(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】作業支援システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240312BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20240312BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240312BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240312BHJP
【FI】
H04N7/18 J
E02F9/20 N
H04M11/00 301
H04N23/60 500
(21)【出願番号】P 2020013236
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 均
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 洋一郎
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/239858(WO,A1)
【文献】特開2010-123021(JP,A)
【文献】特開2012-103919(JP,A)
【文献】特開2019-173379(JP,A)
【文献】特開2019-004399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 23/60
E02F 9/20
G05D 1/00
H04M 11/00
B60R 1/00
B60R 11/00
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の
クライアントによる作業機械の遠隔操作を支援するための作業支援
システムであって、
前記
クライアントと連携している前記作業機械として作業現場に存在する連携作業機械の実空間位置を記憶保持するデータベースと、
前記作業現場に存在する撮像装置の実空間位置と撮影方向から前記撮像装置の撮影範囲を特定する演算処理装置と、
前記クライアントに備えられ、前記撮像装置を通じて取得された作業現場の撮像画像に応じた作業環境画像を
出力する出力インターフェースと、
前記クライアントに備えられ、当該クライアントのオペレータに選択された前記連携作業機械である対象実機についての標識画像要求を前記演算処理装置に対して送信するための入力インターフェースと、を備え、
前記演算処理装置は、前記標識画像要求を受信した場合、
前記データベースに記憶保持されている
前記実空間位置に基づいて前記
対象実機の実空間位置を認識し、前記
対象実機の実空間位置が前記撮像装置の
前記撮影範囲に含まれるか否かを判定し、
前記出力インターフェースは、前記演算処理装置による判定結果が肯定的である場合、前記作業環境画像における前記
対象実機の実空間位置に相当する指定位置における前記
対象実機の存在を表わす標識画像を
出力することを特徴とする作業支援
システム。
【請求項2】
複数の
クライアントによる作業機械の遠隔操作を支援するための作業支援
システムであって、
前記
クライアントと連携している前記作業機械として作業現場に存在する連携作業機械の実空間位置を記憶保持するデータベースと、
前記作業現場に存在する撮像装置の実空間位置と撮影方向から前記撮像装置の撮影範囲を特定する演算処理装置と、
前記クライアントに備えられ、前記撮像装置を通じて取得された作業現場の撮像画像に応じた作業環境画像を
出力する出力インターフェースと、を備え、
前記演算処理装置は、前記連携作業機械の識別子を伴う標識画像要求を受信した場合、前記識別子に関連付けられて前記データベースに記憶保持されている前記連携作業機械の実空間位置を認識し、前記連携作業機械の実空間位置が前記撮像装置の
前記撮影範囲に含まれるか否かを判定し、
前記判定結果が否定的である場合、当該連携作業機械の実空間位置を実空間撮像範囲に包含しうる前記撮像装置を指定撮像装置として特定し、
前記出力インターフェースは、前記演算処理装置による前記判定結果が肯定的である場合、前記作業環境画像における前記連携作業機械の実空間位置に相当する指定位置における前記連携作業機械の存在を表わす標識画像を
出力し、前記演算処理装置による前記判定結果が否定的である場合、前記指定撮像装置により取得された前記作業環境画像における前記連携作業機械の存在を表わす標識画像を出力することを特徴とする作業支援
システム。
【請求項3】
請求項2に記載の作業支援
システムにおいて、
前記演算処理装置は、前記複数の作業機械のうち少なくとも1つの作業機械に搭載されている撮像装置を前記指定撮像装置として特定することを特徴とする作業支援
システム。
【請求項4】
請求項3に記載の作業支援
システムにおいて、
前記演算処理装置は、少なくとも1つの作業機械に搭載されている撮像装置を前記指定撮像装置として特定することができない場合、前記複数の作業機械のいずれにも搭載されていない撮像装置を前記指定撮像装置として特定することを特徴とする作業支援
システム。
【請求項5】
請求項3~4のうちいずれか1項に記載の作業支援
システムにおいて、
一の
クライアントおよび他の
クライアントのそれぞれの前記出力インターフェースに出力されている前記作業環境画像が共通する場合、
前記一のクライアントの前記出力インターフェースは、前記他のクライアントを示す情報を出力することを特徴とする作業支援
システム。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の作業支援
システムにおいて、
一の
クライアントおよび他の
クライアントのそれぞれの前記出力インターフェースに出力されている前記標識画像が同一の前記連携作業機械の存在を表わしている場合、
前記一のクライアントおよび他のクライアントの前記出力インターフェースは、当該標識画像を共通の形態で出力することを特徴とする作業支援
システム。
【請求項7】
請求項1
~7のうちいずれか1項に記載の作業支援
システムにおいて、
前記複数のクライアントのそれぞれの前記出力インターフェースは、複数の前記標識画像を相互に識別可能な形態で出力することを特徴とする作業支援
システム。
【請求項8】
請求項1
~8のうちいずれか1項に記載の作業支援
システムにおいて、
前記演算処理装置は、記前記作業環境画像における作業機械に相当する実機画像の位置と前記データベースに記憶保持されている前記連携作業機械の実空間位置とに基づき、前記実機画像が前記連携作業機械に該当するか否かを判定し、
前記複数のクライアントのそれぞれの前記出力インターフェースは、当該判定結果が肯定的であることを要件として当該連携作業機械の存在を表わす前記標識画像を出力することを特徴とする作業支援
システム。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれか1項に記載の作業支援
システムおいて、
前記演算処理装置は、前記作業環境画像における作業機械に相当する実機画像の位置と前記データベースに記憶保持されている前記複数の作業機械のそれぞれの実空間位置とに基づき、前記実機画像がいずれの作業機械に該当するかを認識し、
一のクライアントおよび他のクライアントの少なくとも一方の出力インターフェースは、前記実機画像がいずれの作業機械に該当するかを表わす前記標識画像を出力することを特徴とする作業支援
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作装置を用いた作業機械の遠隔操作を支援するための作業支援サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
プラント内を巡回点検中の作業従事者と、その作業現場外に待機している者との間で十分な精度で情報の共有化を図るための遠隔監視支援システム用端末装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この端末装置は、現場の映像データを入力する映像入力手段と、ペンあるいはマウスタイプの入力操作選択手段と、新規の映像取得の有無を検出する検出手段と、外部とのデータ送受信を無線で行う通信制御手段と、所定のデータを入力する入力画面を表示する入出力画面表示手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、撮像装置を通じて取得された撮像画像が遠隔操作装置を構成する出力インターフェース(画像表示装置)に表示され、当該撮像画像に複数の作業機械が映り込んでいる場合、当該表示画像において操作対象である作業機械と操作対象ではない周囲の作業機械とをオペレータが誤認する可能性がある。特に、複数のオペレータのそれぞれにより作業機械が操作される場合、一のオペレータ自身の操作対象である自機と他のオペレータの操作対象である他機とが、それぞれのオペレータにより認識される必要があるが、複数のオペレータの間で同一の認識を共有することが困難である。これは、特に同一メーカーの同一機種の複数の作業機械が出力インターフェースに同時に表示される場合に顕著となる。この場合、オペレータによる誤認に基づく遠隔操作装置を用いた作業機械の動作態様が、目標とする作業遂行の観点から不適当になる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、遠隔操作装置を構成する出力インターフェースに表示されている作業機械が、いずれの遠隔操作装置による遠隔操作対象であるかを当該遠隔操作装置のオペレータに認識させることができるサーバおよびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、遠隔操作装置を用いた作業機械の遠隔操作を支援するための作業支援システムに関する。
【0007】
本発明の作業支援システムは、クライアントによる作業機械の遠隔操作を支援するための作業支援システムであって、前記クライアントと連携している前記作業機械として作業現場に存在する連携作業機械の実空間位置を記憶保持するデータベースと、前記作業現場に存在する撮像装置の実空間位置と撮影方向から前記撮像装置の撮影範囲を特定する演算処理装置と、前記クライアントに備えられ、前記撮像装置を通じて取得された作業現場の撮像画像に応じた作業環境画像を出力する出力インターフェースと、前記クライアントに備えられ、当該クライアントのオペレータに選択された前記連携作業機械である対象実機についての標識画像要求を前記演算処理装置に対して送信するための入力インターフェースと、を備え、前記演算処理装置は、前記標識画像要求を受信した場合、前記データベースに記憶保持されている前記実空間位置に基づいて前記対象実機の実空間位置を認識し、前記対象実機の実空間位置が前記撮像装置の前記撮影範囲に含まれるか否かを判定し、前記出力インターフェースは、前記演算処理装置による判定結果が肯定的である場合、前記作業環境画像における前記対象実機の実空間位置に相当する指定位置における前記対象実機の存在を表わす標識画像を出力することを特徴とする。
【0008】
当該構成の作業支援システムによれば、撮像装置を通じて取得された作業現場の様子を示す作業環境画像が、複数の遠隔操作装置のそれぞれを構成する出力インターフェースに出力される。複数の遠隔操作装置のそれぞれから、識別子を伴う標識画像要求に応じて、当該識別子により識別される連携作業機械の実空間位置が撮像装置の実空間撮像範囲に含まれているか否かが判定される。当該判定結果が肯定的である場合、複数の遠隔操作装置のそれぞれの出力インターフェースに連携作業機械の存在を表わす標識画像が出力される。これにより、作業環境画像における少なくとも一の遠隔操作装置との連携作業機械の存在を複数の遠隔操作装置のそれぞれの複数のオペレータのそれぞれに認識させることができる。
【0009】
よって、遠隔操作装置を構成する出力インターフェースに出力されている作業環境画像に、一の遠隔装置またはそれぞれの遠隔操作装置との連携作業機械が存在することを当該複数のオペレータのそれぞれに共通に認識させることができる。
【0010】
本発明の作業支援システムは、複数のクライアントによる作業機械の遠隔操作を支援するための作業支援システムであって、前記クライアントと連携している前記作業機械として作業現場に存在する連携作業機械の実空間位置を記憶保持するデータベースと、前記作業現場に存在する撮像装置の実空間位置と撮影方向から前記撮像装置の撮影範囲を特定する演算処理装置と、前記クライアントに備えられ、前記撮像装置を通じて取得された作業現場の撮像画像に応じた作業環境画像を出力する出力インターフェースと、を備え、前記演算処理装置は、前記連携作業機械の識別子を伴う標識画像要求を受信した場合、前記識別子に関連付けられて前記データベースに記憶保持されている前記連携作業機械の実空間位置を認識し、前記連携作業機械の実空間位置が前記撮像装置の前記撮影範囲に含まれるか否かを判定し、前記判定結果が否定的である場合、当該連携作業機械の実空間位置を実空間撮像範囲に包含しうる前記撮像装置を指定撮像装置として特定し、前記出力インターフェースは、前記演算処理装置による前記判定結果が肯定的である場合、前記作業環境画像における前記連携作業機械の実空間位置に相当する指定位置における前記連携作業機械の存在を表わす標識画像を出力し、前記演算処理装置による前記判定結果が否定的である場合、前記指定撮像装置により取得された前記作業環境画像における前記連携作業機械の存在を表わす標識画像を出力することを特徴とする。
【0011】
当該構成の作業支援システムによれば、一の撮像装置の実空間撮像範囲に連携作業機械の実空間位置が含まれない場合、当該連携作業機械の実空間位置を実空間撮像範囲に含みうる他の撮像装置により取得された代替的な作業環境画像が各遠隔操作装置の出力インターフェースに出力されうる。したがって、連携作業機械の存在について複数のオペレータの間で認識の共有を図ることができる。
【0012】
本発明の作業支援システムにおいて、前記演算処理装置は、前記複数の作業機械のうち少なくとも1つの作業機械に搭載されている撮像装置を前記指定撮像装置として特定することが好ましい。
【0013】
当該構成の作業支援システムによれば、複数の遠隔操作装置のそれぞれの出力インターフェースに個別に出力されている作業環境画像に標識画像要求の対象である連携作業機械が含まれていない場合、当該連携作業機械が含まれている別の遠隔操作装置の出力インターフェースに出力されている作業環境画像が出力されうる。これにより、複数の遠隔操作装置とのそれぞれの複数のオペレータのそれぞれの間で標識画像要求の対象である連携作業機械の存在に関して認識の共有を図ることができる。
【0014】
本発明の作業支援システムにおいて、前記演算処理装置は、少なくとも1つの作業機械に搭載されている撮像装置を前記指定撮像装置として特定することができない場合、前記複数の作業機械のいずれにも搭載されていない撮像装置を前記指定撮像装置として特定することが好ましい。
【0015】
当該構成の作業支援システムによれば、少なくとも1つの作業機械に搭載されている撮像装置が指定撮像装置として特定されない場合、複数の作業機械のいずれにも搭載されていない撮像装置(例えば、作業現場に設定された撮像装置)である指定撮像装置により取得された作業環境画像が複数の遠隔操作装置のそれぞれの出力インターフェースに出力されうる。これにより、複数の遠隔操作装置とのそれぞれの複数のオペレータのそれぞれの間で標識画像要求の対象である連携作業機械の存在に関して認識の共有を図ることができる。
【0016】
本発明の作業支援システムにおいて、一のクライアントおよび他のクライアントのそれぞれの前記出力インターフェースに出力されている前記作業環境画像が共通する場合、前記一のクライアントの前記出力インターフェースは、前記他のクライアントを示す情報を出力することが好ましい。
【0017】
当該構成の作業支援システムによれば、一の遠隔操作装置の出力インターフェースに出力されている作業環境画像が、他の遠隔操作装置の出力インターフェースにおいても出力されている場合、当該他の遠隔操作装置を示す情報が当該一の遠隔操作装置の出力インターフェースに出力される。
【0018】
本発明の作業支援システムにおいて、一のクライアントおよび他のクライアントのそれぞれの前記出力インターフェースに出力されている前記標識画像が同一の前記連携作業機械の存在を表わしている場合、前記一のクライアントおよび他のクライアントの前記出力インターフェースは、当該標識画像を共通の形態で出力することが好ましい。
【0019】
当該構成の作業支援システムによれば、同一の連携作業機械の存在を表わす標識画像が複数の遠隔操作装置のそれぞれの出力インターフェースにおいて共通の形態で出力されるので、複数のオペレータ間で標識画像要求の対象である連携作業機械の存在に関する認識の共有を図ることができる。
【0020】
本発明の作業支援システムにおいて、前記複数のクライアントのそれぞれの前記出力インターフェースは、複数の前記標識画像を相互に識別可能な形態で出力することが好ましい。
【0021】
当該構成の作業支援システムによれば、複数の標識画像が相互に識別可能な形態で複数の遠隔操作装置のそれぞれの出力インターフェースに出力されるので、複数のオペレータの間で標識画像要求の対象である複数の連携作業機械のそれぞれの識別および存在に関して認識の共有を図ることができる。
【0022】
本発明の作業支援システムにおいて、前記演算処理装置は、記前記作業環境画像における作業機械に相当する実機画像の位置と前記データベースに記憶保持されている前記連携作業機械の実空間位置とに基づき、前記実機画像が前記連携作業機械に該当するか否かを判定し、前記複数のクライアントのそれぞれの前記出力インターフェースは、当該判定結果が肯定的であることを要件として当該連携作業機械の存在を表わす前記標識画像を出力することが好ましい。
【0023】
当該構成の作業支援システムによれば、一の遠隔操作装置の出力インターフェースに出力されている作業環境画像に含まれている実機画像が、当該一の遠隔操作装置による遠隔操作対象である連携作業機械に相当するか否かを標識画像の出力の有無によりオペレータに認識させることができる。
【0024】
本発明の作業支援システムにおいて、前記演算処理装置は、前記作業環境画像における作業機械に相当する実機画像の位置と前記データベースに記憶保持されている前記複数の作業機械のそれぞれの実空間位置とに基づき、前記実機画像がいずれの作業機械に該当するかを認識し、一のクライアントおよび他のクライアントの少なくとも一方の出力インターフェースは、前記実機画像がいずれの作業機械に該当するかを表わす前記標識画像を出力することが好ましい。
【0025】
当該構成の作業支援システムによれば、遠隔操作装置を構成する出力インターフェースに出力される作業環境画像に作業機械が映り込んでいる場合、当該作業機械がいずれの遠隔操作装置によるまたはいずれのオペレータによる遠隔操作対象であるかが認識される。そして、当該認識結果を表わす標識画像が第1遠隔装置および第2遠隔操作装置のうち少なくとも一方の遠隔操作装置の出力インターフェースに出力される。この結果、各遠隔操作装置を構成する出力インターフェースに出力されている実機画像が、どの遠隔操作装置による遠隔操作対象に該当するかを各オペレータに容易に認識させることができる。
【0026】
本発明は、前記作業支援サーバと、前記クライアントと、により構成されている作業支援システムである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態としての作業支援システムの構成に関する説明図。
【
図4】作業支援システムの第1機能に関する説明図。
【
図5】作業支援システムの第2機能に関する説明図。
【
図6】作業機械に搭載された撮像装置を通じて取得された第1作業環境画像に関する説明図。
【
図7】作業現場に設置された撮像装置を通じて取得された第1作業環境画像に関する説明図。
【
図10A】対象実機が含まれている一の第1作業環境画像に関する説明図。
【
図10B】対象実機が含まれている他の第1作業環境画像に関する説明図。
【
図11】作業現場に設置された作業機械に搭載された撮像装置の撮像範囲と対象実機に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(作業支援システムの構成)
図1に示されている本発明の一実施形態としての作業支援システムは、作業支援サーバ10と、複数の作業機械40を遠隔操作するための複数の遠隔操作装置20と、により構成されている。作業支援サーバ10と、遠隔操作装置20と、作業機械40と、は相互にネットワーク通信可能に構成されている。複数の遠隔操作装置20のそれぞれは、作業支援サーバ10との通信ネットワークとは異なるネットワークを通じて相互に通信可能に構成されていてもよい。
【0029】
(作業支援サーバの構成)
作業支援サーバ10は、データベース102と、第1支援処理要素121と、第2支援処理要素122と、を備えている。データベース102は、複数の作業機械40のそれぞれの位置および/または軌道のほか、作業機械40のそれぞれに備えられたカメラより得られる撮像画像、作業機械40のそれぞれを操作するオペレータに提供される作業環境画像および経路案内画像などを記憶保持する。データベース102は、作業支援サーバ10とは別個のデータベースサーバにより構成されていてもよい。各支援処理要素は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった後述の演算処理を実行する。
【0030】
(作業機械の構成)
作業機械40は、実機制御装置400と、実機入力インターフェース41と、実機出力インターフェース42と、作動機構440と、測位装置460と、を備えている。実機制御装置400は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0031】
作業機械40は、例えばクローラショベル(建設機械)であり、図3に示されているように、クローラ式の下部走行体410と、下部走行体410に旋回機構430を介して旋回可能に搭載されている上部旋回体420と、を備えている。上部旋回体420の前方左側部にはキャブ(運転室)424が設けられている。上部旋回体420の前方中央部には作業アタッチメント440が設けられている。
【0032】
実機入力インターフェース41は、実機操作機構411と、実機撮像装置412と、を備えている。実機操作機構411は、キャブ424の内部に配置されたシートの周囲に遠隔操作機構211と同様に配置された複数の操作レバーを備えている。遠隔操作レバーの操作態様に応じた信号を受信し、当該受信信号に基づいて実機操作レバーを動かす駆動機構またはロボットがキャブ424に設けられている。実機撮像装置412は、例えばキャブ424の内部に設置され、キャブ424のフロントウィンドウ越しに作動機構440の少なくとも一部を含む環境を撮像する。実機出力インターフェース42は、実機無線通信機器422を備えている。
【0033】
作動機構としての作業アタッチメント440は、上部旋回体420に起伏可能に装着されているブーム441と、ブーム441の先端に回動可能に連結されているアーム443と、アーム443の先端に回動可能に連結されているバケット445と、を備えている。作業アタッチメント440には、伸縮可能な油圧シリンダにより構成されているブームシリンダ442、アームシリンダ444およびバケットシリンダ446が装着されている。
【0034】
ブームシリンダ442は、作動油の供給を受けることにより伸縮してブーム441を起伏方向に回動させるように当該ブーム441と上部旋回体420との間に介在する。アームシリンダ444は、作動油の供給を受けることにより伸縮してアーム443をブーム441に対して水平軸回りに回動させるように当該アーム443と当該ブーム441との間に介在する。バケットシリンダ446は、作動油の供給を受けることにより伸縮してバケット445をアーム443に対して水平軸回りに回動させるように当該バケット445と当該アーム443との間に介在する。
【0035】
(遠隔操作装置の構成)
クライアントを構成する遠隔操作装置20は、遠隔制御装置200と、遠隔入力インターフェース210と、遠隔出力インターフェース220と、を備えている。遠隔制御装置200は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。遠隔入力インターフェース210は、遠隔操作機構211を備えている。遠隔出力インターフェース220は、画像出力装置221と、遠隔無線通信機器222と、を備えている。
【0036】
遠隔操作装置20と連携するまたは相互通信機能を有するスマートホンまたはタブレット端末などの携帯端末またはVRゴーグルなどのウェアラブル端末により当該クライアントが構成されていてもよい。当該携帯端末またはウェアラブル端末は、作業支援サーバ10との通信機能を有していてもよい。
【0037】
遠隔操作機構211には、走行用操作装置と、旋回用操作装置と、ブーム用操作装置と、アーム用操作装置と、バケット用操作装置と、が含まれている。各操作装置は、回動操作を受ける操作レバーを有している。走行用操作装置の操作レバー(走行レバー)は、作業機械40の下部走行体410を動かすために操作される。走行レバーは、走行ペダルを兼ねていてもよい。例えば、走行レバーの基部または下端部に固定されている走行ペダルが設けられていてもよい。旋回用操作装置の操作レバー(旋回レバー)は、作業機械40の旋回機構430を構成する油圧式の旋回モータを動かすために操作される。ブーム用操作装置の操作レバー(ブームレバー)は、作業機械40のブームシリンダ442を動かすために操作される。アーム用操作装置の操作レバー(アームレバー)は作業機械40のアームシリンダ444を動かすために操作される。バケット用操作装置の操作レバー(バケットレバー)は作業機械40のバケットシリンダ446を動かすために操作される。
【0038】
遠隔操作機構211を構成する各操作レバーは、例えば、
図2に示されているように、オペレータが着座するためのシートStの周囲に配置されている。シートStは、アームレスト付きのハイバックチェアのような形態であるが、ヘッドレストがないローバックチェアのような形態、または、背もたれがないチェアのような形態など、遠隔オペレータOP2が着座できる任意の形態でもよい。
【0039】
シートStの前方に左右のクローラに応じた左右一対の走行レバー2110が左右横並びに配置されている。一つの操作レバーが複数の操作レバーを兼ねていてもよい。例えば、図
2に示されているシートStの右側フレームの前方に設けられている右側操作レバー2111が、前後方向に操作された場合にブームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合にバケットレバーとして機能してもよい。同様に、
図2に示されているシートStの左側フレームの前方に設けられている左側操作レバー2112が、前後方向に操作された場合にアームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合に旋回レバーとして機能してもよい。レバーパターンは、オペレータの操作指示によって任意に変更されてもよい。
【0040】
画像出力装置221は、例えば
図2に示されているように、シートStの右斜め前方、前方および左斜め前方のそれぞれに配置された右斜め前方画像出力装置2211、前方画像出力装置2212および左斜め前方画像出力装置2213により構成されている。当該画像出力装置2211~2213は、スピーカ(音声出力装置)をさらに備えていてもよい。
【0041】
(機能)
前記構成の作業支援システムの機能について
図4および
図5に示されているフローチャートを用いて説明する。当該フローチャートにおいて「C●」というブロックは、記載の簡略のために用いられ、データの送信および/または受信を意味し、当該データの送信および/または受信を条件として分岐方向の処理が実行される条件分岐を意味している。
【0042】
(第1機能(作業機械の遠隔操作))
遠隔操作装置20において、オペレータにより遠隔入力インターフェース210を通じた第1指定操作の有無が判定される(
図4/STEP200)。「第1指定操作」は、例えば、オペレータが遠隔操作を意図する作業機械40を選択可能にするための遠隔入力インターフェース210における操作であり、例えば、遠隔入力インターフェース210を通じたタップ等の操作である。当該判定結果が否定的である場合(
図4/STEP200‥NO)、一連の処理が終了する。
【0043】
その一方、当該判定結果が肯定的である場合(
図4/STEP200‥YES)、遠隔操作装置20は通信ネットワークを介して遠隔操作装置20により遠隔操作の対象となり得る建設機械の候補を取得し、遠隔出力インターフェース220に建設機械の識別子とともに建設機械の位置や機種、稼働状態等の諸情報を表示させる(
図4/STEP201)。
【0044】
次いで、遠隔操作装置20において、オペレータにより遠隔入力インターフェース210を通じた第2指定操作の有無が判定される(
図4/STEP202)。「第2指定操作」は遠隔操作の対象となり得る建設機械の候補から遠隔操作をする対象となる建設機械を指定するための操作であり、例えば、遠隔入力インターフェース210を通じたタップ等の操作である。当該判定結果が否定的である場合(
図4/STEP202‥NO)、一連の処理が終了する。その一方、当該判定結果が肯定的である場合(
図4/STEP202‥YES)、遠隔無線通信機器222を通じて、作業支援サーバ10に対して作業環境画像要求が送信される(
図4/STEP20
3)。作業環境画像要求には、遠隔操作装置20の識別子およびオペレータの識別子のうち少なくとも一方が含まれている。
【0045】
作業支援サーバ10において、作業環境画像要求が受信された場合、第1支援処理要素121により当該作業環境画像要求が該当する作業機械40に対して送信される(
図4/C10)。
【0046】
作業機械40において、実機無線通信機器422を通じて作業環境画像要求が受信された場合(
図4/C41)、実機制御装置400が実機撮像装置412を通じて撮像画像を取得する(
図4/STEP402)。実機制御装置400により、実機無線通信機器422を通じて、当該撮像画像を表わす撮像画像データが
作業支援サーバ10に対して送信される(
図4/STEP404)。
【0047】
作業支援サーバ10において、撮像画像データが受信された場合(
図4/C11)、撮像画像データに応じた第1作業環境画像データ(撮像画像そのものの全部または一部またはこれに基づいて生成された模擬的な第1作業環境画像を表わすデータ)が遠隔操作装置20に対して送信される(
図4/STEP112)。
【0048】
遠隔操作装置20において、遠隔無線通信機器222を通じて第1作業環境画像データが受信された場合(
図4/C20)、第1作業環境画像データに応じた第1作業環境画像が画像出力装置221に出力される(
図4/STEP204)。
【0049】
これにより、例えば
図6に示されているように、作動機構としての作業アタッチメント440の一部であるブーム441、アーム443、バケット445およびアームシリンダ444が含まれている作業環境画像が画像出力装置221に表示される。
【0050】
また、作業現場に設置された撮像装置C(
図8参照)を通じて取得された撮像画像に基づき、例えば
図7に示されているように、複数台(4台)の作業機械40の実機画像Q1~Q4が存在する当該作業現場の様子を示す画像が、第1作業環境画像として画像出力装置221に付加的または代替的に出力されてもよい。
【0051】
さらに、例えば
図8に示されているように、作業現場の大局的な様子を示し、作業現場に存在する作業機械40を表わす実機画像またはアイコンQ1~Q4が示されている鳥瞰撮像画像または鳥瞰マップが、第1作業環境画像として画像出力装置221に付加的または代替的に出力されてもよい。鳥瞰撮像画像は、例えば無人飛行機に搭載されている撮像装置または作業現場のポール等の構造物に設置されている撮像装置を通じて取得されてもよい。第1作業環境画像としての撮像画像の撮像箇所および画角のそれぞれは任意に変更されてもよい。鳥瞰マップは、鳥瞰撮像画像を基礎として生成されてもよい。
【0052】
遠隔操作装置20において、遠隔制御装置200により遠隔操作機構211の操作態様が認識され(
図4/STEP206)、作業機械40に遠隔操作レバーの操作態様に応じた信号を送信し、当該送信信信号に基づいて実機操作レバーを駆動する準備が整う。そして、遠隔操作装置20において、オペレータにより遠隔入力インターフェース210を通じた第3指定操作の有無が判定される(
図4/STEP208)。「第3指定操作」は、遠隔操作の対象として選択した作業機械40を遠隔操作装置20により操作可能にするための操作であり、例えば、遠隔入力インターフェース210を通じたタップ等の操作である。「第3指定操作」により遠隔操作装置20による作業機械40の遠隔操作が開始される。そして、遠隔無線通信機器222を通じて、当該操作態様に応じた遠隔操作指令が作業支援サーバ10に対して送信可能となる(
図4/STEP210)。
【0053】
作業支援サーバ10において、当該遠隔操作指令が受信された場合、第1支援処理要素121により、当該遠隔操作指令が作業機械40に対して送信される(
図4/C12)。
【0054】
作業機械40において、実機制御装置400により、実機無線通信機器422を通じて操作指令が受信された場合(
図4/C42)、作業アタッチメント440等の動作が制御される(
図4/STEP406)。例えば、バケット445により作業機械40の前方の土をすくい、上部旋回体4
20を旋回させたうえでバケット445から土を落とす作業が実行される。
【0055】
(第2機能(実機指定画像の出力))
遠隔操作装置20(第1クライアント)において、オペレータによる遠隔入力インターフェース210を通じた第4指定操作の有無が判定される(
図5/STEP210)。「第4指定操作」は、一のオペレータ自身の操作対象である自機と他のオペレータの操作対象である他機とがそれぞれどのオペレータにより操作されるのかについて複数のオペレータの間で同一の認識を共有するための操作であり、例えば、遠隔入力インターフェース210を通じたタップ等の操作である。例えば、第1クライアント(第1遠隔操作装置20)のオペレータが、第2クライアント(第2遠隔操作装置20)のオペレータと相互通信の要求をし、第2クライアント(第2遠隔操作装置20)のオペレータから当該要求を承諾されることが第
4指定操作の契機となる。
【0056】
次いで、遠隔無線通信機器222を通じて、作業支援サーバ10に対して標識画像要求が送信可能となる(
図5/STEP212)。当該標識画像要求は、オペレータが認識共有をしたい対象実機を選択する操作が相当する。例えば、オペレータは遠隔出力インターフェース220に表示された建設機械の識別子とともに建設機械の位置や機種、稼働状態等の諸情報をもとに認識共有をしたい対象実機を選択する。遠隔出力インターフェース220は、対象実機の候補を表示するに際して、第1クライアントの操作対象である作業機械40および相互通信をしている第2クライアント(第2遠隔操作装置20)のオペレータの操作対象である作業機械40を少なくとも表示し、かつ強調して表示することで自機および通信している他機の認識共有を容易にする。標識画像要求には、画像出力装置221において出力されている第1作業環境画像を識別するための画像識別子のほか、第1クライアントまたはそのオペレータを識別するための第1識別子および第2クライアントまたはそのオペレータを識別するための第2識別子のうち少なくとも一方が含まれている。
【0057】
作業支援サーバ10において、標識画像要求が受信された場合(
図5/C13)、第1支援処理要素121により、第1識別子に基づいて対象実機の実空間位置がデータベース102から検索されることにより認識される(
図5/STEP122)。
【0058】
遠隔操作装置20(クライアント)と作業機械40との相互通信が確立された際、遠隔操作装置20(またはそのオペレータ)および作業機械40のそれぞれの識別子と、作業機械40の実空間位置と、が関連付けられてデータベース102に登録される。作業機械40の実空間位置は、当該作業機械40に搭載されているGPS、必要に応じて加速度センサを利用した測位装置460により測定される。作業機械40が実空間位置またはその時系列を作業支援サーバ10に対して送信することにより、データベース102に登録されている作業機械40の実空間位置が更新される。これにより、第1識別子および第2識別子のそれぞれに基づき、対象実機の実空間位置が認識されうる。
【0059】
続いて、第1支援処理要素121により、標識画像要求に含まれている画像識別子によって識別される第1作業環境画像に対象実機が含まれているか否かが判定される(
図5/STEP123)。第1作業環境画像に対象実機が含まれている場合とは、
図10Aおよび
図10Bのそれぞれに示されているように、対象実機40が第1作業環境画像(対象実機とは別の作業機械40に搭載されている撮像装置412を通じて取得された作業環境画像)に含まれる場合である。
【0060】
具体的には、まず、第1作業環境画像の撮影範囲が特定される。第1作業環境画像が作業機械
40の撮像装置412により撮像される場合には、測位装置460により作業機械
40の実空間位置および撮像装置412の撮影方向(作業機械
40に対する上下および左右の取付方向が取得される。第1作業環境画像が
図8に示すような作業現場に設置された撮像装置Cである場合には、撮像装置Cの実空間位置および撮像装置Cの撮影方向が取得される。さらに、撮影画像の画角や拡縮に関する情報を取得することにより実空間座標系における第1作業環境画像の撮影範囲が特定される。
【0061】
続いて、データベース102に登録されている作業機械40の実空間位置に基づいて対象実機が実空間座標系における第1作業環境画像の撮影範囲に含まれているか否かを判定する(
図5/STEP123)。
【0062】
当該判定結果が肯定的である場合(
図5/STEP123‥YES)、実空間座標系における対象実機の位置を第1作業環境画像座標系における位置に変換する。そして、第1作業環境画像を対象として画像解析処理が実施され、第1作業環境画像座標系における対象実機の位置に作業機械40を表わす実機画像Qiが抽出されるか否かを判定する(
図5/STEP124)。
【0063】
当該判定結果が肯定的である場合(
図5/STEP124‥YES)、第2支援処理要素122により、当該実機画像Qiが対象実機(自機または他機)であることを示す第1標識画像が生成されて、第2支援処理要素122により、第1クライアントに対して第1標識画像を表わすデータが送信される(
図5/STEP125)。そして、第1作業環境画像に第1標識画像を重畳している旨の指定通知が送信される(
図5/STEP132)。
【0064】
遠隔操作装置20(第1クライアント)において、遠隔無線通信機器222を通じて第1標識画像データが受信されると(
図5/C21)、出力インターフェース220を構成する画像出力装置221を通じて、第1作業環境画像において対象実機の存在を強調表示する第1標識画像が出力される(
図5/STEP214)。これにより、例えば
図9Aに示されているように、実機画像Qiのエッジ点の集合ECにより囲まれた領域にテクスチャ画像Tが第1作業環境画像に重畳された結果が第1標識画像として出力される。テクスチャ画像Tはオペレータの好みに応じて色を変更可能である。また、例えば
図9Bに示されているように、実機画像Qiのそばにマーク画像Mが第1作業環境画像に重畳された結果が第1標識画像として出力される。マーク画像Mはオペレータの好みに応じた記号(文字)を設定可能である。
【0065】
当該判定結果が否定的である場合(
図5/STEP124‥NO)は、例えば、
図11に示されているように、作業機械40-3が対象実機40-0を向いていない場合のほか、他の作業機械等の障害物に遮られている場合である。
【0066】
対象実機が実空間座標系における第1作業環境画像の撮影範囲に含まれていない場合(
図5/STEP123‥NO)や第1作業環境画像座標系における対象実機の位置に作業機械40を表わす実機画像Qiが抽出されない場合(
図5/STEP124‥NO)、対象実機が実空間座標系における第2作業環境画像の撮影範囲に含まれているか否かを判定する(
図5/STEP126)。ここで、第2作業環境画像は第2クライアントに提供される作業環境画像であって、第2クライアントのオペレータが遠隔操作の対象としている作業機械40の作業環境画像である。第2クライアントに対する第2作業環境画像は、第1クライアントに対する第1作業環境画像と同等であるのでその画像の生成方法については説明を省略する。
【0067】
当該判定結果が肯定的である場合(
図5/STEP126‥YES)は、実空間座標系における対象実機の位置を第2作業環境画像座標系における位置に変換する。そして、第2作業環境画像を対象として画像解析処理が実施され、第2作業環境画像座標系における対象実機の位置に作業機械40を表わす実機画像Qiが抽出されるか否かを判定する(
図5/STEP127)。
【0068】
当該判定結果が肯定的である場合(
図5/STEP127‥YES)は、第2支援処理要素122により、当該実機画像Qiが対象実機(自機または他機)であることを示す第2標識画像 が生成されて、第2支援処理要素122により、第1クライアントに対して第2標識画像を表わすデータが送信される(
図5/STEP128)。そして、第2作業環境画像に第2標識画像を重畳している旨の指定通知が送信される(
図5/STEP132)。
【0069】
遠隔操作装置20において、遠隔無線通信機器222を通じて第2標識画像データが受信されると(
図5/C22)、出力インターフェース220を構成する画像出力装置221を通じて、第2作業環境画像において対象実機の存在を強調表示する第2標識画像が第2作業環境画像に代えてまたは加えて出力される(
図5/STEP216)。これにより、例えば
図9Aに示されているように、実機画像Qiのエッジ点の集合ECにより囲まれた領域にテクスチャ画像Tが第2作業環境画像に重畳された結果が第2標識画像として出力される。テクスチャ画像Tはオペレータの好みに応じて色を変更可能である。また、例えば
図9Bに示されているように、実機画像Qiのそばにマーク画像Mが第2作業環境画像に重畳された結果が第2標識画像として出力される。マーク画像Mはオペレータの好みに応じた記号(文字)を設定可能である。
【0070】
対象実機が実空間座標系における第2作業環境画像の撮影範囲に含まれていない場合(
図5/STEP126‥NO)や第2作業環境画像座標系における対象実機の位置に作業機械40を表わす実機画像Qiが抽出されない場合(
図5/STEP127‥NO)には、対象実機 が実空間座標系における第3作業環境画像の撮影範囲に含まれているか否かを判定する(
図5/STEP129)。ここで、第3作業環境画像は、第1クライアントおよび第1クライアントと相互通信をしている第2クライアントに対して提供されていない作業環境画像である。第3作業環境画像は、第1クライアントと相互通信をしていない第2クライアントに提供される作業環境画像や第1クライアントおよび第1クライアントと相互通信をしている第2クライアントに提供可能な作業環境画像である。
【0071】
当該判定結果が肯定的である場合(
図5/STEP129‥YES)、実空間座標系における対象実機の位置を第3作業環境画像座標系における位置に変換する。そして、第3作業環境画像を対象として画像解析処理が実施され、第3作業環境画像座標系における対象実機の位置に作業機械40を表わす実機画像Qiが抽出されるか否かを判定する(
図5/STEP130)。当該判定結果が肯定的である場合(
図5/STEP130‥YES)、第2支援処理要素122により、当該実機画像Qiが対象実機(自機または他機)であることを示す第3標識画像 が生成されて、第
2支援処理要素122により、第1クライアントに対して第
3標識画像を表わすデータが送信される(
図5/STEP131)。そして、第3作業環境画像に第3標識画像を重畳している旨の指定通知が送信される(
図5/STEP132)。
【0072】
遠隔操作装置20において、遠隔無線通信機器222を通じて第3標識画像データが受信されると(
図5/C23)、出力インターフェース220を構成する画像出力装置221を通じて、第
3作業環境画像において対象実機の存在を強調表示する第3標識画像が第3作業環境画像に代えてまたは加えて出力される(
図5/STEP218)。これにより、例えば
図9Aに示されているように、実機画像Qiのエッジ点の集合ECにより囲まれた領域にテクスチャ画像Tが第
3作業環境画像に重畳された結果が第
3標識画像として出力される。テクスチャ画像Tはオペレータの好みに応じて色を変更可能である。また、例えば
図9Bに示されているように、実機画像Qiのそばにマーク画像Mが第
3作業環境画像に重畳された結果が第
3標識画像として出力される。マーク画像Mはオペレータの好みに応じた記号(文字)を設定可能である。
【0073】
対象実機が実空間座標系における第3作業環境画像の撮影範囲に含まれていない場合(
図5/STEP129‥NO)や第3作業環境画像座標系における対象実機の位置に作業機械40を表わす実機画像Qiが抽出されない場合(
図5/STEP130‥NO)には、対象実機に相当する実機画像が第1~3作業環境画像に存在しない旨の指定通知が遠隔操作装置20に対して送信される
図5/STEP132)。
【0074】
遠隔操作装置20において、遠隔無線通信機器222を通じて指定通知が受信されると(
図5/C24)、出力インターフェース220を構成する画像出力装置221を通じて、指定通知が表示される。指定通知は、対象実機 が第1~3作業環境画像のどの画像に含まれているか、又は第1~3作業環境画像のどの画像にも含まれていないかについての情報を通知するものである。
【0075】
遠隔操作装置20において、画像出力装置221は対象実機 が撮影範囲に含まれているか否かに関わらず、第1~3作業環境画像の画面を切り替える機能を有していてもよい。
【0076】
テクスチャ画像Tとマーク画像Mは、第1クライアントと相互通信をする第2クライアント間において共通である。例えば、第1クライアントの画像出力装置221で実機画像Qiに赤色のテクスチャ画像Tを第1標識画像として出力すると、第2クライアントの画像出力装置221で実機画像Qiのテクスチャ画像Tも赤色になる。
【0077】
(効果)
当該構成の作業支援システムおよびこれを構成する作業支援サーバ10によれば、撮像装置(例えば、作業機械40に搭載されている撮像装置412)を通じて取得された作業現場の様子を示す第1作業環境画像が、複数の遠隔操作装置20のそれぞれを構成する出力インターフェース220に出力される(
図4/STEP204および
図6~
図8参照)。第1遠隔操作装置20から、識別子を伴う標識画像要求に応じて、当該識別子により識別される連携作業機械に該当する実機画像Qiが第1作業環境画像に含まれているか否かが判定される(
図5/STEP123、
図5/STEP124参照)。当該実機画像Qiが連携作業機械に該当する場合、第1および第2遠隔操作装置のうち少なくとも一方の遠隔操作装置20の出力インターフェース220に第1標識画像が出力される(
図5/STEP214、
図9Aおよび
図9B参照)。「第1標識画像」は、実機画像Qiが連携作業機械であることを表わしている。
【0078】
これにより、第1クライアント(第1遠隔操作装置20)のオペレータが、入力インターフェース210の操作を通じて第1識別子を伴う標識画像要求を作業支援サーバ10に送信することにより、第1クライアントの出力インターフェース220に出力されている第1作業環境画像に含まれている実機画像Qiのいずれかが、当該第1識別子により識別される当該第1クライアントまたは当該オペレータによる操作対象である自機に該当するか否かを確認することができる。さらに、第1クライアントのオペレータが、入力インターフェース210の操作を通じて第2識別子を伴う標識画像要求を作業支援サーバ10に送信することにより、第1クライアントの出力インターフェース220に出力されている第1作業環境画像に含まれている実機画像Qiのいずれかが、当該第2識別子により識別される第2クライアントまたはそのオペレータによる操作対象である他機に該当するか否かを確認することができる。
【0079】
同様に、第1クライアント(第1遠隔操作装置20)のオペレータが、入力インターフェース210の操作を通じて第1識別子を伴う標識画像要求を作業支援サーバ10に送信することにより、第2クライアント(第2遠隔操作装置20)の出力インターフェース220に出力されている第1作業環境画像に含まれている実機画像Qiのいずれかが、当該第1識別子により識別される当該第1クライアントまたは当該オペレータにより操作されている他機に該当するか否かを当該第2クライアントのオペレータに確認させることができる。さらに、第1クライアントのオペレータが、入力インターフェース210の操作を通じて第2識別子を伴う標識画像要求を作業支援サーバ10に送信することにより、第2クライアントの出力インターフェース220に出力されている第1作業環境画像に含まれている実機画像Qiのいずれかが、当該第2識別子により識別される当該第2クライアントまたはそのオペレータによる操作対象である自機に該当するか否かを当該第2クライアントのオペレータに確認させることができる。
【0080】
よって、遠隔操作装置を構成する出力インターフェースに出力されている第1作業環境画像に映り込んでいる作業機械40が、いずれの遠隔操作装置20による遠隔操作対象であるかの複数のオペレータのそれぞれによる認識の共有が図られる。
【0081】
さらに、第1作業環境画像に含まれている一または複数の実機画像Qiのすべてが連携作業機械に該当しない場合、当該連携作業機械に該当する実機画像Qjが含まれている第2作業環境画像が遠隔操作装置20の出力インターフェース220に第2標識画像とともに出力される(
図5/STEP
126~STEP
128、STEP216参照)。「第2標識画像」は、実機画像Qjが連携作業機械であることを表わしている。
【0082】
これにより、第1クライアント(第1遠隔操作装置20)のオペレータが、入力インターフェース210の操作を通じて第1識別子を伴う標識画像要求を作業支援サーバ10に送信することにより、第1クライアントの出力インターフェース220に出力されている第2作業環境画像に含まれている実機画像Qjのいずれかが自機に該当するか否かを確認することができる。さらに、第1クライアントのオペレータが、入力インターフェース210の操作を通じて第2識別子を伴う標識画像要求を作業支援サーバ10に送信することにより、第1クライアントの出力インターフェース220に出力されている第2作業環境画像に含まれている実機画像Qjのいずれかが他機に該当するか否かを確認することができる。
【0083】
同様に、第1クライアントのオペレータが、入力インターフェース210の操作を通じて第1識別子を伴う標識画像要求を作業支援サーバ10に送信することにより、第2クライアントの出力インターフェース220に出力されている第2作業環境画像に含まれている実機画像Qjのいずれかが他機に該当するか否かを当該第2クライアントのオペレータに確認させることができる。さらに、第1クライアントのオペレータが、入力インターフェース210の操作を通じて第2識別子を伴う標識画像要求を作業支援サーバ10に送信することにより、第2クライアントの出力インターフェース220に出力されている第2作業環境画像に含まれている実機画像Qjのいずれかが自機に該当するか否かを当該第2クライアントのオペレータに確認させることができる。
【0084】
よって、遠隔操作装置を構成する出力インターフェースに出力されている第2作業環境画像に映り込んでいる作業機械40が、いずれの遠隔操作装置20による遠隔操作対象であるかの複数のオペレータのそれぞれによる認識の共有が図られる。
【0085】
(本発明の他の実施形態)
前記実施形態では、作業支援サーバ10が、遠隔操作装置20および作業機械40のそれぞれとは別個の一または複数のサーバにより構成されていたが(
図1参照)、他の実施形態として、作業支援サーバ10が、遠隔操作装置20または作業機械40の構成要素であってもよい。作業支援サーバ10の各構成要素121および122のそれぞれが、遠隔操作装置20および作業機械40のうちの相互通信可能な2つ以上のそれぞれの機器の構成要素であってもよい。
【0086】
第2支援処理要素122が、第1クライアント(第1遠隔操作装置20)との通信に基づき、識別子を伴わない標識画像要求を受信した場合(
図5/C13参照)、第1作業環境画像における実機画像Qiの位置とデータベース102に記憶保持されている複数の作業機械40のそれぞれ実空間位置とに基づき、実機画像Qiが複数の作業機械40のうちいずれの作業機械40に該当するかを認識してもよい。そして、第2支援処理要素122が、第1および第2遠隔操作装置のうち少なくとも一方の遠隔操作装置20との通信に基づき、実機画像Qiがいずれの作業機械40に該当するかを表わす標識画像を当該少なくとも一方の遠隔操作装置20の出力インターフェース220に出力させる。
【0087】
当該構成の作業支援サーバ10等によれば、第1遠隔操作装置を構成する出力インターフェースに出力される作業環境画像に作業機械40が映り込んでいる場合、当該作業機械40がいずれの遠隔操作装置20またはいずれのオペレータによる遠隔操作対象であるかが認識される。そして、当該認識結果を表わす標識画像が第1および第2遠隔操作装置のうち少なくとも一方の遠隔操作装置の出力インターフェースに出力される。この結果、遠隔操作装置を構成する出力インターフェースに出力されている実機画像が、どの遠隔操作装置による遠隔操作対象に該当するかを各オペレータに容易に認識させることができる。
【0088】
前記実施形態では、測位装置460で計測した作業機械40の実空間位置に基づいて第1~3作業環境画像に対象実機が含まれているか否かを判定していたが、他の実施形態として、各作業環境画像を対象として画像解析処理が実施され、これにより当該第1作業環境画像において作業機械40を表わす実機画像Qiを抽出してもよい。
【0089】
例えば、第1作業環境画像を対象として画像解析処理が実施される場合、これにより当該第1作業環境画像において作業機械40を表わす実機画像Qi(i=1,2,‥)が抽出される(
図7)。
続いて、第1作業環境画像座標系における実機画像Qiの位置に基づき、当該実機画像Qiに相当する作業機械40の実空間位置が求められる。この際、第1作業環境座標における実機画像Qiにサイズの大小に基づき、撮像装置(例えば撮像装置412)から作業機械40までの実空間距離が推定される。第1作業環境画像の画素値としてTOFセンサなどの測距センサにより取得された撮像対象物までの距離が含まれている場合、当該画素値に基づいて撮像装置(例えば撮像装置412)から作業機械40までの実空間距離が推定されてもよい。さらに、撮像装置座標系における作業機械40の位置が実空間座標系に座標変換されることにより、実空間座標系における対象実機(作業機械40)の位置が認識または算定される。当該座標変換に際して、撮像装置座標系における対象実機の位置が認識され、実空間座標系における撮像装置の位置および姿勢を表わす座標変換因子(行列またはクォータニオン)が用いられる。座標変換因子は、データベース102に撮像装置の識別子(ひいては画像識別子)と関連付けられて登録されている。
【0090】
そして、データベース102に登録されている対象実機の実空間位置と一致するまたは対応する実空間位置を有する作業機械40を示す実機画像Qiの第1作業環境画像における有無が判定される。
【0091】
前記実施形態では、前記標識画像要求の対象の作業機械が1つである場合としたが、前記標識画像要求の対象の作業機械は複数でもよい。例えば、1つ目の作業機械の標識画像のテクスチャ画像Tに赤色、2つ目の作業機械の標識画像のテクスチャ画像Tに白色等を付与することで複数のオペレータの認識を共有するものである。
【0092】
前記実施形態では、対象実機に相当する実機画像が第1~3作業環境画像に存在しない旨の指定通知が遠隔操作装置20に対して送信された場合(
図5/STEP132)には、標識画像を設定できないようにしているが、他の実施形態として、対象実機に相当する実機画像が第1~3作業環境画像に存在しない場合であっても、標識画像を設定してもよい。例えば、作業現場に使用可能な撮像装置が少ない場合や、作業機械40が運搬車によって作業現場に輸送中でありこれから作業現場に到着する場合である。この場合、あらかじめ標識画像を設定しておくことにより、認識共有の作業を改めてする必要がなくなるため作業性が向上する。
【符号の説明】
【0093】
10‥作業支援サーバ、20‥遠隔操作装置(クライアント)、40‥作業機械、102‥データベース、121‥第1支援処理要素、122‥第2支援処理要素、210‥遠隔入力インターフェース、220‥遠隔出力インターフェース、410‥実機入力インターフェース、412‥実機撮像装置、420‥実機出力インターフェース、440‥作業アタッチメント(作動機構)。