(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/01 20060101AFI20240312BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G01N21/01 D
B81B3/00
(21)【出願番号】P 2020005998
(22)【出願日】2020-01-17
【審査請求日】2022-12-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】松下 浩二
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-153134(JP,A)
【文献】国際公開第00/014307(WO,A1)
【文献】特開2015-038864(JP,A)
【文献】特開2016-173939(JP,A)
【文献】特開2007-064865(JP,A)
【文献】特開2016-001325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00-G01N21/01
G01N21/17-G01N21/61
B81B 1/00-B81B 7/04
B81C 1/00-B81C99/00
H05B 3/02-H05B 3/18
H05B 3/40-H05B 3/82
G01J 5/00-G01J 5/90
H05B33/00-H05B33/28
H05B44/00
H05B45/60
H10K50/00-99/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する基板と、
少なくとも一部分が前記基板の前記開口と重なっている支持層と、
前記支持層上に位置し、かつ前記基板の前記開口と重なり、少なくとも一箇所で折り返されている導電パターン層と、
前記支持層上に
位置し、前記導電パターン層とは接していない第1パターン層と、
を備え、
前記第1パターン
層は、前記導電パターン層の折り返しによって前記導電パターン層に形成された切れ目を覆っている、電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置において、
前記第1パターン層
は、前記
支持層が位置する側から前記導電パターン層が位置する側に向かう方向に垂直な第1方向における導電パターン層の一方側に形成された前記切れ目と、前記第1方向における前記導電パターン層の前記一方の反対の他方側に形成された前記切れ目と、の少なくとも一方を覆っている、電子装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子装置において、
前記支持層上に
位置し、前記導電パターン層とは接していない第2パターン層をさらに備え、
前記第2パターン層
は、前記
支持層が位置する前記側から前記導電パターン層が位置する前記側に向かう前記方向に垂直であって前記第1方向に直交する第2方向における前記導電パターン層の両側の少なくとも一方を覆っている、電子装置。
【請求項4】
請求項2に記載の電子装置において、
前記第1パターン
層は、前記導電パターン層から前記第1方向に所定距離離れて位置しており、
前記導電パターン層と、前記支持層が位置する前記側から前記導電パターン層が位置する前記側に向かう前記方向に垂直であって前記第1方向に直交する第2方向に前記導電パターン層から前記所定距離離れた位置と、の間に、前記第1パターン層を形成する材料と同一材料が位置していない、電子装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の電子装置において、
前記導電パターン層に斜めに交差しているリード導電パターン層をさらに備え、
前記第1パターン層のうち前記導電パターン層と前記リード導電パターン層との交差部分を覆う部分の外側の角は、前記第1パターン層のうち前記導電パターン層を覆う部分から前記第1パターン層のうち前記リード導電パターン層を覆う部分にかけて連続的に滑らかな外縁を有している、電子装置。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の電子装置において、
前記第1パターン
層の幅は、前記導電パターン層の前記切れ目の幅の0.75倍以上3倍以下となっている、電子装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の電子装置において、
前記導電パターン層及び前記第1パターン層は、同一材料によって形成されている、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関し、特に、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)赤外線(IR)エミッタに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の素子、例えば、MEMS IRエミッタ(例えば、特許文献1のMEMSIRエミッタ)、MEMSガスセンサ(例えば、特許文献2のMEMSガスセンサ)等に用いられる電子装置は、基板、支持層及び導電パターン層を備えている。基板は、開口を有している。支持層の一部分は、基板の開口と重なっている。導電パターン層は、支持層上に位置し、かつ基板の開口と重なっている。導電パターン層は、ミアンダ形状を有している。導電パターン層に電流が流れることで、導電パターン層は発熱する。
【0003】
また、近年、MEMSに用いられるガードリングについて様々な検討がなされている。例えば、特許文献3に記載のMEMSでは、層間絶縁膜及び配線を有する配線部によって可動電極及び固定電極を有する構造体が囲まれている。配線部内には構造体を囲むガードリングが設けられている。特許文献3には、構造体を露出する開口に侵入した湿気から配線部内の配線がガードリングによって保護されることが記載されている。また特許文献4に記載のMEMSでは、振動体と、振動体を駆動させるための駆動電極と、振動体の変位を検出するための検出電極と、が配置された領域の外側に、ノイズからの保護のためのガードリングが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-153134号公報
【文献】特開2019-158358号公報
【文献】特開2006-224220号公報
【文献】特開平11-211483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば特許文献1又は2に記載されているように、MEMS IRエミッタ、MEMSガスセンサ等の電子装置の導電パターン層には、ミアンダ形状等の折り返しによって切れ目が形成されることがある。しかしながら、導電パターン層が発熱するとき、支持層のうちこの切れ目の近傍部分は、熱応力によって破損するおそれがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、導電パターンが発熱したときの支持層の耐破損性を高くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子装置は、基板、支持層、導電パターン層及び第1パターン層を備えている。基板は、開口を有している。支持層の少なくとも一部分は、基板の開口と重なっている。導電パターン層は、支持層上に位置し、かつ基板の開口と重なっている。導電パターン層は、少なくとも一箇所で折り返されている。第1パターン層は、支持層上に位置している。第1パターン層は、導電パターン層の折り返しによって導電パターン層に形成された切れ目を覆っている。
【0008】
本発明に係る電子装置は、基板、支持層、導電パターン層及びリード導電パターン層を備えている。基板は、開口を有している。支持層の少なくとも一部分は、基板の開口と重なっている。導電パターン層は、支持層上に位置し、かつ基板の開口と重なっている。導電パターン層は、少なくとも一箇所で折り返されている。リード導電パターン層は、導電パターン層に斜めに交差している。導電パターン層とリード導電パターン層との交差部分の180度未満の角度で開いている角は、導電パターン層からリード導電パターン層にかけて連続的に滑らかな外縁を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導電パターンが発熱したときの支持層の耐破損性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る電子装置の平面図(上面図)である。
【
図3】実施形態2に係る電子装置の平面図(上面図)である。
【
図4】実施形態3に係る電子装置の平面図(上面図)である。
【
図5】実施形態4に係る電子装置の平面図(上面図)である。
【
図6】実施形態5に係る電子装置の平面図(上面図)である。
【
図7】実施形態6に係る電子装置の平面図(上面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電子装置10の平面図(上面図)である。
図2は、
図1のA-A´断面図である。
【0013】
電子装置10は、基板100、支持層200、導電パターン層310、4つのリード導電パターン層314、2つの第1パターン層320、2つの第2パターン層330及び発光層400を備えている。基板100は、第1面102、第2面104及び開口106を有している。支持層200のダイヤフラム210(詳細は後述する。)は、第1辺212、第2辺214、第3辺216及び第4辺218を4辺として有する実質的な矩形(正方形を含む。)の形状を有している。実質的な矩形とは、厳密な矩形だけでなく、面取りされた矩形、切欠きが形成された辺を有する矩形等、厳密な矩形に類似する図形も意味する。ダイヤフラム210の第1辺212及び第2辺214は、互いに反対側に位置している(対向している)。ダイヤフラム210の第3辺216及び第4辺218は、ダイヤフラム210の第1辺212と第2辺214との間に位置しており、互いに反対側に位置している(対向している)。
【0014】
図1及び
図2において、第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zは、以下のようになる。後述する
図3から
図7においても同様である。
【0015】
第1方向Xは、電子装置10又は電子装置10を構成する要素(例えば、基板100、開口106、ダイヤフラム210又は導電パターン層310)の所定の一方向である。本実施形態において、第1方向Xは、ダイヤフラム210の第1辺212又は第2辺214の延伸方向である。しかしながら、第1方向Xは、ダイヤフラム210の第1辺212又は第2辺214と異なる要素の方向(例えば、基板100の各辺の延伸方向)に基づいて決定されてもよい。第1方向Xの正方向(第1方向Xを示す矢印によって示される方向)は、第1方向Xの一方側に向かう方向である。本実施形態において、第1方向Xの正方向は、ダイヤフラム210の第4辺218から第3辺216に向かう方向である。第1方向Xの負方向(第1方向Xを示す矢印によって示される方向の反対方向)は、第1方向Xの上記一方側の反対の他方側に向かう方向である。本実施形態において、第1方向Xの負方向は、ダイヤフラム210の第3辺216から第4辺218に向かう方向である。
【0016】
第2方向Yは、第1方向Xに交差しており、具体的に直交している。本実施形態において、第2方向Yは、ダイヤフラム210の第3辺216又は第4辺218の延伸方向である。しかしながら、第2方向Yは、ダイヤフラム210の第3辺216又は第4辺218と異なる要素の方向(例えば、基板100の各辺の延伸方向)に基づいて決定されてもよい。第2方向Yの正方向(第2方向Yを示す矢印によって示される方向)は、第2方向Yの一方側に向かう方向である。本実施形態において、第2方向Yの正方向は、ダイヤフラム210の第2辺214から第1辺212に向かう方向である。第2方向Yの負方向(第2方向Yを示す矢印によって示される方向の反対方向)は、第2方向Yの上記一方側の反対の他方側に向かう方向である。本実施形態において、第2方向Yの負方向は、ダイヤフラム210の第1辺212から第2辺214に向かう方向である。
【0017】
第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yの双方に交差しており、具体的には直交している。本実施形態において、第3方向Zは、電子装置10又は電子装置10を構成する要素(例えば、基板100、支持層200、導電パターン層310、リード導電パターン層314、第1パターン層320又は第2パターン層330)の厚さ(高さ)方向である。第3方向Zの正方向(
図1において紙面の奥から手前に向かう方向、
図2において第3方向Zを示す矢印によって示される方向)は、第3方向Zの一方側に向かう方向である、本実施形態において、第3方向Zの正方向は、基板100の第2面104から第1面102に向かう方向(例えば、上方向)である。第3方向Zの負方向(
図1において紙面の手前から奥に向かう方向、
図2において第3方向Zを示す矢印によって示される方向の反対方向)は、第3方向Zの上記一方側の反対の他方側に向かう方向である。本実施形態において、第3方向Zの負方向は、基板100の第1面102から第2面104に向かう方向(例えば、下方向)である。
【0018】
図1では、説明のため、発光層400(
図2)と、支持層200のうちダイヤフラム210の外側に位置する部分と、を示していない。
【0019】
基板100は、例えばシリコン基板等の半導体基板である。基板100の第1面102は、基板100の上面である。基板100の第2面104は、基板100の第1面102の反対側にある。基板100の第2面104は、基板100の下面である。基板100の開口106は、基板100の第1面102側に位置している。基板100の開口106が設けられている場合、基板100の開口106が設けられていない場合と比較して、導電パターン層310から発生する熱(詳細は後述する。)のうち、基板100の厚さ方向(第3方向Z)に沿って基板100の第1面102側から第2面104側に向けて逃げる量を少なくすることができる。本実施形態において、開口106は、基板100の第1面102と第2面104との間において基板100を貫通する孔の第1面102側(第3方向Zの正方向側)の開口となっている。しかしながら、開口106は、基板100を貫通する孔の開口でなくてもよい。例えば、基板100の第1面102側には、基板100の第2面104まで達しない(基板100を貫通しない)凹部(キャビティ)が形成されていてもよい。この例において、開口106は、この凹部(キャビティ)の第1面102側(第3方向Zの正方向側)の開口である。
【0020】
支持層200は、基板100の第1面102側に位置している。支持層200は、支持層200の厚さ方向(第3方向Z)に厚さを有する少なくとも1つの絶縁層(例えば、シリコン酸化層又はシリコン窒化層)を有している。支持層200が複数の絶縁層を有する場合、複数の絶縁層は、支持層200の厚さ方向(第3方向Z)に積層されている。支持層200の少なくとも一部分は、支持層200の厚さ方向(第3方向Z)において基板100の開口106と重なっている。支持層200のうち基板100の開口106と重なる部分は、ダイヤフラム210となっている。
【0021】
ダイヤフラム210(支持層200)は、4つの貫通孔210aを有している。各貫通孔210aは、ダイヤフラム210(支持層200)の厚さ方向(第3方向Z)にダイヤフラム210(支持層200)を貫通している。基板100の第1面102(
図2)に垂直な方向(第3方向Zの正方向)から見て、4つの貫通孔210aは、導電パターン層310の一方向(第1方向X)の両側に位置する2つの貫通孔210aと、導電パターン層310の上記一方向に直交する他の一方向(第2方向Y)の両側に位置する2つの貫通孔210aと、を含んでいる。貫通孔210aが設けられている場合、貫通孔210aが設けられていない場合と比較して、導電パターン層310から発生する熱(詳細は後述する。)のうち、基板100の厚さ方向(第3方向Z)に対して横方向(例えば、第1方向X又は第2方向Y)に沿って導電パターン層310の外側に向けて逃げる量を少なくすることができる。しかしながら、ダイヤフラム210(支持層200)は、貫通孔210aを有していなくてもよい。
【0022】
ダイヤフラム210(支持層200)は、4つの梁210bを有している。基板100の第1面102(
図2)に垂直な方向(第3方向Zの正方向)から見て、4つの梁210bは、導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側に位置する梁210bと、導電パターン層310に対して第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの正方向側に位置する梁210bと、導電パターン層310に対して第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの負方向側に位置する梁210bと、導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの負方向側に位置する梁210bと、を含んでいる。
【0023】
導電パターン層310は、支持層200(ダイヤフラム210)上に位置し、かつ基板100の開口106と重なっている。導電パターン層310は、ミアンダ形状を有している。具体的には、導電パターン層310は、一方向(第1方向X)の両側で交互に折り返されている。導電パターン層310は、第1方向Xの正方向側の複数箇所(2箇所)で折り返されているとともに、第1方向Xの負方向側の複数箇所(2箇所)で折り返されている。導電パターン層310の第1方向Xの正方向側の複数(2つ)の折り返しによって、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側には、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側に向けて開いた複数(2つ)の切れ目312が形成されている。また、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側の複数(2つ)の折り返しによって、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側には、第1方向Xの正方向側に向けて開いた複数(2つ)の切れ目312が形成されている。また、導電パターン層310の一端は、ダイヤフラム210(開口106)の中心に対して、第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側に位置している。一方、導電パターン層310の他端は、ダイヤフラム210(開口106)の中心に対して、第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの負方向側に位置している。
【0024】
導電パターン層310のレイアウトは、本実施形態に係るレイアウトに限定されない。例えば、導電パターン層310は、少なくとも一箇所で折り返されていてもよい。この場合、導電パターン層310の少なくとも1つの折り返しによって、少なくとも1つの切れ目312が導電パターン層310に形成されている。例えば、導電パターン層310は、第1方向Xの正方向側の少なくとも1箇所で折り返されているとともに、第1方向Xの負方向側の少なくとも1箇所で折り返されていてもよい。導電パターン層310の第1方向Xの正方向側の少なくとも1つの折り返しによって、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側には、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側に向けて開いた少なくとも1つの切れ目312が形成されている。また、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側の少なくとも1つの折り返しによって、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側には、第1方向Xの正方向側に向けて開いた少なくとも1つの切れ目312が形成されている。或いは、導電パターン層310は、第1方向Xの正方向側の1箇所のみで折り返されている一方で、第1方向Xの負方向側では折り返されていなくてもよい。この場合、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側の1つの折り返しによって、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側には、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側に向けて開いた1つの切れ目312が形成されている。一方、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側には、切れ目312が形成されていない。
【0025】
4つのリード導電パターン層314は、導電パターン層310に接続されており、導電パターン層310と一体として形成されている。基板100の第1面102に垂直な方向(第3方向Zの正方向)から見て、4つのリード導電パターン層314の各々は、4つの梁210bの各々と重なっており、導電パターン層310に斜めに交差している。基板100の第1面102(
図2)に垂直な方向(第3方向Zの正方向)から見て、4つのリード導電パターン層314は、導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側に位置するリード導電パターン層314と、導電パターン層310に対して第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの正方向側に位置するリード導電パターン層314と、導電パターン層310に対して第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの負方向側に位置するリード導電パターン層314と、導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの負方向側に位置するリード導電パターン層314と、を含んでいる。
【0026】
導電パターン層310の上記一端に接続されたリード導電パターン層314(導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側に位置するリード導電パターン層314)と、導電パターン層310の上記他端に接続されたリード導電パターン層314(導電パターン層310に対して第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの負方向側に位置するリード導電パターン層314)と、の間に電圧を印加することで、導電パターン層310に電流を流すことができる。導電パターン層310に流れる電流によって、導電パターン層310は熱(ジュール熱)を発する。この場合、残りの2つのリード導電パターン層314(導電パターン層310に対して第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの正方向側に位置するリード導電パターン層314と、導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの負方向側に位置するリード導電パターン層314)の間には電圧を印加しなくてもよい。この場合、当該残りの2つのリード導電パターン層314は、ダミー導電パターン層として機能する。
【0027】
各導電パターン層310及び各リード導電パターン層314は、電気抵抗率が比較的高い導電材料、例えば、白金(Pt)、白金(Pt)を含む合金(例えば、白金・タングステン合金)、ニクロム等の金属又はポリシリコンによって形成されている。
【0028】
リード導電パターン層314のレイアウトは、本実施形態に係るレイアウトに限定されない。例えば、導電パターン層310の上記一端に接続されたリード導電パターン層314(導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側に位置するリード導電パターン層314)と、導電パターン層310の上記他端に接続されたリード導電パターン層314(導電パターン層310に対して第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの負方向側に位置するリード導電パターン層314)と、は残す一方で、残りの2つのリード導電パターン層314(導電パターン層310に対して第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの正方向側に位置するリード導電パターン層314と、導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの負方向側に位置するリード導電パターン層314)は設けられていなくてもよい。
【0029】
2つの第1パターン層320は、導電パターン層310の一方向(第1方向X)の両側に位置している。導電パターン層310の第1方向Xの正方向側の第1パターン層320は、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側の複数(2つ)の切れ目312を覆っている。また、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側の第1パターン層320は、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側の複数(2つ)の切れ目312を覆っている。この場合、第1パターン層320が設けられていない場合と比較して、導電パターン層310が発熱したときのダイヤフラム210の耐破損性が高くなる。すなわち、第1パターン層320は、ダイヤフラム210の破損を抑制するバリアパターンとして機能している。理由は、以下のとおりである。
【0030】
ダイヤフラム210のうちダイヤフラム210の厚さ方向(第3方向Z)に導電パターン層310(発熱部分)と重なる部分の温度と、ダイヤフラム210のうちダイヤフラム210の厚さ方向(第3方向Z)に導電パターン層310(発熱部分)の切れ目312と重なる部分の温度と、の差によって、ダイヤフラム210のうち導電パターン層310の切れ目312の近傍では、導電パターン層310の線膨張係数とダイヤフラム210の線膨張係数との差に起因して、熱応力集中によって破損が生じやすい。これに対して、本実施形態では、ダイヤフラム210のうち導電パターン層310の切れ目312の近傍における熱応力を第1パターン層320に逃がすことができる。したがって、本実施形態では、第1パターン層320が設けられていない場合と比較して、導電パターン層310が発熱したときのダイヤフラム210の耐破損性が高くなる。
【0031】
ダイヤフラム210(支持層200)の厚さ(第3方向Z)が薄く、ダイヤフラム210に貫通孔210aが設けられている場合、ダイヤフラム210のうち導電パターン層310の切れ目312の近傍では熱応力集中によって破損が生じやすい。したがって、本実施形態は、ダイヤフラム210(支持層200)の厚さ(第3方向Z)が薄く、ダイヤフラム210に貫通孔210aが設けられている場合に特に有意義である。しかしながら、本実施形態は、ダイヤフラム210(支持層200)の厚さ(第3方向Z)が厚く、ダイヤフラム210に貫通孔210aが設けられていない場合にも適用可能である。
【0032】
各第1パターン層320は、線状に延伸している。この場合、各第1パターン層320が面状に広がっている場合と比較して、導電パターン層310から発生する熱のうち第1パターン層320を介して導電パターン層310の外側へ向けて逃げる量を少なくすることができる。しかしながら、各第1パターン層320は、面状に広がっていてもよい。例えば、第1パターン層320は、多角形形状を有していてもよい。
【0033】
2つの第1パターン層320は、ダイヤフラム210(開口106)の第1方向Xにおける中心を第2方向Yに沿って通過する直線に関して対称になっている。この場合、2つの第1パターン層320が、ダイヤフラム210(開口106)の第1方向Xにおける中心を第2方向Yに沿って通過する直線に関して非対称となっている場合と比較して、第1パターン層320を設けることによる応力分布のばらつきを低減することができる。しかしながら、2つの第1パターン層320は、ダイヤフラム210(開口106)の第1方向Xにおける中心を第2方向Yに沿って通過する直線に関して非対称となっていてもよい。また、第1パターン層320は、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側及び負方向側の一方のみ等、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側及び負方向側の少なくとも一方に設けられていてもよい。すなわち、第1パターン層320は、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側に形成された切れ目312と、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側に形成された切れ目312と、の少なくとも一方を覆っていてもよい。
【0034】
基板100の第1面102に垂直な方向(第3方向Zの正方向)から見て、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側の第1パターン層320は、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側で第2方向Yに沿って延伸する部分と、導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側に位置するリード導電パターン層314に沿って延伸する部分と、導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの負方向側に位置するリード導電パターン層314に沿って延伸する部分と、を含んでいる。導電パターン層310の第1方向Xの負方向側の第1パターン層320についても同様である。なお、第1パターン層320は、リード導電パターン層314に沿って延伸する部分を含んでいなくてもよい。
【0035】
基板100の第1面102に垂直な方向(第3方向Zの正方向)から見て、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側の第1パターン層320の一端(導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側の端)及び他端(導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの負方向側の端)は、ダイヤフラム210の外側に位置している。第1パターン層320は、第1パターン層320の上記一端から第1パターン層320の上記他端の間で連続的に延伸しており、ダイヤフラム210上のいずれの領域においても途切れていない。導電パターン層310の第1方向Xの負方向側の第1パターン層320についても同様である。仮に、第1パターン層320がダイヤフラム210上のいずれかの領域で途切れていると、導電パターン層310から発生した熱が第1パターン層320に伝わったとき、第1パターン層320が途切れている部分でダイヤフラム210を破損させ得る熱応力が集中する可能性がある。これに対して、本実施形態では、このような熱応力の集中が抑えられている。しかしながら、第1パターン層320は、ダイヤフラム210上のいずれかの領域で途切れていてもよい。
【0036】
導電パターン層310の第1方向Xの正方向側の第1パターン層320は、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側のすべて(2つ)の切れ目312を覆っている。しかしながら、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側の第1パターン層320は、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側の複数(2つ)の切れ目312のうちの少なくとも1つを覆っていてもよい。また、第1パターン層320は、導電パターン層310の切れ目312の近傍のみに選択的に設けられていてもよい。導電パターン層310の第1方向Xの負方向側の第1パターン層320についても同様である。
【0037】
導電パターン層310から発生した熱のうち第1パターン層320を介して導電パターン層310の外側へ向けて逃げる量を低減する観点から、各第1パターン層320(第1パターン層320のうち導電パターン層310の切れ目312を覆う部分)の幅W2(第1方向X)は、導電パターン層310の切れ目312の幅W1(第2方向Y)の例えば、3倍以下、好ましくは2倍以下にすることができる。第1パターン層320の耐破損性を高くする観点から、各第1パターン層320(第1パターン層320のうち導電パターン層310の切れ目312を覆う部分)の幅W2(第1方向X)は、導電パターン層310の切れ目312の幅W1(第2方向Y)の例えば、0.75倍以上、好ましくは1倍以上にすることができる。
【0038】
第1パターン層320によってダイヤフラム210の破損を抑制する観点から、導電パターン層310と第1パターン層320との間の隙間(導電パターン層310のうち第1パターン層320に対向している外縁と、第1パターン層320のうち導電パターン層310に対向している縁と、の間の隙間)の幅G1(第1方向X)は、導電パターン層310の切れ目312の幅W1(第2方向Y)の例えば3倍以下、好ましくは2倍以下にすることができる。導電パターン層310と第1パターン層320との間の隙間の幅G1の下限は特に限定されない。しかしながら、導電パターン層310の切れ目312の幅W1が導電パターン層310の製造プロセスの条件(例えば、リソグラフィの分解能)における最小限界幅であるとき、導電パターン層310と第1パターン層320との間の隙間(導電パターン層310のうち第1パターン層320に対向している外縁と、第1パターン層320のうち導電パターン層310に対向している縁と、の間の隙間)の幅G1(第1方向X)は、導電パターン層310の切れ目312の幅W1(第2方向Y)の例えば1倍以上にすることができる。
【0039】
第1パターン層320の耐破損性を高くする観点から、第1パターン層320の厚さ(第3方向Z)は、例えば、導電パターン層310の厚さ(第3方向Z)と実質的に等しくしてもよく、導電パターン層310の厚さ(第3方向Z)の例えば90%以上110%以下にしてもよい。
【0040】
各第1パターン層320は、導電パターン層310と同一材料によって形成されている。この場合、導電パターン層310及び第1パターン層320を同一工程で形成することができる。したがって、第1パターン層320が導電パターン層310と異なる材料によって形成されている場合と比較して、導電パターン層310及び第1パターン層320の製造工程を少なくすることができる。しかしながら、第1パターン層320は、導電パターン層310と異なる材料によって形成されていてもよい。例えば、第1パターン層320は、支持層200から発生する熱応力に耐える硬度を有する材料(例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)等の金属(合金を含む。)、又はそれらのシリコン化合物(シリサイド))によって形成されていてもよい。或いは、第1パターン層320は、支持層200から発生する熱応力を緩和する靭性を有する材料(例えば、SU-8、パリレン等の樹脂)によって形成されていてもよい。
【0041】
第1パターン層320が導電性を有する場合(例えば、導電パターン層310及び第1パターン層320が同一材料によって形成されている場合)、第1パターン層320は、導電パターン層310から電気的に分離されている。すなわち、導電パターン層310に電流を流すための電圧は導電パターン層310には印加されない。第1パターン層320は、電気的に浮遊させていてもよい。例えば、第1パターン層320には電源電位及び接地電位が印加されないようにすることができる。また、第1パターン層320には電流を流さなくてもよい。しかしながら、導電パターン層310に電流が流れる場合、第1パターン層320にも電流を流してもよい。
【0042】
2つの第2パターン層330は、導電パターン層310の上記一方向(第1方向X)に直交する他の一方向(第2方向Y)の両側に位置している。本実施形態では、第2パターン層330が設けられていない場合と比較して、導電パターン層310の発熱時の導電パターン層310の周辺の応力分布のばらつきを第2パターン層330によって低減することができる。
【0043】
各第2パターン層330は、線状に延伸している。この場合、各第2パターン層330が面状に広がっている場合と比較して、導電パターン層310から発生する熱のうち第2パターン層330を介して導電パターン層310の外側へ向けて逃げる量を少なくすることができる。しかしながら、各第2パターン層330は、面状に広がっていてもよい。例えば、第2パターン層330は、多角形形状を有していてもよい。
【0044】
2つの第2パターン層330は、ダイヤフラム210(開口106)の第2方向Yにおける中心を第1方向Xに沿って通過する直線に関して対称になっている。この場合、2つの第2パターン層330が、ダイヤフラム210(開口106)の第2方向Yにおける中心を第1方向Xに沿って通過する直線に関して非対称となっている場合と比較して、第2パターン層330を設けることによる応力分布のばらつきを低減することができる。しかしながら、2つの第2パターン層330は、ダイヤフラム210(開口106)の第2方向Yにおける中心を第1方向Xに沿って通過する直線に関して非対称となっていてもよい。また、第2パターン層330は、導電パターン層310の第2方向Yの正方向側及び負方向側の一方のみ等、導電パターン層310の第2方向Yの正方向側及び負方向側の少なくとも一方に設けられていてもよい。すなわち、第2パターン層330は、第2方向Yにおける導電パターン層310の両側の少なくとも一方を覆っていてもよい。
【0045】
基板100の第1面102に垂直な方向(第3方向Zの正方向)から見て、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側の第2パターン層330は、導電パターン層310の第2方向Yの正方向側で第1方向Xに沿って延伸する部分と、導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側に位置するリード導電パターン層314に沿って延伸する部分と、導電パターン層310に対して第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの正方向側に位置するリード導電パターン層314に沿って延伸する部分と、を含んでいる。導電パターン層310の第2方向Yの負方向側の第2パターン層330についても同様である。なお、第2パターン層330は、リード導電パターン層314に沿って延伸する部分を含んでいなくてもよい。
【0046】
基板100の第1面102に垂直な方向(第3方向Zの正方向)から見て、導電パターン層310の第2方向Yの正方向側の第2パターン層330の一端(導電パターン層310に対して第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側の端)及び他端(導電パターン層310に対して第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの正方向側の端)は、ダイヤフラム210の外側に位置している。第2パターン層330は、第2パターン層330の上記一端から第1パターン層320の上記他端の間で連続的に延伸しており、ダイヤフラム210上のいずれの領域においても途切れていない。導電パターン層310の第2方向Yの負方向側の第1パターン層320についても同様である。仮に、第2パターン層330がダイヤフラム210上のいずれかの領域で途切れていると、導電パターン層310から発生した熱が第2パターン層330に伝わったとき、第2パターン層330が途切れている部分でダイヤフラム210を破損させ得る熱応力が集中する可能性がある。これに対して、本実施形態では、このような熱応力の集中が抑えられている。しかしながら、第2パターン層330は、ダイヤフラム210上のいずれかの領域で途切れていてもよい。
【0047】
導電パターン層310から発生した熱のうち第2パターン層330を介して導電パターン層310の外側へ向けて逃げる量を低減する観点から、各第2パターン層330(第2パターン層330のうち導電パターン層310を覆う部分)の幅W3(第2方向Y)は、導電パターン層310の切れ目312の幅W1(第2方向Y)の例えば、3倍以下、好ましくは2倍以下にすることができる。第2パターン層330の耐破損性を高くする観点から、各第2パターン層330(第2パターン層330のうち導電パターン層310を覆う部分)の幅W3(第2方向Y)は、導電パターン層310の切れ目312の幅W1(第2方向Y)の例えば、0.75倍以上、好ましくは1倍以上にすることができる。
【0048】
第2パターン層330によってダイヤフラム210の破損を抑制する観点から、導電パターン層310と第2パターン層330との間の隙間(導電パターン層310のうち第2パターン層330に対向している外縁と、第2パターン層330のうち導電パターン層310に対向している縁と、の間の隙間)の幅G2(第2方向Y)は、導電パターン層310の切れ目312の幅W1(第2方向Y)の例えば3倍以下、好ましくは2倍以下にすることができる。導電パターン層310と第2パターン層330との間の隙間の幅G2の下限は特に限定されない。しかしながら、導電パターン層310の切れ目312の幅W1が導電パターン層310の製造プロセスの条件(例えば、リソグラフィの分解能)における最小限界幅であるとき、導電パターン層310と第2パターン層330との間の隙間(導電パターン層310のうち第2パターン層330に対向している外縁と、第2パターン層330のうち導電パターン層310に対向している縁と、の間の隙間)の幅G2(第2方向Y)は、導電パターン層310の切れ目312の幅W1(第2方向Y)の例えば1倍以上にすることができる。
【0049】
第2パターン層330の耐破損性を高くする観点から、第2パターン層330の厚さ(第3方向Z)は、例えば、導電パターン層310の厚さ(第3方向Z)と実質的に等しくしてもよく、導電パターン層310の厚さ(第3方向Z)の例えば90%以上110%以下にしてもよい。
【0050】
各第2パターン層330は、導電パターン層310と同一材料によって形成されている。この場合、導電パターン層310及び第2パターン層330を同一工程で形成することができる。したがって、第2パターン層330が導電パターン層310と異なる材料によって形成されている場合と比較して、導電パターン層310及び第2パターン層330の製造工程を少なくすることができる。しかしながら、第2パターン層330は、導電パターン層310と異なる材料によって形成されていてもよい。例えば、第2パターン層330は、支持層200から発生する熱応力に耐える硬度を有する材料(例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)等の金属(合金を含む。)、又はそれらのシリコン化合物(シリサイド))によって形成されていてもよい。或いは、第2パターン層330は、支持層200から発生する熱応力を緩和する靭性を有する材料(例えば、SU-8、パリレン等の樹脂)によって形成されていてもよい。
【0051】
第2パターン層330が導電性を有する場合(例えば、導電パターン層310及び第2パターン層330が同一材料によって形成されている場合)、第2パターン層330は、導電パターン層310から電気的に分離されている。すなわち、導電パターン層310に電流を流すための電圧は第2パターン層330には印加されない。第2パターン層330は、電気的に浮遊させていてもよい。例えば、第2パターン層330には電源電位及び接地電位が印加されないようにすることができる。また、第2パターン層330には電流を流さなくてもよい。しかしながら、導電パターン層310に電流が流れる場合、第2パターン層330にも電流を流してもよい。
【0052】
(実施形態2)
図3は、実施形態2に係る電子装置10の平面図(上面図)である。実施形態2に係る電子装置10は、以下の点を除いて、実施形態1に係る電子装置10と同様である。
【0053】
電子装置10は、第2パターン層330(
図2)を備えていない。言い換えると、第2方向Yにおける導電パターン層310の両側は、第1パターン層320を形成する材料と同一材料から露出されている。詳細には、ダイヤフラム210のうち導電パターン層310の第2方向Yの両側には、第1パターン層320と同様の機能を果たすパターン層(例えば、第1パターン層320を形成する材料と同じ材料)が設けられていない。本実施形態によれば、第2パターン層330が設けられている場合(
図1)と比較して、導電パターン層310から発生した熱のうち第2方向Yに沿って導電パターン層310の外側に向けて逃げる量を低減することができる。
【0054】
本実施形態では、第2方向Yにおける導電パターン層310の両側において、第2パターン層330(
図1)が設けられていない。しかしながら、第2方向Yにおける導電パターン層310の両側の一方には、第2パターン層330(
図1)が設けられていてもよい。すなわち、第2方向Yにおける導電パターン層310の両側の少なくとも一方は、第1パターン層320を形成する材料と同一材料から露出されているようにすることができる。
【0055】
(実施形態3)
図4は、実施形態3に係る電子装置10の平面図(上面図)である。実施形態3に係る電子装置10は、以下の点を除いて、実施形態2に係る電子装置10と同様である。
【0056】
第1パターン層320のうち導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分を覆う部分の外側(導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分と対向している側の反対側)の角(180度未満の角度で開いている角)は、第1パターン層320のうち導電パターン層310を覆う部分から第1パターン層320のうちリード導電パターン層314を覆う部分にかけて連続的に滑らかな外縁を有している。本実施形態において、第1パターン層320のうち導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分を覆う部分の外側の角は、第1方向Xの正方向側の導電パターン層310の第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側と、第1方向Xの負方向側の導電パターン層310の第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの正方向側と、第1方向Xの負方向側の導電パターン層310の第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの負方向側と、第1方向Xの正方向側の導電パターン層310の第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの負方向側と、の4箇所に存在している。これら4つの角のすべてが、第1パターン層320のうち導電パターン層310を覆う部分から第1パターン層320のうちリード導電パターン層314を覆う部分にかけて連続的に滑らかな外縁を有している。しかしながら、これら4つの角のうちの少なくとも1つが、第1パターン層320のうち導電パターン層310を覆う部分から第1パターン層320のうちリード導電パターン層314を覆う部分にかけて連続的に滑らかな外縁を有していてもよい。
【0057】
本実施形態において、「連続的に滑らかな外縁」とは、例えば、当該外縁にフィッティングして得られる関数がその関数の区間にわたって連続的微分可能である(例えば、C1級の関数である)ことを意味する。
【0058】
仮に、例えば、第1パターン層320のうち導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分を覆う部分の外側(導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分と対向している側の反対側)の角の外縁の一部分が尖っている場合、導電パターン層310から発生した熱が第1パターン層320に伝わったとき、第1パターン層320の上記角の上記外縁のうち尖っている上記一部分又はその近傍において、第1パターン層320又はダイヤフラム210(支持層200)に熱応力集中が発生して、第1パターン層320又はダイヤフラム210(支持層200)に破損が生じる可能性がある。これに対して本実施形態では、第1パターン層320の上記角が連続的に滑らかな外縁を有しているため、当該熱応力集中を抑制することができる。このため、本実施形態によれば、例えば、第1パターン層320のうち導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分を覆う部分の外側(導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分と対向している側の反対側)の角の外縁の一部分が尖っている場合と比較して、第1パターン層320又はダイヤフラム210(支持層200)の耐破損性を高くすることができる。
【0059】
本実施形態では、第1パターン層320のうち導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分を覆う部分の内側(導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分と対向している側)の角(180度超の角度で開いている角)は、尖っている。しかしながら、第1パターン層320のうち導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分を覆う部分の内側(導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分対向している側)の角も、第1パターン層320のうち導電パターン層310を覆う部分から第1パターン層320のうちリード導電パターン層314を覆う部分にかけて連続的に滑らかな外縁を有していてもよい。
【0060】
(実施形態4)
図5は、実施形態4に係る電子装置10の平面図(上面図)である。実施形態4に係る電子装置10は、以下の点を除いて、実施形態1に係る電子装置10と同様である。
【0061】
導電パターン層310は、四角形スパイラル形状を有している。四角形スパイラル形状の各巻き部は、四角形に類似した形状を有している。本実施形態において、四角形スパイラル形状の四角形は、長方形(正方形を含む。)となっている。しかしながら、四角形スパイラル形状の四角形は、長方形以外の四角形(例えば、菱形、平行四辺形又は台形)であってもよい。また、導電パターン層310は、多角形スパイラル形状(例えば、三角形スパイラル形状又は六角形スパイラル形状)を有していてもよい。
【0062】
基板100の第1面102(
図2)に垂直な方向(第3方向Zの正方向)から見て、導電パターン層310は、導電パターン層310の一端(第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側の端)から導電パターン層310の中心にかけて反時計回りに延伸しており、導電パターン層310の中心で折り返して、導電パターン層310の中心から導電パターン層310の他端(第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの負方向側の端)にかけて時計回りに延伸している。
【0063】
基板100の第1面102(
図2)に垂直な方向(第3方向Zの正方向)から見て、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側には、導電パターン層310のうち導電パターン層310の上記一端(第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側の端)から導電パターン層310の中心にかけて反時計回りに延伸している部分と、導電パターン層310のうち導電パターン層310の中心から導電パターン層310の上記他端(第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの負方向側)にかけて時計回りに延伸している部分と、によって、第1方向Xの正方向側に向けて開いた1つの切れ目312が形成されている。また、基板100の第1面102(
図2)に垂直な方向(第3方向Zの正方向)から見て、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側には、導電パターン層310のうち導電パターン層310の上記一端(第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側の端)から導電パターン層310の中心にかけて反時計回りに延伸している部分と、導電パターン層310のうち導電パターン層310の中心から導電パターン層310の上記他端(第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの負方向側)にかけて時計回りに延伸している部分と、によって、第1方向Xの負方向側に向けて開いた1つの切れ目312が形成されている。
【0064】
実施形態4においても、第1方向Xの正方向側の第1パターン層320は、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側の切れ目312を覆っている。また、第1方向Xの負方向側の第1パターン層320は、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側の切れ目312を覆っている。したがって、実施形態1と同様にして、第1パターン層320が設けられていない場合と比較して、導電パターン層310が発熱したときのダイヤフラム210の耐破損性が高くなる。
【0065】
(実施形態5)
図6は、実施形態5に係る電子装置10の平面図(上面図)である。実施形態5に係る電子装置10は、以下の点を除いて、実施形態4に係る電子装置10と同様である。
【0066】
導電パターン層310は、円形スパイラル形状を有している。円形スパイラル形状の各巻き部は、円形に類似した形状を有している。導電パターン層310は、楕円形スパイラル形状を有していてもよい。実施形態5においても、実施形態4と同様にして、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側には、第1方向Xの正方向側に向けて開いた1つの切れ目312が形成されている。また、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側には、第1方向Xの負方向側に向けて開いたさらに1つの切れ目312が形成されている。
【0067】
実施形態5においても、第1方向Xの正方向側の第1パターン層320は、導電パターン層310の第1方向Xの正方向側の切れ目312を覆っている。また、第1方向Xの負方向側の第1パターン層320は、導電パターン層310の第1方向Xの負方向側の切れ目312を覆っている。したがって、実施形態1と同様にして、第1パターン層320が設けられていない場合と比較して、導電パターン層310が発熱したときのダイヤフラム210の耐破損性が高くなる。
【0068】
(実施形態6)
図7は、実施形態6に係る電子装置10の平面図(上面図)である。実施形態6に係る電子装置10は、以下の点を除いて、実施形態1に係る電子装置10と同様である。
【0069】
導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分の180度未満の角度で開いている角は、導電パターン層310からリード導電パターン層314にかけて連続的に滑らかな外縁を有している。本実施形態において、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分の180度未満の角度で開いている角は、導電パターン層310と第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側のリード導電パターン層314との交差部分の第2方向Yの正方向側と、導電パターン層310と第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの正方向側のリード導電パターン層314との交差部分の第2方向Yの正方向側と、導電パターン層310と第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの正方向側のリード導電パターン層314との交差部分の第1方向Xの負方向側と、導電パターン層310と第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの負方向側のリード導電パターン層314との交差部分の第2方向Yの負方向側と、導電パターン層310と第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの負方向側のリード導電パターン層314との交差部分の第2方向Yの負方向側と、導電パターン層310と第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの負方向側のリード導電パターン層314との交差部分の第1方向Xの正方向側と、の6箇所に存在している。これら6つの角のすべてが、導電パターン層310からリード導電パターン層314にかけて連続的に滑らかな外縁を有している。しかしながら、これら6つの角のうちの少なくとも1つが、導電パターン層310からリード導電パターン層314にかけて連続的に滑らかな外縁を有していてもよい。
【0070】
本実施形態において、「連続的に滑らかな外縁」とは、例えば、当該外縁にフィッティングして得られる関数がその関数の区間にわたって連続的微分可能である(例えば、C1級の関数である)ことを意味する。
【0071】
仮に、例えば、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分の180度未満の角度で開いている角の外縁の一部分が尖っている場合、導電パターン層310が発熱したとき、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分の上記角の上記外縁のうち尖っている上記一部分又はその近傍において、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分又はダイヤフラム210(支持層200)に熱応力集中が発生して、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分又はダイヤフラム210(支持層200)に破損が生じる可能性がある。これに対して本実施形態では、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分の上記角が連続的に滑らかな外縁を有しているため、当該熱応力集中を抑制することができる。このため、本実施形態によれば、例えば、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分の180度未満の角度で開いている角の外縁の一部分が尖っている場合と比較して、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分又はダイヤフラム210(支持層200)の耐破損性を高くすることができる。
【0072】
導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分の180度超の角度で開いている角は、導電パターン層310からリード導電パターン層314にかけて連続的に滑らかな外縁を有している。本実施形態において、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分の180度超の角度で開いている角は、導電パターン層310と第1方向Xの正方向側かつ第2方向Yの正方向側のリード導電パターン層314との交差部分の第1方向Xの正方向側と、導電パターン層310と第1方向Xの負方向側かつ第2方向Yの負方向側のリード導電パターン層314との交差部分の第1方向Xの負方向側と、の2箇所に存在している。これら2つの角のすべてが、導電パターン層310からリード導電パターン層314にかけて連続的に滑らかな外縁を有している。しかしながら、これら2つの角のうちの少なくとも1つが、導電パターン層310からリード導電パターン層314にかけて連続的に滑らかな外縁を有していてもよい。或いは、これら2つの角は、導電パターン層310からリード導電パターン層314にかけて連続的に滑らかな外縁を有していなくてもよい。
【0073】
仮に、例えば、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分の180度超の角度で開いている角の外縁の一部分が尖っている場合、導電パターン層310が発熱したとき、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分の上記角の上記外縁のうち尖っている上記一部分又はその近傍において、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分又はダイヤフラム210(支持層200)に熱応力集中が発生して、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分又はダイヤフラム210(支持層200)に破損が生じる可能性がある。これに対して本実施形態では、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分の上記角が連続的に滑らかな外縁を有しているため、当該熱応力集中を抑制することができる。このため、本実施形態によれば、例えば、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分の180度超の角度で開いている角の外縁の一部分が尖っている場合と比較して、導電パターン層310とリード導電パターン層314との交差部分又はダイヤフラム210(支持層200)の耐破損性を高くすることができる。
【0074】
本実施形態において、電子装置10は、2つの第1パターン層320(例えば、
図1)及び2つの第2パターン層330(例えば、
図1)を備えていない。しかしながら、電子装置10は、2つの第1パターン層320(例えば、
図1)及び2つの第2パターン層330(例えば、
図1)を備えていてもよい。
【0075】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0076】
例えば、電子装置10は、発光層400に代えて、ガス感知膜を備えていてもよい。この場合、電子装置10は、MEMSガスセンサとなる。
【符号の説明】
【0077】
10 電子装置
100 基板
102 第1面
104 第2面
106 開口
200 支持層
210 ダイヤフラム
210a 貫通孔
210b 梁
212 第1辺
214 第2辺
216 第3辺
218 第4辺
310 導電パターン層
312 切れ目
314 リード導電パターン層
320 第1パターン層
330 第2パターン層
400 発光層
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向