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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240312BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240312BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B41J2/165 505
B41J2/165 205
B41J2/01 303
B41J2/165 301
B41J2/165 101
B41J2/175 113
B41J2/175 503
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020022562
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2020131713
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2019026677
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】原部 翔
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-210048(JP,A)
【文献】特開2018-039124(JP,A)
【文献】特開2017-074758(JP,A)
【文献】特開2000-117994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク吐出面を有し、前記インク吐出面からインクを記録媒体に吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに前記インクを供給するインク供給機構と、
正逆回転可能なモーターと、
制御部と
を備え、
前記インク供給機構は、ポンプを有し、
前記ポンプは、前記モーターの回転方向に応じて、前記インクに正圧、又は負圧を加え、
前記制御部は、前記モーターを制御することで、前記インク吐出面を浄化するための浄化動作を行い、
前記浄化動作は、
前記ポンプが前記インクに正圧を加えるパージ動作と、
前記パージ動作の終了後、前記ポンプが前記インクに負圧を加えるフォロー動作と
を含み、
前記インク供給機構は、第2室を更に有し、
前記インク供給機構内には、前記インクが通る経路として、前記ポンプが設けられており、前記第2室を経由しない経路と、前記ポンプが設けられておらず、前記第2室を経由する経路の、少なくとも2つの経路があり、
前記第2室に所定の閾値を超える負圧が加わった場合、前記インクは前記第2室を通過し、前記インク供給機構は、前記第2室を経由した前記インクを前記記録ヘッドへ供給し、前記第2室に前記所定の閾値以下の負圧が加わった場合、前記インクは前記第2室を通過せず、前記インク供給機構は、前記第2室を経由した前記インクを前記記録ヘッドへ供給しない、インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記記録ヘッドと、
前記インク吐出面よりも上側に配置されている前記インク供給機構と
を搭載するキャリッジを更に備える、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記インク吐出面をクリーニングするクリーニング機構と、
前記インク吐出面をキャッピングするキャッピング機構と
を更に備え、
前記キャリッジは、
第1領域と、前記第1領域とは異なる第2領域との間を移動し、
前記クリーニング機構は、前記第1領域に配置され、
前記キャッピング機構は、前記第2領域に配置され、
前記制御部は、前記第1領域に前記キャリッジが位置する状態で、前記浄化動作を行った後、前記第2領域に移動し、キャッピングを行う、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記インク供給機構が前記記録ヘッドへ供給する前記インクを貯留するインクタンクを、更に備え、
前記インクタンクは、前記インク供給機構よりも上側に配置されている、請求項2又は請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記フォロー動作において、前記ポンプが前記インクに加える負圧は、前記所定の閾値以下の負圧である、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記ポンプは、チューブポンプである、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、記録ヘッドを備えている。記録ヘッドは、インク吐出面を有する。インク吐出面から、インクが記録媒体に向けて吐出され、記録媒体に画像が形成される。
【0003】
画像を形成する際に、インク吐出面から吐出されたインクの一部は、インク吐出面に残留する。インクは揮発性成分を含んでいる。インクは、揮発成分が蒸発すると、増粘して残留インクとなる。残留インクは、例えば、ノズル詰まりを発生させる。そこで、従来から、インクから揮発成分の蒸発を防ぐこと、及び残留インクをインク吐出面から除去することが検討されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のインクジェット記録装置は、記録ヘッドをキャップで塞いだ状態で、ノズルに吸引力を及ぼす。特許文献1に記載のインクジェット記録装置は、吸引力が及んでいる状態で、加圧したインクをノズルに供給して、インク吐出面からインクをパージする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-201094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット記録装置は、パージする際にキャップを汚染する。汚染したキャップは、洗浄、又は交換する必要がある。したがって、特許文献1に記載のインクジェット記録装置は、ユーザーの利便性が低い。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ユーザーの利便性を向上させることができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のインクジェット記録装置は、記録ヘッドと、インク供給機構と、モーターと、制御部とを備える。前記記録ヘッドは、インク吐出面を有し、前記インク吐出面からインクを記録媒体に吐出する。前記インク供給機構は、前記記録ヘッドに前記インクを供給する。前記モーターは、正逆回転可能である。前記インク供給機構は、ポンプを有する。前記ポンプは、前記モーターの回転方向に応じて、前記インクに正圧、又は負圧を加える。前記制御部は、前記モーターを制御することで、前記インク吐出面を浄化するための浄化動作を行う。前記浄化動作は、パージ動作と、フォロー動作とを含む。パージ動作は、前記ポンプが前記インクに正圧を加える動作である。フォロー動作は、前記パージ動作の終了後、前記ポンプが前記インクに負圧を加える動作である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の斜視図である。
図2】は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成を示す図である。
図3】は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成を示す図である。
図4】は、本発明の実施形態に係る記録部及びその近傍の構成を示す斜視図である。
図5】は、本発明の実施形態に係る記録部及びその近傍の構成を示す斜視図である。
図6】は、本発明の実施形態に係るインク供給機構、及び記録ヘッドを示す斜視図である。
図7】は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の一部を示す図である。
図8】は、図7の部分拡大図である。
図9】は、本発明の実施形態に係る記録ヘッド、及びインク供給機構の構成を示す図である。
図10】(a)は、正圧モードにおける記録ヘッド、及びインク供給機構の構成を示す図である。(b)は、負圧モードにおける記録ヘッド、及びインク供給機構の構成を示す図である。
図11】は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成を示すブロック図である。
図12】は、本発明の実施形態に係る制御部によって実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係るインクジェット記録装置1の実施形態について説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本実施形態では、図中に、互いに直交する上下方向、左右方向、及び前後方向を示す。上下方向は鉛直面に平行であり、左右方向、及び前後方向は水平面に平行である。
【0012】
まず、図1から図3を参照して、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の斜視図である。本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、インクジェット捺染を行う捺染装置である。捺染装置は、布に所定の画像を形成する。なお、布は、記録媒体の一例である。
【0013】
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、装置フレーム101、及び外装カバー102を備える。外装カバー102は、装置フレーム101を覆う。
【0014】
図2は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成を示す図である。詳しくは、図2は、図1に示すII-II線方向に沿った断面図である。
【0015】
図2に示すように、インクジェット記録装置1は、記録部2と、巻出部103と、搬送機構11と、巻取部104と、テンションローラー105とを有する。
【0016】
記録部2は、インクを吐出することにより布に所定の画像を形成する。記録部2は、キャリッジ20と、記録ヘッド21とを有する。キャリッジ20については、図3を参照して後述する。本実施形態において、記録部2は、2つの記録ヘッド21を有する。2つの記録ヘッド21は、キャリッジ20に搭載される。以下、2つの記録ヘッド21をそれぞれ区別して説明する必要がない場合「記録ヘッド21」と記載して実施形態を説明する。
【0017】
記録ヘッド21は、インクを吐出する。詳しくは、記録ヘッド21は、インク吐出面22を有する。インクはインク吐出面22から吐出される。
【0018】
巻出部103には、送り出しロールWaが取付けられる。巻出部103は、送り出しロールWaに巻き重ねられた長尺の布Wを順次巻き出す。送り出しロールWaは、画像形成前の布Wを心棒に巻いた巻回体である。
【0019】
搬送機構11は、巻出部103から巻き出された布Wを搬送方向Hに沿って搬送する。搬送機構11は、搬送駆動部、プラテン12、搬送ローラー13、ピンチローラーユニット14を有する。搬送駆動部は、例えば、モーターを有する。
【0020】
プラテン12は、巻出部103から巻き出された布Wを支持する。搬送ローラー13は、搬送駆動部から駆動力が伝達されて回転する。搬送ローラー13は、左右方向に延びる長尺のローラーである。ピンチローラーユニット14は、複数のピンチローラー141を有する。複数のピンチローラー141は、左右方向に沿って等間隔に配置される(図3参照)。各ピンチローラー141は、搬送ローラー13と対向して配置され、搬送ローラー13との間に布Wを挟持する。布Wは、搬送ローラー13と、複数のピンチローラー141とに挟持され、プラテン12に支持されて搬送される。
【0021】
巻取部104は、搬送機構11から搬送された布Wを巻き取る。以下、巻取部104によって巻き取られた布Wを「巻き取りロールWb」と記載する。巻き取りロールWbは、画像形成後の布Wを心棒に巻いた巻回体である。
【0022】
テンションローラー105は、布Wが撓まないように、布Wに張力を与える。テンションローラー105は、搬送機構11と、巻取部104との間に位置する。
【0023】
図3は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成を示す図である。詳しくは、図3は、図1に示す外装カバー102を外したインクジェット記録装置1を正面から見た図である。なお、図3において、インクジェット記録装置1は、画像を形成していない状態を示す。
【0024】
図3に示すように、装置フレーム101は、第1フレーム106と、第2フレーム107と、キャリッジガイド108とを有する。第1フレーム106と第2フレーム107とは、左右方向(左右方向)において対向する。第1フレーム106は、インクジェット記録装置1の右側に配置される。第2フレーム107は、インクジェット記録装置1の左側に配置される。キャリッジガイド108は左右方向に延びる。キャリッジガイド108は、第1フレーム106と第2フレーム107とを貫通する。キャリッジガイド108は、図2を参照して説明したキャリッジ20を移動自在に支持する。換言すると、キャリッジ20及び記録ヘッド21は、キャリッジガイド108に沿って移動自在である。
【0025】
また、インクジェット記録装置1は、キャリッジ駆動機構4を備える。キャリッジ駆動機構4は、例えばモーターを有する。キャリッジ20は、キャリッジ駆動機構4が駆動することにより、キャリッジガイド108に沿って移動する。
【0026】
図2を参照して説明したプラテン12は、第1フレーム106と第2フレーム107との間に配置される。したがって、布Wは、第1フレーム106と第2フレーム107との間において、図2を参照して説明した搬送機構11によって搬送される。換言すると、インクジェット記録装置1は、第1フレーム106と第2フレーム107との間の領域でのみ、布Wに画像を形成できる。以下、第1フレーム106と第2フレーム107との間の領域を「画像形成エリアP」と記載する。また、インクジェット記録装置1には、メンテナンスエリアMが設けられる。インクジェット記録装置1は、メンテナンスエリアMにおいて、メンテナンスが施される。メンテナンスは、例えば、クリーニング動作、パージ動作を含む。
【0027】
メンテナンスエリアMは、インクジェット記録装置1のうち、第1フレーム106よりも右側に位置する。換言すると、メンテナンスエリアMは、画像形成エリアPの右隣の領域である。
【0028】
次に、図4及び図5を参照して、本実施形態に係る記録部2及びその近傍の構成について説明する。図4及び図5は、本実施形態に係る記録部2及びその近傍の構成を示す斜視図である。詳しくは、図4は、記録部2及びその近傍を右斜め前側から見た図である。図5は、記録部2及びその近傍を右斜め後ろ側から見た図である。なお、図5では、キャリッジ20を構成するフレームの一部を省略している。
【0029】
図4及び図5に示すように、キャリッジ20は、第1装着部S1と、第2装着部S2とを有する。第1装着部S1は、キャリッジ20の右側に設けられる。第2装着部S2は、キャリッジ20の左側に設けられる。
【0030】
第1装着部S1には、2つの記録ヘッド21のうち1つの記録ヘッド21が装着される。第2装着部S2には、残りの1つの記録ヘッド21が装着される。第1装着部S1に装着される記録ヘッド21を「第1記録ヘッド21A」と記載する場合がある。また、第2装着部S2に装着される記録ヘッド21を「第2記録ヘッド21B」と記載する場合がある。
【0031】
図4及び図5に示すように、インクジェット記録装置1は、記録ヘッド21に加え、インク供給機構3を更に備える。インク供給機構3は、記録ヘッド21とともに、キャリッジ20に搭載される。インク供給機構3は記録ヘッド21よりも上側に配置されている。インク供給機構3を記録ヘッド21よりも上側に配置することで、インク供給機構3を、前後方向及び左右方向において記録ヘッド21と重ねて配置することができ、キャリッジ20の前後方向及び左右方向の大きさを小さくできる。
【0032】
インク供給機構3は、記録ヘッド21にインクを供給する。インク供給機構3は、インクに正圧、又は負圧を加える。インク供給機構3の数は、記録ヘッド21の数に対応している。本実施形態において、インクジェット記録装置1は、8つのインク供給機構3を備える。詳しくは、8つのインク供給機構3のうち4つのインク供給機構3が第1装着部S1に装着され、残りの4つのインク供給機構3が第2装着部S2に装着される。以下、第1装着部S1に装着される4つのインク供給機構3を「第1供給ユニット3A」と記載する場合がある。また、第2装着部S2に装着される4つのインク供給機構3を「第2供給ユニット3B」と記載する場合がある。また、8つのインク供給機構3をそれぞれ区別して説明する必要がない場合「インク供給機構3」と記載して実施形態を説明する。
【0033】
インク供給機構3は、本体部30と、タンク部31と、ポンプ部32とを有する。タンク部31と、ポンプ部32とは、本体部30に配置される。タンク部31と、ポンプ部32とについては、図6を参照して後述する。
【0034】
次に、図6を参照して、記録ヘッド21及びインク供給機構3の構成について説明する。図6は、本実施形態に係るインク供給機構3及び記録ヘッド21の構成を示す斜視図である。詳しくは、8つのインク供給機構3のうちの1つ及び2つの記録ヘッド21のうちの1つを示す。
【0035】
図6に示すように、記録ヘッド21は、インク吐出面22に加え、制御ユニット部23と、エンドチューブ24とを有する。制御ユニット部23は、インク吐出面22からのインクの吐出動作を制御する。
【0036】
また、インク供給機構3は、本体部30と、タンク部31と、ポンプ部32とに加え、上流管33と、下流管34と、バイパス管35とを有する。
【0037】
タンク部31は、インクを貯留する。タンク部31については、図9を参照して後述する。
【0038】
ポンプ部32は、インクに正圧、又は負圧を加える。ポンプ部32は、筐体320と、カム軸挿通孔321とを有する。カム軸挿通孔321は、筐体320に形成される。本実施形態において、ポンプ部32は、チューブポンプを有する。チューブポンプは、筐体320の内部に配置される。
【0039】
チューブポンプは、偏心カム、及びしごきチューブを有する。偏心カムは軸孔を有する。軸孔はカム軸挿通孔321と対向する。
【0040】
上流管33は、タンク部31とインクタンクITとを連通する。下流管34は、タンク部31と記録ヘッド21とを連通する。詳しくは、下流管34は、記録ヘッド21が有するエンドチューブ24に接続する。バイパス管35は、インクを下流管34に送る。
【0041】
続いて、図4図5図7、及び図8を参照して、本実施形態に係る駆動機構9について説明する。図7は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の一部を示す図である。詳しくは、インクジェット記録装置1の一部と、部分拡大図とを含む。図7に示す部分拡大図は、メンテナンスエリアMを拡大して示す。なお、図7に示すインクジェット記録装置1は、装置フレーム101を省略している。図8は、図7の部分拡大図である。詳しくは、図8図7のA2の拡大図である。
【0042】
図4図5図7、及び図8に示すように、インクジェット記録装置1は、駆動機構9を更に備える。
【0043】
図4及び図5に示すように、駆動機構9は、カム駆動部91と、第1駆動軸92と、第2駆動軸93とを有する。また、図7、及び図8に示すように、駆動機構9は、第1駆動モーター94と、第2駆動モーター95とを更に有する。第1駆動モーター94、及び第2駆動モーター95は正逆回転可能である。第1駆動モーター94、及び第2駆動モーター95の各々は、例えば、ステッピングモーターである。
【0044】
図8に示すように、第1駆動モーター94は、第1出力軸941と、カップリング942とを有する。第1出力軸941は、第1駆動モーター94の出力軸に連結されている。カップリング942は、第1出力軸941の先端に取り付けられている。
【0045】
第2駆動モーター95は、第2出力軸951と、カップリング952とを有する。第2出力軸951は、第2駆動モーター95の出力軸に連結されている。カップリング952は、第2出力軸951の先端に取り付けられている。
【0046】
カム駆動部91は、ポンプ部32に駆動力を伝達する。カム駆動部91は、カム軸91Xと、ギアとを有する。カム軸91Xは、回転自在である。カム軸91Xは、左右方向に延びる。カム軸91Xは、図6を参照して説明したカム軸挿通孔321に挿通される。カム軸91Xには、ポンプ部32の偏心カムが取り付けられる。したがって、偏心カムは、カム軸91Xが回転することにより回転する。偏心カムは、カム軸91Xの回転方向に応じて回転方向が変わる。偏心カムの回転方向が変わると、チューブポンプ(しごきチューブ)内の圧力の方向が変わる。また、偏心カムは、カム軸91Xの回転速度に応じて回転速度が変わる。偏心カムの回転速度が変わると、チューブポンプ(しごきチューブ)内の圧力の大きさが変わる。
【0047】
第1駆動軸92と、第2駆動軸93とは、左右方向に延びる。換言すると、カム軸91Xと、第1駆動軸92と、第2駆動軸93とは、互いに並行である。第1駆動軸92と、第2駆動軸93とは、回転自在である。第1駆動軸92と、第2駆動軸93とは、カム軸91Xの周方向に沿って配置される。詳しくは、第1駆動軸92は、カム軸91Xよりも後側、かつ下側に位置する。第2駆動軸93は、カム軸91Xよりも後側で第1駆動軸92よりも前側、かつカム軸91X及び第1駆動軸92の下側に位置する。
【0048】
第1駆動軸92は、第1駆動モーター94から駆動力が伝達されることにより回転する。詳しくは、第1駆動軸92は、第1カップリングピン92Cを有する。第1カップリングピン92Cは、第1駆動軸92の右端部に設けられる。第1カップリングピン92Cは、第1駆動モーター94のカップリング942と連結する(図8参照)。この結果、第1駆動モーター94からの駆動力が第1駆動軸92に伝達されて第1駆動軸92が回転する。第1駆動軸92は、回転することにより、第1駆動モーター94からの駆動力をカム駆動部91へ伝達する。
【0049】
詳しくは、駆動機構9は、4つの第1伝達ギア92Gを有する。4つの第1伝達ギア92Gは、第1駆動軸92に取り付けられる。したがって、4つの第1伝達ギア92Gは、第1駆動軸92が回転することにより回転する。4つの第1伝達ギア92Gは、第1駆動軸92の右半分の領域において、所定間隔で配置される。詳しくは、4つの第1伝達ギア92Gの各々は、第1供給ユニット3Aを構成する4つのインク供給機構3の各々のポンプ部32に対向する位置に配置され、各ポンプ部32に配置されたアイドルギアと係合する(噛み合う)。したがって、4つの第1伝達ギア92Gの各々が回転すると、アイドルギアを介してカム軸91Xが回転する。この結果、チューブポンプ内の偏心カムが回転する。即ち、第1供給ユニット3Aの各ポンプ部32へ第1駆動モーター94からの駆動力が伝達される。
【0050】
第2駆動軸93は、第2駆動モーター95から駆動力が伝達されることによって回転する。詳しくは、第2駆動軸93は、第2カップリングピン93Cを有する。第2カップリングピン93Cは、第2駆動軸93の右端部に設けられる。第2カップリングピン93Cは、第2駆動モーター95のカップリング952と連結する(図8参照)。この結果、第2駆動モーター95からの駆動力が第2駆動軸93に伝達されて第2駆動軸93が回転する。第2駆動軸93は、回転することにより、第2駆動モーター95からの駆動力をカム駆動部91へ伝達する。
【0051】
詳しくは、駆動機構9は、4つの第2伝達ギア93Gを有する。4つの第2伝達ギア93Gは、第2駆動軸93に取り付けられる。したがって、4つの第2伝達ギア93Gは、第2駆動軸93が回転することにより回転する。4つの第2伝達ギア93Gは、第2駆動軸93の左半分の領域において、所定間隔で配置される。詳しくは、4つの第2伝達ギア93Gの各々は、第2供給ユニット3Bを構成する4つのインク供給機構3の各々のポンプ部32に対向する位置に配置され、各ポンプ部32に配置されたアイドルギアと係合する(噛み合う)。したがって、4つの第2伝達ギア93Gの各々が回転すると、アイドルギアを介してカム軸91Xが回転する。この結果、チューブポンプ内の偏心カムが回転する。即ち、第2供給ユニット3Bの各ポンプ部32へ第2駆動モーター95からの駆動力が伝達される。
【0052】
本実施形態において、第1駆動軸92は、第1駆動モーター94から駆動力が伝達されることにより回転する。第2駆動軸93は、第2駆動モーター95から駆動力が伝達されることにより回転する。即ち、第1駆動軸92、及び第2駆動軸93は、互いに独立して回転する。したがって、第1駆動軸92、及び第2駆動軸93は、互いに独立してカム軸91Xに駆動力を伝達できる。これにより、第1供給ユニット3Aのポンプ部32と、第2供給ユニット3Bのポンプ部32とが、互いに独立して駆動できる。
【0053】
次に、図7を参照して、本実施形態に係るメンテナンスエリアM近傍の構成について説明する。
【0054】
図7に示すように、インクタンク棚109と、キャッピング機構7と、クリーニング機構8とを更に備える。インクタンク棚109は、メンテナンスエリアMの上側に設けられている。インクタンク棚109には、インクタンクITが配置される。
【0055】
また、メンテナンスエリアMは、第1領域R1と、第1領域R1とは異なる第2領域R2とを有する。詳しくは、第2領域R2は、第1領域R1よりも画像形成エリアPに近い位置(左側)に設けられる。キャッピング機構7は第2領域R2に配置される。クリーニング機構8は、第1領域R1に配置される。
【0056】
クリーニング機構8は、パージ動作の後に記録ヘッド21のインク吐出面22をクリーニングする。キャッピング機構7は、クリーニング後の記録ヘッド21のインク吐出面22にキャップを被せる。これにより、インクの乾燥が抑制されて、インク詰まりの発生が抑制される。
【0057】
次に、図9図10(a)及び図10(b)を参照して、本実施形態に係る記録ヘッド21、及びインク供給機構3について更に説明する。まず、図9を参照して、記録ヘッド21及びインク供給機構3の構成について説明する。図9は、記録ヘッド21、及びインク供給機構3の構成を示す図である。
【0058】
インク供給機構3は、インクタンクITと記録ヘッド21との間に存在する。
【0059】
インクタンクITは、図7を参照して説明したように、インクタンク棚109に配置される。インク供給機構3は、記録ヘッド21よりも上側に配置され、インクタンク棚109は、インク供給機構3よりも上側に配置される。したがって、インクタンクITは、記録ヘッド21、及びインク供給機構3よりも上側に配置される。具体的には、インクタンクITは、インク吐出面22よりも高さhだけ高い位置に配置されている。高さhは水頭差となる。水頭差によって、インクタンクITのインクがインク供給機構3に供給される。
【0060】
インク供給機構3のタンク部31は、第1室311と、第2室312とを有する。
【0061】
第1室311は、インクを正圧下で一時的に貯留する。第1室311は、負圧は加えられておらず、大気圧に加えて水頭差による圧力が加えられている。第1室311は、上流管33を介してインクタンクITと連通する。
【0062】
第2室312は、インクを負圧下で一時的に貯留する。第2室312は、第1室311に対してインク流路の下流側に配置される。第2室312は、負圧が加えられている。第2室312は、下流管34を介して、記録ヘッド21(インク吐出面22)と連通する。
【0063】
第1室311と第2室312とは、壁面により区画されている。壁面には、開閉バルブ313が配置されている。開閉バルブ313は、開放状態と閉鎖状態との2つの状態の間を遷移する。開放状態は、開閉バルブ313が開放された状態である。開放状態において、インクは第1室311から第2室312に流入できる。閉鎖状態は、開閉バルブ313が閉鎖された状態である。閉鎖状態において、第1室311から第2室312へのインクの流入が停止される。
【0064】
開閉バルブ313は、押圧部材314に連結されている。押圧部材314に力が加えられると、開閉バルブ313は閉鎖状態から開放状態に遷移する。反対に、押圧部材314に力が加えられなくなると、開閉バルブ313は開放状態から閉鎖状態に遷移する。
【0065】
第2室312の一部は、大気圧検知フィルム315によって構成されている。大気圧検知フィルム315は、可撓性フィルムである。したがって、第2室312内が所定の閾値を超える負圧になると、大気圧検知フィルム315は変形する。大気圧検知フィルム315が変形すると、変形による変形力が押圧部材314に加えられる。この結果、開閉バルブ313が開放状態に遷移する。
【0066】
インクは、インク供給機構3が有する2つの経路を介して、インクタンクITから記録ヘッド21に供給される。1つの経路は、上流管33と、第1室311と、第2室312と、下流管34とを経由する経路である。この経路の途中に、ポンプ部32は配置されていない。他の経路は、第2室312の代わりに、バイパス管35を経由する経路である。詳しくは、他の経路は、上流管33と、第1室311と、バイパス管35と、下流管34とを経由する経路である。ポンプ部32は、バイパス管35の途中に配置されている。この経路は、途中で第2室312を経由していない。
【0067】
次に、図9図10(a)、及び図10(b)を参照して、本実施形態に係るインク供給機構3の動作について説明する。なお、図9は、画像形成モードにおける記録ヘッド21とインク供給機構3の状態を示す。
【0068】
インク供給機構3は、3つのモードを有し、各モードを遷移しながら動作する。具体的には、インク供給機構3は、画像形成モード、正圧モード、及び負圧モードを有する。詳しくは、インク供給機構3は、画像形成モード、正圧モード、及び負圧モードの間を遷移する。
【0069】
画像形成モードでは、記録ヘッド21が布Wに画像を形成する。
【0070】
なお、画像形成モードが開始するまで、インク供給機構3は、負圧モードにある。したがって、第2室312は所定の負圧が加えられている。その結果、下流管34及びインク吐出面22も、負圧が加えられている。また、画像形成モードが開始するまで、開閉バルブ313は閉鎖状態にある。
【0071】
図9に示すように、画像形成モードにおいて、第1室311、及び第2室312には、インクが所定量充填されている。また、ポンプ部32は停止している。インクは、下流管34を介して、第2室312から記録ヘッド21に流入する。第2室312は、大気と隔離されている。したがって、第2室312内のインクの減少にともなって、第2室312の負圧は高くなる。
【0072】
第2室312の負圧が所定の閾値を超えると、大気圧検知フィルム315が大気圧により変形する。大気圧検知フィルム315が変形すると、変形による変形力が押圧部材314に加えられる。変形力が押圧部材314に加えられると、開閉バルブ313が閉鎖状態から開放状態に遷移する。開閉バルブ313が閉鎖状態から開放状態に遷移すると、第1室311から第2室312にインクが流入する。
【0073】
第2室312にインクが流入すると、第2室312は、大気圧に徐々に近づく。これにともない、大気圧検知フィルム315の変形も徐々に減る。大気圧検知フィルム315の変形が減ると、押圧部材314に加えられる変形力も徐々に減る。第2室312の負圧が所定の閾値以下になると、開閉バルブ313は閉鎖状態に遷移する。開閉バルブ313が開放状態から閉鎖状態に遷移すると、第1室311から第2室312へのインクの流入は停止する。
【0074】
インクは、第1室311から第2室312へ流入した分だけ、インクタンクITから第1室311に補充される。画像形成モードでは、このような動作が繰り返される。
【0075】
図10(a)は、正圧モードにおける記録ヘッド21、及びインク供給機構3の状態を示す図である。正圧モードにおいて、インクには正圧が加えられる。これにより、パージ動作が実行されて、インク吐出面22が清浄化される。
【0076】
正圧モードにおいて、ポンプ部32は駆動機構9により正転駆動される。ポンプ部32が正転駆動すると、インクは、第2室312を迂回する。換言すると、インクは、上流管33と、第1室311と、バイパス管35とを経て、下流管34へ向けて流れる。換言すると、ポンプ部32で加圧されたインクは、記録ヘッド21に供給されて、インク吐出面22から吐出される。即ち、パージ動作が実行されて、インク吐出面22が清浄化される。
【0077】
なお、正圧モードにおいては、加圧されたインクが、下流管34を通して第2室312に逆流し、大気圧検知フィルム315を破損する可能性がある。インクの逆流を防止するために、インク供給機構3は、逆流防止機構部36を有する。逆流防止機構部36は、下流管34に配置されている。具体的には、逆流防止機構部36は、下流管34とバイパス管35の下流端との合流部aよりも上流側に配置されている。この結果、逆流防止機構部36は、下流管34の合流部aよりも上流側を閉止し、ポンプ部32で加圧されたインクは全てインク吐出面22に向かう。したがって、大気圧検知フィルム315の破損が防止される。
【0078】
図10(b)は、負圧モードにおける記録ヘッド21、及びインク供給機構3の状態を示す図である。負圧モードにおいて、インクには負圧が加えられる。これにより、インク吐出面22からインクが漏れ落ちることが抑制される。
【0079】
負圧モードにおいて、ポンプ部32は駆動機構9により逆転駆動される。ポンプ部32が逆転駆動されると、下流管34及びバイパス管35を介して、インク吐出面22及び第2室312に所定の負圧が加えられる。具体的には、所定の負圧は、インクを水頭差によって供給する場合でも、インク吐出面22からインクが漏れ落ちない程度の負圧である。より具体的には、所定の負圧は、-0.2~-0.7kPa程度の弱い負圧である。また、画像形成モードの説明で述べたように、負圧モードで加えられた所定の負圧では、開閉バルブ313は解放状態にならず、閉鎖状態を保つ。
【0080】
次に、図11を参照して、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成について更に説明する。図11は、インクジェット記録装置1の構成を示すブロック図である。
【0081】
インクジェット記録装置1は、記憶部5と、制御部6とを更に備える。
【0082】
記憶部5は、制御プログラムと、設定情報などの各種情報とを記憶する。記憶部5は、ストレージデバイス及び半導体メモリーによって構成される。ストレージデバイスは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)によって構成される。半導体メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を構成する。
【0083】
図11に示すように、記憶部5は、規定時間データを記憶する。規定時間データは、正圧モードにおいて、パージ完了までに必要な時間(規定時間)を示す。規定時間は、例えば、5秒である。規定時間データは、記録ヘッド21の種類、及びインクの種類に応じて、工場出荷時に記憶部5に設定する。なお、規定時間データは、サービスマン、又はユーザーが再設定してもよい。
【0084】
制御部6は、制御プログラムを実行することにより、インクジェット記録装置1の各部の動作を制御する。制御部6は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーによって構成される。また、制御部6は、画像形成処理用の集積回路を備える。画像形成処理用の集積回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成される。
【0085】
制御部6は、キャリッジ駆動機構4の動作を制御する。具体的には、制御部6は、キャリッジ20が図1から図7に示す左右方向に沿って移動するように、キャリッジ駆動機構4を制御する。したがって、キャリッジ20は、第1領域R1と第2領域R2との間を移動して、第1領域R1に位置することができる。
【0086】
制御部6は、第1駆動モーター94の回転方向、及び回転速度を制御する。また、制御部6は、第2駆動モーター95の回転方向、及び回転速度を制御する。第1駆動モーター94、及び第2駆動モーター95の回転方向、及び回転速度に応じて、ポンプ部32(チューブポンプの偏心カム)の回転方向、及び回転速度が変化する。偏心カムの回転方向、及び回転速度が変化すると、インクに加えられる圧力の方向、及び圧力の大きさも変化する。換言すると、制御部6は、インクに正圧が加えられるか、インクに負圧が加えられるかを制御できる。具体的には、制御部6は、インクに正圧が加えられるようにインク供給機構3を制御できる。インクに正圧が加えられることにより、記録ヘッド21がパージ動作を実行する。
【0087】
制御部6は、パージが開始されてからの時間を計測する。制御部6は、計測した時間と、記憶部5が記憶する規定時間とを比較する。制御部6は、計測した時間が規定時間を経過した後に、第1駆動モーター94、及び第2駆動モーター95が逆転するように制御する。第1駆動モーター94、及び第2駆動モーター95が逆転すると、インク供給機構3はインクに負圧を加える。
【0088】
続いて、図12を参照して、本実施形態に係る制御部6によって実行される処理について説明する。図12は、本実施形態に係る制御部6よって実行される処理を示すフローチャートである。図12に示す処理は、例えば、画像形成モードが終了する度に実行される。図12に示す処理(ステップS101、ステップS103、ステップS105、及びステップS107に示す処理)は、本発明の浄化動作の一例である。
【0089】
ステップS101において、制御部6が、キャリッジ20が第1領域R1に移動するように、キャリッジ駆動機構4を制御する。換言すると、制御部6は、記録ヘッド21が第1領域R1に位置するように、キャリッジ駆動機構4の動作を制御する。処理はステップS103に進む。
【0090】
ステップS103において、制御部6が、正回転するように第1駆動モーター94、及び第2駆動モーター95を制御する。第1駆動モーター94、及び第2駆動モーター95が正回転すると、インク供給機構3のポンプ部32が正回転する。その結果、インクに正圧が加えられて、パージ動作が開始される。処理はステップS105に進む。
【0091】
ステップS105において、制御部6は、パージ動作が開始されてから規定時間が経過したか否かを判定する。パージ動作が開始されてから予め決められた規定時間が経過したと制御部6が判定した場合(ステップS105のYes)は、処理はステップS107に進む。すなわち、ポンプ部32がインクに正圧を加える動作(パージ動作)は、規定時間の間行われると、終了する。パージ動作が開始されてから規定時間が経過していないと制御部6が判定した場合(ステップS105のNo)は、処理は、規定時間が経過するまでステップS105を繰り返す。
【0092】
ステップS107において、制御部6は、逆回転するように第1駆動モーター94、及び第2駆動モーター95を制御する。第1駆動モーター94、及び第2駆動モーター95が逆回転すると、インク供給機構3のポンプ部32が逆回転する。その結果、インクに負圧が加えられて、図12に示す動作が終了する。
【0093】
以上、実施形態について説明した。本実施形態によれば、第1領域R1においてパージ動作が実行されるが、キャッピング機構7は第2領域R2に配置される。したがって、キャッピング機構7のキャップがパージ操作によって汚染されることが抑制される。その結果、ユーザーの利便性を向上させることができる。また、本実施形態において、インク供給機構3は、パージ動作が終了したのち、インクに負圧を加える。すなわち、パージ動作の終了後、ポンプ部32がインクに負圧を加える動作(フォロー動作)が行われる。これにより、インク供給機構3がインク吐出面22よりも上側に配置されていたとしても、下流管34の中のインクが下に下がり、インク吐出面22から漏れ落ちることが抑制される。その結果、ユーザーの利便性を向上させることができる。インクタンクITがインク供給機構3よりも上側に配置されていると、下流管34の中のインクは、より下に下がやすくなるが、フォロー動作を行うことで、インクがインク吐出面22から漏れ落ちることを抑制できる。
【0094】
また、本実施形態によれば、1つのポンプによって、インクに正圧又は負圧を加えることができる。したがって、装置構成を簡略化できる。
【0095】
以上、図面を参照しながら本実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)~(6))。図面は、理解し易くするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0096】
(1)本実施形態においては、インクジェット記録装置1は、インクタンクITが記録ヘッド21の上側に配置される捺染装置であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明のインクジェット記録装置が、インクタンクITが記録ヘッド21の下側に配置される産業用インクジェット記録装置であってもよい。
【0097】
(2)本実施形態において、記録媒体は布Wであったが、本発明はこれに限定されない。例えば、記録媒体の材質は、紙であってもよい。長尺状の記録媒体(紙)に形成された画像は、長尺状の布Wに転写され得る。
【0098】
(3)本実施形態において、記録ヘッド21の数が2つである構成を説明したが、記録ヘッド21の数は2つに限定されない。記録ヘッド21の数は、2つより多くてもよく、1つであってもよい。
【0099】
(4)本実施形態において、1つの記録ヘッド21に4つのインク供給機構3が接続される構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。1つの記録ヘッド21に接続されるインク供給機構3の数は、4つより多くてもよく、4つ未満であってもよい。
【0100】
(5)本実施形態において、インクジェット記録装置1は、チューブポンプを有していたが、本発明はこれに限定されない。インクジェット記録装置1は、インクに正圧、又は負圧を加えることができるポンプであれば、特に限定することなく使用できる。
【0101】
(6)本実施形態において、インクジェット記録装置1は、第1駆動モーター94と、第2駆動モーター95とを有していたが、本発明はこれに限定されない。インクジェット記録装置1は、ポンプ部32を駆動する駆動モーターを1台だけ備えていてもよく、3台以上備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、例えば、インクジェット記録装置の分野に有用である。特に、捺染を行うインクジェット記録装置の分野に有用である。
【符号の説明】
【0103】
1 インクジェット記録装置
3 インク供給機構
6 制御部
7 キャッピング機構
8 クリーニング機構
20 キャリッジ
21 記録ヘッド
22 インク吐出面
32 ポンプ部(ポンプ)
94 第1駆動モーター
95 第2駆動モーター
IT インクタンク
R1 第1領域
R2 第2領域
W 布(記録媒体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12