(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】蓄電設備
(51)【国際特許分類】
H01M 50/289 20210101AFI20240312BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20240312BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20240312BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240312BHJP
H01G 2/02 20060101ALI20240312BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20240312BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240312BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20240312BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/291
H01M50/244 A
H01M50/209
H01G2/02 101E
H01G11/10
H01G11/78
H01M50/251
(21)【出願番号】P 2019192417
(22)【出願日】2019-10-23
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】川内 智弘
(72)【発明者】
【氏名】楠 寿樹
(72)【発明者】
【氏名】飛鷹 強志
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 康貴
(72)【発明者】
【氏名】美馬 正明
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 博之
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134449(JP,A)
【文献】実開平4-038662(JP,U)
【文献】特開2001-043841(JP,A)
【文献】特開2002-042758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01G 2/02
H01G 11/10
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子を備える蓄電装置と、前記蓄電装置を支持する支持部材と、を備える蓄電設備であって、
前記蓄電装置は、所定の方向における前記蓄電装置の一端面から前記所定の方向に突出した突出部を備え、
前記支持部材は、前記突出部が前記所定の方向から挿入される支持孔部を備えて
おり、
前記蓄電装置が前記支持部材によって支持されながらスライド移動することで、前記蓄電装置の前記突出部が前記支持孔部に挿入されて、前記蓄電装置と前記支持部材とが位置決めされ、
前記所定の方向は、前記支持部材によって支持された前記蓄電装置がスライド移動可能な方向であり、
前記突出部は、先に向かうほど、前記支持部材が前記蓄電装置を支持する方向に細くなる先細り形状を備え、
前記突出部における前記支持孔部に配置される部分は、前記先細り形状を備えている
蓄電設備。
【請求項2】
複数の蓄電素子を備える蓄電装置と、前記蓄電装置を支持する支持部材と、を備える蓄電設備であって、
前記蓄電装置は、所定の方向における前記蓄電装置の一端面から前記所定の方向に突出した突出部を備え、
前記支持部材は、前記突出部が前記所定の方向から挿入される支持孔部を備えており、
前記蓄電装置が前記支持部材によって支持されながらスライド移動することで、前記蓄電装置の前記突出部が前記支持孔部に挿入されて、前記蓄電装置と前記支持部材とが位置決めされ、
前記所定の方向は、前記支持部材によって支持された前記蓄電装置がスライド移動可能な方向であり、
前記突出部は、前記支持孔部により押圧される弾性体を有する
蓄電設備。
【請求項3】
複数の蓄電素子を備える蓄電装置と、前記蓄電装置を支持する支持部材と、を備える蓄電設備であって、
前記蓄電装置は、所定の方向における前記蓄電装置の一端面から前記所定の方向に突出した突出部を備え、
前記支持部材は、前記突出部が前記所定の方向から挿入される支持孔部を備えており、
前記蓄電装置が前記支持部材によって支持されながらスライド移動することで、前記蓄電装置の前記突出部が前記支持孔部に挿入されて、前記蓄電装置と前記支持部材とが位置決めされ、
前記所定の方向は、前記支持部材によって支持された前記蓄電装置がスライド移動可能な方向であり、
前記支持孔部の周縁には、前記突出部に接触する凹凸構造が設けられている
蓄電設備。
【請求項4】
前記蓄電装置は前記複数の蓄電素子を覆う筐体を有し、
前記筐体が前記突出部を備える
請求項1
~3のいずれか一項に記載の蓄電設備。
【請求項5】
前記蓄電装置は、前記所定の方向における他端側の端部が前記支持部材に対して固定されている
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の蓄電素子(キャパシタ)を備えた蓄電装置(キャパシタモジュール)は、支持部材(配線基板)によって支持されている(例えば特許文献1参照)。蓄電装置は、蓄電設備のラック内に収容されている。具体的には、蓄電装置には、ラック内の支持部材に向けて折り曲げられた突出部(脚部)が設けられており、この突出部の先端部が支持部材の貫通孔に係合することで、蓄電装置と支持部材とを位置決めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、突出部の先端部を支持部材の貫通孔に係合する際には、この先端部と貫通孔とを予め位置決めしなければならない。この作業時においては、作業者は、蓄電装置を支持部材上で持ち上げることとなるが、蓄電装置が重量化してしまうと持ち上げること自体が難しくなり、結果として位置決め作業が困難となってしまう。
【0005】
このため、本発明の目的は、蓄電装置と支持部材との位置決め作業を容易にすることができる蓄電設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電設備は、複数の蓄電素子を備える蓄電装置と、蓄電装置を支持する支持部材と、を備える蓄電設備であって、蓄電装置は、所定の方向における蓄電装置の一端面から前記所定の方向に突出した突出部を備え、支持部材は、突出部が所定の方向から挿入される支持孔部を備えている。
【0007】
これによれば、蓄電装置の一端面に備わる突出部が、一端面から突出しているので、支持部材に対して所定の方向からスライドさせて蓄電装置を収容する場合に、突出部を容易に支持孔部へと挿入することができる。挿入時において奥側となる一端側では空間的な制約があり位置決め作業が困難であるが、上述したようにスライド作業だけで突出部を支持孔部に挿入できれば位置決め作業を容易化することができる。
【0008】
また、挿入後においては、突出部は支持孔部に接触しているので、蓄電装置の移動を規制することができる。このように、支持部材に対する蓄電装置の移動を容易に規制することが可能である。
【0009】
蓄電装置は複数の蓄電素子を覆う筐体を有し、記筐体が突出部を備えていてもよい。
【0010】
これによれば、筐体に備わる突出部を支持孔部に挿入することができる。このため、もともと筐体に備わっていた位置決め以外の機能を有する突出部で位置決めを行うことができる。つまり、一つの突出部で複数の機能を兼用することができ、それぞれ専用の部材を設けた場合と比べても部品点数の削減、小型化及び軽量化を図ることができる。これにより、位置決め作業時の蓄電装置自体の取り扱いを容易にすることができる。
【0011】
突出部は、先に向かうほど細くなる先細り形状であってもよい。
【0012】
これによれば、突出部が先細り形状であるので、突出部を支持孔部に対して容易に挿入することが可能となる。これにより、挿入時の操作性が高められるので、より確実に支持孔部に対して突出部を挿入することができる。
【0013】
突出部は、当該突出部が支持孔部に挿入された際に、当該支持孔部により押圧される弾性体を有していてもよい。
【0014】
これによれば、支持孔部により押圧される弾性体が突出部に備えられているので、突出部が支持孔部に挿入された状態では、弾性体が弾性変形して支持孔部に噛み合うこととなる。これにより、支持孔部に対する位置決めを強固にすることができる。したがって、支持部材に対する蓄電装置の移動をより確実に規制することが可能である。
【0015】
支持孔部の周縁には、突出部に接触する凹凸構造が設けられていてもよい。
【0016】
これによれば、支持孔部の周縁の凹凸構造が突出部に接触するので、突出部と支持孔部との接合をより強固にすることができる。したがって、支持部材に対する蓄電装置の移動をより確実に規制することが可能である。
【0017】
蓄電装置は、所定の方向における他端側の端部が支持部材に対して固定されていてもよい。
【0018】
これによれば、蓄電装置は、他端側の端部が支持部材に対して固定されているので、支持部材に対して所定の方向からスライドさせて蓄電装置を収容する場合に手前側となる他端側の端部を支持部材に容易にネジ止めすることができる。また、一端側(奥側)よりも空間的な制約が少ない他端部側の端部で支持部材に固定することもできるので、固定作業を容易化することも可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の蓄電設備によれば、蓄電装置と支持部材との位置決め作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態1に係る蓄電設備の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る蓄電設備の外観を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係るストッパの概略構成を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る蓄電ユニットを分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係る排気部及びバスバーフレームの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図7】実施の形態1に係る排気部及び外装体蓋体の概略構成を示す分解斜視図である。
【
図8】実施の形態1に係る排気部と蓄電素子との概略構成を示す断面図である。
【
図9】実施の形態1に係る排気口部の概略構成を示す側面図である。
【
図10】比較例である排気口部から排出されたガスを示す側面図である。
【
図11】実施の形態1に係る突出部の概略構成を示す平面図である。
【
図12】実施の形態2に係る排気口部の概略構成を示す斜視図である。
【
図13】実施の形態3に係る壁の概略構成を示す断面図である。
【
図14】実施の形態3に係る壁の概略構成を示す上面図である。
【
図15】変形例に係る突出部の概略構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電設備について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0022】
また、以下の説明及び図面中において、1つの棚板に並べられる複数の蓄電装置の並び方向、1つの蓄電素子における一対(正極側及び負極側)の電極端子の並び方向、蓄電素子の容器の短側面の対向方向、または、蓄電ユニットの外装体の長側面の対向方向を、X軸方向と定義する。前面カバーと背面カバーとが対向する方向、棚板に対して蓄電装置が挿入される挿入方向、複数の蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、蓄電ユニットの外装体の短側面の対向方向を、Y軸方向と定義する。複数の棚板の並び方向、蓄電ユニットの外装体支持体と外装体蓋体との並び方向、蓄電素子とバスバーとの並び方向、蓄電素子の容器本体と蓋部との並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0023】
また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。また、以下では、Y軸方向を第一方向とも呼び、X軸方向を第二方向とも呼び、Z軸方向を第三方向とも呼ぶ場合がある。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0024】
(実施の形態1)
[1 蓄電設備の構成の説明]
まず、本実施の形態における蓄電設備900の構成について説明する。蓄電設備900は、例えば風力発電、太陽光発電などの発電によって発電された電力を蓄え、外部の設備に安定的に電力を供給する定置型の蓄電池盤である。
【0025】
図1及び
図2は、実施の形態1に係る蓄電設備900の外観を示す斜視図である。
図1は、蓄電設備900の正面側を見た斜視図であり、
図2は蓄電設備900の背面側を見た斜視図である。
【0026】
図1に示すように、蓄電設備900は、金属製のラック901と、複数の蓄電装置1とを備えている。ラック901は、ラック本体910と、一対の前面カバー920と、一対の背面カバー930と、複数の棚板940とを備えている。
図1では一対の前面カバー920のうち、一方の前面カバー920の図示を省略している。
図2では一対の背面カバー930のうち、一方の背面カバー930の図示を省略している。
図1及び
図2では、複数の棚板940上に、総計で3つの蓄電装置1が設置されている場合を図示しているが、蓄電装置1の設置個数はこれに限定されない。
【0027】
ラック本体910は、例えば金属製の矩形箱体であり、その前面及び背面には開口が設けられている。ラック本体910の前面側の開口は、一対の前面カバー920によって覆われている。一対の前面カバー920は、X軸方向に並んで配置されており、ラック本体910の前面側の開口を開閉するように、ラック本体910の前部に取り付けられている。ラック本体910の背面側の開口は、一対の背面カバー930によって覆われている。一対の背面カバー930は、X軸方向に並んで配置されており、ラック本体910の背面側の開口を開閉するように、ラック本体910の背部に取り付けられている。
【0028】
ラック本体910内には、図示は省略するが、複数の蓄電装置1と接続された電気回路ユニットが設けられている。電気回路ユニットには、例えば、配線遮断器(サーキットブレーカ)及び制御回路等が収容されている。サーキットブレーカは、各蓄電装置1を充放電するための主電流が流れる主回路上に配置されており、制御回路は、図示しない信号線により各蓄電装置1の基板ユニット20(
図4参照)と接続されている。
【0029】
各前面カバー920及び各背面カバー930のそれぞれには、通気用の複数のスリット群925及び935が設けられている。具体的には、複数のスリット群925は、前面カバー920において、Z軸方向に配列されている。一つのスリット群925には、Z軸方向に長尺なスリットがX軸方向に沿って複数配列されている。複数のスリット群935は、背面カバー930において、Z軸方向に配列されている。一つのスリット群935には、Z軸方向に長尺なスリットがX軸方向に沿って複数配列されている。複数のスリット群925及び935によって、ラック本体910の内部が換気され、ラック本体910内に熱がこもらないようになっている。
【0030】
[2 棚板]
ラック本体910の内部には、複数の棚板940が所定の間隔をあけてZ軸方向に配列されている。棚板940は、複数の蓄電装置1を支持する支持部材の一例である。具体的には、棚板940はXY平面に平行な板体であり、一つの棚板940に対して複数の蓄電装置1がX軸方向に配列されて載置できるようになっている。棚板940に載置された蓄電装置1のY軸マイナス方向側の端部にはスリット群925が対向している。同様に、棚板940に載置された蓄電装置1のY軸プラス方向側の端部にはスリット群935が対向している。これにより、蓄電装置1から放出された熱をスリット群925及び935からスムーズにラック901外に排出することができる。
【0031】
棚板940におけるY軸プラス方向の端部には、上方に向かって突出したストッパ941が一体的に設けられている。
【0032】
図3は、実施の形態1に係るストッパ941の概略構成を示す斜視図である。
図3に示すように、ストッパ941は、蓄電装置1のY軸プラス方向側の端部に当接することで、蓄電装置1のY軸プラス方向への移動を規制する。具体的には、ストッパ941は、XZ平面に平行で、X軸方向に長尺な板体である。ストッパ941には、複数の支持孔部942がX軸方向に沿って所定の間隔をあけて形成されている。支持孔部942は、ストッパ941をY軸方向に貫通している。支持孔部942は、X軸方向に長尺な矩形状の孔部である。1つの支持孔部942は、1つの蓄電装置1に対応している。支持孔部942には、蓄電装置1のY軸プラス方向側の端部に設けられた突出部180が、Y軸マイナス方向から挿入されている。ストッパ941において支持孔部942の周縁には、突出部180に接触する凹凸構造943が形成されている。
【0033】
具体的には、凹凸構造943は、支持孔部942の上部であって中央部の縁辺に対して設けられている。凹凸構造943は、複数組の凹部944と凸部945とが交互に繰り返し配列されることで形成されている。なお、凹凸構造943は、凹部944または凸部945を少なくとも一つ有していればよい。凸部945の先端部は、突出部180に対して噛み込むように鋭角状に形成されている。凸部945の先端部が突出部180に対して接触することで、蓄電装置1のX軸方向及びY軸方向への移動を規制することができる。突出部180の詳細については後述する。
【0034】
[3 蓄電装置]
次に、本実施の形態における蓄電装置1の構成について説明する。
図4は、実施の形態1に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。
図5は、実施の形態1に係る蓄電ユニット10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0035】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される。具体的には、蓄電装置1は、例えば、家庭用または産業用の蓄電設備等に使用される定置用のバッテリ等として用いられる。また、蓄電装置1は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いることができる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及びガソリン自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール及びリニアモーターカーが例示される。
【0036】
図4及び
図5に示すように、蓄電装置1は、蓄電ユニット10と、蓄電ユニット10に取り付けられる基板ユニット20と、を備えている。蓄電ユニット10は、Y軸方向に長尺の略直方体形状を有する電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子11と、バスバーフレーム12と、排気部50と、複数のバスバー13と、これらを収容する外装体本体14、外装体支持体15及び外装体蓋体17からなる外装体18と、を有している。また、蓄電ユニット10には、ケーブル30が接続されている。なお、蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子11を拘束する拘束部材(エンドプレート、サイドプレート等)等を有していてもよい。
【0037】
蓄電素子11は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子11は、扁平な直方体形状(角形)を有しており、本実施の形態では、16個の蓄電素子11がY軸方向に並んで配列されている。なお、蓄電素子11の形状、配置位置及び個数等は、特に限定されない。また、蓄電素子11は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子11は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。さらに、蓄電素子11は、固体電解質を用いた電池であってもよい。また、蓄電素子11は、ラミネート型の蓄電素子であってもよい。
【0038】
具体的には、蓄電素子11は、本体部をなす金属製の容器11aを備え、容器11aの蓋部には、金属製の電極端子である正極端子11b及び負極端子11cが設けられている。つまり、本体部の上面には、正極端子11b及び負極端子11cが設けられている。容器11aの蓋部には、容器11a内の圧力上昇時にガスを排出して圧力を開放するガス排出弁111(
図8参照)が正極端子11b及び負極端子11cの間に設けられている。複数の蓄電素子11は、それぞれのガス排出弁111が同一方向(Z軸プラス方向)を向く姿勢で配列されている。また、隣り合う蓄電素子11同士の間には、断熱性を有する平板状のスペーサ11dが配置されている。なお、容器11aの蓋部には、電解液を注液するための注液部等が設けられていてもよい。また、容器11aの内方には、電極体(蓄電要素または発電要素ともいう)及び集電体(正極集電体及び負極集電体)等が配置され、電解液(非水電解質)などが封入されているが、詳細な説明は省略する。
【0039】
ここで、正極端子11b及び負極端子11cは、容器11aの蓋部から上方(Z軸プラス方向)に向けて突出して配置されている。そして、複数の蓄電素子11が有する最も外側の正極端子11b及び負極端子11cが、ケーブル30に接続されることにより、蓄電装置1が、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる。
【0040】
ケーブル30は、蓄電装置1(蓄電素子11)を充放電するための電流(充放電電流、主電流ともいう)が流れる電線(電源ケーブル、電力ケーブル、電源線、電力線ともいう)であり、正極側の正極電源ケーブル31と、負極側の負極電源ケーブル32とを有している。つまり、複数の蓄電素子11のうちの、Y軸プラス方向の端部の蓄電素子11の正極端子11bに、ケーブル30の正極電源ケーブル31が接続され、Y軸マイナス方向の端部の蓄電素子11の負極端子11cに、ケーブル30の負極電源ケーブル32が接続される。
【0041】
バスバーフレーム12は、バスバー13と他の部材との電気的な絶縁、及び、バスバー13の位置規制を行うことができる扁平な矩形状の部材である。バスバーフレーム12は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の絶縁部材により形成されている。具体的には、バスバーフレーム12は、複数の蓄電素子11の上方に載置され、複数の蓄電素子11に対して位置決めされる。また、バスバーフレーム12上には、複数のバスバー13が載置されて位置決めされている。これにより、各バスバー13は、複数の蓄電素子11に対して位置決めされて、当該複数の蓄電素子11が有する正極端子11b及び負極端子11cに接合される。バスバーフレーム12の詳細については後述する。
【0042】
排気部50は、バスバーフレーム12上に配置されており、各蓄電素子11のガス排出弁111から排出されたガスの排気経路59(
図8参照)を構成している。排気部50のY軸プラス方向の一端部は、ガスが排出される排気口部51であり、外装体18のY軸プラス方向の一端部から突出している。排気部50の詳細については後述する。
【0043】
各バスバー13は、複数の蓄電素子11上(バスバーフレーム12上)に配置され、複数の蓄電素子11の電極端子同士を電気的に接続する矩形状の板状部材である。バスバー13は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル材等の金属で形成されている。本実施の形態では、バスバー13は、隣り合う蓄電素子11の正極端子11bと負極端子11cとを接続することで、16個の蓄電素子11を直列に接続している。複数のバスバー13は、X軸プラス方向側(一側方)でY軸方向に沿って配列された第一バスバー群と、X軸マイナス方向側(他側方)でY軸方向に沿って配列された第二バスバー群とに分けられる。なお、蓄電素子11の接続の態様は上記には限定されず、直列接続及び並列接続がどのように組み合わされていてもよい。
【0044】
また、バスバー13、または、蓄電素子11の電極端子には、検出線13aが接続されている。検出線13aは、各蓄電素子11の状態を検出するためのケーブルである。検出線13aは、蓄電素子11の電圧計測用、温度計測用、または、蓄電素子11間の電圧バランス用の電線(通信ケーブル、制御ケーブル、通信線、制御線ともいう)である。なお、バスバー13または蓄電素子11の電極端子には、蓄電素子11の温度を計測するためのサーミスタ(図示せず)が配置されているが、説明は省略する。また、検出線13aのY軸マイナス方向の端部には、コネクタ13bが接続されている。コネクタ13bは、後述する基板ユニット20の基板に接続されるコネクタである。つまり、検出線13aは、コネクタ13bを介して、蓄電素子11の電圧及び温度等の情報を、基板ユニット20の基板に伝達する。また、検出線13aは、基板の制御によって、電圧が高い蓄電素子11を放電させて、蓄電素子11間の電圧をバランスさせる機能も有している。
【0045】
外装体18は、蓄電ユニット10の外装体を構成する矩形状(箱状)の筐体(モジュールケース)である。つまり、外装体18は、蓄電素子11等の外方に配置され、蓄電素子11等を所定の位置で固定し、衝撃などから保護する。ここで、外装体18は、外装体18の本体を構成する外装体本体14と、外装体本体14を支持する外装体支持体15と、外装体18の蓋体(外蓋)を構成する外装体蓋体17と、を有している。
【0046】
外装体本体14は、開口が形成された有底矩形筒状のハウジングである。外装体本体14は、例えば、PC、PP、PE等の絶縁部材により形成されている。外装体本体14は、複数の蓄電素子11、排気部50及びバスバーフレーム12などを収容している。外装体本体14におけるY軸プラス方向側の端部であって、その上部中央には排気部50の排気口部51が貫通する切欠部141が形成されている。切欠部141は、上方が開放された矩形状の切欠である。
【0047】
外装体支持体15及び外装体蓋体17は、外装体本体14を保護(補強)する部材である。外装体支持体15及び外装体蓋体17は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板等の金属製の部材により形成されている。なお、外装体支持体15及び外装体蓋体17は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。
【0048】
外装体支持体15は、外装体本体14を下方(Z軸マイナス方向)から支持する第二補強部材の一例であり、底部15aと、基板ユニット取付部16と、接続部15b及び15cと、固定部15dとを有している。底部15aは、蓄電装置1の底部を構成する、XY平面に平行かつY軸方向に延設された平板状かつ矩形状の部位であり、外装体本体14の下方に配置される。蓄電装置1が棚板940に設置されると、底部15aの下面が棚板940の上面に対して接触する。つまり、底部15aの下面は、棚板940に設置される設置面159である。
【0049】
基板ユニット取付部16は、底部15aのY軸マイナス方向の端部からZ軸プラス方向に立設された平板状かつ矩形状の部位であり、基板ユニット20が取り付けられる。接続部15bは、基板ユニット取付部16のZ軸プラス方向の端部に配置され、Y軸マイナス方向に突出する部位であり、外装体蓋体17と接続される。接続部15cは、底部15aのY軸プラス方向の端部からZ軸プラス方向に立設され、かつ、Y軸プラス方向に突出する部位であり、外装体蓋体17と接続される。固定部15dは、底部15aのY軸マイナス方向の端部からZ軸マイナス方向に立設された平板状かつ矩形状の部位であり、棚板940のY軸マイナス方向側の端部に固定される端部である。固定部15dは、X軸方向において底部15aの中央部に配置されている。本実施の形態では、固定部15dと棚板940との固定にネジ止めを用いているが、固定及びその解除を自在に行えるのであれば固定方法は如何様でもよい。
【0050】
外装体蓋体17は、複数の蓄電素子11の上方を覆う第一補強部材の一例である。具体的には、外装体蓋体17は、外装体本体14の開口を塞ぐように配置される部材であり、天面部17aと、接続部17b及び17cと、を有している。天面部17aは、蓄電装置1の上面部を構成する、XY平面に平行かつY軸方向に延設された平板状かつ矩形状の部位であり、外装体本体14の上方に配置される。接続部17bは、天面部17aのY軸マイナス方向の端部に配置され、Y軸マイナス方向に突出する部位であり、外装体支持体15の接続部15bと接続される。接続部17cは、天面部17aのY軸プラス方向の端部からZ軸マイナス方向に延び、かつ、Y軸プラス方向に突出する部位であり、外装体支持体15の接続部15cと接続される。このように、外装体支持体15及び外装体蓋体17は、外装体本体14を上下方向から挟み込んだ状態で、接続部15b及び15cと接続部17b及び17cとがネジ止め等で接続されることで固定される構成となっている。これにより、外装体本体14内に収容される各部材(バスバーフレーム12、複数の蓄電素子11及び排気部50)は、外装体支持体15及び外装体蓋体17によって上下方向で挟持されている。また、互いに接続された接続部15c及び接続部17cは、突出部180を構成している。突出部180の詳細については後述する。
【0051】
また、外装体蓋体17の接続部17cには、上端部(Z軸プラス方向側の端部)の中央に、排気部50の排気口部51が貫通する開口部171(
図7等参照)が形成されている。開口部171は、排気部50の外形形状に対応した平面視形状を有している。本実施の形態では、開口部171は平面視矩形状の形状を有している。排気部50の排気口部51は、開口部171と、外装体本体14の切欠部141とを貫通することで外装体18から突出している。
【0052】
図4に示すように、基板ユニット20は、蓄電ユニット10が有する蓄電素子11の状態の監視、及び、蓄電素子11の制御を行うことができる機器である。本実施の形態では、基板ユニット20は、蓄電ユニット10の長手方向の端部、つまり、蓄電ユニット10のY軸マイナス方向の側面に取り付けられる扁平な矩形状の部材である。具体的には、基板ユニット20は、蓄電ユニット10の外装体18が有する外装体支持体15に設けられた基板ユニット取付部16(
図5参照)に、回動可能に取り付けられる。
【0053】
[4 バスバーフレーム]
次にバスバーフレーム12の詳細について説明する。
図6は、実施の形態1に係る排気部50及びバスバーフレーム12の概略構成を示す分解斜視図である。
図6は、排気部50及びバスバーフレーム12を上方から見た斜視図である。
【0054】
図6に示すように、バスバーフレーム12は、複数の蓄電素子11上に配置されて、複数のバスバー13を保持するバスバー保持部材の一例である。具体的には、バスバーフレーム12は、第一保持部71と、第二保持部72と、連結部73とを有している。ここで、複数の検出線13aのうち、第一保持部71で保持される複数の検出線13aを第一検出線と称す。また、複数の検出線13aのうち、第二保持部72で保持される複数の検出線13aを第二検出線と称す。
【0055】
第一保持部71は、バスバーフレーム12におけるX軸プラス方向側(一側方)の部位であり、第一バスバー群と、正極電源ケーブル31とを保持する部位である。また、第一保持部71は、各蓄電素子11におけるX軸プラス方向の電極端子(正極端子11bまたは負極端子11c)または、第一バスバー群に含まれるバスバー13に接続される複数の第一検出線も保持している。
【0056】
第一保持部71は、各蓄電素子11のガス排出弁111よりもX軸プラス方向に配置されている。第一保持部71は、当該第一保持部71の外周を囲む第一外壁部711と、第一外壁部711とともに各バスバー13を囲む第一囲壁712とを有している。
【0057】
第一外壁部711におけるY軸マイナス方向の端部には、一対の第一切欠711a及び711bが形成されている。一対の第一切欠711a及び711bのうち一方の第一切欠711aには、正極電源ケーブル31及び複数の第一検出線が貫通するように配置されている。また、他方の第一切欠711bには負極電源ケーブル32が貫通するように配置されている。
【0058】
第一囲壁712は、第一外壁部711内においてX軸プラス方向側に配置されており、Y軸方向に長尺に設けられている。第一囲壁712のY軸プラス方向の端部は、Y軸プラス方向の端部の蓄電素子11と、その隣の蓄電素子11との間に配置されている。第一囲壁712のY軸マイナス方向の端部は、第一外壁部711の第一切欠711aの近傍まで延設されている。
【0059】
第一囲壁712内には、各バスバー13の間に配置された複数の第一区画壁713と、各蓄電素子11の間に配置された複数の第一仕切部714とが設けられている。第一区画壁713は、XZ平面に平行な平板形状を有しており、その上端面が第一外壁部711の上端面と面一となっている。第一仕切部714は、X軸方向に長尺な部位であり、第一区画壁713よりも高さが低い。各バスバー13は、対応する第一仕切部714をまたぐように配置されている。
【0060】
第一外壁部711内において、第一囲壁712よりもX軸マイナス方向の領域は、Y軸方向に沿って貫通された第一ケーブル経路部715である。第一ケーブル経路部715は、各蓄電素子11のガス排出弁111と、第一バスバー群に含まれる各バスバー13との間に配置されている。このように、第一ケーブル経路部715は、バスバーフレーム12内において、第一バスバー群よりもX軸方向の内方に配置されている。
【0061】
第一ケーブル経路部715には、正極電源ケーブル31及び複数の第一検出線が配置されている。第一ケーブル経路部715は、正極電源ケーブル31及び複数の第一検出線の経路をなしている。複数の第一検出線及び正極電源ケーブル31は、第一ケーブル経路部715内に配置されることで、第一保持部71と第二保持部72との間、つまり連結部73上を回避して配置されている。
【0062】
第二保持部72は、バスバーフレーム12におけるX軸マイナス方向側(他側方)の部位である。第二保持部72は、第二バスバー群と、各蓄電素子11におけるX軸マイナス方向の電極端子(正極端子11bもしくは負極端子11c)、または、第二バスバー群に含まれるバスバー13に接続される複数の第二検出線とを保持している。
【0063】
第二保持部72は、各蓄電素子11のガス排出弁111よりもX軸マイナス方向に配置されている。第二保持部72は、当該第二保持部72の外周を囲む第二外壁部721と、第二外壁部721とともに各バスバー13を囲む第二囲壁722とを有している。
【0064】
第二外壁部721におけるY軸マイナス方向の端部には、第二切欠721aが形成されている。第二切欠721aには、複数の第二検出線が貫通するように配置されている。
【0065】
第二囲壁722は、第二外壁部721内においてX軸マイナス方向側に配置されており、Y軸方向に長尺に設けられている。第二囲壁722のY軸プラス方向の端部は、第二外壁部721のY軸プラス方向の端部と連続している。また、第二囲壁722のY軸マイナス方向の端部は、第二外壁部721の第二切欠721aの近傍まで延設されている。
【0066】
第二囲壁722におけるX軸マイナス方向側の領域には、各バスバー13の間に配置された複数の第二区画壁723と、各蓄電素子11の間に配置された複数の第二仕切部724とが設けられている。第二区画壁723は、XZ平面に平行な平板形状を有しており、その上端面が第二外壁部721の上端面と面一となっている。第二仕切部724は、X軸方向に長尺な部位であり、第二区画壁723よりも高さが低い。各バスバー13は、対応する第二仕切部724をまたぐように配置されている。
【0067】
第二外壁部721内において、第二囲壁722よりもX軸プラス方向側の領域は、Y軸方向に沿って貫通された第二ケーブル経路部725である。第二ケーブル経路部725は、各蓄電素子11のガス排出弁111と、第二バスバー群に含まれる各バスバー13との間に配置されている。このように、第二ケーブル経路部725は、バスバーフレーム12内において、第二バスバー群よりもX軸方向の内方に配置されている。
【0068】
第二ケーブル経路部725には、複数の第二検出線が配置されている。複数の第二検出線は、第二ケーブル経路部725内に配置されることで、第一保持部71と第二保持部72との間、つまり連結部73上を回避して配置されている。
【0069】
図6に示すように、連結部73は、第一保持部71と第二保持部72とを連結する部位である。具体的には、連結部73は、一端部が第一保持部71に連結され、他端部が第二保持部72に連結されたX軸方向に長尺な複数の梁部731を有している。複数の梁部731は、Y軸方向に所定の間隔をあけて配置されている。複数の梁部731上には、排気部50が配置されている。複数の梁部731のうち、Y軸マイナス方向の端部の梁部731は、Y軸マイナス方向の端部の蓄電素子11の外方に配置されている。また、Y軸プラス方向の端部の梁部731は、Y軸プラス方向の端部の蓄電素子11の外方に配置されている。これら以外の梁部731は、隣り合う一対の蓄電素子11の間に配置されている。このように、複数の梁部731は、各蓄電素子11のガス排出弁111から退避した位置に配置されている。換言すると、各蓄電素子11のガス排出弁111は、上面視で複数の梁部731から露出された状態となっている。
【0070】
[5 排気部]
図7は、実施の形態1に係る排気部50及び外装体蓋体17の概略構成を示す分解斜視図である。具体的には、
図7は、排気部50及び外装体蓋体17を下方から見た斜視図である。
図8は、実施の形態1に係る排気部50と蓄電素子11との概略構成を示す断面図である。
【0071】
図6~
図8に示すように、排気部50は、排気部材60と、蓋部材65とを有している。排気部材60は、全体としてバスバーフレーム12に支持された状態で、各蓄電素子11のガス排出弁111の直上に配置されている。排気部材60は、Y軸方向視で上方が開放されたU字状に形成されており、Y軸方向に長尺な樹脂製の部材である。排気部材60のY軸方向の長さは、外装体本体14のY軸方向の全長に対応した長さとなっている。このため、排気部材60は、全体を外装体本体14内に収めることができる。
【0072】
排気部材60の底部において、X軸方向の両端部の上面には、一対の壁部601が設けられている。各壁部601は、YZ平面に略平行に形成されている。底部の上面には、各壁部601の近傍に、Y軸方向に沿って延設された溝602が形成されている。各溝602内には、蓋部材65の各壁部652が配置されている。
【0073】
また、排気部材60の底部においてX軸方向の中央部には、各蓄電素子11のガス排出弁111を露出させる複数の孔部61が形成されている。排気部材60の外底面には、各孔部61の全周を連続的に囲むように突出した複数の接触部62が設けられている。各接触部62の下面には、例えばゴムなどの平板状の弾性体621が積層されている。各接触部62は、平面視における外形が略矩形状に形成されている。各接触部62は、Y軸方向に所定の間隔をあけて配列されており、当該各接触部62の間には、X軸方向に延設された溝部63が形成されている。この溝部63を形成することによって、各接触部62を区画し、凸状の接触部62を容易に形成することができる。
【0074】
図8に示すように、接触部62は、蓄電素子11に向けて突出した凸部であり、その先端面(下端面)が蓄電素子11の容器11aの蓋部に対して接触している。具体的には、接触部62は、弾性体621が圧縮された状態で容器11aの蓋部に密着している。接触部62は、蓋部に備わるガス排出弁111の全周を囲んでおり、ガス排出弁111と孔部61との境界を弾性体621が密閉している。孔部61は、蓄電素子11に備わる複数の電極端子(正極端子11b及び負極端子11c)の並び方向(X軸方向)において、ガス排出弁111よりも長く形成されている。なお、孔部61は、ガス排出弁111と同形状であってもよい。
【0075】
ここで、蓄電素子11は、Y軸方向の大きさがX軸方向の大きさよりも小さい。つまり、当該Y軸方向では、孔部61を大きくしにくい。一方、X軸方向では孔部61を大きくしやすいために、ガス排出弁111よりも長くしている。これにより、ガス排出弁111の開放時に、当該開放を孔部61が遮ることを抑制することができ、スムーズなガス排出が可能となる。なお、孔部61が全体としてガス排出弁111よりも大きな形状であれば、よりスムーズなガス排出が可能である。
【0076】
また、孔部61のZ軸プラス方向側の周縁は、全周にわたって蓋部材65側に向けて突出した環状部64となっている。環状部64は全周にわたって連続している。この環状部64によって孔部61の周縁が補強されるだけでなく、高温のガスに晒されたとしても、孔部61の周縁の全体が溶融してしまうことを抑制している。
【0077】
排気部材60は、バスバーフレーム12よりも耐熱性の高い樹脂から形成されていてもよい。例えばバスバーフレーム12がPPから形成されている場合には、排気部材60を、PPよりも耐熱性の高いポリフェニレンスルファイド(PPS)で形成すればよい。ここで、バスバーフレームと排気部材とを単一の樹脂により一体成形する場合には、その全てを耐熱性の高い樹脂で成形する必要があるが、本実施の形態では、バスバーフレーム12とは別体の排気部材60のみを耐熱性の高い樹脂で形成すればよいので、当該樹脂の使用量を抑制することができる。
【0078】
図6~
図8に示すように、蓋部材65は、排気部材60の上方に配置されており、排気部材60の開放部分を閉塞している。具体的には、蓋部材65は、金属製であり、排気部材60よりも放熱性が高い。蓋部材65は、Y軸方向視で下方が開放されたU字状に形成されており、Y軸方向に長尺な部材である。
【0079】
蓋部材65は、天板部651と、一対の壁部652とを備えている。天板部651は、XY平面に平行な長尺な矩形状の板部である。一対の壁部652は、天板部651におけるX軸方向の両端部の下面に設けられている。各壁部652は、YZ平面に平行に形成されている。各壁部652の下端は、排気部材60の溝602の底面に当接されている。このように各壁部652の下端が溝602内に収容された状態で溝602の底面に当接されているので、各壁部652の下端が平面に当接された場合と比べても、各壁部652と排気部材60との密閉性を高くすることができる。この状態においては、蓋部材65の天板部651は、排気部材60の一対の壁部601よりも上方に配置されている。このため、蓋部材65の天板部651が、外装体蓋体17の天面部17aによって下方に向けて押圧されている。この押圧力によって、蓋部材65の一対の壁部652が溝602の底面に押圧されるので、より高い密閉性を発揮することができる。さらに、蓄電素子11のガス排出弁111からガスが排出された場合には、蓋部材65がガスを受けるために蓋部材65が浮くおそれもある。蓋部材65が外装体蓋体17から下方への押圧力を受けているので、ガスの排出を起因とした蓋部材65の浮きを抑制することができる。
【0080】
また、排気部材60に対しても、蓋部材65の一対の壁部652から下方に向かう押圧力が作用しているので、排気部材60は複数の蓄電素子11を下方へと押圧している。これにより、排気部材60の弾性体621を確実に圧縮させることができ、より高い密着性を発揮することができる。また、この押圧力によって、複数の蓄電素子11における上下方向の位置ズレを抑制することも可能である。
【0081】
蓋部材65のY軸方向の長さは、排気部材60のY軸方向の全長よりも長い。このため、蓋部材65のY軸プラス方向側の一端部を排気部材60から突出させることができる。
【0082】
蓋部材65のY軸プラス方向の一端部は、排気部材60から突出した状態で下方及び先端面が開放されている。一方、蓋部材65の他端部は閉塞されており、ガスの排出を防止している。蓋部材65は、排気部材60内に収容された状態で、排気部材60とともにガスの排気経路59を構成している。前述した蓋部材65の一端部における開放された部位からはガスが排出される。つまり、蓋部材65の一端部はガスが排出される排気口部51である。これにより、排気口部51は、ガスの進行方向視(Y軸方向視)でU字状となっている。具体的には、排気口部51は、開放部が下方を向くU字状となっている。
【0083】
図9は、実施の形態1に係る排気口部51の概略構成を示す側面図である。
図9では、上下に並んだ二つの蓄電装置1を側面図で示し、棚板940と背面カバー930とを断面図で図示している。
【0084】
排気口部51は、バスバーフレーム12及び外装体18のY軸プラス方向の端部から外方に突出している。また、排気口部51は、棚板940のY軸プラス方向の端部から外方に突出している。
【0085】
各蓄電素子11のガス排出弁111から排出されたガスは、排気部材60の孔部61から、排気部材60と蓋部材65とがなす排気経路59に進入する。その後、ガスは排気経路59を通過して、外装体18の外方にある排気口部51から蓄電ユニット10外に排出される。上述したように排気口部51では、先端部及び下部が開放しているために、これらの開放部からガスG1が放出される。
【0086】
ここで、
図10は、比較例である排気口部51eから排出されたガスG2を示す側面図である。
図10は、
図9に対応する図である。比較例の排気口部51eは、下部が閉塞され、先端部のみが開放されている点で本実施の形態に係る排気口部51と異なる。このため、排気口部51eの先端部からはガスG2が勢いよく噴出される。この勢いによって、ガスG2は、背面カバー930のスリット群935から蓄電設備900の近傍にある他の装置(他の蓄電設備などの設備等)にあたることになる。これにより、ガスG2が他の装置に対して悪影響を及ぼすおそれがある。
【0087】
一方、
図9に示すように、本実施の形態に係る排気口部51では、開放された先端部及び下部からガスG1が放出されるので、放出時の勢いが分散される。これにより、ガスG1が他の装置に到達しにくくなり、他の装置に対する悪影響を抑制することができる。
【0088】
[6 突出部]
次に、突出部180の詳細について説明する。
図11は、実施の形態1に係る突出部180の概略構成を示す平面図である。
図3及び
図9、
図11に示すように、突出部180は、蓄電装置1におけるY軸プラス方向の一端面99からY軸プラス方向に突出した庇部の一例である。突出部180は、上述したように、外装体支持体15の接続部15cと、外装体蓋体17の接続部17cとが接続されることで形成された部位である。接続部15cと、接続部17cとは、上下方向で積層された状態でネジ181により締結されている。具体的には、接続部15cと接続部17cとはそれぞれ、XY平面に平行であり、X軸方向に長尺な矩形板状の部位を有している。接続部17cの上面には、例えばゴムからなる弾性体151が取り付けられている。弾性体151は、棚板940の凹凸構造943に対応した位置に配置されている。弾性体151は、X軸方向に長尺な三角柱状の部材である。弾性体151は、接続部17c上において、先細るように配置されている。つまり、弾性体151は、Y軸プラス方向に向かうにつれて接続部17cの上面に近づく傾斜面151aを有している。これにより、突出部180は、先に向かうほど厚み方向(Z軸方向)で細くなる先細り形状を有することになる。例えば、蓄電装置1が棚板940上にセットされる際には、蓄電装置1は、支持孔部942に対してY軸マイナス方向側から棚板940上でスライドされることで、突出部180が支持孔部942内に挿入される。突出部180が先細り形状であれば、支持孔部942にスムーズに挿入されるので、挿入時の操作性が高められている。
【0089】
また、弾性体151は、凹凸構造943よりもX軸方向に長い範囲に設けられている。これにより、突出部180が棚板940の支持孔部942に挿入された際には、凹凸構造943の全体が弾性体151に噛み合うこととなる。
【0090】
ここで、蓄電素子11のガス排出弁111からは電解液が排出されたり、排出されたガスが排気経路59内で冷却されることで電解液に戻る場合もある。つまり、排気口部51の下部の開放部からは、
図9に示すように電解液Lが落下することもある。突出部180は、蓄電装置1の設置面159と、排気口部51との間に配置されているので、突出部180が電解液Lを受けることができる。具体的には、突出部180に備わる弾性体151が排気口部51の下方に配置されているので、この弾性体151の傾斜面151aが電解液Lを受けることとなる。電解液Lは、弾性体151の傾斜面151aによってY軸プラス方向へ案内される。これにより、高温化した電解液Lは蓄電装置1の一端面99から離れることとなる。
【0091】
また、状況によっては突出部180上で電解液LがY軸マイナス方向側に流れることも想定される。しかしながら、突出部180は、蓄電素子11の上方を覆う外装体蓋体17の接続部17cにより形成されているので、突出部180上でY軸マイナス方向側(蓄電素子11側)に向かって電解液Lが流れたとしても、外装体蓋体17自体が壁となり、それ以上の進行を抑制することができる。外装体蓋体17に電解液Lが触れたとしても、外装体蓋体17の内方にある部材(蓄電素子11、外装体本体14など)までは電解液Lは進行しない。
【0092】
特に、本実施の形態では、排気口部51が突出部180よりも外方に突出しているので、排気経路59を通過したガスG1及び電解液Lが突出部180から離れた位置で排出される。具体的には、電解液Lは、ガスG1の勢いを受けて排気口部51の内面上でY軸プラス方向に移動しながら徐々に下方に向かうものもある。つまり高温化した電解液Lが蓄電装置1の近傍で排出されにくくなり、突出部180上にも落下しにくくなる。このため、当該電解液Lを起因とした蓄電装置1の燃焼を抑制することができ、より安全性を高めることができる。
【0093】
図11に示すように、蓄電装置1における一端面99を平面視した場合において、当該一端面99の中心Pを基準にすると、突出部180は中心Pよりも下方に配置されており、排気口部51は中心Pよりも上方に配置されている。このように、一端面99の上部に排気口部51が配置され、下部に突出部180が配置されているので、排気口部51から落下し突出部180に至るまでの電解液Lの落下経路を長くすることができる。したがって、電解液Lが空気に触れる時間を長くすることができ、電解液Lを極力冷却することができる。これにより、電解液Lが突出部180に触れる際の温度を下げることができ、突出部180の熱変形を抑制することができる。
【0094】
[7 効果の説明]
以上のように、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、複数の蓄電素子11を備える蓄電装置1と、蓄電装置1を支持する棚板940(支持部材)と、を備える蓄電設備900であって、蓄電装置1は、所定の方向における蓄電装置1の一端面99から所定の方向に突出した突出部180を備え、棚板940は、突出部180が所定の方向から挿入される支持孔部942を備えている。
【0095】
これによれば、蓄電装置1の一端面99に備わる突出部180が、一端面99から突出しているので、棚板940に対して所定の方向からスライドさせて蓄電装置1を収容する場合に、突出部180を容易に支持孔部942へと挿入することができる。挿入時において奥側となる一端側では空間的な制約があり位置決め作業が困難であるが、上述したようにスライド作業だけで突出部180を支持孔部942に挿入できれば位置決め作業を容易化することができる。
【0096】
また、挿入後においては、突出部180は支持孔部942に接触しているので、蓄電装置1の移動を規制することができる。このように、棚板940に対する蓄電装置1の移動を容易に規制することが可能である。
【0097】
また、突出部180を取っ手として用いることも可能であるので、取っ手専用の部材が不要となる。
【0098】
また、蓄電装置1は複数の蓄電素子11を覆う外装体18(筐体)を有し、外装体18が突出部180を備える。
【0099】
これによれば、外装体18に備わる突出部180を支持孔部942に挿入することができる。このため、もともと外装体18に備わっていた位置決め以外の機能を有する突出部180で位置決めを行うことができる。つまり、一つの突出部180で複数の機能を兼用することができ、それぞれ専用の部材を設けた場合と比べても部品点数の削減、小型化及び軽量化を図ることができる。これにより、位置決め作業時の蓄電装置1自体の取り扱いを容易にすることができる。
【0100】
また、突出部180は、先に向かうほど細くなる先細り形状である。
【0101】
これによれば、突出部180が先細り形状であるので、突出部180を支持孔部942に対して容易に挿入することが可能となる。これにより、挿入時の操作性が高められるので、より確実に支持孔部942に対して突出部180を挿入することができる。
【0102】
また、突出部180は、当該突出部180が支持孔部942に挿入された際に、当該支持孔部942により押圧される弾性体151を有する。
【0103】
これによれば、支持孔部942により押圧される弾性体151が突出部180に備えられているので、突出部180が支持孔部942に挿入された状態では、弾性体151が弾性変形して支持孔部942に噛み合うこととなる。これにより、支持孔部942に対する位置決めを強固にすることができる。したがって、棚板940に対する蓄電装置1の移動をより確実に規制することが可能である。
【0104】
また、支持孔部942の周縁には、突出部180に接触する凹凸構造943が設けられている。
【0105】
これによれば、支持孔部942の周縁の凹凸構造943が突出部180に接触するので、突出部180と支持孔部942との接合をより強固にすることができる。したがって、棚板940に対する蓄電装置1の移動をより確実に規制することが可能である。
【0106】
また、蓄電装置1は、固定部15d(所定の方向における他端側の端部)が棚板940材に対して固定されている。
【0107】
これによれば、蓄電装置は、他端側の端部である固定部15dが棚板940に対して固定されているので、棚板940に対して所定の方向からスライドさせて蓄電装置1を収容する場合に手前側となる固定部15dを棚板940に容易にネジ止めすることができる。また、一端側(奥側)よりも空間的な制約が少ない他端部側の固定部15dで棚板940に固定することもできるので、固定作業を容易化することも可能である。
【0108】
また、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、所定の方向に沿って配列され、それぞれガス排出弁111を有する複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11のそれぞれのガス排出弁111上に配置され、当該ガス排出弁111から排出されたガスの排気経路59をなす排気部50と、複数の蓄電素子11の上方を覆う外装体蓋体17(第一補強部材)とを備える蓄電装置1であって、所定の方向における蓄電装置1の一端面99には、排気経路59の排気口部51と、当該一端面99から所定の方向に沿って突出した突出部180(庇部)とが設けられており、突出部180は、外装体蓋体17の接続部17c(一端部)により形成されており、排気口部51と、蓄電装置1における設置面159との間に配置されている。
【0109】
これによれば、突出部180が排気口部51と設置面159との間に配置されているので、排気口部51から排出された電解液Lを突出部180で受けることができる。電解液Lは、突出部180によって所定の方向に案内されることで、蓄電装置1の一端面99から離れることとなる。このため、高温化した電解液Lを蓄電装置1の一端面99に触れにくくすることができる。
【0110】
さらに、突出部180が、複数の蓄電素子11の上方を覆う外装体蓋体17の接続部17cにより形成されているので、突出部180上で蓄電素子11に向かって電解液Lが流れたとしても、外装体蓋体17自体が壁となり、それ以上の進行を抑制することができる。蓄電装置1の一端面99に電解液が触れたとしても、外装体蓋体17よりも内方にある部材(蓄電素子11、外装体本体14など)までは電解液Lは進行しない。これらのことから電解液Lを起因とした蓄電装置1の発火を抑制することができ、安全性を高めることができる。
【0111】
また、外装体18における排気口部51が配置された一端面99から突出するとともに、排気口部51と棚板940との間に配置された突出部180(庇部)を有し、排気口部51は、突出部180よりも外方に突出している。
【0112】
また、排気口部51は、蓄電装置1の一端面99を平面視した場合における当該一端面99の中心Pよりも上方に配置されており、突出部180は、蓄電装置1の一端面99を平面視した場合における当該一端面99の中心Pよりも下方に配置されている。
【0113】
これによれば、一端面99の上部に排気口部が配置され、下部に突出部180が配置されているので、排気口部51から落下し突出部180に至るまでの電解液Lの落下経路を長くすることができる。したがって、電解液Lが空気に触れる時間を長くすることができ、電解液Lを極力冷却することができる。これにより、電解液Lが突出部180に触れる際の温度を下げることができ、突出部180の熱変形や燃焼を抑制することができる。このため、安全性をより高めることができる。
【0114】
また、蓄電装置1は、複数の蓄電素子11の下方に配置されて、外装体蓋体17とともに複数の蓄電素子11を挟んで補強する外装体支持体15(第二補強部材)を有し、外装体蓋体17と外装体支持体15の一端部同士を接続した接続部(接続部15c及び17c)は、突出部180であり、排気部50は、外装体蓋体17により押圧されている。
【0115】
これによれば、排気部50が外装体蓋体17により押圧されているので、ガス排出弁111からガスが排出されたことで、排気部50が浮こうとしたとしても、外装体蓋体17によって排気部50の浮きを抑制することができる。このように外装体蓋体17が庇部としての機能と、排気部50の浮き抑制の機能とを兼ね備えているので、それぞれ専用の部材を設けた場合と比べても部品点数を削減することができる。部品点数が削減できれば、それだけ燃焼しうる部品も少なくなるので、安全性を高めることができる。
【0116】
また、排気部50は、外装体蓋体17から受ける押圧力により複数の蓄電素子11を押圧している。
【0117】
これによれば、排気部50が外装体蓋体17から受ける押圧力により複数の蓄電素子11を押圧しているので、複数の蓄電素子11における上下方向の位置ズレを抑制することができる。このように、外装体蓋体17は、庇部としての機能と、排気部50の浮き抑制の機能とに加えて、蓄電素子11の位置ずれ抑制機能を兼ねているので、それぞれ専用の部材を設けた場合と比べても部品点数を削減することができる。部品点数が削減できれば、それだけ燃焼しうる部品も少なくなるので、安全性を高めることができる。
【0118】
また、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、それぞれガス排出弁111を有し、当該ガス排出弁111が同一方向を向く姿勢で配列された複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11のそれぞれのガス排出弁111上に配置され、当該ガス排出弁111から排出されたガスG1の排気経路59をなす排気部50と、複数の蓄電素子11及び排気部50を収容する外装体18(筐体)と、を備え、排気部50の一部は、外装体18から突出し、排気経路59の出口部分をなす排気口部51であり、排気口部51は、ガスG1の進行方向視においてU字状であり、蓄電素子11を下方から支持する棚板940(支持部材)よりも外方に突出している。
【0119】
これによれば、排気口部51がガスG1の進行方向視でU字状である。つまり、一部が開放された形状であるので、当該開放部からもガスG1が排出される。したがって、ガスG1を拡散させて外部へと排出できるので、蓄電装置1に隣り合う他の装置にガスG1が集中的に噴出されることを抑制することができる。このため、ガス排出時において他の装置に対する悪影響を抑制することができ、当該他の装置が燃焼してしまうことを抑制できる。これにより、ガス排出時における安全性を高めることができる。
【0120】
また、排気口部51の内部にガスG1を起因とした堆積物が溜まりにくくなるので、排気経路59の詰まりを抑制することができ、スムーズなガスG1の排出を維持することができる。したがって、安全性の高い蓄電装置1を提供することが可能である。
【0121】
また、排気口部51が棚板940よりも外方に突出しているので、棚板940から離れた位置まで排気口部51でガスG1及び電解液Lを案内することができる。つまり高温化した電解液Lは蓄電装置1の近傍で排出されにくくなり、棚板940上にも落下しにくくなる。このため、当該電解液Lを起因とした蓄電装置1の燃焼を抑制することができる。
【0122】
また、排気口部51におけるU字状の開放部が下方を向いている。
【0123】
これによれば、排気口部51におけるU字状の開放部が下方を向いているので、排出された電解液Lを排気口部51の下方へと落下させやすい。このため、排気口部51の内部に、蓄電素子11から出てくる堆積物が溜まりにくくなるので、排気経路59の詰まりをより確実に抑制することができる。したがって、より安全性を高めることができる。
【0124】
これによれば、排気口部51が突出部180よりも外方に突出しているので、排気口部51の開放部から垂れた電解液Lを突出部180で受けることができる。電解液Lは、突出部180によってより外方に案内されることで、外装体18の一端面99から離れることとなる。つまり、高温化した電解液を外装体18の一端面99に触れにくくすることができ、電解液Lを起因とした外装体18の発火を抑制することができる。したがって、より安全性を高めることができる。
【0125】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、排気口部51がガスの進行方向視で、開放部が下方を向くU字状である場合を例示した。実施の形態2では、排気口部がガスの進行方向視で、開放部が上方を向くU字状である場合を例示する。なお、以下の説明において、上記実施の形態1と同等の部位においては、同等の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0126】
図12は、実施の形態2に係る排気口部51aの概略構成を示す斜視図である。具体的には
図12は
図3に対応する図である。
図12に示すように、排気部材60aの一端部は外装体蓋体17の開口部171から突出しており、蓋部材65aの一端部は外装体蓋体17内に収められている。この開口部171から突出した排気部材60aの一端部が排気口部51aである。この例示では、排気後部51aは、外装体蓋体17と溶接、ネジ留め等で固定されている。このため、排気口部51aは、Y軸方向視で上方が開放したU字状となっている。なお、排気口部51aは、上方が開放された構造であればよく、その材質・構成・製造方法に限定されるものではない。たとえば別のU字型の部材を溶接やねじ留め等で接続してもよい。
【0127】
これによれば、排気口部51aが棚板940よりも外方に突出し、なおかつ排気口部51aにおけるU字状の開放部が上方を向いているので、棚板940から離れた位置まで排気口部51aでガス及び電解液を案内することができる。ガスは、上昇しやすいために、開口部171を通過した直後から、排気口部51aの上方の開放部で拡散されながら排出される。これにより、蓄電設備900の隣の他の装置に対してよりガスをあてにくくすることができる。
【0128】
また、棚板940から離れた位置まで排気口部51aでガス及び電解液を案内することができれば、高温化した電解液Lは蓄電装置1の近傍で排出されにくくなり、棚板940上にも落下しにくくなる。このため、当該電解液Lを起因とした蓄電装置1の燃焼を抑制することができ、より安全性を高めることができる。
【0129】
なお、排気口部におけるU字状の開放部の向きは、上方、下方以外であってもよい。例えば、排気口部におけるU字状の開放部のその他の向きとしては、X軸プラス方向、X軸マイナス方向などが挙げられる。
【0130】
(実施の形態3)
上記実施の形態1では、ラック901内において蓄電装置1の一端面99が露出されている場合を例示した。この実施の形態3では、蓄電装置1の一端面99を覆う壁980がラック901内に設けられた蓄電設備900Bについて説明する。
【0131】
図13は、実施の形態3に係る壁980の概略構成を示す断面図である。具体的には、
図13は、
図9に対応する図である。
図13では、上下に並んだ二つの蓄電装置1を側面図で示し、棚板940と背面カバー930と壁980とを断面図で図示している。
図14は、実施の形態3に係る壁980の概略構成を示す上面図である。
【0132】
図13に示すように、壁980は、棚板940のストッパ941上に配置された耐火性の板材であり、蓄電装置1の一端面99をY軸プラス方向側から覆っている。壁980には、各蓄電素子11の排気口部51が貫通される貫通孔981が形成されている。壁980は、上下方向で隣り合う各棚板940の間も覆っている。
図14に示すように、壁980は、X軸方向で隣り合う各蓄電装置1の間の空間SをY軸プラス方向側から覆っている。これにより、壁980は、ラック901b内において、複数の蓄電装置1が収容される第一空間S1と、ガスG1が排出される第二空間S2とを区画している。これにより、第二空間S2に排出されたガスG1を壁980で遮ることができ、当該ガスG1が第一空間S1に侵入することを抑制することができる。したがって、ラック901b内に収容された複数の蓄電装置1がガスG1に晒されることを抑制することができ、ガス排出後の安全性を高めることができる。
【0133】
また、排気口部51が壁980から突出しているので、排気口部51から排出されたガスG1は、壁980よりも外方に排出される。ここで壁980は、空間Sを排気口部51側から覆っているので、排気口部51から排出された可燃性のガスが空間Sから、隣の蓄電装置1に至ることを壁980で遮ることができる。したがって、隣の蓄電装置1への類焼を抑制でき、ガス排出後の安全性を高めることができる。
【0134】
また、蓄電装置1の一端面99を覆う壁980には、排気口部51を露出させる貫通孔981が形成されているので、蓄電装置1自身が排出したガスG1は貫通孔981から排出される。このガスG1によって蓄電装置1が晒されると蓄電装置1が燃えてしまう可能性が高まるが、蓄電装置1の一端面99が壁980によって覆われているので壁980がガスG1を遮る。つまり、ガスG1を排出した蓄電装置1自身が燃えてしまうことを抑制することができる。これによりガス排出後の安全性をより高めることができる。
【0135】
また、壁980がラック901bに設けられているので、蓄電装置1に対して壁を設けなくてもよく、蓄電装置1の大型化を抑制することができる。ラック901bは、蓄電装置1と比較してもスペース及び重量的な制約が小さいために、耐熱性の高い壁980を設置することが可能となる。したがって、ガス排出後の安全性をより高めることが可能である。
【0136】
また、壁980が耐火性を有しているので、壁980が熱変形しにくくなり、例えば壁980に孔が開くようなことを抑制できる。したがって、蓄電装置1自身の燃焼をより確実に抑制でき、ガス排出後の安全性をより高めることができる。
【0137】
なお、本実施の形態では、隣り合う各蓄電装置1の間の空間Sが壁980によって覆われる場合を例示した。しかしながら、壁980は、蓄電装置とそれに隣り合う隣接部との間の空間を覆えばよい。隣接部としては、蓄電装置以外にも、電気回路ユニット、ラック901bの横壁、ラック901bに収容される蓄電装置以外の部材などが挙げられる。
【0138】
(その他)
以上、本実施の形態に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0139】
例えば、上記実施の形態では、突出部180が弾性体151を有することで先細りの形状となる場合を例示した。しかしながら、突出部は弾性体を有していなくてもよい。この場合、外装体支持体15の接続部15cと、外装体蓋体17の接続部17cとの少なくとも一方を厚み方向で先細る形状とすればよい。
図15は、変形例に係る突出部180cの概略構成を示す側面図である。
図15に示すように、突出部180cをなす外装体支持体15の接続部15ccと、外装体蓋体17の接続部17ccのうち、接続部17ccの先端部を上方に折り返すことで、突出部180cの先端部が厚み方向で先細る形状となる。なお、突出部は厚み方向で均一な形状であってもよい。突出部は、幅方向(X軸方向)で先細る形状であってもよい。
【0140】
また、上記実施の形態では、突出部180が外装体支持体15の接続部15cと外装体蓋体17の接続部17cとによって形成されている場合を例示した。しかしながら、突出部180は、外装体支持部の一部のみ、または外装体蓋体の一部のみから形成されていてもよい。突出部180は、外装体18(筐体)に対して後付された部材から形成されていてもよい。
【0141】
また、上記実施の形態では、突出部180が一端面99の中心Pよりも下方に配置されている場合を例示したが、突出部は、排気口部51の下方に配置されているのであれば、中心Pの上方に配置されていてもよい。
【0142】
また、本発明は、蓄電設備900として実現することができるだけでなく、蓄電装置1としても実現することができる。
【0143】
また、上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置を有する蓄電設備等に適用できる。
【符号の説明】
【0145】
1 蓄電装置
10 蓄電ユニット
11 蓄電素子
11a 容器
11b 正極端子
11c 負極端子
11d スペーサ
12 バスバーフレーム
13 バスバー
13a 検出線
13b コネクタ
14 外装体本体
15 外装体支持体(第二補強部材)
15a 底部
15b 接続部
15c、15cc 接続部(一端部)
15d 固定部(他端側の端部)
16 基板ユニット取付部
17 外装体蓋体(第一補強部材)
17a 天面部
17b 接続部
17c、17cc 接続部(一端部)
18 外装体(筐体)
20 基板ユニット
30 ケーブル
31 正極電源ケーブル
32 負極電源ケーブル
50 排気部
51、51a 排気口部
51e 排気口部
59 排気経路
60、60a 排気部材
61 孔部
62 接触部
63 溝部
64 環状部
65、65a 蓋部材
71 第一保持部
72 第二保持部
73 連結部
99 一端面
111 ガス排出弁
141 切欠部
151 弾性体
151a 傾斜面
159 設置面
171 開口部
180、180c 突出部(庇部)
181 ネジ
601 壁部
602 溝
621 弾性体
651 天板部
652 壁部
711 第一外壁部
711a、711b 第一切欠
712 第一囲壁
713 第一区画壁
714 第一仕切部
715 第一ケーブル経路部
721 第二外壁部
721a 第二切欠
722 第二囲壁
723 第二区画壁
724 第二仕切部
725 第二ケーブル経路部
731 梁部
900、900B 蓄電設備
901、901b ラック
910 ラック本体
920 前面カバー
925、935 スリット群
930 背面カバー
940 棚板(支持部材)
941 ストッパ
942 支持孔部
943 凹凸構造
944 凹部
945 凸部
980 壁
981 貫通孔
G1 ガス
G2 ガス
L 電解液
P 中心
S 空間
S1 第一空間
S2 第二空間