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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】タイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/60 20060101AFI20240312BHJP
   B29D 30/30 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B29D30/60
B29D30/30
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019227534
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021094783
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒木 武
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-180899(JP,A)
【文献】特開2004-114616(JP,A)
【文献】特開昭57-138932(JP,A)
【文献】特開2017-052110(JP,A)
【文献】特開平07-178847(JP,A)
【文献】特開2015-071261(JP,A)
【文献】特開2018-079569(JP,A)
【文献】国際公開第2015/181740(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ストリップを第一搬送ベルトで送りつつ、前記ストリップの先端をセンサで検出する工程、
(B)前記先端の検出に基づいて前記第一搬送ベルトの送りを停止し、前記先端を所定位置に位置させる工程、
(C)前記ストリップを前記第一搬送ベルトで回転体に向かって送る工程
及び
(D)前記ストリップを前記回転体の軸方向に移動させながら前記回転体に巻回し、タイヤ用ローカバーのためのゴム部材を形成する工程
を含む、タイヤの製造方法。
【請求項2】
前記工程(A)において、前記ストリップを前記第一搬送ベルトで前記回転体から離れる逆向きに送り、
前記工程(B)において、前記第一搬送ベルトの逆向きの送りを停止する、請求項1に記載のタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記工程(A)において、前記第一搬送ベルトが前記ストリップの下面に接し、前記ストリップの幅より幅が小さい第二搬送ベルトが前記ストリップの上面に接し、前記ストリップを前記第一搬送ベルトと前記第二搬送ベルトとで送りつつ、前記先端の幅方向端部を前記センサで検出する、請求項1又は2に記載のタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、ローカバーから得られる。このローカバーは、複数のゴム部材が組み合わされて形成されている。これらのゴム部材の形成方法として、ストリップを成形フォーマに巻回して形成する方法がある。この方法では、成形フォーマに、又は成形フォーマに形成された他のゴム部材に、ストリップが巻回されて、ゴム部材が形成される。この様なゴム部材の形成方法が、特開2006-110856号公報に開示されている。
【0003】
この形成方法では、ストリップが搬送ベルトで成形フォーマに送られる。このストリップから複数のゴム部材が形成される。一のゴム部材を形成した後に、搬送ベルトは、ストリップを、所定量だけ移動させて、所定位置に位置させる。その後、この所定位置から、搬送ベルトによってストリップが成形フォーマに送られ、次のゴム部材が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-110856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
成形フォーマに巻回されるストリップの貼付位置がずれることがある。この貼付位置のずれは、ゴム部材の形状精度を損なう。この貼付位置のずれは、ゴム部材にベアやエア溜りを生じさせる。形状精度が損なわれたゴム部材は、ローカバーの形状精度を損なう。このようなローカバーは、タイヤの形状精度を損なう。
【0006】
本発明の目的は、形状精度に優れるタイヤの製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るタイヤの製造方法は、
(A)ストリップを第一搬送ベルトで送りつつ、前記ストリップの先端をセンサで検出する工程、
(B)前記先端の検出に基づいて前記第一搬送ベルトの送りを停止し、前記先端を所定位置に位置させる工程、
(C)前記ストリップを前記第一搬送ベルトで回転体に向かって送る工程
及び
(D)前記ストリップを前記回転体に巻回し、タイヤ用ローカバーのためのゴム部材を形成する工程
を含む。
【0008】
好ましくは、この製造方法では、前記工程(A)において、前記ストリップを前記第一搬送ベルトで前記回転体から離れる逆向きに送る。前記工程(B)において、前記第一搬送ベルトの逆向きの送りを停止する。
【0009】
好ましくは、前記工程(A)において、前記第一搬送ベルトが前記ストリップの下面に接し、前記ストリップの幅より幅が小さい第二搬送ベルトが前記ストリップの上面に接し、前記ストリップを前記第一搬送ベルトと前記第二搬送ベルトとで送りつつ、前記先端の幅方向端部を前記センサで検出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るタイヤの製造方法では、送られるストリップの先端は所定位置で停止する。所定位置に先端があるストリップが回転体に送られる。この製造法は、ストリップの貼付位置のずれが抑制される。この製造方法は、ストリップが巻回されて形成されるゴム部材の形状精度に優れる。このゴム部材を用いて得られるローカバーは、形状精度に優れる。このローカバーから得られるタイヤは、形状精度に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤの製造方法に使用される成形装置の一部が示された説明図である。
図2図2は、図1の成形装置の使用状態が示された側面説明図である。
図3図3は、図1の成形装置の他の使用状態が示された側面説明図である。
図4図4は、図1の成形装置の更に他の使用状態が示された側面説明図である。
図5図5は、図1の成形装置の更に他の使用状態が示された側面説明図である。
図6図6は、図5の矢印VI向きに見た成形装置の使用状態が示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
図1に示された成形装置2は、回転体としての成形ドラム4、アプリケータ6、搬送装置8、切断装置10及びセンサ12を備える。図1には、成形装置2と共に、ストリップ14が示されている。図示されないが、この成形装置2は、更に、制御装置、フェスツーン及び押し出し機を備える。図1の矢印Xは成形装置2の前後方向前向きを表し、矢印Yは左右方向左向きを表し、矢印Zは上下方向上向きを表している。
【0014】
図示されないが、押し出し機は、所定の断面形状を備える長尺の帯状のストリップ14を押し出し成形する機能を備える。ストリップ14は、押し出し機に投入されたゴム材料から得られる。フェスツーンは、押し出し機と搬送装置8との間に位置する。フェスツーンは、押し出し機から連続して押し出されるストリップ14を貯蔵する機能を備える。
【0015】
成形ドラム4は円筒形状を備え、ストリップ14が巻回される外周面4Aを備える。成形ドラム4は、その軸線周りに回転可能である。ここでは、回転体として成形ドラム4を例に説明がされるが、これに限られない。回転体として、タイヤの形状に近似する形状を備える成形フォーマが用いられてもよい。
【0016】
アプリケータ6は、第一コンベア16、第二コンベア18及び貼付装置20を備える。アプリケータ6は、成形ドラム4と搬送装置8との間に位置する。図示されないが、アプリケータ6は、第一コンベア16、第二コンベア18及び貼付装置20を、前後方向、左右方向及び上下方向に移動させる移動装置を更に備える。この移動装置によって、第一コンベア16、第二コンベア18及び貼付装置20は、成形ドラム4の軸方向に移動可能であり、成形ドラム4の半径方向に移動可能である。
【0017】
第一コンベア16は、前方に位置するローラ16Aと、後方に位置するローラ16Bと、ローラ16Aとローラ16Bとに掛け渡された第一搬送ベルト22とを備える。第二コンベア18は、第一コンベア16の上方に位置する。第二コンベア18は、前方に位置するローラ18Aと、後方に位置するローラ18Bと、ローラ18Aとローラ18Bとに掛け渡された第二搬送ベルト24とを備える。
【0018】
貼付装置20は、貼付ローラ20A及び支持体20Bを備える。支持体20Bは第一コンベア16に取り付けられている。貼付ローラ20Aは、支持体20Bに支持されて、第一コンベア16の前方に位置している。貼付ローラ20Aは、その軸線周りに回転可能である。
【0019】
搬送装置8は、図示されないフェスツーンとアプリケータ6との間に位置する。搬送装置8は、前方に位置するローラ8Aと、後方に位置するローラ8Bと、ローラ8Aとローラ8Bとに掛け渡された第三搬送ベルト26とを備える。切断装置10は、搬送装置8の上方に位置している。
【0020】
センサ12は、支持体12A、回動体12B及びローラ12Cを備える。支持体12Aは、第一コンベア16に取り付けられている。回動体12Bの基端部は、支持体12Aに回動可能に取り付けられている。回動体12Bの先端部に、ローラ12Cが取り付けられている。このローラ12Cは、第一搬送ベルト22に接近する位置と第一搬送ベルト22から離れる位置との間で回動可能である。このローラ12Cは、第一搬送ベルト22に向かって付勢されている。
【0021】
制御装置は、アプリケータ6、搬送装置8、切断装置10及びセンサ12を制御する機能を備えている。制御装置は、センサ12から検出信号を受信する機能を備える。制御装置は、センサ12の検出信号に基づいて、第一搬送ベルト22、第二搬送ベルト24及び第三搬送ベルト26の送りと逆送りと停止とを制御する機能を備える。
【0022】
図2には、成形装置2の使用状態が示されている。図2左右方向が成形装置2の前後方向であり、紙面に垂直な方向が左右方向である。図2の矢印F22は、第一搬送ベルト22の送り向きを表している。同様に、矢印F24は第二搬送ベルト24の送り向きを、矢印F26は第三搬送ベルト26の送り向きを表している。矢印Fは、成形ドラム4の回転向きを表している。
【0023】
図2では、第一搬送ベルト22は反時計回りに送られている。第二搬送ベルト24は時計回りに送られている。第三搬送ベルト26は反時計回りに送られている。成形ドラム4は、反時計回りに回転している。図2では、第一搬送ベルト22及び第三搬送ベルト26がストリップ14の下面14Aに接している。第一搬送ベルト22及び第三搬送ベルト26は、ストリップ14を支持しつつ送っている。第二搬送ベルト24がストリップ14の上面14Bに接している。ストリップ14は、搬送装置8とアプリケータ6とで成形ドラム4に向かって送られ、成形ドラム4に巻回されている。切断装置10は待避位置にある。センサ12のローラ12Cがストリップ14に当接している。貼付装置20の貼付ローラ20Aは、ストリップ14を成形ドラム4に向かって押し付けている。
【0024】
図3では、図2の使用状態から、ストリップ14が更に成形ドラム4に巻回されている。切断装置10が、ストリップ14を切断している。この切断によって、ストリップ14からストリップ分割体28が切り分けられている。この切断によって、ストリップ14には新たな先端30が形成される。その他の使用状態は、図2の使用状態と同様にされている。
【0025】
図4では、ストリップ分割体28が図3の状態から更に成形ドラム4に巻回されている。ストリップ分割体28は成形ドラム4に巻回され、ゴム部材32を形成している。第一搬送ベルト22、第二搬送ベルト24及び第三搬送ベルト26は、停止している。ストリップ14の先端30は、第一コンベア16と成形ドラム4との間に位置している。切断装置10は待避位置にある。その他の使用状態は、図3の使用状態と同様にされている。
【0026】
図5では、第一搬送ベルト22、第二搬送ベルト24及び第三搬送ベルト26は、停止している。ストリップ14の先端30は、第一搬送ベルト22の上に位置している。このストリップ14の先端30は、所定位置としての待機位置に位置している。センサ12のローラ12Cが第一搬送ベルト22に当接している。このセンサ12は、回動体12Bの回動によって、ローラ12Cと第一搬送ベルト22との間にストリップ14がないことを検出している。成形ドラム4には、ストリップ14が巻回されていない。貼付装置20の貼付ローラ20Aは、成形ドラム4から離れた位置にある。その他の使用状態は、図1の使用状態と同様にされている。
【0027】
図6には、図5の矢印VIの向きに見た部分拡大図が示されている。図5の両矢印W14は、ストリップ14の幅を表している。両矢印W22は、第一搬送ベルト22の幅を表している。両矢印W24は、第二搬送ベルト24の幅を表している。第一搬送ベルト22の幅W22は、ストリップ14の幅W14より大きい。第二搬送ベルト24の幅W24は、ストリップ14の幅W14より小さい。
【0028】
ここで、成形装置2を用いてタイヤの製造方法が説明される。図4に示される様に、成形ドラム4にゴム部材32が形成されている。ストリップ14の先端30は、その待機位置より成形ドラム4に近い停止位置に位置している(STEP1)。
【0029】
このゴム部材32は、成形ドラム4から外され次工程に送られる。この成形装置2では、第一コンベア16の第一搬送ベルト22と、第二コンベア18の第二搬送ベルト24と、搬送装置8の第三搬送ベルト26とが、ストリップ14を成形ドラム4から離れる逆向きに送る。センサ12が逆向きに送られるストリップ14の幅方向端部で先端30を検出する。制御装置は、センサ12が先端30を検出したときに、ストリップ14の逆向きの送りを停止する(STEP2)。この様にして、図5に示され様に、先端30は待機位置に位置させられる。
【0030】
図5の状態から、第一搬送ベルト22、第二搬送ベルト24及び第三搬送ベルト26が、ストリップ14を成形ドラム4に向かって送る。ストリップ14の先端30が、成形ドラム4の所定の貼付位置に、貼付装置20の貼付ローラ20Aで貼り付けられる。ストリップ14が、成形ドラム4に巻回される(STEP3)。このSTEP3では、成形ドラム4を回転させつつ、第一コンベア16、第二コンベア18及び貼付装置20が、成形ドラム4の軸方向及び半径方向に移動する。この様にして、成形装置2は図2の使用状態にされる。
【0031】
その後、図3に示される様に、ストリップ14が、切断装置10で切断される。この切断されたストリップ分割体28の後端部と、ストリップ14とが、第一搬送ベルト22、第二搬送ベルト24及び第三搬送ベルト26で、成形ドラム4に向かって送られる。
【0032】
図4に示される様に、ストリップ分割体28が成形ドラム4に巻回されてゴム部材32が形成される。ストリップ分割体28が第一搬送ベルト22及び第二搬送ベルト24から離れた後に、第一コンベア16、第二コンベア18、搬送装置8の送りが停止される。この停止により、先端30は待機位置より成形ドラム4に近い停止位置に位置させられる。この様にして、成形装置2は、図4の使用状態から、図5図2及び図3の使用状態を経て、図4の使用状態に戻る。
【0033】
このゴム部材32と他のゴム部材とが組み合わされてローカバーが形成される(STEP4)。このローカバーが加圧及び加熱され、ローカバーからタイヤが得られる(STEP5)。
【0034】
このタイヤの製造方法では、この工程(STEP1)から工程(PTEP3)が繰り返されて、ゴム部材32が繰り返し形成される。
【0035】
ここでは、成形ドラム4にゴム部材32が形成されたが、成形ドラム4に他のゴム部材が形成されており、この他のゴム部材の外側にゴム部材32が形成されてもよい。また、成形ドラム4に代えて、回転体としてタイヤ形状に近似した成形フォーマが用いられてもよい。この成形フォーマに、又は、この成形フォーマに形成された他のゴム部材の外側に、ゴム部材32が形成されてもよい。
【0036】
この工程(STEP2)では、ストリップ14が逆向きに送られて、その先端30が停止位置から待機位置に位置させられる。第一搬送ベルト22には、長期の使用によって伸びが生じる。この伸びは、第一搬送ベルト22での送り量に基づいて所定量だけ逆送りする場合に、その逆送り後の停止位置にバラツキを生じさせる。この伸びは、第一搬送ベルト22の送り量に基づいて逆送りされるストリップ14の、先端30の戻り位置と待機位置とにずれを生じさせる。第二搬送ベルト24の伸びも、第一搬送ベルト22のそれと同様に、先端30の戻り位置と待機位置とにずれを生じさせる。
【0037】
この製造方法では、ストリップ14の先端30がセンサ12で検出される。先端30が待機位置からずれることを抑制できる。先端30が待機位置に位置することで、この先端30は、成形ドラム4の貼付位置に高精度に貼り付けられる。この先端30は、成形ドラム4の周方向及び軸方向において、貼付位置からずれることが抑制される。これにより、この製造方法は、ゴム部材32の形状精度に優れる。ゴム部材32にエア溜りが生じることが抑制される。このゴム部材32を含むタイヤ用ローカバーは、形状精度に優れる。
【0038】
この製造方法では、ストリップ14は、第一搬送ベルト22と第二搬送ベルト24とに挟まれて送られる。これにより、送られるストリップ14の位置がずれることが抑制されている。この製造方法は、ストリップ14を高精度に位置決めできる。更に、この製造方法では、第二搬送ベルト24の幅W24がストリップ14の幅W14より小さいので、センサ12はストリップ14の幅方向端部で先端30を検出できる。この製造方法では、第二搬送ベルト24を使用していても、先端30の位置をセンサ12で検出することが容易にされている。なお、ここでは、センサ12を例に説明したが、本発明に係るセンサは先端30を検出可能であればよく、例えば、光学式センサであってもよい。
【0039】
この工程(STEP2)では、ストリップ14が逆向きに送られて、その先端30が待機位置に位置させられたが、これに限られない。第一搬送ベルト22によって送られるストリップ14において、先端30の戻り位置と待機位置とのずれが抑制されればよい。工程(STEP2)では、ストリップ14が成形ドラム4に近づく向きに送られて、センサ12が先端30を検出したときに、ストリップ14の送りが停止されてもよい。これにより、ストリップ14の先端30が待機位置に位置させられる。この製造方法では、例えばストリップ14にシュリンク等が生じた場合にも、ストリップ14の先端30の戻り位置と待機位置とのずれが抑制されうる。
【実施例
【0040】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0041】
[実施例1]
図1に示される成形装置を用いて、トレッドを構成するトレッド部材が形成された。同様に、インナーライナーを構成するインナーライナー部材が形成された。同様に、サイドウォールを構成するサイドウォール部材が形成された。このトレッド部材、インナーライナー部材及びサイドウォール部材を含むローカバーが製造された。このローカバーからタイヤが得られた。
【0042】
[比較例1]
トレッド部材、インナーライナー部材及びサイドウォール部材が、ストリップの先端を検出するセンサを用いずに従来の方法で形成された。この従来の方法では、第一搬送ベルトと第二搬送ベルトとの送り量に基づいて設定された所定量だけ、ストリップ14が逆送りされた。このトレッド部材、インナーライナー部材及びサイドウォール部材を含むローカバーが形成された。このローカバーからタイヤが得られた。
【0043】
[実施例2]
サイドウォール部材が、ストリップの先端を検出するセンサを用いずに、従来の方法で形成された。その他は、実施例1と同様にして、ローカバーが形成された。このローカバーからタイヤが得られた。
【0044】
[実施例3]
インナーライナー部材及びサイドウォール部材が、ストリップの先端を検出するセンサを用いずに従来の方法で形成された。その他は、実施例1と同様にして、ローカバーが形成された。このローカバーからタイヤが得られた。
【0045】
[位置ずれの測定]
ストリップの先端の戻り位置と待機位置との位置ずれが測定された。表1には、この位置ずれの大きさが、比較例1を100とする指数で表されている。この指数は、小さいほど位置ずれが小さく、好ましい。
【0046】
[設備停止]
成形ドラムに巻回されるストリップの巻回不良による、成形装置の停止回数が記録された。この評価結果が表1に示されている。この評価結果が比較例1を100とする指数で表されている。この指数は、小さいほど停止回数が少なく、好ましい。
【0047】
[形状評価]
形成されたローカバーが検査された。ベアやエア溜り等の形状不良が評価された。この評価結果が表1に示されている。この評価結果が比較例1を100とする指数で表されている。この指数は、小さいほど形状精度に優れ、好ましい。
【0048】
[DB評価]
タイヤのユニフォミティの評価として、得られたタイヤのダイナミックバランス(DB)が評価された。この評価結果が表1に示されている。この評価結果が比較例1を100とする指数で表されている。この指数は、大きいほどダイナミックバランスに優れ、好ましい。
【0049】
【表1】
【0050】
表1に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明された方法は、ストリップが巻回されて形成されるゴム部材を含むタイヤ用ローカバーの製造に広く適用されうる。
【符号の説明】
【0052】
2・・・成形装置
4・・・成形ドラム(回転体)
6・・・アプリケータ
10・・・切断装置
12・・・センサ
14・・・ストリップ
16・・・第一コンベア
18・・・第二コンベア
20・・・貼付装置
22・・・第一搬送ベルト
24・・・第二搬送ベルト
26・・・第三搬送ベルト
30・・・先端
32・・・ゴム部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6