(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】眼疾患を治療するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61L 27/18 20060101AFI20240311BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240311BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20240311BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240311BHJP
C08L 71/00 20060101ALI20240311BHJP
C08K 5/101 20060101ALI20240311BHJP
C08L 67/04 20060101ALI20240311BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240311BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20240311BHJP
A61K 31/5575 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A61L27/18
A61P27/02
A61P27/06
A61K47/34
C08L71/00 Y
C08K5/101
C08L67/04
C08L101/00
A61K9/00
A61K31/5575
(21)【出願番号】P 2022547828
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 US2021016889
(87)【国際公開番号】W WO2021158968
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2023-07-14
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2020/029830
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521465348
【氏名又は名称】オキュラ セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】ブリザード,チャールズ,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】デサイ,アンキタ
(72)【発明者】
【氏名】ドリスコール,アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドスタイン,マイケル
【審査官】井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-529455(JP,A)
【文献】特表2018-515529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00-33/18
A61K 31/00-31/327
A61K 31/33-31/80
A61K 33/00-33/44
A61K 47/00-47/69
A61K 9/00- 9/72
A61P 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて治療を必要とする眼ごとに単回のインプラントによって1~24ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療する方法にて使用するためのトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラントであって、
・ヒドロゲルがポリアルキレングリコールの1以上のユニットを含む
ポリマーネットワークを含む生分解性ヒドロゲル
、及びトラボプロスト粒子と、
・ポリラクチドを含む生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記トラボプロスト粒子と、
・前記ヒドロゲル内に分散されている前記トラボプロスト粒子とを含み、
前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基がスクシンイミジルグルタレート(SG)基及びスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基から成る群から選択され、前記マルチアームポリマー前駆体が8アーム-15K-SGポリエチレングリコール及び8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールから成る群から選択され、前記求核性基含有架橋剤がトリリジンであり、前記ポリアルキレングリコールのユニットが、以下の式:
【化1】
(式中、mは2または6である)を有する加水分解性リンカーを介して架橋されており、
前記インプラントがその乾燥状態で1.00mm~2.50mmの長さ及び0.30mm以下の直径を有し、
前記トラボプロスト粒子が、レーザー回折によって決定される1~75μmの範囲の平均直径を有し、
前記インプラントが2μg~30μgのトラボプロストの用量を含有する、前記トラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項2】
前記インプラントが37℃でpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水にて試験管内で24時間水和された後、0.50mm未満の直径を有する、請求項1に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項3】
前記インプラントが37℃でpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水にて試験管内で24時間水和された後、0.30mm~0.49mmまたは0.40mm~0.49mmの範囲の直径を有する、請求項2に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項4】
37℃でpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水にて試験管内で24時間水和された後の前記インプラントの前記直径の、乾燥状態での前記インプラントの前記直径に対する比が2.5未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項5】
前記インプラントが繊維の形態である、請求項1~4のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項6】
前記インプラントがその乾燥状態で20μg~110μgまたは30μg~105μgの総重量を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項7】
前記インプラントが37℃でpH7.2~7.4の50mLの1×PBS、0.5%のヒマシ油、0.01%のフッ化ナトリウム緩衝液での模擬生理的シンク条件下、試験管内で測定された1日目にて前記インプラントにおけるトラボプロストの総重量を基にして15%未満のバーストを示す、請求項1~6のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項8】
前記インプラントにおける前記生分解性ポリマーの総質量が34μg未満、30μg未満、20μg未満、または10μg未満である、請求項1~7のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項9】
前記インプラントにおける前記トラボプロストが25μg未満、または20μg未満、または10μg未満である、請求項1~8のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項10】
その乾燥状態で前記インプラントの前記総質量が103μg未満、80μg未満、または50μg未満である、請求項1~9のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項11】
前記トラボプロスト粒子が、レーザー回折によって決定される20~75μm、もしくは20~55μmの範囲の平均直径を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項12】
前記トラボプロスト粒子が、トラボプロスト及びポリラクチドの混合物の総質量に基づいて40重量%~50重量%のトラボプロストを含有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項13】
前記トラボプロスト粒子が、トラボプロストと、酸末端基及び0.05~0.5dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有するポリラクチドとからなる混合物から作られ、前記混合物は、前記混合物の総質量に基づいて40重量%~50重量%のトラボプロストを含有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項14】
前記トラボプロスト粒子が、
(1)・トラボプロストと
・酸末端基及び0.05~0.5dl/g未
満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類のトラボプロスト粒子
、
(2)・トラボプロストと
・酸末端基及び0.5~0.80dl/g未
満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類のトラボプロスト粒子
、
(3)・トラボプロストと
・酸末端基及び0.8~1.7dl/
gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第3の種類のトラボプロスト粒子、
及び
(4)・トラボプロストと
・エステル末端基及び0.05~1.7dl/
gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第4の種類のトラボプロスト粒子
、
から成る群から選択されるトラボプロスト粒子の少なくとも2種類のブレンドである、請求項1~
13のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項15】
前記トラボプロスト粒子が、
・トラボプロストと、酸末端基及び0.05~0.5dl/g未
満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類のトラボプロスト粒子、その際、前記第1の種類の粒子が前記第1の種類の粒子の総質量に基づいて40重量%~50重量
%のトラボプロストを含有する、前記第1の種類のトラボプロスト粒子と、
・トラボプロストと、酸末端基及び0.5~0.80dl/g未
満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類のトラボプロスト粒子、その際、前記第2の種類の粒子は前記第2の種類の粒子の前記総質量に基づいて40重量%~50重量
%のトラボプロストを含有する前記第2の種類のトラボプロスト粒子とで作られる粒子のブレンドであり
、
任意で、前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基がスクシンイミジルグルタレート(SG)基であり、前記マルチアームポリマー前駆体が8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり;且つ前記求核性基含有架橋剤がトリリジンである、または前記ポリマーネットワークは以下の式:
【化2】
(式中、mは2である)で表される基を含む、架橋されている8アーム-ポリエチレングリコールを含む、請求項1~
13のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項16】
前記トラボプロスト粒子が、
・トラボプロストと、酸末端基及び0.05~0.5dl/g未
満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類の粒子、その際、前記第1の種類の粒子は前記第1の種類の粒子の前記総質量に基づいて40重量%~50重量
%のトラボプロストを含有する前記第1の種類の粒子と、
・トラボプロストと、酸末端基及び0.5~0.80dl/g未
満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類のトラボプロスト粒子、その際、前記第2の種類の粒子は前記第2の種類の粒子の前記総質量に基づいて40重量%~50重量
%のトラボプロストを含有する前記第2の種類のトラボプロスト粒子と、
・トラボプロストと、酸末端基及び0.8~1.7dl/
gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第3の種類のトラボプロスト粒子、その際、前記第3の種類の粒子は前記第3の種類の粒子の前記総質量に基づいて40重量%~50重量
%のトラボプロストを含有する前記第3の種類のトラボプロスト粒子とで作られる粒子のブレンドであり
、
任意で、前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基がスクシンイミジルグルタレート(SG)基であり、前記マルチアームポリマー前駆体が8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり;且つ前記求核性基含有架橋剤がトリリジンである、または前記ポリマーネットワークは以下の式:
【化3】
(式中mは2である)で表される基を含む、架橋されている8アーム-ポリエチレングリコールを含む、請求項1~
13のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項17】
前記トラボプロスト粒子が、
・トラボプロストと、酸末端基及び0.05~0.5dl/g未
満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類の粒子、その際、前記第1の種類の粒子は前記第1の種類の粒子の前記総質量に基づいて40重量%~50重量
%のトラボプロストを含有する前記第1の種類の粒子と、
・トラボプロストと、酸末端基及び0.5~0.80dl/g未
満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類の粒子、その際、前記第2の種類の粒子は前記第2の種類の粒子の前記総質量に基づいて40重量%~50重量
%のトラボプロストを含有する前記第2の種類の粒子と、
・トラボプロストと、酸末端基及び0.8~1.7dl/
gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとで作られる第3の種類の粒子、その際、前記第3の種類の粒子は前記第3の種類の粒子の前記総質量に基づいて40重量%~50重量
%のトラボプロストを含有する前記第3の種類の粒子と、
・トラボプロストと、エステル末端基及び0.05~1.7dl/
gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとで作られる第4の種類の粒子、その際、前記第4の種類の粒子は前記第4の種類の粒子の前記総質量に基づいて40重量%~50重量%のトラボプロストを含有する前記第4の種類の粒子とで作られる粒子のブレンドであり
、
任意で、前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基がスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基であり、前記マルチアームポリマー前駆体が8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールであり;且つ前記求核性基含有架橋剤がトリリジンである、または前記ポリマーネットワークは以下の式:
【化4】
(式中、mは6である)で表される基を含む、架橋されている8アーム-ポリエチレングリコールを含む、請求項1~
13のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項18】
高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて治療を必要とする眼ごとに単回のトラボプロスト持続放出生分解性インプラントによっ
て3~9ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療する方法にて使用するための請求項1~
17のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項19】
前記方法が、前記インプラントを前記眼の前眼部に挿入することを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【請求項20】
前記方法が、前記インプラントを前記眼の虹彩角膜角内に挿入することを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載のトラボプロスト持続放出生分解性前房内インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼疾患があり、且つ対応する前房内インプラントを伴うヒト対象における治療方法に関する。本発明はまた、ヒト対象における眼圧の治療及び対応する前房内インプラントにも関する。本発明はまた、高眼圧症または緑内障、例えば開放隅角緑内障があるヒト対象における眼圧の治療にも関する。特定の実施形態では、本発明はトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントの前房内投与に関する。
【背景技術】
【0002】
緑内障は通常、何百万人もの人々に影響を与える進行性の慢性疾患である(Simmons,S.,T.,Ophthalmic Formulations.Glaucoma Today Supplement to Advanced Ocular Care, 2010;The Eye Disease Prevalence Group.,Prevalence of open-angle glaucoma among adults in the United States.Arch Ophthalmol,2004.122:p.532-538)。実際、緑内障は不可逆的な失明の主な原因の1つであると報告されており、世界で2番目に多い失明の原因である(Quigley,H.A.and A.T.Broman,The number of people with glaucoma worldwide in 2010 and 2020.Br.J.Ophthalmol,2006.90(3):p.262-7)。2040年までに1億1000万人超が緑内障と診断されることになると予測する人もいる(Tham,Y.-C.,et al.,Global Prevalence of Glaucoma and Projections of Glaucoma Burden through 2040.8,Ophthalmology,2014.121(11):p.2081-2090)。
【0003】
緑内障は、網膜神経節細胞とその軸索の喪失につながり、後の段階で視野の喪失に進行し、非常に進行した症例では中心視力の喪失に至る視神経障害として定義されている。開放隅角緑内障は、この疾患の最も一般的な形態であり、原発性開放隅角緑内障(POAG)は、前房排水角が開いており、IOPが上昇している眼を指す。
【0004】
緑内障の主な危険因子は、眼内の体液圧の上昇(すなわち、眼圧(IOP)の上昇)であり、正常範囲である10~21mmHgを超える圧力として定義されている。現在視神経の損傷がなくIOPレベルが上昇している人は、緑内障とは対照的に高眼圧症と診断される。しかしながら、高眼圧症の人は視神経への進行性の損傷(緑内障)のリスクがあり得る。
【0005】
緑内障と高眼圧症(OHT)の双方にとって、効果的な治療のための最も重要な要因はIOPを下げることであり、そうすることで、視野喪失の速度とともに病気の進行が遅くなる可能性がある。プロスタグランジンとして分類される薬剤はIOPを効果的に低下させることが示されている(AAO、Glaucoma Preferred Practice Pattern.2015)。AAOのPreferred Practice Patternは、POAG及びOHTの治療の第1選択としてプロスタグランジンを推奨している。米国で緑内障の治療のために最も一般的に処方されている局所薬物はプロスタグランジン類似体である。
【0006】
トラボプロストは、例えば、好適な合成プロスタグランジンF2α類似体である。その化学名は(イソプロピル(Z)-7-[(1R,2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-[(1E,3R)-3-ヒドロキシ-4-[(α,α,α-トリフルオロ-m-イソプロピル-トリル)オキシ]-1-ブテニル]-シクロペンチル]-5-ヘプテノエートである。このプロドラッグは、ヒトの角膜で酵素的に遊離酸の形態に変換される合成プロスタグランジン類似体である(Al-Jazzaf,A.M.,L.DeSantis,and P.A.Netland,Travoprost:a potent ocular hypotensive agent.Drugs Today(Barc),2003.39(1):p.61-74)。すべてのプロスタグランジンと同様に、トラボプロスト遊離酸は小柱網とブドウ膜強膜からの流出を増やすことによって眼圧を低下させると考えられている選択的FPプロスタノイド受容体アゴニストである(Lim,K.S.,et al.,Mechanism of action of bimatoprost,latanoprost,and travoprost in healthy subjects.A crossover study.Ophthalmology,2008.115(5):p.790-795 e4 and Toris,C.B.,B.A.T.Gabelt,and P.L.Kaufman,Update on the Mechanism of Action of Topical Prostaglandins for Intraocular Pressure Reduction.Survey of Ophthalmology,2008.53(6,Supplement):p.S107-S120)。トラボプロストはTravatan(登録商標)、Travatan Z(登録商標)(付録A:添付文書)、及びIzba(商標)(すべてAlcon Laboratories,Inc.,Ft Worth,T×)の有効成分であり、これらはすべてIOPの上昇を抑えることを目的とした局所点眼剤である。投与量は通常、罹患した眼(複数可)に毎日適用される0.004%または0.003%の溶液の1日1滴である。
【0007】
緑内障の治療を成功させるには、局所点眼薬による毎日の自己投与治療が必要である。局所降圧薬は緑内障の治療に効果的であり得る一方で、利用可能な治療法のいずれか1つは個々の患者による投与の順守と同じくらい効果的であるにすぎない。局所点眼薬の適用に関連する既知の制約には、(1)点眼薬の投与の難しさ、(2)眼に入る点眼薬の精度の限界、(3)流涙またはその後の他の点眼薬の投与による点眼薬の洗い流しの可能性、(4)点眼薬を投与するための介護者の必要性及び(5)対象のコンプライアンス不良が挙げられる(Toris,C.B.,B.A.T.Gabelt,and P.L.Kaufman,Update on the Mechanism of Action of Topical Prostaglandins for Intraocular Pressure Reduction.Survey of Ophthalmology,2008.53(6,Supplement):p.S107-S120)。Kholdebarin,et al.(Kholdebarin,R.,et al.,Multicenter study of compliance and drop administration in glaucoma.Can.J.Ophthalmol,2008.43(4):p.454-61)は、患者の34%が不適切な投与技術を使用したと報告した。一部の患者については、複数の点眼薬を投与する必要があり、これは洗い流し効果のために状況につながる可能性がある。ある試験では、同じ眼に1を超える薬物を必要とした患者のほぼ9%が投与間で少なくとも3分間待つことができなかった。重要なことに、薬物の数にかかわらず、患者は無期限に治療を続けることが期待されており、そうする動機付けが重要な役割を担っている。したがって、緑内障の治療のために、特にこの疾患がある高齢者にて、単一のまたは複数の点眼薬の毎日の投与に代わるものを提供する必要がある。
【0008】
緑内障の管理が不十分な症例では、長期的な影響として潜在的な失明のリスクが高まり、患者のコンプライアンスが重要な問題になる。試験は、緑内障患者の50%未満が治療を継続し、必要に応じて処方薬を補充し(Friedman,D.S.,et al.,Using Pharmacy Claims Data to Study Adherence to Glaucoma Medications:Methodology and Findings of the Glaucoma Adherence and Persistency Study(GAPS).Investigative Ophthalmology & Visual Science,2007.48(11):p.5052-5057)、ほとんどの患者は、健康保険の請求に従って、最初の処方薬を調剤してから1.2年以内に局所療法の使用を中止する可能性がある(Nordstrom,B.L.,et al.,Persistence and Adherence With Topical Glaucoma Therapy.American Journal of Ophthalmology,2005.140(4):p.598.e1-598.e11)。したがって、IOPの24時間の長期制御を提供する送達システムは、多数の問題に対処し、患者の緑内障に起因する視力喪失を潜在的に遅延させ、または防止することができる。
【0009】
前眼部への薬物送達は、患者のコンプライアンスを改善し、優れた安全性プロファイルを達成し、長期間にわたって持続的な送達を提供するという究極の目標を持った課題であり続ける(Yellepeddi,V.K.and S.Palakurthi,Recent Advances in Topical Ocular Drug Delivery.Journal of Ocular Pharmacology and Therapeutics,2015.32(2):p.67-82)。
【0010】
FDAによって承認されたビマトプロスト前房内インプラントであるDURYSTA(登録商標)は開放隅角緑内障または高眼圧症の患者の眼圧の低下に適応されている。角膜内皮細胞の喪失や角膜の有害反応の可能性があるため、インプラントは再治療なしで片目あたり単回のインプラントに制限されており、狭角または解剖学的角度の閉塞のある患者には注意して使用すべきである。有効性は、開放隅角緑内障または高眼圧症の患者にて1日2回の局所チモロール0.5%点眼薬と比べて、DURYSTAの2つの多施設共同無作為化並行群間対照20ヵ月(8ヵ月の延長観察期間を含む)試験で評価された。DURYSTAは平均ベースライン眼圧が24.5mmHgの患者にて約5~8mmHgの眼圧低下を示した。データは12週後のDURYSTA群の眼圧がチモロール群を上回って上昇することを示している。DURYSTA(登録商標)は固体ポリマー徐放性薬物送達システムにて10μgのビマトプロストを含有する前房内インプラントである。薬物送達システムは、ポリ(D,Lラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド)酸末端、及びポリエチレングリコール3350から成る。(処方情報は2020年11月に改訂された)。
【発明の概要】
【0011】
本発明の特定の実施形態の目的は、挿入されたときに眼の虹彩角膜角に適合するのに十分に小さい寸法を持つ、眼の前眼房に挿入されるのに好適なインプラント(前房内インプラント)を提供することである。特に、インプラントは、狭い角度を含む広範囲の虹彩角膜角サイズに適合するのに十分小さいサイズを有するべきである。
【0012】
本発明の特定の実施形態の目的は、眼の虹彩角膜角に適合するのに十分に小さい寸法を持ち、治療期間の間及び/またはそれが生分解されるまで虹彩角膜角にて安定する、眼の前眼房に挿入されるのに好適なインプラント(前房内インプラント)を提供することである。
【0013】
本発明の特定の実施形態の目的は、挿入後、房水の取り込みにより膨潤し、それが溶解して完全に分解する前にますます柔らかくなる、眼の前眼房に挿入するのに好適なインプラント(前房内インプラント)を提供することである。
【0014】
本発明の特定の実施形態の別の目的は、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント及びインプラントの制限された動きを伴う対応する治療方法を提供することである。
【0015】
本発明の特定の実施形態の別の目的は、内皮に優しいトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントを提供することである。
【0016】
本発明の特定の実施形態の目的は、ヒト対象にて眼疾患を長期間、例えば約1ヵ月~約24ヵ月の範囲で治療する方法及び対応する使用を提供することである。
【0017】
本発明の特定の実施形態の目的は、ヒト対象にて眼疾患を無制限な時間、治療する方法及び対応する使用を提供することである。
【0018】
本発明の特定の実施形態の目的は、ヒト対象にて眼圧を安全に且つ効果的に長期間、例えば、約2~12ヵ月または3~約9ヵ月、例えば、約3~約4ヵ月または約3~約6ヵ月または約6~約9ヵ月の範囲で治療する方法及び対応する使用を提供することである。
【0019】
本発明の特定の実施形態の目的は、ヒト対象にて眼圧を安全に且つ効果的に無制限な時間で治療する方法及び対応する使用を提供することである。
【0020】
本発明の特定の実施形態の目的は、高眼圧症または緑内障、例えば、開放隅角緑内障があるヒト対象にて眼圧を安全かつ効果的に長期間、例えば、約2~12ヵ月または約3~約9ヵ月、例えば、約3~約4ヵ月または約3~約9ヵ月または約6~約9ヵ月の範囲で治療するための方法及び対応する使用を提供することである。
【0021】
本発明の特定の実施形態の目的は、高眼圧症または緑内障、例えば、開放隅角緑内障があるヒト対象にて眼圧を安全かつ効果的に無制限な時間で治療するための方法及び対応する使用を提供することである。
【0022】
本発明の特定の実施形態の別の目的は、高眼圧症または緑内障、例えば開放隅角緑内障があるヒト対象にて眼圧を安全かつ効果的に治療するために最初に限定されたバーストがある一定のまたは実質的に一定のプロスタグランジンアンタゴニスト放出を提供するプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントを提供する。
【0023】
本発明の特定の実施形態の別の目的は、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラント及び、ヒト対象の眼の前眼房に埋め込まれると目の中に異物がある感覚や目の痛みのような不便または不快感を引き起こさない対応する治療方法を提供することである。
【0024】
本発明の特定の実施形態の別の目的は、ヒト対象にて防腐剤を含まないで眼圧を治療する方法を提供することである。
【0025】
本発明の特定の実施形態の別の目的は、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント及び対応する治療方法を提供することであり、その際、インプラントは外見上人目に付かない。
【0026】
本発明の特定の実施形態の別の目的は、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント及び対応する治療方法を提供することであり、その際、インプラントは眼にてモニターされてもよい。
【0027】
本発明の特定の実施形態の別の目的は、ヒト対象の眼の前眼房または後眼房のようなヒト対象の眼に容易に挿入可能であるプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出生分解性前房内インプラントを提供することである。
【0028】
本発明の特定の実施形態の別の目的は、ヒト対象の眼の前眼房または後眼房のようなヒト対象の眼に挿入するのに十分に小さいプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントを提供することである。
【0029】
本発明の特定の実施形態の別の目的は、ヒト対象の眼の前眼房に挿入されると残留物のない方法で生分解性であり、手術によって取り除く必要がない、すなわち、インプラントは完全に生分解性であるトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント及び対応する治療方法を提供することである。
【0030】
本発明の特定の実施形態の別の目的は、ヒト対象にて開放隅角緑内障及び/または高眼圧症に関連する眼圧の継続した治療に使用することができるトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント及び対応する治療方法を提供することである。
【0031】
本発明の特定の実施形態の別の目的は、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント及び対応する治療方法を提供することであり、その際、前記インプラントは長期間の治療効果を提供する。
【0032】
本発明の特定の実施形態の別の目的は、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント及び対応する治療方法を提供することであり、その際、前記インプラントは長期間の治療効果を提供し、且つ角膜厚測定及び内皮細胞数の変化を引き起こさない。本発明のこれらの目的のうちの1以上及び他のものは、本明細書に開示及び特許請求される1以上の実施形態によって解決される。
【0033】
本発明の個々の態様は本明細書にて開示され、独立請求項にて請求される一方で、従属請求項は本発明のこれらの態様の特定の実施形態及び変形を請求する。本発明の種々の態様の詳細は以下の詳細な説明に提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1a】37℃で測定された製剤1a、1b、2、及び3の試験管内放出の図である。
【
図1b】40℃で測定された製剤1a、1b、2、及び3の試験管内放出を示す図である。
【
図1c】時間(週)と対比させたインプラントの完全性の等級分けを示す図である。
【
図1d】本明細書で開示されている方法を使用して得られたブランクの典型的なKarl Fischerプロットを示す図である。
【
図1e】本明細書で開示されている方法を使用して得られた水標準物質の典型的なKarl Fischerプロットを示す図である。
【
図1f】本明細書で開示されている方法を使用して得られたOTX-TP試料の典型的なKarl Fischerプロットを示す図である。
【
図3a】ベースラインから22ヵ月目までの臨床第1相試験のコホート1の平均角膜厚測定を示す図である。
【
図3b】ベースラインから9ヵ月目までの臨床第1相試験のコホート2の平均角膜厚測定を示す図である。
【
図3c】ベースラインから9ヵ月目までの臨床第1相試験のコホート3の平均角膜厚測定を示す図である。
【
図3d】ベースラインから6ヵ月目までの臨床第1相試験のコホート4の平均角膜厚測定を示す図である。
【
図4a】ベースラインから9ヵ月目までの臨床第1相試験のコホート1の平均ECCを示す図である。
【
図4b】ベースラインから9ヵ月目までの臨床第1相試験のコホート2の平均ECCを示す図である。
【
図4c】ベースラインから6ヵ月目までの臨床第1相試験のコホート3の平均ECCを示す図である。
【
図5a】臨床第1相試験のコホート1におけるベースラインからの平均IOP変化を示す図である。
【
図5b】臨床第1相試験のコホート2におけるベースラインからの平均IOP変化を示す図である。
【
図5c】臨床第1相試験のコホート3におけるベースラインからの平均IOP変化を示す図である。
【
図5d】臨床第1相試験のベースラインからの平均IOP変化を示す図である。
【
図6】1日目から7ヵ月目の間での1人のヒト対象の挿入されたインプラントの写真である。
【
図7】OTX-TICトラボプロストインプラントを投与するためのシリンジ構築を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
定義
本明細書で使用されるとき「前房内インプラント」という用語は「前房内挿入物」という用語と相互交換可能に使用され、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)のようなAPIを含有し、投与されるのに好適である、すなわち、一定期間留まる一方で房水のような周囲の環境に活性剤を放出する眼の前眼部に挿入されるのに好適である物体を指す。インプラントは同様に後眼部に挿入されてもよい。インプラントは、挿入される前は繊維の形態をしており、本明細書でさらに開示されているような水和のために投与後インプラントの寸法(例えば、長さ及び/または直径)は変化してもよいが、インプラントを所望の位置に配置するとその形状はある程度維持され得る。言い換えれば、眼に挿入されるのは溶液や懸濁液ではなく、すでに形作られた、定義された物体である。インプラントは投与される前に、例えば、本明細書で開示されている方法に従って完全に形成される。前房内インプラントは、時間の経過とともに生分解されるように設計することができる(以下に開示されているように)ので、それによって軟化し、その形状を変化させ、及び/またはサイズを減らしてもよく、最終的に、完全な溶解または崩壊のいずれかによって排除/生分解されてもよい。本発明では、「インプラント」という用語は、それが水を含有すると(例えば、インプラントがいったん眼に投与されると(再)水和された、またはそれ以外の場合は、水性環境に浸漬された後)水和された(「膨潤した」とも呼ばれる)状態にあるインプラント、及び例えば、1重量%以下の低含水量まで乾燥されたとき、または乾燥工程を必要とせずに調製物が低含水量インサートをもたらすときその乾燥(乾燥/脱水)状態にあるインプラントの双方を指すのに使用される。インプラントの含水量は、実施例2cに示すようなKarl Fischer電量法を使用して測定される。
【0036】
「挿入される」という用語は、本明細書では、「配置される」または「注入される」または「投与される」または「埋め込まれる」という用語と相互交換可能に使用される。各用語は、OTX-TICインプラントの眼の前眼房への前房内埋め込みを説明し、次いでそれは虹彩角膜角に存在する。
【0037】
本発明で使用されるとき「眼」という用語は、一般に眼、または眼の任意の部分または一部を指す(「眼インプラント」は、原則として、眼の任意の部分または一部に投与することができる)。特定の実施形態では本発明は、以下にさらに開示されているように、眼インプラントの前房内注入、及び緑内障及び/または高眼圧症がある対象における眼圧の低下を対象とする。
【0038】
「生分解性」という用語は、生体内で、すなわち人体に配置されたときに分解される材料または物体(例えば、本発明に係る前房内インプラント)を指す。本発明の特定の実施形態の文脈では、以下に詳細に開示されているように、その中に有効成分が含有されるヒドロゲルを含むインプラントは、眼の前眼部に投与されると、時間とともにゆっくりと生分解し、それは眼の虹彩角膜角内に存在する。特定の実施形態では、生分解は、眼の前眼部の水性環境におけるエステル加水分解を介して少なくとも部分的に起こる。インプラントはゆっくりと柔らかくなり、崩壊し、房水流出経路を通って液化及び透明化を介してクリアランスをもたらす。
【0039】
「ヒドロゲル」は、例えば、個々のポリマー鎖の化学的なまたは物理的な架橋のために、その構造を維持または実質的に維持しながら、水中で膨潤し、且つある量の水を保持することができる1以上の親水性の天然ポリマーまたは合成ポリマー(本明細書で開示されているような)の三次元ネットワークである。含水量が多いため、ヒドロゲルは軟らかく柔軟性があり、自然の組織に似ている。本発明では、「ヒドロゲル」という用語は、それが水を含有すると(例えば、ヒドロゲルが水溶液中で形成された後、またはヒドロゲルがいったん眼に挿入されると水和された後もしくは(再)水和された後、またはそれ以外の場合は、水性環境に浸漬された後)水和された状態にあるヒドロゲル、及び例えば、1重量%以下の低含水量まで乾燥されたとき、または乾燥工程を必要とせずに調製物が低含水量インサートをもたらすときその乾燥(乾燥/脱水)状態にあるヒドロゲルの双方を指すのに使用される。有効成分がヒドロゲルに含有される(例えば、分散される)本発明では、ヒドロゲルは「マトリックス」とも呼ばれてもよい。
【0040】
「ポリマーネットワーク」という用語は、互いに架橋されている(同じまたは異なる分子構造、及び同じまたは異なる分子量の)ポリマー鎖で形成された構造を説明する。本発明の目的に好適なポリマーの種類は本明細書にて以下に開示されている。ポリマーネットワークは、求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって得られてもよい。
【0041】
本明細書で開示されているような「繊維」という用語は、本質的に円筒形であり、直径及び長さによって特徴付けられる形状を指す。
【0042】
「非晶質」という用語は、X線または電子散乱の実験で結晶構造を示さないポリマーまたはポリマーネットワークを指す。
【0043】
「半結晶性」という用語は、いくつかの結晶の特徴を持ち、すなわち、X線または電子散乱の実験においていくつかの結晶特性を示すポリマーまたはポリマーネットワークを指す。
【0044】
本明細書で使用されるとき、「均質に分散される」とは、トラボプロストまたはトラボプロスト粒子のような成分が、ヒドロゲルまたはポリマーネットワークの全体わたって均一に分散されていることを意味する。
【0045】
本明細書における「前駆体」という用語は、互いに反応し、したがって架橋を介して接続されてポリマーネットワーク、したがってヒドロゲルマトリックスを形成する分子または化合物を指す。APIや緩衝液のような他の材料がヒドロゲルに存在してもよい一方で、それらは「前駆体」とは呼ばれない。
【0046】
最終的なポリマーネットワークにまだ存在する前駆体分子の部分は本明細書では「ユニット」とも呼ばれる。したがって、「ユニット」は、ヒドロゲルを形成するポリマーネットワークの基礎的要素または構成要素である。例えば、本発明での使用に好適なポリマーネットワークは、本明細書でさらに開示されているように、同一または異なるポリエチレングリコールのユニットを含有してもよい。
【0047】
本発明の目的のための「持続放出」という用語は、APIを長期間にわたって利用可能にするように製剤化され、それによって、眼に局所的に適用されるAPIの溶液(例えば、トラボプロストを含む点眼薬)のような即時放出剤形と比較して投薬頻度の低減を可能にする製品を特徴付けることを意味する。本明細書で「持続放出」と相互換可能に使用されてもよい他の用語は「延長放出」または「制御放出」である。本発明の意味の範囲内で、「持続放出」という用語は試験管内での一定のAPI放出を含む。
【0048】
「粒子のブレンド」という用語は、粒子の混合物を定義し、混合物の各成分は個々の組成を有する。
【0049】
本明細書で使用されるとき「反復投与」、「反復適用」または「反復使用」という用語は、眼内で生分解され前に使用される前房内インプラントの後で、本発明に係る同等または類似の前房内インプラントを使用する前に同じ眼が治療された後で、眼の前眼房に本発明のAPI含有前房内インプラントを前房内に挿入することによるさらなる治療を指す。これには、繰り返し適用することによる無制限の期間の治療のような継続的な治療が含まれる。
【0050】
本明細書で使用されるとき「ポリラクチド」という用語は通常、乳酸の重縮合によって得られるホモポリマーを指す。言い換えれば、ポリラクチドは乳酸モノマーユニットから成る。そのようなポリラクチドは、酸またはエステルの末端基を有することができるが、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)のようなポリマー主鎖にて他のモノマーユニットで構成されない。ポリラクチドは、D-乳酸、L-乳酸、またはD-乳酸とL-乳酸の任意の混合物の重合によって形成することができる。後者の場合、最終的なポリラクチドはD,L-ポリラクチドと呼ばれてもよい。
【0051】
「固有粘度」という用語は、本明細書で使用されているポリラクチド(PLA)の物理的パラメーターを示すのに使用される。異なる分子量のポリマーは、4A、7A、9A、及び5.5EのPLAとして記載され、その際、数値は、PLA分子量に相関するクロロホルム中のポリマーの目標固有粘度(IV)を示し、文字の接尾辞は酸(A)末端基、またはエステル(E)末端基を示す。30℃にて0.5%w/vクロロホルムで測定した場合、4AのPLAは0.35~0.45dl/gの固有粘度を有し;7AのPLAは0.60~0.80dl/gの固有粘度を有し;9AのPLAは0.80~1.0dl/gの固有粘度を有する。25℃にて0.1%w/vクロロホルムで測定した場合、5.5EのPLAは0.55~0.75dl/gの固有粘度を有する。
【0052】
本明細書で使用されるとき「トラボプロストバースト」という用語は、挿入後の比較的短い間隔内での、例えば、挿入後の最初の日についてインプラントからのトラボプロストの急速な初期放出を意味する。トラボプロストバーストは、本明細書に記載されているような生理学的条件下、例えば、50mLの1×PBS、0.5%ヒマシ油、0.01%フッ化ナトリウム緩衝液、pH7.2~7.4、37℃での模擬生理学的シンク条件下、試験管内で測定されると、1日以内、例えば1日目以内に10~20%の間、例えば、約10~約15%または15%未満のトラボプロスト放出量(前房内インプラントにおけるトラボプロストの総重量に基づく)を有してもよい。「バースト」という用語は本明細書で開示されている他の活性剤に関しても使用されてもよい。本発明によれば、バーストは出来る限り減らされる。
【0053】
本明細書で使用されるとき「延長された期間」という用語は、疾患の治療に関して延長されたと当業者によって見なされる任意の期間を指し、特に、少なくとも約1週間、または少なくとも約1ヵ月以上、例えば、最大約24ヵ月、または本明細書で具体的に言及されるような任意の中間の期間、例えば約2~12ヵ月または3~約9ヵ月、約4~約7ヵ月、約3~約6ヵ月のような期間を指す。
【0054】
本明細書で使用されるとき「可視化剤」という用語は、眼の前眼部に挿入されたときにインプラントを容易に可視化する可能性を提供する、インプラントのヒドロゲル内に含有される分子または組成物を指す。可視化剤はフルオレセイン、ローダミン、クマリン、及びシアニンのような蛍光色素分子であってもよい。特定の実施形態では、可視化剤はフルオレセインである、またはフルオレセイン部分を含む。
【0055】
本明細書で使用されるとき、「房水」または「AH」という用語は前房内の液体を指す。
【0056】
本明細書で使用されるとき、「両側性に」または「両側性の」という用語は、本発明のインプラントの投与の文脈では、患者の両眼へのインプラントの投与を指す。それぞれの眼について独立している。
【0057】
「前房内インプラント」という用語は、眼の前眼部に投与することができ、虹彩角膜角内に存在するインプラントを指す。
【0058】
「API」、「有効(医薬品)成分」、「活性(医薬品)剤」、「活性(医薬品)成分」、「(活性)治療剤」、「活性がある」、及び「薬物」という用語は、本明細書では相互交換可能に使用され、薬理学的活性を提供すること、または疾患の診断、治癒、緩和、治療または予防に直接効果を有すること、または病気の予防、または患者の生理学的機能の回復、矯正または修正に直接効果を有することを目的とする完成医薬品(FPP)に使用される物質、と同様にそのような完成医薬品の調製に使用される物質を指す。APIがプロスタグランジンアンタゴニストである実施形態では、薬剤は、例えば、トラボプロスト、ビマトプロスト、またはラタノプロストであってもよい。
【0059】
「治療する」、「治療すること」、または「治療」という用語は相互交換可能に使用され、開示されている状態(例えば、高眼圧症または緑内障)、または本明細書に記載されているような1以上のその症状の反転、緩和、その発症の遅延、または進行の抑制を指す。他の態様では、治療は症状の非存在下で施行されてもよい。例えば、治療は、症状の発症前に(例えば、症状の病歴を考慮して、及び/または特定の生物への曝露を考慮して、または他の感受性因子を考慮して)感受性のある個体に投与されてもよく、すなわち、予防的治療であってもよい。症状が解消した後、たとえば再発を遅らせるために、治療が継続されてもよい。
【0060】
「対象」及び「患者」という用語は相互交換可能に使用されてもよく、治療を必要とする哺乳類、例えば、ペット(例えば、イヌ、ネコ等)、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等)、及び実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモット等)を意味する。好ましくは、対象は治療を必要とするヒトである。
【0061】
本発明の特定の実施形態によれば、APIはトラボプロストである。プロスタグランジンF2α類似体であるトラボプロストは、プロスタグランジンFP受容体に対して高い親和性を有し、線維柱帯網及びブドウ膜強膜の経路を介した房水の流出を増加させることによって眼圧を低下させる、選択性の高い完全アゴニストである。トラボプロストは、選択的FPプロスタグランジンアゴニストであるフルプロステノールの単一エナンチオマーのイソプロピルエステルである。トラボプロストは、プロスタグランジンF2α類似体プロドラッグエステル(ラタノプロスト、ビマトプロスト、タフルプロストを含む)のクラスに属し、角膜への浸透を促進し、房水への活性カルボン酸(トラボプロスト酸)の送達を提供する。プロドラッグエステルは、角膜にてエステラーゼによって、炭素17~20がメタトリフルオロメチルフェノキシ基で置換されている生物学的に活性がある遊離酸に加水分解されると考えられている。ラタノプロストと比べて、トラボプロストの遊離酸は、試験管内結合親和性試験の結果に基づいて、FPプロスタノイド受容体に対してさらに高い効力及びさらに高い選択性を有することが観察された。
【化1】
【0062】
本明細書で使用されるとき、「治療上有効な」という用語は、投与の後、所望の治療結果を生み出すのに必要とされるAPI、例えば、トラボプロストの量を指す。例えば、本発明の文脈では、1つの所望の治療結果は、例えば、当業者に知られている生体内試験によって測定されるような、IOPの低下である。本明細書で提供されているようなトラボプロストの量及び用量はイソプロピルエステルを指す。
【0063】
本明細書で使用されるとき、「眼圧」(IOP)という用語は、眼内の流体圧である。以下の実施例3に詳細に示されているようなGoldmann眼圧測定法のような眼圧測定法は、眼科の専門家がIOPを決定するために使用する方法である。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「角膜厚測定」は対象の中心角膜厚を測定するために使用される方法である。中心角膜厚の測定は、以下の実施例3で詳細に定義されているような超音波厚度計を使用して実行される。
【0065】
本明細書で使用されるとき、「内皮細胞数」または「ECC」は以下の実施例3で定義されているようにスペキュラマイクロスコープ法によって決定される。
【0066】
本明細書で使用されるとき、「緑内障」という用語は、開放隅角緑内障及び閉塞隅角緑内障の形態を包含してもよい。本明細書で開示されている開放隅角緑内障の亜型には、正常眼圧緑内障、先天性緑内障、続発性緑内障、色素性緑内障、偽剥離性緑内障、外傷性緑内障、血管新生緑内障、虹彩角膜内皮症候群(ICE)、及び/またはブドウ膜炎緑内障が包含されてもよい。
【0067】
本明細書で使用されるとき、「治療期間中及び/または治療全体の間に治療された眼に内皮細胞数の変化が生じない」とは、内皮細胞数の値が臨床的に意味のある減少をしないことを意味する。治療期間中の対象におけるベースラインからの最大20%の単一の減少、及び/または治療期間中の対象におけるベースラインからの最大10%の継続的な減少は、臨床的に許容される。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「治療期間中及び/または治療全体の間に治療された眼にて角膜の厚さまたは角膜厚測定の変化が生じない」とは、角膜厚測定の値が臨床的に意味のある減少をしないことを意味する。治療期間中の対象におけるベースラインからの最大20%の単一の減少、及び/または治療期間中の対象におけるベースラインからの最大10%の継続的な減少は、臨床的に許容される。
【0069】
本明細書で使用されるとき、「開放隅角緑内障」という用語は、ICD-10コードH40によって分類される。開放隅角緑内障は、軽度、中等度、または重度の開放隅角緑内障に大まかに分類されてもよい。
【0070】
本明細書で使用されるとき、「高眼圧症」はふつう、眼内の圧力、すなわちIOPが正常よりも高い任意の状況を指す。眼圧は水銀柱ミリメートル(mmHg)で測定される。正常の眼圧は21mmHg以下で、平均16mmHgである。高眼圧症はふつう、21mmHgを超える眼圧である。眼圧は個々の対象の角膜の厚さに関係している。眼圧が21mmHg未満であるにもかかわらず、角膜が薄い人は高眼圧症を有する場合があり、眼圧が21mmHgを超えるにもかかわらず、角膜が厚い人は正常な眼圧を有し得る。したがって、角膜の厚さの変化に対して補正係数を適用することもふつうである。
【0071】
「約(about)」という用語は、測定された量に関して本明細書で使用されるとき、測定を行い、測定の目的及び測定装置の精度に見合ったレベルの注意を払う当業者によって予想される、その測定された量の正常な変動を指す。
【0072】
「少なくとも約」という用語は、測定された量に関して、測定を行い、測定の目的及び測定装置の精度及びそれより多い量に見合ったレベルの注意を払う当業者によって予想されるような、その測定された量の正常な変動を指す。
【0073】
本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は文脈が明確に別途指示しない限り、複数形の言及を含む。
【0074】
本明細書の「A及び/またはB」のような表現で使用される「及び/または」という用語は、「A及びB」及び「AまたはB」の双方を含むことを意図している。
【0075】
「include(含む)」、「including(含むこと)」、「contain(含有する)」、「containing(含有すること)」のような開放用語は「comprising(含むこと)」を意味する。これらのオープンエンドの移行表現は、追加の、引用されていない要素または方法工程を除外しない要素、方法工程等のオープンエンドリストを導入するのに使用される。
【0076】
詳細な説明
プロスタグランジンアンタゴニスト粒子
本発明に係るプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である。例えば、粒子は微粒子である。そのような粒子はマイクロカプセル化によって調製することができる。
【0077】
具体的な実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、ふるい分けによって決定される約1~約150μmの範囲の直径を有する、またはレーザー回折によって決定される1~150μmの範囲の平均直径を有する。さらに具体的な実施形態では、粒子は、ふるい分けによって決定される約1~約100μm、約20~約75μm、約20~約106μm、または約20~約55μmの範囲の直径を有する、またはレーザー回折により決定される約1~約100μm、約20~約75μm、約20~約106μm、または約20~約55μmの範囲の平均直径を有する。特定の実施形態では、平均粒径はレーザー回折によって決定される36μmである。
【0078】
特定の実施形態では、生分解性ポリマーはポリラクチドを含む。さらに具体的には、ポリラクチドは酸末端基またはエステル末端基を有する。
【0079】
一実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、例えば、第1のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子及び第2のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子のようなさまざまな種類の粒子のブレンドである。さらに具体的には、第1及び第2のポリラクチドはそれぞれ酸末端基を有する。さらに具体的な実施形態では、第1のポリラクチドは、約0.05~約0.5dl/g未満の範囲、または約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する。さらに、または代わりに、第2のポリラクチドは約0.5~約0.80dl/g未満の範囲、または約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する。
【0080】
特定の実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、2種類の粒子、第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と、第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子とのブレンドから成る。
【0081】
一実施形態では、第1及び第2のポリラクチドは、約1.5:1~約1:1.5、または約1:1の粒子ブレンド中の質量比を有する。
【0082】
一実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、第1のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子と、第2のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子と、第3のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子とを含む、さまざまな種類の粒子のブレンドであり、その際、ポリラクチドのそれぞれは酸末端基を有する。具体的には、第1のポリラクチドは約0.05~約0.5dl/g未満の範囲、または約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、第2のポリラクチドは約0.5~約0.80dl/g未満の範囲または約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有し、第3のポリラクチドは約0.8~約1.7dl/gの範囲、または約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する。
【0083】
さらに具体的には、生分解性ポリマーは、3種類の粒子、第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と、第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子と、第3のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第3の種類の粒子との、3種類の粒子のブレンドを含み、例えば、それらから成る。
【0084】
さらなる実施形態では、粒子ブレンドにおける第1と第2のポリラクチドの質量比は、約2:1~約1:2、または約1:1.6である。
【0085】
別の実施形態では、粒子ブレンドにおける第1及び第3のポリラクチドの質量比は約2:1~約1:2、または約1:1.4である。
【0086】
別の実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、第1のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子と、第2のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子と、第3のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子と、第4のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子とを含む、さまざまな種類の粒子のブレンドである。
【0087】
さらに具体的には、第1のポリラクチドは約0.05~約0.5dl/g未満の範囲、または約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有し、第2のポリラクチドは約0.5~約0.80dl/g未満の範囲または約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有し、第3のポリラクチドは約0.8~約1.7dl/gの範囲、または約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有し、第4のポリラクチドは約0.05~約1.7dl/gの範囲、例えば約0.55~約0.75dl/の範囲の固有粘度を有し、且つエステル末端基を有する。
【0088】
一層さらに具体的には、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、4種類の粒子、第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と、第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子と、第3のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第3の種類の粒子と、第4のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第4の種類の粒子とのブレンドを含んでもよく、例えば、それらから成ってもよい。
【0089】
別の実施形態では、粒子ブレンドにおける第1及び第2のポリラクチドの質量比は約1.25:1~約1:1.25、または約1:1である。
【0090】
さらなる実施形態では、粒子ブレンドにおける第1及び第3のポリラクチドの質量比は約3:1~約1:1、または約2:1である。
【0091】
さらなる実施形態では、粒子ブレンドにおける第1及び第4のポリラクチドの質量比は約1:1~約1:3、または約1:2.5または約1:2.6である。
【0092】
特定の実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)と、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子における生分解性ポリマーの総量との間の質量比は、約2:1~1:2または約0.77:1である。
【0093】
特定の実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)と生分解性ポリマーと他の薬学的に許容される残量の製造成分とを含む、それらから成る、または本質的にそれらから成る。
【0094】
特定の実施形態では、トラボプロスト粒子は、
(1)・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類のトラボプロスト粒子、
その際、例えば、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する第1の種類のトラボプロスト粒子と;
(2)・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類のトラボプロスト粒子、
その際、例えば、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する第2の種類のトラボプロスト粒子と;
(3)・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g未満、例えば約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第3の種類のトラボプロスト粒子、
その際、例えば、第3の種類の粒子は第3の種類の粒子の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する第3の種類のトラボプロスト粒子と;
(4)・トラボプロストと
・エステル末端基及び約0.05~約1.7dl/g、例えば約0.55~約0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第4の種類のトラボプロスト粒子、
その際、例えば、第4の種類の粒子は第4の種類の粒子の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する第4の種類のトラボプロスト粒子とから成る群から選択される少なくとも2種類のトラボプロスト粒子のブレンドである。
【0095】
特定の実施形態では、トラボプロスト粒子は、
(1)・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドを含む生分解性ポリマーとを含む第1の種類のトラボプロスト粒子、
その際、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%のトラボプロストを含む第1の種類のトラボプロスト粒子と;
(2)・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドを含む生分解性ポリマーとを含む第2の種類のトラボプロスト粒子、
その際、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%のトラボプロストを含む第2の種類のトラボプロスト粒子と;
(3)・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.8~約1.7dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドを含む生分解性ポリマーとを含む第3の種類のトラボプロスト粒子、
その際、第3の種類の粒子は第3の種類の粒子の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%のトラボプロストを含む第3の種類のトラボプロスト粒子と;
(4)・トラボプロストと
・エステル末端基及び約0.05~約1.7dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドを含む生分解性ポリマーとを含む第4の種類のトラボプロスト粒子、
その際、第4の種類の粒子は第4の種類の粒子の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%のトラボプロストを含む第4の種類のトラボプロスト粒子とから選択される少なくとも2種類のトラボプロスト粒子のブレンドである。
【0096】
特定の実施形態では、トラボプロスト粒子は、
(1)トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類のトラボプロスト粒子、その際、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量を基にして、約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含む第1の種類のトラボプロスト粒子と;
(2)トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類のトラボプロスト粒子、その際、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含む第2の種類のトラボプロスト粒子とで作られる粒子のブレンドであり、
その際、例えば、ブレンドはブレンドの総量に基づいて、約35重量%~約55重量%の第1の種類の粒子、及び約35重量%~約55重量%の第2の種類の粒子を含有し;または
例えば、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約35重量%~約55重量%が第1の種類の粒子の形態で存在し、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約35重量%~約55重量%が第2の種類の粒子の形態で存在し、
任意で、ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、求電子性基はスクシンイミジルグルタレート(SG)基であり、マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり;求核性基含有架橋剤はトリリジンであり、またはポリマーネットワークは、以下の式:
【化2】
(式中、mは2である)で表される基を含む、架橋されている8アーム-ポリエチレングリコールを含む。
【0097】
特定の実施形態では、トラボプロスト粒子は、
(1)トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類の粒子、その際、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量を基にして、約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する第1の種類の粒子と、
(2)トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類のトラボプロスト粒子、その際、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含む第2の種類のトラボプロスト粒子と、
(3)トラボプロストと、酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g、例えば、約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第3の種類のトラボプロスト粒子、その際、第3の種類の粒子は第3の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する第3の種類のトラボプロスト粒子とで作られる粒子のブレンドであり、
その際、例えば、ブレンドはブレンドの総量に基づいて、約20重量%~約35重量%の第1の種類の粒子、約30重量%~約50重量%の第2の種類の粒子及び約25重量%~約45重量%の第3の種類の粒子を含有し;または
例えば、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約20重量%~約35重量%が第1の種類の粒子の形態で存在し、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約30重量%~約50重量%が第2の種類の粒子の形態で存在し、及びインプラントにおけるトラボプロストの総量の約25重量%~約45重量%が第3の種類の粒子の形態で存在し、
任意で、ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、求電子性基はスクシンイミジルグルタレート(SG)基であり、マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり;求核性基含有架橋剤はトリリジンであり、またはポリマーネットワークは以下の式:
【化3】
(式中、mは2である)で表される基を含む、架橋されている8アーム-ポリエチレングリコールを含む。
【0098】
特定の実施形態では、トラボプロスト粒子は、
(1)トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類の粒子、その際、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量を基にして、約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する第1の種類の粒子と、
(2)トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類の粒子、その際、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する第2の種類の粒子と、
(3)トラボプロストと、酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g、例えば、約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとで作られる第3の種類の粒子、その際、第3の種類の粒子は第3の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する第3の種類の粒子と、
(4)トラボプロストと、エステル末端基及び約0.05~約1.7dl/g、例えば、約0.55~約0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとで作られる第4の種類の粒子、その際、第4の種類の粒子は約40重量%~約50重量%を含有する第4の種類の粒子とで作られる粒子のブレンドであり、
その際、例えば、ブレンドはブレンドの総量に基づいて、約15重量%~約25重量%の第1の種類の粒子、約15重量%~約25重量%の第2の種類の粒子、約5重量%~約15重量%の第3の種類の粒子及び約40重量%~約60重量%の第4の種類の粒子を含有し;または
例えば、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約15重量%~約25重量%が第1の種類の粒子の形態で存在し、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約15重量%~約25重量%が第2の種類の粒子の形態で存在し、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約5重量%~約15重量%が第3の種類の粒子の形態で存在し、且つインプラントにおけるトラボプロストの総量の約40重量%~約60重量%が第4の種類の粒子の形態で存在し、
任意で、ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、求電子性基はスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基であり、マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールであり;求核性基含有架橋剤はトリリジンであり、またはポリマーネットワークは以下の式:
【化4】
(式中、mは6である)で表される基を含む、架橋されている8アーム-ポリエチレングリコールを含む。
【0099】
特定の実施形態では、トラボプロスト粒子は、
(1)トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドを含む生分解性ポリマーとの混合物を含む第1の種類のトラボプロスト粒子、その際、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量を基にして、約40重量%~約50重量%のトラボプロストを含有する第1の種類のトラボプロスト粒子と;
(2)トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドを含む生分解性ポリマーとの混合物を含む第2の種類のトラボプロスト粒子、その際、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%のトラボプロストを含有する第2の種類のトラボプロスト粒子とを含む粒子のブレンドを含み、
その際、ブレンドはブレンドの総量に基づいて、約35重量%~約55重量%の第1の種類の粒子、及び約35重量%~約55重量%の第2の種類の粒子を含む。
【0100】
特定の実施形態では、トラボプロスト粒子は、
(1)トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドを含む生分解性ポリマーとの混合物を含む第1の種類の粒子、その際、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量を基にして、約40重量%~約50重量%のトラボプロストを含有する第1の種類の粒子と、
(2)トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドを含む生分解性ポリマーとの混合物を含む第2の種類のトラボプロスト粒子、その際、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量を基にして、約40重量%~約50重量%のトラボプロストを含む第2の種類のトラボプロスト粒子と、
(3)トラボプロストと、酸末端基及び約0.8~約1.7dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドを含む生分解性ポリマーとの混合物を含む第3の種類のトラボプロスト粒子、その際、第3の種類の粒子は第3の種類の粒子の総質量を基にして、約40重量%~約50重量%のトラボプロストを含有する第3の種類のトラボプロスト粒子とを含む粒子のブレンドを含み、
その際、ブレンドはブレンドの総量に基づいて、約20重量%~約35重量%の第1の種類の粒子、約30重量%~約50重量%の第2の種類の粒子及び約25重量%~約45重量%の第3の種類の粒子を含む。
【0101】
特定の実施形態では、トラボプロスト粒子は、
(1)トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドを含む生分解性ポリマーとの混合物を含む第1の種類の粒子、その際、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%のトラボプロストを含有する第1の種類の粒子と、
(2)トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドを含む生分解性ポリマーとの混合物を含む第2の種類の粒子、その際、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量を基にして、約40重量%~約50重量%のトラボプロストを含有する第2の種類の粒子と、
(3)トラボプロストと、酸末端基及び約0.8~約1.7dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドを含む生分解性ポリマーとを含む第3の種類の粒子、その際、第3の種類の粒子は第3の種類の粒子の総質量を基にして、約40重量%~約50重量%のトラボプロストを含有する第3の種類の粒子と、
(4)トラボプロストと、エステル末端基及び約0.05~約1.7dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドを含む生分解性ポリマーとを含む第4の種類の粒子、その際、第4の種類の粒子は約40重量%~約50重量%を含有する第4の種類の粒子とを含む粒子のブレンドを含み、
その際、ブレンドはブレンドの総量に基づいて、約15重量%~約25重量%の第1の種類の粒子、約15重量%~約25重量%の第2の種類の粒子、約5重量%~約15重量%の第3の種類の粒子及び約40重量%~約60重量%の第4の種類の粒子を含有する。
【0102】
別の実施形態では、粒子は球状粒子である。
【0103】
第1の具体的な態様によれば、本発明は、
・プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)と、
・酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られるプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子を対象とし、
その際、混合物は混合物の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)を含有する。
【0104】
第2の具体的な態様によれば、本発明は、
・プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)と、
・酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーとで構成される混合物で作られるプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子を対象とし、
その際、混合物は混合物の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)を含有する。
【0105】
第3の具体的な態様によれば、本発明は、
・プロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)と、
・酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g、例えば約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られるプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子を対象とし、
その際、混合物は混合物の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)を含有する。
【0106】
第4の態様によれば、本発明は、
・プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)と、
・エステル末端基及び約0.05~約1.7dl/g、例えば約0.55~約0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーとで構成される混合物で作られるプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子を対象とし、
その際、混合物は混合物の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)を含有する。
【0107】
態様(a)によれば、本発明は、
・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られるトラボプロスト粒子を対象とし、
その際、混合物は混合物の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する。
【0108】
態様(b)によれば、本発明は、
・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られるトラボプロスト粒子を対象とし、
その際、混合物は混合物の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する。
【0109】
態様(c)によれば、本発明は、
・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.8~約1.7dl/gの範囲、例えば約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られるトラボプロスト粒子を対象とし、
その際、混合物は混合物の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する。
【0110】
態様(c)によれば、本発明は、
・トラボプロストと
・エステル末端基及び約0.05~約1.7dl/gの範囲、例えば約0.55~約0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られるトラボプロスト粒子を対象とし、
その際、混合物は混合物の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する。
【0111】
一実施形態の一部として、開示されているインプラントにおけるトラボプロストはマイクロカプセル化されており、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。あるいは、開示されているインプラントにおけるトラボプロストは、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)またはポリ(乳酸)(PLA)、またはそれらの組み合わせでマイクロカプセル化されており、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。もう1つの別の方法では、開示されているインプラントにおけるトラボプロストはPLAでマイクロカプセル化されており、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0112】
生分解性ヒドロゲル
本発明の特定の実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は上記で定義されているように、生分解性ヒドロゲルに分散される。言い換えれば、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子はそのような特定の実施形態では、前記ヒドロゲルで構成されるマトリックス内に分布している。特定の実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は前記生分解性ポリマーにて均一に分散される。PEGヒドロゲル
【0113】
特定の実施形態では、ヒドロゲルはポリエチレングリコールの1以上のユニットを含むポリマーネットワークを含む。
【0114】
本発明の特定の実施形態では、ヒドロゲルを形成するポリマーネットワークはポリエチレングリコール(PEG)ユニットを含有する。PEGは、架橋されるとヒドロゲルを形成することが当該技術分野で知られており、これらのPEGヒドロゲルは、例えば、人体または動物の体のすべての部分に投与されることを意図した薬物のマトリックスとして製薬用途に好適である。
【0115】
本発明のヒドロゲルインプラントのポリマーネットワークは、2~10アーム、または4~8アーム、または4、5、6、7または8のアームを有する1以上のマルチアームPEGユニットを含んでもよい。特定の実施形態では、本発明のヒドロゲルで使用されるPEGユニットは8つのアームを有する。特定の特別な実施形態では、8アームのPEGが利用される。
【0116】
特定の実施形態では、ポリエチレングリコールユニットは、4~10アームのポリエチレングリコールユニット、または8アームのポリエチレングリコールユニットである。
【0117】
ポリエチレングリコールの分子量は平均分子量を指し、これは、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及びピーク平均分子量を含む、当業者に知られている種々の平均値から選択されてもよい。そのような平均値のいずれか、及び特に前述の3つの平均分子量は本発明の文脈で使用することができる。特定の実施形態では、本明細書で開示されているようなポリエチレングリコールユニット及び前駆体の平均分子量は数平均分子量として与えられる。
【0118】
本明細書で使用されるとき、特定の分子量を持つマルチアームPEGユニットは、例えば、分子量1,5000ダルトンの8アームPEGを指す8a15kPEGの形態で省略されてもよい。
【0119】
4アームPEGでは、各アームは、PEGの総分子量を4で割った平均アーム長(または分子量)を有してもよい。本発明で使用するのに特に好適な前駆体である4a20kPEG前駆体はこうして、それぞれ約5,000ダルトンの平均分子量を持つ4つのアームを有する。本発明にて4a20kPEG前駆体と組み合わせて、またはその代わりに使用されてもよい8a20kPEG前駆体はこうして、それぞれ2,500ダルトンの平均分子量を有する8つのアームを有する。長いアームは短いアームと比べて向上した柔軟性を提供してもよい。アームが長いPEGはアームが短いPEGと比べてさらに多く膨潤してもよい。アームの数が少ないPEGはアームの数が多いPEGよりも膨潤し、柔軟性が高くてもよい。特定の特別な実施形態では、4アームのPEG前駆体のみが本発明で利用される。特定の特別な実施形態では、2つの異なる4アームのPEG前駆体が本発明で利用される。特定の他の実施形態では、4アームのPEG前駆体と8アームの前駆体の組み合わせが本発明で利用される。加えて、PEGのアームが長いほど、乾燥時の融解温度が高くなり、保管中のさらなる寸法安定性を提供してもよい。
【0120】
特定の実施形態では、ポリマーネットワークは、求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有の架橋剤と反応させることによって形成される。特に、マルチアームポリマー前駆体が4~10アームのポリエチレングリコール前駆体、または8アームのポリエチレングリコール前駆体である特定の実施形態。
【0121】
特定の実施形態では、本発明のヒドロゲルを調製するためのPEG前駆体と共に使用するための求電子性末端基は、N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステルであり、これには、スクシンイミジルマロネート基、スクシンイミジルマレエート基、スクシンイミジルフマレート基、スクシンイミジルアゼレート末端基を指す「SAZ」、スクシンイミジルアジペート末端基を指す「SAP」、スクシンイミジルグルタレート末端基を指す「SG」、及びスクシンイミジルスクシネート末端基を指す「SS」のようなNHSジカルボン酸エステルが含まれるが、これらに限定されない。
【0122】
特定の実施形態では、マルチアームポリマー前駆体は、8アーム-15K-SGポリエチレングリコールまたは8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールから成る群から選択される。
【0123】
特定の実施形態では、求電子性基はスクシンイミジルグルタレート(SG)基及びスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基から成る群から選択される。
【0124】
本発明の特定の実施形態では、ポリマーネットワークは求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、求電子性基はスクシンイミジルグルタレート(SG)基及びスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基から成る群から選択され、マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SGポリエチレングリコールまたは8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールから成る群から選択され;且つ求核性基含有架橋剤はトリリジンであり、または8アーム-15K-SAZポリエチレングリコール;且つ求核性基含有架橋剤はトリリジンであり、またはポリマーネットワークは以下の式:
【化5】
(式中、mは2または6である)で表される基を含む、架橋されている8アーム-ポリエチレングリコールを含む。
【0125】
したがって、特定の実施形態では、PEG前駆体は式によって表すことができるNHSジカルボン酸エステル末端のマルチアームPEG前駆体である:
【化6】
式中、nはそれぞれのPEGアームの分子量によって決定され、mは0~10の整数であり、具体的には1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、xはアームの数である(したがって、たとえば2、4、8などであることができ、上記を参照のこと)。mが1である場合、各アームはスクシンイミジルスクシネート(SS)末端基で終端され、mが2である場合、各アームはスクシンイミジルグルタレート(SG)基で終端され、mが3である場合、各アームはスクシンイミジルアジペート(SAP)基で終端され、且つmが6である場合、各アームはスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基で終端される。これらの具体的な求電子性末端基では、マルチアームPEGユニットは、例えば4a20kPEG-SAPの形態で省略されてもよく、スクシンイミジルアジペート末端基及び20,000の分子量の4アームPEGを指す。上記の式で、Rは所望の数のアームを提供するのに適したコア構造である。4アームPEGユニット及び前駆体については、Rはペンタエリスリトール構造であることができるのに対して、8アームPEGユニット及び前駆体の場合、Rはヘキサグリセロール構造であることができる。
【0126】
特定の実施形態では、マルチアームポリマー前駆体は、約10,000~約20,000ダルトンの範囲の質量平均分子量を有する。さらに具体的な特定の実施形態では、マルチアームポリマー前駆体は15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を有する。
【0127】
ポリエチレングリコール及びポリエチレングリコール誘導体の分子量は、SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)のようなゲル電気泳動、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、動的光散乱を伴うGPC(DLS)、と同様にマトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)分光分析を含むいくつかの方法によって測定することができる。本明細書で開示されているようなポリエチレングリコール前駆体の分子量は、SDS-PAGE、GPC及びMALDI-TOFを含む当業者に知られている任意の方法によって決定することができ、特に、既知の分子量(例えば、MALDI-TOFによって決定される)及び多分散性(例えば、GPCによって決定される)のPEG基準を使用するGPCによって決定される。高精度が必要な場合は、MALDI-TOFを使用することができる。
【0128】
特定の実施形態では、例えば、アミン基含有架橋剤の活性化エステル基含有PEGユニットとの反応のような、求核性基含有架橋剤と求電子性基含有PEGユニットとの反応は、アミド基を介して架橋剤によって架橋されている複数のPEGユニットをもたらす。
【0129】
サクシンイミジルアゼレート(SAZ)-、スクシンイミジルアジペート(SAP)-またはスクシンイミジルグルアタレート-(SG)-終端PEGユニット(上記参照)のようなNHS-エステル末端基を持つPEGの場合、アミン基含有架橋剤との反応により、以下の式を有する加水分解性リンカーを介して架橋剤によって架橋されている複数のPEGユニットをもたらす:
【化7】
式中、mは0から10の整数であり、具体的には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。SAZ末端基についてはmは6である。SAP末端基についてはmは3であり、SG末端基についてはmは2であり、SS末端基についてはmは1である。
【0130】
特定の実施形態では、求核性基含有架橋剤はアミンである。
【0131】
別の実施形態では、求核性基含有架橋剤は2以上の第1級脂肪族アミン基を含む、分子量が1,000Da未満の小分子アミンである。
【0132】
特定の実施形態では、求核性基含有架橋剤は、ジリジン、トリリジン、テトラリジン、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、ジエチレントリアミン、及びトリメチルヘキサメチレンジアミンから成る群から選択される小分子アミンである。
【0133】
一実施形態では、求核性基含有架橋剤はトリリジンである。具体的な一実施形態では、求核性基含有架橋剤はトリリジン酢酸塩である。
【0134】
別の実施形態では、トリリジンは、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、及びシアニンのような蛍光色素分子から成る群から選択される可視化剤で標識される。具体的には、求核性基含有架橋剤はフルオレセイン結合トリリジンである。さらに具体的には、フルオレセイン結合トリリジンは、トリリジン酢酸塩をN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)-フルオレセインと反応させることによって得られる。一層さらに具体的には、トリリジンは可視化剤との部分的結合によって標識される。
【0135】
特定の実施形態では、インプラントは可視化剤を含まない、例えば、トリリジンは可視化剤で標識されない。
【0136】
一実施形態の一部として、本明細書で提供されるのは、トラボプロスト及びポリマーネットワークを含む徐放性生分解性前房内ヒドロゲルインプラントである。
【0137】
さらなる実施形態の一部として、開示されているヒドロゲルインプラントのポリマーネットワーク(例えば、第1の実施形態のような)は、複数のポリエチレングリコール(PEG)ユニットを含む。
【0138】
さらなる実施形態の一部として、開示されているインプラントに含まれる複数のポリエチレングリコール(PEG)ユニットは架橋されて、少なくとも2つのアームを有する複数のマルチアームPEGユニットを含むポリマーネットワークを形成し、その際、インプラントの残りの特徴は、例えば、第1または第2の実施形態のように本明細書に記載されている。あるいは、第3の実施形態の一部として、開示されているインプラントのポリマーネットワークは2~10のアームを有する複数のマルチアームPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は、例えば、上記の実施形態のように本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは4~8のアームを有する複数のマルチアームPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は、例えば、上記のように本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは複数の4アームPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は、例えば、上記のように本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは複数の8アームPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は上記に記載されている。
【0139】
さらなる実施形態の一部として、開示されているインプラントのポリマーネットワークは、約5KDa~約50KDaの範囲の数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。あるいは、開示されているインプラントのポリマーネットワークは約5KDa~約40KDaの範囲の数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは、約5KDa~約30KDaの範囲の数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは、約10KDa~約50KDaの範囲の数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは約10KDa~約40KDaの範囲の数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは、約10KDa~約30KDaの範囲の数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは、約10KDa~約20KDaの範囲の数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは約30KDa~約50KDaの範囲の数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは、約35KDa~約45KDaの範囲の数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは約15KDa~約30KDaの範囲の数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは、約15KDa~約25KDaの範囲の数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは少なくとも約5KDaの数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは少なくとも約10KDaの数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは少なくとも約15KDaの数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは少なくとも約20KDaの数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは少なくとも約30KDaの数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは少なくとも約40KDaの数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは約10KDaの数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは約15KDaの数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは約20KDaの数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは約40KDaの数平均分子量(Mn)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0140】
さらなる実施形態では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは加水分解性リンカーによって架橋された複数のPEGユニットを含み、開示されているインプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。あるいは、開示されているインプラントのポリマーネットワークは、以下の式:
【化8】
(式中、mは1~9の整数である)を有する加水分解性リンカーによって架橋された複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは、以下の式:
【化9】
(式中、mは2~6の整数である)を有する加水分解性リンカーによって架橋された複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは、以下の式:
【化10】
(式中、nはエチレンオキシド繰り返しユニットを表し、波線はポリマーネットワークの繰り返しユニットの点を表す)を有する複数のPEGユニットを含み、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているインプラントのポリマーネットワークは上記で示された式を有する複数のPEGユニットを含むが、8アームのPEG足場を伴い、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0141】
さらなる実施形態では、開示されているヒドロゲルインプラントのポリマーネットワークは、求核性攻撃を受けやすい基を含む複数のポリエチレングリコール(PEG)ユニットを1以上の求核性基と反応させてポリマーネットワークを形成することによって形成され、ヒドロゲルの残りの特徴は本明細書に記載されている。求核性攻撃を受けやすい好適な基の例には、活性化エステル(例えば、チオエステル、スクシンイミジルエステル、ベンゾトリアゾリルエステル、アクリル酸のエステルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好適な求核性基の例にはアミン及びチオールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
さらなる実施形態では、開示されているヒドロゲルインプラントのポリマーネットワークは、それぞれ第4の実施形態にて上記に記載されているような分子量を有し、且つ求核性攻撃を受けやすい基を含む複数のポリエチレングリコール(PEG)ユニットを1以上の求核性基と反応させてポリマーネットワークを形成することによって形成され、ヒドロゲルの残りの特徴は、例えば、第1~第6の実施形態におけるように本明細書に記載されている。あるいは、第7の実施形態の一部として、開示されているヒドロゲルインプラントのポリマーネットワークは、それぞれ第4の実施形態にて上記に記載されているような分子量を有し、且つスクシンイミジルエステル基を含む複数のポリエチレングリコール(PEG)ユニットを1以上の求核性基と反応させてポリマーネットワークを形成することによって形成され、ヒドロゲルの残りの特徴は、例えば、第1~第6の実施形態におけるように本明細書に記載されている。別の代替手段では、第7の実施形態の一部として、開示されているヒドロゲルインプラントのポリマーネットワークは4a20K PEG SAZ、4a20K PEG SAP、4a20K PEG SG、4a20K PEG SS、8a20K PEG SAZ、8a20K PEG SAP、8a20K PEG SG、8a20K PEG SSから選択される複数のポリエチレングリコール(PEG)ユニットを反応させることによって形成され、ヒドロゲルの残りの特徴は、例えば、第1~第6の実施形態におけるように本明細書に記載されている。
【0143】
さらなる実施形態では、開示されているヒドロゲルインプラントのポリマーネットワークは、求核性攻撃を受けやすい基を含む複数のポリエチレングリコール(PEG)ユニットを1以上のアミン基と反応させてポリマーネットワークを形成することによって形成され、ヒドロゲルの残りの特徴は本明細書に記載されている。あるいは、開示されているヒドロゲルインプラントのポリマーネットワークは、求核性攻撃を受けやすい基を含む複数のポリエチレングリコール(PEG)ユニットを1以上のPEGまたはリジンベースアミン基と反応させてポリマーネットワークを形成することによって形成され、ヒドロゲルの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、開示されているヒドロゲルインプラントのポリマーネットワークは、求核性攻撃を受けやすい基を含む複数のポリエチレングリコール(PEG)ユニットを4a20K PEG NH2、8a20K PEG NH2、及びトリリジンまたはその塩から選択される1以上のPEGまたはリジンベースアミン基と反応させることによって形成され、ヒドロゲルの残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0144】
さらなる実施形態の一部として、開示されているインプラントのポリマーネットワークは非晶質であり(例えば、生体内のような水性条件下で)、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0145】
あるいは、さらなる実施形態の一部として、開示されているインプラントのポリマーネットワークは半結晶性であり(例えば、水の非存在下で)、組成物の残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0146】
さらなる実施形態の一部として、開示されているインプラントのトラボプロストはポリマーネットワーク内で均質に分散されており、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0147】
プロスタグランジンアンタゴニスト(例:トラボプロスト)粒子の多様性
一態様では、本発明は粒子のブレンドから形成される多様なプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子を対象とし、粒子は、
・プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)と、
・酸末端基を有する、上記の実施形態で定義されているようなポリラクチドから成る生分解性ポリマーと、
・任意で、他の薬学的に許容される残量の製造成分との混合物を含む、例えば、それらから成る。
【0148】
特定の実施形態では、粒子のブレンドは3種類の粒子で構成され、その際、3種類の粒子は異なる固有粘度を有するポリラクチド成分を含むことによって互いに区別する。
【0149】
さらに具体的には、3つのポリラクチドはそれぞれ、約0.05~約0.5dl/g未満の範囲、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の;約0.5~約0.80dl/g未満の範囲、例えば、約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の;及び約0.8~約1.7dl/gの範囲、例えば、約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する。
【0150】
別の実施形態では、粒子のブレンドは、2種類の粒子で構成され、その際、2種類の粒子は、異なる固有粘度を有するポリラクチド成分を含むことによって互いに区別する。さらに具体的には、2つのポリラクチドはそれぞれ、約0.05~約0.5dl/g未満の範囲、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の;及び約0.5~約1.7dl/g未満の範囲、例えば、約0.6~約0.8dl/gの範囲の固有粘度規格を有する。
【0151】
特定の実施形態では、トラボプロスト粒子は、ふるい分けによって決定される1~100μm、20~75μm、20~106μm、または20~55μmの範囲の直径を有し、またはレーザー回折により決定される1~100μm、20~75μm、20~106μm、または20~55μmの範囲の平均直径を有する。
【0152】
具体的な一態様では、本発明は、セクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第1から第4の具体的な態様に係る粒子、例えば、粒子の総量に基づいて、約15~約25重量%のセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第1の特定の態様に係る粒子、及び約15~約25重量%のセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第2の特定の態様に係る粒子、及び約5~約15%のセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第3の態様に係る粒子、及び約40~約60重量%のセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第4の態様に係る粒子のブレンドから形成される多様なプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子を対象とする、または、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の総量の約15重量%~約25重量%がセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第1の具体的な態様に係る粒子の形態で存在し、及びプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の総量の約15重量%~約25重量%がセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第2の具体的な態様に係る粒子の形態で存在し、及びプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の総量の約5重量%~約15重量%が、セクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)微粒子」の第3の具体的な態様に係る粒子の形態で存在し、及びプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の総量の約40重量%~約60重量%がセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第4の具体的な態様に係る粒子の形態で存在する。
【0153】
別の具体的な態様では、本発明は、セクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第1から第3の具体的な態様に係る粒子、例えば、粒子の総量に基づいて、約20~約35重量%のセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第1の具体的な態様に係る粒子、及び約30~約50重量%のセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第2の具体的な態様に係る粒子、及び約25~約45%のセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第3の具体的な態様に係る粒子のブレンドから形成される多様なプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子を対象とする、または、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の総量の約20重量%~約35重量%がセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第1の具体的な態様に係る粒子の形態で存在し、及びプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の総量の約30重量%~約50重量%がセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第2の具体的な態様に係る粒子の形態で存在し、及びプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の総量の約25重量%~約45重量%がセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第3の具体的な態様に係る粒子の形態で存在する。
【0154】
さらなる具体的な態様では、本発明は、セクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第1及び第2の具体的な態様に係る粒子、例えば、粒子の総量に基づいて、約35~約55重量%のセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第1の具体的な態様に係る粒子、及び約35~約55重量%のセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第2の具体的な態様に係る粒子のブレンドから形成される多様なプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子を対象とする、または、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の総量の約35重量%~約55重量%がセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第1の具体的な態様に係る粒子の形態で存在し、及びプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の総量の約35重量%~約55重量%がセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」の第2の具体的な態様に係る粒子の形態で存在する。
【0155】
一態様によれば、本発明は本明細書で開示されている態様(a)から(d)の粒子、例えば、粒子の総量に基づいて、約15~約25重量%の本明細書で開示されている態様(a)の粒子、及び約15~約25重量%の本明細書で開示されている態様(b)の粒子、及び約5~約15%の本明細書で開示されている態様(c)の粒子及び約40~約60重量%の本明細書で開示されている態様(d)の粒子のブレンドから形成される多様なトラボプロスト粒子を対象とする;またはトラボプロストの総量の約15重量%~約25重量%が本明細書で開示されている態様(a)の粒子の形態で存在し、及び約トラボプロストの総量の15重量%~約25重量%が本明細書で開示されている態様(b)の粒子の形態で存在し、及びトラボプロストの総量の約5重量%~約15重量%が本明細書で開示されている態様(c)の粒子の形態で存在し、及びトラボプロストの総量の約40重量%~約60重量%が本明細書で開示されている態様(d)の粒子の形態で存在する。
【0156】
一態様によれば、本発明は本明細書で開示されている態様(a)から(c)の粒子、例えば、粒子の総量に基づいて、約20~約35重量%の本明細書で開示されている態様(a)の粒子、及び約30~約50重量%の本明細書で開示されている態様(b)の粒子、及び約25~約45重量%の本明細書で開示されている態様(c)の粒子のブレンドから形成される多様なトラボプロスト粒子を対象とする;またはトラボプロストの総量の約20重量%~約35重量%が本明細書で開示されている態様(a)の粒子の形態で存在し、及び約トラボプロストの総量の30重量%~約50重量%が本明細書で開示されている態様(b)の粒子の形態で存在し、及びトラボプロストの総量の約25重量%~約45重量%が本明細書で開示されている態様(c)の粒子の形態で存在する。
【0157】
一態様によれば、本発明は態様(a)及び(b)の粒子、例えば、粒子の総量に基づいて、約35~約55重量%の態様(a)の粒子、及び約35~約55重量%の態様(b)の粒子のブレンドから形成される多様なトラボプロスト粒子を対象とする;またはトラボプロストの総量の約35重量%~約55重量%が態様(a)の粒子の形態で存在し、及び約トラボプロストの総量の35重量%~約55重量%が(b)の粒子の形態で存在する。
【0158】
別の態様では、本発明は、粒子のブレンド:
・トラボプロストと
・酸末端基を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーと、
・任意で、他の薬学的に許容される残量の製造成分との混合物から成る粒子のブレンドから形成される多様なトラボプロスト粒子を対象とする。
【0159】
プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラント
一態様によれば、本発明は、
・先行するセクション及び/または上記のセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」で定義されているような多様なプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と
・多様なプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子がヒドロゲル内に分散している、上記のセクション「生分解性ヒドロゲル」で定義されているような生分解性ヒドロゲルとを含む、例えば、それらから成るプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントを対象とする。
【0160】
別の態様によれば、本発明は、
・上記のセクション「生分解性ヒドロゲル」で定義されているような生分解性ヒドロゲルと上記のセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子、
・ポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態であるプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子、
・ヒドロゲル内に分散されているプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子を含む、例えば、それらから成るプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントを対象とし、その際、ヒドロゲルは、それぞれが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を有する8アーム-15K-SGまたは8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む。
【0161】
別の態様によれば、本発明は、
・ヒドロゲルがポリアルキレングリコールの1以上のユニットを含むポリマーネットワーク、及びトラボプロスト粒子を含む生分解性ヒドロゲルと
・生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態であるトラボプロスト粒子と、
・ヒドロゲル内に分散されているトラボプロスト粒子とを含む前房内インプラントを対象とする。
【0162】
別の態様によれば、本発明は、
・ヒドロゲルがポリアルキレングリコールの1以上のユニットを含むポリマーネットワーク、及びトラボプロスト粒子を含む生分解性ヒドロゲルと、
・生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態であるトラボプロスト粒子と、
・ヒドロゲル内に分散されているトラボプロスト粒子とを含むトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントを対象とし、
その際、インプラントはその乾燥状態で約1.00mm~約2.50mmの長さ及び0.30mm以下の直径を有する。
【0163】
別の態様によれば、本発明は、
・(i)ポリアルキレングリコールの1以上のユニットを含むポリマーネットワークと(ii)徐放性トラボプロスト粒子とを含む生分解性ヒドロゲルと、
・トラボプロストと少なくとも1つの生分解性ポリマーとを含む徐放性トラボプロスト粒子と、
・ヒドロゲル内に分散されている徐放性トラボプロスト粒子とを含む前房内インプラントを対象とする。
【0164】
特定の実施形態では、インプラントはその乾燥状態で約1mm~約2.5mmの長さ、その乾燥状態で0.3mm以下の直径、及びその乾燥状態で約20μg~約110μgの総重量を有する。
【0165】
特定の実施形態では、インプラントは37℃にて7.4のpHでのリン酸緩衝生理食塩水にて試験管内で24時間の水和後、0.5mm未満の直径を有する。
【0166】
特定の実施形態では、インプラントは37℃にて7.4のpHでのリン酸緩衝生理食塩水にて試験管内で24時間の水和後、約0.3mm~約0.49mmの範囲の直径を有する。
【0167】
特定の実施形態では、インプラントは前房内インプラントにあるように適応させる。
【0168】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは眼に埋め込まれた場合、2~4ヵ月以内に溶解する。
【0169】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは眼に埋め込まれた場合、6~8ヵ月以内に溶解する。
【0170】
理論に束縛されることを望まないが、ヒドロゲルインプラントは、眼の前房に挿入されたときに虹彩角膜角(例えば、Schwalbeの線より下)に沈むのに十分小さく、その後、房水を吸収することによって十分に膨潤し、それによって、虹彩角膜角に固定され、したがって、そこに配置されている全期間中は移動しないと考えられる。治療期間中、インプラントはますます柔らかくなるので、解剖学的条件にさらに適応することができ、それによって、ヒドロゲルが完全に分解する前にいかなる動きもさらに妨げることができる。動きの差し止めとその軟組織のような質感は、内皮への優しさとインプラントの全体的な安全性を提供し、したがって、反復投与を可能にする。さらに、サイズが減少する可能性があるため、そのようなインプラントは、狭い虹彩角膜角度を含む広範囲の解剖学的状態に好適であると考えられている。
【0171】
以下の実施形態は、前の段落に記載されている態様のそれぞれに関する。
【0172】
一実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、2種類の粒子、上記で定義されているような第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と、上記で定義されているような第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子とのブレンドを含む、例えば、それらから成り、任意で前房内インプラントはさらなるポリラクチドを含まない。
【0173】
別の実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、さまざまな種類の粒子、例えば、上記で定義されているような第1のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子及び上記で定義されているような第2のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子のブレンドを含み、任意で前房内インプラントはさらなるポリラクチドを含まない。
【0174】
特定の実施形態では、本明細書に記載されているようなトラボプロスト粒子は少なくとも2種類のトラボプロスト粒子のブレンドであり、該ブレンドは:
(1)・トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類のトラボプロスト粒子、その際、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する、第1の種類のトラボプロスト粒子と;
・トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類のトラボプロスト粒子、その際、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する、第2の種類のトラボプロスト粒子とで作られる粒子のブレンド、
その際、例えば、ブレンドはブレンドの総量に基づいて、約35重量%~約55重量%の第1の種類の粒子、及び約35重量%~約55重量%の第2の種類の粒子を含有する、または
例えば、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約35重量%~約55重量%が第1の種類の粒子の形態で存在し、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約35重量%~約55重量%が第2の種類の粒子の形態で存在し、
任意で、ポリマーネットワークは求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、求電子性基はスクシンイミジルグルタレート(SG)基であり、マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり;求核性基含有架橋剤はトリリジンである、ブレンド;
(2)・トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類の粒子、その際、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する第1の種類の粒子と、
・トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類のトラボプロスト粒子、その際、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する第2の種類のトラボプロスト粒子と、
・トラボプロストと、酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g、例えば、約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第3の種類のトラボプロスト粒子、その際、第3の種類の粒子は第3の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する第3の種類のトラボプロスト粒子とで作られる粒子のブレンド、
その際、例えば、ブレンドはブレンドの総量に基づいて約20重量%~約35重量%の第1の種類の粒子、約30重量%~約50重量%の第2の種類の粒子及び約25重量%~約45重量%の第3の種類の粒子を含有し;または
例えば、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約20重量%~約35重量%が第1の種類の粒子の形態で存在し、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約30重量%~約50重量%が第2の種類の粒子の形態で存在し;及びインプラントにおけるトラボプロストの総量の約25重量%~約45重量%が第3の種類の粒子の形態で存在し、
任意で、ポリマーネットワークは求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、求電子性基はスクシンイミジルグルタレート(SG)基であり、マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり;求核性基含有架橋剤はトリリジンである、ブレンド;及び
(3)・トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類の粒子、その際、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する第1の種類の粒子と、
・トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類の粒子、その際、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する第2の種類の粒子と、
・トラボプロストと、酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g、例えば、約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとで作られる第3の種類の粒子、その際、第3の種類の粒子は第3の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する第3の種類の粒子と、
・トラボプロストと、エステル末端基及び約0.05~約1.7dl/g、例えば、約0.55~約0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとで作られる第4の種類の粒子、その際、第4の種類の粒子は約40重量%~約50重量%を含有する第4の種類の粒子とで作られる粒子のブレンド、
その際、例えば、ブレンドはブレンドの総量に基づいて、約15重量%~約25重量%の第1の種類の粒子、約15重量%~約25重量%の第2の種類の粒子、約5重量%~約15重量%の第3の種類の粒子及び約40重量%~約60重量%の第4の種類の粒子を含有し;または
例えば、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約15重量%~約25重量%が第1の種類の粒子の形態で存在し、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約15重量%~約25重量%が第2の種類の粒子の形態で存在し、インプラントにおけるトラボプロストの総量の約5重量%~約15重量%が第3の種類の粒子の形態で存在し、且つインプラントにおけるトラボプロストの総量の約40重量%~約60重量%が第4の種類の粒子の形態で存在し、
任意で、ポリマーネットワークは求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、求電子性基はスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基であり、マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールであり;求核性基含有架橋剤はトリリジンである、ブレンドから成る群から選択される。
【0175】
さらなる実施形態では、前房内インプラントはシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、1日目~84日目の70日間あたりで放出された%量を基にして平均絶対偏差が多くても5%である約65%~約85%の範囲の平均プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出による試験管内放出を有する。
【0176】
特定の実施形態では、インプラントは37℃にてpH7.2~7.4の50mLの1×PBS、0.5%のヒマシ油、0.01%のフッ化ナトリウム緩衝液での模擬生理学的シンク条件下、試験管内で測定された1日目にて前房内インプラントにおけるトラボプロストの総重量を基にして15%未満のバーストを示す。
【0177】
さらなる実施形態では、インプラントは、標準偏差が450~550ng/週の範囲である約800~約1100ng/週の範囲の平均プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出による試験管内放出を有し、その際、平均はシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~98日目の間の毎週のプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~98日目の間の時間間隔で測定すると毎週のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の放出は約100~約2300ngの範囲である。
【0178】
別の実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、上記で定義されているような第1のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子と、上記で定義されているような第2のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子と、上記で定義されているような第3のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子とを含む、さまざまな種類の粒子のブレンドであり、その際、ポリラクチドのそれぞれは酸末端基を有し、且つ任意で前房内インプラントはさらなるポリラクチドを含まない。
【0179】
一実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、3種類の粒子、上記で定義されているような第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と、上記で定義されているような第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子と、上記で定義されているような第3のポリラクチドから成る上記で定義されているような生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第3の種類の粒子とのブレンドを含む、またはそれらから成り、任意で前房内インプラントはさらなるポリラクチドを含まない。
【0180】
さらなる実施形態では、前房内インプラントはシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、1日目~98日目の70日間あたりで放出された%量を基にして平均絶対偏差が多くても5%である約60%~約80%の範囲の平均プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出による試験管内放出を有する。
【0181】
特定の実施形態では、インプラントは標準偏差が450から550ng/週の範囲である約800~約1100ng/週の範囲の平均プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出による試験管内放出を有し、その際、平均はシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~98日目の間の毎週のプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~98日目の間の時間間隔で測定すると毎週のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の放出は約100~約2300ngの範囲である。
【0182】
特定の実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、上記で定義されているような第1のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子と、上記で定義されているような第2のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子と、上記で定義されているような第3のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子と、上記で定義されているような第4のポリラクチドと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態の粒子とを含む、さまざまな種類の粒子のブレンドを含む、またはブレンドであり、且つ任意で前房内インプラントはさらなるポリラクチドを含まない。
【0183】
さらなる実施形態では、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子は、4種類の粒子、上記で定義されているような第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と、上記で定義されているような第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子と、上記で定義されているような第3のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第3の種類の粒子と、上記で定義されているような第4のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第4の種類の粒子とのブレンドとを含み、またはそれらから成り、且つ任意で前房内インプラントはさらなるポリラクチドを含まない。
【0184】
特定の実施形態では、前房内インプラントはシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、1日目~112日目の14日間あたりで放出された%量を基にして平均絶対偏差が多くても3%である約5%~約15%の範囲の平均プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出による試験管内放出を有する。
【0185】
さらなる実施形態では、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントの総重量に対する生分解性ポリマーの含量は、約10重量%~約35重量%、または約23重量%~約27重量%、または約12~約17重量%、または約30~約35重量%、または約25重量%、または約15重量%、または約34重量%である。
【0186】
別の実施形態では、1つの徐放性生分解性前房内インプラントの総重量に対する生分解性ポリマーの含量は、約30重量%~約70重量%、または約32重量%~約37重量%、または約45~約55重量%、または約60~約70重量%、または約49.3重量%、または約37.5重量%、または約50.1重量%、または約66.8重量%である。
【0187】
さらなる実施形態によれば、1つの徐放性生分解性前房内インプラントの総重量に対する求核性基含有架橋剤の含量は、約1~約5重量%、または1~約3重量%、または2~約4重量%、または4~約5重量%、または約3.2重量%、または約2.3重量%、または約4.3重量%である。
【0188】
特定の実施形態では、1つの徐放性生分解性前房内インプラントの総重量に対する可視化剤の含量は約0.1~約0.5重量%、または0.2重量%、または0.3重量%である。
【0189】
さらなる実施形態では、インプラントは約2μg~約30μg、または約21μg~約30μg、または約11μg~約20μg、または約2μg~約10μgのトラボプロストの用量を含有する。具体的な実施形態では、インプラントは約5μgのトラボプロストの用量を含有する。別の具体的な実施形態では、インプラントは約15μgのトラボプロストの用量を含有する。代わりの具体的な実施形態では、インプラントは約26μgのトラボプロストの用量を含有する。
【0190】
特定の実施形態では、インプラントにおける生分解性ポリマーの総質量は34μg未満、30μg未満、20μg未満、または10μg未満である。
【0191】
特定の実施形態では、インプラントにおけるトラボプロストは25μg未満、または20μg未満、または10μg未満である。
【0192】
特定の実施形態では、その乾燥状態でのインプラントの総質量は103μg未満、または80μg未満、または50μg未満である。
【0193】
特定の実施形態では、インプラントは約5μgのトラボプロストの用量を含有し、マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり、求核性基含有架橋剤はトリリジンである。
【0194】
特定の実施形態では、インプラントは約15μgのトラボプロストの用量を含有し、マルチアームポリマー前駆体は、8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり、求核性基含有架橋剤はトリリジンである。
【0195】
特定の実施形態では、インプラントは約15μgのトラボプロストの用量を含有し、マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールであり、求核性基含有架橋剤はトリリジンである。
【0196】
特定の実施形態では、インプラントは約26μgのトラボプロストの用量を含有し、マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールであり、求核性基含有架橋剤はトリリジンである。
【0197】
特定の実施形態では、インプラントは37℃で7.4のpHのリン酸緩衝生理食塩水にて試験管内で24時間の水和後、0.50mm未満の直径を有する。特に、そのような水和に使用されるPBSの体積は試料管に加えられる5mlである。前記の試料管は5mlのPBSを加える前に特に37℃で平衡化される。さらに具体的には、インプラントは37℃でpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水にて試験管内で24時間の水和後、約0.3mm~0.49mmまたは約0.40~約0.49の範囲の直径を有する。
【0198】
特定の実施形態では、インプラントは、37℃でpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水にて試験管内で24時間の水和後のインプラントの直径のその乾燥状態にあるインプラントの直径に対する比は2.5未満である。特に、そのような水和に使用されるPBSの体積は試料管に加えられる5mlである。前記の試料管は5mlのPBSを加える前に特に37℃で平衡化される。
【0199】
特定の実施形態では、インプラントは繊維の形態である。特に、インプラントは、その乾燥状態で2.5mm未満または約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下または0.14mm~約0.29mmの直径を有する繊維の形態である。あるいは、インプラントは、37℃でpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水にて試験管内で24時間の水和後の平衡状態では0.6mm以下の直径及び3.0mm以下の長さを有する繊維の形態である。
【0200】
特定の実施形態では、インプラントはその乾燥状態で約1.00mm~約2.50mmの長さ及び0.30mm以下の直径を有する。
【0201】
特定の実施形態では、インプラントは、その乾燥した状態で約1.5mm~約2.5mm、または約1.8mm~約2.2mmの長さ及び約0.14mm~約0.29mm、または約0.20mm~約0.24mm、または約0.24mm~約0.28mm、または約0.19mm~約0.23mm、または約0.15mm~約0.19mmの直径を有する繊維である。
【0202】
特定の実施形態では、インプラントはその乾燥形態で、約20~約150μg、または約70μg~約80μg、または約40μg~約50μg、または約90μgから110μgの総重量を有する。さらなる実施形態では、インプラントはその乾燥形態で約20μg~約110μg、または約30μg~約105μgの総重量を有する。
【0203】
特定の実施形態では、インプラントにおけるトラボプロストは25μg未満、または20μg未満、または10μg未満である。
【0204】
特定の実施形態によれば、インプラントは、標準偏差が150から250ng/週の範囲である約500~約900ng/週の範囲の平均プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、平均はシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の毎週のプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)トラボプロスト放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の時間間隔で測定すると毎週のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)トラボプロストの放出は約100~約1500ngの範囲である。
【0205】
別の態様によれば、本発明は、
・本明細書で開示されている態様(a)から(d)のいずれか1つに係る多様なトラボプロスト粒子と
・生分解性ヒドロゲルとを含む前房内インプラントを対象とし、
その際、多様なトラボプロスト粒子はヒドロゲル内に分散されている。
【0206】
別の態様によれば、本発明は、
・生分解性ヒドロゲル及びトラボプロスト粒子、
・ポリラクチドと混合されたトラボプロストの形態であるトラボプロスト粒子、
・ヒドロゲル内に分散されているトラボプロスト粒子を含む前房内インプラントを対象とし、その際、ヒドロゲルは、それぞれが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を有する8アーム-15K-SGまたは8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含み、またはポリマーネットワークは以下の式:
【化11】
(式中、mは2または6である)によって表される基を含む架橋されている8アーム-ポリエチレングリコール含む。
【0207】
プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントを製造する方法
さらなる態様では、本発明はプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントを製造する方法を対象とし、該方法は
(a)生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態であるトラボプロスト粒子を調製する工程と、
(b)ヒドロゲル前駆体とプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子とを含有する前駆体混合物を調製する工程と、
(c)架橋剤を使用して前駆体混合物を架橋してポリマーネットワークを形成し、ポリマーネットワークを含むヒドロゲル混合物を得る工程と、
(d)ヒドロゲル混合物を乾燥させてインプラントを提供する工程とを含む。
【0208】
先行するセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」、「生分解性ヒドロゲル」、「多様なプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子」及び「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラント」に記載されている成分の種類、成分の含量及び質量比の質量比もまた、本発明の製造方法に相応に適用される。
【0209】
別の態様では、本発明はセクション「プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性インプラントを製造する方法」に記載されている方法によって入手できる徐放性生分解性前房内インプラントを対象とする。
【0210】
別の態様では、本発明は前房内インプラントを製造する方法を対象とし、該方法は
(a)生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態であるトラボプロスト粒子を調製する工程と、
(b)ヒドロゲル前駆体とトラボプロスト粒子とを含有する前駆体混合物を調製する工程と、
(c)架橋剤を使用して前駆体混合物を架橋してポリマーネットワークを形成し、ポリマーネットワークを含むヒドロゲル混合物を得る工程と、
(d)ヒドロゲル混合物を乾燥させてインプラントを提供する工程とを含む。
【0211】
別の態様では、本発明は前段落の方法によって入手できる前房内インプラントを対象とする。
【0212】
前房内注入用シリンジ
一態様によれば、本発明は、上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントを含む前房内注入用のシリンジを対象とする。
【0213】
一態様によれば、本発明は、本明細書で開示されているようなインプラントを含む前房内注入用のシリンジを対象とする。
【0214】
前記シリンジの特定の実施形態が実施例4に示されている。
【0215】
ヒト対象にて眼圧を治療する方法
本発明の一態様は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、治療を必要とする眼ごとに上記のセクションで定義されているような単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって、約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに、
工程1:約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月の範囲の期間の治療を提供する、
・上記のセクションで定義されているような生分解性ヒドロゲル及び上記のセクションで定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
・生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態であるプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
・ヒドロゲル内に分散されているプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含む、上記のセクションで定義されているような1つのプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと;
工程2:工程1の1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することとを含む。
【0216】
本発明の一態様は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、治療を必要とする眼ごとに上記のセクションで定義されているような単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって、約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに、1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することを含み、その際、インプラントは上記のセクションで定義されているとおりであり、
・上記のセクションで定義されているような生分解性ヒドロゲル及び上記のセクションで定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
・生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態であるプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
・ヒドロゲル内に分散されているプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含み、約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月の範囲の期間の治療を提供する。
【0217】
本発明の別の態様は、高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて、治療を必要とする眼ごとに単回のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによって、約1~約24ヵ月、例えば約3~約9ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療する方法で使用するための、本明細書に記載されているようなトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントを対象とする。
【0218】
本発明の別の態様は、高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて、治療を必要とする眼ごとに請求項1~20のいずれか1項に記載の単回の前房内インプラントによって約1~約24ヵ月、例えば約3~約9ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療する方法を対象とする。
【0219】
本発明の特定の実施形態によれば、インプラントは挿入前は乾燥状態にあり、眼に挿入されると水和状態になる。特定の実施形態では、水和は2分未満で起こる。
【0220】
本発明の特定の実施形態では、治療期間は約6~約9ヵ月であり、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントは約6~約9ヵ月の治療を提供する。別の実施形態では、治療期間は約4~約7ヵ月であり、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントは約4~約7ヵ月の治療を提供する。代わりの実施形態では、治療期間は約3~約6ヵ月であり、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントは約3~約6ヵ月の治療を提供する。代わりの実施形態では、治療期間は約3~約4ヵ月であり、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントは約3~約4ヵ月の治療を提供する。さらなる実施形態では、治療期間は約7~約8ヵ月、または約7~約9ヵ月、または約4ヵ月、または約5ヵ月、または約6ヵ月、または約7ヵ月、または約8ヵ月、または約9ヵ月であり、且つプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントはそれぞれ、約7~約8ヵ月、または約7~約9ヵ月、または約4ヵ月、または約5ヵ月、または約6ヵ月、または約7ヵ月、または約8ヵ月、または約9ヵ月の間の治療を提供する。
【0221】
特定の実施形態では、
・前房内インプラントはシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、1日目~84日目の70日間あたりで放出された%量を基にして、平均絶対偏差が多くても5%である約65%~約85%の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、治療期間は約3~約6ヵ月であり、もしくは約3~4ヵ月である;または
・前房内インプラントはシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、1日目~98日目の70日間あたりで放出された%量を基にして、平均絶対偏差が多くても5%である約60%~約80%の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、治療期間は約3~約7ヵ月であり、もしくは約4~7ヵ月である;または
・前房内インプラントはシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、1日目~112日目の14日間あたりで放出された%量を基にして、平均絶対偏差が多くても3%である約5%~約15%の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、治療期間は約6~約9ヵ月であり、もしくは約6~約12ヵ月である。
【0222】
本発明の特定の実施形態では、治療期間は約3~約7ヵ月であり、または約4から7ヵ月であり、または約3~約6ヵ月であり、または約3から4ヵ月であり、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントは約3~約7ヵ月間または約4~7ヵ月間または約3~約6ヵ月間または3~4ヵ月間の治療を提供し、その際、ポリマーネットワークは求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求電子性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、求電子性基はスクシンイミジルグルタレート(SG)基であり、マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり;求核性基含有架橋剤はトリリジンであり、ヒドロゲルは2~4ヵ月以内に溶解する。
【0223】
特定の実施形態では、治療期間は約6~約9ヵ月または約6~約12ヵ月であり、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントは約6~9ヵ月間または約6~12ヵ月間の治療を提供し、その際、ポリマーネットワークは求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求電子性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、求電子性基はスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基であり、マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールであり;求核性基含有架橋剤はトリリジンであり、ヒドロゲルは6~8ヵ月以内に溶解する。
【0224】
特定の実施形態では、治療は、前記治療期間が約2~約12ヵ月の範囲であり、約3~約9ヵ月の範囲である後に、工程1及び工程2を繰り返すことによって継続される。さらに具体的には、治療はさらなる治療が必要なくなるまで工程1及び工程2を繰り返すことによって継続される。一層さらに具体的には、治療は、年に1回約12ヵ月間の治療を提供する、年に2回6~9ヵ月の治療を提供するプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントによる、及び年に3回または年に4回3~4ヵ月間の治療を提供するプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントによるほぼ等しい時間間隔での年に1回、年に2回、年に3回、または年に4回の工程1及び2の繰り返しを含む。
【0225】
別の実施形態では、第1の治療期間は3~4ヵ月であり、プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントは3~4ヵ月の治療を提供し、治療は、6~9ヵ月の治療を提供するプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントによる6~9ヵ月の治療で継続する。
【0226】
特定の実施形態では、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントまたはヒドロゲルは5~7ヵ月以内または3~5ヵ月以内に溶解する/完全に生分解する。
【0227】
特定の実施形態では、治療期間は6~9ヵ月または6~12ヵ月の範囲であり、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントまたはヒドロゲルは5~7ヵ月以内に溶解する/完全に生分解する。特定の実施形態では、治療期間は3~6ヵ月の範囲であり、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントまたはヒドロゲルは3~5ヵ月以内に溶解する/完全に生分解する。
【0228】
特定の実施形態では、「緑内障」は開放隅角緑内障及び閉塞隅角緑内障の形態を包含してもよい。本明細書で開示されている開放隅角緑内障の亜型は、正常眼圧緑内障、先天性緑内障、続発性緑内障、色素性緑内障、偽剥離性緑内障、外傷性緑内障、血管新生緑内障、虹彩角膜内皮症候群(ICE)、及び/またはブドウ膜炎緑内障を包含してもよい。
【0229】
特定の実施形態では、本発明の治療は、軽度、中等度、または重度の開放隅角緑内障に対するものである。
【0230】
特定の実施形態では、本発明の治療において、眼圧は、本明細書に記載されているような、または約1~約12ヵ月または約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月、例えば約6ヵ月~約12ヵ月または例えば約6ヵ月~約9ヵ月の治療期間中または反復投与による継続治療中のベースライン眼圧から少なくとも4mmHg、または少なくとも5mmHg低下する。特定の実施形態によれば、眼圧は最大7~11mmHg低下する。あるいは、本発明の治療において、眼圧は、本明細書に記載されているような、または約1~約12ヵ月または約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月、例えば約6ヵ月~約12ヵ月または例えば約6ヵ月~約9ヵ月の治療期間中または反復投与による継続治療中のベースライン眼圧に対して少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも約30%、または約20%~約35%、または約20%~約30%低下する。低下は、これまでの時点がそれぞれの治療期間に適用できる2週、6週、12週、4ヵ月、6ヵ月、9ヵ月、及び12ヵ月で測定される。測定は、関連する各時点で午前8時、午前10時及び午後4時に行われる。あるいは、治療は、トラボプロスト点眼薬のような異なる眼圧薬に劣らないそれぞれの時点でのそれぞれの治療期間についてであり、非劣性の限界は1.5mmHgである。
【0231】
特定の実施形態では、治療は周辺視力喪失のような視力喪失を防ぐ。
【0232】
特定の実施形態では、治療は視神経線維の喪失を防ぐ。
【0233】
特定の実施形態では、治療は網膜神経節細胞死を防ぐ
【0234】
特定の実施形態では、治療は視神経の損傷を防ぐ。
【0235】
特定の実施形態では、本発明の治療にて、眼圧は投与後少なくとも5日または少なくとも3日または少なくとも2日ですでに有意に低下している。
【0236】
特定の実施形態では、本発明の治療にて、眼圧は、局所トラボプロスト療法に匹敵する低下である。
【0237】
特定の実施形態では、内皮細胞数の変化は治療期間中及び/または治療全体の間、治療された眼にて生じない。
【0238】
特定の実施形態では、角膜の厚さの変化は治療期間中及び/または治療全体の間、治療された眼にて生じない。
【0239】
特定の実施形態では、例えば、隅角鏡検査及び細隙灯検査によってモニターされるように、インプラントは実質的に動かない。
【0240】
特定の実施形態では、インプラントは外見上目に見えない。
【0241】
特定の実施形態では、治療期間は約3~約6ヵ月または約3~4ヵ月であり、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントは約3~約6ヵ月または3~4ヵ月の治療を提供し、トラボプロスト粒子は、
・トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類のトラボプロスト粒子、その際、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する、第1の種類のトラボプロスト粒子と;
・トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類のトラボプロスト粒子、その際、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する、第2の種類のトラボプロスト粒子とで作られる粒子のブレンドであり、
その際、ブレンドは粒子の総量に基づいて約35重量%~約55重量%の第1の種類の粒子及び約35重量%~約55重量%の第2の種類の粒子を含有し、またはインプラントにおけるトラボプロストの総量の約35重量%~約55重量%が第1の種類の粒子の形態で存在し、及びインプラントにおけるトラボプロストの総量の約35重量%~約55重量%が第2の種類の粒子の形態で存在する。
【0242】
特定の実施形態では、治療期間は、約4~約7ヵ月であり、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントは約4~約7ヵ月の治療を提供し、トラボプロスト粒子は、
・トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類の粒子、その際、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量を基にして、約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する第1の種類の粒子と、
・トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類の粒子、その際、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%以上のトラボプロストを含有する第2の種類の粒子と、
・トラボプロストと、酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g、例えば、約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第3の種類の粒子、その際、第3の種類の粒子は第3の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する第3の種類の粒子とで作られる粒子のブレンドであり、
その際、ブレンドは粒子の総量に基づいて約20重量%~約35重量%の第1の種類の粒子及び約30重量%~約50重量%の第2の種類の粒子及び約25重量%~約45重量%の第3の種類の粒子を含有し、またはインプラントにおけるトラボプロストの総量の約20重量%~約35重量%が第1の種類の粒子の形態で存在し、及びインプラントにおけるトラボプロストの総量の約30重量%~約50重量%が第2の種類の粒子の形態で存在し、及びインプラントにおけるトラボプロストの総量の約25重量%~約45重量%が第3の種類の粒子の形態で存在する。
【0243】
特定の実施形態では、治療期間は約6~約12ヵ月または約6~約9ヵ月であり、トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントは約6~12ヵ月または約6~9ヵ月の治療を提供し、その際、トラボプロスト粒子は、
・トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類の粒子、その際、第1の種類の粒子は第1の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する第1の種類の粒子と、
・トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類の粒子、その際、第2の種類の粒子は第2の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する第2の種類の粒子と、
・トラボプロストと、酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g、例えば、約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとで作られる第3の種類の粒子、その際、第3の種類の粒子は第3の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する第3の種類の粒子と、
・トラボプロストと、エステル末端基及び約0.05~約1.7dl/g、例えば、約0.55~約0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとで作られる第4の種類の粒子、その際、第4の種類の粒子は第4の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する第4の種類の粒子とで作られる粒子のブレンドであり、
その際、ブレンドは粒子の総量に基づいて約15重量%~約25重量%の第1の種類の粒子及び約15重量%~約25重量%の第2の種類の粒子及び約5重量%~約15重量%の第3の種類の粒子及び約40重量%~約60重量%の第4の種類の粒子を含有し、またはインプラントにおけるトラボプロストの総量の約15重量%~約25重量%が第1の種類の粒子の形態で存在し、及びインプラントにおけるトラボプロストの総量の約15重量%~約25重量%が第2の種類の粒子の形態で存在し、及びインプラントにおけるトラボプロストの総量の約5重量%~約15重量%が第3の種類の粒子の形態で存在し、及びインプラントにおけるトラボプロストの総量の約40重量%~約60重量%が第4の種類の粒子の形態で存在する。
【0244】
特定の実施形態では、治療期間は約3~約6ヵ月または約3~4ヵ月であり、インプラントは約5μgのトラボプロストの用量を含有し、インプラントは標準偏差が100~200ng/週の範囲である約300~約500ng/週の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、平均トラボプロスト放出は、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~84日目の間の毎週のトラボプロスト放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~84日目の間の時間間隔で測定すると毎週のトラボプロスト放出は約10~約700ngの範囲である。
【0245】
特定の実施形態では、治療期間は約3~約7ヵ月または約4~7ヵ月であり、インプラントは約15μgのトラボプロストの用量を含有し、インプラントは標準偏差が450~550ng/週の範囲である約800~約1100ng/週の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、平均はシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~98日目の間の毎週のトラボプロスト放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~98日目の間の時間間隔で測定すると毎週のトラボプロストの放出は約100~約2300ngの範囲である。
【0246】
特定の実施形態では、治療期間は約6~約9ヵ月または約6~12ヵ月であり、インプラントは約15μgのトラボプロストの用量を含有し、インプラントは標準偏差が150~250ng/週の範囲である約500~約900ng/週の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、平均はシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の毎週のトラボプロスト放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の時間間隔で測定すると毎週のトラボプロストの放出は約100~約1500ngの範囲である。
【0247】
特定の実施形態では、治療期間は約6~約9ヵ月または約6~約12ヵ月であり、インプラントは約26μgのトラボプロストの用量を含有し、インプラントは標準偏差が100~400ng/週の範囲である約1000~約1500ng/週の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、平均はシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の毎週のトラボプロスト放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の時間間隔で測定すると毎週のトラボプロスト放出は約100~約2000ngの範囲である。
【0248】
特定の実施形態では、例えば、隅角鏡検査及び細隙灯検査によってインプラントを眼にてモニターすることができる。
【0249】
具体的な一態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって、約2~約12ヵ月または約6~約9ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに、
工程1:インプラントが乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態である、
上記で定義されているような生分解性ヒドロゲル及び上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子が、4種類の粒子、約0.05~5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と;約0.5~約0.8dl/g未満、例えば、約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子と;約0.8~約1.7dl/g、例えば、0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第3のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第3の種類の粒子と;約0.05~約1.7dl/g、例えば、約0.55~0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つエステル末端基を有する第4のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第4の種類の粒子とのブレンドを含有する、生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態であるプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
ヒドロゲルが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を持つ8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む、ヒドロゲル内に分散されたプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含む、21~30μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)を含有する1つのプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することとを含む。
【0250】
具体的な一態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって、約2~約12ヵ月または約6~約9ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに、21~30μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)を含有するインプラントは上記で定義されているとおりであり、インプラントは乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、
・上記で定義されているような生分解性ヒドロゲル及び上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
・プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子が、4種類の粒子、約0.05~5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と;約0.5~約0.8dl/g未満、例えば、約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子と;約0.8~約1.7dl/g、例えば、0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第3のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第3の種類の粒子と;約0.05~約1.7dl/g、例えば、約0.55~0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つエステル末端基を有する第4のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第4の種類の粒子とのブレンドを含有する、生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態であるプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
・ヒドロゲルが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を持つ8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む、ヒドロゲル内に分散されたプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含む。
【0251】
別の具体的な態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって約2~約12ヵ月または約6~約9ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに、
工程1:インプラントが乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態である、
・上記で定義されているような生分解性ヒドロゲル及び上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
・プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子が、4種類の粒子、約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と;約0.5~約0.8dl/g未満、例えば、約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子と;約0.8~約1.7dl/g、例えば、0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第3のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第3の種類の粒子と;約0.55~0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つエステル末端基を有する第4のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第4の種類の粒子とのブレンドを含有する、生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態であるプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
ヒドロゲルが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を持つ8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む、ヒドロゲル内に分散されたプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含む、11~20μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)を含有する、上記で定義されたような1つのプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することとを含む。
【0252】
別の具体的な態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって約2~約12ヵ月または約6~約9ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することを含み、インプラントは上記で定義されているとおりであり、11~20μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)を含有し、インプラントはその乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、
・上記で定義されているような生分解性ヒドロゲル及び上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
・プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子が、4種類の粒子、約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と;約0.5~約0.8dl/g未満、例えば、約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子と;約0.8~約1.7dl/g、例えば、0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第3のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第3の種類の粒子と;約0.55~0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つエステル末端基を有する第4のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第4の種類の粒子とのブレンドを含有する、生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態であるプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
・ヒドロゲルが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を持つ8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む、ヒドロゲル内に分散されたプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含む。
【0253】
別の具体的な態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって約3~約6ヵ月または約3~約4ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに、
工程1:インプラントがその乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態である、
・上記で定義されているような生分解性ヒドロゲル及び上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
・プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子が、3種類の粒子、約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と;約0.5~約1.7dl/g、例えば、約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子と;約0.8~約1.7dl/g、例えば、0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第3のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第3の種類の粒子とのブレンドを含有する、生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態であるプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
・ヒドロゲルが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を持つ8アーム-15K-SGポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む、ヒドロゲル内に分散されたプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含む、11~20μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)を含有する、上記で定義されているような1つのプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することとを含む。
【0254】
別の具体的な態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって約3~約6ヵ月または約3~約4ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することを含み、インプラントは上記で定義されているとおりであり、11~20μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)を含有し、インプラントはその乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、
・上記で定義されているような生分解性ヒドロゲル及び上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
・プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子が、3種類の粒子、約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と;約0.5~約1.7dl/g、例えば、約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子と;約0.8~約1.7dl/g、例えば、0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第3のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第3の種類の粒子とのブレンドを含有する、生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態であるプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
・ヒドロゲルが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を持つ8アーム-15K-SGポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む、ヒドロゲル内に分散されたプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含む。
【0255】
さらなる具体的な態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって約3~約6ヵ月または約3~約4ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに、
工程1:インプラントがその乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態である、
上記で定義されているような生分解性ヒドロゲル及び上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子が、2種類の粒子、約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と;約0.5~約1.7dl/g、例えば、約0.6~約0.8dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子とのブレンドを含有する、生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態であるプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
ヒドロゲルが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を持つ8アーム-15K-SGポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む、ヒドロゲル内に分散されたプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含む、2~10μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)を含有する、上記で定義されているような1つのプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することとを含む。
【0256】
さらなる具体的な態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって約3~約6ヵ月または約3~約4ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することを含み、インプラントは上記で定義されているとおりであり、2~10μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)を含有し、インプラントはその乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、
上記で定義されているような生分解性ヒドロゲル及び上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)粒子が、2種類の粒子、約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第1のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第1の種類の粒子と;約0.5~約1.7dl/g、例えば、約0.6~約0.8dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第2のポリラクチドから成る生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態である第2の種類の粒子とのブレンドを含有する、生分解性ポリマーと混合されたプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の形態であるプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子と、
ヒドロゲルが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を持つ8アーム-15K-SGポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む、ヒドロゲル内に分散されたプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含む。
【0257】
さらなる具体的な一態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって約2~約12ヵ月または約6~約9ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに、
工程1:インプラントがその乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さと0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、上記で定義されているような生分解性ヒドロゲルとその中に分散されている上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含み、前房内インプラントは、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合1~112日目の14日間あたりで放出される%量に基づいて平均絶対偏差が多くても3%である約5%~約15%の範囲の平均プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出による試験管内放出を有し、またはプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出は5%~15%の範囲であり、ヒドロゲルは6~8ヵ月以内にまたは5~7か月以内に溶解する/完全に生分解する、21~30μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)を含有する、上記で定義されているような1つのプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することとを含む。
【0258】
さらに具体的な一態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントによって約2~約12ヵ月または約6~約9ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することを含み、インプラントは上記で定義されているとおりであり、21~30μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)を含有し、インプラントはその乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、上記で定義されているような生分解性ヒドロゲルとその中に分散されている上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含み、前房内インプラントは、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合1~112日目の14日間あたりで放出される%量に基づいて平均絶対偏差が多くても3%である約5%~約15%の範囲の平均プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出による試験管内放出を有し、またはプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出は約5%~約15%の範囲であり、且つヒドロゲルは6~8ヵ月以内に溶解する。
【0259】
別の具体的な態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって約3~約6ヵ月または約3~約4ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに、
工程1:インプラントがその乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さと0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、
上記で定義されているような生分解性ヒドロゲルとその中に分散されている上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含み、前房内インプラントは、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合1~84日目の70日間あたりで放出された%量に基づいて平均絶対偏差が多くても5%である約65%~約85%の範囲の平均プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出による試験管内放出を有し、またはプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出は65%~85%の範囲であり、ヒドロゲルは2~4ヵ月以内にまたは3~5ヵ月以内に溶解する/完全に生分解する、11~20μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)を含有する、上記で定義されているような1つのプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することとを含む。
【0260】
別の具体的な一態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって約3~約6ヵ月または約3~約4ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することを含み、インサートは上記で定義されているとおりであり、11~20μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)を含有し、インプラントはその乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、上記で定義されているような生分解性ヒドロゲルとその中に分散されている上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含み、前房内インプラントは、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合1~84日目の70日間あたりで放出された%量に基づいて平均絶対偏差が多くても5%である約65%~約85%の範囲の平均プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出による試験管内放出を有し、またはプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出は65%~85%の範囲であり、且つヒドロゲルは2~4ヵ月以内にまたは3~5ヵ月以内に溶解する/完全に生分解する。
【0261】
別の具体的な態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントによって約3~約6ヵ月または約3~約4ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに、
工程1:インプラントがその乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さと0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、
上記で定義されているような生分解性ヒドロゲルとその中に分散されている上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含み、前房内インプラントは、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合1~98日目の70日間あたりで放出された%量に基づいて平均絶対偏差が多くても5%である約60%~約80%の範囲の平均プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出による試験管内放出を有し、またはプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出は60%~80%の範囲であり、ヒドロゲルは2~4ヵ月以内に溶解する、2~10μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)を含有する、上記で定義されているような1つのプロスタグランジンアンタゴニスト(例、トラボプロスト)徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することとを含む。
【0262】
別の具体的な態様では、本発明は、高眼圧症または開放隅角緑内障のような緑内障があるヒト対象にて、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)の徐放性生分解性前房内インプラントによって約3~約6ヵ月または約3~約4ヵ月の期間で眼圧を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することを含み、インプラントは上記で定義されているとおりであり、2~10μgのプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)を含有し、インプラントはその乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、上記で定義されているような生分解性ヒドロゲルとその中に分散されている上記で定義されているようなプロスタグランジンアンタゴニスト(トラボプロスト)粒子とを含み、前房内インプラントは、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合1~98日目の70日間あたりで放出された%量に基づいて平均絶対偏差が多くても5%である約60%~約80%の範囲の平均プロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出による試験管内放出を有し、またはプロスタグランジンアンタゴニスト(例えば、トラボプロスト)放出は60%~80%の範囲であり、且つヒドロゲルは2~4ヵ月以内に溶解する。
【0263】
本発明のインプラントは手順を実行する医師によって提供されてもよい。特定の実施形態では、インプラントは、滅菌包装に包装されたシリンジのような装置内にあり、医療専門家は手順の直前にインプラントを開梱し、本明細書に記載されている埋め込み/挿入の方法にインプラントを提供する。
【0264】
開示されているインプラントは、眼圧を下げるのに有用である。したがって、本明細書で提供されているのは、本明細書に記載されているヒドロゲルインプラントを投与することを含む、それを必要とする対象にて眼圧を低下させる方法である。対象の眼圧を低下させるための開示されているインプラントの使用においても開示されている。さらに提供されているのは、眼圧を低下させるための薬物の製造における開示されているインプラントの使用である。
【0265】
提供されているのはまた、本明細書に記載されているヒドロゲルインプラントを投与することを含む、それを必要とする対象にて眼圧を治療する方法である。開示されているのはまた、対象にて眼圧を治療するための開示されているインプラントの使用である。さらに提供されているのは、眼圧を治療するための薬物の製造における開示されているインプラントの使用である。
【0266】
提供されているのはまた、本明細書に記載されているヒドロゲルインプラントを投与することを含む、それを必要とする対象にて緑内障(開放隅角緑内障)を治療する方法である。開示されているのはまた、対象にて緑内障(開放隅角緑内障)を治療するための開示されているインプラントの使用である。さらに提供されているのは、緑内障(開放隅角緑内障)を治療するための薬物の製造における開示されているインプラントの使用である。
【0267】
さらなる実施形態の一部として、トラボプロストは約1ヵ月~約1年の範囲の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。あるいは、さらなる実施形態の一部として、トラボプロストは約1ヵ月~約11ヵ月の範囲の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、この実施形態の一部として、トラボプロストは約1ヵ月~約10ヵ月の範囲の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、この実施形態の一部として、トラボプロストは約1ヵ月~約9ヵ月の範囲の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、この実施形態の一部として、トラボプロストは約1ヵ月~約8ヵ月の範囲の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、この実施形態の一部として、トラボプロストは約2ヵ月~約8ヵ月の範囲の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、この実施形態の一部として、トラボプロストは、約3ヵ月~約7ヵ月の範囲の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、この実施形態の一部として、トラボプロストは約4ヵ月~約6ヵ月の範囲の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、この実施形態の一部として、トラボプロストは約1ヵ月の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、この実施形態の一部として、トラボプロストは約2ヵ月の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、この実施形態の一部として、トラボプロストは約3ヵ月の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、この実施形態の一部として、トラボプロストは約4ヵ月の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、この実施形態の一部として、トラボプロストは約5ヵ月の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。別の代替手段では、この実施形態の一部として、トラボプロストは約6ヵ月の期間にわたって持続的に眼に送達され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0268】
さらなる実施形態の一部として、トラボプロストの持続放出は房水にて発生し、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0269】
さらなる実施形態の一部として、開示されているヒドロゲルインプラントのポリマーネットワークはフルオレセインに結合され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0270】
さらなる実施形態の一部として、開示されているインプラントは角膜内皮細胞の近くでの埋め込み用に設計されており、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0271】
さらなる実施形態の一部として、開示されているインプラントは下部虹彩角膜角における埋め込み用に設計されており、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0272】
さらなる実施形態の一部として、開示されているインプラントは、5pg、15pgまたは26pgのトラボプロストを含み、その際、インプラントの残りの特徴は、例えば、第1から第15の実施形態のように、本明細書に記載されている。あるいは、開示されているインプラントの一部として5pg、15pgまたは26pgのトラボプロストを含み;求核性攻撃を受けやすい基を含む複数のポリエチレングリコール(PEG)ユニットを4a20K PEG NH2、8a20K PEG NH2、及びトリリジンから選択される1以上のPEGまたはリジンベースアミン基と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含み、ヒドロゲルの残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0273】
さらなる実施形態の一部として、開示されているインプラントはトラボプロストの完全な放出に続いて完全に分解され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。あるいは、ヒドロゲルインプラントは、トラボプロストの完全な放出に続いて約12ヵ月後、約11ヵ月後、約10ヵ月後、約9ヵ月後、約8ヵ月後、約6ヵ月後、約5ヵ月後、約4ヵ月後、3ヵ月、約2ヵ月後、約1ヵ月後(すなわち、約30日後)に完全に分解され、その際、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。あるいは、ヒドロゲルインプラントは、トラボプロストの少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%)の放出後に完全に分解され、インプラントの残りの特徴は本明細書に記載されている。
【0274】
一態様では、本発明は、眼圧が約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月、例えば約6ヵ月の治療期間中または反復投与による継続治療中のベースライン眼圧から約5~約7mmHg、または約7~約9mmHg低下する、本明細書で開示されている方法を対象とする。
【0275】
ヒト対象にて眼疾患を治療する方法
一態様では、本発明は、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のAPI含有徐放性生分解性前房内インプラントによって約1~約24ヵ月または約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月の範囲の期間でヒト対象にて眼疾患を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに
工程1:約1~約24ヵ月または約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月の範囲の期間で治療を提供する、
・上記で定義されているような生分解性ヒドロゲル及びAPI粒子と、
・ヒドロゲル内に分散されているAPI粒子とを含む1つのAPI含有徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することとを含む。
【0276】
一態様では、本発明はそのような治療を必要とする眼ごとに単回のAPI含有徐放性生分解性前房内インプラントによって約1~約24ヵ月または約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月の期間でヒト対象にて眼疾患を治療する方法を対象とし、該方法は前記眼ごとに、1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することを含み、その際、インプラントは約1~約24ヵ月または約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月の期間で治療を提供する、
・上記で定義されているような生分解性ヒドロゲル及びAPI粒子と、
・ヒドロゲル内に分散されているAPI粒子とを含む1つのAPI含有徐放性生分解性前房内インプラントである。
【0277】
別の態様では、本発明は、そのような治療を必要とするヒト対象にて単回のAPI含有インプラントによって3~9ヵ月以内の期間で眼疾患を治療する方法を対象とする。
【0278】
さらなる態様では、本発明は、そのような治療を必要とするヒト対象にて単回のAPI含有インプラントによって3~9ヵ月以内の期間で眼疾患を治療する方法にて使用するためのインプラントを対象とする。
【0279】
一実施形態では、前記1つのAPIはプロスタグランジンアンタゴニストである。具体的には、前記単回のAPIはトラボプロスト、ビマトプロスト、及びラタノプロストから成る群から選択される。
【0280】
治療剤には、例えば、炎症性のまたは異常な血管状態、網膜静脈閉塞症、地図状萎縮、網膜色素変性症、網膜芽細胞腫などに起因し得る状態を治療するための薬剤が挙げられる。がんについては、薬剤は、例えば、抗がん剤、抗VEGF、またはがん治療での使用が知られている薬剤であってもよい。
【0281】
治療剤は、例えば、VEGFR1を遮断し、VEGFR2を遮断し、VEGFR3を遮断する抗VEGF、抗PDGF、抗血管新生、スニチニブ、E7080、タケダ-6d、チボザニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、アクシチニブ、ニンテダニブ、セディラニブ、バタラニブ、モテサニブ、マクロリド、シロリムス、エベロリムス、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)、イマチニブ(GLEEVAC)、ゲフィチニブ(IRESSA)、トセラニブ(PALLADIA)、エルロチニブ(TARCEVA)、ラパチニブ(TYKERB)、ニロチニブ、ボスチニブ、ネラチニブ、ラパチニブ、ボタラニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ニロチニブ、セマキサニブ、トセラニブ、バンデタニブであるものであってもよい。
【0282】
治療剤は高分子、例えば、抗体または抗体断片を含んでもよい。治療用高分子は、VEGF阻害剤、例えば、市販のLucentis(商標)の有効成分であるラニビズマブを含んでもよい。VEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤は、眼の硝子体液に放出されると、異常な血管の退行及び視力の改善を引き起こすことができる。VEGF阻害剤の例には、Lucentis(商標)(ラニビズマブ)、Eylea(商標)(VEGFトラップ)、Avastin(商標)(ベバシズマブ)、Macugen(商標)(ペガプタニブ)が挙げられる。血小板由来成長因子(PDGF)阻害剤、例えば、抗PGDFアプタマーであるFovista(商標)も送達されてもよい。
【0283】
治療剤は、ステロイドまたはコルチコステロイド及びそれらの類似体のような小分子を含んでもよい。例えば、治療用コルチコステロイドは、トリマシナロン、トリマシナロンアセトニド、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、フルオシノロン、酢酸フルオシノロン、エタボン酸ロテプレドノール、またはそれらの類似体のうちの1以上を含んでもよい。代わりに、または組み合わせて、治療剤の小分子はチロシンキナーゼ阻害剤を含んでもよい。
【0284】
治療剤は抗VEGF治療剤を含んでもよい。抗VEGF療法及び薬剤は、特定のがん及び加齢性黄斑変性症の治療に使用することができる。本明細書に記載されている実施形態に従って使用するのに好適な抗VEGF治療剤の例には、ベバシズマブ(Avastin(商標))のようなモノクローナル抗体またはラニビズマブ(Lucentis(商標))のような抗体誘導体、またはラパチニブ(Tykerb(商標))、スニチニブ(Sutent(商標))ソラフェニブ(Nexavar(商標))、アクシチニブ、またはパゾパニブのようなVEGFによって刺激されるチロシンキナーゼを阻害する小分子の1以上が挙げられる。
【0285】
治療剤は、例えば、Sirolimus(商標)(ラパマイシン)、Copaxone(商標)(グラチラマーアセテート)、Othera(商標)補体C5aRブロッカー、繊毛神経栄養因子、フェンレチニドまたはレオフェレシスの1以上のような乾性AMDの治療に好適な治療剤を含んでもよい。
【0286】
治療剤は、REDD14NP(クォーク)、Sirolimus(商標)(ラパマイシン)、ATG003;EYELEA(VEGFトラップ)または補体阻害剤(POT-4)のうちの1以上のような湿性AMDの治療に好適な治療剤を含んでもよい。
【0287】
治療剤は、BIBW 2992(EGFR/Erb2を標的とする小分子)、イマチニブ(小分子)、ゲフィチニブ(小分子)、ラニビズマブ(モノクローナル抗体)、ペガプタニブ(小分子)、ソラフェニブ(小分子)、ダサチニブ(小分子)、スニチニブ(小分子)、エルロチニブ(小分子)、ニロチニブ(小分子)、ラパチニブ(小分子)、パニツムマブ(モノクローナル抗体)、バンデタニブ(小分子)またはE7080(VEGFR2/VEGFR2を標的とする、Esai、Coから市販されている小分子)の1以上のようなキナーゼ阻害剤を含んでもよい。治療剤は、抗体薬、例えば、ベバシズマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、及びパニツムマブを含んでもよい。
【0288】
治療剤には種々のクラスの薬物が含まれてもよい。薬物には、例えば、ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、抗がん薬、抗生物質、抗炎症剤(例えば、ジクロフェナク)、鎮痛剤(例えば、ブピバカイン)、カルシウムチャネル遮断剤(例えば、ニフェジピン)、抗生物質(例えば、シプロフロキサシン)、細胞周期阻害剤(例えば、シンバスタチン)、タンパク質(例えば、インスリン)が挙げられる。治療剤には、例えば、ステロイド、NSAIDS、抗酸化剤、抗生物質、鎮痛剤、血管内皮増殖因子(VEGF)の阻害剤、化学療法剤、抗ウイルス薬を含む薬物のクラスが含まれる。NSAIDSの例は、イブプロフェン、メクロフェナメートナトリウム、メファナミン酸、サルサレート、スリンダク、トルメチンナトリウム、ケトプロフェン、ジフルニサル、ピロキシカム、ナプロキセン、エトドラク、フルルビプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、インドメタシン、セロキシブ、ケトロラック、及びネパフェナクである。薬物自体は、小分子、タンパク質、RNA断片、タンパク質、グリコサミノグリカン、炭水化物、核酸、特定の生物活性剤には、酵素、抗生物質、抗腫瘍剤、局所麻酔薬、ホルモン、血管新生剤、抗血管新生剤、成長因子、抗体、神経伝達物質、精神活性薬、抗がん剤、化学療法薬、生殖器官、遺伝子、オリゴヌクレオチドに影響を与える薬物、または他の構成が含まれるが、これらに限定されない無機及び有機の生物活性がある化合物であってもよい。
【0289】
治療剤には、タンパク質または他の水溶性生物製剤が含まれてもよい。これらには種々の分子量のペプチドが含まれる。ペプチドには、治療用のタンパク質及びペプチド、抗体、抗体断片、短鎖可変断片(scFv)、成長因子、血管新生因子、及びインスリンが含まれる。他の水溶性生物製剤は、炭水化物、多糖類、核酸、アンチセンス核酸、RNA、DNA、小分子干渉RNA(siRNA)、及びアプタマーである。
【0290】
治療剤は、示された状態を治療する方法の一部として、または示された状態を治療するための組成物を作製する方法の一部として使用されてもよい。たとえば、AZOPT(ブリンゾラミド点眼懸濁液)は、高眼圧症または開放隅角緑内障の患者にて眼圧上昇の治療に使用されてもよい。ポビドンヨード点眼液中のベタジンは、眼周囲領域の前処理及び眼表面の洗浄に使用されてもよい。BETOPTIC(ベタキソロールHCl)は眼圧を下げるために、または慢性開放隅角緑内障及び/または高眼圧症に使用されてもよい。CILOXAN(シプロフロキサシンHCl点眼液)は感受性のある微生物株によって引き起こされる感染症の治療に使用されてもよい。NATACYN(ナタマイシン点眼懸濁液)は真菌性眼瞼炎、結膜炎、及び角膜炎の治療に使用されてもよい。NEVANAC(ネパフェナク点眼懸濁液)は白内障手術に関連する痛みや炎症の治療に使用されてもよい。TRAVATAN(トラボプロスト点眼液)は、眼圧上昇-開放隅角緑内障または高眼圧症の軽減に使用されてもよい。FML FORTE(フルオロメトロン点眼懸濁液)は、眼球の眼瞼結膜及び眼球結膜、角膜、及び前眼部のコルチコステロイド反応性炎症の治療に使用されてもよい。LUMIGAN(ビマトプロスト点眼液)は、眼圧上昇-開放隅角緑内障または高眼圧症の軽減に使用されてもよい。PRED FORTE(酢酸プレドニゾロン)は眼球の眼瞼結膜及び眼球結膜、角膜、及び前眼部のステロイド反応性炎症の治療に使用されてもよい。PROPINE(塩酸ジピベフリン)は慢性開放隅角緑内障の眼圧の制御に使用されてもよい。RESTASIS(シクロスポリン眼科用エマルジョン)は、患者、例えば、乾性角結膜炎に関連する眼の炎症を伴う患者の涙液産生を増加させるために使用されてもよい。ALREX(エタボン酸ロテプレドノール点眼懸濁液)は、季節性アレルギー性結膜炎の一時的な緩和に使用されてもよい。LOTEMAX(エタボン酸ロテプレドノール点眼懸濁液)は、眼球の眼瞼結膜及び眼球結膜、角膜、及び前眼部のステロイド反応性炎症の治療に使用されてもよい。MACUGEN(ペガプタニブナトリウム注射)は血管新生(湿性)加齢性黄斑変性症の治療に使用されてもよい。OPTIVAR(塩酸アゼラスチン)はアレルギー性結膜炎に関連する目のかゆみの治療に使用されてもよい。XALATAN(ラタノプロスト点眼液)は、例えば、開放隅角緑内障または高眼圧症の患者にて眼圧上昇の降下に使用されてもよい。BETIMOL(チモロール点眼液)は、高眼圧症または開放隅角緑内障の患者の眼圧上昇の治療に使用されてもよい。ラタノプロストはプロスタノイド選択的FP受容体アゴニストである遊離酸型のプロドラッグである。ラタノプロストは副作用がほとんどなく緑内障患者の眼圧を低下させる。ラタノプロストは水溶液への溶解度が比較的低いが、溶媒蒸発を使用するミクロスフェアの製造に通常採用される有機溶媒に容易に溶解する。
【0291】
送達のための治療剤のさらなる実施形態には、生体内で標的ペプチドを特異的に結合し、標的ペプチドとその天然の受容体または他のリガンドとの相互作用を妨げるものが挙げられる。たとえば、アバスチンはVEGFを結合する抗体である。IL-1受容体の細胞外ドメインを利用するIL-1トラップも知られており;トラップはIL-1が細胞表面の受容体に結合して活性化するのを阻止する。送達のための薬剤の実施形態は、核酸、例えば、アプタマーを含む。たとえば、ペガプタニブ(MACUGEN)はペグ化された抗VEGFアプタマーである。粒子及びヒドロゲルの送達プロセスの利点は、それらが放出されるまでアプタマーが生体内環境から保護されることである。送達用薬剤のさらなる実施形態には、高分子薬物、すなわち、古典的な小分子薬物よりも有意に大きい薬物を指す用語、すなわち、オリゴヌクレオチド(アプタマー、アンチセンス、RNAi)、リボザイム、遺伝子治療核酸、組換えペプチド及び抗体のような薬物が含まれる。
【0292】
一実施形態は、アレルギー性結膜炎に対する薬物の延長放出を含む。例えば、抗ヒスタミン剤及び肥満細胞安定剤であるケトチフェンは粒子で提供され、アレルギー性結膜炎を治療するのに有効量で本明細書に記載されているように眼に放出されてもよい。季節性アレルギー性結膜炎(SAC)及び通年性アレルギー性結膜炎(PAC)はアレルギー性結膜障害である。症状にはかゆみやピンクから赤みがかった眼が挙げられる。これらの2つの眼の状態には肥満細胞が介在する。従来、症状を改善するための非特異的な対策には、冷湿布、涙液代替物による洗眼、及びアレルゲンの回避が挙げられる。治療は、従来、抗ヒスタミン肥満細胞安定剤、二重メカニズムの抗アレルゲン薬剤、または局所抗ヒスタミン剤から成る。コルチコステロイドは効果的であってもよいが、副作用のために、春季カタル(VKC)やアトピー性角結膜炎(AKC)のようなアレルギー性結膜炎のさらに重症の形態ために確保される。
【0293】
モキシフロキサシンはVIGAMOXの有効成分であり、眼科細菌感染症の治療または予防に使用することが承認されているフルオロキノロンである。VKC及びAKCは、好酸球、結膜線維芽細胞、上皮細胞、肥満細胞、及び/またはTH2リンパ球が結膜の生化学及び組織学を悪化させる慢性アレルギー性疾患である。VKC及びAKCは、アレルギー性結膜炎と闘うのに使用される薬物によって治療することができる。透過剤は薬剤であり、本明細書に記載されているように、ゲル、ヒドロゲル、オルガノゲル、キセロゲル、及び生体材料に含まれてもよい。これらは目的の組織への薬物の透過を助ける薬剤である。透過剤は組織について必要に応じて選択されてもよく、例えば、皮膚用の透過剤、鼓膜用の透過剤、眼用の透過剤がある。
【0294】
薬剤は眼底疾患の治療であってもよく、例えば、眼底疾患は、加齢性黄斑変性症(AMD)、嚢胞性黄斑浮腫(CME)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、後部ブドウ膜炎、及び糖尿病性網膜症、または緑内障である。
【0295】
薬剤は、例えば、VEGFR1を遮断し、VEGFR2を遮断し、VEGFR3を遮断する抗VEGF、抗PDGF、PDGFRβを遮断する抗PDGF-R、抗血管新生剤、スニチニブ、E7080、タケダ-6d、チボザニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、アクシチニブ、ニンテダニブ、セディラニブ、バタラニブ、モテサニブ、マクロリド、シロリムス、エベロリムス、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)、イマチニブ、ゲフィニチブ、トセラニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、ネラチニブ、ラパチニブ、バタラニブを含む薬剤、緑内障用の低溶解性プロスタグランジン類似体、ネパフェナク、マクロリド、ラパマイシン、シロリムス、タクロリムスを含む薬剤、またはAMD(脈絡膜血管新生(CNV)としても知られる)のmTOR受容体を遮断するのに役立つ薬剤であってもよい。mTORはラパマイシン哺乳類の標的を指す。薬剤は、例えば、モキシフロキサシン、デキサメタゾン、トラボプロスト、ステロイド、フルオロキノロン、プロスタグランジン類似体、プロスタミドであってもよい。
【0296】
眼疾患には、前眼房デポーによる治療の状態である前房出血、高眼圧症、及び緑内障がある眼の病状が含まれる。多くの薬剤、例えば、前房内注射を介して投与されるNSAIDS、ステロイド、抗緑内障薬、抗ウイルス剤、抗生物質、散瞳薬、及び抗真菌薬は、眼への送達に好適である。
【0297】
病状のいくつかは眼底疾患である。眼底疾患という用語は、これらの活動分野の熟練者によって認識されており、一般に、網膜、黄斑、または脈絡膜の血管系及び完全性に影響を及ぼし、視力障害、視力の喪失または失明につながる後眼部の眼疾患を指す。後眼部の病状は、年齢、外傷、外科的介入、及び遺伝的要因に起因してもよい。いくつかの眼底疾患は、加齢性黄斑変性症(AMD)、嚢胞性黄斑浮腫(CME)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、後部ブドウ膜炎、及び糖尿病性網膜症である。いくつかの眼底疾患は、黄斑変性症または糖尿病性網膜症のような望ましくない血管新生または血管増殖に起因する。これら及び他の眼の状態に対する薬物治療の選択肢は、インプラントからの薬剤の送達によって提供されてもよい。
【実施例】
【0298】
以下の実施例は、特許請求の範囲に記載されているような本発明の特定の態様及び実施形態を実証するために含まれる。しかしながら、以下の説明は例示にすぎず、本発明の制限として決して解釈されるべきではないことは、当業者によって理解されるべきである。
【0299】
実施例1:トラボプロストインプラントの製造
実施例3に示される臨床第1相試験で使用するための、それぞれ製剤1a、1b、2及び3の化学組成及び重量を有するトラボプロストインプラントまたは「OTX-TICトラボプロストインプラント」(表1及び2aを参照)を調製した。製剤1a、1b、2または3の製造にそれぞれ使用される成分の種類ならびに成分の質量及び含量については、化学組成及び含量を示す表1を概ね参照する。表1の前記質量及び含量は、以下の製剤1a、1b、2及び3の対応する製造プロセスの説明において、詳細に繰り返されることも、初期質量に変換されることもないであろう。
【表1-1】
【表1-2】
【0300】
生分解性トラボプロスト粒子の調製
製剤1a、1b、2または3のいずれかに従ってトラボプロストインプラントを調製するために、トラボプロストがポリラクチド(PLA)と混合されるトラボプロスト粒子がまず水中油型乳化溶媒蒸発/抽出技術によって調製された。ポリラクチドとトラボプロストをジクロロメタン(DCM)に溶解して、プロセスで分散相(DP)として記載されている単相溶液を調製した(表2aを参照のこと)。異なる分子量のポリマーは4A、7A、9A、及び5.5EのPLAとして記載され、その際、数値は、PLA分子量に相関するクロロホルム中のポリマーの目標固有粘度(IV)を指定し、文字の接尾辞は酸(A)またはエステル(E)の末端基を指定する。30℃にて0.5%w/vクロロホルムで測定した場合、4AのPLAは0.35~0.45dl/gの固有粘度規格を有し;7AのPLAは0.60~0.80dl/g以下の固有粘度規格を有し、9AのPLAは0.80~1.0dl/gの固有粘度規格を有する。ポリラクチドの固有粘度の測定の詳細は以下の表2bに示されている。25℃にて0.1%w/vクロロホルムで測定した場合、5.5EのPLAは0.55~0.75dl/gの固有粘度規格を有する。DPは、PVAが乳化剤として機能する連続相(CP)として知られる約1%(w/w)のポリビニルアルコール(PVA)水溶液の流れにシリンジポンプを介して注入された。注入は、DPを新生の微粒子に分散させるためにインラインホモジナイザーを通過する直前に発生した。この導入段階での連続水性相への分散相の添加は、硬化して一次エマルジョンを生成する前に液滴を分散させる時間を与えた。次に、CPの流れにおけるこれらの新生の微粒子は、制御された温度に維持されたジャケット付き反応器内の撹拌しているCP(クエンチ媒体)に流れ込んだ。このエマルジョンを急冷媒体中で一晩撹拌して、DCMを抽出及び蒸発させ、微粒子を硬化させた。得られた微粒子を洗浄し、振動ふるい撹拌機を使用して適切なサイズの画分にふるい分けた。次に、これらの微粒子(トラボプロストを負荷した4AのPLA、7AのPLA、9AのPLA、または5.5 EのPLA)をガラスバイアルに収集し、凍結乾燥して、OTX-TIC(トラボプロスト)インプラントの製造用の乾燥微粒子を得た。トラボプロストを負荷した微粒子はふるい分けで測定された20~53μmの範囲の直径を有する。レーザー回折で測定した微粒子の平均直径は35μmである。
【表2】
【表3】
【0301】
トラボプロストインプラントの調製
一般的な手順
凍結乾燥した微粒子(4A、7A、9A、及び5.5E、表1に示す配合に応じて)を混合し、シリンジ内にて所定の比率で秤量し(上記の表2aを参照)、注射用水(WFI)に懸濁した。15μg及び26μgのための4A(20%)、7A(20%)、9A(10%)、及び5.5E(50%)PLA微粒子のブレンド、製剤1a、1b OTX-TICインプラント、15μgのための4A(25%)、7A(40%)、9A(35%)のPLA微粒子のブレンド、製剤2 OTX-TICインプラント、及び5μgのための4A(47%)、7A(53%)PLA微粒子のブレンド、製剤3 OTX-TICインプラントを製剤化した。マルチアームPEG前駆体溶液はシリンジ内でリン酸一ナトリウムまたはWFIに個別に溶解した。トリリジン酢酸塩またはトリリジン酢酸塩/NHS-フルオレセイン緩衝液をシリンジに移した。すべてのシリンジを真空下に置いた。微粒子とPEG前駆体のシリンジをまず混合し、次にTLAまたはTLA/FL緩衝液と組み合わせて、ヒドロゲル形成を開始した。得られた懸濁液を小さなIDチューブに注入した。表3は各製剤間の差異を強調している。
【表4】
【0302】
15μg及び26μg用量のトリリジン酢酸塩/NHSフルオレセイン(TLA/FL)溶液及びシリンジ;製剤1a及び1bの調製
トリリジン酢酸塩(TLA)の量は、緩衝水溶液に混合したときにPEGヒドロゲルネットワークを形成する反応性PEG末端基に対するアミンの1対1のモル比に基づいて計算された。
【0303】
TLA溶液はリン酸水素ナトリウム緩衝液で調製した。1NのNaOHを添加することによって溶液のpHを8.40±0.05に調整し、TLA及びNHS-フルオレセイン(FL)に最適な反応環境を提供した。調整後、NHS-フルオレセインをTLA溶液のバイアルに加えた。バイアルに蓋をしてボルテックスし、NHS-フルオレセインを溶解した。TLA/FL溶液をアルミホイルで覆ったバイアルに残し、室温で1~24時間反応させた。
【0304】
反応時間の終わりに、溶液のpHを測定し、事前定義された容量のTLA/FL溶液を4つの別々のシリンジにピペットで移した。シリンジをビーカーに直立させ、溶液を脱気するために真空チャンバーに移した。
【0305】
15μg用量のトリリジン酢酸塩(TLA)溶液とシリンジ;製剤2及び5μg用量;製剤3の調製
トリリジン酢酸塩(TLA)の量は、緩衝水溶液に混合したときにPEGヒドロゲルネットワークを形成する反応性PEG末端基に対するアミンの1対1のモル比に基づいて計算された。TLA溶液はリン酸水素ナトリウム緩衝液で調製した。混合の終わりに、溶液のpHを測定し、事前定義された量のTLA溶液を4つの別々のシリンジにピペットで移した。シリンジをビーカーに直立させ、溶液を脱気するために真空チャンバーに移した。
【0306】
微粒子シリンジの調製
15μg及び26μgの用量(製剤1a及び1b)については、各微粒子シリンジは事前定義された比率の4AのPLA、7AのPLA、9AのPLA、及び5.5EのPLAの微粒子を含有した(上記の「一般的な手順」を参照)。15μgの製剤2の用量については、各微粒子シリンジは、事前定義された比率の4AのPLA、7AのPLA、及び9AのPLAの微粒子を含有した(上記の「一般的な手順」を参照)。5μgの製剤3の用量については、各微粒子シリンジには事前定義された比率の4AのPLA、及び7AのPLAの微粒子を含有した(上記の「一般的な手順」を参照)。微粒子を秤量した後、合計4つのシリンジのそれぞれにWFIを加え、微粒子を懸濁した。シリンジをビーカーに直立させ、懸濁液を脱気するために真空チャンバーに移した。
【0307】
PEGシリンジの調製
事前定義された量の8a15KのPEGを秤量し、4つの異なるシリンジに移した。15μg及び26μgの用量(製剤1a及び1b)については、リン酸一ナトリウム溶液を各シリンジにピペットで移し、8a15KのPEG-SAZを溶解した。15μgの製剤2及び5μgの製剤3については、WFIを各シリンジにピペットで移して8a15KのPEG-SGを溶解した。PEG溶液は調製後60分以内に使用した。シリンジをビーカーに直立させ、溶液を脱気するために真空チャンバーに移した。
【0308】
キャスティング
各試行について、微粒子シリンジとPEGシリンジをメスからメスのルアーコネクターによって接続した。ゆっくりと均一な圧力を使用して、各シリンジの内容物を前後に(1パスずつ)、合計25~50回通過させてシリンジの内容物を一緒に混合した。懸濁液を単一のシリンジに引き込み、次いでTLA/FL(15μg及び26μg用量の製剤1a及び1b)またはTLA(15μg用量の製剤2及び5μg用量の製剤3用量)のシリンジに接続した。シリンジの内容物が最初に混合されたとき、懸濁液がゲル化する時間を測定するために、較正されたストップウォッチを開始させた。ゆっくりと均一な圧力を使用して、各シリンジの内容物を前後(1パスずつ)に合計25~50回通過させ、PEG/微粒子/TLA/FL(15μg及び26μg用量の製剤1)またはPEG/微粒子/TLA(15μg用量の製剤2及び5μg用量の製剤3用量)の懸濁液を作り出した。懸濁液を1つのシリンジに引き込み、刺激して余分な空気を取り除いた。
【0309】
懸濁液がまだ液体の状態である間に、シリンジをチューブに接続し、懸濁液をチューブに注入した。チューブが一杯になったら、下端にキャップを付け、シリンジから取り外し、キャスティング端にキャップを付ける。残りの11本のチューブに、ゲルが固まるまで同じ方法で充填した。
【0310】
シリンジのセットごとのすべてのチューブに蓋をした後、残りの懸濁液の少量をスライドガラス上に置いてゲル形成をモニターした。懸濁液がストランド形成し始めるまで(すなわち、完全なタッピングサイクルの間、ピペットチップに接続されたまま)、懸濁液をピペットチップで穏やかにたたいた。これを各シリンジセット(合計4回の試行またはシリンジセット)に対して繰り返した。
【0311】
乾燥
乾燥中にヒドロゲルストランドをぴんと張った状態に保持する乾燥固定具にチューブを配置した。各乾燥固定具は、一度に最大6本のストランドを保持してもよい。乾燥固定具を、窒素の流れ(10L/分)で33℃に設定されたインキュベーター内に水平に配置した。ヒドロゲルストランドは乾燥のためにインキュベーター内に48~72時間とどまった。
【0312】
切断及びインプラントの検査
乾燥したストランドをチューブから取り出し、取り出しプロセス中に損傷したストランドを廃棄した。ストランドは、ストランドを約2.0mmの長さのインプラントに切断するカッターに供給された。切断プロセス中、各シリンジの試行を、バッチ番号、部品番号、及び関連する試行番号で指定され、「未検査」とラベル付けされた滅菌透明バイアルに回収した。薬物インプラントのバイアルをすぐに検査しなかった場合は、グローブボックス内の無水窒素のブランケットの下で密封し、冷蔵した。
【0313】
製剤1a、1b、2、及び3のトラボプロストインプラントの最終的な化学組成と重量を表1に示す。製剤1a、1b、2、及び3のトラボプロストインプラントの物理的特性を表4に示す。
【表5】
【0314】
個々のOTX-TIC医薬品それぞれは、薬物インプラントを360°回転させ、視覚システムまたは顕微鏡を使用して視覚的な隙間または異物粒子のない円筒形を評価することによって視覚的に検査された。目視検査に合格したインプラントは、用量及び強度ごとに必要な仕様に合わせて寸法検査された(表5を参照)。
【表6】
【0315】
処理プロセスでの視覚、長さ、または直径の要件を満たさなかったOTX-TICインプラントは「検査不合格」と明確にラベル付けされた別々のバイアルに入れた。
【0316】
目視検査及び寸法検査に適合したOTX-TICインプラントは、グローブボックス内の無水窒素のブランケットの下で密封し、冷蔵した。
【0317】
OTX-TIC(トラボプロスト)インプラントの詰め込み
すべての処理プロセスでの仕様を満たすOTX-TICインプラントは詰め込み用に調製された。単一のOTX-TICインプラントをシリンジ(27G(5μg及び15μg用量の製剤)または26G(26μg用量)1/2”超薄壁滅菌針)アセンブリに詰め込み、剥離可能なホイル-LDPEラミネートポーチに密封した。
【0318】
実施例2:特徴付け
実施例2a:試験管内放出の測定
OTX-TICからのトラボプロストの試験管内放出は、水浴中の60mlポリプロピレンボトルにおける50mlの1×PBS、0.5%ヒマシ油、0.01%フッ化ナトリウム緩衝液(pH7.2~7.4、37℃)にて10個のOTX-TICインプラントを使用する模擬生理学的シンク条件下で実行する。試料採取は、220nmでのUV検出を備えた超高速液体クロマトグラフィーを使用するC18逆相カラムでの後続の試料分析のために事前に決定された時点で実行する。
【0319】
37℃でのOTX-TIC試験からのトラボプロストの試験管内放出の結果を
図1aに示す。トラボプロストの放出時間は表3に示すように、トラボプロストを負荷したPLA微粒子ブレンドに依存する。
【0320】
製剤1a、1b、2、及び3で構成されるインプラントの試験管内放出(割合という点で表される)についての
図1aに対応するデータ点を以下の表6に示す。7日間あたりの試験管内放出値(ナノグラムで)を以下の表7に示す。
【表7】
【0321】
放出が40℃で測定されることを除いて、上記で示されたような同じ条件下で測定された製剤1a、1b、2及び3のトラボプロスト試験管内放出を
図1bに示す。
【表8】
実施例2b:インプラントの完全性/柔らかさ
【0322】
インプラントの完全性は、眼の前眼房の組織(特に虹彩角膜角)に関するインプラントの柔らかさの定性的パラメーターと見なすことができる。インプラントの完全性は、以下のボックスに示されている基準に基づいて決定された。コホート1~4についての製剤1a、1b、2、及び3の対応する結果を
図1cに示す。
【表9】
【0323】
実施例2c:乾燥インプラントの含水量
この実施例では、乾燥状態にある本発明の前房内インプラントの含水量を決定するためのプロトコールが記載されている。
1.0 目的
Karl Fischerクーロメトリー法を使用したトラボプロスト小管内インサート(OTX-TP)の含水量を決定するのに使用される手順を説明すること。
2.0 範囲
この手順は、含水量決定を必要とするOTX-TPトラボプロスト小管内インサートに適用される。
注:この試験方法はTP-1332/TR-1297方法検証に従って検証された。
トラボプロスト小管内デポーの最適化された含水量測定
プロトコール/報告
3.0 参照文書
文書番号表題
SOP-10050天秤
SOP-10053グローブボックス
SOP-10080MetrohmのKarl Fischerクーロメーター(874オーブン試料付き)
Tiamoソフトウェアを使用するプロセッサー
TP-1332トラボプロスト小管内デポープロトコールの最適化された含水量測定のための方法検証
TP-1297トラボプロスト小管内デポー報告の最適化された含水量測定のための方法検証
4.0 試薬、材料、及び機器
Hydranalの水基準-KFオーブン140~160℃
4.1.1 参照標準。正確な水の%は各ロットの分析証明書に指定されている
試薬
4.2.1 HydranalのクーロマットAGオーブン陽極液
材料
4.3.1 分子篩、0.3nm(VWR P/N:EM-MX1583D-1または同等品)
4.3.2 磁気撹拌バー
4.3.3 クリンパー
4.3.4 セプタム付きクリンプキャップが付いた20mmバイアルKarlFischerバイアル
装置
4.4.1 分析天秤
4.4.2 窒素ガス供給が調節された携帯型グローブボックス
4.4.3 流量計、調節された窒素供給とグローブボックスの間のインラインで。
4.4.4 オーブン試料、プロセッサー(自動試料採取器)とDosinoのボトル栓分配器を備えたKarl Fischerクーロメトリー滴定装置
4.4.5 Tiamoソフトウェアを備えたKarl Fischerクーロメトリー滴定装置
5.0 機器の設定
SOP-10053グローブボックスによって携帯型グローブボックスを設定する。確実に流量計を垂直にしっかりと置く。ソフト停止が達成されるまで反時計回りにダイヤルを回転させて流量計のバルブを全開にする。調節された窒素供給でバルブを開き、必要に応じてレギュレーターを調整して少なくとも約2~3psiの窒素の流れを達成する。これは「全開流量」の窒素である。グローブボックスを全開流量で少なくとも30分間パージする。
機器のセットアップと分析手順にTiamoソフトウェアを使用して874オーブン試料プロセッサー付きSOP-10080のKarl Fischerクーロメーターを参照する
6.0 ブランクの調製
卓上ブランクの調製―3つ組で実行する(n=3)―システムの好適性
ブランク
6.1.1 卓上条件で少なくとも30分間空のバイアルを平衡化する。
6.1.2 標準的な調製の前に空のバイアルを圧着密封する。
6.1.3 自動試料採取器にバイアルを置く。
6.1.4 セクション9.0に従ってブランクの含水量を分析する。
グローブボックスのブランクの調製―3つ組で実行する(n=3)―試料ブランク
6.2.1 空のバイアルを全開流量窒素下で少なくとも30分間平衡化する。
6.2.2 試料の調製の前に空のバイアルを圧着密封する。
6.2.3 自動試料採取器にバイアルを置く。
6.2.4 セクション9.0に従ってブランクの含水量を分析する。
7.0 基準の調製
水基準の調製―3つ組で実行する(n=3)
7.1.1 卓上条件で少なくとも30分間空のバイアルを平衡化する。
7.1.2 SOP-10050天秤による分析天秤によってHydranal水基準の50.0±5.0mgを卓上条件で少なくとも30分間平衡化されたバイアルに直接量り込む。
7.1.3 基準の正確な重量と含水量(CoAから)をTiamoソフトウェアにて適切な行に記録する。
7.1.4 バイアルを圧着シールし、自動試料採取器に配置する。
7.1.5 セクション9.0に従って含水量の基準を分析する。
階層区分基準の調製
7.2.2 卓上条件で少なくとも30分間空のバイアルを平衡化する。
7.2.2 SOP-10050による分析天秤によってHydranal水基準の50.0±5.0mgを卓上条件で少なくとも30分間平衡化されたバイアルに直接量り込む。
7.2.3 基準の正確な重量と含水量(CoAから)をTiamoソフトウェアにて適切な行に記録する。
7.2.4 バイアルを圧着シールし、自動試料採取器に配置する。
7.2.5 セクション9.0に従って含水量の基準を分析する。
8.0 試料の調製
OTX-TP小管内挿入試料の調製―3つ組で実行する(n=3)
8.1.1 試料のバイアル及びキャップを全開流量窒素下で少なくとも30分間平衡化する。
8.1.3 キャップをバイアルの上に緩く置き、グローブボックスから取り外す。
8.1.3 各試料について空のバイアルとキャップの重量を取得し、試料調製の期間中、バイアルとキャップが一致していることを確認する。正確な重量を記録する。
8.1.4 グローブボックスにてバイアルとキャップを交換する。グローブボックスを全開流量窒素下で最低5分間再平衡化させる。
8.1.5 試料調製の直前に、4±1L/分に達するまで流量計のダイヤルを調整する。これは、流量が4L/分を下回るまで最初にダイヤルを時計回りに回転させ、次にダイヤルを反時計回りに回転させて4L/分に戻すことによって達成される。フロートの中央で流量を読み取る。
8.1.6 各試料について、キャップを取り外し、30個のOTX-TP小管内インサートを1つのバイアルに入れる。
8.1.7 密封キャップをバイアルに圧着する。
8.1.8 グローブボックスから密封されたバイアルを取り出し、インサートが入っているバイアルの重量を取得する。正確な重量を記録する。
8.1.9 試料重量の計算:試料重量(mg)=インサート入りバイアルの重量(mg)-空のバイアルの重量(mg)
8.1.10 適切な試料ラインのもとでTiamoソフトウェアにて試料の正確な重量を記録する。
8.1.11 自動試料採取器に試料を置く。
8.1.12 セクション9.0に従って含水量について試料を分析する。
8.1.13 試料は機器の周囲条件下での調製後4時間安定である。
9.0 分析手順
手順の参照
9.1.1 この手順を使用して得られたブランクの典型的なKarl Fischerプロットについては
図1dを参照のこと。
9.1.2 この手順を使用して得られた水基準の典型的なKarl Fischerプロットについては
図1eを参照のこと。
9.1.3 この手順を使用して得られたOTX-TP試料の典型的なKarl Fischerプロットについては
図1fを参照のこと。
9.2 オーブン試料プロセッサーシステムを備えたKarl Fischer滴定装置が以下のパラメーターに設定されていることを確認する。
【表10】
共通変数9.3.1 Tiamoソフトウェアでは、基準注入と試料注入に適切なブランク値が確実に適用されるようにするために2つの共通変数が必要である。周囲条件下で作成された基準は、周囲条件下でブランクを調製することによって周囲の水分について補正される。窒素下でグローブボックス内で調製された試料は、グローブボックス条件下でブランクを調製することによってグローブボックスの水分について補正される。
9.3.1.1 共通変数#1―システム好適性ブランク:この共通変数は3回の「システム好適性ブランク」注入の平均ブランク値を特徴とする。この共通の変数値は、「システム好適性基準」及び「階層区分基準」の注入の含水量値を決定するのに使用される。
9.3.1.2 共通変数#2-試料ブランク:この共通変数は3回の「試料ブランク」注入の平均ブランク値を特徴とする。この共通の変数値は試料注入の含水量値を決定するのに使用される。
注:使用される共通変数の要約については、以下の表を参照のこと。
【表11】
Karl Fischer分析
9.4.1 前に注入したブランクバイアルの1つを位置1で自動試料採取器に負荷し、もう1つを「条件」位置に負荷する。これらはシステムの調製(平衡化)用である。以前に注入されたブランクバイアルが利用できない場合は、圧着したての空のバイアルを使用のこと。Tiamoにおける「KFシステム調製」の方法を使用して試行ごとに開始時にシステム調製を実行する。
注: 圧着したての空のバイアルの場合
9.4.2 Tiamoの「システム好適性ブランク」の方法を使用して各システム好適性ブランクバイアル(n=3)を1回注入する。
9.4.3 Tiamoの「KF卓上基準」の方法を使用して各水基準バイアル(n=3)を1回注入する。
9.4.4 Tiamoの「試料ブランク」の方法を使用して各グローブボックスの試料ブランクバイアル(n=3)を1回注入する。
9.4.5 Tiamoの「KFグローブボックス試料」の方法を使用して各グローブボックスの試料バイアルを1回注入する。
9.4.6 システムチェックとして、15試料ごとの後で、及びに分析の終了時にTiamoの「KF卓上基準」の方法を使用して階層区分基準バイアルを注入する
9.5 実施例の注入の順序
【表12】
システム好適性基準
9.6.1 水基準の3回の連続注入について水%のパーセント相対標準偏差(%RSD)を計算する。水%のRSDは2.0%以下でなければならない。
9.6.2 Tiamoソフトウェアは、CoAの含水量に対する基準注入の含水量の回収率を計算するであろう。
9.6.2.1 第3の基準に記載されている総平均含水量回収率は、95.0~105.0%の範囲内になければならない。
9.6.3 以下のように、3つのシステム好適性基準の合計平均含水率に対する階層区分基準の水の回収率を計算する。
【数1】
9.6.3.1 階層区分の基準回収率は95.0~105.0%の範囲内でなければならない
10.0 試料の計算
Tiamoソフトウェアは各試料の水%を自動的に計算する。
10.1.1 水%値が(<)1.0%未満の各試料は「<1.0%」として報告される
10.1.2 水%値が1.0%以上(≧)の各試料は小数点以下2桁までの値を報告する。3つの試料の平均水%を計算する。
10.2.1 3つの試料すべての水%が1.0%未満の場合、平均水%の結果を「<1.0%」として報告する。
10.2.2 試料の水%が1.0%以上の場合は、≧1.0%の値を使用して平均水%を計算する。<1.0%の値は平均水%の計算には含めないであろう。
10.2.2.1 平均水%を小数第1位まで報告する。
【0324】
実施例3:臨床第1相試験
原発性開放隅角緑内障(OAG)または高眼圧症(OHT)の対象におけるOTX-TIC(トラボプロスト)前房内インプラントの安全性、忍容性、及び有効性を評価するための前向き多施設非盲検第1相試験が実施された。
【0325】
試験目的
主な試験目的は、原発性OAGまたはOHTの対象におけるOTX-TIC(トラボプロスト)前房内インプラントの単回投与の安全性、忍容性、及び有効性を評価することだった。
【0326】
試験評価細目
安全性評価細目
治験責任医師は注入手順の容易さを等級分けした。安全性評価細目はインプラントの注入直後(1時間以内に)評価され、試験全体を通して継続された。
安全性評価には
・有害事象の報告(有害事象は、手順に関連しているかどうかを判定するために評価された)
・対象の眼の快適さの評価
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・細隙灯生体顕微鏡検査
・隅角鏡検査法
・眼底検査
・スペキュラマイクロスコープによる内皮細胞数
・角膜厚測定
・前眼部(AS)-OCT
・自動視野
・OCT視神経NFL
・後眼部OCTが含まれた。
【0327】
有効性評価細目
有効性評価細目は
・日ごとのIOP(午前8時、午前10時、午後4時)はベースライン、14日目(来診5)、42日目(来診7)、85日目(来診8)、4ヵ月目(来診9)、6ヵ月目(来診11)にチェックした。
・加えて、注入日、3、7、及び28日目、5ヵ月目(来診10)の午前8時に眼圧をチェックした。
【0328】
探索的評価細目
インプラントが安全に注入されてもよいように虹彩角膜角に十分な空間があるかどうかを判定するために、治験責任医師は角膜鏡検査を使用して虹彩角膜角のサイズを決定した。マスクされた読み取りセンターによって読み取られたAS-OCTを利用した角度の決定の比較は探索的評価項目として役立った。
【0329】
試験設計
これは多施設非盲検第1相臨床試験であった。この試験では4つのコホートのうちの1つで19人の対象を治療した。
・コホート1(実施例1に記載されているような15μg、製剤1a)は5人の対象から成り、それぞれ片方の眼に単回のインプラントを受けた。
・コホート2(実施例1に記載されているような26μg、製剤1b)は4人の対象から成り、それぞれ片方の眼に単回のインプラントを受けた。
・コホート3(実施例1に記載されているような15μg、製剤2)は5人の対象から成り、それぞれ片方の眼に単回のインプラントを受けた。
・コホート4(実施例1に記載されているような5μg、製剤3)は5人の対象から成り、それぞれ片方の眼に単回のインプラントを受けた。
【0330】
対象は、約7ヵ月間追跡されることを目的としていた(OTX-TICインプラントの注入後1ヵ月の洗い流しと6ヵ月の経過観察)。しかし、いくつかはさらに長く続いた。
【0331】
生物活性が認められた場合、またはインプラントが6ヵ月の来診時に存在した場合、対象はIOPがベースライン測定値の10%以内になるまで、または対象が臨床的に安定していると治験責任医師が考えるまで、毎月観察された。
【0332】
対象の選択
試験集団
この試験に登録された対象は、試験眼に安定した原発性OAGまたはOHTを有し、局所投薬を管理された、または治療を受けていなかった。該当する場合、現在のIOP降下薬は、スクリーニング来診(来診1)の開始時に停止された。1日目の無作為化の前に、適格な対象は4~6週間の洗い流し期間を完了した。治験責任医師がスクリーニング来診前の過去8週間にわたって対象に追加のIOP降下療法を推奨せず、治験責任医師による評価に基づくいずれかの眼において機能的に有意な中心視野喪失の証拠を示さなかった場合、または治験責任医師の評価に基づいてどちらかの眼にて昨年内に有意な進行性視野喪失を記録した場合、対象は安定していると見なされた。洗い流し期間に続いて、適格な対象は以下の選択基準に記載されているようなベースラインIOPを有する必要があった。双方の眼が適格である場合(すなわち、すべての選択基準を満たし、且つ除外基準のいずれも満たさない場合)、洗い流し期間後のベースラインIOPが最も高い眼が試験眼だった。双方の眼が適格であり、且つ洗い流し期間後に双方の眼が同じベースラインIOPを有していた場合、右眼が試験眼として選択された。
【0333】
選択基準
いずれかの性別の個人が:
1.スクリーニング時に18歳以上であった
2.試験眼にてOHTまたは原発性OAGの診断書を有した
3.現在管理されているIOPを有した(治験責任医師による評価)
4.試験眼において現在の治療(必要な場合)の4~6週間の洗い流し期間後の平均ベースラインIOPが:
5.洗い流し期間後のベースライン来診2(0日目)の0時間目(T0)で24mmHg以上及び36mmHg以下、及び
6.(T0+2時間)にて22mmHg以上であった
7.角膜内皮細胞に接触することなくインプラントを入れるのに十分な、開いた、正常に見える前房角(角膜鏡検査によって決定される)、すなわち、等級3(20°~35°、強膜棘が見える)または等級4(35°~45°、毛様体が見える)のShaffer-Etienne分類によるアプローチ20°以上の角度を試験眼に有した
8.すべての試験要件に準拠することができた
9.書面による署名されたインフォームドコンセントを提供した場合、
彼らは試験参加に適格だった。
【0334】
除外基準
個人が:
1.閉鎖隅角緑内障、狭角緑内障、偽落屑症候群、偽落屑緑内障、色素分散または色素性緑内障、15歳より前の緑内障診断、炎症性、血管新生または他の続発性の緑内障が試験眼にあった
2.試験眼の前眼房における前房内インプラントの既往歴があった
3.角膜厚測定の前(3日)及び試験全体を通してコンタクトレンズの使用を中止することを望まなかった
4.プロスタグランジン(すなわち、トラボプロスト)、フルオレセイン、または試験製品の任意の成分に対する既知または疑わしいアレルギー及び/または過敏症を有した
5.角膜または他の眼または付属器の異常があり、どちらかの眼の信頼できる圧平眼圧測定を妨げていた
6.どちらかの眼の中心角膜厚が480μm未満または620μmを超えていた(または眼間の差が70μmを超えていた)
7.治験責任医師によって評価されたように試験眼にて>0.8の陥凹乳頭径比(水平または垂直の測定)を有していた
8.治験責任医師による評価に基づいて試験眼にて機能的に有意な中心視野喪失を有した、または昨年中に有意な進行性視野喪失が記録された
9.いずれかの眼にて過去3ヵ月以内に、活動性の眼瞼炎または眼疾患(すなわち、中等度または重度の眼瞼炎、マイボーム腺炎、乾性眼疾患、眼感染症(ウイルス性または真菌性、または再発性細菌性)、強膜炎、ブドウ膜炎、または角膜浮腫を有した
10.内皮細胞数が1,800細胞/mm2未満であった、及び/または試験眼に他の内皮異常があった(スペキュラマイクロスコープに基づいており、中央読み取りセンターによって確認された)
11.内皮細胞数が1,800細胞/mm2未満であった、及び/または非試験眼に他の内皮異常があった(スペキュラマイクロスコープに基づいており、中央読み取りセンターによって確認された)
12.試験眼において過去6ヵ月以内に重大な眼の外傷の病歴を有した
13.試験眼の虹彩の下180°に末梢虹彩切開術/虹彩切除術の病歴を有した
14.治験責任医師の意見では、インプラントの挿入中にリスクが高い対象にて出血性の薬物使用障害の病歴があった
15.過去6ヵ月以内に試験眼にて眼科手術処置(例えば、緑内障レーザー、低侵襲緑内障手術、屈折手術)があった、または試験期間中に眼科手術が必要になる。Cypassインプラントによる試験中に治療を受ける登録または受ける予定がある対象は除外された
16.試験眼に角膜移植の既往歴を有した
17.増殖性糖尿病性網膜症を患っていた、またはいずれかの眼に黄斑浮腫の病歴があった
18.制御不能な全身性疾患または衰弱性疾患(例えば、心血管、高血圧、制御不能な糖尿病、または嚢胞性線維症)を有した
19.過去30日以内に米国内または米国外の治験薬に関する試験に参加したことがある
20.試験の管理、施行、または支援に直接関与している施設の従業員であったか、その施設の直接の家族だった
21.試験期間中、適切な避妊法を使用せずに、登録時に妊娠していた、または授乳中、または出産の可能性があった場合、
彼らは試験参加に適格ではなかった。
【0335】
試験データの収集
試験時間及び事象スケジュールを表8に提示する。
【表13】
【表14-1】
【表14-2】
【表14-3】
【0336】
試験の観察及び手順
対象のスクリーニング及びインフォームドコンセント
試験に登録する前に、対象は潜在的な適格性を判定するために評価された。治験責任医師と治験スタッフは経過観察要件を満たす対象の意欲と能力を判定した。対象が試験への参加を希望する場合は、試験特有の検査を実施する前に、書面によるインフォームドコンセントを取得した。スクリーニングとベースラインの評価の完了後、対象がすべての適格基準を満たしているかどうかについて、治験責任医師と治験スタッフによって決定が行われた。対象が適格基準を満たし、参加することに同意した場合、対象は登録された。
【0337】
対象がインフォームドコンセントに署名した時点で、対象は試験に登録されていると見なされた。対象が試験の資格を得て無作為化されたら、対象が試験に割り当てられた治療を受けたかどうかにかかわらず、対象を追跡する必要があった。
【0338】
OTX-TICインプラントの注入が上手く行かなかった場合、eCRFにて注入不具合の理由を、AEではなく注入不具合として記録する;そして、対象は医学的に適切である限り追跡された。
【0339】
スクリーニング不適格
登録された、すなわち、インフォームドコンセント文書に署名したが、スクリーニング評価中またはOTX-TICによる治療前にではなくベースライン来診時に不適格であると決定された対象は、スクリーニング不適格とみなされ、試験から除外され、且つ追加の試験経過観察来診を求められなかった。スクリーニング不適格の理由(複数可)はeCRFに記録された。
【0340】
適格基準に合格しなかった対象がスクリーニング中またはベースライン来診中にAEを経験した場合、AEが解決する、または安定するまで対象は追跡された。
【0341】
対象の離脱
試験で治療された対象はすべて、このプロトコールに記載されているような経過観察スケジュールを順守することを求められた。
【0342】
対象は、危険や偏見なしに、且つ治験責任医師による臨床ケアを損なうことなく、いつでも理由を問わず臨床試験を中止してもよい。治験責任医師はまた、併発疾患、AE、プロトコール違反、及び/または管理上の理由が発生した場合に、対象を試験から離脱させる権利を有していた。
【0343】
治療後に同意を撤回した対象については、可能な限り、撤回の理由(複数可)が試験終了eCRFにて文書化された。対象は、試験から離脱する前に、前房内インプラント(配置されている場合)の除去のために戻ることが奨励されたが、必要ではなかった。
【0344】
試験からの離脱がAEまたは死亡の結果である場合、AEフォームも記入した。AEの結果として対象が試験から離脱した場合、AEが解決するまたは安定するまで、治験責任医師は対象を追跡するためにあらゆる試みを行うことになる。
【0345】
非準拠または追跡不能の対象に連絡するためのあらゆる試みが行われ、そのような試みは対象の試験記録に文書化された。
【0346】
OTX-TIC(トラボプロスト)前房内インプラントを受けた後に試験から離脱した対象は差し替えられなかった。
【0347】
製品の誤作動
OTX-TIC(トラボプロスト)前房内インプラント注入器のすべての誤動作は適切なeCRFに文書で記録され、24時間以内にOcular Therapeutixに報告された。Ocular Therapeutixは、前房内インプラントが分析のためにどのように反映されるかを通知した。誤動作の発生率は最終的な分析に含まれるであろう。
【0348】
治療のポイント
対象が試験への参加資格があると判定され、洗い流し期間を含むすべてのスクリーニング評価を完了すると、治験責任医師は治療前に適格性を確認した。
【0349】
この試験では、4つの考えられるコホート:15μg(実施例1に記載されているような製剤1a)、26μg(実施例1に記載されているような製剤1b)、15μg(実施例1に記載されているような製剤2)、及び5μg(実施例1に記載されているような製剤3)の1つで19人の対象(コホートあたり約5人の対象)を治療した。
【0350】
対象は、この試験の一部としてOTX-TICで治療された片方の眼はだけを有してもよく;その眼は試験眼SEとして指定された。双方の眼が試験登録の対象となる場合、SEはプロトコールで説明されている洗い流し期間後のIOPが最も高い眼に基づいて選択された。洗い流し期間後に両眼のIOPが同じである場合は、右眼をSEとして選択した。
【0351】
データ安全性監視委員会(DSMC)はコホート2に対象を登録する前にコホート1の安全性データを確認した。
【0352】
コホート1が完全に登録され、コホート1の各対象についてのOTX-TICのすべての安全性及び忍容性のデータ(2週間の最少限の経過観察データ)は任意の対象がコホート2に参加する前に評価された。コホート2に対する用量上昇はDSMCの推奨に基づき、医療モニター(MM)または治験依頼者によって決定された。
【0353】
コホート4は低用量であり、インプラントはコホート1、2、及び3で調べた用量よりも短い期間持続するので、コホート3及び4は並行して開始された。
【0354】
コホート2の用量群で1つの用量制限毒性(DLT)が確認された場合、登録は継続された;しかしながら、別のDLTが特定された場合は、以前の(さらに低い・コホート1)用量がMTDとして断言された。しかしながら、MTDはなかった。
【0355】
非試験眼(NSE)として指定された反対側の眼は、必要に応じてトラバタンZで治療された(禁忌でなければ)。NSEの治療は試験期間中一貫したままだった。眼の評価はすべて、来診のすべてにて両眼で行われた。
【0356】
併用薬物
スクリーニング来診の最大3年前からの併用した眼科薬及び全身薬、処方薬または市販薬の使用は、薬が服用された理由とともに、スクリーニング来診から開始して試験の終了までの対象の医療記録及び対応するeCRFに記録される必要があった。抗生物質、NSAID、またはステロイドを除いて、IOP測定及び挿入手順(すなわち、ベタジンまたは局所麻酔薬)を含む眼科評価に使用されるハーブまたはビタミンサプリメント及び拡張剤及び他の標準的なケア滴下剤の使用は記録されなかった。
【0357】
薬物及び治療に関連して以下の制約が適用された:
・局所または全身の眼圧降下薬は、試験治療を除いて試験期間中は使用されるものではなかった。現在OAG/OHTのプロスタグランジン類似体を服用している対象のスクリーニングとベースライン来診(来診2、0日目)の間の投薬のための洗い流し期間は約4~6週間だった。
・注:対象の現在の高眼圧薬は、洗い流し期間中のIOP上昇による対象への潜在的なリスクを最小限に抑えるために、さらに短い洗い流し期間を必要とするものに置き換えてもよい。(たとえば、現在4~6週間の洗い流しを必要とするプロスタグランジンを服用している対象は、代わりに炭酸脱水酵素阻害剤を3週間服用し、次いで来診2(0日目)での試験に含める前に1週間で炭酸脱水酵素阻害剤の洗い流しを可能にする。
・全身性ベータ遮断薬は許可されたが、スクリーニングの8週間前から最終試験来診までのベータ遮断薬含有薬の全身投薬計画の開始または変更は除外された。
・短期吸入(マウスピースを使用)、局所注射、経鼻、及び局所皮膚のステロイドの使用が許可され、使用された場合はeCRFに記録されるべきだった。
・任意の経路で投与され、スクリーニング前の8週間、安定した用量になかった慢性基準で使用された薬物または物質。
・非診断的局所点眼液(試験治療以外)はベースライン来診から試験期間中は使用できなかった。注:人工涙液または眼の潤滑剤の使用は回避されるべきだったが、必要に応じて、断続的な使用は許可されてもよい。
・スクリーニング来診後の試験中のどの時点でも、コンタクトレンズは使用されるべきではなかった。加えて、コンタクトレンズの装用は角膜厚測定の前に最低3日間、中止する必要があった。
【0358】
救済療法
試験のいずれかの時点で、治験責任医師がIOPが適切に制御されていないと判定した場合、対象の安全を確保するために治験責任医師の裁量で救済療法としてIOP降下点眼剤が提供された。IOP降下薬は適切なeCRFに記録された。
【0359】
試験評価
スクリーニング評価:ベースライン来診の最大4~6週間前
スクリーニング来診時に、対象の試験参加の適格性は、上記で指定されたようなすべての選択基準と除外基準をそれぞれチェックすることによって判定された。対象が選択基準または除外基準の1つに不合格であった場合、その対象はスクリーニング不適格であり、それ以上の評価は行われなかった。
【0360】
これらの評価の手順の詳細は以下に見いだされ、来診のたびに両眼が評価された。以下:AS-OCT、OCT視神経NFL、後眼部OCT、内皮細胞数の評価は読み取りグセンターの試験マニュアルに従って実施された。
【0361】
以下の手順と評価はベースラインの来診2(0日目)の前での最大4~6週間以内に完了した。瞳孔拡張はその日の最後のIOP測定の完了後に行われることになっていた。
【0362】
スクリーニング来診(来診1、最大4~6週間)
・書面によるインフォームドコンセントを取得する
・年齢、性別、人種、民族を含む人口統計情報
・介入を含む病歴及び眼科の病歴
・選択基準及び除外基準
・以前の投薬及び併用薬及び手順
・バイタルサイン(血圧及び心拍数)
・BCVA
・細隙灯生体顕微鏡検査(外部眼科検査を含む)
・圧平(Goldmann)眼圧測定法によるIOPの測定
・隅角鏡検査
・散大眼底検査
・視野
・角膜厚測定(コンタクトレンズの装用は角膜厚測定の3日前に中止する必要がある)
・後眼部OCT
・OCT視神経NFL
・内皮細胞数(中央読み取りセンターによって確認されたスペキュラマイクロスコープ)
・尿妊娠検査:出産の可能性のある女性の場合、対象は試験期間中、治験責任医師が判断した信頼できる避妊法を利用しなければならず、陰性の尿妊娠検査を有する必要があった。
・スクリーニングの終了時、来診1の潜在的に適格な対象は、現在のIOP降下薬からの洗い流しを開始するように指示された。
【0363】
注:登録前、以前にIOP降下薬を服用していなかった安定した原発性OAGまたはOHTの対象については、スクリーニング来診とベースライン来診を1回の来診に組み合わせてもよい。
【0364】
一時的なものと予想される理由によるスクリーニング不適格については、治験依頼者に連絡することになっており、1回の再スクリーニング来診が行われる可能性があってもよい。再スクリーニングされた対象には新しい対象番号が与えられ、すべてのスクリーニング手順を繰り返す必要があった(新しいインフォームドコンセント文書への署名を含む)。
【0365】
適格な対象については、すべての情報は対象のeCRFに記録する必要がある。適格基準を満たさなかった対象については、eCRFに記録される最少限の情報は以下:スクリーニングの日付、対象番号、及びスクリーニング不適格の理由だった。
【0366】
ベースライン来診(来診2、0日目、-4日)
以下の評価は両眼で実施された。0日目に行われたIOP測定値はベースラインIOP測定値だった。
【0367】
午前8時(T0)
・選択基準及び除外基準の確認
・併用薬
・有害事象の評価
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・IOP
・眼底検査
・前眼部OCT
【0368】
午前10時(T0+2時間)及び午後4時(T0+8時間)
・圧平(Goldmann)眼圧測定法によるIOPの測定
【0369】
注:すべてのIOP測定は、必要な時間の±60分以内に実行する必要があり、各経過観察来診でほぼ同時間に実行する必要があった。IOPは、2人がマスクされた読み取り方法を使用して測定した。
【0370】
前房内注入の日、来診3(1日目)
手順の前に実行される評価
以下の手順と評価は治療前に実施された。
・併用薬及び手順の再検討
・有害事象(注入の前)
・バイタルサイン(心拍数及び血圧)
・対象の眼の快適スコア
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・午前8時のみの圧平(Goldmann)眼圧測定法によるIOP。IOP測定は必要な時間の±60分以内に実行する必要があった。
【0371】
OTX-TIC前房内インプラントによる治療
すべての評価が完了した後、対象に割り当てられた治験薬治療(OTX-TICインプラント)は、治験マニュアルで推奨されている手順に従って治験責任医師及び治験スタッフによって施行された。治験責任医師は注入手順の容易さを記録した。
【0372】
双方の眼が適格であった場合(すなわち、すべての選択基準が満たされ、且つ除外基準のいずれもが満たされない場合)、試験眼は上記に記載されているように選択される必要があった。非試験眼(NSE)として指定された反対側の眼は、必要に応じてトラバタンZで治療された(禁忌でなければ)。NSEの治療は試験期間中一貫したままである必要があった。
【0373】
注入後約1時間、来診から退出する前に、治験責任医師及び治験スタッフは以下について責任を負っていた。
・治験責任医師は、OTX-TIC(トラボプロスト)前房内インプラントの適切な配置を確認した。
・可能な場合はいつでも、治験責任医師は細隙灯写真によって前房内インプラントの存在を文書で記録した
・有害事象(注入の後)
・対象の眼の快適さの評価
・治験責任医師の全般的な忍容性評価
【0374】
退出の指示
対象は、過度の痛み、過度の不快感、目の充血、視力の変化、または視力の喪失を経験した場合は、目をこすることを控え、治験責任医師に連絡するように指示された。
【0375】
標準的な眼注入後の治療には、治験責任医師の裁量により1日4回まで1週間の局所広域スペクトル抗生物質点眼剤と局所ステロイドが含まれた。
【0376】
経過観察評価:
来診4(3日目、-1日)
以下は、治験責任医師及び治験スタッフによって午前8時にのみ各対象の両眼に対して行われた。
・併用薬及び手順
・有害事象
・対象の眼の快適さの評価
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・製品の可視化及び説明(細隙灯による)
・IOP測定
【0377】
来診4.1(7日目、±1日)
以下は、治験責任医師及び治験スタッフによって午前8時にのみ各対象の両眼に対して行われた。
・併用薬及び手順
・有害事象
・対象の眼の快適さ
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・製品の可視化及び説明(細隙灯による)
・IOP測定
【0378】
来診5(14日目、±1日)
以下は両眼で実施された:
【0379】
午前8時(T0)
・併用薬
・有害事象
・対象の眼の快適さ
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・製品の可視化及び説明(細隙灯による)
・IOP測定
【0380】
午前10時(T0+2時間)及び午後4時(T0+8時間)
・IOP測定
【0381】
来診6(28日目、±2日)
以下は、治験責任医師及び治験スタッフによって午前8時にのみ各対象の両眼に対して行われた。
・併用薬及び手順
・有害事象
・対象の眼の快適さ
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・製品の可視化及び説明(細隙灯による)
・IOP測定
【0382】
来診7(42日目、±2日)
以下は両眼で実施された:
【0383】
午前8時(T0)
・併用薬
・有害事象
・対象の眼の快適さ
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・製品の可視化及び説明(細隙灯による)
・IOP測定
・角膜厚測定
【0384】
午前10時(T0+2時間)及び午後4時(T0+8時間)
・IOP測定
【0385】
来診8(85日目、±2日)
以下は、試験来診中の午前8時(T0)に両眼で実施された。
・併用薬
・有害事象
・対象の眼の快適さ
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・製品の可視化及び説明(細隙灯による)
・IOP測定
・隅角鏡検査
・眼底検査
・角膜厚測定
・前眼部OCT
・後眼部OCT
・OCT視神経NFL
・内皮細胞数(中央読み取りセンターによって確認されたスペキュラマイクロスコープ)
【0386】
午前10時(T0+2時間)及び午後4時(T0+8時間)
・IOP測定
【0387】
来診8(85日目、±2日)
以下は、試験来診中の午前8時(T0)に両眼で実施された。
・併用薬
・有害事象
・対象の眼の快適さ
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・製品の可視化及び説明(細隙灯による)
・IOP測定
・隅角鏡検査
・眼底検査
・角膜厚測定
・前眼部OCT
・後眼部OCT
・OCT視神経NFL
・内皮細胞数(中央読み取りセンターによって確認されたスペキュラマイクロスコープ)
【0388】
午前10時(T0+2時間)及び午後4時(T0+8時間)
・IOP測定
【0389】
来診9(4ヵ月目、±3日)
以下は両眼で実施された:
【0390】
午前8時(T0)
・併用薬
・有害事象
・対象の眼の快適さ
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・製品の可視化及び説明(細隙灯による)
・IOP測定
【0391】
午前10時(T0+2時間)及び午後4時(T0+8時間)
・IOP測定
【0392】
来診10(5ヵ月目、±3日)
以下は、治験責任医師及び治験スタッフによって午前8時にのみ各対象の両眼に対して行われた。
・併用薬及び手順
・有害事象
・対象の眼の快適さ
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・製品の可視化及び説明(細隙灯による)
・IOP測定
【0393】
最終試験来診11(6ヵ月目、±3日)
以下は両眼で実施された:
【0394】
午前8時(T0)
・併用薬
・有害事象
・バイタルサイン(心拍数及び血圧)
・対象の眼の快適さ
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・製品の可視化及び説明(細隙灯による)
・IOP測定
・隅角鏡検査
・散大眼底検査
・視野
・角膜厚測定
・前眼部OCT
・後眼部OCT
・OCT視神経NFL
・内皮細胞数(中央読み取りセンターによって確認されたスペキュラマイクロスコープ)
・尿妊娠検査(該当する場合)
【0395】
午前10時(T0+2時間)及び午後4時(T0+8時間)
・IOP測定
【0396】
生物活性が認められた場合、またはインプラントが6ヵ月の来診時に存在した場合、対象はIOPがベースライン測定値の10%以内になるまで、または対象が臨床的に安定していると治験責任医師が考えるまで、毎月観察された。9ヵ月目以降のすべての来診については、7ヵ月目の来診で示されたものと同じ評価スケジュールに従う必要があった(以下を参照)。残存ミクロスフェアが12ヵ月目に観察された場合、対象は治験責任医師の裁量で追跡された。最終試験来診は来診11の評価に従うべきである。
【0397】
経過観察来診12、7ヵ月目(±3日)及び来診13、8ヵ月目(±3日)
必要に応じて、以下は治験責任医師及び治験スタッフによって午前8時にのみ各対象の両眼に対して行われた。
・併用薬及び手順
・有害事象
・対象の眼の快適さ
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・製品の可視化及び説明(細隙灯による)
・IOP測定
【0398】
経過観察来診14、9ヵ月目(±3日)
必要に応じて、試験来診中に以下が実施された。
・併用薬
・有害事象
・対象の眼の快適さ
・治験責任医師の全般的な忍容性スコア
・BCVA
・外部眼科検査を含む細隙灯生体顕微鏡検査
・製品の可視化及び説明(細隙灯による)
・IOP測定
・隅角鏡検査
・眼底検査
・角膜厚測定
・前眼部OCT
・後眼部OCT
・OCT視神経NFL
・内皮細胞数(中央読み取りセンターによって確認されたスペキュラマイクロスコープ)
【0399】
午前10時(T0+2時間)及び午後4時(T0+8時間)
・IOP測定
【0400】
予定外の来診
治験責任医師が試験来診ウィンドウ外で対象を見る必要があると判断したときはいつでも、予定外の来診が発生してもよい。これらの来診が必要なだけ予定されてもよい。検査及び評価は、来診の理由に基づいて治験責任医師の裁量で行われた。たとえば、臨床的な角膜浮腫の証拠があった場合、評価にはAS-OCTを含める必要があった。
【0401】
予定外の来診は、来診の理由とともに「予定外」の来診の電子症例報告書に記録された。
【0402】
有害事象
試験の過程を通して、起こりうるAEまたは厄介な知見に注意を払い続けるためにあらゆる努力が払われた。AEが発生した場合、最初の懸念は対象の安全と福利だった。適切な医学的介入が保証された。治験責任医師または治験スタッフによって観察された、または対象によって報告されたAEは、治験治療に起因するかどうかにかかわらず、対象の有害事象eCRFに記録された。
【0403】
AEに関する文書化は、医師によって観察された、または対象によって報告された兆候または症状の性質、発症日、終了日、重症度及び治験薬との関係性、取られた行動(複数可)、重篤度、及び転帰について行われる必要があった。
【0404】
注:対象は、次の眼の症状:過度の流涙、異物感、刺痛/灼熱感、及びかゆみの有無について質問された。これらの標準化された眼の病訴に対する肯定的な回答は、その病訴が(1)記載されている特定の事象の基準を満たしている、(2)正常の限界を超えている、または(3)臨床的続発症に関連する(例えば、細隙灯の有害所見)のではない限り、AEではなく眼の病訴として報告されることになっていた。
【0405】
有害事象の定義
AEとは、医薬品を投与された対象または臨床調査対象におけるあらゆる有害な医療上の出来事であり、必ずしも治療と因果関係があるわけではない。
【0406】
したがって、AEは、それが医薬(治験薬)製品に関係しているかどうかにかかわらず、医薬(治験薬)製品の使用と一時的に関連する、任意の好ましくない、及び意図しない徴候(臨床的に有意な異常な検査所見を含む)、症状または疾患であることができる。治験薬の有効性の欠如は有害事象を構成しない。
【0407】
重篤な有害事象(SAE)の定義
SAEとは、任意の用量で:
・死に至る
・生命を脅かす
-「生命を脅かす」という用語は、対象が出来事の時点で死亡のリスクにさらされていた事象を指し;それがさらに深刻であるならば、仮想的に死を引き起こしたかもしれない事象を指すのではない
・入院患者の入院、または現在の入院の延長を必要とする。待機的手術のための入院はSAEを構成しない
・永続的または重大な障害/無能力をもたらす
・先天性異常または出生異常である
あらゆる有害な医療上の出来事である。
【0408】
例えば、直ちに生命を脅かすことはなく、もしくは死亡や入院には至らないが、対象を危険にさらす可能性のある、または上記の他の結果の1つを防ぐために介入を必要とする可能性のある重要な医学的事象のような他の状況をSAEとみなす必要があるかどうかを決定することには、医学的及び科学的な判断が行われる必要があった。
【0409】
そのような事象の例は、緊急治療室または自宅でのアレルギー性気管支痙攣、血液の悪液質、新生物、または入院をもたらさないけいれんの集中治療である。
【0410】
「重度」と評価されるAEをSAEと混同すべきではない。「重度」という用語は、特定の事象(軽度、中等度、または重度の心筋梗塞のような)の強度(つまり、重症度)を説明するために使用されることが多く;しかしながら、事象自体は、比較的軽微な医学的意義(激しい頭痛など)であってもよい。これは、生命や機能に脅威を与える事象にふつう関連する結果または行動の基準に基づく「重篤」と同じではない。重篤度(重症度ではない)と因果関係は規制報告義務を定義するための指針として役立つ。
【0411】
重症度
AEの重症度は、治験責任医師によって決定される、または対象によって治験責任医師に報告されるAEの強度の程度の定性的評価として定義される。重症度の評価は、治験薬との関係または事象の重篤度に関係なく行われ、以下の尺度に従って評価すべきである:
・軽度:事象は対象にとって目立つが、容易に忍容され、対象の日常生活を妨げることはない。
・中等度:事象は煩わしく、追加の治療が必要になる可能性があり、対象の日常生活に支障をきたしてもよい。
・重度:事象は耐えられず、追加の治療または治療の変更を必要とし、対象の日常生活を妨害する。
【0412】
強度が変化するAEについては、各強度の開始日と終了日を記録する必要があった。
【0413】
前房内インプラント、または手順との関係
各(S)AEについて、治療を行う治験責任医師は、事象が注入手順に関連するのか、前房内インプラントに関連するのかを判定する必要があった。そうするために、治験責任医師は、自身の医学的判断において、事象が前房内インプラントまたは注入手順によって引き起こされた可能性があるという合理的な可能性があるかどうか判定する必要があった。
【0414】
以下は、(S)AEの因果関係を評価する際に治験責任医師が使用しなければならなかった指針である。注入手順または前房内インプラントへの因果関係の帰属はCRFで特定された。
【0415】
疑われる関係はない:このカテゴリーは、慎重に検討した後、無関係な原因(病気、環境など)のせいで明確かつ議論の余地のない(S)AEに適用され;(S)AEが注入手順または前房内インプラントによって引き起こされた可能性があるという合理的な蓋然性はない。治験責任医師がAEは治験薬に関連している可能性が低いと判定した場合、これは適切なカテゴリーであった。
【0416】
疑われる関係がある:このカテゴリーに(S)AEを含めることを検討するには以下の基準を適用する必要があった。
1)それは注入手順または前房内インプラントの存在と合理的な時間的関係を持っている。
2)それは、対象の臨床状態の既知の特徴、環境または毒性の要因または他の要因(例えば、治験中の疾患、併発疾患(複数可)及び併用薬)、及び対象に投与される治療様式によって合理的に説明することができなかった。
3)それは前房内インプラントを除去すると消失する、または減少する。
4)それは注入手順または前房内インプラントに対する既知の反応パターンに従う。
【0417】
疑わしいAEは、治験薬がAEを生じさせたという合理的な可能性がある事象である。「合理的な可能性」とは、試験薬とAEの間の因果関係を示唆する証拠があることを意味する。治験薬とAEの間の因果関係を示唆する証拠の種類には、稀な事象であり、薬物曝露と強く関連することが知られている事象の単発;薬物曝露と一般的に関連しないが、薬物曝露集団では稀な事象の単発または複数回の発生(例:腱切断);臨床試験で観察された特定の事象(調査中の基礎疾患や状態の既知の結果、または薬物療法とは無関係に試験集団で一般的に発生するその他の事象など)の集計分析で、それらの事象が同時または過去の対照群よりも薬物治療群でさらに頻繁に発生することを示すものが挙げられる。
【0418】
予測可能
(S)AEの予測可能はこれらの指針を使用して治験薬に関する既存の安全性情報に基づいて決定される必要があった。
予想外:AE、または試験プロトコール、治験薬概要書、もしくはトラボプロストの登録製剤(Travatan(登録商標))の製剤情報に列挙されていない、または観察された特異性または重症度で列挙されていないAE。
予想済み:観察された特異性または重症度にて試験プロトコール、治験薬概要書、またはトラボプロストの製剤情報に列挙されているAE。
【0419】
治験薬概要書にて、あるクラスの薬物で発生する、または薬物の薬理学的特性から予想されるものとして言及されているが、調査中の特定の薬物で発生するものとして具体的に言及されていないAEは予想済みと見なされることになっている。
【0420】
治験責任医師は最初にAEの予測可能を分類すべきであるが、最終的な分類は医療モニターの決定に依存する。
【0421】
明確化
診断
可能な限りの程度まで、記録される及び報告される事象は事象の兆候または症状の対語として事象の診断である。
【0422】
入院
試験中に悪化しなかった既存の状態(すなわち、対象がインフォームドコンセント文書に署名する前に存在する状態)の選択的治療のための入院はSAEとは見なされない。入院中に発生する合併症はAEである。合併症が入院を長引かせる、または他のSAE基準のいずれかを満たしている場合、その合併症はSAEである。
【0423】
緑内障を含む既存の状態
ベースラインに対して悪化しない既存の状態(複数可)の予想される日々の変動は、(S)AEではない。
【0424】
緑内障の悪化または進行は、プロトコールごとに「有効性の欠如」または「予想される薬理作用の不足」であると見なされ、有効性評価の一部としてすでに記録されているので、(S)AEとして記録する必要はなかった。
【0425】
医学的または外科的な処置
選択的な医学的または外科的な処置、または試験中に悪化しなかった既存の状態(すなわち、対象がインフォームドコンセント文書に署名する前に存在する状態)について試験前に計画された医学的または外科的な処置の場合、手順につながる状態は(S)AEとして報告する必要はない。
【0426】
死亡
死はSAEではなく;死に至る状態はSAEである。
【0427】
異常な検査値
治験責任医師が臨床的に重要であると判断した異常な検査値は(S)AEとして記録しなければならない。ベースラインで存在し、試験の開始後に著しく悪化した臨床的に重要な異常な検査所見も(S)AEとして報告された。治験責任医師はそれらを受け取ってから24~48時間以内に臨床的重要性を確認し、署名し、日付を記入し、決定することが期待されていた。
【0428】
AEのタイミング
注入または前房内インプラントに対する重症度またはそれとの関係性にかかわりなく、対象がインフォームドコンセント文書に署名した時からこの試験の過程で観察されたすべてのAEは、適切なeCRF(複数可)に記録された。
【0429】
有害事象を報告するための手順
「疑わしい」及び「予想外の」AEはすべて、IRB/IEC、現地の規制、及び運営する保健当局の要求に応じて、Ocular Therapeutix及びIRBに報告されることになっていた。予期しない事象は事象の特定から10営業日以内にSalus IRBに報告されることになっていた。重篤な予期しない疑わしい有害事象は、死亡及び生命を脅かす事象について7日以内に、他のすべては15日以内に米国食品医薬品局に報告された。
【0430】
重篤な有害事象または深刻な有害事象は、治験治療に起因するかどうかにかかわらず、24時間以内にファックスまたは電話でOcular Therapeutixに伝えられた。治験責任医師は、対象の治療や経過観察に協力した同僚から、関連するすべての医療記録、情報、医学的判断を入手し、対象のファイルに保持しなければならず;Ocular Therapeutixに、事象が治験薬の使用に関連していると疑われるまたは疑われないに関する言及を含む完全な病歴を提供し;SAEを報告するためのIRB/IECのガイドラインの範囲内でIRB/IECにAEの情報を提供する必要があった。治験責任医師が署名した事象の詳細を記した書面による報告書を5営業日以内に治験依頼者に提出する必要があった。SAEを経験したすべての対象は、事象の解決または安定化及び転帰がCRFで報告されるまで追跡される必要があった。
【0431】
有害事象の経過観察の種類と期間
AEは次の状態になるまで追跡された。
・事象の解決、すなわち、ベースラインの値もしくは状態、または「正常」に戻る。
-AEは完全に解決した、または後遺症で解決したと判定されてもよい。
・主任治験責任医師は、終了しなかった事象(転移など)について状態が慢性的であると判定し;事象は解決される、または後遺症で解決されると判定されてもよい。
・事象は安定していた。すなわち、治験責任医師が予想した悪化はなかった。
【0432】
すべてのAEはCRF(複数可)にて文書化された。最終予定来診(すなわち、来診11 [6ヵ月目])に到達した対象については、その後、予定外の来診を実施して、治験責任医師が解決されるまたは安定すると見なしていないAEを経過観察してもよい。
【0433】
試験監督
データ安全性監視委員会(DSMC)
DSMCは治験経過中の治験対象の安全性を監視するために治験依頼者によって任命された。DSMCは眼科分野の独立した緑内障医師の専門家のパネルで構成された。安全監視の役割において、DSMCは、次のセクションに列挙されている基準に加えて、補足的な提案された試験停止規則を含む、試験の使命声明、操作手順、及び提案された監視基準を含む宣言書を確立した。DSMCは、対象をコホート2に登録する前にコホート1の安全性データを確認し;これらのコホートの用量はコホート2よりも少なく、治療期間がコホート1及び2で調べられたものよりも短いので、この事前審査はコホート3及び4では実施されなくてもよい。
【0434】
すべての会議の文書での議事録は、各DSMC会議の後に作成される必要があり、主要な結論(すなわち、試験を中止するための試験推奨と対比させた試験継続の評価)を文書化する必要があった。
【0435】
統計分析
統計及び分析の計画
この試験は統計的有意性を示すようには設計されていないので、統計分析は完了していない。データがどのように表されるか、すなわち、記述統計学などを簡単に要約する一般的な統計計画がある。
【0436】
試料サイズの決定
この第1相試験については、正式な試料サイズの計算は実行されていない。製品の安全性を知らせるには5人の対象の試料サイズが十分であると見なされる。
【0437】
分析データセット
安全性集団はOTX-TICインプラントを受けたすべての対象から成った。すべての安全性と有効性の分析は安全集団に対して実施された。
【0438】
人口統計とベースラインのデータ
スクリーニングされ、登録され、治療された対象の数を含む、対象の傾向が提示された。試験を完了した対象の数と中止の理由を要約した。
【0439】
人口統計学的特性及びベースラインの特性(疾患及び病歴を含む)を要約した。
【0440】
安全性分析
安全性は、有害事象、対象の眼の快適さの評価、治験責任医師の全般的な忍容性スコア、及びその他の眼に関連する転帰によって評価した。
【0441】
有害事象は、国際医薬用語集(MedDRA)を使用して器官別大分類及び基本語によってコード化した。注入手順及び前房内インプラントに関連する有害事象について、個別の要約を作成した。さらに、重篤な有害事象を要約した。
【0442】
他の安全性関連の結果の要約を提供した。
【0443】
有効性分析
有効性は日ごとのIOPで評価した。ベースライン、14日目(来診5)、42日目(来診7)、85日目(来診8)、4ヵ月目(来診9)、及び6ヵ月目(来診11)にて取り込んだ(午前8時、午前10時、午後4時)測定を要約した。6ヵ月目に生物活性が認められれば、IOPを測定し続けた(以下を参照)。加えて、注入日、3、7、及び28日目、及び5ヵ月目(来診10)の午前8時での眼圧を要約した。
【0444】
探索的解析
角度サイズを2つの方法で評価した。治験責任医師は角膜鏡検査を使用して角度サイズを決定した。加えて、マスクされた読み取りセンターによって読み取られたAS-OCTを利用した角度サイズを実行した。得られた方法による角度サイズを要約した。
【0445】
一般情報
試験終了
Ocular Therapeutixは適宜、治験責任医師及びIRB/IEC及び他の規制当局に好適な書面で通知することによってどんな段階でも試験を中止する権利を留保した。同様に、治験責任医師は、撤回の意思から30日以内にOcular Therapeutixに書面で通知することを条件として試験課題への参加を取り消してもよい。ただし、Ocular Therapeutixと治験責任医師は、臨床試験ですでに治療を受けた対象の経過観察を完了する義務を負っていた。対象は臨床プロトコールに従って追跡される必要があり、対象の経過観察中に得られた情報はCRFにて報告される必要があった。
【0446】
すべての重篤なAEが評価され、治験依頼者が対象に対する不当なリスクの可能性があると判断した場合、試験は終了し、すべての規制当局及び参加する治験責任医師(複数可)に通知された。終了は、治験依頼者がこの決定を行ってから5営業日以内、及び治験依頼者が最初に効果の通知を受け取ってから15営業日以内に発生した。
【0447】
終了した治験は、必要に応じて、地域の試験倫理委員会または規制当局の承認なしに再開することはできなかった。
【0448】
モニタリング
治験責任医師と治験センターは、Ocular Therapeutixによって割り当てられた認定臨床試験担当者と臨床試験モニターが、試験全体を通して定期的に完了したCRF、IRB/IEC決定、及び治験責任医師と臨床現場の記録を再検討することを許可する。さらに、プロトコールの順守と原資料を検証されてもよいように主題チャートと臨床記録を要求し、再検討した。データ保護規則及び/または病院の方針が治験依頼者または被指名人(複数可)による病院記録の直接検査を禁止する場合、治験責任医師は原データ検証システムで治験依頼者と協力した。試験モニタリング手順のさらなる詳細はモニタリング計画に概説されている。
【0449】
モニターが、治験責任医師は署名された治験責任医師契約、治験計画、またはその他の適用される規制、または審査IRB/IECによって課せられた承認の条件に準拠していないことを発見した場合、モニターは治験依頼者に報告し、コンプライアンスを迅速に確保するために必要であるそのような措置を講じる。コンプライアンスが確保できない場合、治験責任医師への治験薬の出荷を中止し、治験責任医師の臨床試験への参加を終了する。モニターはまた、この行動が対象の権利、安全性または福利を危険にさらさない限り、未使用の製品を処分または返却するようにそのような治験責任医師に要求する必要もあった。
【0450】
証拠書類の保持
治験責任医師は、すべての通信、金銭的利害の記録、対象個人の記録、インフォームドコンセント文書、すべての医薬品に関する説明責任記録、プロトコールと任意の/すべての修正案、IRB/IECとのすべての通信と承認、予算契約、治験責任医師契約、CRFのコピーを含むすべての治験関連文書を、以下の日付の後の方から2年間保管する。
1.試験対象の適応症の薬物について、マーケティング申請が承認された日付、または
2.規制当局への申請をサポートする目的で記録が不要になった日付。
【0451】
ファイルは、Ocular Therapeutixからの通知があった場合にのみ破棄されてもよい。エラーを回避するために、治験責任医師は治験に関連する記録や報告を破棄する前にOcular Therapeutixに連絡して、それらを保持する必要がないことを確認すべきである。
【0452】
細隙灯写真
治験責任医師は、細隙灯写真で、1日目及び注入した後の任意のその後の来診時に、OTX-TIC(トラボプロスト)前房内インプラントの適切な配置を取り込んだ。写真は対象番号と対象のイニシャルを使用して識別する必要があったが、対象の名前や生年月日のような識別子を含有すべきではない。写真はインプラントの継続的な正しい配置を記録している。写真は研修、広告、または科学会議、定期刊行物、または雑誌でも使用されてもよい。
【0453】
医薬品の臨床試験の実施基準、倫理規定、及び管理上の問題の順守
この試験は、プロトコールである規制調和国際会議(ICH)医薬品の臨床試験の実施基準(GCP)ガイドラインに準拠し、1996年版のヘルシンキ宣言と一致して実施された。
【0454】
試験検査の手順
最良の矯正視力
視力は、Goldmann眼圧測定や角膜鏡検査のような他の検査を実行する前に、且つ瞳孔拡張の前(すなわち、細隙灯検査の前)に、各試験来診の開始時に評価する必要があった。試験期間全体を通して同じBCVA評価者を有するようにあらゆる努力を払う必要があった。視力検査は最新の矯正から始めて行う必要があった。
【0455】
BCVAは、Precision Visionまたは同等のもののようなバックライト付きETDRSチャートを使用して測定する必要があった。現場は、対象から4メートルに設定された85cd/m2の輝度でバックライト付き、壁掛け式、またはキャスタースタンドのETDRS距離視力検査表を使用することが推奨された。顕性屈折測定値を取得するには、頂点距離12.0mmに設定された検眼レンズフレームまたは自覚検眼機を使用する必要があった。可能であれば、球面の最終的な改良は検眼レンズセットを使用して4メートルで行う必要があった。
【0456】
視力検査表
すべての遠方視力測定は、対象から4メートルに設定された照明箱(または同等のもの)を使用して行う必要があった。4メートルでETDRS視力検査表の少なくとも20文字以上を読むことができない対象は、1メートルの検査に提供された指示に従って1メートルで検査する必要があった。照明箱内の蛍光管は、適切に機能するかどうか定期的にチェックする必要があった。
【0457】
視力検査表上の各文字を識別するために最大限の努力を払う必要があった。対象が文字を読むことができないと言ったとき、対象は推測するように促される必要があった。対象が1つの文字を2つの文字のいずれかとして識別した場合、対象は1つの文字を選択し、必要に応じて推測するように求められる必要があった。読んだり推測したりするように促されたにもかかわらず、それ以上意味のある読みができないことが明らかになったとき、検査官はその目の検査を中止する必要があった。ただし、文字の難易度はさまざまであり、正しく読み取られるのは最後の文字だけである可能性があるので、最後の行のすべての文字を試す必要があった。見逃した、または間違って読んだ文字の数に注意する必要があった。
【0458】
LogMAR視力計算
文字が正しく読み取られる最後の行が基本logMAR読み取りとして解釈される。この値に数「N×0.02」が加算され、その際、「N」は読み取られた最後の行まで及びそれに含まれる見逃した文字の総数を表す。この合計はその眼のlogMAR視力を表す。例えば:対象は0.2の行で5文字のうち4文字、0.1の行で5文字のうち2文字を正しく読み取る。
【表15】
【0459】
BCVA検査は右眼(OD)で開始する必要があった。左眼(OS)に対して該手順を繰り返す必要があった。
【0460】
1メートル検査
対象は1メートル検査のために座る必要があった。この検査中では頭の前後への動きを避けることが特に重要だった。
【0461】
B.細隙灯生体顕微鏡検査
【0462】
細隙ビームの観察は、最高のランプ電圧、0.3mmの開口、30度の照明角度、16倍の倍率を使用して暗屋で評価する必要があった。
【0463】
臨床医は細隙灯を使用して、以下を正常、臨床的に有意な異常、または臨床的に有意ではない異常として評価した:
・外部付属器―眼瞼の紅斑、浮腫またはその他の異常の有無、垢または他の異常についての睫毛の評価
・結膜―浮腫、紅斑またはその他の異常の有無
・虹彩―間質または他の異常の有無
・角膜―透明度、点状表層角膜症の有無、またはフルオレセイン染色によるその他の異常評価
・前眼房―形成深度、細胞スコア、フレア数の妥当性
・レンズ
【0464】
異常な観察については、症例報告書に説明/コメントを提供する必要があった。角膜浮腫が観察された場合は、それが一般的であるかまたは局所的であるかについての表記を追加すべきである。
【0465】
前眼房細胞及びフレア
前眼房細胞の評価は以下のように実行する必要があった。
・低い周囲照明
・1×1mmの細隙ビーム
・最高細隙灯電圧
・45度の照明角度
・高倍率
【0466】
前眼房は眼の炎症の兆候の存在について検査した。前眼房細胞数及びフレアは、SUN*作業部会の等級分けスキームを使用して等級分けした:「0」の前眼房細胞等級は、SUN Working Groupの等級分けスキームでは「<1細胞」として報告されるが、この試験の分野では0細胞として特徴付けられた。
【0467】
前眼房細胞数は16個未満の細胞が見られる場合、上記に記載されている高さ1.0mm及び幅1.0mmの細隙ビーム内で数えられた実際の細胞数として評価された。白血球のみが数えられた。(赤血球と色素細胞は数えられなかった)。数えた細胞の数と以下のスケールごとの対応する等級の双方をCRFに記録した。
【表16】
【0468】
前房蓄膿が存在する場合、これは原資料及びeCRFに記載される必要があった。
【0469】
角膜厚測定
角膜厚測定を行うには以下の手順が推奨された。
【0470】
各眼の中心角膜の厚さの測定は、超音波角膜厚計を使用してスクリーニング来診時に行われた。IOPが行われた後に測定が行われた。超音波プローブの場合、プローブ品質係数は85%以上である必要があった(該当する場合)。対象が着席し、一貫した固定標的を可視化した状態で、角膜表面に垂直に視軸上で(つまり、瞳孔の中心に)プローブチップを角膜に配置する。プローブチップが適切に配置されたら、測定を行った。上記に記載されているように、合計3つの許容可能な測定を各眼に対して行う必要があり、3つの測定はミクロンで記録された。3つの測定値の平均を計算して、対象の適格性を判定した。
【0471】
IOP測定
眼圧測定法の国際的な絶対的基準としてのGoldmann眼圧測定法は、適切な技術を使用すれば非常に正確で再現性がある。Goldmann眼圧測定法を実行するときは、次の手順に従う必要があった:
1.眼圧測定前の手順:眼圧計を正しい位置に設定し、プリズムが細隙灯の水平位置にあることを確認する。張力を1mmHgに設定する。細隙ビームが最大に開いた状態で、照明と顕微鏡の間の角度が約60度のコバルトフィルターを使用する。
2.局所麻酔薬を1滴たらし、湿らせたフルオレセイン細片は各眼の下眼瞼の瞼結膜に軽く触れてもよく、フルオレセイン染料が眼の表面に溢れないように注意する。あるいは、フルオレセイン染料が眼の表面に溢れないように注意しながら、局所麻酔薬-フルオレセイン(例えば、Fluress)溶液を1滴、各眼の下結膜円蓋に注入してもよい。眼圧測定の直前に数回まばたきをするように対象に依頼する。
3.対象を調節可能な椅子に配置するので、顎が細隙灯の顎当てに快適に適合し、額が額バーにぴったりと収まることができる。
4.対象がまっすぐ前を見ている間に眼圧計を対象の眼に適用し、観察者が2つのフルオレセイン半円の内側部分が接触しているのを見るまで圧平の力を増やす。症例報告書に圧力を記録する。
【0472】
IOP測定は以下の手順に基づいて遮蔽された。
【0473】
測定は、対象が座った状態で細隙灯に取り付けられたGoldmann圧平眼圧計を使用して、2人の資格のある独立した試験施設の担当者によって行われた。1人が遮蔽された方法でダイヤルを調整し、2人目が値を読み取って記録した。対象と細隙灯は、対象の頭が前傾したり緊張したりすることなく、顎当てと額当てにしっかりと配置されるように調整する必要があった。右眼を左眼に先行させて両眼を調べた。各IOP測定値が記録されることになっていた。
【0474】
1人(「測定者」)が低電力で細隙灯の双眼鏡をのぞいた。張力つまみを低圧値(4~6mmHg)に事前設定した。測定者は、フルオレセインリングの内側の境界が心周期に応えて拍動の中間点で互いに接触するまで張力つまみをゆっくりと回転させながら、フルオレセインで染色された半円の画像を追跡した。この画像に到達すると、測定者は張力つまみから指を離し、2人目の人(「読み取り人」)がIOPの測定値を読み取り、原資料に日付及び時刻とともに記録したので、遮蔽されたIOP読み取りを維持した。2回の測定を実行する必要があり、IOPが1mmHg以内の場合は、最初の2回の測定の平均を記録する必要があった。最初の2回の測定値からのIOPが1mmHgを超える差を示した場合、3回目の測定値を取得し、3つの測定値すべての平均を記録する必要があった。可能な限り、同じ人が毎回の来診で対象のIOP測定を行う必要があった。
【0475】
散大眼底検査
評価は間接眼底検査を使用して実施すべきである。強膜抑制を伴わずに散大眼底検査を実施することは許容される。以下のそれぞれは、正常、臨床的に有意な異常、または臨床的に有意ではない異常として評価し、文書化された:
黄斑
末梢網膜
脈絡膜
硝子体
視神経。
【0476】
陥凹乳頭径(C/D)比も測定された。異常な病態については、症例報告書に説明/コメントを提供すべきである。
以下の尺度を使用して硝子体混濁の程度を定義した。
非存在
視神経乳頭、網膜血管及び神経線維層が明確に見える
微量
視神経乳頭縁及び正常な線条のわずかなぼやけ及び神経線維層の反射は可視化できない
1+
視神経乳頭縁の軽度のぼやけ及び網膜血管の定義のわずかな喪失
2+
視神経乳頭縁の中等度のぼやけと網膜血管の定義の喪失
3+
視神経頭と大きな血管は見えるが、境界はかなり(非常に)ぼやけている
4+
視神経頭が不明瞭
【0477】
隅角鏡検査
隅角鏡検査を行うには以下の手順が推奨された。
【0478】
隅角レンズの前面(湾曲した)表面を洗浄及び滅菌する。前面に潤滑液を塗布する。対象の角膜を局所麻酔薬で麻酔する。隅角レンズを通して見るために細隙灯を調製する。対象の瞼を角膜からそっと離す。隅角レンズを眼の表面にゆっくりと適用し、吸引を形成する。細隙灯を微調整して、視界を最適化する。レンズを360度ゆっくりと回転させることによってその角度を確認することができる。以下のように、Shaffer Systemに基づいて角度を等級分けする。等級2以下の対象は閉塞隅角緑内障について除外すべきである。
等級4:45°~35°の角度で全開
等級3:35°~20°の角度で全開
等級2:20°の狭い角度
等級1:≦10°非常に狭い角度
細隙:細隙に狭められた0°の角度
【0479】
自動視野計測
自動視野計測を行うには以下の手順が推奨された。
【0480】
眉が重い場合や上眼瞼が垂れ下がっている場合は、それに応じてテープを貼る。視野の結果は信頼できるものでなければならない(すなわち、33%の固視損失、偽陽性または偽陰性のエラー)または視野測定を2週間以内に繰り返すべきである。視野検査は、好ましくはHumphrey自動視野計測検査(全閾値24-2プログラムまたはSITA標準またはFAST評価)を使用して実施された。好ましい機器はHumphrey700 HFA-2シリーズの機械(たとえば、740または750)である。視野は正常または異常として報告され、平均偏差もデシベル(dB)で記録されるであろう。
【0481】
右目を検査することから始める。必要に応じて顎当てとテーブルの高さを調整して、適切な位置合わせを達成する、と同様に検査全体を通して対象を快適な着座位置に維持する。対象が疲れている、または集中力を失っているように思われる場合は、時々対象を励まし、必要に応じて対象を一時停止させて休ませることが許容される。対象はまた、検査の結果に影響を与えないように、まばたきするのは応答ボタンが押されたときがよいことを伝えられるべきである。左目について繰り返す。
【0482】
対象の眼の快適さ
対象は、以下の質問をすることによって快適さのレベルを等級分けするように求められた。
【0483】
「0~10のスケールで0は非常に快適であり、10は非常に不快であるが、この時点であなたの目はどのくらい快適に感じますか?」
【0484】
審査官は対象が選択した番号を適切な症例報告書に記録した。
【0485】
治験責任医師の全般的な評価
治験責任医師は、以下のようにインプラントが全般的忍容性スケールを判断する対象によって十分に忍容されるかどうかを評価した。
【0486】
0=非常に満足、1=満足、2=あまり満足できない、3=満足できない
【0487】
審査官は対象が選択した番号を適切な症例報告書に記録した。
【0488】
治験責任医師の注入の等級分け
治験責任医師は、前房内インプラントの注入のし易さのレベルを「簡単」(1)、「中程度」(2)、または「難しい」(3)に等級分けするであろう。
【0489】
治験責任医師は適切な症例報告書に注入手順の容易さを記録した。
【0490】
試験結果
4つのコホートすべてが完全に登録された:コホート1(5対象、15ug)、コホート2(4対象、26ug)、及びコホート3(5対象、15ug製剤2)、コホート4(5対象、5ug製剤3)。
【0491】
対象は7ヵ月~22ヵ月間にわたって追跡され(コホート1及び2)、コホート3は6ヵ月~9ヵ月間追跡され、コホート4は14日目~6ヵ月目まで追跡された(3人の対象はまだ経過観察中である)。
【0492】
図2は、試験眼及び非試験眼の投与スケジュール(これも上記で説明されている)を示している。非試験眼の治療は、該当する場合、6ヵ月目V11以降も継続された。
【0493】
安全性
図3a~3dはそれぞれ、コホート1~4の対象の平均角膜厚測定値を示している。
【0494】
図4a~4cはそれぞれ、コホート1~4の対象の平均EECを示している。
【0495】
現在までに重篤な有害事象は報告されていなかった。以下の表9はこれまでの試験中に報告された眼の有害事象を示している。
【表17】
【0496】
有効性
眼圧(IOP)の低下は各コホートにおける各対象で実証されてもよい。
図5a~5dはそれぞれ、コホート1~4について試験眼及び非試験眼におけるベースラインからの平均IOP変化の進展を示す。
【0497】
図6は1日目~7ヵ月目までのコホート1の対象に挿入されたインプラントの写真を示す。
略語
【表18】
【0498】
実施例4:インプラントの注入に使用されるシリンジ
単回投与OTX-TIC(トラボプロスト)インプラントは、
図7に示すように、滅菌シリンジアセンブリに取り付けられた26G(26μg用量)または27G(5μg及び15μg用量)の針に装着される。輸送及び取り扱い中にインプラントを針に保持するためにワイヤが針の先端に挿入される。製剤を含有するシリンジアセンブリは、窒素環境で低蒸気透過性の剥離可能なホイル・LDPEポーチ内に密封されている。事前に組み立てられたシリンジアセンブリと最終包装された製剤の最終滅菌は、ヘルスケア製品のISO 11137-2:2013滅菌-放射線に従って検証済みの照射線量でのガンマ線照射によって実行される。ホイルポーチは、湿気、酸素、及び光からの保護を提供し、OTX-TICインプラントの滅菌バリアとして役立つ。
【0499】
容器の完全性及強度は、2つの主要な検査、気泡放出とシール強度検査によって保証される。生産プロセスでの及び安定性検査中のホイルポーチについては1.0lbfの最小密封強度が必要である。さらに、貯蔵寿命評価中のホイルポーチの包装全体の完全性検査ごとに、10±2インチH2Oで加圧されている間、気泡放出に耐える必要がある。容器閉鎖の無菌性維持能力の継続を裏付けるための気泡放出試験の使用は、FDAの産業界向けガイダンスで許可されている:2008年2月の無菌製品の安定性プロトコールの構成要素としての無菌試験に代わる容器および閉鎖システムの完全性試験。製剤の包装と容器の閉鎖は冷蔵(2℃~8℃)保管条件での安定性試験によって確認されるであろう。
【0500】
【0501】
細目の第1のリスト
1.トラボプロストとポリマーネットワークとを含む徐放性生分解性前房内ヒドロゲルインプラント。
【0502】
2.前記ポリマーネットワークが複数のポリエチレングリコール(PEG)ユニットを含む、細目1に記載のヒドロゲルインプラント。
【0503】
3.前記ポリマーネットワークが2~10のアームを有する複数のマルチアームPEGユニットを含む、細目1または2に記載のヒドロゲルインプラント。
【0504】
4.前記ポリマーネットワークが4~10のアームを有する複数のマルチアームPEGユニットを含む、細目1~3のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0505】
5.前記ポリマーネットワークが4~8のアームを有する複数のマルチアームPEGユニットを含む、細目1~4のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0506】
6.前記ポリマーネットワークが8のアームを有する複数のマルチアームPEGユニットを含む、細目1~5のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0507】
7.前記ポリマーネットワークが4のアームを有する複数のマルチアームPEGユニットを含む、細目1~6のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0508】
8.前記ポリマーネットワークが以下の式:
【化12】
を有する複数のマルチアームPEGユニットを含み、式中、nはエチレンオキシド繰り返しユニットを表し、波線は前記ポリマーネットワークの繰り返しユニットの点を表す、細目1~5のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0509】
9.前記ポリマーネットワークが、4a20K PEG SAZ、4a20K PEG SAP、4a20K PEG SG、4a20K PEG SS、8a20K PEG SAZ、8a20K PEG SAP、8a20K PEG SG、8a20K PEG SSから選択される複数のポリエチレングリコール(PEG)ユニットを4a20K PEG NH2、8a20K PEG NH2、及びトリリジンまたはそれらの塩から選択される1以上のPEGまたはリジンベースのアミン基と反応させることによって形成される、細目1~8のいずれか1つのヒドロゲルインプラント。
【0510】
10.前記ポリマーネットワークが、8al5K PEG-SAZをトリリジンまたはその塩と反応させることによって形成される、細目1~9のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0511】
11.前記ポリマーネットワークが非晶質である、細目1~10のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0512】
12.前記ポリマーネットワークが半結晶である、細目1~11のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0513】
13.前記トラボプロストが前記ポリマーネットワーク内に均質に分散される、細目1~12のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0514】
14.前記トラボプロストが約2ヵ月~約8ヵ月の範囲の期間に持続的に前記眼に送達される、細目1~13のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0515】
15.前記トラボプロストが約3ヵ月~約7ヵ月の範囲の期間に持続的に前記眼に送達される、細目1~14のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0516】
16.前記トラボプロストが約4ヵ月~約6ヵ月の範囲の期間に持続的に前記眼に送達される、細目1~15のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0517】
17.持続放出が房水で起こる、細目1~16のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0518】
18.前記トラボプロストがマイクロカプセル化されている、細目1~17のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0519】
19.前記トラボプロストがポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)またはポリ(乳酸)(PLA)、またはそれらの組み合わせによってマイクロカプセル化されている、細目1~18のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0520】
20.前記トラボプロストがPLAによってマイクロカプセル化されている、細目1~19のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0521】
21.前記ポリマーネットワークがフルオレセインに結合される、細目1~20のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0522】
22.前記インプラントが角膜内皮細胞の近くでの埋め込み用に設計されている、細目1~21のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0523】
23.前記インプラントが下部虹彩角膜角での埋め込み用に設計されている、細目1~21のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラント。
【0524】
24.細目1~23のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラントを対象の眼に投与することを含む、それを必要とする対象にて眼圧を低下させる方法。
【0525】
25.細目1~23のいずれか1つに記載のヒドロゲルインプラントを、それを必要とする対象の眼に投与することを含む、それを必要とする対象にて高眼圧症を治療する方法。
【0526】
26.細目1~23のいずれか1つのヒドロゲルインプラントを対象の眼に投与することを含む、それを必要とする対象にて緑内障を治療する方法。
【0527】
27.前記緑内障が開放隅角緑内障である、細目23に記載の方法。
【0528】
28.開示されているインプラントの投与後に内皮損傷が本質的に発生しない、細目24~27のいずれか1つに記載の方法。
【0529】
細目の第2のリスト
1.高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて眼圧を治療する方法であって、治療を必要とする眼ごとに単回のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによって約3~約9ヵ月のような約1~約24ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療し、前記方法は前記眼ごとに、
工程1:約1~約24ヵ月または約3~約9ヵ月の範囲の期間で治療を提供する、
・生分解性ヒドロゲル及びトラボプロスト粒子と、
・生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記トラボプロスト粒子と、
・前記ヒドロゲル内に分散されている前記トラボプロスト粒子と
を含む1つのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の前記1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することと
を含む、前記方法。
【0530】
2.前記トラボプロスト粒子が前記ヒドロゲル内に均一に分散されている、細目1に記載の方法。
【0531】
3.前記トラボプロスト粒子が、ふるい分けによって決定される約1~約150μmの範囲の直径を有する、またはレーザー回折によって決定される1~150μmの範囲の平均直径を有する、細目1または2に記載の方法。
【0532】
4.前記トラボプロスト粒子が、ふるい分けによって決定される1~100μm、20~75μm、20~106μm、または20~55μmの範囲の直径を有し、またはレーザー回折により決定される1~100μm、20~75μm、20~106μm、または20~55μmの範囲の平均直径を有する、細目3に記載の方法。
【0533】
5.前記生分解性ポリマーがポリラクチドを含む、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0534】
6.前記ポリラクチドが酸末端基またはエステル末端基を有する、細目5に記載の方法。
【0535】
7.前記トラボプロスト粒子が、第1のポリラクチドと混合されたトラボプロストの形態の粒子及び第2のポリラクチドと混合されたトラボプロストの形態の粒子のようなさまざまな種類の粒子のブレンドである、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0536】
8.前記第1及び前記第2のポリラクチドがそれぞれ酸末端基を有する、細目7に記載の方法。
【0537】
9.前記第1のポリラクチドが、約0.05~約0.5dl/g未満の範囲、または約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する、細目8に記載の方法。
【0538】
10.前記第2のポリラクチドが約0.5~約1.7dl/gの範囲、または約0.6~約0.8dl/gの範囲の固有粘度規格を有する、細目8または9に記載の方法。
【0539】
11.前記トラボプロスト粒子が、2種類の粒子、前記第1のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロスの形態である前記第1の種類の粒子と、前記第2のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記第2の種類の粒子とのブレンドから成る、細目7~10のいずれか1つに記載の方法。
【0540】
12.前記前房内インプラントがさらなるポリラクチドを含まない、細目7~11のいずれか1つに記載の方法。
【0541】
13.前記前房内インプラントが、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、1日目~84日目の70日間あたりで放出された%量を基にして、平均絶対偏差が多くても5%である約65%~約85%の範囲の平均トラボプロスト放出または約65%~約85%の範囲のトラボプロスト放出による試験管内放出を有する、細目1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0542】
14.前記インプラントが、標準偏差が100~200ng/週の範囲である約300~約500ng/週の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、前記平均トラボプロスト放出は、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~84日目の間の毎週のトラボプロスト放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~84日目の間の時間間隔で測定すると前記毎週のトラボプロストの放出は約10~約700ngの範囲である、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0543】
15.前記第1及び前記第2のポリラクチドが、約1.5:1~約1:1.5、または約1:1の前記粒子ブレンド中の質量比を有する、細目7~14のいずれか1つに記載の方法。
【0544】
16.前記トラボプロスト粒子が、第1のポリラクチドと混合されたトラボプロストの形態の粒子と、第2のポリラクチドと混合されたトラボプロストの形態の粒子と、第3のポリラクチドと混合されたトラボプロストの形態の粒子とを含む、さまざまな種類の粒子のブレンドであり、その際、前記ポリラクチドのそれぞれは酸末端基を有する、細目1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0545】
17.前記第1のポリラクチドが約0.05~約0.5dl/g未満の範囲、または約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、前記第2のポリラクチドが約0.5~約0.80dl/g未満の範囲または約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有し、前記第3のポリラクチドが約0.8~約1.7dl/gの範囲、または約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する、細目16に記載の方法。
【0546】
18.前記生分解性ポリマーが、3種類の粒子、前記第1のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記第1の種類の粒子と、前記第2のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記第2の種類の粒子と、前記第3のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記第3の種類の粒子とのブレンドとから成る、細目17に記載の方法。
【0547】
19.前記前房内インプラントがさらなるポリラクチドを含まない、細目18に記載の方法。
【0548】
20.前記粒子ブレンドにおける前記第1と前記第2のポリラクチドの質量比が約2:1~約1:2、または約1:1.6である、細目14~19のいずれか1つに記載の方法。
【0549】
21.前記粒子ブレンドにおける前記第1と前記第3のポリラクチドの質量比が約2:1~約1:2、または約1:1.4である、細目14~20のいずれか1つに記載の方法。
【0550】
22.前記前房内インプラントが、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、1日目~98日目の70日間あたりで放出された%量を基にして、平均絶対偏差が多くても5%である約60%~約80%の範囲の平均トラボプロスト放出または約60%~約80%の範囲のトラボプロスト放出による試験管内放出を有する、細目1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0551】
23.前記インプラントが、標準偏差が450~550ng/週の範囲である約800~約1100ng/週の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、前記平均が、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~98日目の間の毎週のトラボプロスト放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~98日目の間の時間間隔で測定すると前記毎週のトラボプロストの放出は約100~約2300ngの範囲である、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0552】
24.前記トラボプロスト粒子が、第1のポリラクチドと混合されたトラボプロストの形態の粒子と、第2のポリラクチドと混合されたトラボプロストの形態の粒子と、第3のポリラクチドと混合されたトラボプロストの形態の粒子と、第4のポリラクチドと混合されたトラボプロストの形態の粒子とを含む、さまざまな種類の粒子のブレンドである、細目1~10または15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0553】
25.前記第1のポリラクチドが約0.05~約0.5dl/g未満の範囲、または約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有し、前記第2のポリラクチドが約0.5~約0.80dl/g未満の範囲または約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有し、前記第3のポリラクチドが約0.8~約1.7dl/gの範囲、または約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有し、前記第4のポリラクチドが約0.05~約1.7dl/gの範囲、例えば約0.55~約0.75dl/の範囲の固有粘度を有し、且つエステル末端基を有する、細目24に記載の方法。
【0554】
26.前記トラボプロスト粒子が、4種類の粒子、前記第1のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記第1の種類の粒子と、前記第2のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記第2の種類の粒子と、前記第3のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記第3の種類の粒子と、前記第4のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記第4の種類の粒子とのブレンドから成る、細目24または25に記載の方法。
【0555】
27.前記前房内インプラントがさらなるポリラクチドを含まない、細目27に記載の方法。
【0556】
28.前記粒子ブレンドにおける前記第1と前記第2のポリラクチドの質量比が約1.25:1~約1:1.25、または約1:1である、細目24~27のいずれか1つに記載の方法。
【0557】
29.前記粒子ブレンドにおける前記第1と前記第3のポリラクチドの質量比が約3:1~約1:1、または約2:1である、細目24~28のいずれか1つに記載の方法。
【0558】
30.前記粒子ブレンドにおける前記第1と前記第4のポリラクチドの質量比が約1:1~約1:3、または約1:2.5、または約1:2.6である、細目24~28のいずれか1つに記載の方法。
【0559】
31.前記前房内インプラントが、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、1日目~112日目の14日間あたりで放出された%量を基にして平均絶対偏差が多くても3%である約5%~約15%の範囲の平均トラボプロスト放出または5%~15%の範囲のトラボプロスト放出による試験管内放出を有する、細目1~30のいずれか1つに記載の方法。
【0560】
32.前記インプラントが、標準偏差が100~400ng/週の範囲である約1000~約1500ng/週の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、前記平均はシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の前記毎週のトラボプロスト放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の時間間隔で測定すると前記毎週のトラボプロスト放出は約100~約2000ngの範囲である、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0561】
33.前記インプラントが、標準偏差が150~250ng/週の範囲である約500~約900ng/週の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、前記平均がシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の前記毎週のトラボプロスト放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の時間間隔で測定すると前記毎週のトラボプロスト放出は約100~約1500ngの範囲である、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0562】
34.トラボプロストと前記トラボプロスト粒子における前記生分解性ポリマーの総量との間の質量比が約2:1~1:2または約0.77:1である、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0563】
35.前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントの総重量に対する前記生分解性ポリマーの含量が約10重量%~約35重量%、または約23~約27重量%、または約12~約17重量%、または約30~約35重量%、または約25重量%、または約15重量%、または約34重量%である、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0564】
36.前記トラボプロスト粒子が、トラボプロストと前記生分解性ポリマーと他の薬学的に許容される残量の製造成分とから成る、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0565】
37.前記トラボプロスト粒子が球状粒子である、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0566】
38.前記ヒドロゲルがポリエチレングリコールの1以上のユニットを含むポリマーネットワークを含む、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0567】
39.前記ポリエチレングリコールユニットは、4~10アームのポリエチレングリコールユニット、または8アームのポリエチレングリコールユニットである、細目38に記載の方法。
【0568】
40.前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成される、細目38または39に記載の方法。
【0569】
41.前記マルチアームポリマー前駆体が4~10アームのポリエチレングリコール前駆体、または8アームのポリエチレングリコール前駆体である、細目40に記載の方法。
【0570】
42.前記求電子性基がスクシンイミジルグルタレート(SG)基及びスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基から成る群から選択される、細目40または41に記載の方法。
【0571】
43.前記マルチアームポリマー前駆体が、8アーム-15K-SGポリエチレングリコールまたは8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールから成る群から選択される、細目40~42のいずれか1つに記載の方法。
【0572】
44.前記マルチアームポリマー前駆体が、約10,000~約20,000ダルトンの範囲の質量平均分子量を有する、細目40~43のいずれか1つに記載の方法。
【0573】
45.前記マルチアームポリマー前駆体が、15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を有する、細目に記載の方法。
【0574】
46.前記1つの徐放性生分解性前房内インプラントの総重量に対する前記生分解性ポリマーの含量が、約30~約70重量%、または約32~約37重量%である、または約45~約55重量%、または約60~約70重量%、または約49.3重量%、または約37.5重量%、または約50.1重量%、または約66.8重量%である、細目38~45のいずれか1つに記載の方法。
【0575】
47.前記求核性基含有架橋剤がアミンである、細目40~46のいずれか1つに記載の方法。
【0576】
48.前記求核性基含有架橋剤が、2以上の第1級脂肪族アミン基を含む、分子量が1,000Da未満の小分子アミンである、細目40~47のいずれか1つに記載の方法。
【0577】
49.前記求核性基含有架橋剤が、ジリジン、トリリジン、テトラリジン、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、ジエチレントリアミン、及びトリメチルヘキサメチレンジアミンから成る群から選択される小分子アミンである、細目40~49のいずれか1つに記載の方法。
【0578】
50.前記求核性基含有架橋剤がトリリジンである、細目40~49のいずれか1つに記載の方法。
【0579】
51.前記求核性基含有架橋剤がトリリジン酢酸塩である、細目50に記載の方法。
【0580】
52.前記1つの徐放性生分解性前房内インプラントの総重量に対する前記求核性基含有架橋剤の含量が約1~約5重量%、または1~約3重量%、または2~約4重量%、または4~約5重量%、または約3.2重量%、または約2.3重量%、または約4.3重量%である、細目40~51のいずれか1つに記載の方法。
【0581】
53.前記トリリジンがフルオレセイン、ローダミン、クマリン、及びシアニンのような蛍光色素分子から成る群から選択される可視化剤で標識される、細目49~50のいずれか1つに記載の方法。
【0582】
54.前記求核性基含有架橋剤がフルオレセインを結合したトリリジンである、細目53に記載の方法。
【0583】
55.前記フルオレセインを結合したトリリジンがトリリジン酢酸塩をN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)-フルオレセインと反応させることによって得られる、細目54に記載の方法。
【0584】
56.前記トリリジンが前記可視化剤との部分的結合によって標識される、細目54または55に記載の方法。
【0585】
57.前記1つの徐放性生分解性前房内インプラントの総重量に対する前記可視化剤の含量は約0.1~約0.5重量%、または0.2重量%、または0.3重量%である、細目53~56のいずれか1つに記載の方法。
【0586】
58.前記インプラントが挿入前は乾燥状態にあり、前記眼に挿入されると水和状態になる、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0587】
59.前記インプラントが約2μg~約30μgのトラボプロストの用量を含有する、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0588】
60.前記インプラントが約5μgのトラボプロストの用量を含有する、細目1~56のいずれか1つに記載の方法。
【0589】
61.前記インプラントが約15μgのトラボプロストの用量を含有する、細目1~56のいずれか1つに記載の方法。
【0590】
62.前記インプラントが約26μgのトラボプロストの用量を含有する、細目1~56のいずれか1つに記載の方法。
【0591】
63.前記インプラントが繊維の形態である、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0592】
64.記インプラントが乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態である、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0593】
65.前記インプラントが37℃でpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水にて試験管内で24時間の水和後の平衡状態では0.6mm以下の直径及び3.0mm以下の長さを有する繊維の形態である、細目1~59のいずれか1つに記載の方法。
【0594】
66.前記インプラントが約20~約150μg、または約70μg~約80μg、または約40μg~約50μg、または約90μgから110μgの総重量を有する、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0595】
67.前記治療期間が約6~約9ヵ月であり、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントが約6~9ヵ月の治療を提供する、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0596】
68.前記治療期間が約4~7ヵ月であり、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントが約4~約7ヵ月の治療を提供する、細目1~66のいずれか1つに記載の方法。
【0597】
69.前記治療期間が約3~約6ヵ月または約3~4ヵ月であり、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントが約3~約6ヵ月または3~4ヵ月の治療を提供する、細目1~66のいずれか1つに記載の方法。
【0598】
70.前記治療期間が約7~約8ヵ月、または約7~約9ヵ月、または約4ヵ月、または約5ヵ月、または約6ヵ月、または約7ヵ月、または約8ヵ月、または約9ヵ月であり、且つ前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントがそれぞれ、約7~約8ヵ月、または約7~約9ヵ月、または約4ヵ月、または約5ヵ月、または約6ヵ月、または約7ヵ月、または約8ヵ月、または約9ヵ月の間の治療を提供する、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0599】
71.工程1と工程2を繰り返すことによって、約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月の範囲の前記治療期間の後で前記治療が継続される、細目1~70のいずれか1つに記載の方法。
【0600】
72.さらなる治療が必要なくなるまで工程1及び2を繰り返すことによって前記治療が継続される、細目71に記載の方法。
【0601】
73.前記治療が、年に1回約12ヵ月間の、年に2回約6~約9ヵ月の治療を提供するトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによる、及び年に3回または年に4回約3~約4ヵ月間の治療を提供するトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによるほぼ等しい時間間隔での年に1回、年に2回、年に3回、または年に4回の工程1及び2の繰り返しを含む、細目72に記載の方法。
【0602】
74.前記第1の治療期間が約3~約4ヵ月であり、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントが約3~約4ヵ月の治療を提供し、前記治療が約6~約12ヵ月の治療を提供するトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによって約6~12ヵ月の治療期間で継続する、先行細目71~73のいずれか1つに記載の方法。
【0603】
75.前記治療が軽度、中等度または重度の開放隅角緑内障に対するものである、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0604】
76.約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月、例えば、約6ヵ月のような前記治療期間中に前記眼圧がベースライン眼圧から少なくとも4mmHg、または少なくとも5mmHg低下する、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0605】
77.内皮細胞数の変化が前記治療期間中及び/または治療全体の間、前記治療された眼にて発生しない、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0606】
78.角膜の厚さの変化が前記治療期間中及び/または治療全体の間、前記治療された眼にて発生しない、先行細目のいずれか1つに記載の方法。
【0607】
79.高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて眼圧を治療する方法であって、治療を必要とする眼ごとに単回のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによって約6~約9ヵ月のような約6~約12ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療し、前記方法は前記眼ごとに、
工程1:前記インプラントが乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、
・生分解性ヒドロゲル及びトラボプロスト粒子と、
・前記トラボプロスト粒子が、4種類の粒子、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第1のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である第1の種類の粒子と;約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第2のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である第2の種類の粒子と;0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第3のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である第3の種類の粒子と;約0.55~0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つエステル末端基を有する第4のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されるトラボプロストの形態である第4の種類の粒子とのブレンドを含有する、前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態であるトラボプロスト粒子と、
・前記ヒドロゲルが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を持つ8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む、前記ヒドロゲル内に分散されたトラボプロスト粒子とを含む、21~30μgのトラボプロストを含有する、1つのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の前記1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することと
を含む、前記方法。
【0608】
80.高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて眼圧を治療する方法であって、治療を必要とする眼ごとに単回のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによって約6~約9ヵ月のような約6~約12ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療し、前記方法は前記眼ごとに、
工程1:前記インプラントが乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、
・生分解性ヒドロゲル及びトラボプロスト粒子と、
・前記トラボプロスト粒子が、4種類の粒子、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第1のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である第1の種類の粒子と;約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第2のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である第2の種類の粒子と;;約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第3のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である第3の種類の粒子と;約0.55~0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つエステル末端基を有する第4のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されるトラボプロストの形態である第4の種類の粒子とのブレンドを含有する、前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態であるトラボプロスト粒子と、
・前記ヒドロゲルが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を持つ8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む、前記ヒドロゲル内に分散されたトラボプロスト粒子とを含む、11~20μgのトラボプロストを含有する、1つのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の前記1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することと
を含む、前記方法。
【0609】
81.高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて眼圧を治療する方法であって、治療を必要とする眼ごとに単回のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによって約3~約4ヵ月のような約3~約6ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療し、前記方法は前記眼ごとに、
工程1:前記インプラントが乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、
・生分解性ヒドロゲル及びトラボプロスト粒子と、
・前記トラボプロスト粒子が、3種類の粒子、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第1のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である第1の種類の粒子と;約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第2のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である第2の種類の粒子と;約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第3のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である第3の種類の粒子とのブレンドを含有する、前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態であるトラボプロスト粒子と、
・前記ヒドロゲルが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を持つ8アーム-15K-SGポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む、前記ヒドロゲル内に分散されたトラボプロスト粒子とを含む、11~20μgのトラボプロストを含有する、1つのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の前記1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することと
を含む、前記方法。
【0610】
82.高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて眼圧を治療する方法であって、治療を必要とする眼ごとに単回のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによって約3~約4ヵ月のような約3~約6ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療し、前記方法は前記眼ごとに、
工程1:前記インプラントが乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さ及び0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、
・生分解性ヒドロゲル及びトラボプロスト粒子と、
・前記トラボプロスト粒子が、2種類の粒子、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第1のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である第1の種類の粒子と;約0.6~約0.8dl/gの範囲の固有粘度規格を有し、且つ酸末端基を有する第2のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である第2の種類の粒子とのブレンドを含有する、前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態であるトラボプロスト粒子と、
・前記ヒドロゲルが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を持つ8アーム-15K-SGポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む、前記ヒドロゲル内に分散されたトラボプロスト粒子とを含む、2~10μgのトラボプロストを含有する、1つのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の前記1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することと
を含む、前記方法。
【0611】
83.高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて眼圧を治療する方法であって、治療を必要とする眼ごとに単回のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによって約6~約9ヵ月のような約6~約12ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療し、前記方法は前記眼ごとに、
工程1:前記インプラントが乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さと0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、生分解性ヒドロゲルとその中に分散されているトラボプロスト粒子とを含み、前記前房内インプラントがシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合1日目~112日目の14日間あたりで放出される%量に基づいて平均絶対偏差が多くても3%である約5%~約15%の範囲の平均トラボプロスト放出、または5%~15%の範囲のトラボプロスト放出による試験管内放出を有し、前記ヒドロゲルが6~8ヵ月以内に溶解する、21~30μgのトラボプロストを含有する、1つのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の前記1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することと
を含む、前記方法。
【0612】
84.高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて眼圧を治療する方法であって、治療を必要とする眼ごとに単回のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによって約3~約4ヵ月のような約3~約6ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療し、前記方法は前記眼ごとに、
工程1:前記インプラントが乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さと0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、生分解性ヒドロゲルとその中に分散されているトラボプロスト粒子とを含み、前記前房内インプラントがシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合1日目~84日目の70日間あたりで放出される%量に基づいて平均絶対偏差が多くても5%である約65%~約85%の範囲の平均トラボプロスト放出、または65%~85%の範囲のトラボプロスト放出による試験管内放出を有し、前記ヒドロゲルが2~4ヵ月以内に溶解する、11~20μgのトラボプロストを含有する、1つのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の前記1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することと
を含む、前記方法。
【0613】
85.高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて眼圧を治療する方法であって、治療を必要とする眼ごとに単回のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによって、約3~約6ヵ月のような約3~約6ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療し、前記方法は前記眼ごとに、
工程1:前記インプラントが乾燥状態で約1.0mm~約2.5mmの長さと0.3mm以下の直径を有する繊維の形態であり、生分解性ヒドロゲルとその中に分散されているトラボプロスト粒子とを含み、前記前房内インプラントがシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合1日目~98日目の70日間あたりで放出される%量に基づいて平均絶対偏差が多くても5%である約60%~約80%の範囲の平均トラボプロスト放出、または60%~80%の範囲のトラボプロスト放出による試験管内放出を有し、前記ヒドロゲルが2~4ヵ月以内に溶解する、2~10μgのトラボプロストを含有する、1つのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の前記1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することと
を含む、前記方法。
【0614】
86.・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られたトラボプロスト粒子であって、
前記混合物が前記混合物の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する、前記トラボプロスト粒子。
【0615】
87.・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られたトラボプロスト粒子であって、
前記混合物は前記混合物の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する、前記トラボプロスト粒子。
【0616】
88.・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g、例えば約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られるトラボプロスト粒子であって、
前記混合物は前記混合物の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する、前記トラボプロスト粒子。
【0617】
89.・トラボプロストと
・エステル末端基及び約0.05~約1.7dl/g、例えば約0.55~約0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られるトラボプロスト粒子であって、
前記混合物は前記混合物の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する、前記トラボプロスト粒子。
【0618】
90.細目86~89の粒子のブレンドから形成される多様なトラボプロスト粒子であって、例えば、粒子の総量に基づいて、約15~約25重量%の細目86の粒子と、約15~約25重量%の細目87の粒子と、約5~約15%の細目88の粒子と、約40~約60重量%の細目89粒子とのブレンドから形成される多様なトラボプロスト粒子であり;またはトラボプロストの総量の約15重量%~約25重量%が細目86の粒子の形態で存在し、トラボプロストの総量の15重量%~約25重量%が細目87の粒子の形態で存在し、トラボプロストの総量の約5重量%~約15重量%が細目88の粒子の形態で存在し、且つトラボプロストの総量の約40重量%~約60重量%が細目89の粒子の形態で存在する、前記多様なトラボプロスト粒子。
【0619】
91.細目86~88の粒子のブレンドから形成される多様なトラボプロスト粒子であって、例えば、粒子の総量に基づいて、約20~約35重量%の細目86の粒子と、約30~約50重量%の細目87の粒子と、約25~約45重量%の細目88の粒子とのブレンドから形成される多様なトラボプロスト粒子であり;またはトラボプロストの総量の約20重量%~約35重量%が細目86の粒子の形態で存在し、トラボプロストの総量の30重量%~約50重量%が細目87の粒子の形態で存在し、且つトラボプロストの総量の約25重量%~約45重量%が細目88の粒子の形態で存在する、前記多様なトラボプロスト粒子。
【0620】
92.細目86及び87の粒子のブレンドから形成される多様なトラボプロスト粒子であって、例えば、粒子の総量に基づいて、約35~約55重量%の細目86の粒子と、約35~約55重量%の細目87の粒子とのブレンドから形成される多様なトラボプロスト粒子でありまたはトラボプロストの総量の約35重量%~約55重量%が細目86の粒子の形態で存在し、且つトラボプロストの総量の35重量%~約55重量%が細目87の粒子の形態で存在する、前記多様なトラボプロスト粒子。
【0621】
93.粒子のブレンドから形成される多様なトラボプロスト粒子であって、前記粒子が
・トラボプロストと
・酸末端基を有するポリラクチドから成る生分解性ポリマーと、
・任意で、他の薬学的に許容される残量の製造成分との混合物から成る粒子のブレンドから形成される、前記多様なトラボプロスト粒子。
【0622】
94.粒子の前記ブレンドが3種類の粒子で構成され、前記3種類の粒子が異なる固有粘度を有するポリラクチド成分を含むことによって互いに区別する、細目93に記載の多様なトラボプロスト粒子。
【0623】
95.前記3つのポリラクチドがそれぞれ、約0.05~約0.5dl/g未満の範囲、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の;約0.5~約0.80dl/g未満の範囲、例えば、約0.6~約0.8dl/g未満の範囲の;及び約0.8~約1.7dl/gの範囲、例えば、約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する、細目94に記載の多様なトラボプロスト粒子。
【0624】
96.粒子の前記ブレンドが2種類の粒子で構成され、前記2種類の粒子が異なる固有粘度を有するポリラクチド成分を含むことによって互いに区別する、細目95に記載の多様なトラボプロスト粒子。
【0625】
97.前記2つのポリラクチドがそれぞれ、約0.05~約0.5dl/g未満の範囲、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の;及び約0.5~約1.7dl/gの範囲、例えば、約0.6~約0.8dl/gの範囲の固有粘度規格を有する、細目96に記載の多様なトラボプロスト粒子。
【0626】
98.前記粒子が1~100μm、20~75μm、20~106μm、及び/または20~55μmの数/重量平均直径を有する、細目93~97のいずれか1つに記載の多様なトラボプロスト粒子。
【0627】
99.トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントであって、
・細目90~98のいずれか1つに記載の多様なトラボプロスト粒子と;
・生分解性ヒドロゲルとを含み、
前記多様なトラボプロスト粒子が前記ヒドロゲル内に分散されている、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0628】
100.トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントであって、
・生分解性ヒドロゲル及びトラボプロスト粒子、
・ポリラクチドと混合されたトラボプロストの形態である前記トラボプロスト粒子、
・前記ヒドロゲル内に分散された前記トラボプロスト粒子を含み、前記ヒドロゲルが15,000±10%ダルトンの質量平均分子量を有する8アーム-15K-SGまたは8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールをトリリジン酢酸塩と反応させることによって形成されるポリマーネットワークを含む、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0629】
101.トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントを製造する方法であって、前記方法が
a)生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態であるトラボプロスト粒子を調製する工程と、
b)ヒドロゲル前駆体と前記トラボプロスト粒子とを含有する前駆体混合物を調製する工程と、
c)架橋剤を使用して前記前駆体混合物を架橋してポリマーネットワークを形成し、前記ポリマーネットワークを含むヒドロゲル混合物を得る工程と、
d)前記ヒドロゲル混合物を乾燥させて前記インプラントを提供する工程と
を含む、前記方法。
【0630】
102.細目101に記載の方法によって得られる徐放性生分解性前房内インプラント。
【0631】
103.細目99、100、及び102のいずれか1つに記載の徐放性生分解性前房内インプラントを含む前房内注入用シリンジ。
【0632】
104.ヒト対象にて眼疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする眼ごとに単回のAPI含有徐放性生分解性前房内インプラントによって3~9ヵ月以内の期間で眼疾患を治療し、前記方法は前記眼ごとに、
工程1:3~9ヵ月以内の期間で治療を提供する、
・生分解性ヒドロゲル及びAPI粒子と、
・前記ヒドロゲル内に分散されている前記API粒子とを含む、1つのAPI含有徐放性生分解性前房内インプラントを提供することと、
工程2:工程1の前記1つの徐放性生分解性前房内インプラントを前記眼の前眼部に挿入して、それを前記眼の虹彩角膜角内に配置することとを含む、前記方法。
【0633】
105.前記眼圧が、約2~約12ヵ月または約3~約9ヵ月、例えば約6ヵ月の前記治療期間中または反復投与による継続治療中にベースライン眼圧から約5~約7mmHg、または約7~約9mmHg低下する、任意の細目に記載の方法、または本明細書で開示されている方法。
【0634】
細目の第3のリスト
1.トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントであって、
・生分解性ヒドロゲル及びトラボプロスト粒子と、
・生分解性ポリマーがポリラクチドを含む、前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記トラボプロスト粒子と、
・前記ヒドロゲル内に分散されている前記トラボプロスト粒子とを含み、
前記ヒドロゲルがポリエチレングリコールの1以上のユニットを含むポリマーネットワークを含み、前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基がスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基であり、前記マルチアームポリマー前駆体が8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールであり;前記求核性基含有架橋剤がトリリジンまたはその塩である、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0635】
2.前記トラボプロスト粒子が、PLA 4A、PLA 7A、PLA 9A及びPLA 5.5を含有する、請求項1に記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0636】
3.前記インプラントが約15μgのトラボプロストの用量を含有する、請求項1に記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0637】
4.前記インプラントが約26μgのトラボプロストの用量を含有する、請求項1に記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0638】
5.トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントであって、
・生分解性ヒドロゲル及びトラボプロスト粒子と、
・生分解性ポリマーがポリラクチドを含む、前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記トラボプロスト粒子と、
・前記ヒドロゲル内に分散されている前記トラボプロスト粒子とを含み、
前記ヒドロゲルがポリエチレングリコールの1以上のユニットを含むポリマーネットワークを含み、前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基がスクシンイミジルグルタレート(SG)基であり、前記マルチアームポリマー前駆体が8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり;前記求核性基含有架橋剤がトリリジンまたはその塩である、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0639】
6.前記トラボプロスト粒子が、PLA 4A、PLA 7A、及びPLA 9Aを含有する、請求項5に記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0640】
7.前記トラボプロスト粒子が、PLA 4A、及びPLA 7Aを含有する、請求項5に記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0641】
8.前記インプラントが約15μgのトラボプロストの用量を含有する、請求項5に記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0642】
9.前記インプラントが約5μgのトラボプロストの用量を含有する、請求項5に記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0643】
10.高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて眼圧を治療する方法であって、
・生分解性ヒドロゲル及びトラボプロスト粒子と、
・生分解性ポリマーがポリラクチドを含み、前記トラボプロスト粒子が前記ヒドロゲル内に分散されている、前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記トラボプロスト粒子とを含むトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント投与することによって約3~約9ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療し、
前記ヒドロゲルがポリエチレングリコールの1以上のユニットを含むポリマーネットワークを含み、前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基がスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基であり、前記マルチアームポリマー前駆体が8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールであり;前記求核性基含有架橋剤がトリリジンまたはその塩である、前記方法。
【0644】
11.前記トラボプロスト粒子がPLA 4A、PLA 7A、PLA 9A及びPLA 5.5を含有する、請求項10に記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0645】
12.前記インプラントが約26μgのトラボプロストの用量を含有する、請求項10に記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0646】
13.前記緑内障が開放隅角緑内障である、請求項10に記載の方法。
【0647】
14.前記インプラントの投与後に内皮損傷が本質的に発生しない、請求項10に記載の方法。
【0648】
15.前記インプラントが虹彩角膜角での埋め込み用に設計されている、請求項10に記載の方法。
【0649】
16.前記ヒドロゲルが5ヵ月または6ヵ月または8ヵ月後に完全に分解される、請求項10に記載の方法。
【0650】
17.前記治療期間中に前記眼圧が低下する、請求項10に記載の方法。
【0651】
18.前記眼圧が5~11mmHg低下する、請求項10に記載の方法。
【0652】
19.投与後に角膜厚測定での変化が本質的に発生しない、請求項10に記載の方法。
【0653】
20.高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて眼圧を治療する方法であって、
・生分解性ヒドロゲル及びトラボプロスト粒子と、
・生分解性ポリマーがポリラクチドを含み、前記トラボプロスト粒子が前記ヒドロゲル内に分散されている、前記生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記トラボプロスト粒子とを含むトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントを投与することによって約3~約7ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療し、
前記ヒドロゲルがポリエチレングリコールの1以上のユニットを含むポリマーネットワークを含み、前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基がスクシンイミジルグルタレート(SG)基であり、前記マルチアームポリマー前駆体が8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり;前記求核性基含有架橋剤がトリリジンまたはその塩である、前記方法。
【0654】
21.前記インプラントが約5μgのトラボプロストの用量を含有する、請求項20に記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0655】
22.前記トラボプロスト粒子が、PLA 4A、PLA 7A及びPLA 9A;またはPLA 4A及びPLA 7Aを含有する、請求項20に記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0656】
23.前記治療期間が約3ヵ月、約4ヵ月、約5ヵ月、約6ヵ月、または約7ヵ月である、請求項20に記載の方法。
【0657】
24.前記緑内障が開放隅角緑内障である、請求項20に記載の方法。
【0658】
25.前記インプラントの投与後に内皮損傷が本質的に発生しない、請求項20に記載の方法。
【0659】
26.投与後に角膜厚測定での変化が本質的に発生しない、請求項20に記載の方法。
【0660】
27.前記インプラントが虹彩角膜角での埋め込み用に設計されている、請求項20に記載の方法。
【0661】
28.前記ヒドロゲルが2ヵ月または3ヵ月または4ヵ月後に完全に分解される、請求項20に記載の方法。
【0662】
29.前記治療期間中に前記眼圧が低下する、請求項20に記載の方法。
【0663】
30.前記眼圧が5~11mmHg低下する、請求項20に記載の方法
【0664】
細目の第4のリスト
1.トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントであって、
ヒドロゲルがポリアルキレングリコールの1以上のユニットを含むポリマーネットワークを含む生分解性ヒドロゲル及びトラボプロスト粒子と、
生分解性ポリマーと混合されたトラボプロストの形態である前記トラボプロスト粒子と、
前記ヒドロゲル内に分散されている前記トラボプロスト粒子とを含み、
前記インプラントが乾燥状態で約1.00mm~約2.50mmの長さ及び0.30mm以下の直径を有する、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0665】
2.前記インプラントが37℃でpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水中にて試験管内で24時間水和された後、0.50mm未満の直径を有する、細目1に記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0666】
3.前記インプラントが37℃でpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水中にて試験管内で24時間水和された後、約0.30mm~約0.49mmまたは約0.40mm~約0.49mmの範囲の直径を有する、細目2に記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0667】
4.37℃でpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水中で試験管内で24時間水和された後の前記インプラントの前記直径の乾燥状態での前記インプラントの前記直径に対する比が2.5未満である、細目1~3のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0668】
5.前記インプラントが約2μg~約30μgのトラボプロストの用量を含有する、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0669】
6.前記生分解性ポリマーがポリラクチドを含む、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0670】
7.前記ヒドロゲルが、ポリエチレングリコールの1以上のユニットを含むポリマーネットワークを含む、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0671】
8.前記インプラントが繊維の形態である、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0672】
9.前記インプラントがその乾燥状態で約20μg~約110μgまたは約30μg~約105μgの総重量を有する、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0673】
10.前記インプラントが、37℃でpH7.2~7.4の50mLの1×PBS、0.5%のヒマシ油、0.01%のフッ化ナトリウム緩衝液での模擬生理的シンク条件下、試験管内で測定された1日目にて前記インプラントにおけるトラボプロストの総重量を基にして15%未満のバーストを示す、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0674】
11.前記インプラントにおける前記生分解性ポリマーの総質量が34μg未満、30μg未満、20μg未満、または10μg未満である、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0675】
12.前記インプラントにおける前記トラボプロストが25μg未満、または20μg未満、または10μg未満である、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0676】
13.その乾燥状態での前記インプラントの総質量が103μg未満、80μg未満、または50μg未満である、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0677】
14.前記トラボプロスト粒子が、ふるい分けによって決定される1~100μm、20~75μm、20~106μm、もしくは20~55μmの範囲の直径を有し、またはレーザー回折により決定される1~100μm、20~75μm、20~106μm、もしくは20~55μmの範囲の平均直径を有する、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0678】
15.前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基はスクシンイミジルグルタレート(SG)基及びスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基から成る群から選択され、前記マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SGポリエチレングリコールまたは8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールから成る群から選択され;且つ前記求核性基含有架橋剤はトリリジンであり、または前記ポリマーネットワークは以下の式:
【化13】
(式中、mは2または6である)で表される基を含む、架橋されている8アーム-ポリエチレングリコールを含む、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0679】
16.前記トラボプロスト粒子が、
(1)・トラボプロストと、
・酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類のトラボプロスト粒子、
例えば、前記第1の種類の粒子は、前記第1の種類の粒子の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する前記第1の種類のトラボプロスト粒子と;
(2)・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類のトラボプロスト粒子、
例えば、前記第2の種類の粒子は前記第2の種類の粒子の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する前記第2の種類のトラボプロスト粒子と;
(3)・トラボプロストと
・酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g、例えば約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第3の種類のトラボプロスト粒子、
例えば、前記第3の種類の粒子は前記第3の種類の粒子の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する前記第3の種類のトラボプロスト粒子と;
(4)・トラボプロストと
・エステル末端基及び約0.05~約1.7dl/g、例えば約0.55~約0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る生分解性ポリマーとの混合物で作られる第4の種類のトラボプロスト粒子、
例えば、前記第4の種類の粒子は前記第4の種類の粒子の総質量に基づいて約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する前記第4の種類のトラボプロスト粒子とから成る群から選択される少なくとも2種類のトラボプロスト粒子のブレンドである、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0680】
17.前記トラボプロスト粒子が、
(1)トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類のトラボプロスト粒子、その際、前記第1の種類の粒子が前記第1の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する前記第1の種類のトラボプロスト粒子と、
(2)トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類のトラボプロスト粒子、その際、前記第2の種類の粒子が前記第2の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する前記第2の種類のトラボプロスト粒子とから作られる粒子のブレンドであり、
例えば、前記ブレンドは前記ブレンドの総量に基づいて約35重量%~約55重量%の前記第1の種類の粒子、及び約35重量%~約55重量%の前記第2の種類の粒子を含有し;または、
例えば、前記インプラントにおけるトラボプロストの総量の約35重量%~約55重量%が前記第1の種類の粒子の形態で存在し、前記インプラントにおけるトラボプロストの総量の約35重量%~約55重量%が前記第2の種類の粒子の形態で存在し、
任意で、前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基はスクシンイミジルグルタレート(SG)基であり、前記マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり;前記求核性基含有架橋剤はトリリジンである、または前記ポリマーネットワークは以下の式:
【化14】
(式中mは2である)で表される基を含む、架橋されている8アーム-ポリエチレングリコールを含む、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0681】
18.前記トラボプロスト粒子が、
(1)トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類の粒子、その際、前記第1の種類の粒子が前記第1の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する前記第1の種類の粒子と、
(2)トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類のトラボプロスト粒子、その際、前記第2の種類の粒子は前記第2の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する前記第2の種類のトラボプロスト粒子と、
(3)トラボプロストと、酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g、例えば、約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第3の種類のトラボプロスト粒子、その際、前記第3の種類の粒子は前記第3の種類の粒子の総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する前記第3の種類のトラボプロスト粒子とで作られる粒子のブレンドであり、
例えば、前記ブレンドは前記ブレンドの総量に基づいて約20重量%~約35重量%の前記第1の種類の粒子、約30重量%~約50重量%の前記第2の種類の粒子及び約25重量%~約45重量%の前記第3の種類の粒子を含有し;または、
例えば、前記インプラントにおけるトラボプロストの総量の約20重量%~約35重量%が前記第1の種類の粒子の形態で存在し、前記インプラントにおけるトラボプロストの総量の約30重量%~約50重量%が前記第2の種類の粒子の形態で存在し、及び前記インプラントにおけるトラボプロストの総量の約25重量%~約45重量%が前記第3の種類の粒子の形態で存在し、
任意で、前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基はスクシンイミジルグルタレート(SG)基であり、前記マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり;且つ前記求核性基含有架橋剤はトリリジンであり、または前記ポリマーネットワークは以下の式:
【化15】
(式中、mは2である)で表される基を含む架橋されている8アーム-ポリエチレングリコールを含む、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0682】
19.前記トラボプロスト粒子が、
(1)トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類の粒子、その際、前記第1の種類の粒子は前記第1の種類の粒子の総質量を基にして、約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する前記第1の種類の粒子と、
(2)トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類の粒子、その際、前記第2の種類の粒子は前記第2の種類の粒子の前記総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する前記第2の種類の粒子と、
(3)トラボプロストと、酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g、例えば、約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとで作られる第3の種類の粒子、その際、前記第3の種類の粒子は前記第3の種類の粒子の前記総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する前記第3の種類の粒子と、
(4)トラボプロストと、エステル末端基及び約0.05~約1.7dl/g、例えば、約0.55~約0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとで作られる第4の種類の粒子、その際、前記第4の種類の粒子は前記第4の種類の粒子の前記総質量を基にして約40重量%~約50重量%を含有する前記第4の種類の粒子とで作られる粒子のブレンドであり、
例えば、前記ブレンドはブレンドの前記総量に基づいて約15重量%~約25重量%の前記第1の種類の粒子、約15重量%~約25重量%の前記第2の種類の粒子、約5重量%~約15重量%の前記第3の種類の粒子及び約40重量%~約60重量%の前記第4の種類の粒子を含有し;または
例えば、前記インプラントにおけるトラボプロストの前記総量の約15重量%~約25重量%が前記第1の種類の粒子の形態で存在し、前記インプラントにおけるトラボプロストの前記総量の約15重量%~約25重量%が前記第2の種類の粒子の形態で存在し、前記インプラントにおけるトラボプロストの前記総量の約5重量%~約15重量%が前記第3の種類の粒子の形態で存在し、且つ前記インプラントにおけるトラボプロストの前記総量の約40重量%~約60重量%が前記第4の種類の粒子の形態で存在し、
任意で、前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求核性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基はスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基であり、前記マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールであり;且つ前記求核性基含有架橋剤はトリリジンである、または前記ポリマーネットワークは以下の式:
【化16】
(式中、mは6である)で表される基を含む架橋されている8アーム-ポリエチレングリコールを含む、先行細目のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0683】
20.高眼圧症及び/または緑内障があるヒト対象にて、治療を必要とする眼ごとに単回のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによって約1~約24ヵ月、例えば、約3~約9ヵ月の範囲の期間で眼圧を治療する方法で使用するための細目1~19のいずれか1つに記載のトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0684】
21.前記治療期間が約7~約8ヵ月、または約7~約9ヵ月、または約4ヵ月、または約5ヵ月、または約6ヵ月、または約7ヵ月、または約8ヵ月、または約9ヵ月であり、且つ前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントがそれぞれ、約7~約8ヵ月、または約7~約9ヵ月、または約4ヵ月、または約5ヵ月、または約6ヵ月、または約7ヵ月、または約8ヵ月、または約9ヵ月の間の治療を提供する、細目20に記載の使用のためのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0685】
22.・前記インプラントがシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、1日目~84日目の70日間あたりで放出された%量を基にして平均絶対偏差が多くても5%である約65%~約85%の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、前記治療期間は約3~約6ヵ月であり、もしくは約3~4ヵ月である;または
・前記インプラントがシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、1日目~98日目の70日間あたりで放出された%量を基にして平均絶対偏差が多くても5%である約60%~約80%の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、前記治療期間は約3~約7ヵ月であり、もしくは約4~7ヵ月である;または
・前記インプラントがシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、1日目~112日目の14日間あたりで放出された%量を基にして平均絶対偏差が多くても3%である約5%~約15%の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、その際、前記治療期間は約6~約9ヵ月であり、もしくは約6~約12ヵ月である、細目20または21に記載の使用のためのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0686】
23.前記治療期間が、約3~約7ヵ月であり、または約4から7ヵ月であり、または約3~約6ヵ月であり、または約3~4ヵ月であり、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントが約3~約7ヵ月間または約4~7ヵ月間または約3~約6ヵ月間または3~4ヵ月間の間の治療を提供し、前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求電子性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基はスクシンイミジルグルタレート(SG)基であり、前記マルチアームポリマー前駆体は8アーム-15K-SGポリエチレングリコールであり;前記求核性基含有架橋剤はトリリジンであり、前記ヒドロゲルは2~4ヵ月以内に溶解する、細目20~22のいずれか1つに記載の使用のためのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0687】
24.前記治療期間が約6~約9ヵ月または約6~約12ヵ月であり、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントが約6~9ヵ月間または約6~12ヵ月間の治療を提供し、前記ポリマーネットワークが求電子性基含有マルチアームポリマー前駆体を求電子性基含有架橋剤と反応させることによって形成され、前記求電子性基がスクシンイミジルアゼレート(SAZ)基であり、前記マルチアームポリマー前駆体が8アーム-15K-SAZポリエチレングリコールであり;前記求核性基含有架橋剤がトリリジンであり、前記ヒドロゲルが6~8ヵ月以内に溶解する、細目20~23のいずれか1つに記載の使用のためのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0688】
25.前記治療期間が約3~約6ヵ月または約3~4ヵ月であり、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントが約3~約6ヵ月間または3~4ヵ月間の治療を提供し、前記トラボプロスト粒子が、
(1)トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類のトラボプロスト粒子、その際、前記第1の種類の粒子が前記第1の種類の粒子の前記総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する前記第1の種類のトラボプロスト粒子と、
(2)トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類のトラボプロスト粒子、その際、前記第2の種類の粒子は前記第2の種類の粒子の前記総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する第2の種類のトラボプロスト粒子とで作られる粒子のブレンドであり、
前記ブレンドは、粒子の前記総量に基づいて約35重量%~約55重量%の前記第1の種類の粒子及び約35重量%~約55重量%の前記第2の種類の粒子を含有し、または前記インプラントにおけるトラボプロストの前記総量の約35重量%~約55重量%が前記第1の種類の粒子の形態で存在し、及び前記インプラントにおけるトラボプロストの前記総量の約35重量%~約55重量%が前記第2の種類の粒子の形態で存在する、細目20~24のいずれか1つに記載の使用のためのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0689】
26.前記治療期間が4~7ヵ月であり、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントが約4~約7ヵ月間の治療を提供し、前記トラボプロスト粒子が、
(1)トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類の粒子、その際、前記第1の種類の粒子は前記第1の種類の粒子の前記総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する前記第1の種類の粒子と、
(2)トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類の粒子、その際、前記第2の種類の粒子は前記第2の種類の粒子の前記総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する前記第2の種類の粒子と、
(3)トラボプロストと、酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g、例えば、約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第3の種類の粒子、その際、前記第3の種類の粒子は前記第3の種類の粒子の前記総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する第3の種類の粒子とで作られる粒子のブレンドであり、
前記ブレンドは、粒子の前記総量に基づいて約20重量%~約35重量%の前記第1の種類の粒子及び約30重量%~約50重量%の前記第2の種類の粒子及び約25重量%~約45重量%の前記第3の種類の粒子を含有し、または前記インプラントにおけるトラボプロストの前記総量の約20重量%~約35重量%が前記第1の種類の粒子の形態で存在し、及び前記インプラントにおけるトラボプロストの前記総量の約30重量%~約50重量%が前記第2の種類の粒子の形態で存在し、及び前記インプラントにおけるトラボプロストの前記総量の約25重量%~約45重量%が前記第3の種類の粒子の形態で存在する、細目20~25のいずれか1つに記載の使用のためのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0690】
27.前記治療期間が約6~約12ヵ月または約6~9ヵ月であり、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントが約6~約12ヵ月間または6~9ヵ月間の治療を提供し、前記トラボプロスト粒子が、
(1)トラボプロストと、酸末端基及び約0.05~約0.5dl/g未満、例えば、約0.35~約0.45dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第1の種類の粒子、その際、前記第1の種類の粒子は前記第1の種類の粒子の前記総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約43重量%~約45重量%のトラボプロストを含有する前記第1の種類の粒子と、
(2)トラボプロストと、酸末端基及び約0.5~約0.80dl/g未満、例えば、約0.6~約0.80dl/g未満の範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとの混合物で作られる第2の種類の粒子、その際、前記第2の種類の粒子は前記第2の種類の粒子の前記総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約45重量%~約47重量%のトラボプロストを含有する前記第2の種類の粒子と、
(3)トラボプロストと、酸末端基及び約0.8~約1.7dl/g、例えば、約0.8~約1.0dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとで作られる第3の種類の粒子、その際、前記第3の種類の粒子は前記第3の種類の粒子の前記総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する前記第3の種類の粒子と、
(4)トラボプロストと、エステル末端基及び約0.05~約1.7dl/g、例えば、約0.55~約0.75dl/gの範囲の固有粘度規格を有する1または複数のポリラクチドから成る前記生分解性ポリマーとで作られる第4の種類の粒子、その際、前記第4の種類の粒子は前記第4の種類の粒子の前記総質量を基にして約40重量%~約50重量%、例えば、約41重量%~約43重量%のトラボプロストを含有する第4の種類の粒子とで作られる粒子のブレンドであり、
前記ブレンドは、粒子の前記総量に基づいて約15重量%~約25重量%の前記第1の種類の粒子及び約15重量%~約25重量%の前記第2の種類の粒子及び約5重量%~約15重量%の前記第3の種類の粒子及び約40重量%~約60重量%の前記第4の種類の粒子を含有し、または前記インプラントにおけるトラボプロストの前記総量の約15重量%~25重量%が前記第1の種類の粒子の形態で存在し、及び前記インプラントにおけるトラボプロストの前記総量の約15重量%~約25重量%が前記第2の種類の粒子の形態で存在し、及び前記インプラントにおけるトラボプロストの前記総量の約5重量%~約15重量%が前記第3の種類の粒子の形態で存在し、及び前記インプラントにおけるトラボプロストの前記総量の約40重量%~約60重量%が前記第4の種類の粒子の形態で存在する、細目20~22または24のいずれか1つに記載の使用のためのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0691】
28.前記治療期間が約3~約6ヵ月であり、または約3~4ヵ月であり、前記インプラントが約5μgのトラボプロストの用量を含有し、前記インプラントが標準偏差が100~200ng/週の範囲である約300~約500ng/週の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、前記平均トラボプロスト放出がシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7日目~84日目の間の毎週のトラボプロスト放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7日目~84日目の間の時間間隔で測定すると前記毎週のトラボプロストの放出は約10~約700ngの範囲である、細目20~23のいずれか1つに記載の使用のためのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0692】
29.前記治療期間が約3~約7ヵ月であり、または約4~7ヵ月であり、前記インプラントが約15μgのトラボプロストの用量を含有し、前記インプラントが、標準偏差が450~550ng/週の範囲である約800~約1100ng/週の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、前記平均がシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~98日目の間の毎週のトラボプロスト放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~98日目の間の時間間隔で測定すると前記毎週のトラボプロスト放出は約100~約2300ngの範囲である、細目20~23のいずれか1つに記載の使用のためのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0693】
30.前記治療期間が約6~約9ヵ月または約6~約12ヵ月であり、前記インプラントが約15μgのトラボプロストの用量を含有し、前記インプラントが標準偏差が150~250ng/週の範囲である約500~約900ng/週の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、前記平均がシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の毎週のトラボプロスト放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.2のPBSにて37℃で測定した場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の時間間隔で測定すると前記毎週のトラボプロスト放出は約100~約1500ngの範囲である、細目20~22または24のいずれかに記載の使用のためのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0694】
31.前記治療期間が約6~約9ヵ月または約6~約12ヵ月であり、前記インプラントが約26μgのトラボプロストの用量を含有し、前記インプラントが標準偏差が100~400ng/週の範囲である約1000~約1500ng/週の範囲の平均トラボプロスト放出による試験管内放出を有し、前記平均がシンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の毎週のトラボプロスト放出値に基づく;または、シンク条件下、pH7.2~7.4のPBSにて37℃で測定された場合、投与後1日目のバーストを除いて7~119日目の間の時間間隔で測定すると前記毎週のトラボプロスト放出は約100~約2000ngの範囲である、細目20~22または24のいずれかに記載の使用のためのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0695】
32.約1~約12ヵ月または約3~約9ヵ月の範囲の前記治療期間の後に、前記治療を繰り返すことによって前記治療が継続される、細目20~31のいずれかに記載の使用のためのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。
【0696】
33.前記第1の治療期間が約3~約4ヵ月であり、前記トラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントが約3~約4ヵ月の治療を提供し、約6~約12ヵ月の治療を提供するトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラントによる約6~約12ヵ月の治療によって前記治療が継続する、細目32に記載の使用のためのトラボプロスト徐放性生分解性前房内インプラント。