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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】空気圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20240312BHJP
   F04B 39/06 20060101ALI20240312BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20240312BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F04B39/00 101T
F04B39/06 G
F04D29/58 S
F04D29/66 N
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020019261
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021124079
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 健文
(72)【発明者】
【氏名】小堀 賢志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】圷 康輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎一郎
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-211380(JP,A)
【文献】実開昭64-036576(JP,U)
【文献】実開昭55-060473(JP,U)
【文献】実開昭57-147487(JP,U)
【文献】特開平04-287899(JP,A)
【文献】実開平03-045486(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00-39/16
F04D 1/00-13/16、
17/00-19/02、
21/00-25/16、
29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の羽根を有し、回転されて気体の流れを生成する回転部材と、
回転軸を有し、前記回転軸の一方側に前記回転部材が取り付けられ、前記回転部材を回転させる駆動部と、
前記回転部材及び前記駆動部を内部に収容するカバーと、
前記カバーの内部に収容され、前記回転部材の外周に面するよう、前記回転部材の回転中心線に対して垂直な平面内で、前記回転部材を隔てて両側に設けられる吸音材と、
を有し、
前記カバーは、前記回転軸の前記一方側に配置され、前記カバーの内部と前記カバーの外部とをつなぐ通気路を備えた第1壁部と、前記回転軸に沿った方向で前記第1壁部と間隔をおいて配置された第2壁部と、前記第1壁部と前記第2壁部を接続する第3壁部及び第4壁部と、を有し、
前記吸音材は、前記第3壁部及び前記第4壁部から離間した位置で、前記第1壁部の内面に固定されている、空気圧縮機
【請求項2】
前記吸音材は、別々に設けられた第1部材及び第2部材を有し、
前記第1部材と前記第2部材とが、前記回転部材の回転中心線に対して垂直な平面内で、前記回転部材を隔てて両側に設けられている、請求項1記載の空気圧縮機
【請求項3】
前記吸音材は、前記回転部材の回転中心線に対して垂直な平面内で、前記回転部材を囲むように円弧状または円形に設けられている、請求項1記載の空気圧縮機
【請求項4】
前記回転部材の回転力で作動されて気体を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部で圧縮された気体を貯溜するタンクと、
前記タンクの内部と接続された固定要素と、が更に設けられ、
前記吸音材は、前記回転軸に沿った方向で、前記固定要素と前記第1壁部との間に配置されている、請求項1乃至3の何れか1項記載の空気圧縮機
【請求項5】
前記吸音材は、前記固定要素の外面及び前記カバーの外面と比較して平坦な平坦面を有し、前記平坦面が前記回転部材に面するように設けられる、請求項4記載の空気圧縮機
【請求項6】
前記吸音材は、前記通気路と前記回転部材の軸方向に重なるように配置されている、請求項1乃至5の何れか1項記載の空気圧縮機
【請求項7】
前記吸音材は、前記回転部材の回転中心線に対して垂直な平面内で、前記回転部材の配置領域よりも外側に設けられている、請求項1乃至6の何れか1項記載の空気圧縮機
【請求項8】
前記吸音材は、前記第1壁部の内面に密着するように前記カバーに取り付けられている、請求項1記載の空気圧縮機
【請求項9】
前記回転部材は、前記回転部材の回転中心線に沿った方向の平面内で、前記吸音材の配置領域内に配置されている、請求項1乃至8の何れか1項記載の空気圧縮機
【請求項10】
前記回転部材は、前記回転部材の回転中心線に沿った方向に気体を流れさせる軸流ファンを含む、請求項1乃至9の何れか1項記載の空気圧縮機
【請求項11】
前記回転部材の回転力で作動されて気体を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部で圧縮された気体を貯溜するタンクと、
が更に設けられ、
前記圧縮部は、前記カバーの内部に設けられ、
前記圧縮部は、前記回転部材の回転によって前記カバーの内部を流れる気体により冷却される、請求項1記載の空気圧縮機
【請求項12】
前記吸音材の一部が、前記タンクに取り付けられている、請求項11記載の空気圧縮機
【請求項13】
前記カバーは、前記吸音材が前記第1壁部に取り付けられた状態で、前記回転部材及び前記駆動部に対して着脱可能とされる、請求項1記載の空気圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動部と、駆動部によって回転されて気体の流れを生成する回転部材と、を有する作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動部と、駆動部によって回転されて気体の流れを生成する回転部材と、を有する作業機の例が、特許文献1に記載されている。特許文献1には、作業機の一例として空気圧縮機が記載されている。この空気圧縮機は、圧縮部、空気タンク、回転部材としてのファン、ファンを回転させる駆動部としてのモータ、カバー、遮蔽部材及び脚部が記載されている。空気タンクは、筒形状であり、空気タンクは2個並べて設けられている。モータ及び圧縮部は、空気タンクの上に設けられている。カバーは、2個の空気タンクに取り付けられている。カバーは、吸気口を有する。モータ、圧縮部及びファンは、カバーによって覆われた空間内に設けられている。モータは回転軸を有し、ファンは回転軸に取り付けられている。
【0003】
脚部は、2個の空気タンクにそれぞれ取り付けられており、脚部は、設置個所に当接される。遮蔽部材は、カバーによって覆われた空間の外部で、2個の空気タンクにそれぞれ取り付けられている。遮蔽部材は、複数の脚部同士に跨って配置されている。遮蔽部材は、スポンジからなる吸音材を有する。
【0004】
特許文献1に記載された空気圧縮機は、モータの回転軸が回転されると、圧縮部で空気が圧縮され、圧縮された空気は、空気タンクへ貯溜される。ファンが回転軸によって回転されると、カバーの外部の空気が吸気口を通ってカバーの内部へ吸い込まれる。カバーの内部を流れる空気は、モータ及び圧縮部を冷却した後、空気タンクの間を通ってカバーの外部へ排出される。そして、遮蔽部材に設けられた吸音材は、空気が、2個の空気タンクの間を通って外部に排出される過程で生じる騒音を低減可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-211380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、回転部材によって流れが生成される気体に乱流が生じると、気体の流量が減少し、かつ、騒音が発生するという課題を認識した。
【0007】
本発明の目的は、回転部材によって流れが生成される気体の流量が減少することを抑制でき、かつ、騒音を抑制可能な作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態の空気圧縮機は、複数の羽根を有し、回転されて気体の流れを生成する回転部材と、回転軸を有し、前記回転軸の一方側に前記回転部材が取り付けられ、前記回転部材を回転させる駆動部と、前記回転部材及び前記駆動部を内部に収容するカバーと、前記カバーの内部に収容され、前記回転部材の外周に面するよう、前記回転部材の回転中心線に対して垂直な平面内で、前記回転部材を隔てて両側に設けられる吸音材と、を有し、前記カバーは、前記回転軸の前記一方側に配置され、前記カバーの内部と前記カバーの外部とをつなぐ通気路を備えた第1壁部と、前記回転軸に沿った方向で前記第1壁部と間隔をおいて配置された第2壁部と、前記第1壁部と前記第2壁部を接続する第3壁部及び第4壁部と、を有し、前記吸音材は、前記第3壁部及び前記第4壁部から離間した位置で、前記第1壁部の内面に固定されている
【発明の効果】
【0009】
一実施形態の作業機は、回転部材によって流れが生成される気体の流量が減少することを抑制でき、かつ、騒音を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の作業機の一実施形態である空気圧縮機を示す斜視図である。
図2】空気圧縮機の正面図である。
図3図2のIII -III 線における平面断面図である。
図4図2のIV-IV線における平面断面図である。
図5】カバーが取り外された空気圧縮機の正面図である。
図6】カバーの斜視図である。
図7】カバーに設けられた通気口の配置領域と、カバーの内部に設けられた要素との位置関係を示す模式図である。
図8】吸音材がカバー及びタンクに取り付けられている空気圧縮機の部分的な正面図である。
図9】吸音材が取り付けられるカバーの部分的な斜視図である。
図10】(A)は、他の吸音材が取り付けられたカバーの部分的な斜視図、(B)は、図10(A)の吸音材と通気口の配置領域との位置関係を示す模式図である。
図11】(A)は、他の吸音材が取り付けられたカバーの部分的な斜視図、(B)は、図11(A)の吸音材と通気口の配置領域との位置関係を示す模式図である。
図12】(A)は、更に他の吸音材が取り付けられたカバーの部分的な斜視図、(B)は、図12(A)の吸音材と通気口の配置領域との位置関係を示す模式図である。
図13】作業機の他の実施形態であるブロワの正面図である。
図14図13のブロワをV-V線に沿って破断した左側面断面図である。
図15図14のブロワをVI-VI線に沿って破断した正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の作業機に含まれるいくつかの実施形態のうち、代表的な実施形態である空気圧縮機及びブロワを、図面を参照して説明する。
【0012】
(実施形態1)
空気圧縮機の一例が、図1図2図3図4及び図5に示されている。なお、図各に示される同一の要素、または同等の要素には、それぞれ同一の符号を付してある。空気圧縮機10は、金属製のフレーム11、カバー12、電動モータ13、第1圧縮部14、第2圧縮部15、制御部16及び空気タンク17,18を有する。空気タンク17,18は金属製であり、空気タンク17,18は、接続アーム70によって接続されている。空気タンク17,18は、共に筒形状であり、かつ、圧縮された空気を貯溜する。空気タンク17の中心線A1と、空気タンク18の中心線A2とが、略平行に配置されている。空気タンク17,18に複数の脚部19がそれぞれ取り付けられている。複数の脚部19は、空気圧縮機10の設置場所20に接触する。
【0013】
フレーム11は、金属製であり、フレーム11は、空気タンク17から空気タンク18に亘って取り付けられている。フレーム11は、電動モータ13、第1圧縮部14、第2圧縮部15を支持している。複数のブラケット71が、空気タンク17,18にそれぞれ設けられている。複数のブラケット71は、中心線A1,A2に沿った方向に間隔をおいて設けられている。
【0014】
カバー12は、一例として合成樹脂製である。カバー12は、第1壁部29、第2壁部30、第3壁部84、第4壁部85及び天板86を有する。第1壁部29と第2壁部30とは、中心線B1に沿った方向に間隔をおいて配置されている。第3壁部84と第4壁部85とは、中心線A1,A2に沿った方向に間隔をおいて配置されている。空気圧縮機10の平面視すると、第1壁部29の中心線A1に沿った方向の両端は、第3壁部84及び第4壁部85にそれぞれ接続されている。空気圧縮機10を平面視すると、第2壁部30の中心線A2に沿った方向の両端は、第3壁部84及び第4壁部85にそれぞれ接続されている。天板86は、第1壁部29、第2壁部30、第3壁部84及び第4壁部85に接続されている。
【0015】
カバー12は、重力の作用方向である鉛直方向において、空気タンク17,18の上部に取り付けられている。具体的に説明すると、第1壁部29は、複数のブラケット71に対して固定要素、例えば、ねじ部材93によって固定されている。第2壁部30は、複数のブラケット71に対して固定要素、例えば、ねじ部材93によって固定されている。カバー12が空気タンク17,18に固定された状態で、第1壁部29、第2壁部30、第3壁部84、第4壁部85及び天板86により取り囲まれた空間が、内部C1である。
【0016】
通気路34が第1壁部29を貫通して設けられ、通気路35が第2壁部30を貫通して設けられている。通気路34は、カバー12の内部C1と外部C2とをつなぎ、通気路35は、カバー12の内部C1と外部C2とをつなぐ。通気路34は、カバー12の外部C2の空気を、内部C1に導く通路である。空気圧縮機10を正面視すると、通気路34は、中心線B1を含む異形の領域内に複数設けられている。通気路35は、カバー12の内部C1を流れる空気を、外部C2に導く通路である。通気路35は、中心線B1を含む異形の領域内に複数設けられている。
【0017】
グリップ22,23が、外部C2に設けられている。グリップ22,23は、中心線A1,A2に沿った方向に間隔をおいて設けられ、グリップ22,23は、接続アーム70にそれぞれ固定されている。空気圧縮機10は可搬式であり、作業者はグリップ22,23を両手で掴んで空気圧縮機10を持ち上げ、かつ、運搬することができる。
【0018】
電動モータ13、第1圧縮部14及び第2圧縮部15は、内部C1に設けられている。つまり、電動モータ13、第1圧縮部14及び第2圧縮部15は、カバー12によって覆われている。クランクケース24が内部C1に設けられ、かつ、フレーム11に固定されている。空気圧縮機10の平面断面視である図3において、クランクケース24は、中心線A1,A2に沿った方向で第1圧縮部14と第2圧縮部15との間に設けられている。
【0019】
クランクケース24は金属製であり、回転軸25がクランクケース24の内部から外部に亘って配置されている。中心線B1は、回転軸25の回転中心を表す仮想線である。空気圧縮機10を平面断面視すると、中心線B1は、中心線A1,A2に対して所定角度で交差、例えば、略90度の角度で交差している。
【0020】
電動モータ13は、固定子26及び回転子27を有する。固定子26はクランクケース24に対して回転しないように設けられている。回転子27は、回転軸25に取り付けられている。電動モータ13は、例えば、3相交流型の電動ブラシレスモータである。電動モータ13は、電力が供給されると回転子27が回転される。
【0021】
冷却ファン28が回転軸25に取り付けられている。冷却ファン28は、カバー12の内部C1に設けられている。冷却ファン28は、例えば、軸流ファンである。冷却ファン28は、図5及び図6のように、複数の羽根28A及び通気路28Bを有する。複数の羽根28Aは、中心線B1を中心として冷却ファン28の回転方向に間隔をおいて設けられている。複数の羽根28Aは、中心線B1を中心とする径方向で内側から外側に沿って延ばされている。通気路28Bは、中心線B1に沿った方向の孔である。冷却ファン28が回転されると空気の流れが生成される。
【0022】
図3に示す空気圧縮機10の平面断面視で、冷却ファン28、電動モータ13、クランクケース24及び制御部16は、第1壁部29と第2壁部30との間に中心線B1に沿って方向で互いに異なる位置に配置されている。中心線B1に沿った方向で第1壁部29から第2壁部30に近づくことに伴い、冷却ファン28、電動モータ13、クランクケース24及び制御部16の順序で配置されている。つまり、冷却ファン28、電動モータ13、クランクケース24及び制御部16のうち、冷却ファン28が、中心線B1に沿った方向で第1壁部29に最も近い位置に配置されている。空気圧縮機10の平面断面視で、冷却ファン28の配置領域の全部は、空気タンク17の配置領域内に位置する。
【0023】
冷却ファン28、電動モータ13、クランクケース24及び制御部16のうち、制御部16が、中心線B1に沿った方向で第2壁部30に最も近い位置に配置されている。電動モータ13及びクランクケース24は、中心線B1に沿った方向で冷却ファン28と制御部16との間に配置されている。電動モータ13は、中心線B1に沿った方向で冷却ファン28とクランクケース24との間に配置されている。クランクケース24は、中心線B1に沿った方向で電動モータ13と制御部16との間に配置されている。
【0024】
空気圧縮機10が設置場所20に置かれた状態、つまり、図5のように複数の脚部19が設置場所20に接触した状態において、設置場所20の表面が略水平であると、中心線A1,B1は、略水平である。また、冷却ファン28、電動モータ13、クランクケース24、第1圧縮部14及び第2圧縮部15は、重力の作用方向、つまり、鉛直方向で空気タンク17,18より上方に位置する。
【0025】
図3のように空気圧縮機10を平面断面視すると、中心線A1,A2に沿った方向で、グリップ22とグリップ23との間に、カバー12、冷却ファン28、電動モータ13、クランクケース24、第1圧縮部14及び第2圧縮部15が配置されている。第1圧縮部14は、第1シリンダ36、第1シリンダヘッド37、第1コネクティングロッド39、第1ピストン40、第1圧縮室41及び第1排気室42を有する。図5のように、空気圧縮機10を正面視すると、つまり、中心線B1に対して垂直な平面内において、第1シリンダ36、第1シリンダヘッド37は、冷却ファン28の径方向で冷却ファン28の配置領域より外側に配置されている。
【0026】
第1シリンダ36及び第1シリンダヘッド37は、クランクケース24に固定されている。第1コネクティングロッド39の第1端部は、回転軸25に連結されている。第1ピストン40は、第1コネクティングロッド39の第2端部に設けられている。第1ピストン40は、第1シリンダ36内で作動可能である。
【0027】
第2圧縮部15は、第2シリンダ45、第2シリンダヘッド46、第2コネクティングロッド48、第2ピストン49、第2圧縮室50及び第2排気室51を有する。第2シリンダ45及び第2シリンダヘッド46は、クランクケース24に固定されている。図5のように空気圧縮機10を正面視すると、第2シリンダ45及び第2シリンダヘッド46は、冷却ファン28の配置領域より外側に配置されている。
【0028】
第2ピストン49は、第2シリンダ45内に作動可能に設けられている。第2コネクティングロッド48の第1端部は、回転軸25に対して回転可能に連結されている。第2コネクティングロッド48の第2端部は、第2ピストン49に連結されている。
【0029】
接続管60の第1端部が第1排気室42に接続され、接続管60の第2端部が第2圧縮室50に接続されている。接続管60は、一例として金属製である。空気圧縮機10を正面視すると、接続管60は湾曲されており、接続管60は、電動モータ13及び冷却ファン28の上方を迂回するように配置されている。
【0030】
第2排気室51は、空気タンク17,18に接続されている。図3及び図4のように、空気タンク17と空気タンク18とを接続する接続管73,87が設けられている。2つの空気タンク17,18内の空気圧は同じである。接続管73は、ユニオン部88によって空気タンク17に接続されている。接続管87は、ユニオン部89によって空気タンク17に接続されている。ユニオン部88,89は、空気タンク17の上端から上に向けて突出されている。
【0031】
図3および図4のように、空気タンク17,18内の圧力を検出して信号を出力する圧力センサ74が設けられている。圧力センサ74は、図5のように空気タンク17の上端から上に向けて突出されている。空気タンク17は、減圧バルブ75を介して供給管76に接続されている。減圧バルブ75は、空気タンク17の上端から上に向けて突出されている。操作ノブ75Aが減圧バルブ75に取り付けられており、ユーザは、操作ノブ75Aを操作可能である。減圧バルブ75は、空気タンク17から供給管76へ送られる空気の圧力を調整、具体的には、減圧する。
【0032】
また、供給管76内の空気圧を表示する圧力計77が設けられている。カプラ78が供給管76に取り付けられている。カプラ78は、エアホースに取り付け及び取り外しが可能である。カプラ78はエアホースを介して作業機に接続される。
【0033】
空気タンク18は、減圧バルブ79を介して供給管80に接続されている。操作ノブ79Aが減圧バルブ79に取り付けられており、ユーザは、操作ノブ79Aを操作可能である。減圧バルブ79は、空気タンク18から供給管80へ送られる空気の圧力を調整、具体的には、減圧する。また、供給管80内の空気圧を表示する圧力計81が、図1のように設けられている。操作ノブ75A,79A及び圧力計77,81は、カバー12の外部に露出して配置されている。カプラ82が供給管80に取り付けられている。カプラ82は、エアホースに取り付け及び取り外しが可能である。カプラ82はエアホースを介して作業機に接続される。
【0034】
図5のように、リリーフバルブ90が空気タンク17に取り付けられている。リリーフバルブ90は、空気タンク17の上端から上に向けて突出されている。リリーフバルブ90は、空気タンク17,18内の空気圧が所定圧以上になることを抑制する。リリーフバルブ90は、空気タンク17,18内の空気圧が所定圧未満では閉じられている。リリーフバルブ90は、空気タンク17,18内の空気圧が所定圧以上であると開き、空気タンク17,18内の圧縮空気を排出させる。
【0035】
カバー12の天板86に操作部83が設けられており、操作部83は、電源スイッチ、表示パネル等を有する。制御部16は、第1圧縮部14及び第2圧縮部15の作動及び停止を制御する機構である。制御部16は、入力インタフェース、出力インタフェース、中央演算処理部及び記憶部を有するマイクロコンピュータである。
【0036】
インバータ回路がカバー12の内部C1に設けられている。制御部16はインバータ回路を制御する。カバー12の内部C1に、電動モータ13の回転方向の位相を検出するセンサ、電動モータ13の回転数を検出するセンサが設けられている。圧力センサ74、電源スイッチ及び各種のセンサの信号は制御部16に入力される。なお、制御部16がインバータ回路を含む構成でもよい。
【0037】
次に、作業者が空気圧縮機10の使用する例を説明する。作業者が操作部83の電源スイッチをオンすると、制御部16はインバータ回路を制御し、電動モータ13の回転子27が回転する。回転子27及び回転軸25が一体回転すると、回転軸25のトルクで第1ピストン40及び第2ピストン49が、それぞれ往復動される。
【0038】
第1ピストン40が作動されると、カバー12の外部C2の空気は、第1圧縮部14の第1圧縮室41に吸入され、第1圧縮室41で空気が圧縮される。第1圧縮室41で圧縮された空気は、第1排気室42へ排出される。第2ピストン49が作動されると、第1排気室42の空気は、接続管61を通って第2圧縮部15の第2圧縮室50に吸い込まれる。第2圧縮室50は、空気を更に圧縮し、第2圧縮室50で圧縮された空気は、第2排気室51を経由して空気タンク17,18へ送られる。なお、第2圧縮室50の空気圧は、第1圧縮室41の空気圧よりも高い。
【0039】
このように、空気圧縮機10は、空気を2段階で圧縮する。作業者は、空気タンク17,18内の空気を、減圧バルブ75により減圧して供給管76に送ること、減圧バルブ79により減圧して供給管80に送ること、のうち少なくとも一方を行うことが可能である。
【0040】
制御部16は、圧力センサ74の信号を処理して空気タンク17,18内の空気圧を検出する。制御部16は、記憶部に記憶されているデータに基づいて、電動モータ13の回転、停止、回転数及びトルクを制御する。制御部16は、電源スイッチがオンされていると、空気タンク17,18内の空気圧が、目標圧力まで上昇するように電動モータ13の回転数、トルクを制御する。制御部16は、空気タンク17,18内の空気圧が目標圧力になると、電動モータ13を停止させる。
【0041】
さらに、冷却ファン28は回転軸25と共に、図5で時計回りに回転される。すると、カバー12の外部C2の空気は、複数の通気路34を通って内部C1へ吸い込まれる。空気の一部は、冷却ファン28の径方向で冷却ファン28よりも外側を通る。また、空気の一部は、通気路28Bを通過する。空気は、内部C1で第2壁部30に近づくように流れ方向D1に沿って流れる。電動モータ13、第1圧縮部14、第2圧縮部15、クランクケース24及び制御部16の熱は、内部C1を流れる空気に伝達される。内部C1を流れた空気は、通気路35から外部C2へ排出される。
【0042】
したがって、電動モータ13、第1圧縮部14、第2圧縮部15、クランクケース24及び制御部16のそれぞれの熱は空気に伝達され、これらの要素の温度上昇が抑制、つまり、冷却される。空気が内部C1を流れるため、各要素と空気との間で、強制対流による熱伝達が行われる。
【0043】
本開示の空気圧縮機10は、吸音材91,92を有する。吸音材91,92は、内部C1を流れる空気を整流する機能と、騒音を抑制する機能と、を備えている。吸音材91,92は、合成樹脂製の多孔質体である。合成樹脂製の多孔質体は、ウレタン製のスポンジを含む。吸音材91,92は、合成樹脂製の多孔質体に代えて、ガラスを原料とするグラスウールでもよい。吸音材91と吸音材92とが別々に設けられ、吸音材91,92は、例えば両面テープにより第1壁部29の内面にそれぞれ固定されている。空気の流れ方向D1において、吸音材91,92は、通気路34よりも下流に配置されている。
【0044】
空気圧縮機10を図5のように正面視すると、吸音材91と吸音材92とが、中心線A1に沿った方向に間隔をおいて配置されている。空気圧縮機10を正面視すると、吸音材91,92は、空気タンク17の上端から上方に向けて突出されている。空気圧縮機10を正面視すると、冷却ファン28は、中心線A1に沿った方向で吸音材91と吸音材92との間に配置され、表面91A及び表面92Aは、冷却ファン28の外周に面するように配置されている。つまり、表面91A及び表面92Aと、冷却ファン28の外周端とが、対向して配置されている。
【0045】
空気圧縮機10を正面視すると、吸音材91は、中心線A1に沿った方向で冷却ファン28とカバー12との間に配置され、吸音材92は、中心線A1に沿った方向で冷却ファン28とカバー12との間に配置される。空気圧縮機10を正面視すると、吸音材91,92は、冷却ファン28の径方向で冷却ファン28よりも外側に配置されている。
【0046】
吸音材91は、略平坦な表面91Aを有し、吸音材92は、略平坦な表面92Aを有する。空気圧縮機10を正面視すると、表面91Aと表面92Aとが平行に配置されている。表面91Aと表面92Aとの間に、冷却ファン28が設けられている。表面91Aは、吸音材91における中心線A1に沿った方向で、冷却ファン28に最も近い箇所に設けられている。表面91Aと冷却ファン28との間に他の部材が介在せず、表面91Aは、冷却ファン28に面するように配置される。つまり、表面91Aと、冷却ファン28の外周端とが、対向して配置されている。表面92Aは吸音材92における中心線A1に沿った方向で冷却ファン28の側に形成される。表面92Aと冷却ファン28との間には他の部材が介在せず、表面92Aは冷却ファン28に面するように配置される。つまり、表面92Aと、冷却ファン28の外周端とが、対向して配置されている。
【0047】
図3のように、空気圧縮機10を平面断面視すると、吸音材91,92の全部は、空気タンク17の配置領域内に配置されている。また、冷却ファン28は、中心線A1に沿った方向で、吸音材91と吸音材92との間に配置されている。さらに、吸音材92は、中心線B1に沿った方向で、第1壁部29と第1圧縮部14との間に配置されている。さらに、吸音材91は、中心線B1に沿った方向で第1壁部29と第2圧縮部15との間に配置されている。
【0048】
空気圧縮機10を平面断面視すると、中心線B1に沿った方向で、吸音材92の配置領域は、冷却ファン28の配置領域よりも広い。空気圧縮機10を平面断面視すると、中心線B1に沿った方向で、冷却ファン28の配置領域の少なくとも一部と、吸音材91,92の配置領域の少なくとも一部と、が重なっている。具体的には、中心線B1に沿った方向で、冷却ファン28の配置領域の全部は、吸音材92の配置領域内にある。
【0049】
さらに、空気圧縮機10を平面断面視すると、中心線B1に沿った方向、及び内部C1における空気の流れ方向D1において、吸音材91は、第1壁部29と、圧力センサ74、リリーフバルブ90及び減圧バルブ75との間に設けられている。さらに、空気圧縮機10を平面断面視すると、中心線B1に沿った方向、及び内部C1における空気の流れ方向D1において、吸音材92の一部は、第1壁部29と、接続管73及びユニオン部88との間に設けられている。
【0050】
さらに、空気圧縮機10を構成する要素の位置関係は、次の通りである。空気圧縮機10を、図5のように正面視すると、接続管73,87及びユニオン部88,89は、中心線A1に沿った方向でグリップ23とクランクケース24との間に配置されている。接続管73の一部は、フレーム11と第1圧縮部14との間に配置されている。
【0051】
空気圧縮機10を図5のように正面視、または、図3のように平面断面視すると、中心線B1を中心とする冷却ファン28の径方向において、接続管73,87及びユニオン部88,89は、冷却ファン28よりも外側に配置されている。また、空気圧縮機10を図3のように平面断面視すると、中心線B1に沿った方向で、接続管73及びユニオン部88の配置領域のそれぞれと、冷却ファン28の配置領域とが、一部で重なっている。
【0052】
空気圧縮機10を図5のように正面視すると、中心線A1に沿った方向で、クランクケース24とグリップ22との間に、圧力センサ74及び減圧バルブ75が設けられている。空気圧縮機10を正面視または平面断面視すると、中心線B1を中心とする冷却ファン28の径方向において、リリーフバルブ90、圧力センサ74及び減圧バルブ75は、冷却ファン28よりも外側に配置されている。また、空気圧縮機10を平面断面視すると、中心線B1に沿った方向で、圧力センサ74、減圧バルブ75、リリーフバルブ90の配置領域のそれぞれと、冷却ファン28の配置領域とが、一部で重なっている。
【0053】
さらに、空気圧縮機10を正面視すると、中心線A1に沿った方向で、冷却ファン28と減圧バルブ75との間に、圧力センサ74が設けられている。さらに、空気圧縮機10を正面視すると、中心線A1に沿った方向で、圧力センサ74と冷却ファン28との間に、リリーフバルブ90が設けられている。
【0054】
さらに、空気圧縮機10を正面視すると、接続管73の配置領域の一部と、吸音材91の配置領域の一部とが重なっている。さらに、空気圧縮機10を正面視すると、圧力センサ74の配置領域の少なくとも一部及び、リリーフバルブ90の配置領域の少なくとも一部は、吸音材91の配置領域の一部と重なっている。
【0055】
図7は、空気圧縮機10の正面視において、カバー12に設けられた複数の通気路34の配置領域E1と、内部C1に設けられた要素との位置関係を示す模式図である。中心線B1は、複数の通気路34の配置領域E1内に位置する。冷却ファン28の配置領域の少なくとも一部、具体的に説明すると、冷却ファン28の配置領域の略全部は、通気路34の配置領域E1内に位置する。また、吸音材91の少なくとも一部、及び吸音材92の少なくとも一部は、通気路34の配置領域E1内に配置されている。さらに、圧力センサ74及びリリーフバルブ90の配置領域の全部、及び減圧バルブ75の配置領域の一部は、通気路34の配置領域E1内に配置されている。
【0056】
冷却ファン28が回転されると、空気が外部C2から通気路34を通って内部C1に吸い込まれる。内部C1に吸い込まれた空気の一部は、吸音材91の表面91Aと冷却ファン28との間、吸音材92の表面92Aと冷却ファン28との間を通過する。このため、空気の一部は、略平坦な表面91A,92Aによって整流される。表面91A,92Aは、中心線B1と平行な平坦面であり、空気の流動方向を規制するフローガイドとなる。表面91A,92Aのそれぞれは、カバー12、減圧バルブ75、圧力センサ74、ユニオン部88のそれぞれにおける冷却ファン28に近い箇所の外面と比較して平坦である。このため、“内部C1を流れる空気が、減圧バルブ75、圧力センサ74、ユニオン部88等に接触して乱流または旋回流が形成されること”を抑制できる。
【0057】
特に、図5のように、中心線B1に対して垂直な平面内において、吸音材91の少なくとも一部である表面91Aは、圧力センサ74及び減圧バルブ75弁と、冷却ファン28との間に配置されている。また、吸音材92の少なくとも一部である表面92Aは、接続管73及びユニオン部88と、冷却ファン28との間に配置されている。このため、表面91A,92Aと冷却ファン28との間を空気が流れる過程で、空気は、圧力センサ74、減圧バルブ75弁、接続管73、ユニオン部88に接触しない。したがって、内部C1で流動する空気の運動エネルギの損失が抑制される。すると、冷却ファン28によって輸送される空気の流量が減少することを抑制できる。つまり、冷却対象部に対する冷却性能が低下することを抑制できる。また、吸音材91,92によって空気の振動、つまり、騒音が抑制される。さらに、空気の乱流が抑制されるため、吸音材91,92が騒音を低減させる機能が向上する。
【0058】
さらに、吸音材91,92は、第1壁部29の内面に固定されており、カバー12を空気タンク17,18に取り付ける過程、または、カバー12を空気タンク17,18から取り外する過程において、吸音材91,92が圧力センサ74、減圧バルブ75、ユニオン部88等に接触しないように、吸音材91,92をカバー12に取り付ける位置が定められている。
【0059】
また、吸音材91は、図6に示す切り欠き部91Bを有する。したがって、吸音材91がブラケット71に接触することを防止できる。さらに、吸音材92は、切り欠き部92Bを有する。したがって、吸音材92が、ブラケット71及びユニオン部88に接触することを防止できる。
【0060】
図8には、吸音材91,92に加えて吸音材94,95を有する空気圧縮機10が示されている。空気圧縮機10の正面視で、吸音材94,95は、冷却ファン28の径方向で、冷却ファン28よりも外側に配置されている。空気圧縮機10の正面視であり、かつ、中心線A1に沿った方向において、吸音材94,95は、吸音材91と吸音材92との間に設けられている。空気圧縮機10の平面視で、中心線B1に沿った方向における吸音材94,95の配置領域の一部は、冷却ファン28の配置領域の一部と重なっている。
【0061】
重力の作用方向で、吸音材94,95の配置領域の一部は、冷却ファン28と空気タンク17との間に配置されている。吸音材94,95は、両面テープによって空気タンク17に固定されている。空気圧縮機10の正面視で、吸音材94の表面94Aは中心線B1を中心とする円弧面である。空気圧縮機10の正面視で、吸音材95の表面95Aは中心線B1を中心とする円弧面である。表面94A,95Aの半径は同一である。吸音材94,95は、空気の流れ方向で通気路34よりも下流に配置されている。
【0062】
カバー12が空気タンク17,18に固定された状態において、冷却ファン28が回転されると、カバー12の内部C1に吸い込まれた空気の一部は、冷却ファン28と吸音材91,92との間、及び冷却ファン28と吸音材94,95との間を通過する。表面94A,95Aは、空気の乱流を抑制するフローガイドとして機能する。したがって、冷却対象部に対する冷却性能が低下することを抑制できる。また、吸音材91,92,94,95によって騒音が抑制される。
【0063】
カバー12は、下部が開口された中空形状である。カバー12の下部は、図5のように空気圧縮機10を正面視したとき、冷却ファン28に対して空気タンク17,18が設けられている空間を意味する。また、カバー12のうち、空気タンク17,18に接触する箇所を含む領域を意味する。このため、カバー12を空気タンク17,18に取り付ける際には、冷却ファン28が、カバー12の開口部から上方に向かって、カバー12の内部C1へ進入する。カバー12が、空気タンク17,18に取り付けられた状態において、吸音材94,95は、冷却ファン28の下方に位置する。
【0064】
このため、吸音材94,95がカバー12に固定されていることを仮定すると、カバー12が空気タンク17,18に取り付けられる際に、吸音材94,95と冷却ファン28とが干渉してしまい、カバー12を空気タンク17,18に取り付ける作業性が悪い。しかし、本実施形態では、吸音材94,95を両面テープによって空気タンク17に固定する構成としてある。このため、カバー12を空気タンク17,18に取り付ける際に、吸音材94,95と冷却ファン28とが干渉することを抑制できる。したがって、カバー12を空気タンク17,18に取り付ける場合の作業性が向上し、かつ、メンテナンスの際の作業性が向上する。
【0065】
図9には、吸音材91,92をカバー12に取り付ける他の例が示されている。第1壁部29の内面には、2本のリブ96,97が設けられている。空気圧縮機10の正面視で、2本のリブ96,97は、冷却ファン28の両側に配置されている。また、2本のリブ96,97は、中心線に対して交差するように、例えば、中心線B1に対して略90度の角度で交差する方向に沿って配置されている。2本のリブ96,97は合成樹脂製であり、かつ、2本のリブ96,97は、カバー12と共に一体成形されている。なお、2本のリブ96,97と、カバー12とが別部材で設けられ、2本のリブ96,97がカバー12に固定されていてもよい。
【0066】
吸音材91には取り付け溝91Cが設けられ、吸音材92には取り付け溝92Cが設けられている。カバー12が空気タンク17,18から取り外されている状態で、ユーザが、吸音材91,92をカバー12に対して移動させると、リブ96が取り付け溝91Cに挿入され、かつ、リブ97が取り付け溝92Cに挿入される。ユーザが、吸音材91,92を停止させると、吸音材91とリブ96とが係合され、吸音材92とリブ97とが係合され、吸音材91,92が第1壁部29に固定される。図9に示された吸音材91,92の効果は、両面テープでカバー12に固定された吸音材91,92の効果と同じである。
【0067】
図10(A)及び図10(B)には、吸音材の他の形状例が示されている。吸音材98は、空気圧縮機10の正面視で、中心線B1を中心とする円弧状、または、U字形状である。空気圧縮機10の正面視で、中心線B1を中心と円周方向で吸音材98の上端が開口されている。吸音材98は、冷却ファン28の径方向で冷却ファン28より外側に配置されている。空気圧縮機10を正面視すると、吸音材98のうち、冷却ファン28に最も近い箇所の表面98Aは、中心線B1を中心とする円弧面である。空気圧縮機10を正面視すると、吸音材98の略全部は、通気路35の配置領域E1内に配置されている。空気圧縮機10の平面視で、中心線B1に沿った方向における吸音材98の配置領域の少なくとも一部は、冷却ファン28の配置領域の一部と重なっている。また、表面98Aは、中心線B1と平行である。吸音材98は、空気の流れ方向で通気路34よりも下流に配置されている。
【0068】
冷却ファン28が回転されると、内部C1に吸い込まれた空気の一部は、冷却ファン28と表面98Aとの間を通過する。表面98Aは空気の流れ方向を規制するフローガイドの役割を果たす。図10(B)のように、中心線B1に対して垂直な平面内において、吸音材98の少なくとも一部である表面98Aは、圧力センサ74、減圧バルブ75、接続管73及びユニオン部88と、冷却ファン28との間に設けられている。このため、表面98Aと冷却ファン28との間を空気が流れる過程で、空気は、圧力センサ74、減圧バルブ75、接続管73、ユニオン部88に接触せず、空気の乱流が抑制される。吸音材98は、騒音の発生を抑制する。図10(A)、図10(B)に示された吸音材98の効果は、図7に示された吸音材91,92の効果と同じである。
【0069】
吸音材98は、空気タンク17の上部に固定されていてもよいし、カバー12の第1壁部29の内面に両面テープにより固定されていてもよい。吸音材98が空気タンク17の上部に固定されていると、カバー12を空気タンク17,18に取り付ける過程、または、カバー12を空気タンク17,18から取り外す過程において、ユーザがカバー12を空気タンク17,18に対して上下方向に移動させた場合に、吸音材98と冷却ファン28とが接触することを回避できる。
【0070】
吸音材98が両面テープによって第1壁部29の内面に固定されている場合、カバー12を空気タンク17,18に取り付ける過程、または、カバー12を空気タンク17,18から取り外す過程において、ユーザがカバー12を弾性変形させるか、または、カバー12を中心線B1に沿った方向に移動させる。その結果、吸音材98と冷却ファン28とが接触することを回避できる。
【0071】
図11(A)及び図11(B)には、吸音材の他の形状例が示されている。吸音材99は、空気圧縮機10の正面視で、中心線B1を中心とする円弧状、つまり、アーチ形状である。吸音材99は、第1壁部29の内面に両面テープによって取り付けられている。吸音材99が第1壁部29に固定された状態において、中心線B1を中心と円周方向で吸音材99の下端が開口されている。開口部の間隔は、冷却ファン28の直径よりも大きい。空気圧縮機10の正面視で、吸音材99は、冷却ファン28の径方向で冷却ファン28より外側に配置されている。
【0072】
空気圧縮機10を正面視すると、吸音材99のうち、冷却ファン28に最も近い箇所の表面99Aは、中心線B1を中心とする円弧面である。また、表面99Aは、中心線B1と平行である。空気圧縮機10を正面視すると、吸音材99の一部は、通気路35の配置領域E1内に配置されている。空気圧縮機10の平面視で、中心線B1に沿った方向における吸音材98の配置領域の少なくとも一部は、冷却ファン28の配置領域の一部と重なっている。また、表面99Aは、中心線B1と平行である。吸音材99は、空気の流れ方向で通気路34よりも下流に配置されている。
【0073】
冷却ファン28が回転されると、内部C1に吸い込まれた空気の一部は、冷却ファン28と表面99Aとの間を通過する。表面99Aは空気の流れ方向を規制するフローガイドの役割を果たす。図11(B)のように、中心線B1に対して垂直な平面内において、吸音材99の少なくとも一部である表面99Aは、圧力センサ74、減圧バルブ75、接続管73及びユニオン部88と、冷却ファン28との間に設けられている。このため、表面99Aと冷却ファン28との間を空気が流れる過程で、空気は、圧力センサ74、減圧バルブ75、接続管73、ユニオン部88に接触せず、空気の乱流が抑制される。吸音材99は、騒音の発生を抑制する。
【0074】
図11(A)及び図11(B),に示された吸音材99の効果は、図7に示された吸音材91,92の効果と同じである。さらに、吸音材99の下部が開口されているため、カバー12を空気タンク17,18に取り付ける過程、または、カバー12を空気タンク17,18から取り外す過程において、ユーザがカバー12を空気タンク17,18に対して上下方向に移動させた場合に、吸音材99と冷却ファン28とが接触することを回避できる。
【0075】
図12(A)及び図12(B)には、吸音材の他の形状例が示されている。吸音材100は、空気圧縮機10の正面視で、中心線B1を中心とする円形、つまり、環状である。吸音材100は、冷却ファン28の径方向で冷却ファン28よりも外側に配置されている。空気圧縮機10を正面視すると、吸音材100の内周面である表面100Aの直径は、冷却ファン28の外径よりも大きい。
【0076】
また、表面100Aは、中心線B1と平行である。空気圧縮機10を正面視すると、吸音材100の一部は、通気路35の配置領域E1内に配置されている。空気圧縮機10の平面視で、中心線B1に沿った方向における吸音材100の配置領域の少なくとも一部は、冷却ファン28の配置領域の一部と重なっている。吸音材100は、空気の流れ方向で通気路34よりも下流に配置されている。
【0077】
冷却ファン28が回転されると、内部C1に吸い込まれた空気の一部は、冷却ファン28と表面100Aとの間を通過する。表面100Aは空気の流れ方向を規制するフローガイドの役割を果たす。図12(B)のように、中心線B1に対して垂直な平面内において、吸音材100の少なくとも一部である表面100Aは、圧力センサ74、減圧バルブ75、接続管73及びユニオン部88と、冷却ファン28との間に設けられている。このため、表面100Aと冷却ファン28との間を空気が流れる過程で、空気は、圧力センサ74、減圧バルブ75弁、接続管73、ユニオン部88に接触せず、空気の乱流が抑制される。吸音材100は、騒音の発生を抑制する。図12(A)及び図12(B)に示された吸音材100の効果は、図7に示された吸音材91,92の効果と同じである。
【0078】
吸音材100は、空気タンク17の上部に固定されていてもよいし、カバー12の第1壁部29の内面に両面テープにより固定されていてもよい。ユーザは、カバー12を空気タンク17,18に取り付ける過程、または、カバー12を空気タンク17,18から取り外す過程において、ユーザがカバー12を弾性変形させるか、または、カバー12を中心線B1に沿った方向に移動させる。その結果、吸音材100と冷却ファン28とが接触することを回避できる。
【0079】
(実施形態2)
作業機の実施形態であるブロワの一例が、図13図14及び図15に示されている。ブロワ200は、空気を吸い込んで圧縮し、かつ、圧縮された空気を対象物に吹き付けることが可能である。ブロワ200は、ボリュートケース201、エンジンケース202、エンジン203、送風ファン204、ファンカバー205及び吸音材206を有する。ボリュートケース201の外周面に接続されたハンドル部207が設けられている。スロットルレバー220が、ハンドル部207に設けられている。エンジンケース202は、ボリュートケースに201に取り付けられ、燃料タンク208が、エンジンケース202に取り付けられている。
【0080】
エンジンケース202とボリュートケース201との間にエンジン収容室209が設けられ、エンジン203がエンジン収容室209に設けられている。エンジン203は、ピストンと、ピストンが連結されたクランクシャフト211と、を有する。クランクシャフト211は、中心線A4を中心として回転可能である。
【0081】
ボリュートケース201は、第1ケース213及び第2ケース214を有し、第1ケース213及び第2ケース214は、中心線A4に沿った方向に並べて配置されている。第1ケース213及び第2ケース214は、ねじ部材217によって固定されている。第1ケース213を中心線A4に沿った方向に貫通する通気路215が設けられている。ボリュートケース201内にボリュート室212及び吐出路210が設けられている。吐出路210は、ボリュート室212につながっている。ボリュート室212の内周面において、中心線A4を中心とする半径は、吐出路210に近づくことに伴い滑らかに大きくなっている。
【0082】
送風ファン204は、ボリュート室212に設けられている。送風ファン204は、連結部材225を介してクランクシャフト211に取り付けられている。送風ファン204は、クランクシャフト211の回転中心である中心線A4を中心として回転される。送風ファン204は、図15において反時計回りに回転される。送風ファン204は、径方向で内側から外側に向けて延ばされた羽根204Aを複数備えている。複数の羽根204Aは、送風ファン204の回転方向に沿って間隔をおいて設けられている。中心線A4に対して垂直な平面内において、送風ファン204の外周形状は円形である。ファンカバー205は、第1ケース213に取り付けられている。
【0083】
ファンカバー205は合成樹脂製である。ファンカバー205は、吸気口205Aを多数備えている。吸気口205Aは、ボリュートケース201の外部B3と、通気路215とをつなぐ。ノズル取り付け部216が、ボリュートケース201から突出されている。吐出路210は、ボリュートケース201内からノズル取り付け部216内に亘って設けられている。ノズル取り付け部216には、ノズルが取り付け及び取り外しされる。
【0084】
吸音材206が、ボリュート室212及び吐出路210に亘って設けられている。図15のように、中心線A4に対して垂直な平面内において、吸音材206は、ボリュート室212では円弧状に配置されている。ボリュート室212における冷却ファン28と吸音材206との間に通気路226が設けられている。ノズル取り付け部216の内面と、吸音材206との間に吐出路210が設けられている。吐出路210では直線状に配置されている。吐出路210は、通気路226につながっている。送風ファン204の径方向における通気路226の断面積は、吐出路210に近づくことに伴い滑らかに拡大されている。
【0085】
中心線A4に対して垂直な平面内において、吸音材206は、送風ファン204の径方向で送風ファン204より外側に配置されている。図14における中心線A4に沿った方向において、吸音材206の配置領域の少なくとも一部は、送風ファン204の配置領域の少なくとも一部と重なっている。吸音材206の材質は、吸音材91,92と同じである。吸音材206は、ボリュートケース201の内面及びノズル取り付け部216の内面に取り付けられている。吸音材206は、例えば、両面テープにより固定されている。
【0086】
脚部221がボリュートケース201の外面から突出して設けられ、サポートハンドル222が脚部221に接続されている。ブロワ200は、脚部221が設置場所223に接触した状態で置かれる。
【0087】
ユーザは、ハンドル部207を握ってブロワ200を持ち上げる。ユーザがスロットルレバー220を操作すると、燃料タンク208の燃料がエンジン203に供給され、かつ、燃焼されてピストンが作動する。ピストンの作動力により、クランクシャフト211が所定方向に回転される。クランクシャフト211は、中心線A4を中心として回転される。外部B3の空気は、吸気口205A及び通気路215を通ってボリュートケース201の内部、つまり、ボリュート室212へ吸い込まれる。ボリュート室212へ吸い込まれた空気は、送風ファン204の回転による遠心力により、羽根204Aに沿って送風ファン204の径方向で内側から外側に向けて流れることで圧縮される。圧縮空気は、送風ファン204の回転方向に沿って通気路226を流れ、かつ、吐出路210へ流れ方向D3で流れる。さらに、圧縮空気はノズルから対象物、例えば、落ち葉、刈り草、塵埃に吹き付けられる。
【0088】
吸音材206の内周面である表面206Aは、通気路226における空気の流れを、中心線A4を中心とする略円弧状となるように規制するフローガイドである。したがって、空気の乱流が抑制される。また、吸音材206は、騒音を抑制する。なお、ブロワ200は、エンジン203に代えて電動モータを備え、電動モータの回転力によって送風ファン204が回転されてもよい。
【0089】
(技術的意味の説明)
実施形態1で開示された技術的意味の一例は、次の通りである。空気圧縮機10は、作業機の一例である。冷却ファン28は、回転部材の一例である。電動モータ13は、駆動部及びブラシレスモータの一例である。吸音材91,92,98,99,100は、吸音材の一例である。羽根28Aは、羽根の一例である。中心線B1は、回転中心線の一例である。図5図7図8図10(B)、図11(B)及び図12(B)は、“回転中心線に対して垂直な平面”の一例である。吸音材91は、第1部材の一例であり、吸音材92は、第2部材の一例である。接続管73、ユニオン部88、圧力センサ74、減圧バルブ75は、固定要素の一例である。
【0090】
カバー12は、カバーの一例である。通気路34は、通気路の一例である。内部C1は、カバーの内部の一例である。冷却ファン28は、軸流ファンの一例である。第1圧縮部14及び第2圧縮部15は、圧縮部の一例である。空気タンク17,18は、タンクの一例である。表面91A,92A,98A,99A,100Aは、平坦面の一例である。
【0091】
実施形態2で開示された技術的意味の一例は、次の通りである。ブロワ200は、作業機の一例である。送風ファン204は、回転部材の一例である。エンジン203または電動モータは、駆動部の一例である。吸音材206は、吸音材の一例である。羽根204Aは、羽根の一例である。通気路226は、通気路の一例である。ボリュートケース201及びエンジンケース202は、カバーの一例である。
【0092】
また、“回転部材の外周に面するように配置される吸音材”は、“回転部材の外周端と対向して配置される吸音材”との意味を含む。さらに、“回転部材の径方向で、回転部材よりも外側に配置される吸音材”との意味を含む。さらに、“平坦面が回転部材に面するように設けられる”は、“平坦面が回転部材と対向して設けられる”との意味を含む。さらに、“平坦面が回転部材に面するように設けられる”は、“平坦面が、回転部材の径方向で回転部材よりも外側に設けられる”との意味を含む。
【0093】
(変更例及び応用例の説明)
作業機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、作業機は、圧縮機及び送風機を含む。また、作業機は、ファン及びブロワを含む。作業機は、気体を圧縮して対象物へ吹き付けるものの他、気体と共に対象物を吸い込む集塵機でもよい。さらに、回転部材の回転によって流れる気体は、空気に代えて不活性ガスでもよい。不活性ガスは、例えば、窒素ガス及び希ガスを含む。
【符号の説明】
【0094】
10…空気圧縮機、12…カバー、13…電動モータ、14…第1圧縮部、15…第2圧縮部、17,18…空気タンク、28…冷却ファン、28A,204A…羽根、34,226…通気路、73…接続管、74…圧力センサ、75…減圧バルブ、88…ユニオン部、91,92,98,99,100,206…吸音材、200…ブロワ、201…ボリュートケース、202…エンジンケース、203…エンジン、204…送風ファン、B1…中心線、C1…内部
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