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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240312BHJP
   G01S 17/42 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/42
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020015010
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021121790
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】清野 光宏
(72)【発明者】
【氏名】柳井 謙一
(72)【発明者】
【氏名】木村 禎祐
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 憲幸
(72)【発明者】
【氏名】柏田 真司
(72)【発明者】
【氏名】水野 文明
(72)【発明者】
【氏名】恩田 一寿
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-159067(JP,A)
【文献】特開2019-095353(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0107607(US,A1)
【文献】特開2019-095354(JP,A)
【文献】特開2013-130422(JP,A)
【文献】特開2017-173298(JP,A)
【文献】特開2019-164121(JP,A)
【文献】特開2006-258604(JP,A)
【文献】特開2013-156138(JP,A)
【文献】特開2006-030147(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0293923(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光ビーム(PB)を測定領域(MA,MA1,MA2)へ向けて投光し、前記投光ビームに対する前記測定領域からの戻り光(RB)を検出する光検出装置であって、
伸長方向(ED0)に細長く伸びた形状の発光窓部(23)を有し、前記発光窓部から前記投光ビームを発光する発光部(22)と、
前記伸長方向に対応した方向(ED1)に沿った回転軸(33)を基準として有限の角度範囲(AR,ARN,ARW)に揺動運動し、前記投光ビームを反射して走査する走査ミラー(34)と、
前記発光部から発光された前記投光ビームを集光し、前記走査ミラーへ向けて投光する投光光学系(26)と、
前記走査ミラーにより反射された前記戻り光を、検出可能に集光する受光光学系(49)と、を備え、
前記走査ミラーは、前記投光ビームを前記測定領域へ向けて反射する面と、前記測定領域からの前記戻り光を反射する面を共通化した反射面(36)を有し、
前記反射面上において、前記投光ビームのフットプリント(PF)と前記戻り光のフットプリント(RF)とは、部分的に重複しており、
前記投光光学系と前記受光光学系とは、前記伸長方向に沿うように互いに並んで配置されている光検出装置。
【請求項2】
前記揺動運動を制御する少なくとも1つのプロセッサ(46,61)を、さらに備える請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記戻り光による光子の受光に応じてデジタル信号としての電気パルスを生成する一光子アバランシェフォトダイオード受光素子(44)を、さらに備え、
少なくとも1つのプロセッサは、前記走査ミラーの揺動運動において、前記角度範囲を分割した複数の位相領域のうち少なくとも1つの位相領域を通過する間に、前記投光ビームを複数回発光させ、前記複数回における前記投光ビームの発光及び前記発光に対応した前記戻り光の検出にて発生した前記電気パルスを積算して、前記発光から前記検出までの光の飛行時間を算出する請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記角度範囲を変更可能に構成される請求項2に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記揺動運動の速度(HS,LS)を変更可能に構成される請求項2又は3に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記角度範囲のうち測定領域に想定される測定対象物の距離が遠い領域に対応した角度である程、前記揺動運動における単位角度当たりの滞留時間を長くする請求項2から5のいずれか1項に記載の光検出装置。
【請求項7】
車両(WC)に搭載されるように構成され、前記角度範囲に対応した前記測定領域が前記車両の前方外部又は後方外部となるように構成された請求項2から6のいずれか1項に記載の光検出装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記揺動運動における単位角度当たりの滞留時間について、前記角度範囲のうち中央部(ARc)において前記角度範囲のうち側辺部(ARs)よりも長くする光検出装置。
【請求項8】
車両に搭載されるように構成され、前記角度範囲に対応した前記測定領域が前記車両の側方外部となるように構成された請求項2から6のいずれか1項に記載の光検出装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記揺動運動における単位角度当たりの滞留時間について、前記角度範囲のうち側辺部において前記角度範囲のうち中央部よりも長くする光検出装置。
【請求項9】
前記投光光学系を保持する投光保持部材(28)と、を有し、
前記投光保持部材は、前記角度範囲の両端部のうち前記走査ミラーでの反射角が最小となる端部(AR2)において反射される前記投光ビームとの干渉を回避するように、前記投光光学系の光軸(POA)側へ向かって凹む凹状部(29)を有する請求項1から8のいずれか1項に記載の光検出装置。
【請求項10】
投光ビーム(PB)を測定領域(MA,MA1,MA2)へ向けて投光し、前記投光ビームに対する前記測定領域からの戻り光(RB)を検出する光検出装置であって、
伸長方向(ED0)に細長く伸びた形状の発光窓部(23)を有し、前記発光窓部から前記投光ビームを発光する発光部(22)と、
前記伸長方向に対応した方向(ED1)に沿った回転軸(33)を基準として有限の角度範囲(AR,ARN,ARW)に揺動運動し、前記投光ビームを反射して走査する走査ミラー(34)と、
前記発光部から発光された前記投光ビームを集光し、前記走査ミラーへ向けて投光する投光光学系(26)と、
前記投光光学系を保持する投光保持部材(28)と、を備え、
前記投光保持部材は、前記角度範囲の両端部のうち前記走査ミラーでの反射角が最小となる端部(AR2)において反射される前記投光ビームとの干渉を回避するように、前記投光光学系の光軸(POA)側へ向かって凹む凹状部(29)を有し、
前記走査ミラーは、前記投光ビームを前記測定領域へ向けて反射する面と、前記測定領域からの前記戻り光を反射する面を共通化した反射面(36)を有し、
前記走査ミラーにより反射された前記戻り光を、検出可能に集光する受光光学系(49)と、をさらに備え、
前記投光光学系と前記受光光学系とは、前記伸長方向に沿うように互いに並んで配置されている光検出装置。
【請求項11】
装置外装部を形成する筐体であって、前記投光ビーム及び前記戻り光をその内部と前記測定領域との間にて往復させる光学窓(14)を有する筐体(11)を、さらに備え、
前記投光ビームと検出される前記戻り光とは、フットプリント(PF,RF)を重複させた重複領域(OL)を前記内部において有する請求項1から1のいずれか1項に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書による開示は、光の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の光検出装置において、投光ビームを走査する走査ミラーは、360°回転する。これにより、光検出装置の周囲を360°検出することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9470520号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、検出又は高い検出精度が求められていない領域への走査による走査時間の無駄が生じ得る。こうした無駄に伴い、検出又は高い検出精度が求められる特定領域への投光ビームの放射照度が不十分となり、特定領域への測定対象物の検出精度も低下し得る。
【0005】
この明細書の開示による目的のひとつは、高い検出精度を実現可能な光検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された態様のひとつは、投光ビーム(PB)を測定領域(MA,MA1,MA2)へ向けて投光し、投光ビームに対する測定領域からの戻り光(RB)を検出する光検出装置であって、
伸長方向(ED0)に細長く伸びた形状の発光窓部(23)を有し、発光窓部から投光ビームを発光する発光部(22)と、
伸長方向に対応した方向(ED1)に沿った回転軸(33)を基準として有限の角度範囲(AR,ARN,ARW)に揺動運動し、投光ビームを反射して走査する走査ミラー(34)と、
発光部から発光された投光ビームを集光し、走査ミラーへ向けて投光する投光光学系(26)と、
走査ミラーにより反射された戻り光を、検出可能に集光する受光光学系(49)と、を備え、
走査ミラーは、投光ビームを測定領域へ向けて反射する面と、測定領域からの戻り光を反射する面を共通化した反射面(36)を有し、
反射面上において、投光ビームのフットプリント(PF)と戻り光のフットプリント(RF)とは、部分的に重複しており、
投光光学系と受光光学系とは、伸長方向に沿うように互いに並んで配置されている。
また、開示された態様の他のひとつは、投光ビーム(PB)を測定領域(MA,MA1,MA2)へ向けて投光し、投光ビームに対する測定領域からの戻り光(RB)を検出する光検出装置であって、
伸長方向(ED0)に細長く伸びた形状の発光窓部(23)を有し、発光窓部から投光ビームを発光する発光部(22)と、
伸長方向に対応した方向(ED1)に沿った回転軸(33)を基準として有限の角度範囲(AR,ARN,ARW)に揺動運動し、投光ビームを反射して走査する走査ミラー(34)と、
発光部から発光された投光ビームを集光し、走査ミラーへ向けて投光する投光光学系(26)と、
投光光学系を保持する投光保持部材(28)と、を備え、
投光保持部材は、角度範囲の両端部のうち走査ミラーでの反射角が最小となる端部(AR2)において反射される投光ビームとの干渉を回避するように、投光光学系の光軸(POA)側へ向かって凹む凹状部(29)を有し、
走査ミラーは、投光ビームを測定領域へ向けて反射する面と、測定領域からの戻り光を反射する面を共通化した反射面(36)を有し、
走査ミラーにより反射された戻り光を、検出可能に集光する受光光学系(49)と、をさらに備え、
投光光学系と受光光学系とは、伸長方向に沿うように互いに並んで配置されている。
【0007】
このような態様によると、走査ミラーによる投光ビームの走査は、有限の角度範囲での揺動運動により実現される。検出又は高い検出精度が求められていない領域への走査が規制されているので、走査時間の無駄の発生を抑制することができる。そして、投光ビームを発光する発光窓部が、伸長方向に細長く伸びた形状であり、この伸長方向に沿った方向に揺動運動の基準となる回転軸を設けたので、走査ミラーの所定の位相に対して揺動運動に対する垂直方向に沿って実質的に長いビームを投光することができる。すなわち、伸長方向を含む2次元的な走査の必要性が低減されているので、走査がさらに効率化される。以上により、特定領域へ投光ビームの照射を集中させ、放射照度を高めることができる。この結果、高い検出精度を実現可能な光検出装置を提供することができる。
【0008】
なお、括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】光検出装置の全体構成を示す図である。
図2】発光部を示す図である。
図3】投光ビームのスポット形状を説明するための図である。
図4】走査ミラーによる走査を説明するための図である。
図5】投光ユニットと受光ユニットとの位置関係を示す図である。
図6】検出部の構成を示す図である。
図7】コントローラを示すブロック図である。
図8】車両を含む道路を上方から下方へ俯瞰した図である。
図9】測定領域が車両の前方外部となる場合の揺動運動を説明するための図である。
図10】測定領域が車両の側方外部となる場合の揺動運動を説明するための図である。
図11】デコーダ及びコントローラによるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1に示すように、本開示の第1実施形態による光検出装置10は、移動体としての車両WCに搭載されるように構成されたライダ(LIDAR,Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)となっている。例えば光検出装置10は、車両WCの前方部、左右の側方部、後方部又はルーフに配置されている。光検出装置10は、装置外部の領域であって、車両WCの周辺のうち所定の測定領域MAへ向けて投光ビームPBを走査する。光検出装置10は、当該投光ビームPBが測定対象物に反射されることによる戻り光(以下、反射ビームRBという)を検出する。投光ビームPBには、通常、外界の人間から視認困難な近赤外域の光が選択される。
【0012】
光検出装置10は、反射ビームRBの検出により、測定対象物を測定することが可能である。ここで測定対象物の測定とは、例えば測定対象物が存在する方向の測定、光検出装置10から測定対象物までの距離の測定等である。車両WCに適用された光検出装置10において、代表的な測定対象物は、歩行者、サイクリスト、人間以外の動物、及び他車両等の移動物体、さらにガードレール、道路標識、道路脇の構造物、道路上の落下物等の静止物体である。
【0013】
本実施形態では、特に断り書きが無い限り、前、後、上、下、左及び右が示す各方向は、水平面上の車両WCを基準として定義される。また、水平方向は水平面に対する接線方向を示し、鉛直方向は水平面に対する垂直方向を示す。
【0014】
光検出装置10は、筐体11、投光ユニット21、走査ユニット31、受光ユニット41及びコントローラ61等を含む構成である。筐体11は、遮光容器12及びカバー板15を有し、光検出装置10の外装を形成している。
【0015】
遮光容器12は、例えば合成樹脂ないし金属により形成され、遮光性を有した外壁部12aを有する箱状に形成されている。遮光容器12は、1つの部品により構成されていてもよく、複数の部品を組み合わせた構成であってもよい。遮光容器12は、投光ユニット21、走査ユニット31、受光ユニット41及びコントローラ61を収容する収容室13を、外壁部12aに囲まれた形態にて有する。収容室13は、投光ユニット21及び受光ユニット41に対して共通に設けられ、特に本実施形態では1つ設けられている。収容室13の共通化により、投光ユニット21と受光ユニット41間に隔壁を形成することが抑制されるので、装置10の体格増大を抑制可能である。
【0016】
また、遮光容器12は、投光ビームPB及び反射ビームRBの両方を収容室13と測定領域MAとの間にて往復させる光学窓14を、開口状に形成している。光学窓14もまた、投光ユニット21及び受光ユニット41の両方に対して共通に設けられ、特に本実施形態では1つ設けられている。
【0017】
カバー板15は、例えば合成樹脂ないしガラス等からなる基材により、両ビームPB,RBを透過可能な板状(例えば平板状)に形成された部材である。カバー板15は、光学窓14の全面を塞ぐように配置され、収容室13の外部から内部へ侵入しようとする異物を遮断する。
【0018】
カバー板15は、基材の着色、光学薄膜の成膜、ないし基材表面へのフィルムの貼付け等により、近赤外域の光を透過すると共に、可視光を遮光する透過率の波長依存性を有することが好ましい。そうすることで、外部から収容室13の内部が覗かれることは抑制される。また、カバー板15の収容室側の表面及び測定領域側の表面の少なくとも一方には、鏡面状の基材表面が露出していてもよく、反射防止膜が形成されていてもよく、モスアイ構造が形成されていてもよい。
【0019】
例えばカバー板15が平板状である場合、また、カバー板15を透過する投光ビームPBの屈折による角度変化及び反射ビームRBの屈折による角度変化が抑制され、測定対象物の位置の検出精度が高まる。
【0020】
投光ユニット21は、発光部22、投光光学系26及び投光保持部材28等を含む構成である。図2に示すように、発光部22は、伸長方向ED0に細長く伸びた形状の発光窓部23を形成するように、複数のレーザ発振素子24を伸長方向ED0に沿ってアレイ状に配置している。発光部22は、複数のレーザ発振素子24を使用することで、レーザ光の全体出力を高めている。発光部22は、コントローラ61からの電気信号に応じた発光タイミングにて、発光窓部23から投光ビームPBを投光する。
【0021】
各レーザ発振素子24には、例えばレーザダイオード(LD,Laser Diode)が採用される。各レーザ発振素子24は、P型半導体とN型半導体とをPN接合層を介して互いに接合した構造と、PN接合層にて発生した光を共振させる共振器構造を有する。共振器構造においてPN接合層を挟んで配置された一対のミラーのうち、一方のミラーがハーフミラー状の小窓25を形成している。各レーザ発振素子24は、この小窓25を通じて、コヒーレント光としてのレーザ光を、ビーム状に発光可能である。このレーザ光は、投光ビームPBの一部をなす小ビームとなる。特に本実施形態では、各小窓25から発振される小ビームの集合体が投光ビームPBと定義される。各レーザ発振素子24のPN接合層は、小窓25の配列方向(すなわち伸長方向ED0)に対する、垂直方向に沿って設定されている。この垂直方向に沿った軸が、レーザダイオードによるファスト軸FAとなる。
【0022】
複数の小窓25が間隔を極力詰めて配置されることにより、複数の小窓25の集合体による巨視的開口部として、発光窓部23が形成されている。特に本実施形態の発光窓部23は、略長方形状となっている。発光窓部23の伸長方向ED0の寸法は、伸長方向ED0に対する垂直方向(ファスト軸FAに沿った方向)の寸法に対して、例えば100倍以上大きい寸法に設定される。
【0023】
ここで発光窓部23の伸長方向ED0は、一般的な取り付け形態において、車載状態における鉛直方向に沿っている。ファスト軸FAは車載状態における水平方向に沿っている。
【0024】
各レーザ発振素子24は、レーザ光の偏光方向が、互いに共通の向きであって、伸長方向ED0に沿った方向となるように、TEモードにて直線偏光を発振する。そうすると、投光ビームPBの偏光方向は、車載状態において鉛直方向に沿うので、概ね水平方向に沿った路面に対して垂直な偏光方向の投光ビームPBを入射させることができる。正反射率が低下し、拡散反射率が高まることにより、雨天又は凍結時にて路面から光学窓14へと反射ビームRBを戻り易くすることができる。
【0025】
投光ビームPBは、短パルス状に発振される。ここで各レーザ発振素子24による各小ビームは、実質的に同時となるように発振されてもよく、僅かな時間差を設けて順次発振されてもよい。投光ビームPBは、投光光学系26、走査ユニット31の走査ミラー34を経由して測定領域MAへ向かうこととなる。
【0026】
投光光学系26は、発光部22から発光された投光ビームPBを集光しつつ投光する光学系である。投光光学系26は、発光部22と走査ミラー34との間に配置されている。投光光学系26は、1つ以上の光学レンズ27を含む構成である。投光光学系26は、投光光軸POAを形成する。投光光軸POAは、例えば1つ以上の光学レンズ27の各屈折面の曲率中心を通る仮想的な光線に沿った軸として定義される。投光光軸POAに沿った仮想的な光線は、各レンズ頂点27aを、偏向作用を受けずに直進して、投光光学系26を通過可能である。特に本実施形態では、発光窓部23の中心点から射出される投光ビームPBの主光線が、投光光軸POAに沿う。なお、発光窓部23の中心点が小窓25間のギャップに位置する場合、投光ビームPBの主光線は、光学設計上の仮想的な光線である。投光光軸POAに沿った光線が走査ユニット31にて偏向される場合、投光光軸POAもその偏向方向に沿った延長部分を含むものとして定義される。
【0027】
投光光学系26の焦点距離は、投光光学系26の主点から発光窓部23までの投光光軸POAに沿った距離に略一致する。図3に示すように、投光光学系26は、発光窓部23から射出された投光ビームPBをコリメートする。光路において投光光学系26を挟んだ発光窓部23とは反対側であって、収容室13の外部であり、発光窓部23からの投光光軸POAに沿った距離Dpが無限遠となる位置(Dp=∞)は、発光窓部23と共役になる共役点である。無限遠において投光ビームPBのスポット形状は、遠方界パターンFFPとなる。無限遠に発光窓部23に対応する像が結像するが、この像は、伸長方向ED0への回折の影響を近傍界パターンNFPよりも大きく受けたものとなる。したがって、投光ビームPBの無限遠におけるスポット形状は、例えば発光窓部23における小窓間のギャップを残存させたまま、各小ビームが伸長方向ED0に沿って細長く伸びたライン状となる。また例えば、投光ビームPBの無限遠におけるスポット形状は、発光窓部23における小窓25間のギャップが実質的に解消され、各小ビームが一体化されたような形状であり、伸長方向ED0に沿って細長く伸びたライン状となる。
【0028】
一方、発光窓部23からの距離Dpが小さな収容室13内では、投光ビームPBのスポット形状は、近傍界パターンNFPとなる。このスポット形状は、ファスト軸FA方向への回折影響が遠方界パターンFFPよりも小さいものとなる。このスポット形状は、各小ビームに個別対応した小スポットSSが分離して認識できる状態をなす。各小スポットSSは、ファスト軸FAを長軸に対応させた楕円状のパターンをなす。小スポットSS同士は、完全に分離されていてもよく、互いに一部分が重複していてもよい。
【0029】
こうして投光光学系26により結像態様を調整された投光ビームPBのフットプリントPFの範囲は、投光光軸POAにより中心点を貫通される発光窓部23が実質的な絞りとして機能することにより規定されてもよい。また、フットプリントPFの範囲は、投光光学系26に投光光軸POAにより中心点を貫通される絞りが配置されることにより規定されてもよい。本実施形態におけるフットプリントとは、測定に寄与するビームの軌跡が及び得る空間を意味する。
【0030】
図4,5に示す投光保持部材28は、投光光学系26の鏡筒として、例えば合成樹脂ないし金属により遮光性に形成され、投光光学系26の1枚以上の光学レンズ27を保持する筒状に形成されている。投光保持部材28は、さらに発光部22を保持するように形成されていてもよい。
【0031】
走査ユニット31は、図1,4に示すように、駆動モータ32及び走査ミラー34等を含む構成である。駆動モータ32は、例えばボイスコイルモータ、ブラシ付きDCモータ、ステッピングモータ等が採用され得る。駆動モータ32は、コントローラ61からの電気信号に応じた回転量及び回転速度にて、走査ミラー34に機械的に結合された回転軸33を駆動する。回転軸33は、発光窓部23の伸長方向ED0に対応した伸長対応方向ED1に沿って配置されている。ここで伸長対応方向ED1とは、発光窓部23を投光光軸POAに沿って光路上の設置物(例えば走査ミラー34の反射面36)に仮想的に射影した場合の、当該設置物上(例えば反射面36上)での発光窓部23の射影における伸長方向を意味する。特に本実施形態において回転軸33は、発光窓部23の伸長方向ED0と実質的に一致している。
【0032】
走査ミラー34は、投光ビームPBを反射して走査することが可能なミラーである。走査ミラー34は、本体部35及び反射面36を有している。走査ミラー34は、回転軸33と機械的に結合され、例えば合成樹脂により平板状に形成されている。反射面36は、本体部35の例えば片側の表面にアルミニウム等の金属膜を蒸着すること等により鏡面状に形成されている。反射面36は、例えば平面状であり、回転軸33に対する平行方向に沿って、伸長対応方向ED1を含むように延設されている。
【0033】
反射面36は、両ビームPB,RBに対して共通に設けられている。また反射面36は、その長手方向を伸長対応方向ED1に実質的に一致させた矩形状に形成されている。そして図3に示すように、反射面36は、投光ビームPBのスポット形状が近傍界パターンNFPをなす位置(Dp=Ds)に配置されている。すなわち、投光ビームPBの反射面36上における各小スポットSSが、延伸対応方向DP1を短軸とする楕円状をなす。したがって、細長く伸びた形状の発光窓部23及び無限遠でのライン状のスポット形状の縦横比と比較して、反射面36上の投光ビームPBは、伸長対応方向ED1に圧縮された縦横比をもつ。投光ビームPBのフットプリントPFも伸長対応方向ED1に圧縮されるので、走査ミラー34の伸長対応方向ED1の寸法が短縮化される。
【0034】
図4に示すように、走査ミラー34は、伸長対応方向ED1に沿った回転軸33を基準として、有限の角度範囲ARに揺動運動することが可能となっている。揺動運動に伴う反射面36の向きの変更に応じて、反射面36に反射される投光ビームPBの反射角も変化する。投光ビームPBは、測定領域MAへ向けて時間的及び空間的に走査される。
【0035】
本実施形態における走査は、伸長対応方向ED1への走査が省かれた1次元的な走査である。反射面36により反射された投光ビームPBの無限遠でのスポット形状は、揺動運動の位相における投光ビームPBの照明範囲に実質的に相当することとなる。車載状態においてこの照明範囲は、鉛直方向に細長く伸びた範囲である。故に、走査ミラー34が鉛直方向に対応した走査を実施しなくても、測定領域MAにおける鉛直画角を広角化することができる。
【0036】
一方、揺動運動によって、伸長対応方向ED1に対する垂直方向、換言すると水平方向に沿って、鉛直方向に細長く伸びた投光ビームPBによる照明範囲が移動する。そして、揺動運動における有限の角度範囲ARは、測定領域MAにおける水平画角を定義付ける。ここで、投光光軸POAのうち走査ミラー34より測定領域MA側の部分は、走査ミラー34の揺動運動に応じ、水平方向に沿って振られることになる。ただし、投光光軸POAのうち走査ミラー34より測定領域MA側の部分の方向及び位置は、揺動運動の所定の位相(換言すると反射面36の所定の向き)に対して、一意的に定まる。
【0037】
有限の角度範囲ARは、機械的なストッパ又は電磁気的なストッパ、又は駆動の制御により、制限される。最大化された有限の角度範囲ARにおいて、投光ビームPBの反射角が最大となる端部AR1は、走査ミラー34に反射された投光ビームPBが光学窓14から外れ、投光ビームPBが遮光容器12と干渉することが回避されるように、設定される。
【0038】
最大化された有限の角度範囲ARにおいて、投光ビームPBの反射角が最小となる端部AR2は、走査ミラー34に反射された投光ビームPBが投光ユニット21と干渉することが回避されるように、設定される。ここで、投光保持部材28の投光ビームPBが射出される側かつ光学窓14側の角部において、投光光学系26を貫通する投光光軸POA側へ向かって凹む凹状部29が形成されている。こうした凹状部29がなす空間に、走査ミラー34に反射された投光ビームPBのフットプリントPFが入り込む。これにより、有限の角度範囲ARにおける投光ビームPBの反射角が最小となる端部AR2側の設定可能範囲は、拡大される。
【0039】
有限の角度範囲ARに走査された投光ビームPBは、光学窓14を透過する。ここで図3に示すように、光学窓14も、投光ビームPBのスポット形状が近傍界パターンNFPをなす位置(Dp=Dw)に配置されている。すなわち、投光ビームPBの反射面36上における各小スポットSSが、反射面36上よりは楕円率が小さい(すなわち円に近い)ものの、伸長対応方向ED1を短軸とする楕円状をなす。したがって、細長く伸びた形状の発光窓部23及び無限遠でのライン状のスポット形状の縦横比と比較して、光学窓14上の投光ビームPBのフットプリントPFは、伸長対応方向ED1に圧縮される。したがって、光学窓14の伸長対応方向ED1の寸法を短くすることが可能となる。
【0040】
投光ビームPBは、光学窓14を透過後、測定領域MAに存在する測定対象物によって反射される。投光ビームPBが測定対象物によって反射されることによる反射ビームRBは、再び光学窓14を透過し、走査ミラー34へ入射し得る。走査ミラー34の揺動運動の速度に対して、投光ビームPB及び反射ビームRBの速度は十分大きい。このため、投光ビームPBが走査ミラー34に反射された時の揺動運動における位相と反射ビームRBが走査ミラー34へ入射した時の揺動運動における位相とのずれは、僅かであり、無視することも可能である。したがって、反射ビームRBは、投光ビームPBと略同じ反射角にて反射され、投光ビームPBと逆行するように受光ユニット41へ導光される。
【0041】
受光ユニット41は、図1,5に示すように、検出部42、受光光学系49及び受光保持部材51等を含む構成である。本実施形態における検出部42は、図6に示すように、受光素子アレイ43及びデコーダ46を有する。受光素子アレイ43は、複数の受光素子44をアレイ状に配列した構成である。受光素子44には、SPAD(一光子アバランシェフォトダイオード、Single Photon Avalanche Diode)受光素子が採用されている。複数の受光素子44は、長方形状の検出面45上に高度に集積化された状態にて2次元配列されている。なお、図6に図示された受光素子44のうち一部にのみ符号が付されている。
【0042】
ここで検出面45の長手方向は、発光窓部23の伸長方向ED0と合わせられている。無限遠にてライン状となる投光ビームPBに対応した反射ビームRBもまた、ライン状のビームになり得るが、検出面45が反射ビームRBの拡がりに合った形状をなす。これにより、検出部42は、反射ビームRBを効率的に受光することが可能となり、検出精度は高まる。
【0043】
SPADによる各受光素子44は、1つ以上の光子が入射すると、アバランシェ倍増による電子倍増動作(いわゆるガイガーモード)により、1つの電気パルスを生成する。すなわち、各受光素子44は、アナログ信号からデジタル信号へAD変換回路を介さずに、換言すると直接的に、デジタル信号としての電気パルスを発生することができる。したがって、受光光学系49を経て検出面45上に集光される反射ビームRBの検出結果は高速に読み出し可能である。
【0044】
デコーダ46は、受光素子44が生成した電気パルスを出力するために設けられ、選択回路47、クロック発振器48等を含む構成である。選択回路47は、例えば集積回路の形態で実装され、受光素子アレイ43の中から、電気パルスを取り出す対象となる受光素子44を、順次選択していく。選択された受光素子44は、電気パルスをコントローラ61へ出力するようになっている。こうして選択回路47が出力対象の受光素子44を各1回ずつ選択し終えると、1回のサンプリングが終了する。所定の発光タイミングで投光ビームPBが発光された時間から、選択回路47は、サンプリングを周期的に繰り返し実施する。このサンプリング周期は、クロック発振器48から出力されるクロック周波数に応じたものとなる。クロック発振器48は、選択回路47を構成する集積回路の内部又は外部に設けられる。
【0045】
受光光学系49は、図1,5に示すように、反射ビームRBを受光し、反射ビームRBを検出面45上に合焦させるように集光する光学系である。受光光学系49は、検出部42と走査ミラー34との間に配置されている。受光光学系49は、1枚以上の光学レンズ50を含む構成である。受光光学系49の光学レンズ50の直径は、投光光学系26の光学レンズ27の直径よりも大きくされる。こうして受光光学系49による反射ビームRBの集光効率を高めることができる。受光光学系49は、受光光軸ROAを形成する。受光光軸ROAは、例えば1つ以上の光学レンズ50の各屈折面の曲率中心を通る仮想的な光線に沿った軸として定義される。受光光軸ROAに沿った仮想的な光線は、各レンズ頂点50aを、偏向作用を受けずに直進して、受光光学系49を通過可能である。特に本実施形態では、検出面45の中心点に入射する反射ビームRBの主光線が、受光光軸ROAに沿う。なお、反射ビームRBの主光線は、測定対象物による投光ビームPBの反射態様に応じて、仮想的な光線となることがある。受光光軸ROAに沿った光線が走査ユニット31にて偏向される場合、受光光軸ROAもその偏向方向に沿った延長部分を含むものとして定義される。
【0046】
ここで、受光光軸ROAのうち走査ミラー34より測定領域MA側の部分は、走査ミラー34の揺動運動に応じ、車載状態の水平方向に沿って振られることになる。ただし、受光光軸ROAのうち走査ミラー34より測定領域MA側の部分の方向及び位置は、揺動運動の所定の位相に対して、一意的に定まる。
【0047】
こうして受光光学系49により受光される反射ビームRBのフットプリントRFの範囲は、受光光軸ROAにより中心点を貫通される検出面45が実質的な絞りとして機能することにより規定されてもよい。また、フットプリントRFの範囲は、受光光軸ROAにより中心点を貫通される受光光学系49に絞りが配置されることにより規定されてもよい。
【0048】
図5に示す受光保持部材51は、受光光学系49の鏡筒として、例えば合成樹脂ないし金属により遮光性に形成され、受光光学系49の1枚以上の光学レンズ50を保持する筒状に形成されている。受光保持部材51は、さらに検出部42を保持するように形成されていてもよい。
【0049】
図1,5に示すように、投光光軸POAと受光光軸ROAとは、収容室13の内部及び収容室13の外部の全域において、互いにずれた形態となる。詳細に、投光光軸POAと受光光軸ROAとは、互いに間隔を空けて、かつ、互いに共通の方向に沿うように、実質平行に配置されている。こうした投光光軸POA及び受光光軸ROAを、回転軸33に対する垂直方向に沿って配置することにより、投光ビームPB及び反射ビームRBの利用効率を高めることができる。
【0050】
走査ミラー34より測定領域MA側の部分における投光光軸POAと受光光軸ROAとの位置関係についても、両ビームPB,RB間に共通の反射面36の向きに応じて一意的に決まり、互いにずれた形態(詳細には平行配置形態)は、揺動運動における位相に関わらず維持される。
【0051】
投光光学系26と受光光学系49とは、揺動運動の回転軸33に沿った方向、すなわち発光窓部23の伸長方向ED0に沿うように、並んで配置される。そうすると、共通の反射面36によって投光ビームPBと略同じ反射角にて反射される反射ビームRBを、受光光学系49が効率的に受光することができる。
【0052】
さらには投光光学系26と受光光学系49との並び配置により、投光ビームPBが受光保持部材51に干渉すること及び反射ビームRBが投光保持部材28に干渉することの両方が抑制される。また、走査ミラー34からの距離が投光光学系26と受光光学系49との間で合わせられる結果、収容室13のうち両光軸POA,ROAが沿う共通の方向の寸法を縮小可能となる。
【0053】
車載状態において、受光光学系49は、投光光学系26よりも下方に配置される。光学レンズ50のレンズ径が投光光学系26の光学レンズ27よりも大きくなっている結果、受光光学系49ないし受光ユニット41の重量は、投光光学系26ないし投光ユニット21の重量よりも大きい。このため、光検出装置10の重心を下方に下げることができ、車載状態における光検出装置10の設置安定性を高めることができる。
【0054】
図1に示すように、投光ビームPBのフットプリントPFは、投光光学系26から投光光軸POAに沿って測定領域MA側へ向かうに従って、投光光軸POAの垂直断面における断面積を拡大させている。フットプリントPFは、走査ミラー34による走査によって、特に走査ミラー34より測定領域MA側の部分における断面積の水平方向への拡大幅を、走査ミラー34より投光光学系26側の部分における断面積の水平方向への拡大幅に対して増大させている。
【0055】
同様に、反射ビームRBのフットプリントRFは、受光光学系49から受光光軸ROAに沿って測定領域MA側へ向かうに従って、受光光軸ROAの垂直断面における断面積を拡大させている。フットプリントRFは、走査ミラー34による走査によって、特に走査ミラー34より測定領域MA側の部分における断面積の水平方向への拡大幅を、走査ミラー34より受光光学系49側の部分における断面積の水平方向への拡大幅に対して増大させている。ここでいう拡大幅とは、光軸に沿った単位長さ当たりのフットプリントの断面積の増大量を意味する。
【0056】
そして、投光ビームPBのフットプリントPFと反射ビームRBのフットプリントRFとが重複した重複領域OLが、収容室13の内部において形成されている。両フットプリントPF,RFを完全に分離した仮の構成よりも、重複領域OLを設けた本実施形態の構成の方が、重複領域OLの体積分、収容室13の大きさを縮小可能である。
【0057】
特に本実施形態では、走査ミラー34の反射面36上においても、投光ビームPBのフットプリントPFと反射ビームRBのフットプリントRFとは、部分的に重複されている。具体的に、反射面36の回転軸33に沿った方向を含む断面上において、両フットプリントPF,RFは、オーバーラップしている。この結果、反射面36の伸長対応方向ED1に沿った寸法を縮小することができる。したがって、走査ミラー34ないし収容室13の大きさを縮小することができる。
【0058】
コントローラ61は、測定領域MAの測定を制御する。測定領域MAの測定の制御には、走査ミラー34の揺動運動の制御が含まれる。コントローラ61は、図1に示すように、処理部62、RAM63、記憶部64、入出力インターフェース65、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。処理部62は、RAM63と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部62は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)、RISC(Reduced Instruction Set Computer)等の演算コアを少なくとも1つ含む構成である。処理部62は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の演算コアを少なくとも1つ含む構成であってもよい。処理部62は、RAM63へのアクセスにより、後述する各機能部の機能を実現するための種々の処理を実行する。記憶部64は、不揮発性の記憶媒体を少なくとも1つ含む構成である。記憶部64には、処理部62によって実行されるプログラムが格納されている。
【0059】
コントローラ61は、発光部22、駆動モータ32及び検出部42に対して、電気的に接続されるか、通信可能に構成されている。図7に示すようにコントローラ61には、発光制御部66、走査制御部67、測定演算部68等の機能部が構築される。
【0060】
発光制御部66は、走査ミラー34による走査と連携した発光タイミングにて各レーザ発振素子24から投光ビームPBが発光されるように、発光部22へ電気信号を出力する。
【0061】
走査制御部67は、投光ビームPBの発光タイミングと連携した走査が実現されるように、駆動モータ32へ電気信号を出力する。特に本実施形態では、有限の角度範囲ARの揺動における往復動のうち、初期位相からの往路にて速度が精密に制御される。こうした精密な速度制御と連携して、発光制御部66により短パルス状の投光ビームPBが連続的に発光され、当該投光ビームが走査される。一方、往復動のうち復路では、走査ミラー34は、往路よりも高速な速度で初期位相に跳ね戻る。この間、発光制御部66による投光ビームPBの発光は停止される。往復動のうち一方向でのみ投光ビームPBの走査が行われることで、測定対象物の測定演算において、揺動運動の方向毎に処理を変更する必要性が低減されるので、処理の高速化又はコンピュータ資源の省力化を図ることができる。
【0062】
走査制御部67は、走査ミラー34を短時間に複数回連続して往復動させる。そして、各回の往路にて、集中的に投光ビームPBが発光される。
【0063】
さらに本実施形態のコントローラ61において、走査制御部67は、有限の角度範囲AR及び揺動運動の速度HS,LSのうち少なくとも一方を変更可能となっている。この変更は、例えば角度範囲ARの値及び速度HS,LSの値、又はこれら値を満たすように揺動運動を制御するための駆動モータ32への電気信号を特定するパラメータ等の揺動規定パラメータが記憶部64の記憶媒体へ記憶されることによって実現される。走査制御部67は、揺動規定パラメータを記憶部64へのアクセスにより読み出して、有限の角度範囲AR及び揺動運動の速度HS,LSを制御する。
【0064】
特に本実施形態では、光検出装置10の車載条件に個別対応した揺動規定パラメータが、記憶部64に複数記憶されている。走査制御部67は、記憶部64に記憶された車載条件の設定情報の読み出し、又は外部装置からの車載条件の設定情報の取得に応じて、複数の揺動規定パラメータから適切な揺動規定パラメータを選択する。
【0065】
例えば図8に示すように、光検出装置10により車両WCの前方外部に測定領域MA1が構成される場合がある。この車載条件において、測定領域MA1の中央部では、車両WCの走行車線に沿う方向となる蓋然性が高いので、例えば前方の他車両TC1の車間距離を測定するために、比較的、遠距離域FRでの測定精度が求められる。測定領域MA1の側辺部では、例えば道路脇の建造物BLD、サイクリストBYC、歩行者、また例えば隣接する車線の他車両TC2を測定するために、比較的、近距離域NRでの測定精度が求められる。
【0066】
この車載条件では、図9に示すように、走査制御部67は、有限の角度範囲ARの中央部ARcでの揺動運動の速度LSを、側辺部ARsでの揺動運動の速度HSよりも低くする。したがって、揺動運動における単位角度当たりの滞留時間は、側辺部ARsよりも中央部ARcの方が長くなる。そうすると、中央部ARcの長い滞留時間を用いて、中央部ARcの角度へ高い放射照度(光密度)で投光ビームPBを照射することができる。測定領域MA1の中央部において、遠距離域FRにも十分に投光ビームPBが供給されるので、遠距離域FRで反射されて検出面45に入射する反射ビームRBの光量も十分得られる。さらに、走査制御部67は、有限の角度範囲ARを、後述する測定領域MA2の場合よりも比較的狭い角度範囲ARNとしてもよい。中央部ARcでの単位角度当たりの滞留時間を、さらに長くすることができる。
【0067】
一方で図8に示すように、光検出装置10により車両WCの側方外部(例えば左方外部、右方外部)に測定領域MA2が構成される場合がある。この車載条件において、測定領域MA2の中央部では、例えば道路脇に隣接する建造物BLD、サイクリストBYC、歩行者、また例えば隣接する車線の他車両TC2を測定するために、比較的、近距離域NRでの測定精度が求められる。測定領域MA2の側辺部でも、例えば道路脇の建造物BLD、サイクリストBYC、歩行者、また例えば隣接する車線の他車両TC2が測定対象部となるが、斜め前方又は斜め後方に測定対象物が位置する。このため、比較的、遠距離域FRでの測定精度が求められる。
【0068】
この車載条件では、図10に示すように、走査制御部67は、有限の角度範囲ARの中央部ARcでの揺動運動の速度LSを、側辺部ARsでの揺動運動の速度HSよりも高くする。したがって、揺動運動における単位角度当たりの滞留時間は、中央部ARcよりも側辺部ARsの方が長くなる。そうすると、側辺部ARsの長い滞留時間を用いて、側辺部ARsの角度へ高い放射照度(光密度)で投光ビームPBを照射することができる。測定領域MA2の側辺部において、遠距離域FRにも十分に投光ビームPBが供給されるので、遠距離域FRで反射されて検出面45に入射する反射ビームRBの光量も十分得られる。また、走査制御部67は、有限の角度範囲ARを、測定領域MA1の場合よりも比較的広い角度範囲ARWとしてもよい。車両WCの側方外部では、比較的遠い距離に位置する測定対象物を測定する必要性が低いからである。
【0069】
なお、本実施形態において側辺部ARsは、有限の角度範囲AR,ARN,ARWを3等分したうちの両端部に接する一対の部分として定義される。中央部ARcは、有限の角度範囲AR,ARN,ARWを3等分したうちの一対の側辺部ARsに挟まれた部分として定義される。速度HS,LSは一定速度に限らず、加減速を伴っていてもよい。中央部ARcと側辺部ARsとの間の速度の比較は、中央部ARcでの平均速度と、側辺部ARsでの平均速度を比較である。またなお、揺動運動における単位角度当たりの滞留時間は、揺動運動が一定周期の場合には、揺動運動の周期当たりの時間等に規格化された時間であってよい。揺動運動における単位角度当たりの滞留時間は、複数回の揺動運動において、周期が変動する場合には、複数回の揺動運動における積算時間であってよい。
【0070】
測定演算部68は、検出部42から入力された電気パルスを演算処理し、測定領域MAにおける測定対象物の有無、及び測定対象物の距離を測定する。測定演算部68は、投光ビームPBの発光後の各サンプリングにて各受光素子44から出力された電気パルス数をカウントする。測定演算部68は、サンプリング毎の電気パルス数を各階級に記録したヒストグラムを生成する。このヒストグラムの階級は、投光ビームPBが発光されてから反射ビームRBが受光素子44に入射するまでの光の飛行時間、いわゆるTOF(Time Of Flight)を示している。そして、デコーダ46によるサンプリング周期がTOF測定における時間分解能に相当する。
【0071】
測定演算部68は、走査ミラー34の往復動、及び往路での投光ビームPBの発光に合わせて、有限の角度範囲ARを分割した複数の位相領域に対するヒストグラムを生成する。各位相領域に個別対応したヒストグラムは、それぞれ、RAM63又は記憶部64に一時的又は非一時的に記憶される。
【0072】
ここで本実施形態の発光制御部66は、走査ミラー34が1回の揺動運動の往路において1つの位相領域を通過する間に、周期的な発光タイミングにて複数回、投光ビームPBを発光させるようになっている。揺動運動における速度が低速である位相領域に対しては、速度が高速である位相領域よりも、投光ビームPBの発光回数を多くすることが可能である。
【0073】
対して本実施形態の測定演算部68は、各位相領域に対するヒストグラムを、各位相領域での複数回の投光ビームPBの発光に対応した反射ビームRBの検出で発生した電気パルスを積算したものとする。測定演算部68は、複数回分の積算後、ヒストグラムにおいて度数が最も大きな階級に対応するTOFを、測定結果として算出する。このTOFが距離換算されることで、測定対象部の距離を特定可能である。複数回分の積算によって、TOFの測定精度及び距離の測定精度を高めることができる。
【0074】
次に、デコーダ46及びコントローラ61により実施される測定対象物の測定方法を、図11のフローチャートを用いて説明する。各ステップで構成されるフローチャートによる処理は、例えば走査ミラー34が1つの位相領域を通過する毎に実施される。
【0075】
まず、S11では、測定演算部68は、走査ミラー34が侵入した位相領域を特定し、当該位相領域に個別対応したヒストグラム、すなわち積算カウント対象のヒストグラムを選択する。S11の処理後、S12へ移る。
【0076】
S12では、発光制御部66は、投光ビームPBを発光させる。S12の処理後、S13へ移る。
【0077】
S13では、デコーダ46及び測定演算部68は、受光素子44の電気パルスをカウントする。ここでカウントは、TOFが算出するまでリセットされず、積算される。S13の処理後、S14へ移る。
【0078】
S14では、測定演算部68は、投光ビームPBの発光回数をカウントするために例えばRAM63に記憶された回数カウンタをインクリメントする。S14の処理後、S15へ移る。
【0079】
S15では、測定演算部68は、投光ビームPBの発光回数が規定回数に達したか否かを判定する。規定回数は、走査ミラー34が測定中の位相領域を通過する通過時間に対応して設定される。S15にて否定判定が下された場合、S12へ戻る。S15にて肯定判定が下された場合、S16へ移る。
【0080】
S16では、測定演算部68は、積算結果を記録したヒストグラムからTOFを算出する。さらにTOFが距離換算されることで、測定対象物の距離が特定される。S16を以て一連の処理を終了する。
【0081】
なお、第1実施形態では、検出部42のデコーダ46及びコントローラ61の処理部62が「少なくとも1つのプロセッサ」に相当する。また、カバー板15が「カバー部材」に相当する。
【0082】
(作用効果)
以上説明した第1実施形態の作用効果を以下に改めて説明する。
【0083】
第1実施形態によると、走査ミラー34による投光ビームPBの走査は、有限の角度範囲ARでの揺動運動により実現される。検出又は高い検出精度が求められていない領域への走査が規制されているので、走査時間の無駄の発生を抑制することができる。そして、投光ビームPBを発光する発光窓部23が、伸長方向ED0に細長く伸びた形状であり、この伸長方向ED0に沿った方向ED1に揺動運動の基準となる回転軸33を設けたので、走査ミラー34の所定の位相に対して揺動運動に対する垂直方向に沿って実質的に長いビームを投光することができる。すなわち、伸長方向ED0を含む2次元的な走査の必要性が低減されているので、走査がさらに効率化される。以上により、特定領域へ投光ビームPBの照射を集中させ、放射照度を高めることができる。この結果、高い検出精度を実現可能な光検出装置10を提供することができる。
【0084】
また、第1実施形態によると、コントローラ61により、揺動運動は制御される。したがって、投光ビームPBは、高い検出精度を実現するように走査されることが可能である。
【0085】
また、第1実施形態によると、走査ミラー34の揺動運動において有限の角度範囲ARを分割した複数の位相領域のうち少なくとも1つの位相領域を通過する間に、投光ビームPBが複数回発光され、複数回の投光ビームPBの発光及び発光に対応した反射ビームRBの検出にて電気パルスが積算される。SPAD受光素子44は、光子の受光に応じた電子パルスをデジタル信号として生成可能であるため、投光ビームPBの複数回の発光に対する検出は、高速処理可能である。したがって、電気パルスの積算は、走査ミラー34による測定方位を同一とみなせるような位相領域の通過時間、又は測定対象物の移動を無視可能な時間で実施可能となる。こうした積算を利用してTOFが算出されるので、測定対象物の検出精度を高めることができる。
【0086】
また、第1実施形態によると、有限の角度範囲AR,ARN,ARWは、変更可能となっている。こうした変更により、走査時間の無駄の発生を、使用環境に応じて的確に抑制することが可能となる。したがって、必要な領域に投光ビームPBの照射を集中させることができる。
【0087】
また、第1実施形態によると、揺動運動の速度HS,LSは、変更可能となっている。こうした変更により、特定領域に対して適切な検出精度を発揮することができる。
【0088】
また、第1実施形態によると、有限の角度範囲ARのうち対応する測定領域MAに想定される測定対象物の距離が遠い角度である程、揺動運動における単位角度当たりの滞留時間は長い。測定対象物の距離が遠い角度では、長い滞留時間を利用して、高い放射照度にて投光ビームPBを照射することが可能となる。したがって、遠い距離に存在する測定対象物に照射する光量、さらには測定対象物から反射されて検出される反射ビームRBの光量を増大させることができる。故に、測定対象物の検出精度を高めることができる。
【0089】
また、第1実施形態によると、光検出装置10が角度範囲AR,ARNに対応した測定領域MA1を車両WCの前方外部とするように構成される場合、揺動運動において、有限の角度範囲AR,ARNのうち中央部ARcでの滞留時間は、側辺部ARsでの滞留時間よりも長くされる。そうすると、例えば比較的距離が遠い傾向にある車両WCに対して前方の他車両TC1を高い検出精度にて検出することができる。
【0090】
また、第1実施形態によると、光検出装置10が角度範囲AR,ARWに対応した測定領域MA2を車両WCの側方外部とするように構成される場合、揺動運動において、有限の角度範囲AR,ARWのうち側辺部ARsでの滞留時間は、中央部ARcでの滞留時間よりも長くされる。そうすると、道路脇の測定対象物、又は隣接する車線の測定対象物を、想定される距離に応じて適切な検出精度にて検出することができる。
【0091】
また、第1実施形態によると、走査ミラー34は、投光ビームPBを測定領域MAへ向けて反射する面と、測定領域MAからの反射ビームRBを反射する面を共通化した反射面36を有する。反射面36が共通化されることで、伸長方向ED0に細長く伸びた形状になり得る反射ビームRBの形状を極力乱さずに、検出することが可能となる。
【0092】
また、第1実施形態によると、投光光学系26と受光光学系49とは、伸長方向ED0に沿うように互いに並んで配置されている。反射面36が共通化され、共通の回転軸33を基準とした揺動運動により反射角も同等とされる投光ビームPB及び反射ビームRBに対して、投光ビームPBの投光光学系26による集光効率と、反射ビームRBの受光光学系49による集光効率とは、両方同時に最適化される。故に、投光ビームPBの放射照度に対して、検出される反射ビームRBに高い利得を得られるため、高い検出精度を実現することができる。
【0093】
また、第1実施形態によると、投光保持部材28は、有限の角度範囲ARの両端部AR1,AR2のうち走査ミラー34での反射角が最小となる端部AR2において反射される投光ビームPBとの干渉を回避するように、投光光軸POA側へ向かって凹む凹状部29を有する。凹状部29が凹む空間の体積に応じて、有限の角度範囲ARの機械的限界を、端部AR2側に拡大することが可能となるので、使用環境に応じて的確な走査を実現することができる。
【0094】
また、第1実施形態によると、投光ビームPBと反射ビームRBとは、フットプリントPF,RFを重複させた重複領域OLを筐体11の内部において有する。重複領域OLの体積に応じて、筐体11を小型化することができる。
【0095】
(他の実施形態)
以上、一実施形態について説明したが、本開示は、当該実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
【0096】
具体的に変形例1としては、発光部22におけるレーザ発振素子24の数は、適宜変更されてよい。すなわち、発光窓部23における小窓25の数は、1つ以上の範囲で適宜変更されてよい。
【0097】
変形例2としては、発光部22は、複数設けられてもよい。例えば、車載状態にて発光窓部23が水平方向に沿って並ぶように、発光部22が複数設けられてもよい。複数の発光部22に対して、1つの投光光学系26が設けられてもよく、発光部22の設置数と同数の投光光学系26が設けられてもよい。
【0098】
変形例3としては、投光光学系26の焦点距離は、収容室13の外部に発光窓部23を結像させるような焦点距離であればよく、無限遠に発光窓部23を結像させる焦点距離に限られない。
【0099】
変形例4としては、投光ビームPBのフットプリントPFと反射ビームRBのフットプリントPFとは、収容室13の内部のうち、走査ミラー34での反射後の空間にのみ、重複領域OLを有していてもよい。投光ビームPBのフットプリントPFと反射ビームRBのフットプリントPFとは、収容室13の内部にて全く重複領域OLを有していなくてもよい。これらの場合に、走査ミラー34の反射面36が両ビームPB,RBに対して別々に設けられていてもよく、走査ミラー34自体が両ビームPB,RBに対して別々に設けられていてもよい。
【0100】
変形例5としては、測定演算部68は、走査ミラー34の1回の揺動運動につき電気パルスのカウントをリセットしなくてもよく、走査ミラー34の複数回の揺動運動に対する電気パルスを積算カウントしてTOFを算出されてもよい。
【0101】
変形例6としては、検出部42に採用される受光素子44は、SPAD受光素子でなく、APD受光素子等の他の受光素子であってもよい。
【0102】
変形例7としては、有限の角度範囲ARの揺動における往復動のうち、往路及び復路の両方に対応して投光ビームPBが発光され、投光ビームPBが走査されてもよい。この場合に、検出部42が往路及び復路の両方での反射ビームRBを検出してもよい。さらに測定演算部68は、往路における所定の位相領域にて検出された反射ビームRBによる電気パルスと、復路における同位相領域にて検出された反射ビームRBによる電気パルスとを、同じヒストグラムへ積算カウントして、TOFを算出してもよい。
【0103】
変形例8としては、測定演算部68は、ヒストグラムを用いずにTOFを算出してもよい。例えば、電気パルスを検出したタイミングの平均値から、TOFを算出してもよい。
【0104】
変形例9としては、光検出装置10が角度範囲AR,ARNに対応した測定領域MAを車両WCの後方外部とするように構成されてもよい。この場合、揺動運動において、有限の角度範囲AR,ARNのうち中央部ARcでの滞留時間は、側辺部ARsでの滞留時間よりも長くされてもよい。
【0105】
変形例10としては、コントローラ61は、収容室13の外部に設けられてもよい。また、コントローラ61は、電子制御装置として、光検出装置10に対して独立した構成であってもよい。
【0106】
変形例11としては、検出部42に、測定演算回路が設けられていてもよい。コントローラ61の測定演算部68の演算は、検出部42の測定演算回路によって処理されてもよい。この場合に、ヒストグラムは、コントローラ61のRAM63又は記憶部64に一時的又は恒久的に記憶されてもよい。一方、検出部42に、上述の測定演算回路に加えて、RAM又は不揮発性の記憶媒体が設けられてもよい。この場合に、ヒストグラムは、検出部42のRAM63又は記憶媒体に一時的又は恒久的に記憶されてもよい。また、測定演算回路は、デコーダ46の選択回路47と分離されていてもよく、選択回路47と共通の集積回路の形態で実装されてもよい。
【0107】
本開示に記載のプロセッサ及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされた専用コンピュータの処理部により、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載のプロセッサ及びその手法は、専用ハードウエア論理回路により、実現されてもよい。また、本開示に記載のプロセッサ及びその手法は、ディスクリート回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載のプロセッサ及びその手法は、コンピュータプログラムを実行する1つ以上のコンピュータの処理部、1つ以上のハードウエア論理回路及び1つ以上のディスクリート回路の中から選ばれた任意の組み合わせにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0108】
22:発光部、23:発光窓部、33:回転軸、34:走査ミラー、AR,ARN,ARW:有限の角度範囲、ED0:伸長方向、ED1:伸長対応方向、MA,MA1,MA2:測定領域、PB:投光ビーム、RB:反射ビーム(戻り光)
図1
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