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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】加工品質予測システム
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/14 20060101AFI20240312BHJP
   B24B 55/02 20060101ALI20240312BHJP
   B24B 49/16 20060101ALI20240312BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240312BHJP
   B24B 53/04 20120101ALI20240312BHJP
   B24B 5/00 20060101ALI20240312BHJP
   B24D 5/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B24B49/14
B24B55/02 A
B24B49/16
B24B49/10
B24B53/04
B24B5/00 Z
B24D5/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019204672
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021074841
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】森田 浩
(72)【発明者】
【氏名】米津 寿宏
(72)【発明者】
【氏名】石榑 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 有哉
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-161906(JP,A)
【文献】特開2019-032649(JP,A)
【文献】特開平03-098761(JP,A)
【文献】特開平11-188570(JP,A)
【文献】特開平04-138504(JP,A)
【文献】特表2017-500216(JP,A)
【文献】特開2010-184343(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03736648(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 49/14
B24B 55/02
B24B 49/16
B24B 49/10
B24B 53/04
B24B 5/00
B24D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物及び砥石車を回転させながら、前記砥石車により前記工作物の研削加工を行う研削盤本体と、
前記工作物の研削加工中に前記研削盤本体における観測可能な状態データを検出する検出器と、
前記検出器により検出された前記状態データを用いて、前記砥石車と前記工作物とが接触する研削点の温度が高くなることによって前記工作物に生成される加工変質層の有無、前記加工変質層の深さ、前記工作物の表面硬さ、又は、前記工作物の表面の焼け色を予測する予測部と、
を備え、
前記検出器は、所定方向の熱流束の大きさである熱流データを前記状態データとして検出する熱流センサを含み、
前記熱流センサは、前記砥石車及び前記工作物の少なくとも一方の外周表面において前記研削点とは異なる所定位置に対向して配置され、前記所定位置から前記熱流センサに向かう方向である前記所定方向の熱流束の大きさを検出する、加工品質予測システム。
【請求項2】
前記加工品質予測システムは、さらに、
前記検出器により検出された前記状態データを説明変数とし、前記工作物に生成される前記加工変質層の有無、前記加工変質層の深さ、前記工作物の表面硬さ、又は、前記工作物の表面の焼け色を表す変質層データを目的変数とし、前記説明変数及び前記目的変数を含む訓練データセットを用いて機械学習を行うことにより学習済みモデルを生成する学習処理装置と、
前記学習処理装置により生成された前記学習済みモデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、
を備え、
前記予測部は、前記学習済みモデルと前記状態データとを用いて前記加工変質層の有無、前記加工変質層の深さ、前記工作物の表面硬さ、又は、前記工作物の表面の焼け色を予測する、請求項1に記載の加工品質予測システム。
【請求項3】
前記予測部は、前記加工変質層の深さ、前記工作物の表面硬さ、又は、前記工作物の表面の焼け色が所定閾値以上であるかを予測する、請求項1又は2に記載の加工品質予測システム。
【請求項4】
前記研削盤本体は、前記研削点より上の位置から前記研削点に向かってクーラントを供給しながら前記研削加工を行い、
前記熱流センサは、前記砥石車及び前記工作物の少なくとも一方の外周表面において前記研削点より上の前記所定位置に対向して配置される、請求項1-3の何れか1項に記載の加工品質予測システム。
【請求項5】
前記砥石車の回転方向は、前記砥石車の外周面が前記研削点である前記砥石車の側方、下端、上端、前記研削点の順に移動する方向であり、
前記熱流センサは、前記砥石車の外周表面において前記研削点より上の前記所定位置に対向して配置される、請求項に記載の加工品質予測システム。
【請求項6】
前記熱流センサは、前記砥石車の外周表面において前記研削点と前記砥石車の上端との間の前記所定位置に対向して配置される、請求項に記載の加工品質予測システム。
【請求項7】
前記工作物の回転方向は、前記工作物の外周面が前記研削点である前記工作物の側方、下端、上端、前記研削点の順に移動する方向であり、
前記熱流センサは、前記工作物の外周表面において前記研削点より上の前記所定位置に対向して配置される、請求項に記載の加工品質予測システム。
【請求項8】
前記学習処理装置は、
前記状態データに関する複数の特徴量を第一説明変数とし、前記加工変質層の有無、前記加工変質層の深さ、前記工作物の表面硬さ、又は、前記工作物の表面の焼け色を表す前記変質層データを第一目的変数とし、前記第一説明変数及び前記第一目的変数を含む第一訓練データセットを用いて機械学習を行うことにより、前記複数の特徴量の中から前記第一目的変数に対する影響度の高い有効特徴量を抽出し、
抽出した前記有効特徴量を第二説明変数とし、前記加工変質層の有無、前記加工変質層の深さ、前記工作物の表面硬さ、又は、前記工作物の表面の焼け色を表す前記変質層データを第二目的変数とし、前記第二説明変数及び前記第二目的変数を含む第二訓練データセットを用いて機械学習を行うことにより、前記学習済みモデルを生成し、
前記予測部は、前記学習済みモデルと前記状態データに関する前記有効特徴量とを用いて前記加工変質層の有無、前記加工変質層の深さ、前記工作物の表面硬さ、又は、前記工作物の表面の焼け色を予測する、請求項2に記載の加工品質予測システム。
【請求項9】
前記検出器は、さらに、
前記砥石車及び前記工作物の少なくとも一方の回転動力データを前記状態データとして検出する回転動力センサと、
前記砥石車と前記工作物との切込方向へ軸移動させるための軸動力データを前記状態データとして検出する軸動力センサと、
前記研削加工により生じる音データを前記状態データとして検出する加工音センサと、
前記砥石車及び前記工作物の少なくとも一方を支持する支持装置に生じる振動データを前記状態データとして検出する振動センサと、
の中の少なくとも1つを備える、請求項1-8の何れか1項に記載の加工品質予測システム。
【請求項10】
前記加工品質予測システムは、さらに、
前記予測部によって、前記加工変質層の有無において前記加工変質層が有ると予測された場合、又は、前記加工変質層の深さ、前記工作物の表面硬さ、若しくは前記工作物の表面の焼け色が所定閾値以上であると予測された場合に、対象の前記工作物を選別、廃棄、詳細検査の何れかを実行させる工作物後処理部を備える、請求項1-9の何れか1項に記載の加工品質予測システム。
【請求項11】
前記加工品質予測システムは、さらに、
前記予測部によって、前記加工変質層の有無において前記加工変質層が有ると予測された場合、又は、前記加工変質層の深さ、前記工作物の表面硬さ、若しくは前記工作物の表面の焼け色が所定閾値以上であると予測された場合に、研削加工条件を変更する、又は、前記砥石車のツルーイングを実行させる改善処理部を備える、請求項1-10の何れか1項に記載の加工品質予測システム。
【請求項12】
前記学習処理装置は、前記加工変質層の有無、前記加工変質層の深さ、前記工作物の表面硬さ、又は、前記工作物の表面の焼け色に加えて、前記工作物に生じるびびり状態データ、真円度データ及び表面粗さデータの少なくとも1つを前記目的変数として、前記学習済みモデルを生成し、
前記予測部は、前記学習済みモデルと前記状態データとを用いて、前記加工変質層の有無、前記加工変質層の深さ、前記工作物の表面硬さ、又は、前記工作物の表面の焼け色を予測し、且つ、前記工作物に生じるびびり状態、真円度及び表面粗さの少なくとも1つを予測する、請求項2に記載の加工品質予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工品質予測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
砥石車による工作物の研削加工において、工作物の研削品質が所定条件を満たすようにすることが求められる。例えば、工作物に加工変質層が生じないようにすること、工作物の表面性状(例えば表面粗さ)が所定値以内であること、工作物にびびり模様が生じないようにすること等が求められる。
【0003】
作業者が、研削加工後の工作物を検査して、研削品質が所定条件を満たすか否かを確認し、所定条件を満たす場合の工作物が良品と判定される。ここで、特許文献1には、研削加工を行っている際に測定した研削負荷に基づいて、工作物に加工変質層が生じているか否かを判定することが記載されている。
【0004】
また、砥石車による工作物の研削加工において、砥石車の切れ味を維持するために、砥石車の表面のツルーイング(ドレッシングを含む意味で用いる)が行われる。砥石車の切れ味が低下すると、工作物の品質が低下するおそれがある。そこで、ツルーイングは、研削した工作物の数が所定数に達した度に行われており、工作物の品質が低下しないように所定数が決定されている。しかし、作業者によって決定されるため、切れ味が低下したにも関わらず、研削が継続して行われるおそれがあり、工作物の品質の低下のおそれがあった。
【0005】
そこで、特許文献2には、主軸ヘッドに取り付けられた振動検出器によって主軸ヘッドの振動を検出し、主軸の振幅が工作物の研削面の研削精度に応じて予め設定された設定値に達した後に、研削作業を停止して砥石車のドレッシングを行うことが記載されている。
【0006】
ところで、近年コンピュータの処理速度の向上に伴い、人工知能が急速に発展しており、例えば、特許文献3には、機械学習により、レーザ加工条件データを生成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-129028号公報
【文献】特開2002-307304号公報
【文献】特開2017-164801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
工作物に加工変質層が生成されるのは、研削加工による研削点温度が高いことが原因である。ここで、研削負荷が高いほど、研削点温度が高くなることが知られている。しかし、研削負荷が高い場合の他に、例えば、クーラントの冷却能力が低い場合等にも、研削点温度が高くなる。そのため、研削負荷のみでは、加工変質層の状態を高精度に把握することができない。
【0009】
研削点温度を測定する手段として、研削点温度をサーモグラフィ等の非接触温度測定器を用いることが考えられる。しかし、研削加工はクーラントを供給しながら行うことが一般的であり、温度測定器では研削点付近を流通しているクーラントの温度を測定することしかできず、研削点温度を測定することは容易ではない。結果として、当該温度測定器を用いたのでは、加工変質層の状態を把握することができない。
【0010】
本発明は、工作物に生成された加工変質層の状態をより高精度に予測することができる加工品質予測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
加工品質予測システムは、工作物及び砥石車を回転させながら、前記砥石車により前記工作物の研削加工を行う研削盤本体と、前記工作物の研削加工中に前記研削盤本体における観測可能な状態データを検出する検出器と、前記検出器により検出された前記状態データを用いて、前記砥石車と前記工作物とが接触する研削点の温度が高くなることによって前記工作物に生成される加工変質層の有無、前記加工変質層の深さ、前記工作物の表面硬さ、又は、前記工作物の表面の焼け色を予測する予測部とを備える。そして、前記検出器は、所定方向の熱流束の大きさである熱流データを前記状態データとして検出する熱流センサを含み、前記熱流センサは、前記砥石車及び前記工作物の少なくとも一方の外周表面において前記研削点とは異なる所定位置に対向して配置され、前記所定位置から前記熱流センサに向かう方向である前記所定方向の熱流束の大きさを検出する
【0012】
ここで、研削加工により研削点に生じた熱は、工作物、砥石車、切粉、クーラントに伝達される。そして、熱流センサは、砥石車及び工作物の少なくとも一方の表面において研削点とは異なる位置からの放熱データを検出する。つまり、熱流センサは、研削点の温度を直接検出してはいない。しかし、研削点に生じた熱が工作物及び砥石車に伝達されているため、工作物及び砥石車の表面は、研削点とは異なる位置であっても、熱が残っている。従って、熱流センサは、砥石車及び工作物の少なくとも一方の表面において研削点とは異なる位置であっても、研削点に生じた熱に相当する放熱データを検出することができる。その結果、熱流センサにより検出された放熱データを用いることにより、加工変質層の状態を高精度に予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】加工品質予測システムの構成を示す図である。
図2】研削盤を示す平面図である。
図3】砥石車、工作物、熱流センサの配置を示す図であって、砥石車及び工作物の軸方向から見た拡大図である。
図4】加工品質予測システムの機能ブロック構成を示す図である。
図5】状態データの種類、予測対象の種類、学習済みモデルの関係を示す図である。
図6】状態データの種類に応じた加工変質層の状態への影響度を示す図である。
図7】熱流センサによる放熱データ、砥石車の支持軸に生じる振動データを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1.加工品質予測システム1の構成)
加工品質予測システム1のハードウェア構成について、図1を参照して説明する。加工品質予測システム1は、少なくとも1台の研削盤10と、1つの演算装置20とを備える。研削盤10は、1台を対象としてもよいし、複数台を対象としてもよい。本例では、加工品質予測システム1は、1台の研削盤10を備える場合を例にあげる。本例では、加工品質予測システム1は、さらに、表示装置30を備える。
【0015】
研削盤10は、少なくとも、砥石車Tを用いて工作物Wの研削加工を行う研削盤本体11と、制御装置12、検出器13、インターフェース14とを備える。研削盤本体11は、砥石車Tを有し、工作物Wを支持し、砥石車Tと工作物Wとを相対的に移動させる構成を有する。研削盤本体11は、砥石車Tにより工作物Wの研削加工を行う。
【0016】
制御装置12は、研削盤本体11の制御を行う。制御装置12は、CNC装置及びPLC装置等を含む。検出器13は、工作物Wの研削加工中に研削盤本体11における観測可能な状態データを検出する。検出器13は、少なくとも熱流センサを含む。インターフェース14は、研削盤本体11、制御装置12及び検出器13と、外部と通信可能とする機器である。
【0017】
演算装置20は、検出器13により検出された状態データを用いて、機械学習を適用することにより、工作物Wの加工品質を予測する。特に、演算装置20は、工作物Wの加工品質として、加工変質層の状態を予測する。さらに、演算装置20は、工作物Wの加工品質として、びびり状態、真円度及び表面粗さを予測することもできる。
【0018】
演算装置20は、研削盤10に近接した位置に配置されており、いわゆるエッジコンピュータとして機能する。演算装置20は、プロセッサ21、記憶装置22、インターフェース23等を備えて構成される。演算装置20は、研削盤10に通信可能に接続されている。
【0019】
(2.研削盤10の例)
研削盤10の一例として、円筒研削盤について、図2を参照して説明する。研削盤10は、工作物Wの研削加工を行うための工作機械である。研削盤10は、円筒研削盤、カム研削盤等、種々の構成の研削盤を適用できる。本例では、研削盤10は、砥石台トラバース型の円筒研削盤を例にあげる。ただし、研削盤10は、テーブルトラバース型を適用することもできる。
【0020】
研削盤10は、研削盤本体11と、制御装置12、検出器13、インターフェース14(図1に示す)とを備える。研削盤本体11は、主として、ベッド41、主軸台42、心押台43、トラバースベース44、砥石台45、砥石車T、定寸装置46、砥石車修正装置47、クーラントノズル48を備える。
【0021】
ベッド41は、設置面上に固定されている。主軸台42は、ベッド41の上面において、X軸方向の手前側(図2の下側)且つZ軸方向の一端側(図2の左側)に設けられている。主軸台42は、工作物WをZ軸回りに回転可能に支持する。工作物Wは、主軸台42に設けられたモータ42aの駆動により回転される。心押台43は、ベッド41の上面において、主軸台42に対してZ軸方向に対向する位置、すなわち、X軸方向の手前側(図2の下側)且つZ軸方向の他端側(図2の右側)に設けられている。つまり、主軸台42及び心押台43が、工作物Wを回転可能に両端支持する。
【0022】
トラバースベース44は、ベッド41の上面において、Z軸方向に移動可能に設けられている。トラバースベース44は、ベッド41に設けられたモータ44aの駆動により移動する。砥石台45は、トラバースベース44の上面において、X軸方向に移動可能に設けられている。砥石台45は、トラバースベース44に設けられたモータ45aの駆動により移動する。砥石車Tは、砥石台45に回転可能に支持されている。砥石車Tは、砥石台45に設けられたモータ45bの駆動により回転する。砥石車Tは、複数の砥粒をボンド材により固定されて構成されている。
【0023】
定寸装置46は、工作物Wの寸法(径)を測定する。砥石車修正装置47は、砥石車Tの形状を修正する。砥石車修正装置47は、砥石車Tのツルーイング(ドレッシングを含む)を行う装置である。さらに、砥石車修正装置47は、砥石車Tの寸法(径)を測定する機能も有する。
【0024】
ここで、ツルーイングは、形直し作業であり、研削によって砥石車Tが摩耗した場合に工作物Wの形状に合わせて砥石車Tを成形する作業、片摩耗によって砥石車Tの振れを取り除く作業等である。ドレッシングは、目直し(目立て)作業であり、砥粒の突き出し量を調整したり、砥粒の切れ刃を創成したりする作業である。ドレッシングは、目つぶれ、目詰まり、目こぼれ等を修正する作業であって、通常ツルーイング後に行われる。ただし、ツルーイングとドレッシングは、特段区別することなく実施される場合もあるため、本明細書においてはツルーイングと称し、ドレッシングを含む意味で用いる。
【0025】
クーラントノズル48は、砥石台45のうち砥石車Tの近傍に設けられている。クーラントノズル48は、砥石車Tによる工作物Wの研削点にクーラントを供給する。クーラントノズル48から研削点に供給されたクーラントは、回収され、所定温度に冷却されて、再度クーラントノズル48から研削点に供給される。
【0026】
制御装置12は、工作物Wの形状、加工条件、砥石車Tの形状、クーラントの供給タイミング情報等の動作指令データに基づいて生成されたNCプログラムに基づいて、各駆動装置を制御する。すなわち、制御装置12は、動作指令データを入力し、動作指令データに基づいてNCプログラムを生成し、NCプログラムに基づいて各モータ42a,44a,45a,45b及びクーラント装置(図示せず)等を制御することにより工作物Wの研削加工を行う。特に、制御装置12は、定寸装置46により測定される工作物Wの外径に基づいて、工作物Wが仕上げ形状となるまで研削を行う。また、制御装置12は、砥石車Tを修正するタイミングにおいて、各モータ44a,45a,45b、及び、砥石車修正装置47等を制御することにより、砥石車Tの修正(ツルーイング及びドレッシング)を行う。
【0027】
また、研削盤10は、工作物Wの研削加工中に研削盤本体11における観測可能な状態データを検出する複数の検出器13a-13gを備える。ただし、研削盤10は、複数の検出器13a-13gのうち、少なくとも熱流センサである検出器13dを備えていればよい。
【0028】
検出器13aは、工作物Wを回転駆動するモータ42aの回転動力データを状態データとして検出する回転動力センサである。検出器13bは、砥石台45をX軸方向に移動させるための軸動力データを状態データとして検出する軸動力センサである。検出器13cは、砥石車Tを回転駆動するモータ45bの回転動力データを状態データとして検出する回転動力センサである。
【0029】
検出器13dは、砥石車T及び工作物Wの少なくとも一方の表面において研削点とは異なる位置からの放熱データを状態データとして検出する熱流センサである。本例では、熱流センサとしての検出器13dは、砥石車Tの表面に対向して配置されており、砥石車Tの表面からの放熱データを検出する場合を例にあげる。ここで、熱流センサは、熱流束の大きさ、及び、熱流の方向を検出できる。放熱データは、熱流束の大きさに相当する値である。そして、砥石車Tの表面が高温である場合には、砥石車Tの表面から放熱されているため、熱流センサとしての検出器13dは、砥石車Tから放熱される熱流束の大きさ(放熱データ)を検出できる。なお、ここでの熱流の方向は、砥石車Tの表面から検出器13dに向かう方向のみを対象とする。
【0030】
検出器13eは、砥石車Tを支持する支持軸(支持装置)に生じる振動データを状態データとして検出する振動センサである。検出器13fは、工作物Wを支持する主軸台42の主軸(支持装置)又は心押台43の心押軸(支持装置)に生じる振動データを状態データとして検出する振動センサである。検出器13e,13fとしての振動センサは、加速度センサ、AE(アコースティックエミッション)センサ等を用いることができる。検出器13gは、研削加工により生じる音データを状態データとして検出する加工音センサである。検出器13gとしての加工音センサは、加工エリア内であれば任意の位置に配置できる。
【0031】
(3.熱流センサ13dの位置)
熱流センサ13dの位置について、図3を参照して説明する。本例では、熱流センサ13dは、砥石車Tの表面に対向して配置されており、砥石車Tの表面からの放熱データを検出する。
【0032】
図3において、砥石車Tは、時計回りに回転し、工作物Wは、反時計回りに回転する場合を例にあげる。砥石車Tの側面と工作物Wの側面とが接触する研削点Paを構成する。砥石車Tにおいて、Paが研削点、Pbが下端、Pcが上端である。つまり、本例では、砥石車Tの回転方向は、砥石車Tの外周表面の所定位置が研削点Pa(工作物W側の側方位置)、下端Pb、上端Pc、研削点Paの順に移動する方向となる。また、工作物Wにおいて、Paが研削点、Pdが下端、Peが上端である。つまり、本例では、工作物Wの回転方向は、工作物Wの外周表面の所定位置が研削点Pa(砥石車T側の側方位置)、下端Pd、上端Pe、研削点Paの順に移動する方向となる。
【0033】
また、クーラントノズル48は、砥石車Tによる工作物Wの研削点Paにクーラントを供給する。特に、図3に示すように、クーラントノズル48が、研削点Paより上の位置から研削点Paに向かってクーラントを供給しながら、砥石車Tにより工作物Wの研削加工が行われる。
【0034】
熱流センサ13dは、砥石車Tの外周表面において研削点Paとは異なる位置に対向して配置されている。詳細には、熱流センサ13dは、砥石車Tの外周表面において研削点Paより上の位置に対向して配置されている。従って、熱流センサ13dが対向する砥石車Tの位置は、クーラントが直接かかりにくい位置となる。その結果、熱流センサ13dは、クーラントの影響が少ないため、砥石車Tの表面の放熱データを検出できる。
【0035】
さらに、上記のように配置されることで、熱流センサ13dは、砥石車Tの回転方向において、研削点Paから180°以上ずれた位置に位置する。従って、砥石車Tの研削点Pa付近にクーラントがかけられた後に、クーラントは、砥石車Tの回転に伴う遠心力によって砥石車Tの表面から離散される。従って、熱流センサ13dが対向する砥石車Tの表面には、クーラントが付着している量が少なくなる。その結果、熱流センサ13dは、よりクーラントの影響が少なくなるため、砥石車Tの表面の放熱データをより高精度に検出できる。
【0036】
特に、熱流センサ13dは、砥石車Tの外周表面において研削点Paと砥石車Tの上端Pcとの間の位置に対向して配置されている。砥石車Tが上述した回転方向である場合に、熱流センサ13dを当該位置に配置することで、砥石車Tの回転に伴う遠心力によってクーラントをより効果的に離散させることができる。従って、熱流センサ13dは、さらにクーラントの影響が少なくなり、砥石車Tの表面の放熱データをさらに高精度に検出することができる。
【0037】
ここで、上記においては、熱流センサ13dを砥石車Tの表面に対向する位置に配置した。この他に、熱流センサ13dは、工作物Wの表面に対向する位置に配置し、工作物Wの表面からの放熱データを検出するようにしてもよい。ただし、工作物Wの外径が小さい場合には、工作物Wの表面全周に亘ってクーラントが付着している可能性があるため、高精度に工作物Wからの放熱データを検出することができない場合がある。一方、砥石車Tは、一般に大径であるため、仮に工作物Wの外径が小さい場合には、熱流センサ13dは、上記のように砥石車Tの表面に対向する位置に配置するのがよい。
【0038】
熱流センサ13dを工作物Wの表面に対向する位置に配置する場合には、実質的に、上述した砥石車Tに対する位置と同様の位置に配置するとよい。熱流センサ13dは、工作物Wの外周表面において研削点Paより上の位置に対向して配置されるとよい。特に、熱流センサ13dは、工作物Wの外周表面において研削点Paと工作物Wの上端Peとの間の位置に対向して配置されるとよい。
【0039】
(4.加工品質予測システム1の機能ブロック構成)
加工品質予測システム1の機能ブロック構成について、図4を参照して説明する。加工品質予測システム1は、複数の検出器13a-13g、演算装置20、表示装置30を備える。検出器13a-13gは、上述したように、工作物Wの研削加工中に研削盤本体11における観測可能な状態データを検出する。
【0040】
また、加工品質予測システム1は、加工品質検査装置50をさらに備える例をあげる。加工品質検査装置50は、目的の加工品質を検査するための装置であって、研削盤10とは別の装置としてもよいし、研削盤10の組み込み装置としてもよい。
【0041】
演算装置20は、学習処理装置60と予測演算装置70とを備える。学習処理装置60は、機械学習を行うことにより学習済みモデルを生成する処理を行う。つまり、学習処理装置60は、機械学習における学習フェーズとして機能する。予測演算装置70は、学習済みモデルを用いて、加工品質を予測する演算処理を行う。つまり、予測演算装置70は、機械学習における推論フェーズとして機能する。なお、学習処理装置60と予測演算装置70は、独立した装置を構成してもよいし、1つの装置を構成してもよい。
【0042】
学習処理装置60は、検出器13a-13gにより検出された状態データ、及び、加工品質検査装置50により得られた加工品質に基づいて、工作物Wの加工品質を予測するための学習済みモデルを生成する。学習処理装置60は、訓練データセット取得部61、訓練データセット記憶部62、モデル生成部63、及び、有効特徴量抽出部64を備える。
【0043】
訓練データセット取得部61は、機械学習を行うための訓練データセットを取得する。ここで、訓練データセット取得部61は、状態データ取得部61a、特徴量算出部61b、加工品質データ取得部61cを備える。状態データ取得部61aは、工作物Wの研削加工中において、検出器13a-13gのそれぞれにより検出された状態データを取得する。
【0044】
特徴量算出部61bは、状態データ取得部61aにて取得された状態データについての複数の特徴量を算出する。ここで、特徴量は、状態データにおける種々の統計量を用いる。例えば、特徴量は、状態データにおける最大値、最小値、平均値、分散、標準偏差、歪度、尖度、中央値等である。また、特徴量は、状態データを微分したデータに対する統計量、状態データの周波数解析を行ったデータに対する統計量等を含めてもよい。特徴量算出部61bは、上記の全ての特徴量を算出してもよいし、一部の特徴量を算出してもよい。
【0045】
例えば、特徴量の種類として、元データ、微分データ、周波数解析データの3種に対して、8種類の統計量を適用する場合には、24種類の特徴量となる。そして、7種類の検出器13a-13gのそれぞれに対して、24種類の特徴量を算出する場合には、全部で168種類の特徴量となる。
【0046】
加工品質データ取得部61cは、加工品質検査装置50により取得された加工品質データを、対象の工作物Wに関連付けて取得する。加工品質データは、少なくとも、工作物Wに生じる加工変質層の状態を表す変質層データを含み、工作物Wに生じるびびり状態データ、真円度データ、表面粗さデータの少なくとも1つを含む。
【0047】
つまり、訓練データセット取得部61は、複数の状態データのそれぞれに対する複数の特徴量を説明変数とし、加工品質データを目的変数として、説明変数及び目的変数を含む訓練データセットを取得する。訓練データセット記憶部62は、訓練データセット取得部61によって取得した訓練データセットを記憶する。
【0048】
モデル生成部63は、訓練データセット記憶部62に記憶された訓練データセットを用いて機械学習を行う。具体的には、モデル生成部63は、複数の状態データのそれぞれに対する複数の特徴量(例えば、168種類の特徴量)を第一説明変数とし、加工品質データを第一目的変数とした機械学習を行う。つまり、モデル生成部63は、第一説明変数及び第一目的変数を第一訓練データセットとする機械学習を行う。そして、モデル生成部63は、加工品質を予測するための第一学習済みモデルを生成する。ここで、第一学習済みモデルは、加工品質の種類に応じた数分だけ生成される。従って、複数の第一学習済みモデルは、加工品質としての加工変質層の状態、びびり状態、真円度、表面粗さのそれぞれに対応する。
【0049】
機械学習の手法は、回帰を用いるとよい。例えば、決定木、線形回帰、リッジ回帰、Lasso回帰、エラスティックネット、ランダムフォレスト等が有用である。特に、これらの手法を用いることによって、複数の特徴量についての影響度を把握することができる。なお、機械学習の手法としては、回帰以外にも適用可能である。
【0050】
有効特徴量抽出部64は、上記の機械学習を行うことによって、複数の特徴量の中から第一目的変数に対する影響度の高い有効特徴量を抽出する。有効特徴量は、1つに限るものではなく、複数抽出するとよい。加工変質層の状態を目的変数とする場合、熱流センサ13dによる放熱データの影響度が高いことが確認された。そこで、加工変質層の状態を目的変数とする場合には、放熱データを有効特徴量とすることが好ましい。さらに、放熱データに関する複数の特徴量の中で、影響度の高い複数の特徴量を有効特徴量とするとよい。また、有効特徴量抽出部64は、びびり状態、真円度、表面粗さのそれぞれについても、有効特徴量を抽出する。
【0051】
そして、有効特徴量抽出部64により複数の有効特徴量が抽出された後において、モデル生成部63は、再び機械学習を行う。具体的には、モデル生成部63は、訓練データセット記憶部62に記憶されている複数の特徴量の中から複数の有効特徴量を第二説明変数とし、当該有効特徴量に対応する加工品質データを第二目的変数とした機械学習を行う。つまり、モデル生成部63は、第二説明変数及び第二目的変数を第二訓練データセットとする機械学習を行う。そして、モデル生成部63は、加工品質を予測するための第二学習済みモデルを生成する。ここで、第二学習済みモデルは、加工品質の種類に応じた数分だけ生成される。ここで生成された第二学習済みモデルは、最初に生成された第一学習済みモデルとは異なるモデルとなっている。
【0052】
予測演算装置70は、研削加工中において検出された状態データに基づいて、工作物Wの加工品質を予測する。予測演算装置70は、モデル記憶部71、予測用データ取得部72、予測部73、表示出力部74、工作物後処理部75、改善処理部76を備える。
【0053】
モデル記憶部71は、モデル生成部63が生成した複数の第二学習済みモデルを記憶する。モデル記憶部71は、複数の加工品質のそれぞれに対応する複数の第二学習済みモデルを記憶する。
【0054】
予測用データ取得部72は、研削加工中において予測用データを取得する。予測用データ取得部72は、状態データ取得部72a、有効特徴量算出部72bを備える。状態データ取得部72aは、研削加工中に、複数の検出器13a-13gにより検出された状態データを取得する。
【0055】
有効特徴量算出部72bは、検出された複数の状態データに基づいて、加工品質の種類に応じた1又は複数の有効特徴量を算出する。例えば、加工変質層の状態を予測する場合においては、有効特徴量算出部72bは、少なくとも熱流センサ13dにより検出された放熱データに関する特徴量を有効特徴量とする。
【0056】
予測部73は、モデル記憶部71に記憶された第二学習済みモデルと、予測用データ取得部72にて取得したデータとに基づいて、対応する加工品質を予測する。例えば、予測部73は、加工変質層の状態に対応する第二学習済みモデルと、検出器13a-13gにより検出された状態データに関する特徴量のうち、有効特徴量算出部72bにおいて加工変質層の状態に対応する有効特徴量とに基づいて、加工変質層の状態を予測する。
【0057】
ここで、予測部73は、加工変質層の有無を予測するようにしてもよい。また、予測部73は、加工変質層の生成度合が所定閾値以上であるかを予測するようにしてもよい。加工変質層の生成度合とは、加工変質層の生成温度に対応する程度に相当し、例えば、工作物Wの表面硬さ、工作物Wの表面の焼け色、加工変質層の深さ等に対応する指標である。また、予測部73は、加工変質層の生成度合を予測するようにしてもよい。
【0058】
表示出力部74は、予測された加工品質を、表示装置30に出力する。工作物後処理部75は、予測部73により予測された加工品質(加工変質層の状態等)が所定状態(悪い状態)である場合に、後処理装置80に対して、対象の工作物Wを選別、廃棄、詳細検査の何れかを実行させる。
【0059】
改善処理部76は、予測部73により予測された加工品質(加工変質層の状態等)が所定状態(悪い状態)である場合に、制御装置12に対して、研削加工条件を変更する、又は、砥石車Tのツルーイングを実行させる。研削加工条件の変更は、例えば、粗研削の送り速度(切込方向の速度)を遅くしたり、仕上げ研削(精研削、微研削)による取り代を多くしたりする。特に、改善処理部76は、予測した加工変質層の深さに応じて、研削条件を変更するとよい。その際に、サイクルタイムを考慮した上で、粗研削の送り速度を遅くすることと、仕上げ研削による取り代を多くすることを、予測した加工変質層の深さに応じて決定するとよい。
【0060】
(5.状態データの種類、予測対象の種類、学習済みモデルの関係)
検出器13a-13gにより検出された状態データ、予測対象の種類、学習済みモデルの関係について、図5を参照して説明する。図5に示すように、機械学習における説明変数(推論フェーズにおける入力データ)を、検出器13a-13gにより検出される回転動力データ、軸動力データ、回転動力データ、放熱データ、振動データ、振動データ、音データとする。
【0061】
機械学習における目的変数(推論フェーズにおける出力データ)を、加工変質層の状態データとした場合において、学習済みモデルAが適用される。機械学習における目的変数をびびり状態データとした場合において、学習済みモデルBが適用される。機械学習における目的変数を真円度データとした場合において、学習済みモデルCが適用される。機械学習における目的変数を表面粗さデータとした場合において、学習済みモデルDが適用される。
【0062】
(6.状態データの種類に応じた加工変質層の状態への影響度)
次に、状態データの種類に応じた加工変質層の状態への影響度について、図6を参照して説明する。図6は、各検出器13a-13gにより検出された状態データが、加工変質層に与える影響度を示す。
【0063】
図6に示すように、加工変質層は、熱流センサ13dにより検出された放熱データが最も影響度が大きいことが分かる。このことから、加工変質層の状態を予測するためには、放熱データを用いることが有効であると言える。
【0064】
(7.放熱データの挙動)
次に、研削加工中における放熱データの挙動について図7を参照して参照する。図7においては、砥石車Tを支持する支持軸に生じる振動データを合わせて図示する。
【0065】
振動データは、研削加工を開始したと同時に高い値を示し、研削加工を終了したと同時に低い値を示す。さらに、放熱データについても、振動データと同様に、研削加工を開始したと同時に高い値を示し、研削加工を終了したと同時に低い値を示す。このように、放熱データは、研削加工への追従性が非常に良好であることが分かる。このことから、放熱データが、研削加工により生じる熱に影響を受けていることが分かる。そして、この追従性の良好さが、加工変質層の状態の予測精度を向上させていると考えられる。
【0066】
(8.効果)
研削加工により研削点に生じた熱は、工作物、砥石車、切粉、クーラントに伝達される。そして、熱流センサ13dは、砥石車T及び工作物Wの少なくとも一方の表面において研削点Paとは異なる位置からの放熱データを検出する。つまり、熱流センサ13dは、研削点Paの温度を直接検出してはいない。しかし、研削点Paに生じた熱が工作物W及び砥石車Tに伝達されているため、工作物W及び砥石車Tの表面は、研削点Paとは異なる位置であっても、熱が残っている。従って、熱流センサ13dは、砥石車T及び工作物Wの少なくとも一方の表面において研削点Paとは異なる位置であっても、研削点Paに生じた熱に相当する放熱データを検出することができる。その結果、熱流センサ13dにより検出された放熱データを用いることにより、加工変質層の状態を高精度に予測することができる。
【符号の説明】
【0067】
1:加工品質予測システム、10:研削盤、11:研削盤本体、12:制御装置、13、13a-13g:検出器、20:演算装置、30:表示装置、45:砥石台、48:クーラントノズル、50:加工品質検査装置、60:学習処理装置、61:訓練データセット取得部、61a:状態データ取得部、61b:特徴量算出部、61c:加工品質データ取得部、62:訓練データセット記憶部、63:モデル生成部、64:有効特徴量抽出部、70:予測演算装置、71:モデル記憶部、72:予測用データ取得部、72a:状態データ取得部、72b:有効特徴量算出部、73:予測部、75:工作物後処理部、76:改善処理部、Pa:研削点、Pb:砥石車の下端、Pc:砥石車の上端、Pd:工作物の下端、Pe:工作物の上端、T:砥石車、W:工作物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7