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  • 特許-基礎構造体、及び基礎構造体の施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】基礎構造体、及び基礎構造体の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/01 20060101AFI20240312BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20240312BHJP
   E04B 1/72 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
E02D27/01 A
E04B1/76 400A
E04B1/72
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020014325
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021120527
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-08-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一聡
(72)【発明者】
【氏名】馬場 祐
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-084358(JP,A)
【文献】特開2019-044554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/01
E04B 1/76
E04B 1/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立上りを有しており、当該立上りに第1貫通孔が設けられた基礎と、
板状であって、上記立上りの壁面に主面が当接しており、上記第1貫通孔と連通する円形状の第2貫通孔が設けられた断熱材と、
上記断熱材の上記第2貫通孔の周面に当接して配置された繊維集合体と、
上記第2貫通孔内において上記繊維集合体の内側に配置されており、上記繊維集合体を上記第2貫通孔の周面に押圧する押圧部材と、を備えており、
上記押圧部材は、軸線に沿う切込みを有する円筒状の管材であって、径方向に付勢力を有する配管である基礎構造体。
【請求項2】
立上りを有しており、当該立上りに第1貫通孔が設けられた基礎と、
板状であって、上記立上りの壁面に主面が当接しており、上記第1貫通孔と連通する円形状の第2貫通孔が設けられた断熱材と、
上記断熱材の上記第2貫通孔の周面に当接して配置された繊維集合体と、
上記第2貫通孔内において上記繊維集合体の内側に配置されており、上記繊維集合体を上記第2貫通孔の周面に押圧する押圧部材と、
上記第1貫通孔及び上記第2貫通孔に挿通されており、上記繊維集合体の内側に位置する配管と、を備えており、
上記押圧部材は、形状記憶合金製であって、上記繊維集合体と上記配管との間に位置する基礎構造体。
【請求項3】
第1貫通孔を有する立上りを具備する基礎を打設する第1工程と、
円形状の第2貫通孔を有する板状の断熱材を、上記立上りの壁面に主面が当接し、かつ当該第2貫通孔の開口を上記第1貫通孔の開口に重ねて配置する第2工程と、
上記第1貫通孔及び上記第2貫通孔を貫通させて、繊維集合体及び押圧部材を設置する第3工程と、を備えており、
上記押圧部材は、上記繊維集合体の内側に位置しており、当該繊維集合体を上記第2貫通孔の周面に押圧する部材であり、且つ軸線に沿う切込みを有する円筒状の配管であり、
上記第3工程は、上記押圧部材を撓ませて上記第2貫通孔に挿通する工程を含む基礎構造体の施工方法。
【請求項4】
第1貫通孔を有する立上りを具備する基礎を打設する第1工程と、
円形状の第2貫通孔を有する板状の断熱材を、上記立上りの壁面に主面が当接し、かつ当該第2貫通孔の開口を上記第1貫通孔の開口に重ねて配置する第2工程と、
繊維集合体、押圧部材、及び配管を上記第1貫通孔及び上記第2貫通孔を設置する第3工程と、を備えており、
上記押圧部材は、形状記憶合金製であって、上記繊維集合体と上記配管との間に位置しており、当該繊維集合体を上記第2貫通孔の周面に押圧する部材である基礎構造体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材及び配管を備えた基礎構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基礎と、基礎に隣接して設置された矩形板状の断熱材と、断熱材に貼り付けられた防蟻シートと、を備える基礎構造体を開示する。防蟻シートは、断熱材の底面及び天面と一方の主面とを覆うように断熱材に貼り付けられている。
【0003】
給水管や、ケーブル等を通す管などの配管を基礎構造体に配置するために、基礎の立上りに貫通孔が設けられることがある。その場合、当該貫通孔と連通する貫通孔が断熱材に設けられる。配管は、当該貫通孔に挿通される。
【0004】
特許文献2は、配管を繊維集合体(例えば、グラスウールなど)で覆った基礎構造体を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-124705号公報
【文献】特開2019-44554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載された技術を用いて、配管と、基礎の立上り或いは断熱材に設けた貫通孔の周面との隙間に繊維集合体を充填することが考えられる。しかしながら、繊維集合体を単に充填しただけでは、断熱材の貫通孔の周面に繊維集合体が完全に密着しないことが考えられる。断熱材の貫通孔の周面に繊維集合体が完全に密着していなくても、白蟻が上記隙間から基礎構造体内部に侵入することを防止することは可能である。しかしながら、白蟻が断熱材内部に侵入することは、防止できない。断熱材が、発泡樹脂等からなる場合、断熱材の内部に侵入した白蟻は、断熱材を食い荒らす。
【0007】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、白蟻が断熱材の内部に侵入することを防止可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係る基礎構造体は、立上りを有しており、当該立上りに第1貫通孔が設けられた基礎と、板状であって、上記立上りの壁面に主面が当接しており、上記第1貫通孔と連通する円形状の第2貫通孔が設けられた断熱材と、上記断熱材の上記第2貫通孔の周面に当接して配置された繊維集合体と、上記第2貫通孔内において上記繊維集合体の内側に配置されており、上記繊維集合体を上記第2貫通孔の周面に押圧する押圧部材と、を備える。
【0009】
繊維集合体は、含有する繊維により、防蟻性を有する。押圧部材によって第2貫通孔の周面に押圧された繊維集合体は、白蟻が当該周面から断熱材の内部に侵入することを防止する。
【0010】
(2) 上記押圧部材は、軸線に沿う切込みを有する円筒状の管材であって、径方向に付勢力を有する配管である。
【0011】
切込みを有する配管は、周方向における一方の端面が他方の端面の内側になるように撓められた後、繊維集合体の内側に配置される。撓められた配管は、径方向において繊維集合体を押圧し、繊維集合体を第2貫通孔の周面に押圧する。
【0012】
(3) 本発明の基礎構造体は、上記第1貫通孔及び上記第2貫通孔に挿通されており、上記繊維集合体の内側に位置する配管をさらに備えていてもよい。上記押圧部材は、上記繊維集合体と上記配管との間に位置しており、上記配管を支点に上記繊維集合体を上記第2貫通孔の周面に押圧する付勢力を有するバネ材である。
【0013】
押圧部材は、配管を支点に繊維集合体を第2貫通孔の周面に押圧して繊維集合体を当該周面に押圧する。
【0014】
(4) 本発明の基礎構造体は、上記第1貫通孔及び上記第2貫通孔に挿通されており、上記繊維集合体の内側に位置する配管をさらに備えていてもよい。上記押圧部材は、形状記憶合金製であって、上記繊維集合体と上記配管との間に位置する。
【0015】
形状記憶合金製である押圧部材は、加温或いは冷却されてから繊維集合体の内側に配置された後、常温になることによって変形し、繊維集合体を第2貫通孔の周面に押圧する。
【0016】
(5) 本発明の基礎構造体の施工方法は、第1貫通孔を有する立上りを具備する基礎を打設する第1工程と、円形状の第2貫通孔を有する板状の断熱材を、上記立上りの壁面に主面が当接し、かつ当該第2貫通孔の開口を上記第1貫通孔の開口に重ねて配置する第2工程と、上記第1貫通孔及び上記第2貫通孔を貫通させて、繊維集合体及び押圧部材を設置する第3工程と、を備える。上記押圧部材は、上記繊維集合体の内側に位置しており、当該繊維集合体を上記第2貫通孔の周面に押圧する部材である。
【0017】
本発明は、基礎構造体の施工方法として捉えることもできる。
【0018】
(6) 上記押圧部材は、軸線に沿う切込みを有する円筒状の配管であり、上記第3工程は、上記押圧部材を撓ませて上記第2貫通孔に挿通する工程を含んでいてもよい。
【0019】
(7) 上記第3工程は、上記第1貫通孔及び上記第2貫通孔を貫通させて、配管、上記繊維集合体、及び上記押圧部材を設置する工程であってもよい。当該押圧部材は、上記配管と上記繊維集合体との間に位置しており、上記配管を支点に上記繊維集合体を上記第2貫通孔の周面に押圧する付勢力を有するバネ材、或いは形状記憶合金製の部材である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る基礎構造体は、断熱材に形成された第2貫通孔の周面から断熱材内部に白蟻が侵入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、基礎構造体10の一部の斜視図である。
図2図2は、布基礎11を打設する工程を説明する説明図である。
図3図3は、基礎構造体10の縦断面図である。
図4図4は、基礎構造体10の施工を説明する説明図である。
図5図5は、配管60を断熱材15の第2貫通孔43に挿通する工程を説明する説明図である。
図6図6は、変形例に係る断熱材15の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0023】
図1は、建物の躯体(不図示)を支持する基礎構造体10の一部の斜視図である。基礎構造体10は、布基礎11と、布基礎11に取り付けられた断熱材15と、配管60と、繊維集合体70(図3)と、を備える。
【0024】
布基礎11は、フーチング12と、立上り13と、複数のアンカーボルト14と、を備える。フーチング12は、地中に埋設されている。立上り13は、フーチング12から上方に向かって突出している。すなわち、立上り13は、地面から上向きに突出している。
【0025】
布基礎11の立上り13は、第1貫通孔18を有している。第1貫通孔18は、開口の形状が円形状であって、かつ立上り13の厚み方向において立上り13を貫通している。第1貫通孔18は、立上り13に埋設されたスリーブ19(図3)によって形成されている。ガス管や給水管やケーブルなどが第1貫通孔18(スリーブ19)に挿通される。
【0026】
アンカーボルト14は、立上り13に埋設された不図示の埋設部と、埋設部から上方へ向かって突出するボルト部と、を有する。図1に示されるように、打設された布基礎11においては、アンカーボルト14のボルト部のみが視認可能である。なお、図1に示す例では、1つのアンカーボルト14は、2つのボルト部を有している。
【0027】
アンカーボルト14のボルト部は、立上り13の上面から上向きに突出している。複数のアンカーボルト14は、例えば、立上り13が延びる方向(水平方向)に沿って等間隔で配置されている。
【0028】
土台16(図3)が、立上り13の上面に載置される。土台16は、アンカーボルト14のボルト部が挿通される挿通孔を有する。挿通孔に挿通されたボルト部に不図示のナットが締結されることにより、土台16が布基礎11に固定される。複数の柱(不図示)が、土台16の上面に載置され、ボルト及びナットなどの不図示の固着具を用いて土台16に固定される。柱及び土台16は、建物の躯体を構成する。
【0029】
布基礎11は、例えば図2に示されるように、地面に設けた溝51に砕石(不図示)を敷設した後、捨てコンクリート52を打設し、次いで溝51に沿って型枠53を設置するとともに、型枠53に保持させて鉄筋(不図示)及びスリーブ19(図3)を設置し、かつ支持板54を用いてアンカーボルト14を設置した後、型枠53内に生コンクリートを流し込んで打設される。布基礎11を打設する工程は、第1工程の一例である。
【0030】
断熱材15は、矩形板状であり、図3に示されるように、互いに平行な一対の主面21、22と、互いに平行な天面23及び底面24と、互いに平行な一対の側面と、を有する。断熱材15は、例えば、ウレタンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォームなどの樹脂を発泡させて成形した発泡樹脂からなる。
【0031】
断熱材15の厚みは、例えば、30mmから160mmの範囲内とされる。断熱材15の幅は、約50mmから2000mmの範囲内とされる。断熱材15の高さは、布基礎11の立上り13の高さに合わせて、約300mmから2000mmの範囲内とされる。
【0032】
断熱材15は、表面をコーティングなどされることにより、表面において防蟻性を有している。例えば、断熱材15の表面に防蟻シートを貼り付けることにより、断熱材15の表面に防蟻性が付与される。
【0033】
断熱材15は、一対の主面21、22の内の一方の主面(図示例では、主面22)を布基礎11の立上り13の外壁面17に当接させて配置されている。断熱材15は、例えば、シリコン系接着剤を用いて布基礎11の立上り13の外壁面17に貼り付けられている。
【0034】
断熱材15は、配管60が挿入される第2貫通孔43を有している。第2貫通孔43は、開口の形状が円形状であって、かつ断熱材15の厚みに沿う方向において断熱材15を貫通している。第2貫通孔43の直径は、配管60及び繊維集合体70を第2貫通孔43内に配置可能に、配管60の外径よりも大きくされている。
【0035】
第2貫通孔43は、基礎構造体10の施工図にしたがって工場において断熱材15に設けられてもよいし、基礎構造体10を施工する作業現場において、作業者によって、断熱材15に設けられてもよい。作業者は、例えばドリル又はホールソーなどの器具を用いて、断熱材15に第2貫通孔43を設ける。
【0036】
図1に示される配管60は、円筒状である。また、配管60は、軸線に沿う切込み61を有している。切込み61は、軸線に沿う方向における配管60の一端から他端に渡って設けられている。また、配管60は、樹脂成型品であって、弾性を有している。配管60は、作業者によって径方向に押圧されることにより、図5(B)に示されるように、弾性変形する。配管60は、基礎構造体10の施工時において、作業者によって撓められる。すなわち、撓められた配管60は、径方向に付勢力を有する。配管60は、押圧部材の一例である。
【0037】
繊維集合体70は、細長い糸状の繊維が集まってできた比較的柔軟性のある塊のことをいう。繊維集合体70を構成する素材としては、綿、麻、ポリアミド、ポリエステル、アクリルなどの有機繊維や、ガラス繊維、ロックウール、スラッグ繊維などの無機繊維を使用することができるが、繊維集合体70は、無機繊維が集まってできた無機繊維集合体であることが好ましく、なかでも、繊維集合体70は、グラスウール又はロックウールであることがより好ましい。これにより、繊維集合体70の耐熱性、耐食性を向上させることができる。
【0038】
繊維集合体70は、布基礎11の立上り13が有する第1貫通孔18内及び断熱材15が有する第2貫通孔43内において、配管60の外側に配置されている。すなわち、繊維集合体70は、第2貫通孔43の周面と、配管60の外周面との間に位置している。繊維集合体70は、配管60の弾性によって、断熱材15の第2貫通孔43の周面の全面に渡って押圧されている。すなわち、繊維集合体70は、断熱材15の第2貫通孔43の周面の全面に密着している。繊維集合体70は、第2貫通孔43の周面から白蟻が断熱材15内に侵入することを防止する。
【0039】
基礎構造体10の施工について、以下説明する。まず、作業者は、上述のようにして布基礎11を打設する。そして、作業者は、布基礎11のフーチング12及び立上り13の下部が地中に位置するまで埋め戻す。
【0040】
次に、作業者は、図4(A)に示されるように、布基礎11の立上り13の外壁面17側を立上り13に沿って溝55を掘る。なお、一体打ち布基礎の場合は、立上り部の型枠脱枠時に溝55が形成されているため、溝55をあらためて設ける必要はない。そして、作業者は、立上り13の外壁面17に断熱材15の上端を示す墨線を打ち、レベル出しを行う。次に、作業者は、断熱材15に第2貫通孔43を設ける。なお、断熱材15に第2貫通孔43を設ける工程は、工場などで、基礎構造体10の施工に先立って行われていてもよい。作業者は、上記墨線に併せて、互いに隣接させて複数の断熱材15を布基礎11の立上り13に接着した後、断熱材15の上部が地面から露出するように溝55を埋め戻す(図4(B))。その際、作業者は、布基礎11の立上り13が有する第1貫通孔18の開口と、断熱材15が有する第2貫通孔43の開口とが一致するように断熱材15を配置する。断熱材15を布基礎11の立上り13に当接させて配置する工程は、第2工程の一例である。
【0041】
次に、作業者は、断熱材15の第2貫通孔43内に、筒状にした繊維集合体70を配置する(図4(C))。そして、作業者は、図5(B)のように撓めた配管60を第1貫通孔18及び第2貫通孔43内に挿通した後(図5(C))、配管60から手を離す。撓められていた配管60は、弾性力により、筒状の元の形状に戻る(図5(D))。元の形状に戻った配管60は、第1貫通孔18の周面の全面及び第2貫通孔の周面の全面に渡って、繊維集合体70を押圧する。すなわち、配管60は、第2貫通孔の周面の全面に繊維集合体70を密着させる(図4(D))。そして、作業者は、配管60内にガス管や給水管やケーブル等を通す。作業者が、繊維集合体70及び配管60を第2貫通孔43内に挿入する工程は、第3工程の一例である。
【0042】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、断熱材15の表面は、防蟻性を有する。したがって、白蟻が断熱材15の内部に侵入することが防止される。
【0043】
また、本実施形態では、ケーブルを保護する配管60の弾性を利用して、繊維集合体70を断熱材15の第2貫通孔43の周面に密着させる。したがって、バネ材など、繊維集合体70を第2貫通孔43の周面に密着させる部材が不要になる。その結果、基礎構造体10の施工に必要な部品点数が減る。
【0044】
[変形例1]
上述の実施形態では、配管60を用いて繊維集合体70を断熱材15の第2貫通孔43の内周面に押圧する例が説明された。本変形例では、押圧部材63を用いて繊維集合体70を第2貫通孔43の内周面に押圧する説明される。
【0045】
本変形例では、配管60に代えて配管62が断熱材15の第2貫通孔43に挿通される。配管62は、給水管やガス管などである。配管62は、樹脂製或いは金属製であり、かつ筒状である。
【0046】
給水管やガス管である配管62には切込み61を設けることができないので、図6(A)に示されるように、繊維集合体70を断熱材15の第2貫通孔43の周面に押圧する押圧部材63が、配管62と繊維集合体70との間に配置されている。
【0047】
押圧部材63は、例えば板バネなどのバネ材である。但し、押圧部材63は、繊維集合体70を断熱材15の第2貫通孔43の周面に押圧可能であれば、他の種類のバネ材であってもよい。以下、押圧部材63が板バネである例を説明する。
【0048】
複数の押圧部材63が、配管62の周方向に等間隔で配置されている。図示例では、4つの押圧部材63が、90°間隔で配置されている。押圧部材63の一端は、配管62に当接している。押圧部材63の他端は、繊維集合体70に当接している。押圧部材63は、配管62を支点に、繊維集合体70を第2貫通孔43の周面に押圧している。
【0049】
繊維集合体70、押圧部材63、及び配管62の施工について説明する。作業者は、押圧部材63が取りつけられた配管62に繊維集合体70を巻き付ける。作業者は、繊維集合体70を巻き付けた配管62を、押圧部材63を弾性変形させつつ、第2貫通孔43内に圧入する。弾性変形された押圧部材63は、繊維集合体70を第2貫通孔43の周面に押圧する。
【0050】
本変形例においても、断熱材15の第2貫通孔43の周面から白蟻が断熱材15の内部に侵入することが防止される。
【0051】
[変形例2]
上述の変形例1では、繊維集合体70を押圧する部材として、配管60や押圧部材63が用いられた例が説明された。本変形例では、繊維集合体70を押圧する部材として、形状記憶合金製の押圧部材64(図6(B))が用いられた例が説明される。
【0052】
押圧部材64は、円筒状である。押圧部材64は、軸線に沿う切込み65を有している。形状記憶合金製の押圧部材64は、例えば、加温或いは冷却され、かつ負荷を加えられることにより、図5(B)に示される配管60と同様の形状とされる。作業者は、図5(B)の形状とされた押圧部材64に断熱材15を巻き付ける。作業者は、断熱材15を巻き付けた押圧部材64を、断熱材15の第2貫通孔43に配置する。次いで、作業者は、配管62を押圧部材64の内側に挿通する。なお、配管62は、給水管であってもよいし、ケーブル等の保護管であってもよい。
【0053】
押圧部材64が常温となると、図6(B)に示される筒状に戻り、繊維集合体70を第2貫通孔43の周面に押圧する。
【0054】
本変形例においても、断熱材15の第2貫通孔43の周面から白蟻が断熱材15の内部に侵入することが防止される。
【0055】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、断熱材15の第2貫通孔43に繊維集合体70を配置した後、配管60を第2貫通孔43に挿通する例が説明された。しかしながら、配管60に繊維集合体70を巻き付け、繊維集合体70を巻き付けた配管60を第2貫通孔43に挿通してもよい。
【0056】
また、上述の実施形態では、断熱材15が表面に防蟻性を有する例を説明した。しかしながら、断熱材15は、側面において防蟻性を有していなくてもよい。その場合、隣接する断熱材15間に繊維集合体70を配置することにより、白蟻が断熱材15の側面から内部に侵入して断熱材15を食べることが防止される。
【0057】
また、上述の実施形態では、断熱材15が、布基礎11の立上り13の外壁面17に当接させて配置された例が説明された。しかしながら、断熱材15は、立上り13の内壁面に当接して配置されていてもよい。
【0058】
また、上述の実施形態では、繊維集合体70及び配管60が断熱材15の第2貫通孔43内にのみ挿入された例が説明された。しかしながら、繊維集合体70及び配管60は、断熱材15の第2貫通孔43に加え、布基礎11の立上り13の第1貫通孔18にも挿入されていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10・・・基礎構造体
11・・・布基礎
13・・・立上り
15・・・断熱材
18・・・第1貫通孔
43・・・第2貫通孔
60・・・配管
61・・・切込み
62・・・配管
63・・・押圧部材(バネ材)
64・・・押圧部材(形状記憶合金)
70・・・繊維集合体
図1
図2
図3
図4
図5
図6