111及び電極113は、振動層112を厚さ方向に挟むように配されており、振動層112に電圧を印加する。接着層116は、第1振動素子11を第1基板13の第1主面13aに連結する層である。保護層(または保護部材)117は、電極111の上面を保護及び絶縁する。例えば、保護層117は、省略可能であり得る。本実施形態では、振動層112の分極(poling)方向は、
図6に示されているようにz軸の正方向としているが、負方向であり得る。なお、電極111、113には、ハンダ付けなどにより各電極に電圧を印加するための配線が接続され得る。
【0024】
同様に、第2振動素子21は、電極(または第1電極)211、振動層(または圧電層)212、電極(または第2電極)213、接着層216及び保護層217を含む。電極211及び電極213は、振動層212を厚さ方向に挟むように配されており、振動層212に電圧を印加する。接着層216は、第2振動素子21を第2基板23の第2主面23bに連結する層である。保護層217は、電極211の上面を保護及び絶縁する。例えば、保護層217は、省略可能であり得る。本実施形態では、振動層212の分極方向は、
図6に示されているようにz軸の負方向としているが、正方向であり得る。電極211、213には、ハンダ付けなどにより各電極に電圧を印加するための配線が接続され得る。第1基板13の第2主面13bの一部は、接着層51を介して第2基板23の第1主面23aの一部と接着される。
【0025】
振動層112及び振動層212の材料は、特に限定されるものではないが、変位量を大きくすることができるため、チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電性が良好な材料であることができるが、本明細書の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、振動層112及び振動層212のそれぞれの材料は、相対的に高い振動の実現が可能なセラミック系列の圧電物質で構成されるか、またはペロブスカイト(Perovskite)系列の結晶構造を有する圧電セラミック材料で構成され得る。例えば、 振動層112及び振動層212のそれぞれは、多結晶構造を有するか、または単結晶構造を有することができる。例えば、振動層112及び振動層212のそれぞれは、多結晶セラミックから構成されるか、または単結晶セラミックから構成され得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。例えば、振動層112及び振動層212のそれぞれは、鉛(Pb)を含む圧電物質で構成されるか、または鉛(Pb)を含まない圧電物質で構成され得る。例えば、鉛(Pb)を含む圧電物質は、PZT(Lead Zirconate Titanate)系物質、PZNN(Lead Zirconate Nickel Niobate)系物質、PMN(Lead Magnesium Niobate)系物質、PNN(Lead Nikel Niobate)系物質、PZN(Lead Zirconate Niobate)系物質、およびPIN(Lead Indium Niobate)系物質のうちの1つ以上を含むことができるが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。例えば、鉛(Pb)を含まない圧電物質は、バリウムチタネート(BaTiO
3)、カルシウムチタネート(CaTiO
3)、およびストロンチウムチタネート(SrTiO
3)のうちの1つ以上を含むことができるが、本明細書の実施形態はこれらに限定されない。接着層51、接着層116及び接着層216は、圧着樹脂材料、接着剤、接着テープ等であり得る。例えば、接着層51は、接着層116及び接着層216よりも低い弾性係数を有することができる。また、
図6の構成では不図示であるが、第1振動素子11の側面は、他の部材とのショートを避けるために樹脂等の絶縁体で覆われていてもよい。
【0026】
第1振動素子11及び第2振動素子21に印加される電圧は、音声信号に基づくものであるため、生成すべき音声の周波数に応じた交流電圧と考えることができる。
図6では、この交流電圧を交流電源(V)の回路記号で示している。交流電源(V)の一方の端子は、電極111及び電極213に接続され、他方の端子は、電極113及び電極211に接続されるが、本明細書の実施形態はこれらに限定されない。
【0027】
電極111と電極113に交流電圧が印加されると、振動層112が伸縮し、第1基板13及び第1弾性部材31を介して振動部材90に周期的な応力が加えられて振動する。第1振動素子11は、振動部材90に周期的な応力を伝達し、これにより振動部材90は屈曲振動する。このようにして、振動部材90は振動し、音声信号に基づく振動および/または音響を発することができる。電極111、113と電極211、213は、透明導電性物質、半透明導電性物質、または不透明導電性物質からなり得る。例えば、透明または半透明の導電性物質は、ITO(indium tin oxide)またはIZO(indium zinc oxide)のうちの1つ以上を含むことができるが、本明細書の実施形態はこれに限定されるものではない。不透明導電性物質は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、またはマグネシウム(Mg)のうちの1つ以上を含むか、またはこれらの合金からなり得、本明細書の実施形態はこれに限定されるものではない。
【0028】
本実施形態においては、第1振動素子11に加えて、第2振動素子21が振動部材90に連結されている。これにより、振動層212において生じた振動も第2弾性部材33を介して振動部材90に伝達される。これにより、振動部材90の屈曲振動の振幅を大きくできるため、低音域の出力が増強され得る。
【0029】
振動部材90の屈曲振動について、
図7及び
図8を参照して詳細に説明する。
図7及び
図8は、第1実施形態に係る第1振動素子11及び第2振動素子21に電圧が印加されたときの変形を示す模式図である。
図6に示されているように振動層112の分極方向は振動層212の分極方向と逆の向きであり、振動層112の印加電圧は振動層214の印加電圧と逆の向きである。これにより、振動層112と振動層212の伸縮方向は整合する。例えば、第1振動素子11及び第2振動素子21は、互いに同じ方向に変位(または振動または駆動)され得る。
【0030】
図7に示されているように、振動層112が横方向に伸長するように変形するタイミングでは、振動層212も横方向に伸長する方向に変形する。これにより、第1振動素子11及び第2振動素子21の端部(または縁部)は、振動部材90に近づく方向に屈曲する。このとき、振動部材90は、第1振動素子11及び第2振動素子21の側に向かう応力を受けて変形することができる。
【0031】
図8に示されているように、振動層112が横方向に収縮するように変形するタイミングでは、振動層212も横方向に収縮する方向に変形する。これにより、第1振動素子11及び第2振動素子21の端部(または縁部)は、振動部材90から離れる方向に屈曲する。このとき、振動部材90は、第1振動素子11及び第2振動素子21から離れる方向に向かう応力を受けて変形することができる。
【0032】
音声信号に基づく交流電圧が第1振動素子11及び第2振動素子21に印加されると、音声の周波数で
図7の状態と
図8の状態が交互に繰り返される。このようにして、第1振動素子11及び第2振動素子21の振動が振動部材90に伝達され、振動部材90が振動する。したがって、振動部材90からは駆動信号に基づく音響が発せられるため、振動部材90はスピーカとして機能する。
【0033】
低音域の増強効果について、実測データを参照してより詳細に説明する。
図9は、本実施形態に係る音響装置の音響特性を示すグラフである。
図9の横軸は対数目盛による周波数(Hz)であり、縦軸は、デシベル(dB)単位による音圧である。
図9において一点鎖線により示されている曲線は、第1基板13及び第2基板23の厚みを0.1mmとしたときの本実施形態の音響装置1の音響特性である。実線により示されている曲線は、第1基板13及び第2基板23の厚みを0.3mmとしたときの本実施形態の音響装置1の音響特性である。破線により示されている曲線は、第1基板13及び第2基板23の厚みを0.4mmとしたときの本実施形態の音響装置1の音響特性である。長二点鎖線により示されている曲線は、第1基板13及び第2基板23の厚みを0.5mmとしたときの本実施形態の音響装置1の音響特性である。第1基板13及び第2基板23としてステンレス鋼が用いられている。また、点線により示されている曲線は、本実施形態の構成から第1基板13及び第2基板23を除外した実験例における音響装置の音響特性である。
【0034】
図9において100Hzから300Hz付近における曲線を比較すると、本実施形態の構成においては、いずれの基板厚においても実験例に対して音圧が上昇していることが理解される。特に、基板厚を0.3mmとした場合に、70Hzから100Hz付近において最も高い音圧が得られている。さらに、実験例に対し、いずれの基板厚を用いた場合でも1000Hz以上の中音域及び高音域の音圧が減少していることが理解される。実験例において中音域及び高音域の音圧の生成に用いられていたエネルギが低音域の増強のために使用されていることが考えられる。さらに、基板厚を0.3mmとした場合には、基板厚が0.1mm、0.4mm、および0.5mmの場合に出現した500Hzから1000Hzにかけてのピーク(peak)-ディップ(dip)の発生を抑制できていることが理解される。このように、第1振動素子11及び第2振動素子21に第1基板13及び第2基板23がそれぞれ連結されていることにより、低音域の音圧が増強される効果が得られる。したがって、本実施形態によれば、音質が向上された音響装置が提供される。
【0035】
また、第1基板13及び第2基板を有しない実験例による音響装置では、音圧の上昇のために印加電圧を一定以上に大きくすると、第1振動素子11及び第2振動素子21の曲率の上昇により素子にクラックが入り、音響性能が著しく劣化してしまう。本実施形態によれば、第1基板13及び第2基板23を導入することで、第1振動素子11及び第2振動素子21の強度を高めることができ、クラックの発生を抑制できる。したがって、本実施形態によれば、大きな信号入力により高い音圧が求められる場合でも音質の向上された音響装置が提供される。
【0036】
[変形例]
以下に第1実施形態の変形例を説明する。第1振動素子11,第1基板13、第2振動素子21及び第2基板23以外の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0037】
図10は、本実施形態の変形例に係る音響装置の構成を示す断面図である。
図10は、
図4及び
図6と同様に、
図3のA-A’線における断面図を示している。本変形例において、第1基板13のy軸方向の長さは、第1振動素子11のy軸方向の長さと同一であり得るが、本明細書の実施形態はこれらに限定されない。例えば、第1基板13のy軸方向の長さは、第1振動素子11のy軸方向の長さ以上であり得る。このように第1基板13を構成することで、平面視において第1振動素子11と重畳されていない第1基板13の端部(または縁部)から高調波が発生するのを抑制することができる。同様に第2基板23のy軸方向の長さを第2振動素子21のy軸方向の長さと同一であり得るが、本明細書の実施形態はこれらに限定されない。例えば、第2基板23のy軸方向の長さは、第2振動素子21のy軸方向の長さ以上であり得る。このように第2基板23を構成することで、さらに効果的に高調波の発生を抑制することができる。したがって、本変形例によれば、さらに音質の向上された音響装置が提供される。
【0038】
図11は、本実施形態の別の変形例に係る音響装置の構成を示す断面図である。
図11は、
図4及び
図6と同様に、
図3のA-A’線における断面図を示している。本変形例において、第1振動素子11及び第2振動素子21の素子構造としてバイモルフ構造を採用している。例えば、第1振動素子11は、電極(または第1電極)111、振動層(または第1振動層)112、電極(または第2電極)113、振動層(または第2振動層)114、電極(または第3電極)115、接着層116及び保護層117を含む。振動層112、114の分極方向は、z軸の正方向としているが、負方向であり得る。電極113は、振動層112と振動層114との間に配置され得る。第2振動素子21は、電極(または第1電極)211、振動層(または第1振動層)212、電極(または第2電極)213、振動層(または第2振動層)214、電極(または第3電極)215、接着層216及び保護層217を含む。振動層212、214の分極方向は、z軸の負方向としているが、正負方向であり得る。電極213は、振動層212と振動層214との間に配置され得る。交流電源(V)の一方の端子は、電極111、電極115及び電極213に接続され、他方の端子は 電極113、電極211及び電極215に接続されるが、本明細書の実施形態はこれらに限定されない。バイモルフ構造を採用することにより、電圧と変位の変換効率を向上させることができる。また、第1振動素子11及び第2振動素子21は、それぞれ第1基板13及び第2基板23と連結されているため、バイモルフ構造によって振動素子の変位がさらに大きくなった場合でも振動素子へのクラックの発生を抑制することができる。したがって、本変形例によれば、高い音圧が求められる場合でも振動素子を破損させず、音質の向上された音響装置が提供される。
【0039】
図12は、本実施形態のさらに別の変形例に係る音響装置の構成を示す断面図である。
図12は、
図4及び
図6と同様に、
図3のA-A’線における断面図を示している。本変形例において、第1基板13のy軸方向の長さは第1振動素子11のy軸方向の長さと同一であり得るが、本明細書の実施形態はこれらに限定されない。例えば、第1基板13のy軸方向の長さは、第1振動素子11のy軸方向の長さ以上であり得る。また、
図11と同様に、第1振動素子11及び第2振動素子21の素子構造としてバイモルフ構造を採用している。したがって、本変形例によれば、高い音圧が求められる場合でも振動素子を破損させず、かつ効果的に高調波の発生が抑制され、音質の向上された音響装置が提供される。
【0040】
[第2実施形態]
本実施形態では、第1実施形態に係る音響装置1の構造についての変形例を説明する。第1振動素子11、第2振動素子21、第1基板13、第2基板23及び振動部材90の構造は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0041】
図13は、本実施形態に係る音響装置の構成を示す平面図である。
図14及び
図15は、本実施形態に係る音響装置の構成を示す断面図である。
図16は、本実施形態に係る振動素子の構造をより詳細に示す断面図である。
図14及び
図16は、
図13のA-A’線における断面図を示している。
図15は、
図13のB-B’線における断面図を示している。
図13から
図16を相互に参照しつつ、本実施形態に係る音響装置1の具体的構成を説明する。
【0042】
図13に示されているように、音響装置1は、第1振動素子11、第1基板13、第2振動素子21、第2基板23、第1弾性部材31、第2弾性部材33及び振動部材90を有している。第1振動素子11、第2振動素子21、第1基板13及び第2基板23は、平面視において矩形の平板状をなしている。
図13から
図16には、第1振動素子11の2辺の向きをそれぞれx軸及びy軸とし、x軸及びy軸に垂直な方向をz軸とする座標軸が示されている。第1基板13は、互いに対向する2つの主面13a、13bを有している。また、第2基板23は、互いに対向する2つの主面23a、23bを有している。
【0043】
第1基板13は、第1振動素子11に連結されている。第1基板13の第1主面13aは、第1振動素子11に連結されている。
図14に示されているように、本実施形態においては第1基板13の第1主面13aの一部が第1振動素子11に連結されている。しかしながら、後述するように第1基板13の第1主面13aの全面が第1振動素子11に連結される構成であってもよい。
【0044】
第1基板13は、第2振動素子21にさらに連結されている。第1基板13の第2主面13bは、第2振動素子21に連結されている。
図14に示されているように、本実施形態においては第1基板13の第2主面13bの一部が第2振動素子21の一方の主面の一部に連結されている。よって、
図13に示されているように、第1基板13と第2振動素子21とは平面視において交差するように配置されている。例えば、第1基板13と第2振動素子21とは平面視において「+」字形状を有するように配置されている。
【0045】
第2振動素子21は、第2基板23に連結されている。第2振動素子21は、第2基板23の第1主面23aに連結されている。
図15に示されているように、本実施形態においては第2基板23の第1主面23aの一部が第2振動素子21に連結されている。しかしながら、後述するように第2基板23の第1主面23aの全面が第2振動素子21に連結される構成であってもよい。
【0046】
第1基板13は、複数の第1弾性部材31を介して振動部材90に連結されている。第1基板13の第2主面13bは、2つの第1弾性部材31を介して振動部材90に連結されている。第1弾性部材31は、高調波の発生を抑制するために平面視において第1振動素子11と第1基板13とが重畳する領域内に配置され得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。特に、
図14に示されているように、第1弾性部材31の端部(または縁部)のうちの露出している外側の面が第1振動素子11の長手方向の端部(または縁部)の面と対応するように配置され得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。このとき、第1弾性部材31の一の端部は、平面視において、第1振動素子11と第1基板13とが重畳する領域内の、第1振動素子11の長手方向の端部に対応する位置に配されることになる。
【0047】
第2基板23は、複数の第2弾性部材33を介して振動部材90に連結されている。第2基板23の第2主面23bは、2つの第2弾性部材33を介して振動部材90に連結されている。第2弾性部材33は、高調波の発生を抑制するために平面視において第2振動素子21と第2基板23とが重畳する領域内に配置され得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。特に、
図15に示されているように、第2弾性部材33の端部(または縁部)のうちの露出している外側の面が第2振動素子21の長手方向の端部(または縁部)の面と対応するように配置され得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。このとき、第2弾性部材33の一の端部は、平面視において、第2振動素子21と第2基板23とが重畳する領域内の、第2振動素子21の長手方向の端部に対応する位置に配されることになる。
【0048】
図16を参照して、音響装置1の構造の例をより詳細に説明する。
図16は、
図14と同様の断面において、第1振動素子11、第1基板13,第2振動素子21及び第2基板23を拡大して示す図である。また、
図16では、振動素子11への駆動信号の入力方法を説明するため、第1振動素子11及び第2振動素子21に含まれる各電極の接続関係を回路図により模式的に示している。
【0049】
第1振動素子11は、電極111、振動層112、電極113、接着層116及び保護層117を含む。電極111及び電極113は、振動層112を厚さ方向に挟むように配されており、振動層112に電圧を印加する。接着層116は、第1振動素子11を第1基板13の第1主面13aに連結する層である。保護層(または保護部材)117は、電極111の上面を保護及び絶縁する。例えば、保護層117は、省略可能であり得る。本実施形態では、振動層112の分極方向は、
図6に示されているようにz軸の正方向としているが、負方向であり得る。
【0050】
第2振動素子21は、電極211、振動層212、電極213、接着層216及び保護層217を含む。電極211及び電極213は、振動層212を厚さ方向に挟むように配されており、振動層212に電圧を印加する。接着層216は、第2振動素子21を第2基板23の第1主面23aに連結する層である。保護層218は、第2基板23の上面を保護及び絶縁する。例えば、保護層218は、省略可能であり得る。本実施形態では、振動層212の分極方向は、
図6に示されているようにz軸の正方向としているが、負方向であり得る。第1基板13の第2主面13bの一部は、接着層51を介して第2振動素子21の一方の主面の一部と接着される。本実施形態では、接着層51が保護層の役割も兼ねるため、
図6に示した保護層217に対応する構成を省略している。しかしながら、接着層51とは別途に保護層217を接着層51と第2振動素子21との間に配することもできる。
【0051】
第1振動素子11及び第2振動素子21に印加される電圧は、音声信号に基づくものであるため、生成すべき音声の周波数に応じた交流電圧と考えることができる。
図16では、この交流電圧を交流電源(V)の回路記号で示している。交流電源(V)の一方の端子は、電極111及び電極211に接続され、他方の端子は、電極113及び電極213に接続される。
【0052】
図16に示されているように、振動層112の分極方向は、振動層212の分極方向と同一であり、振動層112の印加電圧は、振動層214の印加電圧と同一の向きである。これにより、振動層112と振動層212の伸縮方向は整合する。本実施形態においても、第1振動素子11及び第2振動素子21に第1基板13及び第2基板23がそれぞれ連結されていることにより、
図9に示した特性と同様の低音域の音圧が増強される効果が得られる。したがって、本実施形態によれば、音質が向上された音響装置が提供される。
【0053】
また、第1基板13及び第2基板を有しない音響装置では、音圧の上昇のために印加電圧を一定以上に大きくすると、第1振動素子11及び第2振動素子21の曲率の上昇により素子にクラックが入り、音響性能が著しく劣化してしまう。本実施形態によれば、第1基板13及び第2基板23を導入することで、第1振動素子11及び第2振動素子21の強度を高めることができ、クラックの発生を抑制できる。したがって、本実施形態によれば、大きな信号入力により高い音圧が求められる場合でも音質の向上された音響装置が提供される。
【0054】
[変形例]
以下に第2実施形態の変形例を説明する。第1振動素子11、第1基板13、第2振動素子21及び第2基板23以外の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0055】
図17は、本実施形態の変形例に係る音響装置の構成を示す断面図である。
図17は、
図14及び
図16と同様に、
図13のA-A’線における断面図を示している。本変形例において、第1基板13のy軸方向の長さは第1振動素子11のy軸方向の長さと同一であり得るが、本明細書の実施形態はこれらに限定されない。例えば、第1基板13のy軸方向の長さは、第1振動素子11のy軸方向の長さ以上であり得る。このように第1基板13を構成することで、
図10に示した変形例と同様に、平面視において第1振動素子11と重畳されていない第1基板13の端部(または縁部)から高調波が発生するのを抑制することができる。同様に第2基板23のy軸方向の長さを第2振動素子21のy軸方向の長さと同一であり得るが、本明細書の実施形態はこれらに限定されない。例えば、第2基板23のy軸方向の長さは、第2振動素子21のy軸方向の長さ以上であり得る。このように第2基板23を構成することで、さらに効果的に高調波の発生を抑制することができる。したがって、本変形例によれば、さらに音質の向上された音響装置が提供される。
【0056】
図18は、本実施形態の別の変形例に係る音響装置の構成を示す断面図である。
図18は、
図14及び
図16と同様に、
図13のA-A’線における断面図を示している。本変形例において、第1振動素子11及び第2振動素子21の素子構造としてバイモルフ構造を採用している。バイモルフ構造を採用することにより、
図11に示した変形例と同様に、電圧と変位の変換効率を向上させることができる。また、第1振動素子11及び第2振動素子21はそれぞれ第1基板13及び第2基板23と連結されているため、バイモルフ構造によって振動素子の変位がさらに大きくなった場合でも振動素子へのクラックの発生を抑制することができる。したがって、本変形例によれば、高い音圧が求められる場合でも振動素子を破損させず、音質の向上された音響装置が提供される。
【0057】
図19は、本実施形態のさらに別の変形例に係る音響装置の構成を示す断面図である。
図19は、
図14及び
図16と同様に、
図13のA-A’線における断面図を示している。本変形例において、第1基板13のy軸方向の長さは第1振動素子11のy軸方向の長さと同一であり得るが、本明細書の実施形態はこれらに限定されない。例えば、第1基板13のy軸方向の長さは、第1振動素子11のy軸方向の長さ以上であり得る。また、第1振動素子11及び第2振動素子21の素子構造としてバイモルフ構造を採用している。したがって、本変形例によれば、
図12に示した変形例と同様に、高い音圧が求められる場合でも振動素子を破損させず、かつ効果的に高調波の発生が抑制され、音質の向上された音響装置が提供される。
【0058】
[第3実施形態]
本実施形態では、第1実施形態に係る音響装置1の第2弾性部材33の構造についての変形例を説明する。第2振動素子21及び第2基板23の構造は他の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0059】
図20から
図23は、本実施形態に係る音響装置の構成例を示す平面図である。第1実施形態では、2個の第2弾性部材33を用いて音響装置1が構成されていた。本実施形態では、第2弾性部材33の数量及び配置が第1実施形態から変更されている。
図20は、5個の第2弾性部材33を第2振動素子21の一主面の下に配した変形例である。例えば、5個の第2弾性部材33は、第2振動素子21の各角部及び真中部にそれぞれ配置され得る。
図21は、6個の第2弾性部材33を第2振動素子21の一主面の下に配した変形例である。例えば、6個の第2弾性部材33は、第2振動素子21の各角部及びx軸方向の2つの角部の間の中間部(CP)にそれぞれ配置され得る。
図22は、8個の第2弾性部材33を第2振動素子21の一主面の下に配した変形例である。例えば、8個の第2弾性部材33は、第2振動素子21の各角部、x軸方向の2つの角部の間の中間部(CP)、及び第2振動素子21の2個の領域(A1、A2)のそれぞれの中心部にそれぞれ配置され得る。
図23は、9個の第2弾性部材33を第2振動素子21の一主面の下に配した変形例である。例えば、9個の第2弾性部材33は、第2振動素子21の各角部、真中部、及び各角部のそれぞれと真中部との間の中間部にそれぞれ配置され得る。
図21から
図23のいずれも、
図3のB-B’線に対して線対称に第2弾性部材33が配されている。
【0060】
第2弾性部材33の数量及び配置の変更による音響特性への効果について、実測データを参照してより詳細に説明する。
図24は、本実施形態に係る音響装置の音響特性を示すグラフである。
図24の横軸は対数目盛による周波数(Hz)であり、縦軸は、デシベル(dB)単位による音圧である。
図24において一点鎖線により示されている曲線は、
図20に示された5つの第2弾性部材33を配した音響装置1の音響特性である。実線により示されている曲線は、
図21に示された6つの第2弾性部材33を配した音響装置1の音響特性である。破線により示されている曲線は、
図22に示された8つの第2弾性部材33を配した音響装置1の音響特性である。長二点鎖線により示されている曲線は、
図23に示された9つの第2弾性部材33を配した音響装置1の音響特性である。第2基板23として厚さ0.3mmのステンレス鋼が用いられている。また、点線により示されている曲線は、本実施形態の構成から第2基板23を除外した実験例における音響装置の音響特性である。
【0061】
図24において100Hzから300Hz付近における曲線を比較すると、第2振動素子21の中央部分に第2弾性部材33が配されていない
図21及び
図22の構成において、実験例に対して
図24に示される低音域のピーク(1)が低周波数側にシフトしていることが理解される。特に
図21に示す構成により、100Hz付近の低音域において他の構成と比べて最も大きい音圧を得ることができる。さらに、
図20から
図23のいずれの構成のおいても、実験例に対し、
図24に示される中音域から高音域のピーク-ディップ((2)、(4)、(5))が低減していることが理解される。特に、第2振動素子21の中央部分に第2弾性部材33が配されていない
図21及び
図22の構成において、ピーク-ディップ(2)の著しい低減を達成できている。また、
図20から
図23のいずれの構成のおいても、実験例に対し、高音域が著しく低減されている。実験例において中音域及び高音域の音圧の生成に用いられていたエネルギが低音域の増強のために使用されていることが考えられる。本実施形態で示したように第2弾性部材33の数量及び配置を変更することにより、低音域の音圧が増強され、ピーク-ディップを平坦化する効果が得られる。したがって、本実施形態によれば、音質がさらに向上された音響装置が提供される。
【0062】
[第4実施形態]
本実施形態では、第3実施形態に係る音響装置1の構造についての変形例を説明する。
【0063】
図25から
図27は、本実施形態に係る音響装置の構成例を示す平面図である。第3実施形態では、1つの第2振動素子21の下に第2弾性部材33を配して音響装置1が構成されていた。本実施形態では、2つの第2振動素子21a、21bを第2基板23の第2主面23bの下に並列に配し、2つの第2振動素子21a、21bの下に第2弾性部材33を配している。
図25は、9個の第2弾性部材33を第2振動素子21a、21bの各主面の下に配した変形例である。
図26は、12個の第2弾性部材33を第2振動素子21a、21bの各主面の下に配した変形例である。
図27は、13個の第2弾性部材33を第2振動素子21a、21bの各主面の下に配した変形例である。
図25から
図27のいずれも、
図3のB-B’線に対して線対称に第2弾性部材33が配されている。
【0064】
第2振動素子21及び第2弾性部材33の数量及び配置の変更による音響特性への効果について、実測データを参照してより詳細に説明する。
図28は、本実施形態に係る音響装置の音響特性を示すグラフである。
図28の横軸は対数目盛による周波数であり、縦軸は、デシベル単位による音圧である。
図28において一点鎖線により示されている曲線は、
図25に示された9個の第2弾性部材33を配した音響装置1の音響特性である。実線により示されている曲線は、
図26に示された12個の第2弾性部材33を配した音響装置1の音響特性である。破線により示されている曲線は、
図27に示された13個の第2弾性部材33を配した音響装置1の音響特性である。第2基板23として厚さ0.3mmのステンレス鋼が用いられている。また、点線により示されている曲線は、本実施形態の構成から第2基板23を除外した実験例における音響装置の音響特性である。
【0065】
図28において100Hzから300Hz付近における曲線を比較すると、
図25から
図27のいずれの構成においても、実験例に対して
図28に示される低音域のピーク(1)が低周波数側にシフトしていることが理解される。特に
図25に示す構成により、100Hz付近の低音域において他の構成と比べて最も大きい音圧を得ることができる。さらに、
図25から
図27のいずれの構成のおいても、実験例に対し、
図28に示される中音域のピーク-ディップ((2)、(4))が低減していることが理解される。また、
図25から
図27のいずれの構成のおいても、実験例に対し、高音域が著しく低減されている。実験例において中音域及び高音域の音圧の生成に用いられていたエネルギが低音域の増強のために使用されていることが考えられる。本実施形態で示したように第2弾性部材33の数量及び配置を変更することにより、低音域の音圧が増強され、ピーク-ディップを平坦化する効果が得られる。したがって、本実施形態によれば、音質がさらに向上された音響装置が提供される。
【0066】
[第5実施形態]
本実施形態では、第5実施形態に係る音響装置1における振動素子の構造の変形例を説明する。
【0067】
図29は、本実施形態に係る音響装置における振動素子の構成を示す平面図である。
図30は、
図29のC-C’線における断面図を示している。
図29及び
図30に示されているように、本実施形態に係る第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれは、振動発生部(または振動部)11Aを含むことができる。
【0068】
振動発生部11Aは、振動層112と、振動層112の第1面にある第1電極111と、振動層112の第1面と異なる第2面にある第2電極113と、を含むことができる。振動層112は、
図6で説明した振動層112と実質的に同一であり得るので、これに対する重複説明は省略する。第1電極111及び第2電極113は、振動層112を厚さ方向に挟むように配されており、振動層112に電圧を印加する。振動層112の分極方向は、z軸の正方向又は負方向であり得る。なお、第1電極111及び第2電極113には、各電極に電圧を印加するための配線が接続され得る。
【0069】
本実施形態に係る第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれは、第1保護層(または第1保護部材)117a、第2保護層(または第2保護部材)117bをさらに含むことができる。第1保護層117aは、振動発生部11Aの第1面(または前面または上面)と連結され得る。第1保護層117aは、振動発生部11Aの第1面を保護及び絶縁する。第2保護層117bは、振動発生部11Aの第2面(または背面または下面)と連結され得る。第2保護層117bは、振動発生部11Aの第2面を保護及び絶縁する。例えば、第1振動素子11の第1保護層117aと第2保護層117bのうちのいずれか1つは、接着層を介して第1基板13と連結され得る。例えば、第2振動素子21の第1保護層117aと第2保護層117bのうちのいずれか1つは、接着層を介して第2基板23と連結され得る。
【0070】
第1保護層117aは、第1接着層118aを介して、第1電極111に連結されるか、または結合され得る。第2保護層117bは、第2接着層118bを介して、第2電極113に連結されるか、または結合され得る。第1接着層118aと第2接着層118bは、振動発生部11Aを完全に取り囲むように、第1保護層117aと第2保護層117bとの間に構成され得る。例えば、振動発生部11Aは、第1接着層118aと第2接着層118bとの間に埋め込まれるか、または内蔵され得る。
【0071】
[第6実施形態]
本実施形態では、第5実施形態に係る音響装置1の振動素子における振動層の構造の変形例を説明する。
【0072】
図31は、本実施形態に係る音響装置の振動素子における振動層を示す斜視図である。本実施形態に係る第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれにおける振動発生部11Aの振動層112は、複数の第1部分112a及び1つ以上の第2部分112bを含むことができる。例えば、振動層112は、複数の第1部分112a及び複数の第1部分112aの間にある複数の第2部分112bを含むことができる。例えば、複数の第1部分112a及び複数の第2部分112bは、x軸方向に沿って交互に繰り返し配置され得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されるものではない。
【0073】
複数の第1部分112aのそれぞれは、圧電特性を有する無機物質を含むことができる。例えば、複数の第1部分112aのそれぞれは、無機物質部または圧電物質部であり得る。複数の第1部分112aのそれぞれは、x軸方向と平行な第1幅を有し、y軸方向に沿って延長され得る。複数の第1部分112aのそれぞれは、
図6で説明した振動層112と実質的に同一であり得るので、これに対する重複説明は省略する。
【0074】
複数の第2部分112bのそれぞれは、複数の第1部分112aの間に配置され得る。例えば、複数の第1部分112aのそれぞれは、複数の第2部分112bのうちの隣接する2つの第2部分112bの間に配置され得る。例えば、複数の第1部分112aと複数の第2部分112bは、互いに同一または異なる大きさを有するライン形状またはストライプ形状を含むことができる。
【0075】
複数の第2部分112bのそれぞれは、隣接する2つの第1部分112a間のギャップを埋めるように構成され得る。複数の第1部分112aと複数の第2部分112bのそれぞれは、同一の平面(または同一層)に互いに平行に配置(または配列)され得る。複数の第2部分112bのそれぞれは、第1部分112aに印加される衝撃を吸収することによって、第1部分112aの耐久性を向上させることができ、第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれに柔軟性を提供することができる。複数の第2部分112bのそれぞれは、軟性特性を有する有機物質を含むことができる。例えば、複数の第2部分112bは、エポキシ系ポリマー、アクリル系ポリマー、およびシリコーン系ポリマーのうちのの1つ以上であり得るが、本明細書の実施形態はこれらに限定されない。例えば、複数の第2部分112bのそれぞれは、有機部、有機物質、接着部、伸縮部、曲げ部、ダンピング部、弾性部、弾力部、または軟性部などで表現されることができるが、本明細書の実施形態はこれに限定されるものではない。
【0076】
複数の第1部分112aと複数の第2部分112bのそれぞれの第1面は、第1電極と共通に連結され得る。複数の第1部分112aと複数の第2部分112bのそれぞれの第2面は、第2電極と共通に連結され得る。
【0077】
第6実施形態に係る音響装置1の第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれにおける振動層112は、複数の第1部分112aと第2部分112bとが同一の平面に配置(または連結)されることにより、単一の薄いフィルム形状を有することができる。これにより、第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれは、振動特性を有する第1部分112aによって上下の方向に振動することができ、柔軟性を有する第2部分112bによって曲面の形状に曲がることができる。例えば、振動層112を含む第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれは、2-2複合体構造を有することにより、20kHz以下の共振周波数を有することができるが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。
【0078】
[第7実施形態]
本実施形態では、第5実施形態に係る音響装置1の振動素子における振動層の構造の他の変形例を説明する。
【0079】
図32は、本実施形態に係る音響装置の振動素子における振動層を示す斜視図である。本実施形態に係る第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれにおける振動発生部11Aの振動層112は、複数の第1部分112a及び第2部分112bを含むことができる。例えば、振動層112は、複数の第1部分112a、および複数の第1部分112aの間に配置された第2部分112bを含むことができる。
【0080】
複数の第1部分112aのそれぞれは、x軸方向とy軸方向のそれぞれに沿って互いに離隔されるように配置され得る。例えば、複数の第1部分112aのそれぞれは、互いに同じ大きさを有する六面体形状を有しながら格子形状に配置され得る。複数の第1部分112aのそれぞれは、
図31で説明した第1部分112aと実質的に同一であり得るので 、これに対する重複説明は省略する。
【0081】
第2部分112bは、x軸方向とy軸方向のそれぞれに沿って複数の第1部分112aの間に配置され得る。第2部分112bは、隣接する2つの第1部分112aの間のギャップを埋めるか、または複数の第1部分112aのそれぞれを囲むように構成されることによって、隣接する第1部分112aと連結されるか、または接着され得る。第2部分112bは、
図31で説明した第2部分112bと実質的に同一であり得るので、これに対する重複説明は省略する。
【0082】
複数の第1部分112aと第2部分112bのそれぞれの第1面は、第1電極と共通に連結され得る。複数の第1部分112aと第2部分112bのそれぞれの第2面は、第2電極と共通に連結され得る。
【0083】
第7実施形態に係る音響装置1の第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれにおける振動層112は、複数の第1部分112aと第2部分112bが、同一の平面に配置(または連結)されることにより、単一の薄いフィルム形状を有することができる。これにより、第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれは、振動特性を有する第1部分112aによって上下の方向に振動することができ、柔軟性を有する第2部分112bによって曲面の形状に曲がることができる。例えば、振動層112を含む第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれは、1-3複合体構造を有することにより、20kHz以下の共振周波数を有することができるが、本明細書の実施形態はこれに限定されない。
【0084】
[第8実施形態]
本実施形態では、第8実施形態に係る音響装置1における振動素子の構造の変形例を説明する。
【0085】
図33は、本実施形態に係る音響装置における振動素子の構成を示す平面図である。
図34は、
図33のD-D’線における断面図を示している。
図33及び
図34に示されているように、本実施形態に係る第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれは、少なくとも2つ以上の振動発生部(または振動部)11A、11Bを含むことができる。例えば、第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれは、第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bを含むことができる。
【0086】
第1及び第2振動発生部11A、11Bのそれぞれは、x軸方向に沿って互いに離隔しながら電気的に分離されて配置され得る。第1及び第2振動発生部11A、11Bのそれぞれは、圧電効果によって収縮と膨張を交互に繰り返すことにより、振動することができる。例えば、第1及び第2振動発生部11A、11Bは、x軸(またはy軸)方向に沿って第1間隔(D1)で配置されるか、またはタイリングされ得る。第1及び第2振動発生部11A、11Bのそれぞれは、同一の平面上に配置されるか、またはタイリングされることにより、振動素子11は、相対的に小さい大きさを有する第1及び第2振動発生部11A、11Bのタイリングによって大面積化され得る。これにより、第1及び第2振動発生部11A、11Bがタイリングされた振動素子11は、振動アレイ、振動アレイ部、振動モジュールアレイ部、振動アレイ構造物、タイリング振動アレイ、タイリング振動アレイモジュール、またはタイリング振動フィルムであり得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されるものではない。
【0087】
第1及び第2振動発生部11A、11Bのそれぞれは、一定の間隔(D1)で配置されるか、またはタイリングされることによって、独立して駆動せず、完全な1つの単一体の形態で駆動される1つの振動装置(または単一振動装置)として実現され得る。x軸方向を基準に、第1及び第2振動発生部11A、11Bの間の第1間隔(D1)は、0.1mm以上3cm未満であり得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されるものではない。
【0088】
第1及び第2振動発生部11A、11Bの単一体振動に連動されて発生される音響の再生帯域を増加させ、低音域帯音響、例えば、500Hz以下での音圧特性を増加させるために、第1及び第2振動発生部11A、11Bは、0.1mm以上5mm未満の第1間隔(D1)で配置され得る。例えば、第1及び第2振動発生部11A、11Bが0.1mm未満の第1間隔(D1)または第1間隔(D1)なしに配置されるとき、第1及び第2振動発生部11A、11Bのそれぞれの振動時に、互いの間の物理的な接触によるクラックの発生または破損によって、第1及び第2振動発生部11A、11Bまたは振動素子11の信頼性が低下され得る。
【0089】
第1及び第2振動発生部11A、11Bのそれぞれは、振動層112と、振動層112の第1面にある第1電極111と、振動層112の第1面と異なる第2面にある第2電極113と、を含むことができる。振動層112は、
図6で説明した振動層112と実質的に同一であり得るので、これに対する重複説明は省略する。他の変形例によれば、振動層112は、
図31に示した変形例と同様に、複数の第1部分112aと複数の第2部分112bを含むか、または
図32に示した変形例と同様に、複数の第1部分112aと第2部分112bを含むことができ、これに対する重複する説明は省略する。
【0090】
第1電極111及び第2電極113は、振動層112を厚さ方向に挟むように配されており、振動層112に電圧を印加する。振動層112の分極方向は、z軸の正方向又は負方向であり得る。なお、第1電極111及び第2電極113には、各電極に電圧を印加するための配線が接続され得る。
【0091】
本実施形態に係る第1振動素子11及び第2振動素子21のそれぞれは、第1保護層(または第1保護部材)117a、第2保護層(または第2保護部材)117bをさらに含むことができる。第1保護層117aは、第1及び第2振動発生部11A、11Bのそれぞれの第1面(または前面または上面)と共通に連結され得る。第1保護層117aは、第1及び第2振動発生部11A、11Bのそれぞれの第1面を保護及び絶縁する。第2保護層117bは、第1及び第2振動発生部11A、11Bのそれぞれの第2面(または背面または下面)と共通に連結され得る。第2保護層117bは、第1及び第2振動発生部11A、11Bのそれぞれの第2面を保護及び絶縁する。例えば、第1振動素子11の第1保護層117aと第2保護層117bのうちのいずれか1つは、接着層を介して第1基板13と連結され得る。例えば、第2振動素子21の第1保護層117aと第2保護層117bのうちのいずれか1つは、接着層を介して第2基板23と連結され得る。
【0092】
第1保護層117aは、第1接着層118aを介して、第1電極111に連結されるか、または結合され得る。第2保護層117bは、第2接着層118bを介して、第2電極113に連結されるか、または結合され得る。第1接着層118aと第2接着層118bは、第1及び第2振動発生部11A、11Bのそれぞれを取り囲むように、第1保護層117aと第2保護層117bとの間に構成され得る。例えば、第1接着層118aと第2接着層118bは、第1及び第2振動発生部11A、11Bのそれぞれを完全に取り囲むように、第1保護層117aと第2保護層117bとの間に構成され得る。第1接着層118aと第2接着層118bは、第1振動発生部11Aと第2振動発生部11Bとの間で互いに連結されるか、または結合され得る。例えば、第1及び第2振動発生部11A、11Bは、第1接着層118aと第2接着層118bとの間に埋め込まれるか、または内蔵され得る。
【0093】
[第9実施形態]
本実施形態では、第1乃至第8実施形態に係る音響装置1が表示装置であり、振動部材90が表示装置の表示パネルの機能を兼ねている場合の具体的な構成例を説明する。第1乃至第8実施形態と共通する要素については説明を省略又は簡略化することがある。
【0094】
図35は、第9実施形態に係る表示装置60の構成図である。本実施形態の表示装置60の用途は、例えば、電子ポスター、デジタル掲示板、電子広告板、コンピュータのスクリーン、テレビジョン受像機等であり得るが、本明細書の実施形態はこれに限定されるものではない。ホストシステム7、振動素子11、21の構造は第1乃至第4実施形態のいずれかと同様であるため説明を省略する。また、
図35においては不図示であるが、振動素子11、21には、第1乃至第4実施形態の第1基板13、第2基板23、第1弾性部材31、第2弾性部材33等が連結されている。
【0095】
図35に示されているように、表示装置60は、振動素子11,21、制御部200、パネル制御部300、データ駆動回路400、ゲート駆動回路500及び表示パネル600を有する。表示装置60は、入力されたRGBデータ等に基づいて表示パネル600に画像を表示し、入力された駆動信号等に基づいて音声を発する装置である。
【0096】
パネル制御部300は、ホストシステム7から入力された画像データ及びタイミング信号に基づいてデータ駆動回路400及びゲート駆動回路500を制御する。データ駆動回路400は、複数の画素(P)の列ごとに配された駆動線410を介して複数の画素(P)にデータ電圧等を供給する。ゲート駆動回路500は、複数の画素(P)の行ごとに配された駆動線510を介して複数の画素(P)に制御信号を供給する。なお、駆動線410及び駆動線510の各々は、複数の配線により構成されていてもよい。
【0097】
表示パネル600は、複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素(P)を含む。表示装置60は、例えば、画素(P)の発光素子として有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode;OLED)が配された表示パネル600を用いたOLEDディスプレイであり得る。あるいは、表示装置60は、液晶材料、偏光板等を備える液晶パネルを表示パネル600として用いた液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)であってもよい。これらの構造によれば、表示パネル600を薄くすることができるため、表示装置60の薄型化に好適である。表示装置60がカラー画像を表示可能である場合には、画素(P)は、カラー画像を構成する複数の色(例えばRGB)のいずれかを表示する副画素であり得る。
【0098】
制御部200、パネル制御部300、データ駆動回路400及びゲート駆動回路500の各々は、1又は複数の半導体集積回路によって構成され得る。また、制御部200、パネル制御部300、データ駆動回路400及びゲート駆動回路500のうちの一部又は全部は、1つの半導体集積回路として一体に構成され得る。
【0099】
本実施形態の表示装置60は、ホストシステム7から画像信号(例えばRGBデータ)、駆動信号及びタイミング信号(垂直同期信号、水平同期信号、データイネーブル信号等)が供給されることにより、画像を表示し、かつ音を発する。表示パネル600は、画像の表示を行う画像表示面と、画像表示面と対向する裏面を有する。表示パネル600の裏面には、振動素子11、21が連結されている。これにより表示パネル600は、画像表示の機能と、第1乃至第4実施形態における振動部材90の機能とを有する。本実施形態では、表示パネル600から表示された画像から音が発せられるような音響効果を有する表示装置60を提供することができる。
【0100】
本明細書の実施例に係る音響装置は、装置に配置される音響装置に適用され得る。本明細書の実施例に係る装置は、モバイルデバイス、テレビ電話、スマートウォッチ(smart watch)、ウォッチフォン(watch phone)、ウェアラブル機器(wearable apparatus)、フォルダブル機器(foldable apparatus)、ローラブル機器(rollable apparatus)、ベンダブル機器(bendable apparatus)、フレキシブル機器(flexible apparatus)、カーブ・ド機器(curved apparatus)、スライド機器(sliding apparatus)、可変型機器(variable apparatus)、電子手帳、電子書籍、PMP(portable multimedia player)、PDA(personal digital assistant)、MP3プレーヤー、モバイル医療機器、デスクトップPC(desktop PC)、ラップトップPC(laptop PC)、ネットブックコンピュータ(netbook computer)、ワークステーション(workstation)、ナビゲーション、車両用ナビゲーション、車両用表示装置、車両用装置、劇場用装置、劇場用表示装置、テレビ、ウォールペーパー(wall paper)機器、サイネージ(signage)機器、ゲーム機器、ノートブック、モニター、カメラ、ビデオカメラ、および家電機器などに適用することができる。そして、本明細書の音響装置は、有機発光照明装置または無機発光照明装置に適用することができる。音響装置が照明装置に適用される場合、照明装置は照明およびスピーカの役割を果たすことができる。そして、本明細書の音響装置がモバイル機器などに適用される場合、音響装置はスピーカ、レシーバ、およびハプティック装置のうちの1つ以上であり得、本明細書の実施形態はこれに限定されない。
【0101】
本明細書の実施形態に係る音響装置は、以下のように説明することができる。
【0102】
本明細書の実施形態に係る音響装置は、入力された駆動信号によって振動する第1振動素子と、互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、第1振動素子が第1主面の少なくとも一部の上に配された第1基板と、互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、第1主面の一部が第1基板の第2主面の一部と接するように配された第2基板と、第2基板の第2主面の少なくとも一部と接するように配され、入力された駆動信号によって振動する第2振動素子と、振動部材と、第1基板と振動部材とを連結する第1弾性部材と、第2振動素子と振動部材とを連結する第2弾性部材と、を含むことができる。
【0103】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1弾性部材は、第1基板の第2主面と接しており、平面視において第1基板と第1振動素子とが重畳する領域に配され得る。
【0104】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、第1弾性部材の一の縁部は、平面視において、第1振動素子の長手方向の縁部に対応する位置に配され得る。
【0105】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第2弾性部材は、第2振動素子と接しており、平面視において第2基板と第2振動素子とが重畳する領域に配され得る。
【0106】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第2振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、第2弾性部材の一の縁部は、平面視において、第2振動素子の長手方向の縁部に対応する位置に配され得る。
【0107】
本明細書の実施形態に係る音響装置は、入力された駆動信号によって振動する第1振動素子と、互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、第1振動素子が第1主面の少なくとも一部の上に配された第1基板と、第1基板の第2主面の一部と接するように配され、入力された駆動信号によって振動する第2振動素子と、互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、第1主面の少なくとも一部が第2振動素子と接するように配された第2基板と、振動部材と、第1基板と振動部材とを連結する第1弾性部材と、第2基板と振動部材とを連結する第2弾性部材と、を含むことができる。
【0108】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1弾性部材は、第1基板の第2主面と接しており、平面視において第1基板と第1振動素子とが重畳する領域に配され得る。
【0109】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、第1弾性部材の一の縁部は、平面視において、第1振動素子の長手方向の縁部に対応する位置に配され得る。
【0110】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第2弾性部材は、第2基板の第2主面と接しており、平面視において第2基板と第2振動素子とが重畳する領域に配され得る。
【0111】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第2振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、第2弾性部材の一の縁部は、平面視において、第2振動素子の長手方向の縁部に対応する位置に配され得る。
【0112】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1基板及び第2基板の少なくとも一方は、ステンレス鋼を含むことができる。
【0113】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1基板及び第2基板の少なくとも一方の厚みは、0.1mmから0.5mmの間であり得る。
【0114】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1基板及び第2基板の少なくとも一方の厚みは、0.2mmから0.4mmの間であり得る。
【0115】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1基板及び第1振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、第1基板の長手方向の長さは、第1振動素子の長手方向の長さ以上であり得る。
【0116】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第2基板及び第2振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、第2基板の長手方向の長さは、第2振動素子の長手方向の長さ以上であり得る。
【0117】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1基板、第1振動素子、第2基板及び第2振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、第1基板及び第2基板の少なくとも一方の長手方向の長さは、第1振動素子及び第2振動素子の少なくとも一方の長手方向の長さと同一であり得る。
【0118】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1基板、第1振動素子、第2基板及び第2振動素子は、平面視において、長手方向及び短手方向を含む矩形状であり、第1基板の長手方向及び第1振動素子の長手方向は第1方向に延び、第2基板の長手方向及び第2振動素子の長手方向は第2方向に延び、第1基板及び第1振動素子は、平面視において第2基板及び第2振動素子と交差することができる。
【0119】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、振動部材は、表示装置の表示パネルであり、
表示パネルは、画像が表示される画像表示面と、画像表示面に対向する裏面と、を含み、
第1振動素子及び第2振動素子の振動は、表示パネルの裏面に伝達され得る。
【0120】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1基板と第2基板とは、平面視において「+」字形状を含むように配置され得る。
【0121】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、振動部材は、金属、樹脂、ガラス、木材、ゴム、プラスチック、繊維、布、紙、皮革、またはカーボンの材料で構成されるか、または映像を表示するように構成された画素を含む表示パネル、表示装置から映像が投影されるスクリーンパネル、照明パネル、発光ダイオード照明パネル、有機発光照明パネル、無機発光照明パネル、サイネージパネル、運送手段の内装材、運送手段のガラス窓、運送手段の外装材、運送手段の座席内装材、建物の天井材、建物の内装材、建物のガラス窓、航空機の内装材、航空機のガラス窓、または鏡を含むことができる。
【0122】
本明細書の実施形態に係る音響装置は、振動部材と、互いに交差する第1基板と第2基板と、第1基板に連結された第1振動素子と、第2基板に連結された第2振動素子と、第1基板及び第2基板のそれぞれの振動を振動部材に伝達する伝達部材と、を含むことができる。
【0123】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、音響装置は、第1基板と第2基板との間の接着剤をさらに含み、接着剤は、弾性部材よりも低い弾性係数を含むことができる。
【0124】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、伝達部材は、第1基板と振動部材との間に連結された複数の第1弾性部材と、第2基板と振動部材との間に連結された複数の第2弾性部材と、を含むことができる。
【0125】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、複数の第2弾性部材は、第2振動素子と重畳されるように第2基板に連結され得る。
【0126】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、伝達部材は、第1基板と振動部材との間に連結された複数の第1弾性部材と、第2振動素子と振動部材との間に連結された複数の第2弾性部材と、を含むことができる。
【0127】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、複数の第1弾性部材は、第1振動素子と重畳されるように第1基板に連結され得る。
【0128】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、伝達部材は、第2振動素子の各角部及び真中部にそれぞれ重畳されるように配置された5つの第2弾性部材を含むことができる。
【0129】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、伝達部材は、第2振動素子の各角部、真中部、及び各角部のそれぞれと真中部との間の中間部にそれぞれ重畳されるように配置された9つの第2弾性部材を含むことができる。
【0130】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1振動素子と第2振動素子のそれぞれは、振動発生部を含み、振動発生部は、複数の第1部分と複数の第1部分との間にある1つ以上の第2部分を含む振動層と、振動層の第1面にある第1電極と、振動層の第1面とは異なる第2面にある第2電極と、を含むことができる。
【0131】
本明細書の実施形態に係る音響装置は、複数の第1部分は、圧電特性を含む無機物質を含み、1つ以上の第2部分は、軟性特性を含む有機物質を含むことができる。
【0132】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1振動素子と第2振動素子のそれぞれは、振動発生部の第1面にある第1保護部材と、振動発生部の第2面とは異なる第2面にある第2保護部材と、をさらに含むことができる。
【0133】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1振動素子と第2振動素子のそれぞれは、振動発生部と第1保護部材との間にある第1接着層と、振動発生部と第2保護部材との間にある第2接着層と、をさらに含むことができる。
【0134】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1振動素子と第2振動素子のそれぞれは、少なくとも2つ以上の振動発生部を含み、少なくとも2つ以上の振動発生部のそれぞれは、振動層と、振動層の第1面にある第1電極と、振動層の第1面と異なる第2面にある第2電極と、を含むことができる。
【0135】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1振動素子と第2振動素子のそれぞれは、少なくとも2つ以上の振動発生部のそれぞれの第1面と共通に連結された第1保護部材と、少なくとも2つ以上の振動発生部のそれぞれの第2面と共通に連結された第2保護部材と、をさらに含むことができる。
【0136】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1振動素子と第2振動素子のそれぞれは、少なくとも2つ以上の振動発生部と第1保護部材との間にある第1接着層と、少なくとも2つ以上の振動発生部と第2保護部材との間にある第2接着層と、をさらに含むことができる。
【0137】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、第1接着層及び第2接着層は、少なくとも2つ以上の振動発生部の間で互いに連結され得る。
【0138】
以上で説明した本明細書は、上述した実施例および添付した図に限定されるものではなく、本明細書の技術的思想から逸脱しない範囲内で種々の置換、変形および変更が可能であることが、本明細書が属する技術分野において通常の知識を有する者にとっては明らかである。したがって、本明細書の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲、およびその等価概念から導出されるすべての変更または変形形態が、本明細書の範囲に含まれると解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0139】
1 音響装置
11 第1振動素子
13 第1基板
21 第2振動素子
23 第2基板
31 第1弾性部材
33 第2弾性部材
90 振動部材
【要約】
【課題】音質が向上された音響装置を提供すること。
【解決手段】入力された駆動信号によって振動する第1振動素子と、互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、第1振動素子が第1主面の少なくとも一部の上に配された第1基板と、互いに対向する第1主面及び第2主面を含み、第1主面の一部が第1基板の第2主面の一部と接するように配された第2基板と、第2基板の第2主面の少なくとも一部と接するように配され、入力された駆動信号によって振動する第2振動素子と、振動部材と、第1基板と振動部材とを連結する第1弾性部材と、第2振動素子と振動部材とを連結する第2弾性部材とを含む。
【選択図】
図2