(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】壁の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/35 20060101AFI20240311BHJP
E04B 1/26 20060101ALI20240311BHJP
E04B 1/24 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
E04B1/35 L
E04B1/26 E
E04B1/24 E
(21)【出願番号】P 2023083588
(22)【出願日】2023-05-22
【審査請求日】2023-07-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】福田 真人
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-120942(JP,A)
【文献】特開平06-049931(JP,A)
【文献】特開2010-175069(JP,A)
【文献】特開2007-285082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/35
E04B 1/26
E04B 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物における壁の施工方法であって、
前記壁は、柱及び梁からなるフレームと、当該フレームに取り付けられた壁パネルと、を備えており、
前記梁のうちの床梁を設置する床梁設置ステップを行い、
前記床梁設置ステップの後に、複数の前記柱を設置する柱設置ステップを行い、
前記柱設置ステップの後に、前記壁パネルを吊り上げて、前記柱同士の間に設置する壁パネル設置ステップを行い、
前記壁パネル設置ステップの後に、前記梁のうちの天井梁を吊り上げて、前記柱の上端部同士の間に設置する天井梁設置ステップを行い、
前記柱同士の間隔寸法は、当該柱同士の間に設置される前記壁パネルの幅寸法よりも長く設定されており、
前記梁同士の間隔寸法は、当該梁同士の間に設置される前記壁パネルの高さ寸法と同一に設定されて
おり、
前記壁パネル設置ステップでは、前記壁パネルを、前記床梁の真上を避けた位置から下ろし、その後、当該床梁の真上へと引き込むことで、当該床梁上における適正な位置に配置することを特徴とする壁の施工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の壁の施工方法において、
前記壁パネルに、当該壁パネルを支持する仮筋交いを取り付ける仮固定ステップと、
前記壁パネルを、前記天井梁に固定する本固定ステップと、を有しており、
前記本固定ステップの後に、前記仮筋交いを取り外すことを特徴とする壁の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、柱と大梁とからなる建物ユニットを複数並べて構築されるユニット式建物が開示されている。このユニット式建物には、建物外壁部が、建物ユニットの側面部において屋外側に配置される柱、天井大梁及び床大梁に対して取り付けられている。建物外壁部は、柱に対して取り付けられている柱外壁ユニットと、天井大梁又は床大梁に対して取り付けられている梁外壁ユニットと、上下の梁外壁ユニットの間であって柱外壁ユニットに横並びに配置された主外壁ユニットとを有している。
特許文献1の建物ユニットは、ユニット製造工場にて製造される。さらに、ユニット製造工場にて、建物ユニットに対し、主外壁ユニットのうち主断熱部と、梁外壁ユニットのうち先付け断熱部とが取り付けられる。主断熱部は、上下方向に延びる縦枠材と、縦枠材の屋内側に配置された主内壁面材と、縦枠材の屋外側に配置された壁下地面材と、主内壁面材及び壁下地面材の間に設けられた充填断熱材とを有する壁パネルであり、2つの柱の間に配置されているとともに、天井大梁と床大梁との間に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合は、工場で壁パネル(主外壁ユニットのうち主断熱部)を建物ユニットに取り付けるので問題ないが、例えば、施工現場で壁パネルを建物ユニットに取り付ける場合には、その取付作業が困難である等の問題がある。
具体的には、施工現場で壁パネルを建物ユニットに取り付ける場合には、壁パネルをクレーンで吊り上げて、建物ユニットにおける柱間及び梁間に嵌め込むことになる。壁パネルの上端面に吊具を付けると、当該壁パネルを柱間及び梁間に嵌め込む途中(当該壁パネルを設置する途中)で天井梁が邪魔になるので、吊り位置を変更するために途中で玉外しを行う必要があり、煩わしい、危険である等の問題がある。
【0005】
一方、壁パネルの表面(例えば、屋外側の面)に吊具を付ければ、途中で吊り位置を変更する必要がない。しかしながら、壁パネルの表面に吊具を付けると、壁パネルを垂直に吊るすことが難しいので、当該壁パネルを梁間に嵌め込みにくい(当該壁パネルを設置しにくい)等の問題がある。さらに、外壁材等の外装材が壁パネルに予め装着されている場合があり、そのような場合に、壁パネルの表面に吊具を付けると、吊具の取付位置を、外装材を配慮した位置に設定する必要があるといった問題もある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、柱及び梁からなるフレームと、当該フレームに取り付けられた壁パネルと、を備える壁の施工方法として、施工性を向上させた施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1~
図16に示すように、建物における壁1の施工方法であって、
前記壁1は、柱11,12及び梁13,14からなるフレーム10と、当該フレーム10に取り付けられた壁パネル20と、を備えており、
前記梁のうちの床梁14を設置する床梁設置ステップを行い、
前記床梁設置ステップの後に、複数の前記柱11,12を設置する柱設置ステップを行い、
前記柱設置ステップの後に、前記壁パネル20を吊り上げて、前記柱同士の間に設置する壁パネル設置ステップを行い、
前記壁パネル設置ステップの後に、前記梁のうちの天井梁13を吊り上げて、前記柱11の上端部同士の間に設置する天井梁設置ステップを行い、
前記柱同士の間隔寸法L11,L12,L31,L32は、当該柱同士の間に設置される前記壁パネルの幅寸法L21,L22,L41,L42よりも長く設定されており、
前記梁同士の間隔寸法は、当該梁同士の間に設置される前記壁パネルの高さ寸法と同一に設定されて
おり、
前記壁パネル設置ステップでは、前記壁パネル20を、前記床梁14の真上を避けた位置から下ろし、その後、当該床梁14の真上へと引き込むことで、当該床梁14上における適正な位置に配置することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、天井梁設置ステップの前に壁パネル設置ステップを行うので、壁パネル20の上端面に吊具を付けても、当該壁パネル20を設置する途中で天井梁13が邪魔になることがない。
よって、壁パネル20を設置する途中で、吊り位置を変更するために玉外しを行う必要がないので、煩わしい、危険である等の問題がない。また、壁パネル20の上端面に吊具を付けることで、壁パネル20を垂直に吊るすのが容易になるので、壁パネル20を設置しにくい等の問題もない。さらに、壁パネル20の上端面に吊具を付けることで、外装材(外壁材31等)が壁パネル20に予め装着されている場合であっても、吊具の取付位置を、外装材を配慮した位置に設定する必要がない。
したがって、柱11,12及び梁13,14からなるフレーム10と、当該フレーム10に取り付けられた壁パネル20と、を備える壁1の施工方法として、施工性を向上させた施工方法を提供することができる。
さらに、柱同士の間隔寸法L11,L12,L31,L32が、当該柱同士の間に設置される壁パネルの幅寸法L21,L22,L41,L42よりも長い、すなわち柱間にクリアランスが設けられているので、壁パネル設置ステップを容易に行うことができ、施工性が向上する。
また、壁パネル設置ステップでは、壁パネル20を、床梁14の真上を避けた位置から下ろし、その後、当該床梁14の真上へと引き込むことで、当該床梁14上における適正な位置に配置することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば
図4~
図16に示すように、請求項1に記載の
壁の施工方法において、
前記壁パネル20に、当該壁パネル20を支持する仮筋交い100を取り付ける仮固定ステップと、
前記壁パネル20を、前記天井梁13に固定する本固定ステップと、を有しており、
前記本固定ステップの後に、前記仮筋交い100を取り外すことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、設置した壁パネル20に仮筋交い100を取り付ける仮固定ステップを行うので、壁パネル20を設置してから、当該壁パネル20を天井梁13に固定するまでの間、当該壁パネル20を仮筋交い100によって支持することができる。したがって、壁パネル設置ステップの後に天井梁設置ステップを行っても、天井梁13を設置する前(具体的には、本固定ステップの前)に壁パネル20が倒れてしまうことがないので、安全性を確保できる。
また、壁パネル20が倒れる可能性がある場合には、壁パネル20が倒れないように配慮しながら作業する必要があるので、その分、手間がかかり、仮固定ステップ(仮筋交い100の取り外しも含む)を行うよりも手間がかかる。これに対し、請求項2に記載の発明によれば、仮固定ステップを行うことで、壁パネル20が倒れる可能性を排除しているので、仮固定ステップ(仮筋交い100の取り外しも含む)を行ったとしても、施工性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、施工性を向上させた施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】第一柱と天井梁との接合構造を示す図である。
【
図3】第二柱と天井梁との接合構造を示す図である。
【
図17】本発明の施工方法とは異なる方法の問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方向(前後方向、左右方向、上下方向)は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0020】
《壁の構造》
図1は、本実施形態における壁1の一例を示す斜視図である。
壁1は、住宅等の建物における壁(外壁、内壁)であり、柱11,12及び梁13,14からなる木造のフレーム10と、フレーム10に取り付けられた木造の壁パネル20と、を備えて構成される。
【0021】
[フレーム]
図2は、本実施形態における、第一柱11と天井梁13との接合構造の一例を示す図であって、(a)は分解斜視図、(b)は斜視図である。
図3は、本実施形態における、第二柱12と天井梁13との接合構造の一例を示す図であって、(a)は分解斜視図、(b)は斜視図である。
フレーム10は、在来軸組の枠体である。フレーム10は、柱(木質柱)として、第一柱11と、第一柱11よりも短い第二柱12と、を備えるとともに、梁(木質梁)として、天井梁13と、床梁14と、を備える。
なお、本実施形態のフレーム10は、木造であるが、これに限られるものではなく、例えば鉄骨造であってもよい。
【0022】
図2に示すように、第一柱11の上端部(具体的には、第二柱12の上端面よりも上側に位置する部分)には、梁受金物16が装着されている。
梁受金物16は、平面視U字状の接合部材である。梁受金物16は、当該U字における底部が、第一柱11の四側面(左側面、右側面、前側面、後側面)のうち、他の第一柱11(隣接する第一柱11)と対向する側面に固定されており、当該U字における両先端部が、当該他の第一柱11の方を向いている。
【0023】
天井梁13の側端部(左端部、右端部)には、梁受金物16の両端部(U字における両先端部)を差し込み可能な一対のスリット13aが設けられている。スリット13aは、天井梁13の側面(左面、右面)に対して垂直に設けられている。
さらに、天井梁13の側端部(左端部、右端部)には、梁受金物16と天井梁13を接合するための接合具51(ドリフトピン等)を差し込み可能な貫通孔13bが設けられている。また、梁受金物16の両端部(U字における両先端部)にも、接合具51を差し込み可能な貫通孔がそれぞれ設けられている。
【0024】
天井梁13を適正位置に配置した状態において、当該天井梁13の貫通孔13bに接合具51を差し込むことで、当該天井梁13が梁受金物16に固定されることとなる。これにより、梁受金物16を介して、第一柱11に天井梁13を固定することができる。
ここで、天井梁13を適正位置に配置した状態とは、例えば、天井梁13における一対のスリット13aに梁受金物16の両端部が差し込まれて、天井梁13の側端面(左端面、右端面)が、第一柱11の側面に対して接する状態であり、かつ、天井梁13の上端面が、第一柱11の上端面に対して面一となる状態である。
【0025】
具体的には、天井梁13の側端部(左端部、右端部)には、梁受金物16の両端部を差し込み可能な一対のスリット13aと、当該スリット13aに直交する複数の貫通孔13bと、が設けられている。
貫通孔13bは、天井梁13の側面(左面、右面)に対して平行に設けられている。すなわち、貫通孔13bは、天井梁13の幅方向(前後方向)に貫通している。そして、天井梁13の各貫通孔13bは、天井梁13を適正位置に配置した状態において、梁受金物16における一方の端部(U字における一方の先端部)に設けられた貫通孔のうちのいずれか、及び梁受金物16における他方の端部(U字における他方の先端部)に設けられた貫通孔のうちのいずれかと連通する位置に設けられている。したがって、天井梁13を適正位置に配置した状態において、接合具51を、天井梁13の貫通孔13bにおける一端側(後端側)から他端側(前端側)に向けて打ち込むことで、当該接合具51が、梁受金物16における一方の端部に設けられた貫通孔と、梁受金物16における他方の端部に設けられた貫通孔と、を貫通することとなる。
【0026】
図3に示すように、第二柱12の上端部には、ホゾ金物17が装着されている。
ホゾ金物17は、パイプ状(棒状)の接合部材である。ホゾ金物17は、下部が、第二柱12内に固定されており、上部が、当該第二柱12の上端面から上側に向けて突出している。
ホゾ金物17の下部には、ホゾ金物17と第二柱12を接合するための接合具(ドリフトピン等)を差し込み可能な貫通孔として、互いに垂直に配置された二つの貫通孔が設けられている。また、第二柱12の上端部にも、ホゾ金物17と第二柱12を接合するための接合具を差し込み可能な貫通孔として、互いに垂直に配置された第一貫通孔12a及び第二貫通孔12bが設けられている。
【0027】
第二柱12の第一貫通孔12aは、ホゾ金物17の下部を第二柱12に挿入した状態において、ホゾ金物17の下部に設けられた一方の貫通孔と連通する位置に設けられている。したがって、ホゾ金物17の下部を第二柱12に挿入した状態において、ホゾ金物17と第二柱12を接合するための接合具を、第二柱12の第一貫通孔12aにおける一端側から他端側に向けて打ち込むことで、当該接合具が、ホゾ金物17の下部に設けられた一方の貫通孔を貫通することとなる。
また、第二柱12の第二貫通孔12bは、ホゾ金物17の下部を第二柱12に挿入した状態において、ホゾ金物17の下部に設けられた他方の貫通孔と連通する位置に設けられている。したがって、ホゾ金物17の下部を第二柱12に挿入した状態において、ホゾ金物17と第二柱12を接合するための接合具を、第二柱12の第二貫通孔12bにおける一端側から他端側に向けて打ち込むことで、当該接合具が、ホゾ金物17の下部に設けられた他方の貫通孔を貫通することとなる。
【0028】
このように、ホゾ金物17の下部を第二柱12に挿入した状態において、第二柱12の貫通孔12a,12bに接合具を差し込むことで、第二柱12にホゾ金物17が固定されることとなる。
すなわち、ホゾ金物17は、第二柱12の四側面(左側面、右側面、前側面、後側面)のうち、一側面から差し込まれた接合具と、当該一側面に直交する他の一側面から差し込まれた接合具と、によって第二柱12に固定されている。
【0029】
天井梁13の下端面には、ホゾ金物17の上部を差し込み可能なホゾ穴が設けられている。天井梁13の下端面が第二柱12の上端面に当接するまで、天井梁13のホゾ穴に、第二柱12に固定されているホゾ金物17を差し込むことで、天井梁13が適正位置に配置された状態となる。
さらに、天井梁13の下端部には、ホゾ金物17と天井梁13を接合するための接合具53(ドリフトピン等)を差し込み可能な貫通孔13cが設けられている。また、ホゾ金物17の上部にも、接合具53を差し込み可能な貫通孔が設けられている。
【0030】
天井梁13を適正位置に配置した状態において、当該天井梁13の貫通孔13cに接合具53を差し込むことで、当該天井梁13がホゾ金物17に固定されることとなる。これにより、ホゾ金物17を介して、第二柱12に天井梁13を固定することができる。
具体的には、天井梁13の下端部には、ホゾ金物17を差し込み可能なホゾ穴と、当該ホゾ穴に直交する複数の貫通孔13cと、が設けられている。
貫通孔13cは、天井梁13の側面(左面、右面)に対して平行に設けられている。すなわち、貫通孔13cは、天井梁13の幅方向(前後方向)に貫通している。そして、天井梁13の各貫通孔13cは、天井梁13を適正位置に配置した状態において、ホゾ金物17の上部に設けられた貫通孔のうちのいずれかと連通する位置に設けられている。したがって、天井梁13を適正位置に配置した状態において、接合具53を、天井梁13の貫通孔13cにおける一端側(前端側)から他端側(後端側)に向けて打ち込むことで、当該接合具53が、ホゾ金物17の上部に設けられた貫通孔を貫通することとなる。
【0031】
[壁パネル]
壁パネル20は、壁用の木質パネルである。
木質パネルは、建築用パネルであり、縦横の框材Aが矩形状に組み立てられて矩形枠が構成され、この矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に面材Cが貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。その内部中空部(面材の裏側)には、通常、グラスウールやロックウールなどの断熱材Dが装填される。
なお、本実施形態の壁パネル20は、断熱材Dとして、ポリスチレンフォーム保温板を備えるが、断熱材Dは、これに限られるものではない。
【0032】
壁パネル20は、例えば、柱11,12と梁13,14とがなす矩形領域内に配設されている。
具体的には、壁パネル20は、隣り合う第一柱11及び第二柱12と、これら柱11,12の上端部同士を連結する天井梁13と、これら柱11,12の下端部同士を連結する床梁14と、がなす矩形領域内に配設されている。
また、壁パネル20は、隣り合う二本の第二柱12と、これら第二柱12の上端部同士を連結する天井梁13と、これら第二柱12の下端部同士を連結する床梁14と、がなす矩形領域内に配設されている。
【0033】
すなわち、壁パネル20を構成する框材Aのうち上下方向に延びる縦框材は、その外面(左右方向外側の面)が柱11,12に接合されている。
具体的には、壁パネル20を構成する框材Aのうち、第一柱11に隣接する縦框材は、その外面(当該第一柱11側の面)が当該第一柱11に接合されている。また、壁パネル20を構成する框材Aのうち、第二柱12に隣接する縦框材は、その外面(当該第二柱12側の面)が当該第二柱12に接合されている。
【0034】
また、壁パネル20を構成する框材Aのうち左右方向に延びる横框材は、その外面(上下方向外側の面)が梁13,14に接合されている。
具体的には、壁パネル20を構成する框材Aのうち、天井梁13に隣接する横框材(上側の横框材)は、その外面(当該天井梁13側の面)が当該天井梁13に接合されている。また、壁パネル20を構成する框材Aのうち、床梁14に隣接する横框材(下側の横框材)は、その外面(当該床梁14側の面)が当該床梁14に接合されている。
なお、柱11,12や梁13,14に壁パネル20を接合するための接合手段は、接合具(ビス等)であってもよいし、接着剤であってもよいし、あるいはこれらの併用であってもよい。
【0035】
壁パネル20が、外壁用の壁パネルの場合、当該壁パネル20における、一方の面(屋外側の面)には、外壁材31が設けられるとともに、他方の面(屋内側の面)には、内壁材32が設けられる。
また、壁パネル20が、内壁用の壁パネルの場合、当該壁パネル20における一方の面及び他方の面の少なくとも一方には、内壁材32が設けられる。
なお、本実施形態の外壁材31は、ガルバリウム鋼板(登録商標)であるが、これに限られるものではない。
また、本実施形態の内壁材32は、ケイ酸カルシウム板であるが、これに限られるものではない。
【0036】
《壁の施工方法》
次に、
図4~
図16を参照して、本実施形態における壁1の施工方法の一例を説明する。
本実施形態の施工方法では、施工現場で床梁14→柱11,12→壁パネル20→天井梁13の順で組み立てていく。
具体的には、まず、柱11,12、梁13,14、壁パネル20等を、工場から施工現場へと搬送する。
【0037】
[床梁設置ステップ]
次いで、
図4に示すように、施工現場において、床梁14を設置する。
【0038】
[床パネル設置ステップ]
次いで、壁1の高さ方向(上下方向)に対して垂直な第一方向に沿って設けられた床梁14と、壁1の高さ方向及び第一方向の両方に対して垂直な第二方向に沿って設けられた床梁14と、がなす矩形領域内に床パネル30(床用の木質パネル)を設置する。なお、
図4~
図13では、煩雑さを避けるため、床パネルを指す符号「30」を省略するとともに、床梁を指す符号「14」のうち一部の符号を省略する。
【0039】
[柱設置ステップ]
次いで、
図4に示すように、柱11,12を設置する。
本実施形態では、梁受金物16が装着されている状態の第一柱11を、工場から施工現場へと搬送する。すなわち、本実施形態では、工場で、第一柱11に梁受金物16を装着するが、これに限られるものではなく、施工現場で、第一柱11に梁受金物16を装着してもよい。施工現場で、第一柱11に梁受金物16を装着する場合、梁受金物16を装着するタイミングは、天井梁13(当該梁受金物16が受ける天井梁13)を設置する前であれば、適宜選択可能である。
【0040】
また、本実施形態では、ホゾ金物17が装着されている状態の第二柱12を、工場から施工現場へと搬送する。すなわち、本実施形態では、工場で、第二柱12にホゾ金物17を装着するが、これに限られるものではなく、施工現場で、第二柱12にホゾ金物17を装着してもよい。施工現場で、第二柱12にホゾ金物17を装着する場合、ホゾ金物17を装着するタイミングは、壁パネル20を設置する前であれば、適宜選択可能である。
【0041】
図3に示すように、第二柱12には、互いに垂直な方向に貫通する第一貫通孔12a及び第二貫通孔12bが設けられている。そして、ホゾ金物17は、これらの貫通孔12a,12bにおける一端側から他端側に向けて打ち込まれた接合具(ホゾ金物17と第二柱12とを接合するための接合具)によって第二柱12に固定されている。したがって、壁パネル20を設置した後だと、貫通孔12a,12bにおける一端や他端が壁パネル20で隠れて接合具を打ち込むことができない場合がある。よって、壁パネル20を設置する前までに、ホゾ金物17を第二柱12に装着する。
【0042】
[壁パネル設置ステップA]
次いで、壁パネル20(ここでは、外壁用の壁パネル)の上端面に吊具を付ける。そして、
図5に示すように、当該壁パネル20をクレーンで吊り上げて、隣り合う柱11,12同士の間(第一柱11と第二柱12との間、第二柱12同士の間)に設置する。その後、当該壁パネル20から吊具を外す。
本実施形態においては、例えば
図14(a)に示すように、床梁14の上面のうち、壁パネル20と隣接する上面に、位置決め材61aが設けられている。また、壁パネル20を構成する框材Aのうち、下側の横框材にも、その下面に、位置決め材61bが設けられている。そして、クレーンで壁パネル20を吊り上げて床梁14上に下ろす際には、例えば
図14(b)に示すように、床梁14の位置決め材61aと、壁パネル20の位置決め材61bと、が壁パネル20の厚さ方向(前後方向)に並んだ状態で接する位置に、壁パネル20を下ろす。
【0043】
また、本実施形態においては、例えば
図15に示すように、柱11,12の側面のうち、壁パネル20と隣接する側面に、位置決め材63aが設けられている。また、壁パネル20を構成する框材Aのうち、縦框材にも、その側面に、位置決め材63bが設けられている。そして、壁パネル20を床梁14上における適正な位置(床梁14の位置決め材61aと、壁パネル20の位置決め材61bと、が壁パネル20の厚さ方向に並んだ状態で接する位置)に配置した状態においては、柱11,12の位置決め材63aと、壁パネル20の位置決め材63bと、が壁パネル20の厚さ方向(前後方向)に並んだ状態で接するようになっている。
【0044】
また、本実施形態においては、工場で第一柱11に梁受金物16を装着するので、壁パネル20を設置する前の段階で、第一柱11に梁受金物16が装着されている。したがって、第一柱11と第二柱12との間に設置する壁パネル20については、第一柱11に装着されている梁受金物16が邪魔になって、
図14(a)に示すように下ろすこと、すなわち床梁14の真上から下ろすことができない。そのため、第一柱11と第二柱12との間に設置する壁パネル20については、
図5に示すように、床梁14の真上を避けた位置から下ろし、その後、床梁14の真上へと引き込むことで、床梁14上における適正な位置に配置するようになっている。
【0045】
また、本実施形態においては、例えば
図15に示すように、第一柱11と第二柱12との間隔寸法L11が、当該第一柱11と当該第二柱12との間に設置する壁パネル20の幅寸法(位置決め材63bを含む幅寸法)L21よりも長く設定されている(L11>L21)。具体的には、本実施形態では、間隔寸法L11と幅寸法L21の差が5mmとなるように設定されている。
また、第一柱11と第二柱12との間隔寸法(位置決め材63aを含む間隔寸法)L31が、当該第一柱11と当該第二柱12との間に設置する壁パネル20の幅寸法L41よりも長く設定されている(L31>L41)。具体的には、本実施形態では、間隔寸法L31と幅寸法L41の差が5mmとなるように設定されている。
このように、本実施形態においては、第一柱11と第二柱12との間にクリアランスが設けられているので、第一柱11と第二柱12との間に壁パネル20を配置する作業の施工性が良い。
なお、間隔寸法L11と幅寸法L21の差と、間隔寸法L31と幅寸法L41の差と、は同一でなくてもよい。
【0046】
また、本実施形態においては、例えば
図15に示すように、第二柱12同士の間隔寸法L12が、当該第二柱12同士の間に設置する壁パネル20の幅寸法(位置決め材63bを含む幅寸法)L22よりも長く設定されている(L12>L22)。具体的には、本実施形態では、間隔寸法L12と幅寸法L22の差が5mmとなるように設定されている。
また、第二柱12同士の間隔寸法(位置決め材63aを含む間隔寸法)L32が、当該第二柱12同士の間に設置する壁パネル20の幅寸法L42よりも長く設定されている(L32>L42)。具体的には、本実施形態では、間隔寸法L32と幅寸法L42の差が5mmとなるように設定されている。
このように、本実施形態においては、第二柱12同士の間にクリアランスが設けられているので、第二柱12同士の間に壁パネル20を配置する作業の施工性が良い。
なお、間隔寸法L12と幅寸法L22の差と、間隔寸法L32と幅寸法L42の差と、は同一でなくてもよい。
【0047】
また、第一柱11と第二柱12との間隔寸法L11と、第二柱12同士の間隔寸法L12と、は同一であってもよいし、同一でなくてもよい。また、一の壁1において、或いは複数の壁1間において、間隔寸法L11は、一律であってもよいし、一律でなくてもよい。また、一の壁1において、或いは複数の壁1間において、間隔寸法L12は、一律であってもよいし、一律でなくてもよい。
【0048】
また、第一柱11と第二柱12との間に設置する壁パネル20の幅寸法(位置決め材63bを含む幅寸法)L21と、第二柱12同士の間に設置する壁パネル20の幅寸法(位置決め材63bを含む幅寸法)L22と、は同一であってもよいし、同一でなくてもよい。また、一の壁1において、或いは複数の壁1間において、幅寸法L21は、一律であってもよいし、一律でなくてもよい。また、一の壁1において、或いは複数の壁1間において、幅寸法L22は、一律であってもよいし、一律でなくてもよい。
【0049】
また、第一柱11と第二柱12との間隔寸法(位置決め材63aを含む間隔寸法)L31と、第二柱12同士の間隔寸法(位置決め材63aを含む間隔寸法)L32と、は同一であってもよいし、同一でなくてもよい。また、一の壁1において、或いは複数の壁1間において、間隔寸法L31は、一律であってもよいし、一律でなくてもよい。また、一の壁1において、或いは複数の壁1間において、間隔寸法L32は、一律であってもよいし、一律でなくてもよい。
【0050】
また、第一柱11と第二柱12との間に設置する壁パネル20の幅寸法L41と、第二柱12同士の間に設置する壁パネル20の幅寸法L42と、は同一であってもよいし、同一でなくてもよい。また、一の壁1において、或いは複数の壁1間において、幅寸法L41は、一律であってもよいし、一律でなくてもよい。また、一の壁1において、或いは複数の壁1間において、幅寸法L42は、一律であってもよいし、一律でなくてもよい。
【0051】
ここで、壁パネル20は、例えば
図15に示すように、当該壁パネル20の位置決め材63bが、柱11,12の位置決め材63aに接合されることによって、柱11,12に固定されている。本実施形態における、柱11,12に壁パネル20を接合するための接合手段(柱11,12の位置決め材63aと、壁パネル20の位置決め材63bと、を接合するための接合手段)は、ビス等の接合具と、接着剤と、の併用であるが、これに限られるものではなく、例えば、いずれか一方であってもよい。
【0052】
また、壁パネル20は、当該壁パネル20の位置決め材61bが、床梁14の位置決め材61aに接合されることによって、床梁14に固定されている。本実施形態における、床梁14に壁パネル20を接合するための接合手段(床梁14の位置決め材61aと、壁パネル20の位置決め材61bと、を接合するための接合手段)は、ビス等の接合具と、接着剤と、の併用であるが、これに限られるものではなく、例えば、いずれか一方であってもよい。
【0053】
[仮固定ステップA]
次いで、
図5に示すように、上述の“壁パネル設置ステップA”で設置した壁パネル20に、当該壁パネル20を支持する仮筋交い100を取り付けて、当該壁パネル20を仮固定する。
本ステップにおいて壁パネル20に取り付けた仮筋交い100は、当該壁パネル20を天井梁13に固定した後(後述する“本固定ステップA”の後)に取り外される。
【0054】
なお、
図5に示す例では、“壁パネル設置ステップA”で設置する複数枚の壁パネル20を、一枚設置する度に、仮筋交い100を取り付けている。すなわち、“壁パネル設置ステップA”の途中で適時仮筋交い100を取り付けている。したがって、本実施形態においては、“壁パネル設置ステップA”の途中で“仮固定ステップA”を行っているので、本実施形態の“仮固定ステップA”は、“壁パネル設置ステップA”に含まれるステップと言える。
【0055】
[天井梁設置ステップA]
次いで、天井梁13(ここでは、大梁)の上端面に吊具を付ける。そして、
図6に示すように、当該天井梁13をクレーンで吊り上げて、隣り合う第一柱11の上端部同士の間に設置する。その後、当該天井梁13から吊具を外す。
具体的には、例えば
図2に示すように、第一柱11に装着されている梁受金物16を介して、当該第一柱11に天井梁13を固定するとともに、例えば
図3に示すように、第二柱12に装着されているホゾ金物17を介して、当該第二柱12に天井梁13を固定する。
【0056】
[本固定ステップA]
次いで、上述の“壁パネル設置ステップA”で設置した壁パネル20を、上述の“天井梁設置ステップA”で設置した天井梁13に固定する。
本実施形態においては、例えば
図14(b)に示すように、天井梁13の下面のうち、壁パネル20と隣接する下面に、位置決め材62aが設けられている。また、壁パネル20を構成する框材Aのうち、上側の横框材にも、その上面に、位置決め材62bが設けられている。そして、クレーンで天井梁13を吊り上げて壁パネル20上に下ろす際には、例えば
図14(c)に示すように、天井梁13の位置決め材62aと、壁パネル20の位置決め材62bと、が壁パネル20の厚さ方向(前後方向)に並んだ状態で接する位置に、天井梁13を下ろす。すなわち、天井梁13を適正位置に配置した状態においては、天井梁13の位置決め材62aと、壁パネル20の位置決め材62bと、が壁パネル20の厚さ方向(前後方向)に並んだ状態で接するようになっている。
【0057】
ここで、壁パネル20は、当該壁パネル20の位置決め材62bが、天井梁13の位置決め材62aに接合されることによって、天井梁13に固定されている。本実施形態において、天井梁13に壁パネル20を接合するための接合手段(天井梁13の位置決め材62aと、壁パネル20の位置決め材62bと、を接合するための接合手段)は、ビス等の接合具と、接着剤と、の併用であるが、これに限られるものではなく、例えば、いずれか一方であってもよい。
なお、
図4~
図13では、煩雑さを避けるため、位置決め材61a,61b,62a,62b,63a,63bについては、位置決め材自体の図示を省略するか、或いは、位置決め材を指す符号の図示を省略している。
【0058】
なお、本実施形態では、位置決め材61aが装着されている状態の床梁14を、工場から施工現場へと搬送する。すなわち、本実施形態では、工場で、床梁14に位置決め材61aを装着するが、これに限られるものではなく、施工現場で、床梁14に位置決め材61aを装着してもよい。
また、本実施形態では、位置決め材62aが装着されている状態の天井梁13を、工場から施工現場へと搬送する。すなわち、本実施形態では、工場で、天井梁13に位置決め材62aを装着するが、これに限られるものではなく、施工現場で、天井梁13に位置決め材62bを装着してもよい。
【0059】
また、本実施形態では、位置決め材63aが装着されている状態の柱11,12を、工場から施工現場へと搬送する。すなわち、本実施形態では、工場で、柱11,12に位置決め材63aを装着するが、これに限られるものではなく、施工現場で、柱11,12に位置決め材63aを装着してもよい。
また、本実施形態では、位置決め材61b,62b,63bが装着されている状態の壁パネル20を、工場から施工現場へと搬送する。すなわち、本実施形態では、工場で、壁パネル20に位置決め材61b,62b,63bを装着するが、これに限られるものではなく、施工現場で、壁パネル20に位置決め材61b,62b,63bを装着してもよい。
【0060】
[壁パネル設置ステップB]
次いで、壁パネル20(ここでは、内壁(間仕切り壁等)用の壁パネル)の上端面に吊具を付ける。そして、当該壁パネル20をクレーンで吊り上げて、
図7に示すように、隣り合う柱11,12同士の間(ここでは、第一柱11と第二柱12との間)に設置する。その後、当該壁パネル20から吊具を外す。
本ステップでは、上述の“壁パネル設置ステップA”で設置した壁パネル20に対して垂直な方向に配置される壁パネル20であって、“壁パネル設置ステップA”で設置した壁パネル20と同一の第一柱11に隣接する壁パネル20を設置する。
本ステップは、上述の“壁パネル設置ステップA”と略同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0061】
[仮固定ステップB]
次いで、上述の“壁パネル設置ステップB”で設置した壁パネル20に、当該壁パネル20を支持する仮筋交い100を取り付けて、当該壁パネル20を仮固定する。
本ステップにおいて壁パネル20に取り付けた仮筋交い100は、当該壁パネル20を天井梁13に固定した後(後述する“本固定ステップB”の後)に取り外される。
なお、
図4~
図13に示す例では、本ステップを省略している。具体的には、上述の“仮固定ステップA”で取り付けた仮筋交い100を、後述する“本固定ステップB”が終了するまで取り外さないようにして、当該仮筋交い100によって、“壁パネル設置ステップB”で設置した壁パネル20を支持している。
【0062】
[天井梁設置ステップB]
次いで、天井梁13(ここでは、大梁)の上端面に吊具を付ける。そして、
図7に示すように、当該天井梁13をクレーンで吊り上げて、隣り合う第一柱11の上端部同士の間に設置する。その後、当該天井梁13から吊具を外す。
本ステップでは、上述の“天井梁設置ステップA”で設置した天井梁13に対して垂直な方向に配置される天井梁13であって、“天井梁設置ステップA”で設置した天井梁13と同一の第一柱11に隣接する天井梁13を設置する。
本ステップは、上述の“天井梁設置ステップA”と略同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0063】
[本固定ステップB]
次いで、上述の“壁パネル設置ステップB”で設置した壁パネル20を、上述の“天井梁設置ステップB”で設置した天井梁13に固定する。
本ステップは、上述の“本固定ステップA”と略同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0064】
[壁パネル設置ステップC]
次いで、壁パネル20(ここでは、内壁(間仕切り壁等)用の壁パネル)の上端面に吊具を付ける。そして、当該壁パネル20をクレーンで吊り上げて、
図8に示すように、隣り合う柱11,12同士の間(ここでは、第一柱11と第二柱12との間)に設置する。その後、当該壁パネル20から吊具を外す。
本ステップでは、上述の“壁パネル設置ステップB”で設置した壁パネル20に対して平行な方向に配置される壁パネル20であって、“壁パネル設置ステップA”で設置した壁パネル20と同一の第一柱11に隣接する壁パネル20を設置する。
本ステップは、上述の“壁パネル設置ステップA”と略同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0065】
[仮固定ステップC]
次いで、上述の“壁パネル設置ステップC”で設置した壁パネル20に、当該壁パネル20を支持する仮筋交い100を取り付けて、当該壁パネル20を仮固定する。
本ステップにおいて壁パネル20に取り付けた仮筋交い100は、当該壁パネル20を天井梁13に固定した後(後述する“本固定ステップC”の後)に取り外される。
なお、本ステップは、上述の“仮固定ステップB”と同様に、省略することが可能である。省略する場合には、例えば、上述の“仮固定ステップA”で取り付けた仮筋交い100を、後述する“本固定ステップC”が終了するまで取り外さないようにして、当該仮筋交い100によって、“壁パネル設置ステップC”で設置した壁パネル20を支持することが好ましい。
【0066】
[天井梁設置ステップC]
次いで、天井梁13(ここでは、大梁)の上端面に吊具を付ける。そして、
図8に示すように、当該天井梁13をクレーンで吊り上げて、隣り合う第一柱11の上端部同士の間に設置する。その後、当該天井梁13から吊具を外す。
本ステップでは、上述の“天井梁設置ステップB”で設置した天井梁13に対して平行な方向に配置される天井梁13であって、“天井梁設置ステップA”で設置した天井梁13と同一の第一柱11に隣接する天井梁13を設置する。
本ステップは、上述の“天井梁設置ステップA”と略同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0067】
ここで、
図8に示すように、本ステップで設置した天井梁13のうち、上述の“天井梁設置ステップB”で設置した天井梁13と対向する側面には、梁受金物16が装着されている。
また、“天井梁設置ステップB”で設置した天井梁13にも、同様に、梁受金物16が装着されている。すなわち、“天井梁設置ステップB”で設置した天井梁13のうち、本ステップ(天井梁設置ステップC)で設置した天井梁13と対向する側面には、梁受金物16が装着されている。
【0068】
[本固定ステップC]
次いで、上述の“壁パネル設置ステップC”で設置した壁パネル20を、上述の“天井梁設置ステップC”で設置した天井梁13に固定する。
本ステップは、上述の“本固定ステップA”と略同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0069】
[天井梁設置ステップZ1]
次いで、天井梁13(ここでは、大梁)の上端面に吊具を付ける。そして、
図9に示すように、当該天井梁13をクレーンで吊り上げて、隣り合う第一柱11の上端部同士の間に設置する。その後、当該天井梁13から吊具を外す。
本ステップでは、上述の“天井梁設置ステップA”で設置した天井梁13に対して平行な方向に配置される天井梁13であって、上述の“天井梁設置ステップB”及び“天井梁設置ステップC”で設置した天井梁13と同一の第一柱11に隣接する天井梁13を設置する。
本ステップは、上述の“天井梁設置ステップA”と略同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0070】
ここで、
図9に示すように、本ステップで設置した天井梁13のうち、上述の“天井梁設置ステップA”で設置した天井梁13と対向する側面には、梁受金物16が装着されている。
また、“天井梁設置ステップA”で設置した天井梁13にも、同様に、梁受金物16が装着されている。すなわち、“天井梁設置ステップA”で設置した天井梁13のうち、本ステップ(天井梁設置ステップZ1)で設置した天井梁13と対向する側面には、梁受金物16が装着されている。
【0071】
[天井梁設置ステップZ2]
次いで、天井梁13(ここでは、小梁)の上端面に吊具を付ける。そして、
図10に示すように、当該天井梁13をクレーンで吊り上げて、互いに平行な天井梁13同士の間に設置する。その後、当該天井梁13から吊具を外す。
本ステップでは、上述の“天井梁設置ステップA”で設置した天井梁13(大梁)と上述の“天井梁設置ステップZ1”で設置した天井梁13(大梁)との間に、これらの天井梁13に対して垂直な方向に配置される天井梁13(小梁)を設置する。
【0072】
具体的には、設置済みの天井梁13(大梁)に装着されている梁受金物16を介して、当該天井梁13(大梁)に天井梁13(小梁)を固定するとともに、例えば
図3に示すように、第二柱12に装着されているホゾ金物17を介して、当該第二柱12に天井梁13(小梁)を固定する。
ここで、
図10に示すように、本ステップで設置した天井梁13の側面には、梁受金物16が装着されている。
【0073】
[壁パネル設置ステップD]
次いで、壁パネル20(ここでは、内壁(間仕切り壁等)用の壁パネル)の上端面に吊具を付ける。そして、
図11に示すように、当該壁パネル20をクレーンで吊り上げて、隣り合う柱11,12同士の間(ここでは、第二柱12同士の間)に設置する。その後、当該壁パネル20から吊具を外す。
本ステップでは、上述の“壁パネル設置ステップA”で設置した壁パネル20に対して平行な方向に配置される壁パネル20であって、上述の“天井梁設置ステップB”、“天井梁設置ステップC”、及び“天井梁設置ステップZ2”で設置した天井梁13に装着されている梁受金物16の下方に配置される壁パネル20を設置する。
本ステップは、上述の“壁パネル設置ステップA”と略同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0074】
本ステップで設置する壁パネル20は、“天井梁設置ステップB”、“天井梁設置ステップC”、及び“天井梁設置ステップZ2”で設置した天井梁13に装着されている梁受金物16の下方に配置される壁パネル20である。したがって、本ステップで設置する壁パネル20については、これらの梁受金物16が邪魔になって、床梁14の真上から下ろすことができない。そのため、本ステップで設置する壁パネル20については、
図11に示すように、床梁14の真上を避けた位置から下ろし、その後、床梁14の真上へと引き込むことで、床梁14上における適正な位置に配置するようになっている。
【0075】
[仮固定ステップD]
次いで、上述の“壁パネル設置ステップD”で設置した壁パネル20に、当該壁パネル20を支持する仮筋交い100を取り付けて、当該壁パネル20を仮固定する。
本ステップにおいて壁パネル20に取り付けた仮筋交い100は、当該壁パネル20を天井梁13に固定した後(後述する“本固定ステップD”の後)に取り外される。
本ステップは、上述の“仮固定ステップA”と略同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0076】
[天井梁設置ステップD]
次いで、天井梁13(ここでは、小梁)の上端面に吊具を付ける。そして、
図12に示すように、当該天井梁13をクレーンで吊り上げて、互いに平行な天井梁13同士の間に設置する。その後、当該天井梁13から吊具を外す。
本ステップでは、上述の“天井梁設置ステップB”、“天井梁設置ステップC”、“天井梁設置ステップZ2”で設置した天井梁13(大梁、小梁)同士の間に、上述の“天井梁設置ステップA”で設置した天井梁13に対して平行な方向に配置される天井梁13(小梁)を設置する。
具体的には、設置済みの天井梁13(大梁、小梁)に装着されている梁受金物16を介して、当該天井梁13(大梁、小梁)に天井梁13(小梁)を固定する。
【0077】
本実施形態では、梁受金物16が装着されている状態の天井梁13を、工場から施工現場へと搬送する。すなわち、本実施形態では、工場で、天井梁13に梁受金物16を装着するが、これに限られるものではなく、施工現場で、天井梁13に梁受金物16を装着してもよい。施工現場で、天井梁13に梁受金物16を装着する場合、梁受金物16を装着するタイミングは、当該梁受金物16が受ける天井梁13を設置する前であれば、適宜選択可能である。
【0078】
[本固定ステップD]
次いで、上述の“壁パネル設置ステップD”で設置した壁パネル20を、上述の“天井梁設置ステップD”で設置した天井梁13に固定する。
本ステップは、上述の“本固定ステップA”と略同一であるため、詳細な説明を省略する。
このようにして、
図13に示すように、柱11,12及び梁13,14からなるフレーム10と、当該フレーム10に取り付けられた壁パネル20と、を備える壁1を施工することができる。
【0079】
なお、壁1を構成するフレーム10は、柱として第一柱11及び第二柱12を備えるフレームに限られるものではなく、例えば、柱として第二柱12のみを備えるフレームであってもよいし、柱として第一柱11のみを備えるフレームであってもよい。
図4~
図13に示す例において、柱として第一柱11及び第二柱12を備えるフレームは、“床梁設置ステップ”と“柱設置ステップ”と“天井梁設置ステップA”によって形成されるフレーム10、“床梁設置ステップ”と“柱設置ステップ”と“天井梁設置ステップB”によって形成されるフレーム10、“床梁設置ステップ”と“柱設置ステップ”と“天井梁設置ステップC”によって形成されるフレーム10である。また、柱として第二柱12のみを備えるフレームは、“床梁設置ステップ”と“柱設置ステップ”と“天井梁設置ステップD(及び天井梁設置ステップZ2)”によって形成されるフレーム10である。
【0080】
すなわち、
図4~
図13に示す例において、本実施形態の壁1は、“床梁設置ステップ”と“柱設置ステップ”と“壁パネル設置ステップA”と“天井梁設置ステップA”によって形成される壁、“床梁設置ステップ”と“柱設置ステップ”と“壁パネル設置ステップB”と“天井梁設置ステップB”によって形成される壁、“床梁設置ステップ”と“柱設置ステップ”と“壁パネル設置ステップC”と“天井梁設置ステップC”によって形成される壁、“床梁設置ステップ”と“柱設置ステップ”と“壁パネル設置ステップD”と“天井梁設置ステップD(及び天井梁設置ステップZ2)”によって形成される壁である。
【0081】
[外装材設置ステップ]
次いで、
図16に示すように、柱11,12を被覆する柱用外装材40を設置する。
本実施形態における壁1を被覆する外装材には、少なくとも、壁パネル20を被覆する外壁材31と、柱11,12を被覆する柱用外装材40と、がある。
なお、本実施形態では、外壁材31が装着されている状態の壁パネル20を、工場から施工現場へと搬送する。すなわち、本実施形態では、工場で、壁パネル20に外壁材31を装着するが、これに限られるものではなく、施工現場で、壁パネル20に外壁材31を装着してもよい。施工現場で、壁パネル20に外壁材31を装着する場合、外壁材31を装着するタイミングは、当該壁パネル20を設置する前でもよいし、当該壁パネル20を設置した後でもよい。したがって、本ステップで、壁パネル20を被覆する外壁材31を設置することも可能である。
【0082】
本実施形態の壁1においては、例えば
図15に示すように、柱11,12の屋外側の面が、壁パネル20の屋外側の面よりも、屋内側に位置している。すなわち、柱用外装材40を設置する前における壁1は、屋外側に、当該壁1の高さ方向(上下方向)に延びる複数の溝部1aを有している。そして、柱用外装材40は、当該溝部1aに嵌る形状を有している。
【0083】
具体的には、例えば
図16(a)に示すように、柱用外装材40は、隣り合う壁パネル20同士間に配置されるベース部41と、当該ベース部41を被覆する被覆部42と、を備えて構成される。
本実施形態のベース部41は、50mm厚のLVL(Laminated Veneer Lumber)であるが、これに限られるものではない。
また、本実施形態の被覆部42は、ガルバリウム鋼板(登録商標)によって構成されているが、これに限られるものではない。また、被覆部42は、外壁材31と同一のものから構成されてもよいし、異なるものから構成されてもよい。
【0084】
柱用外装材40は、屋外側部分の幅寸法L51が、屋内側部分の幅寸法L52よりも長く設定されている(L51>L52)。
具体的には、被覆部42は、ベース部41における壁パネル20側の面を被覆する第一部分と、ベース部41における屋外側の面を被覆する第二部分と、当該第一部分と当該第二部分との間に設けられ、壁パネル20側に突出する折畳部分と、を有している。
【0085】
前述したように、第一柱11と第二柱12との間隔寸法L11,L31は、当該第一柱11と当該第二柱12との間に設置する壁パネル20の幅寸法L21,L41よりも長い(L11>L21、L31>L41)。また、第二柱12同士の間隔寸法L12,L32は、当該第二柱12同士の間に設置する壁パネル20の幅寸法L22,L42よりも長い(L12>L22、L32>L42)。
したがって、溝部1aの幅寸法、すなわち壁パネル20同士の間隔寸法L61は、当該壁パネル20同士の間に設置する柱11,12の幅寸法(位置決め材63aを含む幅寸法)L62以上になる(L61≧L62)。
【0086】
なお、第一柱11と第二柱12との間や、第二柱12同士の間には、クリアランス(壁パネル20設置用のクリアランス)が設けられているので、間隔寸法L61は一律にならない。
具体的には、本実施形態の場合、間隔寸法L11と幅寸法L21の差が5mm、間隔寸法L31と幅寸法L41の差が5mm、間隔寸法L12と幅寸法L22の差が5mm、間隔寸法L32と幅寸法L42の差が5mmとなるように設定されている。したがって、本実施形態において、壁パネル20同士の間隔寸法L61は、最小値が、当該壁パネル20同士の間に設置する柱11,12の幅寸法(位置決め材63aを含む幅寸法)L62と同一の値となり、最大値が、当該壁パネル20同士の間に設置する柱11,12の幅寸法(位置決め材63aを含む幅寸法)L62よりも10mm長い値となる(L62≦L61≦L62+10mm)。
【0087】
柱用外装材40における屋内側部分の幅寸法L52は、当該柱用外装材40によって被覆される柱11,12に隣接する壁パネル20同士の間隔寸法L61の最小値よりも短く設定されている(L52<L61の最小値)。これにより、壁パネル20同士の間隔寸法L61の長さにかかわらず(すなわち、間隔寸法L61が、最小値であっても、最大値であっても、最小値と最大値との間の値であっても)、柱用外装材40における屋内側部分を、溝部1aに差し込むことが可能となる。すなわち、柱用外装材40における屋内側部分の幅寸法L52は、溝部1aに差し込み可能な寸法に設定されている。
【0088】
また、柱用外装材40における屋外側部分の幅寸法L51は、当該柱用外装材40によって被覆される柱11,12に隣接する壁パネル20同士の間隔寸法L61の最大値よりも長く設定されている(L51>L61の最大値)。これにより、壁パネル20同士の間隔寸法L61の長さにかかわらず(すなわち、間隔寸法L61が、最小値であっても、最大値であっても、最小値と最大値との間の値であっても)、これら壁パネル20の端部(柱11,12側の端部)を、柱用外装材40の被覆部42における折畳部分で被覆することが可能となる。すなわち、柱用外装材40における屋外側部分の幅寸法L51は、当該柱用外装材40の被覆部42における折畳部分で、当該柱用外装材40によって被覆される柱11,12と、当該柱11,12に隣接する壁パネル20と、の間に形成される隙間(本実施形態において当該隙間の寸法Gは、0mm≦G≦5mm)を被覆可能な寸法に設定されている。
【0089】
[防水手段設置ステップ]
次いで、
図16(b)に示すように、柱用外装材40と、壁パネル20と、の間に防水手段70を設置する。
本実施形態の柱用外装材40は、ベース部41の厚さ寸法が、溝部1aの深さ寸法よりも長く設定されている。したがって、柱用外装材40の被覆部42における折畳部分と、壁パネル20(本実施形態においては、壁パネル20を被覆する外壁材31)と、の間には隙間が設けられている。本ステップでは、当該隙間に、シーリング材やコーキング材等の防水手段70を充填する。
【0090】
[内装材設置ステップ]
最後に、
図16(b)に示すように、柱11,12を被覆する柱用内装材50を設置する。
本実施形態における壁1を被覆する内装材には、少なくとも、壁パネル20を被覆する内壁材32と、柱11,12を被覆する柱用内装材50と、がある。
なお、本実施形態では、内壁材32が装着されている状態の壁パネル20を、工場から施工現場へと搬送する。すなわち、本実施形態では、工場で、壁パネル20に内壁材32を装着するが、これに限られるものではなく、施工現場で、壁パネル20に内壁材32を装着してもよい。施工現場で、壁パネル20に内壁材32を装着する場合、内壁材32を装着するタイミングは、当該壁パネル20を設置する前でもよいし、当該壁パネル20を設置した後でもよい。したがって、本ステップで、壁パネル20を被覆する内壁材32を設置することも可能である。
また、本ステップは、上述の“外装材設置ステップ”よりも前に行ってもよい。
【0091】
また、
図4~
図13に示す例において、“柱設置ステップ(
図4参照)”では4本の第一柱11を設置しているが、“柱設置ステップ”で設置する第一柱11の本数はこれに限られるものではない。
また、“柱設置ステップ(
図4参照)”では9本の第二柱12を設置しているが、“柱設置ステップ”で設置する第二柱12の本数はこれに限られるものではない。
【0092】
また、
図4~
図13に示す例において、“壁パネル設置ステップA(
図5参照)”では3枚の壁パネル20を設置しているが、“壁パネル設置ステップA”で設置する壁パネル20の枚数はこれに限られるものではない。
また、“天井梁設置ステップA(
図6参照)”では1本の天井梁13を設置しているが、“天井梁設置ステップA”で設置する天井梁13の本数はこれに限られるものではない。
【0093】
また、“壁パネル設置ステップB(
図7参照)”では1枚の壁パネル20を設置しているが、“壁パネル設置ステップB”で設置する壁パネル20の枚数はこれに限られるものではない。
また、“天井梁設置ステップB(
図7参照)”では1本の天井梁13を設置しているが、“天井梁設置ステップB”で設置する天井梁13の本数はこれに限られるものではない。
【0094】
また、“壁パネル設置ステップC(
図8参照)”では1枚の壁パネル20を設置しているが、“壁パネル設置ステップC”で設置する壁パネル20の枚数はこれに限られるものではない。
また、“天井梁設置ステップC(
図8参照)”では1本の天井梁13を設置しているが、“天井梁設置ステップC”で設置する天井梁13の本数はこれに限られるものではない。
【0095】
また、“天井梁設置ステップZ1(
図9参照)”では1本の天井梁13を設置しているが、“天井梁設置ステップZ1”で設置する天井梁13の本数はこれに限られるものではない。
また、“天井梁設置ステップZ2(
図10参照)”では2本の天井梁13を設置しているが、“天井梁設置ステップZ2”で設置する天井梁13の本数はこれに限られるものではない。
【0096】
また、“壁パネル設置ステップD(
図11参照)”では3枚の壁パネル20を設置しているが、“壁パネル設置ステップD”で設置する壁パネル20の枚数はこれに限られるものではない。
また、“天井梁設置ステップD(
図12参照)”では6本の天井梁13を設置しているが、“天井梁設置ステップD”で設置する天井梁13の本数はこれに限られるものではない。
【0097】
《効果》
上記の実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
上記の実施形態における施工方法は、建物における壁1の施工方法であって、壁1は、柱11,12及び梁13,14からなるフレーム10と、当該フレーム10に取り付けられた壁パネル20と、を備えており、複数の柱11,12を設置する柱設置ステップの後に、壁パネル20を吊り上げて、柱同士の間(第一柱11と第二柱12との間、第二柱12同士の間)に設置する壁パネル設置ステップ(壁パネル設置ステップA~D)を行い、壁パネル設置ステップの後に、梁のうちの天井梁13を吊り上げて、柱の上端部同士の間(第一柱11の上端部同士の間)に設置する天井梁設置ステップ(天井梁設置ステップA~D)を行う。
【0098】
すなわち、天井梁設置ステップの前に壁パネル設置ステップを行うので、壁パネル20の上端面に吊具を付けても、当該壁パネル20を設置する途中で天井梁13が邪魔になることがない。
よって、壁パネル20を設置する途中で、吊り位置を変更するために玉外しを行う必要がないので、煩わしい、危険である等の問題がない。また、壁パネル20の上端面に吊具を付けることで、壁パネル20の表面(例えば、屋外側の面)に吊具を付ける場合よりも、壁パネル20を垂直に吊るすのが容易になるので、壁パネル20を設置しにくい等の問題もない。さらに、壁パネル20の上端面に吊具を付けることで、外装材(外壁材31等)が壁パネル20に予め装着されている場合であっても、吊具の取付位置を、外装材を配慮した位置に設定する必要がない。
したがって、柱11,12及び梁13,14からなるフレーム10と、当該フレーム10に取り付けられた壁パネル20と、を備える壁1の施工方法として、施工性を向上させた施工方法を提供することができる。
【0099】
例えば、施工現場で床梁14→柱11,12→天井梁13→壁パネル20の順で組み立てていく方法だと、施工現場で、壁パネル20をクレーンで吊り上げて、フレーム10における柱間及び梁間に嵌め込むことになる。壁パネル20の上端面に吊具を付けると、
図17(a)に示すように、当該壁パネル20を柱間及び梁間に嵌め込む途中で天井梁13が邪魔になるので、吊り位置を変更するために途中で玉外しを行う必要があり、煩わしい、危険である等の問題がある。
【0100】
一方、
図17(b)に示すように、壁パネル20の表面(例えば、屋外側の面)に吊具を付ければ、途中で吊り位置を変更する必要がない。しかしながら、壁パネル20の表面に吊具を付けると、壁パネル20を垂直に吊るすことが難しいので、当該壁パネル20を梁間に嵌め込みにくい等の問題がある。さらに、上記の実施形態のように、外壁材31等の外装材が壁パネル20に予め装着されている場合には、壁パネル20の表面に吊具を付けると、吊具の取付位置を、外装材を配慮した位置に設定する必要があるといった問題もある。
これに対し、上記の実施形態における施工方法、すなわち、施工現場で床梁14→柱11,12→壁パネル20→天井梁13の順で組み立てていく方法を用いることで、これらの問題を解消することが可能となる。
【0101】
また、上記の実施形態における施工方法は、壁パネル20に、当該壁パネル20を支持する仮筋交い100を取り付ける仮固定ステップ(仮固定ステップA~D)と、壁パネル20を、天井梁13に固定する本固定ステップ(本固定ステップA~D)と、を有しており、本固定ステップの後に、仮筋交い100を取り外すようになっている。
【0102】
すなわち、設置した壁パネル20に仮筋交い100を取り付ける仮固定ステップを行うので、壁パネル20を設置してから、当該壁パネル20を天井梁13に固定するまでの間、当該壁パネル20を仮筋交い100によって支持することができる。したがって、壁パネル設置ステップの後に天井梁設置ステップを行っても、天井梁13を設置する前(具体的には、天井梁13を設置して当該天井梁13に壁パネル20を固定する前)に壁パネル20が倒れてしまうことがないので、安全性を確保できる。
また、壁パネル20が倒れる可能性がある場合には、壁パネル20が倒れないように配慮しながら作業する必要があるので、その分、手間がかかり、仮固定ステップ(仮筋交い100の取り外しも含む)を行うよりも手間がかかる。これに対し、上記の実施形態においては、仮固定ステップを行うことで、壁パネル20が倒れる可能性を排除しているので、仮固定ステップ(仮筋交い100の取り外しも含む)を行ったとしても、施工性が向上する。
【0103】
また、上記の実施形態において、柱同士の間隔寸法L11,L12,L31,L32は、当該柱同士の間に設置される壁パネル20の幅寸法L21,L22,L41,L42よりも長く設定されている(L11>L21、L12>L22、L31>L41、L32>L42)。
したがって、柱同士の間隔寸法L11,L12,L31,L32が、当該柱同士の間に設置される壁パネルの幅寸法L21,L22,L41,L42よりも長い、すなわち柱間にクリアランス(壁パネル20用のクリアランス)が設けられているので、壁パネル設置ステップを容易に行うことができ、施工性が向上する。
【0104】
また、上記の実施形態における施工方法は、柱11,12を被覆する柱用外装材40を設置する外装材設置ステップを有しており、柱用外装材40における屋内側部分の幅寸法L52は、壁パネル20同士の間隔寸法L61よりも短く設定されており(L52<L61)、柱用外装材40における屋外側部分の幅寸法L51は、壁パネル20同士の間隔寸法L61よりも長く設定されている(L51>L61)。
【0105】
したがって、柱用外装材40における屋内側部分の幅寸法L52が、壁パネル20同士の間隔寸法L61よりも短い、すなわち壁パネル20間にクリアランス(柱用外装材40用のクリアランス)が設けられているので、外装材設置ステップを容易に行うことができ、施工性が向上する。
一方、柱用外装材40における屋外側部分の幅寸法L51は、壁パネル20同士の間隔寸法L61よりも長いので、柱用外装材40における屋外側部分の両端部(折畳部分)によって、柱11,12と壁パネル20との境界を被覆することができる。したがって、柱11,12と壁パネル20との境界を被覆する部材を別途設ける場合に比べて、施工性が向上するとともに、部品点数を低減できる。
【0106】
ここで、上記の実施形態においては、柱同士の間隔寸法L11,L12,L31,L32が、当該柱同士の間に設置される壁パネルの幅寸法L21,L22,L41,L42よりも長いので、柱11,12と壁パネル20と間に隙間が形成される。
したがって、壁パネル20同士の間隔寸法L61は一律ではなく、幅がある。よって、上記の実施形態においては、幅寸法L52を、間隔寸法L61の最小値よりも短く設定し(L52<L61の最小値)、幅寸法L51を、間隔寸法L61の最大値よりも長く設定している(L51>L61の最大値)。
【0107】
このように、幅寸法L52を、間隔寸法L61の最小値よりも短くすることで、柱11,12と壁パネル20と間に隙間が形成される場合であっても、さらに、柱11,12と壁パネル20との間に形成される隙間の寸法が不揃いであっても、壁パネル20間にクリアランス(柱用外装材40用のクリアランス)を設けることができるので、外装材設置ステップを容易に行うことができ、施工性が向上する。
また、幅寸法L51を、壁パネル20同士の間隔寸法L61の最大値よりも長くすることで、柱11,12と壁パネル20と間に隙間が形成される場合であっても、さらに、柱11,12と壁パネル20との間に形成される隙間の寸法が不揃いであっても、柱用外装材40における屋外側部分の両端部(折畳部分)によって、これらの隙間を被覆することができる。したがって、柱11,12と壁パネル20との間に形成される隙間の寸法を一律にする必要がないので、壁パネル設置ステップを容易に行うことができ、施工性が向上する。
【0108】
また、上記の実施形態における施工方法は、柱用外装材40と、壁パネル20と、の間に防水手段70を設置する防水手段設置ステップを有する。
したがって、柱用外装材40と壁パネル20との間に防水手段70を設置する防水手段設置ステップを行うので、柱用外装材40と壁パネル20との間、さらには柱11,12と壁パネル20との間における水密性や気密性が向上する。
【0109】
また、近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標達成が求められており、建築業界においても、建物を二酸化炭素排出量の少ない木造とする取り組みが進められている。実施形態の壁1は、フレーム10及び壁パネル20が木製であるので、カーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGsの目標達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0110】
1 壁
10 フレーム
11 第一柱
12 第二柱
13 天井梁
14 床梁
20 壁パネル
40 柱用外装材
100 仮筋交い
L11,L12,L31,L32 柱同士の間隔寸法
L21,L22,L41,L42 壁パネルの幅寸法
L51 柱用外装材における屋外側部分の幅寸法
L52 柱用外装材における屋内側部分の幅寸法
L61 壁パネル同士の間隔寸法
【要約】
【課題】柱及び梁からなるフレームと、当該フレームに取り付けられた壁パネルと、を備える壁の施工方法として、施工性を向上させた施工方法を提供する。
【解決手段】建物における壁1の施工方法であって、壁1は、柱11,12及び梁13,14からなるフレーム10と、当該フレーム10に取り付けられた壁パネル20と、を備えており、複数の柱11,12を設置する柱設置ステップの後に、壁パネル20を吊り上げて、柱同士の間(第一柱11と第二柱12との間、第二柱12同士の間)に設置する壁パネル設置ステップを行い、壁パネル設置ステップの後に、梁のうちの天井梁13を吊り上げて、柱の上端部同士の間(第一柱11の上端部同士の間)に設置する天井梁設置ステップを行う。
【選択図】
図6