(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】流路部材、及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
B41J2/175 503
(21)【出願番号】P 2020004950
(22)【出願日】2020-01-16
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】坂井 奈菜実
(72)【発明者】
【氏名】志甫 明彦
(72)【発明者】
【氏名】竹腰 太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 友之
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-022071(JP,A)
【文献】特開2002-028251(JP,A)
【文献】特開2005-106092(JP,A)
【文献】特開2017-155811(JP,A)
【文献】特開2005-144709(JP,A)
【文献】特開2010-194745(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0131995(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
F16L 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性チューブと、
前記可撓性チューブの少なくとも一端に設けられ
、前記可撓性チューブの端部を覆う覆い部を有する第1成形体と、
を備え、
前記可撓性チューブは第1可撓性チューブと第2可撓性チューブとを有し、
前記覆い部は、
前記第1可撓性チューブの端部の位置が視認可能な第1肉薄部と、
前記第1肉薄部に隣り合う位置に設けられ、前記第2可撓性チューブの端部の位置が視認可能な第2肉薄部と、
前記第1肉薄部および前記第2肉薄部よりも肉厚が厚い肉厚部と、
前記第1可撓性チューブと前記第2可撓性チューブとの間の前記肉厚部に設けられ、前記第1肉薄部と前記第2肉薄部とを露出する開口と、を有することを特徴とする流路部材。
【請求項2】
前記第1成形体は、前記
第1肉薄部と隣り合う位置に目印となるマークを有することを特徴とする請求項
1に記載の流路部材。
【請求項3】
前記可撓性チューブは、
端部から前記可撓性チューブの長手方向に伸びるライン状のマークを外周面に有することを特徴とする
請求項1または2に記載の流路部材。
【請求項4】
前記ライン状のマークの色は、
前記第1可撓性チューブと前記第2可撓性チューブとで異なることを特徴とする請求項
3に記載の流路部材。
【請求項5】
前記可撓性チューブは、端面に着色部を有することを特徴とする請求項1~請求項
4のうちいずれか1項に記載の流路部材。
【請求項6】
前記端面の前記着色部は、
前記第1可撓性チューブと前記第2可撓性チューブとで色が異なることを特徴とする請求項
5に記載の流路部材。
【請求項7】
前記可撓性チューブの
端部の少なくとも一部と、前記覆い部の一部とを覆う第2成形体を更に備えることを特徴とする請求項1~請求項
6のうちいずれか1項に記載の流路部材。
【請求項8】
前記第1肉薄部は、
前記第1可撓性チューブの端部が視認可能な透明度を有することを特徴とする請求項1~請求項
7のうちいずれか1項に記載の流路部材。
【請求項9】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体が収容される液体収容部と、
前記液体吐出ヘッドと前記液体収容部とを連通する請求項1~
8のうちいずれか1項に記載の流路部材と、
を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路部材、及び当該流路部材を備える液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体吐出装置としてインクジェット式記録装置が知られている。例えば、シリアルヘッド方式のインクジェット式記録装置は、走査方向に移動可能な記録ヘッドと、インクが収容される液体収容体(液体収容部)と、記録ヘッドと液体収容部とを接続する流路部材とを備え、記録ヘッドが記録媒体に対してインクを吐出することによって、記録媒体に画像を形成する。特許文献1には、このようなシリアル方式のインクジェット式記録装置に好適な流路部材(コネクター付きチューブ)が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の流路部材は、弾性を有するチューブと、チューブの端部に接続されチューブを内面から支持する金属筒体と、チューブと金属筒体とが接続された部分及び金属筒体を覆うように形成される樹脂の成型体とで構成され、樹脂の成型体が記録ヘッド及び液体収容部に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の流路部材では、チューブと樹脂の成型体とが接続される部分の視認性については全く考慮されていないため、チューブと樹脂の成型体とが接続される部分の状態を確認することができず、仮に、チューブと樹脂の成型体とが接続される部分に不具合が生じた場合、流路部材から液漏れが生じるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
流路部材は、可撓性チューブと、前記可撓性チューブの少なくとも一端に設けられる第1成形体と、を備え、前記第1成形体は、前記可撓性チューブの端部を覆う覆い部を有し、前記覆い部は、前記端部の位置が視認可能な視認部を有する。
【0007】
液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体が収容される液体収容部と、前記液体吐出ヘッドと前記液体収容部とを連通する上記流路部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係るインクジェット式記録装置の概略図。
【
図3】
図2の破線で囲まれた領域Aの第1流路部材の分解斜視図。
【
図4】
図2の破線で囲まれた領域Aの第1流路部材の要部断面図。
【
図5】
図2の破線で囲まれた領域Aの他の第1流路部材の要部断面図。
【
図6】
図2の破線で囲まれた領域Bの第2流路部材の分解斜視図。
【
図7】
図2の破線で囲まれた領域Bの第2流路部材の要部断面図。
【
図8】
図2の破線で囲まれた領域Bの他の第2流路部材の要部断面図。
【
図9】実施形態2に係る第1流路部材の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態1
1.1インクジェット式記録装置の概要
図1に示すように、液体吐出装置の一例であるインクジェット式記録装置1は、記録用紙を取り込む給紙トレイ3を筐体2の後方上部に、記録済みの記録用紙を排出する排紙トレイ4を筐体2の前面に、それぞれ備える。給紙トレイ3から筐体2に取り込まれた記録用紙は、筐体2の内部に設けられたプラテン5上を通過して排紙トレイ4に排出される。なお、図示を省略するが、筐体2内には、給紙トレイ3に装填された記録用紙を1枚ずつ筐体2内に取り込む給送装置と、取り込まれた記録用紙をプラテン5上に送り込む搬送装置と、プラテン5を通り過ぎた記録用紙を排紙トレイ4上に送り出す排出装置とがそれぞれ設けられる。
【0010】
筐体2内において、プラテン5の上方には、プラテン5と平行にガイド部材6が配置される。ガイド部材6は、記録用紙の幅方向に延在する部材であり、キャリッジ7を支持する。キャリッジ7は、ガイド部材6によって案内され、ガイド部材6の延在方向(記録用紙の幅方向)に往復移動する。キャリッジ7の下面には液体吐出ヘッドの一例である記録ヘッド8が搭載される。記録ヘッド8は、キャリッジ7と一緒に記録用紙の幅方向に往復移動しながら、プラテン5上の記録用紙に対して液体の一例であるインクを吐出する。なお、図示を省略するが、筐体2内には、キャリッジ7を往復移動させる駆動手段が設けられる。
このように、本実施形態に係るインクジェット式記録装置1は、インクを吐出する記録ヘッド8を備える。
【0011】
筐体2内には液体収容部の一例であるインクカートリッジ9が設けられ、インクカートリッジ9の中にインクが収容されている。すなわち、本実施形態に係るインクジェット式記録装置1は、インクが収容されるインクカートリッジ9を備える。
インクカートリッジ9は、シアンのインクが収容されるインクカートリッジ9Cと、マゼンタのインクが収容されるインクカートリッジ9Mと、イエローのインクが収容されるインクカートリッジ9Yと、ブラックのインクが収容されるインクカートリッジ9Kとを有する。すなわち、インクカートリッジ9には、シアンのインクとマゼンタのインクとイエローのインクとブラックのインクとからなる4色のインクが収容される。
なお、インクカートリッジ9に収容されるインクの色数は、4色に限定されず、4色よりも多くてもよいし、4色よりも少なくてもよい。
【0012】
記録ヘッド8とインクカートリッジ9とは、流路部材10によって接続される。すなわち、本実施形態に係るインクジェット式記録装置1は、記録ヘッド8とインクカートリッジ9とを接続する流路部材10を備える。
インクカートリッジ9に収容されるインクは、流路部材10を介してキャリッジ7に搭載される記録ヘッド8に供給される。
【0013】
図2に示すように、流路部材10は、1つの第1流路部材11と、4つの第2流路部材12とを含んで構成される。
第1流路部材11は、4つの可撓性チューブ13と、4つの可撓性チューブ13が挿入され第1継手部材として機能する1つの第1成形体21と、4つの筒体31(
図3参照)とを有する。第2流路部材12は、1つの可撓性チューブ13と、1つの可撓性チューブ13が挿入される1つの第2継手部材41と、可撓性チューブ13を覆うように配置される1つの第2成形体42とを有する。
【0014】
このように、流路部材10は、1つの第1流路部材11と、4つの第2流路部材12と、これらを連通させる可撓性チューブ13と、を有する。
流路部材10では、第1流路部材11(第1成形体21)がインクカートリッジ9に接続され、第2流路部材12(第2継手部材41)が記録ヘッド8に接続される。また、第1成形体21は、可撓性チューブ13とインクカートリッジ9とを接続する第1継手部材である。
【0015】
第1成形体21はインクカートリッジ9に取り付けられ、キャリッジ7が記録用紙の幅方向に往復移動しても、第1成形体21の位置が変化しない。第2継手部材41は記録ヘッド8に取り付けられ、キャリッジ7が記録用紙の幅方向に往復移動すると、第2継手部材41がキャリッジ7と一緒に往復移動し、第2継手部材41の位置が変化する。
一方の端部13a(
図3参照)が第1成形体21に接続され、他方の端部13b(
図6参照)が第2継手部材41に接続される可撓性チューブ13は、記録ヘッド8の往復移動に伴って屈曲または伸張を繰り返す。
流路部材10は、インクカートリッジ9に接続される上流側流路部材(図示省略)の下流端に第1成形体21が接続され、記録ヘッド8に接続される下流側流路部材(図示省略)の上流端に第2継手部材41が接続されるようにしてもよい。
【0016】
1.2第1流路部材の概要
図3は、
図2の破線で囲まれた領域Aの第1流路部材11の分解斜視図である。
図4及び
図5は、
図2の破線で囲まれた領域Aの第1流路部材11の要部断面図である。
図4では、第1成形体21が適正に可撓性チューブ13と一体に形成される場合の状態が図示されている。
図5では、第1成形体21が適正に可撓性チューブ13と一体に形成されない場合の状態が図示されている。また、
図4及び
図5では、可撓性チューブ13が破線で図示され、第1成形体21にハッチングが施され、筒体31に網掛けが施されている。
以降の説明では、可撓性チューブ13が第1成形体21の挿入部22に挿入される方向を+X方向と称す。さらに、方向を示す矢印の先端側を+方向とし、方向を示す矢印の基端側を-方向とする。
なお、X方向(+X方向、-X方向)は、本願における長手方向の一例であり、可撓性チューブ13が延在する方向である。
次に、
図3~
図5を参照し、第1流路部材11の概要を説明する。
【0017】
図3に示すように、第1流路部材11は、4つの可撓性チューブ13と、第1継手部材となる1つの第1成形体21と、4つの筒体31とを有する。すなわち、第1流路部材11は、インクカートリッジ9に収容されるインクの色数と同じ数の可撓性チューブ13及び筒体31を有する。
4つの可撓性チューブ13は、シアンのインクが収容されるインクカートリッジ9Cに接続される可撓性チューブ13Cと、マゼンタのインクが収容されるインクカートリッジ9Mに接続される可撓性チューブ13Mと、イエローのインクが収容されるインクカートリッジ9Yに接続される可撓性チューブ13Yと、ブラックのインクが収容されるインクカートリッジ9Kに接続される可撓性チューブ13Kとを有する。
【0018】
可撓性チューブ13は、外周面16と、+X方向側の端である端部13aと、+X方向側の端であって外周面16に交差する端面14aとを有する。可撓性チューブ13の外周面16には、端部13aから可撓性チューブ13の長手方向(X方向)に伸びるライン状のマーク19が形成される。
このように、第1流路部材11における可撓性チューブ13は、端部13aから可撓性チューブ13の長手方向(X方向)に伸びるライン状のマーク19を有する。
【0019】
可撓性チューブ13は白色の熱可塑性エラストマーによって構成され、可撓性チューブ13の色は白色である。
可撓性チューブ13Cに形成されるライン状のマーク19の色は、可撓性チューブ13Cの中を流動するインクを示す色であり、シアンである。可撓性チューブ13Mに形成されるライン状のマーク19の色は、可撓性チューブ13Mの中を流動するインクを示す色であり、マゼンタである。可撓性チューブ13Yに形成されるライン状のマーク19の色は、可撓性チューブ13Yの中を流動するインクを示す色であり、イエローである。可撓性チューブ13Kに形成されるライン状のマーク19の色は、可撓性チューブ13Kの中を流動するインクを示す色であり、ブラックである。
このように、複数の可撓性チューブ13(4つの可撓性チューブ13)のそれぞれで、ライン状のマーク19の色が異なる。
【0020】
可撓性チューブ13に形成されるライン状のマーク19の色は、可撓性チューブ13の中を流動するインクを示す色であり、可撓性チューブ13の中を流動するインクの色がライン状のマーク19によって一目で分かるので、例えば、筐体2内で可撓性チューブ13を引き回す場合、可撓性チューブ13を目的とする部位に正しく引き回しやすくなる。例えば、可撓性チューブ13が接続される第1成形体21をインクカートリッジ9に接続する場合、第1成形体21を目的とする色のインクが収容されるインクカートリッジ9に正しく接続しやすくなる。
【0021】
第1成形体21は、熱可塑性樹脂によって構成される。本実施形態では、第1成形体21は白色のポリプロピレン樹脂によって構成され、第1成形体21の色は白色である。
第1成形体21は、可撓性チューブ13が挿入される挿入部22と、インクカートリッジ9に接続される接続部23と、ネジ(図示省略)が差し込まれるネジ孔24とを有する。ネジ孔24は、接続部23を挟むように2つ設けられる。
ネジ孔24にネジを差し込み、第1成形体21とインクカートリッジ9とをネジによって固定すると、4つの可撓性チューブ13のそれぞれが目的とする色のインクが収容されるインクカートリッジ9に接続されるようになっている。
【0022】
挿入部22は、肉厚が厚い肉厚部26と、肉厚部26よりも肉厚が薄い肉薄部25とを有する。挿入部22において、例えば、厚さが1.5mm以下の部分が肉薄部25であり、厚さが1.5mmよりも厚い部分が肉厚部26である。
可撓性チューブ13が挿入部22に挿入された状態において、挿入部22の厚さが1.5mm以下になると作業者は挿入部22の中の可撓性チューブ13を視認しやすくなり、挿入部22の厚さが1.5mmよりも厚くなると作業者は挿入部22の中の可撓性チューブ13を視認しにくくなる。このため、挿入部22に1.5mm以下の厚さの肉薄部25を設けると、作業者は肉薄部25を介して挿入部22に挿入された可撓性チューブ13が視認可能となる。
肉薄部25は可撓性チューブ13を視認可能とする視認部であり、作業者は肉薄部25を介して可撓性チューブ13が視認可能となる。すなわち、第1成形体21は、可撓性チューブ13の端部13aを覆う覆い部としての肉薄部25と肉厚部26とを有し、覆い部は、可撓性チューブ13における端部13aの位置が視認可能な視認部(肉薄部25)を有する。換言すれば、視認部は、第1成形体21において、肉厚部26よりも肉厚が薄い肉薄部25により構成される。
【0023】
第1成形体21では、挿入部22の肉薄部25が、4つの可撓性チューブ13のそれぞれに対応して設けられる。また、肉薄部25は、+X方向側の端25aと-X方向側の端25b(
図4参照)とを有する。
4つの肉薄部25のうち1の肉薄部25と、当該1の肉薄部25に隣り合う肉薄部25とを露出する開口28が、挿入部22の肉厚部26に設けられる。挿入部22の肉厚部26に設けられる開口28の数は3つである。
作業者は、開口28と肉薄部25とを介して可撓性チューブ13を視認可能になる。
本実施形態では、1つの開口28が2つの可撓性チューブ13の間に設けられており、1つの開口28を介して2つの可撓性チューブ13を視認することができるようになっている。
【0024】
挿入部22の肉厚部26には、目印となるマーク27が形成される。すなわち、挿入部22は、目印となるマーク27を有する。換言すれば、第1成形体21は、視認部としての肉薄部25と隣り合う位置に目印となるマーク27を有する。マーク27の形状は-X方向に尖った三角形であり、-X方向側に配置される頂点27aと+X方向側に配置される底辺27bとを有する。作業者がマーク27を把握しやすくするために、マーク27の色は、肉厚部26の色(白色)と異なるようにしてもよい。
X方向と交差する方向から見た場合、マーク27は、肉薄部25の+X方向側の端25aと、肉薄部25の-X方向側の端25bとの間に配置される。
【0025】
筒体31は、金属または樹脂によって構成される。筒体31は、可撓性チューブ13の中に配置される第1部分32と、可撓性チューブ13の外に配置される第2部分33とを有する。筒体31の第1部分32が可撓性チューブ13の中に挿入される。可撓性チューブ13が変形しないように、筒体31の第1部分32が可撓性チューブ13を内側から支持する。
【0026】
第1成形体21はアウトサート成型によって形成される。
詳しくは、筒体31の第1部分32を可撓性チューブ13に挿入した後、筒体31が挿入された可撓性チューブ13を金型(図示省略)にセットし、当該金型の中に溶融した熱可塑性樹脂を注入する。溶融した熱可塑性樹脂が金型の中に注入されると、熱可塑性樹脂と可撓性チューブ13の構成材料(熱可塑性エラストマー)とが、界面で溶融して混ざり合う。金型を冷却し熱可塑性樹脂を硬化させ、硬化した熱可塑性樹脂を金型から取り外すと、アウトサート成型された第1成形体21が形成される。
そして、可撓性チューブ13の第1成形体21と接触する部分15(
図4参照)において、可撓性チューブ13が第1成形体21と一体になり、可撓性チューブ13が第1成形体21に溶融接着される。
なお、可撓性チューブ13の第1成形体21と接触する部分15は、本願における可撓性チューブの第1成形体と一体となる部分の一例である。
【0027】
図4及び
図5では、マーク27の底辺27bの位置が太い2点鎖線で示されている。
図4及び
図5に示すように、上述したアウトサート成型によって、可撓性チューブ13の端部13aを覆った状態で可撓性チューブ13と一体に形成され、第1継手部材となる第1成形体21が形成される。第1成形体21には複数の可撓性チューブ13(4つの可撓性チューブ13)が一体に形成されている。
さらに、第1成形体21には、可撓性チューブ13を視認可能な肉薄部25と、肉厚部26とが形成される。第1成形体21の肉厚部26には、肉薄部25を露出する開口28と、
図4及び
図5では図示を省略するが目印となるマーク27とが形成される。
【0028】
筒体31は、可撓性チューブ13に挿入され、可撓性チューブ13の第1成形体21と接触する部分15を内側から支持する。すなわち、筒体31は、可撓性チューブ13に挿入され、可撓性チューブ13の第1成形体21と一体となる部分を内側から支持する。
その結果、アウトサート成型によって第1成形体21を形成する場合、可撓性チューブ13の第1成形体21と接触する部分15の変形が抑制される。
【0029】
X方向において、第1成形体21の-X方向側の端21aと、第1成形体21に形成されるマーク27の底辺27bとの距離は、LAである。また、X方向において、第1成形体21の-X方向側の端21aと、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aとの距離は、Lである。すなわち、可撓性チューブ13の第1成形体21と接触する部分15のX方向の長さはLである。
【0030】
可撓性チューブ13はキャリッジ7の往復移動に伴って屈曲または伸張を繰り返すので、可撓性チューブ13の第1成形体21と接触する部分15、すなわち、第1成形体21と可撓性チューブ13とが接着される部分に、力が繰り返し作用する。第1成形体21と可撓性チューブ13との接着強度が強い場合、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返しても、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着は維持され、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着は解消されない。ところが、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着強度が弱くなると、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返した場合、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着が解消されやすくなるおそれがある。
【0031】
本実施形態では、可撓性チューブ13の第1成形体21と接触する部分15のX方向の長さLが距離LA以上である場合、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着強度は強くなり、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返しても、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着は維持され、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着は解消されにくい。
すなわち、X方向において、第1成形体21の-X方向側の端21aを基準とし、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aが距離LA以上離れた位置に配置されると、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着強度は強くなり、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返しても、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着は維持され、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着は解消されにくくなる。
【0032】
X方向において、マーク27の底辺27bが、第1成形体21の-X方向側の端21aを基準として距離LA離れた位置に配置される。
すると、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aが、マーク27の底辺27bに対して+X方向側に配置されると、X方向において、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aが、第1成形体21の-X方向側の端21aを基準として距離LA以上離れた位置に配置されることになり、可撓性チューブ13の第1成形体21と接触する部分15のX方向の長さLが距離LA以上となる。この場合、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着強度が強くなり、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返しても、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着が維持され、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着が解消されにくい。
すなわち、第1成形体21が適正に可撓性チューブ13と一体に形成される場合、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aは、マーク27の底辺27bに対して+X方向側に配置される。
【0033】
一方、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aが、マーク27の底辺27bに対して-X方向側に配置されると、X方向において、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aが、第1成形体21の-X方向側の端21aを基準として距離LA以上離れた位置に配置されなくなり、可撓性チューブ13の第1成形体21と接触する部分15のX方向の長さLが距離LAよりも短くなる。この場合、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着強度が弱くなり、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返すと、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着が解消されるおそれがある。
すなわち、第1成形体21が適正に可撓性チューブ13と一体に形成されない場合、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aは、マーク27の底辺27bに対して-X方向側に配置される。
【0034】
図4に示すように、第1成形体21が適正に可撓性チューブ13と一体に形成される場合、可撓性チューブ13の第1成形体21と接触する部分15のX方向の長さLは距離LAよりも長くなるので、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着強度が強くなり、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返しても、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着が維持され、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着が解消されにくくなる。
この場合、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aは、マーク27(マーク27の底辺27b)に対して+X方向側に配置されるので、作業者は、肉薄部25を介して、可撓性チューブ13をマーク27に対して+X方向側で視認可能になる。
このように、本実施形態は、第1成形体21が適正に可撓性チューブ13と一体に形成される場合、可撓性チューブ13はマーク27に対して+X方向の下流側で視認可能となる構成を有する。
【0035】
図5に示すように、第1成形体21が適正に可撓性チューブ13と一体に形成されない場合、可撓性チューブ13の第1成形体21と接触する部分15のX方向の長さLは距離LAよりも短くなるので、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着強度が弱くなり、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返すと、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着が解消されるおそれがある。
この場合、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aは、マーク27(マーク27の底辺27b)に対して-X方向側に配置されるので、作業者は、肉薄部25を介して、可撓性チューブ13をマーク27に対して+X方向の下流側で視認できなくなる。
このように、本実施形態は、第1成形体21が適正に可撓性チューブ13と一体に形成されない場合、可撓性チューブ13はマーク27に対して+X方向の下流側で視認不可能となる構成を有する。
【0036】
上述したように、筒体31が挿入された可撓性チューブ13を金型にセットし、当該金型の中に溶融した熱可塑性樹脂を注入するアウトサート成型によって、第1成形体21を形成する。
例えば、筒体31が挿入された可撓性チューブ13がX方向と交差する凹凸を有し、当該凹凸が勘合される勘合部を有する金型を作成し、当該勘合部に勘合するように可撓性チューブ13を金型にセットすると、可撓性チューブ13は金型の中でX方向に移動しにくくなる。ところが、筒体31が挿入された可撓性チューブ13は、X方向に長い部材であり、X方向と交差する方向に凹凸を有していなく、当該勘合部に勘合するように可撓性チューブ13を金型にセットすることが難しいので、可撓性チューブ13は金型の中でX方向に移動しやすくなる。
その結果、アウトサート成型によって第1成形体21を形成すると、可撓性チューブ13が金型の中でX方向に移動し、可撓性チューブ13の第1成形体21と接触する部分15のX方向の長さLが変動しやすくなる。
【0037】
仮に、アウトサート成型された第1成形体21が
図5に示す状態にあり、
図5に示す第1流路部材11がインクジェット式記録装置1に適用される場合、すなわち、可撓性チューブ13の第1成形体21と接触する部分15の長さLが距離LAよりも短い第1流路部材11が、インクジェット式記録装置1に適用される場合、当該インクジェット式記録装置1の長期使用によって、第1成形体21と可撓性チューブ13との接着が解消され、インクが第1流路部材11から漏れ出すおそれがある。
【0038】
本実施形態では、アウトサート成型によって第1成形体21を形成された後に、作業者は第1流路部材11の状態を目視で確認し、第1流路部材11の良否を判定する。
例えば、作業者は、可撓性チューブ13がマーク27に対して+X方向の下流側で視認される場合、第1成形体21が適正に可撓性チューブ13と一体に形成されていると判断し、第1流路部材11は良品であると判定する。例えば、作業者は、可撓性チューブ13がマーク27に対して+X方向の下流側で視認されない場合、第1成形体21が適正に可撓性チューブ13と一体に形成されていいないと判断し、第1流路部材11は不良品であると判定する。
さらに、第1成形体21及び可撓性チューブ13は共に白色であるので、可撓性チューブ13の外周面16に白色と異なる色のライン状のマーク19を形成すると、作業者は、ライン状のマーク19によって可撓性チューブ13の位置を把握し、第1流路部材11の良否(品質)を適正に判定しやすくなる。
【0039】
このように、作業者は、可撓性チューブ13がマーク27に対して+X方向の下流側で視認可能か、または、可撓性チューブ13がマーク27に対して+X方向の下流側で視認不可能かということを確認する簡単な目視検査によって、容易に確実に第1流路部材11の品質を評価し、第1流路部材11の良品を確実に選択し、第1流路部材11の不良品を確実に排除することができる。
もちろん、作業者の目視検査でなく、カメラ等を使用し自動で第1流路部材11の品質を評価してもよい。
【0040】
本実施形態では、第1成形体21と可撓性チューブ13とが接続される部分の状態を目視で確認できるので、第1成形体21と可撓性チューブ13とが接続される部分に不具合を有する第1流路部材11が使用されるおそれが抑制される。
さらに、良品の第1流路部材11が確実にインクジェット式記録装置1に使用されるので、インクジェット式記録装置1が長期間使用される場合にインクが第1流路部材11から漏れ出すという不具合が抑制され、インクジェット式記録装置1の信頼性が高められる。
【0041】
1.3第2流路部材の概要
図6は、
図2の破線で囲まれた領域Bの第2流路部材12の分解斜視図である。
図7及び
図8は、
図2の破線で囲まれた領域Bの第2流路部材12の要部断面図である。
図7では、第2成形体42が適正に可撓性チューブ13と一体に形成される状態が図示されている。
図8では、第2成形体42が適正に可撓性チューブ13と一体に形成されない状態が図示されている。また、
図7及び
図8では、可撓性チューブ13が破線で図示され、第2継手部材41にハッチングが施され、第2成形体42に網掛けが施されている。
次に、
図6~
図8を参照し、第2流路部材12の概要を説明する。
【0042】
図6に示すように、第2流路部材12は、1つの可撓性チューブ13と、1つの第2継手部材41と、1つの第2成形体42とを有する。可撓性チューブ13は、外周面16と、-X方向側の端である端部13bと、-X方向側の端であって外周面16に交差する端面14bとを有する。
第2成形体42は、熱可塑性樹脂によって構成される。本実施形態では、第2成形体42は白色のポリプロピレン樹脂によって構成され、第2成形体42の色は白色である。
可撓性チューブ13の外周面16には、端部13bから可撓性チューブ13の長手方向(X方向)に伸びるライン状のマーク19が形成される。ライン状のマーク19は、+X方向側の端である端部13aと、-X方向側の端である端部13bとの間に形成される。
図6に示す可撓性チューブ13はイエローのインクが流動する可撓性チューブ13Yであり、
図6に示すライン状のマーク19の色はイエローである。
このように、第2流路部材12における可撓性チューブ13は、端部13bから可撓性チューブ13の長手方向(X方向)に伸びるライン状のマーク19を有する。
【0043】
第2継手部材41は白色のポリプロピレン樹脂によって構成され、第2継手部材41の色は白色である。第2継手部材41は、可撓性チューブ13が挿入される挿入部43と、挿入部43に対向配置される肉薄部44と、記録ヘッド8に接続される接続部45と、ネジ(図示省略)が差し込まれるネジ孔46とを有する。ネジ孔46は、接続部45を囲むように4つ設けられる。
ネジ孔46にネジを差し込み、第2継手部材41と記録ヘッド8とをネジによって固定すると、接続部45が記録ヘッド8に接続され、可撓性チューブ13が第2継手部材41を介して記録ヘッド8に接続される。
【0044】
4つの可撓性チューブ13のそれぞれを、第2継手部材41を介して適正に接続するためには、
図2に示すように、4つの第2継手部材41のそれぞれで、第2継手部材41における接続部45の向きを同じ向きに揃える必要がある。
可撓性チューブ13の端部13aと端部13bとの間にライン状のマーク19を設けると、当該ライン状のマーク19が基準となり、4つの第2継手部材41のそれぞれで、第2継手部材41における接続部45の向きを同じ向きに揃えやすくなる。加えて、可撓性チューブ13の端部13aと端部13bとの間にライン状のマーク19を設けると、可撓性チューブ13の捻じれ等の不具合が検出されやすくなる。
【0045】
図7及び
図8に示すように、第2継手部材41は、第2成形体42の近くに、X方向と交差する方向に挿入部43から突出する突出部48を有する。さらに、挿入部43に対向するように、突出部48から+X方向に延びる肉薄部44が設けられる。肉薄部44は挿入部43に対向配置され、挿入部43と肉薄部44との間には可撓性チューブ13が挿入可能な空間が形成される。また、可撓性チューブ13が挿入部43と肉薄部44との間に挿入されると、肉薄部44は、可撓性チューブ13の端部13bを覆うように配置される。すなわち、第2継手部材41においては、肉薄部44が可撓性チューブ13の端部13bを覆う覆い部となる。
第2成形体42は突出部48から離間して配置され、第2成形体42と突出部48との間に隙間49が形成される。換言すれば、第2成形体42は、覆い部の一部を覆うように配置される。肉薄部44は、隙間49を介して視認可能になる。
【0046】
第2継手部材41における肉薄部44の厚さは、第1成形体21の肉薄部25の厚さと同様に、例えば1.5mm以下である。可撓性チューブ13が挿入部43と肉薄部44との間に挿入され、且つ可撓性チューブ13の-X方向側の端部13bが突出部48に接するように配置されると、作業者は隙間49と肉薄部44とを介して可撓性チューブ13を視認可能になる。
肉薄部44は可撓性チューブ13を視認可能とする視認部であり、作業者は肉薄部44を介して可撓性チューブ13を視認可能となる。すなわち、可撓性チューブ13を視認可能とする視認部は、第2継手部材41の肉薄部44によって形成される。
そして、第2継手部材41は、可撓性チューブ13が挿入される挿入部43と、挿入部43に対向配置され可撓性チューブ13を覆い可撓性チューブ13を視認可能とする肉薄部44(視認部)とを有する。
すなわち、第2継手部材41は、可撓性チューブ13の端部13bを覆う覆い部としての肉薄部44を有し、覆い部としての肉薄部44は、端部13bの位置が視認可能な視認部を有する。換言すれば、視認部は、第2継手部材41において、他の部分よりも肉厚が薄い肉薄部44により構成される。
【0047】
第2成形体42はアウトサート成型によって形成される。
詳しくは、可撓性チューブ13を第2継手部材41の挿入部43と肉薄部44との間に挿入した後、可撓性チューブ13が挿入された第2継手部材41を金型(図示省略)にセットし、当該金型の中に溶融した熱可塑性樹脂を注入する。溶融した熱可塑性樹脂が金型の中に注入されると、熱可塑性樹脂及び第2継手部材41の構成材料(ポリプロピレン樹脂)と、熱可塑性樹脂及び可撓性チューブ13の構成材料(熱可塑性エラストマー)とが、それぞれ界面で溶融して混ざり合う。金型を冷却し熱可塑性樹脂を硬化させ、硬化した熱可塑性樹脂を金型から取り外すと、アウトサート成型された第2成形体42が形成される。
【0048】
図7及び
図8に示すように、可撓性チューブ13の端部13bのうち、第2成形体42と接触する部分51において、可撓性チューブ13は、第2成形体42と一体になり、第2成形体42に溶融接着される。換言すれば、第2成形体42は、可撓性チューブ13の端部13bの少なくとも一部である第2成形体42と接触する部分51を覆った状態で可撓性チューブ13に溶融接着される。
なお、可撓性チューブ13の第2成形体42と接触する部分51は、本願における可撓性チューブの挿入部に挿入される部分の一部である。そして、第2成形体42は、可撓性チューブ13の第2成形体42と接触する部分51(可撓性チューブの挿入部に挿入される部分の一部)と一体に形成される。
【0049】
さらに、第2継手部材41の第2成形体42と接触する部分52において、第2継手部材41は、第2成形体42と一体になり、第2成形体42に溶融接着される。また、第2継手部材41の第2成形体42と接触する部分52は、肉薄部44であるので、肉薄部44の第2成形体42と接触する部分52において、第2継手部材41は、第2成形体42と一体になり、第2成形体42に溶融接着される。
換言すれば、第2成形体42は、肉薄部44の第2成形体42と接触する部分52と一体になり、第2継手部材41に溶融接着される。
なお、肉薄部44の第2成形体42と接触する部分52は、本願における視認部の一部である。そして、第2成形体42は、肉薄部44の第2成形体42と接触する部分52(視認部の一部)と一体に形成される。
【0050】
第2成形体42は、可撓性チューブ13の第2成形体42と接触する部分51と一体になり可撓性チューブ13に溶融接着され、肉薄部44の第2成形体42と接触する部分52と一体になり第2継手部材41に溶融接着されるので、可撓性チューブ13及び第2継手部材41は、第2成形体42によって接着され、第2成形体42によって固定される。
このように、第2流路部材12は、可撓性チューブ13の第2成形体42と接触する部分51と一体に形成され、肉薄部44の第2成形体42と接触する部分52と一体に形成される第2成形体42を有する。そして、第2流路部材12では、可撓性チューブ13及び第2継手部材41が第2成形体42によって固定される。すなわち、第2成形体42は、可撓性チューブ13の端部13bの少なくとも一部と、覆い部の一部とを覆った状態で固定される。
【0051】
上述したように、可撓性チューブ13が挿入された第2継手部材41を金型にセットし、当該金型の中に溶融した熱可塑性樹脂を注入するアウトサート成型によって、第2成形体42を形成する。
可撓性チューブ13が挿入された第2継手部材41は、X方向と交差する方向に凹凸(例えば、接続部45、突出部48など)を有するので、当該凹凸が勘合される勘合部を有する金型を作成し、当該勘合部に勘合するように可撓性チューブ13が挿入された第2継手部材41を金型にセットすると、第2継手部材41(肉薄部44)が金型の中でX方向に移動しにくくなる。
アウトサート成型によって形成された第2成形体42では、第2継手部材41(肉薄部44)が金型の中でX方向に移動しにくいので、肉薄部44の第2成形体42と接触する部分52のX方向の寸法が変動しにくくなる。
【0052】
本実施形態では、肉薄部44の第2成形体42と接触する部分52のX方向の寸法は、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返しても、第2成形体42と第2継手部材41(肉薄部44)との接着が安定して維持される寸法Mとなっている。従って、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返しても、第2成形体42と第2継手部材41との接着は維持され、第2成形体42と第2継手部材41との接着は解消されにくい。
さらに、可撓性チューブ13の第2成形体42と接触する部分51のX方向の寸法がN1である場合、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返しても、第2成形体42と可撓性チューブ13との接着は維持され、第2成形体42と可撓性チューブ13との接着は解消されにくい。
【0053】
ところが、可撓性チューブ13は、作業者の手作業によって、挿入部43と肉薄部44との間に挿入されるので、手作業のばらつきによって、第2継手部材41に対する可撓性チューブ13のX方向の位置が変動しやすい。
例えば、可撓性チューブ13の端部13bが第2成形体42の突出部48に接触し、可撓性チューブ13が挿入部43に深く挿入される状態(
図7の状態)や、可撓性チューブ13の端部13bが第2継手部材41の突出部48から離間し、可撓性チューブ13が挿入部43に浅く挿入される状態(
図8の状態)などが生じる場合がある。
このように、アウトサート成型によって形成された第2成形体42では、可撓性チューブ13を挿入部43と肉薄部44との間に挿入する手作業のばらつきによって、可撓性チューブ13の第2成形体42と接触する部分51のX方向の寸法が変動しやすくなる。
【0054】
図7に示すように、可撓性チューブ13が挿入部43に深く挿入された状態で第2成形体42が形成される場合、可撓性チューブ13の第2成形体42と接触する部分51のX方向の寸法はN1となる。この場合、作業者は隙間49と肉薄部44とを介して可撓性チューブ13を視認することができる。
このように、第2流路部材12では、隙間49と肉薄部44とを介して可撓性チューブ13が視認される場合、可撓性チューブ13の第2成形体42と接触する部分51のX方向の寸法はN1となる。
【0055】
可撓性チューブ13の第2成形体42と接触する部分51のX方向の寸法がN1である場合、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返しても、第2成形体42と可撓性チューブ13との接着は維持され、第2成形体42と可撓性チューブ13との接着は解消されにくいので、隙間49と肉薄部44とを介して可撓性チューブ13が視認される場合、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返しても、第2成形体42と可撓性チューブ13との接着は維持され、第2成形体42と可撓性チューブ13との接着は解消されにくい。
すなわち、隙間49と肉薄部44とを介して可撓性チューブ13が視認される場合、第2流路部材12は良品になる。
このように、本実施形態は、第2成形体42が適正に可撓性チューブ13と一体に形成される場合、可撓性チューブ13は肉薄部44(視認部)を介して視認可能となる構成を有する。
【0056】
図8に示すように、可撓性チューブ13が挿入部43に浅く挿入される場合、可撓性チューブ13の第2成形体42と接触する部分51のX方向の寸法はN2となり、N1よりも短くなる場合がある。この場合、作業者は隙間49と肉薄部44とを介して可撓性チューブ13を視認できない。
可撓性チューブ13の第2成形体42と接触する部分51のX方向の寸法がN1よりも短くなると、第2成形体42と可撓性チューブ13との接着強度が弱くなり、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返すと、第2成形体42と可撓性チューブ13との接着が解消されるおそれがあり、第2流路部材12は不良品になる。
図示を省略するが、隙間49と肉薄部44とを介して可撓性チューブ13が視認されない場合であっても、可撓性チューブ13の端部13bが挿入部43と肉薄部44との間に配置されると、可撓性チューブ13の第2成形体42と接触する部分51のX方向の寸法は、N1となる。この場合、第2流路部材12は良品になる。
【0057】
隙間49と肉薄部44とを介して可撓性チューブ13が視認される第2流路部材12は、全て良品であるので、当該良品の第2流路部材12をインクジェット式記録装置1に使用することが好ましい。
隙間49と肉薄部44とを介して可撓性チューブ13が視認されない第2流路部材12は、不良品が含まれるので、当該不良品が含まれる第2流路部材12をインクジェット式記録装置1に使用することは好ましくない。
【0058】
作業者は、隙間49と肉薄部44とを介して可撓性チューブ13が視認可能か、または、隙間49と肉薄部44とを介して可撓性チューブ13が視認不可能かということを確認する簡単な目視検査によって、容易に確実に第2流路部材12の品質を評価し、第2流路部材12の良品を確実に選択し、第2流路部材12の不良品を確実に排除することができる。
また、第2成形体42及び可撓性チューブ13は共に白色であるので、可撓性チューブ13の外周面16に白色と異なる色のライン状のマーク19を形成すると、作業者はライン状のマーク19によって可撓性チューブ13の位置を把握しやすくなり、第2流路部材12の良否(品質)を判定しやすくなる。
もちろん、作業者の目視検査でなく、カメラ等を使用し自動で第2流路部材12の品質を評価してもよい。
【0059】
さらに、本実施形態の構成によって、良品の第2流路部材12が確実にインクジェット式記録装置1に使用されるので、インクジェット式記録装置1が長期間使用される場合にインクが第2流路部材12から漏れ出すという不具合が抑制され、インクジェット式記録装置1の信頼性が高められる。
【0060】
2.実施形態2
実施形態1に係る第1流路部材11では、挿入部22の肉厚部26に目印となるマーク27が形成されていた。実施形態2に係る第1流路部材11Aでは、挿入部22Aの肉厚部26に目印となるマーク27が形成されていない。
この点が、本実施形態と実施形態1との主な相違点である。
以下、
図9を参照し、実施形態1との相違点を中心に、本実施形態に係る第1流路部材11Aの概要を説明する。また、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0061】
図9に示すように、本実施形態に係る第1流路部材11Aは、可撓性チューブ13と、第1継手部材となる第1成形体21Aと、筒体31とを有する。第1成形体21Aは、可撓性チューブ13が挿入される挿入部22Aと、インクカートリッジ9に接続される接続部23とを有する。挿入部22Aは、厚さが薄くなった肉薄部25と、厚さが厚くなった肉厚部26とを有する。肉厚部26には開口28が設けられ、作業者は、開口28と肉薄部25とを介して可撓性チューブ13を視認可能になる。
【0062】
本実施形態と実施形態1とでは、肉薄部25の-X方向側の端25bのX方向の位置が異なり、肉薄部25の+X方向側の端25aのX方向の位置は同じである。詳しくは、本実施形態では、肉薄部25の-X方向側の端25bが、実施形態1と比べて+X方向側に配置される。このため、本実施形態では、肉薄部25のX方向の寸法が、実施形態1と比べて短くなる。同様に、開口28のX方向の寸法が、実施形態1と比べて短くなる。
本実施形態では、肉薄部25の-X方向側の端25bが、第1成形体21Aの-X方向側の端21aから距離LA離れた位置に配置される。一方、実施形態1では、マーク27の底辺27bが、第1成形体21Aの-X方向側の端21aから距離LA離れた位置に配置される。
【0063】
本実施形態では、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aが、肉薄部25の-X方向側の端25bに対して+X方向側に配置されると、X方向において、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aが、第1成形体21Aの-X方向側の端21aを基準として距離LA以上離れた位置に配置されることになり、可撓性チューブ13の第1成形体21Aと接触する部分15のX方向の長さLが距離LA以上となる。この場合、第1成形体21Aと可撓性チューブ13との接着強度が強くなり、可撓性チューブ13が屈曲または伸張を繰り返しても、第1成形体21Aと可撓性チューブ13との接着が維持され、第1成形体21Aと可撓性チューブ13との接着が解消されにくい。
【0064】
すなわち、第1成形体21Aが適正に可撓性チューブ13と一体に形成されると、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aが、肉薄部25の-X方向側の端25bに対して+X方向側に配置される。また、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aが、肉薄部25の-X方向側の端25bに対して+X方向側に配置されると、可撓性チューブ13は肉薄部25を介して視認可能になる。
一方、第1成形体21Aが適正に可撓性チューブ13と一体に形成されないと、可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aが、肉薄部25の-X方向側の端25bに対して-X方向側に配置される。可撓性チューブ13の+X方向側の端部13aが、肉薄部25の-X方向側の端25bに対して-X方向側に配置されると、可撓性チューブ13は肉薄部25を介して視認不可能になる。
【0065】
このため、作業者は、肉薄部25を介して可撓性チューブ13を視認すると、第1成形体21Aが適正に可撓性チューブ13と一体に形成されていると判断し、第1流路部材11Aは良品であると判断することができる。さらに、作業者は、肉薄部25を介して可撓性チューブ13を視認できないと、第1成形体21Aが適正に可撓性チューブ13と一体に形成されていないと判断し、第1流路部材11Aは不良品であると判断することができる。
このように、本実施形態は、第1成形体21Aが適正に可撓性チューブ13と一体に形成される場合、可撓性チューブ13は肉薄部25(視認部)を介して視認可能となる構成を有する。
【0066】
本実施形態では、作業者は、可撓性チューブ13が肉薄部25を介して視認可能か、または、可撓性チューブ13が肉薄部25を介して視認不可能かということを確認する簡単な目視検査によって、容易に確実に第1流路部材11Aの品質を評価し、第1流路部材11Aの良品を確実に選択し、第1流路部材11Aの不良品を確実に排除することができる。
もちろん、作業者の目視検査でなく、カメラ等を使用し自動で第1流路部材11Aの品質を評価してもよい。
そして、良品の第1流路部材11Aが確実にインクジェット式記録装置1に使用されるので、インクジェット式記録装置1の信頼性が高められるという実施形態1と同じ効果を得ることができる。
【0067】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
1)上記実施形態において、可撓性チューブ13を視認可能とする視認部としての肉薄部25,44が透明度を有してもよい。また、第1成形体21、21Aおよび第2継手部材41が透明度を有する材料で構成されてもよい。ここで、透明とは、透明な部分を視認したときに、当該透明な部分の向こう側が透けて見えることをいう。これにより、第1成形体21、21Aと可撓性チューブ13との接続部の状態および第2継手部材41と可撓性チューブ13との接続部の状態が目視でより確認しやすくなるので、それぞれの接続部に不具合を有する流路部材が使用されるおそれが抑制される。
【0068】
2)可撓性チューブ13の外周面16に形成されるマーク19の形状は、ライン形状に限定されず、スパイラル形状であってもよく、矢印形状であってもよく、数字であってもよく、インクの色に対応する記号であってもよい。例えば、シアンのインクが流動する可撓性チューブ13CにはCの記号をマーク19として形成し、マゼンタのインクが流動する可撓性チューブ13MにはMの記号をマーク19として形成し、イエローのインクが流動する可撓性チューブ13YにはYの記号をマーク19として形成し、ブラックのインクが流動する可撓性チューブ13KにはKの記号をマーク19として形成してもよい。
また、可撓性チューブ13にインクの色と同じ色のマーク19を形成するのでなく、可撓性チューブ13をインクの色と同じ色の樹脂で構成し、マーク19を削除してもよい。
3)マーク19は、必ずしも可撓性チューブ13の長手方向全域に設ける必要はなく、可撓性チューブ13のうち、少なくとも覆い部に覆われる端部13a,13bに設けられていればよい。
【0069】
4)マーク19は可撓性チューブ13の外周面16に形成することに限定されず、マーク19を可撓性チューブ13の端面14a,14bに形成してもよい。すなわち、可撓性チューブ13は、ライン状のマーク19の代わりに、または、ライン状のマーク19に加えて、端面14a,14bに、着色が施された着色部をマークとして有してもよい。第1成形体21及び可撓性チューブ13は共に白色であるので、可撓性チューブ13が端面14a,14bに白色と異なる色の着色部を有すると、作業者は、着色部によって可撓性チューブ13の位置を把握し、第1流路部材11の良否(品質)を適正に判定しやすくなる。
さらに、可撓性チューブ13が複数設けられる場合、複数の可撓性チューブ13のそれぞれで着色部の色が異なるようにしてもよい。このようにすることで、可撓性チューブ13の中を流動するインクの色が着色部によって一目で分かるので、例えば、筐体2内で可撓性チューブ13を目的とする部位に正しく引き回しやすくなる。さらに、第1成形体21との組立時における可撓性チューブ13の順番間違いを抑制することができる。
【0070】
5)第1実施形態において、マーク27の形状は三角形に限らない。ここでのマーク27はあくまでも可撓性チューブ13の端面14aの位置が正しい位置にあるか否かを確認するためのものであるため、これを実現できるマークであればどのようなものでも良い。さらに、可撓性チューブ13の順番を間違わないようにするために、対応する可撓性チューブ13を流れるインクの色に関係する文字をマーク27として使用しても良い。
6)上記実施形態において、第1成形体21,21Aには4つの可撓性チューブ13が挿入されているが、これに代わり、4つの流路が並んで設けられた1つの多連型の可撓性チューブ13を挿入するようにしてもよい。この場合にも、上記実施形態と同様の効果が得られる。また、多連型可撓性チューブに設ける流路の数は4つに限らず、3つ以下でもよいし、5つ以上でもよい。また、多連型可撓性チューブを採用する場合には、流路が並ぶ方向における両端が視認可能となるように、両端の2か所にのみ視認部を設けるようにしてもよい。
7)流路部材10の構成によっては、4つの可撓性チューブ13の両端に第1成形体21,21Aを設けてもよいし、4つの可撓性チューブの両端に第2継手部材41と第2成形体42とを設けてもよい。
8)視認部は、上記実施形態に示すように第1成形体21,21Aにおける肉厚部26の片面にのみ設けるようにしてもよいし、肉厚部26の両面に設けるようにしてもよい。
9)上記実施形態に係る流路部材11,11A,12は、インクジェット式記録装置1に適用されることに限定されず、液体が流動する他の電子機器に適用されてもよい。
【0071】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)流路部材は、可撓性チューブと、前記可撓性チューブの少なくとも一端に設けられる第1成形体と、を備え、前記第1成形体は、前記可撓性チューブの端部を覆う覆い部を有し、前記覆い部は、前記端部の位置が視認可能な視認部を有する。
【0072】
上記構成によれば、第1成形体と可撓性チューブとの接続部の状態を目視で確認できるので、第1成形体と可撓性チューブとの接続部に不具合を有する流路部材が使用されるおそれが抑制される。
【0073】
(B)上記流路部材において、前記視認部は、前記第1成形体において、他の部分よりも肉厚が薄い肉薄部により構成されてもよい。
【0074】
上記構成によれば、第1成形体と可撓性チューブとの接続部の状態を、肉薄部を介して目視で確認できるので、第1成形体と可撓性チューブとの接続部に不具合を有する流路部材が使用されるおそれが抑制される。
【0075】
(C)上記流路部材において、前記第1成形体は、前記視認部と隣り合う位置に目印となるマークを有してもよい。
【0076】
上記構成によれば、マークに対する可撓性チューブの位置を確認する簡単な目視検査によって、第1成形体と可撓性チューブとの接続部に不具合を有する流路部材が使用されるおそれが抑制される。
【0077】
(D)上記流路部材において、前記可撓性チューブは、前記端部から前記可撓性チューブの長手方向に伸びるライン状のマークを外周面に有してもよい。
【0078】
上記構成によれば、ライン状のマークによって可撓性チューブの位置が把握しやすくなるため、第1成形体と可撓性チューブとの接続部に不具合を有する流路部材が使用されるおそれが抑制される。
【0079】
(E)上記流路部材において、前記可撓性チューブが複数設けられ、前記ライン状のマークの色は、複数の前記可撓性チューブのそれぞれで異なっていてもよい。
【0080】
上記構成によれば、可撓性チューブの中を流動するインクの色がライン状のマークによって一目で分かるので、例えば、筐体内で可撓性チューブを引き回す場合、可撓性チューブを目的とする部位に正しく引き回しやすくなる。さらに、組立時における可撓性チューブの組み立て間違いを抑制することができる。
【0081】
(F)上記流路部材において、前記可撓性チューブは、端面に着色部を有してもよい。
【0082】
上記構成によれば、端面の着色部によって可撓性チューブの位置が把握しやすくなるため、第1成形体と可撓性チューブとの接続部に不具合を有する流路部材が使用されるおそれが抑制される。
【0083】
(G)上記流路部材において、前記可撓性チューブが複数設けられ、前記端面の前記着色部は、複数の前記可撓性チューブのそれぞれで色が異なっていてもよい。
【0084】
上記構成によれば、可撓性チューブの中を流動するインクの色が着色部によって一目で分かるので、例えば、筐体内で可撓性チューブを引き回す場合、可撓性チューブを目的とする部位に正しく引き回しやすくなる。さらに、第1成形体との組立時における可撓性チューブの順番間違いを抑制することができる。
【0085】
(H)上記流路部材は、前記可撓性チューブの前記端部の少なくとも一部と、前記覆い部の一部とを覆う第2成形体を更に備えてもよい。
【0086】
上記構成によれば、目印となるマークとして第2成形体を使用できるため、第2成形体に対する可撓性チューブの位置を確認する簡単な目視検査によって、第2継手部材と可撓性チューブとの接続部に不具合を有する流路部材が使用されるおそれが抑制される。
【0087】
(I)上記流路部材において、前記視認部は、前記可撓性チューブの前記端部が視認可能な透明度を有してもよい。
【0088】
上記構成によれば、第1成形体と可撓性チューブとの接続部の状態および第2継手部材と可撓性チューブとの接続部の状態がより目視で確認しやすくなるので、それぞれの接続部に不具合を有する流路部材が使用されるおそれが抑制される。
【0089】
(J)液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体が収容される液体収容部と、前記液体吐出ヘッドと前記液体収容部とを連通する上記流路部材と、を備える。
【0090】
上記構成によれば、上記流路部材と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0091】
1…インクジェット式記録装置、2…筐体、3…給紙トレイ、4…排紙トレイ、5…プラテン、6…ガイド部材、7…キャリッジ、8…記録ヘッド、9…インクカートリッジ、10…流路部材、11…第1流路部材、12…第2流路部材、13…可撓性チューブ、15…可撓性チューブの第1成形体と接触する部分、16…外周面、19…ライン状のマーク、21…第1成形体、22…挿入部、23…接続部、24…ネジ孔、25…肉薄部、26…肉厚部、27…マーク、28…開口、31…筒体、41…第2継手部材、42…第2成形体、43…挿入部、44…肉薄部、45…接続部、46…ネジ孔、48…突出部、51…可撓性チューブの第2成形体と接触する部分、52…肉薄部の第2成形体と接触する部分。