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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240312BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/165 101
B41J2/165 301
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020014900
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021121488
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】青木 毅
(72)【発明者】
【氏名】天野 祐作
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-130809(JP,A)
【文献】特開2004-160801(JP,A)
【文献】特開2007-130808(JP,A)
【文献】特開2011-073154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出部から液体を吐出することで媒体に記録する記録部と、
前記記録部と対向配置され媒体を支持する支持部と、
前記記録部が前記支持部に対し進退する方向となる移動方向に沿って、前記記録部を、媒体への記録が可能となる記録位置と、前記記録位置より前記支持部から離れた退避位置とに移動させる移動機構部と、
前記記録部と前記支持部との間に対して前記移動方向と交差する第1方向に進退可能に設けられ、前記記録部が前記退避位置に位置する場合に、前記吐出部を覆うキャップ部と、
前記記録部と前記支持部との間に対して前記移動方向及び前記第1方向の両方向と交差する第2方向に進退可能に設けられ、前記記録部が前記退避位置に位置する場合に、前記吐出部を清掃する清掃部と、
を備え、
前記キャップ部が移動する第1移動領域の少なくとも一部と、前記清掃部が移動する第2移動領域の少なくとも一部とが、前記移動方向において同じ位置に配置され、
前記第2方向に対向する1組の側壁が設けられ、
前記記録部は、一方の前記側壁と他方の前記側壁との間で前記移動方向に移動され、
前記第2移動領域は、一方の前記側壁を前記第2方向に貫通している、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
吐出部から液体を吐出することで媒体に記録する記録部と、
前記記録部と対向配置され媒体を支持する支持部と、
前記記録部が前記支持部に対し進退する方向となる移動方向に沿って、前記記録部を、媒体への記録が可能となる記録位置と、前記記録位置より前記支持部から離れた退避位置とに移動させる移動機構部と、
前記記録部と前記支持部との間に対して前記移動方向と交差する第1方向に進退可能に設けられ、前記記録部が前記退避位置に位置する場合に、前記吐出部を覆うキャップ部と、
前記記録部と前記支持部との間に対して前記移動方向及び前記第1方向の両方向と交差する第2方向に進退可能に設けられ、前記記録部が前記退避位置に位置する場合に、前記吐出部を清掃する清掃部と、
を備え、
前記記録部は、液体を吐出する吐出面が水平方向に対して傾いた状態を維持しつつ前記記録位置と前記退避位置との間を移動し、
前記キャップ部が移動する第1移動領域の少なくとも一部と、前記清掃部が移動する第2移動領域の少なくとも一部とが、前記移動方向において同じ位置に配置され、
前記移動機構部は、前記移動方向が鉛直方向及び水平方向の両方と交差するように前記記録部を移動させる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、
前記記録部と前記支持部との間における媒体の搬送方向は、水平方向及び鉛直方向の両方向と交差する傾斜した方向であり、
前記吐出面は、前記記録部と前記支持部との間における前記搬送方向に沿って傾斜している、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の記録装置において、
前記第2方向に対向する1組の側壁が設けられ、
前記記録部は、一方の前記側壁と他方の前記側壁との間で前記移動方向に移動され、
前記第2移動領域は、一方の前記側壁を前記第2方向に貫通している、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1または請求項4に記載の記録装置において、
1組の前記側壁には、前記記録部を前記移動方向に案内する案内部材がそれぞれ設けられ、
一方の前記案内部材は、前記第2移動領域によって前記移動方向に分断されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項に記載の記録装置において、
前記記録部には、前記第2方向に突出する突出部が設けられ、
前記案内部材は、前記記録部に向けて開口され且つ前記突出部を前記移動方向に案内する縦溝部を有する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項に記載の記録装置において、
前記突出部は、前記第2方向の一方と他方とにそれぞれ2つ以上配置され、且つ前記縦溝部との接触によって回転される複数の回転部材を有し、
一の前記回転部材が前記第2移動領域に位置する場合に、他の前記回転部材が、前記縦溝部に案内される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項又は請求項に記載の記録装置において、
前記第2移動領域によって分断された前記案内部材の前記縦溝部の一部には、前記第1方向に拡幅された拡幅部が形成されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項から請求項のいずれか1項に記載の記録装置において、
前記一方の側壁及び前記他方の側壁には、前記縦溝部と交差され且つ前記キャップ部を前記第1方向に案内する横溝部が設けられている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項に記載の記録装置において、
前記縦溝部の深さは、前記横溝部の深さよりも深く、
前記縦溝部は、前記縦溝部と前記横溝部とが交差する交差部において前記移動方向に連続している、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項10に記載の記録装置において、
前記キャップ部には、前記第2方向の一方と他方とにそれぞれ2つ以上突出され、且つ前記横溝部によって案内される複数の横突出部が設けられ、
一の前記横突出部が前記交差部に位置する場合に、他の前記横突出部が、前記横溝部に案内される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項12】
請求項から請求項11のいずれか1項に記載の記録装置において、
前記横溝部は、前記第2移動領域に対して前記移動方向に隣接して配置されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項13】
請求項1、請求項4から請求項12のいずれか1項に記載の記録装置において、
1組の前記側壁には、前記記録部を前記移動方向に案内する案内部材がそれぞれ設けられ、
一方の前記側壁のみには、前記清掃部が通過する貫通孔が設けられ、
一方の前記案内部材は、前記貫通孔によって前記移動方向に分断されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項14】
請求項に記載の記録装置において、
前記移動機構部は、前記移動方向が鉛直方向及び水平方向の両方と交差するように前記記録部を移動させる、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のプリンタヘッド装置は、プリンタヘッド本体と、プリンタヘッド本体の清掃を行うワイパと、プリンタヘッド本体に装着されるキャップとを有する。ワイパは、プリンタヘッド本体の長手方向に沿って移動する。キャップは、プリンタヘッド本体の短手方向に沿って移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-18360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のプリンタヘッド装置では、記録部としてのプリンタヘッド本体の移動方向においてワイパとキャップとがずれて位置しているため、記録装置が記録部の移動方向に大型化する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明に係る記録装置は、吐出部から液体を吐出することで媒体に記録する記録部と、前記記録部と対向配置され媒体を支持する支持部と、前記記録部が前記支持部に対し進退する方向となる移動方向に沿って、前記記録部を、媒体への記録が可能となる記録位置と、前記記録位置より前記支持部から離れた退避位置とに移動させる移動機構部と、前記記録部と前記支持部との間に対して前記移動方向と交差する第1方向に進退可能に設けられ、前記記録部が前記退避位置に位置する場合に、前記吐出部を覆うキャップ部と、前記記録部と前記支持部との間に対して前記移動方向及び前記第1方向の両方向と交差する第2方向に進退可能に設けられ、前記記録部が前記退避位置に位置する場合に、前記吐出部を清掃する清掃部と、を備え、前記キャップ部が移動する第1移動領域の少なくとも一部と、前記清掃部が移動する第2移動領域の少なくとも一部とが、前記移動方向において同じ位置に配置されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係るプリンターの媒体の搬送経路を表す図。
図2】実施形態に係るプリンターのラインヘッドの周辺の構造を表す斜視図。
図3】実施形態に係るプリンターの装置奥行方向における一方の側部の構造を表す図。
図4】実施形態に係るプリンターの装置奥行方向における他方の側部の構造を表す図。
図5】実施形態に係るプリンターにおけるラインヘッドの駆動ユニット及びキャップユニットの駆動ユニットを表す図。
図6】実施形態に係るプリンターのワイパーユニットの退避状態を表す斜視図。
図7】実施形態に係るプリンターの一方の側部を拡大した斜視図。
図8】実施形態に係るプリンターにおけるキャップユニット及びワイパーユニットの移動領域を表す概略図。
図9】実施形態に係るラインヘッドが記録位置にある状態を表す概略図。
図10】実施形態に係るラインヘッドが第1位置にある状態を表す概略図。
図11】実施形態に係るラインヘッドが第2位置にある状態を表す概略図。
図12】実施形態に係るラインヘッドが第1位置にある場合のラインヘッドのコロ及びキャップユニットのコロの位置を表す図。
図13】実施形態に係るラインヘッドが第2位置にある場合のラインヘッドのコロ及びキャップユニットのコロの位置を表す図。
図14】実施形態に係るラインヘッドがワイパーユニットによって清掃される状態を表す概略図。
図15】実施形態に係るラインヘッド及びキャップユニットがそれぞれ退避位置にある状態を表す概略図。
図16】実施形態に係るラインヘッドが縦ガイドレールによって案内される状態を表す概略図。
図17】実施形態に係るキャップユニットが横ガイドレールによって案内される状態を表す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について概略的に説明する。
第1の態様に係る記録装置は、吐出部から液体を吐出することで媒体に記録する記録部と、前記記録部と対向配置され媒体を支持する支持部と、前記記録部が前記支持部に対し進退する方向となる移動方向に沿って、前記記録部を、媒体への記録が可能となる記録位置と、前記記録位置より前記支持部から離れた退避位置とに移動させる移動機構部と、前記記録部と前記支持部との間に対して前記移動方向と交差する第1方向に進退可能に設けられ、前記記録部が前記退避位置に位置する場合に、前記吐出部を覆うキャップ部と、前記記録部と前記支持部との間に対して前記移動方向及び前記第1方向の両方向と交差する第2方向に進退可能に設けられ、前記記録部が前記退避位置に位置する場合に、前記吐出部を清掃する清掃部と、を備え、前記キャップ部が移動する第1移動領域の少なくとも一部と、前記清掃部が移動する第2移動領域の少なくとも一部とが、前記移動方向において同じ位置に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、前記キャップ部が移動する前記第1移動領域の少なくとも一部と、前記清掃部が移動する前記第2移動領域の少なくとも一部とが、前記移動方向において同じ位置に配置されている。これにより、前記第1移動領域と前記第2移動領域が前記移動方向にずれて配置されている構成に比べて、前記キャップ部及び前記清掃部の移動に必要な領域が小さくなるので、前記記録装置が前記記録部の移動方向に大型化するのを抑制することができる。
【0009】
第2の態様に係る記録装置は、第1の態様において、前記第2方向に対向する1組の側壁が設けられ、前記記録部は、一方の前記側壁と他方の前記側壁との間で前記移動方向に移動され、前記第2移動領域は、一方の前記側壁を前記第2方向に貫通していることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、前記記録部は、前記一方の側壁と前記他方の側壁との間を移動する。ここで、前記第2移動領域が前記一方の側壁を前記第2方向に貫通していることで、前記清掃部を前記一方の側壁に対して外側に退避させられるので、前記記録部の移動領域が前記清掃部によって狭くなるのを抑制することができる。
【0011】
第3の態様に係る記録装置は、第2の態様において、1組の前記側壁には、前記記録部を前記移動方向に案内する案内部材がそれぞれ設けられ、一方の前記案内部材は、前記第2移動領域によって前記移動方向に分断されていることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、一方の前記案内部材を分断する位置に前記第2移動領域が位置することで、前記記録部を案内する前記案内部材と、前記清掃部とを近づけて配置することができるので、前記記録装置を小型化することができる。
【0013】
第4の態様に係る記録装置は、第3の態様において、前記記録部には、前記第2方向に突出する突出部が設けられ、前記案内部材は、前記記録部に向けて開口され且つ前記突出部を前記移動方向に案内する縦溝部を有することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記縦溝部が、開口部分を除いて前記突出部を囲むので、前記移動機構部が前記記録部を前記移動方向に移動させる場合に、前記記録部の位置が前記第1方向又は前記第2方向にずれるのを抑制することができる。
【0015】
第5の態様に係る記録装置は、第4の態様において、前記突出部は、前記第2方向の一方と他方とにそれぞれ2つ以上配置され、且つ前記縦溝部との接触によって回転される複数の回転部材を有し、一の前記回転部材が前記第2移動領域に位置する場合に、他の前記回転部材が、前記縦溝部に案内されることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、一の前記回転部材が前記第2移動領域の空間に位置する場合に、他の前記回転部材が前記縦溝部に案内される。これにより、前記第2移動領域の位置に関わらず、前記記録部が支持される状態が維持されるので、前記記録部の姿勢が移動中に変わるのを抑制することができる。
【0017】
第6の態様に係る記録装置は、第4の態様又は第5の態様において、前記第2移動領域によって分断された前記案内部材の前記縦溝部の一部には、前記第1方向に拡幅された拡幅部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、前記記録部の移動において、3つ以上の前記回転部材のうち少なくとも1つの前記回転部材が前記拡幅部に位置する。これにより、全ての前記回転部材が前記縦溝部の最も狭い部位に同時に位置することが抑制され、前記回転部材から前記縦溝部に作用する負荷が低減されるので、前記回転部材の移動によって前記縦溝部の一部が抉られるのを抑制することができる。
【0019】
第7の態様に係る記録装置は、第4の態様から第6の態様のいずれか1つにおいて、前記一方の側壁及び前記他方の側壁には、前記縦溝部と交差され且つ前記キャップ部を前記第1方向に案内する横溝部が設けられていることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、前記縦溝部と前記横溝部とが交差していることで、前記記録部と前記キャップ部とを近づけて配置することができるので、前記記録装置を小型化することができる。
【0021】
第8の態様に係る記録装置は、第7の態様において、前記縦溝部の深さは、前記横溝部の深さよりも深く、前記縦溝部は、前記縦溝部と前記横溝部とが交差する交差部において前記移動方向に連続していることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、前記縦溝部の深さを前記横溝部の深さよりも深くすることで、前記縦溝部が、前記交差部において前記移動方向に連続して配置されるので、前記回転部材が前記縦溝部から外れるのを抑制することができる。
【0023】
第9の態様に係る記録装置は、第8の態様において、前記キャップ部には、前記第2方向の一方と他方とにそれぞれ2つ以上突出され、且つ前記横溝部によって案内される複数の横突出部が設けられ、一の前記横突出部が前記交差部に位置する場合に、他の前記横突出部が、前記横溝部に案内されることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、一の前記横突出部が前記交差部の空間に位置する場合に、他の前記横突出部が前記横溝部に案内される。これにより、前記交差部の位置に関わらず、前記キャップ部が支持される状態が維持されるので、前記キャップ部の姿勢が移動中に変わるのを抑制することができる。
【0025】
第10の態様に係る記録装置は、第7の態様から第9の態様のいずれか1つにおいて、前記横溝部は、前記第2移動領域に対して前記移動方向に隣接して配置されていることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、前記横溝部が前記第2移動領域に対して前記移動方向に隣接して配置されていることで、前記キャップ部を前記記録部に近づけて配置することができるので、前記記録装置を前記移動方向に小型化することができる。
【0027】
第11の態様に係る記録装置は、第1の態様から第10の態様のいずれか1つにおいて、前記移動機構部は、前記移動方向が鉛直方向及び水平方向の両方と交差するように前記記録部を移動させることを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、前記移動機構部が前記記録部を鉛直方向及び水平方向の両方と交差する前記移動方向に移動させる。前記記録部において鉛直方向に作用する重力は、前記移動方向に沿った分力と、前記移動方向と直交する方向に沿った分力とに分解される。ここで、前記移動方向において前記記録部に作用する分力が、鉛直方向において前記記録部に作用する重力よりも小さくなることで、前記記録部を移動させるために必要な力が小さくなるので、前記記録部を鉛直方向に移動させる構成に比べて、前記移動機構部に作用する負荷が大きくなるのを抑制することができる。
【0029】
以下、本発明に係る記録装置の一例としての実施形態のプリンター1を具体的に説明する。
図1には、記録装置の一例としてのプリンター1が表されている。プリンター1は、記録用紙に代表される媒体Pに対し、液体の一例であるインクを吐出することで記録を行うインクジェット方式の装置として構成されている。なお、各図において表すX-Y-Z座標系は直交座標系である。
Y方向は、媒体Pの搬送方向と交差する媒体Pの幅方向及び装置奥行き方向であり、一例として、水平方向となっている。また、Y方向は、後述するA方向及びB方向の両方と交差する装置奥行方向の一例である。Y方向の手前に向かう方向を+Y方向、奥に向かう方向を-Y方向と称する。さらに、Y方向は、第2方向の一例である。
X方向は装置幅方向であり、一例として、水平方向となっている。プリンター1の操作者から見てX方向の左に向かう方向を+X方向、右に向かう方向を-X方向と称する。
Z方向は、装置高さ方向であり、一例として、鉛直方向となっている。Z方向の上に向かう方向を+Z方向、下に向かう方向を-Z方向と称する。
【0030】
プリンター1において、媒体Pは、破線で表す搬送経路Tを通って搬送される。
X-Z面に示されるA-B座標系は、直交座標系である。
A方向は、搬送経路Tのうち後述するラインヘッド40と対向する領域における媒体Pの搬送方向である。A方向の上流に向かう方向を-A方向、下流に向かう方向を+A方向と称する。また、A方向は、第1方向の一例である。本実施形態において、A方向は、+A方向が-A方向よりも+Z方向に位置するように傾いた方向とされている。具体的には水平方向に対して50°~70°の範囲で傾斜し、より具体的には概ね60°傾斜している。
【0031】
B方向は、移動方向の一例であり、後述するラインヘッド40が後述する搬送ユニット10に対し進退する方向となる移動方向である。B方向におけるラインヘッド40が搬送経路Tに近づく方向を+B方向、搬送経路Tから離れる方向を-B方向と称する。本実施形態において、B方向は、-B方向が+B方向よりも+Z方向に位置するように傾いた方向とされ、A方向とは直交している。
【0032】
プリンター1は、装置本体の一例としての筐体2を有する。筐体2のZ方向中央よりも+Z方向には、情報が記録された媒体Pが排出される空間部を形成する排出部3が形成されている。また、筐体2には、複数の媒体カセット4が設けられている。
複数の媒体カセット4には、媒体Pが収容されている。各媒体カセット4に収容された媒体Pは、ピックローラー6及び搬送ローラー対7、8によって、搬送経路Tに沿って搬送される。搬送経路Tには、外部装置から媒体Pが搬送される搬送路T1と、筐体2に設けられた手差トレイ9から媒体Pが搬送される搬送路T2とが合流している。
【0033】
また、搬送経路Tには、後述する搬送ユニット10と、媒体Pを搬送する複数の搬送ローラー対11と、媒体Pが搬送される経路を切り替える複数のフラップ12と、媒体PのY方向の幅を検出する媒体幅センサー13とが配置されている。
搬送経路Tは、媒体幅センサー13と対向する領域において湾曲されており、媒体幅センサー13から斜め上方、即ち+A方向に延びている。搬送経路Tにおける搬送ユニット10よりも下流には、排出部3に向かう搬送路T3及び搬送路T4と、媒体Pの表裏を反転させる反転路T5とが設けられている。排出部3には、搬送路T4に合わせて、不図示の排出トレイが設けられている。
排出部3の底部には、排出トレイ21が設けられている。排出トレイ21は、搬送路T3から排出された媒体Pが載置される載置面21Aを有する。
【0034】
また、筐体2内には、インクを収容するインク収容部23と、インクの廃液を貯留する廃液貯留部16と、プリンター1の各部の動作を制御する制御部26とが設けられている。インク収容部23は、不図示のチューブを介してラインヘッド40へインクを供給する。廃液貯留部16は、ラインヘッド40からフラッシング部66(図2参照)に向けてメンテナンスの為に吐出された廃液としてのインクを貯留する。
制御部26は、図示を省略するCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージを含んで構成され、プリンター1における媒体Pの搬送や、ラインヘッド40による媒体Pへの情報の記録動作等を制御する。
【0035】
図2及び図4に表すように、プリンター1の筐体2(図1参照)の内部には、1組の側壁の一例として、サイドフレーム32及びサイドフレーム34が設けられている。
図3に表すように、サイドフレーム32は、一例として、板金で構成されており、A-B面及びX-Z面(図1参照)に沿って直立されている。また、サイドフレーム32は、-Y方向に配置される一方の側壁の一例である。サイドフレーム32には、Y方向に貫通する貫通孔33が形成されている。貫通孔33の大きさ及び形状は、後述するワイパーユニット74が貫通孔33をY方向に通過可能となる大きさ及び形状とされている。
【0036】
図4に表すように、サイドフレーム34は、一例として、板金で構成されており、A-B面及びX-Z面(図1参照)に沿って直立されている。また、サイドフレーム34は、+Y方向に配置される他方の側壁の一例である。サイドフレーム34には、貫通孔33(図3)は形成されていない。サイドフレーム34とサイドフレーム32(図3参照)は、Y方向に間隔をあけて対向配置されている。サイドフレーム32及びサイドフレーム34は、横フレーム35A、35B、35C(図2参照)によって繋がっている。サイドフレーム32とサイドフレーム34との間に空間には、ラインヘッド40が配置されている。
【0037】
図1に表すように、プリンター1は、要部として、媒体に記録するラインヘッド40と、媒体Pを支持しながら搬送する搬送ユニット10と、ラインヘッド40をB方向に移動させるヘッド移動ユニット50(図5参照)と、ラインヘッド40のメンテナンスを行うメンテナンスユニット60とを備えている。
【0038】
搬送ユニット10は、支持部の一例であり、2つのプーリー14と、2つのプーリー14に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト15と、プーリー14を駆動する不図示のモーターとを有する。媒体Pは、搬送ベルト15のベルト面に吸着されつつ、ラインヘッド40と対向する位置をA方向に搬送される。搬送ベルト15に媒体Pを吸着させる方式としては、エアー吸引方式や静電吸着方式などの公知の吸着方式を採用できる。このように、搬送ベルト15は、媒体Pを吸着しつつ、媒体Pを支持している。搬送ユニット10は、ラインヘッド40とB方向に対向配置される。
【0039】
ラインヘッド40は、記録部の一例である。また、ラインヘッド40は、液体の一例であるインクを吐出するノズルNを有する。ノズルNは、吐出部の一例である。また、ラインヘッド40は、後述する記録位置において搬送ユニット10とB方向に対向配置され、ノズルNからインクを吐出することで媒体Pに情報を記録する。
ラインヘッド40は、インクを吐出するノズルNが媒体Pの幅方向としてのY方向の全域をカバーする様に構成されたインク吐出ヘッドである。ノズルNが配置されるノズル面はA方向とY方向に沿って配置される。また、ラインヘッド40は、媒体Pの幅方向への移動を伴わないで媒体Pの幅方向の全域に記録が可能なインク吐出ヘッドとして構成されている。但し、インク吐出ヘッドのタイプはこれに限られず、キャリッジに搭載されて媒体Pの幅方向に移動しながらインクを吐出するタイプであってもよい。
【0040】
図2に表すように、ラインヘッド40は、Y方向に延びている。また、ラインヘッド40のY方向の両端部には、それぞれ支持フレーム42が取り付けられている。支持フレーム42は、A-B面に沿った側板として構成されており、ラインヘッド40に対して-B方向へ延びている。
ラインヘッド40及び支持フレーム42は、サイドフレーム32と、サイドフレーム34(図4参照)との間に配置されている。つまり、ラインヘッド40は、サイドフレーム32とサイドフレーム34との間でB方向に移動されるようになっている。
【0041】
図3に表すように、-Y方向の支持フレーム42には、-Y方向の外側へ突出する突出部44が設けられている。突出部44は、支持フレーム42に回転可能に設けられた回転部材の一例としてのコロ45A、45Bを有する。コロ45A、45Bは、B方向に間隔をあけて配置され且つB方向に並んでいる。コロ45Aは、支持フレーム42の+B方向の端部に位置している。コロ45Bは、支持フレーム42の-B方向の端部に位置している。
【0042】
図4に表すように、+Y方向の支持フレーム42には、+Y方向の外側へ突出する突出部44が設けられている。突出部44は、支持フレーム42に回転可能に設けられた回転部材の一例としてのコロ45C、45Dを有する。コロ45C、45Dは、B方向に間隔をあけて配置され且つB方向に並んでいる。コロ45Cは、支持フレーム42の+B方向の端部に位置している。コロ45Dは、支持フレーム42の-B方向の端部に位置している。
【0043】
コロ45A、コロ45B(図3参照)及びコロ45C、コロ45Dは、一例として、同様の構成とされている。図示を省略するが、コロ45A、45B、45C、45Dを区別しない場合には、複数のコロ45と称する。複数のコロ45は、後述するガイドレール93(図3参照)及びガイドレール104との接触によって回転されるとともに、B方向に案内される。なお、複数のコロ45は、Y方向の一方と他方とにそれぞれ3つ以上配置されていてもよい。
また、コロ45Aは、一の回転部材の一例である。コロ45B、45C、45Dは、他の回転部材の一例である。一例として、コロ45Aが、後述する第2移動領域S2(図8参照)に位置する場合において、コロ45B、45C、45Dが、後述するガイドレール93及びガイドレール104に案内されるように、コロ45A、45B、45C、45Dの配置が予め決められている。
コロ45Aとコロ45BとのB方向の間隔に相当する長さ、およびコロ45Cとコロ45DとのB方向の間隔に相当する長さは、いずれも、B方向における貫通孔33の幅に相当する長さよりも長い。
【0044】
図5に表すように、支持フレーム42には、ラック46が設けられている。ラック46は、Y方向を厚さ方向とする板状の部材であり、B方向に延びている。ラック46の-A方向の端部には、B方向に並ぶ複数の歯部46Aが形成されている。
【0045】
ヘッド移動ユニット50は、移動機構部の一例である。また、ヘッド移動ユニット50は、ラインヘッド40が搬送ユニット10に対し進退する方向となるB方向に沿って、ラインヘッド40を、後述する記録位置と退避位置とに移動させる。換言すると、ヘッド移動ユニット50は、ラインヘッド40の移動方向が鉛直方向及び水平方向の両方と交差するように、ラインヘッド40をB方向に移動させる。
ヘッド移動ユニット50は、一例として、ラインヘッド40をB方向に駆動する駆動ユニット52と、ラインヘッド40のB方向の位置を調整する調整ユニット56(図4参照)とを含んで構成されている。そして、ヘッド移動ユニット50は、ラインヘッド40を、記録位置に対して搬送ユニット10(図1参照)から離れた退避位置に移動させる。ラインヘッド40の記録位置及び退避位置については、後述する。
【0046】
駆動ユニット52は、モーター53と、ピニオン54とで構成されており、制御部26(図1参照)によって駆動が制御される。ピニオン54は、複数の歯部54Aを有する。複数の歯部54Aは、複数の歯部46Aと噛み合っている。
モーター53は、ピニオン54を一方向又は逆方向に回転させる。このように、駆動ユニット52は、ピニオン54を回転駆動することで、ラインヘッド40をB方向に移動させる。
【0047】
図6に表すように、調整ユニット56は、サイドフレーム32に設けられている。また、調整ユニット56は、一例として、不図示の偏心カム及びシャフト59(図4参照)を駆動するモーター57を有する自動調整部56Aと、サイドフレーム34(図4参照)に設けられた手動調整部56B(図4参照)とで構成されている。自動調整部56Aでは、不図示の偏心カムがラインヘッド40の一部と接触することで、ラインヘッド40の記録位置の調整が行われる。手動調整部56Bでは、シャフト59の位置を調整する不図示の調整ネジが回転されることで、ラインヘッド40の傾きの調整が行われる。
【0048】
図2に表すように、メンテナンスユニット60は、キャップ部の一例としてのキャップユニット62と、清掃部の一例としてのワイパーユニット74とを有する。キャップユニット62は、ノズルNを覆う第1メンテナンスユニットとして機能する。ワイパーユニット74は、ノズルNの吐出面を清掃する第2メンテナンスユニットとして機能する。
【0049】
キャップユニット62は、後述する駆動ユニット70(図5参照)によって、A方向に移動可能に設けられている。具体的には、キャップユニット62は、ユニット本体63と、ノズルNを覆うカバー部64と、ノズルNを覆い且つノズルNから吐出されたインクを受けるフラッシング部66とを含んで構成されている。
また、キャップユニット62は、カバー部64とフラッシング部66とをA方向に沿って備えるとともに、A方向に移動することで、カバー部64がノズルNと対向する状態と、フラッシング部66がノズルNと対向する状態とを切り換える。
【0050】
さらに、キャップユニット62は、A方向におけるラインヘッド40よりも上流に待機位置を有し、A方向における上流から下流に向かって順に、待機位置と、吐出位置と、キャップ位置とを有する。吐出位置は、フラッシング部66がノズルNと対向する場合のキャップユニット62の位置である。キャップ位置は、カバー部64がノズルNを覆う場合のキャップユニット62の位置である。
【0051】
ユニット本体63は、Y方向に長く且つA方向に短い箱状に形成されている。ユニット本体63には、-B方向に開口する開口部68が形成されている。また、ユニット本体63は、-Y方向に位置する側板63A(図3参照)と、+Y方向に位置する側板63B(図4参照)とを有する。側板63Aと側板63Bは、Y方向に対向している。
ユニット本体63の内側には、仕切壁67が設けられている。仕切壁67は、ユニット本体63内の空間を、+A方向の空間と-A方向の空間とに区画している。仕切壁67の-A方向の空間にカバー部64が、仕切壁67の+A方向の空間にフラッシング部66が配置される。
【0052】
カバー部64の大きさ及び形状は、ノズルNの吐出面NAを覆う大きさ及び形状とされている。また、カバー部64は、吐出面NAとB方向に対向配置されることで、吐出面NAを覆う。カバー部64が吐出面NAを覆うことで、ノズルNの乾燥が抑制され、インクの粘性の増加が抑制される。なお、カバー部64は、ラインヘッド40が後述する退避位置に位置する場合に、ノズルNを覆うことが可能となる。
【0053】
フラッシング部66は、受部の一例であり、開口部68内に設けられている。また、フラッシング部66は、A方向におけるカバー部64よりも下流に配置されている。換言すると、キャップユニット62が待機位置に配置された状態において、フラッシング部66は、A方向におけるカバー部64よりもラインヘッド40に近い位置に配置されている。また、フラッシング部66は、-B方向に開口され且つフェルトなどの多孔質の繊維を有するフラッシングボックスとして構成されている。そして、フラッシング部66は、ノズルNから吐出されるインクを捕捉する。ノズルNにおいて、インクの粘性が増加した場合には、フラッシング部66に向けてインクが吐出されることで、インクの粘性が設定範囲内に維持される。これにより、ノズルNからのインクの吐出不良が抑制される。
【0054】
図5に表すように、ユニット本体63には、A方向に延びるラック65が形成されている。ラック65は、A方向に並ぶ複数の歯部65Aを有する。
【0055】
図3に表すように、-Y方向の側板63Aには、Y方向を軸方向として、コロ69A、69B、69Cが回転可能に設けられている。コロ69A、69B、69Cは、側板63Aから-Y方向に突出されている。コロ69A、69B、69Cは、同様の構成を有しており、配置のみが異なっている。また、コロ69A、69B、69Cは、A方向の下流から上流に向けて、この順番で配置されている。コロ69Aとコロ69Bとの間隔は、一例として、コロ69Bとコロ69Cとの間隔よりも狭くなっている。
【0056】
図4に表すように、+Y方向の側板63Bには、Y方向を軸方向として、コロ69D、69E、69Fが回転可能に設けられている。コロ69D、69E、69Fは、側板63Bから+Y方向に突出されている。コロ69D、69E、69Fは、コロ69A、69B、69C(図3参照)と同様の構成を有しており、配置のみが異なっている。また、コロ69D、69E、69Fは、A方向の下流から上流に向けて、この順番で配置されている。コロ69Dとコロ69Eとの間隔は、一例として、コロ69Eとコロ69Fとの間隔よりも狭くなっている。コロ69D及びコロ69EのA方向の位置は、一例として、コロ69A及びコロ69BのA方向の位置とは異なっている。
【0057】
図示を省略するが、コロ69A、69B、69C、69D、69E、69Fを区別しない場合には、複数のコロ69と称する。複数のコロ69は、複数の横突出部の一例である。また、複数のコロ69は、後述するガイドレール98及びガイドレール106との接触によって回転されるとともに、A方向に案内される。なお、複数のコロ69は、Y方向の一方と他方とにそれぞれ3つ以上配置されていてもよい。
また、コロ69Aは、一の横突出部の一例である。コロ69B、69C、69D、69E、69Fは、他の横突出部の一例である。一例として、コロ69Aが、後述する交差部99(図3参照)に位置する場合において、コロ69B、69C、69D、69E、69Fが、後述するガイドレール98及びガイドレール106に案内されるように、コロ69A、69B、69C、69D、69E、69Fの配置が予め決められている。
【0058】
図5に表すように、駆動ユニット70は、ピニオン72と、ピニオン72を回転させる不図示のモーターとを有する。駆動ユニット70の駆動制御は、制御部26(図1参照)によって行われる。ピニオン72は、複数の歯部72Aを有する。複数の歯部72Aは、複数の歯部65Aと噛み合っている。
駆動ユニット70は、ラインヘッド40が後述する退避位置に位置する場合に、ラインヘッド40と搬送ユニット10(図1参照)との間にキャップユニット62を進出させる。また、駆動ユニット70は、ラインヘッド40が後述する記録位置に位置する前に、ラインヘッド40と搬送ユニット10との間からキャップユニット62を-A方向に退避させる。
このように、キャップユニット62は、ラインヘッド40と搬送ユニット10との間に対してB方向と交差するA方向に進退可能に設けられ、ラインヘッド40が後述する退避位置に位置する場合に、ノズルNを覆うように構成されている。
【0059】
図6に表すように、ワイパーユニット74は、本体部75と、清掃部材の一例としてのブレード76とを含んで構成されている。また、ワイパーユニット74は、貫通孔33を通過可能に構成されている。本体部75は、-B方向に開口する箱状に形成されている。ブレード76は、一例として、矩形板状のゴムで構成されている。また、ブレード76は、ノズルN(図1参照)を拭く部位が本体部75から-B方向へ突出し、A方向及びY方向に対して傾斜した状態で、本体部75に設けられている。
【0060】
ワイパーユニット74は、駆動ユニット80によって、Y方向に進出及び退避可能とされている。ワイパーユニット74がサイドフレーム32に対して-Y方向に停止された位置を、ワイパーユニット74の退避位置と称する。また、ワイパーユニット74がサイドフレーム32に対して+Y方向に移動された位置を、ワイパーユニット74の進出位置と称する。ワイパーユニット74は、キャップユニット62がラインヘッド40を覆う場合及びラインヘッド40が記録を行う場合には、サイドフレーム32に対して-Y方向に退避されている。
【0061】
駆動ユニット80は、一例として、モーター82及びワイパーユニット74が取り付けられたベルト84を含んで構成されており、モーター82の回転によってベルト84が周回移動されることで、ワイパーユニット74をY方向に移動させるようになっている。
このように、ワイパーユニット74は、ラインヘッド40と搬送ユニット10(図1参照)との間に対してB方向及びA方向の両方向と交差するY方向に進退可能に設けられ、ラインヘッド40が後述する退避位置に位置する場合に、ラインヘッド40を清掃する。
【0062】
図3に表すように、サイドフレーム32には、ラインヘッド40をB方向に案内する案内部材の一例としてのガイド部材91が設けられている。
ガイド部材91は、貫通孔33によってB方向に分断されている。換言すると、ガイド部材91は、後述する第2移動領域S2(図8参照)によって、B方向に分断されている。具体的には、ガイド部材91は、第1ガイド部材92と、第2ガイド部材96とで構成されている。
【0063】
第1ガイド部材92は、サイドフレーム32の貫通孔33に対する-B方向の部位に設けられている。また、第1ガイド部材92は、縦溝部の一例としてのガイドレール93を有する。
ガイドレール93は、ラインヘッド40に向けて+Y方向に開口された断面U字状に形成されており、B方向を案内方向としてほぼ直線状に延びている。ガイドレール93は、突出部44のコロ45A及びコロ45BをB方向に案内する。
【0064】
具体的には、ガイドレール93は、X-Z面に沿って配置された底壁93Aと、底壁93AのA方向の両端部からY方向に直立する一組の側壁93Bとを有する。ガイドレール93の-B方向の端部は、+Z方向に開放されている。ガイドレール93の+B方向の端部は、貫通孔33の縁部に位置しており、貫通孔33に向けて開放されている。ガイドレール93の+B方向における中央と端部との間には、規制部94が形成されている。
【0065】
規制部94は、-A方向の側壁93Bからガイドレール93の内側に向けて突出された部位である。また、規制部94は、コロ45Bに対する+B方向に位置しており、コロ45Bが規制部94に対して+B方向に移動するのを規制している。
ガイドレール93の規制部94に対する-B方向の一部には、他の部位よりもA方向に拡幅された拡幅部Kが形成されている。拡幅部Kにおいて、ガイドレール93のA方向の幅を幅WAと称する。また、ガイドレール93の規制部94に対する+B方向の部位において、A方向の幅を幅WBと称する。ここで、幅WAは、幅WBよりも広い。なお、幅WA、幅WBに相当するA方向の長さは、それぞれコロ45A、コロ45Bの直径に相当する長さよりも長い。
【0066】
+A方向の側壁93Bにおいて、規制部94よりも+B方向に位置する部位の一部は切り欠かれている。側壁93Bの切り欠き部分には、ガイドレール95の一端部が繋がっている。
ガイドレール95は、+Y方向に開口された断面U字状に形成されており、ガイドレール93と同様の幅を有する。また、ガイドレール95は、ガイドレール93との合流部位から+Z方向に延びている。
ここで、ラインヘッド40は、コロ45Bがガイドレール93によって-B方向に案内された後で+Z方向に案内され、コロ45Aがガイドレール95によって+Z方向に案内されることで、第1ガイド部材92から+Z方向に離脱されるようになっている。
【0067】
第2ガイド部材96は、サイドフレーム32の貫通孔33に対する+B方向の部位に設けられている。また、第2ガイド部材96は、ラインヘッド40をB方向に案内する縦溝部の一例としてのガイドレール97と、ガイドレール97と交差され且つキャップユニット62をA方向に案内する横溝部の一例としてのガイドレール98とを有する。
【0068】
ガイドレール97は、B方向に延びている。ガイドレール98は、A方向に延びている。そして、ガイドレール97とガイドレール98とは、交差の一例として、直交されている。ガイドレール97とガイドレール98とが交差した部位を交差部99と称する。交差部99は、ガイドレール97の-B方向の端部に位置している。つまり、ガイドレール97とガイドレール98とはT字状に配置されている。
【0069】
ガイドレール97は、ラインヘッド40に向けて+Y方向に開口された断面U字状に形成されており、B方向を案内方向として直線状に延びている。ガイドレール97の中心軸線とガイドレール93の中心軸線とはほぼ一致している。ガイドレール97のB方向の長さは、ガイドレール93のB方向の長さよりも短い。このため、ガイドレール97は、コロ45AのみをB方向に案内するようになっている。
【0070】
具体的には、ガイドレール97は、X-Z面に沿って配置された底壁97Aと、底壁97AのA方向の両端部からY方向に直立する一組の側壁97Bとを有する。ガイドレール97の-B方向の端部は、+Z方向に開放されている。ガイドレール97の+B方向の端部は閉じられている。なお、ガイドレール97のA方向の幅は、幅WBとほぼ同じ幅とされている。交差部99における側壁97Bの高さは、交差部99に対して+B方向の側壁97Bの高さよりも低くなっている。換言すると、ガイドレール97のY方向の深さは、ガイドレール98のY方向の深さよりも深くなっている。
【0071】
ガイドレール98は、キャップユニット62に向けて+Y方向に開口された断面U字状に形成されており、A方向を案内方向として直線状に延びている。また、ガイドレール98は、交差部99において分断されている。交差部99に対する+A方向のガイドレール98の長さは、交差部99に対する-A方向のガイドレール98の長さよりも短い。このため、交差部99に対する+A方向のガイドレール98は、コロ69AのみをA方向に案内するようになっている。
【0072】
具体的には、ガイドレール98は、X-Z面に沿って配置された底壁98Aと、底壁98AのB方向の両端部からY方向に直立する一組の側壁98Bとを有する。ガイドレール98のA方向の両端部は開放されている。ガイドレール98のB方向の幅に相当する長さは、コロ69A、69B、69Cの直径に相当する長さよりも長い。側壁98BのY方向の高さは、側壁97BのY方向の高さよりも低い。
【0073】
図4に表すように、サイドフレーム34には、案内部材の一例としてのガイド部材102が設けられている。
ガイド部材102は、ラインヘッド40をB方向に案内するガイドレール104と、ガイドレール104の一部からZ方向に延びるガイドレール105と、ガイドレール104と交差され且つキャップユニット62をA方向に案内するガイドレール106とを有する。ガイドレール104は、縦溝部の一例である。ガイドレール106は、横溝部の一例である。
【0074】
ガイドレール104は、B方向に延びている。ガイドレール106は、A方向に延びている。そして、ガイドレール104とガイドレール106とは、交差の一例として、直交されている。ガイドレール104とガイドレール106とが交差した部位を交差部107と称する。
【0075】
ガイドレール104は、ラインヘッド40に向けて+Y方向に開口された断面U字状に形成されており、B方向を案内方向として直線状に延びている。ガイドレール104は、交差部107において分断されていない。つまり、ガイドレール104は、交差部107においてB方向に連続している。ガイドレール104のB方向の長さは、ガイドレール93(図3参照)のB方向の長さと、ガイドレール97(図3参照)のB方向の長さとの合計長さよりも長い。
【0076】
具体的には、ガイドレール104は、X-Z面に沿って配置された底壁104Aと、底壁104AのA方向の両端部からY方向に直立する一組の側壁104Bとを有する。ガイドレール104の-B方向の端部は、+Z方向に開放されている。ガイドレール104の+B方向の端部は閉じられている。
ガイドレール104のA方向の幅は、幅WB(図3参照)とほぼ同じ幅とされている。交差部107における側壁104Bの高さは、交差部107以外の側壁104Bの高さよりも低くなっている。換言すると、ガイドレール104のY方向の深さは、ガイドレール106のY方向の深さよりも深くなっている。
なお、ガイドレール104には、一例として、コロ45Dのガイドレール104からの脱落を防ぐ規制ブラケット108が設けられている。
【0077】
ガイドレール106は、キャップユニット62に向けて+Y方向に開口された断面U字状に形成されており、A方向を案内方向として直線状に延びている。また、ガイドレール106は、交差部107において分断されている。交差部107に対する+A方向のガイドレール106の長さは、交差部107に対する-A方向のガイドレール106の長さよりも短い。しかし、交差部107に対する+A方向のガイドレール106は、コロ69D、69EをA方向に案内可能になっている。
【0078】
具体的には、ガイドレール106は、X-Z面に沿って配置された底壁106Aと、底壁106AのB方向の両端部からY方向に直立する一組の側壁106Bとを有する。ガイドレール106のA方向の両端部は開放されている。ガイドレール106のB方向の幅に相当する長さは、コロ69D、69E、69Fの直径に相当する長さよりも長い。側壁106BのY方向の高さは、側壁104BのY方向の高さよりも低い。
なお、ガイドレール106には、一例として、コロ69D、69E、69Fのガイドレール106からの脱落を防ぐ規制ブラケット109が設けられている。
【0079】
図7に表すように、底壁93Aと底壁97Aとは、+Y方向のほぼ同じ位置にある。これにより、ガイドレール93に案内されたコロ45Aが、ガイドレール97に進入し易くなっている。
Y方向において、ガイドレール93の深さ及びガイドレール97の深さは、それぞれ、ガイドレール98の深さよりも深い。また、底壁98Aは、底壁93Aよりも+Y方向に高い位置にある。底壁93Aの表面から底壁98Aの表面までの深さに相当する長さは、コロ45のY方向の幅に相当する長さよりも長い。これにより、交差部99において、コロ45Aが側壁97Bに案内される場合に、コロ45Aがガイドレール97に対して位置ずれすることが抑制されている。
【0080】
図2に表すラインヘッド40が、ヘッド移動ユニット50によって移動された場合のB方向の各位置について説明する。
図9に表すように、ラインヘッド40の記録位置とは、ラインヘッド40によって媒体Pへの情報の記録が可能となるときのラインヘッド40の停止位置を意味する。なお、記録位置は、調整ユニット56(図6)によって調整可能となっているため、1つ以上存在する。
ラインヘッド40の退避位置とは、ラインヘッド40が、記録位置より搬送ユニット10から-B方向に離れたときのラインヘッド40の停止位置を意味する。ラインヘッド40の退避位置には、後述する第1位置、第2位置、第3位置、待機位置及び交換位置が含まれる。
【0081】
図10に表すように、ラインヘッド40の第1位置とは、B方向において、カバー部64がノズルNを覆うときのラインヘッド40の位置を意味する。
図11に表すように、ラインヘッド40の第2位置とは、B方向において、フラッシング部66がノズルNをB方向において、第1位置よりも離間して対向するときのラインヘッド40の位置を意味する。なお、第2位置では、フラッシング部66がノズルNに対して接触していてもよい。
図14に表すように、ラインヘッド40の第3位置とは、B方向において、ワイパーユニット74がノズルNの吐出面NAを清掃することが可能となるときのラインヘッド40の位置を意味する。
【0082】
なお、図示を省略するが、ラインヘッド40の待機位置とは、B方向において、ラインヘッド40が既述の第1位置、第2位置、第3位置よりも搬送ユニット10から離れた位置を意味する。これは、カバー部64、フラッシング部66、ワイパーユニット74が移動するときにラインヘッド40が移動の完了まで待機する待機位置である。また、ラインヘッド40の交換位置とは、B方向において、ラインヘッド40が待機位置よりもさらに搬送ユニット10から離れた位置を意味する。換言すると、ラインヘッド40の交換位置は、B方向において搬送ユニット10から最も離れた位置である。
【0083】
図12に表すように、ラインヘッド40が第1位置にあり、カバー部64(図10参照)がノズルN(図10参照)を覆う場合において、コロ45Aは、ガイドレール93の+B方向端部に位置する。コロ45Bは、ガイドレール93のB方向中央よりも-B方向に位置する。また、コロ69A及びコロ69Bは、ガイドレール98の交差部99に対する+A方向に位置する。コロ69Cは、ガイドレール98の交差部99に対する-A方向に位置する。
【0084】
図13に表すように、ラインヘッド40が第2位置にあり、フラッシング部66(図11参照)がノズルN(図11参照)と対向する場合において、コロ45Aは、ガイドレール93の+B方向端部に位置する。コロ45Bは、ガイドレール93のB方向中央よりも-B方向に位置する。また、コロ69A、69B、69Cは、ガイドレール98の交差部99に対する-A方向に位置する。
【0085】
図15に表すように、ラインヘッド40が交換位置にあり、キャップユニット62が退避位置にある場合において、コロ45Aは、ガイドレール93の規制部94と接触する位置にある。コロ45Bは、ガイドレール93の-B方向端部に位置する。コロ69A及びコロ69Bは、ガイドレール98の交差部99よりも-A方向に位置する。コロ69Cは、ガイドレール98の-A方向端部に位置する。
なお、ガイド部材102におけるコロ45C、45D、コロ69D、69E、69Fの位置の説明については、省略する。
【0086】
以上、説明の通り、ヘッド移動ユニット50は、ラインヘッド40の移動方向が鉛直方向及び水平方向の両方と交差するように、ラインヘッド40を移動させる。
また、ヘッド移動ユニット50(図5参照)は、一例として、ラインヘッド40を記録位置、退避位置、第1位置、第2位置、第3位置、待機位置及び交換位置のいずれか1つの位置に移動可能に設けられている。また、ヘッド移動ユニット50は、ラインヘッド40を第1位置、第2位置及び第3位置のいずれか1つに位置させる前に、ラインヘッド40を待機位置に位置させるように構成されている。
【0087】
図8に表すように、キャップユニット62(図2参照)が移動する領域を第1移動領域S1とする。また、ワイパーユニット74(図6参照)が移動する領域を第2移動領域S2とする。なお、図8では、第1移動領域S1及び第2移動領域S2を簡略化して、長方形の領域で表している。
本実施形態では、一例として、第1移動領域S1の一部と第2移動領域S2とが、B方向において同じ位置に配置されている。換言すると、Y方向から見た場合に、第1移動領域S1の一部と第2移動領域S2とが、B方向において範囲Gで重なっている。
【0088】
第2移動領域S2は、サイドフレーム32をY方向に貫通している。
ガイドレール98は、第2移動領域S2に対してB方向にずれて配置されている。具体的には、ガイドレール98は、第2移動領域S2に対して+B方向にずれて配置されている。なお、本実施形態では、一例として、ガイドレール98が第2移動領域S2に隣接して配置されている。
【0089】
図8に表すように、プリンター1によれば、キャップユニット62(図2参照)が移動する第1移動領域S1の少なくとも一部と、ワイパーユニット74が移動する第2移動領域S2の少なくとも一部とが、B方向において同じ位置に配置されている。これにより、第1移動領域S1と第2移動領域S2がB方向にずれて配置されている構成に比べて、キャップユニット62及びワイパーユニット74の移動に必要な領域が小さくなるので、プリンター1がラインヘッド40の移動方向に大型化するのを抑制することができる。
【0090】
プリンター1によれば、ラインヘッド40は、サイドフレーム32とサイドフレーム34(図4参照)との間をB方向に移動する。ここで、第2移動領域S2がサイドフレーム32をY方向に貫通していることで、ワイパーユニット74をサイドフレーム32に対して外側に退避させられるので、ラインヘッド40の移動領域がワイパーユニット74によって狭くなるのを抑制することができる。
【0091】
図3及び図8に表すように、プリンター1によれば、第1ガイド部材92と第2ガイド部材96とを分断する位置に第2移動領域S2が位置することで、ラインヘッド40を案内する第1ガイド部材92及び第2ガイド部材96と、ノズルNを清掃するワイパーユニット74とを近づけて配置することができるので、ラインヘッド40を小型化することができる。
【0092】
図3及び図4に表すように、プリンター1によれば、ガイドレール93、97、104が開口部分を除いてコロ45A、45B、45C、45Dを囲むので、ヘッド移動ユニット50(図5参照)がラインヘッド40をB方向に移動させる場合に、ラインヘッド40の位置がA方向又はY方向にずれるのを抑制することができる。
【0093】
図16に表すように、プリンター1によれば、コロ45Aが第2移動領域S2(図8参照)の空間、即ち、ガイドレール93とガイドレール97との間に位置する場合に、コロ45Bがガイドレール93に案内され、コロ45C及びコロ45Dがガイドレール104に案内される。これにより、第2移動領域S2の位置に関わらず、ラインヘッド40が支持される状態が維持されるので、ラインヘッド40の姿勢が移動中に変わるのを抑制することができる。
【0094】
図3に表すように、プリンター1によれば、ラインヘッド40の-B方向の移動において、コロ45Bが拡幅部Kに位置する。これにより、全てのコロ45A、45B、45C、45D(図4参照)がガイドレール93、97、104の最も狭い部位に同時に位置することが抑制され、コロ45A、45B、45C、45Dからガイドレール93、97、104に作用する負荷が低減されるので、コロ45A、45B、45C、45Dの移動によってガイドレール93、97、104の一部が抉られるのを抑制することができる。
【0095】
図3及び図4に表すように、プリンター1によれば、ガイドレール97とガイドレール98とが交差し、ガイドレール104とガイドレール106とが交差していることで、ラインヘッド40とキャップユニット62とを近づけて配置することができるので、プリンター1を小型化することができる。
【0096】
図4に表すように、プリンター1によれば、ガイドレール104の深さをガイドレール106の深さよりも深くすることで、ガイドレール104が、交差部107においてB方向に連続して配置されるので、コロ45Cがガイドレール104から外れるのを抑制することができる。
【0097】
図17に表すように、プリンター1によれば、コロ69Aが交差部99の空間に位置する場合に、コロ69B、69Cがガイドレール98に案内され、コロ69D、69E、69Fがガイドレール106に案内される。これにより、交差部99、107の位置に関わらず、キャップユニット62が支持される状態が維持されるので、キャップユニット62の姿勢が移動中に変わるのを抑制することができる。
【0098】
図8に表すように、プリンター1によれば、ガイドレール98が第2移動領域S2に対してB方向に隣接して配置されていることで、キャップユニット62(図2参照)をラインヘッド40に近づけて配置することができるので、プリンター1をB方向に小型化することができる。
【0099】
図1に表すように、プリンター1によれば、ヘッド移動ユニット50(図5参照)がラインヘッド40を鉛直方向及び水平方向の両方と交差するB方向に移動させる。ラインヘッド40において鉛直方向に作用する重力は、+B方向に沿った分力と、-A方向に沿った分力とに分解される。ここで、B方向においてラインヘッド40に作用する分力が、鉛直方向においてラインヘッド40に作用する重力よりも小さくなることで、ラインヘッド40を移動させるために必要な力が小さくなるので、ラインヘッド40を鉛直方向に移動させる構成に比べて、ヘッド移動ユニット50に作用する負荷が大きくなるのを抑制することができる。
【0100】
本発明の実施形態に係るプリンター1は、以上のべたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0101】
第2移動領域S2は、サイドフレーム32を貫通していなくてもよい。つまり、ワイパーユニット74がサイドフレーム32に対して+Y方向に位置していてもよい。
第1ガイド部材92は、第2移動領域S2によって分断されていなくてもよい。
各ガイドレールは、溝状に形成されているものに限らない。例えば、一方の側壁のみで構成されていてもよい。
突出部は、各コロのような回転部材に限らず、回転しない摺動部として構成されていてもよい。
【0102】
ガイドレール93に拡幅部Kが形成されていなくてもよい。
キャップユニット62が支持されながら移動する構成である場合には、ガイドレール98、106が無くてもよい。
ガイドレール104の深さとガイドレール106の深さとが同じとされ、ガイドレール104が交差部107によって分断されていてもよい。
コロ69Aが交差部99に位置する場合に、コロ69Dが交差部107に位置していてもよい。
ガイドレール98は、第2移動領域S2に対してB方向に離れて配置されていてもよい。
ヘッド移動ユニット50は、ラインヘッド40を鉛直方向又は水平方向に移動させるものであってもよい。
【0103】
第1移動領域S1の全部と、第2移動領域S2の全部とが、B方向において同じ位置に配置されていてもよい。
コロ45Aとコロ45C、コロ45Bとコロ45Dは、それぞれB方向にずれて配置されていてもよい。
コロ69Aとコロ69D、コロ69Bとコロ69E、コロ69Cとコロ69Fは、それぞれA方向の同じ位置に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…プリンター、2…筐体、3…排出部、4…媒体カセット、6…ピックローラー、
7…搬送ローラー対、8…搬送ローラー対、9…手差トレイ、10…搬送ユニット、
11…搬送ローラー対、12…フラップ、13…媒体幅センサー、14…プーリー、
15…搬送ベルト、16…廃液貯留部、20…ラインヘッド、21…排出トレイ、
21A…載置面、23…インク収容部、26…制御部、32…サイドフレーム、
33…貫通孔、34…サイドフレーム、35A…横フレーム、40…ラインヘッド、
42…支持フレーム、44…突出部、45…コロ、45A…コロ、45B…コロ、
45C…コロ、45D…コロ、46…ラック、46A…歯部、
50…ヘッド移動ユニット、52…駆動ユニット、53…モーター、54…ピニオン、
54A…歯部、56…調整ユニット、56A…自動調整部、56B…手動調整部、
57…モーター、59…シャフト、60…メンテナンスユニット、
62…キャップユニット、63…ユニット本体、63A…側板、63B…側板、
64…カバー部、65…ラック、65A…歯部、66…フラッシング部、67…仕切壁、
68…開口部、69…コロ、69A…コロ、69B…コロ、69C…コロ、
69D…コロ、69E…コロ、69F…コロ、70…駆動ユニット、72…ピニオン、
72A…歯部、74…ワイパーユニット、75…本体部、76…ブレード、
80…駆動ユニット、82…モーター、84…ベルト、91…ガイド部材、
92…第1ガイド部材、93…ガイドレール、93A…底壁、93B…側壁、
94…規制部、95…ガイドレール、96…第2ガイド部材、97…ガイドレール、
97A…底壁、97B…側壁、98…ガイドレール、98A…底壁、98B…側壁、
99…交差部、102…ガイド部材、104…ガイドレール、104A…底壁、
104B…側壁、105…ガイドレール、106…ガイドレール、106A…底壁、
106B…側壁、107…交差部、108…規制ブラケット、109…規制ブラケット、
K…拡幅部、S1…第1移動領域、S2…第2移動領域、T1…搬送路、T2…搬送路、
T3…搬送路、T4…搬送路、T5…反転路
図1
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