(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/10 20060101AFI20240312BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240312BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H04N1/10
H04N1/00 567Q
G03B27/62
(21)【出願番号】P 2020012481
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】小西 英向
(72)【発明者】
【氏名】田代 義昭
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-223024(JP,A)
【文献】特開2012-145769(JP,A)
【文献】特開平09-172526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
G03B 27/50-27/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取対象の原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台に対して開閉可能なカバー部材と、
前記原稿台の外周において前記原稿台の表面よりも突出する一又は複数の突出部を有する外装部材と、
を備え、
前記外装部材のうち一又は複数の前記突出部の一部又は全部が前記原稿台の表面より低い位置まで退避可能な可動部であ
って、
前記可動部は、前記カバー部材の開放に連動して前記原稿台の表面よりも低い位置に退避し、前記カバー部材の閉鎖に連動して前記原稿台の表面よりも高い位置に移動する、
画像読取装置。
【請求項2】
前記原稿台が矩形であり、
前記可動部は、前記原稿台の外周の少なくとも一つの辺に対応する前記突出部の一部又は全部である、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記可動部は、前記画像読取装置の前方向の一辺のみに対応する前記突出部の一部又は全部である、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記可動部は、前記原稿台において前記原稿の読取基準位置となる角部を構成する辺を除く他の辺に設けられている、
請求項2又は3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記可動部を前記原稿台の表面よりも突出する方向に付勢すると共に、前記原稿台の表面より低い位置への前記可動部の移動を許容する弾性部材を備える、
請求項1~4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記可動部の前記原稿台側の端部が、当該原稿台から外側に向かって上方向に傾斜する傾斜部又は曲面部を含む、
請求項1~5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記可動部の前記原稿台側の端部が、前記傾斜部又は前記曲面部と、当該傾斜部又は当該曲面部の下部に設けられた平面部とを含む、
請求項6に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取装置では、原稿台の外周において当該原稿台よりも上方に突出しており原稿台上における原稿の位置決めに用いられる外装部材が設けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像読取装置では、名刺、免許証、健康保険証、クレジットカードなどの各種のカード類が原稿(以下、「カード原稿」と称する)として原稿台に載置され、当該カード原稿から画像が読み取られることがある。この場合、原稿台に載置されたカード原稿を回収する際に、カード原稿が原稿台の外装部材に引っ掛かり、カード原稿を容易に回収することができないことがある。
【0005】
本発明の目的は、原稿台からカード原稿を容易に回収することが可能な画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像読取装置は、原稿台と外装部材とを備える。前記原稿台には、画像読取対象の原稿が載置される。前記外装部材は、前記原稿台の外周において前記原稿台の表面よりも突出する一又は複数の突出部を有する。そして、前記外装部材のうち一又は複数の前記突出部の一部又は全部が前記原稿台の表面より低い位置まで退避可能な可動部である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、原稿台からカード原稿を容易に回収することが可能な画像読取装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像読取装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る画像読取装置における画像読取部の内部構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る画像読取装置における画像読取部の外観模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る画像読取装置における画像読取部の要部断面を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る画像読取装置における画像読取部の要部断面を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る画像読取装置における画像読取部の要部断面を示す模式図である。
【
図7】
図7は、本発明の他の実施形態に係る画像読取装置における画像読取部の外観模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
[画像読取装置1の構成]
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る画像読取装置1は、操作表示部11、ADF12、画像読取部13、画像形成部14、通信I/F15、記憶部16、及び制御部17などを備える。具体的に、画像読取装置1は、原稿から画像を読み取るスキャナー機能の他に、プリンター機能、コピー機能、及びファクシミリ機能などを有する複合機である。なお、本発明は、複合機に限らず、複写機、スキャナー装置、ファクシミリ装置のように、スキャナー機能を有する任意の画像読取装置に適用可能である。
【0011】
操作表示部11は、情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部と、ユーザー操作を受け付けるタッチパネル及び操作ボタンなどの操作部とを備える。例えば、操作表示部11は、ユーザーによって操作されるため、画像読取装置1の前方側に設けられる。
【0012】
ADF12は、原稿セット部、搬送ローラー、原稿押さえ、及び排紙部を備え、画像読取部13による画像読取対象となる原稿を搬送する自動原稿搬送装置である。ADF12は、原稿台21を覆う閉姿勢と原稿台21から離れた開姿勢との間で開閉可能に画像読取部13に連結されている。なお、ADF12に代えて、原稿台21に対して開閉されるカバー部材が設けられていてもよい。
【0013】
画像読取部13は、原稿の画像を読み取って画像データを生成するものであり、詳細は後述する。
【0014】
画像形成部14は、電子写真方式又はインクジェット方式で画像データに基づく印刷処理を実行することが可能である。例えば、画像形成部14は、画像読取部13によって原稿から読み取られた画像データに基づいてシート上に画像を形成することが可能である。例えば、画像形成部14が電子写真方式の画像形成部である場合、画像形成部14は感光体ドラム、帯電器、露光装置、現像装置、転写装置、及び定着装置などを備える。
【0015】
通信I/F15は、電話回線、インターネット、又はLANなどの通信網を介して、外部のファクシミリ装置又はパーソナルコンピューターなどの情報処理装置との間で所定の通信プロトコルに従った通信処理を実行することが可能な通信インターフェイスである。
【0016】
記憶部16は、ハードディスク又はフラッシュメモリー等の不揮発性の記憶部であり、画像読取部13で読み取られた画像データなどが記憶される。また、記憶部16には、制御部17によって実行される各種の制御プログラムなども記憶される。
【0017】
制御部17は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を備え、画像読取装置1を制御するコンピュータとして機能する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性又は不揮発性の記憶部である。
【0018】
以下、
図2~
図6を参照しつつ、画像読取部13について説明する。なお、本実施形態の説明で用いる画像読取装置1における前後方向、左右方向、上下方向は、
図2~
図6に示される前方向D1、後方向D2、左方向D3、右方向D4、上方向D5、下方向D6によって定義されるものとする。
【0019】
図2及び
図3に示されるように、画像読取部13は、外装部材20、原稿台21、第1キャリッジ22、第2キャリッジ23、キャリッジ支持部24、及びイメージセンサー25を備える。
【0020】
原稿台21は、透明なガラスで形成された所謂コンタクトガラスであり、当該原稿台21の表面(上面)には、画像読取部13による画像読取対象の原稿が載置される。画像読取部13は、原稿台21に載置された原稿或いはADF12により搬送された原稿の画像を読み取って、当該原稿の画像を示す原稿画像データを生成する。例えば、原稿台21には、A4又はB5などのサイズの原稿が画像読取対象として載置される他、小サイズの名刺、免許証、健康保険証、クレジットカードなどのカード原稿C1が画像読取対象の原稿として載置されることもある。
【0021】
第1キャリッジ22は、光源26及びミラー27を備え、第2キャリッジ23は、2つのミラー27を備える。光源26は、原稿台21の裏面(下面)側から原稿台21に向けて光を出射する。複数のミラー27は、原稿からの反射光をイメージセンサー25へと導く。
【0022】
キャリッジ支持部24は、第1キャリッジ22及び第2キャリッジ23を原稿台21に沿って副走査方向D10に移動可能に支持する。そして、キャリッジ支持部24は、ステッピングモーター等の不図示のモーターからの駆動力により、第1キャリッジ22及び第2キャリッジ23を連動して副走査方向D10に移動させる。これにより、第1キャリッジ22は、画像読取部13の外装部材20内において、光源26の光を原稿に照射しつつ、原稿台21上の原稿を走査する。
【0023】
イメージセンサー25は、例えばCCD(Charge Coupled Device)である。イメージセンサー25は、光源26から照射されて原稿で反射した反射光の光量に応じた画像データを出力する。なお、イメージセンサー25に代えてCIS(Contact Image Sensor)のような撮像素子が第1キャリッジ22に設けられていてもよい。
【0024】
続いて、画像読取部13の外装部材20の構造について説明する。
【0025】
図3に示されるように、外装部材20は、原稿台21を支持している。また、外装部材20は、原稿台21の外周において当該原稿台21よりも上方向D5に突出する突出部41~44を有する。突出部41~44は、原稿が原稿台21に載置される際に、原稿台21上の原稿を突き当てて位置決めするために用いられ、又は、ADF12の開閉時における原稿の位置ずれを抑制する。なお、本実施形態では、原稿台21の外周全体に対応する突出部41~44が設けられているが、他の実施形態として、原稿台21の外周のうち一部の位置のみに原稿台21よりも上方向D5に突出する突出部が設けられていてもよい。
【0026】
例えば、原稿台21は、当該原稿台21よりも大きいサイズのコンタクトガラス等の部材が、外装部材20内に収容された後、原稿台21のサイズに対応する矩形状の開口を有する上面部材20Aによって覆われることにより、矩形状の原稿台21として構成される。即ち、本発明における原稿台21とは、当該原稿台21を構成するコンタクトガラス等の部材のうち外部に露出して原稿の載置部として用いられる領域である。なお、原稿台21を構成するコンタクトガラス等の部材の全体が露出している構成である場合には、当該部材の全体が原稿台21である。
【0027】
前記突出部41~44は、外装部材20に装着される上面部材20Aに設けられている。なお、外装部材20の上面部材20Aには、ADF12で搬送される原稿の画像を読み取るために用いられるコンタクトガラスも設けられる。
【0028】
突出部41~44は、矩形状の原稿台21の外周の4辺に対応してそれぞれ設けられている。具体的に、突出部41は、原稿台21の前方向D1の辺に対応して設けられ、突出部42は、原稿台21の後方の辺に対応して設けられる。同様に、突出部43は、原稿台21の左辺に対応して設けられ、突出部44は、原稿台21の右辺に対応して設けられている。例えば、突出部41~44は、原稿台21の表面に対して1mm~5mm程度だけ上方向D5に突出している。
【0029】
このように、原稿台21は、当該原稿台21よりも上方向D5に突出している突出部41~44によって囲繞されることにより、当該突出部41~44よりも下方向D6に凹んだ状態となる。また、本実施形態において、突出部41~44のうち左上方の突出部42及び突出部43は、画像読取部13による画像読取対象となる複数の原稿サイズに共通する読取基準位置として予め定められた角部を構成する辺に対応して設けられている。従って、ユーザーは、原稿を読取基準位置となる突出部42及び突出部43の角部に突き当てて原稿台21に載置することができる。
【0030】
ところで、画像読取装置1では、名刺、免許証、健康保険証、クレジットカードなどの各種のカード類が原稿(以下、「カード原稿C1」と称する)として原稿台21に載置され、当該カード原稿C1から画像が読み取られることがある。この場合、原稿台21に載置されたカード原稿C1を回収する際に、カード原稿C1が原稿台21の外装部材である外装部材20に引っ掛かり、カード原稿C1を容易に回収することができないことがある。例えば、ユーザーは、原稿台21上のカード原稿C1を前方向D1に滑らせて当該カード原稿C1の回収を試みた場合、当該カード原稿C1が突出部41に引っ掛かって当該カード原稿C1を容易に回収することができないことがある。これに対し、本実施形態に係る画像読取装置1では、原稿台21からカード原稿C1を容易に回収することが可能である。
【0031】
そして、本実施形態に係る画像読取装置1では、原稿台21の外周に配置された突出部41~44のうち前方向D1に配置されている突出部41が、原稿台21の表面より下方向D6に低い位置まで退避可能な可動部として構成されている。即ち、画像読取装置1では、前記可動部が、原稿台21において原稿の読取基準位置となる角部を構成する上辺及び左辺を除く他の辺である下辺に設けられている。
【0032】
ここに、
図4は、
図2におけるIV-IV矢視断面において突出部41の構造を説明するための要部模式図である。
図4に示されるように、突出部41は、リブ411、係合部412、及び弾性部材413などを備える。また、外装部材20には、リブ201、被係合部202、及び原稿台支持部203などを備える。なお、リブ411、係合部412、リブ201、被係合部202、及び弾性部材413は、当該突出部41の長手方向又は短手方向において一又は複数設けられる。また、原稿台支持部203は、原稿台21を支持するために用いられるものであり、当該原稿台21の4辺それぞれに対応して一又は複数設けられる。
【0033】
リブ411及びリブ201は、突出部41及び外装部材20を弾性支持するための弾性部材413が内部に挿入可能な断面円形状又は断面矩形状のリブである。弾性部材413は、突出部41を原稿台21の表面よりも突出する方向に付勢すると共に、原稿台21の表面より低い位置への突出部41の移動を許容する。即ち、突出部41は、リブ411、リブ201、及び弾性部材413によって上下方向に移動可能に支持される。
【0034】
例えば、突出部41は、ユーザーによって押圧されることにより、原稿台21の表面より低い位置まで移動可能であり、ユーザーによって押圧されなくなった場合に、突出部41を原稿台21の表面よりも突出する位置に復帰させる。以下、突出部41が原稿台21の表面よりも突出した状態を第1状態、突出部41が原稿台21の表面よりも低くなった状態を第2状態と称することがある。
【0035】
係合部412は、被係合部202に嵌挿された状態で被係合部202内を上下方向に移動可能である。また、係合部412は、予め定められた位置で被係合部202の開口縁部と接触することにより、突出部41の上方向D5への移動を予め定められた第1位置で制限し、突出部41を前記第1状態で保持する。例えば、係合部412及び被係合部202はスナップフィット等の結合方法で係合するように構成されている。これにより、突出部41は、弾性部材413によって原稿台21の表面よりも突出する上方向D5に付勢されるが、係合部412及び被係合部202によって前記第1位置で上方向D5の移動が制限される。また、係合部412及び被係合部202は、突出部41の上下方向の移動のガイドとしても機能する。
【0036】
また、突出部41は、原稿台21側の端部414において、原稿台21から外側に向かって上方向D5に傾斜する円弧状の曲面部415を含む。さらに、端部414は、曲面部415の下部において、下方向D6に延びる平面部416を含む。平面部416は、突出部41が前記第1状態である場合に、原稿台21の表面と同じ高さに位置する。そして、曲面部415及び平面部416は、後述するように、突出部41の移動位置に応じて、原稿の回収時及び原稿の載置時に有効に利用される。なお、曲面部415に代えて、原稿台21から外側に向かって上方向D5に傾斜する傾斜部が設けられていてもよい。
【0037】
次に、
図4~
図6を参照しつつ突出部41の動作について説明する。
【0038】
図4に示されるように、ユーザーによって突出部41が押圧されていない状態では、弾性部材413の付勢力により突出部41が原稿台21の表面よりも上方向D5に突出する前記第1状態となっている。前記第1状態では、突出部41が原稿の位置ずれ防止又は原稿の位置決めに利用可能である。特に、突出部41には、
図4に示されるように、原稿台21に対して垂直な平面部416が設けられているため、当該突出部41は、原稿の位置ずれ防止又は原稿の位置決めに有効である。なお、他の実施形態として、突出部41の端部414には、平面部416が省略されて曲面部415のみが形成されていてもよく、曲面部415が省略されて平面部416のみが形成されていてもよい。
【0039】
一方、
図5に示されるように、ユーザーによって突出部41が押圧されることにより、当該突出部41に対して下方向D6に弾性部材413による付勢力よりも大きな押圧力P1が作用すると、当該突出部41が原稿台21の表面よりも下方向D6に低くなる前記第2状態に変位する。
【0040】
このとき、突出部41は、係合部412各々が被係合部202各々によってガイドされることにより、スムーズに下方向D6に移動し得る。また、突出部41の前方向D1の端面41A及び外装部材20のガイド面20Bが突出部41の上下方向の移動のガイドとして機能してもよい。同様に、突出部41の後方向D2の端面である平面部416及び原稿台21の端面21Aが突出部41の上下方向の移動のガイドとして機能してもよい。
【0041】
そして、突出部41の下方向D6への移動は、例えば突出部41と原稿台支持部203との接触、突出部41と被係合部202との接触、又はリブ411とリブ201との接触などによって、突出部41が前記第2状態となる特定の位置で制限される。前記特定の位置は、少なくとも突出部41の端部414の上端部分が原稿台21の表面よりも低くなる位置である。なお、前記第2状態において、突出部41は、少なくとも原稿台21側の端部414の上端部分が、当該原稿台21の表面よりも下方向D6の位置に達していればよく、他の実施形態として、突出部41の上面に原稿台21の表面よりも上方向D5に位置する部位が存在してもよい。
【0042】
このように、突出部41が前記第2状態に変位すると、
図5に示されるように、原稿台21からカード原稿C1を前方向D1に滑らせたときに、当該カード原稿C1が突出部41に接触せず、当該カード原稿C1の前方向D1の先端部分が浮くことになる。そのため、ユーザーは、カード原稿C1の先端部分を掴みやすくなり、当該カード原稿C1を原稿台21から容易に回収することが可能である。なお、本実施形態において、突出部41は、原稿台21の前方向D1の辺の全体に対応するものであるため、カード原稿C1に限らず、カード原稿C1よりも大きいサイズの原稿などの回収も容易となる。
【0043】
また、
図6に示されるように、ユーザーによる突出部41の押圧力P1が弱く、突出部41が前記第2状態まで変位しない状態でカード原稿C1が回収されることも考えられる。しかしながら、突出部41には、曲面部415が設けられているため、突出部41が前記第2状態まで変位していなくても、曲面部415の高さと原稿台21の表面の高さとが同じになる状態まで変位していれば、カード原稿C1を前方向D1に滑らせたときに、当該カード原稿C1の先端部分が曲面部415に接触して浮き上がることになる。そのため、ユーザーは、カード原稿C1の先端部分を掴みやすくなり、当該カード原稿C1を原稿台21から容易に回収することが可能である。
【0044】
[他の実施形態]
他の実施形態として、
図7に示されるように、原稿台21の前方向D1の辺に対応する突出部41のうち一部の可動部41Bが原稿台21の表面より低い位置まで退避可能であってもよい。この場合、可動部41Bは、突出部41と同様に構造で上下方向に移動可能に構成されていればよい。一方、可動部41Bは、原稿台21の前方向D1の辺において、突出部41よりも左右方向のサイズが小さい。具体的には、可動部41Bの左右方向の幅は、原稿台21からカード原稿C1を前方向D1に滑らせて当該原稿台21から回収可能な幅であることが考えられる。例えば、国際規格で定められたカードサイズは、縦53.98mm、横85.60mmであるため、可動部41Bの左右方向の幅は、カード原稿C1の長手方向が前方向D1及び後方向D2と平行となる状態で通過可能な少なくとも53.98mm以上であることが考えられる。また、可動部41Bの左右方向の幅は、カード原稿C1の短手方向が前方向D1及び後方向D2と平行となる状態で通過可能な少なくとも85.60mm以上であってもよい。例えば、可動部41Bの左右方向の幅は、例えばカードサイズの縦53.98mm又は横85.60mmに対して10~50mmなどのマージンを有することが考えられる。これにより、ユーザーは、少なくともカード原稿C1を原稿台21から容易に回収することが可能である。
【0045】
さらに、他の実施形態として、前方向D1、後方向D2、左方向D3、右方向D4のうちいずれか一つ又は複数の辺に対応する突出部41~44のうちいずれか一又は複数の突出部の一部又は全部が原稿台21の表面よりも低い位置に退避可能な可動部であってもよい。例えば、突出部41~44のうち読取基準位置として予め定められた角部を構成する辺を除く他の二つの辺に対応する突出部41及び突出部44各々の一部又は全部が前記可動部であってもよい。
【0046】
また、他の実施形態として、画像読取装置1は、原稿台21に対して開閉可能なADF12のようなカバー部材の開放に連動して突出部41を原稿台21よりも下方向の位置に退避させ、前記カバー部材の閉鎖に連動して突出部41を原稿台21よりも上方向の位置に移動させる連動機構を備えてもよい。例えば、前記連動機構は、周知のラックとピニオンなどの周知技術を用いて構成されるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 画像読取装置
12 ADF
13 画像読取部
17 制御部
20 外装部材
21 原稿台
41 突出部(可動部)
41B 可動部
413 弾性部材
42 突出部
43 突出部
44 突出部