(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】給液式気体圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04C 29/02 20060101AFI20240311BHJP
F04C 18/16 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
F04C29/02 331Z
F04C18/16 Q
(21)【出願番号】P 2022550568
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2021033784
(87)【国際公開番号】W WO2022059680
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2020157002
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】森田 謙次
(72)【発明者】
【氏名】頼金 茂幸
(72)【発明者】
【氏名】梶江 雄太
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/110220(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/136482(WO,A1)
【文献】特開平10-159764(JP,A)
【文献】特開2013-241920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 29/02
F04C 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ、前記ロータを回転可能に支持する軸受、並びに前記ロータ及び前記軸受を収納するケーシングを備え、前記ロータと前記ケーシングの内壁の間で形成された作動室に液体を注入しつつ、気体を圧縮する圧縮機本体と、
前記圧縮機本体から吐出された圧縮気体から液体を分離する分離器と、
前記分離器で分離された液体を前記圧縮機本体の前記作動室及び前記軸受へ供給する給液系統とを備えた給液式気体圧縮機において、
前記給液系統は、
液体を冷却する第1冷却部
、及び
前記第1冷却部にヘッダを介し接続され
、前記第1冷却部で冷却された液体を
更に冷却する第2冷却部を有する冷却器と、
前記冷却器の
前記ヘッダに形成された出口に接続され、前記冷却器の前記第1冷却部で冷却された液体を前記圧縮機本体の前記軸受へ供給する第1の給液配管と、
前記冷却器の前記第2冷却部の下流側の出口に接続され、前記冷却器の前記第1冷却部及び前記第2冷却部で冷却された液体を前記圧縮機本体の前記作動室へ供給する第2の給液配管とを備えたことを特徴とする給液式気体圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の給液式気体圧縮機において、
前記圧縮機本体の前記ロータの軸部の外周側に配置された第1軸封部を備え、
前記第1の給液配管は、前記冷却器の前記第1冷却部で冷却された液体を前記圧縮機本体の前記軸受及び前記第1軸封部へ供給することを特徴とする給液式気体圧縮機。
【請求項3】
請求項2に記載の給液式気体圧縮機において、
前記圧縮機本体を駆動する電動機と、
前記電動機の回転軸と前記圧縮機本体の前記ロータの間で設けられた複数のギヤと、
前記電動機の前記回転軸の外周側に配置された第2軸封部とを備え、
前記第1の給液配管は、前記冷却器の前記第1冷却部で冷却された液体を前記圧縮機本体の前記軸受及び前記第1軸封部、前記複数のギヤ、並びに前記第2軸封部へ供給することを特徴とする給液式気体圧縮機。
【請求項4】
請求項1に記載の給液式気体圧縮機において、
前記給液系統は、
前記冷却器をバイパスして前記第1の給液配管に接続された第1のバイパス配管と、
前記冷却器をバイパスして前記第2の給液配管に接続された第2のバイパス配管と、
液体の温度に応じて前記冷却
器と前記第1及び第2のバイパス配管の分流比を調節する温度調節弁と、
前記温度調節弁の上流側に配置されたフィルタとを備えたことを特徴とする給液式気体圧縮機。
【請求項5】
請求項1に記載の給液式気体圧縮機において、
前記給液系統は、
前記冷却器の上流側に配置されたフィルタを備えたことを特徴とする給液式気体圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給液式気体圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、給液式気体圧縮機の一つである給油式空気圧縮機を開示する。この給油式空気圧縮機は、圧縮機本体、分離器、及び給油系統(給液系統)を備える。
【0003】
圧縮機本体は、互いに噛み合う2つのスクリューロータと、2つのスクリューロータを回転可能に支持する複数の軸受と、2つのスクリューロータ及び複数の軸受を収納するケーシングとを有し、各スクリューロータとケーシングの内壁の間で複数の作動室が形成されている。そして、作動室のシール、圧縮熱の冷却、及びロータの潤滑などを目的として作動室に油(液体)を注入しつつ、空気(気体)を圧縮する。
【0004】
分離器は、圧縮機本体から吐出された圧縮空気(圧縮気体)から油を分離して貯留する。給油系統は、分離器で貯留された油を圧縮機本体の作動室及び軸受へ供給する。給油系統は、冷却ファンで生起された冷却風との熱交換により、油を冷却するオイルクーラ(冷却器)と、オイルクーラをバイパスするバイパス配管と、油の温度に応じてオイルクーラの分流比とバイパス配管の分流比を調節する温度調節弁とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、給油系統から圧縮機本体の作動室に供給される油の温度と、給油系統から圧縮機本体の軸受に供給される油の温度が、ほぼ同じである。
【0007】
ここで、例えば圧縮機本体の作動室に供給される油の温度を低くすれば、断熱圧縮から等温圧縮に近づくので、圧縮動力が減少する。しかし、圧縮機本体の軸受に供給される油の温度も低くなり、油の粘度が高くなるので、機械損失が増加する。したがって、圧縮動力が減少するものの、機械損失が増加するので、圧縮機の軸動力を十分に低減することができない。
【0008】
一方、例えば圧縮機本体の軸受に供給される油の温度を高くすれば、油の粘度が低くなるので、機械損失が減少する。しかし、圧縮機本体の作動室に供給される油の温度も高くなり、等温圧縮から断熱圧縮に近づくので、圧縮動力が増加する。したがって、機械損失が減少するものの、圧縮動力が増加するので、圧縮機の軸動力を十分に低減することができない。
【0009】
本発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、圧縮機の軸動力を低減することを課題の一つとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求の範囲に記載の構成を適用する。本発明は、上記課題を解決するための手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、ロータ、前記ロータを回転可能に支持する軸受、並びに前記ロータ及び前記軸受を収納するケーシングを備え、前記ロータと前記ケーシングの内壁の間で形成された作動室に液体を注入しつつ、気体を圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体から吐出された圧縮気体から液体を分離する分離器と、前記分離器で分離された液体を前記圧縮機本体の前記作動室及び前記軸受へ供給する給液系統とを備えた給液式気体圧縮機において、前記給液系統は、液体を冷却する第1冷却部、及び前記第1冷却部にヘッダを介し接続され、前記第1冷却部で冷却された液体を更に冷却する第2冷却部を有する冷却器と、前記冷却器の前記ヘッダに形成された出口に接続され、前記冷却器の前記第1冷却部で冷却された液体を前記圧縮機本体の前記軸受へ供給する第1の給液配管と、前記冷却器の前記第2冷却部の下流側の出口に接続され、前記冷却器の前記第1冷却部及び前記第2冷却部で冷却された液体を前記圧縮機本体の前記作動室へ供給する第2の給液配管とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、圧縮機の軸動力を低減することができる。
【0012】
なお、上記以外の課題、構成及び効果は、以下の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態における給油式空気圧縮機の構成を表す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態における圧縮機本体の構造を表す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態におけるオイルクーラの構造を表す概略図である。
【
図4】本発明の第1の変形例におけるオイルクーラの構造を表す概略図である。
【
図5】本発明の第2の変形例における給油式空気圧縮機の構成を表す概略図である。
【
図6】本発明の第3の変形例における給油式空気圧縮機の構成を表す概略図である。
【
図7】本発明の第4の変形例における給油式空気圧縮機の構成を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における給油式空気圧縮機の構成を表す概略図である。
図2は、本実施形態における圧縮機本体の構造を表す断面図である。
図3は、本実施形態におけるオイルクーラの構造を表す概略図である。
【0016】
本実施形態の給油式空気圧縮機は、電動機1と、電動機1によって駆動され、空気(気体)を圧縮する圧縮機本体2と、圧縮機本体2の吸入側に設けられたエアフィルタ3及び吸込み絞り弁4と、圧縮機本体2の吐出側に設けられた分離器5と、分離器5の上部に接続された圧縮空気系統6(圧縮気体系統)と、分離器5の下部と圧縮機本体2の間で接続された給油系統7(給液系統)とを備える。
【0017】
圧縮機本体2は、互いに噛み合う2つのスクリューロータ8A,8B(詳細には、雄ロータ8A及び雌ロータ8B)と、スクリューロータ8Aを回転可能に支持する軸受9A,9Bと,スクリューロータ8Bを回転可能に支持する軸受9C,9Dと、スクリューロータ8A,8B及び軸受9A~9Dを収納するケーシング10とを有する。スクリューロータ8Aとケーシング10の内壁の間で(言い換えれば、スクリューロータ8Aの歯溝に)複数の作動室11Aが形成され、スクリューロータ8Bとケーシング10の内壁の間で(言い換えれば、スクリューロータ8Bの歯溝に)複数の作動室11Bが形成されている。
【0018】
スクリューロータ8Aの一方の軸部の外周側には軸封部12Aが配置され、他方の軸部の外周側には軸封部12Bが配置されている。スクリューロータ8Bの一方の軸部の外周側には軸封部12Cが配置され、他方側の軸部の外周側には軸封部12Dが配置されている。スクリューロータ8Aの一方の軸部にはギヤ13Aが設けられ、電動機1の回転軸にはギヤ13Bが設けられ、ギヤ13A,13Bが互いに噛み合わされている。電動機1の回転軸の外周側には軸封部14が配置されている。
【0019】
ギヤ13A,13Bを介し電動機1の回転軸の回転力が伝達されてスクリューロータ8Aが回転し、これに伴ってスクリューロータ8Bが回転する。スクリューロータ8A,8Bの回転に伴い、作動室11A,11Bは、ロータの軸方向(
図2の左方向)に移動すると共に、吸入過程、圧縮過程、及び吐出過程を順次行う。吸入過程の作動室は、エアフィルタ3及び吸込み絞り弁4を介して空気を吸入する。圧縮過程の作動室は、空気を圧縮する。吐出過程の作動室は、圧縮空気(圧縮気体)を分離器5へ吐出する。圧縮機本体2は、作動室のシール、圧縮熱の冷却、及びロータの潤滑などを目的として、作動室11A,11Bに油が注入されるようになっている。
【0020】
分離器5は、圧縮機本体2から吐出された圧縮空気から油を分離して貯留する。圧縮空気系統6は、分離器5で分離された圧縮空気をユーザ側の設備(図示せず)へ供給する。圧縮空気系統6は、調圧逆止弁15と、調圧逆止弁15の下流側に配置されたアフタークーラ16とを備える。アフタークーラ16は、例えば冷却ファン(図示せず)で生起された冷却風との熱交換により、圧縮空気を冷却する。
【0021】
給油系統7は、分離器5内の圧力により、分離器5で貯留された油を圧縮機本体2の作動室11A,11B、軸受9A~9D、及び軸封部12A~12D、ギヤ13A,13B、並びに電動機1の軸封部14へ供給する。給油系統7は、油を冷却するオイルクーラ17(冷却器)を備える。
【0022】
オイルクーラ17は、例えば、ヘッダ18A、冷却部19A、ヘッダ18B、冷却部19B、及びヘッダ18Cがその順序で油が流れるように接続されて構成されている。冷却部19Aは、例えば冷却ファンで生起された冷却風との熱交換により、ヘッダ18Aから流入した油を冷却し、冷却した油をヘッダ18Bへ流出する。冷却部19Bは、例えば冷却ファンで生起された冷却風との熱交換により、ヘッダ18Bから流入した油を冷却し、冷却した油をヘッダ18Cへ流出する。ヘッダ18Aには、分離器5からの油が流入する入口が形成されている。ヘッダ18Bには、冷却部19Aで冷却された油を流出する出口が形成されている。ヘッダ18Cには、冷却部19A,19Bで冷却された油を流出する出口が形成されている。なお、ヘッダ18Bの出口から油が流出するため、冷却部19Bの油の流量が冷却部19Aの油の流量より少なくなっている。
【0023】
給油系統7は、オイルクーラ17のヘッダ18B(言い換えれば、冷却部19Aと冷却部19Bの間)の出口に接続された給油配管20A(給液配管)と、給油配管20A(言い換えれば、オイルクーラ17の下流側)に配置され、油中の不純物を除去するオイルフィルタ21Aと、給油配管20Aに配置された絞り22と、オイルクーラ17のヘッダ18C(言い換えれば、冷却部19Bの下流側)の出口に接続された給油配管20B(給液配管)と、給油配管20B(言い換えれば、オイルクーラ17の下流側)に配置され、油中の不純物を除去するオイルフィルタ21Bとを更に備える。
【0024】
給油配管20Aは、オイルクーラ17の冷却部19Aで冷却された油を圧縮機本体2の軸受9A~9D及び軸封部12A~12D、ギヤ13A,13B、並びに電動機1の軸封部14へ供給する。給油配管20Bは、オイルクーラ17の冷却部19A,19Bで冷却された油を圧縮機本体2の作動室11A,11Bへ供給する。
【0025】
給油系統7は、オイルクーラ17をバイパスして、給油配管20Aに接続されたバイパス配管23Aと、オイルクーラ17をバイパスして、給油配管20Bに接続されたバイパス配管23Bと、油の温度に応じてオイルクーラ17の分流比とバイパス配管23A,23Bの分流比を調節する温度調節弁24とを備える。
【0026】
温度調節弁24は、三方弁であって、例えば油の温度に応じてワックスの体積が変化することにより、オイルクーラ側出口の開口率とバイパス配管側出口の開口率が変化するように構成されている。そして、油の温度が高くなるほど、オイルクーラ17の分流比を増加すると共に、バイパス配管23A,23Bの分流比を減少する。これにより、オイルクーラ17の冷却部19A,19Bで冷却されてヘッダ18Cの出口から流出する油の流量を増加すると共に、バイパス配管23Bの油の流量を減少する。その結果、圧縮機本体2の作動室11A,11Bへ供給する油の温度を調整して、圧縮空気の温度を調整するようになっている。
【0027】
以上のように構成された本実施形態では、オイルクーラ17の冷却部19Aで冷却された油、すなわち、冷却部19Bで冷却されないので温度が比較的高い油を、給油配管20Aを介し圧縮機本体2の軸受9A~9D及び軸封部12A~12D、ギヤ13A,13B、並びに電動機1の軸封部14へ供給する。そのため、温度が比較的低い油を供給する場合と比べ、機械損失を低減することができる。一方、オイルクーラ17の冷却部19A,19Bで冷却されて温度が比較的低い油を、給油配管20Bを介し圧縮機本体2の作動室11A,11Bへ供給する。そのため、温度が比較的高い油を供給する場合と比べ、圧縮動力を低減することができる。したがって、機械損失を低減すると共に、圧縮動力を低減するので、圧縮機の軸動力を低減することができる。
【0028】
上述した本実施形態の効果を、具体的な数値例を用いて説明する。従来技術では、圧縮機本体2の軸受9A~9D及び軸封部12A~12D、ギヤ13A,13B、並びに電動機1の軸封部14に供給される油の温度と、圧縮機本体2の作動室11A,11Bに供給される油の温度は、ほぼ同じであって、例えば80℃である。本実施形態では、圧縮機本体2の軸受9A~9D及び軸封部12A~12D、ギヤ13A,13B、並びに電動機1の軸封部14に供給される油の温度は、例えば90℃と高くなり、機械損失が低減する。圧縮機本体2の作動室11A,11Bに供給される油の温度は、例えば70℃と低くなり、圧縮動力が低減する。その結果、ロータ諸元などにも依るが、従来技術の圧縮機の軸動力を100%とすれば、本実施形態の圧縮機の軸動力を99.2%に低減することができる。
【0029】
更に、本実施形態では、次の効果を得ることができる。比較例として、給油系統が、分離器5からの油を圧縮機本体2の軸受9A~9D及び軸封部12A~12D、ギヤ13A,13B、並びに電動機1の軸封部14へ供給する第1の給油配管と、第1の給油配管に配置されて油を冷却する第1のオイルクーラと、分離器5からの油を圧縮機本体2の作動室11A,11Bへ供給する第2の給油配管と、第2の給油配管に配置されて油を冷却する第2のオイルクーラとを備えた場合を想定する。
【0030】
上述した比較例では、圧縮機本体2の軸受9A~9D及び軸封部12A~12D、ギヤ13A,13B、並びに電動機1の軸封部14に供給される油の温度と、圧縮機本体2の作動室11A,11Bに供給される油の温度は、互いに異ならせることが可能である。しかしながら、比較例では、オイルクーラの数や、オイルクーラを接続するための配管及び継手の数が増加するため、圧縮機が大型化する。これに対し、本実施形態では、オイルクーラの数や、オイルクーラを接続するための配管及び継手の数が減少するため、圧縮機の小型化を図ることができる。また、本実施形態では、オイルクーラ17の冷却部19Aの油の流量に対し、冷却部19Bの油の流量を減少させることができる。そのため、圧縮機本体2の作動室11A,11Bに供給する油を効率よく冷却することができる。
【0031】
なお、上記一実施形態において、上述の
図3で示すように、オイルクーラ17は、冷却部19Aと冷却部19Bが直列配置されるように構成された場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば
図4で示す変形例のように、オイルクーラ17は、冷却部19Aと冷却部19Bが並列配置されるように構成されてもよい。
【0032】
また、上記一実施形態において、給油系統7は、給油配管20A,20Bにそれぞれ配置されたオイルフィルタ21A,21Bを備えた場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、部位に応じて油中の不純物がもたらす影響が低ければ、給油系統7は、オイルフィルタ21A,21Bのうちの一方のみを備えてもよいし、オイルフィルタ21A,21Bを備えなくてもよい。あるいは、例えば
図5で示す変形例のように、給油系統7は、温度調節弁24の上流側に配置されたオイルフィルタ21Cを備えてもよい。この変形例では、オイルフィルタの数を1つとしつつ、圧縮機本体2の作動室11A,11B、軸受9A~9D、及び軸封部12A~12D、ギヤ13A,13B、並びに電動機1の軸封部14へ供給する油から不純物を除去することができる。
【0033】
また、上記一実施形態において、給油系統7は、オイルクーラ17をバイパスするバイパス配管23A,23Bと、油の温度に応じてオイルクーラ17の分流比とバイパス配管23A,23Bの分流比を調節する温度調節弁24とを備えた場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば
図6で示す変形例のように、給油系統7は、バイパス配管23A,23B及び温度調節弁24を備えなくてもよい。そして、例えば分離器5内の温度センサ(図示せず)で検出された温度に応じて冷却ファンの回転数を可変制御することにより、オイルクーラ17の冷却能力を可変してもよい。
【0034】
また、上記一実施形態において、アフタークーラ16及びオイルクーラ17は、空冷式であって、冷却ファンで生起された冷却風との熱交換により、圧縮空気及び油をそれぞれ冷却する場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば
図7で示す変形例のように、アフタークーラ16及びオイルクーラ17は、水冷式であって、冷却水との熱交換により、圧縮空気及び油をそれぞれ冷却してもよい。本変形例では、オイルクーラ17は、例えば、冷却部19A及び冷却部19Bがその順序で油が流れるように接続されて構成されている。冷却部19A,19Bは、冷却水との熱交換により、油を冷却する。冷却部19Aと冷却部19Bの間には、冷却部19Aで冷却された油を流出する出口が形成され、この出口に給油配管20Aが接続されている。冷却部19Bの下流側には、冷却部19A,19Bで冷却された油を流出する出口が形成され、この出口に給油配管20Bが接続されている。以上のように構成された本変形例においても、上記同様の効果を得ることができる。
【0035】
また、上記一実施形態において、給油配管20Aは、オイルクーラ17の冷却部19Aで冷却された油を圧縮機本体2の軸受9A~9D及び軸封部12A~12D、ギヤ13A,13B、並びに電動機1の軸封部14へ供給する場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えばギヤ13A,13B及び電動機1の軸封部14が存在しない場合に、給油配管20Aは、オイルクーラ17の冷却部19Aで冷却された油を圧縮機本体2の軸受9A~9D及び軸封部12A~12Dへ供給してもよい。あるいは、例えば圧縮機本体2の軸封部12A、ギヤ13A,13B、及び電動機1の軸封部14が存在しない場合に、給油配管20Aは、オイルクーラ17の冷却部19Aで冷却された油を圧縮機本体2の軸受9A~9Dへ供給してもよい。
【0036】
また、上記一実施形態において、圧縮機本体2は、スクリュー式であって、2つのスクリューロータ8A,8Bを備えた場合を例にとって説明したが、これに限られない。圧縮機本体は、例えば、1つのスクリューロータと複数のゲートロータを備えてもよい。あるいは、圧縮機本体2は、スクリュー式以外の他の方式であってもよい。
【0037】
なお、以上においては、給油式空気圧縮機(すなわち、圧縮機本体2は、圧縮室に油を注入しつつ空気を圧縮するもの)に本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、他の給液式圧縮機(すなわち、圧縮機本体2は、作動室に油以外の他の液体を注入するもの、若しくは、空気以外の他の気体を圧縮するもの)に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…電動機、2…圧縮機本体、5…分離器、7…給油系統7(給液系統)、8A,8B…スクリューロータ、9A~9D…軸受、10…ケーシング、11A,11B…作動室、12A~12D…軸封部(第1軸封部)、13A,13B…ギヤ、14…軸封部(第2軸封部)、17…オイルクーラ(冷却器)、19A,19B…冷却部、20A,20B…給油配管(給液配管)、21A~21C…オイルフィルタ、23A,23B…バイパス配管、24…温度調節弁