(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240312BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20240312BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20240312BHJP
B65H 16/08 20060101ALI20240312BHJP
B65H 23/035 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J29/13
B41J2/01 301
B41J15/04
B65H16/08
B65H23/035
(21)【出願番号】P 2019228982
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】木下 政昭
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 人志
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-177828(JP,A)
【文献】特開平07-330194(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116470(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0278702(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 29/13
B41J 15/04
B65H 16/08
B65H 23/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体がロール状に巻かれたロール体を支持し、前記ロール体から繰り出される前記媒体に記録可能な記録装置であって、
筐体と、
前記ロール体を支持可能なロールユニットと、を備え、
前記ロールユニットは、
前記ロール体を支持しない状態で前記筐体の内部に収容される第1形態と、前記筐体の内部から前記筐体の外部に引き出され、前記ロール体を支持可能な状態となる第2形態と、に移行可能であ
り、かつ、前記ロール体の長手方向に沿った側方であって、前記ロール体から繰り出される前記媒体の搬送方向の下流側を支持可能な側方支持ローラーを備え、
前記側方支持ローラーは、
前記第1形態では、前記ロールユニットにおける下方となる第1位置に位置し、前記第2形態では、前記第1位置よりも高い位置となる第2位置に移動して、前記ロール体の側方を支持する、記録装置。
【請求項2】
媒体がロール状に巻かれたロール体を支持し、前記ロール体から繰り出される前記媒体に記録可能な記録装置であって、
底面に設置部が固定される筐体と、
前記ロール体を支持可能なロールユニットと、を備え、
前記ロールユニットは、
前記ロール体を支持しない状態で前記筐体の内部に収容される第1形態と、前記筐体の内部から前記筐体の外部に引き出され、前記ロール体を支持可能な状態となる第2形態と、に移行可能であり、前記第1形態において前記設置部を回避可能な切り欠き部を備える、記録装置。
【請求項3】
媒体がロール状に巻かれたロール体を支持し、前記ロール体から繰り出される前記媒体に記録可能な記録装置であって、
底面に設置部が固定される筐体と、
前記ロール体を支持可能なロールユニットと、を備え、
前記ロールユニットは、
前記ロール体を支持しない状態で前記筐体の内部に収容される第1形態と、前記筐体の内部から前記筐体の外部に引き出され、前記ロール体を支持可能な状態となる第2形態と、に移行可能であり、前記第1形態において前記設置部を回避可能な切り欠き部を備え、かつ、前記ロール体の長手方向に沿った側方であって、前記ロール体から繰り出される前記媒体の搬送方向の下流側を支持可能な側方支持ローラーを備え、
前記側方支持ローラーは、
前記第1形態では、前記ロールユニットにおける下方となる第1位置に位置し、前記第2形態では、前記第1位置よりも高い位置となる第2位置に移動して、前記ロール体の側方を支持する、記録装置。
【請求項4】
請求項1
から請求項3のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記ロールユニットは、
前記ロール体の下部を支持する下部支持ローラーを備える、記録装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記ロールユニットは、
前記ロール体の長手方向端部を挟持可能なエッジガイドを備える、記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、ロール状の記録媒体を保持するロールユニットが装置本体に着脱可能に構成された記録装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記記録装置では、ロールユニットを装置本体から外した場合、ロールユニットの容積分は小型化されるが、装置本体から外されたロールユニットを保管するスペースが別途必要になり、ロールユニットを含む装置全体の省スペース化に至っていない、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
記録装置は、媒体がロール状に巻かれたロール体を支持し、前記ロール体から繰り出される前記媒体に記録可能な記録装置であって、筐体と、前記ロール体を支持可能なロールユニットと、を備え、前記ロールユニットは、前記ロール体を支持しない状態で前記筐体の内部に収容される第1形態と、前記筐体の内部から前記筐体の外部に引き出され、前記ロール体を支持可能な状態となる第2形態と、に移行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1及び
図2に示す記録装置30は、シリアル印刷方式のインクジェットプリンターである。
図1は記録装置30の前方斜視図であり、
図2は後方斜視図である。
記録装置30は、略直方体状の筐体31を備える。記録装置30の筐体31の+Z方向となる上面31Aには、記録する前の媒体としての用紙Mをユーザーがセット可能な給送トレイ32が設けられている。給送トレイ32にセットされた用紙Mは給送口33を通じて記録装置30の筐体31内へ給送される。なお、
図1では、給送トレイ32が給送口33を開状態に保持する開位置の状態を示し、
図2は、給送トレイ32が給送口33を閉状態に保持する閉位置の状態を示す。
【0008】
記録装置30の筐体31の+Y方向となる前部には、記録装置30が記録した用紙Mを排出する排出口35と、排出口35から排出された記録後の用紙Mが積載される排出トレイ36とが設けられている。記録装置30の筐体31の前面下部には開閉式のカバー37が設けられ、記録装置30の筐体31内に収容された排出トレイ36は、閉じられたカバー37によって覆われる。
【0009】
また、記録装置30の筐体31の上面31Aには、操作パネル38が設けられている。操作パネル38は、電源ボタン等の操作部39と、液晶ディスプレイ等よりなる表示部40とを備える。表示部40にはメニューや各種のメッセージ等が表示される。記録装置30は、ホスト装置(図示略)と通信可能に接続され、ホスト装置から記録データを受信すると、給送トレイ32にセットされた用紙Mを給送機構(図示略)により給送し、その給送された用紙Mに記録データに基づく画像を記録する記録動作を行う。
【0010】
記録装置30の筐体31内には、用紙Mにインク等の液体を吐出する記録ヘッド41を有するキャリッジ42が用紙Mの搬送方向に直交するX軸(走査方向)に沿って往復移動可能に設けられている。キャリッジ42が走査方向に沿って移動する過程で記録ヘッド41が液滴を吐出して1パス分の記録を行う記録動作と、次の記録位置まで用紙Mを搬送する搬送動作とを交互に行うことで、用紙Mに画像又は文書が記録される。
【0011】
記録装置30の筐体31内の前部には、排出トレイ36を挟む両側の部分のうち一方又は両方に、記録に用いられるインク等の液体を収容するインクカートリッジ等の液体収容体を着脱可能に装着される装着部(いずれも図示略)が設けられている。なお、本例では、液体収容体が、キャリッジ42とは別の位置に配置されるオフキャリッジタイプであるが、液体収容体がキャリッジ42に着脱可能に搭載されるオンキャリッジタイプであってもよい。また、記録装置30は、シリアル記録方式に限定されず、記録ヘッド41が用紙Mの最大幅の全域に亘り配置された長尺状のラインヘッドであり、用紙Mの幅全域に一斉に液滴を吐出可能なライン記録方式であってもよい。
【0012】
給送トレイ32は、収容部材50、第1部材100、及び第2部材150によって構成される3段構造の媒体支持構造を有している。給送トレイ32は、収容部材50に対して第1部材100及び第2部材150が収容された収容状態と、ユーザーの操作によって第1部材100及び第2部材150が収容部材50から引き出されて、収容部材50、第1部材100、及び第2部材150によって用紙Mを支持可能な展開状態と、を有する。
図1に示すように、給送トレイ32が開位置では展開状態となり、
図2に示すように、給送トレイ32が閉位置では収容状態となる。
【0013】
図2に示すように、給送トレイ32は、収容状態にあるときに閉位置に配置されることにより給送口33を閉状態に保持し、記録装置30の筐体31の上面31Aとほぼ面一となる。
図1に示すように、給送トレイ32は、開位置に配置されることにより給送口33を開状態に保持する。
【0014】
排出トレイ36は、記録を行った後の用紙Mが配置される部位である。排出トレイ36は、排出側第1部材200及び排出側第2部材250によって構成される2段構造の媒体支持構造を有している。
【0015】
排出トレイ36は、排出側第1部材200に対して排出側第2部材250が収容された収容状態と、排出側第1部材200から排出側第2部材250が引き出されて排出側第1部材200及び排出側第2部材250によって用紙Mを支持可能な展開状態と、を有する。排出トレイ36は、記録装置30の筐体31に収容状態で収容されている。排出側第1部材200は、記録装置30の筐体31に対して手前側に引出可能に連結されている。排出トレイ36は、記録装置30の筐体31に形成された排出口35が開状態にあるときに排出側第1部材200及び排出側第2部材250が記録装置30の筐体31から引き出されることにより展開状態に移行する。
【0016】
記録装置30は、給送口33から記録ヘッド41を介して排出口35に向けて用紙Mを搬送する搬送ローラー43,44,45を備える(
図4参照)。搬送ローラー43,44,45は、駆動モーターに接続され、駆動モーターの駆動によって回転する。搬送ローラー43,44,45の回転によって用紙Mが搬送される。
【0017】
また、
図3に示すように、本実施形態の記録装置30は、長尺の用紙Mがロール状に巻かれたロール体MAを支持し、当該ロール体MAから繰り出される用紙Mに対して記録可能に構成される。すなわち、本実施形態の記録装置30は、用紙Mが単票の形態であってもロール体MAの形態であっても対応可能に構成される。また、本実施形態の記録装置30は、例えば、A4サイズ、A3サイズ、A3ノビサイズ等の各用紙幅に対応したロール体MAを適用可能に構成される。
【0018】
記録装置30は、ロール体MAを支持するロールユニット300を備える。
図2に示すように、ロールユニット300は筐体31の内部に収容可能に構成される。
そして、ロール体MAを用いて記録を行う場合には、
図3に示すように、筐体31に取り付けられる蓋部34を閉状態から開状態とし、筐体31の内部に収容されたロールユニット300を、蓋部34が開状態となることで筐体31に出現する開口31Bを介して筐体31の外部に引き出して使用する。具体的には、筐体31の内部に収容されたロールユニット300を-Y方向に移動させることで、ロールユニット300は筐体31の外部に露出する。ロールユニット300は、筐体31に対して、規定の位置で-Y方向への移動が規制される。また、ロールユニット300を+Y方向に移動させることで、ロールユニット300を筐体31内に収容することができる。
すなわち、本実施形態の記録装置30のロールユニット300は、筐体31の内部に収容される第1形態と、筐体31の内部から筐体31の外部に引き出され、ロール体MAを支持可能な状態となる第2形態と、に移行可能に構成される。
以下、ロールユニット300の構成及び各形態について詳細に説明する。
【0019】
図4は、ロールユニット300が筐体31の内部に収容される第1形態を示す。ロールユニット300は、筐体31の-Y方向端部であり、-Z方向端部に収容される。本実施形態ではロールユニット300は、ロール体MAから繰り出された用紙Mの搬送経路を構成する用紙搬送板46の下方に収容される。筐体31の内部に収容されたロールユニット300の-Y方向側は、筐体31に取り付けられる板状の蓋部34によって覆われる。
ここで、第1形態におけるロールユニット300の筐体31内部への収容とは、
図2に示すように、記録装置30の底面をXY面に設置した際、ロールユニット300が閉状態の蓋部34を含む筐体31の外形からはみ出ることなく、外観においてロールユニット300が筐体31で覆われる状態をいう。すなわち、第1形態において記録装置30を底面側については、ロールユニット300が覆われた構成でもよいし、露出した構成であってもよい。なお、本実施形態では、第1形態において記録装置30を底面側から見たとき、排出トレイ36が筐体31に収容状態で収容されている場合は、ロールユニット300は排出トレイ36によって覆われる。一方、排出トレイ36が筐体31から引き出されて展開状態の場合は、ロールユニット300は露出した状態となる。
【0020】
第1形態では、ロールユニット300はロール体MAを支持しない状態で筐体31内部に収容される。このため、ロール体MAの容積分のスペースが省かれ、筐体31の外形寸法を小型化することができる。また、記録を行う場合には、第1形態から第2形態に移行され、ロールユニット300は筐体31の外部に出現する。第2形態においてロール体MAを支持可能となり、ロールユニット300がロール体MAを支持することで記録が可能となる。これにより、ロールユニット300を含む構成であっても、記録装置30の全体の省スペース化を図ることできる。
【0021】
図5、
図6及び
図7に示すように、ロールユニット300は、ロール体MAの下部を支持する下部支持ローラー310を備える。すなわち、下部支持ローラー310は、ロール体MAの荷重を受ける位置に配置される。
本実施形態では、ロールユニット300は、複数の下部支持ローラー310(310a,310b)を備える。具体的には、下部支持ローラー310はロールユニット300の板状の基体301の長手方向となる-X方向側と+X方向側にそれぞれ2つずつ配置される。基体301の長手方向にそれぞれ配置された下部支持ローラー310aと下部支持ローラー310bは、Y軸に沿って配置される。
【0022】
下部支持ローラー310は従動ローラーであり、搬送ローラー44の駆動により、ロール体MAが
図5において反時計回りに回転する。下部支持ローラー310はロール体MAの回転に伴い回転する。
【0023】
図5に示すように、下部支持ローラー310a及び下部支持ローラー310bは、水平方向において、支持されるロール体MAの軸心を挟むように配置される。これにより、ロール体MAを安定した状態で支持することができる。また、下部支持ローラー310a及び下部支持ローラー310bは、ロール体MAから用紙Mが繰り出されることによってロール体MAの径が小さくなった場合でも、ロール体MAの外周面に接触する位置に設けられる。これにより、ロール体MAの下部を面で支持する構成に比べて摩擦抵抗が抑えられ、用紙Mの搬送性を向上させることができる。また、ロール体MAの損傷等の発生を抑制できる。
【0024】
また、ロールユニット300は、ロール体MAの長手方向に沿った側方であって、ロール体MAから繰り出される用紙Mの搬送方向の下流側を支持可能な側方支持ローラー320を備える。すなわち、側方支持ローラー320は、ロール体MAの軸心に対して+Y方向側の側方を支持する。本実施形態では、ロールユニット300は、複数の側方支持ローラー320を備える。具体的には、側方支持ローラー320は基体301の長手方向となる-X方向側と+X方向側にそれぞれ1つずつ配置される。
【0025】
側方支持ローラー320は従動ローラーであり、ロール体MAの回転に伴い回転する。側方支持ローラー320は、第2形態においてロール体MAの+Y方向への移動を規制する。これにより、ロール体MAの搬送方向側へのずれが抑制され、用紙Mの搬送性を向上させることができる。
【0026】
本実施形態では、側方支持ローラー320を回転可能に支持するアーム部321を備える。アーム部321は、軸322を介して基体301に取り付けられる。側方支持ローラー320は、アーム部321の先端に取り付けられる。軸322は、アーム部321において側方支持ローラー320とは反対側の基端に設けられる。
【0027】
また、側方支持ローラー320は、第1形態においてロールユニット300における下方となる第1位置Pt1と、第2形態において第1位置Pt1よりも高い位置となる第2位置Pt2とに移動可能に構成される(
図8、
図9参照)。
【0028】
図8に示すように第1形態では、側方支持ローラー320は第1位置Pt1に位置する。すなわち、側方支持ローラー320は基体301側に位置する。これにより、ロールユニット300の高さ方向に関してよりコンパクトに収容可能となる。
【0029】
ここで、用紙搬送板46の-Z方向側の下面には、-Z方向に向けて凸状の突起部47が設けられる。さらに詳細には、突起部47は、用紙搬送板46の-Y方向端部に設けられる。また、突起部47は、Y軸においてアーム部321と重なる位置に設けられる。第1形態において、アーム部321と突起部47とは接触しておらず、突起部47は、アーム部321よりも-Y方向に位置する。
【0030】
そして、ロールユニット300を筐体31の内部から-Y方向に引き出す過程において、アーム部321の上部に突起部47が接触する。すると、アーム部321は-Y方向への移動が規制され、軸322を中心に
図9において反時計回り回転する。
図9に示すように、ロールユニット300が第2形態に到達するとアーム部321の回転移動が止まり、側方支持ローラー320が第2位置Pt2で保持される。側方支持ローラー320が第2位置Pt2に位置することでロール体MAの側方を支持可能な状態となる。
【0031】
また、ロールユニット300は、ロール体MAの長手方向端部を挟持可能なエッジガイド330を備える。エッジガイド330は、基体301の-X方向側と+X方向側とに設けられる。エッジガイド330は、基体301から+Z方向に凸状を有するガイド部を有する。2つのエッジガイド330は、基体301のX軸に沿った方向における中心軸T1に対して線対称となるように位置する。エッジガイド330は、支持するロール体MAを挟み込むようにロール体MAの長手方向の両端部に接触することによって、ロール体MAの位置を規定する。
【0032】
2つのエッジガイド330は、互いに連動するように構成される。2つのエッジガイド330は、中心軸T1に対して線対称となるように移動する。例えば、一方のエッジガイド330を中心軸T1に近づくように移動させると、他方のエッジガイド330も中心軸T1に近づくように移動する。これにより、支持するロール体MAの長手方向のサイズに対応することができる。エッジガイド330により位置を規定されたロール体MAは、ロール体MAの軸方向における中心を中心軸T1が通過するように位置する。そのため、ロール体MAが安定した状態で支持される。
【0033】
本実施形態では、ロールユニット300の-X軸方向側に位置する下部支持ローラー310a,310bは、-X軸方向側に設けられたエッジガイド330に取り付けられ、ロールユニット300の+X軸方向側に位置する下部支持ローラー310a,310bは、+X軸方向側に設けられたエッジガイド330に取り付けられる。従って、エッジガイド330が移動すると、取り付けられた下部支持ローラー310a,310bも移動する。
これにより、ロール体MAの長手方向のずれが抑制され、用紙Mの搬送性を向上させることができる。また、本実施形態では、ロール体MAの長手方向の両端部を支持するスピンドル等の部材を省略できるため、ロールユニット300の構成を簡略化でき、記録装置30の小型化を図ることができる。
【0034】
次に、第2形態から第1形態に移行する際のエッジガイド330の操作性について説明する。
例えば、ロールユニット300にA3ノビサイズの用紙Mのロール体MAを支持した場合、両エッジガイド330が基体301のX軸に沿った方向における両端部から外側にはみ出た状態となる。この場合、基体301のX軸に沿った方向の寸法よりも、X軸に沿った方向のエッジガイド330間の寸法の方が大きくなる。また、筐体31の開口31BのX軸に沿った方向の寸法よりも大きくなる。このため、両エッジガイド330が基体301の外側にはみ出た状態では、エッジガイド330が筐体31に接触し、ロールユニット300を筐体31内に収容させることができない。そのため、一旦、両エッジガイド330を基体301の内側に移動させたのちに筐体31側に移動する必要があり、効率的な操作性を得られない。
【0035】
そこで、本実施形態では、第2形態において両エッジガイド330が基体301の外側にはみ出た状態まま筐体31側に移動させても、移動させる過程で両エッジガイド330を中心軸T1側に移動させることで第1形態に移行させることができる。
具体的には、
図10に示すように、筐体31内のフレーム31Cに中心軸T1側に向けて凸状を成す凸部340が設けられる。凸部340は、両エッジガイド330に対応して設けられる。
そして、ロールユニット300を+Y方向に移動させると、各エッジガイド330の外側面330Aが凸部340と接触する。エッジガイド330が凸部340に接触すると、凸部340に倣ってエッジガイド330が中心軸T1側に移動する。これにより、両エッジガイド330間の寸法が狭くなり、ロールユニット300が筐体31内に移動でき、第1形態に移行することができる。このため、ユーザーが予めエッジガイド330を中心軸T1側に移動させる必要がないので、操作性を向上させることができる。
【0036】
一方、第2形態において両エッジガイド330間の寸法が、規定よりも狭い状態であっても、ロールユニット300を筐体31側に移動させる過程で両エッジガイド330を中心軸T1側から離れる方向に移動させることで第1形態に移行させることができる。
具体的には、
図11に示すように、筐体31内に中心軸T1側とは反対方向に向けて凸状を成す凸部341が設けられる。凸部341は、両エッジガイド330に対応して設けられる。
そして、ロールユニット300を+Y方向に移動させると、各エッジガイド330の内側面330Bが凸部341と接触する。エッジガイド330が凸部341に接触すると、凸部341に倣ってエッジガイド330が中心軸T1から離れる方向に移動する。これにより、両エッジガイド330間の寸法が広くなった状態で第1形態に移行することができる。なお、本実施形態の凸部341は、記録装置30の筐体31の底面に配置された設置部400に配置される。具体的には、凸部341は、設置部400の-Y方向端部であって、-X方向端部と+X方向端部とにそれぞれ配置される。このため、ロールユニット300と設置部400との干渉を避けて第1形態に移行させることができる。
【0037】
設置部400は、例えば電源供給ユニットである。電源供給ユニットは、各駆動部に対して駆動電力を供給するのもある。本実施形態の設置部400は、筐体31の底面の-Y方向側であり、X軸においてほぼ中央部に配置される。
ロールユニット300は、
図7及び
図12に示すように、第1形態において設置部400を回避可能な切り欠き部350を備える。
設置部400は、平面視において矩形を成す。切り欠き部350は、設置部400の外形を成す3辺と対向するように凹部を成す。切り欠き部350のX軸に沿った方向の寸法は、設置部400のX軸に沿った方向の寸法よりも大きい。また、切り欠き部350のY軸に沿った方向の寸法は、設置部400のY軸に沿った方向の寸法と同等である。
【0038】
第1形態において切り欠き部350に設置部400が収まる。換言すれば、X軸方向においてロールユニット300と設置部400とが重なる。
これにより、第1形態においてロールユニット300は設置部400に干渉しないように収容可能となる。そして、ロールユニット300を必要最低限の大きさで構成し、記録装置30全体の省スペース化を図ることができる。
【符号の説明】
【0039】
30…記録装置、31…筐体、34…蓋部、41…記録ヘッド、42…キャリッジ、43,44,45…搬送ローラー、46…用紙搬送板、47…突起部、300…ロールユニット、301…基体、310,310a,310b…下部支持ローラー、320…側方支持ローラー、321…アーム部、322…軸、330…エッジガイド、340…凸部、341…凸部、350…切り欠き部、400…設置部、M…用紙、MA…ロール体。