(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】システム、計測システム、及び、サンプルを調査する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/55 20140101AFI20240311BHJP
G01N 21/21 20060101ALI20240311BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G01N21/55
G01N21/21 Z
G01N21/27 B
(21)【出願番号】P 2022515613
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(86)【国際出願番号】 US2019000030
(87)【国際公開番号】W WO2020190252
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508293737
【氏名又は名称】ジェイ・エイ・ウーラム・カンパニー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】J.A.WOOLLAM CO.,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100141955
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100085419
【氏名又は名称】大垣 孝
(72)【発明者】
【氏名】ホボルカ グリフィン エー.ピー.
(72)【発明者】
【氏名】リファード,マーチン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ファイファー,ガレン エル.
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-220970(JP,A)
【文献】特開平09-243766(JP,A)
【文献】特開平08-161049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0098081(US,A1)
【文献】特表2007-537455(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0185136(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/958
G01J 3/00 - G01J 4/04
G01J 7/00 - G01J 9/04
G01B 3/00 - G01B 11/30
G01B 15/00 - G01B 21/32
G05D 3/00 - G05D 3/20
G12B 1/00 - G12B 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの回転を介して、斜めの角度に向けられたサンプル調査電磁放射ビームに対してサンプルを位置決めするためのシステムであって、
a)支持体と;
b)一端において、前記支持体に、第1の回転軸の周りで回転可能に取り付けられ、それにより、その機能的動作は、前記第1の回転軸の周りの回転のみとなる、第1の細長の要素と;
c)前記第1の細長の要素上の、前記支持体への前記第1の細長の要素の回転可能な取り付け点から遠位の位置に、回転可能に取り付けられた第2の要素であって、第2の回転軸の周りで回転可能であり、それにより、その機能的動作は、前記第2の回転軸の周りの回転のみとなり、サンプル支持ステージを含む、第2の要素と;
を備え、
第1の細長の要素及び第2の要素の両方の回転軸は平行であるか、又は実質的に平行であり、
使用中に、前記サンプル支持ステージ上にサンプルが配置され、前記第1の細長の要素が前記支持体へのその回転可能な取り付け点の周りで回転させられ、及び、前記第2の要素が前記第1の細長の要素へのその回転可能な取り付け点の周りで回転させられ、それによって、前記電磁ビームが前記サンプル上の実質的に任意の位置にアクセスすることを可能にする、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記電磁ビームは、電磁放射線源によって提供される電磁放射線のビームが前記サンプル上の意図された位置と相互作用し、そこから電磁放射線検出器に反射するように向けられるように配向された、電磁放射線源及び電磁放射線検出器を備える反射率計又は分光光度計システムによって提供される、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記電磁ビームは、電磁放射線源によって提供される電磁放射線ビームが偏光子を通過し、前記サンプル上の意図された位置と相互作用して、そこから反射し、次いで検光子を通過し、電磁放射線検出器に入るように向けられるように配向された、電磁放射線源、偏光子、検光子、及び、電磁放射線検出器を備えるエリプソメータシステムによって提供される、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、
前記エリプソメータシステムは、
前記電磁放射線源と前記サンプル支持ステージとの間、及び
前記サンプル支持ステージと前記電磁放射線検出器との間
からなる群から選択された少なくとも1つの間に、少なくとも1つの補償子を更に備えることを特徴とする、システム。
【請求項5】
斜めの角度に向けられた電磁放射線ビームで、サンプル上の位置を調査するための計測システムであって、
電磁放射線源によって提供される電磁放射線のビームが前記サンプル上の意図された位置と相互作用し、そこから電磁放射線検出器に反射するように向けられるように配向された、電磁放射線源、及び、電磁放射線検出器を備え、前記計測システムは2つの回転を介して電磁放射ビームに対して前記サンプルを位置決めするためのシステムをさらに備え、前記サンプルを位置決めするためのシステムは、
a)支持体と;
b)前記支持体に、第1の回転軸の周りで回転可能に取り付けられ、それにより、その機能的動作は、前記第1の回転軸の周りの回転のみとなる、第1の細長の要素と;
c)前記第1の細長の要素上の、前記支持体への前記第1の細長の要素の回転可能な取り付け点から遠位の位置に、回転可能に取り付けられた第2の要素であって、第2の回転軸の周りで回転可能であり、それにより、その機能的動作は、前記第2の回転軸の周りの回転のみとなり、サンプル支持ステージを含む、第2の要素と;
を備え、
第1の細長の要素及び第2の要素の両方の回転軸は平行であるか、又は実質的に平行であり、
使用中に、前記サンプル支持ステージ上にサンプルが配置され、前記第1の細長の要素が前記支持体へのその回転可能な取り付け点の周りで回転させられ、及び、前記第2の要素が、前記第1の細長の要素へのその回転可能な取り付け点の周りで回転させられ、それによって、前記電磁ビームが前記サンプル上の実質的に任意の位置にアクセスすることを可能にする、計測システム。
【請求項6】
請求項5に記載の計測システムであって、
前記計測システムが、前記電磁放射線源及び前記電磁放射線検出器を備える反射率計又は分光光度計システムである、計測システム。
【請求項7】
請求項5に記載の計測システムであって、
電磁放射線源、偏光子、検光子、及び、電磁放射線検出器を備え、
前記計測システムの電磁ビームは、エリプソメータシステムによって提供され、
前記エリプソメータシステムは、電磁放射線源によって提供される前記電磁放射線ビームが前記偏光子を通過し、前記サンプル上の前記意図された位置と相互作用して、そこから反射し、次いで前記検光子を通過し、前記電磁放射線検出器に入るように向けられるように配向された、計測システム。
【請求項8】
請求項7に記載の計測システムであって、
前記エリプソメータシステムは、
前記電磁放射線源と前記サンプル支持ステージとの間、及び
前記サンプル支持ステージと前記電磁放射線検出器との間
からなる群から選択された少なくとも1つの間に、少なくとも1つの補償子を更に備えることを特徴とする、計測システム。
【請求項9】
サンプルを調査する方法であって、
a)斜めの角度で向けられた、電磁放射線のビームでサンプル上の位置を調査する計測システムを提供するステップであって、
前記計測システムは、電磁放射線源、及び、電磁放射線検出器を備え、
前記電磁放射線検出器は、前記電磁放射線源によって提供される、電磁放射線のビームが前記サンプル上の意図された位置と相互作用し、そこから電磁放射線検出器に反射するように向けられるように配向され、
前記計測システムは、2つの回転を介して前記電磁放射線のビームに対して前記サンプルを位置決めするためのシステムをさらに備え、前記サンプルを位置決めするためのシステムは、
a´)支持体と;
b´)前記支持体に、第1の回転軸の周りで回転可能に取り付けられ、それにより、その機能的動作は、前記第1の回転軸の周りの回転のみとなる、第1の細長の要素と;
c´)前記第1の細長の要素上の、前記支持体への前記第1の細長の要素の回転可能な取り付け点から遠位の位置に、回転可能に取り付けられた第2の要素であって、第2の回転軸の周りで回転可能であり、それにより、その機能的動作は、前記第2の回転軸の周りの回転のみとなり、サンプル支持ステージを含む、第2の要素と;
を備え、
第1の細長の要素及び第2の要素の両方の回転軸は平行であるか、又は実質的に平行であり、
使用中に、前記サンプル支持ステージ上にサンプルが配置され、前記第1の細長の要素が前記支持体へのその回転可能な取り付け点の周りで回転させられ、及び、前記第2の要素が前記第1の細長の要素へのその回転可能な取り付け点の周りで回転させられ、それによって、前記電磁ビームが前記サンプル上の実質的に任意の位置にアクセスすることを可能にする、当該ステップと、
b)前記サンプル支持ステージ上に表面を有するサンプルを配置するステップと、
c)電磁放射線源を、前記サンプルの表面に斜めの入射角で、前記サンプルに電磁放射線のビームが向くようにするステップと、
d)前記支持体に回転可能に取り付けられた前記第1の細長の要素、及び、前記支持体へのその回転可能な取り付け点から遠位の前記第1の細長の要素上の位置に回転可能に取り付けられた前記第2の要素のうちの少なくとも1つを、前記電磁放射線のビームが前記サンプルに所望の位置で当たり、及び、前記電磁放射線検出器が信号を出力するように回転させるステップと、
e)前記電磁放射線検出器によって提供されるデータを受け入れ、分析するステップと、を備え、
ステップc)及びステップd)は任意の順序で実施される、サンプルを調査する方法。
【請求項10】
請求項9に記載のサンプルを調査する方法であって、
f) ステップe)の前に、前記電磁放射線源及び電磁放射線検出器の両方をサンプルに向かって、又はサンプルから離れるように移動させ、及び/又は、電磁放射線源及び電磁
放射線検出器を、電磁放射線ビームが前記サンプルと相互作用する点の周りで回転させるステップ
をさらに含む、サンプルを調査する方法。
【請求項11】
前記サンプルのマッピングを提供するために、ステップc)、d)及びe)を所望の複数回繰り返す
ことをさらに含む、請求項9に記載のサンプルを調査する方法。
【請求項12】
前記サンプルのマッピングを提供するために、ステップc)、d)、e)及びf)を所望の複数回繰り返すことをさらに含む、請求項10に記載のサンプルを調査する方法。
【請求項13】
ステップc)において入射角を設定することをさらに含む、請求項9に記載のサンプルを調査する方法。
【請求項14】
Scheimpflug条件を満たし、キーストーン誤差を克服する撮像システムで、前記サンプルの表面を、斜め入射角撮像システムで監視するステップを
さらに含む、請求項9に記載のサンプルを調査する方法。
【請求項15】
2つの回転を介して、斜めの角度に向けられた、電磁放射線のサンプル調査ビームに対してサンプルを位置決めするためのシステムであって、
a)支持体と;
b)前記支持体に、第1の回転軸の周りで回転可能に取り付けられていて、それにより、その機能的動作は、前記第1の回転軸の周りの回転のみとなる、第1の細長の回転要素と;
c)前記第1の細長の回転要素に、第2の回転軸の周りで回転可能に取り付けられていて、それにより、その機能的動作は、前記第2の回転軸の周りの回転のみとなる、第2
の要素であって、
前記第2の回転軸が前記第1の回転軸から横方向に変位して配置されている、第2
の要素と;
d)第2
の要素
に固定されたサンプ
ル支持ステージと;
を備え、
前記第1の細長の回転要素及び第2
の要素の両方の前記回転軸が平行又は実質的に平行であり、
使用時にサンプル支持ステージ上にサンプルが載置され、
前記第1の細長の回転要素は前記第1の回転軸の周りに回転させられ、及び、
前記第2
の要素は前記第2の回転軸の周りに回転させられ、
それによって、前記電磁放射線のサンプル調査ビームが前記サンプル上の実質的に任意の位置にアクセスすることを可能にする、サンプルを位置決めするためのシステム。
【請求項16】
サンプルを調査する方法であって、
a)電磁放射線源によって提供される電磁放射線のビームがサンプル上の意図された位置と斜めの角度で相互作用し、そこから前記電磁放射線の検出器内に反射するように向けられるように配向された、電磁放射線源、及び、前記電磁放射線の前記検出器とを備える電磁放射線のビームをサンプル上の位置を調査するための計測システムを提供する過程であって、
前記計測システムは2つの回転を介して前記サンプルを前記電磁放射線のビームに対して位置決めするためのシステムをさらに備え、前記位置決めするためのシステムは、
a´)支持体と;
b´)第1の回転軸の周りで回転可能に、前記支持体に取り付けられていて、それにより、その機能的動作は、前記第1の回転軸の周りの回転のみとなる、第1の細長の要素と;
c´)第1の細長の要素に、前記第1の細長の要素が前記支持体に回転可能に取り付けられている点とは離間して、前記第1の細長の要素に、第2の回転軸の周りで回転可能に取り付けられていて、それにより、その機能的動作は、前記第2の回転軸の周りの回転のみとな
り、
サンプル支持ステージを含む、第2の要素であって、
前記第1の細長の要素、及び、前記第2の要素の両方の回転軸は、平行又は実質的に平行である第2の要素と
を備え、
使用中に
サンプル支持ステージ上にサンプルが配置され、
前記第1の細長の要素が前記支持体へのその回転可能な取り付け点の周りで回転させられ、及び、
前記第2の要素が前記第1の細長の要素へのその回転可能な取り付け点の周りで回転させられ、
それによって、前記電磁ビームが前記サンプル上の実質的に任意の位置にアクセスすることを可能にする、当該過程と、
b)前記サンプル支持ステージ上に表面を有するサンプルを配置する過程と、
c)電磁放射線源を、前記サンプルの表面に斜めの入射角で、前記サンプルに電磁放射線のビームが向くようにする過程と、
d)前記支持体に回転可能に取り付けられた前記第1の細長の要素、及び、前記支持体へのその回転可能な取り付け点から遠位の前記第1の細長の要素上の位置に回転可能に取り付けられた前記第2の要素のうちの少なくとも1つを、前記電磁放射線のビームが前記サンプルに所望の位置で当たり、及び、前記電磁放射線検出器が信号を出力するように回転させる過程と、
e)前記電磁放射線検出器によって提供されるデータを受け入れ、分析し、
ステップc)及びステップd)は任意の順序で実施される、サンプルを調査する方法。
【請求項17】
Scheimpflug条件を満たし、キーストーン誤差を克服する撮像システムで、前記サンプルの表面を、斜め入射角撮像システムで監視するシステムをさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
Scheimpflug条件を満たし、キーストーン誤差を克服する撮像システムで、前記サンプルの表面を、斜め入射角撮像システムで監視するシステムをさらに含む、
請求項5に記載の計測システム。
【請求項19】
Scheimpflug条件を満たし、キーストーンエラーを克服する撮像システムで、前記サンプルの表面を、斜め入射角撮像システムで監視するシステムをさらに含む、
請求項16に記載のサンプルを調査する方法。
【請求項20】
第1の細長の要素と第2の要素の回転軸間の距離が、第2の要素
が備えるサンプル
支持ステージの半径より大きい
請求項1-4
、15及び17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
第1の細長の要素と第2の要素の回転軸間の距離が、第2の要素
が備えるサンプル
支持ステージの半径より大きい
請求項5-8及び18のいずれか一項に記載の計測システム。
【請求項22】
第1の細長の要素と第2の要素の回転軸間の距離が、第2の要素
が備えるサンプル
支持ステージの半径より大きい
請求項9-
14、16及び19のいずれか一項に記載のサンプルを調査する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サンプル位置決めシステムに関し、より詳細には、その間にオフセットを有する2つの回転要素を備え、前記2つの回転要素が、平行な、又は実質的に平行な回転軸を有する、サンプル位置決めシステムに関する。第2の回転要素は、それに固定されたサンプル支持ステージを有する。前記サンプル位置決めシステムは、反射率計、分光光度計及びエリプソメータシステムによるサンプルのマッピングに適用される。
【背景技術】
【0002】
(例えば、マッピング手順中に、)反射率計、分光光度計及びエリプソメータシステムを使用して、サンプル上の複数の位置にアクセスすることが知られている。例えば、Liphardtらの特許文献1~4、Johsらの特許文献5~7、Hilfikerらの特許文献8及び9、Heらの特許文献10、Herzingerらの特許文献11、並びに、Pfeifferらの特許文献12を参照されたい。
【0003】
サンプルマッピングを達成するための最も直接的なアプローチは、それぞれ、固定部分と並進可能部分とを備え、その結果、各要素内の所与の軸に沿った前記固定部分と並進可能部分との間で直線並進が作用される2つの並進要素を適用することである。第2の並進要素の固定部分は第1の要素の並進可能部分に取り付けられ、第2の要素の並進軸は第1の要素の並進軸と平行ではない。理想的には、2つの要素の並進軸はおおよそ直角である。サンプルを支持するためのステージは、前記第2の並進要素の前記並進可能部分に固定される。使用時に、各並進要素の並進可能部分は、それらのそれぞれの軸に沿って直線的に並進させられ、ビームが前記ステージ上に置かれたサンプル上の実質的に任意の位置にアクセスできるようにする。このようなマッピングシステムは、一般に、X-Y変換システムと呼ばれる。
【0004】
別のアプローチは固定部分と並進可能部分とを備える並進要素と、固定部分と回転可能部分とを備える回転要素とを含み、使用時に、前記固定部分と前記回転可能部分との間の回転が作用されるようにする。回転要素の固定部分は第1の要素の並進可能部分に取り付けられ、第1の要素の並進軸は第2の要素の回転軸に対して直角に向けられる。サンプルを支持するためのステージは、前記回転要素の前記回転可能部分に取り付けられる。使用時に、並進要素の並進可能部分は固定要素に対して直線的に並進させられ、回転要素の回転可能部分は固定要素に対して回転させられ、ビームが前記ステージ上に置かれたサンプル上の実質的に任意の位置にアクセスできるようにする。このようなマッピングシステムは、一般に、R-θ(Theta)変換システムと呼ばれる。
【0005】
第1のアプローチを用いて半径Rの円形サンプルをマッピングするためには、各並進要素は少なくとも2Rの直線範囲を有しなければならず、サンプル並進のフットプリントは4R×4R程度である。
【0006】
第2のアプローチでは、回転要素が実質的に任意の角度に回転することができ、必要な並進範囲は1Rに減少する。サンプル並進のフットプリントは約3R×2Rであり、よりコンパクトなシステムになる。
【0007】
別のアプローチは第1の回転可能要素が第1の固定部分に固定され、第2の回転可能要素が第2の固定要素に固定されることを提供し、これは、古いレコードプレーヤのように視覚化され得る。
【0008】
要約すると、サンプルマッピングにおいて使用される計測システムは、例えば「X」方向への運動を可能にする第1の要素と、「Y」方向への運動を可能にする第2の要素とを備える。第2の要素は第1の要素に摺動可能に固着され、それに摺動可能に固着されたサンプル支持ステージを有する。使用時に、ステージ上に配置されるサンプル上の特定の「X」-「Y」位置は、第1の要素に対して第2の要素を摺動可能に移動させることによって、そして、第1の要素に対してステージを摺動可能に移動させることによって、電磁ビームによってアクセスされることができる。別のアプローチは第2の要素が摺動可能に取り付けられた第1の要素を含み、第2の要素は、それに回転可能に取り付けられたサンプルを支持するためのステージを有する。使用時には第2の要素が第1の要素に対する位置まで摺動され、次いで、ステージが、ステージ上に配置されたサンプル上の特定の位置へのアクセスを提供するために回転される。第1のアプローチは「X」及び「Y」運動の両方を可能にするために、深さと同じ幅のシステムを必要とする。第2のアプローチは幅の約半分しか必要としない(すなわち、ステージの必要な移動範囲は、サンプルステージの半径のみである)システムによって実施することができる。また、コンパクトなシステムを提供する別のアプローチは、古いレコードプレーヤと同様であると考えることができる。第1の要素は、サンプルを支持するためのステージが取り付けられる第2の要素と同様に、支持体に回転可能に取り付けられる。第2の要素は、第1の要素が回転可能に固着される点から離間して回転可能に固着される。使用時には第1の要素が、その遠位端が前記ステージ上に配置されたサンプルに隣接して配置されるように、第1の要素が支持体に回転可能に取り付けられた位置の周りで回転され、前記ステージはそれが回転可能に取り付けられた位置の周りで回転される。また、サンプル上の特定の位置は、電磁ビームによってアクセスされ得る。
【0009】
上記を考慮しても、サンプル上の特定の位置にアクセスすることを可能にし、それによって反射率計、分光光度計及びエリプソメータシステムによるサンプルのマッピングを可能にする、改良されたコンパクトなシステムが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】8,436,994号明細書
【文献】7,872,751号明細書
【文献】8,248,606号明細書
【文献】8,339,603号明細書
【文献】7,505,134号明細書
【文献】7,746,471号明細書
【文献】7,746,472号明細書
【文献】8,059,276号明細書
【文献】8,570,513号明細書
【文献】9,933,357号明細書
【文献】8,248,607号明細書
【文献】9,347,768号明細書
【発明の概要】
【0011】
この発明のθ-θマッピングシステムは、平行オフセットとして、それらの回転軸が互いに横方向にずれた2つの回転要素を使用することを含む。サンプルを支持するためのステージは、第2の回転要素に固定され、両方の回転ステージを回転させることによって、サンプルをマッピングすることが可能になる。
【0012】
θ-θアプローチはサンプル並進のフットプリントが(背景技術で確認される)第2の
アプローチのフットプリントとほぼ同じであることを提供するが、いくつかの利点が実現される。回転要素はワイヤ及びホースを素子の回転軸に直接通すことができ、複雑な並進ケーブル軌道が不要であるため、マッピングシステムに便利である。さらに、一般に、比較的大きな表面にわたって完全に平坦な部分を作るよりも完全に丸い部分を作る方が容易であるため、回転要素は、並進要素よりも厳しい公差で製造するのが容易である。X-Y系の最大測定可能半径は最小並進要素の並進範囲の半分である。R-θ系の測定可能半径は、並進要素の並進範囲に等しい。並進要素は通常、それらの範囲よりも実質的に長いので、これらの制約はマッピングシステムの最小サイズを制限する。θ-θシステムの測定可能半径は2つの回転要素の軸間の距離の2倍に等しく、これはたとえ並進フットプリントが同様であっても、θ-θシステムのマッピングシステムをはるかにコンパクトにすることができることを意味する。さらに、θ-θマッピングシステムは、マッピングシステムのサイズを増大させることなく、サンプルステージがその各ポイントにアクセスするためにその通常の範囲を越えて並進されることを可能にする。これは、X-Y並進システム又はR-θ並進システムではそのサイズを増大させずには不可能である。サンプルステージを正常範囲外に移動させることは、サンプルをステージ上に搭載するとき、または保守を実行するときに利点を有し得る。
【0013】
この発明は2つの回転を介してサンプルを調査する電磁放射のビームに対してサンプルを位置決めするためのシステムとして説明することができる。前記システムは、
a)支持体と;
b)第1の固定部分と第1の回転軸を有する第1の回転可能部分とを含む第1の回転要素であって、使用時に前記第1の固定部分と前記第1の回転可能部分との間の回転運動が作用され、前記第1の固定部分が前記支持体に取り付けられている、第1の回転要素と;
c)第2の固定部分と第2の回転軸を有する第2の回転可能部分とを含む第2の回転要素であって、使用時に前記第2の固定部分と前記第2の回転可能部分との間の回転運動が作用され、前記第2の回転軸が前記第1の回転軸から横方向に変位するように、前記第2の固定部分が前記第1の回転要素の前記第1の回転可能部分に取り付けられ、
前記第2の固定部分が前記第1の回転軸から横方向に変位している、第2の回転要素と;
d)前記第2の回転要素の前記第2の回転可能部分に固定されたサンプルを支持するためのステージと;
を備える。
【0014】
前記第1及び第2の回転要素の両方の前記回転軸が平行又は実質的に平行であり、
使用時にサンプル支持ステージ上にサンプルが載置され、前記第1の回転要素の前記第1の回転可能部分は前記第1の回転軸の周りに回転させられ、及び、前記第2の回転要素の前記第2の回転可能部分は前記第2の回転軸の周りに回転させられ、それによって、前記電磁放射線のサンプル調査ビームが前記サンプル上の実質的に任意の位置にアクセスすることを可能にする。
【0015】
サンプルを調査するこの発明の方法は、以下のステップを含む。
a)電磁放射線のビームを用いてサンプル上の位置を調査するための計測システムを提供する。この計測システムは、電磁放射線源によって提供される電磁放射線のビームが前記サンプル上の意図された位置と相互作用し、それから前記電磁放射線の検出器に反射するように配向された、電磁放射線源、及び、電磁放射線検出器を備える。前記システムは2つの回転を介して前記サンプルを前記電磁放射線ビームに対して位置決めするためのシステムをさらに備えることによって区別される。前記サンプルを位置決めするシステムは、a´)支持体と;
b´)第1の固定部分と第1の回転軸を有する第1の回転可能部分とを含む第1の回転要素であって、使用時に前記第1の固定部分と前記第1の回転可能部分との間の回転運動が
作用され、前記第1の固定部分が前記支持体に取り付けられている、第1の回転要素と;c´)第2の固定部分と第2の回転軸を有する第2の回転可能部分とを含む第2の回転要素であって、使用時に前記第2の固定部分と前記第2の回転可能部分との間の回転運動が作用され、前記第2の回転軸が前記第1の回転軸から横方向に変位するように、前記第2の固定部分が前記第1の回転要素の前記第1の回転可能部分に取り付けられ、
前記第2の固定部分が前記第1の回転軸から横方向に変位している、第2の回転要素と;
d´)前記第2の回転要素の前記第2の回転可能部分に固定されたサンプルを支持するためのステージと;
を備える。
b)サンプルを支持するための前記ステージ上にサンプルを配置する。
c)電磁放射線源を前記サンプルの表面にある入射角で、前記サンプルに電磁放射線のビームが向くようにする。
d)前記支持体に回転可能に取り付けられた前記第1の要素、及び、前記支持体へのその回転可能な取り付け点から遠位の前記第1の要素上の位置に回転可能に取り付けられた前記第2の要素のうちの少なくとも1つを、前記電磁放射線のビームが前記サンプルに所望の位置で当たるように回転させ、及び、前記電磁放射線の検出器が信号を出力するように回転させる。
e)前記電磁放射線の検出器によって提供されるデータを受け入れ、分析する。
ステップc)及びステップd)をいずれかの順で実行する。
【0016】
前記方法は、さらに、以下のステップを有する。
f)ステップe)の前に、前記電磁放射線源および検出器の両方をサンプルに向かってまたはサンプルから離れるように移動させること、および/または電磁放射線源および検出器を、電磁放射線ビームが前記サンプルと相互作用する点の周りで回転させる。
【0017】
このステップはサンプル表面が完全に均一ではなく、その上に、異なる点が存在し、前記サンプル表面と線源及び検出器との間の距離がいくらか異なる、及び/又は、その上の異なる点におけるサンプル表面の差が電磁ビームの入射の異なる角度を生じさせる場合に有用である。
【0018】
前記方法はまた、前記サンプルのマッピングを提供するために、ステップc)、d)及びe)を所望の複数回繰り返すことをさらに含むことができる。
【0019】
前記方法はまた、前記サンプルのマッピングを提供するために、ステップc)、d)、e)及びf)を所望の複数回繰り返すことをさらに含むことができる。
【0020】
前記方法は、サンプルの表面を、その実施中に斜め入射角撮像システムで監視することをさらに含むことができる。
【0021】
前記方法はまた、ステップc)において、電磁放射線のビームがサンプル表面に接近する入射角を設定することを含むことができる。
【0022】
上記に鑑みて、本発明は2つの回転を介して電磁放射線のサンプル調査ビームに対してサンプルを位置決めするためのシステムとして記載することができる。前記システムは、a)支持体と、
b)第1の回転軸の周りで前記支持体に回転可能に取り付けられた第1の要素と、
c)前記支持体へのその回転可能な取り付け点から遠位の前記第1の要素上の位置に回転可能に取り付けられた第2の要素であって、前記第2の要素は第2の回転軸の周りで回転可能であり、前記第2の要素は、サンプルを支持するためのステージを含む第2の要素を
含む。
【0023】
第1及び第2の要素の両方の回転軸は、平行であるか、または実質的に平行である。
【0024】
使用時にはサンプルを支持するための前記ステージ上にサンプルが置かれ、前記第1の要素は前記支持体へのその回転可能な取り付け点の周りに回転させられ、前記第2の要素は前記第1の要素へのその回転可能な取り付け点の周りに回転させられ、それによって、前記電磁ビームが前記サンプル上の実質的に任意の位置にアクセスすることを可能にする。
【0025】
電磁ビームは、電磁放射線源によって提供される電磁放射線のビームが前記サンプル上の意図された位置と相互作用し、そこから電磁放射線検出器内に反射するように向けられるように配向された、電磁放射線源及び電磁放射線検出器を備える反射率計又は分光光度計システムによって提供することができる。
【0026】
あるいは、電磁放射線源によって提供される電磁放射線の前記ビームが前記偏光子を通過するように向けられ、前記サンプル上の意図された位置と相互作用し、そこから反射し、次いで、前記検光子を通過し、電磁放射線の検出器に入るように向けられる、電磁放射線源、偏光子、検光子、及び、電磁放射線の検出器を備えるエリプソメータシステムによって提供することができる。
【0027】
前記エリプソメータシステムは、前記電磁放射線源と前記サンプル支持ステージとの間、及び、前記サンプル支持ステージと前記電磁放射線検出器との間からなる群から選択された少なくとも1つの間に少なくとも1つの補償器を更に含むことができる。
【0028】
また、この発明は、電磁放射線ビームを用いてサンプル上の位置を調査するための計測システムである。この計測システムは、電磁放射線源によって提供される電磁放射線ビームが前記サンプル上の意図された位置と相互作用し、そこから電磁放射線検出器内に反射するように向けられるように配向された、電磁放射線源と、電磁放射線検出器とを備える。前記システムは
a)支持体と、
b)第1の回転軸の周りで前記支持体に回転可能に取り付けられた第1の要素と、
c)前記支持体へのその回転可能な取り付け点から遠位の前記第1の要素上の位置に回転可能に取り付けられた第2の要素とを備え、前記第2の要素は第2の回転軸の周りで回転可能であり、前記第2の要素はサンプルを支持するためのステージを備え、第1及び第2の要素の両方の回転軸は平行であるか、または実質的に平行であり、サンプルを位置決めするためのシステムをさらに備えることによって区別される。
【0029】
使用時にはサンプルを支持するための前記ステージ上にサンプルが置かれ、前記第1の要素は前記支持体へのその回転可能な取り付け点の周りに回転させられ、前記第2の要素は前記第1の要素へのその回転可能な取り付け点の周りに回転させられ、それによって、前記電磁ビームが前記サンプル上の実質的に任意の位置にアクセスすることを可能にする。
【0030】
計測システムは、前記電磁放射線源と前記電磁放射線検出器とを含む反射率計又は分光光度計システムとすることができる。
【0031】
計測システムの電磁ビームは、前記電磁放射線源によって提供される前記電磁放射線ビームが前記偏光子を通過するように向けられ、前記サンプル上の前記意図された位置と相互作用し、そこから反射し、次いで前記アナライザを通過し、前記電磁放射線検出器に入
るように向けられた、前記電磁放射線源、偏光子、アナライザ、および前記電磁放射線検出器を備えるエリプソメータシステムによって提供することができる。前記エリプソメータシステムは前記電磁放射線源と前記サンプルを支持するためのステージとの間、及び、前記サンプルを支持するためのステージと前記電磁放射線検出器との間からなる群から選択された少なくとも1つの間に、少なくとも1つの補償器を更に含むことができる。
【0032】
この発明はまた、サンプルを調査する方法であって、以下のステップを有する。
a)計測システムを提供する。計測システムは、
a´)支持体と、
b´)第1の回転軸の周りで前記支持体に回転可能に取り付けられた第1の要素と、
c´)前記支持体に回転可能に取り付けられた前記第1の要素上の位置に回転可能に取り付けられた第2の要素であって、前記第2の要素は第2の回転軸の周りで回転可能であり、前記第2の要素はサンプルを支持するためのステージを含み、前記第1及び第2の要素の両方の回転軸は平行であるか、または実質的に平行である第2の要素を含む。
b)サンプルを支持するための前記ステージ上に表面を有するサンプルを配置する。
ステップc)及びステップd)をいずれかの順序で実施する。
c)電磁放射線源を前記サンプルの表面にある入射角で、前記サンプルに電磁放射線のビームが向くようにする。
d)前記支持体に回転可能に取り付けられた前記第1の要素、及び、前記支持体へのその回転可能な取り付け点から遠位の前記第1の要素上の位置に回転可能に取り付けられた前記第2の要素のうちの少なくとも1つを、前記電磁放射線のビームが前記サンプルに所望の位置で当たるように回転させ、及び、前記電磁放射線の検出器が信号を出力するように回転させる。
e)前記電磁放射線の検出器によって提供されるデータを受け入れ、分析する。
【0033】
前記方法は、さらに、以下のステップを有する。
f)ステップe)の前に、前記電磁放射線源および検出器の両方をサンプルに向かってまたはサンプルから離れるように移動させること、および/または電磁放射線源および検出器を、電磁放射線ビームが前記サンプルと相互作用する点の周りで回転させる。
【0034】
このステップはサンプル表面が完全に均一ではなく、その上に、異なる点が存在し、前記サンプル表面と線源及び検出器との間の距離がいくらか異なる、及び/又は、その上の異なる点におけるサンプル表面の差が電磁ビームの入射の異なる角度を生じさせる場合に有用である。前記方法はまた、前記サンプルのマッピングを提供するために、ステップc)、d)及びe)を所望の複数回繰り返すことをさらに含むことができる。
【0035】
前記方法はまた、前記サンプルのマッピングを提供するために、ステップc)、d)、e)及びf)を所望の複数回繰り返すことをさらに含むことができる。
【0036】
前記方法はまた、ステップc)において、電磁放射線のビームがサンプル表面に接近する入射角を設定することを含むことができる。
【0037】
この発明は、図面と併せて、この開示の詳細な説明セクションを参照することによって、より良く理解されるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】ステージ上のサンプルの位置を調整するための従来技術のX-Yシステムを示す。
【
図2】ステージ上のサンプルの位置を調整するための従来技術のR-θシステムを示す図である。
【
図3】ステージ上のサンプルの位置を調整するためのこの発明のθ
1-θ
2システムを示す。
【
図4(A)】既知ではあるが、ステージ上のサンプルの位置を調整するために適用されたとは考えられないシステムを示す。
【
図4(B)】
図4(A)の要素(E1)と(E2)の回転角度と、サンプルの原点(O)に対する点(M)の(X)-(Y)座標との関係を示す図である。
【
図4(C)】回転角度(A)がサンプル(SA)上の点(M)の位置にどのように影響するかを示す。
【
図4(D)】回転角度(A)がサンプル(SA)上の点(M)の位置にどのように影響するかを示す。
【
図5】この発明のサンプルマッピングシステムの正面図を示す。
【
図6】電磁放射線源及びその検出器がサンプルの表面の上方に位置する高さを監視するシステムを示す図である。
【
図7】
図7(A)はScheimpflug条件を満たし、斜角撮像システムにおける歪み(すなわち、キーストーン誤差)を克服するシステムを実証する。
図7(B)は代表的なテレセントリックレンズを示し、使用時には、
図7(A)の(FM)として位置付けられる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここで図面を参照すると、
図1はステージ上のサンプルの位置を調整することによってサンプルマッピングを達成するための既知の(XY)アプローチを示し、これは、互いに直角である2つの要素(Ex)及び(Ey)を適用することを含む。第1の要素(Ex)は「X」方向、第2の要素(Ey)は「Y」方向の運動を可能にする。第2の要素(Ey)が第1の要素(Ex)に摺動可能に取り付けられ、それに摺動可能に取り付けられたサンプル支持ステージ(STG)を有する。使用時には、第1の要素(Ex)に対して第2の要素(Ey)を摺動可能に移動させ、及び、第1の要素(Ex)に対してステージ(STG)を摺動可能に移動させることによって、ステージ(STG)上に配置されたサンプル上の特定の「X」-「Y」位置が、電磁放射線ビーム(Em)によってアクセスされうる。
【0040】
図2は第2の要素(RSTG)が摺動可能に取り付けられた半径方向要素(Er)を含む別のアプローチ(R-θ)を示す。第2の要素は、それに回転可能に取り付けられたサンプルを支持するためのステージである。使用中、第2の要素(RSTG)は第1の要素(Er)に対する位置にスライドされ、次いで、ステージ(STG)はその上に配置されたサンプル上の特定の位置へのアクセスを提供するために回転される。
【0041】
第1のアプローチは「X」及び「Y」運動の両方を可能にするために、深さと同じ幅のシステムを必要とすることに留意されたい。第2のアプローチは幅の約半分の深さを必要とするシステムによって実施することができる(すなわち、ステージの必要な移動範囲は、ステージの半径のみである)。
【0042】
別のアプローチが
図3に示されており、これもまたコンパクトなシステムを提供する。これは、古いレコードプレーヤに類似していると考えることができる。第1の要素(EA)はサンプルを支持するためのステージ(STG)が取り付けられる第2の要素(ER)と同様に、支持体(S)に回転可能に取り付けられる。また、第2の要素(ER)は、第1の(EA)要素が回転可能に固着された点から離れた位置で支持体(S)に回転可能に固着されている。使用時には第1の要素(EA)がその遠位位置が前記ステージ(STG)上に配置されたサンプルに隣接して位置付けられるように、支持体(S)に回転可能に取り付けられた位置の周りで回転され、前記ステージ(STG)は前記支持体(S)に回転可能に取り付けられた位置の周りで回転される。ここでも、
図1及び
図2で実証されて
いるように、サンプル上の特定の位置は、電磁ビームによってアクセスすることができる。また、(θ
1-θ
2)は(R-θ
2)システムと同様にコンパクトであり、両方とも、サンプルステージの半径のオーダーであるステージのサンプル移動範囲を必要とすることに留意されたい。
【0043】
図4(A)は、サンプルマッピングによく適したこの発明の計測システムの好ましい実施形態である。2つの回転を介して電磁放射線のサンプル調査ビーム(EM)に対してサンプルを位置決めするためのシステムが図示されている。前記システムは
a)支持体(S)、
b)第1の回転軸(A1)の周りで前記支持体(S)に回転可能に取り付けられた第1の要素(E1)、
c)前記支持体へのその回転可能な取り付け点から遠位の前記第1の要素(E1)上の位置に回転可能に取り付けられた第2の要素(E2)
を含み、前記第2の要素(E2)は第2の回転軸(A2)の周りで回転可能であり、前記第2の要素(E2)はサンプルを支持するためのステージ(STG)を含む。
【0044】
第1(A1)及び第2(A2)の要素の両方の回転軸は平行であるか、または実質的にほぼ平行であることに留意されたい。使用に際しては、サンプルを支持するための前記ステージ(STG)上に、サンプル(SA)(
図5~7参照)を配置し、前記第1の要素(E1)を前記支持体(S)への回転可能な固定点の周りに回転させ、前記第2の要素(E2)を前記第1の要素(E1)への回転可能な固定点の周りに回転させ、それによって、前記電磁ビーム(EM)が式(1)及び式(2)を介して特定されるように、前記ステージ(STG)上に配置された前記サンプル上の実質的に任意の位置(M)に電磁ビーム(EM)がアクセスできるようにする。
図4(A)~4(D)の実施形態は再び、
図1の実施形態よりもはるかにコンパクトであり、
図2の実施形態と同じオーダーのコンパクトさである。これにより、ステージの必要な移動範囲は、ステージの半径のみである。
【0045】
要素(S)は、第1の固定要素と呼ぶことができ;
要素(E1)は第1の回転要素と呼ぶことができ;
要素(E1)(直接図示せず)から突出し、要素(E2)に回転可能に取り付けられる軸(A2)と一致する要素は、第2の固定要素と呼ぶことができることに注意されたい。
【0046】
要素(E2)は、第2の回転要素と呼ぶことができる。
【0047】
図4(B)は、代表的なサンプル(SA)と、回転角度(A)及び(B)と、アクセスされた点(M)の(X)及び(Y)パラメータとの間の関係とを示す。(
F)は
図4(A)の(A1)と(A2)の間の距離であることに注意されたい。点(M)が原点(O)にどのように関係するかを支配する式は、
A=2 Arcsin((X
2+Y
2)
1/2)/2F) (1)、 及び
B=Arctan(Y/X)+A/2 (2)
である。
【0048】
図4(C)及び4(D)は、
図4(A)における回転角度(A)がサンプル上のポイント(M)の位置にどのように影響するかを示すために含まれる。
【0049】
図5は、この発明のサンプル(SA)マッピングシステム(SMS)の正面図を示す。向きについては、
図4から要素(E1)と(E2)の位置、及び、それらの回転軸(A1)と(A2)に注意されたい。ベアリング(B)は、要素(E1)及び支持体(S)と、要素(E2)間の機能的相互接続を実証するために示されている。任意の回転支持等価物で代用することができる。また、要素系(E1)及び(E2)の上方に位置し、電磁放射
線源(EMS)及びその検出器(DET)を含む計測システムが示されている。前記電磁放射線源(EMS)及びその検出器(DET)は計測システム固定プレート(MSS)に固定され、計測システム固定プレート(MSS)は、電磁放射線源(EMS)及びその検出器(DET)の両方を上下に同時に移動させて、素子(E2)の上向き表面上に配置されたサンプル(SA)上の意図されたスポット上への電磁放射線ビーム(EM)の良好な位置決めを達成することを可能にし、前記上面はサンプル(SA)を支持するためのステージとして機能することに留意されたい。また、斜角サンプル表面イメージングシステム(OAI)も示されている。後述するように、このシステムは焦点及び歪みの問題なしに、サンプル(SA)の表面を観察することを可能にする。他のコンポーネントの邪魔にならないように配置され、キーストーン(すなわち画像歪み)誤差を克服するテレセントリックレンズと組み合わせて、Scheimpflug条件を満たすシステムを適用することにより、その目的が達成される。使用時に、ユーザは、(OAI)を使用して、電磁放射ビームが調査しているサンプル(SA)上の位置を見ることができる。更に、入射角(AOI)及び反射角(AOR)の表示に留意されたい。この表示は、電磁放射線源及びその検出器上の正及び負の傾斜方向矢印によってそれぞれ示されるように調整することもできることが理解されるべきである。
【0050】
図6はサンプルマッピングシステム(SMS)におけるサンプルの先端/傾斜(すなわち入射角と入射面)の変化を決定するとともに、サンプルの表面(SA)上に位置する電磁放射線ビーム(EM)の線源(EMS)とその検出器(DET)の高さの変化をモニタリングするためのシステムを示す。典型的には、ユーザが結合された線源(EMS)及び検出器(DET)とサンプル(SA)表面との間の距離を、単にそれを変えて、実験的に変化させることによって、最適な高さを決定する。(E0´)がその中に入ったときに検出器(DET)が最大の(又は何らかの他の所望の)値を提供することに留意されたい。また、反射ビーム部分(EO´´)が遭遇するビームスプリッタ(BS)及びクワッド検出器(QD)にも注目されたい。クワッド検出器(QD)の出力は、電磁ビームの入射角及び入射面の変化に基づいて変化する。この発明は計測システム固定プレート(MSS)の位置を制御するために、ビーム部分(EU´)の強度のモニタリングされた変化を適用し、ステージ(STG)の先端又は傾斜における調整を制御するために、検出されたクワッド検出器(QD)セグメントの出力の検出された変化を使用する。
【0051】
図7(A)はScheimpflug条件を満たし、斜角撮像システム(OAI)における歪み(すなわちキーストーン誤差)を克服するシステムを示す。カメライメージングプレート(IMG)は、サンプル(SAM)に対して、それらの表面が互いに対して設定された角度で配置されることに留意されたい。また、焦点合わせ手段(FM)の存在と、識別された様々な角度にも留意されたい。サンプル(SAM)のカメラ(IMG)の視点軌跡(VL)は前記焦点合わせ手段(FM)を通過し、その結果、角度(α)及び(β)が定義される。方程式
Tan(α)=(X-f)/f Tan(β)
が満足されるとき、カメライメージングプレート(IMG)からの距離が変化しても、サンプル(SAM)の表面はその全領域にわたって焦点を結ぶであろう。識別子“f”は焦点合わせ手段(FM)の焦点距離を示し、“X”はイメージングプレート(IMG)から焦点合わせ手段(FM)の中心までの距離を示す。角度(α)はイメージングプレート(IMG)の平面と視点軌跡との間の角度であり、(β)は、視点軌跡(VL)がサンプル(SAM)の表面に対する法線に対してなす入射角である。この場合も、様々な要素が図示のように配向されると、イメージングプレート(IMG)プレートは、サンプル(SAM)の表面全体の合焦ビューを有することになる。
【0052】
図7(B)は、
図7(A)において(FM)として位置付けられている代表的なテレセントリックレンズを示す図である。
図7(A)の焦点合わせ手段(FM)の位置に、集束
レンズ(LI)、アパーチャ(AP)及び別の集束レンズ(L2)を順次に備えるシステムが存在する場合、イメージングプレート(IMG)における画像はまた、歪みのない(すなわち、キーストーンエラーは存在しない)ことになり、サンプル(SAM)の表面にわたって焦点を合わせることになる。テレセントリックレンズを定義する基準は入射瞳及び出射瞳のうちの少なくとも一方が無限遠にあるか、または実質的に無限遠にあることであり、「瞳」は、開口(AP)の画像又は物体のいずれかを指すことに留意されたい。
【0053】
本明細書で使用される「取り付け」という用語は要素間の関係を指すものと理解されるべきであり、1つの要素は、「回転可能に取り付けられた」他の要素に対して回転することに留意されたい。
【0054】
本発明の主題を本明細書に開示したが、本発明の多くの修正、置換、および変形が、教示に鑑みて可能であることは明らかであろう。したがって、本発明は、具体的に記載されたもの以外で実施されてもよく、特許請求の範囲によってのみ広さ及び範囲が限定されるべきであることを理解されたい。