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特許7451812構造物モデル構築プログラム及び構造物モデル構築方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】構造物モデル構築プログラム及び構造物モデル構築方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20240311BHJP
   G06F 30/12 20200101ALI20240311BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240311BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/12
G06Q50/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023118397
(22)【出願日】2023-07-20
【審査請求日】2023-07-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】小原 貢
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-089498(JP,A)
【文献】特開2016-211260(JP,A)
【文献】特開2017-004160(JP,A)
【文献】特開2018-024502(JP,A)
【文献】特開2009-199311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/13
G06F 30/12
G06Q 50/08
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物モデルの構築を行う構造物モデル構築システムにおいて実行される構造物モデル構築プログラムであって、
前記構造物モデル構築システムは、前記構造物モデルの構成要素であるオブジェクトと、前記オブジェクトのオブジェクト属性と、が対応付けられて記憶される記憶領域を有し、
前記記憶領域は、前記オブジェクト属性としての標準情報が記憶される標準情報記憶領域を有し、前記標準情報は、対応する前記オブジェクトが表示ビューに表示されている場合に前記表示ビューに表示可能な情報であり、
前記オブジェクトに付与する前記オブジェクト属性としての識別情報を、前記記憶領域の前記標準情報記憶領域とは異なる領域である識別情報記憶部に、当該オブジェクトに対応付けて記憶する第1の手順と、
前記識別情報を前記表示ビューに表示するとき、当該識別情報に対応付けられた前記オブジェクトが前記表示ビューに表示されているかいないかにかかわらず、当該識別情報を前記識別情報記憶部から読み出して、前記表示ビューに表示させる第2の手順と、
前記表示ビューに前記識別情報が表示されているとき、当該識別情報に対して成された編集を、前記識別情報記憶部に記憶された当該識別情報に反映させる第3の手順と、
前記識別情報記憶部に記憶されている前記識別情報に対して成された編集を、前記表示ビューに表示されている当該識別情報の表示に反映させる第4の手順と、
を前記構造物モデル構築システムに実行させる、
構造物モデル構築プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の構造物モデル構築プログラムであって、
前記構造物モデルは、複数の前記オブジェクトを有し、
前記記憶領域には、複数の前記オブジェクト属性及び複数の前記識別情報が、前記オブジェクト毎に記憶されており、
前記第2の手順は、前記表示ビューに、複数の前記オブジェクトの少なくとも1つに対応付けられた複数の前記識別情報の少なくとも1つを表示させる、
構造物モデル構築プログラム。
【請求項3】
請求項1に記載の構造物モデル構築プログラムであって、
前記第1の手順は、
前記オブジェクトを特定する手順と、
特定された前記オブジェクトの前記識別情報が記憶される前記記憶領域の一部に、前記識別情報記憶部を形成する手順と、
形成された前記識別情報記憶部に、前記オブジェクトに付与する前記識別情報を記憶する手順と、
を含む、
構造物モデル構築プログラム。
【請求項4】
請求項1に記載の構造物モデル構築プログラムであって、
前記オブジェクトに付与する前記識別情報は、前記表示ビューに表示される文字列である、
構造物モデル構築プログラム。
【請求項5】
請求項1に記載の構造物モデル構築プログラムであって、
前記第3の手順は、
前記表示ビューに表示された前記識別情報の編集が要求されたとき、当該識別情報に対応付けられている前記オブジェクトを特定し、特定された前記オブジェクトに対応付けられた前記識別情報が記憶されている前記記憶領域の前記識別情報記憶部から、前記識別情報を読み出す手順と、
読み出した前記識別情報の編集を実行する手順と、
編集された前記識別情報を前記識別情報記憶部に記憶する手順と、を含む、
構造物モデル構築プログラム。
【請求項6】
請求項1に記載の構造物モデル構築プログラムであって、
前記第4の手順は、
前記識別情報記憶部に記憶されている前記識別情報に対する変更が要求されたときに、当該識別情報に対応付けられている前記オブジェクトを特定し、特定された前記オブジェクトの前記記憶領域の前記識別情報記憶部から、当該識別情報を読み出す手順と、
読み出した前記識別情報の編集を実行する手順と、
編集された前記識別情報を前記識別情報記憶部に記憶すると共に、編集された前記識別情報を前記表示ビューに表示する手順と、を含む、
構造物モデル構築プログラム。
【請求項7】
構造物モデルの構築を行う構造物モデル構築システムで実行される構造物モデル構築方法であって、
前記構造物モデル構築システムは、前記構造物モデルの構成要素であるオブジェクトと、前記オブジェクトのオブジェクト属性と、が対応付けられて記憶される記憶領域を有し、
前記記憶領域は、前記オブジェクト属性としての標準情報が記憶される標準情報記憶領域を有し、前記標準情報は、対応する前記オブジェクトが表示ビューに表示されている場合に前記表示ビューに表示可能な情報であり、
前記オブジェクトに付与する前記オブジェクト属性としての識別情報を、前記記憶領域の前記標準情報記憶領域とは異なる領域である識別情報記憶部に、当該オブジェクトに対応付けて記憶する第1の手順と、
前記識別情報を表示ビューに表示するとき、当該識別情報に対応付けられた前記オブジェクトが前記表示ビューに表示されているかいないかにかかわらず、当該識別情報を前記識別情報記憶部から読み出して、前記表示ビューに表示させる第2の手順と、
前記表示ビューに前記識別情報が表示されているとき、当該識別情報に対して成された編集を、前記識別情報記憶部に記憶された当該識別情報に反映させる第3の手順と、
前記識別情報記憶部に記憶されている前記識別情報に対して成された編集を、前記表示ビューに表示されている当該識別情報の表示に反映させる第4の手順と、
を含む、
構造物モデル構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物モデル構築プログラム及び構造物モデル構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の設計や施工管理を行うツールとして、BIM(Building Information Modeling)ソフトウェアが広く用いられている。BIMソフトウェアでは、構造物モデルを構成する構成要素(オブジェクト)と、構成要素の属性情報(名称、形状、機能等)とを一覧に管理することができる。
【0003】
特許文献1には、構成要素を示すアイコンとその属性とを一覧として記憶し、BIMソフトウェアの表示画面に、アイコンと共にその属性情報を表示させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-096829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
BIMソフトウェアの機能として、構造物を構成するオブジェクトを表示する表示画面(表示ビュー)に、オブジェクトに関連付けられた属性情報を表示することができる。しかしながら、オブジェクトが表示されていない表示ビューにおいては、そのオブジェクトの属性情報を表示することができないという問題があった。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、表示ビューにオブジェクトが表示されているか表示されていないかにかかわらず、オブジェクトに対応付けられた識別情報を表示できる仕組みを有する構造物モデル構築プログラム及び構造物モデル構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、構造物モデルを編集する構造物モデル構築システムにおいて実行される構造物モデル構築プログラムに適用される。このプログラムは、構造物モデルの構成要素であるオブジェクトと、オブジェクトのオブジェクト属性と、が対応付けられて記憶領域に記憶されており、オブジェクト属性としての標準情報が記憶される標準情報記憶領域を有し、標準情報は、対応するオブジェクトが表示ビューに表示されている場合に表示ビューに表示可能な情報であり、オブジェクトに付与するオブジェクト属性としての識別情報を、記憶領域の標準情報記憶領域とは異なる領域である識別情報記憶部に、当該オブジェクトに対応付けて記憶する第1の手順と、識別情報を表示ビューに表示するとき、当該識別情報に対応付けられたオブジェクトが表示ビューに表示されているかいないかにかかわらず、当該識別情報を識別情報記憶部から読み出して、表示ビューに表示させる第2の手順と、表示ビューに識別情報が表示されているとき、当該識別情報に対して成された編集を、識別情報記憶部に記憶された当該識別情報に反映させる第3の手順と、識別情報記憶部に記憶されている識別情報に対して成された編集を、表示ビューに表示されている当該識別情報の表示に反映させる第4の手順と、を構造物モデル構築システムに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オブジェクトが記憶されている記憶領域に、オブジェクトに付与する識別情報を記憶する識別情報記憶部を形成し、オブジェクトと識別情報とを対応付けて記憶することで、オブジェクトが表示されているか表示されていないかに関わらず、そのオブジェクトに対応付けられた識別情報を識別情報記憶部から読み出して、表示ビューに表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態の構造物モデル構築システムの構成図である。
図2図2は、管理サーバの機能ブロック図である。
図3図3は、表示ビューに表示される構造物モデルの一例の説明図である。
図4図4は、識別情報連動処理部による制御のフローチャートである。
図5図5は、識別情報連動処理部による制御のフローチャートである。
図6図6は、識別情報連動処理部による制御のフローチャートである。
図7図7は、識別情報連動処理部による制御のフローチャートである。
図8図8は、識別情報連動処理部による制御のフローチャートである。
図9図9は、記憶装置に記憶されるオブジェクトの説明図である。
図10図10は、記憶装置に記憶されるオブジェクト属性の説明図である。
図11図11は、表示ビューに表示される断面表の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態に係る構造物モデル構築システム1について説明する。図1は、構造物モデル構築システム1の概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、構造物モデル構築システム1は、管理サーバ11、端末12及びネットワーク13を備えて構成される。
【0012】
管理サーバ11は、後述するようにプログラムを実行することで、BIM処理部111及び識別情報連動処理部112の機能を実行する。
【0013】
端末12は、ネットワーク13を介して、管理サーバ11と通信を行い、管理サーバ11で実行されるプログラムの結果を受け取る。受け取った結果は、表示部121に表示される。
【0014】
ネットワーク13は、管理サーバ11と端末12との間で情報を送受信する。ネットワーク13は、LANやWAN等により構成される。
【0015】
これら管理サーバ11及び端末12は、例えば据え置き型のコンピュータや可搬式のノートパソコン等によって構成される。なお、図1に示す構造物モデル構築システム1は、一つの管理サーバ11と三つの端末12とがネットワーク13により接続されて構成される例を示すが、これに限られない。管理サーバ11は、二以上のサーバにより構成されていてもよいし、クラウドサーバであってもよい。端末12は、一つであってもよいし、ネットワーク13に任意の数が接続されていてもよい。
【0016】
図2は、管理サーバ11の機能ブロック図である。
【0017】
管理サーバ11は、制御部101と、記憶装置102と、インターフェース103とを備える。
【0018】
制御部101は、構造物モデルの設計を支援する設計ツールであるBIM(Building Information Modeling)又はCIM(Construction Information Modeling)を実現するための処理を実行するBIM処理部111と、オブジェクトと識別情報とを連動させて表示ビューに表示させる処理を実行する識別情報連動処理部112とを備える。
【0019】
制御部101は、例えばCPUを有し、記憶装置102に記憶されているプログラム(構造物モデル構築プログラム)をCPUが実行することにより、BIM処理部111及び識別情報連動処理部112の機能が実行される。
【0020】
記憶装置102は、構造物モデル構築プログラムと、BIM処理部111及び識別情報連動処理部112が使用する情報とを記憶する。
【0021】
インターフェース103は、ネットワーク13に接続され、端末12との間で情報の送受信を行う。
【0022】
BIM処理部111は、管理サーバ11上に仮想的に構築する三次元の形状である構造物モデルを構成する壁や床、梁等の部品である構成要素(以下、「オブジェクト」と呼ぶ)と、オブジェクトの形状や仕様、機能、性能等を示す情報であるオブジェクト属性と、を記憶及び管理することで、仮想的な構造物モデルを構築する。
【0023】
BIM処理部111により仮想的に構築された構造物モデルは、端末12の表示部121に表示ビューとして表示される。また、表示ビューには、端末12を操作する作業者の操作により、構造物モデルに含まれる任意のオブジェクトと、当該オブジェクトに対応付けられたオブジェクト属性を示す情報とが表示される。
【0024】
識別情報連動処理部112は、BIM処理部111により構築された構造物モデルにおいて、オブジェクトに対応付けられて記憶されるオブジェクト属性に含まれる識別情報を登録し、登録した識別情報を表示ビューに表示させる機能を実行する。識別情報連動処理部112が実行する機能については、後に詳述する。
【0025】
図3は、本実施形態の端末12の表示部121に表示される表示ビューの一例を示す説明図である。
【0026】
図3に示す例では、構造物モデルとしての建物1Aの断面図と、建物1Aに関する注釈1Bとが表示されている。
【0027】
建物1Aは、柱、床、梁等のオブジェクトから構成される。これらオブジェクト及びオブジェクト属性からなる構造物モデルは、端末12において、作業者によって予め登録され、管理サーバ11の記憶装置102に記憶されている。
【0028】
注釈1Bは、構造物モデルである建物1Aを構成するオブジェクトのオブジェクト属性である。
【0029】
図3に示す例では、注釈1Bに、オブジェクト「鉄骨小梁」のオブジェクト属性である文字列「Sb25N」と、オブジェクト「スラブ」のオブジェクト属性である「DS1」とが表示されている。
【0030】
これら文字列等の情報は、オブジェクトに対応付けられたオブジェクト属性として管理サーバ11の記憶装置102に予め記憶されている。
【0031】
ここで、オブジェクトとオブジェクト属性とについて説明する。図9は、管理サーバ11に記憶されているオブジェクト800の説明図であり、図10は、オブジェクト800に対応付けられて記憶されるオブジェクト属性802の説明図である。
【0032】
オブジェクト800は、管理サーバ11の記憶装置102に備えられるオブジェクト記憶領域601に記憶されている。オブジェクト800には、図10に示すように、オブジェクト800毎に、オブジェクトID801、オブジェクト属性802が備えられる。
【0033】
オブジェクト属性802は、図10に示すように、オブジェクト800の形状や仕様、機能、性能等を示す文字列等の情報である標準情報812を有している。標準情報812は、標準情報記憶領域811に登録される。このようにして、オブジェクト属性802がオブジェクト800に関連付けられてオブジェクト記憶領域601に記憶される。また、オブジェクト属性802は、識別情報804を有している。識別情報804は、標準情報812が記憶される標準情報記憶領域811とは異なる領域である識別情報記憶領域803に登録される。識別情報記憶領域803と識別情報804については、後述する。
【0034】
BIM処理部111は、表示ビューにオブジェクト800やオブジェクト属性802に含まれる情報を配置する場合は、端末12を操作する作業者の指示に従って、オブジェクト記憶領域601に記憶されている複数のオブジェクト800の中から任意のオブジェクト800を参照し、参照したオブジェクト800を表示ビューに配置する。また、BIM処理部111は、端末12を操作する作業者の指示に従って、表示ビューに配置されたオブジェクト800に対応付けられたオブジェクト属性802のうち、標準情報記憶領域811に登録されている標準情報812を、表示ビューに配置する。
【0035】
ここで、一般的に、BIMにおいては、表示ビューに文字列等の情報を表示させる場合、表示ビューに配置されているオブジェクト800のオブジェクト属性802の標準情報記憶領域811に登録されている標準情報812しか表示できない。このため、表示ビューに配置されていないオブジェクト800については、そのオブジェクト属性802の標準情報記憶領域811に登録されている標準情報812を表示ビューに表示させることができないという問題があった。
【0036】
本実施形態では、次に説明するように、表示ビューにオブジェクト800が表示されているかいないかにかかわらず、オブジェクト属性802に対応付けて記憶した情報(識別情報804)を表示ビューに表示させるように構成した。
【0037】
識別情報記憶領域803は、表示ビューにオブジェクト800が表示されていない場合であっても、当該オブジェクト800を識別する識別情報804を表示ビューに表示させるために用いられる。識別情報804は、図10に示すように、オブジェクト800の識別情報記憶領域803に、文字列等の情報として登録される。
【0038】
識別情報連動処理部112は、識別情報記憶領域803に登録された識別情報804を読み出したり編集したりする処理を行う。図10は、識別情報804として、「符号」に対応する文字列「Sb25N」と、「断面」に対応する文字列「H-250×125×6×9」と、「タイプ」に対応する文字列「D,E」と、「ウェブ S.PL,G.PL」に対応する文字列「G.PL-6」と、「ウェブH.T.B」に対応する文字列「3-M16」と、が登録されている例を示す。なお、識別情報804は、オブジェクト800を識別するための情報として、単一の標準情報812、単一の標準情報812と任意の文字列とを組み合わせた情報、複数の標準情報812の組み合わせ、又は、複数の標準情報812と任意の文字列とを組み合わせた情報、が登録される。また、図10の例に示すように、識別情報記憶領域803に、複数の識別情報804が登録されていてもよい。
【0039】
図4から図7は、BIM処理部111及び識別情報連動処理部112が実行する処理のフローチャートである。
【0040】
図4において、まずステップS100では、識別情報連動処理部112は、BIM処理部111による処理が起動されたことを検出すると、次に、ステップS200において、端末12における作業者の操作により、BIM処理部111に次のような操作が成されたかを判定する。
【0041】
ステップS200において、オブジェクト800に対する識別情報804の登録が指示されたと判定した場合は、ステップS300に移る。
【0042】
ステップS200において、表示ビューに既に表示されている識別情報804の編集が指示されたと判定した場合は、ステップS400に移る。
【0043】
ステップS200において、オブジェクト800に登録されている識別情報804の編集が指示されたと判定した場合は、ステップS500に移る。
【0044】
ステップS200において、オブジェクト800に登録されている識別情報804の表示ビューへの表示が指示されたと判定した場合は、ステップS600に移る。
【0045】
図5は、ステップS300におけるBIM処理部111及び識別情報連動処理部112の処理を示す。ステップS300は、BIM処理部111において、指定されたオブジェクト800に識別情報804(図10参照)を新たに登録する指示がなされた場合の処理である。
【0046】
まず、ステップS310において、識別情報連動処理部112は、BIM処理部111において指定されたオブジェクト800を、オブジェクト記憶領域601の中からオブジェクトID801(図10参照)をキーとして検索し、当該オブジェクト800を特定する。
【0047】
次に、ステップS320において、識別情報連動処理部112は、特定されたオブジェクト800のオブジェクト属性802に、識別情報記憶領域803を作成する。識別情報記憶領域803とは、識別情報連動処理部112による編集及び読み出しが可能に構成された識別情報804の格納領域であり、オブジェクト800に対応付けられているオブジェクト属性802の中の一つのフィールドとして登録される。なお、識別情報804は、前述のように、標準情報記憶領域811に登録されている標準情報812に対応する情報である。
【0048】
次に、ステップS330において、識別情報連動処理部112は、端末12より指示された識別情報804を、作成した識別情報記憶領域803に登録する。
【0049】
次に、ステップS340において、識別情報連動処理部112は、識別情報804が登録された識別情報記憶領域803を有するオブジェクト800を、管理サーバ11のオブジェクト記憶領域601に記憶する。この処理の後、ステップS200に戻り、待機する。
【0050】
このように、図5に示すフローチャートの処理を識別情報連動処理部112が実行することによって、識別情報804がオブジェクト800に付与され、オブジェクト800に対応付けられてオブジェクト記憶領域601に記憶される(第1の手順)。
【0051】
図6は、ステップS400におけるBIM処理部111及び識別情報連動処理部112の処理を示す。ステップS400の処理は、BIM処理部111において、既に表示ビューに表示されている識別情報804に対して、編集の指示がなされた場合の処理である。
【0052】
ステップS410において、識別情報連動処理部112は、表示ビューにおける指示対象の識別情報804を特定する。
【0053】
次に、ステップS420において、識別情報連動処理部112は、特定された識別情報804が登録されているオブジェクト800を、オブジェクト記憶領域601から参照する。
【0054】
次に、ステップS430において、識別情報連動処理部112は、参照した当該オブジェクト800のオブジェクト属性802から、識別情報記憶領域803に登録されている識別情報804を取得する。そして、端末12から指示された編集内容に基づいて、識別情報804の編集を行う。このとき、識別情報804に対応する標準情報812についても、BIM処理部111より当該標準情報812の編集が行われる。
【0055】
次に、ステップS440において、識別情報連動処理部112は、端末12から指示された編集内容が適切か否かを判定する。編集内容が適切でない場合とは、規定されている文字数や規定されている文字種別でない編集が指示された場合等である。
【0056】
編集内容が適切でないと判定した場合は、ステップS470に移り、識別情報連動処理部112は、必要に応じて表示ビューにエラーを表示すると共に、BIM処理部111に編集内容が適切でない旨を通知して、ステップS200に戻る。
【0057】
編集内容が適切であると判定した場合は、ステップS450に移り、識別情報連動処理部112は、編集された識別情報804が登録されているオブジェクト800を、オブジェクト記憶領域601に記憶する。このとき、編集された識別情報804に対応する標準情報812についても、BIM処理部111により記憶される。
【0058】
次に、ステップS460において、識別情報連動処理部112は、表示ビューに既に表示されている識別情報804に、編集後の識別情報804を反映させる。このとき、表示ビューに既に表示されている標準情報812についても、BIM処理部111により編集後の標準情報812が表示ビューに反映される。
【0059】
このように、図6に示すフローチャートの処理をBIM処理部111及び識別情報連動処理部112が実行することによって、表示ビューに表示されている識別情報804の編集を行い、その結果を表示ビューに反映させると共に、登録されている識別情報804の内容に反映させることができる(第3の手順)。
【0060】
図7は、ステップS500におけるBIM処理部111及び識別情報連動処理部112の処理を示す。ステップS500の処理は、BIM処理部111による標準情報812の編集に伴い、オブジェクト800に登録されている識別情報804に対して、編集の指示がなされた場合の処理である。
【0061】
まず、ステップS510において、識別情報連動処理部112は、BIM処理部111により指示されたオブジェクト800を、オブジェクト記憶領域601を参照して特定する。
【0062】
次に、ステップS520において、識別情報連動処理部112は、特定されたオブジェクト800のオブジェクト属性802から、識別情報記憶領域803に登録されている識別情報804を参照する。
【0063】
次に、ステップS530において、識別情報連動処理部112は、ステップS520で参照しようとした識別情報804が識別情報記憶領域803に登録されているか否かを判定する。識別情報804が登録されていないと判定した場合は識別情報804を編集することができないため、ステップS550に移り、識別情報連動処理部112は、必要に応じて表示ビューにエラーを表示して、ステップS200に戻る。
【0064】
識別情報804が登録されていると判定した場合は、ステップS540において、識別情報連動処理部112は、参照された識別情報804を取得し、端末12から指示された編集内容に基づいて編集を行う。
【0065】
次に、ステップS560において、識別情報連動処理部112は、編集された識別情報804を識別情報記憶領域803に登録し、登録されたオブジェクト800をオブジェクト記憶領域601に記憶する。
【0066】
次に、ステップS570において、識別情報連動処理部112は、編集後の識別情報804を表示ビューに反映させる。
【0067】
このように、図7に示すフローチャートの処理をBIM処理部111及び識別情報連動処理部112が実行することによって、オブジェクト記憶領域601に記憶されているオブジェクト800の識別情報804の編集を行うことができ、その結果を表示ビューに反映させることができる(第4の手順)。
【0068】
図8は、ステップS600における識別情報連動処理部112の処理を示す。ステップS600の処理は、BIM処理部111において、オブジェクト800に登録されている識別情報804に対して、表示ビューへの表示の指示がなされた場合の処理である。
【0069】
まず、ステップS610において、識別情報連動処理部112は、指示された識別情報804を特定する。
【0070】
次に、ステップS620において、識別情報連動処理部112は、特定された識別情報804が登録されているオブジェクト800を、オブジェクト記憶領域601から参照する。
【0071】
次に、ステップS630において、識別情報連動処理部112は、当該オブジェクト800のオブジェクト属性802から、識別情報記憶領域803に登録されている識別情報804を取得する。このとき、識別情報連動処理部112は、図9に示す複数のオブジェクト800の少なくとも一つに対応付けられたオブジェクト属性802の識別情報記憶領域803から、少なくとも一つの識別情報804を取得する。
【0072】
次に、ステップS640において、識別情報連動処理部112は、取得した識別情報804を、端末12から指示された表示ビューの指示位置に配置して、表示ビューに識別情報804を表示させる。
【0073】
このように、図8に示すフローチャートの処理を識別情報連動処理部112が実行することによって、オブジェクト記憶領域601に記憶されているオブジェクト800を参照し、登録されている識別情報804を読み出して、表示ビューに表示させる。これにより、表示ビューに当該オブジェクト800が表示されているかいないかに関わらず、識別情報804を表示ビューに表示させることができる(第2の手順)。
【0074】
次に、この図8に示すフローチャートの処理を、具体的に説明する。
【0075】
図3に示した構造物モデルである建物1Aと注釈1Bとを表示ビューに表示する例において、建物1Aの断面図には「鉄骨小梁」オブジェクトが表示されていないとする。このとき、「鉄骨小梁」オブジェクトのオブジェクト属性である文字列「Sb25N」は、BIM処理部111の処理のみでは図3に示す表示ビューの注釈1Bには表示できない。
【0076】
この場合、図8のフローチャートに従って、識別情報連動処理部112が識別情報804として登録されている文字列「Sb25N」(図10参照)を読み出して、端末12の指示に基づき、表示ビューに配置することができる。このようにして、オブジェクトが配置されていない表示ビューに、識別情報804を表示させることができる。
【0077】
図11は、建物1Aの断面表1Cを表示ビューに表示した場合の例を示す説明図である。断面表とは、構造物モデルを構成するオブジェクト800が表示されていない表示ビューに、構造物モデルを構成するオブジェクト800のオブジェクト属性802のうち、識別情報記憶領域803に登録されている識別情報の全部又は一部を一覧として表示したものである。
【0078】
端末12における作業者の操作により、BIM処理部111において断面表1Cの表示の指示がなされた場合、識別情報連動処理部112が、オブジェクト記憶領域601に記憶されているオブジェクト800に対応付けられたオブジェクト属性802のうち、識別情報記憶領域803に登録されている識別情報804を、表における所定の位置に配置する。
【0079】
これにより、表示ビューにオブジェクトが表示されていない場合でも、オブジェクト属性802に含まれる識別情報804を、表示ビューに表示させることができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態は、構造物モデルの構築を行う構造物モデル構築システム1において実行される構造物モデル構築プログラムに関する。構造物モデル構築システム1は、構造物モデルの構成要素であるオブジェクト800と、オブジェクト800のオブジェクト属性802と、が対応付けられて記憶されるオブジェクト記憶領域601を有する。構造物モデル構築プログラムは、オブジェクト800に付与する識別情報804をオブジェクト記憶領域601に形成した識別情報記憶領域803に、オブジェクト800に対応付けて記憶する第1の手順と、識別情報804を表示ビューに表示するとき、識別情報804に対応付けられたオブジェクト800が表示ビューに表示されているかいないかにかかわらず、当該識別情報804を識別情報記憶領域803から読み出して、表示ビューに表示させる第2の手順と、を構造物モデル構築システム1に実行させる。
【0081】
この構成では、オブジェクト800が記憶されているオブジェクト記憶領域601に、オブジェクト800に付与する識別情報804を記憶する識別情報記憶領域803を形成し、オブジェクト800と識別情報804とを対応付けて記憶することで、オブジェクト800が表示されているか表示されていないかに関わらず、そのオブジェクト800に対応付けられた識別情報804を識別情報記憶領域803から読み出して、表示ビューに表示させることができる。
【0082】
また、本実施形態では、構造物モデルは、複数のオブジェクト800を有し、オブジェクト記憶領域601には、複数のオブジェクト属性802及び複数の識別情報804が、オブジェクト800毎に記憶されており、第2の手順は、表示ビューに、複数のオブジェクト800の少なくとも1つに対応付けられた複数の識別情報804の少なくとも1つを表示させる。
【0083】
この構成では、オブジェクト記憶領域601に記憶されている複数のオブジェクト800のうち、任意のオブジェクト800の任意の識別情報804を表示ビューに表示させることができる。
【0084】
また、本実施形態では、表示ビューに識別情報804が表示されているとき、当該識別情報804に対して成された編集を、識別情報記憶領域803に記憶された当該識別情報804に反映させる第3の手順と、識別情報記憶領域803に記憶されている識別情報804に対して成された編集を、表示ビューに表示されている当該識別情報804の表示に反映させる第4の手順と、を、前記構造物モデル構築システム1にさらに実行させる。
【0085】
この構成では、記憶されている識別情報804の編集結果を表示ビューに反映させると共に、識別情報804の編集結果を記憶されている識別情報804に反映させることができる。
【0086】
また、本実施形態では、第1の手順は、オブジェクト800を特定する手順と、特定されたオブジェクト800の識別情報804が記憶されるオブジェクト記憶領域601の一部に、識別情報記憶領域803を形成する手順と、形成された識別情報記憶領域803に、オブジェクトに付与する識別情報804を記憶する手順と、を含む。
【0087】
この構成では、オブジェクト800が記憶されているオブジェクト記憶領域601の一部に識別情報記憶領域803を形成することで、そのオブジェクト800に対応付けられた識別情報804を識別情報記憶領域803から読み出して、表示ビューに表示させることができる。
【0088】
また、本実施形態では、オブジェクト800に付与する識別情報804は、表示ビューに表示される文字列であるので、オブジェクト800に対応させた文字列を表示ビューに表示させることができる。
【0089】
また、本実施形態では、第3の手順は、表示ビューに表示された識別情報804の編集が要求されたとき、識別情報804に対応付けられているオブジェクト800を特定し、特定されたオブジェクト800に対応付けられた識別情報804が記憶されている識別情報記憶領域803から、識別情報804を読み出す手順と、読み出した識別情報804の編集を実行する手順と、編集された識別情報804を識別情報記憶領域803に記憶する手順と、を含む。
【0090】
この構成では、表示ビューに表示されている識別情報804を識別情報記憶領域803から読み出して編集することで、記憶されている識別情報804を容易に編集することができる。
【0091】
また、本実施形態では、第4の手順は、識別情報記憶領域803に記憶されている識別情報804に対する変更が要求されたときに、当該識別情報804に対応付けられているオブジェクト800を特定し、特定されたオブジェクト800の識別情報記憶領域803から、当該識別情報804を読み出す手順と、読み出した識別情報804の編集を実行する手順と、編集された識別情報804を識別情報記憶領域803に記憶すると共に、編集された識別情報804を表示ビューに表示する手順と、を含む。
【0092】
この構成では、記憶されている識別情報804を容易に編集することができ、編集結果を表示ビューに反映させることができる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0094】
本実施形態では、オブジェクト属性802に形成した領域である識別情報記憶領域803に識別情報804が登録され、識別情報連動処理部112が、これを読み出し、編集を行うように構成したが、これに限られない。識別情報記憶領域803が、オブジェクト属性802とは異なるオブジェクト記憶領域601の他の領域に、オブジェクト800に対応付けて記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 :構造物モデル構築システム
11 :管理サーバ
12 :端末
13 :ネットワーク
101 :制御部
102 :記憶装置
103 :インターフェース
111 :BIM処理部
112 :識別情報連動処理部
121 :表示部
601 :オブジェクト記憶領域
800 :オブジェクト
802 :オブジェクト属性
803 :識別情報記憶領域
804 :識別情報
811 :標準情報記憶領域
812 :標準情報
【要約】
【課題】表示画面に表示されているオブジェクトの属性情報とリストのオブジェクトの属性情報とを相互に更新できる仕組みを提供する。
【解決手段】
構造物モデル構築システム(1)は、構造物モデルの構成要素であるオブジェクト(800)と、オブジェクト(800)のオブジェクト属性(802)と、が対応付けられて記憶される記憶領域(601)を有し、オブジェクト(800)に付与する識別情報(804)を、記憶領域に形成した識別情報記憶部(803)に、当該オブジェクト(800)に対応付けて記憶する第1の手順と、識別情報(804)を表示ビューに表示するとき、当該識別情報(804)に対応付けられたオブジェクト(800)が表示ビューに表示されているかいないかにかかわらず、当該識別情報(804)を識別情報記憶部(803)から読み出して、表示ビューに表示させる第2の手順と、を構造物モデル構築システム(1)に実行させる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11