(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】液面検知装置及び点滴監視装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A61M5/168 514C
(21)【出願番号】P 2019199371
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】竹野 幸三
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀俊
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104941037(CN,A)
【文献】特開2013-226212(JP,A)
【文献】特開昭60-147615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
点滴筒内の液面の位置を検知する液面検知装置であって、
前記点滴筒内の異なる高さ位置に光を投光する複数の投光素子と、
前記点滴筒内を経由した前記複数の投光素子からの光を受光可能な少なくとも1つの受光素子と、
制御部と、を備え、
前記複数の投光素子は、投光された光が前記点滴筒の内部の液面で反射可能となるように、投光方向が前記点滴筒に対して傾斜するように設けられ、
前記制御部は、前記複数の投光素子から投光された光が液面反射したか否かに応じて変化する前記受光素子の受光状態に応じて、
傾斜するように設けられた前記複数の投光素子の数よりも多い数の液面の位置を検知する、液面検知装置。
【請求項2】
前記複数の投光素子は、斜め下方から投光された光が前記点滴筒の内部の液面で反射可能となるように、投光方向が斜め上方となるように配置されている、請求項1に記載の液面検知装置。
【請求項3】
前記複数の投光素子から投光されて前記点滴筒内の液体を進む光が、前記点滴筒内の液体から空気への臨界角よりも大きな角度で前記点滴筒内の液面に入射するように、前記複数の投光素子から投光される光の投光方向が設定されている、請求項2に記載の液面検知装置。
【請求項4】
前記複数の投光素子は、異なる高さ位置に配置されており、かつ、略同一の投光方向となるように設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の液面検知装置。
【請求項5】
前記受光素子の受光状態は、前記複数の投光素子それぞれから投光された光を、前記受光素子が受光したか否かを示す、受光パターン情報であり、
前記制御部は、前記受光パターン情報に基づき、前記点滴筒内の液面の位置を検知する、請求項1~4のいずれか1項に記載の液面検知装置。
【請求項6】
前記制御部は、現在の受光パターン情報と、直前の受光パターン情報に基づき、前記点滴筒内の液面の位置を検知する、請求項5に記載の液面検知装置。
【請求項7】
前記複数の投光素子は、所定の投光タイミングで光を順次投光し、
前記受光素子は、前記所定の投光タイミングで順次投光された前記複数の投光素子からの光を受光し、
前記制御部は、前記所定の投光タイミングの情報と、前記受光素子の受光情報に基づき、前記受光パターン情報を決定し、前記受光パターン情報に基づき、前記点滴筒内の液面の位置を検知する、請求項5又は請求項6に記載の液面検知装置。
【請求項8】
前記受光素子は、前記投光素子から投光された光が、前記点滴筒の内部の液面で反射せずに通過した場合に、その通過光を受光できるように配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の液面検知装置。
【請求項9】
前記受光素子は、前記投光素子から投光された光が、前記点滴筒の内部の液面で反射した場合に、その反射光を受光できるように配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の液面検知装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の液面検知装置と、点滴筒内を滴落する液滴を検知する滴落検知装置を備える点滴監視装置であって、
前記滴落検知装置は、
前記点滴筒内に光を投光する少なくとも1つの滴落検知用投光素子と、
前記点滴筒内を通過した滴落検知用投光素子からの光を受光可能な少なくとも1つの滴落検知用受光素子と、
監視制御部と、を備え、
前記監視制御部は、前記液面検知装置の検知結果と、前記滴落検知装置の検知結果に基づき、輸注状態を制御するための輸注制御情報を出力する、点滴監視装置。
【請求項11】
前記液面検知装置の前記複数の投光素子と、前記滴落検知装置の前記滴落検知用受光素子は、前記点滴筒の周方向における略同一角度位置の第1角度位置に配置され、
前記液面検知装置の前記受光素子と、前記滴落検知装置の前記滴落検知用投光素子は、前記点滴筒の周方向における略同一角度位置であって、前記第1角度位置からの略180°の位置である第2角度位置に配置されている、請求項10に記載の点滴監視装置。
【請求項12】
前記液面検知装置の前記複数の投光素子と、前記滴落検知装置の前記滴落検知用受光素子は、第1基板に配置され、
前記液面検知装置の前記受光素子と、前記滴落検知装置の前記滴落検知用投光素子は、第2基板に配置され、
前記第1基板と、前記第2基板は、前記点滴筒を挟むように対向して配置されている、請求項10に記載の点滴監視装置。
【請求項13】
前記液面検知装置の前記複数の投光素子は、前記滴落検知装置の前記滴落検知用受光素子よりも、前記点滴筒に近い位置に配置されている、請求項11又は請求項12に記載の点滴監視装置。
【請求項14】
前記液面検知装置の前記複数の投光素子と、前記滴落検知装置の前記滴落検知用受光素子の間に、遮光手段が配置されている、請求項11~13のいずれか1項に記載の点滴監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点滴筒の液面検知装、及び液面検知装置を備える点滴監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場において、患者に対して薬剤や栄養剤、血液等の液体を送液する必要がある場合に、輸液セットを備える輸液システムが用いられている。
特許文献1には、輸液セットの点滴筒に液面センサを設け、液面センサの検出情報に基づいて、点滴の終了タイミング等を決定する構成が示されている。
特許文献1の液面センサは、発光素子と、発光素子からの光を受光する受光素子により構成されている。このような液面センサにおいては、発光素子から受光素子までの光路中に輸液が存在していない場合は、受光素子の出力が高くなり、発光素子から受光素子までの光路中に液体が存在している場合は、受光素子の出力が低くなる。これにより、点滴筒内の液面の位置を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば点滴筒内の液体が光を透過しやすい液体である場合、光路中の液体の有無に応じて生じる受光素子の出力差が小さい。このような場合などにおいて、部屋の明るさ等の外乱光の影響により、光路中に液体が存在しているか否かを判断することが難しくなることがある。その結果、点滴筒内の液面の位置を適切に検知することができなくなる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、点滴筒内の液面の位置を適切に検知することができる液面検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、点滴筒内の液面の位置を検知する液面検知装置であって、前記点滴筒内の異なる高さ位置に光を投光する複数の投光素子と、前記点滴筒内を経由した前記複数の投光素子からの光を受光可能な少なくとも1つの受光素子と、制御部と、を備え、前記複数の投光素子は、投光された光が前記点滴筒の内部の液面で反射可能となるように、投光方向が前記点滴筒に対して傾斜するように設けられ、前記制御部は、前記複数の投光素子から投光された光が液面反射したか否かに応じて変化する前記受光素子の受光状態に応じて、前記点滴筒内の液面の位置を検知する、液面検知装置に関する。
【0007】
(2)また、前記複数の投光素子は、斜め下方から投光された光が前記点滴筒の内部の液面で反射可能となるように、投光方向が斜め上方となるように配置されていることが好ましい。
【0008】
(3)また、前記複数の投光素子から投光されて前記点滴筒内の液体を進む光が、前記点滴筒内の液体から空気への臨界角よりも大きな角度で前記点滴筒内の液面に入射するように、前記複数の投光素子から投光される光の投光方向が設定されていることが好ましい。
【0009】
(4)また、前記複数の投光素子は、異なる高さ位置に配置されており、かつ、略同一の投光方向となるように設けられていることが好ましい。
【0010】
(5)また、前記受光素子の受光状態は、前記複数の投光素子それぞれから投光された光を、前記受光素子が受光したか否かを示す、受光パターン情報であり、前記制御部は、前記受光パターン情報に基づき、前記点滴筒内の液面の位置を検知することが好ましい。
【0011】
(6)また、前記制御部は、現在の受光パターン情報と、直前の受光パターン情報に基づき、前記点滴筒内の液面の位置を検知することが好ましい。
【0012】
(7)また、前記複数の投光素子は、所定の投光タイミングで光を順次投光し、前記受光素子は、前記所定の投光タイミングで順次投光された前記複数の投光素子からの光を受光し、前記制御部は、前記所定の投光タイミングの情報と、前記受光素子の受光情報に基づき、前記受光パターン情報を決定し、前記受光パターン情報に基づき、前記点滴筒内の液面の位置を検知することが好ましい。
【0013】
(8)また、前記受光素子は、前記投光素子から投光された光が、前記点滴筒の内部の液面で反射せずに通過した場合に、その通過光を受光できるように配置されていることが好ましい。
【0014】
(9)また、前記受光素子は、前記投光素子から投光された光が、前記点滴筒の内部の液面で反射した場合に、その反射光を受光できるように配置されていることが好ましい。
【0015】
(10)本発明は、(1)~(9)の液面検知装置と、点滴筒内を滴落する液滴を検知する滴落検知装置を備える点滴監視装置であって、前記滴落検知装置は、前記点滴筒内に光を投光する少なくとも1つの滴落検知用投光素子と、前記点滴筒内を通過した滴落検知用投光素子からの光を受光可能な少なくとも1つの滴落検知用受光素子と、監視制御部と、を備え、前記監視制御部は、前記液面検知装置の検知結果と、前記滴落検知装置の検知結果に基づき、輸注状態を制御するための輸注制御情報を出力する、点滴監視装置に関する。
【0016】
(11)また、前記液面検知装置の前記複数の投光素子と、前記滴落検知装置の前記滴落検知用受光素子は、前記点滴筒の周方向における略同一角度位置の第1角度位置に配置され、前記液面検知装置の前記受光素子と、前記滴落検知装置の前記滴落検知用投光素子は、前記点滴筒の周方向における略同一角度位置であって、前記第1角度位置からの略180°の位置である第2角度位置に配置されていることが好ましい。
【0017】
(12)また、前記液面検知装置の前記複数の投光素子と、前記滴落検知装置の前記滴落検知用受光素子は、第1基板に配置され、前記液面検知装置の前記受光素子と、前記滴落検知装置の前記滴落検知用投光素子は、第2基板に配置され、前記第1基板と、前記第2基板は、前記点滴筒を挟むように対向して配置されていることが好ましい。
【0018】
(13)また、前記液面検知装置の前記複数の投光素子は、前記滴落検知装置の前記滴落検知用受光素子よりも、前記点滴筒に近い位置に配置されていることが好ましい。
【0019】
(14)また、前記液面検知装置の前記複数の投光素子と、前記滴落検知装置の前記滴落検知用受光素子の間に、遮光手段が配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、点滴筒内の液面の位置を適切に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態の液面検知装置を含む輸液システムを示す図である。
【
図2A】上記実施形態の液面検知処理の原理を説明するための図である。
【
図2B】上記実施形態の液面検知処理の原理を説明するための図である。
【
図2C】上記実施形態の液面検知処理の原理を説明するための図である。
【
図2D】上記実施形態の液面検知処理の原理を説明するための図である。
【
図2E】上記実施形態の液面検知処理の原理を説明するための図である。
【
図2F】上記実施形態の液面検知処理の原理を説明するための図である。
【
図2G】上記実施形態の液面検知処理の原理を説明するための図である。
【
図2H】上記実施形態の液面検知処理の原理を説明するための図である。
【
図2I】上記実施形態の液面検知処理の原理を説明するための図である。
【
図3】上記実施形態の点滴監視装置のブロック図である。
【
図4】上記実施形態の受光パターン情報を示す図である。
【
図5】上記実施形態の点滴監視装置における、複数の輸液バッグからの送液を自動的に切り替える制御を示すフローチャートである。
【
図6A】上記実施形態の第1変形例を説明するための図である。
【
図6B】上記実施形態の第2変形例を説明するための図である。
【
図6C】上記実施形態の第3変形例を説明するための図である。
【
図6D】上記実施形態の第4変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、輸液スタンド1000に、輸液システム500が取り付けられた状態を示す図である。輸液システム500は、点滴監視装置100と輸液セット200を備える。
ここで、液面検知装置を備える点滴監視装置100の説明を行う前に、輸液セット200について説明する。
【0023】
輸液セット200は、点滴筒210と、液体が収容された複数の輸液バッグ221、222と、複数の輸液バッグ221、222から点滴筒210まで延びる上流側チューブ230と、点滴筒210から穿刺針250まで延びる下流側チューブ240と、を備える。
上流側チューブ230は、第1輸液バッグ221と接続されている第1上流側チューブ231と、第2輸液バッグ222と接続されている第2上流側チューブ232と、第1上流側チューブ231及び第2上流側チューブ232が合流して点滴筒210に接続している合流チューブ233と、を備える。
【0024】
点滴筒210は、例えばポリプロピレン等の透明性を有する部材で構成される。この点滴筒210によれば、点滴筒210の内部の上部で液滴が成長していき、液滴が所定の大きさになった時点で下方へ落下して点滴筒210の下部に溜まり、溜まった液体が患者に投与される。
【0025】
輸液バッグ221、222は、例えばポリエチレン等の透明性及び柔軟性を有する部材で構成される。輸液バッグ221、222には、例えば、薬液、生理食塩水、ブドウ糖液、血液等の液体が収容される。第1輸液バッグ221と第2輸液バッグ222には、異なる液体が収容されている。例えば、第1輸液バッグ221には、第1薬液として前投薬が収容されており、第2輸液バッグ222には、第2薬液として抗がん剤が収容されている。
なお、輸液バッグの数は、2つに限らない。必要な薬液等の液体の種類に応じて、3つ以上、例えば5つの輸液バッグが用いられる。この場合、上流側チューブ230は、合流チューブ233の上流側で輸液バッグの数と同じ数だけ分岐し、各輸液バッグに接続される。
【0026】
上流側チューブ230及び下流側チューブ240は、例えばポリ塩化ビニル等の透明性及び柔軟性を有する部材で構成される。
【0027】
次に、点滴監視装置100について説明する。
点滴監視装置100は、薬液や栄養剤等の液体を適切に患者に投与する際に、点滴筒内の液体の状況を監視し、輸注状態を制御するためのものである。点滴監視装置100は、点滴筒210に取り付けられるセンサ装置110と、下流側チューブ240の途中に設けられる輸液ポンプ装置120と、第1上流側チューブ231に設けられる第1上流側クランプ130と、第2上流側チューブ232に設けられる第2上流側クランプ140と、を備える。
【0028】
センサ装置110は、センサ側筐体10を備える。センサ側筐体10は、略直方体形状を有しており、中央部には点滴筒210を挟み込んで保持可能な保持部(不図示)を有する。また、センサ側筐体10内には、後述する第1基板11、第2基板12が固定的に設けられている。
【0029】
図2Aは、センサ装置110内の構成を示す図である。
センサ装置110は、液面検知装置としての液面センサ部20と、滴落検知装置としての滴落センサ部30を備える。
【0030】
液面センサ部20は、点滴筒210内の液面の位置を検知する。液面センサ部20は、点滴筒210内の異なる高さ位置に光を投光する複数の液面検知用投光素子と、点滴筒210内を経由した光を受光可能な少なくとも1つの液面検知用受光素子を備える。本実施形態においては、液面検知用投光素子として5つの投光素子21A、21B、21C、21D、21Eと、液面検知用受光素子として1つの受光素子22が設けられている。投光素子21A~21Eと、受光素子22は、点滴筒210を挟むように対向して配置されている。
投光素子21A~21Eから投光される光は、少なくとも点滴筒210を構成する材質を透過する波長の光であればよく、可視光であってもよいし、近赤外光などの赤外領域の光であってもよい。例えば投光素子として、可視光LEDや、赤外LEDのような発光素子を用いることができる。また、指向性の高いレーザ光を照射するLDを用いてもよい。
【0031】
複数の投光素子21A~21Eは、センサ側筐体10内において鉛直方向(水平面に対して垂直方向)に配置されている第1基板11の下方に、台座15を介して設けられている。本実施形態の台座15は、点滴筒210に対して傾斜した傾斜面(斜め上向きの傾斜面)を有しており、複数の投光素子21A~21Eは、この台座15の傾斜面に実装される。これにより、複数の投光素子21A~21Eは、
図2B~
図2Hを用いて後述するように、点滴筒210の内部の液面の高さに応じて、投光された光が点滴筒210の内部の液面で反射可能となるように、投光方向が点滴筒210に対して傾斜するように配置される。本実施形態においては、複数の投光素子21A~21Eは、斜め下方から投光された光が点滴筒210の内部の液面で反射可能となるように、投光方向が斜め上方となるように配置されている。
【0032】
図2Aにおける、複数の投光素子21A~21Eそれぞれから受光素子22に向かう矢印は、複数の投光素子21A~21Eそれぞれの投光方向(光路、光軸)を示す矢印であり、このように、複数の投光素子21A~21Eそれぞれから受光素子22に向かう矢印は、点滴筒210内の異なる高さ位置を通過する。
本実施形態においては、複数の投光素子21A~21Eは、異なる高さ位置(鉛直方向において異なる位置)に配置されており、かつ、略同一の投光方向となるように設けられている。これにより、複数の投光素子21A~21Eは、点滴筒210内の異なる高さ位置に光を投光することができる。
【0033】
受光素子22は、センサ側筐体10内において水平方向に配置されている第2基板12に設けられている。受光素子22は、投光素子21A~21Eから投光された光が、点滴筒210の内部の液面で反射せずに通過した場合に、その通過光を受光できるように、第2基板12の下面に配置されている。
受光素子22は、複数の投光素子21A~21Eとの間で、点滴筒210を挟むように配置されている。すなわち、点滴筒210の中心軸を基準として、複数の投光素子21A~21Eの位置する方向を0°としたときに、受光素子22は、略180°の位置に配置されている。
【0034】
このような液面センサ部20により、点滴筒210内の液面の位置を、複数段階の位置で検知することができる。この点については、追って詳細に説明する。
【0035】
滴落センサ部30は、点滴筒210内を滴落する液滴を検知する。滴落センサ部30は、点滴筒210内に光を投光する少なくとも1つの滴落検知用投光素子と、点滴筒210内を通過した光を受光可能な少なくとも1つの滴落検知用受光素子と、を備える。本実施形態においては、滴落検知用投光素子として1つの投光素子31と、滴落検知用受光素子として1つの受光素子32が設けられている。投光素子31と、受光素子32は、点滴筒210を挟むように対向して配置されている。
投光素子31から投光される光は、少なくとも点滴筒210を構成する材質を透過する波長の光であればよく、可視光であってもよいし、近赤外光などの赤外領域の光であってもよい。例えば投光素子として、可視光LEDや、赤外LEDのような発光素子を用いることができる。
点滴筒210内を液滴が落下する際に、投光素子31から投光された光が液滴により遮断されて受光素子32の出力信号が変化することにより、液滴の落下が検出される。
【0036】
投光素子31は、センサ側筐体10内において水平方向に配置されている第2基板12に、台座16を介して設けられている。
【0037】
図2Aにおける、投光素子31から受光素子32に向かう矢印は、投光素子31の投光方向(光路、光軸)を示す矢印である。本実施形態においては、投光方向は略水平方向となっている。そして、滴落センサ部30の投光素子31の投光方向は、
図2Aにおいて紙面左向きであるのに対して、液面センサ部20の投光素子21A~21Eの投光方向は、
図2Aにおいて紙面右向きであり、両者の投光方向は、点滴筒210を挟んで反対方向となっている。
【0038】
受光素子32は、第1基板11の上方に設けられている。受光素子32は、投光素子31から投光された光が点滴筒210内を滴下する液滴により遮断されない場合に、その通過光を受光できるように配置されている。
受光素子32は、投光素子31との間で、点滴筒210を挟むように配置されている。すなわち、点滴筒210の中心軸を基準として、投光素子31の位置する方向を180°としたときに、受光素子32は、略0°の位置に配置されている。
【0039】
なお、第1基板11と、第2基板12は、点滴筒210を挟むようにして対向して配置されており、液面センサ部20の複数の投光素子21A~21Eと、滴落センサ部30の受光素子32は、同一の基板である第1基板11に配置され、液面センサ部20の受光素子22と、滴落センサ部30の投光素子31は、同一の基板である第2基板12に配置されている。
【0040】
このように、液面センサ部20の複数の投光素子21A~21Eと滴落センサ部30の受光素子32は、点滴筒210の周方向における略同一角度位置の第1角度位置に配置され、液面センサ部20の受光素子22と滴落センサ部30の投光素子31は、点滴筒210の周方向における略同一角度位置であって、かつ第1角度位置からの略180°の位置である第2角度位置に配置されている。
これにより、液面センサ部20と滴落センサ部30のクロストーク(干渉)の発生を低減し、液面検知処理と液滴検知処理を適切に行うことができる。
【0041】
次に、輸液ポンプ装置120、第1上流側クランプ130、第2上流側クランプ140について説明する。
図1に示すように、輸液ポンプ装置120は、輸液スタンド1000が備える架台1100に固定して配置される。
図3に、輸液ポンプ装置120、第1上流側クランプ130、第2上流側クランプ140を含む点滴監視装置100のブロック図を示す。
輸液ポンプ装置120は、制御部150と、ポンプ160と、下流側クランプ170とを備える。
【0042】
制御部150、ポンプ160、下流側クランプ170は、開閉可能な蓋体を有する筐体(図示せず)に収容される。輸液ポンプ装置120の一の面(前面)には、各種操作ボタンや、設定内容や流量を表示する表示部等が設けられる。
【0043】
制御部150は、中央演算処理装置やRAM、ROM等からなるコンピュータ装置により構成される。制御部150は、信号線SL1を介してセンサ装置110と接続され、センサ装置110から、液面センサ部20からの信号と、滴落センサ部30からの信号を取得する。制御部150は、これらのセンサ情報に基づいて、ポンプ160及び下流側クランプ170を制御する。また、制御部150は、信号線SL2を介して第1上流側クランプ130及び第2上流側クランプ140と接続されており、同じくセンサ情報に基づいて第1上流側クランプ130及び第2上流側クランプ140を制御する。
【0044】
なお、本実施形態においては、制御部150は、点滴監視装置100全体の各種の制御を行う監視制御部として機能する。すなわち、制御部150は、液面センサ部20の制御部としての機能、滴落センサ部30の制御部としての機能、輸液ポンプ装置120の制御部としての機能、第1上流側クランプ130及び第2上流側クランプ140の制御部としての機能も有する。制御部150は、本実施形態においては、輸液ポンプ装置120に配置されているが、これに限らない。例えばセンサ装置110に配置されていてもよい。また、異なる箇所に制御部を分散配置し、分散制御を行ってもよい。
【0045】
例えば、制御部150は、液面センサ部20及び滴落センサ部30の制御部として、投光素子からの投光タイミングの制御を行う。また、後述する種々の処理、例えば、受光素子22が受光した受光情報に基づいて受光パターン情報を決定し、この受光パターン情報に基づいて、点滴筒210内の液面の位置を検知する処理を行う。また、検知した液面の位置に関する情報等に応じて、輸注制御情報を出力し、各クランプやポンプを制御する。
【0046】
第1上流側クランプ130と第2上流側クランプ140は、電動式のクランプであり、第1輸液バッグ221と第2輸液バッグ222に対応させて、第1上流側チューブ231と第2上流側チューブ232に設けられている。第1上流側クランプ130、第2上流側クランプ140は、制御部150により制御されて、第1上流側チューブ231、第2上流側チューブ232の開閉を行う。例えば、第1輸液バッグ221から第1薬液を送液している際に、液面センサ部20で検出される点滴筒210内の液面が、所定の液面高さよりも低くなった場合、第1上流側クランプ130を作動させて、第1上流側チューブ231を閉止し、第1輸液バッグ221からの送液を停止する。それとほぼ同時に、第2上流側クランプ140を作動させて、第2上流側チューブ232を開き、第2輸液バッグ222からの送液を開始する。これにより、第1輸液バッグ221内の液体の残量が少なくなったときに、点滴筒210内の液面が極端に低くなる前に、第2輸液バッグ222からの送液に自動的に切り替えることができる。
なお、3つ以上の輸液バッグを有する場合も、各輸液バッグに対応する上流側クランプを作動させて、現在送液中の輸液バッグ内の液体の残量が少なくなったときに、順次、次の輸液バッグからの送液に切り替えていくことができる。すなわち、異なる薬液等の液体を効率的に切り替えて送液することができる。
【0047】
ポンプ160は、下流側チューブ240を押圧して送液を行う。ポンプ160としては、周知のフィンガーポンプ式のポンプを用いることができる。ポンプ160は、滴落センサ部30で検出される単位時間当たりの液滴数が、設定された所定の値となるように、制御部150により制御される(滴下数制御方式)。
【0048】
下流側クランプ170は、電動式のクランプであり、下流側チューブ240のうちポンプ160よりも上流側に設けられる。
下流側クランプ170は、制御部150により制御されて、下流側チューブ240の開閉を行う。例えば、液面センサ部20で検出される点滴筒210内の液面が、所定の液面高さよりも低くなった場合、下流側クランプ170を作動させて、下流側チューブ240を閉止し、送液を停止してもよい。
【0049】
なお、液面センサ部20で検出される点滴筒210内の液面が、常に所定の液面高さの範囲内となるように、上流側クランプ130、140、ポンプ160、下流側クランプ170等を制御してもよい。
【0050】
なお、制御部150は、滴落センサ部30で検出される液滴数に基づいて、センサ装置110又は輸液ポンプ装置120に設けられた報知部(不図示)を制御してもよい。具体的には、制御部150は、単位時間当たりの液滴数が、予め設定された所定の下側閾値を下回る場合、及び、予め設定された所定の上側閾値を上回る場合に、流量異常があると判定して、報知部を作動させて警告を発する。
また、制御部150は、液面センサ部20で検出される点滴筒210内の液面高さに基づいて、報知部を制御してもよい。具体的には、制御部150は、液面センサ部20で検出される点滴筒210内の液面が、第1の所定の液面高さよりも低くなった場合、あるいは第2の所定の液面高さよりも高くなった場合に、報知部を作動させて警告を発する。
【0051】
このように、制御部150は、液面センサ部20の検知結果と、滴落センサ部30の検知結果に基づき、輸注状態を制御するための輸注制御情報を出力し、第1上流側クランプ130、第2上流側クランプ140、ポンプ160、下流側クランプ170等を制御する。
【0052】
次に、
図2A~2Iを用いて、液面センサ部20による、液面検知処理の原理を説明する。
図2Aは、点滴筒210内の液体の位置が液面高さL1の場合における、液面センサ部20の検知状況を示す図である。
図2Aに示すように、液面高さL1の場合においては、全ての投光素子21A~21Eから投光された光が、液面で反射することなく、点滴筒210内を通過する。そして、受光素子22は、点滴筒210及び点滴筒210内の液体を通過した光を受光する。換言すると、このような受光素子22の受光状態が取得される場合、点滴筒210内の液面の位置は、液面高さL1近傍であると推定することができる。
【0053】
図2Bは、点滴筒210内の液体の位置が液面高さL2の場合における、液面センサ部20の検知状況を示す図である。
図2Bに示すように、液面高さL2の場合においては、投光素子21Aから投光された光のみが、液面で反射し、その一方、投光素子21B~21Eから投光された光が、液面で反射することなく、点滴筒210内を通過する。そして、受光素子22は、この通過した光を受光する。このような受光素子22の受光状態が取得される場合、点滴筒210内の液面の位置は、液面高さL2近傍であると判定することができる。
【0054】
図2C以下についても同様である。
図2Cは、点滴筒210内の液体の位置が液面高さL3の場合における、液面センサ部20の検知状況を示す図である。
図2Cに示すように、液面高さL3の場合においては、投光素子21A、21Bから投光された光が、液面で反射し、その一方、投光素子21C~21Eから投光された光が、液面で反射することなく、点滴筒210内を通過する。そして、受光素子22は、この通過した光を受光する。
【0055】
図2Dは、点滴筒210内の液体の位置が液面高さL4の場合における、液面センサ部20の検知状況を示す図である。
図2Dに示すように、液面高さL4の場合においては、投光素子21A~21Cから投光された光が、液面で反射し、その一方、投光素子21D、21Eから投光された光が、液面で反射することなく、点滴筒210内を通過する。そして、受光素子22は、この通過した光を受光する。
【0056】
図2Eは、点滴筒210内の液体の位置が液面高さL5の場合における、液面センサ部20の検知状況を示す図である。
図2Eに示すように、液面高さL5の場合においては、投光素子21B~21Dから投光された光が、液面で反射し、その一方、投光素子21A、21Eから投光された光が、液面で反射することなく、点滴筒210内を通過する。そして、受光素子22は、この通過した光を受光する。ここで、投光素子21Aから投光された光は、点滴筒210及び点滴筒内の液体が無い空間を通過し、受光素子22に到達している。
【0057】
図2Fは、点滴筒210内の液体の位置が液面高さL6の場合における、液面センサ部20の検知状況を示す図である。
図2Fに示すように、液面高さL6の場合においては、投光素子21C~21Eから投光された光が、液面で反射し、その一方、投光素子21A、21Bから投光された光が、液面で反射することなく、点滴筒210内を通過する。そして、受光素子22は、この通過した光を受光する。
【0058】
図2Gは、点滴筒210内の液体の位置が液面高さL7の場合における、液面センサ部20の検知状況を示す図である。
図2Gに示すように、液面高さL7の場合においては、投光素子21D、21Eから投光された光が、液面で反射し、その一方、投光素子21A~21Cから投光された光が、液面で反射することなく、点滴筒210内を通過する。そして、受光素子22は、この通過した光を受光する。
【0059】
図2Hは、点滴筒210内の液体の位置が液面高さL8の場合における、液面センサ部20の検知状況を示す図である。
図2Hに示すように、液面高さL8の場合においては、投光素子21Eから投光された光のみが、液面で反射し、その一方、投光素子21A~21Dから投光された光が、液面で反射することなく、点滴筒210内を通過する。そして、受光素子22は、この通過した光を受光する。
【0060】
図2Iは、点滴筒210内の液体の位置が液面高さL9の場合における、液面センサ部20の検知状況を示す図である。
図2Iに示すように、液面高さL9の場合においては、全ての投光素子21A~21Eから投光された光が、液面で反射することなく、点滴筒210内を通過する。ここで、受光素子22は、点滴筒210及び点滴筒210内の液体が無い空間を通過した光を受光する。
【0061】
このような態様で、複数の投光素子21A~21Eから投光された光が液面反射したか否かに応じて変化する受光素子22の受光状態を確認することができれば、液面の位置を検知することが可能である。より詳細には、受光素子22の受光状態として、後述の受光パターン情報を取得することにより、液面の位置を検知することが可能である。
【0062】
なお、
図2Bに示すように、複数の投光素子21A~21Eから投光されて点滴筒210内の液体を進む光が、点滴筒210内の液体から空気への臨界角よりも大きな角度αで点滴筒210内の液面に入射するように、複数の投光素子21A~21Eから投光される光の投光方向の投光角度βが設定されていることが好ましい。このような態様であれば、複数の投光素子21A~21Eから投光される光の光路中に液面がある場合に、液面に到達した光は液面で全反射する。よって、光路中における液面の有無に応じて生じる受光素子22の出力差が大きくなる。また、このような構成であれば、点滴筒210内の液体が透過性の高い液体であっても、光路中における液面の有無に応じて生じる受光素子22の出力差が大きくなる。
【0063】
一般に、水から空気への臨界角は48.6°である。したがって、
図2Bで示すように、投光角度βを水平方向とのなす角で表す場合、投光角度βは、41.4°以下とすることが好ましい。また、液面に到達した光を液面で確実に全反射させることや、点滴筒210を構成する材質の屈折率、点滴筒210内の液体の屈折率によっても角度αが変化することも考慮すれば、投光角度βは、より好ましくは、40°以下、さらに好ましくは、35°以下とする。
【0064】
制御部150は、複数の投光素子21A~21Eから投光された光が液面反射したか否かに応じて変化する受光素子の受光状態に応じて、液面の位置を検知する。より具体的には、制御部150は、複数の投光素子21A~21Eから投光された光が液面反射したか否かに応じて変化する受光素子の受光状態として、複数の投光素子21A~21Eそれぞれから投光された光を、受光素子22が受光したか否かを示す、受光パターン情報を取得する。そして、この受光パターン情報に応じて、液面の位置を検知する。
【0065】
図4は、受光パターン情報を示す図である。ここで、「Hi」は、所定の投光素子(21A~21E)から投光された光を、受光素子22が受光できたことを意味し、「Low」は受光素子22が受光できなかったことを意味する。
例えば、受光素子22が受光した受光量が、所定の閾値以上である場合は「Hi」、それより小さければ「Low」としてもよい。
あるいは、投光素子から光を投光しない状態における受光素子22の受光量を、バックグラウンド受光量として取得し、投光素子から光を投光したときに受光素子22が受光した受光量から、バックグラウンド受光量を差し引いた値を補正値として算出し、その補正値が、所定の閾値以上である場合は「Hi」、それより小さければ「Low」としてもよい。このような補正を行えば、外乱光の影響をより低減することができる。
【0066】
例えば液面高さL1の場合は、
図2Aに示すように、全ての投光素子21A~21Eから投光された光が、液面で反射することなく、点滴筒210内を通過する。このときの受光パターン情報は、
図4の「受光パターン1」に示すように、全てが「Hi」となる。この受光パターン情報は、全ての投光素子21A~21Eから投光された光を、受光素子22が受光したことを意味している。
【0067】
例えば液面高さL2の場合は、
図2Bに示すように、投光素子21Aから投光された光のみが、液面で反射する。このときの受光パターン情報は、
図4の「受光パターン2」に示すように、投光素子21Aのみ「Low」となり、投光素子21B~21Eは「Hi」となる。この受光パターン情報は、投光素子21Aから投光された光のみ、液面反射によって受光素子22が受光していないことを意味している。
【0068】
液面高さL3~L9の場合についても、
図2C~
図2Iに示されるような受光素子22の受光状態を反映して、
図4の「受光パターン3」~「受光パターン9」に示すような受光パターン情報を得ることができる。
【0069】
このように、複数の投光素子21A~21Eから光を投光したときに、点滴筒210内の液面高さに応じて、
図4の「受光パターン1」~「受光パターン9」に示すような受光パターン情報を得ることができる。換言すると、複数の投光素子21A~21Eから投光された光が液面反射したか否かに応じて変化する受光素子の受光状態として上述の受光パターン情報を取得することにより、点滴筒210内の液面の位置を検知することができる。なお、受光パターン情報と、点滴筒210内の液面の位置の関係は、予め制御部150の記憶部等に記憶されている。
【0070】
例えば、複数の投光素子21A~21Eから光を投光したときに、
図4の「受光パターン2」に示す受光パターン情報を取得した場合、点滴筒210内の液面の位置が、液面高さL2近傍(液面高さL2を含む所定の範囲内の位置)であると判断することができる。
また、受光パターン情報として、「受光パターン2」に続いて「受光パターン3」が得られた場合、その「受光パターン3」が得られたタイミングで、液面の位置が、液面高さL2とL3の間の所定の液面高さになったと判定してもよい。
【0071】
なお、「受光パターン1」と「受光パターン9」は、いずれも全てが「Hi」となってしまっている。これを分別するために、直前の受光パターン情報も用いて、液面の位置を検知することが好ましい。すなわち、全てが「Hi」となったとき、直前の受光パターン情報が「受光パターン2」であった場合、現在の液面の位置は液面高さL1近傍又はそれ以上であると判断することができる。一方、直前の受光パターン情報が「受光パターン8」であった場合、現在の液面の位置は、液面高さL9近傍又はそれ以下であると判断することができる。
このように、制御部150は、現在の受光パターン情報と、直前の受光パターン情報に基づき、液面の位置を検知することも可能である。
なお、点滴筒210内の液体を通過する場合(
図2A)は、点滴筒210内の液体を通過しない場合(
図2I)よりも受光量が落ちるため、このような受光量の違いに基づき、液面高さがL1近傍以上であるか、あるいはL9近傍以下であるかを判断してもよい。
なお、受光パターン情報として、「受光パターン1」と「受光パターン9」は用いずに、「受光パターン2」~「受光パターン8」を用いて、制御に必要な液面の位置を検知する構成としてもよい。
【0072】
ここで、受光素子22が受光した光が、複数の投光素子21A~21Eのうち、どの投光素子から投光された光であるかを分別する上で、複数の投光素子21A~21Eは、所定の投光タイミングで光を順次投光するプログラムスキャンを行ってもよい。例えば、最初に投光素子21Aがパルス光の態様で点灯、消灯した後、投光素子21Bが同じくパルス光の態様で点灯、消灯する。その後、投光素子21C~21Eについても同様に、順次パルス光の態様で点灯、消灯する。この間、受光素子22は、複数の投光素子21A~21Eからの光を順次受光する。そして、制御部150は、所定の投光タイミングの情報と、受光素子22の受光情報に基づき、受光パターン情報を決定する。
このように、複数の投光素子21A~21Eのうち、どの投光素子から投光された光であるのかを時分割で判別できる態様とすることにより、上述の受光パターン情報を取得することが可能となる。
【0073】
また、受光素子22が受光した光が、複数の投光素子のうち、どの投光素子から投光された光であるかを分別する上で、複数の投光素子から投光される光を、異なる波長の光としてもよい。例えば、複数の投光素子が3つの投光素子21A~21Cにより構成されている場合は、投光素子21Aから投光される光は赤色光、投光素子21Bから投光される光は緑色光、投光素子21Cから投光される光は青色光といったように、複数の投光素子から投光される光を、全て異なる波長の光とする。この場合、受光素子22は、異なる波長の光を分別して受光できるように構成する。例えば、受光素子22の受光面に、各波長の光を分別して透過するモザイクフィルタを設けてもよい。複数の投光素子が上述の3つの投光素子21A~21Cである場合は、RGBのモザイクフィルタを用いてもよい。
なお、4つ以上の投光素子を用いる場合は、より細分化した波長の光を用いてもよいし、赤外光等を用いてもよい。
このように、複数の投光素子から投光される光を、異なる波長の光とすることにより、複数の投光素子から同時に光を投光しても、複数の投光素子のうち、どの投光素子から投光された光であるかを分別することができる。なお、この場合は、複数の投光素子から常に連続光を投光する態様も採用できる。
【0074】
次に、
図5のフローチャートを参照して、本実施形態の点滴監視装置100における、複数の輸液バッグからの送液を、自動的に切り替える制御について説明する。
【0075】
ステップS1で、第1輸液バッグ221内の液体を輸液するために、制御部150は、第1上流側クランプ130を開けて、第1上流側チューブ231を開く。これにより、第1輸液バッグ221からの送液を開始する。
【0076】
ステップS2で、制御部150は、滴落センサ部30の検知結果に基づき、ポンプ160を駆動する(滴下数制御方式)。
【0077】
ステップS3で、制御部150は、液面センサ部20の検知結果に基づき、点滴筒210内の液体の液面の位置が、所定の液面高さ(例えば、液面高さL8)よりも低いか否かを判定する。
【0078】
点滴筒210内の液体の液面の位置が、所定の液面高さよりも低くない場合(ステップS3 NO)、ステップS2に戻り、滴落センサ部30の検知結果に基づくポンプ160の駆動を継続する。一方、点滴筒210内の液体の液面の位置が、所定の液面高さよりも低い場合(ステップS3 YES)、ステップS4に移る。
【0079】
ステップS4で、制御部150は、第1上流側クランプ130を閉じて、第1上流側チューブ231を閉止する。これにより、第1輸液バッグ221からの送液を停止する。
【0080】
ステップS5で、制御部150は、第2上流側クランプ140を開けて、第2上流側チューブ232を開く。これにより、第2輸液バッグ222からの送液を開始する。
【0081】
このようにして、第1輸液バッグ221内の液体の残量が少なくなったときに、点滴筒210内の液面が極端に低くなる前に、第2輸液バッグ222からの送液に自動的に切り替えることができる。
【0082】
なお、3つ以上の輸液バッグを有する場合も、同様の制御により、各輸液バッグに対応する上流側クランプを作動させて、現在送液中の輸液バッグ内の液体の残量が少なくなったときに、順次、次の輸液バッグからの送液に切り替えていくことが可能である。これにより、異なる薬液等の液体を効率的に順次切り替えて送液することができる。
【0083】
なお、
図2Aに示すように、液面センサ部20の複数の投光素子21A~21Eは、第1基板11に台座15を介して配置されることにより、滴落センサ部30の受光素子32よりも、点滴筒210に近い位置に配置されている。
これにより、滴落センサ部30が滴落検知処理をしている最中に、すなわち、滴落センサ部30の受光素子32が投光素子31からの光を受光している最中に、同時に液面センサ部20の液面検知処理を実施しても、すなわち、液面センサ部20の投光素子21A~21Eから光を投光しても、液面センサ部20の投光素子21A~21Eからの光が、滴落センサ部30の受光素子32に外乱光として入光し難い。よって、液面センサ部20と滴落センサ部30のクロストークの発生を低減し、液面検知処理と液滴検知処理を同時に適切に行うことができる。
【0084】
なお、滴落センサ部30の投光素子31は、液面センサ部20の受光素子22よりも、点滴筒210に近い位置(
図2Aにおける、受光素子22の左側)に配置してもよい。この場合は、液面センサ部20が液面検知処理をしている最中に、すなわち、液面センサ部20の受光素子22が投光素子21A~21Eからの光を受光している最中に、同時に滴落センサ部30の滴落検知処理を実施しても、すなわち、滴落センサ部30の投光素子31から光を投光しても、滴落センサ部30の投光素子31からの光が、液面センサ部20の受光素子22に外来光として入光し難い。よって、液面センサ部20と滴落センサ部30のクロストークの発生を低減し、液面検知処理と液滴検知処理を同時に適切に行うことができる。
【0085】
なお、液面センサ部20の投光素子21A~21Eから投光する光の波長と、滴落センサ部30の投光素子31から投光する光の波長を異なる波長としてもよい。例えば、液面センサ部20の投光素子21A~21Eから投光する光として、可視光帯域の波長の光を用い、滴落センサ部30の投光素子31から投光する光として、赤外帯域の波長の光を用いてもよい。この場合、液面センサ部20の受光素子22として、可視光帯域の波長の光を赤外帯域の光と分別して受光できる受光素子、あるいは可視光帯域の波長の光のみに感度を有する受光素子を用い、滴落センサ部30の受光素子32として、赤外帯域の波長の光を可視光帯域の光と分別して受光できる受光素子、あるいは赤外帯域の波長の光のみに感度を有する受光素子を用いることが好ましい。これによっても、液面センサ部20と滴落センサ部30のクロストークの発生を低減し、液面検知処理と液滴検知処理を同時に適切に行うことができる。
【0086】
なお、液面センサ部20と滴落センサ部30のクロストークの発生を防ぐために、液面検知処理と液滴検知処理を時分割で順次実行してもよい。
【0087】
なお、液面センサ部20の複数の投光素子の数は、5つに限らず、2つ以上であれば、いくつであってもよい。但し、液面の位置をより詳細に検知するためには、好ましくは3つ以上、より好ましくは5つ以上とする。
なお、本実施形態によれば、投光角度βを適切な角度に設定することにより、点滴筒210内の液面の位置として、液面センサ部20の投光素子の数よりも多い数の液面の位置を検出できるという効果も得られる。この面から考えると、投光角度βは15°以上であることが好ましい。
本実施形態においては、5つの投光素子を用いて、7つもしくは9つの液面の位置に分別して検知することができている。すなわち、投光素子の数よりも2つ以上大きい数の分解能で、液面の位置を検出することができている。
なお、液面センサ部20の投光素子の数が1つの場合であっても、液面センサ部20の複数の投光素子から投光された光が液面反射したか否かに応じて変化する受光素子の受光状態に応じて、液面の位置を検知する構成を採用すれば、外乱光が多い場合や、点滴筒210内の液体が透過性の高い場合であっても、点滴筒210内の液面を適切に検知することができる。
【0088】
なお、投光された光が点滴筒210の内部の液面で反射可能となるように、複数の投光素子21A~21Eを、斜め上方から斜め下方に向かって投光する態様を採用してもよい。
【0089】
本実施形態の液面センサ部20は、点滴筒210内の液体が透過性を有する場合、すなわち液面センサ部20の投光素子21A~21Eからの光を通過する場合に、特に好適に利用することができる。但し、点滴筒210内の液体が透過性を有しない場合においても、光路中の液体の存在の有無に応じた検知に基づき、液面の検知を行うことは可能である。
この場合は、受光パターン情報と、点滴筒210内の液面の位置の関係が、液面反射を検知する場合とは異なってくる。よって、オペレータが入力手段に所望のモードを入力することより、液面反射検知モードと、液体存在検知モードとを切り替えることができる構成とすることが好ましい。
制御部150の記憶部は、各モードに応じた、受光パターン情報と、点滴筒210内の液面の位置の関係を示すテーブルデータを備えており、選択されたモードに対応したテーブルデータを用いて、液面の位置を検知する。
【0090】
なお、本実施形態では、ポンプ160としてフィンガーポンプ式のポンプを用いる例を示したがこれに限らない。例えば、ローラーが回転しながらチューブをしごいて送液するローラーポンプ式のポンプを用いてもよい。
また、ポンプ160が存在せず、液体を落差のみで注液し、下流側クランプ170の閉塞度合で注入速度を制御する輸液システムであってもよい。
【0091】
図6Aに、本実施形態の第1変形例を示す。
本変形例においては、第2基板12が、鉛直方向に配置されており、受光素子22が、台座17を介して、第2基板12の上方に設けられている。台座17は、点滴筒210に対して傾斜した傾斜面(斜め下向きの傾斜面)を有しており、受光素子22は、この台座17の傾斜面に実装される。これにより、受光素子22の受光面を、複数の投光素子21A~21Eの投光方向と略垂直とすることが可能となり、複数の投光素子21A~21Eからの光を、より効率的に受光することができる。このとき、滴落センサ部30の投光素子31は、
図6Aに示すように、第2基板12の下方に設けてもよい。
【0092】
図6Bに、本実施形態の第2変形例を示す。
本変形例においては、第1基板11上において、液面センサ部20の投光素子21A~21Eと、滴落センサ部30の受光素子32の間に、第1遮光手段41、第2遮光手段42が設けられている。また、第2基板12上において、液面センサ部20の受光素子22と、滴落センサ部30の投光素子31の間に、第3遮光手段43が設けられている。このような遮光手段を設けることにより、液面センサ部20と滴落センサ部30のクロストークの発生を低減することができる。
また、液面センサ部20の投光素子21A~21E、滴落センサ部30の投光素子31に、指向性向上手段を設けてもよい。指向性向上手段としては、投光素子の周囲を覆う筒状の部材であってもよい。この筒状の部材としては、内部に反射面を有する筒状部材や、熱収縮チューブを用いることができる。このような部材を用いることにより、投光素子の投光方向の指向性を高めることが可能となり、対応する受光素子に対して効果的に光を投光することができる。また、液面センサ部20と滴落センサ部30のクロストークの発生を低減することができる。
【0093】
図6Cに、本実施形態の第3変形例を示す。
本変形例においては、液面センサ部20の受光素子22を、投光素子21A~21Eと同じ数の受光素子によって構成し、複数の投光素子21A~21Eのそれぞれと対となるように、複数の受光素子22A~22Eが配置されている。これにより、より効率的に、液面センサ部20の受光素子としての複数の受光素子22A~22Eが、投光素子21A~21Eからの光を受光することができる。
また、この場合は、所定の波長帯域の光を投光する投光素子とこれと同じ波長帯域の光を受光する受光素子のペアを一対の投光素子及び受光素子とし、これを複数組設けることが好ましい。例えば、投光素子21Aから投光される光を赤色光とし、これとペアになる受光素子22Aが受光可能な光の波長帯域は赤色光とする。投光素子21Bから投光される光を緑色光とし、これとペアになる受光素子22Bが受光可能な光の波長帯域は緑色光とする。投光素子21Cから投光される光を青色光とし、これとペアになる受光素子22Cが受光可能な光の波長帯域は青色光とする。4つ以上の投光素子と受光素子の対がある場合は、より細分化した波長の光を用いてもよいし、赤外光等を用いてもよい。
このように、複数の投光素子から投光される光を、異なる波長の光とすることにより、複数の受光素子22A~Eが受光した光が、複数の投光素子21A~21Eのうち、どの投光素子から投光された光であるかを分別することができる。なお、この場合は、複数の投光素子から常に連続光を投光する態様も採用できる。
なお、本変形例においても、液面センサ部20の投光素子21A~21Eに、指向性向上手段を設けることが好ましい。
【0094】
図6Dに、本実施形態の第4変形例を示す。
図6Dに示すように、本変形例の液面センサ部20は、受光素子23を更に備えている。この受光素子23は、複数の投光素子21A~21Eから投光された光が、点滴筒210の内部の液面で反射した場合に、その反射光を受光できるように第3基板13に配置されている。よって、受光素子22が受光することにより得られる受光パターン情報と、受光素子23が受光することにより得られる受光パターン情報を用いることにより、より正確に、点滴筒210内の液面の位置を検知することができる。
なお、受光素子23は、液面反射した場合に受光するため、例えば、
図6Dに示す、液面高さL2の場合は、その受光パターン情報は、投光素子21Aのみ「Hi」となり、投光素子21B~21Eは「Low」となる。すなわち、
図4に示す受光パターン情報とは逆の状態となる。
なお、受光素子22を設けず、受光素子23のみを設けた場合であっても、複数の投光素子21A~21Eから投光された光が液面反射したか否かに応じて変化する受光素子23の受光状態として、複数の投光素子21A~21Eそれぞれから投光された光を、受光素子23が受光したか否かを示す、受光パターン情報を取得することができる。そして、この受光パターン情報に応じて、液面の位置を検知することが可能である。
【0095】
以上説明した本実施形態の液面センサ部20及び点滴監視装置100によれば、以下の効果を奏する。
【0096】
(1)本実施形態に係る液面検知装置としての液面センサ部20は、点滴筒210内の液面の位置を検知する液面センサ部20であって、点滴筒210内の異なる高さ位置に光を投光する複数の投光素子21A~21Eと、点滴筒210内を経由した複数の投光素子21A~21Eからの光を受光可能な少なくとも1つの受光素子22と、制御部150と、を備え、複数の投光素子21A~21Eは、投光された光が点滴筒210の内部の液面で反射可能となるように、投光方向が点滴筒210に対して傾斜するように設けられ、制御部150は、複数の投光素子21A~21Eから投光された光が液面反射したか否かに応じて変化する受光素子22の受光状態に応じて、点滴筒210内の液面の位置を検知する。
これにより、点滴筒210内の液面の位置を複数段階の位置で適切に検知することができる。また、外乱光が多い場合や、点滴筒210内の液体が透過性の高い場合であっても、点滴筒210内の液面を適切に検知することができる。
【0097】
(2)本実施形態の複数の投光素子21A~21Eは、斜め下方から投光された光が点滴筒210の内部の液面で反射可能となるように、投光方向が斜め上方となるように配置されている。
これにより、点滴筒210内の液面の位置を複数段階の位置で適切に検知することができる。また、外乱光が多い場合や、点滴筒210内の液体が透過性の高い場合であっても、点滴筒210内の液面を適切に検知することができる。
【0098】
(3)本実施形態に係る液面センサ部20は、複数の投光素子21A~21Eから投光されて点滴筒210内の液体を進む光が、点滴筒210内の液体から空気への臨界角よりも大きな角度αで点滴筒210内の液面に入射するように、複数の投光素子21A~21Eから投光される光の投光方向が設定されている。
これにより、液面がある場合に、投光された光が液面で全反射するため、より適切に、点滴筒210内の液面の位置を複数段階の位置で検知することができる。また、外乱光が多い場合や、点滴筒210内の液体が透過性の高い場合であっても、点滴筒210内の液面をより適切に検知することができる。
【0099】
(4)本実施形態の複数の投光素子21A~21Eは、異なる高さ位置に配置されており、かつ、略同一の投光方向となるように設けられている。
これにより、簡単な構成によって、複数の投光素子21A~21Eから、点滴筒210内の異なる高さ位置に光を投光することができる。
【0100】
(5)本実施形態に係る液面センサ部20における、受光素子22の受光状態は、複数の投光素子21A~21Eそれぞれから投光された光を、受光素子22が受光したか否かを示す、受光パターン情報であり、制御部150は、受光パターン情報に基づき、点滴筒210内の液面の位置を検知する。
これにより、点滴筒210内の液面の位置を複数段階の位置で適切に検知することができる。
【0101】
(6)本実施形態の制御部150は、現在の受光パターン情報と、直前の受光パターン情報に基づき、点滴筒210内の液面の位置を検知する。
これにより、より正確に、あるいはより多段階で、点滴筒210内の液面の位置を複数段階の位置で適切に検知することができる。
【0102】
(7)本実施形態の複数の投光素子21A~21Eは、所定の投光タイミングで光を順次投光し、受光素子22は、所定の投光タイミングで順次投光された複数の投光素子21A~21Eからの光を受光し、制御部150は、所定の投光タイミングの情報と、受光素子22の受光情報に基づき、受光パターン情報を決定し、受光パターン情報に基づき、点滴筒210内の液面の位置を検知する。
これにより、確実に受光パターン情報を取得することができる。
【0103】
(8)本実施形態の受光素子22は、投光素子21A~21Eから投光された光が、点滴筒210の内部の液面で反射せずに通過した場合に、その通過光を受光できるように配置されている。
これにより、点滴筒210内の液面の位置を適切に検知することができる。
【0104】
(9)本実施形態の受光素子22は、投光素子21A~21Eから投光された光が、点滴筒210の内部の液面で反射した場合に、その反射光を受光できるように配置されている。
これにより、点滴筒210内の液面の位置を適切に検知することができる。
【0105】
(10)本実施形態に係る点滴監視装置100は、(1)~(9)の液面センサ部20と、点滴筒210内を滴落する液滴を検知する滴落検知装置としての滴落センサ部30を備える点滴監視装置であって、滴落センサ部30は、点滴筒210内に光を投光する少なくとも1つの滴落検知用投光素子31と、点滴筒210内を通過した滴落検知用投光素子31からの光を受光可能な少なくとも1つの滴落検知用受光素子32と、監視制御部としての制御部150と、を備え、制御部150は、液面センサ部20の検知結果と、滴落センサ部30の検知結果に基づき、輸注状態を制御するための輸注制御情報を出力する。
このように、液面センサ部20と滴落センサ部30の検知結果を用いることにより、種々の輸注状態の制御を行うことができる。
【0106】
(11)本実施形態の液面センサ部20の複数の投光素子21A~21Eと、滴落センサ部30の滴落検知用受光素子32は、点滴筒210の周方向における略同一角度位置の第1角度位置に配置され、液面センサ部20の受光素子22と、滴落センサ部30の滴落検知用投光素子31は、点滴筒210の周方向における略同一角度位置であって、第1角度位置からの略180°の位置である第2角度位置に配置されている。
これにより、液面センサ部20と滴落センサ部30のクロストークの発生を低減し、液面検知処理と液滴検知処理を適切に行うことができる。
【0107】
(12)本実施形態の液面センサ部20の複数の投光素子21A~21Eと、滴落センサ部30の滴落検知用受光素子32は、第1基板11に配置され、液面センサ部20の受光素子22と、滴落センサ部30の滴落検知用投光素子31は、第2基板12に配置され、前記第1基板11と、前記第2基板12は、点滴筒210を挟むように対向して配置されている。
これにより、液面センサ部20と滴落センサ部30のクロストークの発生を低減し、液面検知処理と液滴検知処理を適切に行うことができる。
【0108】
(13)本実施形態に係る液面センサ部20の複数の投光素子21A~21Eは、滴落センサ部30の滴落検知用受光素子32よりも、点滴筒210に近い位置に配置されている。
これにより、液面センサ部20と滴落センサ部30のクロストークの発生を低減し、液面検知処理と液滴検知処理を適切に行うことができる。
【0109】
(14)本実施形態に係る液面センサ部20の複数の投光素子21A~21Eと、滴落センサ部30の滴落検知用受光素子32の間に、遮光手段41、42が配置されている。
これにより、液面センサ部20と滴落センサ部30のクロストークの発生を低減し、液面検知処理と液滴検知処理を適切に行うことができる。
【0110】
以上、本発明の液面検知装置及び、液面検知装置を備える点滴監視装置の好ましい実施形態及びその変形例につき説明したが、本発明は、上述の実施形態及び変形例に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0111】
11 第1基板
12 第2基板
20 液面センサ部(液面検知装置)
21A~21E 投光素子
22 受光素子
23 受光素子
30 滴落センサ部(滴落検知装置)
31 投光素子(滴落検知用投光素子)
32 受光素子(滴落検知用受光素子)
41、42、43 遮光手段
100 点滴監視装置
110 センサ装置
120 輸液ポンプ装置
130 第1上流側クランプ
140 第2上流側クランプ
150 制御部
160 ポンプ
170 下流側クランプ
200 輸液セット
210 点滴筒
221 第1輸液バッグ
222 第2輸液バッグ
230 上流側チューブ
240 下流側チューブ
250 穿刺針
500 輸液システム
1000 輸液スタンド
1100 架台