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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/61 20180101AFI20240312BHJP
   F24F 11/48 20180101ALI20240312BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240312BHJP
【FI】
F24F11/61
F24F11/48
F24F11/64
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019017991
(22)【出願日】2019-02-04
(65)【公開番号】P2020125868
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-10-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 智文
(72)【発明者】
【氏名】島村 豊
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-067427(JP,A)
【文献】特開2016-085014(JP,A)
【文献】特開平06-066443(JP,A)
【文献】特開2001-227794(JP,A)
【文献】特開2013-015242(JP,A)
【文献】特開平06-042765(JP,A)
【文献】特開平05-071786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の一部である室内機と、アダプタと、サーバ装置とを有する空気調和システムであって、
前記室内機は、入タイマー予約時刻前に室内温度を検出し、入タイマー予約時刻に前記室内温度をユーザ設定温度にする事前運転の開始時刻である第1開始時刻を前記アダプタから取得し、取得した前記第1開始時刻に前記事前運転を開始し、
前記サーバ装置は、前記室内機から取得した運転情報データに基づいて、前記室内機が設置された部屋の建物負荷を予測するための学習モデルを生成し、
前記アダプタは、前記室内機によって検出された前記室内温度を取得し、前記室内温度を入力値とし、前記サーバ装置から取得した前記学習モデルを用いて前記建物負荷を予測し、予測した前記建物負荷と、前記空気調和機の運転停止直前の運転モードとに基づいて、前記第1開始時刻を決定する、
空気調和システム。
【請求項2】
前記アダプタは、前記室内温度に加えて、外部から取得した室外温度を入力値とし、前記学習モデルを用いて前記建物負荷を予測する、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記室外温度は、前記入タイマー予約時刻において予想される温度である、
請求項2に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記室内機は、前記アダプタから前記第1開始時刻が得られない場合は、予め設定されて記憶されている第2開始時刻を採用し、採用した前記第2開始時刻に前記事前運転を開始する、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記室内機は、室内ファンを有し、
前記室内機は、前記建物負荷の予測に用いられる前記室内温度を検出する前に、前記室内ファンを駆動させる、
請求項2に記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記室内機は、前記運転停止直前の前記運転モードによって判定開始時刻を変える、
請求項5に記載の空気調和システム。
【請求項7】
前記室内機は、前記運転停止直前の前記運転モードによって、さらに前記室内温度を検出する時刻を変える、
請求項6に記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
AI(Artificial Intelligence)を利用する空気調和システムが知られている。空気調和システムにAIを利用することにより、ユーザの好みや行動パターン等に応じた快適な空気調和空間を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-117933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、空気調和システムでは、タイマー設定により現在時刻よりも後に空気調和機の運転を開始する「予約運転」において、予約運転を開始する予約時刻に室内温度をユーザの設定した温度(以下では「ユーザ設定温度」と呼ぶことがある)にするように、予約時刻よりも前の時刻から予約時刻まで空気調和機を事前に運転させること(以下では「事前運転」と呼ぶことがある)が行われている。以下では、タイマー設定による空気調和機の運転開始の予約を「入タイマー予約」と呼び、空気調和機の予約運転の開始時刻を「入タイマー予約時刻」と呼ぶことがある。
【0005】
室内機が設置された部屋の温度や湿度を一定に保つために必要なエネルギーである「空気調和負荷」(以下では「建物負荷」と呼ぶことがある)は、部屋毎に異なる。事前運転の開始時刻(以下では「事前運転開始時刻」と呼ぶことがある)が、予め定められた時刻(例えば、入タイマー予約時刻よりも40分前の時刻)に固定されている場合、入タイマー予約時刻よりも前の時刻で事前運転を開始しても、建物負荷が大きい場合は入タイマー予約時刻に室内温度がユーザ設定温度に到達しない場合があり、この場合にユーザが不快に感じることがある。
【0006】
本開示は、予約運転の際にユーザが感じる不快感を軽減することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の態様では、空気調和システムは、室内機と、アダプタと、サーバ装置とを有する。前記室内機は、入タイマー予約時刻に室内温度をユーザ設定温度にする事前運転の開始時刻である第1開始時刻を前記アダプタから取得し、取得した前記第1開始時刻に前記事前運転を開始する。前記サーバ装置は、前記室内機から取得した運転情報データに基づいて、前記室内機が設置された部屋の建物負荷を予測するための学習モデルを生成する。前記アダプタは、前記サーバ装置から取得した前記学習モデルを用いて前記建物負荷を予測し、予測した前記建物負荷に基づいて、前記第1開始時刻を決定する。
【発明の効果】
【0008】
開示の態様によれば、予約運転の際にユーザが感じる不快感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1の空気調和システムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施例1のアダプタの構成例を示す図である。
図3図3は、実施例1のサーバ装置の構成例を示す図である。
図4図4は、実施例1の運転情報データの一例を示す図である。
図5図5は、実施例1の体感温度設定予測モデルの生成または更新に使用される運転情報データの一例を示す図である。
図6図6は、実施例1の室外温度予報情報の一例を示す図である。
図7図7は、実施例1の空気調和システムの処理例の説明に供するフローチャートである。
図8図8は、実施例1の判定開始時刻テーブルの一例を示す図である。
図9図9は、実施例1のAI判定により判定される事前運転開始時刻の一例を示す図である。
図10図10は、実施例1の通常判定テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の技術を図面に基づいて説明する。以下では、同一の構成には同一の符号を付す。
【0011】
[実施例1]
<空気調和システムの構成>
図1は、実施例1の空気調和システムの構成例を示す図である。図1において、空気調和システム1は、室内機2と、アダプタ3と、ルータ4A,4Bと、サーバ装置5と、中継装置6と、通信端末7と、通信網8とを有する。アダプタ3と中継装置6とは、ルータ4A及び通信網8を介して相互に通信可能である。また、通信端末7と中継装置6とは、ルータ4B及び通信網8を介して相互に通信可能である。
【0012】
以下では、学習モデルを用いてAIが行う判定を「AI判定」と呼ぶことがあり、AI判定の判定結果を用いて空気調和機を制御することを「AI制御」と呼ぶことがある。
【0013】
室内機2は、室内に配置され、室内の空気を加熱または冷却する空気調和機の一部である。空気調和機は、主に、室内機2と、屋外に配置される室外機(図示省略)とを有する。空気調和機のユーザは、リモコン9の操作により室内機2を遠隔操作することが可能である。リモコン9の一例として、赤外線リモコンまたは電波リモコンが挙げられる。室内機2は、本体2Aと、本体2Aを制御する制御部2Bとを有する。制御部2Bは、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のプロセッサにより実現される。本体2Aは、室内ファン及び室内熱交換器等を備え、室内熱交換器で冷媒と熱交換が行われた室内空気が本体2Aから吹き出されることで、部屋の暖房、冷房、除湿が行われる。また、本体2Aには、室内機2を直接操作可能な操作ボタンが設けられる。また、空気調和機の他の一部である室外機には、室外ファン、室外熱交換器、圧縮機、膨張弁等が備えられている。
【0014】
アダプタ3は、室内機2とルータ4Aとの間を無線通信で接続する通信機能と、室内機2をAI(Artificial Intelligence)制御する制御機能とを有する。アダプタ3は、室内機2毎に設置される。ルータ4Aは、例えばWLAN(Wireless Local Area Network)等を使用して、アダプタ3と無線通信で接続し、アダプタ3と通信網8とを接続する。通信網8の一例として、インターネット等が挙げられる。
【0015】
通信端末7の一例として、ユーザが利用するスマートフォン、タブレット端末等が挙げられる。ルータ4Bは、例えばWLAN等を使用して、通信端末7と無線通信で接続し、通信端末7と通信網8とを接続する。ユーザは、通信端末7を操作することにより、室内機2を操作することが可能である。
【0016】
サーバ装置5は、室内機2を制御するAIの学習モデルを生成する機能、及び、空気調和機の運転情報データを記憶するデータベース等を有する。サーバ装置5は、例えば、データセンタに設置されている。中継装置6は、通信網8に接続され、サーバ装置5と通信する機能を有する。中継装置6は、アダプタ3に適用される学習モデルの生成または更新に使用される運転情報データをアダプタ3から受信し、受信した運転情報データをサーバ装置5へ送信する。また、中継装置6は、サーバ装置5で生成または更新された学習モデルをサーバ装置5から受信し、受信した学習モデルをアダプタ3へ送信する。
【0017】
中継装置6は、第1の中継部6Aと、第2の中継部6Bと、第3の中継部6Cとを有する。第1の中継部6Aは、アダプタ3とサーバ装置5との間で、AI制御に関わる各種データを送信する。例えば、第1の中継部6Aは、アダプタ3から受信した運転情報データをサーバ装置5へ送信するとともに、運転情報データを用いてサーバ装置5が生成または更新した学習モデルをアダプタ3へ送信する。第2の中継部6Bは、ユーザが通信端末7を使用して設定した室内機2の運転条件(冷房/暖房といった運転モードや設定温度等)を取得し、取得した運転条件をアダプタ3経由で室内機2へ送信する。第3の中継部6Cは、通信網8を通して天気予報等の外部データを取得し、取得した外部データをサーバ装置5やアダプタ3へ送信する。
【0018】
<アダプタの構成>
図2は、実施例1のアダプタの構成例を示す図である。図2において、アダプタ3は、第1の通信部11と、第2の通信部12と、記憶部13と、プロセッサ14とを有する。
【0019】
第1の通信部11は室内機2の制御部2Bと通信し、例えばUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等の通信IF(Interface)により実現される。第2の通信部12はルータ4Aと通信し、例えばWLAN用の通信IFにより実現される。記憶部13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現され、データやプログラム等の各種情報を記憶する。プロセッサ14は、例えばCPU、MPU、MCU等により実現される。
【0020】
記憶部13は、運転情報メモリ13Aと、モデルメモリ13Bと、外部メモリ13Cとを有する。運転情報メモリ13Aは、室内機2から取得された運転情報データを一時記憶する。モデルメモリ13Bは、サーバ装置5から取得した学習モデルを記憶する。外部メモリ13Cは、外部データを記憶する。
【0021】
プロセッサ14は、プロセッサ14における機能ブロックとして、取得部14Aと、送信部14Bと、受信部14Cと、設定部14Dと、予測部14Eとを有する。
【0022】
取得部14Aは、設定温度や室内温度等の運転情報データを、所定の周期で(例えば5分毎に)室内機2から取得する。取得部14Aは、取得した運転情報データを運転情報メモリ13Aに記憶させる。なお、後に図4を用いて説明するように、運転情報データは、運転情報データの取得年月日であるタイムスタンプを含んでいる。
【0023】
送信部14Bは、運転情報メモリ13Aに記憶された運転情報データを運転情報メモリ13Aから取得し、取得した運転情報データをサーバ装置5へ送信する。
【0024】
受信部14Cは、サーバ装置5から学習モデルを受信し、受信した学習モデルをモデルメモリ13Bに記憶させる。
【0025】
設定部14Dは、モデルメモリ13Bに記憶された学習モデルをモデルメモリ13Bから取得し、取得した学習モデルを予測部14Eに設定する。
【0026】
予測部14Eは、設定部14Dにより設定された学習モデルを用いて室内機2の制御部2Bを制御する。なお、予測部14Eは、学習モデルを用いて室内機2の本体2Aを直接制御しても良い。また、予測部14Eは、学習モデルに基づく制御態様を制御部2Bに送信することにより、制御部2Bを介して本体2Aを間接的に制御しても良い。
【0027】
<サーバ装置の構成>
図3は、実施例1のサーバ装置の構成例を示す図である。図3において、サーバ装置5は、通信部31と、記憶部32と、プロセッサ33とを有する。通信部31は中継装置6と通信し、例えば通信IFにより実現される。記憶部32は、例えばHDD、ROM、RAM等により実現され、データやプログラム等の各種情報を記憶する。プロセッサ33は、例えばCPU、MPU、MCU等により実現される。
【0028】
記憶部32は、データメモリ32Aと、モデルメモリ32Bとを有する。データメモリ32Aは、アダプタ3から受信された運転情報データを記憶する。モデルメモリ32Bは、サーバ装置5で生成または更新された学習モデルを記憶する。
【0029】
プロセッサ33は、プロセッサ33における機能ブロックとして、受信部33Aと、学習部33Bと、送信部33Cとを有する。
【0030】
受信部33Aは、複数の室内機2のそれぞれに接続された各アダプタ3から運転情報データを受信し、受信した運転情報データをデータメモリ32Aに記憶させる。
【0031】
学習部33Bは、データメモリ32Aに記憶された運転情報データを用いて機械学習を行い、学習結果に基づいて学習モデルを生成または更新する。学習部33Bは、生成または更新した学習モデルをモデルメモリ32Bに記憶させる。学習モデルの一例として、各家庭の空気調和機の運転状況に基づいてユーザの体感温度を予測し、予測した体感温度に応じて空気調和機を制御する「体感温度設定予測モデル」が挙げられる。
【0032】
送信部33Cは、モデルメモリ32Bに記憶されている学習モデルをモデルメモリ32Bから取得し、取得した学習モデルを中継装置6経由でアダプタ3へ送信する。
【0033】
<運転情報データの一例>
図4は、実施例1の運転情報データの一例を示す図である。運転情報データには、例えば、運転状態、運転モード、設定温度、室内温度(室温)、室内湿度、風量、風向、人感センサ、輻射センサ、室内熱交温度、室外温度(外気温)、圧縮機回転数、室外風量、運転電流、室外熱交温度、吐出温度、圧縮機温度、膨張弁開度、放熱器温度、起動失敗履歴、異常停止履歴、応急運転履歴、タイムスタンプ、空気調和機ID、設置場所、施設種類等がある。
【0034】
運転状態は、室内機2の運転のON-OFF状態を示す。運転モードは、室内機2の冷房や暖房等の動作モードを示す。設定温度は、ユーザによって設定された温度であり、室内機2が使用される室内の目標温度を示す。室内温度は、室内機2が使用される室内の実際の温度を示す。室内湿度は、室内機2が使用される室内の実際の湿度を示す。風量は、室内機2から吹き出される室内空気の風量を示す。風向は、室内機2から吹き出される室内空気の風向を示す。人感センサは、室内の人の有無や活動量のセンサによる検出結果を示す。輻射センサは、室内の床や壁の温度の検出結果を示す。室内熱交温度は、室内機2の本体2Aの一部をなす室内熱交換器の温度を示す。室外温度は、室外の実際の温度を示す。圧縮機回転数は、室内機2と冷媒配管で接続される室外機に備えられた圧縮機の運転回転数を示す。室外風量は、室外機に備えられる室外ファンによって生成される風量を示す。運転電流は、例えば、室内機2及び室外機等の空気調和機全体の運転電流を示す。室外熱交温度は、室外機に備えられる室外熱交換機の温度を示す。吐出温度は、圧縮機から吐出される冷媒の温度を示す。圧縮機温度は、圧縮機底部の温度を示す。膨張弁開度は、室外機に備えられる電子膨張弁の開度を示す。放熱器温度は、圧縮機を駆動制御するパワー半導体の温度を示す。起動失敗履歴は、圧縮機の起動の失敗の履歴を示す。異常停止履歴は、空気調和機の異常停止の履歴を示す。応急運転履歴は、応急運転の実施履歴を示す。タイムスタンプは、各々の運転情報データの取得日時を年月日時分秒で示す。空気調和機IDは、空気調和機を識別するために室内機2に付与されるIDを示す。設置場所は、空気調和機が設置された場所の住所を示す。施設種類は、空気調和機が設置された施設の種類(店舗、飲食店、工場等)を示す。
【0035】
図4に示す各運転情報データは、家庭用または業務用といった空気調和機の用途に応じて使い分けられる。家庭用の空気調和機に使用される運転情報データとしては、例えば、運転状態、運転モード、設定温度、室内温度、室内湿度、風量、風向、人感センサ、輻射センサ、タイムスタンプ、空気調和機ID、設置場所等がある。家庭用の空気調和機では、快適性や省エネ性を追求して、AIを用いて操作や提案が行われるため、例えば、設定温度、運転モード、室内や周囲環境等が家庭用に必要なデータとなる。
【0036】
一方で、業務用の空気調和機に使用される運転情報データとしては、例えば、運転状態、運転モード、設定温度、室内温度、室内湿度、風量、風向、人感センサ、輻射センサ、室内熱交温度、室外温度、圧縮機回転数、室外風量、運転電流、室外熱交温度、吐出温度、圧縮機温度、膨張弁開度、放熱器温度、起動失敗履歴、異常停止履歴、応急運転履歴、タイムスタンプ、空気調和機ID、設置場所、施設種類等がある。業務用の空気調和機では、AIが各機器の故障やメンテナンスの必要性を予測する。例えば、業務用の空気調和機では、空気調和機内の各部品の運転状況や履歴が蓄積され、蓄積された運転状況や履歴に基づいて、AIが各部品の故障時期を予測する。なお、空気調和機に備えられる圧縮機やファンモータについては、空気調和機の停止中運転情報データが発生しないため、例えば、圧縮機回転数、室外風量、運転電流及び室外熱交温度のデータは空気調和機の停止中には取得しなくても良い。
【0037】
学習モデルが例えば体感温度設定予測モデルの場合、体感温度設定予測モデルの生成または更新には、設定温度、室内温度、室内湿度、室外温度等の時系列の運転情報データが使用される。図5は、実施例1の体感温度設定予測モデルの生成または更新に使用される運転情報データの一例を示す図である。体感温度設定予測モデルに使用される運転情報データは、図5に示すように、季節に応じて異なる。例えば、冬季の体感温度設定予測モデルでは、設定温度、室内温度、室内湿度及び室外温度等が使用される。一方で、夏季の体感温度設定予測モデルでは、冬季に使用される運転情報データに加えて、例えば、風量と人感センサの検出データ(人の有無や活動量)が使用される。
【0038】
<空気調和システムの処理・動作>
空気調和機の冷房運転時には、室外温度が同一の場合、建物負荷が小さいほど、また、空気調和機が現在発揮している空気調和能力(以下では「現在発揮能力」と呼ぶことがある)が高いほど、より早く室内温度が低下する。また、空気調和機の冷房運転時には、室外温度が同一の場合、室内温度と、室内温度よりも低いユーザ設定温度との差の絶対値が小さいほど、室内温度はより早くユーザ設定温度に到達する。また、空気調和機が冷房運転後に運転を停止した際には、室外温度が同一の場合、建物負荷が大きいほど、より早く室内温度が上昇する。また、空気調和機が冷房運転後に運転を停止した際には、建物負荷が同一の場合、室外温度が高いほど、より早く室内温度が上昇する。
【0039】
一方で、空気調和機の暖房運転時には、室外温度が同一の場合、建物負荷が小さいほど、また、現在発揮能力が高いほど、より早く室内温度が上昇する。また、空気調和機の暖房運転時には、室外温度が同一の場合、室内温度と、室内温度よりも高いユーザ設定温度との差の絶対値が小さいほど、室内温度はより早くユーザ設定温度に到達する。また、空気調和機が暖房運転後に運転を停止した際には、室外温度が同一の場合、建物負荷が大きいほど、より早く室内温度が低下する。また、空気調和機が暖房運転後に運転を停止した際には、建物負荷が同一の場合、室外温度が低いほど、より早く室内温度が低下する。
【0040】
そこで、サーバ装置5の学習部33Bが、室内機2が設置された部屋の建物負荷を予測するための学習モデル(以下では「建物負荷予測モデル」と呼ぶことがある)を生成または更新するにあたっては、アダプタ3は、運転情報データとして、図4に示す各情報に加えて、現在発揮能力を所定の周期で(例えば5分毎に)室内機2から取得し、取得した現在発揮能力をサーバ装置5へ送信する。学習部33Bは、現在発揮能力と、図4における室外温度及び室内温度とを運転情報データとして用いて機械学習を行い、学習結果に基づいて建物負荷予測モデルを生成または更新する。生成または更新された建物負荷予測モデルは、送信部33Cによりサーバ装置5からアダプタ3へ送信されてモデルメモリ13Bに記憶される。モデルメモリ13Bに記憶された建物負荷予測モデルは、設定部14Dにより予測部14Eに設定される。
【0041】
図7は、実施例1の空気調和システムの処理例の説明に供するフローチャートである。以下では、24時間制で時刻を表記する。
【0042】
図7に示すフローチャートは、AI制御がユーザによりオンに設定されている場合にだけ、所定の周期で(例えば5分毎に)開始される。つまり、AI制御がユーザによりオンに設定されている場合にだけ事前運転が行われ、AI制御がユーザによりオフに設定されている場合は、予約運転は可能だが事前運転は行われない。
【0043】
図7において、ステップS101では、室内機2の制御部2Bは、入タイマー予約が設定されているか否かを判定する。入タイマー予約が設定されている場合は(ステップS101:Yes)、制御部2Bは、入タイマー予約時刻をアダプタ3へ送信し、処理はステップS103へ進む。制御部2Bから送信された入タイマー予約時刻は、アダプタ3の第1の通信部11を介して予測部14Eに入力される。一方で、入タイマー予約が設定されていない場合は(ステップS101:No)、ステップS103~S123の処理が行われることなく、処理は終了する。
【0044】
ステップS103では、制御部2Bは、現在時刻が建物負荷を予測するためのAI判定の開始時刻(以下では「AI判定開始時刻」と呼ぶことがある)の6分前になるまで待機する(ステップS103:No)。上述したようにアダプタ3と室内機2とは5分毎に通信を行っているため、以下のステップS105,S107の処理で室内ファンを1分間駆動させた後に検出される室内温度をAI判定開始時刻までに確実に取得するために、AI判定開始時刻時刻の6分前にステップS105の処理を行っている。現在時刻がAI判定開始時刻の6分前である場合は(ステップS103:Yes)、処理はステップS105へ進む。
【0045】
ここで、制御部2Bは、図8に示す判定開始時刻テーブルTA1に従って、ステップS103の判定を行う。図8は、実施例1の判定開始時刻テーブルの一例を示す図である。判定開始時刻テーブルTA1は、室内機2が有するメモリ(図示省略)に予め記憶されている。図8に示すように、判定開始時刻テーブルTA1には、空気調和機の運転停止直前の運転モード(以下では「運転停止前運転モード」と呼ぶことがある)と、AI判定開始時刻との対応付けが予め設定されている。ステップS103では、制御部2Bは、運転停止前運転モードが「冷房」である場合は、判定開始時刻テーブルTA1から、AI判定開始時刻が入タイマー予約時刻の40分前の時刻であると決定する。よって例えば、運転停止前運転モードが「冷房」であり、かつ、入タイマー予約時刻が6時00分である場合は、制御部2Bは、AI判定開始時刻を5時20分と決定する。また、制御部2Bは、運転停止前運転モードが「暖房」である場合は、判定開始時刻テーブルTA1から、AI判定開始時刻が入タイマー予約時刻の60分前の時刻であると決定する。よって例えば、運転停止前運転モードが「暖房」であり、かつ、入タイマー予約時刻が6時00分である場合は、制御部2Bは、AI判定開始時刻を5時00分と決定する。なお、運転停止前運転モードは、入タイマー予約の設定時に室内機2の運転が終了する際に、室内機2が有するメモリに予め記憶される。
【0046】
図7に戻り、ステップS105では、制御部2Bは、室内温度検出のために、室内機2が有する室内ファンを事前に1分間駆動させる。
【0047】
制御部2Bは、室内ファンを1分間駆動させた後、ステップS107において、現在の室内温度(以下では「現在室内温度」と呼ぶことがある)を検出する。また、制御部2Bは、現在室内温度とユーザ設定温度との差から、空気調和機の運転開始時に空気調和機に発揮させる空気調和能力(以下では「運転開始時能力」と呼ぶことがある)を算出する。通常、現在室内温度とユーザ設定温度との差が大きいほど、より高い運転開始時能力が要求される。制御部2Bは、検出した現在室内温度と、算出した運転開始時能力とをアダプタ3へ送信する。現在室内温度及び運転開始時能力は、アダプタ3の第1の通信部11を介して予測部14Eに入力される。
【0048】
次いで、ステップS109では、制御部2Bは、ステップS107の処理を行ってから5分経過するまで待機し(ステップS109:No)、ステップS107の処理を行ってから5分経過後に(ステップS109:Yes)、処理はステップS111へ進む。後述するようにしてアダプタ3の予測部14Eは5分毎に室外温度の予報情報(以下では「室外温度予報情報」と呼ぶことがある)を取得するため、制御部2Bは、ステップS107の処理を行ってから5分経過するまで待機する。
【0049】
ステップS111では、予測部14Eは、AI判定により事前運転開始時刻を決定する。
【0050】
すなわち、まず、予測部14Eは、空気調和システム1の外部から中継装置6および通信網8を介して、室外温度予報情報を取得する。室外温度は「外気温」と呼ばれることもある。室外温度予報情報は、例えば、第3の中継部6Cが通信網8を通して取得する外部データの一つである天気予報に含まれる。予測部14Eは、例えば5分毎に室外温度予報情報を取得する。予測部14Eは、例えば現在の日時が2018年12月24日の18時00分~18時59分の範囲にある場合、図6に示す室外温度予報情報FIを取得する。図6は、実施例1の室外温度予報情報の一例を示す図である。室外温度予報情報FI(図6)には、2018年12月24日の18時から1時間毎の24時間分の室外温度予報値が含まれる。図6において、例えば2018年12月24日の18時の室外温度予報値6℃は、2018年12月24日の18時00分~18時59分における室外温度予報値を示す。また、予測部14Eは、室外温度予報情報FIから、入タイマー予約時刻における室外温度の予報値(以下では「室外温度予報値」と呼ぶことがある)を抽出する。例えば、予測部14Eは、入タイマー予約時刻が6時00分である場合は、室外温度予報情報FI(図6)から、入タイマー予約時刻である6時00分における室外温度予報値FV(0℃)を抽出する。このようにして、予測部14Eは、入タイマー予約時刻での最新の室外温度予報値を室外温度予報情報から抽出する。
【0051】
次いで、予測部14Eは、制御部2Bから取得された現在室内温度及び運転開始時能力と、抽出した室外温度予報値(つまり、入タイマー予約時刻での室外温度予報値)とを建物負荷予測モデルへ入力し、建物負荷予測モデルを用いて、室内機2が設置された部屋の建物負荷を予測する。
【0052】
そして、予測部14Eは、予測した建物負荷に基づいて、事前運転開始時刻を決定する。
【0053】
図9は、実施例1のAI判定により決定される事前運転開始時刻の一例を示す図である。図9に示すように、例えば、運転停止前運転モードが「冷房」である場合は、予測部14Eは、予測した建物負荷に基づいて、入タイマー予約時刻よりも0~40分前の範囲で5分刻みの事前運転開始時刻を決定する。また例えば、運転停止前運転モードが「暖房」である場合は、予測部14Eは、予測した建物負荷に基づいて、入タイマー予約時刻よりも0~60分前の範囲で5分刻みの事前運転開始時刻を決定する。例えば、6時00分の入タイマー予約時刻に対して30分前の事前運転開始時刻は、5時30分となる。予測部14Eが決定する事前運転開始時刻は、通常、予測された建物負荷が大きいほど、入タイマー予約時刻よりも、より前の時刻となる。予測部14Eは、決定した事前運転開始時刻を第1の通信部11を用いて室内機2の制御部2Bへ送信する。アダプタ3と制御部2Bとの通信は5分間隔で行われる。
【0054】
例えば、図9において、運転停止前運転モードが「冷房」である場合のAI判定開始時刻「40分前」は、空気調和機が冷房運転を行う夏季の所定期間(以下では「夏季所定期間」と呼ぶことがある)において想定される建物負荷の最大値に対応し、運転停止前運転モードが「冷房」である場合のAI判定開始時刻「0分前」は、夏季所定期間において想定される建物負荷の最小値に対応する。また例えば、運転停止前運転モードが「暖房」である場合のAI判定開始時刻「60分前」は、空気調和機が冷房運転を行う冬季の所定期間(以下では「冬季所定期間」と呼ぶことがある)において想定される建物負荷の最大値に対応し、運転停止前運転モードが「暖房」である場合のAI判定開始時刻「0分前」は、冬季所定期間において想定される建物負荷の最小値に対応する。
【0055】
図7に戻り、次いで、ステップS113では、制御部2Bは、アダプタ3からの事前運転開始時刻の取得に成功したか否かを判定する。例えば、ステップS111において予測部14Eが空気調和システム1の外部との通信に失敗して室外温度予報情報を取得できない場合は、予測部14Eは、AI判定により事前運転開始時刻を決定できないため、制御部2Bは、予測部14Eから事前運転開始時刻を取得できない。そこで、例えば、制御部2Bは、予測部14Eから事前運転開始時刻を取得できた場合は、事前運転開始時刻の取得に成功したと判定し、予測部14Eから事前運転開始時刻を取得できなかった場合は、事前運転開始時刻の取得に失敗したと判定する。予測部14Eは、空気調和システム1の外部から室外温度予報情報を取得できない場合の他に、例えば、予測した建物負荷が所定の範囲内以外の値となる場合に、AI判定により事前運転開始時刻を決定できない。制御部2Bがアダプタ3からの事前運転開始時刻の取得に成功した場合は(ステップS113:Yes)、処理はステップS115へ進み、制御部2Bがアダプタ3からの事前運転開始時刻の取得に失敗した場合は(ステップS113:No)、処理はステップS117へ進む。
【0056】
ステップS117では、制御部2Bは、現在時刻が、制御部2Bによる判定(以下では「通常判定」と呼ぶことがある)の開始時刻(以下では「通常判定開始時刻」と呼ぶことがある)になったか否かを判定する。通常判定は、ステップS113で事前運転開始時刻が取得できなかったときに行われる判定であり、通常判定では、予め定められた通常判定開始時刻(図8)になったときに図10に従って事前運転開始時刻が判定される。現在時刻が通常判定開始時刻になっていない場合は(ステップS117:No)、処理はステップS113に戻る。一方で、現在時刻が通常判定開始時刻になった場合は(ステップS117:Yes)、処理はステップS119へ進む。
【0057】
ここで、制御部2Bは、図8に示す判定開始時刻テーブルTA1に従って、ステップS117の判定を行う。図8に示すように、判定開始時刻テーブルTA1には、運転停止前運転モードと、通常判定開始時刻との対応付けが予め設定されている。ステップS117では、制御部2Bは、運転停止前運転モードが「冷房」である場合は、判定開始時刻テーブルTA1から、通常判定開始時刻が入タイマー予約時刻の20分前の時刻であると決定する。よって例えば、運転停止前運転モードが「冷房」であり、かつ、入タイマー予約時刻が6時00分である場合は、制御部2Bは、通常判定開始時刻を5時40分と決定する。また、制御部2Bは、運転停止前運転モードが「暖房」である場合は、判定開始時刻テーブルTA1から、通常判定開始時刻が入タイマー予約時刻の45分前の時刻であると決定する。よって例えば、運転停止前運転モードが「暖房」であり、かつ、入タイマー予約時刻が6時00分である場合は、制御部2Bは、通常判定開始時刻を5時15分と決定する。
【0058】
図7に戻り、ステップS119では、制御部2Bは、通常判定により事前運転開始時刻を決定する。すなわち、ステップS119では、制御部2Bは、運転停止前運転モードと、ユーザ設定温度と、ステップS107で検出した現在室内温度とに基づいて、図10に示す通常判定テーブルTA2に従って、事前運転開始時刻を決定する。図10は、実施例1の通常判定テーブルの一例を示す図である。通常判定テーブルTA2は、室内機2が有するメモリに予め記憶されている。図10に示すように、通常判定テーブルTA2には、ユーザ設定温度と現在室内温度との差の絶対値(以下では「温度差絶対値」と呼ぶことがある)と、運転停止前運転モードと、事前運転開始時刻との対応付けが予め設定されている。
【0059】
例えば、運転停止前運転モードが「冷房」であり、かつ、温度差絶対値が5℃以上10℃未満である場合は、制御部2Bは、通常判定テーブルTA2に従って、事前運転開始時刻を入タイマー予約時刻の15分前と決定する。よって例えば、入タイマー予約時刻が6時00分である場合は、制御部2Bは、事前運転開始時刻を、6時00分の15分前の5時45分と決定する。
【0060】
また例えば、運転停止前運転モードが「暖房」であり、かつ、温度差絶対値が15℃以上20℃未満である場合は、制御部2Bは、通常判定テーブルTA2に従って、事前運転開始時刻を入タイマー予約時刻の30分前と決定する。よって例えば、入タイマー予約時刻が6時00分である場合は、制御部2Bは、事前運転開始時刻を、6時00分の30分前の5時30分と決定する。
【0061】
つまり、制御部2Bは、アダプタ3から事前運転開始時刻が得られない場合は(ステップS113:No)、予め設定されて記憶されている事前運転開始時刻を採用する(ステップS119)。
【0062】
処理がステップS113からステップS115へ進んだ場合は、ステップS115において、制御部2Bは、予測部14EのAI判定によりステップS111で決定された事前運転開始時刻に事前運転を開始する。一方で、処理がステップS119からステップS115へ進んだ場合は、ステップS115において、制御部2Bは、制御部2BがステップS119で決定した事前運転開始時刻に事前運転を開始する。
【0063】
次いで、ステップS121では、制御部2Bは、現在時刻が入タイマー予約時刻になるまで事前運転を継続して行う(ステップS121:No)。そして、現在時刻が入タイマー予約時刻になった場合は(ステップS121:Yes)、処理はステップS123へ進む。
【0064】
ステップS123では、制御部2Bは、事前運転を終了し、運転停止前運転モードで空気調和機の予約運転を開始する。ステップS123の処理後、処理は終了する。
【0065】
以上のように、実施例1では、空気調和システム1は、室内機2と、室内機2をAI制御するアダプタ3と、サーバ装置5とを有する。サーバ装置5は、室内機2から取得した運転情報データに基づいて建物負荷予測モデルを生成する。アダプタ3は、サーバ装置5から取得した建物負荷予測モデルを用いて建物負荷を予測し、予測した建物負荷に基づいて事前運転開始時刻を決定する。室内機2は、アダプタ3が決定した事前運転開始時刻をアダプタ3から取得し、取得した事前運転開始時刻に事前運転を開始する。アダプタ3が決定する事前運転開始時刻は「第1開始時刻」に相当する。
【0066】
こうすることで、建物負荷に応じて調節される事前運転開始時刻に事前運転が開始されるため、建物負荷が大きい場合でも入タイマー予約時刻に室内温度がユーザ設定温度に確実に到達するので、予約運転の際にユーザが感じる不快感を軽減することができる。
【0067】
また実施例1では、室内機2は、アダプタ3から事前運転開始時刻が得られない場合は、予め設定されて記憶されている事前運転開始時刻を採用し、採用した事前運転開始時刻に事前運転を開始する。予め設定されて記憶されている事前運転開始時刻は「第2開始時刻」に相当する。
【0068】
こうすることで、AI判定により事前運転開始時刻を判定することが困難な場合でも、室内機2は事前運転開始時刻を取得することができる。
【0069】
また実施例1では、室内機2は、室内ファンを有する。また、室内温度が運転情報データに含まれる。そして、室内機2は、アダプタ3での建物負荷の予測に用いられる室内温度を検出する前に室内ファンを駆動させる。
【0070】
こうすることで、室内の空気が攪拌された状態で室内温度が検出されるため、正確な室内温度を検出することができるので、建物負荷の予測の精度を高めることができる。
【0071】
以上、実施例1について説明した。
【0072】
[実施例2]
実施例1では、アダプタ3は、室内機2の運転情報データを中継装置6経由でサーバ装置5へ送信する場合を一例として説明したが、アダプタ3は、運転情報データを中継装置6を経由することなく、直接、サーバ装置5へ送信しても良い。
【0073】
また、図示した各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各構成要素の分散・統合の具体的形態は図示のものに限定されず、各構成要素の全部または一部を、例えば各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0074】
また、制御部2Bまたはアダプタ3での上記説明における各処理の全部または一部は、各処理に対応するプログラムを制御部2Bまたはアダプタ3が有するプロセッサに実行させることによって実現しても良い。例えば、上記説明における各処理に対応するプログラムがメモリに記憶され、プログラムがプロセッサによってメモリから読み出されて実行されても良い。また、プログラムは、任意のネットワークを介して制御部2Bまたはアダプタ3に接続されたプログラムサーバに記憶され、そのプログラムサーバから制御部2Bまたはアダプタ3にダウンロードされて実行されても良い。
【0075】
以上、実施例2について説明した。
【符号の説明】
【0076】
1 空気調和システム
2 室内機
3 アダプタ
5 サーバ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10