(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】流体吐出装置および流体吐出装置のための流体吐出カートリッジ
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20240312BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20240312BHJP
A61M 31/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B65D83/00 G
B05C5/00 101
A61M31/00
(21)【出願番号】P 2020023349
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2023-02-03
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス ディー.・アンダーソン ジュニア.
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エー.・マーラ サード
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-291442(JP,A)
【文献】特開2009-195892(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0077217(US,A1)
【文献】国際公開第2010/078428(WO,A1)
【文献】特表2013-543754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B05C 5/00
A61M 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近端壁と、遠端壁と、流体チャンバと、中空スロート部とを有し、前記流体チャンバが前記中空スロート部と流体連通しており、前記遠端壁が前記中空スロート部の遠端終端を提供する、収容本体と、
前記遠端壁上に位置し、前記遠端壁に取り付けられた、流体噴射チップと
を含み、
前記中空スロート部が、複数の細長い凸部を有する内壁を有する、流体流路を含
み、
前記流体チャンバが円筒形状であり、前記中空スロート部の前記内壁が、前記流体流路の内部に向かい突出する前記複数の細長い凸部を伴い、円錐台形状を有し、
中心長手方向軸を有し、
前記流体チャンバと前記中空スロート部のそれぞれの長手方向範囲が前記中心長手方向軸に沿っており、前記流体チャンバ、前記中空スロート部、前記流体噴射チップのそれぞれの中心が、前記中心長手方向軸上に位置する、
流体吐出カートリッジ。
【請求項2】
前記複数の細長い凸部が、前記流体流路で長手方向に延伸する複数の細長いリブである、
請求項1に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項3】
前記流体チャンバを前記中空スロート部から分離するために配置された、フィルタ部材を含み、
前記流体流路の断面が、前記フィルタ部材から前記流体噴射チップに向かう方向に先細る、
請求項1に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項4】
前記収容本体が、前記近端壁と前記遠端壁との間に位置する中間壁を有し、
前記近端壁と前記中間壁との間の領域が、前記流体チャンバを定義し、
前記中間壁と前記遠端壁との間の領域が、前記中空スロート部を定義する、
請求項1に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項5】
前記流体チャンバを前記中空スロート部から分離するために配置され、前記中間壁に取り付けられ、多孔質である、フィルタ部材を含む、
請求項4に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項6】
前記収容本体内側に位置し、前記流体チャンバを前記中空スロート部から分離するために配置され、多孔質である、フィルタ部材と、
前記流体チャンバに位置し、流体を含む、吸収体と
を含む、
請求項1に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項7】
前記収容本体の前記中空スロート部上を覆い取り外し可能に受け入れられるサイズと形状とされた内部空間を有する、カートリッジスロートカバー
を更に含む、
請求項1に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項8】
近端壁と、遠端壁と、流体チャンバと、中空スロート部とを有し、前記流体チャンバが前記中空スロート部と流体連通しており、前記遠端壁が前記中空スロート部の遠端終端を提供する、収容本体と、
前記遠端壁上に位置し、前記遠端壁に取り付けられた、流体噴射チップと、
第1の端と、第2の端と、前記第1の端と前記第2の端との間で延伸する内部空間とを有するカバー本体を有する、カートリッジスロートカバー
と、
を含み、
前記中空スロート部が、複数の細長い凸部を有する内壁を有する、流体流路を含み、
前記第1の端がカバー開口を有し、
前記第1の端の前記カバー開口と前記内部空間のそれぞれが、前記収容本体の前記中空スロート部を収容するサイズと形状とされており、
前記第2の端がノズル開口を有する、
流体吐出カートリッジ。
【請求項9】
中心長手方向軸を有し、
前記カバー本体が角度付ノズル部を含む、
請求項
8に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項10】
コントローラ部と、前記コントローラ部と取り外し可能に係合し遠端開口を有するカートリッジ収容体とを有する、ハンドルと、
前記カートリッジ収容体に配置され、前記遠端開口を通って遠端側に延伸する中空スロート部を有する、
請求項1又は8に記載の流体吐出カートリッジと
を含
む、
流体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体吐出装置に関するものであり、より具体的には、流体吐出カートリッジを有する小型化された流体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体吐出カートリッジの一種としては、インクジェットプリンタで用いられるインクジェットカートリッジがあり、インクジェットプリンタは、紙といった印刷媒体の上方でカートリッジを走査する機構を含む。このような設計において、ノズル列のサイズは、印刷媒体上のスワスの高さをカバーするため大きくなる。しかし、このようなインクジェットプリンタの設計は、個人用薬剤吐出器(例えば、鼻腔噴霧塗布器)または個人用筆記具(例えば、把持式インクペン)といった、流体の個人向け応用には適さない。これは、一つには、インクジェットカートリッジが手で操作および制御されるよう構成されていないためである。加えて、薬剤吐出の応用にて、鼻孔や外耳道といった個人の小さな開口部に挿入するには、サイズまたは構成において、インクジェットカートリッジは適さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本分野で必要とされるのは、手で操作および制御されるよう構成され、個人的使用のための特定の応用にサイズと構成において適する、流体吐出カートリッジを有する流体吐出装置である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、手で操作および制御されるよう構成され、個人的使用のための特定の応用にサイズと構成において適する、流体吐出カートリッジを有する流体吐出装置を提供する。
【0005】
本発明は一つの様態において、近端壁と、遠端壁と、流体チャンバと、中空スロート部とを有する収容本体を含む、流体吐出カートリッジを対象とする。流体チャンバは中空スロート部と流体連通され、遠端壁は中空スロート部の遠端終端を提供する。流体噴射チップは、遠端壁上に位置し、遠端壁に取り付けられている。中空スロート部は、流体流路を含む。流体流路は、複数の細長い凸部を有する内壁を有する。1つの実施形態において、細長い凸部は、流体流路にて長手方向に延伸し、流体流路の内部へ向かって突出する。
【0006】
本発明はもう一つの様態において、近端壁と、遠端壁と、流体チャンバと、中空スロート部と、中心長手方向軸とを有する収容本体を含む、流体吐出カートリッジを対象とする。流体チャンバは中空スロート部と流体連通され、遠端壁は中空スロート部の遠端終端を提供する。流体噴射チップは、遠端壁上に位置し、遠端壁に取り付けられている。流体チャンバは中心長手方向軸と垂直な第1の断面領域を有し、中空スロート部は中心長手方向軸と垂直な第2の断面領域を有し、第1の断面領域は第2の断面領域よりも大きい。
【0007】
本発明はもう一つの様態において、コントローラ部と、カートリッジ収容体とを有するハンドルを含む、流体吐出装置を対象とする。カートリッジ収容体は、コントローラ部と取り外し可能に係合される。カートリッジ収容体は、遠端開口を有する。流体吐出カートリッジは、カートリッジ収容体に配置される。流体吐出カートリッジは、遠端開口を通って遠端側に延伸する中空スロート部とを有する。中空スロート部は、流体噴射チップを載置する遠端壁を有する。中空スロート部は、流体噴射チップへと延伸する流体流路を有する。流体流路は、流体流路の内部に向かって突出する複数の細長い凸部を有する内壁を有する。
【0008】
本発明の利点の一つは、関連流体吐出カートリッジを有する流体吐出装置が、目標領域に向け流体を吐出させる噴射チップを配置し操作するために、片手で操作および制御できることにある。
【0009】
本発明のもう一つの利点は、薬剤の応用において、例えば、噴射チップを可能な限り目標領域の近くに配置するために、装置の一部が小さな開口部に適合し、鼻孔や外耳道といった、小さな通路に収まるサイズと形状になっていることにある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の上記および他の特徴と利点、そしてこれらを達成する方法は、以降の本発明の実施形態の詳細な説明を添付図面と併せて参照することで、より明白となり、本発明をより理解できる。
【
図1】
図1は、本発明の1つの実施形態による流体吐出装置である。
【
図2】
図2は、流体噴射チップを有する流体吐出カートリッジの中空スロート部を図示し、流体吐出装置のコントローラ部の電気接点配置を図示している、
図1の流体吐出装置の分解背面斜視図である。
【
図3】
図3は、流体吐出カートリッジの中空スロート部を図示し、流体吐出カートリッジの近端電気接点配置を図示している、
図1の流体吐出装置の分解正面斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2の4-4面に沿った、
図1~3の流体吐出装置の側面断面図である。
【
図5】
図5は、
図1の流体吐出装置のコントローラ部の制御回路のブロック図である。
【
図6A】
図6Aは、
図1~4の流体吐出装置の流体吐出カートリッジの中空スロート部の詳細を示す、
図4の側面断面図の拡大部分である。
【
図6B】
図6Bは、流体吐出カートリッジの中空スロート部の流体流路内の細長い凸部の軸方向像を示す、
図6Aの線6B-6Bに沿った
図6Aの断面である。
【
図7A】
図7Aは、
図1~4の流体吐出装置のカートリッジスロートカバーの拡大背面斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、
図1~4の流体吐出装置の流体吐出カートリッジに用いられる、別のカートリッジスロートカバーの拡大背面斜視図である。
【
図9】
図9は、
図1~4の流体吐出装置の流体吐出カートリッジのコントローラ部の別の電気接点配置を図示した背面斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9の流体吐出カートリッジのコントローラ部の別の電気接点配置を図示した正面斜視図である。
【0011】
対応する符号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。ここに記載の例示は、本発明の実施形態を表しており、そのような例示は、いかなるかたちでも本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面、より具体的には
図1~4を参照し、コントローラ部12と、カートリッジ収容体14と、流体吐出カートリッジ16と、長手方向軸20に沿って配置されたカートリッジスロートカバー18とを含む、流体吐出装置10が示される。コントローラ部12とカートリッジ収容体14とは、組み合わされて流体吐出装置10のハンドル10-1を形成する。
図1に示されるように、カートリッジ収容体14は、コントローラ部12と取り外し可能に係合、即ち接続される。本発明において、カートリッジスロートカバー18は必須ではない。
【0013】
図2と4を参照し、コントローラ部12は、コントローラ収容体22と、制御回路24と、バッテリ26と、駆動ボタン28と、複数の電気接点30とを含む。
【0014】
コントローラ収容体22は、制御回路24とバッテリ26とを収容する空洞22-1を含む。本実施形態において、コントローラ収容体22の外観は、一般的に円筒状である。
図5も参照し、バッテリ26は制御回路24に接続され、制御回路24を介し、制御回路24の全ての電気部品と流体吐出カートリッジ16に電力を供給する。
【0015】
図2~4に示されるように、本実施形態において、コントローラ収容体22は、連結部22-2と遠端面22-3とを有する。
【0016】
連結部22-2は、カートリッジ収容体14の対応する部分への、取り外し可能な取付けのために構成される。連結部22-2は、例えば、カートリッジ収容体14の対応する1組の径方向に対向するタブ42-1、42-2を回転して受け入れる、径方向に対向するスロット32-1、32-2であってよい。本実施形態において、コントローラ収容体22の連結部22-2は、カートリッジ収容体14の、1/4回転での取り外し可能な取付けのために構成される。
【0017】
図2と4を参照し、コントローラ部12の複数の電気接点30は、コントローラ収容体22の遠端面22-3に露出するか、遠端面22-3から突出する。
【0018】
図5も参照し、制御回路24は、プロセッサ回路34と、メモリ回路36と、駆動回路38とを含む。制御回路24は、1以上の特定用途向け集積回路(ASIC)として形成されてもよい。
【0019】
プロセッサ回路34は、1以上のプログラマブルマイクロプロセッサ、入出力インターフェイスといった関連回路、クロック、バッファ、メモリ等を有してもよい。メモリ回路36は、例えばバス回路等を介し、プロセッサ回路34と通信可能に連結され、ランダムアクセスメモリ(RAM)といった揮発性メモリ回路、読み取り専用メモリ(ROM)といった不揮発性メモリ回路、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、NORフラッシュメモリ、NANDフラッシュメモリ等を含んでもよい。
【0020】
制御回路24のプロセッサ回路34は、バッテリ26に電気的に接続され、駆動ボタン28と、メモリ回路36と、駆動回路38とに、電気的に且つ通信可能に接続される。駆動回路38は、コントローラ部12の複数の電気接点30と電気的に接続される。
【0021】
制御回路24のプロセッサ回路34は、ソフトウェアおよび/またはファームウェアを介し、流体吐出カートリッジ16(
図1~4も参照)に含まれる流体を噴射するため、流体吐出カートリッジ16を操作するよう構成される。具体的には、使用者が駆動ボタン28を押下すると、駆動ボタン28はプロセッサ回路34に入力信号を供給する。次に、プロセッサ回路34は、カートリッジ制御信号を生成するため、制御信号を実行する。カートリッジ制御信号は、プロセッサ回路34により駆動回路38に供給される。駆動回路38は、流体吐出カートリッジ16の電気的要件に適合させるため、必要に応じて(例えば、インピーダンス整合、電圧増幅、電流増幅等を通じ)カートリッジ制御信号を調整し、調整済カートリッジ制御信号を複数の電気接点30のそれぞれの電気接点に供給する。
【0022】
制御回路24は、複数の電気接点30のそれぞれの電気接点を介し、流体吐出カートリッジ16へ電力と接地接続を供給してもよい。複数の電気接点30は、流体吐出カートリッジ16の電気噴射回路に適した電圧レベル/電流レベルで、調整済カートリッジ制御信号と、電力と、接地接続とを供給する。
【0023】
図2~4を参照し、カートリッジ収容体14は、近端14-1と、連結部14-2と、遠端14-3と、チャンバ14-4と、近端開口14-5と、遠端開口14-6と、内部テーパ環状表面14-7とを含む。チャンバ14-4は、近端開口14-5と遠端開口14-6とを定義するため、近端14-1と遠端14-3との間で延伸する。チャンバ14-4と近端開口14-5のそれぞれは、流体吐出カートリッジ16を軸方向に受け入れるために選択された断面領域、例えば直径、を有する。
【0024】
内部テーパ環状表面14-7は、近端14-1から距離40に位置する。内部テーパ環状表面14-7は、一般的に、相対的に大きな断面領域、例えばチャンバ14-4の直径から、相対的に小さな断面領域、例えば遠端14-6の直径へと、長手方向に変化する。内部テーパ環状表面14-7は、チャンバ14-4で受け入れることのできる流体吐出カートリッジ16の長さ部分の範囲を限定するため、チャンバ14-4内の停止位置を定義する。動作において、流体吐出カートリッジ16は、内部テーパ環状表面14-7により定義された深さまで、カートリッジ収容体14のチャンバ14-4内に軸方向に受け入れられる。また、本実施形態において、内部テーパ環状表面14-7は、長手方向軸20上で流体吐出カートリッジ16を径方向に中心とさせる。
【0025】
カートリッジ収容体14の連結部14-2は、コントローラ収容体22の連結部22-2への取り外し可能な取付けのために構成される。連結部14-2は、例えば、コントローラ収容体22の径方向に対向するスロット32-1、32-2を軸方向に回転して係合するためのサイズと形状とされた、1組の径方向に対向したタブ42-1、42-2を含んでよい。本実施形態において、コントローラ収容体22の連結部22-2は、カートリッジ収容体14の連結部14-2への、1/4回転での取り外し可能な取付けのために構成される。径方向に対向するタブ42-1、42-2のそれぞれは、内向きに対向、即ち長手方向軸20に向かい延伸する。
【0026】
図1も参照し、カートリッジ収容体14の連結部14-2がコントローラ収容体22の連結部22-2に取り付けられたとき、流体吐出カートリッジ16は、コントローラ収容体22の遠端面22-3とカートリッジ収容体14の内部テーパ環状表面14-7との間で圧縮状態にあり、流体吐出カートリッジ16は、カートリッジ収容体14のチャンバ14-4に軸方向および径方向に拘束される。言い換えると、本実施形態において、流体吐出カートリッジ16は、カートリッジ収容体14の内部テーパ環状表面14-7とコントローラ収容体22の遠端面22-3との併用効果により、流体吐出装置10に軸方向および径方向に拘束される。
【0027】
図2~4を参照し、流体吐出カートリッジ16は、近端壁46と、中間壁48、遠端壁50と、中心長手方向軸52とを有する収容本体44を含む。収容本体44は、一体構造であり、外面44-1を有する。流体吐出カートリッジ16がハンドル10-1に取り付けられたとき、流体吐出カートリッジ16の中心長手方向軸52は、流体吐出装置10の長手方向軸20上にあり、長手方向軸20と一致する。
【0028】
近端壁46は第1の表面領域を有し、遠端壁50は第2の表面領域を有し、近端壁46の第1の表面領域は、遠端壁50の第2の表面領域よりも大きい。中間壁48は、中心長手方向軸52に沿って、近端壁46と遠端壁50との間に位置し、近端壁46と遠端壁50から離れている。近端壁46と中間壁48との間の本体領域54は、流体チャンバ56を定義する。中間壁48と遠端壁50との間の本体領域58は、中空スロート部60を定義する。近端壁46は、流体チャンバ56の近端終端を提供し、遠端壁50は、中空スロート部60の遠端終端を提供する。
図4に関して
図6Aに示されるように、中間壁48は、流体チャンバ56と中空スロート部60との間の流体連通を容易にする、開口48-1を有する。
【0029】
図2~4に図示された組み立て前の状態から、
図1に図示されるような流体分配装置10の組み立てを行うため、カートリッジ収容体14がコントローラ部12に接続される前に、流体吐出カートリッジ16がカートリッジ収容体14に配置される。流体吐出カートリッジ16がカートリッジ収容体14に取り付けられるとき、流体吐出カートリッジ16の中空スロート部60が、カートリッジ収容体14の遠端開口14-6を通じて遠端へと延伸する。そして、カートリッジ収容体14がコントローラ部12に接続され、これがコントローラ部12と流体吐出カートリッジ16との間の電気的接続を確立する。
【0030】
流体チャンバ56は、中心長手方向軸52と垂直な第1の断面領域を有し、中空スロート部60は中心長手方向軸52と垂直な第2の断面領域を有し、第1の断面領域は、流体チャンバ56と中空スロート部60のそれぞれの長手方向範囲を通じて、第2の断面領域よりも大きい。本実施形態において、流体チャンバ56は円筒形状である。本実施形態において、流体チャンバ56と中空スロート部60のそれぞれの長手方向範囲は、中心長手方向軸52に沿っている。
【0031】
図4に関して
図6Aを参照し、フィルタ部材62が収容本体44内に位置しており、中空スロート部60から流体チャンバ56を分離するため、中間壁48で開口48-1を覆うよう配置される。フィルタ部材62は多孔性であり、1つの実施形態において、例えばステンレス鋼メッシュスクリーンといった、メッシュスクリーンの形態である。フィルタ部材62は、例えば熱かしめ、溶接、接着剤により、中間壁48に接続される。
【0032】
発泡体やフェルト体といった吸収体64が、流体チャンバ56に位置し、流体チャンバ56を実質的に満たす。吸収体64は、流体吐出カートリッジ16から射出、即ち吐出される流体を含む。
【0033】
流体吐出カートリッジ16の組立ての間、フィルタ部材62と吸収体64が流体チャンバ56に取り付けられ、その後、収容本体44の近端壁46(時にはリッドと言及される)が、収容本体44の本体領域54に、密封係合にて取り付けられ、例えば超音波溶接される。
【0034】
図2、4、6Aを参照し、流体吐出カートリッジ16は、収容本体44の遠端壁50上に位置して遠端壁50に取り付けられている、流体噴射チップ66を含む。本実施形態において、流体チャンバ56と中空スロート部60のそれぞれの長手方向範囲は、中心長手方向軸52に沿っており、流体チャンバ56、中空スロート部60、流体噴射チップ66のそれぞれの中心は、中心長手方向軸52上に位置する。
【0035】
流体噴射チップ66は、当該技術分野で公知のように、一般的にノズルプレート層またはシリコン層として形成される、平面範囲を有する板状構造として構成される。流体噴射チップ66のノズルプレート層は、例えば2~20個の流体噴射ノズルといった、複数の流体噴射ノズル66-1を含む。流体噴射チップ66のシリコン層で、複数の流体噴射ノズル66-1のそれぞれに関連付くのは、複数の流体噴射ノズル66-1の各流体噴射ノズルに個別に関連付く、各電気ヒーター(熱)または圧電(電気機械)装置といった、吐出機構である。そのような流体噴射チップ66の一般的動作は、インクジェット印刷といった、マイクロ流体噴射技術において既知である。
【0036】
図3も参照し、流体吐出カートリッジ16は、収容本体44の近端壁46にてアクセス可能で、近端壁46から近端側を向く、例えば近端壁46から近端側に突出する、複数の電気接続68を含む。本実施形態において、複数の電気接点68が近端側を向く近端壁46の中心と、遠端壁50に載置された流体噴射チップ66の中心のそれぞれは、中心長手方向軸52上に位置する。
【0037】
複数の電気接点68は近端壁46上に分配され、複数の電気接点68は互いに距離を置かれ、互いに電気的に絶縁されている。本実施形態において、複数の電気接点68の少なくとも一部が、近端壁46で円形パターン68-1に配置されている。複数の電気接点68の異なる円形分布パターンの1つは、同心円パターンの形態で成されうることが意図される。また、多角形といった他の分布パターンが円形分布パターンの代替として用いられうることが意図される。
【0038】
図2~4を参照し、複数の電気接点68と複数の流体噴射ノズル66-1との間の電気通信を確立するため、複数の絶縁導体を有するフレキシブルタブ回路といった、回路トレース70が、収容本体44の近端壁46から近端側を向く複数の電気接点68に電気的に接続され、収容本体44の遠端壁50で流体噴射チップ66に電気的に接続される。このように、回路トレース70は、収容本体44の外面44-1に沿って、近端壁46から遠端壁50へ延伸する。回路トレース70は、流体チャンバ56を有する本体領域54と中空スロート部60を有する本体領域58とを含む、収容本体44の外面44-1の長手方向範囲の輪郭上にあり、外面44-1の長手方向範囲の輪郭に追従する。回路トレース70は、接着剤や熱かしめ等により、収容本体44の外面44-1に取り付けられる。
【0039】
図4、6A、6Bを参照し、中空スロート部60は、流体噴射チップ66とフィルタ部材62との間の分離距離を定義する長さを有する、流体流路60-1を含む。言い換えると、中空スロート部60は、一部で、流体噴射チップ66と複数の電気接点68との間の分離距離を定義する長さを有することで、流体流路60-1を定義する。
【0040】
いくつかの応用において、噴射される流体の量は、本体領域54の流体チャンバ56のより大きなサイズを必要とするが、遠端壁50と流体噴射チップ66が比較的小さな領域を有することを要し、開口部(例えば外耳道または鼻孔)内にて所望の塗布場所に流体噴射チップ66を配置するために、中空スロート部60が十分な長さを有することを要する。本実施形態のように、流体吐出カートリッジ16の中空スロート部60は長く延伸し、流体噴射チップ66を収容し載置するのに十分なだけの大きさにされた遠端壁50を伴う。ただし、これは、送達不能であり、このため無駄となる流体である、フィルタ部材62の遠端に蓄積される流体の量を増加させる。流体流路60-1、即ちフィルタから噴射チップへの流体通路に、内部のリブまたは他の特徴を加えることで、送達不能な流体の量を減少できる。
【0041】
従って、
図6Aと6Bを参照し、流体流路60-1は、流体流路60-1の内部へ向かって突出する、例えば一般的に中心長手方向軸52に向かって突出する複数の細長い凸部60-3を有する、内壁60-2を有する。本実施形態において、複数の細長い凸部60-3は、流体流路60-1にて長手方向に延伸する、複数の細長いリブの形態である。また、本実施形態において、複数の細長い凸部60-3は、内壁48の開口48-1内へ、近端側に延伸してもよい。
【0042】
流体流路60-1の断面は、方向71でフィルタ部材62から流体噴射チップ66へ向かい先細る。本実施形態において、中空スロート部60の内壁60-2は、流体流路60-1の内部へ向かって突出する複数の細長い凸部60-3を伴い、円錐台形状を有する。
【0043】
図2に図示された組み立て前の状態から、
図1に図示されるような流体分配装置10の組み立てを行うため、カートリッジ収容体14がコントローラ部12に接続される前に、流体吐出カートリッジ16がカートリッジ収容体14に配置される。流体吐出カートリッジ16がカートリッジ収容体14に取り付けられるとき、流体吐出カートリッジ16の中空スロート部60が、カートリッジ収容体14の遠端開口14-6を通じて遠端へと延伸する。そして、ハンドル10-1を形成するため、カートリッジ収容体14がコントローラ部12に接続され、これがコントローラ部12の複数の電気接点30と流体吐出カートリッジ16の複数の電気接点68との間の電気的接続を確立する。
【0044】
図1~4を参照し、流体吐出カートリッジ16は、任意でカートリッジスロートカバー18を含んでもよい。本実施形態において、カートリッジスロートカバー18の最大直径がカートリッジ収容体14の遠端開口14-6の直径よりも小さいことから、カートリッジスロートカバー18は、流体吐出カートリッジ16がハンドル10-1に取り付けられる前後のいずれかで、中空スロート部60を覆うため流体吐出カートリッジ16上に取り付けられてよい。
【0045】
使用用途により、カートリッジスロートカバー18は、単回使用部品または複数回使用部品のいずれかであってよい。例えば、薬剤送達の応用において、カートリッジスロートカバー18は、衛生面の理由等により、廃棄または交換されてもよい。あるいは、カートリッジスロートカバー18は取り外され、カートリッジスロートカバー18を消毒液に浸す等により、洗浄され、その後に再度取り付けられてもよい。
【0046】
図7Aと7Bを参照し、カートリッジスロートカバー18は、第1の端72-1と、第2の端72-2と、第1の端72-1と第2の端72-2との間で延伸する内部空間72-3とを有する、カバー本体72を有する。第1の端72-1は、カバー開口72-4を有する。第1の端72-1のカバー開口72-4と内部空間72-3のそれぞれは、収容本体44の中空スロート部60を収容するサイズと形状を有する。言い換えると、カバー開口72-4と内部空間72-3のそれぞれは、収容本体44の中空スロート部60上を覆い取り外し可能に受け入れられるサイズと形状とされている。カバー本体72の第2の端72-2は、ノズル開口72-5を有する。
【0047】
カバー本体72は、カートリッジスロートカバー18が流体吐出カートリッジ16の収容本体44の中空スロート部60上を覆い取り付けられたとき、流体吐出カートリッジ16との取り外し可能な接続を確立するため、例えば回路トレース70の間隙のための凹部といった、載置特徴72-6を含む。
【0048】
あるいは、カートリッジスロートカバー18は、単一部品として、カートリッジ収容体14と一体に形成されてもよいことを意図している。この代替において、使用用途により、カートリッジスロートカバー18を有するカートリッジ収容体14は、単回使用部品または複数回使用部品のいずれかであってよい。例えば、薬剤送達の応用において、カートリッジスロートカバー18を有するカートリッジ収容体14は、衛生面の理由等により、廃棄または交換されてもよい。あるいは、カートリッジスロートカバー18を有するカートリッジ収容体14は取り外され、カートリッジスロートカバー18を有するカートリッジ収容体14を消毒液に浸す等により、洗浄され、その後に再度取り付けられてもよい。
【0049】
図8Aと8Bは、流体吐出カートリッジ16と共に用いるのに適した、もう1つのカートリッジスロートカバー118の実施形態を図示しており、
図1~4に図示されたカートリッジスロートカバー18の代用である。カートリッジスロートカバー118は、第1の端172-1と、第2の端172-2と、第1の端172-1と第2の端172-2との間で延伸する内部空間172-3とを有する、カバー本体172を有する。
【0050】
図8Aと8Bの実施形態において、第1の端172-1は、中心長手方向軸52から離れた方向に放射線状に突出する、環状リップ172-4を含む。加えて、カートリッジスロートカバー118の第1の端172-1は、カバー開口172-5を有する。第1の端172-1のカバー開口172-5と内部空間172-3のそれぞれは、流体吐出カートリッジ16の収容本体44の中空スロート部60を収容するサイズと形状を有する。
【0051】
本実施形態において、環状リップ172-4は、載置特徴としての役割を果たす。具体的には、
図8Aと8Bに関し
図2と4を参照し、環状リップ172-4は、カートリッジスロートカバー118がカートリッジ収容体14の近端開口14-5内に挿入されるとき、内部テーパ環状表面14-7を環状に係合するためのサイズと形状とされている。このように、
図8Aと8Bの実施形態において、カートリッジスロートカバー118は、カートリッジ収容体14がコントローラ部12に接続される前に、流体吐出カートリッジ16の中空スロート部60上を覆い配置される。次いで、カートリッジ収容体14がコントローラ部12に接続されるとき、環状リップ172-4が、カートリッジ収容体14の内部テーパ環状表面14-7と収容本体44の内壁48との間に挟まれる。
【0052】
図8Aと8Bを参照し、カバー本体172は、第2の端172-2より近端側のノズル部172-6を有する。ノズル部172-6は、第2の端172-2に位置するノズル開口172-7を有する。本実施形態において、ノズル部172-6は、流体吐出カートリッジ16(
図2と4を参照)の流体噴射チップ66から噴射された流体を、中心長手方向軸52から離れた方向に、そして同様に、流体吐出装置10の長手方向軸20から離れた方向に、誘導するためのノズル開口172-7を配置する、角度付ノズル部である。
【0053】
このため、カートリッジスロートカバーの複数の種類と構成が実現でき、このため流体吐出装置10のカスタマイズは非常に容易で安価であり、多種の使用用途に適応できることが見て取れる。
【0054】
図9と10は、コントローラ部12と流体吐出カートリッジ16との代替的な電気的接続を図示している。具体的には、コントローラ部12の複数の電気接点30と、流体吐出カートリッジ16の複数の電気接点68は、終端接続ではなく、エッジ接続を容易にするよう配置できる。本実施形態において、カートリッジ収容体14および/またはカートリッジスロートカバー18、118は必須ではない。
【0055】
この代替的な実施形態において、コントローラ部12の遠端部112は、複数の電気接点30が並列配置されたソケット部114を含む。また、本代替的な実施形態において、流体吐出カートリッジ16は、前述の実施形態の近端壁46の代用である、本体領域54に接続された近端壁146に装着される。近端壁146は、近端壁146から近端側に延伸する載置凸部148を有する。載置凸部148は、滑り嵌めにてコントローラ部12のソケット部114をスライド可能に受け入れるためのサイズと形状とされている。本実施形態において、載置凸部148と流体噴射チップ66のそれぞれは、中心長手方向軸52上に位置する。
【0056】
図10を参照し、載置凸部148は、第1の凸部表面148-1と第2の凸部表面148-2を定義する。流体吐出カートリッジ16のこの代替的な実施形態の載置凸部148が、コントローラ部12のソケット部114にスライド可能に受け入れられたとき、複数の電気接点68は、コントローラ部12の複数の電気接点30との係合のため、少なくとも第1の凸部表面148-1と第2の凸部表面148-2のうちの1つに沿って、長手方向、例えば平行に、延伸してもよい。
【0057】
ここで使用される「実質的に」、「一般的に」、およびその他の程度の語は、改変された特徴からの許容可能な変化を示すことを意図した、相対修飾語である。
【0058】
本発明を少なくとも1つの実施形態に関して説明したが、本発明は、本開示の精神および範囲内で、さらに改変することができる。このため、本出願は、その一般的な原理を用いた本発明のあらゆる変形、使用、または適応を網羅することを意図している。さらに、本出願は、本発明が関係し、添付の特許請求の範囲内にある、当該技術分野における既知または慣習的な慣行の範囲内である、本開示からの試みを網羅することを意図している。
【符号の説明】
【0059】
10:流体吐出装置
10-1:ハンドル
12:コントローラ部
14:カートリッジ収容体
14-1:近端
14-2:連結部
14-3:遠端
14-4:チャンバ
14-5:近端開口
14-6:遠端開口
14-7:内部テーパ環状表面
16:流体吐出カートリッジ
18、118:カートリッジスロートカバー
20:長手方向軸
22:コントローラ収容体
22-1:空洞
22-2:連結部
22-3:遠端面
24:制御回路
26:バッテリ
28:駆動ボタン
29:長手方向
30:複数の電気接点
32-1、32-2:スロット
34:プロセッサ回路
36:メモリ回路
38:駆動回路
40:距離
42-1、42-2:タブ
44:収容本体
44-1:外面
46、146:近端壁
48:中間壁
48-1:開口
50:遠端壁
52:中心長手方向軸
54:本体領域
56:流体チャンバ
58:本体領域
60:中空スロート部
60-1:流体流路
60-2:内壁
60-3:複数の細長い凸部
62:フィルタ部材
64:吸収体
66:流体噴射チップ
66-1:流体噴射ノズル
68:複数の電気接点
68-1:円形パターン
70:回路トレース
71:方向
72、172:カバー本体
72-1、172-1:第1の端
72-2、172-2:第2の端
72-3、172-3:内部空間
72-4、172-5:カバー開口
72-5、172-7:ノズル開口
72-6:載置特徴
112:遠端部
114:ソケット部
148:載置凸部
148-1:第1の凸部表面
148-2:第2の凸部表面
172-4:環状リップ
172-6:ノズル部