(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】粉末モルタル用組成物、および特にスパックル混合物として使用するための粉末モルタル
(51)【国際特許分類】
C04B 26/28 20060101AFI20240312BHJP
C04B 14/28 20060101ALI20240312BHJP
C04B 14/18 20060101ALI20240312BHJP
C04B 14/20 20060101ALI20240312BHJP
C04B 14/22 20060101ALI20240312BHJP
C04B 14/26 20060101ALI20240312BHJP
C04B 24/38 20060101ALI20240312BHJP
C04B 26/04 20060101ALI20240312BHJP
C04B 26/06 20060101ALI20240312BHJP
C04B 26/20 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C04B26/28
C04B14/28
C04B14/18
C04B14/20 Z
C04B14/20 A
C04B14/22
C04B14/26
C04B24/38 C
C04B26/04 B
C04B26/06
C04B26/20
(21)【出願番号】P 2020555027
(86)(22)【出願日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019000016
(87)【国際公開番号】W WO2019206444
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-01-12
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510094539
【氏名又は名称】クナウフ ギプス カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ディーツ、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】フォートナー、ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】バーネス、クラウス-ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ベイヤー、マンフレッド
(72)【発明者】
【氏名】マイアー、アヒム
(72)【発明者】
【氏名】ケプラー、リンダ
(72)【発明者】
【氏名】リュッケル、アンネ
【審査官】大西 美和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05679145(US,A)
【文献】国際公開第2018/011178(WO,A1)
【文献】特開2006-342052(JP,A)
【文献】特開2005-272202(JP,A)
【文献】特開2000-219554(JP,A)
【文献】特開昭61-247650(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02942336(EP,A1)
【文献】特開2017-160090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00-32/02
C04B 40/00-40/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の充填剤、1種以上の結合剤、および1種以上の増粘剤を含む組成物であって、前記1種以上の結合剤のうちの少なくとも1種が
エーテル化澱粉ではない澱粉であり、前記1種以上の増粘剤のうちの少なくとも1種がエーテル化澱粉である、組成物を含む粉末モルタル。
【請求項2】
前記組成物が、さらなる添加剤を含む、請求項1に記載の粉末モルタル。
【請求項3】
前記澱粉が、ジャガイモ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、エンドウ澱粉、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項1または2に記載の粉末モルタル。
【請求項4】
前記澱粉が、小麦澱粉、および/もしくはジャガイモ澱粉、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項3に記載の粉末モルタル。
【請求項5】
前記澱粉が、天然澱粉、アルファ化澱粉、押し出し澱粉、噴霧調理澱粉、噴霧乾燥澱粉、ドラム乾燥澱粉、冷水可溶性澱粉、冷水膨潤性澱粉、アニール澱粉、酸化澱粉、架橋澱粉、エステル化澱粉、または非変性天然澱粉からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項6】
前記澱粉が、アルファ化澱粉、冷水膨潤性澱粉、酸化澱粉、または天然澱粉からなる群から選択される、請求項5に記載の粉末モルタル。
【請求項7】
前記澱粉が、全組成物の0.5重量%超~7重量%未満の量で存在する、請求項1~6のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項8】
前記澱粉が、全組成物の0.6重量%超~5重量%未満の量で存在する、請求項7に記載の粉末モルタル。
【請求項9】
前記澱粉が、全組成物の0.7重量%超~3重量%未満の量で存在する、請求項8に記
載の粉末モルタル。
【請求項10】
前記澱粉が、天然のアルファ化澱粉、酸化澱粉、またはアルファ化澱粉である、請求項1~9のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項11】
前記澱粉が、天然のアルファ化小麦澱粉、天然のアルファ化冷水膨潤性澱粉、酸化冷水膨潤性小麦澱粉、またはアルファ化冷水膨潤性小麦澱粉である、請求項10に記載の粉末モルタル。
【請求項12】
前記澱粉が、15,000g/mol~200,000,000g/molの平均分子量M
Wを有する1種以上の多糖類を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項13】
前記澱粉が、20,000g/mol~150,000,000g/molの平均分子量M
Wを有する1種以上の多糖類を含む、請求項12に記載の粉末モルタル。
【請求項14】
前記澱粉が、30,000g/mol~100,000,000g/molの平均分子量M
Wを有する1種以上の多糖類を含む、請求項13に記載の粉末モルタル。
【請求項15】
前記澱粉が、50,000g/mol~50,000,000g/molの平均分子量M
Wを有する1種以上の多糖類を含む、請求項14に記載の粉末モルタル。
【請求項16】
前記1種以上の充填剤が、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、硫酸カルシウム、パーライト、膨張パーライト、炭酸マグネシウム、ガラス、雲母、および樹脂マイクロビーズ、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~15のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項17】
前記1種以上の充填剤が、炭酸カルシウム、および/または炭酸カルシウムマグネシウムからなる群から選択される、請求項16に記載の粉末モルタル。
【請求項18】
前記エーテル化澱粉が、一般式C
nH
2nO(n=2~5)を有するアルキレンオキシドでエーテル化されている、
および/または
前記エーテル化澱粉が、アルファ化エーテル化澱粉、押出エーテル化澱粉、噴霧調理エーテル化澱粉、噴霧乾燥エーテル化澱粉、ドラム乾燥エーテル化澱粉、冷水可溶性エーテル化澱粉、冷水膨潤性エーテル化澱粉、アニールエーテル化澱粉、酸化エーテル化澱粉、架橋エーテル化澱粉、またはエステル化エーテル化澱粉である、請求項1~17のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項19】
前記エーテル化澱粉が、プロピレンオキシドでエーテル化されている、
および/または
前記エーテル化澱粉が、アルファ化エーテル化澱粉または架橋エーテル化澱粉である、請求項18に記載の粉末モルタル。
【請求項20】
前記エーテル化澱粉が、エーテル化ジャガイモ澱粉、エーテル化小麦澱粉、エーテル化米澱粉、エーテル化コーンスターチ、エーテル化タピオカ澱粉、エーテル化エンドウ澱粉、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項1~19のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項21】
前記エーテル化澱粉が、エーテル化小麦澱粉、および/もしくはエーテル化ジャガイモ
澱粉、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項20に記載の粉末モルタル。
【請求項22】
前記エーテル化澱粉が、アルファ化エーテル化澱粉である、請求項1~21のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項23】
前記エーテル化澱粉が、アルファ化架橋エーテル化澱粉である、請求項22に記載の粉末モルタル。
【請求項24】
前記エーテル化澱粉が、アルファ化架橋エーテル化ジャガイモ澱粉である、請求項23に記載の粉末モルタル。
【請求項25】
前記エーテル化澱粉が、前記組成物中に、全組成物の0.01重量%超~5重量%未満の量で存在する、請求項1~24のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項26】
前記エーテル化澱粉が、前記組成物中に、全組成物の0.02重量%超~4重量%未満の量で存在する、請求項25に記載の粉末モルタル。
【請求項27】
前記エーテル化澱粉が、前記組成物中に、全組成物の0.03重量%超~3重量%未満の量で存在する、請求項26に記載の粉末モルタル。
【請求項28】
前記エーテル化澱粉が、前記組成物中に、全組成物の0.04重量%超~2重量%未満の量で存在する、請求項27に記載の粉末モルタル。
【請求項29】
前記組成物が、少なくとも2種の増粘剤を含み、前記少なくとも2種の増粘剤が、エーテル化澱粉と、セルロースエーテル、セルロース系ガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストランスルホン酸塩、キトサン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、カラギーナン、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびメチルヒドロキシルプロピルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、または架橋ポリエチレンオキシドからなる群から選択されるさらなる増粘剤と、である、請求項1~28のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項30】
前記さらなる増粘剤が、セルロースエーテルまたはポリアクリルアミドから選択される、請求項29に記載の粉末モルタル。
【請求項31】
前記組成物が、少なくとも3種の増粘剤を含み、前記少なくとも3種の増粘剤が、エーテル化澱粉と、セルロースエーテル、セルロース系ガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストランスルホン酸塩、キトサン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、カラギーナン、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびメチルヒドロキシルプロピルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、または架橋ポリエチレンオキシドからなる群から選択される2種のさらなる増粘剤と、である、請求項1~30のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項32】
前記2種のさらなる増粘剤が、セルロースエーテルおよびポリアクリルアミドから選択
される、請求項31に記載の粉末モルタル。
【請求項33】
前記組成物が、少なくとも2種の結合剤を含み、前記少なくとも2種の結合剤が、
エーテル化澱粉ではない澱粉およびさらなる結合剤であり、前記さらなる結合剤が、無機結合剤または有機結合剤である、請求項1~32のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項34】
前記組成物が、少なくとも2種の結合剤を含み、前記少なくとも2種の結合剤が、
エーテル化澱粉ではない澱粉と、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリアクリレート、およびポリビニルアルコールからなる群から選択されるさらなる有機結合剤と、である、または、
エーテル化澱粉ではない2種の澱粉である、請求項1~33のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項35】
前記さらなる有機結合剤が、ポリ酢酸ビニルまたはポリエチレン酢酸ビニルから選択される、請求項34に記載の粉末モルタル。
【請求項36】
前記組成物が、充填剤、
エーテル化澱粉ではない澱粉、エーテル化澱粉、およびセルロースエーテルからなる、請求項1~35のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項37】
前記組成物が、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリアクリレートもしくはポリビニルアルコールおよび/またはポリアクリルアミドをさらに含む、請求項36に記載の粉末モルタル。
【請求項38】
スパックル混合物として使用するための、請求項1~37のいずれか1項に記載の粉末モルタル。
【請求項39】
請求項1~37のいずれか1項に記載の粉末モルタルにおける
エーテル化澱粉と組み合わせた
エーテル化澱粉ではない澱粉の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末モルタル用組成物、および特にスパックル混合物として使用するための粉末モルタルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、粉末モルタルおよびペースト状モルタルの2種のモルタル系が知られている。それらは、継ぎ目を充填するか、または凹凸を滑らかにするために壁などの表面に塗布されること、その上に塗布される別の層のためのプライマー層としてさらに機能することで知られている。粉末モルタル(または粉末充填剤)は、例えば、まだ水を含有していないため、使用される場所により容易に移送され得る有益性を有し、さらに、それらは、処理特性が変更されたり劣化したりすることなく、数か月間保管され得る。
【0003】
モルタルは、一般的に少なくとも1種の結合成分(または結合剤)、および少なくとも1種の充填剤を含むが、多くの場合他の添加剤が含まれる。結合剤は、充填剤材料の成分を結合し、充填剤を壁などのような基材に接着結合する機能を有する。技術水準では、異なる種類の結合剤、例えばセメント、硫酸カルシウム半水和物、または石灰などの、例えば無機結合剤、または例えばポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリアクリレート、またはポリビニルアルコールなどの有機ポリマー結合剤が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の有機ポリマー結合剤(分散粉末としても知られている)は、環境的に持続可能な資源ではなく、かなり高価である。
【0005】
ポリ酢酸ビニルなどの分散粉末と比較して、一方では、有機結合剤としての澱粉は、生成コストが低く、再生可能で環境的に持続可能な資源であるという有益性を有する。
【0006】
澱粉(またはアミラム(amylum))は、通常、アミロースおよびアミロペクチンの2種の異なる多糖類から構成されており、アミロペクチンは、アミロースと比較してはるかに大きいが、どちらもα-D-グルコース単位から構成されている。違いは、アミロペクチンが、1-4-および1-6-グリコシド結合によって結合されたα-D-グルコース単位から構成されているのに対して、アミロースは、1-4-グリコシド結合のみによって結合されたα-D-グルコース単位から構成されていることである。したがって、アミロペクチンは、アミロースよりもはるかに分岐しているため、澱粉中の分子がはるかに大きい。通常、アミロペクチンの重量による量は、澱粉中のアミロースの重量による量と比較して少なくとも2倍である(例えば、70重量%のアミロペクチンに対して30重量%アミロース)。しかしながら、これは澱粉によって異なり得る。ワキシー澱粉として既知の、アミロースを含まず主としてアミロペクチン澱粉を有する栽培植物品種である澱粉も存在する。一般的に、澱粉は、様々な植物(ジャガイモ、トウモロコシ、小麦、米、キャッサバ根(タピオカ)、エンドウなど)から入手され得るため、様々な特性(様々なアミロース/アミロペクチン比から始まる)を有する。さらに、澱粉は、非変性天然澱粉として、または様々な方法(例えば、物理的、化学的、または酵素的)で変性されて使用され得る。
【0007】
物理的変性によれば、例えば、アルファ化澱粉、押し出し澱粉、噴霧調理澱粉、噴霧乾燥澱粉、ドラム乾燥澱粉、もしくはアニール澱粉、またはこれらの任意の組み合わせがあるが、これらに限定されない。もちろん、澱粉の異なる変性は、例えば、冷水可溶性澱粉または冷水膨潤性(CWS)澱粉などの澱粉の異なる特性をもたらす。
【0008】
一方、利用可能なヒドロキシル基での澱粉の化学変性は、例えば、酸化澱粉、架橋澱粉、エーテル化澱粉、もしくはエステル化澱粉、またはこれらの任意の組み合わせをもたらし得るが、これらに限定されない。
【0009】
しかしながら、少なくともエーテル化およびエステル化後の澱粉は、通常、結合剤としてはみなされない。したがって、本発明において、エーテル化およびエステル化澱粉は、それらの特性がそれらを結合剤としてよりも増粘剤としてより有用にするので、結合剤としてではなく増粘剤として分類されることに留意しなければならない。
【0010】
しかしながら、エーテル化澱粉でさえさらに変性されて、例えば、アルファ化エーテル化澱粉、押出エーテル化澱粉、噴霧調理エーテル化澱粉、噴霧乾燥エーテル化澱粉、ドラム乾燥エーテル化澱粉、冷水可溶性エーテル化澱粉、冷水膨潤性(CWS)エーテル化澱粉、アニールエーテル化澱粉、酸化エーテル化澱粉、架橋エーテル化澱粉、もしくはエステル化エーテル化澱粉、またはこれらの任意の組み合わせをもたらし得るが、これらに限定されないことに留意しなければならない。いずれにしても、最初にどの変性が実行される必要があるかは優先されない。さらに、いくつかの変性が同時に実行されることも可能である。
【0011】
粉末モルタルは、多くの場合(建築現場で水の添加後に)スパックル混合物または継ぎ目充填剤として使用される。スパックル混合物の他の名称は、例えば「スパックルペースト」または「継ぎ目および仕上げ混合物」である。さらに、粉末モルタルは、スクリード、パテ、または左官工事に、または石、レンガ、コンクリート組積ユニットなどのビルディングブロックを一緒に固めるために、またはそれらの間の不規則な間隙を充填して封止するために、使用され得る。
【0012】
さらに、特にスパックルペーストとして使用するための粉末モルタル組成物は、表面の凹凸を平坦化して、さらなるコーティングのための均質な表面を提供する機能を有するべきである。それらはさらに、良好な作業性、ほんのわずかな摩耗量、良好な接着引張強度を有し、ジョイントテープまたは紙テープへの良好な接着性、良好な混合挙動、および快適な作業一貫性を提供するべきである。
【0013】
一般的に、費用対効果が高く、再生可能で環境的に持続可能な資源を使用する傾向があり、生成するのにより費用対効果が高く、少数または少量の添加剤を必要とし、向上した特性、特に上記特性を有するモルタル組成物を見出す必要性が存在する。
【0014】
したがって、本発明の目的は、生成するのにより費用対効果が高く、少数または少量の添加剤を必要とし、向上した特性を有し、再生可能で環境的に持続可能な資源を含有するモルタル組成物を提供することである。本発明の目的はまた、特にスパックルペーストとして使用するための対応する粉末モルタルを提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、1種以上の充填剤、1種以上の結合剤、1種以上の増粘剤、および任意にさらなる添加剤を含む組成物であって、1種以上の結合剤のうちの少なくとも1種が澱粉であり、1種以上の増粘剤のうちの少なくとも1種がエーテル化澱粉である、組成物によって解決される。本発明の好ましい実施形態は、それぞれの従属請求項において定義される。
【発明の効果】
【0016】
驚いたことには、粉末モルタル中でのエステル化デンプンと組み合わせた澱粉による分散粉末の置換によって、モルタルの特性の向上が引き起こされることが見出された。特に驚いたことは、この効果に必要なエーテル化澱粉の量が非常に少ないことであった。
【0017】
さらに、澱粉ならびにエーテル化澱粉を使用することは、費用対効果が高く、再生可能で環境的に持続可能な資源を使用するという一般的な傾向に従っているため、世界的に有益である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
充填剤材料として、通常鉱物起源の結節状および層状材料が使用される。充填剤粒子は、コーティングの枠組みまたは骨格を形成するため、添加された充填剤材料の量に応じて、層厚とシンク特性に寄与する。
【0019】
1種以上の充填剤は、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム(ドロマイト)、硫酸カルシウム、パーライト、膨張パーライト、炭酸マグネシウム、ガラス、雲母、および樹脂マイクロビーズ、またはこれらの任意の組み合わせであり得、好ましくは、炭酸カルシウム、および/または炭酸カルシウムマグネシウムであり得る。
【0020】
本発明による充填剤として使用される硫酸カルシウムは、石膏または無水石膏(硬焼)として理解されるべきである。
【0021】
本発明による1種以上の充填剤は、組成物中に、全組成物の90.0重量%超~99.5重量%未満、好ましくは、全組成物の92.0重量%超~99.0重量%未満、より好ましくは、全組成物の94.0重量%~98.5重量%の量で存在し得る。
【0022】
1種以上の結合剤のうちの少なくとも1種は澱粉である。好適な澱粉の例としては、ジャガイモ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、エンドウ澱粉、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されず、好ましくは、小麦澱粉、および/もしくはジャガイモ澱粉、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
いくつかの好ましい実施形態では、澱粉は、天然澱粉、アルファ化澱粉、押し出し澱粉、噴霧調理澱粉、噴霧乾燥澱粉、ドラム乾燥澱粉、冷水可溶性澱粉、冷水膨潤性澱粉、アニール澱粉、酸化澱粉、架橋澱粉、エステル化澱粉、または非変性天然澱粉であり得、好ましくは、アルファ化澱粉、冷水膨潤性澱粉、酸化澱粉、または天然澱粉であり得る。
【0024】
しかしながら、いくつかの好ましい実施形態では、いくつかの組み合わせが可能である。例えば、本発明のいくつかの実施形態によるアルファ化澱粉は、アルファ化された冷水膨潤性小麦澱粉(例えば、Kroner-Starke GmbHのFoodgel)であり得る。そのような澱粉の他の例は、冷水膨潤性小麦澱粉(例えば、Interstarch GmbHのAllstarch Quellstar CWS 10)、アルファ化天然冷水膨潤性ジャガイモ澱粉(RoquetteのPregeflo P 100 G)、またはアルファ化冷水膨潤性小麦澱粉(例えば、Kroner-Starke GmbHのLightec)であるが、これらに限定されない。
【0025】
一方、例えば、エステル化の後、澱粉はもはや天然ではないので、エステル化澱粉と同様である天然澱粉は不可能である。しかしながら、例えば、アルファ化澱粉または冷水膨潤性澱粉は、本発明による天然澱粉であると依然として見なされることに留意しなければならない。当業者は、澱粉の上記の変性に一般的に精通している。
【0026】
したがって、1種以上の結合剤のうちの少なくとも1種は、天然のアルファ化澱粉、酸化澱粉、またはアルファ化澱粉であり得、好ましくは、天然のアルファ化小麦澱粉、天然のアルファ化冷水膨潤性澱粉、酸化冷水膨潤性小麦澱粉、またはアルファ化冷水膨潤性小麦澱粉であり得る。
【0027】
さらに、いくつかの好ましい実施形態では、澱粉は、組成物中に、全組成物の0.5重量%超~7重量%未満、好ましくは、全組成物の0.6重量%超~5重量%未満、より好ましくは、全組成物の0.7重量%超~3重量%未満の量で存在し得る。
【0028】
上記のように澱粉は多糖類で構成されているので、いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、15,000g/mol~200,000,000g/mol、好ましくは20,000g/mol~150,000,000g/mol、より好ましくは30,000g/mol~100,000,000g/mol、最も好ましくは50,000g/mol~50,000,000g/molの平均分子量MWを有する1種以上の多糖類を含み得る。
【0029】
しかしながら、澱粉結合剤に加えて、さらなる結合剤が可能である。これらのさらなる結合剤は、例えば、無機結合剤または有機結合剤であり得る。
【0030】
したがって、本発明によれば、本発明の組成物が、少なくとも2種の結合剤を含み、少なくとも2種の結合剤が、澱粉およびさらなる結合剤であり、さらなる結合剤が、無機結合剤または有機結合剤であることが可能であり得る。
【0031】
無機結合剤であるさらなる結合剤は、例えば、セメント、硫酸カルシウム半水和物、または石灰であり得る。
【0032】
有機結合剤であるさらなる結合剤は、例えば、さらなる澱粉、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリアクリレート、またはポリビニルアルコールであり得、好ましくは、ポリ酢酸ビニル、またはポリエチレン酢酸ビニルであり得る。そのような追加の結合剤の例は、Vinnapas 5043 NまたはVinnapas 5044 N(どちらもWacker製)であり得る。
【0033】
さらなる澱粉は、上記で定義された澱粉のいずれかとして定義され得る。
【0034】
しかしながら、本発明による好ましい結合剤は、有機結合剤である。
【0035】
したがって、本発明による組成物は、少なくとも2種の結合剤を含み得、少なくとも2種の結合剤は、澱粉と、さらなる澱粉、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリアクリレート、およびポリビニルアルコールからなる群から選択され、好ましくは、ポリ酢酸ビニル、またはポリエチレン酢酸ビニルからなる群から選択されるさらなる有機結合剤と、である。
【0036】
さらに、本発明によれば、組成物が、3種の結合剤、例えば、澱粉と、硫酸カルシウム半水和物と、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリアクリレート、またはポリビニルアルコールから選択され、好ましくは、ポリ酢酸ビニル、またはポリエチレン酢酸ビニルから選択される有機結合剤と、を含むことも可能であり得る。
【0037】
さらに、1種以上の増粘剤のうちの少なくとも1種は、エーテル化澱粉である。エーテル化澱粉は、エーテル化ジャガイモ澱粉、エーテル化小麦澱粉、エーテル化米澱粉、エーテル化コーンスターチ、エーテル化タピオカ澱粉、エーテル化エンドウ澱粉、またはこれらの任意の組み合わせであり得、好ましくは、エーテル化小麦澱粉、および/もしくはエーテル化ジャガイモ澱粉、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0038】
有利なことには、エーテル化澱粉は、降伏値を有し、その結果、それらは、壁にくっつき、経時での重力による落下はない。
【0039】
いくつかの実施形態におけるエーテル化澱粉を得るために、エーテル化が行われ得る。したがって、エーテル化澱粉は、モノクロロ酢酸ナトリウム、または一般式CnH2nO(n=2~5)を有するアルキレンオキシドでエーテル化され得、好ましくは、プロピレンオキシド(n=3の場合、CnH2nOと同じ)でエーテル化され得る。
【0040】
さらに、いくつかの実施形態では、エーテル化澱粉は、アルファ化エーテル化澱粉、押出エーテル化澱粉、噴霧調理エーテル化澱粉、噴霧乾燥エーテル化澱粉、ドラム乾燥エーテル化澱粉、冷水可溶性エーテル化澱粉、冷水膨潤性エーテル化澱粉、アニールエーテル化澱粉、酸化エーテル化澱粉、架橋エーテル化澱粉、またはエステル化エーテル化澱粉であり得、好ましくは、アルファ化エーテル化澱粉、または架橋エーテル化澱粉であり得る。
【0041】
例えば、本発明のいくつかの実施形態によるエーテル化澱粉は、アルファ化架橋エーテル化ジャガイモ澱粉(例えば、AvebeのSolvitose ZPF)であり得る。そのようなエーテル化澱粉の他の例は、Lyckelit H 3(Lyckeby)、Norstar E 7(Nordmann Rassmann)、Opagel CMT(Avebe)、Opagel FP 6(Avebe)、Opagel GPX(Avebe)、Solvitose C 5 F(Avebe)、Solvitose FC 50(Avebe)、Solvitose H 2060(Avebe)、Starpol 136(Staley/Amylum)、Starpol 468(Staley/Amylum)、Tylovis SE 7(SE Tylose)、Amylotex 8100(Hercules)、Amylotex 8100 P(Hercules)、Amylotex ST 2000(Hercules)、Amylotex ST 2100(Hercules)、Amitrolit 8850(Agrana)、Berolan ST 500(Berolan)、Casucol 301(Avebe)、Eloset 5400(Elotex)、およびEloset 5420(Elotex)であるが、これらに限定されない。
【0042】
したがって、1種以上の増粘剤のうちの少なくとも1種は、アルファ化エーテル化澱粉であり得、好ましくは、アルファ化架橋エーテル化澱粉であり得、より好ましくは、アルファ化架橋エーテル化ジャガイモ澱粉であり得る。
【0043】
さらに、本発明のいくつかの実施形態では、エーテル化澱粉は、組成物中に、全組成物の0.01重量%超~5重量%未満、好ましくは、全組成物の0.02重量%超~4重量%未満、より好ましくは、全組成物の0.03重量%超~3重量%未満、最も好ましくは、全組成物の0.04重量%超~2重量%未満の量で存在し得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、少なくとも2種の増粘剤が、本発明による組成物中に存在する。これらの2種の増粘剤は、エーテル化澱粉と、セルロースエーテル、セルロース系ガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストランスルホン酸塩、キトサン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、カラギーナン、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびメチルヒドロキシルプロピルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、またはエステル化澱粉からなる群から選択され、好ましくは、セルロースエーテル、またはポリアクリルアミドからなる群から選択されるさらなる増粘剤と、であり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、少なくとも3種の増粘剤が、本発明による組成物中に存在する。これらの3種の増粘剤は、エーテル化澱粉と、セルロースエーテル、セルロース系ガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストランスルホン酸塩、キトサン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、カラギーナン、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびメチルヒドロキシルプロピルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、またはエステル化澱粉からなる群から選択され、好ましくは、セルロースエーテル、およびポリアクリルアミドである2種のさらなる増粘剤と、であり得る。
【0046】
好適な増粘剤の例は、Bermocoll E 431 X(Akzo Nobel Chemicals AGのセルロースエーテル)、またはAgocel S 2000(CHT Germany GmbHのポリアクリルアミド)であり得るが、これらに限定されない。
【0047】
本発明による組成物は、さらなる添加剤を含み得る。さらなる添加剤として、本発明による組成物は、殺菌剤および/または殺生物剤を含み得る。殺生物剤は、細菌汚染を防ぐために添加され、最後に、殺菌剤が、真菌蔓延を防ぐために添加される。
【0048】
好ましい殺生物剤は、2-メチル-2H-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、および2-ブロモ-2-ニトロポパン-1.3-ジオール(BNPD)に基づいてもよく、好ましい殺菌剤は、イソプロピニルブチルカルバメート(IPBC)に基づいてもよい。
【0049】
好ましくは、組成物は、全組成物の0.1~1重量%の殺生物剤、および/または全組成物の0.01~0.03重量%の殺菌剤を含み得る。
【0050】
本発明の非常に好ましい実施形態では、本発明による組成物は、充填剤、澱粉、エーテル化澱粉、およびセルロースエーテル、ならびに任意に分散粉末、および/またはポリアクリルアミドを含み得る。
【0051】
本発明の目的はまた、特に本発明による組成物から調製されるスパックルペーストとして使用するための粉末モルタルを提供することでもある。
【0052】
本発明のさらに別の目的は、建築構造、好ましくは乾式壁構造におけるそのような粉末モルタルの使用を提供することである。
【0053】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、決してその範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0054】
本発明の組成物の特性における効果を示す実施例を調製する。
【0055】
すべての実施例(V)を、「キッチンエイド」混合機内で、水と組成物を重量比0.48:1で混合することによって調製する。
【0056】
散在を約15秒行い、シャベルでやわらかい混合を行う。60秒間待機した後、混合物を混合機のレベル1で30秒間混合し、続いてレベル2で5秒間混合し、続いて最後にレベル1で再度25秒間混合する。180秒間の混合物のリラックス時間の後、レベル1でさらに30秒間混合する。
【0057】
様々な混合物を表1に示す。実施例V0、V0-1、V0-2、V1、およびV2は比較例である。V0は、分散粉末のみを含み、澱粉またはエーテル化澱粉を含まない。V0-1およびV0-2は、分散粉末およびエーテル化澱粉のみを含み、澱粉を含まない。V1とV2は、澱粉を含むが、エーテル化澱粉を含まない。
【0058】
実施例V1-1、V1-2、V2-1、およびV2-2は、それらが澱粉およびエーテル化澱粉を含むため、発明例である。
【表1】
【0059】
表2は結果を示す。
磨耗量を、石膏板の画定細片に、約2mmの厚さで準備された混合物を積み上げることによって試験する。一定重量になるまで(通常3日)室温で乾燥した後、細片を計量して研磨機(Taber-Abraser Modell 503)に入れ、毎分60回転、およびサンドペーパーS 33、および500gのチェック重量で100回回転させる。その後、細片の重量を再度チェックし、差異が摩耗量である。
【0060】
接着性を、石膏板に、約2mmの厚さで準備された混合物を積み上げることによって試験する。その後、2本のテープ(紙または「Kurt」)を、約5cmのテープが石膏板の端を覆うように混合物中に配置する。次いで、パテナイフで2回オーバードローする。室温で約48時間乾燥した後、テープを、テープが割れるまでゆっくり水で満たされたバケツに接続する。次いで、水の入ったバケツの重量を測定する。テープが2本あるため、平均値を計算する。
【0061】
接着引張強度は、画定表面(基材)に垂直な引張応力によって、接着した試験表面(試験ディスク)を剥がすために必要なN/mm2の応力である。基材として石膏プラスターボードを使用する。プラスターボード上に厚さ1.5mmの2本のレールを約20cmの距離で配置し、接着テープで取り付ける。混合物を気泡なしで均一に充填し、余分な材料をスパチュラまたはパテナイフでレール上にならす。完全に乾燥した後(室温で約48時間)、試験ディスクを、2液型接着剤で乾燥混合物に全面接着させ、続いて、ねじを試験ディスクに挿入する。次いで、試験ディスクの形状の空洞を有する木製プレートを、試験ディスクが空洞内にあるように基板上に置く。その後、測定装置(Sattec)を木製プレート上に置き、ねじとの垂直接続を確立する。次いで、亀裂が発生するまで測定装置のクランクを回す。クランクを回している間、力は、常に約50+/-5N/秒上昇する必要がある。次いで、測定された力を試験ディスクの半径x πの2乗で除算することによって、接着引張強度を計算する(ここでは、ディスクの半径が25mmなので、1963mm2)。
【0062】
摩耗量に関して、次いで、組成物は破壊しにくいため、値(g)が小さいほど良好であると言える。接着性に関して、組成物とそれぞれのテープとのより強い接続にとって重要であるため、より高い値がより良好であると言える。「Kurt」はKnaufの特殊テープである。接着引張強度に関して、混合物の石膏板へのより強い接続にとって重要であるため、重ねてより高い値がより良好であると言える。
【表2】
【0063】
本発明の組成物は、それぞれの比較例と比較して、少なくとも等しいが、大部分は向上した特性を示す。特に驚いたことは、非常に少量のエーテル化澱粉であり、それは、結合剤としての澱粉と組み合わせてかなり大きな効果を発生させるのに十分である。
本開示は、以下の実施形態を含む。
<1> 1種以上の充填剤、1種以上の結合剤、1種以上の増粘剤、および任意にさらなる添加剤を含む組成物であって、前記1種以上の結合剤のうちの少なくとも1種が澱粉であり、前記1種以上の増粘剤のうちの少なくとも1種がエーテル化澱粉である、組成物。
<2> 前記澱粉が、ジャガイモ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、エンドウ澱粉、またはこれらの任意の組み合わせであり、好ましくは、小麦澱粉、および/もしくはジャガイモ澱粉、またはこれらの任意の組み合わせである、前記<1>に記載の組成物。
<3> 前記澱粉が、天然澱粉、アルファ化澱粉、押し出し澱粉、噴霧調理澱粉、噴霧乾燥澱粉、ドラム乾燥澱粉、冷水可溶性澱粉、冷水膨潤性澱粉、アニール澱粉、酸化澱粉、架橋澱粉、エステル化澱粉、または非変性天然澱粉からなる群から選択され、好ましくは、アルファ化澱粉、冷水膨潤性澱粉、酸化澱粉、または天然澱粉からなる群から選択される、前記<1>~<2>のいずれか1つに記載の組成物。
<4> 前記澱粉が、全組成物の0.5重量%超~7重量%未満、好ましくは、全組成物の0.6重量%超~5重量%未満、より好ましくは、全組成物の0.7重量%超~3重量%未満の量で存在する、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載の組成物。
<5> 前記澱粉が、天然のアルファ化澱粉、酸化澱粉、またはアルファ化澱粉であり、好ましくは、天然のアルファ化小麦澱粉、天然のアルファ化冷水膨潤性澱粉、酸化冷水膨潤性小麦澱粉、またはアルファ化冷水膨潤性小麦澱粉である、前記<1>~<4>のいずれか1つに記載の組成物。
<6> 前記澱粉が、15,000g/mol~200,000,000g/mol、好ましくは20,000g/mol~150,000,000g/mol、より好ましくは30,000g/mol~100,000,000g/mol、最も好ましくは50,000g/mol~50,000,000g/molの平均分子量M
W
を有する1種以上の多糖類を含む、前記<1>~<5>のいずれか1つに記載の組成物。
<7> 前記1種以上の充填剤が、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、硫酸カルシウム、パーライト、膨張パーライト、炭酸マグネシウム、ガラス、雲母、および樹脂マイクロビーズ、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、炭酸カルシウム、および/または炭酸カルシウムマグネシウムからなる群から選択される、前記<1>~<6>のいずれか1つに記載の組成物。
<8> 前記エーテル化澱粉が、モノクロロ酢酸ナトリウム、または一般式C
n
H
2n
O(n=2~5)を有するアルキレンオキシドでエーテル化されており、好ましくは、プロピレンオキシドでエーテル化されている、
および/または
前記エーテル化澱粉が、アルファ化エーテル化澱粉、押出エーテル化澱粉、噴霧調理エーテル化澱粉、噴霧乾燥エーテル化澱粉、ドラム乾燥エーテル化澱粉、冷水可溶性エーテル化澱粉、冷水膨潤性エーテル化澱粉、アニールエーテル化澱粉、酸化エーテル化澱粉、架橋エーテル化澱粉、またはエステル化エーテル化澱粉であり、好ましくは、アルファ化エーテル化澱粉、または架橋エーテル化澱粉である、前記<1>~<7>のいずれか1つに記載の組成物。
<9> 前記エーテル化澱粉が、エーテル化ジャガイモ澱粉、エーテル化小麦澱粉、エーテル化米澱粉、エーテル化コーンスターチ、エーテル化タピオカ澱粉、エーテル化エンドウ澱粉、またはこれらの任意の組み合わせであり、好ましくは、エーテル化小麦澱粉、および/もしくはエーテル化ジャガイモ澱粉、またはこれらの任意の組み合わせである、前記<1>~<8>のいずれか1つに記載の組成物。
<10> 前記エーテル化澱粉が、アルファ化エーテル化澱粉であり、好ましくは、アルファ化架橋エーテル化澱粉であり、より好ましくは、アルファ化架橋エーテル化ジャガイモ澱粉である、前記<1>~<9>のいずれか1つに記載の組成物。
<11> 前記エーテル化澱粉が、前記組成物中に、全組成物の0.01重量%超~5重量%未満、好ましくは、全組成物の0.02重量%超~4重量%未満、より好ましくは、全組成物の0.03重量%超~3重量%未満、最も好ましくは、全組成物の0.04重量%超~2重量%未満の量で存在する、前記<1>~<10>のいずれか1つに記載の組成物。
<12> 前記組成物が、少なくとも2種の増粘剤を含み、前記少なくとも2種の増粘剤が、エーテル化澱粉と、セルロースエーテル、セルロース系ガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストランスルホン酸塩、キトサン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、カラギーナン、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびメチルヒドロキシルプロピルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、または架橋ポリエチレンオキシド、またはエステル化澱粉からなる群から選択され、好ましくは、セルロースエーテル、またはポリアクリルアミドからなる群から選択されるさらなる増粘剤と、である、前記<1>~<11>のいずれか1つに記載の組成物。
<13> 前記組成物が、少なくとも3種の増粘剤を含み、前記少なくとも3種の増粘剤が、エーテル化澱粉と、セルロースエーテル、セルロース系ガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストランスルホン酸塩、キトサン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、カラギーナン、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびメチルヒドロキシルプロピルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、またはエステル化澱粉からなる群から選択され、好ましくは、セルロースエーテル、およびポリアクリルアミドである2種のさらなる増粘剤と、である、前記<1>~<12>のいずれか1つに記載の組成物。
<14> 前記組成物が、少なくとも2種の結合剤を含み、前記少なくとも2種の結合剤が、澱粉およびさらなる結合剤であり、前記さらなる結合剤が、無機結合剤または有機結合剤である、前記<1>~<13>のいずれか1つに記載の組成物。
<15> 前記組成物が、少なくとも2種の結合剤を含み、前記少なくとも2種の結合剤が、澱粉と、さらなる澱粉、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリアクリレート、およびポリビニルアルコールからなる群から選択され、好ましくは、ポリ酢酸ビニル、またはポリエチレン酢酸ビニルからなる群から選択されるさらなる有機結合剤と、である、前記<1>~<14>のいずれか1つに記載の組成物。
<16> 前記組成物が、充填剤、澱粉、エーテル化澱粉、およびセルロースエーテル、ならびに任意に分散粉末、および/またはポリアクリルアミドからなる、前記<1>~<15>のいずれか1つに記載の組成物。
<17> 前記<1>~<16>のいずれか1つに記載の組成物を含む、特にスパックル混合物として使用するための粉末モルタル。
<18> 前記<17>に記載の粉末モルタルにおける澱粉エーテルと組み合わせた澱粉の使用。