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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240312BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240312BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B41J2/175 303
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/165 207
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019221149
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021091097
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 政樹
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-142223(JP,A)
【文献】特開平09-156127(JP,A)
【文献】登録実用新案第3092907(JP,U)
【文献】特開2019-142133(JP,A)
【文献】特開平08-039792(JP,A)
【文献】特開2006-127465(JP,A)
【文献】特開2018-015964(JP,A)
【文献】特開2005-212270(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0001653(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを含み、前記ノズルからインクを吐出するヘッドと、
前記ヘッドを用いた印刷ジョブを管理し、前記印刷ジョブでのインク使用量を算出する第1制御部と、
前記第1制御部の指示に基づき前記ヘッドでの各々の前記ノズルからのインク吐出を制御するとともに、インク吐出1回あたりの吐出液滴量を変更することができる第2制御部と、を備え、
前記インク使用量を算出するとき、
前記第1制御部は、
前記ヘッドでのインクの実際の吐出回数の情報を用いずに、印刷に用いる画像データである印刷用画像データに基づきインクを吐出するドット数である推定吐出数を求め、
前記印刷用画像データの解像度を前記ヘッドの印刷の解像度に合わせるための調整値で前記推定吐出数を除した値と、前記吐出液滴量と、を乗じた値に基づき、印刷使用量を求め、
前記印刷使用量は、前記印刷ジョブの各ページの印刷のために用紙に吐出したインク使用量であり、
前記第1制御部は、
前記印刷用画像データのハーフトーン処理を行って、インク吐出用画像データを生成し、
生成した前記インク吐出用画像データを前記第2制御部に送信し、
ハーフトーン処理前の前記印刷用画像データに基づき、前記推定吐出数を求めることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2制御部は、印刷に用いる用紙の種類に応じて、前記吐出液滴量を変更し、
前記第1制御部は、前記推定吐出数に乗ずる前記吐出液滴量を、印刷に用いる用紙の種類に応じた値とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1制御部は、予め定められた算出項目ごとに、1つの前記印刷ジョブで消費されたインクの量を求め、
前記算出項目のうち1つは、正常印刷使用量であり、
前記正常印刷使用量は、エラー無く用紙が機外に排出されたページの前記印刷使用量の合計であり、
前記第1制御部は1ジョブ使用量ファイルを出力し、
前記1ジョブ使用量ファイルは、1つの前記印刷ジョブについて、前記算出項目ごとに求めた前記インク使用量をまとめたデータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記算出項目のうち1つは、エラー印刷使用量であり、
前記エラー印刷使用量は、エラーによって機外に排出されなかったページの前記印刷使用量の合計であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記算出項目のうち1つは、パージ使用量であり、
前記パージ使用量は、前記印刷ジョブの途中でなされたパージ処理で使用されたインクの量であり、
前記パージ処理は、詰まり防止のために前記ノズルからインクを吐き捨てる処理であることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1制御部は、前記印刷ジョブの開始から終了までのジョブ所要時間を測り、
前記パージ処理の実行間隔と、1回の前記パージ処理で使用されるインクの量が予め定められており、
前記第1制御部は、
前記ジョブ所要時間を前記実行間隔で除した値に基づき、パージ実行回数を求め、
求めた前記パージ実行回数に1回の前記パージ処理で使用されるインクの量を乗じて前記パージ使用量を求めることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出して印刷する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像形成装置は、インクを吐出して印刷する。インクジェット方式の画像形成装置では、インク消費量を測ることがある。インク消費量を測る装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、インクジェットヘッドからのインクの吐出回数をカウントし、インク吐出回数に基づきインク消費量を算出するインク消費量算出装置が記載されている。この構成により、正確なインク消費量を算出しようとする(特許文献1:請求項9、段落[0004])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-370371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置が複数の制御基板(制御部)を含むことがある。大型の画像形成装置や多機能の画像形成装置では、1つの制御基板だけで全ての部材の制御を行うことが難しいことがある。このような画像形成装置では、複数の制御基板を設けることが多い。各制御基板にCPUやメモリーが設けられる。各制御基板は役割、担当する処理が異なる。例えば、インクの吐出制御を担当する制御基板と、インク消費量を求める制御基板(管理担当の制御基板)が別々に設けられる。
【0006】
従来、ヘッドの実際のインク吐出回数をカウントし、カウントした吐出回数に吐出1回あたりのインク量を乗じて、インク消費量を求めている(例えば、特許文献1)。インク吐出制御担当の制御基板とインク消費量を求める制御基板が異なる場合、実際の吐出回数のカウント値に基づきインク消費量を求めるには、制御基板同士で、多くのデータをページごとに頻繁にやりとりしなくてはならない。しかし、インク消費量を求めるためのデータ以外にも、やりとりすべきデータがある。多くのデータの頻繁なやりとりは、高速処理の妨げとなる場合があるという問題がある。例えば、制御基板間の通信に遅延が生じ、印刷処理の所要時間が長くなる可能性がある。
【0007】
特許文献1記載の技術は、実際にヘッドがインクを吐出した回数をカウントする。複数の制御基板が設けられる装置では、制御基板間で吐出回数等のデータのやりとりを頻繁に行う必要がある。特許文献1記載の技術では、上記の問題を解決することはできない。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑み、インク使用量を算出する制御部と、インクの吐出回数をカウントする制御部が別々に設けられる装置において、実際のインクの吐出回数を用いずにインク使用量を正確に求める。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、画像形成装置は、ヘッド、第1制御部、第2制御部を含む。前記ヘッドは複数のノズルを含む。前記ヘッドは前記ノズルからインクを吐出する。前記第1制御部は、前記ヘッドを用いた印刷ジョブを管理する。前記第1制御部は、前記印刷ジョブでのインク使用量を算出する。前記第2制御部は、前記第1制御部の指示に基づき前記ヘッドでのインク吐出を制御する。前記インク使用量を算出するとき、前記第1制御部は、前記ヘッドでのインクの実際の吐出回数の情報を用いずに、印刷に用いる画像データである印刷用画像データに基づきインクを吐出するドット数である推定吐出数を求める。求めた前記推定吐出数にインク吐出1回あたりの吐出液滴量を乗じた値に基づき、前記第1制御部は、印刷使用量を求める。前記印刷使用量は、前記印刷ジョブの各ページの印刷のために用紙に吐出したインク使用量である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、インク使用量を算出する制御部と、インクの吐出回数をカウントする制御部が別々に設けられる装置において、実際のインクの吐出回数を用いずにインク使用量を正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る画像形成装置でのインク使用量の算出の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る印刷使用量の算出の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る画像形成装置のメンテナンスを行うための機構の一例を示す図である。
図7】実施形態に係るパージ使用量の算出の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1図7を用いて本発明の実施形態に係る画像形成装置100を説明する。以下で説明する画像形成装置100はプリンターである。なお、画像形成装置100は、例えば、複合機でもよい。画像形成装置100は、インクを用いて印刷する。
【0013】
(画像形成装置100の概要)
まず、図1図3を用いて、実施形態に係る画像形成装置100の概要を説明する。図1図3は、実施形態に係る画像形成装置100の一例を示す図である。
【0014】
画像形成装置100は用紙に印刷を行う。画像形成装置100はインクを用いて印刷する。画像形成装置100は、制御部1(第1制御部に相当)、記憶部2、エンジン制御部3、ビデオ制御部4(第2制御部に相当)、操作パネル5、給紙部6、用紙搬送部7、画像形成部8、通信部12を含む。制御部1、エンジン制御部3、ビデオ制御部4は、例えば、基板である。
【0015】
制御部1は画像形成装置100の各部の動作指示を出す。つまり、制御部1は、ラインヘッド80を用いた印刷ジョブを管理する。例えば、印刷ジョブのとき、制御部1は、エンジン制御部3に給紙と用紙搬送の指示を出す。この指示に基づき、エンジン制御部3は、給紙部6と用紙搬送部7の動作を制御する。また、印刷ジョブのとき、制御部1は、印刷用画像データi1を生成し、印刷用画像データi1に基づき、インク吐出用画像データi2を生成する。制御部1は、印刷指示とインク吐出用画像データi2をビデオ制御部4に送信する。インク吐出用画像データi2に基づき、ビデオ制御部4は、ラインヘッド80からインクを吐出させる。
【0016】
制御部1は、制御回路10、画像処理回路11を含む基板である。例えば、制御回路10はCPUである。制御回路10は、記憶部2に記憶される制御プログラムや制御データに基づき演算、処理を行う。記憶部2は、ROM、ストレージ(HDD、フラッシュROM)のような不揮発性の記憶装置を含む。また、記憶部2は、RAMのような揮発性の記憶装置を含む。画像処理回路11は、印刷に用いる画像データ(印刷用画像データi1)の画像処理を行う。また、制御部1は、算出項目ごとに、1つの印刷ジョブで消費されたインクの量を求める(詳細は後述)。
【0017】
エンジン制御部3は、エンジン制御回路30、エンジンメモリー31を含む。エンジン制御回路30は、例えば、CPUである。エンジンメモリー31は、給紙制御、用紙搬送制御に関するプログラム、データを記憶する。
【0018】
ビデオ制御部4は基板、又は、チップである。ビデオ制御部4はビデオ制御回路40と第2画像メモリー41を含む。ビデオ制御回路40は、画像処理を行い、ラインヘッド80のインク吐出を制御する回路である。第2画像メモリー41は画像処理やインク吐出に必要なデータを記憶するためのメモリーである。第2画像メモリー41は、例えば、DRAMである。
【0019】
操作パネル5は、表示パネル51、タッチパネル52を含む。制御部1は、設定画面や情報を表示パネル51に表示させる。表示パネル51は、キー、ボタン、タブのような操作用画像を表示する。タッチパネル52は表示パネル51へのタッチ操作を検知する。タッチパネル52の出力に基づき、制御部1は操作された操作用画像を認識する。制御部1は、使用者が行った設定操作を認識する。
【0020】
給紙部6は用紙束を収容する。給紙部6は給紙ローラー61を含む。給紙ローラー61は給紙部6内にセットされた用紙のうち、最上位の用紙と接する。給紙ローラー61を回転させる給紙モーター(不図示)が設けられる。印刷ジョブのとき、エンジン制御部3は給紙モーターを回転させて給紙ローラー61を回転させる。これにより、用紙が給紙部6から用紙搬送部7(第1搬送部7a)に送り出される。なお、画像形成装置100の側面(図1において右側)には、別途、給紙装置(不図示)を取り付けることができる。接続された給紙装置は、多量の用紙を収容でき、用紙を第1搬送部7aに送り込む。
【0021】
用紙搬送部7は用紙を搬送する。用紙搬送部7は、第1搬送部7aと第2搬送部7bを含む。第1搬送部7aは給紙部6から供給された用紙を画像形成部8に向けて搬送する。第2搬送部7bは、画像形成部8(ラインヘッド80)を通過した用紙を排出トレイ101に向けて搬送する。なお、画像形成装置100の側面(図1において左側)には、別途、後処理装置(不図示)を取り付けることができる。後処理装置が取り付けられている場合、画像形成装置100は、後処理装置に印刷済の用紙を送り込める。この場合、制御部1は、後処理装置に後処理を行わせる。
【0022】
エンジン制御部3は、画像形成部8に向けて、給紙部6から供給された用紙を第1搬送部7aに搬送させる。図1に示すように、第1搬送部7aは、用紙搬送方向上流側から順に、第1搬送ローラー対71、読取ユニット8aと光源8b、レジストセンサー72、レジストローラー対73、用紙センサー74、搬送ユニット75を含む。
【0023】
第1搬送ローラー対71は複数設けられる。各第1搬送ローラー対71を回転させるため、第1搬送モーター(不図示)が設けられる。印刷ジョブのとき、エンジン制御部3は、第1搬送モーターを回転させる。また、レジストローラー対73を回転させるため、レジストモーター76が設けられる。エンジン制御部3は、レジストモーター76の回転を制御して、レジストローラー対73の回転を制御する。
【0024】
レジストセンサー72は、レジストローラー対73よりも用紙搬送方向上流側に設けられる。レジストセンサー72の出力レベルは、用紙の存在を検知しているか否かにより変化する。レジストセンサー72の出力はエンジン制御部3に入力される。この出力に基づき、エンジン制御部3は、レジストセンサー72への用紙先端の到達を認識する。エンジン制御部3は、用紙後端がレジストセンサー72を抜けたことを認識する。
【0025】
レジストローラー対73への用紙到達時点では、エンジン制御部3は、レジストローラー対73を停止させておく。例えば、用紙の後端がレジストセンサー72を抜けると、エンジン制御部3はレジストローラー対73を停止させる。一方、エンジン制御部3は、レジストローラー対73よりも1つ上流側の第1搬送ローラー対71を回転させる。用紙の先端は、レジストローラー対73に突き当たる。突き当たった用紙は撓み、用紙の先端はレジストローラー対73のニップに沿う。用紙の斜行が矯正される。レジストセンサー72の出力に基づく用紙の先端到達の認識後、所定の撓み作成時間が経過したとき、エンジン制御部3は、レジストローラー対73を回転させる。これにより、用紙は、搬送ユニット75に向けて送り出される。
【0026】
搬送ユニット75は、搬送ベルト77、駆動ローラー78、従動ローラー79を含む。搬送ベルト77は駆動ローラー78と従動ローラー79にかけ回される。駆動ローラー78を回転させるため、ベルトモーター710が設けられる。印刷ジョブ中、エンジン制御部3は、ベルトモーター710を回転させ、搬送ベルト77を周回させる。なお、搬送ベルト77は用紙を吸着する。例えば、複数の孔が搬送ベルト77に開けられる。そして、孔から空気を吸引する吸着装置が設けられる(不図示)。吸着によりベルト上の用紙位置を固定することができる。
【0027】
読取ユニット8aは搬送用紙を読み取る。図1は、第1搬送ローラー対71とレジストセンサー72の間に読取ユニット8aと光源8bを設ける例を示す。読取ユニット8aは搬送イメージセンサーを含む。搬送イメージセンサーはラインセンサーである。搬送イメージセンサーは複数の受光素子を含む。複数の受光素子は、主走査方向(図1の紙面垂直方向、用紙搬送方向と垂直な方向)で並ぶ。搬送イメージセンサーは搬送用紙を読み取る。
【0028】
第2搬送部7bには、第2搬送ローラー対711が複数設けられる。各第2搬送ローラー対711を回転させるため、第2搬送モーター(不図示)が設けられる。印刷ジョブのとき、エンジン制御部3は、第2搬送モーターを回転させる。
【0029】
このように、エンジン制御部3は、給紙部6、用紙搬送部7の動作を制御する。例えば、エンジン制御回路30は、レジストモーター76、ベルトモーター710の回転を制御する。また、エンジン制御回路30は、レジストセンサー72、用紙センサー74の出力に基づき、用紙の搬送状況を認識する。
【0030】
エンジン制御回路30は、例えば、用紙センサー74の用紙先端到達を検知したことをビデオ制御部4に通知する。通知から予め定められた待ち時間が経過したとき、ビデオ制御部4(ビデオ制御回路40)は、ページの印刷(1ライン目の描画)を開始する。待ち時間は、例えば、用紙センサー74からラインヘッド80のノズルまでの距離を、理想(仕様上)の用紙搬送速度で除して得られる時間である。
【0031】
画像形成部8は搬送用紙に印刷を行う。画像形成部8は搬送用紙にインクを吐出する。図1に示すように、画像形成部8は、4本のラインヘッド80を含む。ラインヘッド80Bkは、ブラックのインクを吐出する。ラインヘッド80Yは、イエローのインクを吐出する。ラインヘッド80Cはシアンのインクを吐出する。ラインヘッド80Mはマゼンタのインクを吐出する。各ラインヘッド80は固定される。搬送ユニット75(搬送ベルト77)の上方に各ラインヘッド80が設けられる。各ラインヘッド80(下面のノズル)と搬送ベルト77の間には、一定の隙間が設けられる。用紙はこの隙間を通過する。
【0032】
ラインヘッド80は複数のノズルを含む。ノズルは、用紙搬送方向と垂直な方向(主走査方向)に並ぶ(図1では紙面に垂直な方向)。各ノズルの開口は搬送ベルト77と向かい合う。つまり、ノズルは下向きである。制御部1は印刷のためのインク吐出用画像データi2をビデオ制御部4に供給する。このインク吐出用画像データi2に基づき、ビデオ制御部4は、ノズルから搬送用紙へのインク吐出をラインヘッド80に行わせる。インクが搬送用紙に着弾し、画像が記録(形成)される。
【0033】
制御部1は通信部12と接続される。通信部12は通信用コネクター、通信制御回路、通信用メモリーを含む。通信用メモリーは、通信用ソフトウェアを記憶する。通信部12はコンピューター200と通信する。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。制御部1はコンピューター200からプリントジョブデータを受信する。プリントジョブデータは印刷設定や印刷内容を含む。例えば、プリントジョブデータはページ記述言語で記述されたデータを含む。制御部1(画像処理回路11)は、受信した(入力された)プリントジョブデータを解析する。プリントジョブデータの解析結果に基づき、制御部1はラスターデータ(印刷用画像データi1)を生成する。
【0034】
画像処理回路11は、印刷設定に応じた画像処理を生成した印刷用画像データi1に施す。画像処理回路11は、最終的に印刷用画像データi1のハーフトーン処理を行い、インク吐出用画像データi2を生成する。インク吐出用画像データi2は、各画素の値が各ノズル(各画素)のインクの吐出、不吐出を示す値となっているデータである。例えば、画像処理回路11は、色ごとに、インク吐出用画像データi2を生成する。制御部1は、生成したインク吐出用画像データi2を第1画像メモリー21に記憶させる。記憶部2は第1画像メモリー21を含む。第1画像メモリー21は、例えば、DRAMである。
【0035】
制御部1は、色ごとに、第1画像メモリー21のインク吐出用画像データi2を第2画像メモリー41に送信する。第2画像メモリー41は受信したインク吐出用画像データi2を記憶する。また、読取ユニット8aの読み取りで得られた搬送読取画像データに基づき、ビデオ制御回路40は、マスクデータi3を生成する。マスクデータi3は、用紙のない部分へのインク吐出を防ぐためのデータである。ビデオ制御回路40は、マスクデータi3に基づき、インク吐出用画像データi2を編集する。具体的に、ビデオ制御回路40は、インク吐出用画像データi2のうち、用紙外にインクを吐出してしまう画素の画素値を不吐出に変更する。ビデオ制御回路40は、色ごとにインク吐出用画像データi2を生成、編集する。ビデオ制御部4は、編集したインク吐出用画像データi2をラインヘッド80に供給する。ラインヘッド80は、受信した(マスク処理の編集がされた)インク吐出用画像データi2に基づき、インクを吐出する。
【0036】
ビデオ制御部4(ビデオ制御回路40)は、ラインヘッド80ごとに、ノズルからのインクの吐出回数をカウントできる。例えば、ビデオ制御部4は、ページ単位でインクの吐出回数(インクを吐出したドット数)をカウントする。例えば、50万回、100万回のように、ビデオ制御部4は、吐出回数をカウントする。
【0037】
(インク使用量の算出)
次に、図4を用いて、実施形態に係る画像形成装置100でのインク使用量の算出の概要を説明する。図4は、実施形態に係る画像形成装置100でのインク使用量の算出の一例を示す図である。
【0038】
印刷ジョブを行うごとに、制御部1は、印刷ジョブで消費されたインクの量(インク使用量)を求める。つまり、1ジョブ単位で、制御部1はインク使用量を求める。インク使用量を求めるとき、制御部1は、ビデオ制御部4からインクの吐出回数の情報を取得しない。演算のみによって、制御部1はインク使用量を求める。
【0039】
制御部1は、予め定められた算出項目ごとに、インク使用量を求める。例えば、算出項目は正常印刷使用量、エラー印刷使用量、パージ使用量である。各使用量の詳細は後述する。上記以外の項目を算出項目として追加してもよい。制御部1は、求めた各算出項目の値をまとめたデータ(1ジョブ使用量ファイル)を出力する。1ジョブ使用量ファイルは、各算出項目について色ごとに求めた値をまとめたデータである。使用者は、1ジョブ使用量ファイルを確認できる。確認により、使用者は、各算出項目についてどれほどインクが消費されたかを把握することができる。
【0040】
図4のスタートは、印刷ジョブを開始する時点である。制御部1は、色ごと、かつ、算出項目ごとに使用量の算出を開始する(ステップ♯11)。やがて、印刷ジョブが終わる(ステップ♯12)。印刷ジョブが終わると、制御部1は、1ジョブ使用量ファイルを生成する(ステップ♯13)。そして、制御部1は、コンピューター200に向けて、1ジョブ使用量ファイルを通信部12に送信させる(ステップ♯14→エンド)。
【0041】
1ジョブ使用量ファイルの送信先は決まっていてもよい。例えば、画像形成装置100の管理用のコンピューター200や共有サーバーを送信先と定めることができる。この場合、1ジョブ使用量ファイルを送信するコンピューター200のアドレスが予め設定される。例えば、操作パネル5は、コンピューター200のアドレスの設定を受け付ける。制御部1は、設定されたアドレスを不揮発的に記憶部2に記憶させる。1ジョブ使用量ファイルの送信のとき、制御部1は記憶してあるアドレスを参照する。また、制御部1は、プリントジョブデータを送信したコンピューター200に向けて、1ジョブ使用量ファイルを送信してもよい。
【0042】
使用者は、コンピューター200にて1ジョブ使用量ファイルの内容を確認できる。例えば、1ジョブ使用量ファイルが開かれたとき、コンピューター200は、コンピューター200のディスプレイに1ジョブ使用量ファイルの内容を表示する。内容確認により、使用者は、どの算出項目で、どれほどインクが使用されたかを把握できる。インク使用量に問題があるか否かを確認することができる。1ジョブ使用量ファイルに基づき、使用者は様々な情報を把握できる。
【0043】
(正常印刷使用量とエラー印刷使用量)
次に、図5を用いて、実施形態に係る正常印刷使用量とエラー印刷使用量の算出の一例を説明する。図5は、実施形態に係る正常印刷使用量とエラー印刷使用量の算出の一例を示す図である。
【0044】
正常印刷使用量とエラー印刷使用量の算出は、制御回路10が行ってもよいし、画像処理回路11が行ってもよい。図5のスタートは、印刷ジョブの開始に伴い、インク使用量の算出を開始する時点である。まず、制御部1は、印刷ジョブの1ページ目を選択する(ステップ♯21)。制御部1は、選択したページの印刷用画像データi1に基づき、色ごとに、選択したページの推定吐出数を求める(ステップ♯22)。
【0045】
推定吐出数は、選択したページの印刷用画像データi1に基づいて印刷するときに吐出するドット数の推定値である。推定吐出数の算出に用いる印刷用画像データi1は、ハーフトーン処理(網点処理)前の画像データである。言い換えると、制御部1は、インク吐出用画像データi2に変換する前の画像データを用いて推定吐出数を算出する。ビデオ制御部4に供給する形式への変換前の画像データが用いることができる。例えば、制御部1は、ラスタライズ処理により生成した画像データをCMYK形式に変換した画像データを用いて推定吐出数を算出する。
【0046】
具体的に、制御部1は、1次の変換テーブルを用いて推定吐出数を算出する。記憶部2は変換テーブルを不揮発的に記憶する。この変換テーブルには、印刷用画像データi1の画素の画素値(濃度値、階調値)に対応する吐出数(ドット数)が定義される。例えば、高濃度の画素値ほど、定義される吐出数は大きい。低濃度の画素値ほど、定義される吐出数は小さい。例えば、真っ白の画素値に対応する吐出数は、ゼロである。なお、変換テーブルは色ごとに用意されてもよい。制御部1は、1ページの印刷用画像データi1の全ての画素を吐出数に変換する。制御部1は、色ごとに変換した吐出数の合計を求める。制御部1は求めた合計値を推定吐出数とする。なお、他の手法で推定吐出数を求めてもよい。
【0047】
次に、制御部1は、選択したページの印刷での吐出液滴量を認識する(ステップ♯23)。ラインヘッド80の吐出液滴量は、複数段階ある。ビデオ制御部4は、各ノズルに付されたピエゾ素子に印加する電圧の信号波形や波形の振幅を異ならせ、吐出液滴量を制御できる。ビデオ制御部4は、印刷に使用する用紙の種類によって、吐出1回あたりのインク使用量(吐出液滴量)を変更できる。
【0048】
例えば、ビデオ制御部4は、インクジェット用マット紙では、インクジェット用普通紙よりも、吐出液滴量を多くする。マット紙は普通紙に比べインクをよく吸収し、濃度が出にくい傾向があるためである。インクジェット用マット紙でもなければインクジェット用普通紙でもない用紙(他の用紙)については、ビデオ制御部4は、吐出液滴量をインクジェット用普通紙以下としてもよい。
【0049】
操作パネル5は、印刷で使用する用紙(給紙部6にセットする用紙)の種類の設定を受け付ける。操作パネル5の出力に基づき、制御部1は、印刷用紙の種類を認識する。制御部1は、ビデオ制御部4が印刷のときに1回の吐出で射出させるインク使用量(吐出液滴量)を認識する。制御部1は、吐出液滴量を印刷に用いる用紙に応じた値とする。
【0050】
そして、制御部1は、選択しているページの印刷使用量を求める(ステップ♯24)。具体的に、制御部1は、以下の式1に基づき、印刷使用量を求める。
(式1)印刷使用量 =吐出液滴量 ×推定吐出数 ÷ 調整値
調整値は、印刷用画像データi1の解像度をラインヘッド80の印刷の解像度に合わせるための値である。仕様上、画像処理回路11が生成する印刷用画像データi1の解像度が決まっている場合がある。また、ラインヘッド80の印刷解像度は、ノズルのピッチで決まる。印刷用画像データi1の解像度と印刷解像度がずれていると、印刷使用量を正しく求められない。そこで、調整値を用いて、推定吐出数を調整する。
【0051】
例えば、印刷用画像データi1の解像度が1200dpiとする。ラインヘッド80の印刷解像度が600dpiとする。1200dpiに基づきカウントした推定吐出数(ドット数)を600dpiにあわせる必要がある。縦1200dpiを600dpiとし、横1200dpiを600dpiとする場合、ドット数は1/2×1/2=1/4となる。この場合、制御部1は、推定吐出数を調整値「4」で除す。
【0052】
次に、制御部1は、選択しているページが印刷ジョブの最後のページか否かを確認する(ステップ♯25)。最後のページではないとき(ステップ♯25のNo)、制御部1は、次のページを選択する(ステップ♯26)。そして、制御部1は、ステップ♯22を実行する(ステップ♯22に戻る)。このように、制御部1は1ページずつ印刷使用量を算出する。選択しているページが印刷ジョブの最後のページのとき、制御部1は、正常印刷使用量とエラー印刷使用量を求める(ステップ♯27)。そして、制御部1は、本フローチャートを終了する(エンド)。
【0053】
正常印刷使用量は、エラー無く排出トレイ101に排出したページの印刷使用量の合計である。印刷ジョブでは、エラーが起きても、エラー処理がなされ、最終的に全てのページが排出トレイ101に排出される。そのため、制御部1は、全ページの印刷使用量の合計を正常印刷使用量としてもよい。エラー印刷使用量は、エラーによって排出トレイ101に排出されなかったページの印刷使用量の合計である。エラーが生じなければ、エラー印刷使用量はゼロとなる。
【0054】
エンジン制御部3は、用紙搬送エラーの発生を認識できる(用紙詰まりのエラー)。用紙搬送経路には、レジストセンサー72、用紙センサー74の他にも、用紙の到達、通過を検知するセンサーが設置される(不図示)。これらのセンサーの出力に基づき、エンジン制御部3は、用紙搬送エラーを検知する。用紙到達を検知すべきなのに許容時間を超えて用紙到達を検知できないセンサーがあるとき、エンジン制御部3は、用紙搬送エラーが発生したと判定する。用紙通過を検知すべきなのに許容時間を超えて用紙通過を検知できないセンサーがあるとき、エンジン制御部3は、用紙搬送エラーが発生したと判定する。
【0055】
用紙搬送エラーが生じたと判定したとき、エンジン制御部3は、用紙搬送を停止する。また、画像形成装置100は、排出トレイ101へ用紙排出口の部分に、排出センサー32を含む(図1図3参照)。排出センサー32の出力に基づき、エンジン制御部3は用紙が排出されたか否かを認識する。エンジン制御部3は、どのページが正常に排出されたかを把握する。エンジン制御部3は、用紙搬送エラーのために、どのページが排出トレイ101に排出されなかったかを把握する。用紙搬送エラーで用紙搬送が停止したとき、使用者は、エラー解消のための作業を行う。例えば、使用者は、機内に残る用紙を取り除く。除去後、エンジン制御部3は用紙搬送を再開し、ビデオ制御部4は、用紙へのインク吐出を再開する。
【0056】
用紙搬送エラー発生と判定したとき、エンジン制御部3は、用紙搬送エラーが生じたと判定したことを制御部1とビデオ制御部4に通知する。この通知を受け、ビデオ制御部4はラインヘッド80からのインク吐出を停止する。また、エンジン制御部3は、インク吐出を開始済のページのうち、排出トレイ101に排出されなかったページを制御部1に通知する。制御部1は、通知されたページの印刷使用量の合計をエラー印刷使用量とする。
【0057】
(パージ使用量)
次に、図1図6図7を用いて、実施形態に係るパージ使用量の算出の一例を説明する。図6は、実施形態に係る画像形成装置100のメンテナンスを行うための機構の一例を示す図である。図7は、実施形態に係るパージ使用量の算出の一例を示す図である。
【0058】
例えば、余白のある印刷物を連続して印刷するとき、余白部分と向かい合うノズルからは、インクが吐出されない。ノズルのインク表面から、インクの成分(溶媒)は揮発(蒸発)している。インクを長時間吐出しないノズルでは、成分の揮発によって、インクの粘度が大きくなる。粘度が大きくなったノズルでは、インクが吐出されにくくなる。粘度上昇が続くと、最終的に、ノズルが詰まり、インクが吐出されなくなり得る。
【0059】
そこで、制御部1は、印刷開始後、一定時間経過するごとに、パージ処理を画像形成部8(ラインヘッド80)に行わせる。パージ処理は、詰まり防止のためにラインヘッド80からインクを吐き捨てる処理である。パージ処理は、メンテナンスのための処理の1つである。パージ処理では、印刷が中断される。パージ処理中、エンジン制御部3は、用紙を給紙、搬送しない。
【0060】
画像形成装置100は、ラインヘッド80のメンテナンスのため、メンテナンスユニット9を含む。図1に示すように、メンテナンスユニット9は、ラインヘッド80の下方に設けられる。図6に示すように、メンテナンスユニット9は、トレイユニット90、第1移動機構91、第2移動機構92、第3移動機構93を含む。
【0061】
トレイユニット90は、インク受けトレイ94、キャップトレイ95を含む。インク受けトレイ94は、ラインヘッド80(ノズル)から吐き捨てられるインクを受け、回収するためのトレイである。キャップトレイ95には、乾燥防止キャップが設けられる。ラインヘッド80のノズル面(下面)に乾燥防止キャップを嵌め込むことができる。ラインヘッド80のノズル面を密封することができる。乾燥防止キャップを嵌めることにより、インク成分の蒸発を防ぐことができる。
【0062】
第1移動機構91は搬送ユニット75を水平方向(図1の紙面に対して垂直な方向)で移動させる。印刷のとき、第1移動機構91は、ラインヘッド80の下方となるように、搬送ユニット75を移動、配置する。パージ処理や乾燥防止キャップの嵌め込みのとき、制御部1は、退避位置に向けて搬送ユニット75を第1移動機構91に移動させる。搬送ユニット75の退避位置は、ラインヘッド80の下方から外れる位置である。
【0063】
第2移動機構92は、トレイユニット90を上下方向(垂直方向)で移動させる。パージ処理や乾燥防止キャップの嵌め込みのとき、搬送ユニット75の退避位置への移動後、制御部1は、トレイユニット90を第2移動機構92に上昇させる。これにより、トレイユニット90は、ラインヘッド80の下面に向けて移動する。第2移動機構92は、トレイユニット90をラインヘッド80の下方位置まで移動させる。パージ処理が終わったとき、又は、乾燥防止キャップの嵌め込みを行わないとき、制御部1は、下限位置までトレイユニット90を第2移動機構92に下降させる。下降後、制御部1は、ラインヘッド80の下方に向けて、搬送ユニット75を第1移動機構91に移動させる。
【0064】
第3移動機構93は、ラインヘッド80の下面(ノズル面)と向かい合うトレイを入れ替える機構である。パージ処理のとき、第3移動機構93は、インク受けトレイ94をラインヘッド80の下方に位置させる。乾燥防止キャップの嵌め込みのとき、キャップトレイ95をラインヘッド80の下方に位置させる。
【0065】
ユニット、トレイの移動のため、第1移動機構91、第2移動機構92、第3移動機構93は、モーター、ギア、ベルト、プーリー、ベルト、ワイヤーのような機械要素を含む。制御部1は、モーターの回転を制御し、メンテナンスユニット9の動作を制御する。
【0066】
パージ処理のため、画像形成装置100はポンプ96も含む。パージ処理のとき、制御部1は、ポンプ96を動作させる。ポンプ96は、各ラインヘッド80に送り込む方向に、インクに圧力かける装置である。その結果、全てのノズルからインクがにじみ出す。ノズルからインクが押し出される。この圧力印加で、粘度の上がったインクをノズルの外へ吐き出させることができる。
【0067】
制御部1は、予め定められた実行間隔でパージ処理を行う。実行間隔は、例えば、数十分~60分程度である。操作パネル5は、実行間隔の設定を受け付けてもよい。この場合、制御部1は、設定された実行間隔で、4色の全てのラインヘッド80でパージ処理を行う。印刷ジョブの開始から、又は、先のパージ処理から実行間隔が経過したとき、制御部1は、印刷を一時中止させ、パージ処理を行い、パージ処理後、印刷を再開させる。
【0068】
図7を用いて、パージ使用量の算出の一例を説明する。図7のスタートは、印刷ジョブを開始する時点である。まず、制御部1(制御回路10)はジョブ所要時間を測る(ステップ♯31)。ジョブ所要時間は、印刷開始から終了までの時間である。制御部1はジョブ所要時間をパージ間隔で除してパージ実行回数を求める(ステップ♯32)。例えば、制御部1は小数点以下を切り捨てる。次に、制御部1は、求めたパージ実行回数に1回のパージ処理で使用されるインクの量を乗じてパージ使用量を求める(ステップ♯33)。制御部1は、色ごとにパージ使用量を求める。これにより、1回の印刷ジョブ中に、パージ処理で使用されたインクの量を求めることができる。
【0069】
1回のパージ処理で消費するインク使用量は予め定められる(例えば、1000~数千μl)。また、各色共通である。制御部1は、当該インク使用量と実行回数を乗ずる。4色同時にパージ処理を行う場合、パージ使用量は、全色同じ量となる。
【0070】
このようにして、実施形態に係る画像形成装置100は、ヘッド(ラインヘッド80)、第1制御部(制御部1)、第2制御部(ビデオ制御部4)を含む。ヘッドは複数のノズルを含む。ヘッドはノズルからインクを吐出する。第1制御部は、ヘッドを用いた印刷ジョブを管理する。第1制御部は、印刷ジョブでのインク使用量を算出する。第2制御部は、第1制御部の指示に基づきヘッドでのインク吐出を制御する。インク使用量を算出するとき、第1制御部は、ヘッドでのインクの実際の吐出回数の情報を用いずに、印刷に用いる画像データである印刷用画像データi1に基づきインクを吐出するドット数である推定吐出数を求める。求めた推定吐出数にインク吐出1回あたりの吐出液滴量を乗じた値に基づき、第1制御部は、印刷使用量を求める。印刷使用量は、印刷ジョブの各ページの印刷のために用紙に吐出したインク使用量である。
【0071】
第2制御部から実際のインクの吐出回数のデータを取得せずに、インク使用量(印刷使用量)を正確に算出することができる。インク使用量算出以外の高速処理の妨げとならないように、第1制御部と第2制御部との間でやりとりするデータの量を減らしつつ、インク使用量を正確に算出することができる。
【0072】
第1制御部は、印刷用画像データi1のハーフトーン処理を行って、インク吐出用画像データi2を生成する。第1制御部は、生成したインク吐出用画像データi2を第2制御部に送信する。ハーフトーン処理前の印刷用画像データi1に基づき、第1制御部は推定吐出数を求める。ハーフトーン処理前の画像データ(印刷用画像データi1)に基づき、印刷使用量を算出することができる。画像処理の進展を待たずに印刷使用量の算出を開始することができる。高速に印刷使用量を求めることができる。
【0073】
第2制御部は、印刷に用いる用紙の種類に応じて、吐出液滴量を変更する。第1制御部は、推定吐出数に乗ずる吐出液滴量を、印刷に用いる用紙の種類に応じた値とする。算出に用いる吐出液滴量と、実際の印刷での吐出液滴量とを一致させることができる。正確に印刷使用量を算出することができる。
【0074】
印刷使用量を求めるとき、第1制御部は、印刷用画像データi1の解像度をヘッドの印刷の解像度に合わせるための調整値で推定吐出数を除した値と、吐出液滴量と、を乗じた値を印刷使用量として求める。ラインヘッド80の印刷解像度(ノズルのピッチ)に応じた値に推定吐出数を調整することができる。正確に印刷使用量を算出することができる。
【0075】
第1制御部は、予め定められた算出項目ごとに、1つの印刷ジョブで消費されたインクの量を求める。算出項目のうち1つは、正常印刷使用量である。正常印刷使用量は、エラー無く用紙が機外に排出されたページの印刷使用量の合計である。第1制御部は1ジョブ使用量ファイルを出力する。1ジョブ使用量ファイルは、1つの印刷ジョブについて、算出項目ごとに求めたインク使用量をまとめたデータである。項目別(用途別)に1回の印刷ジョブでのインク使用量を算出することができる。1ジョブ使用量ファイルに基づき、使用者は、1回の印刷ジョブで、どのような用途で、どれほどのインクが使用されたかを容易に把握できる。
【0076】
算出項目のうち1つは、エラー印刷使用量である。エラー印刷使用量は、エラーによって機外に排出されなかったページの印刷使用量の合計である。エラーが生じた用紙でのインク使用量を算出することができる。1ジョブ使用量ファイルに基づき、使用者は、エラーが生じた用紙の印刷でのインク使用量を把握できる。
【0077】
算出項目のうち1つは、パージ使用量である。パージ使用量は、印刷ジョブの途中でなされたパージ処理で使用されたインクの量である。パージ処理は、詰まり防止のためにノズルからインクを吐き捨てる処理である。パージ処理(ノズルの詰まり防止のための処理)でのインク使用量を算出することができる。1ジョブ使用量ファイルに基づき、使用者は、印刷ジョブ中のパージ処理で使用されたインクの量を把握できる。
【0078】
第1制御部は、印刷ジョブの開始から終了までのジョブ所要時間を測る。パージ処理の実行間隔と、1回のパージ処理で使用されるインクの量が予め定められる。第1制御部は、ジョブ所要時間を実行間隔で除した値に基づき、パージ実行回数を求める。第1制御部は、求めたパージ実行回数に1回のパージ処理で使用されるインクの量を乗じてパージ使用量を求める。パージ実行回数を正確に求めることができる。パージ処理で使用されたインクの量を正確に算出することができる。
【0079】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明はインクを用いて印刷する画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
100 画像形成装置 1 制御部(第1制御部)
4 ビデオ制御部(第2制御部) 80 ラインヘッド(ヘッド)
i1 印刷用画像データ i2 インク吐出用画像データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7