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特許7451842フィーダー挿抜装置及び部品実装システム
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  • 特許-フィーダー挿抜装置及び部品実装システム 図7B
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  • 特許-フィーダー挿抜装置及び部品実装システム 図8B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】フィーダー挿抜装置及び部品実装システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023500476
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2021006540
(87)【国際公開番号】W WO2022176179
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】粟野 之也
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/127965(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/026619(WO,A1)
【文献】特開2017-216379(JP,A)
【文献】特開平6-232572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基板に搭載する部品実装機における、部品を供給するフィーダーを保持可能な複数の保持部の各々に対して、前記フィーダーを挿抜するためのフィーダー挿抜装置であって、
前記フィーダーを前記保持部に対し挿抜方向に沿って移動させる挿抜移動機構と、
前記挿抜移動機構による前記保持部に対する前記フィーダーの挿抜時において、前記フィーダーの移動により前記フィーダーに加わる負荷の指標となる負荷指標値を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記負荷指標値に基づいて前記挿抜移動機構に駆動信号を入力することにより、前記フィーダーの前記保持部に対する挿抜時の移動を制御する挿抜制御部と、を備える、フィーダー挿抜装置。
【請求項2】
前記挿抜移動機構は、前記フィーダーを前記挿抜方向に沿って移動させる駆動力を発する駆動モータを含み、
前記検出部は、前記負荷指標値として前記駆動モータの電流値又は電圧値を検出し、
前記挿抜制御部は、前記駆動モータに入力される駆動信号を変化させることにより、前記フィーダーの前記保持部に対する挿抜時の移動を制御する、請求項1に記載のフィーダー挿抜装置。
【請求項3】
前記挿抜制御部は、
前記検出部により検出された前記負荷指標値が予め設定された許容閾値未満である場合、前記フィーダーが前記挿抜方向に沿って移動する標準動作を行うように前記挿抜移動機構に駆動信号を入力し、挿抜時における前記フィーダーの移動を制御する標準制御を実行し、
前記検出部により検出された前記負荷指標値が前記許容閾値以上となった場合、前記フィーダーが前記挿抜方向に沿った移動を停止した後に再度移動するリトライ動作を行うように前記挿抜移動機構に駆動信号を入力し、挿抜時における前記フィーダーの移動を制御するリトライ制御を実行する、請求項1又は2に記載のフィーダー挿抜装置。
【請求項4】
前記挿抜制御部は、前記リトライ動作において前記フィーダーが、前記挿抜方向における挿入方向及び抜出方向のいずれかの一方向側への移動を停止した後、前記一方向側とは逆側の他方向側に所定の逆走距離だけ移動し、その後、前記一方向側に再度移動するように前記リトライ制御を実行する、請求項3に記載のフィーダー挿抜装置。
【請求項5】
前記挿抜制御部は、前記標準動作において前記フィーダーが所定の標準速度で移動するように前記標準制御を実行する一方、前記リトライ動作においては前記フィーダーが前記標準速度よりも遅いリトライ速度で移動するように前記リトライ制御を実行する、請求項3又は4に記載のフィーダー挿抜装置。
【請求項6】
前記挿抜制御部は、
前記リトライ動作において前記フィーダーが前記一方向側に再度移動しているときに、前記検出部により検出された前記負荷指標値が前記許容閾値以上となった場合、前記フィーダーが前記リトライ動作を繰り返すように前記挿抜移動機構に駆動信号を入力し、
前記フィーダーが前記リトライ動作を繰り返すときには、各リトライ動作における前記逆走距離が、前記リトライ動作の繰り返しが進むに従い長くなるように、前記挿抜移動機構に駆動信号を入力する、請求項4に記載のフィーダー挿抜装置。
【請求項7】
前記挿抜制御部は、前記フィーダーの前記リトライ動作として前記挿入方向を前記一方向とするリトライ動作の繰り返し回数が予め設定された回数閾値に到達したときに、前記検出部により検出された前記負荷指標値が前記許容閾値以上を維持している場合、前記リトライ動作の対象の保持部に対する前記フィーダーの挿入を中止するように前記挿抜移動機構に駆動信号を入力する挿入中止制御を実行する、請求項6に記載のフィーダー挿抜装置。
【請求項8】
前記挿抜制御部は、前記挿入中止制御の実行後において、複数の前記保持部のうち、前記フィーダーの挿入を中止する対象の保持部を代替して前記フィーダーの挿入が可能な代替保持部が存在するか否かを判断し、前記代替保持部が存在する場合には、前記フィーダーが前記代替保持部に対して前記挿入方向に移動するように前記挿抜移動機構に駆動信号を入力する代替挿入制御を実行する、請求項7に記載のフィーダー挿抜装置。
【請求項9】
前記挿抜制御部は、前記代替挿入制御において、前記代替保持部が存在しない場合には、その旨を示す代替不能情報を出力する、請求項8に記載のフィーダー挿抜装置。
【請求項10】
前記挿抜制御部は、前記挿入中止制御において、前記リトライ動作の対象の保持部に対する前記フィーダーの挿入を中止することを示す挿入中止情報を出力する、請求項7~9のいずれか1項に記載のフィーダー挿抜装置。
【請求項11】
前記挿抜制御部は、前記検出部により検出された前記負荷指標値が前記許容閾値未満であって、且つ、予め設定された予兆閾値以上である場合、前記挿抜移動機構による前記フィーダーの移動に応じた前記保持部に対する挿抜時において、前記フィーダーに加わる負荷が許容範囲を超える予兆があることを示す予兆情報を出力する、請求項3~10のいずれか1項に記載のフィーダー挿抜装置。
【請求項12】
前記挿抜制御部から出力された情報を表示するための表示部を、更に備える、請求項9~11のいずれか1項に記載のフィーダー挿抜装置。
【請求項13】
前記フィーダーの前記保持部に対する挿抜時における移動速度に応じて前記許容閾値を設定する閾値設定部を、更に備える、請求項3~12のいずれか1項に記載のフィーダー挿抜装置。
【請求項14】
部品を供給するフィーダーを保持可能な複数の保持部を有し、前記フィーダーにより供給される部品を基板に搭載する部品実装機と、
複数の前記保持部の各々に対して前記フィーダーを挿抜するための、請求項1~13のいずれか1項に記載のフィーダー挿抜装置と、を備える、部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を基板に搭載する部品実装機における複数の保持部の各々に対してフィーダーを挿抜するためのフィーダー挿抜装置、及びそれを備えた部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板等の基板上に電子部品が搭載された部品搭載基板を生産する部品実装機は、部品を供給するフィーダーを挿抜可能に保持する複数の保持部と、その保持部に保持されるフィーダーから供給される部品を基板に搭載する搭載ヘッドと、を備えている。この種の部品実装機では、搭載ヘッドは、フィーダーから供給される部品を取り出した後、当該部品を基板に搭載する作業を、基板に対して全搭載部品を搭載するまで繰り返し行う。
【0003】
フィーダーから的確に部品を供給することが困難である場合、部品実装機における部品搭載基板の生産性が低下する虞がある。特許文献1,2には、部品を供給する際のフィーダーにおける不具合の発生を検出する技術が開示されている。この技術では、部品を収納したテープを送出するテープ送り機構における駆動モータの電流値に基づいて、フィーダーにおける不具合の発生が検出される。フィーダーにおける不具合の発生が検出された場合には、当該不具合を解消するための処理が行われる。
【0004】
しかしながら、部品を供給する際のフィーダーにおける不具合の発生に着目するだけでは、フィーダーによる部品の的確な供給性を十分に考慮しているとは言えないと考えられる。
【0005】
複数の保持部の各々に対してフィーダーを挿入する、又は保持部からフィーダーを抜出するときに、フィーダーの挿抜を妨げるような引っ掛かり等が発生する場合がある。例えば、フィーダーが傾いた異常姿勢を取っている場合、或いは、フィーダー及び保持部に傷、摩耗、付着異物などの障害が生じている場合には、フィーダーの挿抜時に引っ掛かり等が発生する虞がある。この場合、保持部に対してフィーダーを的確に挿抜することが困難になる虞がある。このため、フィーダーから的確に部品を供給することが困難となり、結果として部品実装機における部品搭載基板の生産性が低下する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-224771号公報
【文献】特許第6620306号公報
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、部品実装機における複数の保持部に対してフィーダーを的確に挿抜することが可能なフィーダー挿抜装置、及びそれを備えた部品実装システムを提供することである。
【0008】
本発明の一の局面に係るフィーダー挿抜装置は、部品を基板に搭載する部品実装機における、部品を供給するフィーダーを保持可能な複数の保持部の各々に対して、前記フィーダーを挿抜するための装置である。このフィーダー挿抜装置は、前記フィーダーを前記保持部に対し挿抜方向に沿って移動させる挿抜移動機構と、前記挿抜移動機構による前記保持部に対する前記フィーダーの挿抜時において、前記フィーダーの移動により前記フィーダーに加わる負荷の指標となる負荷指標値を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記負荷指標値に基づいて前記挿抜移動機構に駆動信号を入力することにより、前記フィーダーの前記保持部に対する挿抜時の移動を制御する挿抜制御部と、を備える。
【0009】
本発明の他の局面に係る部品実装システムは、部品を供給するフィーダーを保持可能な複数の保持部を有し、前記フィーダーにより供給される部品を基板に搭載する部品実装機と、複数の前記保持部の各々に対して前記フィーダーを挿抜するための、上記のフィーダー挿抜装置と、を備える。
【0010】
本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るフィーダー挿抜装置が適用された部品実装システムの構成を示すブロック図である。
図2】部品実装システムに備えられる部品実装機の構成を示す断面図である。
図3】部品実装機における部品供給ユニットの近傍を拡大して示す斜視図である。
図4】部品実装機における部品供給ユニットをX軸方向から見た図である。
図5】部品実装システムに備えられるフィーダー挿抜装置の側面図である。
図6】フィーダー挿抜装置の検出部により検出された負荷指標値とフィーダー移動距離との関係を示すグラフである。
図7A】フィーダー挿抜装置によるフィーダーの保持部に対する挿抜の様子を示す図である。
図7B】フィーダー挿抜装置によるフィーダーの保持部に対する挿抜の様子を示す図である。
図8A】フィーダー挿抜装置の動作を示すフローチャートである。
図8B】フィーダー挿抜装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るフィーダー挿抜装置及び部品実装システムについて図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に示されるように、部品実装システム1は、部品実装機2と、管理装置3と、フィーダー挿抜装置4とを備えている。部品実装システム1においては、部品実装機2と管理装置3とがデータ通信可能に接続されるとともに、管理装置3とフィーダー挿抜装置4とがデータ通信可能に接続されている。
【0014】
部品実装システム1は、プリント基板(以下、「基板」と称する)上に電子部品(以下、「部品」と称する)が搭載された部品搭載基板を生産するシステムである。部品実装システム1では、部品実装機2によって部品搭載基板が生産され、その部品実装機2による部品搭載基板の生産が管理装置3によって管理され、管理装置3の指令のもと、部品搭載基板の生産時に必要な段取り作業がフィーダー挿抜装置4によって実行される。
【0015】
図1に加えて図2図4を参照しながら、部品実装機2の構成を説明する。なお、以下では、方向関係についてはXYZ直交座標軸を用いて説明する。X軸方向及びY軸方向は水平面上において互いに直交し、Z軸方向がX軸方向及びY軸方向の両方向と直交する鉛直方向に延びる方向である。
【0016】
部品実装機2は、基板に部品を搭載して部品搭載基板を生産する装置である。部品実装機2による部品の搭載前において基板には、半田ペーストのパターンが印刷されている。つまり、部品実装機2は、パターン形成装置により半田ペーストのパターンが印刷された基板に部品を搭載する。部品実装機2は、実装機本体21と、搬送コンベア22と、部品供給ユニット23と、搭載ヘッド26とを備えている。
【0017】
実装機本体21は、部品実装機2を構成する各部が配置される内部空間を有する筐体構造である。搬送コンベア22は、Y軸方向に延び、実装機本体21の内部における略中央領域に配置される。搬送コンベア22は、基板をY軸方向に搬送する。搭載ヘッド26は、搬送コンベア22により搬送された基板に部品を搭載する。搭載ヘッド26は、部品供給ユニット23に配置されるフィーダー25から部品を取出すとともに、その取出した部品を基板に搭載する。搭載ヘッド26には、複数の吸着ノズル261が装着されている。吸着ノズル261は、部品を吸着して保持可能な保持具である。吸着ノズル261は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、吸着ノズル261に負圧が供給されることで当該吸着ノズル261による部品の吸着保持(部品の取出し)が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。
【0018】
部品供給ユニット23は、実装機本体21におけるX軸方向の端部領域に配置される。部品供給ユニット23は、部品を供給するフィーダー25を挿抜可能に保持する複数の保持部24を形成するための上フレーム231、下フレーム232、及び奥側フレーム233を有している。上フレーム231は、X軸方向及びY軸方向に広がる板状のフレームである。上フレーム231は、そのX軸方向の一端側の領域部分が実装機本体21から外方に露出するとともに、X軸方向の他端側の領域部分が実装機本体21の内部に収容されるように、実装機本体21におけるX軸方向の一端部に配置される。下フレーム232は、X軸方向及びY軸方向に広がる板状のフレームであり、上フレーム231に対してZ軸方向の下方側に当該上フレーム231と対向するように配置される。下フレーム232は、実装機本体21の内部に収容されるX軸方向の他端側の領域部分に、Z軸方向の上方側に突出する突出部2321を有している。奥側フレーム233は、Y軸方向及びZ軸方向に広がる板状のフレームであり、実装機本体21の内部において上フレーム231及び下フレーム232のX軸方向他端よりも実装機本体21の中央寄りの位置に配置される。
【0019】
複数の保持部24の各々は、部品供給ユニット23においてフィーダー25を挿抜可能に保持する部分を構成する。部品供給ユニット23においては、複数の保持部24がY軸方向に並ぶように配列される。このような各保持部24にフィーダー25が挿入されることにより、複数のフィーダー25がY軸方向に並んで配置される。
【0020】
フィーダー25は、例えばテープフィーダーである。フィーダー25は、複数の部品を収納可能な部品収納テープPTを送出することにより部品を供給する。部品収納テープPTは、部品を収納する収納部が複数設けられたキャリアテープPT1と、前記収納部を覆うようにキャリアテープPT1に接合されるカバーテープPT2とからなる。フィーダー25は、フィーダー本体251と、リール支持部252と、テープ送出部254と、回収部255とを含んで構成される。
【0021】
フィーダー本体251には、テープ送出路253が形成されている。テープ送出路253は、部品収納テープPTが送出される経路であり、部品収納テープPTの送出方向の上流端と下流端との間に部品取出し部2531を有している。リール支持部252は、フィーダー本体251においてテープ送出路253の上流端側に配置される。リール支持部252は、部品収納テープPTが巻回されたリールを支持する。
【0022】
テープ送出部254は、例えばスプロケットから構成されており、テープ送出路253の部品取出し部2531の近傍に配置される。テープ送出部254は、リール支持部252により支持されたリールから部品収納テープPTを繰り出すとともに、その繰り出した部品収納テープPTをテープ送出路253に沿って送出する。テープ送出部254の動作は、制御基板259に搭載された制御回路によって制御される。テープ送出路253に沿って送出される部品収納テープPTでは、部品取出し部2531よりも上流側においてカバーテープPT2がキャリアテープPT1から剥離される。これにより、部品取出し部2531においてキャリアテープPT1上で部品が露出される。キャリアテープPT1上で露出された部品は、搭載ヘッド26による取出しが可能である。つまり、搭載ヘッド26は、フィーダー25によって供給される部品を、部品取出し部2531から取出す。
【0023】
部品取出し部2531よりも上流側においてキャリアテープPT1から剥離されたカバーテープPT2は、回収部255によって回収される。回収部255は、例えば、互いに当接するローラー対から構成されている。この場合、回収部255は、ローラー対の回転に応じてカバーテープPT2を回収する。回収部255により回収されたカバーテープPT2は、回収ボックス2551内に収容される。
【0024】
搭載ヘッド26により部品が取出された後のキャリアテープPT1は、テープ送出部254の送出動作によってテープ送出路253の下流端を介してフィーダー25から外方に送出される。フィーダー25から外方に送出されたキャリアテープPT1は、部品供給ユニット23における下フレーム232の突出部2321の近傍に配置されたテープカッター23Aにより所定の長さに切断される。
【0025】
また、図2に示されるように、フィーダー25は、上位置決めピン256と、下位置決めピン257と、フィーダー側コネクタ258とを有している。上位置決めピン256及び下位置決めピン257は、フィーダー本体251のX軸方向の一端部から突出するように設けられたピンである。上位置決めピン256と下位置決めピン257とは、フィーダー本体251のX軸方向一端部においてZ軸方向に互いに間隔を隔てて配置され、上位置決めピン256が下位置決めピン257よりも上方側に位置している。フィーダー本体251のX軸方向一端部は、上位置決めピン256及び下位置決めピン257が設けられた部分に対してX軸方向他方側に窪んだ段差部を有している。このフィーダー本体251のX軸方向一端部における段差部に、フィーダー側コネクタ258が設けられている。フィーダー側コネクタ258は、制御基板259と電気的に接続されるコネクタである。
【0026】
フィーダー25を挿抜可能に保持するための複数の保持部24は、部品供給ユニット23における上フレーム231、下フレーム232、及び奥側フレーム233に形成されている。各保持部24は、上保持レール241と、下保持レール242と、上ピン挿通孔243と、下ピン挿通孔244と、ユニット側コネクタ245とを含んで構成される。
【0027】
上保持レール241は、上フレーム231の下面においてX軸方向に延びるようにY軸方向に並んで複数形成されている。上保持レール241は、フィーダー25の保持部24に対する挿抜時の移動の際にフィーダー25の上端をガイドするレール部材である。下保持レール242は、下フレーム232の上面においてX軸方向に延びるようにY軸方向に並んで複数形成されている。下保持レール242は、フィーダー25の保持部24に対する挿抜時の移動の際にフィーダー25の下端をガイドするレール部材である。
【0028】
上ピン挿通孔243は、奥側フレーム233の上端部においてY軸方向に並んで複数形成される孔である。上ピン挿通孔243は、フィーダー25が保持部24に挿入されるときにフィーダー25の上位置決めピン256の挿通を許容する。一方、フィーダー25が保持部24から抜出されるときには、上位置決めピン256の上ピン挿通孔243に対する挿通が解除される。下ピン挿通孔244は、奥側フレーム233の下端部においてY軸方向に並んで複数形成される孔である。下ピン挿通孔244は、フィーダー25が保持部24に挿入されるときにフィーダー25の下位置決めピン257の挿通を許容する。一方、フィーダー25が保持部24から抜出されるときには、下位置決めピン257の下ピン挿通孔244に対する挿通が解除される。フィーダー25は、上位置決めピン256が上ピン挿通孔243に挿通されるとともに、下位置決めピン257が下ピン挿通孔244に挿通されることにより、保持部24に対して位置決めされる。
【0029】
ユニット側コネクタ245は、下フレーム232の突出部2321においてY軸方向に並んで複数設けられ、部品実装機2の実装制御部29と電気的に接続されるコネクタである。ユニット側コネクタ245は、フィーダー25が保持部24に挿入されるときにフィーダー25のフィーダー側コネクタ258と接続される。
【0030】
なお、図3に示されるように、実装機本体21における部品供給ユニット23の近傍には、目印部211が設けられている。この目印部211は、部品供給ユニット23における複数の保持部24の各々の位置を示す目印となる。
【0031】
図1に示されるように、部品実装機2は、実装表示部27と、実装通信部28と、実装制御部29とを更に備える。実装表示部27は、詳細については後述するが、フィーダー挿抜装置4から出力された情報が管理装置3を介して入力されると、当該情報を表示する。オペレーターは、実装表示部27に表示された情報を確認することにより、フィーダー挿抜装置4によるフィーダー25の保持部24に対する挿抜の状況を把握することができる。実装通信部28は、管理装置3とのデータ通信を実現するインターフェイス回路である。
【0032】
実装制御部29は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。実装制御部29は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより実装表示部27及び実装通信部28を制御するとともに、搬送コンベア22、部品供給ユニット23の保持部24に保持されたフィーダー25、搭載ヘッド26の各動作を制御する。実装制御部29は、機能構成として、搬送制御部291と、部品供給制御部292と、搭載制御部293と、実装表示制御部294と、実装通信制御部295とを含む。
【0033】
搬送制御部291は、搬送コンベア22による基板の搬送動作を制御する。部品供給制御部292は、複数の保持部24の各々に保持された各フィーダー25の部品供給動作を制御する。搭載制御部293は、搭載ヘッド26による基板に対する部品の搭載動作を制御する。実装表示制御部294は、実装表示部27による各種の情報の表示動作を制御する。実装通信制御部295は、実装通信部28による管理装置3とのデータ通信を制御する。
【0034】
次に、図1を参照して管理装置3について説明する。管理装置3は、部品実装機2による部品搭載基板の生産を管理するとともに、複数の保持部24の各々に対してフィーダー25を挿抜する段取り作業に必要なデータをフィーダー挿抜装置4に送信する装置である。管理装置3は、例えばマイクロコンピュータから構成されている。管理装置3は、機能構成として、データ生成部31と、データ記憶部32と、データ管理部33と、管理通信部34とを備えている。
【0035】
データ生成部31は、部品実装機2による部品搭載基板の生産に必要なフィーダー25の部品供給ユニット23における各保持部24に対する配置位置を示す配置データD1を生成する。配置データD1は、例えば、基板に対する部品の搭載時に搭載ヘッド26の移動距離がなるべく短くなるように、部品搭載基板の生産に必要な各フィーダー25が密集した状態で配置される保持部24の位置を示すデータである。また、データ生成部31は、配置データD1に従って保持部24に配置されるフィーダー25により供給される部品を基板に搭載する手順を示す搭載プログラムP1を生成する。搭載プログラムP1には、基板上における各部品の搭載位置、配置データD1に従ったフィーダー25の保持部24に対する配置位置、搭載ヘッド26による部品の搭載順序などの情報が記録されている。
【0036】
データ生成部31により生成された配置データD1及び搭載プログラムP1は、データ記憶部32に記憶される。
【0037】
データ管理部33は、データ記憶部32から配置データD1及び搭載プログラムP1を読み出して配信する。具体的には、データ管理部33は、管理通信部34を介して配置データD1をフィーダー挿抜装置4に送信させるとともに、管理通信部34を介して搭載プログラムP1を部品実装機2に送信させる。
【0038】
管理通信部34は、部品実装機2及びフィーダー挿抜装置4とのデータ通信を実現するインターフェイス回路である。管理通信部34は、部品実装機2による部品搭載基板の生産状況に関するデータを受信する。また、管理通信部34は、データ管理部33の制御のもと、データ生成部31によって生成された配置データD1及び搭載プログラムP1のうち、配置データD1をフィーダー挿抜装置4に送信するとともに、搭載プログラムP1を部品実装機2に送信する。
【0039】
部品実装機2では、管理通信部34から送信された搭載プログラムP1を実装通信部28が受信すると、当該搭載プログラムP1に基づき部品搭載基板の生産が開始される。この際、搭載ヘッド26による部品搭載動作は、搭載プログラムP1に従って実行される。具体的には、搬送コンベア22により基板が搬送されると、搭載プログラムP1に従って搭載ヘッド26が、部品供給ユニット23における各保持部24に保持された各フィーダー25から部品を取出す。その後、搭載ヘッド26が基板上に移動して順次部品を搭載するという動作が、基板に対して全部品を搭載するまで、搭載プログラムP1で示される部品の搭載順序に従って繰り返される。
【0040】
一方、フィーダー挿抜装置4は、管理通信部34から送信された配置データD1を受信すると、当該配置データD1に基づいて、部品供給ユニット23における各保持部24に対してフィーダー25を挿抜する段取り作業を行う。このフィーダー挿抜装置4について、図1に加えて図5図6図7A及び図7Bを参照しながら説明する。
【0041】
フィーダー挿抜装置4は、複数の保持部24の各々に対してフィーダー25を挿抜する段取り作業を行う作業ロボットである。フィーダー挿抜装置4は、各保持部24に対して挿抜方向DXに沿ってフィーダー25を移動させることにより、フィーダー25を挿抜する。挿抜方向DXは、各保持部24において上保持レール241及び下保持レール242が延びるX軸方向と平行な方向である。フィーダー25を各保持部24に挿入する際にフィーダー25を移動させる方向であって、挿抜方向DXの一方向である挿入方向DX1は、X軸方向に沿って実装機本体21の外側から内側に向かう方向である。フィーダー25を各保持部24から抜出する際にフィーダー25を移動させる方向である抜出方向DX2は、挿入方向DX1とは逆向きの方向である。
【0042】
フィーダー挿抜装置4は、配置データD1に基づいて、部品実装機2による部品搭載基板の生産に必要なフィーダー25が各保持部24に挿入されるようにフィーダー25を挿入方向DX1に移動させる。また、フィーダー挿抜装置4は、部品切れ等により交換が必要なフィーダー25が各保持部24から抜出されるようにフィーダー25を抜出方向DX2に移動させる。フィーダー挿抜装置4は、基台部41と、水平支持台42と、水平移動機構43と、垂直移動機構44と、挿抜移動機構45と、検出部454と、表示部46と、通信部47と、記憶部48と、制御部49とを備えている。
【0043】
表示部46は、詳細については後述するが、制御部49の挿抜制御部493から出力される情報(挿入中止情報DI1、代替不能情報DI2、予兆情報DI3)を表示する。オペレーターは、表示部46に表示された情報を確認することにより、フィーダー挿抜装置4によるフィーダー25の保持部24に対する挿抜の状況を把握することができる。なお、表示部46が各種の情報を表示するタイミングに合わせて、警告灯46Aを点灯するようにしてもよい。
【0044】
通信部47は、管理装置3とのデータ通信を実現するインターフェイス回路である。通信部47は、管理装置3から送信された配置データD1を受信する。また、通信部47は、挿抜制御部493から出力される情報を管理装置3に送信する。通信部47を介して管理装置3に送信された情報は、部品実装機2に入力されて実装表示部27に表示される。
【0045】
記憶部48は、閾値記憶部481と配置記憶部482とを含む。閾値記憶部481は、挿抜制御部493が挿抜移動機構45を制御する際に用いる予め設定された各種の閾値(許容閾値T1、予兆閾値T2、停止閾値T3、回数閾値T4)を記憶する。配置記憶部482は、通信部47が受信した配置データD1を記憶する。
【0046】
基台部41は、フィーダー挿抜装置4において水平移動機構43などが配置される基台である。基台部41には、フィーダー挿抜装置4の移動が可能となるように車輪411が取付けられるとともに、位置検出センサ412が取付けられている。フィーダー挿抜装置4は、実装機本体21に設けられた目印部211を位置検出センサ412によって検出することにより、部品供給ユニット23における複数の保持部24の各々の位置に移動する。
【0047】
水平支持台42は、基台部41上に配置される台である。水平支持台42は、水平面上において挿抜方向DXと直交するY軸方向に沿って水平に延びる台である。水平支持台42は、水平移動機構43の水平移動支柱体431をY軸方向に沿った移動が可能となるように支持する。
【0048】
水平移動機構43は、挿抜移動機構45における挿抜移動体451の把持部4512に把持された状態のフィーダー25を、各保持部24に対してY軸方向に移動させる機構である。水平移動機構43は、水平移動支柱体431と、水平駆動モータ432と、水平駆動伝達部433とを含む。
【0049】
水平移動支柱体431は、Z軸方向に延びる支柱であり、水平支持台42にY軸方向に移動可能に支持される。水平移動支柱体431は、垂直移動機構44の垂直移動体441をZ軸方向に沿った移動が可能となるように支持する。水平駆動モータ432は、水平支持台42上において水平移動支柱体431をY軸方向に沿って移動させる駆動力を発する駆動モータである。水平駆動伝達部433は、水平駆動モータ432の駆動力を水平移動支柱体431に伝達するための機構である。
【0050】
水平移動機構43においては、水平移動支柱体431が、水平駆動伝達部433から伝達される水平駆動モータ432の駆動力に応じて、水平支持台42上をY軸方向に移動する。
【0051】
垂直移動機構44は、挿抜移動機構45における挿抜移動体451の把持部4512に把持された状態のフィーダー25を、各保持部24に対してZ軸方向に移動させる機構である。垂直移動機構44は、垂直移動体441と、垂直駆動モータ442と、垂直駆動伝達部443とを含む。
【0052】
垂直移動体441は、水平移動支柱体431にZ軸方向に移動可能に支持される。垂直移動体441は、挿抜方向DX(X軸方向)に沿って延びる挿抜支持部4411と、挿抜支持部4411の下方側において挿抜方向DXに沿って延びる挿抜ガイド部4412と、を有している。挿抜支持部4411は、挿抜移動機構45の挿抜移動体451を挿抜方向DXに沿った移動が可能となるように支持する。挿抜ガイド部4412は、挿抜移動体451の把持部4512に把持された状態のフィーダー25を下方側から支持するとともに、挿抜移動体451の移動に伴うフィーダー25の挿抜方向DXに沿った移動をガイドする。垂直駆動モータ442は、水平移動支柱体431に沿って垂直移動体441をZ軸方向に移動させる駆動力を発する駆動モータである。垂直駆動伝達部443は、垂直駆動モータ442の駆動力を垂直移動体441に伝達するための機構である。
【0053】
垂直移動機構44においては、垂直移動体441が、垂直駆動伝達部443から伝達される垂直駆動モータ442の駆動力に応じて、水平移動支柱体431に沿ってZ軸方向に移動する。
【0054】
挿抜移動機構45は、各保持部24に対してフィーダー25を挿抜方向DXに沿って移動させる機構である。挿抜移動機構45は、挿抜移動体451と、挿抜駆動モータ452と、挿抜駆動伝達部453とを含む。
【0055】
挿抜移動体451は、垂直移動体441の挿抜支持部4411に挿抜方向DXに移動可能に支持される。挿抜移動体451は、Z軸方向に沿って延びる移動基体4511と、移動基体4511の上端に回動軸4513回りの回動が可能となるように取付けられる把持部4512と、シリンダ4514と、を有している。把持部4512は、挿抜ガイド部4412に支持された状態のフィーダー25におけるフィーダー本体251の、上位置決めピン256及び下位置決めピン257が設けられたX軸方向一端部とは反対の他端部の上側部分を把持する。シリンダ4514は、Z軸方向に移動することにより把持部4512を回動軸4513回りに回動させる。シリンダ4514の移動に応じて把持部4512が回動することにより、当該把持部4512に把持されたフィーダー25の姿勢を変更することができる。挿抜駆動モータ452は、垂直移動体441の挿抜支持部4411に沿って挿抜移動体451を挿抜方向DXに移動させる駆動力を発する駆動モータである。挿抜駆動伝達部453は、挿抜駆動モータ452の駆動力を挿抜移動体451に伝達するための機構である。
【0056】
挿抜移動機構45においては、挿抜移動体451が、挿抜駆動伝達部453から伝達される挿抜駆動モータ452の駆動力に応じて、垂直移動体441の挿抜支持部4411に沿って挿抜方向DXに移動する。挿抜移動体451が移動すると、その移動に応じて、把持部4512によって把持されたフィーダー25が挿抜ガイド部4412上を挿抜方向DXに移動する。
【0057】
フィーダー挿抜装置4においては、挿抜移動機構45が動作を開始する前に、水平移動機構43及び垂直移動機構44が動作する。具体的には、挿抜ガイド部4412が保持部24の下保持レール242と同一直線上に位置するように、水平移動機構43において水平移動支柱体431が水平支持台42上を移動するとともに、垂直移動機構44において垂直移動体441が水平移動支柱体431に沿って移動する。このように、挿抜ガイド部4412が保持部24の下保持レール242と同一直線上に位置した状態で、挿抜移動機構45は、把持部4512によって把持されたフィーダー25を、挿抜移動体451の移動に応じて、挿抜ガイド部4412上を移動させるとともに、保持部24の上保持レール241及び下保持レール242に沿って挿抜方向DXに移動させる。
【0058】
フィーダー25を挿入方向DX1に移動させる場合、挿抜移動機構45は、挿抜ガイド部4412上でフィーダー25を移動させる。その後、挿抜移動機構45は、上位置決めピン256及び下位置決めピン257が上ピン挿通孔243及び下ピン挿通孔244にそれぞれ挿通されるとともに、フィーダー側コネクタ258がユニット側コネクタ245に接続されるまで、上保持レール241及び下保持レール242に沿ってフィーダー25を移動させる。
【0059】
一方、フィーダー25を抜出方向DX2に移動させる場合、挿抜移動機構45は、上ピン挿通孔243及び下ピン挿通孔244に対する上位置決めピン256及び下位置決めピン257の挿通が解除されるとともに、ユニット側コネクタ245に対するフィーダー側コネクタ258の接続が解除されるようにフィーダー25を上保持レール241及び下保持レール242に沿って移動させる。その後、挿抜移動機構45は、挿抜ガイド部4412上に配置されるまでフィーダー25を移動させる。
【0060】
検出部454は、挿抜移動機構45による保持部24に対するフィーダー25の挿抜時において、フィーダー25の移動により当該フィーダー25に加わる負荷の指標となる負荷指標値IVを検出する。本実施形態では、検出部454は、負荷指標値IVとして挿抜駆動モータ452の電流値又は電圧値を検出する。なお、検出部454は、ロードセルなどを用いてフィーダー25に加わる負荷を検出するように構成されていてもよい。
【0061】
検出部454により検出される負荷指標値IVは、保持部24に対する挿抜時にフィーダー25に加わる負荷が大きくなるに従い、大きな値を示す。負荷指標値IVは、保持部24に対するフィーダー25の移動に応じて変化する。挿抜移動機構45によってフィーダー25が挿入方向DX1に移動されるときの負荷指標値IVの変化について、図6のグラフを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、挿抜ガイド部4412上におけるフィーダー25の移動開始位置から、フィーダー25の先端部(上位置決めピン256及び下位置決めピン257が設けられた端部)が保持部24に挿入済みのフィーダー25に到達する位置までの距離を第1距離MD1とする。同様に、フィーダー25の移動開始位置から挿抜ガイド部4412と下保持レール242との境界位置までの距離を第2距離MD2とする。また、フィーダー25の移動開始位置から、上位置決めピン256及び下位置決めピン257が上ピン挿通孔243及び下ピン挿通孔244にそれぞれ挿通される位置までの距離を第3距離MD3とする。
【0062】
図6に示されるように、フィーダー25が挿抜ガイド部4412上を第1距離MD1だけ移動したときに、負荷指標値IVが上昇し始める。このような現象が生じるのは、挿抜ガイド部4412上を移動するフィーダー25の先端部が保持部24に挿入済みのフィーダー25と接触することにより、移動するフィーダー25に加わる負荷が大きくなるためであると考えられる。
【0063】
フィーダー25の第1距離MD1の移動に対応して上昇し始めた負荷指標値IVは、フィーダー5の挿抜ガイド部4412上での更なる移動に伴って下降する。その後、フィーダー25が挿抜ガイド部4412上を第2距離MD2だけ移動したときに、負荷指標値IVが再び上昇し始める。このような現象が生じるのは、フィーダー25の移動をガイドする部分が、挿抜ガイド部4412から保持部24の上保持レール241及び下保持レール242に切り替わることにより、移動するフィーダー25に加わる負荷が大きくなるためであると考えられる。
【0064】
フィーダー25の第2距離MD2の移動に対応して上昇し始めた負荷指標値IVは、フィーダー5の上保持レール241及び下保持レール242に沿った移動に伴って所定の値で一定に推移する。その後、フィーダー25が上保持レール241及び下保持レール242に沿って第3距離MD3だけ移動したときに、負荷指標値IVが再び上昇し始める。このような現象が生じるのは、上位置決めピン256及び下位置決めピン257が上ピン挿通孔243及び下ピン挿通孔244にそれぞれ挿通されることにより、移動するフィーダー25に加わる負荷が大きくなるためであると考えられる。
【0065】
検出部454は、保持部24に対するフィーダー25の移動に応じて変化する負荷指標値IVを、フィーダー25が保持部24に対して挿抜される期間中において検出する。
【0066】
制御部49は、CPU、制御プログラムを記憶するROM、CPUの作業領域として使用されるRAM等から構成されている。制御部49は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより表示部46及び通信部47を制御するとともに、水平移動機構43、垂直移動機構44、挿抜移動機構45の各動作を制御する。制御部49は、機能構成として、水平移動制御部491と、垂直移動制御部492と、挿抜制御部493と、表示制御部494と、閾値設定部495と、通信制御部496とを含む。
【0067】
表示制御部494は、表示部46による各種の情報の表示動作を制御する。通信制御部496は、通信部47による管理装置3とのデータ通信を制御する。
【0068】
水平移動制御部491は、水平移動機構43を制御する。具体的には、水平移動制御部491は、水平駆動モータ432に駆動信号を入力することにより、水平移動支柱体431の水平支持台42上での移動を制御する。垂直移動制御部492は、垂直移動機構44を制御する。具体的には、垂直移動制御部492は、垂直駆動モータ442に駆動信号を入力することにより、垂直移動体441の水平移動支柱体431に沿った移動を制御する。挿抜制御部493は、挿抜移動機構45に駆動信号DSを入力することにより、フィーダー25の保持部24に対する挿抜時の移動を制御する。具体的には、挿抜制御部493は、挿抜駆動モータ452に入力される駆動信号DSを変化させることにより、挿抜移動体451の挿抜支持部4411に沿った移動に応じたフィーダー25の保持部24に対する挿抜時の移動を制御する。つまり、挿抜制御部493は、挿抜駆動モータ452に対する駆動信号DSの入力値を変化させることにより、フィーダー25の保持部24に対する挿抜時の移動を制御する。
【0069】
閾値設定部495は、挿抜制御部493が挿抜駆動モータ452を制御する際に用いる各種の閾値として、許容閾値T1、予兆閾値T2、及び停止閾値T3を設定する。閾値設定部495により設定された各種の閾値は、閾値記憶部481に記憶される。
【0070】
許容閾値T1は、保持部24に対する挿抜時にフィーダー25に加わる負荷の許容範囲の上限に対応した負荷指標値IVの変動許容範囲の上限値を示す閾値である。予兆閾値T2は、負荷指標値IVに関して許容閾値T1よりも小さい値の閾値であって、保持部24に対する挿抜時にフィーダー25に加わる負荷が許容範囲を超える予兆があることを示す閾値である。停止閾値T3は、負荷指標値IVに関して許容閾値T1よりも大きい値の閾値であって、挿抜駆動モータ452の定格電流値又は定格電圧値を基準とした変動許容範囲の上限値を示す閾値である。
【0071】
閾値設定部495は、許容閾値T1については、フィーダー25の保持部24に対する挿抜時における移動速度に応じて設定する。具体的には、閾値設定部495は、フィーダー25の移動速度と相関関係にある挿抜駆動モータ452の回転速度と、負荷指標値IVとしての挿抜駆動モータ452の電流値又は電圧値とを関連付けた関連データに基づいて、許容閾値T1を設定する。閾値設定部495は、フィーダー25の移動速度が遅くなるに従い、許容閾値T1を小さい値に設定する。
【0072】
ここで、フィーダー25の保持部24に対する挿抜時において、フィーダー25の挿抜を妨げるような引っ掛かり等が発生する場合がある(図7A参照)。例えば、フィーダー25が傾いた異常姿勢を取っている場合、或いは、フィーダー25及び保持部24に傷、摩耗、付着異物などの障害が生じている場合には、フィーダー25の挿抜時に引っ掛かり等が発生する虞がある。この場合、保持部24に対してフィーダー25を的確に挿抜することが困難になる虞がある。このため、フィーダー25から的確に部品を供給することが困難となり結果として部品実装機2における部品搭載基板の生産性が低下する虞がある。
【0073】
そこで、本実施形態では、挿抜制御部493は、検出部454により検出された負荷指標値IVに基づいて挿抜駆動モータ452に対する駆動信号DSの入力値を変化させることにより、フィーダー25の保持部24に対する挿抜時の移動を制御する。これにより、フィーダー25に加わる負荷に応じて挿抜駆動モータ452の駆動によるフィーダー25の挿抜時の移動を制御することが可能である。例えば、フィーダー25の挿抜を妨げるような引っ掛かり等が発生することによりフィーダー25に加わる負荷が増大した場合には、その負荷の増大に応じてフィーダー25の挿抜時の移動を制御することが可能である。このため、保持部24に対してフィーダー25を的確に挿抜することができる。この結果、フィーダー25から的確に部品を供給することができるので、部品実装機2における部品搭載基板の生産性が低下する虞を軽減することができる。
【0074】
挿抜制御部493は、検出部454により検出された負荷指標値IVが閾値設定部495により設定された許容閾値T1未満である場合、標準制御を実行する。標準制御において挿抜制御部493は、フィーダー25が挿抜方向DXに沿って移動する標準動作を行うように挿抜駆動モータ452に駆動信号DSを入力し、フィーダー25の保持部24に対する挿抜時の移動を制御する。
【0075】
一方、検出部454により検出された負荷指標値IVが許容閾値T1以上となった場合、挿抜制御部493は、リトライ制御を実行する。リトライ制御において挿抜制御部493は、フィーダー25が挿抜方向DXに沿った移動を停止した後に再度移動するリトライ動作を行うように挿抜駆動モータ452に駆動信号DSを入力し、フィーダー25の保持部24に対する挿抜時の移動を制御する。つまり、負荷指標値IVが許容閾値T1以上となってフィーダー25に加わる負荷が許容範囲の上限に達するような場合には、挿抜制御部493によるリトライ制御の実行によってフィーダー25がリトライ動作を行う。リトライ動作では、負荷指標値IVが許容閾値T1以上となることに応じてフィーダー25の移動が一旦停止された後にフィーダー25の移動が再開される。このようなフィーダー25のリトライ動作によって、フィーダー25に加わる負荷が軽減される可能性を高めることができる。このため、保持部24に対してフィーダー25をより的確に挿抜することができる。
【0076】
挿抜制御部493は、標準動作においてフィーダー25が所定の標準速度で移動するように標準制御を実行する一方、リトライ動作においてはフィーダー25が標準速度よりも遅いリトライ速度で移動するようにリトライ制御を実行する。挿抜制御部493によるリトライ制御の実行によってフィーダー25がリトライ動作を行うときには、フィーダー25が標準速度よりも遅いリトライ速度で移動する。比較的遅い速度で移動するようなフィーダー25のリトライ動作によって、フィーダー25に加わる負荷が軽減される可能性をより高めることができる。このため、保持部24に対してフィーダー25をより的確に挿抜することができる。
【0077】
また、挿抜制御部493は、図7Bに示されるように、リトライ動作においてフィーダー25が、挿抜方向DXにおける挿入方向DX1及び抜出方向DX2のいずれかの一方向側への移動を停止した後、一方向側とは逆側の他方向側に所定の逆走距離だけ移動し、その後、一方向側に再度移動するようにリトライ制御を実行する。図7Bでは、リトライ動作においてフィーダー25が、挿入方向DX1への移動を停止した後、抜出方向DX2に所定の逆走距離だけ移動し、その後、挿入方向DX1に再度移動する例が示されている。このようなフィーダー25のリトライ動作によって、フィーダー25に加わる負荷が軽減される可能性をより高めることができる。このため、保持部24に対してフィーダー25をより的確に挿抜することができる。
【0078】
リトライ動作においてフィーダー25が一方向側に再度移動しているときに、検出部454により検出された負荷指標値IVが許容閾値T1以上となった場合を想定する。この場合、挿抜制御部493は、フィーダー25がリトライ動作を繰り返すように挿抜駆動モータ452に駆動信号DSを入力する。そして、フィーダー25がリトライ動作を繰り返すときには、挿抜制御部493は、各リトライ動作における逆走距離が、リトライ動作の繰り返しが進むに従い長くなるように、挿抜駆動モータ452に駆動信号DSを入力する。これにより、フィーダー25のリトライ動作の繰り返しが進むに従って、フィーダー25に加わる負荷が軽減される可能性を高めることができる。このため、フィーダー25のリトライ動作の繰り返しに応じて、保持部24に対してフィーダー25を的確に挿抜することができる。
【0079】
次に、フィーダー25を保持部24に挿入する挿入時のリトライ動作が繰り返される場合を想定する。具体的には、フィーダー25の挿入時のリトライ動作の繰り返し回数が予め設定された回数閾値T4に到達したときに、検出部454により検出された負荷指標値IVが許容閾値T1以上を維持している場合を想定する。この場合、挿抜制御部493は、リトライ動作の対象の保持部24に対するフィーダー25の挿入を中止するように挿抜駆動モータ452に駆動信号DSを入力する挿入中止制御を実行する。挿抜制御部493による挿入中止制御の実行によって、リトライ動作の対象の保持部24に対するフィーダー25の挿入が中止される。これにより、フィーダー25に過剰な負荷が加わった状態でフィーダー25が保持部24に挿入されることを規制することができる。
【0080】
挿入中止制御において挿抜制御部493は、リトライ動作の対象の保持部24に対するフィーダー25の挿入を中止することを示す挿入中止情報DI1を出力する。挿抜制御部493から出力された挿入中止情報DI1は、表示制御部494により利用される。表示制御部494は、挿入中止情報DI1を表示するように表示部46を制御する。オペレーターは、表示部46に表示された挿入中止情報DI1を確認することにより、保持部24に対するフィーダー25の挿入が中止されたことを把握することができる。
【0081】
挿入中止制御の実行後において挿抜制御部493は、代替挿入制御を実行する。この代替挿入制御においては、挿抜制御部493は、部品実装機2の部品供給ユニット23における複数の保持部24のうち、フィーダー25の挿入を中止する対象の保持部24を代替してフィーダー25の挿入が可能な代替保持部が存在するか否かを判断する。具体的には、挿抜制御部493は、複数の保持部24のうち、配置記憶部482に記憶される配置データD1で示される保持部24以外の保持部24であって、フィーダー25が挿入されていない代替保持部が存在するか否かを判断する。代替保持部が存在する場合、挿抜制御部493は、フィーダー25が代替保持部に対して挿入方向DX1に移動するように挿抜駆動モータ452に駆動信号DSを入力する。なお、代替保持部が複数存在する場合、挿抜制御部493は、フィーダー25の挿入が中止された保持部24に最も近い位置の代替保持部に対して挿入方向DX1に移動するように挿抜駆動モータ452に駆動信号DSを入力する。これにより、代替保持部にフィーダー25が挿入された場合には、そのフィーダー25から部品を供給することができる。
【0082】
代替挿入制御において代替保持部が存在しない場合には、挿抜制御部493は、その旨を示す代替不能情報DI2を出力する。挿抜制御部493から出力された代替不能情報DI2は、表示制御部494により利用される。表示制御部494は、代替不能情報DI2を表示するように表示部46を制御する。オペレーターは、表示部46に表示された代替不能情報DI2を確認することにより、保持部24に対する挿入が中止されたフィーダー25を挿入可能な代替保持部が存在しない状況を把握することができる。
【0083】
ここで、保持部24に対する挿抜時においてフィーダー25に加わる負荷は、フィーダー25の移動速度に応じて変化する場合がある。このため、フィーダー25に加わる負荷の指標となる負荷指標値IVについても、フィーダー25の移動速度に応じて変化する場合がある。そこで、既述の通り、閾値設定部495は、挿抜制御部493による挿抜駆動モータ452の制御の際に用いられる許容閾値T1を、フィーダー25の挿抜時の移動速度に応じて設定する。具体的には、閾値設定部495は、フィーダー25の移動速度が遅くなるに従い、許容閾値T1を小さい値に設定する。これにより、挿抜制御部493は、フィーダー25の移動速度に応じて設定された許容閾値T1と負荷指標値IVとの比較に基づいて、挿抜駆動モータ452の駆動によるフィーダー25の挿抜時の移動をより適切に制御することが可能である。このため、保持部24に対してフィーダー25を的確に挿抜することができる。
【0084】
次に、検出部454により検出された負荷指標値IVが許容閾値T1未満であって、且つ、閾値設定部495により設定された予兆閾値T2以上である場合を想定する。この場合、挿抜制御部493は、挿抜駆動モータ452の駆動によるフィーダー25の移動に応じた保持部24に対する挿抜時において、フィーダー25に加わる負荷が許容範囲を超える予兆があることを示す予兆情報DI3を出力する。挿抜制御部493から出力された予兆情報DI3は、表示制御部494により利用される。表示制御部494は、予兆情報DI3を表示するように表示部46を制御する。オペレーターは、表示部46に表示された予兆情報DI3を確認することにより、フィーダー25に加わる負荷が許容範囲を超える予兆がある状況を把握することができる。
【0085】
挿抜制御部493は、予兆情報DI3を出力する際に、履歴情報を記憶部48に記録させるように構成されていてもよい。履歴情報は、予兆情報DI3の出力に対応する情報であって、挿抜移動機構45による移動対象のフィーダー25を特定するためのフィーダー特定情報、フィーダー25の挿抜対象の保持部24を特定するための保持部特定情報、挿抜移動機構45の動作状況を示す挿抜動作情報などを含む。オペレーターは、履歴情報を利用することにより、予兆情報DI3の出力の要因を検討することが可能である。オペレーターは、例えば、挿抜時にフィーダー25が傾いた異常姿勢を取っていたか、或いは、フィーダー25及び保持部24に傷、摩耗、付着異物などの障害が生じていたか、などを検討することが可能である。
【0086】
次に、検出部454により検出された負荷指標値IVが、閾値設定部495により設定された停止閾値T3以上である場合を想定する。この場合、挿抜制御部493は、挿抜駆動モータ452の駆動を停止させる。負荷指標値IVが停止閾値T3以上となったときには、挿抜駆動モータ452の定格電流値又は定格電圧値を基準とした変動許容範囲の上限値を超えて挿抜駆動モータ452が駆動している。このような場合に挿抜駆動モータ452の駆動を停止させることにより、挿抜駆動モータ452が故障する虞を軽減することができる。
【0087】
次に、フィーダー挿抜装置4の動作について、図8A及び図8Bのフローチャートを参照して詳細に説明する。ここでは、フィーダー25を保持部24に挿入する際のフィーダー挿抜装置4の動作について説明する。
【0088】
管理装置3から送信された配置データD1を通信部47が受信することにより、フィーダー挿抜装置4の動作が開始される。フィーダー挿抜装置4は、実装機本体21に設けられた目印部211を位置検出センサ412によって検出することにより、部品供給ユニット23における複数の保持部24の各々の位置に移動する。そして、挿抜ガイド部4412が保持部24の下保持レール242と同一直線上に位置するように、水平移動制御部491が水平移動機構43を制御するとともに、垂直移動制御部492が垂直移動機構44を制御する。これにより、挿抜移動機構45の把持部4512によって把持されたフィーダー25が、保持部24に対して挿入を開始するための挿入開始位置に移動される(ステップS1)。
【0089】
フィーダー25が挿入開始位置に配置されると、挿抜制御部493は、検出部454により検出された負荷指標値IVに基づいて標準制御を実行する(ステップS2)。標準制御において挿抜制御部493は、フィーダー25が挿入方向DX1に沿って移動する標準動作を行うように挿抜駆動モータ452に駆動信号DSを入力する。このような標準制御において挿抜制御部493は、負荷指標値IVが予兆閾値T2以上であるか否かを判断する(ステップS3)。負荷指標値IVが予兆閾値T2以上である場合(ステップS3でYESの場合)、挿抜制御部493は、予兆情報DI3を出力する(ステップS4)。挿抜制御部493から出力された予兆情報DI3は、表示部46に表示される。
【0090】
標準制御において挿抜制御部493は、負荷指標値IVが許容閾値T1以上であるか否かを判断する(ステップS5)。負荷指標値IVが許容閾値T1未満である場合(ステップS5でNOの場合)、挿抜制御部493は、標準制御を継続し、フィーダー25の保持部24への挿入が完了したか否かを判断する(ステップS100)。フィーダー25の挿入が完了した場合には、フィーダー挿抜装置4の動作は終了する。
【0091】
負荷指標値IVが許容閾値T1以上である場合(ステップS5でYESの場合)、挿抜制御部493は、リトライ制御を実行する(ステップS6)。リトライ制御において挿抜制御部493は、フィーダー25がリトライ動作を行うように挿抜駆動モータ452の駆動を制御する。挿抜制御部493は、リトライ動作においてフィーダー25が挿入方向DX1に再度移動しているときに、負荷指標値IVが許容閾値T1以上となったか否かを判断する(ステップS7)。負荷指標値IVが許容閾値T1未満である場合(ステップS7でNOの場合)、挿抜制御部493は、ステップS100に処理を移行し、リトライ動作によってフィーダー25の保持部24への挿入が完了したか否かを判断する。フィーダー25の挿入が完了した場合には、フィーダー挿抜装置4の動作は終了する。
【0092】
負荷指標値IVが許容閾値T1以上である場合(ステップS7でYESの場合)、挿抜制御部493は、リトライ制御を繰り返し実行する(ステップS8)。挿抜制御部493は、繰り返される各リトライ動作においてフィーダー25が挿入方向DX1に再度移動しているときに、負荷指標値IVが許容閾値T1以上となったか否かを判断する(ステップS9)。負荷指標値IVが許容閾値T1未満である場合(ステップS9でNOの場合)、挿抜制御部493は、ステップS100に処理を移行し、リトライ動作の繰り返しによってフィーダー25の保持部24への挿入が完了したか否かを判断する。フィーダー25の挿入が完了した場合には、フィーダー挿抜装置4の動作は終了する。
【0093】
負荷指標値IVが許容閾値T1以上である場合(ステップS9でYESの場合)、挿抜制御部493は、フィーダー25の挿入時のリトライ動作の繰り返し回数が回数閾値T4に到達したか否かを判断する(ステップS10)。リトライ動作の繰り返し回数が回数閾値T4に到達した場合(ステップS10でYESの場合)、挿抜制御部493は、挿入中止制御を実行する(ステップS11)。挿入中止制御において挿抜制御部493は、リトライ動作の対象の保持部24に対するフィーダー25の挿入を中止するように挿抜駆動モータ452に駆動信号DSを入力する。この際、挿抜制御部493は、挿入中止情報DI1を出力する(ステップS12)。挿抜制御部493から出力された挿入中止情報DI1は、表示部46に表示される。
【0094】
挿入中止制御の実行後において挿抜制御部493は、保持部24に対する挿入を中止するフィーダー25の挿入が可能な代替保持部が存在するか否かを判断する(ステップS13)。代替保持部が存在しない場合(ステップS13でNOの場合)には、挿抜制御部493は、その旨を示す代替不能情報DI2を出力する(ステップS131)。
【0095】
代替保持部が存在する場合(ステップS13でYESの場合)には、挿抜制御部493は、代替挿入制御を実行する(ステップS14)。代替挿入制御において挿抜制御部493は、フィーダー25が代替保持部に対して挿入方向DX1に移動するように挿抜駆動モータ452に駆動信号DSを入力する。そして、挿抜制御部493は、フィーダー25の代替保持部への挿入が完了したか否かを判断する(ステップS15)。フィーダー25の代替保持部への挿入が完了した場合には、フィーダー挿抜装置4の動作は終了する。
【0096】
以上説明したように、本実施形態に係るフィーダー挿抜装置4においては、挿抜制御部493は、検出部454により検出された負荷指標値IVに基づいて挿抜駆動モータ452に対する駆動信号DSの入力値を変化させることにより、フィーダー25の保持部24に対する挿抜時の移動を制御する。これにより、フィーダー25に加わる負荷に応じて挿抜駆動モータ452の駆動によるフィーダー25の挿抜時の移動を制御することが可能である。このため、保持部24に対してフィーダー25を的確に挿抜することができる。
【0097】
部品実装システム1は、部品実装機2における複数の保持部24に対してフィーダー25を的確に挿抜することが可能なフィーダー挿抜装置4を備えている。これにより、保持部24に挿入されたフィーダー25から的確に部品を供給することができるので、部品実装機2における部品搭載基板の生産性が低下する虞を軽減することができる。
【0098】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0099】
本発明の一の局面に係るフィーダー挿抜装置は、部品を基板に搭載する部品実装機における、部品を供給するフィーダーを保持可能な複数の保持部の各々に対して、前記フィーダーを挿抜するための装置である。このフィーダー挿抜装置は、前記フィーダーを前記保持部に対し挿抜方向に沿って移動させる挿抜移動機構と、前記挿抜移動機構による前記保持部に対する前記フィーダーの挿抜時において、前記フィーダーの移動により前記フィーダーに加わる負荷の指標となる負荷指標値を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記負荷指標値に基づいて前記挿抜移動機構に駆動信号を入力することにより、前記フィーダーの前記保持部に対する挿抜時の移動を制御する挿抜制御部と、を備える。
【0100】
このフィーダー挿抜装置によれば、挿抜制御部によって制御された挿抜移動機構がフィーダーを挿抜方向に移動させることにより、部品実装機における複数の保持部の各々に対してフィーダーを挿抜する。この際、挿抜制御部は、保持部に対する挿抜時にフィーダーに加わる負荷の指標となる負荷指標値に基づいて、挿抜移動機構に駆動信号を入力する。これにより、フィーダーに加わる負荷に応じて挿抜移動機構によるフィーダーの挿抜時の移動を制御することが可能である。例えば、フィーダーの挿抜を妨げるような引っ掛かり等が発生することによりフィーダーに加わる負荷が増大した場合には、その負荷の増大に応じてフィーダーの挿抜時の移動を制御することが可能である。このため、保持部に対してフィーダーを的確に挿抜することができる。この結果、フィーダーから的確に部品を供給することができるので、部品実装機における部品搭載基板の生産性が低下する虞を軽減することができる。
【0101】
上記のフィーダー挿抜装置において、前記挿抜移動機構は、前記フィーダーを前記挿抜方向に沿って移動させる駆動力を発する駆動モータを含み、前記検出部は、前記負荷指標値として前記駆動モータの電流値又は電圧値を検出し、前記挿抜制御部は、前記駆動モータに入力される駆動信号を変化させることにより、前記フィーダーの前記保持部に対する挿抜時の移動を制御する構成であってもよい。
【0102】
この態様では、検出部は、挿抜制御部が駆動モータに対する駆動信号の入力値を変化させる際に用いられる負荷指標値として、駆動モータの電流値又は電圧値を検出する。これにより、検出部は、ロードセルなどの負荷検出用のセンサを使用することなく負荷指標値を検出することができる。
【0103】
上記のフィーダー挿抜装置において、前記挿抜制御部は、前記検出部により検出された前記負荷指標値が予め設定された許容閾値未満である場合、前記フィーダーが前記挿抜方向に沿って移動する標準動作を行うように前記挿抜移動機構に駆動信号を入力し、挿抜時における前記フィーダーの移動を制御する標準制御を実行し、前記検出部により検出された前記負荷指標値が前記許容閾値以上となった場合、前記フィーダーが前記挿抜方向に沿った移動を停止した後に再度移動するリトライ動作を行うように前記挿抜移動機構に駆動信号を入力し、挿抜時における前記フィーダーの移動を制御するリトライ制御を実行する構成であってもよい。
【0104】
この態様では、挿抜制御部は、負荷指標値が許容閾値未満である場合にフィーダーが標準動作を行うように標準制御を実行する一方、負荷指標値が許容閾値以上となった場合にはフィーダーがリトライ動作を行うようにリトライ制御を実行する。つまり、負荷指標値が許容閾値以上となってフィーダーに加わる負荷が許容範囲の上限に達するような場合には、挿抜制御部によるリトライ制御の実行によってフィーダーがリトライ動作を行う。リトライ動作では、負荷指標値が許容閾値以上となることに応じてフィーダーの移動が一旦停止された後にフィーダーの移動が再開される。このようなフィーダーのリトライ動作によって、フィーダーに加わる負荷が軽減される可能性を高めることができる。このため、保持部に対してフィーダーをより的確に挿抜することができる。
【0105】
上記のフィーダー挿抜装置において、前記挿抜制御部は、前記リトライ動作において前記フィーダーが、前記挿抜方向における挿入方向及び抜出方向のいずれかの一方向側への移動を停止した後、前記一方向側とは逆側の他方向側に所定の逆走距離だけ移動し、その後、前記一方向側に再度移動するように前記リトライ制御を実行する構成であってもよい。
【0106】
この態様では、挿抜制御部によるリトライ制御の実行によってフィーダーがリトライ動作を行うときには、フィーダーの一方向側への移動が一旦停止された後、フィーダーが一方向とは逆側の他方向に移動し、その後、フィーダーの一方向側への移動が再開される。このようなフィーダーのリトライ動作によって、フィーダーに加わる負荷が軽減される可能性をより高めることができる。このため、保持部に対してフィーダーをより的確に挿抜することができる。
【0107】
上記のフィーダー挿抜装置において、前記挿抜制御部は、前記標準動作において前記フィーダーが所定の標準速度で移動するように前記標準制御を実行する一方、前記リトライ動作においては前記フィーダーが前記標準速度よりも遅いリトライ速度で移動するように前記リトライ制御を実行する構成であってもよい。
【0108】
この態様では、挿抜制御部によるリトライ制御の実行によってフィーダーがリトライ動作を行うときには、フィーダーが標準速度よりも遅いリトライ速度で移動する。比較的遅い速度で移動するようなフィーダーのリトライ動作によって、フィーダーに加わる負荷が軽減される可能性をより高めることができる。このため、保持部に対してフィーダーをより的確に挿抜することができる。
【0109】
上記のフィーダー挿抜装置において、前記挿抜制御部は、前記リトライ動作において前記フィーダーが前記一方向側に再度移動しているときに、前記検出部により検出された前記負荷指標値が前記許容閾値以上となった場合、前記フィーダーが前記リトライ動作を繰り返すように前記挿抜移動機構に駆動信号を入力し、前記フィーダーが前記リトライ動作を繰り返すときには、各リトライ動作における前記逆走距離が、前記リトライ動作の繰り返しが進むに従い長くなるように、前記挿抜移動機構に駆動信号を入力する構成であってもよい。
【0110】
この態様では、挿抜制御部によるリトライ制御の実行によってフィーダーがリトライ動作を繰り返し行うときには、フィーダーの逆走距離がリトライ動作の繰り返しが進むに従い長くなるように設定される。これにより、フィーダーのリトライ動作の繰り返しが進むに従って、フィーダーに加わる負荷が軽減される可能性を高めることができる。このため、フィーダーのリトライ動作の繰り返しに応じて、保持部に対してフィーダーを的確に挿抜することができる。
【0111】
上記のフィーダー挿抜装置において、前記挿抜制御部は、前記フィーダーの前記リトライ動作として前記挿入方向を前記一方向とするリトライ動作の繰り返し回数が予め設定された回数閾値に到達したときに、前記検出部により検出された前記負荷指標値が前記許容閾値以上を維持している場合、前記リトライ動作の対象の保持部に対する前記フィーダーの挿入を中止するように前記挿抜移動機構に駆動信号を入力する挿入中止制御を実行する構成であってもよい。
【0112】
この態様では、フィーダーを保持部に挿入する挿入時のリトライ動作の繰り返し回数が所定の回数閾値に到達したときに、負荷指標値が許容閾値以上を維持している場合、挿抜制御部は、挿入中止制御を実行する。挿抜制御部による挿入中止制御の実行によって、リトライ動作の対象の保持部に対するフィーダーの挿入が中止される。これにより、フィーダーに過剰な負荷が加わった状態でフィーダーが保持部に挿入されることを規制することができる。
【0113】
上記のフィーダー挿抜装置において、前記挿抜制御部は、前記挿入中止制御の実行後において、複数の前記保持部のうち、前記フィーダーの挿入を中止する対象の保持部を代替して前記フィーダーの挿入が可能な代替保持部が存在するか否かを判断し、前記代替保持部が存在する場合には、前記フィーダーが前記代替保持部に対して前記挿入方向に移動するように前記挿抜移動機構に駆動信号を入力する代替挿入制御を実行する構成であってもよい。
【0114】
この態様では、保持部に対する挿入が中止されたフィーダーを挿入可能な代替保持部が存在する場合、挿抜制御部は、代替保持部に対してフィーダーを挿入するための代替挿入制御を実行する。これにより、代替保持部にフィーダーが挿入された場合には、そのフィーダーから部品を供給することができる。
【0115】
上記のフィーダー挿抜装置において、前記挿抜制御部は、前記代替挿入制御において、前記代替保持部が存在しない場合には、その旨を示す代替不能情報を出力する構成であってもよい。
【0116】
この態様では、保持部に対する挿入が中止されたフィーダーを挿入可能な代替保持部が存在しない場合、挿抜制御部は、代替不能情報を出力する。挿抜制御部から出力された代替不能情報を利用することにより、例えば、代替保持部が存在しない状況をオペレーターに把握させることが可能である。
【0117】
上記のフィーダー挿抜装置において、前記挿抜制御部は、前記挿入中止制御において、前記リトライ動作の対象の保持部に対する前記フィーダーの挿入を中止することを示す挿入中止情報を出力する構成であってもよい。
【0118】
この態様では、挿抜制御部は、挿入中止制御において挿入中止情報を出力する。挿抜制御部から出力された挿入中止情報を利用することにより、例えば、保持部に対するフィーダーの挿入を中止する状況をオペレーターに把握させることが可能である。
【0119】
上記のフィーダー挿抜装置において、前記挿抜制御部は、前記検出部により検出された前記負荷指標値が前記許容閾値未満であって、且つ、予め設定された予兆閾値以上である場合、前記挿抜移動機構による前記フィーダーの移動に応じた前記保持部に対する挿抜時において、前記フィーダーに加わる負荷が許容範囲を超える予兆があることを示す予兆情報を出力する構成であってもよい。
【0120】
この態様では、挿抜制御部は、負荷指標値が許容閾値未満且つ予兆閾値以上である場合に、予兆情報を出力する。挿抜制御部から出力された予兆情報を利用することにより、例えば、フィーダーに加わる負荷が許容範囲を超える予兆がある状況をオペレーターに把握させることが可能である。
【0121】
上記のフィーダー挿抜装置において、前記挿抜制御部から出力された情報を表示するための表示部を、更に備える構成であってもよい。
【0122】
この態様では、表示部は、挿抜制御部から出力された情報を表示する。オペレーターは、表示部に表示された情報を確認することにより、フィーダー挿抜装置によるフィーダーの保持部に対する挿抜の状況を把握することができる。
【0123】
上記のフィーダー挿抜装置において、前記フィーダーの前記保持部に対する挿抜時における移動速度に応じて前記許容閾値を設定する閾値設定部を、更に備える構成であってもよい。
【0124】
保持部に対する挿抜時においてフィーダーに加わる負荷は、フィーダーの移動速度に応じて変化する場合がある。このため、フィーダーに加わる負荷の指標となる負荷指標値についても、フィーダーの移動速度に応じて変化する場合がある。そこで、閾値設定部は、挿抜制御部による挿抜移動機構の制御の際に用いられる許容閾値を、フィーダーの挿抜時の移動速度に応じて設定する。これにより、挿抜制御部は、フィーダーの移動速度に応じて設定された許容閾値と負荷指標値との比較に基づいて、挿抜移動機構によるフィーダーの挿抜時の移動をより適切に制御することが可能である。このため、保持部に対してフィーダーを的確に挿抜することができる。
【0125】
本発明の他の局面に係る部品実装システムは、部品を供給するフィーダーを保持可能な複数の保持部を有し、前記フィーダーにより供給される部品を基板に搭載する部品実装機と、複数の前記保持部の各々に対して前記フィーダーを挿抜するための、上記のフィーダー挿抜装置と、を備える。
【0126】
この部品実装システムによれば、部品実装機における複数の保持部に対してフィーダーを的確に挿抜することが可能なフィーダー挿抜装置を備えている。これにより、保持部に挿入されたフィーダーから的確に部品を供給することができるので、部品実装機における部品搭載基板の生産性が低下する虞を軽減することができる。
【0127】
以上説明した通り、本発明によれば、部品実装機における複数の保持部に対してフィーダーを的確に挿抜することが可能なフィーダー挿抜装置、及びそれを備えた部品実装システムを提供することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B