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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ロボット、及びロボットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A63H 11/00 20060101AFI20240312BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A63H11/00 Z
B25J19/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019204508
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021074364
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】市川 憲造
(72)【発明者】
【氏名】吉田 薫
【審査官】三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-117257(JP,A)
【文献】特開2006-028725(JP,A)
【文献】特開2019-162715(JP,A)
【文献】特開2007-083334(JP,A)
【文献】米国特許第06843703(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装と、
前記外装の外方に露出した状態で設けられた、前記外装を装飾する装飾部と、
前記外装の内側に、前記装飾部に対応させて設けられた第1係合部と、
前記外装に覆われる本体部と、
前記本体部に設けられ、前記第1係合部と係合することによって、前記外装を前記本体部に係止する第1被係合部と、
を備え
前記装飾部は、目を模した目部であり、
前記本体部は、前記外装を介して載置面に載置される胴体部と、前記胴体部に可動自在に連結された頭部と、を含み、
前記第1被係合部は、前記本体部の前記頭部に設けられ、前記第1係合部と係合することによって、前記外装を前記頭部に係止し、
前記外装の内側に設けられた第2係合部と、
前記本体部の前記胴体部における前記頭部との連結部分以外の部分に設けられ、前記第2係合部と係合することによって、前記外装を前記胴体部に係止する第2被係合部と、
をさらに備えるロボット。
【請求項2】
前記第1及び第2係合部の少なくとも一方として、前記第1被係合部に嵌合する嵌合孔が形成された板状の部材で構成された係合部を備え、前記係合部の前記嵌合孔の周りが前記外装の内側に縫い付けられており、
前記第1及び第2係合部の前記少なくとも一方に対応する前記第1及び第2被係合部の少なくとも一方として、前記本体部に突出して設けられ、前記嵌合孔に嵌合する小径部と、前記嵌合孔に通された前記小径部よりも大きな径の大径部とを有する凸状部品を備える、
請求項に記載のロボット。
【請求項3】
前記第1係合部として、前記装飾部から延出し、前記外装を貫通して該外装の内側から突出した突出部を備え、
前記第1被係合部として、前記本体部に形成され、前記突出部が挿入されて係合する挿入穴を備える、
請求項1又は2に記載のロボット。
【請求項4】
請求項に記載の前記ロボットの製造方法であって、
前記第2係合部を、樹脂により、所定の厚さの平板状に、かつ、凸状の前記第2被係合部に嵌合する嵌合孔を有するように形成するステップと、
形成された前記第2係合部をシート状の前記外装の裏地に、前記第2係合部の前記嵌合孔以外の部分にミシンの針を貫通させながら縫い付けるステップと、
前記第2係合部が縫い付けられるとともに前記第1係合部が設けられた前記外装の裏地と、前記目部が設けられたシート状の前記外装の表地とを互いに結合するステップと、
前記外装の裏地を表出させた後、前記第1係合部を前記頭部の前記第1被係合部に係合させた状態で、前記外装の表地を表出させながら、前記頭部及び前記胴体部を前記外装で覆うステップと、
前記頭部及び前記胴体部を前記外装で覆った状態で、前記胴体部に設けられた前記第2被係合部を、前記第2係合部の前記嵌合孔に嵌合させることによって、前記第2被係合部を前記第2係合部に係合させるステップと、
を含むロボットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット、及びロボットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットをペットのような親しみのある存在とするために、例えば、特許文献1には、本体部を覆う外装を備えたロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-191276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のロボットでは、外装を取付けるための凸状の取付部が外装の外方に露出しているため、ロボットの意匠性が低い。ロボットの意匠性を高めるために、取付部を外装の内側に取り付けることが考えられる。しかしながら、その場合に本体部を外装で覆ってから、外装を本体部に取り付けるときに、取付部の位置が分かりにくくなることによって、外装の取付作業を含むロボットの製造作業が煩雑になってしまう。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、ロボットの意匠性を高めながら、外装の取付作業を容易に行うことができるロボット、及びロボットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロボットは、外装と、前記外装の外方に露出した状態で設けられた、前記外装を装飾する装飾部と、前記外装の内側に、前記装飾部に対応させて設けられた第1係合部と、前記外装に覆われる本体部と、前記本体部に設けられ、前記第1係合部と係合することによって、前記外装を前記本体部に係止する第1被係合部と、を備え、前記装飾部は、目を模した目部であり、前記本体部は、前記外装を介して載置面に載置される胴体部と、前記胴体部に可動自在に連結された頭部と、を含み、前記第1被係合部は、前記本体部の前記頭部に設けられ、前記第1係合部と係合することによって、前記外装を前記頭部に係止し、前記外装の内側に設けられた第2係合部と、前記本体部の前記胴体部における前記頭部との連結部分以外の部分に設けられ、前記第2係合部と係合することによって、前記外装を前記胴体部に係止する第2被係合部と、をさらに備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロボットの意匠性を高めながら、外装の取付作業を容易に行うことができるロボット、及びロボットの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係るロボットの斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るロボットの断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係るロボットの本体部を説明するための斜視図である。
図4図2中の“IV”部の拡大図である。
図5】本発明の実施の形態に係る係合板及び凸状部品を示す図であり、(a)は互いが係合していない状態の斜視図、(b)は互いが係合した状態の斜視図である。
図6図2中の“VI”部に着目した図であり、突出部と挿入穴とが係合していない状態にあるときの断面図である。
図7】本発明の実施の形態に係るロボットの製造方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態の理解を容易にするため、図1中の前後の方向を適宜参照しながら説明する。
【0010】
(実施の形態)
実施の形態に係るロボット200は、図1に示すように、小動物を模したペットロボットである。ロボット200には、小動物の目を模した装飾部を有する装飾部品202が前側に2つ設けられている。このように、ロボット200の前側は、小動物の顔部分を構成している。ロボット200は、図2に示すように、本体部207と、本体部207を覆う外装201とを有している。
【0011】
本体部207は、図2、3に示すように、頭部204と、頭部204の後方に設けられた胴体部206と、頭部204と胴体部206とを連結した連結部205とを有している。本体部207は、例えば合成樹脂製で、ユーザに機械的な印象を与えることがないように薄いピンク色で着色されている。
【0012】
本体部207の一部を構成する頭部204は、小動物を模したロボット200の頭部に相当する部位である。頭部204には、図3に示すように小動物の目を模した装飾部品202(図1)が差し込まれる第1被係合部としての挿入穴242が、前方に2つ形成されている。また、2つの挿入穴242に対応させてその上方には、外装201(図2)に設けられた第1係合部(係合板260(図2))と係合する第1被係合部としての凸状部品241が2つ取り付けられている。外装201(図2)に設けられた第1係合部と、頭部204に取り付けられた第1被係合部とを係合させることにより、本体部207が動作するのにあわせて外装201(図2)を動かすことができる。なお、これらの第1係合部及び第1被係合部の詳細については後述する。
【0013】
胴体部206は、前後方向に長い形状を有し、図2に示すように床やテーブル等の載置面101に外装201を介して載置される。胴体部206には、図3に示すように、頭部204に設けられたものと同様の第2被係合部としての凸状部品241が、後部に2つ設けられている。第1被係合部と同様に、第2被係合部としての凸状部品241は、外装201(図2)に設けられた第2係合部(係合板(図2))と係合する。なお、これらの第2係合部及び第2被係合部の構成は、上述した第1係合部及び第1被係合部の構成と同様である。なお、第1係合部と第2係合部とを特に区別しないで記載する場合には、単に係合部と記載する。また、第1被係合部と第2被係合部とを特に区別しないで記載する場合には、単に被係合部と記載する。
【0014】
連結部205は、図2に示すように、頭部204の後端部と胴体部206の前端部とを連結している。連結部205には、ひねりモータ221及び上下モータ222が設けられている。ひねりモータ221は、図3に示すように、前後方向に延びる軸102を中心に矢印Y2の方向に頭部204を回転させる。このように頭部204を動作させることにより、図1に示す小動物を模したロボット200に、首を傾ける仕草をしているような動作をさせることができる。また、上下モータ222は、図2に示すように、図を貫く方向に平行な軸103を中心に矢印Y1で示す方向に頭部204を回転させる。このように頭部204を動作させることにより、図1に示す小動物を模したロボット200に、頭を上下に振る仕草をしているような動作をさせることができる。連結部205は、ひねりモータ221による回転と上下モータ222による回転との2軸で頭部204が動作可能なように、頭部204と胴体部206とを連結している。
【0015】
外装201は、図1に示すように前後方向に長く、内部に本体部207(図2)を収容することが可能な袋状の形状をなしている。外装201は、図4に示すように、シート状の表地251及び裏地252を、互いに重ね合わせた状態で、複数箇所で糸253を用いて互いに縫い合わせることにより、形成されている。このように、複数箇所で糸253を用いて両者251、252を縫い合わせることで、表地251と裏地252との間でずれを生じさせることなく、一体的に取り扱うことを可能としている。表地251は、図1及び図2に示すように、小動物の毛203を模した人工のパイル織物から構成されている。これにより、ロボット200の肌触りを小動物の肌触りに似せることができる。なお、図4及び図6においては、図面の複雑化を防ぐために図1及び図2で示した毛203の図示は省略している。裏地252は、合成繊維を織った織布から構成されている。また裏地252を、天然皮革、人工皮革、合成樹脂製のシート材、ゴム製のシート材、又は天然繊維からなる布から構成してもよい。また、外装201の内側には、図2に示すように、係合部としての係合板260が設けられている。
【0016】
外装201の後部には、図1に示すように、線ファスナ208が取り付けられている。外装201の内部に本体部207(図2)を収容した状態でスライダ208aをスライドさせて閉じた状態とすることで、本体部207(図2)を収容した状態が保持される。一方、スライダ208aをスライドさせて線ファスナ208を開いた状態とすることで、内部に収容した本体部207(図2)を取り出したり、外装201の内部に本体部207(図2)を収容したりすることができる。
【0017】
図2及び図3に示すように、ひねりモータ221及び上下モータ222の駆動により生じる本体部207の動作に応じて、外装201を動作させることで、小動物を模したロボット200を、まるで生きているかのように動作させることができる。そのために、第1及び第2係合部並びに第1及び第2被係合部を用いて外装201を本体部207に適切に係止させて、外装201を本体部207の動きに追従させている。次に、外装201を、外装201の内部に収容した本体部207に係止させる構成について、詳細に説明する。なお、図2に示すように、本体部207に設けられた4つの凸状部品241は全て同じ構成を有し、外装201に設けられた4つの係合板260も全て同じ構成を有している。そのため、以下では、図2の“IV”部の凸状部品241及び係合板260の構成について説明する。
【0018】
図4に示すように、外装201の内側には、第2係合部としての係合板260が縫い付けられている。係合板260は、例えば厚みt=0.5mmのポリアミド6(PA6)製で、図5(a)に示すように円板状に成形されている。係合板260の直径は、例えば16mmである。また、係合板260の中央には、凸状部品241が挿通されて嵌合する嵌合孔としての丸孔260aが形成されている。この係合板260は、図4に示すように、糸254を用いて外装201の裏地252のみに縫い付けられており、表地251には縫い付けられていない。係合板260の裏地252への縫い付けは、裏地252と表地251とが互いに縫い合わされる前に行われる。上述のように係合板260が段差を有しない円板状であることと、係合板260の厚みtが0.5mmであることから、係合板260と裏地252との間には、前者260を後者252にミシンで縫い付けるときに不具合が生じるような大きな段差は生じない。そのため、係合板260の縫い付けは、作業の容易性を考慮してミシンを用いて行われる。係合板260の裏地252への縫い付けは、例えば図5に示すように、丸孔260aをはさんで直線状の2本の平行なラインL1、L2に沿って行われる。上述したように、係合板260の直径を16mmとすることで、係合板260の縫付強度を確保するだけの縫付距離を確保することができる。ここで、縫付距離とは、係合板260を糸254で縫い付けている部分の長さのことであり、すなわちラインL1、L2の長さの合計である。
【0019】
本体部207の一部を構成する胴体部206には、図4に示すように、係合板260と係合する第2被係合部としての凸状部品241が取り付けられている。凸状部品241は、図5(a)に示すように、プラス溝241dが形成された頭部241aと、円柱状のスペーサ部241bと、雄ねじが切られた軸部241cとを有している。また、胴体部206には、図4に示すように、軸部241cの雄ねじが螺合する雌ねじが切られた挿入穴207aが形成されている。頭部241aは、凸状部品241の中で最も大きい径を有する大径部である。頭部241aと軸部241cとに挟まれたスペーサ部241bは、頭部241aよりも小さい径を有する小径部であり、その径は挿入穴207aの径よりも大きい。そのため、ドライバによって凸状部品241を挿入穴207aに締め付けていくと、やがて図5(a)に示すスペーサ部241bの下端241eが胴体部206に当接し、それ以上の締め付けができなくなる。このように、スペーサ部241bの下端241eが胴体部206に当接するまで凸状部品241を胴体部206に締め付けることで、凸状部品241の胴体部206への取付けが完了する。取付けが完了した凸状部品241は、図4に示すように、頭部241aの高さとスペーサ部241bの高さとを合計した高さだけ胴体部206から突出する。なお、頭部241aは、図4図5(b)に示すように、凸状部品241の長さ方向における両端部分で径が最も小さく、長さ方向における中央部分で最も径が大きくなるように膨みを有する形状をなしている。また、頭部241aのスペーサ部241bと接続する部分の径は、円柱状をなしたスペーサ部241bの径と等しい。
【0020】
なお、係合板260に形成された丸孔260aの径は、凸状部品241のスペーサ部241bの径よりも0.2mm程度小さい。このような丸孔260aが形成された係合板260を凸状部品241に係合させる場合には、まず図5(a)の矢印Y3で示すように、係合板260を凸状部品241に近づける。続いて、係合板260に形成された丸孔260aを、頭部241aに押し付けながら大径部である頭部241aを乗り越えさせる。そして、図5(b)に示すように、丸孔260aを小径部であるスペーサ部241bに嵌合させる。係合板260は若干の伸縮性を有する材料で形成されていることから、丸孔260aは大径部である頭部241aを乗り越えることが可能である。頭部241aを乗り越えた係合板260の丸孔260aは、図4図5(b)に示すように、丸孔260aの径よりも大きな径を有するスペーサ部241bに嵌合する。これにより、係合板260と凸状部品241とを係合させる作業が完了する。このように、係合板260の丸孔260aは、凸状部品241のスペーサ部241bと隙間なく嵌合した状態にあり、さらにその上方には大径部である頭部241aが配されることになる。そのため、係合板260と凸状部品241との係合状態を強固なものとすることができ、係合状態を解除しようといった明確な意図を持って係合板260と凸状部品241とを取り外す作業をしない限り、係合板260と凸状部品241との係合状態は簡単に解除されることはない。
【0021】
このような凸状部品241は、図3に示すように、第1被係合部として本体部207の頭部204に2つ、第2被係合部として胴体部206に2つ設けられている。そして、本体部207を覆う外装201には、図2に示すように各凸状部品241に対応する位置に、係合板260が縫い付けられている。すなわち外装201と本体部207との取り付けは、合計4箇所で、係合板260及び凸状部品241を用いて行われる。このように複数箇所で外装201の取り付けを行うことで、本体部207の動きに外装201を追従させることができ、小動物を模したロボット200にまるで生きているかのような動作を行わせることができる。
【0022】
また、ロボット200においては、図2に示すように、小動物の目を模した装飾部品202を、頭部204に形成された第1被係合部としての挿入穴242に差し込むことにより、外装201を本体部207に係止し、両者の大まかな位置決めをすることが可能である。装飾部品202は、小動物の目の色に合わせて、例えば黒色の合成樹脂から構成されている。装飾部品202は、図6に示すように、半球状の装飾部202aと、装飾部202aから延出し外装201の内側から突出した第1係合部としての突出部202bと、を有している。外装201には、突出部202bを通すための貫通孔201aが形成されている。装飾部品202は、装飾部202aが表地251側に位置するようにして、突出部202bが貫通孔201aに差し込まれる。これにより、装飾部202aは、外装201の外側に露出した状態で設けられ、小動物の目を模した部位として外装201を装飾する。また、外装201を貫通して内側から突き出た突出部202bにはワッシャ209が嵌められている。ワッシャ209は、突出部202bのねじに引っ掛かる爪部209aを有している。これにより、装飾部品202の外装201からの抜け落ちが防止される。
【0023】
一方、本体部207の一部を構成する頭部204には、図6に示すように、装飾部品202の突出部202bが挿入される挿入穴242が形成されている。これにより、突出部202bは、挿入穴242に挿入されて係合する。挿入穴242の径は、突出部202bの径と同じか若干大きい。これにより、挿入穴242に対して突出部202bを容易に抜き差しすることができる。突出部202bを挿入穴242に挿入することで、外装201を本体部207に係止し、外装201の着脱作業をする際に外装201と本体部207との間でずれが生じるのを防止することができる。また、外装201と本体部207との位置決めを行うことができ、外装201の着脱作業中に、外装201と本体部207との位置関係が分からなくなるといった状況を防ぐことができる。これにより、外装201の着脱作業を容易に行うことができる。
【0024】
次に、ロボット200の製造方法について、図7を参照しながら説明する。まず、外装201の表地251を構成する布と裏地252を構成する布とを、所定の形状に裁断する(ステップS11)。次に、厚みt=0.5mmのポリアミド6(PA6)製のプレートを円形状に打ち抜き、図5(a)に示すように中央に凸状部品241が挿通される丸孔260aを形成することにより、係合板260を4つ作成する(ステップS12)。続いて、ミシンを用いて、裏地252の所定の4箇所それぞれに、作成した係合板260を縫い付ける(ステップS13)。ステップS13における係合板260の縫い付けは、ミシン針を係合板260に貫通させながら糸254(図4)を係合板260及び裏地252に通すことによって実行する。なお、係合板260における縫付箇所は、図5に示すように、丸孔260aをはさんだ直線状の2本の平行なラインL1、L2上である。次に、表地251と裏地252とを重ね合わせて、表地251と裏地252とを貫く図6に示す貫通孔201aを2箇所形成して、該貫通孔201aに装飾部品202を取り付ける(ステップS14)。装飾部品202の取り付けは、装飾部品202の突出部202bを、装飾部202aが表地251側に位置するようにして貫通孔201aに差し込み、裏地252から突き出た突出部202bにワッシャ209を嵌めることによって行う。続いて、表地251と裏地252とを互いに縫い合わせて、袋状に形成する(ステップS15)。最後に、図1に示す線ファスナ208を取り付ける(ステップS16)。これにより、外装201の作成が完了する。このように、ステップS11~ステップS16を実行することにより、外装201を作成することができる。
【0025】
次に、作成した外装201を本体部207に取り付ける。まず、図1に示す線ファスナ208を開き、外側の毛203が内側となるように外装201を裏返しにする(ステップS17)。こうすることで、裏地252から突き出た装飾部品202の突出部202b(図6)と、裏地252に縫い付けられた係合板260(図4)を容易に視認することができる。次に、外装201の装飾部品202が取り付けられた部分を表に返し、裏地252から突出した2つの突出部202bのそれぞれを、図3に示す対応する挿入穴242に挿入する(ステップS18)。これにより、外装201から突き出た突出部202bと、頭部204に形成された挿入穴242とを一致させることができ、外装201と本体部207との大まかな位置決めをすることができる。また、突出した突出部202bを挿入穴242に挿入することで、位置決めした状態から外装201を本体部207に係止することができ、両者の間にずれが生じることを防止することができる。なお、外装201を表に返すことで突出部202bは、視認することができなくなる。しかしながら、突出部202bは装飾部202aから延出した部位であることから、表側にある装飾部202aが視認できれば突出部202bの位置を認識できる。そのため、外装201を表に返したとしても、突出部202bを挿入穴242に挿入することは容易である。
【0026】
続いて、装飾部品202の近傍に設けられた第1係合部としての係合板260(図2においては装飾202の直上に配置された係合板260)を、頭部204に設けられた第1被係合部としての凸状部品241に係合させる(ステップS19)。係合板260と凸状部品241との係合は、まず、係合板260に形成された丸孔260aを、頭部241aに押し付けながら大径部である頭部241aを乗り越えさせる。続いて、図5(b)に示すように、丸孔260aを小径部であるスペーサ部241bに嵌合させることにより、係合板260を凸状部品241に係合させる。
【0027】
次に、裏返った外装201を表に返しながら、本体部207を前側から後方に向けて順に外装201で覆っていく(ステップS20)。続いて、図2に示す外装201の後端部に設けられた第2係合部としての係合板260を、胴体部206の後端部に設けられた第2被係合部としての凸状部品241に係合させる(ステップS21)。次に、外装201により本体部207の全体を覆い、最後に線ファスナ208を閉じる(ステップS22)。このように、ステップS17~ステップS22を実行することにより外装201が本体部207に取り付けられ、ロボット200が製造される。
【0028】
上述のように、外装201は布製であるため、ロボット200を使用すると徐々に汚れが付着していく。そのため、外装201を洗濯するために、外装201の着脱作業が行われる。なお、外装201を取り外す方法については、上述した外装201の取り付けの手順と逆の手順を辿ればよい。そして、洗濯した外装201を上記の手順に従い本体部207に取り付けることで、綺麗になったロボット200を使用することができる。
【0029】
上記の実施の形態によれば、係合部としての係合板260を、外装201の内側に設けている。これにより、係合板260がユーザに視認されることがなく、ロボット200の意匠性が損なわれることがない。また、係合板260は、表地251に縫い付けられておらず、裏地252のみに縫い付けられている。そのため、係合板260を縫い付けるための糸254がロボット200の表面に現れず、ロボットの意匠性が損なわれることがない。そのため、従来のロボットよりも意匠性を高めたロボットを実現することができる。
【0030】
また、第1係合部としての係合板260を、装飾部品202に対応する位置に設けている。ここで対応する位置に設けられるとは、例えば係合板260が、装飾部品202と1対1の関係で、かつ装飾部品202の近傍に設けられていることである。このように係合板260を設けることで、装飾部品202の位置を視認するだけで、第1係合部としての係合板260を視認しなくてもその位置を把握することができる。そのため、第1係合部を第1被係合部にスムーズに係合させることができる。これにより、外装201の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0031】
また、装飾部品202は、小動物の目を模した装飾部202aを有している。これにより、装飾部品202は、第1係合部と第1被係合部との係合を容易にするだけでなく、装飾することによりロボット200の意匠性を高めることができる。
【0032】
また、伸縮性を有する係合板260は、外装201が変形する際に抵抗することなく同様に変形するため、係合板260の取付手段(本実施の形態では、図4に示す糸254)に過大な力が作用することを防止することができ、外装201を傷つけてしまったり、取付手段が破損して係合板260が外装201からとれてしまったりすることを防止することができる。
【0033】
また、係合板260の厚みtを0.5mmとしていることから、ミシンにより縫合する際に、係合板260と裏地252との間に不具合が生じさせるような大きな段差は生じない。また、係合板260は平板状に形成されて凹凸を有していないため、係合板260の縫い付けを係合板260の上から直接ミシンを用いてで行うことができる。これにより、作業効率を高めることができる。また、縫付精度や縫付強度を均一にすることができ、品質の向上を図ることができる。また、縫い付けの際に糸を通すための孔を予め係合板260に形成する必要がないため、係合板260を簡単な構成にすることができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0034】
また、係合板260は、例えば厚みt=0.5mmの平板状のポリアミド6(PA6)を、プレス加工によって円形の型で打ち抜くことで容易に成形することができる。このため、製造コストの低減を図ることができる。
【0035】
また、係合板260を凸状部品241に係合させるにあたり、径の大きな頭部241aを係合板260の丸孔260aに通すとともに、係合板260の丸孔260aをスペーサ部241bに隙間なく嵌合させた状態としている。そのため、係合板260と凸状部品241とを強固に係合させることができ、ロボット200の動作中に外装201が外れてしまうといった不具合が生じるのを防ぐことができる。
【0036】
また、装飾部品202が固定された外装201の内側には、突出部202bが突出している。また、頭部204には、装飾部品202の突出部202bが抜き差し容易な挿入穴242が設けられている。これにより、突出部202bを挿入穴242に挿入することで、外装201から突き出た突出部202bと、頭部204に形成された挿入穴242とを一致させることができ、外装201と本体部207との大まかな位置決めをすることができる。また、突出した突出部202bを挿入穴242に挿入することで、位置決めした状態から外装201と本体部207とを係止することができ、外装201の取り付け作業中に両者の間にずれが生じることを防止することができる。
【0037】
また、凸状部品241の大径部である頭部241aを、外装201の内側に縫い付けられた係合板260の丸孔260aに通すといった簡単な作業で、外装201を本体部207に係止させることができる。そのため、外装201の着脱作業を容易に行うことができる。
【0038】
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記の実施の形態では、外装201に縫い付けられた係合部(第1及び第2係合部)として、ポリアミド6(PA6)製のプレートを円形状に打ち抜いて成形した係合板260を用いたが、係合部の材質及び形状は任意に選択できる。例えば、ポリカーボネード等の合成樹脂製としてもよい。または、ポリエステル等の化学繊維からなる布を円形に切断したものを用いてもよいし、綿やウール等の天然繊維からなる布を用いてもよいし、ゴム製のシート材を用いてもよい。また、係合部の形状は、平板状であればよく、三角板状や四角板状などの角形板状のものとしてもよい。
【0039】
また、係合板260の外装201への縫い位置は、図5に示すように、平行な2本のラインL1、L2上であると説明したが、他の縫い位置であってもよい。例えば、ラインL1、L2に加えて、ラインL1、L2に直交するラインを縫い位置として追加してもよい。なお、追加するラインは、ラインL1、L2と同様に、係合板260の丸孔260aを避けた位置に設定する。あるいは、円板状の係合板260の外形に沿って、周状に縫い位置を設けてもよい。
【0040】
また、係合板260の外装201への取り付けは、ミシンによる縫い付けによるものだけに限定されない。例えば、係合板260を手で縫い付けてもよいし、丸孔260aの周囲に接着剤を塗布して係合板260を接着してもよい。なお、係合板260を手で縫い付ける場合には、係合板260に針を通すための孔を予め形成しておけばよい。これにより、手による縫い付け作業を容易に行うことができる。
【0041】
また、係合板260の厚みtは0.5mmであると説明したが、ミシンによる縫い付けに不具合が生じなければ、厚みの変更は可能である。また、上述のように、係合板260の取り付けを、手による縫い付けや接着剤による接着で行うのであれば、厚みの制限を緩和することができる。例えば、より厚い平板状のものを用いてもよいし、場所により厚みが異なるように形成したものを係合板として用いてもよい。
【0042】
また、凸状部品241のスペーサ部241bは、凸状部品241に一体で成形された部位であるとして説明したが、凸状部品とは別部品としてもよい。これにより、高さの異なる複数のスペーサ部を用意しておくことで、凸状部品の本体部からの突出量を容易に変更することができ、適用するロボットに適した態様で凸状部品を取り付けることができる。
【0043】
また、被係合部としての凸状部品241は、自身に切られた雄ねじを本体部207の雌ねじに螺合させることにより、本体部207に取り付けられていたが、取付方法はこの方法に限定されない。例えば、凸状部品を本体部に一体成型されたものとすることができる。これにより、凸状部品の本体部への取り付け作業を省略することができる。
【0044】
また、小動物の目を模した装飾部品202の突出部202bが挿入される挿入穴242の径は、突出部202bの径と同じか若干大きくなるように形成されることで、突出部202bが抜き差し容易な構成であると説明した。しかしながら、挿入穴242の径を、突出部202bの径よりも若干小さくするか、挿入穴242の深い部分ほど徐々に(又は段階的に)小さくなるように、設定してもよい。これにより、突出部202bを挿入穴242に圧入することで両者を係合することができ、装飾部品202の取付箇所でも外装201を本体部207に係止することができる。
【0045】
また、係合板260と係合する凸状部品241は、頭部204と胴体部206とに2つずつ設けたが、これらの係合部の設置数及び設置箇所については適用するロボットに応じて任意に決定することができる。例えば、装飾部品202と挿入穴242とを係合させることによって、外装201と頭部204とを十分に係止できるのであれば、頭部204に設けた凸状部品241と対応する係合板260の設置を省略することができる。一方、大きなロボットに適用するのであれば、より多くの凸状部品241と対応する係合板260とを設置するようにしてもよい。
【0046】
また、ロボット200は小動物を模したものであると説明したが、ロボットが何を模したものとするのかは任意である。例えば、ロボットをサイといった大型の動物を模したものとしてもよい。この場合、装飾部品はサイの角を模したものとしてもよい。
【0047】
また、外装201は、本体部207の全てを覆う形態に限定されるものではなく、本体部207の一部を覆う形態であってもよい。また、外装201は小動物の毛皮を模したものであると説明したが、外装を何にするのかは任意である。例えば、外装を、ロボットに取り付ける服を模したものとしてもよいし、広告が表示されたバナーとしてもよい。
【0048】
また、表地251及び裏地252は、糸253を用いて互いに縫い合わせられていると説明したが、他の方法により両者を一体化させてもよい。例えば、接着剤を用いて、表地251と裏地252とを接着してもよい。
【0049】
また、外装201を本体部207に係止する手段として、外装201に設けられた係合部に形成された丸孔に、本体部207に設けられた被係合部である凸状部品を挿入することにより実現していた。しかしながら、外装201を本体部207に係止する手段は、他の方法を用いてもよい。例えば、外装及び本体部のうちの一方に先端が曲がったフックを取り付け、他方に紐を輪状にしたループを取り付けてもよい。そして、フックをループに引掛けることで、外装を本体部に係止する。または、外装及び本体部のうちの一方に面ファスナのフック部を取り付け、他方に面ファスナのループ部を取り付けてよい。そして、フック部をループ部につけることで、外装を本体部に係止する。
【0050】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲とを逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、前述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0051】
(付記)
(付記1)
外装と、
前記外装の外方に露出した状態で設けられた、前記外装を装飾する装飾部と、
前記外装の内側に、前記装飾部に対応させて設けられた第1係合部と、
前記外装に覆われる本体部と、
前記本体部に設けられ、前記第1係合部と係合することによって、前記外装を前記本体部に係止する第1被係合部と、
を備えるロボット。
【0052】
(付記2)
前記装飾部は、目を模した目部であり、
前記本体部は、前記外装を介して載置面に載置される胴体部と、前記胴体部に可動自在に連結された頭部と、を含み、
前記第1被係合部は、前記本体部の前記頭部に設けられ、前記第1係合部と係合することによって、前記外装を前記頭部に係止し、
前記外装の内側に設けられた第2係合部と、
前記本体部の前記胴体部における前記頭部との連結部分以外の部分に設けられ、前記第2係合部と係合することによって、前記外装を前記胴体部に係止する第2被係合部と、をさらに備える、
付記1に記載のロボット。
【0053】
(付記3)
前記第1及び第2係合部の少なくとも一方として、前記第1被係合部に嵌合する嵌合孔が形成された板状の部材で構成された係合部を備え、前記係合部の前記嵌合孔の周りが前記外装の内側に縫い付けられており、
前記第1及び第2係合部の前記少なくとも一方に対応する前記第1及び第2被係合部の少なくとも一方として、前記本体部に突出して設けられ、前記嵌合孔に嵌合する小径部と、前記嵌合孔に通された前記小径部よりも大きな径の大径部とを有する凸状部品を備える、
付記2に記載のロボット。
【0054】
(付記4)
前記第1係合部として、前記装飾部から延出し、前記外装を貫通して該外装の内側から突出した突出部を備え、
前記第1被係合部として、前記本体部に形成され、前記突出部が挿入されて係合する挿入穴を備える、
付記1~3のいずれか1つに記載のロボット。
【0055】
(付記5)
付記2に記載の前記ロボットの製造方法であって、
前記第2係合部を、樹脂により、所定の厚さの平板状に、かつ、凸状の前記第2被係合部に嵌合する嵌合孔を有するように形成するステップと、
形成された前記第2係合部をシート状の前記外装の裏地に、前記第2係合部の前記嵌合孔以外の部分にミシンの針を貫通させながら縫い付けるステップと、
前記第2係合部が縫い付けられるとともに前記第1係合部が設けられた前記外装の裏地と、前記目部が設けられたシート状の前記外装の表地とを互いに結合するステップと、
前記外装の裏地を表出させた後、前記第1係合部を前記頭部の前記第1被係合部に係合させた状態で、前記外装の表地を表出させながら、前記頭部及び前記胴体部を前記外装で覆うステップと、
前記頭部及び前記胴体部を前記外装で覆った状態で、前記胴体部に設けられた前記第2被係合部を、前記第2係合部の前記嵌合孔に嵌合させることによって、前記第2被係合部を前記第2係合部に係合させるステップと、
を含むロボットの製造方法。
【符号の説明】
【0056】
101・・・載置面、102,103・・・軸、200・・・ロボット、201・・・外装、201a・・・貫通孔、202・・・装飾部品、202a・・・装飾部、202b・・・突出部、203・・・毛、204・・・頭部、205・・・連結部、206・・・胴体部、207・・・本体部、207a・・・挿入穴、208・・・線ファスナ、208a・・・スライダ、209・・・ワッシャ、209a・・・爪部、221・・・モータ、222・・・上下モータ、241・・・凸状部品、241a・・・頭部、241b・・・スペーサ部、241c・・・軸部、241d・・・プラス溝、241e・・・下端、242・・・挿入穴、251・・・表地、252・・・裏地、253,254・・・糸、260・・・係合板、260a・・・丸孔、L1,L2・・・ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7