(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】入力面で区別されるインタラクティブオブジェクトのためのタッチセンサ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240311BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20240311BHJP
【FI】
G06F3/041 640
G06F3/041 595
G06F3/0488
(21)【出願番号】P 2022525081
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019058314
(87)【国際公開番号】W WO2021086307
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー,トン
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-536607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0117003(US,A1)
【文献】特開2016-177343(JP,A)
【文献】特表2008-504740(JP,A)
【文献】特表2018-534445(JP,A)
【文献】特表2017-524181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサシステムであって、
可撓性基板と一体化された複数の導電性検知要素を備えるタッチセンサを備え、前記複数の導電性検知要素は、前記可撓性基板の第1の側に連結された導電性検知要素の第1のサブセットと、前記可撓性基板の第2の側に連結された導電性検知要素の第2のサブセットとを備え、前記第1の側は、前記第1の側および前記第2の側に対して直交する方向において前記第2の側の反対側にあり、前記センサシステムはさらに、
前記タッチセンサへのタッチ入力に関連付けられたタッチデータを取得するように構成された1つ以上の制御回路を備え、前記タッチデータは、前記複数の導電性検知要素による前記タッチ入力に対するそれぞれの応答に少なくとも部分的に基づいており、前記1つ以上の制御回路は、前記複数の導電性検知要素による前記タッチ入力に対する前記それぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第1のサブセットまたは前記導電性検知要素の前記第2のサブセットのいずれに関連付けられているかを判定するように構成され、
前記1つ以上の制御回路は、
前記タッチ入力に応答して、前記第1のサブセットの第1の導電性検知要素による第1のそれぞれの応答と、前記第2のサブセットの第2の導電性検知要素による第2のそれぞれの応答とを判定し、
前記第1のそれぞれの応答および前記第2のそれぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、前記タッチデータが第1の入力ジェスチャを示しているかどうかを判定し、
前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第1のサブセットに関連付けられていると判定することに応答して、前記タッチデータが前記第1の入力ジェスチャに関連付けられた1つ以上の予め規定されたパラメータに対応するかどうかを判定するように構成され、
前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第2のサブセットに関連付けられていると判定することに応答して、前記タッチ入力が前記第1の入力ジェスチャを示していないと判定するように構成される、センサシステム。
【請求項2】
前記1つ以上の制御回路は、前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第1のサブセットに関連付けられており、前記タッチデータが前記第1の入力ジェスチャを示していると判定することに応答して、コンピューティングデバイスにおいて、前記第1の入力ジェスチャに関連付けられた機能を開始するように構成される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記コンピューティングデバイスは、前記センサシステムに対してローカルである、請求項2に記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記コンピューティングデバイスは、前記センサシステムからリモートであり、前記機能を開始することは、前記第1の入力ジェスチャを示すデータを前記コンピューティングデバイスに送信することを含む、請求項2に記載のセンサシステム。
【請求項5】
センサシステムであって、
可撓性基板と一体化された複数の導電性検知要素を備えるタッチセンサを備え、前記複数の導電性検知要素は、前記可撓性基板の第1の側に連結された導電性検知要素の第1のサブセットと、前記可撓性基板の第2の側に連結された導電性検知要素の第2のサブセットとを備え、前記第1の側は、前記第1の側および前記第2の側に対して直交する方向において前記第2の側の反対側にあり、前記センサシステムはさらに、
前記タッチセンサへのタッチ入力に関連付けられたタッチデータを取得するように構成された1つ以上の制御回路を備え、前記タッチデータは、前記複数の導電性検知要素による前記タッチ入力に対するそれぞれの応答に少なくとも部分的に基づいており、前記1つ以上の制御回路は、前記複数の導電性検知要素による前記タッチ入力に対する前記それぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第1のサブセットまたは前記導電性検知要素の前記第2のサブセットのいずれに関連付けられているかを判定するように構成され、
前記1つ以上の制御回路は、
前記タッチ入力に応答して、前記第1のサブセットの第1の導電性検知要素による第1のそれぞれの応答と、前記第2のサブセットの第2の導電性検知要素による第2のそれぞれの応答とを判定し、
前記第1のそれぞれの応答および前記第2のそれぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、前記タッチデータが第1の入力ジェスチャを示しているかどうかを判定
し、
前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第1のサブセットに関連付けられていると判定することに応答して、前記タッチデータが前記第1の入力ジェスチャに関連付けられた1つ以上の予め規定されたパラメータに対応するかどうかを判定するように構成され、
前記タッチデータが前記第1の入力ジェスチャに関連付けられた1つ以上の予め規定されたパラメータに対応するかどうかを判定することは、前記1つ以上の入力が前記第1の入力ジェスチャに対応するかどうかを示す1つ以上の出力を生成するように構成された1つ以上の機械学習済みモデルに対して前記タッチデータを1つ以上の入力として提供することを含み、
前記1つ以上の機械学習済みモデルは、前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第1のサブセットまたは前記導電性検知要素の前記第2のサブセットのいずれに関連付けられているかに少なくとも部分的に基づいて、前記1つ以上の出力が前記第1の入力ジェスチャに対応するかどうかを示す前記1つ以上の出力を生成するように構成される、センサシステム。
【請求項6】
センサシステムであって、
可撓性基板と一体化された複数の導電性検知要素を備えるタッチセンサを備え、前記複数の導電性検知要素は、前記可撓性基板の第1の側に連結された導電性検知要素の第1のサブセットと、前記可撓性基板の第2の側に連結された導電性検知要素の第2のサブセットとを備え、前記第1の側は、前記第1の側および前記第2の側に対して直交する方向において前記第2の側の反対側にあり、前記センサシステムはさらに、
前記タッチセンサへのタッチ入力に関連付けられたタッチデータを取得するように構成された1つ以上の制御回路を備え、前記タッチデータは、前記複数の導電性検知要素による前記タッチ入力に対するそれぞれの応答に少なくとも部分的に基づいており、前記1つ以上の制御回路は、前記複数の導電性検知要素による前記タッチ入力に対する前記それぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第1のサブセットまたは前記導電性検知要素の前記第2のサブセットのいずれに関連付けられているかを判定するように構成され、
前記1つ以上の制御回路は、
前記第1のサブセットの導電性検知要素の静電容量が前記第2のサブセットの導電性検知要素の静電容量よりも大きい場合、前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第1のサブセットに関連付けられていると判定し、
前記第2のサブセットの導電性検知要素の静電容量が前記第1のサブセットの導電性検知要素の静電容量よりも大きい場合、前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第2のサブセットに関連付けられていると判定することにより、
前記タッチ入力が前記第1のサブセットまたは前記第2のサブセットのいずれに関連付けられるかを判定するように構成される、センサシステム。
【請求項7】
前記1つ以上の制御回路は、
前記第1のサブセットの導電性検知要素の静電容量が当該第1のサブセットの導電性検知要素に隣接する前記第2のサブセットの導電性検知要素の静電容量よりも大きい場合、前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第1のサブセットに関連付けられていると判定し、
前記第2のサブセットの導電性検知要素の静電容量が当該第1のサブセットの導電性検知要素に隣接する前記第1のサブセットの導電性検知要素の静電容量よりも大きい場合、前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第2のサブセットに関連付けられていると判定するように構成されている、請求項6に記載のセンサシステム。
【請求項8】
センサシステムであって、
可撓性基板と一体化された複数の導電性検知要素を備えるタッチセンサを備え、前記複数の導電性検知要素は、前記可撓性基板の第1の側に連結された導電性検知要素の第1のサブセットと、前記可撓性基板の第2の側に連結された導電性検知要素の第2のサブセットとを備え、前記第1の側は、前記第1の側および前記第2の側に対して直交する方向において前記第2の側の反対側にあり、前記センサシステムはさらに、
前記タッチセンサへのタッチ入力に関連付けられたタッチデータを取得するように構成された1つ以上の制御回路を備え、前記タッチデータは、前記複数の導電性検知要素による前記タッチ入力に対するそれぞれの応答に少なくとも部分的に基づいており、前記1つ以上の制御回路は、前記複数の導電性検知要素による前記タッチ入力に対する前記それぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第1のサブセットまたは前記導電性検知要素の前記第2のサブセットのいずれに関連付けられているかを判定するように構成され、
前記1つ以上の制御回路は、
前記第1のサブセットの前記複数の導電性検知要素の静電容量の累積値が前記第2のサブセットの前記複数の導電性検知要素の静電容量の累積値よりも大きい場合、前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第1のサブセットに関連付けられていると判定し、
前記第1のサブセットの前記複数の導電性検知要素の静電容量の累積値が前記第2のサブセットの前記複数の導電性検知要素の静電容量の累積値よりも大きい場合、前記タッチ入力が前記導電性検知要素の前記第2のサブセットに関連付けられていると判定することにより、
前記タッチ入力が前記第1のサブセットまたは前記第2のサブセットのいずれに関連付けられるかを判定するように構成される、センサシステム。
【請求項9】
前記第1の側は、前記第1の側および前記第2の側に対して直交する方向において前記第2の側の反対側にあり、
前記導電性検知要素の前記第1のサブセットは、前記第1の側および前記第2の側に対して直交する方向において前記導電性検知要素の前記第2のサブセットから離間されている、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記複数の導電性検知要素の各導電性検知要素は、第1の方向に細長く、前記第1の方向に対して直交する第2の方向に隣り合った導電性検知要素の間に間隔があり、
前記導電性検知要素の前記第1のサブセットの各導電性検知要素は、前記第2の方向において、前記導電性検知要素の前記第2のサブセットのうち少なくとも1つの導電性検知要素に隣接している、請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項11】
前記センサシステムは、ウェアラブルデバイスと一体化されており、
前記可撓性基板の前記第1の側は、前記タッチセンサの意図される入力面に隣接しており、
前記可撓性基板の前記第2の側は、前記ウェアラブルデバイスがユーザによって装着されているとき、ユーザの身体のうち1つ以上の部分に隣接する、請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項12】
前記タッチセンサは静電容量式タッチセンサである、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のセンサシステム。
【請求項13】
前記可撓性基板の前記第1の側と前記第2の側とは、前記第1の側および前記第2の側に対して直交する方向に離間されており、
前記センサシステムはさらに、前記第1の側と前記第2の側との間に位置決めされた少なくとも1つの追加の層を備える、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載のセンサシステム。
【請求項14】
ユーザが着用可能なインタラクティブオブジェクトであって、
タッチセンサを備え、前記タッチセンサは複数の平行な検知線を備え、前記複数の平行な検知線は、第1の方向に細長く、前記第1の方向に対して直交する第2の方向に離間しており、前記複数の平行な検知線は、平行な検知線の第1のサブセットと平行な検知線の第2のサブセットとを備え、前記平行な検知線の第1のサブセットと前記平行な検知線の第2のサブセットとは、前記第1の方向および前記第2の方向に対して直交する第3の方向に離間しており、前記タッチセンサは、前記ユーザからの入力を受信するように構成された入力面と、前記インタラクティブオブジェクトが前記ユーザによって着用されたときに前記ユーザの少なくとも一部分に隣接する第2の表面とを備え、前記インタラクティブオブジェクトは、
前記タッチセンサと通信する1つ以上の制御回路を備え、前記1つ以上の制御回路は、
前記タッチセンサへのタッチ入力に応答して、前記複数の平行な検知線の各々に関連付けられたそれぞれの応答を検出し、
前記複数の平行な検知線の各々に関連付けられた前記それぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、前記タッチ入力が前記入力面または前記第2の表面のいずれに関連付けられているかを判定するように構成される、インタラクティブオブジェクト。
【請求項15】
前記1つ以上の制御回路は、
前記タッチ入力に応答して、前記第1のサブセットの第1の導電性検知要素による第1のそれぞれの応答と、前記第2のサブセットの第2の導電性検知要素による第2のそれぞれの応答とを判定し、
前記第1のそれぞれの応答および前記第2のそれぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、前記タッチ入力が第1の入力ジェスチャを示しているかどうかを判定するように構成される、請求項14に記載のインタラクティブオブジェクト。
【請求項16】
前記1つ以上の制御回路は、
前記タッチ入力が前記平行な検知線の第1のサブセットに関連付けられていると判定することに応答して、前記タッチ入力が、第1の入力ジェスチャに関連付けられた1つ以上の予め規定されたパラメータに対応するかどうかを判定し、
前記タッチ入力が前記平行な検知線の第2のサブセットに関連付けられていると判定することに応答して、前記タッチ入力が前記第1の入力ジェスチャを示していないと判定するように構成される、請求項14に記載のインタラクティブオブジェクト。
【請求項17】
前記平行な検知線の第1のサブセットは、前記平行な検知線の第2のサブセットよりも前記タッチセンサの前記入力面の近くに位置決めされ、
前記平行な検知線の第2のサブセットは、前記平行な検知線の第1のサブセットよりも前記タッチセンサの前記第2の表面の近くに位置決めされる、請求項14~請求項16のいずれか1項に記載のインタラクティブオブジェクト。
【請求項18】
前記平行な検知線の第1のサブセットは、可撓性基板の第1の側に連結され、
前記平行な検知線の第2のサブセットは、前記可撓性基板の第2の側に連結される、請求項14~請求項17のいずれか1項に記載のインタラクティブオブジェクト。
【請求項19】
インタラクティブオブジェクトにおける入力を管理する、コンピュータによって実現される方法であって、
1つ以上のプロセッサによって、複数の平行な検知線を備えるタッチセンサに関連付けられたタッチデータを取得するステップを備え、前記複数の平行な検知線は、第1の方向に細長く、前記第1の方向に対して直交する第2の方向に離間しており、前記複数の平行な検知線は、平行な検知線の第1のサブセットと平行な検知線の第2のサブセットとを備え、前記平行な検知線の第1のサブセットと前記平行な検知線の第2のサブセットとは、前記第1の方向および前記第2の方向に対して直交する第3の方向に離間しており、前記タッチセンサは、ユーザからの入力を受信するように構成された入力面と、前記インタラクティブオブジェクトが前記ユーザによって着用されたときに前記ユーザの少なくとも一部分に隣接する第2の表面とを備え、前記方法はさらに、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記タッチセンサへのタッチ入力に応答して、前記複数の平行な検知線の各々に関連付けられたそれぞれの応答を検出するステップと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記複数の平行な検知線の各々に関連付けられた前記それぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、前記タッチ入力が前記入力面または前記第2の表面のいずれに関連付けられているかを判定するステップとを備える、コンピュータによって実現される方法。
【請求項20】
前記タッチ入力が前記入力面または前記第2の表面のいずれに関連付けられているかに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つのジェスチャが前記タッチ入力に応答して実行されるかどうかを選択的に識別するステップをさらに備える、請求項19に記載の、コンピュータによって実現される方法。
【請求項21】
コンピュータの1以上のプロセッサによって実行されることにより、前記コンピュータに、請求項19または請求項20に記載の方法を実現させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、概して、インタラクティブオブジェクトのためのタッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
インタラクティブオブジェクトは、タッチ入力を検出するように構成された静電容量式タッチセンサなどのセンサを形成するためにインタラクティブオブジェクトに組込まれた導電糸などの導電性検知要素を含み得る。インタラクティブオブジェクトは、タッチ入力を処理して、インタラクティブオブジェクトにおいて、またはインタラクティブオブジェクトに無線で連結されたさまざまなリモートデバイスにおいて、ローカルに機能を開始するために使用可能なタッチデータを生成することができる。インタラクティブオブジェクトは、導電糸を用いる歪みセンサのため、および線形光学系を用いる視覚インターフェイスのためなどの他の目的のための導電性検知要素を含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
インタラクティブオブジェクトは、たとえば、インタラクティブテキスタイルに織込まれた導電糸のグリッドまたは配列を形成することによって形成され得る。各導電糸は、1本以上の可撓性糸(たとえば、ポリエステルまたは綿糸)と撚り合わされるかもしくは編み合わされるかまたは当該可撓性糸で包まれた導電性ワイヤ(たとえば、銅線)を含み得る。しかしながら、このような導電線を用いた従来のセンサ設計をオブジェクト内に実現することは困難である可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本開示の実施形態の局面および利点は、以下の説明において部分的に記載されるか、または、当該説明から認識され得るか、または、当該実施形態を実施することにより認識され得る。
【0005】
本開示の1つの例示的な局面は、可撓性基板と一体化された複数の導電性検知要素を備えたタッチセンサを含むセンサシステムに向けられている。当該複数の導電性検知要素は、当該可撓性基板の第1の側に連結された導電性検知要素の第1のサブセットと、当該可撓性基板の第2の側に連結された導電性検知要素の第2のサブセットとを備える。当該第1の側は、当該第1の側および当該第2の側に対して直交する方向において当該第2の側の反対側にある。当該センサシステムは、当該タッチセンサへのタッチ入力に関連付けられたタッチデータを取得するように構成された1つ以上の制御回路を含む。当該タッチデータは、当該複数の導電性検知要素による当該タッチ入力に対するそれぞれの応答に少なくとも部分的に基づいている。当該1つ以上の制御回路は、当該複数の導電性検知要素による当該タッチ入力に対する当該それぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、当該タッチ入力が当該導電性検知要素の第1のサブセットまたは当該導電性検知要素の第2のサブセットのいずれに関連付けられているかを判定するように構成される。
【0006】
本開示の別の例示的な局面は、ユーザが着用可能なインタラクティブオブジェクトに向けられており、当該インタラクティブオブジェクトはタッチセンサを含み、当該タッチセンサは複数の平行な検知線を備え、当該複数の平行な検知線は、第1の方向に細長く、当該第1の方向に対して直交する第2の方向に離間している。当該複数の平行な検知線は、平行な検知線の第1のサブセットと、平行な検知線の第2のサブセットとを備え、当該平行な検知線の第1のサブセットと当該平行な検知線の第2のサブセットとは、当該第1の方向および当該第2の方向に対して直交する第3の方向に離間している。当該タッチセンサは、当該ユーザからの入力を受信するように構成された入力面と、当該インタラクティブオブジェクトが当該ユーザによって着用されたときに当該ユーザの少なくとも一部分に隣接する第2の表面とを備える。当該インタラクティブオブジェクトは、当該タッチセンサと通信する1つ以上の制御回路を含む。当該1つ以上の制御回路は、当該タッチセンサへのタッチ入力に応答して、当該複数の平行な検知線の各々に関連付けられたそれぞれの応答を検出し、当該複数の平行な検知線の各々に関連付けられた当該それぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、当該タッチ入力が当該入力面または当該第2の表面のいずれに関連付けられているかを判定するように構成される。
【0007】
本開示のさらに別の例示的な局面は、インタラクティブオブジェクトにおける入力を管理する、コンピュータによって実現される方法に向けられている。当該方法は、1つ以上のプロセッサによって、複数の平行な検知線を備えるタッチセンサに関連付けられたタッチデータを取得するステップを備え、当該複数の平行な検知線は、第1の方向に細長く、当該第1の方向に対して直交する第2の方向に離間している。当該複数の平行な検知線は、平行な検知線の第1のサブセットと平行な検知線の第2のサブセットとを備え、当該平行な検知線の第1のサブセットと当該平行な検知線の第2のサブセットとは、当該第1の方向および当該第2の方向に対して直交する第3の方向に離間している。当該タッチセンサは、ユーザからの入力を受信するように構成された入力面と、当該インタラクティブオブジェクトが当該ユーザによって着用されたときに当該ユーザの少なくとも一部分に隣接する第2の表面とを備える。当該方法は、当該1つ以上のプロセッサによって、当該タッチセンサへのタッチ入力に応答して、当該複数の平行な検知線の各々に関連付けられたそれぞれの応答を検出するステップと、当該1つ以上のプロセッサによって、当該複数の検知線の各々に関連付けられた当該それぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、当該タッチ入力が当該入力面または当該第2の表面のいずれに関連付けられているかを判定するステップとを備える。
【0008】
本開示の他の例示的な局面は、静電容量式タッチセンサなどのタッチセンサを実現および利用するためのシステム、装置、コンピュータプログラム製品(たとえば、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体などだけでなく、通信ネットワークを介してダウンロード可能であるが必ずしも非一時的な形態で格納されるわけではないソフトウェアなど)、ユーザインターフェイス、メモリデバイス、および電子デバイスに向けられている。
【0009】
さまざまな実施形態のこれらおよび他の特徴、局面および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照してより良く理解されるだろう。本明細書において援用されるとともに本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を例示し、その説明と合わせて、関連する原理を説明する役割を果たす。
【0010】
図面の簡単な説明
当業者に向けられた実施形態の詳細な説明は、添付の図面を参照する本明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の例示的な実施形態に従った、タッチセンサを有するインタラクティブオブジェクトを含む例示的なコンピューティング環境を示す図である。
【
図2】本開示の例示的な実施形態に従った、タッチセンサを有するインタラクティブオブジェクトを含む例示的なコンピューティング環境を示すブロック図である。
【
図3】本開示の例示的な実施形態に従ったタッチセンサの一例を示す図である。
【
図4】本開示の例示的な実施形態に従ったインタラクティブオブジェクトと一体化されたタッチセンサの一例を示す図である。
【
図5】本開示の例示的な実施形態に従った、基板の両側に形成された検知線の個々のサブセットを含むタッチセンサの一例を示す斜視図である。
【
図6】本開示の例示的な実施形態に従った、検知線の個々のサブセット間の垂直方向の間隔を示す、
図5の検知線を示すグラフ図である。
【
図7】本開示の例示的な実施形態に従った、タッチセンサの第1の表面におけるタッチ入力に対する例示的なセンサ応答を示すグラフ図である。
【
図8】本開示の例示的な実施形態に従った、タッチセンサの第2の表面におけるタッチ入力に対する例示的なセンサ応答を示すグラフ図である。
【
図9】本開示の例示的な実施形態に従った可撓性基板の両側に連結された検知線の個々のサブセットを含むタッチセンサの一例を示す上面図である。
【
図10】本開示の例示的な実施形態に従った可撓性基板の両側に連結された検知線の個々のサブセットを含むタッチセンサの一例を示す底面図である。
【
図11】本開示の例示的な実施形態に従った、可撓性基板の両側に連結されるとともに垂直に離間されている検知要素の個々のサブセットを含むタッチセンサの一例を示す上面図である。
【
図12】本開示の例示的な実施形態に従った、可撓性基板の両側に連結されるとともに垂直に離間されている検知要素の個々のサブセットを含むタッチセンサの一例を示す底面図である。
【
図13】本開示の例示的な実施形態に従った、単一面に形成された検知要素の例示的なセットであって、検知線の個々のサブセット間に介在層が形成された状態を示す断面図である。
【
図14】本開示の例示的な実施形態に従った、複数の面に形成された検知要素のセットであって、各面ごとに異なる数の検知線が設けられている状態を示すグラフ図である。
【
図15】本開示の例示的な実施形態に従った、タッチセンサの識別された入力面に基づいたジェスチャの検出を示す例示的なコンピューティング環境を示すブロック図である。
【
図16】本開示の例示的な実施形態に従った、タッチセンサによって検出されるタッチ入力に応答してタッチデータを生成する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図17】本開示の例示的な実施形態に従った、ジェスチャを選択的に識別し、タッチセンサの識別された入力面に基づいて機能を開始する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図18】本開示の例示的な実施形態に従った、検知要素のセットの応答に少なくとも部分的に基づいて、タッチ入力が受信される表面を判定する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図19】本開示に従った例示的な実施形態を実現するために用いられ得る例示的なコンピューティングシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
ここで実施形態を詳細に参照するが、その1つ以上の例が添付の図面に示されている。各々の例は、実施形態を説明するために提供されるものであって、本開示を限定するものではない。実際、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、実施形態にさまざまな修正および変更を加えることができることは、当業者には明らかであるだろう。たとえば、一実施形態の一部として図示または説明される特徴は、別の実施形態とともに用いられて、さらに別の実施形態をもたらし得る。したがって、本開示の局面は、そのような修正および変更を包含するよう意図されている。
【0013】
概して、本開示が対象とするセンサシステムは、導電性検知要素のセットを有するタッチセンサを含む。導電性検知要素のセットは、少なくとも1つの基板と一体化されてインタラクティブオブジェクトを形成することができる。当該インタラクティブオブジェクトは、タッチセンサの第1の表面で受信されたタッチ入力をタッチセンサの第2の表面で受信されたタッチ入力から区別することができる。一例として、タッチセンサは、インタラクティブオブジェクトがユーザによって着用されるかまたは携行されるときに、意図される入力面に与えられた意図的なタッチ入力が、ユーザの身体に隣接する反対側の表面で検出される不注意な入力または意図しない入力から区別され得るように、インタラクティブオブジェクトと一体化することができる。さまざまな表面におけるタッチ入力は、導電性検知要素の単一のセットを用いて区別することができる。導電性検知要素の各々は、両面への入力に応答して検出可能な応答(たとえば、静電容量または抵抗)を生成し得る。このようにして、開示される技術の例示的な実施形態は、タッチセンサのさまざまな表面で検出されるタッチ入力を区別する能力を向上させることができる。さらに、いくつかの例では、典型的にはユーザの身体とタッチセンサとの間に設けられ得る追加の遮蔽層を回避することができ、これにより、タッチセンサとウェアラブルデバイスなどのインタラクティブオブジェクトとをより密に一体化することが可能となる。
【0014】
例示的な実施形態におけるタッチセンサは、タッチセンサの第1の表面および第2の表面に対して直交する方向に離間されている導電性検知要素の第1のサブセットおよび導電性検知要素の第2のサブセットを含み得る。センサシステムは、タッチ入力に応答して当該セットの各検知要素の応答(たとえば、抵抗または静電容量)を検出することができる。センサシステムは、各検知要素のそれぞれの応答に基づいて、タッチ入力が第1の表面または第2の表面のいずれで受信されるかを判定することができる。たとえば、検知要素の第1のサブセットの少なくとも1つの応答(たとえば、静電容量または抵抗)が検知要素の第2のサブセットの少なくとも1つのそれぞれの応答よりも大きい場合、センサシステムは、当該タッチ入力をタッチセンサの第1の表面で受信されたものとして分類することができる。しかしながら、検知要素の第2のサブセットの少なくとも1つのそれぞれの応答が、検知要素の第1のサブセットの少なくとも1つのそれぞれの応答よりも大きい場合、センサシステムは、当該タッチ入力をタッチセンサの第2の表面で受信されたものとして分類することができる。
【0015】
いくつかの例では、導電性検知要素のセットは、導電性検知要素のサブセット間の垂直方向の離間の有無に関わらず、可撓性基板の両側に連結することができる。たとえば、導電性検知要素の第1のサブセットを可撓性基板の第1の側に連結することができ、導電性検知要素の第2のサブセットを可撓性基板の第2の側に連結することができる。第1の側および第2の側は、タッチセンサの第1の表面および第2の表面に対して直交する方向において互いに対向する側であり得る。いくつかの例では、導電性検知要素の第1のサブセットおよび導電性検知要素の第2のサブセットは、タッチセンサの第1の表面および第2の表面に対して直交する方向に距離を空けて離間させることができる。しかしながら、他の例では、導電性検知要素の第1のサブセットおよび導電性検知要素の第2のサブセットは、それらの間に垂直方向に間隔を空けることなく同じ面に形成することができる。たとえば、可撓性基板はS字状パターンを形成することができ、これにより、当該基板は、導電糸の間に垂直方向に距離を設けずに導電糸のサブセットを離間させる。それにもかかわらず、このような実施形態では、可撓性基板は、導電糸の第1のサブセットと導電糸の第2のサブセットとの間を遮蔽することができる。第1の表面におけるタッチ入力と第2の表面におけるタッチ入力とは、導電糸のサブセット間の垂直方向の離間の有無に関わらず区別することができる。たとえば、1つ以上の遮蔽層が可撓性基板に形成されてもよい。いくつかの例では、導電糸の第1のサブセットと導電糸の第2のサブセットとの間の絶縁部を含む遮蔽層を設けるために、1つ以上の絶縁材料が可撓性基板の一部として形成され得る。たとえば、誘電率の低い1層以上の絶縁層を用いることができる。タッチ入力の反対側にある糸によって生成される信号を部分的に減衰させるが完全には減衰させない材料が用いられてもよい。
【0016】
いくつかの実現例に従うと、導電性検知要素のセットは平行な検知線のセットを含み得る。当該平行な検知線は、第1の方向に細長く、当該第1の方向に対して直交する第2の方向に隣り合う検知線同士の間に間隔を空けて配置されている。平行な検知線のセットは、重なり合うことなく第1の方向に細長く伸びた非交差線であり得る。たとえば、これらの非交差線は、タッチセンサの意図されるタッチ入力区域において、互いを横切ったり、互いに接触したり、または互いの上方もしくは下方で交差したりすることなく、導電線パターンを形成することができる。平行な検知線のセットは、第1の方向および第2の方向の両方に対して直交する第3の方向において検知線の第2のサブセットから離間されている検知線の第1のサブセットを含み得る。たとえば、平行な検知線のセットは、横方向に隣り合った導電性検知線同士の間に間隔を空けて縦方向に細長くする延在させることができる。
【0017】
検知線の第1のサブセットは、横方向および縦方向に対して直交する垂直方向に距離を空けて検知線の第2のサブセットから離間させることができる。たとえば、検知線の第1のサブセットは、タッチセンサの意図される入力面のより近くに形成することができ、検知線の第2のサブセットは、意図される入力面からより遠くに形成することができる。たとえば、検知線の第2のサブセットは、タッチセンサを含む着用可能な衣類または他のインタラクティブオブジェクトがユーザによって着用されたときにタッチセンサのうちユーザの身体に隣接する第2の表面のより近くに形成することができる。検知線の第1のサブセットと検知線の第2のサブセットとの間に距離を空けることで、意図される入力面および第2の表面において受信されるタッチ入力に応答して、タッチセンサの区別可能な容量性出力を与えることができる。このようにして、タッチセンサは、意図される入力面においてユーザが与える意図的な入力と、着用可能な衣類をユーザが着用したときにユーザの身体に相対的なタッチセンサの動きによってもたらされる意図しない入力とを区別することができる。
【0018】
例示的な実施形態では、タッチセンサの導電性検知線のセットは、導電性検知線の第1のサブセットと導電性検知線の第2のサブセットとを交互に配置することによって形成することができる。たとえば、導電性検知線の第1のサブセットが第1の側に形成され、導電性検知線の第2のサブセットが第2の側に形成されるように、導電性検知線のセットを可撓性基板の第1の側と可撓性基板の第2の側との上に交互に形成することができる。いくつかの例では、導電性検知線のセットは、同じ数の検知線が各表面上に形成されるように、第1の側と第2の側との上に交互に形成され得る。他の例では、異なる数の検知線を各々の側に形成することができる。可撓性のある導電性検知線のセットは、第1の方向に対して直交する第2の方向に隣り合った連続的な検知線同士の間に間隔を空けて一列に並べることができる。可撓性のある導電性検知線を第2の方向に一列に並べることで、偶数番号の検知線のサブセット(たとえば、線0、2、4、6など)および奇数番号の検知線のサブセット(たとえば、線1、3、5、7など)を形成することができる。
【0019】
本開示の例示的な実施形態に従うと、如何なるタイプの導電線を用いることもできる。一例として、導電線は、導電糸、導電性繊維、光ファイバフィラメント、可撓性金属線などを含み得る。インタラクティブテキスタイルの導電糸は、少なくとも1つの導電性ワイヤを含む導電性コアと、当該導電性コアを覆う可撓性糸から構成されたカバー層とを含み得る。導電性コアは、1つ以上の可撓性糸(たとえば、絹糸、ポリエステル糸、または綿糸)を導電性ワイヤと撚り合わせることによって、または導電性ワイヤの周囲に可撓性糸を巻付けることによって形成されてもよい。いくつかの実現例では、導電性コアは、導電性ワイヤを可撓性糸(たとえば、絹)と編み合わせることによって形成され得る。カバー層は、導電性コアの周囲に可撓性糸を巻付けるかまたは編込むことによって形成され得る。いくつかの実現例では、導電糸は「二重編み(double-braided)」構造で実現され、当該構造では、導電性コアは、可撓性糸を導電性ワイヤと編み合わせ、次いで、編み合わされた導電性コアの周りに可撓性糸を編込むことによって形成される。各導電糸の少なくとも一部分は、導電糸を可撓性基板に織り込むか、縫い込むか、接着するかまたは取付けることなどによって、可撓性基板に接続することができる。いくつかの例では、導電糸を複数の非導電糸と織り合わせることで可撓性基板を形成することができる。開示される技術の実施形態に従って、他のタイプの導電線が用いられてもよい。導電糸に関して多くの例が提供されているが、例示的な実施形態に従ったタッチセンサとともにいずれのタイプの導電線も使用できることが理解されるだろう。
【0020】
一例として、導電性検知要素のセットは、インタラクティブテキスタイルを形成するために複数の非導電糸と織り合わされるまたは一体化される導電糸のセットを含み得る。より特定的には、導電糸は、可撓性のあるテキスタイル基板の両側に形成することができる。導電糸の第1のサブセットは、インタラクティブテキスタイルの第1の側と織り合わされ得るかまたは当該第1の側に連結され得る。導電糸の第2のサブセットは、インタラクティブテキスタイルの第2の側と織り合わされ得るかまたは第2の側に連結され得る。導電糸の第1のサブセットは、タッチセンサの第1の表面に隣接する第1の側に形成することができ、導電糸の第2のサブセットは、タッチセンサの第2の表面に隣接する反対側に形成することができる。タッチセンサへのタッチ入力は、1つ以上の検知線に接続された検知回路を用いて、複数の検知線によって検出することができる。検知回路は、タッチ入力に基づいてタッチデータ(たとえば、未処理のセンサデータまたは未処理のセンサデータから導出されるデータ)を生成することができる。検知回路および/または他の制御回路、たとえばローカルプロセッサもしくはリモートプロセッサなどは、タッチデータを分析して、タッチセンサのうち、タッチ入力に関連付けられた表面を判定することができる。いくつかの例では、制御回路は、1つ以上の予め定められたジェスチャを検出するために第1の表面に関連付けられたタッチ入力を分析している間、第2の表面に関連付けられたタッチ入力を無視することができる。別の例として、制御回路は、予め定められたジェスチャの第1のセットに関して第1の表面に関連付けられたタッチ入力を分析することができ、予め定められたジェスチャの第2のセットに関して第2の表面に関連付けられたタッチ入力を分析することができる。
【0021】
例示的な実施形態に従ったセンサシステムは、タッチセンサと1つ以上の制御回路とを含み得る。当該1つ以上の制御回路は、タッチ入力が受信される表面に基づいて、タッチセンサにおける入力ジェスチャを選択的に検出するように構成される。1つ以上の制御回路は、1つ以上の検知要素を用いてタッチセンサへのタッチ入力を検出するように構成された検知回路を含み得る。検知回路は、タッチ入力に基づいてセンサデータを生成することができる。1つ以上の制御回路は、付加的または代替的には、1つ以上のリモートコンピューティングデバイスなどにおいて、インタラクティブオブジェクトに対してローカルな1つ以上のプロセッサ、および/または、インタラクティブオブジェクトからリモートである1つ以上のプロセッサを含み得る。
【0022】
一例として、1つ以上の制御回路は、タッチセンサへのタッチ入力に応答して生成されるタッチデータを得ることができる。タッチデータは、導電性検知要素の第1のサブセットの第1の検知要素に関連付けられた応答(たとえば、抵抗または静電容量)と、検知要素の第2のサブセットの第2の導電性検知要素に関連付けられた応答とに少なくとも部分的に基づき得る。制御回路は、第1の検知要素に関連付けられた応答および第2の検知要素に関連付けられた応答に少なくとも部分的に基づいて、タッチ入力がタッチセンサの第1の表面またはタッチセンサの第2の表面のいずれに関連付けられているかを判定することができる。
【0023】
いくつかの実現例に従うと、1つ以上の制御回路は、タッチセンサの各検知要素の抵抗または静電容量などのそれぞれの応答を分析して、タッチ入力がタッチセンサの第1の表面またはタッチセンサの第2の表面のいずれに関連付けられているかを判定することができる。たとえば、制御回路は、検知要素の第1のサブセットの少なくとも1つの静電容量が検知要素の第2のサブセットの少なくとも1つの静電容量よりも大きいかどうかを判定することができる。各サブセットの少なくとも1つの静電容量は、さまざまな実現例における、各サブセットの個々の検知要素に関連付けられた静電容量、各サブセットに関連付けられた平均静電容量、および/または、各サブセットに関連付けられた累積静電容量を含み得る。
【0024】
いくつかの例では、1つ以上の制御回路は、検知要素の第1のサブセットに関連付けられた少なくとも1つの信号差が、検知要素の第2のサブセットに関連付けられた少なくとも1つの信号差よりも大きいかどうかを判定することができる。たとえば、制御回路は、配列内の各センサ線ごとに、そのようなセンサ線の静電容量とそれに隣接するセンサ線の静電容量との間の信号差を判定することができる。第1のサブセット内の各センサ線ごとの累積信号差の値は、第1のサブセット内の各検知線ごとの信号差の値を組合わせる(たとえば、加算する)ことによって判定することができる。第2のサブセット内の各センサ線ごとの累積信号差の値は、第2のサブセット内の各検知線ごとの信号差の値を組合わせることによって判定することができる。2つの累積信号差の値を比較することができる。第1のサブセットについての累積信号差の値が第2のサブセットについての累積信号差の値よりも大きい場合、制御回路は、タッチセンサの第1の表面でタッチ入力が受信されると判定することができる。第2のサブセットについての累積信号差の値が第1のサブセットについての累積信号差の値よりも大きい場合、制御回路は、タッチセンサの第2の表面でタッチ入力が受信されると判定することができる。
【0025】
例示的な実施形態に従うと、センサシステムは、タッチ入力がタッチセンサの第1の表面またはタッチセンサの第2の表面のいずれで受信されたかの判定に少なくとも部分的に基づいて、タッチ入力が特定の入力ジェスチャに対応するかどうかを選択的に判定することができる。たとえば、センサシステムの1つ以上の制御回路は、タッチ入力が第1の表面または第2の表面に関連付けられているかどうかを判定することができる。タッチ入力が第1の表面に関連付けられていると判定することに応答して、センサシステムは、タッチデータが1つ以上のジェスチャまたは他の予め定められた動きのいずれに対応するかを判定することができる。たとえば、センサシステムは、タッチデータを1つ以上の予め規定されたパラメータを表わす基準データと比較して、タッチデータが1つ以上のジェスチャに対応するかどうかを判定することができる。第1の入力ジェスチャを検出することに応答して、センサシステムは、コンピューティングデバイスにおいて機能を開始させることができる。しかしながら、タッチ入力が第2の表面に関連付けられていると判定することに応答して、センサシステムは、機能が開始されないように、タッチ入力が特定の入力ジェスチャを示していないことを自動的に判定することができる。
【0026】
いくつかの実現例では、タッチセンサの第1の表面におけるタッチ入力は第1の入力ジェスチャに関連付けることができ、タッチセンサの第2の表面における同じタッチ入力または同様のタッチ入力は第2の入力ジェスチャに関連付けることができる。たとえば、センサシステムは、タッチ入力に応答して生成されたタッチデータが、タッチセンサの第1の表面またはタッチセンサの第2の表面のいずれに関連付けられているかを判定することができる。加えて、センサシステムは、タッチデータが1つ以上の予め規定されたパラメータに対応するかどうかを判定することができる。タッチデータが1つ以上の予め規定されたパラメータに対応するとともに第1の表面に関連付けられている場合、センサシステムは、第1の入力ジェスチャが実行されたと判定することができる。しかしながら、タッチデータが1つ以上の予め規定されたパラメータに対応するとともに第2の表面に関連付けられている場合、センサシステムは、第2の入力ジェスチャが実行されたと判定することができる。入力が受信される表面を区別することによって、センサシステムは、例示的な実施形態において、より多数の入力ジェスチャを検出することができる。
【0027】
いくつかの例では、ジェスチャマネージャは、インタラクティブオブジェクトを含むコンピューティング環境内の1つ以上のコンピューティングデバイスにおいて実現され得る。ジェスチャマネージャは、タッチ入力が受信されるタッチセンサの表面を検出するように、タッチ入力に関連付けられたタッチデータに応答して1つ以上のジェスチャもしくは他のユーザの動きを検出するように、および/または、ジェスチャもしくは他のユーザの動きを検出することに応答して1つ以上の動作を開始させるように、構成され得る。たとえば、ジェスチャマネージャは、コンピューティングデバイスにおいて機能を開始するように、および/または、検出されたジェスチャまたはユーザの動きを示すデータをコンピューティングデバイスにおけるアプリケーションに提供するように、構成され得る。ジェスチャマネージャは、インタラクティブオブジェクトの1つ以上のコンピューティングデバイスにおいて、および/または、1つ以上のリモートコンピューティングデバイスにおいて、実現することができる。ジェスチャまたは他の予め定められた動きは、タッチセンサによって検出されたタッチデータに基づいて判定することができる。
【0028】
ジェスチャを検出することに応答して、ローカルおよび/またはリモートのコンピューティングデバイスにおいて機能を開始させることができる。たとえば、ジェスチャマネージャは、コンピューティングデバイスにおいて実現することができ、ジェスチャとコンピューティングデバイスの機能との間のマッピングを含むデータストアにアクセスすることができる。ジェスチャにマッピングされた機能は、タッチセンサでジェスチャを検出することに応答して開始させることができる。インタラクティブオブジェクトは、内部電子機器モジュール、取外し可能な電子機器モジュール、リモートコンピューティングデバイス、または上述のいずれかの組合わせによって検出されるジェスチャに応答し得る。
【0029】
記載されるように抵抗性タッチセンサまたは静電容量式タッチセンサによって提供されるタッチ入力は、さまざまな用途および能力を含み得る。一例として、タッチセンサは、当該タッチセンサの位置における単純なタッチ入力を検出するためのボタンとして用いられてもよい。いくつかの例では、ボタンタイプの入力を検出することができるタッチセンサを実現するために、1次元配列の検知線が用いられてもよい。一次元配列の検知線はまた、一次元スワイプ入力(たとえば、糸同士の間の間隔に対応する単一方向への動き)を検出するために用いられてもよい。いくつかの例では、導電糸のグリッド内のタッチの特定の位置を含むトラックパッド入力を検出することができるタッチセンサを実現するために、2次元配列の検知線が用いられ得る。加えて、2次元配列の検知線は、さまざまなジェスチャ入力、認証入力、予め規定されたキーストローク、動き、ユーザ特有の自然な挙動などを検出するために用いられてもよい。トレーニングデータを用いた機械学習済みモデルのトレーニングに基づいてユーザ入力を検出するために、1つ以上の機械学習済みモデルが用いられてもよい。加えて、タッチセンサは、指の距離によって引き起こされる容量変化からアナログ入力および擬似力入力を検出するように構成されてもよい。
【0030】
インタラクティブオブジェクトおよび/または当該インタラクティブオブジェクトと通信するコンピューティングデバイスは、検出されたジェスチャに基づいて1つ以上の動作を開始することができる。たとえば、検出されたジェスチャは、(たとえば、静電容量式タッチセンサ、コントローラ、またはその両方を介して)インタラクティブオブジェクトおよび/または1つ以上のリモートコンピューティングデバイスのいずれかに連結された1つ以上のユーザインターフェイスにおけるナビゲーションコマンド(たとえば、上方/下方/横方にスクロールすること、ページをめくることなど)に関連付けられ得る。付加的または代替的には、それぞれのジェスチャは、1つ以上のコンピューティングデバイスを利用して、たとえば、ダイヤルを回して数字を調整すること、テキストメッセージを送信すること、録音を再生すること等の1つ以上の予め規定された動作を開始させることができる。
【0031】
本開示の例示的な実施形態に従ってジェスチャを検出するためにさまざまな技術を用いることができる。センサシステムは、いくつかの例では、タッチデータが特定の入力ジェスチャに関連付けられた1つ以上の予め規定されたパラメータに対応するかどうかを判定することができる。インタラクティブオブジェクトおよび/または当該インタラクティブオブジェクトと通信するコンピューティングデバイスは、タッチ入力と少なくとも1つのジェスチャとの間の対応関係を検出することができる。たとえば、少なくとも1つのジェスチャについての予め規定されたパラメータのうち1つ以上に対応するタッチデータの1つ以上の特徴を識別することができる。一例として、特徴とパラメータとの間の対応関係は、マッチング基準を用いて識別することができる。タッチデータとそれぞれのジェスチャとの間の類似性を判定することができる。たとえば、タッチ入力とそれぞれのジェスチャとの間の類似性は、いくつかの対応する特徴およびパラメータに基づいて判定することができる。いくつかの例では、タッチデータとそれぞれのジェスチャとの間の対応関係は、最大数の対応する特徴およびパラメータに関連付けられたそれぞれのジェスチャに基づいて検出することができる。
【0032】
1つ以上の予め規定されたパラメータは、例示的な実施形態では、それぞれのジェスチャの識別とともに基準データベースに格納することができる。センサシステムは、タッチデータを1つ以上の予め規定されたパラメータと比較して、特定の入力ジェスチャが実行されたかどうかを判定することができる。予め規定されたパラメータの例は、検知パラメータ、動きパラメータ、または他の検出パラメータを含み得る。静電容量レベル、抵抗レベル、線形活性化順序、静電容量変化を伴う要素の数などのタッチデータの特徴は、いくつかの例では、予め規定されたパラメータと比較することができる。センサシステムは、予め規定されたパラメータに対応するタッチデータと、第1の表面に関連付けられているタッチ入力とに応答して、第1の入力ジェスチャを検出することができる。
【0033】
付加的または代替的には、インタラクティブオブジェクトによって生成されるタッチデータを1つ以上の機械学習済みモデル(たとえば、機械学習済み分類モデル)に入力することで、対応するタッチ入力が受信された表面を検出すること、および/または、1つ以上の予め規定されたジェスチャを検出することができる。タッチセンサの特定の表面を示すデータおよび/または予め定められたジェスチャの検出を示すデータは、1つ以上の機械学習済みモデルの出力として生成され得る。
【0034】
一例として、機械学習済み分類モデルは、1つ以上のニューラルネットワーク(たとえば、ディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク)または他の多層非線形モデルを含み得る。モデルは、トレーニングデータを用いて、1つ以上の機械学習技術によってトレーニングすることができる。トレーニングデータは、タッチセンサの第1の表面およびタッチセンサの第2の表面において1つ以上のインタラクティブオブジェクトによって以前に収集されたタッチデータを含み得る。一例として、1つ以上のインタラクティブオブジェクトは、1つ以上のインタラクティブオブジェクトのユーザに関連付けられた1つ以上のタッチ入力に基づいてタッチデータを生成することができる。トレーニングデータは、動きデータに対応する特定の表面および/またはジェスチャを識別するためにラベル付けされ得る。機械学習済み分類モデルは、たとえば、ラベル付けされたトレーニングデータに基づいてエラーの後方伝搬などのさまざまなトレーニング技術または学習技術を用いてトレーニングすることができる。
【0035】
このようにして、機械学習済み分類モデルは、タッチデータに基づいてタッチセンサの特定の表面に関連付けられた特定のジェスチャを検出するようにトレーニングすることができる。いくつかの実現例では、タッチデータは、機械学習済み分類モデルに入力することができる。機械学習済み分類モデルは、いくつかの例では、タッチセンサのうち意図されない表面に関連付けられたタッチ入力を無視することができる。機械学習済み分類モデルは、タッチ入力が意図される入力面で受信される場合、および、タッチデータが特定のジェスチャとの対応関係と合致するかまたは当該対応関係を示す場合、特定のジェスチャを示すデータを生成することができる。他の例では、機械学習済み分類モデルは、タッチセンサの第1の表面に関連付けられるタッチデータであって第1のジェスチャとの対応関係と合致するかまたは当該対応関係を示すタッチデータに応答して、第1のジェスチャを示すデータを生成することができる。機械学習済み分類モデルは、タッチセンサの第2の表面に関連付けられるタッチデータであって第2のジェスチャとの対応関係と合致するかまたは当該対応関係を示すタッチデータに応答して、第2のジェスチャを示すデータを生成することができる。いくつかの例では、異なる表面で受信される同じタッチデータまたは同様のタッチデータは、それぞれ異なるジェスチャに対応し得る。
【0036】
一例として、機械学習済み分類モデルは、機械学習済みバイナリ分類器モデルを含み得る。当該モデルは、タッチデータがタッチセンサの第1の表面に関連付けられているかどうか(たとえば、「1」)またはタッチデータがタッチセンサの第2の表面に関連付けられているかどうか(たとえば、「0」)などを示すように、バイナリ形式でタッチデータを分類することができる。同様に、機械学習済み分類モデルは、タッチデータを特定のジェスチャを示すもの(たとえば、「1」)として、または特定のジェスチャを示さないもの(たとえば、「0」)として分類することができる機械学習済みバイナリ分類器モデルを含み得る。
【0037】
本開示の多くは、静電容量式タッチセンサに関して説明されているが、いずれのタイプのセンサも、説明されるような既成の検知アセンブリに含まれ得ることが理解されるだろう。たとえば、抵抗性タッチセンサは、上述した静電容量式タッチセンサと同様の態様で形成することができる。
【0038】
開示される技術の実施形態は、特にコンピューティング技術の分野、インタラクティブオブジェクトの分野、およびこれら2つをまとめた分野において、いくつかの技術的効果および利益を提供する。特に、開示される技術の実施形態は、着用可能な衣類、衣類付属品、および衣類容器などのインタラクティブオブジェクトと一体化されたタッチセンサを用いて入力を検出するための改善された技術を提供する。たとえば、開示された技術の実施形態を利用することで、タッチセンサの意図される入力面におけるタッチ入力を、タッチセンサのうち、ウェアラブルデバイス着用中のユーザの身体に隣接し得るような第2の表面において受信される不注意な入力から区別することができる。このようにして、日々の使用中に起こり得るタッチセンサとユーザの身体との間の動きを、タッチセンサの意図される入力面に与えられる意図的な入力から区別することができる。
【0039】
いくつかの例に従うと、可撓性検知要素のセットは、可撓性検知要素の第1のサブセットと可撓性検知要素の第2のサブセットとに区分され得る。タッチセンサの第1の表面におけるタッチ入力が、タッチセンサの第2の表面におけるタッチ入力とは異なる容量性出力を生成するように、可撓性検知要素のサブセット間を垂直に離間させることができる。いくつかの例では、可撓性検知要素の第1のサブセットは可撓性基板の第1の側に形成することができ、可撓性検知要素の第2のサブセットは可撓性基板のうち第1の側とは反対側の第2の側に形成することができる。サブセット間を垂直に離間することおよび/または可撓性基板を使用することにより、第1の表面および第2の表面においてそれぞれ受信されるタッチ入力に応答して、区別可能な容量性出力が可能となり得る。可撓性検知要素のサブセット間における垂直な離間および/または可撓性基板を利用することにより、ユーザの身体とタッチセンサとの間に別個の絶縁層または遮蔽層を利用することなく第1の表面および第2の表面へのタッチ入力を区別することができる。このようにして、例示的な実施形態に従ったタッチセンサは、追加のしばしば嵩高い材料を含めることなく形成することができる。このような例は、タッチセンサを織物などのさまざまな基板とより流線的に一体化することを容易にし得る。
【0040】
いくつかの例では、可撓性検知要素のさまざまなサブセットを利用することにより、タッチセンサにより検出可能なジェスチャをより多く提供することができる。たとえば、第1の表面における第1の入力を示すタッチデータは、第1の入力ジェスチャに関連付けることができる。第2の表面における入力を示す同じタッチデータまたは同様のタッチデータは、第2の入力ジェスチャに関連付けることができる。このようにして、タッチセンサは、入力がタッチセンサの第1の表面または第2の表面のいずれに与えられるかに応じて、同じ入力に応答して複数のジェスチャを検出することができる。
【0041】
ここで図を参照して、本開示の例示的な局面をより詳細に説明する。
図1は、タッチセンサを含むインタラクティブオブジェクトが実現され得る例示的な環境100を示す図である。環境100は、タッチセンサ102(たとえば、静電容量式タッチセンサもしくは抵抗性タッチセンサ)または他のセンサを含む。タッチセンサ102は、さまざまなインタラクティブオブジェクト104内で一体化されるものとして示されている。タッチセンサ102は、タッチ入力を検出するように構成された導電糸または他の検知線などの1つ以上の検知要素を含み得る。いくつかの例では、静電容量式タッチセンサは、マルチタッチ入力を検知するように構成されたテキスタイルであるインタラクティブテキスタイルから形成することができる。本明細書に記載されるように、テキスタイルは、しばしば糸または紡ぎ糸と称される天然繊維または人工繊維の網で構成される如何なるタイプの可撓性織物材料にも対応する。テキスタイルは、糸同士を織り合わせたり、編み合わせたり、クロシェ編みしたり、結び合わせたり、プレス加工することにより、または、繊維もしくはフィラメント同士を一緒に不織布のように固めることにより、形成され得る。静電容量式タッチセンサは、任意の好適な導電性材料から、かつ、不織基板に取付けられた金属線、フィラメント等を含む可撓性のある導電線を用いることなどによって他の態様で、形成することができる。
【0042】
環境100では、インタラクティブオブジェクト104は、シャツ104-1、帽子104-2、ハンドバッグ104-3および靴104-6などの「可撓性のある」オブジェクトを含む。しかしながら、タッチセンサ102は、ほんの数例を挙げると、衣類もしくは衣類製品、衣類付属品、衣類容器、ブランケット、シャワーカーテン、タオル、シート、ベッドカバー、または家具の布地包装などの布地または同様の可撓性材料から作製される任意のタイプの可撓性オブジェクト内において一体化され得ることに留意されたい。衣類アクセサリの例には、頭部、手首、または上腕の周りに装着される汗拭き用弾性バンドが含まれ得る。衣類アクセサリの他の例は、手首、腕、肩、膝、脚、および腰用のさまざまなブレースまたは圧迫用サポータスリーブに見出すことができる。ヘッドウェアは、たとえばサンバイザ、キャップ、および防寒用目出し帽などの衣類アクセサリの別の例である。衣類容器の例には、腰回りに付けるバッグ、バックパック、ハンドバッグ、ストラップ付き手さげかばん、ハンガー付き衣類袋、およびトートバッグが含まれ得る。衣類容器は、バックパックのようにユーザによって着用もしくは携行されてもよく、または、キャスター付きキャリーケースのようにそれ自体の重量を保持するものであってもよい。タッチセンサ102は、織り、縫い、接着などを含むさまざまな異なる方法で可撓性オブジェクト104内に一体化されてもよい。可撓性オブジェクトは「柔らかい」オブジェクトと呼ばれることもある。
【0043】
この例では、オブジェクト104はさらに、プラスチックカップ104-4および硬質のスマートフォンケース104-5などの「硬い」オブジェクトを含む。しかしながら、硬いオブジェクト104は、プラスチック、金属、アルミニウム等の非可撓性材料または半可撓性材料から作製される任意のタイプの「硬い」オブジェクトまたは「剛性」オブジェクトを含み得ることに留意されたい。たとえば、硬いオブジェクト104はまた、ほんの数例を挙げると、プラスチック製の椅子、水瓶、プラスチック製のボール、または自動車部品を含み得る。別の例では、硬いオブジェクト104はまた、胸当て、ヘルメット、ゴーグル、すね当て、および肘当てなどの衣類付属品を含み得る。代替的には、硬いまたは半可撓性の衣類アクセサリは、靴、クリート、ブーツ、またはサンダルによって具現化されてもよい。タッチセンサ102は、さまざまな異なる製造プロセスを用いて硬いオブジェクト104内に一体化することができる。1つ以上の実現例では、射出成形を用いて、タッチセンサを硬いオブジェクト104に一体化する。
【0044】
タッチセンサ102は、ユーザが、タッチセンサ102と一体化されるオブジェクト104を制御すること、またはネットワーク108を介して他のさまざまなコンピューティングデバイス106を制御することを可能にする。コンピューティングデバイス106は、サーバ106-1、スマートフォン106-2、ラップトップ106-3、眼鏡型コンピュータ106-4、テレビ106-5、カメラ106-6、タブレット106-7、デスクトップ106-8、およびスマートウォッチ106-9といったさまざまな非限定的で例示的なデバイスとともに示されるが、ホームオートメーションおよび制御システム、サウンドまたはエンターテイメントシステム、家庭用電化製品、セキュリティシステム、ネットブック、電子書籍リーダ等の他のデバイスが用いられてもよい。なお、コンピューティングデバイス106は、着用可能であり得る(たとえば、眼鏡型コンピュータおよびスマートウォッチ)か、着用不可能であり得るが可動型であり得る(たとえば、ラップトップおよびタブレット)か、または、比較的固定されたままであり得る(たとえば、デスクトップおよびサーバ)ことに留意されたい。コンピューティングデバイス106は、Bluetooth(登録商標)接続、近距離無線通信接続、または他のローカルネットワーク接続を介してアクセスされ得るコンピューティングデバイス等のローカルコンピューティングデバイスであってもよい。コンピューティングデバイス106は、クラウドコンピューティングシステムのコンピューティングデバイスなどのリモートコンピューティングデバイスであってもよい。
【0045】
ネットワーク108は、ローカルエリアネットワーク(local-area-network:LAN)、無線ローカルエリアネットワーク(wireless LAN:WLAN)、パーソナルエリアネットワーク(personal-area-network:PAN)、ワイドエリアネットワーク(wide-area-network:WAN)、イントラネット、インターネット、ピアツーピアネットワーク、ポイントツーポイントネットワーク、メッシュネットワークなどの多くのタイプの無線または部分的に無線の通信ネットワークのうちの1つ以上を含む。
【0046】
タッチセンサ102は、ネットワーク108を介してタッチデータまたは他のセンサデータを送信することによって、コンピューティングデバイス106と対話することができる。付加的または代替的には、タッチセンサ102は、ジェスチャデータ、動きデータ、または、当該タッチセンサ102によって生成されるセンサデータから導出される他のデータを送信してもよい。コンピューティングデバイス106は、タッチデータを用いて、コンピューティングデバイス106または当該コンピューティングデバイス106におけるアプリケーションを制御することができる。一例として、シャツ104-1に一体化されたタッチセンサ102が、ユーザのポケット内のユーザのスマートフォン106-2、ユーザの家の中のテレビ106-5、ユーザの手首の上のスマートウォッチ106-9、またはユーザの家の中の他のさまざまな機器、たとえばサーモスタット、照明、音楽などを制御するように構成され得るものと想定する。たとえば、ユーザは、ユーザのシャツ104-1内に一体化されたタッチセンサ102上で上下にスワイプすることで、テレビ106-5の音量を上げたり下げたりするか、ユーザの家の中のサーモスタットによって制御される温度を上げたり下げたりするか、または、ユーザの家の中の照明をオンにしたりオフにしたりすることが可能であり得る。なお、いずれのタイプのタッチ、タップ、スワイプ、ホールド、またはストロークといったジェスチャもタッチセンサ102によって認識され得ることに留意されたい。
【0047】
より詳細には、インタラクティブオブジェクト104と、取外し可能な電子機器モジュール150と、コンピューティングデバイス106とを含む例示的なシステム190を示す
図2について考察する。システム190において、タッチセンサ102は、可撓性オブジェクト(たとえば、シャツ104-1、帽子104-2、もしくはハンドバッグ104-3)または硬いオブジェクト(たとえば、プラスチックカップ104-4またはスマートフォンケース104-5)として実現され得るオブジェクト104に一体化される。
【0048】
タッチセンサ102は、ユーザの手の1本以上の指がタッチセンサ102に触れるかまたは近づくとユーザからのタッチ入力を検知するように構成される。タッチセンサ102は、ユーザからのシングルタッチ入力、マルチタッチ入力、および/またはフルハンドタッチ入力を検知するための静電容量式タッチセンサまたは抵抗性タッチセンサとして構成されてもよい。タッチ入力の検出を可能にするために、タッチセンサ102は検知要素110を含む。検知要素は、さまざまな形状および幾何学的形状を含み得る。いくつかの例では、検知要素110は、タッチ入力を検出するように検知線のグリッドパターン、配列パターン、または平行パターンとして形成することができる。いくつかの実現例では、検知要素110は、タッチセンサ102の可撓性を変化させることがなく、これにより、タッチセンサ102をインタラクティブオブジェクト104内で容易に一体化させることが可能となる。
【0049】
インタラクティブオブジェクト104は、当該インタラクティブオブジェクト104内に埋込まれるとともに検知要素110に直接連結される内部電子機器モジュール124(内部電子機器デバイスとも称される)を含む。内部電子機器モジュール124は、通信インターフェイス162を介して、取外し可能な電子機器モジュール150(取外し可能な電子機器デバイスとも称される)に通信可能に連結され得る。内部電子機器モジュール124は、インタラクティブオブジェクト104のための電子回路または電子構成要素の第1のサブセットを含み、取外し可能な電子機器モジュール150は、インタラクティブオブジェクト104のための電子回路または電子構成要素の第2の別のサブセットを含む。本明細書で説明されるように、内部電子機器モジュール124は、インタラクティブオブジェクト104内に物理的かつ恒久的に埋込まれ得るが、取外し可能な電子機器モジュール150は、インタラクティブオブジェクト104に取外し可能に連結され得る。
【0050】
システム190において、内部電子機器モジュール124内に含まれる電子部品は、タッチセンサ102を形成する検知要素110に連結される検知回路126を含む。いくつかの例では、内部電子機器モジュールは可撓性のあるプリント回路基板(printed circuit board:PCB)を含む。プリント回路基板は、導電線に取付けるためのコンタクトパッドのセットを含み得る。いくつかの例では、プリント回路基板はマイクロプロセッサを含む。たとえば、導電糸からの線は、可撓性のあるPCB、クレーピング、導電性接着剤による接着、はんだ付け等を用いて検知回路126に接続されてもよい。一実施形態では、検知回路126は、特定の要求を示すように予めプログラムされた導電糸上の、ユーザ入力によるタッチ入力を検出するように構成され得る。一実施形態では、導電糸がグリッドパターンまたは他のパターンを形成する場合、検知回路126は、検知要素110上のタッチ入力の位置およびタッチ入力の動きも検出するように構成され得る。たとえば、ユーザの指などのオブジェクトが検知要素110に接触すると、この接触位置は、検知要素110のグリッドまたは配列上の静電容量の変化を検出することによって検知回路126によって判定することができる。次いで、タッチ入力を用いて、コンピューティングデバイス106を制御するために使用可能なタッチデータを生成し得る。たとえば、タッチ入力は、1本指のタッチ(たとえば、タッチ、タップ、およびホールド)、複数本の指のタッチ(たとえば、2本指のタッチ、2本指のタップ、2本指のホールド、ピンチ等)、1本指および複数本の指のスワイプ(たとえば、上方へのスワイプ、下方へのスワイプ、左側へのスワイプ、右側へのスワイプ)、ならびに、手全体でのインタラクション(たとえば、ユーザの手全体でテキスタイルに触れること、ユーザの手全体でテキスタイルを覆うこと、ユーザの手全体でテキスタイルを押圧すること、手のひらで触れること、およびテキスタイルに触れている間にユーザの手を回すかねじるかまたは回転させること)などのさまざまなジェスチャを判定するために用いることができる。
【0051】
内部電子機器モジュール124は、さまざまなタイプの電子機器、たとえば、検知回路126、センサ(たとえば、衣類に織り込まれた静電容量式タッチセンサ、マイクロフォン、または加速度計)、出力デバイス(たとえば、LED、スピーカ、またはマイクロディスプレイ)、電気回路などを含み得る。取外し可能な電子機器モジュール150は、内部電子機器モジュール124の電子機器と接続および/またはインターフェイスするように構成されるさまざまな電子機器を含み得る。概して、取外し可能な電子機器モジュール150内に含まれる電子機器は、内部電子機器モジュール124内に含まれる電子機器とは異なり、電子機器、たとえば、マイクロプロセッサ152、電源154(たとえば、バッテリ)、メモリ155、ネットワークインターフェイス156(たとえば、Bluetooth(登録商標)、WiFi、USB)、センサ(たとえば、加速度計、心拍数モニタ、歩数計、IMU)、出力デバイス(たとえば、スピーカ、LED)などを含み得る。
【0052】
いくつかの例では、取外し可能な電子機器モジュール150は、さまざまな電子機器を収容するストラップまたはタグとして実現される。ストラップまたはタグは、たとえば、ゴム、ナイロン、プラスチック、金属、または他の任意のタイプの布地等の材料から形成することができる。しかしながら、とりわけ、取外し可能な電子機器モジュール150は如何なるタイプの形態であってもよい。たとえば、取外し可能な電子機器モジュール150は、ストラップではなく、円形または正方形の材料片(たとえば、ゴムまたはナイロン)のような物であってもよい。
【0053】
慣性測定ユニット(inertial measurement unit:IMU)158は、インタラクティブオブジェクトの位置、速度、および/または加速度を示すセンサデータを生成することができる。IMU158は、インタラクティブオブジェクト104の1つ以上の3次元の動きを記述する1つ以上の出力を生成し得る。インタラクティブオブジェクト104が並進して再配向されるのに応じて慣性測定ユニットが並進して再配向されるように、IMUは、たとえば、ゼロ自由度で、取外し可能に、または取外し不可能に、内部電子機器モジュール124に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、慣性測定ユニット158は、ジャイロスコープまたは加速度計(たとえば、ジャイロスコープと加速度計との組合わせ)、たとえば、概ね直交する3本の軸を中心とした回転および当該3本の軸に沿った加速度を検知するように構成された3軸のジャイロスコープまたは加速度計などを含み得る。いくつかの実施形態では、慣性測定ユニットは、インタラクティブオブジェクトの速度の変化または回転速度の変化を検出するように構成されたセンサと、積分器とを含み得る。当該積分器は、たとえば、慣性測定ユニットのプロセッサにより、複数軸の各々の周りまたは複数軸の各々に沿った一体化された動きに基づいて正味の動きが計算され得るようにセンサからの信号を積分するように構成されている。
【0054】
通信インターフェイス162は、内部電子機器モジュール124と取外し可能な電子機器モジュール260との間の電力およびデータ(たとえば、検知回路126によって検出されるタッチ入力)の転送を可能にする。いくつかの実現例では、通信インターフェイス162は、コネクタプラグおよびコネクタ差込み口を含むコネクタとして実現され得る。コネクタプラグは、取外し可能な電子機器モジュール150において実現されてもよく、インタラクティブオブジェクト104において実現され得るコネクタ差込み口に接続するように構成されている。いくつかの例では、1つ以上の通信インターフェイスが含まれ得る。たとえば、第1の通信インターフェイスは、取外し可能な電子機器モジュール150を1つ以上のコンピューティングデバイス106に物理的に連結してもよく、第2の通信インターフェイスは、取外し可能な電子機器モジュール150をインタラクティブオブジェクト104に物理的に連結してもよい。
【0055】
システム190において、取外し可能な電子機器モジュール150は、マイクロプロセッサ152と、電源154と、ネットワークインターフェイス156とを含む。電源154は、通信インターフェイス162を介して検知回路126に連結されて、検知回路126に電力を供給して、タッチ入力の検出を可能にし得るとともに、小型バッテリとして実現され得る。タッチ入力が内部電子機器モジュール124の検知回路126によって検出されると、タッチ入力を表わすデータは、通信インターフェイス162を介して、取外し可能な電子機器モジュール150のマイクロプロセッサ152に伝達され得る。マイクロプロセッサ152は、次いで、タッチ入力データを分析して、1つ以上の制御信号を生成してもよく、当該1つ以上の制御信号は、次いで、ネットワークインターフェイス156を介してコンピューティングデバイス106(たとえば、スマートフォン、サーバ、クラウドコンピューティングインフラストラクチャなど)に伝達されて、コンピューティングデバイスに特定の機能性を開始させ得る。概して、ネットワークインターフェイス156は、有線、無線、または光ネットワークを介して、タッチデータ等のデータをコンピューティングデバイスに伝達するように構成される。限定ではなく例示のために、ネットワークインターフェイス156は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)(たとえば、Bluetooth(登録商標))、ワイドエリアネットワーク(WAN)、イントラネット、インターネット、ピアツーピアネットワーク、ポイントツーポイントネットワーク、メッシュネットワークなどを介して(たとえば、
図1および
図2のネットワーク108を介して)データを伝達してもよい。
【0056】
オブジェクト104はまた、触覚応答、触知応答、音声応答、視覚応答、またはこれらのいくつかの組合わせを提供するように構成された1つ以上の出力デバイス127を含み得る。同様に、取外し可能な電子機器モジュール150は、触覚応答、触知応答、および音声応答、視覚応答、またはこれらの何らかの組合わせを提供するように構成された1つ以上の出力デバイス159を含み得る。出力デバイスは、1つ以上の発光ダイオード(light-emitting diode:LED)等の視覚出力デバイス、1つ以上のスピーカ等の音声出力デバイス、1つ以上の触知出力デバイス、および/または1つ以上の触覚出力デバイスを含んでもよい。いくつかの例では、1つ以上の出力デバイスは、取外し可能な電子機器モジュールの一部として形成されるが、これは必須ではない。一例では、出力デバイスは、さまざまなタイプの出力信号を提供するように構成された1つ以上のLEDを含み得る。たとえば、1つ以上のLEDは、個々のLED起動の順序および/またはタイミングを制御することなどによって、光の円形パターンを生成するように構成することができる。円形パターンを含む視覚パターンを生成するために、他の光および技術が用いられてもよい。いくつかの例では、1つ以上のLEDは、さまざまなタイプの視覚的表示をもたらすためにさまざまな色の光を生成し得る。出力デバイスは、さまざまな振動および/または振動パターンの形式でさまざまなタイプの出力信号を提供する触覚出力デバイスまたは触知出力デバイスを含んでもよい。さらに別の例では、出力デバイスは、ユーザに関わるインタラクティブな衣類を締め付け得るかまたは緩め得るような触覚出力デバイスを含んでもよい。たとえば、締め付け金具、留め金、カフ、プリーツ、プリーツアクチュエータ、バンド(たとえば、収縮バンド)、または他のデバイスが、ユーザに対する衣類のフィット具合を調節する(たとえば、締め付けるおよび/または緩める)ために用いられてもよい。いくつかの例では、インタラクティブテキスタイルは、タッチセンサ102内の導電糸を駆動することなどによって衣類を締め付けるように構成されてもよい。
【0057】
ジェスチャマネージャ161は、コンピューティングデバイス106およびタッチセンサ102におけるアプリケーションと対話することができ、これは、場合によっては、タッチセンサ102によって受信されるタッチ入力を通じてアプリケーションの制御を支援するのに有効である。たとえば、ジェスチャマネージャ161はアプリケーションと対話することができる。
図2では、ジェスチャマネージャ161は、取外し可能な電子機器モジュール150において実現されるものとして図示されている。しかしながら、ジェスチャマネージャ161が内部電子機器モジュール124、インタラクティブオブジェクトからリモートであるコンピューティングデバイス106、またはこれらのいくつかの組合わせにおいて実現され得ることが認識されるだろう。ジェスチャマネージャは、いくつかの実施形態では、スタンドアロンアプリケーションとして実現され得る。他の実施形態では、ジェスチャマネージャは、コンピューティングデバイスにおいて1つ以上のアプリケーションに組込まれてもよい。
【0058】
ジェスチャまたは他の予め定められた動きは、タッチセンサ102および/または慣性測定ユニット158または他のセンサによって検出されるタッチデータに基づいて判定することができる。たとえば、ジェスチャマネージャ161は、1本指のタッチジェスチャ、ダブルタップジェスチャ、2本指のタッチジェスチャ、スワイプジェスチャなどのジェスチャを、タッチデータに基づいて判定することができる。別の例として、ジェスチャマネージャ161は、慣性測定ユニット158によって判定することができるような速度、加速度などの動きデータに基づいてジェスチャを判定することができる。
【0059】
ジェスチャに関連付けられた機能は、ジェスチャマネージャ161および/またはコンピューティングデバイスにおけるアプリケーションによって判定され得る。いくつかの例では、タッチデータが特定の機能を実行する要求に対応しているかどうかが判定される。たとえば、動きマネージャは、タッチデータが、車両サービスを開始すること、テキストメッセージまたは他の通知をトリガすること、電話に応答すること、仕訳記入を作成することなどの特定の機能にマッピングされるユーザ入力またはジェスチャに対応しているかどうかを判定する。全体にわたって説明されているように、タッチセンサ102のスワイプ、タップ、またはホールド等の機能をトリガするために、いずれかのタイプのユーザ入力またはジェスチャが用いられ得る。1つ以上の実現例では、動きマネージャは、アプリケーションの開発者またはユーザが、多種多様なタイプの機能をトリガするために使用可能なユーザ入力またはジェスチャのタイプを構成することを可能にする。たとえば、動きマネージャは、テキストメッセージまたは他の通信を送信すること、電話に応答すること、仕訳記入を作成すること、テレビの音量を上げること、ユーザの家の照明をオンにすること、ユーザの家の自動ガレージドアを開けること等によって、特定の機能を実行させることができる。
【0060】
内部電子機器モジュール124および取外し可能な電子機器モジュール150は、特定の電子構成要素を含むものとして図示および説明されているが、これらのモジュールが多種多様な方法で構成され得ることが認識されるはずである。たとえば、場合によっては、内部電子機器モジュール124内に含まれるものとして説明される電子構成要素は、取外し可能な電子機器モジュール150において少なくとも部分的に実現されてもよく、逆もまた同様である。さらに、内部電子機器モジュール124および取外し可能な電子機器モジュール150は、センサ、光源(たとえば、LED)、ディスプレイ、スピーカ等の、
図2に図示されるもの以外の電子構成要素を含んでもよい。
【0061】
図3は、1つ以上の実現例に従った、インタラクティブオブジェクト204と一体化され得るようなセンサシステム200の一例を示す。この例では、検知要素110は、基板215上または基板215内に導電糸210として実現される。タッチセンサ202は、静電容量式タッチセンサ202(たとえば、インタラクティブテキスタイル)を形成するために導電糸210と織り合わされる非導電糸212を含む。なお、抵抗性タッチセンサを形成するために同様の構成が用いられ得ることに留意されたい。非導電糸212は、綿、羊毛、絹、ナイロン、ポリエステルなどのいずれかのタイプの非導電性の糸、繊維または布地に対応し得る。
【0062】
220において、導電糸210の拡大図が示されている。導電糸210は、導電性ワイヤ230、または、可撓性糸232と撚り合わされているか編み合わされているかもしくは巻き合わされている複数の導電性フィラメントを含む。図示のとおり、導電糸210は、非導電糸212と織り合わされるかまたは一体化されて、布地または織物を形成することができる。導電糸および織地が図示されているが、プラスチック基板上に形成される可撓性金属線などの他のタイプの検知要素および基板が用いられ得ることが認識されるだろう。
【0063】
1つ以上の実現例では、導電性ワイヤ230は細い銅線である。しかしながら、導電性ワイヤ230が、他の材料、たとえば、銀、金、または導電性ポリマーでコーティングされた他の材料などを用いて実現され得ることに留意されたい。導電性ワイヤ230は、非導電糸を一緒に編込むことによって形成される外側カバー層を含み得る。可撓性糸232は、綿、羊毛、絹、ナイロン、ポリエステルなどの任意のタイプの可撓性のある糸または繊維として実現され得る。
【0064】
静電容量式タッチセンサ202は、任意の従来の織りプロセス(たとえば、ジャカード織りまたは3D織り)を用いてコスト効果良く、効率的に形成することができる。これは、1組のより長い糸(縦糸と呼ばれる)を1組の交差糸(横糸と呼ばれる)と織り交ぜることを含む。織りは、いくつもの種類がある織機として公知であるフレームまたは機械上で実現されてもよい。このようにして、織機は、非導電糸212を導電糸210と織り合わせることで、静電容量式タッチセンサ202を作成することができる。別の例では、静電容量式タッチセンサ202は、1つ以上の金属層を含む電磁性布地などの導電性布地から形成された、予め規定された配置の検知線を用いて形成することができる。
【0065】
導電糸210は、任意の適切なパターンまたは配列でタッチセンサ202に形成することができる。一実施形態では、たとえば、導電糸210は、一連の平行糸を1セット形成し得る。たとえば、一実施形態では、静電容量式タッチセンサは、ジャケットの袖上などのインタラクティブオブジェクト上に都合よく配置された複数の平行な導電糸を1セット含み得る。
【0066】
代替的な実施形態では、導電糸210は、実質的に平行な導電糸の第1のセットと、当該導電糸の第1のセットと交差してグリッドを形成する実質的に平行な導電糸の第2のセットとを含むグリッドを形成し得る。たとえば、導電糸の第1のセットが導電糸の第2のセットに対して実質的に直交して位置決めされるように、導電糸の第1のセットは水平に配向され得るとともに、導電糸の第2のセットは垂直に配向され得る。しかしながら、交差する導電糸同士が互いに直交しないように導電糸が配向され得ることが認識されるはずである。たとえば、場合によっては、交差する導電糸はダイヤモンド形状のグリッドを形成することもある。
図3では導電糸210が互いから離間しているように示されているが、導電糸210同士が互いに非常に近接して形成され得ることに留意されたい。たとえば、場合によっては、2本または3本の導電糸を各方向に互いに密に織り合わせてもよい。さらに、場合によっては、導電糸は、互いに交差または横断しない平行な検知線として配向されてもよい。
【0067】
例示的なシステム200では、検知回路126は、オブジェクト104内に一体化されるように示されており、導電糸210に直接接続されている。動作中、検知回路126は、自己容量検知または投影容量検知を用いて、導電糸210上のタッチ入力の位置を判定することができる。
【0068】
たとえば、自己容量センサとして構成される場合、検知回路126は、制御信号(たとえば、正弦信号)を各導電糸210に与えることによって、交差する導電糸210(たとえば、水平な導電糸および垂直な導電糸)を帯電させる。ユーザの指などのオブジェクトが導電糸210のグリッドに接触すると、接触した導電糸210が接地され、これにより、接触した導電糸210上の静電容量を変化させる(たとえば、静電容量を増加または減少させる)。
【0069】
検知回路126は、静電容量の変化を用いてオブジェクト(たとえば、ユーザの指、スタイラスなど)の存在を識別する。グリッドが用いられる場合、検知回路126は、それぞれの導電糸210の静電容量の変化を検出することによって、水平な導電糸のいずれがタッチされたか、および垂直な導電糸のいずれがタッチされたかを検出することによって、タッチ入力の位置を検出する。検知回路126は、タッチされる交差導電糸210同士の交点を用いて、導電糸210のグリッド上のタッチ入力の位置を判定する。たとえば、検知回路126は、導電糸210のグリッド上のX、Y座標として各タッチの位置を判定することによってタッチデータを判定することができる。
【0070】
代替的には、検知回路126は、投影容量センサとして実現される場合、制御信号(たとえば、正弦信号)を単一セットの導電糸210に加えることによって、単一セットの導電糸210(たとえば、垂直な導電糸210)を帯電させる。次いで、検知回路126は、他のセットの導電糸210(たとえば、垂直な導電糸)における静電容量の変化を検知する。
【0071】
投影静電容量の実現例では、垂直な導電糸は帯電されず、このため、仮想接地として作用する。しかしながら、水平な導電糸は、帯電されると垂直な導電糸に容量的に結合する。このため、ユーザの指などのオブジェクトが導電糸のグリッドに触れると、静電容量が垂直な導電糸上で変化する(たとえば、増加または減少する)。検知回路126は、垂直な導電糸上の静電容量の変化を用いてオブジェクトの存在を識別する。そうするために、検知回路126は、垂直な導電糸を走査して静電容量の変化を検出することによって、タッチ入力の位置を検出する。検知回路126は、タッチ入力の位置を、静電容量が変化した垂直な導電糸と送信時に制御信号が通った水平な導電糸との間の交点として判定する。たとえば、検知回路126は、各タッチの位置を導電糸のグリッド上のX、Y座標として判定することによってタッチデータを判定することができる。
【0072】
自己容量センサまたは投影容量センサとして実現されるかどうかにかかわらず、導電糸210および検知回路126は、検出されたタッチ入力を表わすタッチデータを(たとえば、取外し可能な電子機器モジュール150における)ジェスチャマネージャ161に伝達するように構成される。マイクロプロセッサ152は、次いで、タッチデータをネットワークインターフェイス156を介してコンピューティングデバイス106に伝達させ、デバイスがタッチデータに基づいてジェスチャを判定することを可能にし得る。このタッチデータは、オブジェクト104、コンピューティングデバイス106、またはコンピューティングデバイス106において実現されるアプリケーションを制御するために用いることができる。いくつかの実現例では、予め規定された動きは内部電子機器モジュールおよび/または取外し可能な電子機器モジュールによって判定され得るとともに、予め規定された動きを示すデータはコンピューティングデバイス106に伝達され得ることで、オブジェクト104、コンピューティングデバイス106、またはコンピューティングデバイス106において実現されるアプリケーションを制御することができる。
【0073】
いくつかの実施形態に従うと、複数の検知線を多層の可撓性フィルムから形成することで、可撓性検知線を容易に得ることができる。たとえば、多層フィルムは可撓性織物、プラスチック、または他の可撓性材料等の1つ以上の可撓性ベース層を含んでもよい。1つ以上の金属層は可撓性ベース層上にわたって延在し得る。任意には、1つ以上のパッシベーション層は、1つ以上の可撓性ベース層および1つ以上の金属層の上にわたって延在して、金属層とベース層との間の接着を促進することができる。いくつかの例に従うと、1つ以上の可撓性ベース層、1つ以上の金属層、および任意には1つ以上のパッシベーション層を含む多層シートを形成し、次いで、個々の検知線に沿って切断、エッチング、または分割することができる。各々の検知線は、1つ以上の可撓性ベース層の線の上に形成される1つ以上の金属層の線を含み得る。任意には、検知線は、1つ以上の可撓性ベース層の上に重なる1つ以上のパッシベーション層の線を含み得る。いくつかの例では、電磁場を遮蔽する布地を用いて検知線を形成することができる。
【0074】
タッチセンサ202を形成する複数の導電糸210は、非導電糸212と一体化されて可撓性基板215を形成する。導電糸210-1および210-3の第1のサブセットは可撓性基板の第1の側217に連結され、導電糸210-2および210-4の第2のサブセットは可撓性基板の第2の側(図示せず)に連結される。第1の側は、第1の側および第2の側に対して直交する方向において第2の側の反対側にある。タッチセンサを形成するのに何本もの導電糸が用いられてもよい。さらに、例示的な実施形態では、個々のサブセットの蓄積のために何本もの導電糸が用いられてもよい。
【0075】
センサシステム200の1つ以上の制御回路は、タッチセンサ202へのタッチ入力に関連付けられたタッチデータを取得することができる。1つ以上の制御回路は、検知回路126および/またはコンピューティングデバイス、たとえば、内部電子機器モジュールにおけるマイクロプロセッサ128、取外し可能な電子機器モジュール150におけるマイクロプロセッサ152、および/または、リモートコンピューティングデバイス106などを含み得る。1つ以上の制御回路は、例示的な実施形態においてジェスチャマネージャ161を実現することができる。タッチデータは、複数の導電糸210の各々によるそれぞれの応答に関連付けられたデータを含み得る。タッチデータは、たとえば、基板の上側における導電糸210-1および210-3と、基板の底側における導電糸210-2および210-4とに関連付けられた静電容量を含み得る。制御回路は、タッチ入力が導電糸210-1、201-3の第1のサブセットまたは導電糸210-2、210-4の第2のサブセットのいずれに関連付けられているかを判定することができる。制御回路は、複数の導電性検知要素によるタッチ入力に対するそれぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、タッチ入力を特定のサブセットに関連付けられたものとして分類することができる。
【0076】
制御回路は、タッチ入力が受信されるタッチセンサの表面を検出するように、タッチ入力に関連付けられたタッチデータに応答して1つ以上のジェスチャもしくは他のユーザの動きを検出するように、および/または、ジェスチャもしくは他のユーザの動きを検出することに応答して1つ以上の動作を開始させるように、構成され得る。一例として、制御回路は、タッチセンサ202へのタッチ入力に応答して生成されるタッチデータを取得することができる。タッチデータは、検知要素の各サブセットのうちのいくつかの検知要素に関連付けられた応答(たとえば、抵抗または静電容量)に少なくとも部分的に基づき得る。制御回路は、第1の検知要素に関連付けられた応答および第2の検知要素に関連付けられた応答に少なくとも部分的に基づいて、タッチ入力がタッチセンサの第1の表面またはタッチセンサの第2の表面のいずれに関連付けられているかを判定することができる。制御回路は、タッチ入力がタッチセンサの第1の表面またはタッチセンサの第2の表面のいずれで受信されたと判定されたかに少なくとも部分的に基づいて、タッチ入力が特定の入力ジェスチャに対応するかどうかを選択的に判定することができる。特に、制御回路は、検知要素の各サブセットからのタッチデータを分析して、特定のジェスチャが実行されたかどうかを判定することができる。この点に関して、制御回路は、要素の個々のサブセットを利用して、タッチセンサの特定の表面を識別することができる。しかしながら、制御回路は、検知要素のセット一式を利用することで、ジェスチャが実行されたかどうかを識別することができる。
【0077】
図4は、本開示の例示的な実施形態に従った、静電容量式タッチセンサ302を含むインタラクティブオブジェクトの一例を示す斜視図である。この例では、インタラクティブオブジェクトは、袖のカフに組込まれた静電容量式タッチセンサ302を有するインタラクティブな衣類304である。一例として、ユーザは、静電容量式タッチセンサ302が配置されているインタラクティブオブジェクト104のカフに軽く触れることによってジェスチャを実行することができる。ジェスチャマネージャ161は、軽く触れることによるジェスチャに応答して1つ以上の機能を開始および/または実現するように構成され得る。たとえば、ユーザは、リモートコンピューティングデバイスにおいてアプリケーションに関連する通知(たとえば、リモートコンピューティングデバイスにおいてテキストメッセージを可聴出力に変換させる)を受信するために軽く触れるというジェスチャを実行してもよい。なお、いずれのタイプのタッチ、タップ、スワイプ、ホールド、またはストロークといったジェスチャも静電容量式タッチセンサ302によって認識され得ることに留意されたい。代替例では、静電容量式タッチセンサではなく抵抗式タッチセンサが用いられてもよい。
【0078】
図4の導電性検知要素310は、タッチセンサ区域305に位置決めされる。検知要素310は、意図されるタッチ入力面320におけるタッチ入力と意図されない第2の表面322におけるタッチ入力とをセンサシステムが区別することを可能にするために、検知要素のサブセットに区分され得る。第2の表面は、インタラクティブな衣類が着用されているときにユーザの身体に向かって位置決めされ得る。従来の設計では、意図されるタッチ入力面320と意図されない第2の表面322との間のタッチを区別することは困難である可能性がある。典型的には、ユーザの身体とタッチセンサとの間にぶ厚い詰め物が挟まれることで、意図されない第2の表面322に位置するユーザの身体に反応して生成される容量性信号を減衰させる。
【0079】
例示的な実施形態に従うと、導電性検知要素の第1のサブセットは可撓性基板の第1の側に連結することができ、導電性検知要素の第2のサブセットは可撓性基板の第2の側に連結することができる。第1の側は、意図されるタッチ入力面320のより近くに位置決めすることができ、第2の側は、意図されるタッチ入力面320からより遠くに位置決めすることができ、着用時にユーザに隣り合って位置することとなる第2の表面322のより近くに位置決めすることができる。たとえば、インタラクティブな衣類がユーザによって着用されるとき、第1の側は意図されるタッチ入力面に隣接し得るとともに、第2の側はユーザの身体の1つ以上の部分に隣接し得る。いくつかの実施形態では、可撓性基板の第1の側および可撓性基板の第2の側は、可撓性基板の第1の側および第2の側に対して直交する方向に離間させることができる。基板の両側に検知要素のサブセットを位置決めすることにより、第2の表面においてユーザの身体によって生成される容量性信号は、意図されるタッチ入力面におけるタッチ入力によって生成される容量性信号から区別することができる。
【0080】
例示的な実施形態に従うと、検知要素の第1のサブセットおよび第2のサブセットは垂直方向に離間させることができ、これにより、意図される入力面において提供される入力を意図されない第2の表面において提供される入力から区別するための、信号による区別をもたらす。たとえば、検知要素は、
図4に示すように平行な検知線として配置することができる。これら検知線は、第1の方向に細長く、第1の方向に対して直交する第2の方向に離間させることができる。平行な検知線の第1のサブセットおよび平行な検知線の第2のサブセットは、第1の方向および第2の方向に対して直交する方向に離間させることができる。特に、上記線が連結される可撓性基板の使用の有無に関わらず、このように離間させることができる。意図されるタッチ入力面(たとえば、+垂直軸205)において提供されるタッチ入力は、上記線の第2のサブセットよりも上記線の第1のサブセット上で、より強い信号(たとえば、静電容量)を生成することができる。意図されない第2の表面(たとえば、-垂直軸)において提供されるタッチ入力は、上記線の第1のサブセットよりも上記線の第2のサブセット上で、より強い信号(たとえば、静電容量)を生成することができる。
【0081】
図5は、本開示の例示的な実施形態に従った、基板の両側に形成された検知要素の個々のサブセットを含むタッチセンサ402を含むセンサシステム400の一例を示す斜視図である。複数の導電性検知要素の各導電性検知要素410は、基板415に連結されるとともに、縦軸201に対応する縦方向に細長く、横軸203に対応する横方向に隣り合った導電性検知要素同士の間に間隔が設けられている。この例における導電性検知要素410のセットは、縦軸201に対して平行であり細長い平行な検知線のセットであり、縦方向に対して直交する横方向に隣り合った検知線同士の間に間隔が設けられている。平行な検知線のセットは、重なり合うことなく第1の方向に細長く伸びた非交差線であり得る。たとえば、これらの非交差線は、タッチセンサの意図されるタッチ入力区域において、互いに横切ったり、互いに接触したり、または互いの上方もしくは下方で交差したりすることなく導電線パターンを形成することができる。平行な検知線のセットは、縦方向および横方向の両方に対して直交する垂直方向において検知線の第2のサブセットから離間されている検知線の第1のサブセットを含み得る。たとえば、平行な検知線のセットは、横方向に隣り合った導電性検知線同士の間に間隔を空けて縦方向に細長くする延在させることができる。
【0082】
導電性検知要素の第1のサブセットの各導電性検知要素は、導電性検知要素の第2のサブセットのうち少なくとも1つの導電性検知要素に横方向に隣接する。センサシステムは、ウェアラブルデバイスなどのさまざまなインタラクティブオブジェクトと一体化させることができる。可撓性基板の第1の側417は、タッチセンサの意図される入力面に隣接し得るとともに、第2の側419は、ウェアラブルデバイスがユーザによって装着されたときにユーザの身体のうち1つ以上の部分に隣接し得る。
【0083】
導電性検知要素410のセットは、可撓性基板415の両側に連結することができる。たとえば、導電性検知要素410-0、410-2、410-4、410-6、および410-8の第1のサブセットは、可撓性基板415の第1の側417に連結することができ、可撓性検知要素410-1、410-3、410-5、410-7、および410-9の第2のサブセットは可撓性基板415の第2の側419に連結することができる。第1の側および第2の側は、タッチセンサの第1の表面および第2の表面に対して直交する垂直軸205に沿った方向に互いに対向する側であり得る。いくつかの例では、導電性検知要素の第1のサブセットおよび導電性検知要素の第2のサブセットは、
図5に示すように、タッチセンサの第1の表面および第2の表面に対して直交する垂直方向に距離を空けて離間させることができる。しかしながら、他の例では、導電性検知要素の第1のサブセットおよび検知要素の第2のサブセットは、それらの間に垂直方向に間隔を設けることなく、同じ垂直面に形成することができる。
【0084】
検知要素410のセットは、検知要素410-0、410-2、410-4、410-6、および410-8の第1のサブセットを検知要素410-1、410-3、410-5、410-7、および410-9の第2のサブセットと交互に配置することによって形成することができる。たとえば、
検知要素の第1のサブセットが第1の側に形成され、検知要素の第2のサブセットが第2の側に形成されるように、導電性検知要素のセットを第1の側417と第2の側419とに交互に形成することができる。
図5では、導電性検知要素のセットは、同じ数の検知要素が各側に形成されるように、第1の側と第2の側との上に交互に形成される。他の例では、異なる数の検知要素を各々の側に形成することができる。可撓性のある導電性検知要素のセットは、横軸203の方向に隣り合った連続的な検知線同士の間に間隔を空けて一列に並べることができる。可撓性のある導電性検知線を第2の方向に一列に並べることにより、偶数番号の検知要素410-0、410-2、410-4、410-6、および410-8のサブセットと、奇数番号の検知要素410-1、410-3、410-5、410-7、および410-9のサブセットとを形成することができる。
【0085】
図6は、本開示の例示的な実施形態に従った
図5の検知線を示すグラフ図であり、検知線の個々のサブセット間に垂直方向に間隔が空けられている。
図6は、導電性検知要素の断面図を示し、検知要素410-0、410-2、410-4、410-6、および410-8の第1のサブセット440と検知要素410-1、410-3、410-5、410-7、および410-9の第2のサブセット442との間の垂直軸205に沿った垂直方向の離間dzを示す。第1のサブセットの各検知要素の中心は、縦軸201および横軸203に沿って延在する第1の面を規定する。検知要素の第1のサブセット440を、検知要素の偶数番号の層と称することもある。第2のサブセットの各検知要素の中心は、横軸203および縦軸201に沿って延在する第2の面を規定する。検知要素の第2のサブセット442を検知要素の奇数番号の層と称することもある。第1の面および第2の面は、垂直軸205に沿って垂直方向に離間されている。検知要素のサブセット間の垂直方向の離間または距離dzは、タッチセンサの第1の表面における入力をタッチセンサの第2の表面における入力から区別することを可能にする。第1のサブセットの各検知要素は、第2のサブセットのうちの少なくとも1つの検知要素から横方向に離間されている。横方向における隣り合う検知要素間の距離はピッチと称されることもある。
【0086】
離間距離dzは、横方向および縦方向に対して直交する垂直方向である。たとえば、検知線の第1のサブセットは、タッチセンサの意図される入力面のより近くに形成することができ、検知線の第2のサブセットは、意図される入力面からより遠くに形成することができる。たとえば、検知線の第2のサブセットは、タッチセンサを含む着用可能な衣類または他のインタラクティブオブジェクトがユーザによって着用されるときに、タッチセンサのうちユーザの身体に隣接する第2の表面のより近くに形成することができる。検知線の第1のサブセットと検知線の第2のサブセットとの間の距離は、それぞれ、意図される入力面および第2の表面において受信されるタッチ入力に応答して、タッチセンサの区別可能な容量性出力を与えることができる。このようにして、タッチセンサは、意図される入力面においてユーザによって与えられる意図的な入力と、ユーザが着用可能衣類を着用したときにユーザの身体に相対的なタッチセンサの動きによって引き起こされる意図しない入力とを区別することができる。
【0087】
図7は、本開示の例示的な実施形態に従った、タッチセンサの第1の表面におけるタッチ入力に対するセンサ応答の一例を示すグラフ
図412である。
図7は、タッチ入力がタッチセンサの第1の表面に提供されるときの、各検知要素410に関連付けられたそれぞれの出力信号を示す。各検知要素に関連付けられた信号は、例示的な実施形態において、検知要素の静電容量または抵抗を示し得る。偶数番号の検知要素は奇数番号の検知要素よりも高い振幅で応答する。偶数番号の各検知要素の信号振幅は奇数番号の各検知要素の信号振幅よりも高い。信号振幅は、例示的な実施形態では、静電容量値または抵抗値を示し得る。特に、偶数番号の各検知要素の静電容量値は、偶数番号の各検知要素に隣接する奇数番号の各検知要素の静電容量値よりも大きい。
図7は、偶数番号の各検知要素とこれに隣接する奇数番号の各検知要素との間の信号差420(たとえば、静電容量)を示す。第2のサブセットのうちの少なくとも1つの隣接する検知要素に対する第1のサブセットのうちの特定の検知要素との間の信号差は、タッチ入力が受信される表面を示し得る。一例として、信号差420-2は、偶数番号の検知要素410-2と奇数番号の検知要素410-1との間の信号差を表わす。信号差の値は、いくつかの事例では、タッチ入力が検知要素の全てにおいて受信され得るわけではないため顕著であり得る。したがって、タッチ入力を区別する際に、或るサブセットの特定の検知線を、別のサブセットのうち最も近くに隣接する検知線を基準にして調査することが有用であり得る。
【0088】
図8は、本開示の例示的な実施形態に従った、タッチセンサの第2の表面におけるタッチ入力に対する例示的なセンサ応答を示すグラフ
図414である。
図8は、タッチ入力がタッチセンサの第2の表面に与えられるときの、各検知要素410に関連付けられる出力信号を示す。奇数番号の検知要素は、振幅がより高いタッチ入力に応答する。奇数番号の各検知要素の信号振幅は、
図8における偶数番号の各検知要素の信号振幅よりも高い。特に、奇数番号の各検知要素の静電容量値は、隣接する偶数番号の各検知要素の静電容量値よりも大きい。
図8は、奇数番号の各検知要素々と隣接する偶数番号の各検知要素との間の信号差430を示す。一例として、信号差430-2は、偶数番号の検知要素410-2と奇数番号の検知要素410-1との間の信号差を表わす。
【0089】
ジェスチャマネージャは、検知要素に関連付けられた信号出力を調べて、或るタッチ入力をタッチセンサの特定の表面に関連付けられているものとして判定または分類することができる。たとえば、センサシステムは、検知要素の第1のサブセットに関連付けられた1つ以上の応答が、検知要素の第2のサブセットに関連付けられた1つ以上の応答よりも高いかどうかを判定することができる。第1のサブセットの1つ以上の応答がより高い場合、センサシステムは、当該タッチ入力をタッチセンサの第1の表面と関連付けることができる。しかしながら、第2のサブセットの1つ以上の応答がより高い場合、センサシステムは、当該タッチ入力をタッチセンサの第2の表面と関連付けることができる。
【0090】
一例として、センサシステムは、導電性検知要素の第1のサブセットに関連付けられた少なくとも1つの信号差を判定し、導電性検知要素の第2のサブセットに関連付けられた少なくとも1つの信号差を判定することができる。センサシステムは、導電性検知要素の第1のサブセットに関連付けられた少なくとも1つの信号差が導電性検知要素の第2のサブセットに関連付けられた少なくとも1つの信号差よりも大きい場合、タッチ入力が導電性検知要素の第1のサブセットに関連付けられていると判定することができる。センサシステムは、導電性検知要素の第2のサブセットに関連付けられた少なくとも1つの信号差が導電性検知要素の第1のサブセットに関連付けられた少なくとも1つの信号差よりも大きい場合、タッチ入力が導電性検知要素の第2のサブセットに関連付けられていると判定することができる。
【0091】
図9および
図10は、それぞれ、本開示の例示的な実施形態に従った、可撓性基板の両側に連結された検知線の個々のサブセットを含むタッチセンサの一例を示す上面図および底面図である。センサアセンブリ500は、タッチセンサ502および内部電子機器モジュール524を含む。内部電子機器モジュール524は、
図2に示されるような内部電子機器モジュール124の一例である。タッチセンサ502は、
図1および
図2に示すようなタッチセンサ102の一例であり、例示的な実施形態では、静電容量式タッチセンサまたは抵抗式タッチセンサとして構成され得る。
【0092】
タッチセンサ502は、複数の導電糸510-0~510-9から形成される。導電糸510-0~510-9は、検知要素110の一例である。導電糸510-0~510-9は、基板に連結されるとともにタッチ入力を受信するために縦方向に延在する平行な検知線の一例である。内部電子機器モジュール524は、複数の導電糸510-0~510-9と電気的に通信する検知回路(図示せず)を含み得る。内部電子機器モジュール524は、取外し可能な電子機器モジュールとの通信を確立するために通信ケーブルに連結することができる1つ以上の通信ポートを含み得る。通信ポートは、付加的または代替的には、通信ケーブルに連結されてさまざまな入力デバイスおよび/または出力デバイスとの通信を確立することができる。出力デバイスは、スピーカなどの可聴出力デバイス、光(たとえばLED)などの視覚出力デバイス、または触覚モータなどの触覚出力デバイスを含んでもよい。任意の適切なタイプの出力デバイスが出力デバイスとして設けられ得る。
【0093】
導電糸510のセットは、複数の非導電糸と織り合わされるかまたは複数の非導電糸と一体化されて、インタラクティブのテキスタイル基板515を形成し得る。より具体的には、導電糸510は基板515の両側に形成することができる。導電糸510-0、510-2、510-4、510-6、および510-8の第1のサブセットは、インタラクティブテキスタイルの第1の側517と織り合わされるかまたは連結され得る。導電糸510-1、510-3、510-5、510-7、510-9の第2のサブセットは、インタラクティブテキスタイルの第2の側519と織り合わされるかまたは連結され得る。導電糸の第1のサブセットは、タッチセンサの第1の表面に隣接する第1の側517上に形成され得るとともに、導電糸の第2のサブセットは、タッチセンサの第2の表面に隣接する反対の側519上に形成され得る。タッチセンサへのタッチ入力は、1つ以上の導電糸に接続された内部電子機器モジュール524の検知回路を用いて、複数の導電糸によって検出することができる。検知回路は、タッチ入力に基づいてタッチデータ(たとえば、未処理のセンサデータまたは未処理のセンサデータから導出されるデータ)を生成することができる。検知回路および/または他の制御回路(たとえば、ローカルプロセッサまたはリモートプロセッサ)は、タッチデータを分析して、タッチ入力に関連付けられたタッチセンサの表面を判定することができる。いくつかの例では、制御回路は、1つ以上の予め定められたジェスチャを検出するために第1の表面に関連付けられたタッチ入力を分析している間、第2の表面に関連付けられたタッチ入力を無視することができる。別の例として、制御回路は、予め定められたジェスチャの第1のセットについては第1の表面に関連付けられたタッチ入力を分析することができ、予め定められたジェスチャの第2のセットについては第2の表面に関連付けられたタッチ入力を分析することができる。
【0094】
図9を参照すると、可撓性基板515の第1の側517は、インタラクティブオブジェクトと一体化された場合、タッチセンサのための意図されるタッチ入力面に対応し得る。たとえば、センサアセンブリ500は、オブジェクトと一体化されて、基板515の第1の側517に隣接するタッチ入力面を有するインタラクティブオブジェクトを形成することができる。
図10に示される第2の側519は、センサアセンブリを組込んだインタラクティブな衣類をユーザが着用したときに、ユーザの身体に隣接し得る。
【0095】
導電糸510-0~510-9は、テキスタイルベースの基板515上またはその内部に形成することができる。一例として、テキスタイルベースの基板515は、導電糸510-0~510-9を非導電糸のセットと織り合わせるか、縫い込むか、縫い合わせるか、または一体化することによって形成され得る。
【0096】
導電糸は、いくつかの例では接続用リボン514に連結され、この接続用リボン514を利用することにより、内部電子機器モジュール524の複数の電気接触パッド(図示せず)への接続のために導電線を位置決めすることができる。複数の導電糸510-0~510-9は、内部電子機器モジュール524の構成要素などの電子構成要素の接続点の対応するピッチに一致するピッチごとにリボンを用いて集約および編成され得る。しかしながら、接続用リボンは不要であることに留意されたい。
【0097】
導電糸510-0、510-2、510-4、510-6、および510-8の第1のサブセットは、接続用リボン514から縦軸201の方向に、横方向に間隔を空けて延在している。より特定的には、導電糸の第1のサブセットは可撓性基板515の第1の側517に連結される。導電糸の第1のサブセットは、任意の好適な技術を用いて可撓性基板の第1の側に連結することができる。たとえば、可撓性基板515は、非導電糸を導電糸510と織り合わせることによって形成することができる。別の例では、導電糸510の第1のサブセットは可撓性基板515の第1の側に縫い込むことができる。接着、熱圧着、または他の締結技術等の他の技術が用いられてもよい。
【0098】
導電糸510-1、510-3、510-5、510-7、および510-9の第2のサブセットは、可撓性基板の第1の側517で接続用リボン514から限られた距離だけ延在している。導電糸の第2のサブセットは、可撓性基板の第2の側519で少なくとも部分的に露出されるように可撓性基板内を通って延在する。いくつかの例では、導電糸の第2のサブセットのうち第1の側の部分は、緩んでいてもよく、または可撓性基板515に連結されていなくてもよい。他の例では、導電糸の第2のサブセットは、可撓性基板515の第1の側に取付けられてから可撓性基板内を通過して第2の側519に到達し得る。第2の側519では、導電糸510-1、510-3、510-5、510-7、および510-9は縦方向に延在する。導電糸の第2のサブセットは、導電糸について第1のステップに関して先に説明した技術などの任意の適切な技術を用いて、可撓性基板の第2の側に連結することができる。
【0099】
予め製造された同様のセンサアセンブリは、付加的または代替的には、他のタイプのセンサを含んでもよい。たとえば、導電糸の代わりに薄膜導電性材料を利用した静電容量式タッチセンサが利用されてもよい。いくつかの例では、抵抗性タッチセンサは、上述した静電容量式タッチセンサと同様の方法で形成することができる。
【0100】
図11および
図12は、それぞれ、タッチセンサ552を含むセンサアセンブリ550の別の例を示す上面図および底面図である。タッチセンサ552は、本開示の例示的な実施形態に従った可撓性基板565の両側に連結された検知線の個々のサブセットを含む。センサアセンブリ550は、タッチセンサ552および内部電子機器モジュール524を含む。タッチセンサ552は、
図1および
図2に示すようなタッチセンサ102の一例であり、例示的な実施形態では、静電容量式タッチセンサまたは抵抗式タッチセンサとして構成され得る。
【0101】
図11は、インタラクティブオブジェクトと一体化されたときのタッチセンサのための意図されるタッチ入力面に対応し得る可撓性基板565の第1の側567を示す上面斜視図である。
図12は、センサアセンブリを組込んだインタラクティブな衣類をユーザが着用したときにユーザの身体に隣接し得る可撓性基板の第2の側569を示す。この例では、可撓性基板の第1の側567は第1の基板層を含み、可撓性基板の第2の側は第2の基板層を含む。開口部は基板層同士の間に形成される。導電糸560-0、560-2、560-4、560-6、および560-8の第1のサブセットは、接続用リボン564から縦方向に延在し、可撓性基板565の第1の側567に連結される。導電糸の第1のサブセットは、任意の好適な技術を用いて第1の基板層に連結することができる。
【0102】
導電糸560-1、560-3、560-5、560-7、および560-9の第2のサブセットは、可撓性基板内を通って延在し、可撓性基板の第2の側569で少なくとも部分的に露出される。導電糸560-1、560-3、560-5、560-7、および560-9は縦方向に延在し、第2の側519において第2の基板層に連結される。導電糸の第2のサブセットは、任意の好適な技術を用いて可撓性基板の第2の側に連結することができる。
【0103】
図11および
図12に示すように、第1の基板層および第2の基板層は、可撓性基板の第1の側および第2の側に対して直交する垂直方向に(たとえば、垂直軸205に沿って)離間させることができる。いくつかの例では、1つ以上の追加の層を可撓性基板の第1の側と第2の側との間に位置決めすることができる。たとえば、1つ以上の絶縁材料は、導電糸の第1のサブセットと導電糸の第2のサブセットとの間に絶縁をもたらすために、可撓性基板の一部として形成されてもよい。絶縁材料は、タッチセンサのそれぞれの表面におけるタッチ入力に応答して、検知要素の第1のサブセットと第2のサブセットとの間の信号差を大きくする可能性がある。
【0104】
上述したように、タッチセンサの第1の表面および第2の表面におけるタッチ入力は、検知要素のサブセット間が垂直方向に離間されているか否かに関わらず区別することができる。たとえば、検知要素のサブセット間が必ずしも垂直方向に離間されているわけではない1つ以上の遮蔽層が用いられてもよい。いくつかの例では、1つ以上の絶縁材料は、導電糸の第1のサブセットと導電糸の第2のサブセットとの間の絶縁部を含む遮蔽層を設けるために、可撓性基板の一部として形成され得る。たとえば、誘電率の低い絶縁層を1層以上用いることができる。いくつかの事例では、信号を部分的に減衰させる材料が用いられてもよい。材料は、タッチ入力の反対側の線のサブセットに関連付けられた信号をいくらか減衰させることができるようなものである。それでもなお、動きおよびジェスチャを検出するために、反対側の線の静電容量の変化は依然として検出することができる。
【0105】
図13は、本開示の例示的な実施形態に従った、単一面に形成された検知要素580の例示的なセットを含むタッチセンサ582を有するセンサシステムを示す断面図であって、検知要素の個々のサブセット間には介在層が形成されている。可撓性基板584は、S字形パターンを形成し、これにより、基板は、導電糸同士の間に垂直方向に距離を空けることなく導電糸のサブセットを離間させる。それでもなお、可撓性基板は、タッチセンサの第1の表面におけるタッチ入力がタッチセンサの第2の表面におけるタッチ入力から区別され得るように、導電糸の第1のサブセットと導電糸の第2のサブセットとの間に遮蔽をもたらすことができる。導電性検知要素580-0、580-2、580-4、580-6、580-8、および580-10の第1のサブセット、ならびに検知要素580-1、580-3、580-5、580-7、および580-9の第2のサブセットは、それらの間に垂直方向に間隔を空けることなく同じ面に形成することができる。導電性検知要素の第1のサブセットは、可撓性基板584の第1の側588に連結することができ、導電性検知要素の第2のサブセットは、可撓性基板584の第2の側586に連結することができる。タッチセンサ582の第1の表面590および第2の表面592におけるタッチ入力は、導電糸のサブセット間が垂直方向に離間されているか否かに関わらず区別することができる。いくつかの例では、導電糸の第1のサブセットと導電糸の第2のサブセットとの間を絶縁するために、1つ以上の絶縁材料が可撓性基板584の一部として形成されてもよい。
【0106】
タッチ入力が第1の表面590に隣接して設けられることにより、結果として、偶数番号の検知要素と比べて奇数番号の検知要素による信号出力がより高くなり得る。奇数番号の検知要素は第1の表面590において露出されている(たとえば、覆われない)。対照的に、偶数番号の検知要素は第1の表面590において可撓性基板584によって覆われている。タッチ入力が第2の表面592に隣接して設けられることにより、結果として、奇数番号の検知要素と比べて偶数番号の検知要素による信号出力がより高くなり得る。偶数番号の検知要素は第2の表面592において露出されている(たとえば、覆われない)。対照的に、奇数番号の検知要素は第2の表面592において可撓性基板584によって覆われている。したがって、偶数番号の検知線に関連付けられたより高い信号出力は第2の表面592におけるタッチ入力を示し得る。奇数番号の検知線に関連付けられたより高い信号出力は第1の表面590におけるタッチ入力を示し得る。
【0107】
いくつかの例では、異なる数の検知線を可撓性基板の各々の側に形成することができる。
図14は、本開示の例示的な実施形態に従った、検知要素の個々のサブセットごとに異なる数の検知要素を含む検知要素610のセットを示すグラフ図である。
図14は、導電性検知要素610の断面図を示すものであり、検知要素610-0、610-2、610-4、610-6、および610-8の第1のサブセット640と検知要素610-1、610-3、610-5、610-7、および610-9の第2のサブセット642との間の垂直軸205に沿った垂直方向の離間dzを示す。第1の面および第2の面は、垂直軸に沿って垂直方向に離間されている。検知要素のサブセット間の垂直方向の離間または距離dzは、タッチセンサの第1の表面における入力をタッチセンサの第2の表面における入力から区別することを可能にする。第1のサブセットの各検知要素は、第2のサブセットのうちの少なくとも1つの検知要素から横方向に離間されている。
【0108】
この例では、検知要素の偶数番号のサブセットが含む検知要素の数は、検知要素の奇数番号のサブセットが含む検知要素の数よりも少ない。具体的には、検知要素の偶数番号のサブセットは、3つの検知要素610-0、610-4、および610-8を含むのに対して、検知要素の奇数番号のサブセットは、9つの検知要素610-1、610-2、610-3、610-5、610-6、610-7、610-9、610-10、および610-11を含む。さまざまな実現例では、サブセットのために異なる数の検知要素が利用され得ることに留意されたい。センサタッチ応答が608にて示されている。具体的には、検知要素610-5、610-6、610-7、610-8、610-9、および610-10のセンサ応答が図示されている。奇数番号の検知要素により近いタッチセンサの表面へのタッチ入力が示されている。偶数番号の検知要素610-8は、奇数番号の層の検知要素よりも小さい信号出力で応答する。このような例では、図示のように、偶数番号の検知要素とこれに隣接する奇数番号の検知要素との間の信号差は異なり得る。検知要素610-8と隣接する検知要素610-7との間の第1の信号差はデルタ7,8として示される。検知要素610-8とこれに隣接する検知要素610-9との間の第2の信号差はデルタ8,9として示される。信号差を検出し、タッチ入力を、対応するタッチ入力面に関連付けられるものとして適切に分類することができる。
【0109】
例示的な実施形態に従ったセンサシステムは、タッチセンサと1つ以上の制御回路とを含み得る。当該1つ以上の制御回路は、タッチ入力が受信される表面に基づいて、タッチセンサにおける入力ジェスチャを選択的に検出するように構成されている。1つ以上の制御回路は、1つ以上の検知要素を用いてタッチセンサへのタッチ入力を検出するように構成された検知回路を含み得る。検知回路は、タッチ入力に基づいてセンサデータを生成することができる。1つ以上の制御回路は、付加的または代替的には、1つ以上のリモートコンピューティングデバイスなどにおいて、インタラクティブオブジェクトに対してローカルな1つ以上のプロセッサ、および/または、インタラクティブオブジェクトからリモートである1つ以上のプロセッサを含み得る。1つ以上の制御回路は、例示的な実施形態では、ジェスチャマネージャのすべてまたは一部を実現することができる。
【0110】
図15は、本開示の例示的な実施形態に従った、タッチセンサの識別された入力面に基づいたジェスチャの検出を示す例示的なコンピューティング環境700を示すブロック図である。
【0111】
インタラクティブオブジェクト104および/または当該インタラクティブオブジェクト104と通信する1つ以上のコンピューティングデバイスは、静電容量式タッチセンサ102に少なくとも部分的に基づいてユーザジェスチャを検出することができる。たとえば、インタラクティブオブジェクト104および/または1つ以上のコンピューティングデバイスは、静電容量式タッチセンサ102へのタッチ入力702に応答して1つ以上のジェスチャを識別することができるジェスチャマネージャ161を実現することができる。
【0112】
インタラクティブオブジェクト104は、導電糸210のセットに関連付けられた静電容量の変化に基づいて、静電容量式タッチセンサ102へのタッチ入力702を検出することができる。たとえば、ユーザは、オブジェクト(たとえば、指、導電性スタイラスなど)を動かして静電容量式タッチセンサ102に近接させるかまたは接触させて、個々の検知要素による応答を生じさせることができる。一例として、各検知要素に関連付けられた静電容量は、オブジェクトが検知要素に接触するかまたは近接すると変化し得る。(704)に示すように、検知回路126は、検知要素の1つ以上に関連付けられた静電容量の変化を検出することができる。検知回路126は、(706)において、タッチ入力に対する検知要素の応答(たとえば、静電容量の変化)を示すタッチデータを生成することができる。タッチデータは、タッチ入力702に関連付けられた1つ以上のタッチ入力特徴を含み得る。いくつかの例では、タッチデータは、特定の要素および関連する応答、たとえば静電容量の変化など、を識別し得る。いくつかの例では、タッチデータは、要素の応答に関連付けられた時間を示し得る。
【0113】
ジェスチャマネージャ161は、タッチデータを分析して、タッチ入力702に関連付けられた1つ以上のタッチ入力特徴を識別することができる。ジェスチャマネージャ161は、(たとえば、内部電子機器モジュール124および/もしくは取外し可能な電子機器モジュール206の1つ以上のプロセッサによって)インタラクティブオブジェクト104において、ならびに/または、インタラクティブオブジェクト104からリモートである1つ以上のコンピューティングデバイスにおいて、実現され得る。
【0114】
ジェスチャマネージャ161は、(708)において、タッチデータを分析して、タッチ入力に関連付けられた表面を識別することができる。一例として、ジェスチャマネージャ161は、意図されるタッチ入力面に隣接する導電性検知要素の第1のサブセットと、少なくとも1つの第2の表面に隣接する導電性検知要素の第2のサブセットとに関連付けられた少なくとも1つの信号差を判定することができる。検知要素の第1のサブセットによる応答がより大きいことを信号差が示す場合、ジェスチャマネージャ161は、タッチ入力を、意図されるタッチ入力面に関連付けられたものとして分類することができる。しかしながら、検知要素の第2のサブセットによる応答がより大きいことを信号差が示す場合、ジェスチャマネージャ161は、タッチ入力が少なくとも1つの第2の表面に関連付けられていることを分類することができる。
【0115】
いくつかの実現例に従うと、1つ以上の制御回路は、タッチセンサの各検知要素の抵抗または静電容量などのそれぞれの応答を分析して、タッチ入力がタッチセンサの第1の表面またはタッチセンサの第2の表面のいずれに関連付けられているかを判定することができる。たとえば、制御回路は、検知要素の第1のサブセットのうちの少なくとも1つの静電容量が検知要素の第2のサブセットのうちの少なくとも1つの静電容量よりも大きいかどうかを判定することができる。各サブセットの少なくとも1つの静電容量は、さまざまな実現例においては、各サブセットの個々の検知要素に関連付けられた静電容量、各サブセットに関連付けられた平均静電容量、および/または、各サブセットに関連付けられた累積静電容量を含み得る。
【0116】
いくつかの例では、1つ以上の制御回路は、検知要素の第1のサブセットに関連付けられた少なくとも1つの信号差が、検知要素の第2のサブセットに関連付けられた少なくとも1つの信号差よりも大きいかどうかを判定することができる。たとえば、制御回路は、配列内の各センサ線ごとに、そのようなセンサ線の静電容量とこれに隣接するセンサ線の静電容量との間の信号差を判定することができる。第1のサブセット内の各センサ線ごとの累積信号差の値は、第1のサブセット内の各検知線ごとに信号差の値を組合わせる(たとえば、加算する)ことによって判定することができる。第2のサブセット内の各センサ線ごとの累積信号差の値は、第2のサブセット内の各検知線ごとに信号差の値を組合わせることによって判定することができる。2つの累積信号差の値を比較することができる。第1のサブセットについての累積信号差の値が第2のサブセットについての累積信号差の値よりも大きい場合、制御回路は、タッチセンサの第1の表面においてタッチ入力が受信されると判定することができる。第2のサブセットについての累積信号差の値が第1のサブセットについての累積信号差の値よりも大きい場合、制御回路は、タッチセンサの第2の表面においてタッチ入力が受信されると判定することができる。
【0117】
(710)において、ジェスチャマネージャ161は、タッチデータに少なくとも部分的に基づいてジェスチャを判定することができる。いくつかの例では、ジェスチャマネージャ161は、タッチ入力が意図されるタッチ入力面に関連付けられている場合にのみ、タッチデータが特定のジェスチャに対応するかどうかを判定する。たとえば、ジェスチャマネージャ161は、意図しない入力面に関連付けられたタッチデータを考慮しなくてもよく、または無視してもよい。本明細書で説明するように、他の例では、ジェスチャマネージャ161は、タッチ入力が受信される表面に基づいて特定のジェスチャを識別してもよい。たとえば、第1のジェスチャは、第1の表面におけるタッチ入力に応答して識別されてもよく、第2のジェスチャは、第2の表面におけるタッチ入力に応答して識別されてもよい。
【0118】
いくつかの例では、ジェスチャマネージャ161は、基準データ720に基づいて少なくとも1つのジェスチャを識別することができる。基準データ720は、特定の入力ジェスチャに関連付けられた1つ以上の予め規定されたパラメータを示すデータを含み得る。基準データ720は、1つ以上のジェスチャを示すデータに関連付けて基準データベース715、715に格納することができる。基準データベース915は、インタラクティブオブジェクト104(たとえば、内部電子機器モジュール124および/もしくは取外し可能な電子機器モジュール206)に、ならびに/または、インタラクティブオブジェクト104と通信する1つ以上のリモートコンピューティングデバイスに、格納することができる。そのような場合、インタラクティブオブジェクト104は、1つ以上の通信インターフェイス(たとえば、ネットワークインターフェイス216)を介して基準データベース715にアクセスすることができる。
【0119】
ジェスチャマネージャ161は、タッチ入力702を示すタッチデータを、少なくとも1つのジェスチャに対応する基準データ720と比較することができる。たとえば、ジェスチャマネージャ161は、タッチ入力702に関連付けられたタッチ入力特徴を、ジェスチャに関連付けられた1つ以上の予め規定されたパラメータを示す基準データ720と比較することができる。ジェスチャマネージャ161は、少なくとも1つのタッチ入力特徴と少なくとも1つのパラメータとの間の対応関係を判定することができる。ジェスチャマネージャは、少なくとも1つのタッチ入力特徴と少なくとも1つのパラメータとの間の判定された対応関係に基づいて、タッチ入力702と基準データベース715内で識別された少なくとも1つの線ジェスチャとの間の対応関係を検出することができる。たとえば、タッチ入力702とそれぞれのジェスチャとの間の類似性は、タッチ入力特徴とジェスチャパラメータとの対応関係に基づいて判定することができる。
【0120】
いくつかの例では、ジェスチャマネージャ161は、タッチデータを1つ以上の機械学習済みジェスチャモデル725に入力することができる。機械学習済みジェスチャモデル25は、タッチデータに基づいた少なくとも1つのジェスチャの検出、および/または、タッチ入力に関連付けられた検知要素の表面またはサブセットの識別、を出力するように構成され得る。機械学習済みジェスチャモデル725は、ジェスチャ検出を示すデータを含む出力を生成することができる。たとえば、機械学習済みジェスチャモデル725は、タッチデータに基づいて特定のジェスチャを検出するために、1つ以上の機械学習技術により、トレーニングデータを用いてトレーニングすることができる。同様に、機械学習済みジェスチャモデル725は、タッチ入力に関連付けられた表面を検出するために、1つ以上の機械学習技術により、トレーニングデータを用いてトレーニングすることができる。
【0121】
ジェスチャマネージャ161は、タッチ入力702を示すタッチデータを機械学習済みジェスチャモデル725に入力することができる。1つ以上のジェスチャモデル725は、タッチ入力が検知要素の第1のサブセットまたは検知要素の第2のサブセットのいずれに関連付けられるかを判定するように構成され得る。付加的または代替的には、1つ以上のジェスチャモデル725は、タッチデータが1つ以上の入力ジェスチャに対応するかどうかを示す1つ以上の出力を生成するように構成され得る。ジェスチャモデル725は、タッチデータに関連付けられた特定のジェスチャを示すデータを出力することができる。付加的または代替的には、ジェスチャモデルは、タッチデータに関連付けられた表面を付加したデータを出力することができる。ジェスチャモデル725は、タッチ入力702を示すタッチデータとジェスチャに関連付けられた1つ以上のパラメータとの間の類似性に基づいて、それぞれのジェスチャの推論または検出を示すデータを出力するように構成され得る。
【0122】
例示的な実施形態に従うと、センサシステムは、タッチ入力がタッチセンサの第1の表面またはタッチセンサの第2の表面のいずれで受信されたかの判定に少なくとも部分的に基づいて、タッチ入力が特定の入力ジェスチャに対応するかどうかを選択的に判定することができる。タッチ入力が第1の表面に関連付けられているとの判定に応答して、センサシステムは、タッチデータが1つ以上のジェスチャまたは他の予め定められた動きのいずれに対応するかを判定することができる。たとえば、センサシステムは、タッチデータを1つ以上の予め規定されたパラメータを表わす基準データと比較して、タッチデータが1つ以上のジェスチャに対応するかどうかを判定することができる。第1の入力ジェスチャを検出することに応答して、センサシステムは、コンピューティングデバイスにおいて機能を開始させることができる。しかしながら、タッチ入力が第2の表面に関連付けられていると判定することに応答して、センサシステムは、機能が開始されないように、タッチ入力が特定の入力ジェスチャを示していないと自動的に判定することができる。
【0123】
いくつかの実現例では、タッチセンサの第1の表面におけるタッチ入力を第1の入力ジェスチャに関連付けることができ、タッチセンサの第2の表面における同じタッチ入力または同様のタッチ入力を第2の入力ジェスチャに関連付けることができる。たとえば、センサシステムは、タッチ入力に応答して生成されたタッチデータが、タッチセンサの第1の表面またはタッチセンサの第2の表面のいずれに関連付けられているかを判定することができる。加えて、センサシステムは、タッチデータが1つ以上の予め規定されたパラメータに対応するかどうかを判定することができる。タッチデータが1つ以上の予め規定されたパラメータに対応しており第1の表面に関連付けられている場合、センサシステムは、第1の入力ジェスチャが実行されたと判定することができる。しかしながら、タッチデータが1つ以上の予め規定されたパラメータに対応しており第2の表面に関連付けられている場合、センサシステムは、第2の入力ジェスチャが実行されたと判定することができる。例示的な実施形態では、入力が受信される表面を区別することにより、センサシステムは、より多数の入力ジェスチャを検出することができる。
【0124】
インタラクティブオブジェクト104および/または当該インタラクティブオブジェクト104と通信するリモートコンピューティングデバイスは、検出されたジェスチャに基づいて1つ以上の動作を開始させることができる。たとえば、検出されたジェスチャは、(たとえば、静電容量式タッチセンサ102、コントローラ、またはその両方を介して)インタラクティブオブジェクト104および/または1つ以上のリモートコンピューティングデバイスのいずれかに連結された1つ以上のユーザインターフェイスにおけるナビゲーションコマンド(たとえば、上方/下方/横方向にスクロールする、ページをめくる、など)に関連付けることができる。付加的または代替的には、それぞれのジェスチャは、1つ以上のコンピューティングデバイスを利用して、たとえば、ダイヤルを回して数字を調整すること、テキストメッセージを送信すること、録音を再生すること等の1つ以上の予め規定された動作を開始させることができる。
【0125】
図16および
図17は、インタラクティブオブジェクトを用いてタッチデータを生成する例示的な方法800(
図16)と、インタラクティブオブジェクトから受信したタッチデータに基づいてコンピューティングデバイスまたは当該コンピューティングデバイスにおけるアプリケーションを制御するために使用可能なジェスチャまたは他の動きを判定する例示的な方法820(
図17)とを示す。本明細書におけるこれらの方法および他の方法は、実行される動作を指定するブロックのセットとして示されているが、それぞれのブロックによって動作を実行するために示される順序または組合わせに必ずしも限定されるわけではない。方法800の1つ以上の部分、および本明細書で説明される他のプロセス(方法820および/または方法850)は、たとえば、
図1に示されるようなコンピューティング環境100の1つ以上のコンピューティングデバイス、
図2に示されるようなコンピューティングシステム190、
図3に示されるようなコンピューティングシステム200、または、
図19に示されるようなコンピューティング環境900等の1つ以上のコンピューティングデバイスによって実現することができる。以下の説明の部分では、特定のコンピューティング環境に言及することがあるが、そのような言及は例としてのみなされるものである。本技術は、1つのデバイス上で動作する1つのエンティティまたは複数のエンティティによる性能に限定されない。これらのプロセスの1つ以上の部分は、本明細書で説明するデバイスのハードウェア構成要素上のアルゴリズムとして実現することができる。
【0126】
(802)において、方法800は、インタラクティブオブジェクトへのタッチ入力を検出するステップを含み得る。ブロック802は、インタラクティブテキスタイルに織り込まれるかまたは可撓性基板に取付けられた導電糸などの検知要素のセットへのタッチ入力を検出するステップを含み得る。検知要素のセットは、検知要素の第2のサブセットから垂直に離間されている検知要素の第1のサブセットを含み得る。付加的または代替的には、検知要素の第1のサブセットは、可撓性基板の第1の側に連結することができ、検知要素の第2のサブセットは、可撓性基板の第2の側に連結することができる。一例として、検知回路126(
図2)は、ユーザの指などのオブジェクトがタッチセンサ102に触れるかまたは近接しているときに、タッチセンサ102(
図1)を形成する検知要素110のセットへのタッチ入力を検出することができる。
【0127】
(804)では、タッチ入力に基づいてタッチデータが生成される。たとえば、検知回路126は、タッチ入力に基づいてタッチデータなどのセンサデータを生成することができる。タッチデータは、検知要素110のセットに関連付けられたそれぞれの信号値(たとえば、静電容量または抵抗)を含み得る。タッチ入力および/またはタッチ入力の位置を検出するために、検知回路126は、自己容量検知、投影容量検知、または他の技術を用いることができる。
【0128】
(806)において、コンピューティングデバイスまたは当該コンピューティングデバイスにおける1つ以上のアプリケーションを制御するために、タッチデータがコンピューティングデバイスに伝達される。たとえば、オブジェクト104における通信インターフェイス162は、検知回路126によって生成されたタッチデータを、取外し可能な電子機器モジュール150において実現されたジェスチャマネージャ161に伝達することができる。ジェスチャマネージャ161は、オブジェクト104において実現されてもよく、この場合、通信インターフェイス162は、有線接続を介してタッチデータをジェスチャマネージャ161に伝達し得る。付加的または代替的には、ジェスチャマネージャ161は、オブジェクト104からリモートで実現されてもよく、この場合、ネットワークインターフェイス156は、ネットワーク108を介して、タッチデータをジェスチャマネージャ161に伝達してもよい。なお、タッチデータ等の動きのデータがさまざまなタイプのデータを含み得ることに留意されたい。たとえば、動きのデータは、いくつかの例では未処理のセンサデータを含み得る。他の例では、タッチデータは、オブジェクトによって(たとえば、マイクロプロセッサ128および/またはマイクロプロセッサ152によって)判定されたセンサデータの動き、ジェスチャ、または中間表現を示すデータを含み得る。
【0129】
任意には、インタラクティブな衣類は、タッチ入力の検出を示すかまたは機能のトリガを示すフィードバックを与えるように制御され得る。たとえば、検知回路126は、光源を点滅させるように制御するか、または振動構成要素を振動させるように制御することなどによって、タッチ入力が検出されたことを示すフィードバックを与えるように、インタラクティブオブジェクトにおける1つ以上の出力デバイスを制御することができる。別の例として、検知回路126は、特定の機能がトリガされたことを示すフィードバックを与えるように、1つ以上の出力デバイスを制御することができる。たとえば、LEDは、インタラクティブな衣類の袖に組込むことができ、タッチ入力を検出することに応答して、またはタッチ入力が特定の機能をトリガさせたことを確認することに応答して、光を(たとえば、点滅させながら)出力するように制御される。LEDは、場合によっては、外部モジュールに一体化させることができる。視覚、聴覚、および触覚用の出力デバイスを含む他の出力デバイスは、インタラクティブオブジェクトまたは外部モジュールに一体化することができる。
【0130】
図17は、インタラクティブオブジェクトから受信したタッチデータに基づいて、コンピューティングデバイスまたは当該コンピューティングデバイスにおけるアプリケーションを制御するために使用可能なジェスチャなどの予め規定された動きを判定する例示的な方法820を示す。方法820は、インタラクティブオブジェクトとのユーザの対話によってトリガされる機能を開始するステップを含む。コンピューティングデバイスは、衣類またオブジェクト内に組込まれるなどのように、インタラクティブオブジェクトに対してローカルであってもよく、またはスマートフォンもしくはサーバなどのリモートコンピューティングデバイスなどのように、インタラクティブオブジェクトに対してリモートであってもよい。
【0131】
(822)において、検知要素の第1のサブセットおよび第2のサブセットのうちの各検知要素のそれぞれの応答を示すタッチデータが取得される。たとえば、コンピューティングデバイス106におけるネットワークインターフェイスは、一例においては、ジェスチャマネージャ161に伝達されるタッチデータをインタラクティブオブジェクト104におけるネットワークインターフェイス216から受信することができる。ジェスチャマネージャ161がインタラクティブオブジェクトにおいて実現される場合、動きのデータは、インタラクティブオブジェクトの内部電子機器モジュールまたは取外し可能な電子機器モジュールによって受信されてもよい。
【0132】
(824)において、方法820は、タッチデータに関してタッチセンサの表面を識別するステップを含み得る。一例として、ジェスチャマネージャ161は、少なくとも、第1のサブセットの第1の導電性検知要素による第1のそれぞれの応答と、第2のサブセットの第2の導電性検知要素による第2のそれぞれの応答とを判定することができる。ジェスチャマネージャは、第1のそれぞれの応答および第2のそれぞれの応答に少なくとも部分的に基づいて、タッチ入力がタッチセンサの第1の表面またはタッチセンサの第2の表面のいずれに関連付けられているかを判定することができる。いくつかの例では、検知要素の第1のサブセットに関連付けられた累積信号差、および検知要素の第2のサブセットに関連付けられた累積信号差を用いて、タッチ入力に関連付けられたタッチセンサの表面を判定することができる。いくつかの例では、1つ以上の機械学習済みモデルは、タッチ入力が意図される入力面またはタッチセンサの第2の表面のいずれに関連付けられているかを判定するように構成され得る。タッチデータは、機械学習済みモデルへの1つ以上の入力として与えることができ、当該機械学習済みモデルは、タッチデータに基づいて、特定の入力面および/または検知要素のサブセットの表示を1つ以上の出力として与えることができる。
【0133】
826において、方法820は、タッチ入力に関連付けられた表面がタッチセンサの意図される入力面であるかどうかを判定するステップを含み得る。たとえば、ジェスチャマネージャ161は、タッチ入力が導電性検知要素の第1のサブセットまたは導電性検知要素の第2のサブセットのいずれに関連付けられているかを判定することができる。導電性検知要素の第1のサブセットは、意図される入力面に隣接していてもよく、導電性検知要素の第2のサブセットは、タッチセンサの1つ以上の第2の表面に隣接していてもよい。タッチ入力がタッチセンサの意図される入力面に関連付けられている場合、方法820は828に進む。
【0134】
828において、方法820は、タッチデータがジェスチャなどの予め定められた動きを示すかどうかを判定するステップを含み得る。たとえば、ジェスチャマネージャ161は、1本指のタッチジェスチャ、ダブルタップジェスチャ、2本指のタッチジェスチャ、スワイプするジェスチャといったジェスチャなどの予め規定された動きを、タッチデータに基づいて識別することができる。いくつかの実施形態では、ジェスチャマネージャ161は、タッチデータが、第1の入力ジェスチャに関連付けられた1つ以上の予め規定されたパラメータに対応するかどうかを判定することができる。なお、意図される入力面に隣接する検知要素の第1のサブセットからの検知要素の応答、ならびにユーザの身体に隣接する検知要素の応答が、828においてジェスチャを判定する際に用いられ得ることに留意されたい。すなわち、検知要素の特定のサブセットは、タッチセンサの特定の表面を識別するためにタッチ入力に関連付けられ得る一方で、検知要素のセット全体は、ジェスチャを検出するために用いることができる。
【0135】
本開示の例示的な実施形態に従ってジェスチャを検出するためにさまざまな技術を用いることができる。センサシステムは、いくつかの例では、タッチデータが特定の入力ジェスチャに関連付けられた1つ以上の予め規定されたパラメータに対応するかどうかを判定することができる。インタラクティブオブジェクトおよび/または当該インタラクティブオブジェクトと通信するコンピューティングデバイスは、タッチ入力と少なくとも1つのジェスチャとの間の対応関係を検出することができる。たとえば、少なくとも1つのジェスチャについての予め規定されたパラメータの1つ以上に対応するタッチデータの1つ以上の特徴を識別することができる。一例として、特徴とパラメータとの間の対応関係は、一致基準を用いて識別することができる。タッチデータとそれぞれのジェスチャとの間の類似性を判定することができる。たとえば、タッチ入力とそれぞれのジェスチャとの間の類似性は、いくつかの対応する特徴およびパラメータに基づいて判定することができる。いくつかの例では、タッチデータとそれぞれのジェスチャとの間の対応関係は、最大数の対応する特徴およびパラメータに関連付けられたそれぞれのジェスチャに基づいて検出することができる。
【0136】
1つ以上の予め規定されたパラメータは、例示的な実施形態では、それぞれのジェスチャの識別とともに基準データベースに格納することができる。センサシステムは、タッチデータを1つ以上の予め規定されたパラメータと比較して、特定の入力ジェスチャが実行されたかどうかを判定することができる。予め規定されたパラメータの例は、検知パラメータ、動きパラメータ、または他の検出パラメータを含み得る。静電容量レベル、抵抗レベル、線形活性化順序、静電容量変化を伴う要素の数などのタッチデータの特徴は、いくつかの例では、予め規定されたパラメータと比較することができる。センサシステムは、予め規定されたパラメータに対応するタッチデータと、第1の表面に関連付けられているタッチ入力とに応答して、第1の入力ジェスチャを検出することができる。
【0137】
付加的または代替的には、インタラクティブオブジェクトによって生成されるタッチデータを1つ以上の機械学習済みモデル(たとえば、機械学習済み分類モデル)に入力することで、対応するタッチ入力が受信された表面を検出すること、および/または、1つ以上の予め規定されたジェスチャを検出することができる。タッチセンサの特定の表面を示すデータおよび/または予め定められたジェスチャの検出を示すデータは、1つ以上の機械学習済みモデルの出力として生成され得る。
【0138】
一例として、機械学習済み分類モデルは、1つ以上のニューラルネットワーク(たとえば、ディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク)または他の多層非線形モデルを含み得る。モデルは、トレーニングデータを用いて、1つ以上の機械学習技術によってトレーニングすることができる。トレーニングデータは、タッチセンサの第1の表面およびタッチセンサの第2の表面において1つ以上のインタラクティブオブジェクトによって事前に収集されたタッチデータを含み得る。一例として、1つ以上のインタラクティブオブジェクトは、当該1つ以上のインタラクティブオブジェクトのユーザに関連付けられた1つ以上のタッチ入力に基づいてタッチデータを生成することができる。トレーニングデータは、動きデータに対応する特定の表面および/またはジェスチャを識別するためにラベル付けされ得る。機械学習済み分類モデルは、たとえば、ラベル付けされたトレーニングデータに基づいてエラーの後方伝搬などのさまざまなトレーニング技術または学習技術を用いてトレーニングすることができる。
【0139】
このようにして、機械学習済み分類モデルは、タッチデータに基づいてタッチセンサの特定の表面に関連付けられた特定のジェスチャを検出するようにトレーニングすることができる。いくつかの実現例では、タッチデータは、機械学習済み分類モデルに入力することができる。機械学習済み分類モデルは、いくつかの例では、タッチセンサのうち意図されない表面に関連付けられたタッチ入力を無視することができる。機械学習済み分類モデルは、タッチ入力が意図される入力面で受信される場合、および、タッチデータが特定のジェスチャとの対応関係に一致するかまたは当該対応関係を示す場合、特定のジェスチャを示すデータを生成することができる。他の例では、機械学習済み分類モデルは、タッチセンサの第1の表面に関連付けられるタッチデータであって第1のジェスチャとの対応関係に一致するかまたは当該対応関係を示すタッチデータに応答して、第1のジェスチャを示すデータを生成することができる。機械学習済み分類モデルは、タッチセンサの第2の表面に関連付けられるタッチデータであって第2のジェスチャとの対応関係に一致するかまたは当該対応関係を示すタッチデータに応答して、第2のジェスチャを示すデータを生成することができる。いくつかの例では、異なる表面で受信される同じタッチデータまたは同様のタッチデータは、それぞれ異なるジェスチャに対応し得る。
【0140】
一例として、機械学習済み分類モデルは、機械学習済みバイナリ分類器モデルを含み得る。当該モデルは、タッチデータがタッチセンサの第1の表面に関連付けられているかどうか(たとえば、「1」)またはタッチデータがタッチセンサの第2の表面に関連付けられているかどうか(たとえば、「0」)を示すように、バイナリ形式でタッチデータを分類することができる。同様に、機械学習済み分類モデルは、タッチデータを特定のジェスチャを示すもの(たとえば、「1」)としてまたは特定のジェスチャを示さないもの(たとえば、「0」)として分類することができる機械学習済みバイナリ分類器モデルを含み得る。
【0141】
いくつかの実現例では、ジェスチャマネージャ161は、タッチデータを1つ以上の入力として1つ以上の機械学習済みモデルに与えることによって、当該タッチデータが入力ジェスチャに関連付けられた1つ以上の予め規定されたパラメータに対応するかどうかを判定することができる。機械学習済みモデルは、1つ以上の入力が第1の入力ジェスチャに対応するかどうかを示す1つ以上の出力を生成することができる。いくつかの例では、1つ以上の機械学習済みモデルは、タッチ入力が導電性検知要素の第1のサブセットまたは導電性検知要素の第2のサブセットのいずれに関連付けられているかに少なくとも部分的に基づいて、1つ以上の出力が第1の入力ジェスチャに対応しているかどうかを示す1つ以上の出力を生成するように構成される。
【0142】
(830)において、方法820は、予め規定された動きに関連付けられた機能を判定するステップを含み得る。いくつかの例では、ジェスチャマネージャ161は、タッチデータが特定の機能を実行する要求に対応するか否かを判定する。たとえば、ジェスチャマネージャ161は、タッチデータが、テキストまたは他のメッセージに関連付けられた可聴出力などの出力応答をトリガすること、テキストメッセージをトリガすること、電話に応答すること、仕訳記入を作成することなどの特定の機能にマッピングされるユーザ入力またはジェスチャに対応するかどうかを判定することができる。全体にわたって説明されているように、タッチセンサ102のスワイプ、タップ、またはホールド等の機能をトリガするために、いずれのタイプのユーザ入力またはジェスチャが用いられてもよい。1つ以上の実現例では、ジェスチャマネージャ161は、アプリケーションの開発者またはユーザが、さまざまな異なるタイプの機能をトリガするために使用可能なユーザ入力またはジェスチャのタイプを構成することを可能にする。
【0143】
(832)において、方法820は、入力ジェスチャに関連付けられた機能を開始するステップを含み得る。たとえば、ジェスチャマネージャ161は、アプリケーションに関連付けられたデータを取得し、データの表示を提供する出力応答を開始すること、電話に応答すること、仕訳記入を作成すること、テレビの音量を上げること、ユーザの家の照明をオンにすること、ユーザの家の自動ガレージドアを開くこと等によって、特定の機能を実行させることができる。これに関して、機能は、インタラクティブオブジェクトに対してローカルであるかまたはインタラクティブオブジェクトからリモートであるコンピューティングデバイスによって開始させることができる。たとえば、インタラクティブオブジェクトは、判定された入力ジェスチャを示すデータをリモートコンピューティングデバイスに送信することができる。別の例では、インタラクティブオブジェクトは、たとえばローカルコンピューティングデバイスによって、機能をローカルに開始させることができる。
【0144】
826に戻って、タッチ入力がタッチセンサの意図される入力面に関連付けられていない場合、方法820は834に進む。834において、方法820は、タッチセンサへのタッチ入力が意図的でなかったかまたは無視すべきであると判定するステップを含み得る。たとえば、ジェスチャマネージャ161は、いくつかの例では、834で何の動作も行なわない可能性がある。このようにして、ジェスチャマネージャ161は、タッチ入力がタッチセンサの第2の表面に関連付けられていると判定することに応答して、タッチ入力が入力ジェスチャを示していないと自動的に判定することができる。
【0145】
図示されていないが、方法820は、タッチセンサの第2の表面に関連付けられたジェスチャおよびいくつかの例を判定するステップを含み得る。たとえば、タッチ入力が受信される箇所がタッチセンサの第2の表面であると判定した後、ジェスチャマネージャ*は、タッチデータと、当該タッチデータがタッチセンサの第2の表面に関連付けられているという判定とに基づいてジェスチャを判定することができる。ジェスチャマネージャは、タッチ入力が意図される入力面で受信されなかったという識別と、いくつかの例とに基づいて、特定のジェスチャを判定することができる。ジェスチャに関連付けられた機能は、前述のように開始される機能に関して判定することができる。
【0146】
図18は、本開示の例示的な実施形態に従った、タッチセンサの個々のサブセットの検知要素のそれぞれの応答に基づいて、タッチ入力が受信されるタッチセンサの表面を識別する例示的な方法を説明するフローチャートを示す。
【0147】
852において、方法850は、タッチデータを取得するステップを含み得る。タッチデータは、タッチ入力に対する各検知要素のそれぞれの応答を示し得る。タッチデータは、タッチ入力に応答する各検知要素の静電容量または抵抗を示し得る。
【0148】
854において、方法850は、各センサ要素ごとに、センサ要素と1つ以上の隣接するセンサ要素との間の信号差を判定するステップを含み得る。ジェスチャマネージャ161は、検知要素とこれに横方向に隣接する検知要素との間の静電容量または抵抗の差を判定することができる。一例として、タッチセンサの偶数番号の各検知要素ごとに、偶数番号の検知要素と、当該偶数番号の検知要素に横方向に隣接する1つ以上の奇数番号の検知要素との間の信号差を判定することができる。同様に、タッチセンサの奇数番号の各検知要素ごとに、奇数番号の検知要素とこれに横方向に隣接する1つ以上の偶数番号の検知要素との間の信号差を判定することができる。
【0149】
856において、方法850は、偶数番号の各検知要素の信号差を累積するステップを含み得る。たとえば、偶数番号の各検知要素の信号差を合計して、偶数番号の検知要素のサブセットについての累積信号差を生成することができる。これに関して、偶数番号の検知要素についての累積信号差は、偶数番号のサブセットの少なくとも2つの導電性検知要素に関連付けられた2つの信号差に少なくとも部分的に基づき得る。
【0150】
858において、方法850は、奇数番号の各検知要素の信号差を累積するステップを含み得る。たとえば、奇数番号の各検知要素の信号差を合計して、奇数番号の検知要素のサブセットについての累積信号差を生成することができる。これに関して、奇数番号の検知要素についての累積信号差は、偶数番号のサブセットの少なくとも2つの導電性検知要素に関連付けられた2つの信号差に少なくとも部分的に基づき得る。
【0151】
860において、方法850は、検知要素の偶数番号のサブセットの累積信号差を検知要素の奇数番号のサブセットの累積信号差と比較するステップを含み得る。862において、方法850は、偶数番号の検知要素についての累積信号差が奇数番号の検知要素についての累積信号差よりも大きいかどうかを判定するステップを含み得る。いくつかの例では、ジェスチャマネージャ161は、偶数番号の信号差と奇数番号の信号差との間の差が閾値を満たすかまたは上回っているかを判定することができる。たとえば、ジェスチャマネージャ161は、偶数番号の信号差が奇数番号の信号差を閾値分だけ上回っているかどうかを判定することができる。偶数番号の信号差が奇数番号の信号差よりも大きい場合、方法850は864に進む。偶数番号の信号差が奇数番号の信号差以下である場合、方法850は866に進む。
【0152】
864において、方法850は、タッチ入力が意図される入力面で受信されたと判定するステップを含み得る。866において、方法850は、タッチ入力がタッチセンサの第2の表面で受信されたと判定するステップを含み得る。
【0153】
図19は、本明細書で説明される任意のタイプのコンピューティングデバイスを実現するために使用可能な例示的なコンピューティング環境900のブロック図を示す。システム環境は、ネットワーク960を介して通信可能に連結されたリモートコンピューティングシステム902、インタラクティブコンピューティングシステム920、およびトレーニングコンピューティングシステム940を含む。インタラクティブコンピューティングシステム920は、いくつかの例では、インタラクティブオブジェクトを実現するために用いることができる。
【0154】
リモートコンピューティングシステム902は、たとえば、パーソナルコンピューティングデバイス(たとえば、ラップトップもしくはデスクトップ)、モバイルコンピューティングデバイス(たとえば、スマートフォンもしくはタブレット)、ゲームコンソールもしくはコントローラ、内蔵型コンピューティングデバイス、サーバコンピューティングデバイス、または他の任意のタイプのコンピューティングデバイス等の任意のタイプのコンピューティングデバイスを含み得る。
【0155】
リモートコンピューティングシステム902は、1つ以上のプロセッサ904およびメモリ906を含む。1つ以上のプロセッサ904は、任意の好適な処理デバイス(たとえば、プロセッサコア、マイクロプロセッサ、ASIC、FPGA、コントローラ、マイクロコントローラ等)であり得るとともに、動作可能に接続された1つのプロセッサまたは複数のプロセッサであり得る。メモリ906は、RAM、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリデバイス、磁気ディスクなどの1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体、およびそれらの組合わせを含み得る。メモリ906は、リモートコンピューティングシステム902に動作を実行させるためにプロセッサ904によって実行されるデータ908および命令910を格納することができる。
【0156】
リモートコンピューティングシステム902はまた、ユーザ入力を受信するように構成され得る1つ以上の入力デバイス912を含み得る。一例として、1つ以上の入力デバイス912は、リモートコンピューティングシステム902のユーザからデータを受信するように構成された1つ以上のソフトボタン、ハードボタン、マイクロフォン、スキャナ、カメラなどを含み得る。たとえば、1つ以上の入力デバイス912は、仮想キーボードおよび/または仮想数字キーパッドを実現するよう機能することができる。他の例示的なユーザ入力デバイス912は、マイクロフォン、従来のキーボード、またはユーザがユーザ入力を与えることができる他の手段を含む。
【0157】
リモートコンピューティングシステム902はまた、データを1人以上のユーザに提供するように構成され得る1つ以上の出力デバイス914を含み得る。一例として、1つ以上の出力デバイス914は、リモートコンピューティングシステム902のユーザにデータを表示するように構成されたユーザインターフェイスを含み得る。他の例示的な出力デバイス914は、リモートコンピューティングシステム902のユーザに情報を提供するように構成された1つ以上の視覚デバイス、触覚デバイス、および/または音声デバイスを含む。
【0158】
インタラクティブコンピューティングシステム920は、たとえば、ウェアラブルコンピューティングデバイスなどの任意のタイプのインタラクティブオブジェクトを実現するために用いられ得る。インタラクティブコンピューティングシステム920は、1つ以上のプロセッサ922およびメモリ924を含む。1つ以上のプロセッサ922は、任意の適切な処理デバイス(たとえば、プロセッサコア、マイクロプロセッサ、ASIC、FPGA、コントローラ、マイクロコントローラ等)であり得るとともに、動作可能に接続された1つのプロセッサまたは複数のプロセッサであり得る。メモリ924は、RAM、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリデバイス、磁気ディスクなどの1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体、およびそれらの組合わせを含み得る。メモリ924は、インタラクティブコンピューティングシステム920に動作を実行させるためにプロセッサ922によって実行されるデータ926および命令928を格納することができる。
【0159】
インタラクティブコンピューティングシステム920はまた、ユーザ入力を受信するように構成され得る1つ以上の入力デバイス930を含み得る。たとえば、ユーザ入力デバイス930は、ユーザ入力オブジェクト(たとえば、指またはスタイラス)のタッチに対して感度の高いタッチセンサ式構成要素(たとえば、タッチセンサ102)であり得る。別の例として、ユーザ入力デバイス930は、ユーザの動きに対して感度の高い慣性構成要素(たとえば、慣性測定ユニット158)であり得る。他の例示的なユーザ入力構成要素は、マイクロフォン、従来のキーボード、またはユーザがユーザ入力を与えることができる他の手段を含む。インタラクティブコンピューティングシステム920はまた、ユーザにデータを提供するように構成された1つ以上の出力デバイス932を含み得る。たとえば、1つ以上の出力デバイス932は、インタラクティブコンピューティングシステム920のユーザに情報を与えるように構成された1つ以上の視覚デバイス、触覚デバイス、および/または音声デバイスを含み得る。
【0160】
トレーニングコンピューティングシステム940は、1つ以上のプロセッサ942およびメモリ944を含む。1つ以上のプロセッサ942は、任意の好適な処理デバイス(たとえば、プロセッサコア、マイクロプロセッサ、ASIC、FPGA、コントローラ、マイクロコントローラ等)であり得るとともに、動作可能に接続された1つのプロセッサまたは複数のプロセッサであり得る。メモリ944は、RAM、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリデバイス、磁気ディスクなどの1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体、およびそれらの組合わせを含み得る。メモリ944は、トレーニングコンピューティングシステム940に動作を実行させるためにプロセッサ942によって実行されるデータ946および命令948を格納することができる。いくつかの実現例では、トレーニングコンピューティングシステム940は、1つ以上のサーバコンピューティングデバイスを含むか、または1つ以上のサーバコンピューティングデバイスによって実現される。
【0161】
トレーニングコンピューティングシステム940は、たとえば、エラーの後方伝搬等のさまざまなトレーニング技術または学習技術を用いて、機械学習済み分類モデル950をトレーニングするモデルトレーナ952を含み得る。本明細書に記載される他の例では、トレーニングコンピューティングシステム940は、トレーニングデータ954を用いて機械学習済み分類モデル950をトレーニングすることができる。たとえば、トレーニングデータ954は、インタラクティブコンピューティングシステム920によって生成されるラベル付きセンサデータを含み得る。トレーニングコンピューティングシステム940は、ネットワーク960を介してインタラクティブコンピューティングシステム920からトレーニングデータ954を受信し、トレーニングデータ954をトレーニングコンピューティングシステム940に格納することができる。機械学習済み分類モデル950は、トレーニングのためにトレーニングコンピューティングシステム940に格納され、次いで、リモートコンピューティングシステム902および/またはインタラクティブコンピューティングシステム920に展開され得る。いくつかの実現例では、エラーの後方伝搬を実行することは、時間とともに、短縮された後方伝搬を実行することを含み得る。モデルトレーナ952は、分類モデル950の一般化能力を向上させるために、いくつかの一般化技術(たとえば、荷重減衰、ドロップアウトなど)を実行することができる。
【0162】
特に、トレーニングデータ954は、センサデータの複数のインスタンスを含み得る。この場合、センサデータの各インスタンスは、1つ以上の予め規定された動き認識などのグラウンドトルース推論でラベル付けされていた。たとえば、センサデータの各インスタンスごとのラベルは、物体が動く位置および/またはその移動(たとえば、速度または加速度)を記述し得る。いくつかの実現例では、これらラベルは、人によってトレーニングデータに手動で適用することができる。いくつかの実現例では、機械学習済み分類モデル950は、予測推論とグラウンドトルース推論との間の差を測定する損失関数を用いてトレーニングすることができる。
【0163】
モデルトレーナ952は、所望の機能を提供するために利用されるコンピュータ論理を含む。モデルトレーナ952は、汎用プロセッサを制御するハードウェア、ファームウェアおよび/またはソフトウェアで実現され得る。たとえば、いくつかの実現例では、モデルトレーナ952は、ストレージデバイスに格納されるとともにメモリにロードされて1つ以上のプロセッサによって実行されるプログラムファイルを含む。他の実現例では、モデルトレーナ952は、RAMハードディスクまたは光学媒体もしくは磁気媒体などの有形のコンピュータ可読記憶媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令の1つ以上のセットを含む。
【0164】
いくつかの例では、トレーニングデータベース956は、インタラクティブオブジェクト、取外し可能な電子機器モジュール、ユーザデバイス、および/またはリモートコンピューティングデバイス上のメモリに格納され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、トレーニングデータベース956は、1つ以上のリモートサーバ等の1つ以上のリモートコンピューティングデバイスに格納することができる。機械学習済み分類モデル950は、トレーニングデータベース956内のトレーニングデータに基づいてトレーニングすることができる。たとえば、機械学習済み分類モデル950は、たとえば、トレーニングデータベース956からのトレーニングデータに基づいて、エラーの後方伝搬等のさまざまなトレーニング技術または学習技術を用いて学習することができる。
【0165】
このようにして、機械学習済み分類モデル950は、動きデータに基づいてインタラクティブオブジェクトに関連付けられた複数の予め規定された動きのうちの少なくとも1つを判定するようにトレーニングすることができる。
【0166】
機械学習済み分類モデル950は、トレーニングデータを用いる1つ以上の機械学習技術によってトレーニングすることができる。たとえば、トレーニングデータは、1つ以上のインタラクティブオブジェクトによって予め収集された動きデータを含み得る。一例として、1つ以上のインタラクティブオブジェクトは、当該1つ以上のインタラクティブオブジェクトに関連付けられた1つ以上の動きに基づいてセンサデータを生成することができる。予め生成されたセンサデータは、センサデータに対応するタッチ入力および/または慣性入力に関連付けられた少なくとも1つの予め規定された動きを識別するためにラベル付けすることができる。結果として生じるトレーニングデータは、収集されてトレーニングデータベース956に格納され得る。
【0167】
ネットワーク960は、ローカルエリアネットワーク(たとえば、イントラネット)、ワイドエリアネットワーク(たとえば、インターネット)、またはこれらのいくつかの組合わせなどの任意のタイプの通信ネットワークであり得るとともに、任意の数の有線リンクまたは無線リンクを含み得る。概して、ネットワーク960を介した通信は、多種多様な通信プロトコル(たとえば、TCP/IP、HTTP、SMTP、FTPである)、符号化またはフォーマット(たとえば、HTML、XML)、および/または保護方式(たとえば、VPN、セキュアHTTP、SSL)を用いて、任意のタイプの有線接続および/または無線接続を介して搬送することができる。
【0168】
図16は、本開示を実現するのに用いられ得る1つの例示的なコンピューティングシステムを示す。他のコンピューティングシステムも同様に用いることができる。たとえば、いくつかの実現例では、リモートコンピューティングシステム902は、モデルトレーナ952およびトレーニングデータ954を含み得る。このような実現例では、分類モデル950は、リモートコンピューティングシステム902においてローカルにトレーニングおよび使用することができる。このような実現例のうちのいくつかでは、リモートコンピューティングシステム902は、ユーザ固有の動きに基づいて分類モデル950をパーソナライズするためにモデルトレーナ952を実現することができる。
【0169】
本明細書で説明される技術は、サーバ、データベース、ソフトウェアアプリケーション、および他のコンピュータベースのシステム、ならびに、実行される動作、およびこのようなシステムに対してやり取りされる情報を参照する。当業者であれば、コンピュータベースのシステムの固有の柔軟性が、多種多様な実現可能な構成、組合わせ、ならびに、構成要素間のタスクおよび機能の分割を可能にすることを認識するだろう。たとえば、本明細書で説明されるサーバプロセスは、単一のサーバを用いて、または組合わせて機能させる複数のサーバを用いて実現され得る。データベースおよびアプリケーションは、単一のシステム上で実現されてもよく、または複数のシステムにわたって分散されてもよい。分散された構成要素は、順次または並列に動作し得る。
【0170】
本主題を、その特定の例示的な実施形態に関して詳細に説明してきたが、当業者が上記の記載を理解した場合にはこのような実施形態に対する変更例、変形例、および同等例を容易に作成し得ることが理解されるだろう。したがって、本開示の範囲は限定的なものではなく例示的なものであり、本開示は、当業者には容易に明らかとなるであろう本主題に関するそのような変更、変形および/または追加を包含することを排除するものではない。