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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】伸縮性配線基板、及び、粘着材
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/257 20210101AFI20240311BHJP
【FI】
A61B5/257
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023574724
(86)(22)【出願日】2023-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2023012609
【審査請求日】2023-12-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134119
【弁理士】
【氏名又は名称】奥町 哲行
(72)【発明者】
【氏名】塩川 大介
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 雅之
(72)【発明者】
【氏名】小島 英明
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-179533(JP,A)
【文献】特開2015-73623(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113040779(CN,A)
【文献】米国特許第7215989(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性基材と、
前記伸縮性基材上に配置されている伸縮性配線と、
を備える伸縮性配線基板であって、
前記伸縮性配線の一部分は、露出電極を構成しており、
当該伸縮性配線基板は、前記露出電極を直接覆う粘着層を更に備え、
前記粘着層を介して当該伸縮性配線基板を貼付対象物に貼り付け可能であり、
前記粘着層は、粘着剤と、前記粘着剤よりも面内伸長性が低いシート状の芯材と、を含み、
前記芯材は、当該芯材の面方向に延在する切れ目により分断されている伸縮性配線基板。
【請求項2】
前記伸縮性基材の一方の面に配置されていて、前記伸縮性配線を前記伸縮性基材側とは反対側から部分的に覆っている補強フィルムを更に備え、
前記切れ目は、平面視において、前記補強フィルムから遠ざかる方向に対して交差する方向に延在している請求項1に記載の伸縮性配線基板。
【請求項3】
前記切れ目は、当該伸縮性配線基板の長手方向に対して交差する方向に延在している請求項1又は2に記載の伸縮性配線基板。
【請求項4】
前記伸縮性基材の一方の面に配置されていて、前記伸縮性配線を前記伸縮性基材側とは反対側から部分的に覆っている補強フィルムを更に備え、
平面視において、すべての前記切れ目は、前記補強フィルムから離間している請求項1又は2に記載の伸縮性配線基板。
【請求項5】
平面視において、すべての前記切れ目は、前記補強フィルムから1mm以上離間している請求項4に記載の伸縮性配線基板。
【請求項6】
平面視において、前記補強フィルムと前記切れ目との最短距離D1と、前記切れ目同士の最短距離D2と、の関係が、D1>D2を満たす請求項5に記載の伸縮性配線基板。
【請求項7】
前記粘着剤は、平面視において前記切れ目を跨ぐ両側の部分同士が繋がっている請求項1又は2に記載の伸縮性配線基板。
【請求項8】
平面視において、前記切れ目は、前記粘着層の外形線上の一点から他の一点に亘って延在しており、
前記芯材は、前記切れ目により複数に分断されている請求項1又は2に記載の伸縮性配線基板。
【請求項9】
平面視において、前記切れ目の両端は、前記粘着層の外形線よりも内側に位置している請求項1又は2に記載の伸縮性配線基板。
【請求項10】
前記芯材は繊維質の材料により構成されている請求項1又は2に記載の伸縮性配線基板。
【請求項11】
前記芯材は不織布層である請求項10に記載の伸縮性配線基板。
【請求項12】
前記切れ目が形成されている箇所において、前記粘着剤が前記露出電極を覆っている請求項1又は2に記載の伸縮性配線基板。
【請求項13】
シート状の粘着材であって、
粘着剤と、前記粘着剤よりも面内伸長性が低いシート状の芯材と、を含み、
前記芯材は、当該芯材の面方向に延在する切れ目により分断されている粘着材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性配線基板、及び、粘着材に関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮性配線基板としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
特許文献1の伸縮性配線基板は、伸縮性基材と、伸縮性基材上に配置されている伸縮性配線(同文献には、伸縮性配線部と記載)と、を備え、伸縮性配線の一部分は、露出電極を構成している。このような伸縮性配線基板は、例えば、粘着材(粘着層)を介して貼付対象物に貼り付けられる。
粘着材(粘着層)としては、例えば、特許文献2に記載のものがある。
特許文献2の粘着材は、粘着剤(同文献には、導電性粘着ゲルシートと記載)と、粘着剤よりも面内伸長性が低いシート状の芯材(同文献には、強化繊維シートと記載)と、を含む。
先行技術文献
特許文献1 特開2017―195230号公報
特許文献2 特開2019―137821号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明は、伸縮性基材と、
前記伸縮性基材上に配置されている伸縮性配線と、
を備える伸縮性配線基板であって、
前記伸縮性配線の一部分は、露出電極を構成しており、
当該伸縮性配線基板は、前記露出電極を直接覆う粘着層を更に備え、
前記粘着層を介して当該伸縮性配線基板を貼付対象物に貼り付け可能であり、
前記粘着層は、粘着剤と、前記粘着剤よりも面内伸長性が低いシート状の芯材と、を含み、
前記芯材は、当該芯材の面方向に延在する切れ目により分断されている伸縮性配線基板に関する。
【0004】
また、本発明は、シート状の粘着材であって、
粘着剤と、前記粘着剤よりも面内伸長性が低いシート状の芯材と、を含み、
前記芯材は、当該芯材の面方向に延在する切れ目により分断されている粘着材に関する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】第1実施形態に係る伸縮性配線基板を示す模式的な平面図であり、一方の面側から視た状態を示す。
図2】第1実施形態に係る伸縮性配線基板を示す模式的な平面図であり、他方の面側から視た状態を示す。
図3】第1実施形態に係る伸縮性配線基板を示す模式的な平面図であり、他方の面側から視た状態を示すとともに、芯材を実線で図示している。
図4図1及び図2に示すX-X線に沿った模式的な切断端面を示す。
図5】第1実施形態に係る伸縮性配線基板の使用方法の一例を説明するための模式的な分解端面図である。
図6】第1実施形態に係る伸縮性配線基板の使用方法の一例を説明するための模式的な端面図である。
図7】第2実施形態に係る伸縮性配線基板を示す模式的な平面図であり、他方の面側から視た状態を示す。
図8】第2実施形態の変形例に係る伸縮性配線基板を示す模式的な平面図であり、他方の面側から視た状態を示す。
図9】第3実施形態に係る伸縮性配線基板を示す模式的な平面図であり、他方の面側から視た状態を示す。
【発明の詳細な説明】
【0006】
本願発明者の検討によれば、特許文献2の粘着材は、貼付対象物に対するフィット性について、改善の余地がある。
【0007】
本発明は、貼付対象物に対する良好なフィット性を実現することが可能な構造の伸縮性配線基板、及び、粘着材に関する。
【0008】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
【0009】
〔第1実施形態〕
先ず、図1から図6を用いて第1実施形態を説明する。
図1から図4に示すように、本実施形態に係る伸縮性配線基板100は、伸縮性基材10と、伸縮性基材10上に配置されている伸縮性配線20と、を備える。
伸縮性配線20の一部分は、露出電極(本実施形態の場合、後述する第1露出電極51及び第2露出電極55)を構成している。
そして、伸縮性配線基板100は、露出電極を直接覆う粘着層61を更に備え、粘着層61(本実施形態の場合、導電性粘着層)を介して当該伸縮性配線基板100を貼付対象物(本実施形態の場合、生体の肌300)に貼り付け可能である。
図3及び図4に示すように、粘着層61は、粘着剤62(本実施形態の場合、導電性粘着剤)と、粘着剤62よりも面内伸長性が低いシート状の芯材63と、を含む。
芯材63は、当該芯材63の面方向に延在する切れ目64により分断されている。
【0010】
なお、ここでいう粘着層61の面内伸長性とは、粘着層61の面内での伸長性を意味しており、粘着層61に張力が作用して、当該粘着層61の面内方向の少なくとも一方向に伸びる性質である。そして、面内伸長性が低いとは、伸び率(外力が付加されていない場合の寸法(伸び率0%寸法)に対し、力が加えられることで面内方向の一方向に伸びた割合)が低いことを意味している。
また、ここでいう「芯材63は、当該芯材63の面方向に延在する切れ目64により分断されている」とは、後述のように切れ目64が、粘着層61の外形線上の一点から他の一点に亘って延在していてもよいし、第2実施形態のように切れ目64の両端は、粘着層61の外形線よりも内側に位置していてもよい。
【0011】
本実施形態によれば、粘着層61は、粘着剤62と、粘着剤62よりも面内伸長性が低いシート状の芯材63と、を含む。そして、芯材63は、当該芯材63の面方向に延在する切れ目64により分断されている。
これにより、芯材63によって粘着層61が良好に支持(補強)されつつも、切れ目64の形成領域においては、粘着剤62が当該切れ目64の延在方向に対して交差する方向に十分に伸長できる構成とすることができる。このため、粘着層61によって伸縮性配線基板100を貼付対象物に貼り付けする際に、芯材63によって粘着層61の主面がその面方向に展開された状態を十分に維持しつつ、粘着剤62ひいては伸縮性配線基板100の全体が貼付対象物の凹凸、変形に追従して良好に伸縮するようにできる。
このように、本実施形態によれば、貼付対象物に対する伸縮性配線基板100の良好なフィット性を実現することができる。
【0012】
以下では、伸縮性配線基板100の各構成要素同士の位置関係などを説明するに際し、図4における上側を、上側又は上方などと称し、その反対側を下側又は下方などと称する。しかし、これらの方向の規定は便宜的なものであり、伸縮性配線基板100の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0013】
本実施形態の場合、伸縮性配線基板100は、例えば、後述するデバイス200側に配置される露出電極(本実施形態の場合、以下の第1露出電極51)と、生体の肌300側に配置される露出電極(本実施形態の場合、以下の第2露出電極55)と、を備えるダブルアクセス構造(両面露出構造)である。
より詳細には、図5及び図6に示すように、伸縮性配線20の一部分は、例えば、伸縮性基材10に形成された開口15を介して伸縮性基材10の他方の面10b側に露出して、第1露出電極51を構成している。
また、伸縮性配線20において第1露出電極51とは異なる平面位置にある部分の一部分は、例えば、補強フィルム30から伸縮性基材10側とは反対側に露出して、第2露出電極55を構成している。
【0014】
本実施形態の場合、伸縮性配線基板100は、一例として、生体における所望の部位の肌300(図6参照)に対して貼付して用いられる。該肌300は、凹凸を有した柔軟な曲面であるとともに、筋肉の伸縮や関節の屈曲等に伴って変形(伸縮等)する。
伸縮性基材10は、肌300に対するフィット性を実現する観点から、2つの主面(一方の面10a及び他方の面10b)を有する薄膜のシート材である。伸縮性配線基板100が肌300に対して貼付されている状態において、伸縮性基材10は、肌300の凹凸、変形に追従して伸縮及び湾曲する。また、伸縮性を有する伸縮性配線20も、伸縮性基材10の伸縮及び湾曲に伴って変形する。
なお、本発明において、伸縮性配線基板100の貼付対象物は、生体の肌300に限定されない。
【0015】
伸縮性配線基板100は、例えば、デバイス200と接続して用いられる。伸縮性配線基板100は、デバイス200から印加される電気信号を生体の肌300に伝達するために用いられてもよいし、デバイス200を介して生体の肌300から生体信号を取得するために用いられてもよい。より詳細には、デバイス200は、例えば、心電図や心拍数、血圧、体温などの生体情報を検知する脳波や筋電位、心電等の微弱な生体信号を検出する生体センサや、生体の筋肉に電気刺激(EMS:Electrical Muscle Stimulation)を与えるデバイス、生体の動き(関節の動きや角度)を検出する歪センサなどである。
デバイス200は、例えば、本体部210と、伸縮性配線基板100と接続される一対の接続端子220と、を備えている。なお、図5及び図6においては、デバイス200の形状を模式的に示している。また、図5及び図6においては、図1及び図2のX-X線に相当する位置での伸縮性配線基板100の切断端面を示している。
なお、本発明において、伸縮性配線基板100は、例えば、電源、制御基板及びモニターなどのデバイス200以外の装置と接続して用いられてもよい。
【0016】
伸縮性基材10は、面内方向の少なくとも一方向に伸縮が可能な薄膜のシート材である。伸縮性基材10の面内方向の伸縮性は等方性でもよく、または面内の複数方向への伸縮性が互いに異なる異方性でもよい。なお、ここでいう伸縮性とは、伸縮性基材10に張力が作用して伸び、また、伸縮性基材10が圧縮力に応じて収縮する性質をいい、伸縮性基材10は収縮するよりも伸びることによる寸法形状の変化が大きい。
図1及び図2に示すように、伸縮性基材10は、例えば、平面視において、一方向に長尺な略オーバル形状に形成されている。そして、伸縮性基材10ひいては伸縮性配線基板100の全体は、主として伸縮性基材10の長手方向に伸縮する。
ただし、本発明において、伸縮性基材10の平面形状や伸縮方向は特に限定されず、伸縮性配線基板100の用途や貼付対象物に応じて適宜設定することができる。
【0017】
伸縮性基材10を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ニトリルゴム、ラテックスゴム、ウレタン系エラストマー等のエラストマー材料等を挙げることができる。特に、医療用に用いられるウレタン系エラストマーシートを用いることで、人体の肌300に貼り付けた場合でも高い安全性を得ることができる。
【0018】
伸縮性基材10の厚み寸法は、特に限定されないが、肌300の伸縮の動きを阻害しないという観点で、例えば、50μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以下である。
このようにすることによって、伸縮性配線基板100の装着感が向上するとともに、使用済みの伸縮性配線基板100を肌300から剥離した際に、当該肌300に伸縮性配線基板100の貼付痕が一時的に残留してしまうことを抑制できる。更には、伸縮性基材10は補強フィルム30や粘着層61及び後述する剥離フィルム65によって補強されているので、伸縮性基材10の厚み寸法を5μm以下に設定したとしても、伸縮性配線基板100が肌300に貼付される前の段階においては、伸縮性基材10の主面がその面方向に展開された状態を良好に維持することができる。
【0019】
伸縮性基材10は、最大伸び率が、10%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、100%以上であることがさらに好ましく、200%以上であることが特に好ましい。上述のように構成されている伸縮性基材10であれば、例えば、最大伸び率300%以上を発揮することが可能である。ここで伸縮性基材10の最大伸び率とは、面内方向の一方向に弾性変形可能な伸び率の最大値のことをいう。
【0020】
伸縮性配線20は、導電性を有し、電気信号や電流を伝達可能である。なお、本発明において、伸縮性配線20は、例えば、その一部分がアンテナとして機能し、当該アンテナが受信した信号を外部機器(不図示)に伝達するように構成されていてもよい。
【0021】
図1及び図2に示すように、本実施形態の場合、伸縮性配線基板100は、複数の伸縮性配線20を有する。より詳細には、伸縮性配線基板100は、例えば、複数の伸縮性配線20として、第1伸縮性配線21と第2伸縮性配線22とを有する。
第1伸縮性配線21及び第2伸縮性配線22は、互いに異なる平面位置に配置されており、それぞれ個別に第1露出電極51(後述する第1露出電極51a、51b)及び第2露出電極55(後述する第2露出電極55a、55b)を構成している。
本実施形態の場合、第1伸縮性配線21は、伸縮性基材10の長手方向における一端部に配置されており、第2伸縮性配線22は、当該伸縮性基材10の長手方向における他端部に配置されている。
第1伸縮性配線21と第2伸縮性配線22とは、例えば、伸縮性基材10の長手方向における中心を基準として、対称形状に形成されている。
第1伸縮性配線21は、例えば、本体部21aと、本体部21aから第2伸縮性配線22側に向けて張り出している張出部21bと、を含む。
本体部21aは、例えば、平面視において、伸縮性基材10の長手方向に長尺な略オーバル形状に形成されている。
張出部21bは、例えば、本体部21aの長軸方向における一端部から、略直線状に延在している。
同様に、第2伸縮性配線22は、例えば、平面視略オーバル形状の本体部22aと、本体部22aから第1伸縮性配線21側に張り出している張出部22bと、を含む。
第2伸縮性配線22の張出部22bは、第1伸縮性配線21の張出部21bの延長線上に配置されている。
なお、伸縮性配線20の平面形状や位置関係は、上述の例に限定されず、伸縮性配線基板100の寸法や用途に応じて適宜設定することができる。また、第1伸縮性配線21と第2伸縮性配線22とは、例えば、互いに異なる形状に形成されていてもよい。
【0022】
本実施形態の場合、伸縮性配線20(第1伸縮性配線21及び第2伸縮性配線22)は、例えば、導電性フィラーと、熱可塑性樹脂を含有するバインダーと、を含んだ塗膜である。
導電性フィラーは、例えば、銀、金、白金、カーボン、銅、アルミニウム、コバルトもしくはニッケル、又はこれらの合金等によって構成されている。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性のエラストマー材料を挙げることができる。また、熱可塑性樹脂としては、塗膜化された状態における伸縮性配線20の弾性率が伸縮性基材10の弾性率に比して同等か、またはより小さくなるように低ヤング率のものを選定することが望ましい。エラストマー材料は一種類で用いてもよく、または複数種類のエラストマー材料を混合して用いてもよい。
また、伸縮性配線20の形成方法は、特に限定されないが、例えば、印刷法により形成することができる。印刷法は、特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷方法、インクジェット印刷方法、グラビア印刷方法、オフセット印刷方法などである。
伸縮性配線20の厚みは、特に限定されないが、5μm以上であることが好ましく、20μm程度とすることがより好ましい。
【0023】
ここで、上述のように、伸縮性配線20の一部分は、伸縮性基材10に形成された開口15を介して伸縮性基材10の他方の面10b側に露出して、第1露出電極51を構成している。
図5及び図6に示すように、伸縮性基材10に形成されている開口15を介して、第1露出電極51とデバイス200の接続端子220とが相互に接続される。
より詳細には、開口15は、伸縮性基材10において、第1伸縮性配線21の張出部21bの先端部と対応する位置に形成されている第1開口15aと、第2伸縮性配線22の張出部22bと対応する位置に形成されている第2開口15bと、を含む。第1開口15a及び第2開口15bは、それぞれ伸縮性基材10の長手方向における中央部に形成されている。
そして、張出部21bの先端部の一部分は、第1開口15aを介して、伸縮性基材10の他方の面10b側(本実施形態の場合、図4における上面側)に露出して、第1露出電極51aを構成している。同様に、張出部22bの先端部の一部分は、第2開口15bを介して、伸縮性基材10の他方の面10b側(同上)に露出して、第1露出電極51bを構成している。
第1伸縮性配線21の第1露出電極51a(張出部21b)は、第1開口15aを介して、デバイス200の一方の接続端子220と電気的及び機械的に接続され、第2伸縮性配線22の第1露出電極51bは、第2開口15bを介して、デバイス200の他方の接続端子220と電気的及び機械的に接続される。
第1開口15aと第2開口15bとは、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。第1開口15a及び第2開口15bの各々の平面形状は、特に限定されないが、一例として、正円形状である。また、第1開口15a及び第2開口15bの各々の外径は、張出部21b及び張出部22bの各々の幅寸法よりも小さい。
【0024】
ここで、本実施形態の場合、伸縮性配線基板100は、伸縮性基材10の一方の面10aに配置されていて、伸縮性配線20を伸縮性基材10側とは反対側から部分的に覆っている補強フィルム30を更に備えている。
補強フィルム30は、例えば、伸縮性基材10の長手方向における中央部に配置されている。
図1から図4に示すように、補強フィルム30は、例えば、フィルム基材層36と、フィルム基材層36における伸縮性基材10側の面(本実施形態の場合、図4における上面)に形成されている粘着剤層31と、を有する。
フィルム基材層36は、粘着剤層31によって伸縮性基材10及び伸縮性配線20に対して貼り付けられている。
【0025】
フィルム基材層36は、フィルム状(薄膜状)、板状ないしは薄片状に形成されている。フィルム基材層36は、平面視において、伸縮性基材10の長手方向における中央部を覆っている。フィルム基材層36の平面形状は特に限定されないが、一例として、略正方形状に形成されている。
フィルム基材層36は、可撓性を有する部材であって、伸縮性基材10よりも大きなヤング率を有している。フィルム基材層36の材料は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)またはフッ素樹脂等の、低摺動性、耐食性かつ高強度の合成樹脂を用いることができる。このほか補強フィルム30には、セルロースナノファイバーペーパーや厚紙等のように、相応の耐久性を備えた紙素材を用いてもよい。
また、フィルム基材層36の剛性は、伸縮性基材10及び伸縮性配線20の剛性よりも高い。
なお、フィルム基材層36の剛性とは、ヤング率(E)と断面二次モーメント(I)との積(E・I)である。そして、「剛性が高い」とは、面方向に対して交差する方向への曲げ荷重に対して変形しにくい、すなわち曲げ剛性が高いこと、もしくは面内方向の引張り応力に対して変形しにくいことの少なくともいずれか一方を意味しており、この両方で意味していることが好ましい。
【0026】
フィルム基材層36の厚み寸法は、特に限定されないが、10μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以上300μm以下である。
【0027】
粘着剤層31は、例えば、粘着性材料が塗工または貼合されることにより形成されたものである。粘着性材料は、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂などを用いることができる。
【0028】
図1及び図2に示すように、平面視において、粘着剤層31及びフィルム基材層36は、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。粘着剤層31及びフィルム基材層36の平面形状は特に限定されてないが、一例として、略正方形状である。
粘着剤層31及びフィルム基材層36の幅寸法は、例えば、伸縮性基材10の幅寸法と同等の寸法に設定されている。
粘着剤層31は、第1伸縮性配線21の張出部21bの裏面(下面)の一部分と、第2伸縮性配線22の張出部22bの裏面(下面)の一部分と、に対して直接貼り付けられている。また、図4に示すように、フィルム基材層36は、粘着剤層31における伸縮性基材10側とは反対側の面に対して直に積層されている。
図1及び図2に示すように、平面視において、張出部21b、22b、ひいては第1露出電極51a、51bの全体は、補強フィルム30(粘着剤層31及びフィルム基材層36)の外形線の内側に収まっている。
【0029】
上述のように、伸縮性配線20において第1露出電極51とは異なる平面位置にある部分の一部分は、補強フィルム30から伸縮性基材10側とは反対側に露出して、第2露出電極55を構成している。
より詳細には、本実施形態の場合、図1から図4に示すように、第1伸縮性配線21の本体部21aは、補強フィルム30から伸縮性基材10側とは反対側(本実施形態の場合、下側)に露出して、第2露出電極55aを構成している。同様に、第2伸縮性配線22の本体部22aは、補強フィルム30から伸縮性基材10側とは反対側(同上)に露出して、第2露出電極55bを構成している。
【0030】
本実施形態の場合、粘着層61は、第2露出電極55を直接覆っている。また、粘着層61は、例えば、導電性を有する導電性粘着層である。
そして、図6に示すように、粘着層61によって、第2露出電極55は生体の肌300に沿って配置される。
すなわち、本実施形態の場合、第2露出電極55は、生体の肌300側に配置される生体電極である。粘着層61及び第2露出電極55を介して、デバイス200は、脳波、筋電位及び心電等の生体信号を生体から検出したり、電気刺激を生体に与えたりすることができる。
【0031】
より詳細には、本実施形態の場合、伸縮性配線基板100は、複数の伸縮性配線20(第1伸縮性配線21及び第2伸縮性配線22)を個別に覆う複数の粘着層61(本実施形態の場合、粘着層61a、61b)を備えている。
そして、複数の粘着層61の各々が、粘着剤62と芯材63と、を含む。
【0032】
図4に示すように、粘着層61aは、例えば、第2露出電極55a(第1伸縮性配線21の本体部21a)を直接覆っており、粘着層61bは、第2露出電極55b(第2伸縮性配線22の本体部22a)を直接覆っている。
粘着層61a、61bは、伸縮性基材10の長手方向において長尺に形成されている。
粘着層61aは、例えば、平面視において、伸縮性基材10の長手方向に長尺な略オーバル形状を、当該オーバル形状の短軸方向に沿って切断し2等分したような形状に形成されている。より詳細には、平面視において、粘着層61aの長手方向における一端部611aは、外方に向けて凸の円弧状に形成されており、当該粘着層61aの長手方向における他端部612aは、伸縮性基材10の短軸方向に沿って延在する直線状に形成されている。
粘着層61bは、例えば、伸縮性基材10の長手方向における中心を基準として、粘着層61aと対称形状に形成されている。
したがって、粘着層61bは、平面視において、伸縮性基材10の長手方向に長尺な略オーバル形状を短軸方向に沿って切断し2等分したような形状に形成されている。そして、平面視において、粘着層61bの長手方向における一端部611bは、伸縮性基材10の短軸方向に沿って延在する直線状に形成されており、当該粘着層61bの長手方向における他端部612bは、外方に向けて凸の円弧状に形成されている。
【0033】
また、本実施形態の場合、粘着層61は、補強フィルム30の一部分を覆っている。
より詳細には、粘着層61aの長手方向における他端部612aが、フィルム基材層36における第1伸縮性配線21側の側端部に対して直に積層されている。同様に、粘着層61bの長手方向における一端部611bが、フィルム基材層36における第2伸縮性配線22側の側端部に対して直に積層されている。すなわち、粘着層61a、61bは、補強フィルム30から遠ざかる方向に長尺となっており、主として当該補強フィルム30から遠ざかる方向に伸長する。
【0034】
また、粘着層61aは、平面視において、本体部21aの全体と、張出部21bの基端部と、補強フィルム30における第1伸縮性配線21側の側端部と、を覆っている。同様に、粘着層61bは、平面視において、本体部22aの全体と、張出部22bの基端部と、補強フィルム30における第2伸縮性配線22側の側端部と、を覆っている。
【0035】
粘着剤62は、特に限定されないが、本実施形態の場合、ハイドロゲルや導電性を備えた粘着剤等であることが挙げられる。粘着剤62がハイドロゲルである場合、当該ハイドロゲルは、例えば、電解液(一例として、塩化ナトリウム水溶液)を含む。
粘着剤62の厚みは、特に限定されないが、500μm以上であることが好ましく、750μm以上1000μm(1mm)以下とすることがより好ましい。
【0036】
芯材63は、一例として、繊維質の材料により構成されている。より詳細には、本実施形態の場合、芯材63は不織布層である。このような構成によれば、芯材63によって、粘着剤62を良好に支持することができる。ただし、本発明において、芯材63の材料はこの例に限定されず、少なくとも粘着剤62よりも面内伸長性が低い材料であればよい。よって、例えば、芯材63が、粘着剤62よりも面内伸長性が低い粘着剤によって構成されていてもよい。
芯材63の厚みは、特に限定されないが、10μm以上であることが好ましく、50μm以上100μm未満とすることがより好ましい。
【0037】
ここで、本発明において、粘着層61は、導電性粘着層に限定されず、非導電性の粘着剤(ハイドロゲル)及び芯材63を含んで構成されていてもよい。この場合も、芯材63が切れ目64により分断されていることによって、芯材63によって粘着層61が良好に支持(補強)されつつも、切れ目64の形成領域においては、粘着剤62が当該切れ目64の延在方向に対して交差する方向に十分に伸長できる構成とすることができる。
なお、粘着層61が、非導電性の粘着層である場合、例えば、第2露出電極55は、貼付対象物に対して、直に配置されるか、もしくは不図示の別の導電性粘着層を介して配置される。
【0038】
本実施形態の場合、平面視において、芯材63は、粘着剤62の実質的に全域に形成されている。
また、図4に示すように、芯材63(不織布層)は、例えば、粘着剤62の厚み方向における中間部に配置されている。すなわち、芯材63(不織布層)の2つの主面(図4における上面及び下面)がそれぞれ粘着剤62によって覆われている。
また、上述のように切れ目64の形成領域においては、芯材63が分断されているため粘着層61が十分に伸長できる。一方、切れ目64の非形成領域においては、芯材63は分断されていないため、切れ目64の形成領域と比較して、粘着層61の面内伸長性が低くなっている。
【0039】
更に、本実施形態の場合、粘着層61には、剥離可能な剥離フィルム65が貼り付けられている。
剥離フィルム65は、伸縮性基材10よりも大きなヤング率を有している。
剥離フィルム65の材料は、特に限定されないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)又は紙等であることが挙げられる。複数の剥離フィルム65は、互いに同じ材料によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料によって構成されていてもよい。
【0040】
より詳細には、伸縮性配線基板100は、粘着層61aに貼り付けられている剥離フィルム65aと、粘着層61bに貼り付けられている剥離フィルム65bと、を備えている。平面視において、剥離フィルム65aは、例えば、粘着層61aと同一形状及び同一寸法に設定されており、剥離フィルム65bは、例えば、粘着層61bと同一形状及び同一寸法に設定されている。そして、平面視において、剥離フィルム65aは粘着層61aの全体を覆っており、剥離フィルム65bは粘着層61bの全体を覆っている。
【0041】
ここで、上述のように、粘着層61が含む芯材63は、当該芯材63の面方向に延在する切れ目64により分断されている。
より詳細には、本実施形態の場合、切れ目64は、平面視において、補強フィルム30から遠ざかる方向に対して交差する方向に延在している。
このような構成によれば、粘着層61ひいては伸縮性配線基板100の全体が伸長する際には、補強フィルム30から遠ざかる方向(例えば、図2に示す矢印A、Bの方向)に良好に伸長するようにできる。
好ましくは、切れ目64は、平面視において、補強フィルム30から遠ざかる方向に対して直交する方向に延在している。
【0042】
また、切れ目64は、例えば、伸縮性配線基板100の長手方向に対して交差する方向に延在している。
これにより、粘着層61ひいては伸縮性配線基板100の全体が伸長する際には、当該伸縮性配線基板100の長手方向に良好に伸長することができる。
好ましくは、切れ目64は、平面視において、伸縮性配線基板100の長手方向に対して直交する方向に延在している。
なお、本発明において、切れ目64の延在方向はこの例に限定されず、例えば、伸縮性配線基板100を意図的に伸長させる方向に対して交差する方向であってもよい。
【0043】
ここで、伸縮性配線基板100において伸縮性基材10が補強フィルム30によって覆われている部分は、補強フィルム30によって補強されているため、その他の部分と比較して面内伸長性が低くなっている。このため、伸縮性配線基板100において、補強フィルム30が配置されている部分と、その他の部分と、の境界は、相対的に面内伸長性が低い部分と、相対的に面内伸長性が高い部分と、の境界である。
よって、粘着層61と補強フィルム30との境界近傍において、粘着層61の伸長性が過大であれば、粘着層61と補強フィルム30との境界近傍において、伸縮性配線20の断線といった伸縮性配線基板100の損傷の懸念が生じる。
これに対し、本実施形態の場合、図2に示すように、平面視において、粘着層61のすべての切れ目64は、補強フィルム30から離間している。
つまり、粘着層61における切れ目64の形成領域、すなわち粘着層61において面内伸長性が相対的に高くなっている部分が、粘着層61と補強フィルム30との境界から離間している。
よって、粘着層61と補強フィルム30との境界近傍において粘着層61の伸長性が過大となることが抑制され、伸縮性配線20(張出部21b、22b)の断線といった伸縮性配線基板100の損傷を抑制することができる。
【0044】
また、平面視において、すべての切れ目64は、例えば、補強フィルム30から1mm以上離間している。
このような構成によれば、補強フィルム30の近傍において、粘着層61における面内伸長性が相対的に低くなっている部分の面積を十分に確保することができる。よって、粘着層61と補強フィルム30との境界近傍において粘着層61の伸長性が過大となることがより良好に抑制され、伸縮性配線20(張出部21b、22b)の断線といった伸縮性配線基板100の損傷をより確実に抑制することができる。
【0045】
更に、平面視において、補強フィルム30と切れ目64との最短距離D1(図2参照)と、切れ目64同士の最短距離D2(図2参照)と、の関係が、D1>D2を満たすことが好ましい。
このようにすることによって、粘着層61と補強フィルム30との境界近傍において粘着層61の伸長性が過大となることを抑制しつつも、粘着層61ひいては伸縮性配線基板100の全体は補強フィルム30から遠ざかる方向に良好に伸長することができる。
また、切れ目64同士の最短距離D2は、例えば、粘着剤62の厚みよりも大きくてもよい。
このようにすることによっても、粘着層61と補強フィルム30との境界部における粘着層61の過大な伸長を抑制することができる。
【0046】
また、平面視において、切れ目64は、例えば、粘着層61の外形線上の一点から他の一点(例えば、図3に示す一点615から他の一点616)に亘って延在しており、芯材63は、切れ目64により複数に分断されている。
このような構成によれば、粘着層61ひいては伸縮性配線基板100の全体が切れ目64の延在方向に対して交差する方向により良好に伸長するようにできる。
【0047】
切れ目64は、例えば、粘着剤62と芯材63とを厚み方向(粘着層61の厚み方向)に貫通して形成されている。ただし、本発明はこの例に限定されず、切れ目64は、少なくとも芯材63を厚み方向に貫通(分断)していればよく、例えば、切れ目64は粘着剤62を厚み方向に貫通していなくてもよい(粘着剤62の厚み方向における一部分は、切れ目64の非形成領域となっていてもよい)。
また、本実施形態の場合、切れ目64は、粘着層61aに形成されている複数の切れ目64aと、粘着層61bに形成されている複数の切れ目64bと、を含む。
複数の切れ目64aの各々は、例えば、粘着層61aの長手方向に対して直交する方向に延在している。また、複数の切れ目64aの各々は、例えば、粘着層61aの長手方向において、互いに等間隔に並んで配置されている。また、複数の切れ目64aの各々の長さ寸法は、例えば、互いに等しい。
より詳細には、平面視において、複数の切れ目64aの各々は、例えば、図3に示す仮想線401を基準として、一方側の粘着層61aの外形線613a上の一点から、他方側の当該粘着層61aの外形線614a上の一点に亘って直線状に延在していることが好ましい。なお、仮想線401は、伸縮性配線基板100の長手方向に沿って延在するとともに当該伸縮性配線基板100の中心を通る直線である。ただし、本発明はこの例に限定されず複数の切れ目64aの各々は、例えば、仮想線401を基準として、一方側の粘着層61aの外形線613a上(又は他方側の粘着層61aの外形線614a上)の一点から他の一点に亘って延在していてもよい。
同様に、複数の切れ目64bの各々は、例えば、粘着層61bの長手方向に対して直交する方向に延在している。また、複数の切れ目64bの各々は、例えば、粘着層61bの長手方向において、互いに等間隔に並んで配置されている。また、複数の切れ目64bの各々の長さ寸法は、例えば、互いに等しい。
より詳細には、平面視において、複数の切れ目64bの各々は、例えば、図3に示す仮想線401を基準として、一方側の粘着層61bの外形線613b上の一点から、他方側の当該粘着層61aの外形線614b上の一点に亘って直線状に延在していることが好ましい。ただし、本発明はこの例に限定されず複数の切れ目64bの各々は、例えば、仮想線401を基準として、一方側の粘着層61bの外形線613b上(又は他方側の粘着層61bの外形線614b上)の一点から他の一点に亘って延在していてもよい。
【0048】
本実施形態の場合、一例として、粘着層61aに形成されている切れ目64aの数と、粘着層61bに形成されている切れ目64bとは、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。
ただし、本発明はこの例に限定されず、粘着層61aに形成されている切れ目64aと、粘着層61bに形成されている切れ目64bとは、互いに異なる形状及び寸法に設定されていてもよい。更には、本発明において、例えば、粘着層61a、61bとのうち、いずれか一方の粘着層61の芯材63に切れ目64が形成されていてもよい。この場合、粘着層61a、61bとのうち、切れ目64が形成されている方の粘着層61の面内伸長性が、他方の粘着層61の面内伸長性よりも高い構成とすることができる。
また、本発明において、平面視における切れ目64の形状は直線状に限定されず、例えば、後述する第3実施形態のように曲線状に形成されていてもよい。また、平面視において、切れ目64は、例えば、仮想線401を跨がない形状となっていてもよく、一例として、当該切れ目64は、仮想線401に対して平行に延在していてもよい。
【0049】
また、切れ目64が形成されている箇所において、粘着剤62が露出電極(本実施形態の場合、第2露出電極55a、55b)を覆っている。
これにより、切れ目64が形成されている箇所においても、生体の肌300に対する露出電極の電気的な接点を良好に担保することができる。
【0050】
ここで、粘着剤62は、平面視において切れ目64を跨ぐ両側の部分62a、62b(図4等参照)同士が繋がっている。
このような構成によれば、粘着層61が良好に伸長できる一方で、粘着剤62が露出電極(本実施形態の場合、第2露出電極55a、55b)を覆っている(保護している)状態を維持することができる。
本実施形態の場合、一例として、切れ目64を跨ぐ両側の部分62a、62bの切断面同士が互いに密着した状態となっており、これにより当該両側の部分62a、62b同士が繋がっている。なお、この場合、粘着剤62の厚みは、例えば、750μm程度であることが好ましい。このようにすることによって、切れ目64を跨ぐ両側の部分62a、62bの切断面同士が互いに良好に密着するとともに、伸縮性配線基板100が伸長する際にも、この密着した状態を良好に維持することができる。よって、伸縮性配線基板100が伸長した状態においても、第2露出電極55a、55bが粘着剤62によって覆われた状態が維持され、生体の肌300に対する電気的な接点をより確実に担保することができる。
ただし、本発明において、例えば、粘着剤62の厚み方向における一部分において切れ目64が非形成となっており、当該一部分を介して切れ目64を跨ぐ両側の部分62a、62b同士が繋がっていてもよい。
【0051】
補強フィルム30と切れ目64との最短距離D1は、例えば、上述のように1mm以上であることが好ましく、0.7mm以上15.0mm以下程度とすることがより好ましい。
切れ目64同士の最短距離D2は、例えば、0.2mm以上であることが好ましく、0.5mm以上10.0mm以下程度とすることがより好ましい。
【0052】
〔第2実施形態〕
次に、図7を用いて第2実施形態を説明する。
第2実施形態に係る伸縮性配線基板100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る伸縮性配線基板100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る伸縮性配線基板100と同様に構成されている。
【0053】
本実施形態の場合、平面視において、切れ目64の両端は、粘着層61の外形線よりも内側に位置している点において、上記の第1実施形態に係る伸縮性配線基板100と相違している。すなわち、粘着剤62は、平面視における切れ目64の両端よりも外側の部位において繋がった状態となっている。
このような構成によっても、芯材63によって粘着層61が良好に支持(補強)されつつも、切れ目64の形成領域においては、粘着剤62が当該切れ目64の延在方向に対して交差する方向に十分に伸長するようにできる。
【0054】
より詳細には、図7に示すように、複数の切れ目64の各々は、第1実施形態と同様に、粘着層61の長手方向に対して交差する方向に直線状に延在している。ただし、平面視において、複数の切れ目64a、64bの各々の延在方向における一端は、図7に示す仮想線401を基準として、粘着層61a、61bの一方側の外形線613a、613bの近傍且つ当該外形線613a、613bよりも内側で終端しており、複数の切れ目64a、64bの各々の延在方向における他端は、当該粘着層61a、61bの他方側の外形線614a、614bの近傍且つ当該外形線614a、614bよりも内側で終端している。
【0055】
<第2実施形態の変形例>
次に、図8を用いて第2実施形態の変形例を説明する。
第2実施形態の変形例に係る伸縮性配線基板100は、以下に説明する点で、上記の第2実施形態に係る伸縮性配線基板100と相違しており、その他の点では、上記の第2実施形態に係る伸縮性配線基板100と同様に構成されている。
【0056】
本変形例の場合も、第2実施形態と同様に、平面視において、切れ目64の両端は、粘着層61の外形線よりも内側に位置している。ただし、本変形例の場合、図8に示すように、複数の切れ目64の各々は、例えば、第2実施形態における切れ目64よりも短い寸法に設定されており、粘着層61の長手方向と短手方向の双方において、互いに等間隔に並んで配置されている。また、複数の切れ目64は、平面視において、互いに千鳥状にオフセットされて配置されている。
このような構成によっても、芯材63によって粘着層61が良好に支持(補強)されつつも、切れ目64の形成領域においては、粘着剤62が当該切れ目64の延在方向に対して交差する方向に十分に伸長するようにできる。
【0057】
〔第3実施形態〕
次に、図9を用いて第2実施形態を説明する。
第3実施形態に係る伸縮性配線基板100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る伸縮性配線基板100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る伸縮性配線基板100と同様に構成されている。
【0058】
図9に示すように、本実施形態の場合、平面視において、切れ目64は、曲線状に延在している点において、上記の第1実施形態に係る伸縮性配線基板100と相違している。
このような構成によっても、芯材63によって粘着層61が良好に支持(補強)されつつも、切れ目64の形成領域においては、粘着剤62が当該切れ目64の延在方向に対して交差する方向に十分に伸長するようにできる。
【0059】
より詳細には、本実施形態の場合、第1実施形態と同様に、切れ目64は、図9に示す仮想線401を基準として、一方側の粘着層61aの外形線613a上の一点から、他方側の当該粘着層61aの外形線614a上の一点に亘って延在している。ただし、本実施形態の場合も、第2実施形態と同様に、切れ目64の両端が、粘着層61の外形線よりも内側に位置していてもよい。
また、図9に示すように、一例として、平面視において、切れ目64は、伸縮性配線基板100の長手方向における外方(当該長手方向における中央とは反対側)に向けて凸の円弧状に形成されている。
【0060】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0061】
例えば、本発明の粘着層61の用途は、必ずしも伸縮性配線基板100を生体の肌300に貼り付ける用途に限定されない。
すなわち、本発明は、シート状の粘着材(粘着層61)であって、粘着剤62と、粘着剤62よりも面内伸長性が低いシート状の芯材63と、を含み、芯材63は、当該芯材63の面方向に延在する切れ目64により分断されている粘着材を含む。
このような構成によれば、芯材63によって粘着材が良好に支持(補強)されつつも、切れ目64の形成領域においては、粘着材が当該切れ目64の延在方向に対して交差する方向に十分に伸長するようにできる。よって、貼付対象物に対する粘着材の良好なフィット性を実現することができる。
【0062】
また、上記の各実施形態では、複数の切れ目64が互いに同一方向に延在している例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、複数の切れ目64は、例えば、平面視において、互いに異なる方向に延在している切れ目64を含んでいてもよい。このような構成は、例えば、伸縮性配線基板100もしくは上記の粘着材が、複数方向に伸長する場合に好ましい。より詳細には、伸縮性配線基板100もしくは上記の粘着材が複数方向に伸長する場合、複数の切れ目64は、当該複数方向に対してそれぞれ交差する方向に延在している複数の切れ目54を含むことが好ましい。このようにすることによって、伸縮性配線基板100もしくは上記の粘着材が複数方向において十分に伸長するようにできる。
また、複数の切れ目64が、互いに異なる方向に延在している切れ目64を含んでいる場合、例えば、平面視において、異なる方向に延在している切れ目64同士が互いに交差していてもよい。
【0063】
また、上記の各実施形態では、複数の切れ目64の各々が、等間隔に並んで配置されている例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、例えば、補強フィルム30からの離間距離に応じて、切れ目64同士の最短距離D2が、徐々に拡大していてもよいし、もしくは徐々に縮小していてもよい。
【0064】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)伸縮性基材と、
前記伸縮性基材上に配置されている伸縮性配線と、
を備える伸縮性配線基板であって、
前記伸縮性配線の一部分は、露出電極を構成しており、
当該伸縮性配線基板は、前記露出電極を直接覆う粘着層を更に備え、
前記粘着層を介して当該伸縮性配線基板を生体の肌に貼り付け可能であり、
前記粘着層は、粘着剤と、前記粘着剤よりも面内伸長性が低いシート状の芯材と、を含み、
前記芯材は、当該芯材の面方向に延在する切れ目により分断されている伸縮性配線基板。
(2)前記伸縮性基材の一方の面に配置されていて、前記伸縮性配線を前記伸縮性基材側とは反対側から部分的に覆っている補強フィルムを更に備え、
前記切れ目は、平面視において、前記補強フィルムから遠ざかる方向に対して交差する方向に延在している(1)に記載の伸縮性配線基板。
(3)前記切れ目は、当該伸縮性配線基板の長手方向に対して交差する方向に延在している(1)又は(2)に記載の伸縮性配線基板。
(4)前記伸縮性基材の一方の面に配置されていて、前記伸縮性配線を前記伸縮性基材側とは反対側から部分的に覆っている補強フィルムを更に備え、
平面視において、すべての前記切れ目は、前記補強フィルムから離間している(1)から(3)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(5)平面視において、すべての前記切れ目は、前記補強フィルムから1mm以上離間している(4)に記載の伸縮性配線基板。
(6)平面視において、前記補強フィルムと前記切れ目との最短距離D1と、前記切れ目同士の最短距離D2と、の関係が、D1>D2を満たす(5)に記載の伸縮性配線基板。
(7)前記粘着剤は、平面視において前記切れ目を跨ぐ両側の部分同士が繋がっている(1)から(6)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(8)平面視において、前記切れ目は、前記粘着層の外形線上の一点から他の一点に亘って延在しており、
前記芯材は、前記切れ目により複数に分断されている(1)から(7)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(9)平面視において、前記切れ目の両端は、前記粘着層の外形線よりも内側に位置している(1)から(8)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(10)前記芯材は繊維質の材料により構成されている(1)から(9)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(11)前記芯材は不織布層である(10)に記載の伸縮性配線基板。
(12)前記切れ目が形成されている箇所において、前記粘着剤が前記露出電極を覆っている(1)又は(2)に記載の伸縮性配線基板。
(13)シート状の粘着材であって、
粘着剤と、前記粘着剤よりも面内伸長性が低いシート状の芯材と、を含み、
前記芯材は、当該芯材の面方向に延在する切れ目により分断されている粘着材。
【符号の説明】
【0065】
10 伸縮性基材
10a 一方の面
10b 他方の面
15 開口
15a 第1開口
15b 第2開口
20 伸縮性配線
21 第1伸縮性配線
21a 本体部
21b 張出部
22 第2伸縮性配線
22a 本体部
22b 張出部
30 補強フィルム
31 粘着剤層
36 フィルム基材層
51、51a、51b 第1露出電極(外部接続端子)
55、55a、55b 第2露出電極(生体電極)
61、61a、61b 粘着層(導電性粘着層)
611a、611b 一端部
612a、612b 他端部
613a、613b 一方側の外形線
614a、614b 他方側の外形線
615 外形線上の一点
616 外形線上の他の一点
62 粘着剤(導電性粘着剤)
62a、62b 両側の部分
63 芯材
64、64a、64b 切れ目
65、65a、65b 剥離フィルム
100 伸縮性配線基板
200 デバイス
210 本体部
220 接続端子
300 肌(貼付対象物)
401 仮想線
【要約】
伸縮性配線基板(100)は、伸縮性基材(10)と、伸縮性基材(10)上に配置されている伸縮性配線(20)と、を備え、伸縮性配線(20)の一部分は、露出電極を構成しており、露出電極を直接覆う粘着層(61)を更に備え、粘着層(61)を介して当該伸縮性配線基板(100)を貼付対象物(300)に貼り付け可能であり、粘着層(61)は、粘着剤(62)と、粘着剤(62)よりも面内伸長性が低いシート状の芯材(63)と、を含み、芯材(63)は、当該芯材(63)の面方向に延在する切れ目(64)により分断されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9