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特許7451962配車システム、配車方法、及び配車プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】配車システム、配車方法、及び配車プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20240312BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240312BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q50/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019212940
(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2021086250
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 功
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-158830(JP,A)
【文献】特開2015-122108(JP,A)
【文献】特開2018-049408(JP,A)
【文献】特開2017-068750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00- 1/87
G06Q 10/00-10/30、30/00-30/08、
50/00-50/20、50/26-99/00
G08G 1/00-99/00
G16Z 99/00
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割エリアに区切られる営業エリアにおいて、前記分割エリアごとに所定台数配属される車両と、
前記営業エリアの複数の前記分割エリアのうち第1分割エリア内の配車位置への配車要求が発生した場合、前記第1分割エリアに配属される前記車両を前記配車位置に配車する第1配車モード、又は、前記配車位置に最も近い位置に存在する前記車両を前記配車位置に配車する第2配車モードを行う配車指示部と、
前記第2配車モードにおいて前記第1分割エリアとは異なる第2分割エリアに配属される前記車両が前記配車位置に配車された場合に、前記第1分割エリアと前記第2分割エリアとの間で、前記第1分割エリアに配属される前記車両の単位広さあたりの台数が相対的に減少し、かつ、前記第2分割エリアに配属される前記車両の単位広さあたりの台数が相対的に増加するように調整を行う調整部と
を備える配車システム。
【請求項2】
複数の前記分割エリアは、境界位置が変更可能であり、
前記調整部は、前記第1分割エリアと前記第2分割エリアとの間で、前記第1分割エリアが相対的に拡大され、前記第2分割エリアが相対的に縮小されるように前記境界位置を変更する
請求項1に記載の配車システム。
【請求項3】
変更後の前記境界位置の候補を複数記憶する記憶部を備え、
前記調整部は、複数の前記候補の中から一の前記候補を選択することで、変更後の前記境界位置を設定する
請求項2に記載の配車システム。
【請求項4】
前記調整部は、前記第1分割エリアと前記第2分割エリアとの間で、前記第1分割エリアに配属される前記車両の台数を相対的に減少させ、前記第2分割エリアに配属される前記車両の台数を相対的に増加させる
請求項1に記載の配車システム。
【請求項5】
前記調整部は、前記第1分割エリアとは異なる第2分割エリアに配属される前記車両が前記配車位置に配車される前記第2配車モードが行われた回数に応じて、前記境界位置の変更量を設定する
請求項2又は請求項3に記載の配車システム。
【請求項6】
コンピュータが実行する配車方法であって、
複数の分割エリアに区切られ、前記分割エリアごとに所定台数の車両が配属される営業エリアにおいて、複数の前記分割エリアのうち第1分割エリア内の配車位置への配車要求が発生した場合、記第1分割エリアに配属される前記車両を前記配車位置に配車する第1配車モード、又は、前記配車位置に最も近い位置に存在する前記車両を前記配車位置に配車する第2配車モードを行うことと、
前記第2配車モードにおいて前記第1分割エリアとは異なる第2分割エリアに配属される前記車両が前記配車位置に配車された場合に、前記第1分割エリアと前記第2分割エリアとの間で、前記第1分割エリアに配属される前記車両の単位広さあたりの台数を相対的に減少させ、かつ、前記第2分割エリアに配属される前記車両の単位広さあたりの台数を相対的に増加させることと
を含む配車方法。
【請求項7】
複数の分割エリアに区切られ、前記分割エリアごとに所定台数の車両が配属される営業エリアにおいて、複数の前記分割エリアのうち第1分割エリア内の配車位置への配車要求が発生した場合、前記第1分割エリアに配属される前記車両を前記配車位置に配車する第1配車モードを行う処理と、
前記営業エリアにおいて、前記第1分割エリア内の配車位置への配車要求が発生した場合、前記配車位置に最も近い位置に存在する前記車両を前記配車位置に配車する第2配車モードを行う処理と、
前記第2配車モードにおいて前記第1分割エリアとは異なる第2分割エリアに配属される前記車両が前記配車位置に配車された場合に、前記第1分割エリアと前記第2分割エリアとの間で、前記第1分割エリアに配属される前記車両の単位広さあたりの台数を相対的に減少させ、かつ、前記第2分割エリアに配属される前記車両の単位広さあたりの台数を相対的に増加させる処理と
をコンピュータに実行させる配車プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車システム、配車方法、及び配車プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)を搭載するタクシーなどの業務用の車両の位置情報および動態情報を取得して管理することにより、当該車両を顧客の指定位置に配車することが可能な配車システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の配車システムでは、営業エリアを複数の分割エリアに分割し、車両毎に所属する分割エリアを設定し、所属する分割エリア内に空車状態の車両を走行させる。この状態で、利用者から電話により配車センターへ配車要求があった場合、配車位置と同じ分割エリアに属する車両を配車する。
【0004】
また、特許文献2に記載の配車システムでは、GPS機能を有する携帯端末からの配車要求があった場合、配車位置の位置情報をGPSを用いて検出し、営業エリア全域に存在する車両を選別し、配車位置に最も近い車両を配車する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-158830号公報
【文献】特開2011-248848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、特許文献1に記載の配車システムと、特許文献2に記載の配車システムとを並行して運用する配車システムが提案されている。この配車システムでは、車両の乗務員に割り当てられた分割エリア間の配車数の公平性が損なわれてしまうという課題がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、分割エリア間の配車数の公平性が損なわれることを抑制できる配車システム、配車方法、及び配車プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る配車システムは、複数の分割エリアに区切られる営業エリアにおいて、前記分割エリアごとに所定台数配属される車両と、前記営業エリアの複数の前記分割エリアのうち第1分割エリア内の配車位置への配車要求が発生した場合、前記第1分割エリアに配属される空車状態の前記車両を前記配車位置に配車する第1配車モード、又は、前記配車位置に最も近い位置に存在する空車状態の前記車両を前記配車位置に配車する第2配車モードを行う配車指示部と、前記第2配車モードにおいて前記第1分割エリアとは異なる第2分割エリアに配属される前記車両が前記配車位置に配車された場合に、前記第1分割エリアと前記第2分割エリアとの間で、前記第1分割エリアに配属される前記車両の単位広さあたりの台数が相対的に減少し、かつ、前記第2分割エリアに配属される前記車両の単位広さあたりの台数が相対的に増加するように調整を行う調整部とを備える。
【0009】
本発明に係る配車方法は、複数の分割エリアに区切られ、前記分割エリアごとに所定台数の車両が配属される営業エリアにおいて、複数の前記分割エリアのうち第1分割エリア内の配車位置への配車要求が発生した場合、前記第1分割エリアに配属される空車状態の前記車両を前記配車位置に配車する第1配車モード、又は、前記配車位置に最も近い位置に存在する空車状態の前記車両を前記配車位置に配車する第2配車モードを行うことと、前記第2配車モードにおいて前記第1分割エリアとは異なる第2分割エリアに配属される前記車両が前記配車位置に配車された場合に、前記第1分割エリアと前記第2分割エリアとの間で、前記第1分割エリアに配属される前記車両の単位広さあたりの台数を相対的に減少させ、かつ、前記第2分割エリアに配属される前記車両の単位広さあたりの台数を相対的に増加させることとを含む。
【0010】
本発明に係る配車プログラムは、複数の分割エリアに区切られ、前記分割エリアごとに所定台数の車両が配属される営業エリアにおいて、複数の前記分割エリアのうち第1分割エリア内の配車位置への配車要求が発生した場合、前記第1分割エリアに配属される空車状態の前記車両を前記配車位置に配車する第1配車モード、又は、前記配車位置に最も近い位置に存在する空車状態の前記車両を前記配車位置に配車する第2配車モードを行う処理と、前記第2配車モードにおいて前記第1分割エリアとは異なる第2分割エリアに配属される前記車両が前記配車位置に配車された場合に、前記第1分割エリアと前記第2分割エリアとの間で、前記第1分割エリアに配属される前記車両の単位広さあたりの台数を相対的に減少させ、かつ、前記第2分割エリアに配属される前記車両の単位広さあたりの台数を相対的に増加させる処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、分割エリア間の配車数の公平性が損なわれることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係る配車システムの一例を示す模式図である。
図2図2は、車両の一例を示す機能ブロック図である。
図3図3は、配車サーバの一例を示す機能ブロック図である。
図4図4は、配車システムによる配車の一例を示す図である。
図5図5は、配車システムによる配車の他の例を示す図である。
図6図6は、分割エリアの境界位置を変更した場合の一例を示す図である。
図7図7は、本実施形態に係る配車方法の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、配車システムによる配車の他の例を示す図である。
図9図9は、分割エリアの境界位置を変更した場合の一例を示す図である。
図10図10は、本実施形態に係る配車方法の他の例を示すフローチャートである。
図11図11は、調整部による他の調整の態様を示す図である。
図12図12は、調整部による他の調整の態様を示す図である。
図13図13は、配車方法の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る配車システム、配車方法、及び配車プログラムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
[配車システム]
図1は、本実施形態に係る配車システムSYSの一例を示す模式図である。図1に示すように、配車システムSYSは、車両10と、配車サーバ20と、配車センター30とを備える。車両10は、例えばタクシー等、不特定多数の乗客を対象とした業務用車両である。車両10は、複数の分割エリアAR1、AR2、AR3に区切られる営業エリアARにおいて、分割エリアAR1、AR2、AR3ごとに所定台数配属される。車両10は、GPS衛星60からのGPS信号を受信して、自車の位置情報(地球上での緯度、経度等)を算出可能である。
【0015】
配車サーバ20は、車両10の管理を行う。配車サーバ20は、各車両10の位置情報及び状態情報を収集し、各車両10を管理する。配車サーバ20は、後述する配車センター30からの配車要求又は携帯端末50からの直接的な配車要求があった場合、車両10に対して配車指示を送信する。
【0016】
配車センター30は、電話40による配車要求があった場合、オペレータが配車端末31を操作して、配車サーバ20に対して配車要求を送信する。
【0017】
電話40は、固定電話及び携帯電話を含む。携帯端末50は、スマートフォン及びタブレット型端末を含む。携帯端末50は、GPS信号を受信可能であり、GPS信号に基づいて位置情報を算出可能である。携帯端末50は、配車サーバ20に対して配車要求を行うための配車用アプリケーションがインストールされている。携帯端末50は、当該配車用アプリケーションにより、配車サーバ20に対して直接的に配車要求を行うことが可能である。なお、携帯端末50がスマートフォンである場合、電話40としての機能も有している。
【0018】
図2は、車両10の一例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、車両10は、GPS受信部11と、メーター12と、表示部13と、通信部14と、処理部15とを有する。GPS受信部11は、GPS衛星60からGPS信号を受信する。GPS受信部11は、受信したGPS信号に基づいて、自車の位置情報を算出する。GPS受信部11は、算出した位置情報を処理部15に送信する。
【0019】
メーター12は、車両10の動態情報を表示する。動態情報は、空車状態、実車(又は賃走)状態、支払状態、迎車状態、回送状態、待機状態などの車両10の運行状態を含む。メーター12は、例えば処理部15からの指令及び乗務員の手動入力の少なくとも一方に基づいて動態情報を表示可能である。
【0020】
表示部13は、例えば地図情報、配車位置を含む配車指示の内容等の各種情報を表示可能である。表示部13は、車両10に予め設置された構成であってもよい。表示部13は、ナビゲーションシステム等の他のシステムの表示部と兼用であってもよい。表示部13は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。表示部13は、タッチパネル、ボタン、スイッチ、ダイヤル等の入力部を有してもよい。
【0021】
通信部14は、配車サーバ20との間で無線による通信を行う。通信部14は、配車サーバ20から送信される情報を受信する。通信部14は、処理部15からの情報を配車サーバ20に送信する。通信部14は、配車指示、分割エリアAR1~AR3の境界位置に関する情報等を配車サーバ20から受信する。通信部14は、車両10の位置情報、動態情報等を配車サーバ20に送信する。
【0022】
処理部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置(制御装置)である。処理部15は、記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。処理部15には図示しない内部メモリなどが含まれる。内部メモリは、処理部15の各部を実現させるためのプログラムが記憶されている。この場合、処理部15は、内部メモリなどに記憶されているプログラムを展開して実行することで、各部の機能を実現する。また、内部メモリは、処理部15におけるデータの一時記憶などにも用いられる。
【0023】
本実施形態において、処理部15は、例えば通信部14で配車指示を受信した場合、当該配車指示の内容、例えば利用者の氏名、配車位置、配車位置までの道順等の情報を表示部13に表示する。処理部15は、例えば通信部14で分割エリアAR1、AR2の境界位置に関する情報を受信した場合、当該境界位置を表示部13に表示する。処理部15は、GPS受信部11で算出された位置情報及びメーター12から取得される動態情報を配車サーバ20に送信する。
【0024】
図3は、配車サーバ20の一例を示す機能ブロック図である。図3に示すように、配車サーバ20は、データベース部21及び配車処理部22を有する。データベース部21は、配車システムSYSの運用に関する各種データを記憶及び管理する。データベース部21は、分割エリア情報管理部23と、車両情報管理部24と、利用者情報管理部25とを有する。
【0025】
分割エリア情報管理部(記憶部)23は、分割エリアAR1~AR3に関する情報を記憶及び管理する。分割エリアAR1~AR3に関する情報は、例えば、分割エリアAR1~AR3を識別する識別情報、隣接する分割エリアについての隣接情報、分割エリア同士の境界位置を示す境界位置情報、分割エリアを拡大又は縮小する際に境界位置を移動させる方向を示す移動方向情報等を含む。境界位置は、例えば分割エリア同士の境界線の位置とすることができる。
【0026】
車両情報管理部24は、車両10に関する情報を記憶及び管理する。車両10に関する情報は、例えば、各車両10を区別するための車両識別情報(例えば、車両番号等)、車両10の位置情報、車両10の動態情報、車両10が配属される分割エリアに関する配属情報等を含む。位置情報、動態情報、配属情報については、車両10との通信又は配車処理部22からの指令により、適宜更新される。
【0027】
利用者情報管理部25は、利用者に関する情報を記憶及び管理する。利用者に関する情報は、例えば、利用者の識別情報、利用者の氏名または名称、利用者の連絡先、配車位置の位置情報等を含む。利用者情報管理部25は、配車センター30又は携帯端末50との通信により適宜更新される。携帯端末50から配車要求があった場合の配車位置の位置情報については、例えば携帯端末50によって算出された位置情報としてもよい。
【0028】
配車処理部22は、配車システムSYSの運用に関する各種処理を行う。配車処理部22は、例えば、CPUなどで構成された演算処理装置である。配車処理部22は、記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。配車処理部22には図示しない内部メモリなどが含まれる。内部メモリは、配車処理部22の各部を実現させるためのプログラムが記憶されている。この場合、配車処理部22は、内部メモリなどに記憶されているプログラムを展開して実行することで、各部の機能を実現する。また、内部メモリは、配車処理部22におけるデータの一時記憶などにも用いられる。
【0029】
配車処理部22は、車両検索部26と、配車指示部27と、調整部28とを有する。車両検索部26は、配車端末31からの配車要求があった場合、分割エリア情報管理部23、車両情報管理部24及び利用者情報管理部25を参照し、配車可能な車両10を検索する。この場合、車両検索部26は、例えば、複数の車両10の中から、配車位置が存在する分割エリアに配属される空車状態の車両10を検索する。また、車両検索部26は、携帯端末50からの配車要求があった場合、車両情報管理部24及び利用者情報管理部25を参照し、配車可能な車両10を検索する。この場合、車両検索部26は、例えば、複数の車両10の中から、配車位置に最も近い位置に存在する空車状態の車両10を検索する。
【0030】
配車指示部27は、車両検索部26の検索結果に基づいて、配車位置に車両10を配車する。具体的には、配車指示部27は、配車センター30の配車端末31から配車要求を受信する場合には、配車位置が存在する分割エリアに配属される車両10を配車位置に配車する第1配車モードを行う。また、配車指示部27は、携帯端末50から配車要求を受信する場合には、配車位置に最も近い位置に存在する空車状態の車両10を配車位置に配車する第2配車モードを行う。配車指示部27は、配車する車両10に対して配車指示を送信する。また、配車指示部27は、第2配車モードを行う場合、配車する車両10の識別情報を携帯端末50に送信する。
【0031】
調整部28は、配車位置が存在する分割エリア(以下、第1分割エリアと表記する)とは異なる分割エリア(以下、第2分割エリアと表記する)に配属される車両10が配車位置に配車される第2配車モード(以下、エリア跨ぎ配車モードと表記する)が行われた場合に、第1分割エリアと、第2分割エリアとの間で、第1分割エリアに配属される車両10の単位広さあたりの台数が相対的に減少し、かつ、第2分割エリアに配属される車両10の単位広さあたりの台数が相対的に増加するように調整を行う。本実施形態において、調整部28は、エリア跨ぎ配車モードが行われた場合、第1分割エリアと第2分割エリアとの間で、第1分割エリアが相対的に拡大され、第2分割エリアが相対的に縮小されるように分割エリアの境界位置を変更する。
【0032】
調整部28は、エリア跨ぎ配車モードが行われる度に、境界位置の変更を行ってもよい。また、調整部28は、調整部28は、所定期間にエリア跨ぎモードが行われた回数に応じて、境界位置の変更量を設定してもよい。この場合、調整部28は、例えば所定期間にエリア跨ぎ配車モードが行われた回数が多いほど、境界位置の変更量を大きくする。また、調整部28は、所定期間にエリア跨ぎ配車モードが行われた回数が少ないほど、境界位置の変更量を小さくする。
【0033】
また、調整部28は、第1分割エリアとは異なる第2分割エリアとの間で、第1分割エリアが相対的に拡大され、第2分割エリアが相対的に縮小されるように境界位置が変更された後、第1分割エリアのうち拡大された領域内の配車位置への配車要求が発生し、当該配車要求に対する第1配車モード(以下、拡大エリア配車モード)が行われた場合、第1分割エリアと第2分割エリアとの間で、第1分割エリアが相対的に縮小され、第2分割エリアが相対的に拡大されるように分割エリアの境界位置を変更する。
【0034】
調整部28は、拡大エリア配車モードが行われる度に、境界位置の変更を行ってもよい。また、調整部28は、所定期間に拡大エリア配車モードが行われた回数に応じて、境界位置の変更量を設定してもよい。この場合、調整部28は、例えば所定期間に拡大エリア配車モードが行われた回数が多いほど、境界位置の変更量を大きくする。また、調整部28は、所定期間に拡大エリア配車モードが行われた回数が少ないほど、境界位置の変更量を小さくする。
【0035】
[配車方法]
次に、本実施形態に係る配車方法について説明する。本実施形態に係る配車方法では、上記の配車システムSYSを用いることにより、利用者に車両10を配車する。
【0036】
図4は、配車システムSYSによる配車の一例を示す図である。図4に示すように、例えば分割エリアAR1内の電話41から配車センター30に配車要求(配車位置は電話41の位置とする)があった場合、配車センター30のオペレータは、配車端末31により配車サーバ20に配車要求を送信する。配車サーバ20において配車端末31からの配車要求を受信した場合、車両検索部26は、複数の車両10の中から、配車位置が存在する分割エリアAR1に配属される空車状態の車両10を検索する。例えば、車両検索部26は、配車位置から最も近い車両10aを検索する。配車指示部27は、車両検索部26の検索結果に基づいて、配車位置に車両10aを配車する。この例において、配車指示部27は、配車端末31からの配車要求に対して、配車位置が存在する分割エリアAR1に配属される車両10aを配車する第1配車モードを行うことになる。
【0037】
また、図4に示すように、例えば分割エリアAR2内の電話42から配車センター30に配車要求(配車位置は電話42の位置とする)があった場合、配車センター30のオペレータは、配車端末31により配車サーバ20に配車要求を送信する。配車サーバ20において配車端末31からの配車要求を受信した場合、車両検索部26は、複数の車両10の中から、配車位置が存在する分割エリアAR2に配属される空車状態の車両10を検索する。例えば、車両検索部26は、配車位置から最も近い車両10dを検索する。配車指示部27は、車両検索部26の検索結果に基づいて、配車位置に車両10dを配車する。この例において、配車指示部27は、配車端末31からの配車要求に対して、配車位置が存在する分割エリアAR2に配属される車両10dを配車する第1配車モードを行うことになる。
【0038】
このように、配車指示部27が第1配車モードを行う場合、各分割エリアの車両10は、他の分割エリアの車両10により配車の機会を失することが無いため、調整部28は、分割エリアの境界位置を移動しないようにする。
【0039】
また、図4に示すように、例えば分割エリアAR1内の携帯端末51から配車サーバ20に配車要求(配車位置は携帯端末51の位置とする)があった場合、車両検索部26は、複数の車両10の中から、配車位置に最も近い位置に存在する空車状態の車両10を検索する。例えば、車両検索部26は、配車位置と同一の分割エリアAR1に存在する車両10bを検索する。配車指示部27は、車両検索部26の検索結果に基づいて、配車位置に車両10bを配車する。この例において、配車指示部27は、携帯端末51からの配車要求に対して、配車位置に最も近い車両10bを配車する第2配車モードを行うことになる。
【0040】
このように、配車指示部27が第2配車モードを行う場合において、配車位置と当該配車位置が存在する分割エリアとが同一の場合、各分割エリアの車両10は、他の分割エリアの車両10により配車の機会を失することが無いため、分割エリアの境界位置を移動しないようにする。
【0041】
図5は、配車システムSYSによる配車の他の例を示す図である。図5に示すように、例えば分割エリアAR1内の携帯端末52から配車サーバ20に配車要求(配車位置は携帯端末52の位置とする)があった場合、車両検索部26は、複数の車両10の中から、配車位置に最も近い位置に存在する空車状態の車両10を検索する。例えば、車両検索部26は、配車位置とは異なる分割エリアAR2に存在する車両10dを検索する。配車指示部27は、車両検索部26の検索結果に基づいて、配車位置に車両10dを配車する。この例において、配車指示部27は、携帯端末52からの配車要求に対して、配車位置に最も近い車両10dを配車する第2配車モードを行うことになる。
【0042】
このように、第2配車モードにおいて配車位置が存在する分割エリアAR1とは異なる分割エリアAR2に配属される車両10が配車位置に配車された場合、つまり、エリア跨ぎ配車モードが行われた場合、携帯端末50(携帯端末52)の配車要求により第2分割エリアの車両10(車両10d)は利益を得ることになるが、第1分割エリアの車両10にとっては配車の機会を失うことになる。
【0043】
そこで、調整部28は、分割エリアAR1と、分割エリアAR2との間で、分割エリアAR1が相対的に拡大され、分割エリアAR2が相対的に縮小されるように分割エリアの境界位置を変更する。調整部28は、分割エリア情報管理部23の境界位置情報及び移動方向情報に基づいて、境界位置を変更する。この変更により、分割エリアAR1では電話40による配車要求を受託可能な範囲が広がり、分割エリアAR2では電話40による配車要求を受託可能な範囲が狭くなる。
【0044】
図6は、分割エリアの境界位置を変更した場合の一例を示す図である。図6に示すように、本実施形態では、分割エリアAR1と分割エリアAR2とが隣接している。このような場合、調整部28は、例えば分割エリアAR1と分割エリアAR2とで共有する境界線の位置を変更する。これにより、分割エリアAR1が相対的に拡大され、分割エリアAR2が相対的に縮小される状況を効率的に実現可能となる。なお、図6には、当初設定されていた分割エリアAR1と分割エリアAR2との境界位置を破線で示している。図6に示す例において、調整部28は、境界線L1の位置を分割エリアAR2側に移動させ、当該境界線L1の移動に応じて境界線L2及び境界線L3の長さを短くするように境界位置を調整している。なお、調整部28は、この態様に限定されず、他の態様で境界位置を調整してもよい。例えば、当初設定された境界位置に対して分割エリアAR1及び分割エリアAR2側にそれぞれ段階的に移動させた複数の境界位置候補を予め設定して分割エリア情報管理部23に記憶しておいてもよい。この場合、調整部28は、境界位置を変更する際に、分割エリア情報管理部23に記憶された境界位置候補の中から一の境界位置候補を選択することで、境界位置を設定することができる。
【0045】
本実施形態に係る配車方法の一例について、図7を参照しながら説明する。図7は、本実施形態に係る配車方法の一例を示すフローチャートである。図7に示すように、配車サーバ20は、配車センター30又は携帯端末50から配車要求を受信する(ステップS101)。配車要求の受信先が配車センター30である場合(ステップS102のNo)、車両検索部26は、配車位置が存在する分割エリアに配属される空車状態の車両10を検索する。また、配車指示部27は、車両検索部26の検索結果に基づいて、配車位置に車両10を配車する。つまり、配車位置が存在する分割エリアに配属される車両10を配車位置に配車する第1配車モードを行う(ステップS103)。その後、処理を終了する。
【0046】
一方、ステップS102において配車要求の受信先が携帯端末50である場合(ステップS102のYes)、車両検索部26は、配車位置に最も近い位置に存在する空車状態の車両10を検索する。また、配車指示部27は、車両検索部26の検索結果に基づいて、配車位置に車両10を配車する。つまり、配車位置に最も近い位置に存在する空車状態の車両10を配車位置に配車する第2配車モードを行う(ステップS104)。
【0047】
第2配車モードが行われた場合、調整部28は、配車位置が存在する分割エリアと配車された車両10が所属する分割エリアとが異なるか否かを判定する(ステップS105)。調整部28は、両分割エリアが異なると判定した場合(ステップS105のYes)、両分割エリアの間で、配車位置が存在する分割エリアが拡大され、配車された車両10が所属する分割エリアが縮小されるように、両分割エリアの境界領域を移動する(ステップS106)。その後、処理を終了する。また、ステップS105において両分割エリアが異ならないと判定された場合(ステップS105のNo)、処理を終了する。
【0048】
図8は、配車システムSYSによる配車の他の例を示す図である。図8示す例では、分割エリアAR1と分割エリアAR2との境界位置が当初設定されていた位置から変化した状態である。具体的には、当初の設定に対して、分割エリアAR1が相対的に拡大され、分割エリアAR2が相対的に縮小された状態である。このように分割エリアAR1と分割エリアAR2との境界位置が変更する場合としては、上記のような第2配車モードにおいて配車位置が存在する分割エリアAR1とは異なる分割エリアAR2に配属される車両10が配車位置に配車された場合に限定されず、例えば時刻、季節等に応じて境界位置が自動的に変更される場合等、上記とは異なる態様で分割エリアの境界位置が変更される場合が含まれる。
【0049】
このような状態において、例えば分割エリアAR1の電話43から配車センター30に配車要求(配車位置は電話43の位置とする)があった場合、配車センター30のオペレータは、配車端末31により配車サーバ20に配車要求を送信する。配車サーバ20において配車端末31からの配車要求を受信した場合、車両検索部26は、複数の車両10の中から、配車位置が存在する分割エリアAR1に配属される空車状態の車両10を検索する。例えば、車両検索部26は、配車位置から最も近い車両10bを検索する。配車指示部27は、車両検索部26の検索結果に基づいて、配車位置に車両10bを配車する。この例において、配車指示部27は、配車端末31からの配車要求に対して、配車位置が存在する分割エリアAR1に配属される車両10bを配車する第1配車モードを行うことになる。
【0050】
なお、電話43は、分割エリアAR1のうち境界位置の変更により拡大された領域に存在する。調整部28は、変更前に直近に設定されていた分割エリアAR1から電話43による配車要求があった時点の分割エリアAR1を差し引いた領域を、境界位置の変更により拡大された領域と認定することができる。
【0051】
このように、分割エリアAR1が相対的に拡大され、分割エリアAR2が相対的に縮小されるように境界位置が変更された後、分割エリアAR1のうち拡大された領域内の配車位置への配車要求が発生し、配車要求に対する第1配車モード、つまり、拡大エリア配車モードが行われた場合、境界位置の変更により分割エリアAR1側の車両10が配車の機会を得た結果となる。一方、分割エリアAR2では、境界位置の変更により配車の機会を失った結果となる。
【0052】
そこで、調整部28は、分割エリアAR1と、分割エリアAR2との間で、分割エリアAR1が相対的に縮小され、分割エリアAR2が相対的に拡大されるように分割エリアの境界位置を変更する。調整部28は、分割エリア情報管理部23の境界位置情報及び移動方向情報に基づいて、境界位置を変更する。
【0053】
図9は、分割エリアの境界位置を変更した場合の一例を示す図である。図9に示すように、本実施形態では、分割エリアAR1と分割エリアAR2とが隣接している。このような場合、調整部28は、図6に示す場合と同様に、例えば分割エリアAR1と分割エリアAR2とで共有する境界線の位置を変更する。これにより、分割エリアAR1が相対的に縮小され、分割エリアAR2が相対的に拡大される状況を効率的に実現可能となる。なお、図9には、直前に設定されていた分割エリアAR1と分割エリアAR2との境界位置を破線で示している。図9に示す例において、調整部28は、境界線L1の位置を分割エリアAR1側に移動させ、当該境界線L1の移動に応じて境界線L2及び境界線L3の長さを長くするように境界位置を調整している。なお、調整部28は、この態様に限定されず、他の態様で境界位置を調整してもよい。
【0054】
本実施形態に係る配車方法の他の例について、図10を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係る配車方法の他の例を示すフローチャートである。図10に示すように、配車サーバ20は、分割エリアの境界位置が当初設定の位置に対して移動しているか否かを判定する(ステップS201)。移動していないと判定された場合(ステップS201のNo)、処理を終了する。移動していると判定された場合(ステップS201のYes)、配車サーバ20は、配車センター30又は携帯端末50から配車要求を受信する(ステップS202)。配車要求の受信先が携帯端末50である場合(ステップS203のNo)、車両検索部26は、配車位置に最も近い位置に存在する空車状態の車両10を検索する。また、配車指示部27は、車両検索部26の検索結果に基づいて、配車位置に車両10を配車する。つまり、配車位置に最も近い位置に存在する空車状態の車両10を配車位置に配車する第2配車モードを行う(ステップS204)。その後、処理を終了する。
【0055】
一方、ステップS203において、配車要求の受信先が配車センター30である場合(ステップS203のYes)、車両検索部26は、配車位置が存在する分割エリアに配属される空車状態の車両10を検索する。また、配車指示部27は、車両検索部26の検索結果に基づいて、配車位置に車両10を配車する。つまり、配車位置が存在する分割エリアに配属される車両10を配車位置に配車する第1配車モードを行う(ステップS205)。
【0056】
第1配車モードが行われた場合、調整部28は、配車位置が分割エリアのうち境界位置の変更により拡大された領域内であるか否かを判定する(ステップS206)。調整部28は、拡大された領域内であると判定した場合(ステップS206のYes)、両分割エリアの間で、配車位置が存在する分割エリアが縮小され、配車位置が存在しない分割エリアが拡大されるように、両分割エリアの境界領域を移動する(ステップS207)。その後、処理を終了する。また、ステップS206において拡大された領域内ではないと判定された場合(ステップS206のNo)、処理を終了する。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る配車システムSYS、配車方法、及び配車プログラムでは、複数の分割エリアAR1~AR3に区切られ、分割エリアごとに所定台数の車両10が配属される営業エリアARにおいて、複数の分割エリアのうち第1分割エリア内の配車位置への配車要求が発生した場合、第1分割エリアに配属される空車状態の車両10を配車位置に配車する第1配車モード、又は、配車位置に最も近い位置に存在する空車状態の車両10を配車位置に配車する第2配車モードを配車指示部27により行い、第2配車モードにおいて第1分割エリアとは異なる第2分割エリアに配属される車両10が配車位置に配車された場合に、調整部28により、第1分割エリアと第2分割エリアとの間で、第1分割エリアに配属される車両10の単位広さあたりの台数を相対的に減少させ、かつ、第2分割エリアに配属される車両10の単位広さあたりの台数を相対的に増加させる。
【0058】
具体的には、複数の分割エリアは、境界位置が変更可能であり、第1分割エリアと第2分割エリアとの間で、第1分割エリアが相対的に拡大され、第2分割エリアが相対的に縮小されるように調整部28により境界位置を変更するものである。
【0059】
上記構成によれば、第1分割エリアについて電話40による配車要求を受託可能な範囲を広げることができ、第2分割エリアについて電話40による配車要求を受託可能な範囲を狭くすることができる。このため、第1分割エリアでの配車の機会を相対的に多くし、第2分割エリアでの配車の機会を相対的に少なくすることができる。したがって、エリア跨ぎ配車モードにより利益を得た第2分割エリア側と、配車の機会を失った第1分割エリア側との利益の調整を図ることができる。これにより、分割エリア間の配車数の公平性が損なわれることを抑制できる。
【0060】
また、本実施形態に係る配車システムSYS、配車方法、及び配車プログラムでは、複数の分割エリアAR1~AR3に区切られ、分割エリアごとに所定台数の車両10が配属される営業エリアARにおいて、複数の分割エリアのうち第1分割エリア内の配車位置への配車要求が発生した場合、第1分割エリアに配属される空車状態の車両10を配車位置に配車する第1配車モード、又は、配車位置に最も近い位置に存在する空車状態の車両10を配車位置に配車する第2配車モードを配車指示部27により行い、複数の分割エリアのうち第1分割エリアと当該第1分割エリアとは異なる第2分割エリアとの間で、第1分割エリアが相対的に拡大され、第2分割エリアが相対的に縮小されるように境界位置が変更された後、第1分割エリアのうち拡大された領域内の配車位置への配車要求が発生し、配車要求に対して第1配車モードが行われた場合、第1分割エリアと第2分割エリアとの間で、第1分割エリアが相対的に縮小され、第2分割エリアが相対的に拡大されるように調整部28により境界位置を変更する。
【0061】
上記構成によれば、第2分割エリアについて電話40による配車要求を受託可能な範囲を広げることができ、第1分割エリアについて電話40による配車要求を受託可能な範囲を狭くすることができる。このため、第2分割エリアでの配車の機会を相対的に多くし、第1分割エリアでの配車の機会を相対的に少なくすることができる。したがって、境界位置の変更により利益を得た第1分割エリア側と、配車の機会を失った第2分割エリア側との利益の調整を図ることができる。これにより、分割エリア間の配車数の公平性が損なわれることを抑制できる。
【0062】
本実施形態に係る配車システムSYSにおいて、変更後の境界位置の候補を複数記憶する分割エリア情報管理部23を備え、調整部28は、複数の候補の中から一の候補を選択することで、変更後の境界位置を設定する。これにより、境界位置をスムーズに設定することができる。
【0063】
本実施形態に係る配車システムSYSにおいて、調整部28は、所定期間にエリア跨ぎ配車モード又は拡大エリア配車モードが行われた回数に応じて、境界位置の変更量を設定する。これにより、配車の機会を得た、又は配車の機会を失った回数に応じて境界位置の変更量が設定されるため、分割エリア間の利益の調整をより適正に図ることができる。
【0064】
本実施形態に係る配車システムSYSにおいて、配車指示部27は、配車センター30の配車端末31から配車要求を受信する場合には第1配車モードを行い、配車端末31とは異なる端末であって車両10の位置を把握可能な携帯端末50から配車要求を受信する場合には第2配車モードを行う。これにより、携帯端末50の配車要求により利益を得た第2分割エリア側と、配車の機会を失った第1分割エリア側との利益の調整を図ることができる。
【0065】
なお、上記した実施形態では、エリア跨ぎ配車モードが行われた場合に、第1分割エリアと第2分割エリアとの間で、第1分割エリアが相対的に拡大され、第2分割エリアが相対的に縮小されるように分割エリアの境界位置を変更する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、エリア跨ぎ配車モードが行われた場合、調整部28は、第1分割エリアと第2分割エリアとの間で、第1分割エリアに配属される車両10の台数を相対的に減少させ、第2分割エリアに配属される車両の台数を相対的に増加させるように調整してもよい。
【0066】
図11は、調整部28による他の調整の態様を示す図である。なお、図11は、分割エリアAR2に配属される車両10(例えば、車両10d)が分割エリアAR1に存在する配車位置(例えば、携帯端末52の位置)に配車されるエリア跨ぎ配車モードが行われた場合についての例である。この場合、携帯端末52の配車要求により分割エリアAR2の車両10dは利益を得ることになるが、分割エリアAR1の車両10(車両10a~10c)にとっては配車の機会を失うことになる。
【0067】
そこで、図11に示すように、調整部28は、分割エリアAR1に所属する車両10の一部(例えば、1台又は数台)を分割エリアAR2に所属させる。図11では、一例として車両10aを分割エリアAR2に所属させているが、これに限定されず、車両10b、10cを分割エリアAR1に所属させてもよい。このように車両10の所属を変更することにより、分割エリアAR1に配属される車両10の台数が相対的に減少し、分割エリアAR2に配属される車両の台数が相対的に増加する。その後、分割エリアAR2の電話40から配車要求があった場合、配車指示部27は、分割エリアAR2に所属を変更した車両10(車両10a)に優先的に配車指示を出すようにする。
【0068】
これにより、分割エリアAR1では、単位面積当たりの車両10の台数が少なくなる。このため、電話40による配車要求に対して、分割エリアAR1に所属する個々の車両10が配車を受けるための期待値を高くすることができる。一方、分割エリアAR2では、単位面積当たりの車両10の台数が多くなる。このため、電話40による配車要求に対して、分割エリアAR2に所属する個々の車両10が配車を受けるための期待値を低くすることができる。このため、分割エリアAR1に所属する個々の車両10については配車の機会を相対的に多くし、分割エリアAR2に所属する個々の車両10については配車の機会を相対的に少なくすることができる。
【0069】
図12は、調整部28による他の調整の態様を示す図である。なお、図12は、図11による車両10の所属の変更があった後、分割エリアAR1に配属される車両10(例えば、車両10b)が分割エリアAR2に存在する配車位置(例えば、携帯端末53の位置)に配車されるエリア跨ぎ配車モードが行われた場合についての例である。この場合、携帯端末50の配車要求により分割エリアAR1の車両10は利益を得ることになるが、分割エリアAR2の車両10にとっては配車の機会を失うことになる。
【0070】
そこで、図12に示すように、調整部28は、分割エリアAR2に所属する車両10の一部(例えば、1台又は数台)を分割エリアAR1に所属させる。図12では、一例として車両10aを分割エリアAR1に所属させているが、これに限定されず、車両10d、10e、10fを分割エリアAR1に所属させてもよい。このように車両10の所属を変更することにより、分割エリアAR2に配属される車両10の台数が相対的に減少し、分割エリアAR1に配属される車両の台数が相対的に増加する。その後、分割エリアAR1の電話40から配車要求があった場合、配車指示部27は、分割エリアAR1に所属を変更した車両10(車両10a)に優先的に配車指示を出すようにする。
【0071】
これにより、分割エリアAR2では、単位面積当たりの車両10の台数が少なくなる。このため、電話40による配車要求に対して、分割エリアAR2に所属する個々の車両10が配車を受けるための期待値を高くすることができる。一方、分割エリアAR1では、単位面積当たりの車両10の台数が多くなる。このため、電話40による配車要求に対して、分割エリアAR1に所属する個々の車両10が配車を受けるための期待値を低くすることができる。このため、分割エリアAR2に所属する個々の車両10については配車の機会を相対的に多くし、分割エリアAR1に所属する個々の車両10については配車の機会を相対的に少なくすることができる。
【0072】
図11及び図12に示す配車方法について、図13を参照しながら説明する。図13は、配車方法の他の例を示すフローチャートである。図13に示すように、配車サーバ20は、配車センター30又は携帯端末50から配車要求を受信する(ステップS301)。配車要求の受信先が配車センター30である場合(ステップS302のNo)、第1配車モードを行い(ステップS303)、その後、処理を終了する。
【0073】
一方、ステップS302において配車要求の受信先が携帯端末50である場合(ステップS302のYes)、第2配車モードを行う(ステップS304)。第2配車モードが行われた場合、調整部28は、配車位置が存在する分割エリアと配車された車両10が所属する分割エリアとが異なるか否かを判定する(ステップS305)。調整部28は、両分割エリアが異なると判定した場合(ステップS305のYes)、両分割エリアの間で、配車位置が存在する分割エリアに所属する車両10の台数が相対的に減少し、配車された車両10が所属する分割エリアに所属する車両10の台数が相対的に増加するように、両分割エリアの車両10の配属台数を変更する(ステップS306)。その後、処理を終了する。また、ステップS305において両分割エリアが異ならないと判定された場合(ステップS305のNo)、処理を終了する。
【0074】
このように、エリア跨ぎ配車モードが行われた場合、調整部28は、第1分割エリアと第2分割エリアとの間で、第1分割エリアに配属される車両10の台数を相対的に減少させ、第2分割エリアに配属される車両の台数を相対的に増加させる。これにより、エリア跨ぎ配車モードにより利益を得た第2分割エリア側と、配車の機会を失った第1分割エリア側との利益の調整を図ることができる。これにより、分割エリア間の配車数の公平性が損なわれることを抑制できる。
【符号の説明】
【0075】
L1,L2,L3…境界線、AR…営業エリア、AR1,AR2,AR3…分割エリア、SYS…配車システム、10,10a~10g…車両、11…GPS受信部、12…メーター、13…表示部、14…通信部、15…処理部、20…配車サーバ、21…データベース部、22…配車処理部、23…分割エリア情報管理部、24…車両情報管理部、25…利用者情報管理部、26…車両検索部、27…配車指示部、28…調整部、30…配車センター、31…配車端末、40,41,42,43…電話、50,51,52…携帯端末、60…GPS衛星
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13