(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】拡張した立体角の濁度センサ
(51)【国際特許分類】
G01N 21/49 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
G01N21/49 Z
(21)【出願番号】P 2022571196
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 US2021033083
(87)【国際公開番号】W WO2021236720
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-09-15
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522452477
【氏名又は名称】ワイエスアイ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ケビン フラナガン
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド メッツガー
(72)【発明者】
【氏名】カイル ロジェス
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0241893(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0230288(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0251713(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0219526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濁度センサにおいて、
前記濁度センサは、
液体試料に準平行光を提供して、液体試料中の浮遊物から準平行光源の長さに沿って、横方向に散乱された及び反射された勾配光を生成するように構成されている、長さを有する準平行光源と
、
前記準平行光源の長さに沿って前記液体試料中の浮遊物から横断して反射された光を検知し、検知された前記勾配光に関する情報を含む信号を提供するように構成されている
、複数行及び複数列の光学素子を有するリニアセンサアレイと、
信号プロセッサ又は処理モジュールであって、
信号を受信し、
受信した前記信号に基づいて、前記リニアセンサアレイにわたって前記準平行光源の長さに沿って検知された勾配光の減衰量に依存する、前記液体試料の濁度の濃度に関する情報を含む対応する信号を決定するように構成されている、信号プロセッサ又は処理モジュールとを備える、濁度センサ。
【請求項2】
前記リニアセンサアレイが、リニアフォトダイオードアレイ、リニアCCDアレイ、又は、リニアCMOSアレイを備える、請求項1に記載の濁度センサ。
【請求項3】
前記リニアセンサアレイが、前記複数行及び複数列の光学素子の三次元シリンダ状アレイを有する、
密閉式シリンダセンサアレイを備える、請求項1に記載の濁度センサ。
【請求項4】
前記信号プロセッサ又は処理モジュールは、前記リニアセンサアレイの長さ及び幅に沿うことを含む、前記リニアセンサアレイにわたって検知された光学信号の減衰量に基づいて、パラメータを決定するように構成されている、請求項1に記載の濁度センサ。
【請求項5】
前記信号プロセッサ又は処理モジュールは、前記濁度の濃度に関する情報を含む、前記リニアセンサアレイにわたって検知された光学信号の空間的勾配に基づいて、濁度を決定するように構成されている、請求項1に記載の濁度センサ。
【請求項6】
前記リニアセンサアレイは、個々にアドレス可能である前記光学素子の二次元アレイを備える、請求項1に記載の濁度センサ。
【請求項7】
前記複数行及び複数列の光学素子は、前記信号プロセッサ又は処理モジュールによって個々にアドレス可能である、請求項6に記載の濁度センサ。
【請求項8】
前記複数行の光学素子又は前記複数列の光学素子のいずれかが並列に接続されかつ前記信号プロセッサ又は処理モジュールによってアドレス可能であり、
前記濁度センサは、前記準平行光源とは反対側において、前記リニアセンサアレイの端部に位置する透過フォトダイオートであって、浮遊物から反射された光に応答しかつ前記浮遊物に関する情報を含む透過フォトダイオード信号を提供するように構成された透過フォトダイオートを備え、
前記信号プロセッサ又は処理モジュールは、前記透過フォトダイオード信号を受信しかつドリフト又はインナーフィルタ効果について対応する信号を補正するように構成されている、請求項6に記載の濁度センサ。
【請求項9】
濁度の濃度を決定するための方法において、
前記方法は、
長さを有する準平行光源によって、液体試料に準平行光を提供し、勾配光を散乱させて準平行光源の長さに沿って液体試料中の浮遊物から横断して反射させ
ることと、
複数行及び複数列の光学素子を有するリニアセンサアレイによって、前記準平行光源の長さに沿って散乱しかつ前記液体試料中の浮遊物から横断して反射された光を検知することと、
検知された前記勾配光に関する情報を含む信号を提供することと、
信号プロセッサ又は処理モジュールによって信号を受信することと、
前記信号プロセッサ又は処理モジュールによって、受信した前記信号に基づいて、前記リニアセンサアレイにわたって前記準平行光源の長さに沿って検知された前記勾配光の減衰量に依存する、前記液体試料のパラメータの濃度に関する情報を含む対応する信号を決定することとを備える、方法。
【請求項10】
前記方法は、前記リニアセンサアレイを、リニアフォトダイオードアレイ、リニアCCDアレイ又はリニアCMOSアレイで構成することを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、前記複数行及び複数列の光学素子の三次元シリンダ状アレイを有する、
密閉式シリンダセンサアレイで前記リニアセンサアレイを構成することを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記信号プロセッサ又は処理モジュールによって、前記リニアセンサアレイの長さ及び幅に沿うことを含む、前記リニアセンサアレイにわたって検知された光学信号の減衰量に基づいて、前記パラメータを決定することを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記信号プロセッサ又は処理モジュールによって、前記濁度の濃度に関する情報を含む、前記リニアセンサアレイにわたって検知された光学信号の空間的勾配に基づいて、濁度を決定することを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、個々にアドレス可能である前記光学素子の二次元アレイで前記リニアセンサアレイを構成することを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記複数行及び複数列の光学素子を前記信号プロセッサ又は処理モジュール及び前記光学素子によって個々にアドレス可能であるように、前記信号プロセッサ又は処理モジュール及び前記光学素子を構成することを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、
前記複数行の光学素子又は前記複数列の光学素子のいずれかを並列に接続しかつ前記信号プロセッサ又は処理モジュールによってアドレス可能とすることと、
前記準平行光源とは反対側において、前記リニアセンサアレイの端部に透過フォトダイオートに配置し、浮遊物から反射された光に応答しかつ前記浮遊物に関する情報を含む透過フォトダイオード信号を提供することと、
前記透過フォトダイオード信号を受信しかつドリフト又はインナーフィルタ効果について対応する信号を補正するように前記信号プロセッサ又は処理モジュールを構成することとを備える、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年5月20日に出願された仮特許出願第63/027,587号(911-023.9-1-1/N-YSI-0045US01)、2020年5月21日に出願された仮特許出願第63/028,013号(911-023.010-1-1/N-YSI-0046US02)、及び、2020年5月22日に出願された仮特許出願第63/028,723(911-023.011-1-1/N-YSI-0047US02)に基づく利益を主張し、これら全てを参照することにより本願明細書に組み込まれる。
本発明は、水質を測定するためのセンサに関し、より詳細には、水質を測定するための濁度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の濁度検知技術は、散乱信号(立体角)の捕捉が悪い又は非効率なことに起因する感度不良(特に現場展開型センサ)を被る。既存の濁度センサは、典型的には、単一の励起光源と、感光体を利用した単一の又は点状の発光受信器を使用している。使用される特定の感光体又は励起光源にかかわらず、当業界において公知の現在の濁度センサは、立体角を効率的に捕捉するために光学機械工学的に構成されておらず、濁度の検出限界を損なう結果となる。
【0003】
散乱に基づく信号を測定することの難しさは、ランダムに散乱された光放射の空間的又は方向的な性質に起因する。今のところ、単一の混濁粒子の励起を考えてみる。典型的な環境水質監視条件では、単一の混濁粒子の散乱放射線の空間分布は球でよく近似され、その結果、散乱放射線の4π[ステラジアン]の立体角が得られる(
図1参照)。上記の混濁信号を最適に捕捉するためには、放射パターンに密接に適合する感光領域、すなわち球形シェルの形状の感光領域が必要となるであろう。
図1参照。上記に鑑みて、より良好な濁度センサが当業界で必要とされている。
【0004】
さらに、一例として、2008年4月7日に出願された特許文献1(国際公開第2008/140874号(国際出願第PCT/US2008/059575号))の「高スループット濁度測定のためのシステム及び方法」は、空間的勾配法を用いた濁度測定のための技術を開示している。この濁度測定システムは、複数の試料を含む試料アセンブリと、試料アセンブリを照射する光源と、三次元光感光性アレイを有する光検出システムとを有する。感光性アレイは、試料アセンブリ中の試料の各々を透過する光に同時に曝露される。この曝露を分析して、各試料の平均透過光強度を求め、その平均透過光強度に基づいて各試料の濁度値を計算する。試料の時間分解濁度測定値を得るために、測定期間中に複数回の曝露を行うことができる。試料の温度は、温度の関数として濁度を測定するように、測定期間中に変化しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
要約すると、本発明は、捕捉される立体角を大幅に向上させ、それによって濁度測定の感度を大幅に向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
対象のセンサは、(現場で頑丈なセンサにおいて実用可能である場合)理想化された長シリンダ状において示された特徴の内の多くの特徴を組み込んでいる。本発明は、リニアフォトダイオードアレイを採用する(提案されたアプローチは、フォトダイオード技術に限定されず、例えば、リニアCCD又はCMOSアレイも同様に使用されうる)。リニアフォトダイオードアレイにより、電動ワイピングなどの生物付着対策に十分な余地がある。さらに、リニアセンサアレイは、現在、比較的安価な民生品(COTS)の構成要素として利用可能である。
【0008】
本発明の重要な点は、特に、信号捕捉の増強のために、準平行光源の長さに沿った広いリニアアレイを利用する光学機械工学的な構成に関連する。さらに、この設計は、単一の実施形態において、後方の散乱放射線の捕捉が可能となる。
【0009】
本設計は、非強度に基づく濁度の決定に適合する。これらの測定は、空間的に依存しており、その本旨は、光学信号は、ベールの法則に従って、リニアアレイにわたって減衰を受け、それによって、「空間的勾配(spatial gradient)」を生成するというものである。この空間的勾配には、濁度の濃度に関する情報が含まれている。
【0010】
この非強度に基づく測定は、励起源の「ドリフト(drift)」に対して耐性がある。換言すれば、空間的勾配は、励起源の強度における穏やかな変化、例えば、使用の過程を通したLED強度劣化、又は、熱効果による光出力の変化によって影響を受けない。
【0011】
本発明による「空間的勾配」方法により、実時間のインナーフィルタ効果(IFE)補正が可能となり、これにより、高濃度検知範囲を大幅に強化する。(比較すると、従来技術のインナーフィルタ補正は、現場配置後の研究室分析による後処理を伴う。)
【0012】
さらに、本発明による「空間的勾配」方法により、また、当業界で公知の振幅に基づく技術では達成できない特定のタイプの干渉補正(interference correction)が可能となる。
【0013】
上記の「空間的勾配」方法は、アレイ内の各光学素子が個々にアドレス可能であることを必要とする。しかしながら、全てのリニアアレイ素子を並列構成で接続することを伴う設計の可能な変形例が存在し、個々のアドレスの可能性を排除することになる。しかし、そのような設計の変形例は、ドリフト補正及びIFE補正を実行するセンサの能力を復元させることになる、(源の反対側のアレイの端部に位置する)透過フォトダイオードを有するように修正することができる。
【0014】
特定の実施形態
幾つかの実施形態によれば、本発明は、
液体中の浮遊物から反射された光に関する情報を含みかつ複数行及び複数列の光学素子を有するリニアセンサアレイによって検知される信号を受信し、
受信した前記信号に基づいて、液体のパラメータの濃度に関する情報を含む対応する信号を決定するように構成されている、信号プロセッサ又は処理モジュールを特徴とする装置を有しうる、又は、その形態を取りうる。
【0015】
本装置は、以下の複数のさらなる特徴のうちの1つ以上を有しうる。
【0016】
パラメータは、液体の濁度を有しうる。
【0017】
本装置は、リニアセンサアレイを有しうる。
【0018】
リニアセンサアレイは、リニアフォトダイオードアレイを有しうる。
【0019】
リニアセンサアレイは、リニアCCDアレイを有しうる。
【0020】
リニアセンサアレイは、リニアCMOSアレイを有しうる。
【0021】
リニアセンサアレイは、複数行及び複数列の光学素子の三次元シリンダ状アレイを有する、閉じたシリンダセンサアレイを有しうる。
【0022】
本装置は濁度センサとしうる。
【0023】
本装置は、長さを有する準平行光源であって、リニアセンサアレイの対応する長さに沿って、準平行光を含む前記光を提供するように構成されている、準平行光源を有しうる。
【0024】
信号プロセッサ又は処理モジュールは、リニアセンサアレイにわたって検知された光学信号の減衰量に基づいてパラメータを決定するように構成することができる。
【0025】
リニアセンサアレイは、個々にアドレス可能である光学素子の二次元アレイを有しうる。
【0026】
前記信号プロセッサ又は前記処理モジュールは、前記濁度の濃度に関する情報を含む、前記リニアセンサアレイにわたって検知された光学信号の空間的勾配に基づいて、濁度を決定するように構成することができる。
【0027】
光学素子は、信号プロセッサ又は処理モジュールによって個々にアドレス可能としうる。
【0028】
複数行の光学素子又は複数列の光学素子のいずれかが、並列に接続されかつ信号プロセッサ又は処理モジュールによってアドレス可能とすることができ、本装置は、光源とは反対側において、リニアセンサアレイの端部に位置する透過フォトダイオードであって、浮遊物から反射された光に応答しかつ浮遊物に関する情報を含む透過フォトダイオード信号を提供するように構成されている透過フォトダイオードを有することができ、信号プロセッサ又は処理モジュールは、フォトダイオード信号を受信しかつドリフト又はインナーフィルタ効果について対応する信号を補正するように構成することができる。
【0029】
幾つかの実施形態によれば、本発明は、準平行光源、リニアセンサアレイ、及び、信号プロセッサ又は処理モジュールを特徴とする濁度センサを有しうる。準平行光源は、長さを有し、液体試料に準平行光を提供するように構成することができる。リニアセンサアレイは、複数行及び複数列の光学素子を有することができ、準平行光源の長さに沿って液体試料中の浮遊物で反射された光を検知し、浮遊物で反射された光に関する情報を有する信号を提供するように構成することができる。信号プロセッサ又は処理モジュールは、信号を受信し、受信した信号に基づいて、液体の濁度の濃度に関する情報を含む対応する信号を決定するように構成することができる。
【0030】
濁度センサは、また、上述の複数の特徴のうちの1つ以上を有しうる。
【0031】
本方法
幾つかの実施形態によれば、本発明は、
信号プロセッサ又は処理モジュールによって、液体中の浮遊物から反射された光に関する情報を含みかつ複数行及び複数列の光学素子を有するリニアセンサアレイによって検知される信号を受信することと、
信号プロセッサ又は処理モジュールによって、受信した信号に基づいて、液体のパラメータの濃度に関する情報を含む対応する信号を決定することという特徴を有する方法を有しうる。
【0032】
また、この方法は、上述の複数の特徴のうちの1つ以上を有しうる。
【0033】
コンピュータ可読記憶媒体
本発明の幾つかの実施形態によれば、本発明は、また、前記方法のステップを実行するためのコンピュータ実行可能コンポーネントを有するコンピュータ可読記憶媒体の形態を取りうる。また、コンピュータ可読記憶媒体は、上述の複数の特徴のうちの1つ以上を有しうる。
【0034】
利点
本発明は、以下のように、従来技術における現在の公知の技術を超える明確な利点を提供する。
【0035】
1)立体角の最適化された捕捉により、信号感度を大いに増し、それによって、濁度に対する検出の最小限度を大いに増す。リニアセンサアレイにより、散乱光線を捕捉するために、はるかに大きな全体活性領域を提供する。さらに重要なことには、活性領域は、最も重要な寸法において、準平行励起源の方向に沿って大きくなる。さらに、上述の理由により、より広いリニアアレイは、薄いリニアアレイよりも、活性領域が増すことが好ましい。しかしながら、幅に関する戻しを減少させる限界がある。すなわち、励起ビームの直径と概ね一致しないアレイ幅は、理想的ではないように見える。
【0036】
2)本発明により、単一の検知の実施形態において、(放射状に放射される側方散乱に加えて)後方散乱された放射線の測定の全てが可能となる。
【0037】
3)準柱状励起源とリニアセンサアレイの間の距離は、検知範囲に加えて感度も向上するために最小化された。
【0038】
図面は、必ずしも縮尺通りに描かれていないが、以下のように、
図1~
図6Bを含む。
【0039】
図面中の乱雑さを低減するために、図面中の各図は、その中に示されている全ての要素について全ての参照符号を必ずしも有するわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、当業界で公知の散乱放射線の4π[ステラジアン]の立体角をもたらす、球で近似される単一の混濁粒子の散乱放射線の空間分布の図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の幾つかの実施形態による、濁度センサを有する装置のブロック図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の幾つかの実施形態による、複数行及び複数列の光学素子を有するリニアセンサアレイのブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の幾つかの実施形態による、リニアセンサアレイに関連して準平行光を提供する準平行光源の三次元斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の幾つかの実施形態による、リニアセンサアレイによって捕捉された後方散乱放射線を示す
図3に示されたものの側面図である。
【
図5】
図5は、相対的なセンサ応答対相対的な濃度のグラフであり、例えば、譲受人の現代のEXO濁度センサ(点線付きの実線)対リニアアレイ濁度センサ(実線)の感度の比較を示す。なお、グラフは、本発明による設計の物理モデルに基づくシミュレーションデータを示している。
【
図6A】
図6Aは、本発明による、理想化された長いシリンダシェル形状、例えば、三次元シリンダリニアセンサアレイに対する立体角捕捉の三次元表示を示す等角図である。
【
図6B】
図6Bは、理想化された長いシリンダシェル形状、例えば、三次元シリンダ状のリニアセンサアレイを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図2は、本発明による濁度センサを有する装置10を示しており、この装置は、準平行光源20と、リニアセンサアレイ30と、信号プロセッサ又は処理モジュール40とを有する。
【0042】
信号プロセッサ又は処理モジュール40は、
液体中の浮遊物から反射された光Lrに関する情報を含みかつ複数行及び複数列の光学素子(r1、c1、c6、r1、c2、c1、c2、c3、r2、c5、r2、c6、c2、c8、r3、c1、c3、c3、c4、r3、c6、c7、c3、c8、…r3、cn、…rn、c1、rn、c2、c3、rn、c2、c3、r2、c3、rn、c2、c3、rn、rn、c2、c3、rn、rn、c3、rn、rn)を有するリニアセンサアレイによって検知された信号を受信し、
受信した信号に基づいて、液体のパラメータの濃度に関する情報を含む対応する信号を決定するように構成することができる。
【0043】
パラメータ
一例として、パラメータは、液体中の濁度の濃度を有することができ、装置は、濁度センサであるか、又は濁度センサの形態を取ることができる。しかしながら、本発明の範囲は、現在公知であるか又は将来開発される後のいずれかの液体において検知される特定のタイプ又は種類のパラメータに限定されることを意図していない。
【0044】
リニアセンサアレイ30
一例として、装置10は、例えば、リニアフォトダイオードアレイ、リニア撮像素子アレイ、リニアCMOSアレイなどのリニアセンサアレイ30を有しうる。特に、リニアセンサアレイ30は、個々にアドレス可能な、例えば
図2Bに示すような複数行及び複数列の光学素子の二次元アレイを有しうる。リニアセンサアレイは当業界で公知であり、本発明の範囲は、現在公知であるか又は将来開発される後のいずれかの特定のタイプ又はその種類に限定されることを意図しない。
【0045】
一例として、以下の米国特許第9,020,202号、同8,022,349号、同7,956,341号、同7,040,538号、同5,252,818号及び同4,193,057号にリニアセンサアレイが開示されており、これら全ては参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0046】
図3及び
図4
一例として、装置10は、準平行光を含む光Lcを、例えば準平行光源20及びリニアセンサアレイ30に関連して配置された液体試料を通して、例えば
図2及び3に示すように、リニアセンサアレイ30の対応する長さに沿って提供するように構成されている準平行光源20を有することができ、これにより、監視又は試験されている液体試料中の浮遊物から光Lrをリニアセンサアレイ30上に反射することができる。例えば、光Lrは、放射状に(
図3)及び後方へ(
図4)、即ち、後方散乱反射光又は放射線として反射することができる。
【0047】
当業者であれば理解できるように、準平行光源は当業者に公知であり、本発明の範囲は、現在公知であるか又は将来開発される後のいずれかの特定のタイプ又はその種類に限定されることを意図していない。
【0048】
図4は、リニアセンサアレイ30によって捕捉された後方散乱放射線を示しており、後方散乱放射線は、示されているものと一致して、後方に進む液体試料中の浮遊物の反射光であると理解される。
【0049】
信号プロセッサ又は処理モジュール40
一例として、信号プロセッサ又は処理モジュール40は、その長さ及び幅を有する、リニアセンサアレイにわたって検知された光学信号の減衰量に基づいて、濁度を含むパラメータを決定するように構成することができる。例えば液体中の濁度の濃度との関係で、光学信号の減衰量を検知する技術は当業界で公知であり、本発明の範囲は、現在公知であるか又は将来開発される後のいずれかの特定のタイプ又はその種類に限定されることを意図していない。
【0050】
一例として、信号プロセッサ又は処理モジュール40は、リニアセンサアレイにわたって検知された光学信号の空間的勾配に基づいて濁度の濃度を決定するように構成することができる。当業者であれば理解するように、光学信号の空間的勾配に基づいて液体中の濁度の濃度を決定する技術は、当業界において公知であり、例えば、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる国際公開第2008/140874号(国際出願第PCT/US2008/059575号)に一致するものであり、本発明の範囲は、現在公知であるか又は将来開発される後のいずれかの任意の特定のタイプ又は種類の技術に限定されることを意図していない。
【0051】
代替の実施形態では、複数行の光学素子又は複数列の光学素子のいずれかが、並列に接続されかつ信号プロセッサ又は処理モジュール40によってアドレス可能であり、装置10は、準平行光源20とは反対側においてリニアセンサアレイ30の端部に位置し、浮遊物から反射された光Lに応答し、浮遊物に関する情報を有する透過フォトダイオード信号を提供するように構成されている、透過フォトダイオード30aを有することができ、信号プロセッサ又は処理モジュール40は、フォトダイオード信号を受信し、ドリフト又はインナーフィルタ効果のための対応する信号を補正するように構成することができる。
【0052】
信号処理機能の実施
一例として、信号プロセッサ又は処理モジュール40の機能性は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせを用いて実現されうる。典型的なソフトウェアの実施において、信号プロセッサ40は、例えば少なくとも1つの信号プロセッサ又はマイクロプロセッサを有する、1つ以上のマイクロプロセッサに基づくアーキテクチャを有しうる。当業者であれば、過度の実験を行うことなく、本明細書に開示する信号処理機能を実行するために、マイクロコントローラに基づく又はマイクロプロセッサに基づく実施などを適切なプログラムコードでプログラムすることができるであろう。
【0053】
本発明の範囲は、現在公知であるか又は将来開発される後のいずれかの技術を使用する、いずれかの特定の実施例に限定されることを意図するものではない。本発明の範囲は、独立型のプロセッサ、信号プロセッサ、又は信号プロセッサモジュール、並びに、別個のプロセッサ又はプロセッサモジュール、並びに、それらの幾つかの組合せとして、信号プロセッサ(複数可)の機能性を実施することを含むものとする。
【0054】
一例として、装置10は、また、例えば、ランダムアクセスメモリ又はメモリモジュール及び/又はリードオンリーメモリ(ROM)、入出力装置及び制御装置、及び、同一を接続するデータ及びアドレスバス、及び/又は、少なくとも1つの入力プロセッサ及び少なくとも1つの出力プロセッサを有する、全体的に参照番号50で示される他の信号プロセッサ回路又は構成要素を有することができ、これらは、例えば、当業者には理解されるであろう。
【0055】
さらなる例として、信号プロセッサは、信号プロセッサと、コンピュータプログラムコードを有する少なくとも1つの記憶装置との何らかの組み合わせを有することができ、信号プロセッサ及び少なくとも1つの記憶装置は、受信した信号に基づいて、本発明の機能性をシステムに実施させ、例えば、受信した信号に応答し、対応する信号を決定するように構成されている。
【0056】
図6A及び
図6B:三次元シリンダ状リニアセンサアレイ60
一例として、装置10は、例えば
図6Aに示されるような、複数行及び複数列の光学素子の三次元シリンダ状アレイと、長さLとを有する、閉じたシリンダセンサアレイ60を有しうる。
【0057】
図6Aにおいて、三次元シリンダ状リニアセンサアレイ32は、長さLに沿って液体中の浮遊物から反射された光を捕捉し、その長手軸線の周りで放射状に360度捕捉するように構成されている。
【0058】
当業者には理解されるように、LED、レーザダイオード又は広帯域ランプを含む一般的な又は実用的な光源は、多くの場合、理想的な感光領域が励起柱(excitation column)に垂直な光線を捕捉する長いシリンダ状のシェルの形状をとる、柱状又は準柱状の光放射パターンを提供するように構成されている。本願の発明者によると、本特許出願時において、市販の「密閉式シリンダ(closed-cylinder)」式のセンサアレイは存在しない。
【0059】
インナーフィルタ効果(IFE)
当業者には理解されるように、IFEは蛍光分光現象であり、例えば、入射ビームに近い蛍光体による励起光の吸収に起因して、濃厚溶液に見られる蛍光発光の減少があり、そこからさらに離れた試料に到達する光を著しく減少させる。
【0060】
当業者であれば理解できるように、IFEを補正する技術は当業界で公知であり、本発明の範囲は、現在公知であるか又は将来開発される後のいずれかの特定のタイプ又はその種類に限定されるものではない。
【0061】
用途
本発明は、例えば、清水用途のための水質監視の基本パラメータ(例えば、濁度が「5大」パラメータの内の1つである場合)において、並びに、飲料水監視において、複数の用途を有する。
【0062】
発明の範囲
本発明を例示的な実施形態を参照して説明してきたが、種々の変更を行うことができ、本発明の範囲から逸脱することなく、その要素に均等物が置換されうることが当業者には理解されよう。さらに、その本質的技術的範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を発明の教示に適合させるための修正が行われうる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の態様として本明細書に開示される特定の実施形態に限定されないことが意図されている。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
信号プロセッサ又は処理モジュールを備える装置において、
前記装置は、前記信号プロセッサ又は処理モジュールは、
液体中の浮遊物から反射された光に関する情報を含みかつ複数行及び複数列の光学素子を有するリニアセンサアレイによって検知される信号を受信し、
受信した前記信号に基づいて、前記液体のパラメータの濃度に関する情報を含む対応する信号を決定するように構成されている、装置である。
第2の態様は、
前記パラメータは、前記液体の濁度である、第1の態様における装置である。
第3の態様は、
前記装置は、前記リニアセンサアレイを備える、第1の態様における装置である。
第4の態様は、
前記リニアセンサアレイがリニアフォトダイオードアレイを備える、第3の態様における装置である。
第5の態様は、
前記リニアセンサアレイがリニアCCDアレイを備える、第3の態様における装置である。
第6の態様は、
前記リニアセンサアレイがリニアCMOSアレイを備える、第3の態様における装置である。
第7の態様は、
前記リニアセンサアレイが、前記複数行及び複数列の光学素子の三次元シリンダ状アレイを有する、閉じたシリンダセンサアレイを備える、第3の態様における装置である。
第8の態様は、
前記装置は濁度センサである、第1の態様における装置である。
第9の態様は、
前記装置は、長さを有する準平行光源であって、前記リニアセンサアレイの対応する長さに沿って、準平行光を含む、前記光を提供するように構成されている、準平行光源を備える、第1の態様における装置である。
第10の態様は、
前記信号プロセッサ又は処理モジュールは、前記リニアセンサアレイの長さ及び幅に沿うことを含む、前記リニアセンサアレイにわたって検知された光学信号の減衰量に基づいて、前記パラメータを決定するように構成されている、第1の態様における装置である。
第11の態様は、
前記リニアセンサアレイは、個々にアドレス可能である前記光学素子の二次元アレイを備える、第1の態様における装置である。
第12の態様は、
前記信号プロセッサ又は処理モジュールは、前記濁度の濃度に関する情報を含む、前記リニアセンサアレイにわたって検知された光学信号の空間的勾配に基づいて、濁度を決定するように構成されている、第2の態様における装置である。
第13の態様は、
前記光学素子は、前記信号プロセッサ又は処理モジュールによって個々にアドレス可能である、第12の態様における装置である。
第14の態様は、
前記複数行の光学素子又は前記複数列の光学素子のいずれかは、並列に接続されかつ前記信号プロセッサ又は処理モジュールによってアドレス可能であり、
前記装置は、光源とは反対側において、前記リニアセンサアレイの端部に位置する透過フォトダイオードであって、浮遊物から反射された光に応答しかつ前記浮遊物に関する情報を含む透過フォトダイオード信号を提供するように構成されている透過フォトダイオードを有することができ、
前記信号プロセッサ又は処理モジュールは、前記透過フォトダイオード信号を受信しかつドリフト又はインナーフィルタ効果について対応する信号を補正するように構成することができる、第12の態様における装置である。
第15の態様は、
前記方法は、
信号プロセッサ又は処理モジュールによって、液体中の浮遊物から反射された光に関する情報を含み、複数行及び複数列の光学素子を有するリニアセンサアレイによって検知される信号を受信することと、
前記信号プロセッサ又は処理モジュールによって、受信した前記信号に基づいて、前記液体のパラメータの濃度に関する情報を含む対応する信号を決定することとを備える、方法である。
第16の態様は、
前記パラメータは、前記液体の濁度である、第15の態様における方法である。
第17の態様は、
前記方法は、前記リニアセンサアレイを、リニアフォトダイオードアレイ、リニアCCDアレイ又はリニアCMOSアレイで構成することを備える、第15の態様における方法である。
第18の態様は、
前記方法が、前記複数行及び複数列の光学素子の三次元シリンダ状アレイを有する、閉じたシリンダセンサアレイで前記リニアセンサアレイを構成することを備える、第15の態様における方法である。
第19の態様は、
前記方法が、前記リニアセンサアレイにわたって検知された光学信号の減衰量に基づいて前記パラメータを決定することを備える、第15の態様における方法である。
第20の態様は、
前記方法は、準平行光を提供するために準平行光源を使用することを含む、光を提供するために光源を構成することを備える、第15の態様における方法である。
第21の態様は、
濁度センサにおいて、
前記濁度センサは、
液体試料に準平行光を提供するように構成されている、長さを有する準平行光源と、
複数行及び複数列の光学素子を有するリニアセンサアレイであって、前記準平行光源の長さに沿って前記液体試料中の浮遊物から反射された光を検知し、前記浮遊物から反射された光に関する情報を含む信号を提供するように構成されているリニアセンサアレイと、
信号を受信し、
受信した前記信号に基づいて、前記液体の濁度の濃度に関する情報を含む対応する信号を決定するように構成されている信号プロセッサ又は処理モジュールとを備える、濁度センサである。
第22の態様は、
前記リニアセンサアレイが、リニアフォトダイオードアレイ、リニアCCDアレイ、又はリニアCMOSアレイを備える、第21の態様における濁度センサである。
第23の態様は、
前記信号プロセッサ又は処理モジュールが、前記リニアセンサアレイの長さ及び幅に沿うことを含む、前記リニアセンサアレイにわたって検知された光学信号の減衰量に基づいて、濁度を決定するように構成されている、第21の態様における濁度センサである。
第24の態様は、
前記信号プロセッサ又は処理モジュールは、前記濁度の濃度に関する情報を含む、前記リニアセンサアレイにわたって検知された光学信号の空間的勾配に基づいて、濁度を決定するように構成されている、第21の態様における濁度センサである。