(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置及びクリーニング間隔決定方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240312BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B41J2/165 301
B41J2/01 305
B41J2/01 307
B41J2/01 401
B41J2/01 451
(21)【出願番号】P 2020026835
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 健
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-326282(JP,A)
【文献】特開2007-331309(JP,A)
【文献】特開平05-092579(JP,A)
【文献】特開2014-094449(JP,A)
【文献】特開2006-341461(JP,A)
【文献】特開2010-058451(JP,A)
【文献】特開2005-335238(JP,A)
【文献】特開2003-231265(JP,A)
【文献】特開平07-125228(JP,A)
【文献】特開2001-180012(JP,A)
【文献】特開平03-258553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置に搬送された前記記録媒体にインクを吐出して画像を形成するノズルを有する記録ヘッドと、
前記搬送装置上の前記記録媒体と前記記録ヘッドとの間のギャップを調整する間隔調整部と、
前記記録ヘッドのノズル面をクリーニングするクリーニング部と、
前記間隔調整部によって調整された前記ギャップに基づいて、前記記録ヘッドのノズル面に対する前記クリーニング部による定期クリーニングの実行間隔であるクリーニング間隔を決定するクリーニング間隔決定部と、を備え、
前記クリーニング間隔決定部は、前記ギャップが大きいほど前記クリーニング間隔を短くし、前記ギャップが小さいほど前記クリーニング間隔を長く
し、
前記ギャップの高さに対応付けられた、前記記録ヘッドによる連続印字時間の長さに対応する吐出不良ノズルの予想発生数が、所定の吐出不良ノズル許容発生数を超えない時間を、前記クリーニング間隔に設定し、
前記記録媒体に印字される画像の幅が、前記記録媒体を搬送する搬送ベルトの幅以上である場合、前記クリーニング間隔を短くし、前記記録媒体に印字される画像の幅が、前記記録媒体を搬送する搬送ベルトの幅未満である場合、前記記録媒体に印字される画像の幅が狭くなるほど、前記クリーニング間隔を長くする
インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記クリーニング間隔決定部は、前記記録媒体に対する前記画像の印字率が高いほど、前記クリーニング間隔を短くし、前記印字率が低いほど、前記クリーニング間隔を長くする
請求項
1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記クリーニング間隔決定部は、前記記録ヘッドの駆動周波数が高いほど、前記クリーニング間隔を短くし、前記駆動周波数が低いほど、前記クリーニング間隔を長くする
請求項
1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記クリーニング間隔決定部は、前記記録媒体の幅よりも前記記録媒体に形成される画像の幅の方が広い場合、前記記録媒体からはみだす前記画像の幅が広いほど前記クリーニング間隔を短くする
請求項
1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録媒体の種類に基づいて前記間隔調整部が調整する前記
ギャップを決定する間隔決定部をさらに備える
請求項
1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記クリーニング間隔決定部は、前記インクの種類に応じて前記クリーニング間隔を変更する
請求項
1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記クリーニング間隔決定部は、前記ギャップの高さと対応付けられた、前記連続印字時間の長さに対応する前記吐出不良ノズルの予想発生数と、前記クリーニング部による前記記録ヘッドのノズル面のクリーニングの実施後における前記ノズルの吐出不良の回復率と、に基づいて、前記吐出不良ノズルの予想発生数が、予め定められた吐出不良ノズル許容発生数を超えない時間を、前記クリーニング間隔に設定する
請求項
1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記クリーニング間隔決定部は、前記ギャップが変更された場合であって、該ギャップの高さが変更前と比較して大きくなった場合、その時点から次の前記定期クリーニングの実施タイミングまでの間の残り時間を短く補正し、前記
ギャップの高さが変更前と比較して低くなった場合、前記残り時間を長く補正する
請求項
1~
7のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記クリーニング間隔決定部は、前記記録ヘッドにより印字される画像が変更された場合であって、該印字
される画像における印字率が変更前と比較して高くなった場合、その時点から次の前記定期クリーニングの実施タイミングまでの間の残り時間を短く補正し、前記印字率が変更前と比較して低くなった場合、前記残り時間を長く補正する
請求項
1~
7のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
記録媒体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置に搬送された前記記録媒体にインクを吐出して画像を形成するノズルを有する記録ヘッドと、前記搬送装置上の前記記録媒体と前記記録ヘッドとの間のギャップを調整する間隔調整部と、前記記録ヘッドのノズル面をクリーニングするクリーニング部と、を備えたインクジェット記録装置におけるクリーニング間隔決定方法であって、
調整された前記ギャップに基づいて、前記記録ヘッドのノズル面に対する前記クリーニング部による定期クリーニングの実行間隔であるクリーニング間隔を決定するクリーニング間隔決定手順、を有し、
前記クリーニング間隔決定手順では、前記ギャップが大きいほど前記クリーニング間隔を短くし、前記ギャップが小さいほど前記クリーニング間隔を長く
し、
前記ギャップの高さに対応付けられた、前記記録ヘッドによる連続印字時間の長さに対応する吐出不良ノズルの予想発生数が、所定の吐出不良ノズル許容発生数を超えない時間を、前記クリーニング間隔に設定し、
前記記録媒体に印字される画像の幅が、前記記録媒体を搬送する搬送ベルトの幅以上である場合、前記クリーニング間隔を短くし、前記記録媒体に印字される画像の幅が、前記記録媒体を搬送する搬送ベルトの幅未満である場合、前記記録媒体に印字される画像の幅が狭くなるほど、前記クリーニング間隔を長くする
クリーニング間隔決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置及びクリーニング間隔決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、毛羽や皺などを有する布帛等の記録媒体に画像を形成(記録)するインクジェット記録装置では、インクを吐出する記録ヘッドが記録媒体の毛羽や皺などで擦れることにより、記録ヘッドのノズル面が損傷するという問題がある。したがって、記録媒体の毛羽や皺などによるノズル面の損傷を防ぐためには、記録ヘッド及び記録媒体間のギャップ(間隔)を広くとって印刷を行う必要がある。もしくは、記録媒体の毛羽や皺などに対して所定の処理を行う機構等を設ける必要がある。
【0003】
しかしながら、記録ヘッド及び記録媒体間のギャップを広くとった場合、ノズルから吐出されたインク液滴が記録媒体に着弾する前に空中で失速し、ミストとなって空中を舞ってしまうことがある。そして、ミストを構成するインク飛沫がノズル面の付近に付着した場合、ノズルから吐出されるインク液滴の軌道が曲がり、記録媒体上の適切な位置に着弾しなくなる可能性がある。また、インクがノズル面に付着した場合には、ノズルからインクが吐出されないことも起こりうる。したがって、布に画像を形成するインクジェット記録装置においては、適切なタイミングでノズル面の汚れを取るためにクリーニングが実施される必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、所望の記録品位を得るべく選択された記録媒体の種類や記録動作条件などに応じて、記録ヘッドと記録媒体との間隔を変更設定し、設定された間隔の大きさに応じて、記録ヘッドのワイピング処理の実行頻度を制御する技術が記載されている。より具体的には、記録ヘッドと記録媒体との間隔が所定の距離に設定されたときにおける払拭の実行頻度を、該間隔が所定の距離よりも長い距離に設定されたときよりも、高くする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
つまり、特許文献1に記載された技術では、記録ヘッドと記録媒体との間隔が狭いほど、記録ヘッドのワイピングが実行される頻度が高くなる。しかしながら、上述したように、記録ヘッド及び記録媒体間のギャップが広い(大きい)場合には、ノズル面にインク飛沫が付着する確率も高くなるため、ワイピング(クリーニング)の実行の頻度を低くすると、インクの吐出不良が発生する確率も高くなってしまう。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、ノズル面のクリーニングの実行間隔を、記録ヘッド及び記録媒体間のギャップの高さに応じた間隔にすることが可能なインクジェット記録装置及びクリーニング間隔決定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の一側面のインクジェット記録装置は、記録媒体を搬送する搬送装置と、搬送装置に搬送された記録媒体にインクを吐出して画像を形成するノズルを有する記録ヘッドと、搬送装置上の記録媒体と記録ヘッドとの間のギャップを調整する間隔調整部と、記録ヘッドのノズル面をクリーニングするクリーニング部と、間隔調整部によって調整されたギャップに基づいて、記録ヘッドのノズル面に対するクリーニング部による定期クリーニングの実行間隔であるクリーニング間隔を決定するクリーニング間隔決定部と、を備える。そして、クリーニング間隔決定部は、ギャップが大きいほどクリーニング間隔を短くし、ギャップが小さいほどクリーニング間隔を長くする。また、クリーニング間隔決定部は、ギャップの高さに対応付けられた、記録ヘッドによる連続印字時間の長さに対応する吐出不良ノズルの予想発生数が、所定の吐出不良ノズル許容発生数を超えない時間を、クリーニング間隔に設定し、記録ヘッドの駆動周波数が高いほど、クリーニング間隔を短くし、記録媒体に印字される画像の幅が、記録媒体を搬送する搬送ベルトの幅以上である場合、クリーニング間隔を短くし、記録媒体に印字される画像の幅が、記録媒体を搬送する搬送ベルトの幅未満である場合、記録媒体に印字される画像の幅が狭くなるほど、クリーニング間隔を長くする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ノズル面のクリーニングの実行間隔を、記録ヘッド及び記録媒体間のギャップの高さに応じた間隔にすることが可能なインクジェット記録装置及びクリーニング間隔決定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るキャリッジを底面から見た場合におけるキャリッジの概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドを布帛側から見た状態を示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るインク種-クリーニング間隔テーブルの構成例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る布種-ギャップテーブルの構成例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るギャップ-吐出不良発生確率テーブルの構成例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る連続印字時間と、吐出不良ノズルの予想発生数との対応を示すグラフである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る吐出不良ノズル予想発生数-吐出不良回復率テーブルの構成例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るギャップが5mmである場合における、連続印字時間と、クリーニング実施後の吐出不良の回復率との対応を示すグラフである。
【
図12】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置によるクリーニング間隔決定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明のインクジェットプリンタを実施するための形態について、
図1を参照しながら説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
【0012】
<インクジェット記録装置の概略構成>
図1は、本発明を適用した一実施形態のインクジェット記録装置1000の概略構成を示す斜視図である。インクジェット記録装置1000は、
図1に示すように、搬送装置1と、キャリッジ2と、主走査装置4と、保湿装置5と、ノズルチェック部6と、クリーニング部7と、フラッシング受け部8と、を含む。
【0013】
搬送装置1は、記録媒体の一例としての布帛を図中に矢印で示す搬送方向F(図中のY軸方向に沿う方向)に沿って搬送する装置である。キャリッジ2は、内部に記録ヘッド3(
図3参照)を搭載した箱型の筐体である。主走査装置4は、キャリッジ2を搬送方向Fに直交する水平方向(図中のX軸方向)に沿って搬送する装置である。保湿装置5は、キャリッジ2に搭載された各記録ヘッド3のノズルの保湿を行う装置である。
【0014】
ノズルチェック部6は、記録ヘッド3のノズル33(
図4参照)に吐出不良が発生していないか等のノズルの状態を判定する。クリーニング部7は、記録ヘッド3のノズル面(ノズル33の吐出口が配置されている面)のクリーニングを行う。フラッシング受け部8は、記録ヘッド3のノズル33の詰まりを防止する目的で行われるフラッシング動作により、ノズル33から吐出されたインクを受ける部材である。
【0015】
搬送装置1は、駆動ローラー11及び従動ローラー(図示略)と、駆動モーター(図示略)と、搬送ベルト13と、を含む。駆動ローラー11及び従動ローラーは、布帛の搬送方向Fに直交する方向に延在する円柱状の部材で構成されており、互いに所定の間隔を介して平行に配置される。駆動ローラー11は、不図示の駆動モーターによって回転駆動される。
【0016】
搬送ベルト13は、無端状に形成され、駆動ローラー11と従動ローラーとの間に架け渡されている。そして、駆動ローラー11が駆動モーターによって回転駆動されることによって、搬送ベルト13が駆動ローラー11と従動ローラーとの間を周回し、搬送ベルト13の上面に載置された布帛が搬送方向Fに沿って搬送される。駆動ローラー11の回転が停止すると、搬送ベルト13は両ローラー間での周回を停止し、これにより布帛の搬送が停止される。
【0017】
駆動モーターは、記録ヘッド3によるX軸方向に沿った片道1回分の走査が終了すると、駆動ローラー11を所定量だけ回転させることにより布帛を搬送方向Fに所定距離だけ搬送させて、駆動を停止する。そして、記録ヘッド3が主走査方向Xの反対方向への走査を開始して終了すると、駆動ローラー21を再度所定量だけ回転させて布帛を搬送方向Fに所定距離だけ搬送させて、駆動を停止する。この動作を繰り返すことにより、布帛をいわゆる間欠搬送する。
【0018】
主走査装置4は、中空の四角柱で構成され、鉛直方向(Z軸方向)における搬送装置1の上方に、X軸方向に沿って配置される。X軸方向における主走査装置4の長さは、搬送ベルト13のX軸方向における長さよりも長く設定されている。
【0019】
主走査装置4の図中の手前側の側面には、棒状の一対のガイドレール41及び42が設けられており、ガイドレール41、42には、不図示のリニアモーターの固定子が装備されている。また、キャリッジ2における主走査装置4と対面する面には、ガイドレール41、42によって支持される不図示の可動子が設けられている。そして、ガイドレール41、42の固定子側のコイルの電流制御が行われることにより、キャリッジ2はガイドレール41、42上をX軸方向に沿って移動する。
【0020】
キャリッジ2がガイドレール41、42によって搬送ベルト13上を走査(X軸)方向に沿って往復移動する間に、記録ヘッド3から所望のインクが吐出されることにより、搬送ベルト13上の布帛に画像が形成される。
【0021】
主走査装置4の両端部(搬送装置1からはみ出した領域)の底面には、主走査装置4をZ軸方向に上下(昇降)させる主走査装置昇降部9(
図2参照)が設けられる。主走査装置4が昇降動作を行うことにより、搬送ベルト13上に配置された布帛と、キャリッジ2内の記録ヘッド3のノズル面との間の間隔(高さ:以下、「ギャップ」とも称する)が調整される。主走査装置昇降部9については、後述の
図2を参照して詳述する。なお、ギャップの高さは、不図示の目盛り等を介してユーザーが調整することも可能である。
【0022】
搬送装置1からはみ出した領域にある主走査装置4の両端部のうちの、一端側(図中の左側)の側面には、板状のキャリッジ受け部43が、搬送装置1の搬送ベルト13と略平行の姿勢で取り付けられている。また、主走査装置4の他端側(図中の右側)の側面には、板状のキャリッジ受け部44が、搬送ベルト13と略平行の姿勢で取り付けられている。
【0023】
キャリッジ受け部43の上面には、非記録動作時に移動してくるキャリッジ2が配置され、下面には、保湿装置5が着脱可能に装着される。キャリッジ受け部43における、キャリッジ2内のインクジェットヘッド32のノズル33と対応する位置には矩形のスリットが設けられている。そして、保湿装置5とZ軸方向において対向する位置にキャリッジ2が配置されることにより、保湿装置5による、キャリッジ2内の記録ヘッド3のノズル面の保湿が可能となる。
【0024】
保湿装置5は、不図示のキャップ、海綿状部材、及び、内部に保湿液が貯められたタンクを備える。そして、キャップが記録ヘッド3のノズル面を覆うことにより、タンク内の保湿液によって記録ヘッド3のノズル面が保湿される。
【0025】
主走査装置4の他端側(図中の右側)に取り付けられたキャリッジ受け部44には、ノズルチェック部6、クリーニング部7及びフラッシング受け部8が設けられている。
【0026】
ノズルチェック部6は、Y軸方向において対向する位置に配置された発光素子61及び受光素子62を備える。発光素子61は、レーザー光を出力し、受光素子62は、発光素子61から出力されたレーザー光を受光する。ノズルチェック部6は、キャリッジ2内の記録ヘッド3の各ノズル33(5参照)からインクを吐出された状態で、発光素子61からレーザー光を出力させる。そして、ノズルチェック部6は、受光素子62によるレーザー光の受光量の情報に基づいて、インクジェットヘッド32のノズル33のいずれかにインクの吐出不良が発生していないか等の、ノズル33の状態を確認する。
【0027】
クリーニング部7は、湿式ローラー71、絞り棒72、及び、内部に洗浄液が貯められたタンク(図示略)を備える。湿式ローラー71は、例えば円筒状のスポンジで形成され、Y軸方向に沿って設けられた軸を中心として回転する。湿式ローラー71のY軸方向における長さは、キャリッジ2内の記録ヘッド3のノズル面のY軸方向の長さをカバーする長さに設定される。
【0028】
そして、不図示の駆動モーターによって、X軸方向における記録ヘッド3の移動方向と逆方向に湿式ローラー71が回転することにより、湿式ローラー71が記録ヘッド3のノズル面を拭う。このとき、Z軸方向における湿式ローラー71の下部が洗浄液に浸漬されており、回転中に湿式ローラー71が洗浄液を掻き上げる。これにより、湿式ローラー71は、記録ヘッド3のノズル面に洗浄液を供給しつつ、記録ヘッド3のノズル面を洗浄する。
【0029】
湿式ローラー71の近傍には、湿式ローラー71の軸と平行な軸を有する絞り棒72が、湿式ローラー71に対して圧着及び離間可能な形態で配置される。絞り棒72が湿式ローラー71に圧着した状態で湿式ローラー71が回転することにより、湿式ローラー71に付着したインクや洗浄液が湿式ローラー71から搾り取られて除去される。
【0030】
なお、本実施形態では、クリーニング部7を湿式ローラー71で構成した例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。クリーニング部は、記録ヘッド3のノズル面を清掃可能なものであれば、シリコンゴムよりなるブレード等の、他の部材で構成されてもよい。
【0031】
フラッシング受け部8は、記録ヘッド3のインクジェットヘッド32のノズル33から吐出されるインクを吸収可能な素材で構成された、無端状のベルトを備える。非記録動作時のキャリッジ2が、フラッシング受け部8の上部に配置された状態で、インクジェットヘッド32のノズル33のフラッシング動作が行われることにより、ノズル33から吐出されたインクがフラッシング受け部8のベルトに吸収される。
【0032】
フラッシング受け部8のベルトは、不図示の3本のローラーに巻き掛けられており、そのうちの一本のローラーは、不図示のタンクに貯められた洗浄液に浸る位置に配置されている。したがって、ベルトが3本のローラーに沿って回転することにより、ベルトの一部が洗浄液に浸され、ベルトに付着したインクが洗浄液により洗浄される。
【0033】
なお、本実施形態では、フラッシング受け部8がタンクを有する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、タンクを備えず、フラッシング動作時に吸収したインクをしぼりローラー等で除去する構成としてもよい。
【0034】
<主走査装置昇降部の構成>
次に、
図2を参照して、主走査装置昇降部9の構成について説明する。
図2は、インクジェット記録装置1000の側面図である。
図2においては、主走査装置昇降部9の下方におけるインクジェット記録装置1000の機構の図示を省略している。
【0035】
図2に示すように、主走査装置昇降部9は、インクジェット記録装置1000の筐体内の、Z軸方向における主走査装置4の下方に配置される。主走査装置昇降部9は、支柱91~93の3本の支柱を備え、支柱91~93のZ軸方向における上端部は、主走査装置4を保持する台部45の下面に接着されている。
【0036】
図中の中央の支柱91のZ軸方向における下部には、不図示のステッピングモーターが接続されており、支柱91のZ軸方向における上部には、ウォームギア911が取り付けられている。そして、昇降動作制御部901(
図5参照)による制御に基づいて、ステッピングモーターが回転し、該回転によって支柱91が回転し、支柱91と噛み合ったウォームギア911が回転することにより、主走査装置4を保持する台部45が昇降する。これにより、主走査装置4及び主走査装置4によって支持されたキャリッジ2も昇降する。なお、主走査装置昇降部9の構成は、
図2に示す例に限定されない。
【0037】
<記録ヘッドの構成>
次に、
図3及び
図4を参照して、記録ヘッド3の構成について説明する。
図3は、キャリッジ2を底面から見た場合におけるキャリッジ2の概略図である。本実施形態に係るインクジェット記録装置1000は、Y(イエロー),Lm(ライトマゼンタ),Or(オレンジ),M(マゼンタ),Bk(ブラック),Bl(ブルー),Lk(ライトブラック),C(シアン),Lc(ライトシアン)の9色のカラーの記録ヘッド3を備える。そして、各記録ヘッド3は、それぞれ9つのインクジェットモジュール31を備える。
【0038】
各色に対応する各記録ヘッド3は、
図3に示すように、X軸方向に沿って左からY,Lm,Or,M,Bk,Bl,Lk,C,Lcの順番で並んでいる。また、各記録ヘッド3内の9つのインクジェットモジュール31は、Y軸方向に沿って千鳥状に並んで配置されている。インクジェットモジュール31を千鳥状に配置することにより、キャリッジ2の底面におけるY軸方向のほぼ全幅に渡る範囲内における任意の位置に、各色彩のインクを吐出することができる。
【0039】
キャリッジ2の底面には、各記録ヘッド3の取り付け位置毎に、Y軸方向に沿ったスリット状の開口部が設けられている。これにより、各記録ヘッド3は、開口部を通してキャリッジ2の真下にインクの液滴を吐出することができる。なお、
図3に示す例では、Yの色彩についてのみ開口部を示しており、他の色彩については開口部の図示を省略している。
【0040】
図4は、記録ヘッド3を布帛側から見た状態を示す平面図である。
図4に示すように、記録ヘッド3は、複数(本例では、18個)のインクジェットヘッド32を有する。そして、2つのインクジェットヘッド32が1組となって、1つのインクジェットモジュール31が構成される。つまり、本実施形態の記録ヘッド3には、9つのインクジェットモジュール31が設けられている。
【0041】
また、各インクジェットヘッド32は、複数のノズル33を有する。そして、インクジェットヘッド32は、ノズル33からインクを布帛に向けて吐出する。これにより、布帛に画像が形成される。なお、インクジェットモジュール31の数及び配置は、上述したものに限定されない。
【0042】
<インクジェット記録装置の制御系の構成>
次に、
図5を参照して、本実施形態に係るインクジェット記録装置1000の制御系の構成について、説明する。
図5は、インクジェット記録装置1000の制御系の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、インクジェット記録装置1000は、制御部100と、操作表示部105と、入出力インターフェース106と、を含む。また、インクジェット記録装置1000は、ヘッド駆動部301と、搬送駆動部131と、主走査装置駆動部401と、昇降動作制御部901と、クリーニング動作制御部701と、ギャップ決定部107と、印字時間計測部108と、クリーニング間隔決定部109と、を含む。
【0043】
制御部100は、例えばCPU(Central Processing Unit)101と、CPU101の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)102と、CPU101が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)103とを有する。さらに、制御部100は、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ等からなる記憶部104を有している。
【0044】
制御部100のCPU101は、上述した各部とシステムバスBを介して接続されており、これらの各部の動作を制御する。
【0045】
記憶部104には、例えば、クリーニング間隔決定部がクリーニング部7による記録ヘッド3のノズル面のクリーニングの実行間隔を決定する際に参照する各種テーブル等が格納される。クリーニングの実行間隔の決定時に参照されるテーブルには、インク種-クリーニング間隔テーブルT1(
図6参照)、布種-ギャップテーブルT2(
図7参照)、ギャップ-吐出不良発生確率テーブルT3(
図8参照)、吐出不良ノズル予想発生数-吐出不良回復率テーブルT4(
図9参照)等がある。これらの各テーブルについては後述する。
【0046】
操作表示部105は、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機LED(Light-Emitting Diode)等の画像表示装置からなるタッチパネルである。この操作表示部105は、インクジェット記録装置1000の印字に関する各種設定を行う設定画面等を表示する。また、操作表示部105は、複数のキーを備え、ユーザーのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける入力部としての役割も持つ。
【0047】
入出力インターフェース106は、PC(パーソナルコンピューター)等の外部装置200に接続されている。そして、入出力インターフェース70は、外部装置200からジョブを受信し、該ジョブを制御部100に出力する。
【0048】
ヘッド駆動部301は、キャリッジ2内部に搭載された記録ヘッド3の各インクジェットヘッド32を駆動することにより、各ノズル33からインクを吐出させ、搬送ベルト13上の布帛に画像を記録させる。ヘッド駆動部301及びインクジェットヘッド32により記録ヘッド3が構成される。
【0049】
搬送駆動部131は、不図示の駆動モーターを制御することにより駆動ローラー11の回転を制御し、搬送ベルト13による布帛の搬送を制御する。
【0050】
主走査装置駆動部401は、ガイドレール41、42に設けられた固定子側のコイルの電流制御を行うことにより、ガイドレール41、42に保持されたキャリッジ2をX軸方向に沿って移動させる。
【0051】
昇降動作制御部901(間隔調整部の一例)は、主走査装置昇降部9内の不図示のステッピングモーターを駆動することにより、主走査装置昇降部9が取り付けられた主走査装置4を昇降させる。
【0052】
クリーニング動作制御部701は、クリーニング部7による記録ヘッド3のノズル面のクリーニング動作を制御する。具体的には、予め定められた定期クリーニングの実施タイミングの到来時に、クリーニング部7によるクリーニング動作を開始させる。また、クリーニング動作制御部701は、クリーニング部7によるクリーニングによっても、記録ヘッド3のノズル面の吐出不良の回復率が低い場合には、インクジェットヘッド32のノズル33にフラッシング動作を実行させる。
【0053】
ギャップ決定部107(間隔決定部の一例)は、外部装置200から送信されたジョブに含まれる布帛の布種の情報に基づき、記憶部104に記憶された布種-ギャップテーブルT2(
図7参照)を参照して、記録ヘッド3のノズル面と布帛との間の高さであるギャップを決定する。
【0054】
印字時間計測部108は、記録ヘッド3による印字が開始(又は再開)してからの経過時間(以下、「連続印字時間」と称する)を計測する。
【0055】
クリーニング間隔決定部109は、ギャップの値に基づいて、定期クリーニングの実行間隔(以下、「クリーニング間隔」とも称する)を決定する。ギャップが所定の閾値よりも高い場合には、標準のクリーニング間隔を短くし、閾値よりも低い場合には、クリーニング間隔を標準のクリーニング間隔よりも長くする。標準のクリーニング間隔は、印刷枚数や連続印字時間等に基づいて定められる間隔である。このとき、クリーニング間隔決定部109は、ギャップが高いほどクリーニング間隔を短くし、ギャップが低いほどクリーニング間隔を長くする。
【0056】
また、クリーニング間隔決定部109は、ギャップの情報だけでなく、他の様々な情報も参照してクリーニング間隔を決定することができる。例えば、クリーニング間隔決定部109は、以下のような様々な手法のうちのいずれか、又は、いくつかの手法の組み合わせにより、クリーニング間隔を決定することができる。
【0057】
(1)クリーニング間隔決定部109は、布帛に印刷される画像の印字率が低いほど、クリーニング間隔を長くし、印字率が高いほど、クリーニング間隔を短くする。例えば、クリーニング間隔決定部109は、印字率が50%の場合におけるクリーニング間隔を、印字率が100%の場合におけるクリーニング間隔の2倍の長さにする。
【0058】
インクジェット記録装置1000では、印字率が高くなるにつれて、インクジェットヘッド32のノズル面に汚れが付着する確率も高くなり、付着していく速度も速くなる(単位時間あたりの汚れの付着量が多くなる)。一方、印字率が低くなるにつれて、インクジェットヘッド32のノズル面に汚れが付着する確率も低くなり、付着していく速度も遅くなる。したがって、クリーニング間隔決定部109が、印字率の高さに応じてクリーニング間隔を変更することにより、インクの吐出不良等の発生を適切に防ぐことができる。
【0059】
(2)クリーニング間隔決定部109は、印字中の印刷物に対する印字周波数、すなわち、インクジェットヘッド32の駆動周波数が高いほど、クリーニング間隔を短くし、低いほど、クリーニング間隔を長くする。例えば、駆動周波数が通常の駆動周波数(閾値駆動周波数)に対して1.1倍である場合には、クリーニング間隔決定部109は、クリーニング間隔を1/1.1倍にする。
【0060】
インクジェットヘッド32の駆動周波数が高い場合、すなわち、印刷物に吐出される液滴のドット密度が高い場合には、インクジェットヘッド32のノズル面に汚れが付着する確率も高くなり、付着していく速度も速くなる。一方、インクジェットヘッド32の駆動周波数が低い場合、すなわち、印刷物に吐出される液滴のドット密度が低い場合には、インクジェットヘッド32のノズル面に汚れが付着する確率も低くなり、付着していく速度も遅くなる。したがって、クリーニング間隔決定部109が、印字周波数の高さに応じてクリーニング間隔を変更することにより、インクの吐出不良等の発生を適切に防ぐことができる。
【0061】
(3)クリーニング間隔決定部109は、搬送ベルト13の幅(X軸方向における長さ)と印字画像(又は布帛)の幅とが同一以上である場合、すなわち、搬送ベルト13の幅の全域に対して印字が行われる場合、標準のクリーニング間隔よりもクリーニング間隔を短くする。一方、搬送ベルト13の幅に対して、印字画像(又は布帛)の幅が短い場合、すなわち、搬送ベルト13の幅の一部に対してのみ印字が行われる場合には、クリーニング間隔決定部109は、布帛に印字される画像の幅が狭く(短く)なるほど、クリーニング間隔を長くする。
【0062】
インクジェット記録装置1000では、搬送ベルト13の幅に対する印字画像(又は布帛)の幅の比率が高いほど、インクジェットヘッド32のノズル面に汚れが付着する確率も高くなり、付着していく速度も速くなる。一方、搬送ベルト13の幅に対する印字画像(又は布帛)の幅の比率が低いほど、インクジェットヘッド32のノズル面に汚れが付着する確率も低くなり、付着していく速度も遅くなる。したがって、クリーニング間隔決定部109が、搬送ベルト13の幅に対する印字画像(又は布帛)の幅の比率の高さに応じてクリーニング間隔を変更することにより、インクの吐出不良等の発生を適切に防ぐことができる。
【0063】
(4)クリーニング間隔決定部109は、印字画像のX軸方向における長さが布帛の幅よりも長い場合における、印刷画像の布帛からのはみ出した部分の面積が広い(幅方向における長さが長い)ほど、クリーニング間隔を長くする。一方、はみ出した部分の面積が狭い(幅方向における長さが短い)ほど、クリーニング間隔決定部109は、クリーニング間隔を短くする。
【0064】
インクジェット記録装置1000では、印刷画像の布帛からのはみ出し量が多いほど、インクジェットヘッド32のノズル面に汚れが付着する確率も高くなり、付着していく速度も速くなる。印刷画像の布帛からのはみ出し量が少ないほど、インクジェットヘッド32のノズル面に汚れが付着する確率も低くなり、付着していく速度も速くなる。したがって、クリーニング間隔決定部109が、印刷画像の布帛からのはみ出し量に応じてクリーニング間隔を変更することにより、インクの吐出不良等の発生を適切に防ぐことができる。
【0065】
(5)クリーニング間隔決定部109は、インクの種類に応じて、クリーニング間隔を変更する。インクの種類の情報は、インク種-クリーニング間隔テーブルT1(
図6参照)において規定されている。クリーニング間隔決定部109による、インクの種類に応じたクリーニング間隔の決定例については、
図6を参照して後述する。
【0066】
(6)クリーニング間隔決定部109は、インクジェットヘッド32のノズル33の吐出不良の予想発生確率に基づいて、クリーニング間隔を決定する。ノズル33の吐出不良の予想発生確率は、例えば、記録ヘッド3のノズル面と布帛との間の高さであるギャップに対応付けて、ギャップ-吐出不良発生確率テーブルT3(
図8参照)において規定されている。クリーニング間隔決定部109による、吐出不良のノズル33(以下、「吐出不良ノズル」とも称する)の予想発生確率に基づくクリーニング間隔の決定例については、
図8を参照して後述する。
【0067】
(7)クリーニング間隔決定部109は、連続印字時の吐出不良ノズルの発生数の情報、及び、クリーニング実行後の吐出不良回復率の情報に基づいて、クリーニング間隔を決定する。これらの情報は、吐出不良ノズル予想発生数-吐出不良回復率テーブルT4(
図10参照)において規定されている。クリーニング間隔決定部109による、連続印字時の吐出不良ノズルの発生数の情報、及び、クリーニング実行後の吐出不良回復率の情報に基づくクリーニング間隔の決定例については、
図10を参照して後述する。
【0068】
クリーニング間隔決定部109によるクリーニング間隔の決定は、例えば、インクジェット記録装置1000の電源がONされたタイミング等に行うことができる。また、クリーニング間隔決定部109は、決定したクリーニング間隔に基づくクリーニング完了したときに、その時点におけるクリーニング間隔、すなわち、次に実行されるクリーニングまでの間隔を決定することができる。
【0069】
また、クリーニング間隔決定部109は、主走査装置昇降部9によってギャップが変更された場合、該ギャップの高さに応じて、その時点におけるクリーニング間隔、すなわち、次に実行されるクリーニングまでの間隔を変更する。具体的には、ギャップが低く(小さく)なった場合には、その時点から次の定期クリーニングの実施タイミングまでの間の残り時間を長くし、ギャップが高く(大きく)なった場合には、該残り時間を短くする。
【0070】
例えば、クリーニング間隔が30分に設定されていた場合であって、ジョブの開始後から15分が経過した時点でギャップの変更が行われた場合、通常であれば、さらに15分が経過した時点でクリーニング部7によるクリーニングが実行される。しかし、途中でギャップが変更され、かつ、該ギャップが変更前と比較してギャップが低くなった場合、クリーニング間隔決定部109は、ギャップが変更されたタイミングで、この15分をより長い時間(例えば、20分等)に変更する。一方、変更前と比較してギャップが高くなった場合には、ギャップが変更されたタイミングで、この15分をより短い時間(例えば、10分等)に変更する。
【0071】
さらに、クリーニング間隔決定部109は、ジョブの切り替わり等により印字画像の内容、例えば、柄等が変わった場合、変更後の印字画像における印字率の情報に基づいて、その時点におけるクリーニング間隔、すなわち、次に実行されるクリーニングまでの間隔を変更する。具体的には、印字画像の変更前と比べて印字率が高くなった場合には、その時点から次の定期クリーニングの実施タイミングまでの間の残り時間を長くし、印字率が低く(小さく)なった場合には、該残り時間を短くする。
【0072】
<インク種-クリーニング間隔テーブルの構成>
次に、
図6を参照して、インク種-クリーニング間隔テーブルT1の構成について説明する。
図6は、インク種-クリーニング間隔テーブルT1の構成例を示す図である。インク種-クリーニング間隔テーブルT1は、クリーニング間隔決定部109が、クリーニング間隔を決定する際に参照するテーブルである。
【0073】
インク種-クリーニング間隔テーブルT1は、「クリーニング間隔」及び「インク種」の各項目を有する。「インク種」には、
図6に示す例では、「反応染料インク」、「分散染料インク」及び「酸性インク」の3つの種類が記載されている。「反応染料インク」は、綿やレーヨンなどの布地に適したインクであり、「分散染料インク」は、ポリエステルやアセテートなどの布地に適したインクであり、「酸性インク」は、シルクやウール、ナイロンなどの布地に適したインクである。
【0074】
そして、「反応染料インク」にはクリーニング間隔の「60min」が対応付けられており、「分散染料インク」にはクリーニング間隔の「30min」が対応付けられている。「酸性インク」にはクリーニング間隔の「120min」が対応付けられている。これらの各クリーニング間隔は、インクが放置された場合におけるインクの乾燥性に基づいて設定されるものであり、インクが乾燥状態になる前にヘッドメンテナンスを行うことが可能な時間に設定される必要がある。このようにインクの特性に応じたクリーニング間隔が設定されることにより、インクの吐出不良等の発生を適切に防ぐことができる。
【0075】
<布種-ギャップテーブルの構成>
次に、
図7を参照して、布種-ギャップテーブルT2の構成について説明する。
図7は、布種-ギャップテーブルT2の構成例を示す図である。布種-ギャップテーブルT2は、ギャップ決定部107が、記録ヘッド3のノズル面と布帛との間の高さであるギャップを決定する際に参照するテーブルである。布種-ギャップテーブルT2は、「布種」、「布厚さ」、「毛羽の最大高さ」、「実ギャップ換算値」及び「ギャップ限界値」の各項目を有する。
【0076】
「布種」の項目には、布帛の布地の種類が格納され、「布厚さ」の項目には、布帛の布地の厚さ(mm)が格納され、「毛羽の最大高さ」の項目には、布帛の布地に含まれる毛羽の最大高さ(mm)が格納される。そして、「実ギャップ換算値」には、「布厚さ」、「毛羽の最大高さ」に記される特徴を有する布種に対応する実ギャップ換算値が格納される。実ギャップ換算値は、その時点におけるギャップの高さを、布厚さや毛羽の最大高さに応じた高さに調整するための値であり、その時点におけるギャップの高さから、実ギャップ換算値を引いた値が、実際の(調整後の)ギャップとなる。
【0077】
「ギャップ限界値」は、布種に応じたギャップの下限値が格納される。実際のギャップを低くできればできるほど、クリーニング間隔決定部109により決定されるクリーニング間隔を延ばすことができるが、ギャップを低くする場合におけるギャップの下限値は、布帛の厚さにより制限を受ける。つまり、「ギャップ限界値」は、ギャップをこの値より低い値に設定することを制限する値である。
【0078】
なお、
図7の布種-ギャップテーブルT2に示した布種は一例であり、本発明はこれらに限定されない。記録媒体として使用される布帛の種類は、ポリエステル、綿、混紡(化学繊維と天然繊維との混紡、天然繊維と天然繊維との混紡等)、シルク等の他の種類であってもよい。また、
図7の布種-ギャップテーブルT2に示した実ギャップ換算値、ギャップ限界値は一例であり、本発明はこれらに限定されない。実ギャップ換算値、ギャップ限界値には、実験等に基づき定まる適切な値が適宜設定されるものとする。
【0079】
クリーニング間隔決定部109は、例えば、インクジェット記録装置1000の搬送ベルト13上の布帛及び記録ヘッド3間の間隔が4.5mmに設定されていた場合であって、布帛の布種が、布厚さが薄く毛羽の最大高さが低い「コットンリネン」である場合には、布種-ギャップテーブルT2を参照して、ギャップを4.2mm(4.5mm-0.3mm)と算出する。また、例えば、布帛の布種が、布厚さが厚く毛羽の最大高さが高い「ワッフル生地」である場合には、クリーニング間隔決定部109は、布種-ギャップテーブルT2を参照して、ギャップを「3.0mm」(4.5mm-1.5mm)と算出する。
【0080】
クリーニング間隔決定部109は、布種-ギャップテーブルT2を参照して、布帛の布種に応じたギャップを算出し、ギャップ-吐出不良発生確率テーブルT3に基づいて、クリーニング間隔を決定する。
【0081】
<ギャップ-吐出不良発生確率テーブルの構成>
次に、
図8を参照して、ギャップ-吐出不良発生確率テーブルT3の構成について説明する。
図8は、ギャップ-吐出不良発生確率テーブルT3の構成例を示す図である。ギャップ-吐出不良発生確率テーブルT3は、クリーニング間隔決定部109が、クリーニング間隔を決定する際に参照するテーブルである。
【0082】
ギャップ-吐出不良発生確率テーブルT3では、「ギャップ」に対して「連続印字時間」及び「吐出不良ノズルの予想発生数」の各項目が対応付けられている。「ギャップ」の項目には、ギャップ(mm)が格納され、「連続印字時間」の項目には、印字開始後からの連続印字時間(min)が格納される。「吐出不良ノズルの予想発生数」の項目には、吐出不良ノズルの予想発生数(個)が格納される。
【0083】
図8に示す例には、ギャップが3mmである場合には、連続印字時間が90分であっても、吐出不良ノズルの予想発生数は22個程度に留まることが示されている。一方、ギャップが5mmである場合には、連続印字時間が15分になる時点で、吐出不良ノズルの予想発生数は165個に達することが示されている。
【0084】
図9は、連続印字時間と、吐出不良ノズルの予想発生数との対応を示すグラフである。グラフの横軸は、連続印字時間(min)を示し、縦軸は、吐出不良ノズルの予想発生数(個)を示す。ギャップが3mmである場合のグラフは四角印のマーカーを含む線により示され、ギャップが3.5mmである場合のグラフは丸印のマーカーを含む線により示される。ギャップが4mmである場合のグラフは三角印のマーカーを含む線により示され、ギャップが5mmである場合のグラフは白抜きの四角印のマーカーを含む線により示される。
【0085】
ギャップが4mmを超えると、インクジェットヘッド32のノズル33から吐出されるインク液滴が、布帛に着弾する前に失速してしまうため、吐出不良ノズルの予想発生数も急激に増加する。したがって、
図9に示す例においても、ギャップが5mmである場合の吐出不良ノズルの予想発生数の、印字時間の経過に伴う増加率は、ギャップが4mm以下である場合におけるそれらと比較して著しく高いことが示されている。
【0086】
クリーニング間隔決定部109は、ギャップ-吐出不良発生確率テーブルT3に記載の情報と、予めユーザー等によって定められた吐出不良ノズル発生数の許容値(以下、「吐出不良ノズル許容発生数」と称する)の情報と、に基づいて、クリーニング間隔を決定する。具体的には、クリーニング間隔決定部109は、ギャップの高さに対応付けられた吐出不良ノズルの予想発生数が、吐出不良ノズル許容発生数を超えない時間を、クリーニング間隔に設定する。例えば、ギャップの高さが4mmであり、吐出不良ノズル許容発生数が45個に設定されている場合であれば、クリーニング間隔決定部109は、クリーニング間隔を30分に設定する。
【0087】
例えば、印字品質よりも生産性を重視するユーザーであれば、吐出不良ノズル発生数の許容値を高く設定することも考えられる。したがって、吐出不良ノズル発生数の許容値が高く設定されている場合、クリーニング間隔決定部109は、吐出不良ノズル発生数の許容値が低く設定されている場合と比較して、クリーニング間隔をより長く設定する。
【0088】
なお、ジョブにおいてフチなし印刷の設定がされている場合、布帛だけでなく布帛からはみ出した領域に対しても印字が行われる。このような場合、クリーニング間隔決定部109は、布帛及び記録ヘッド3のノズル面間のギャップだけでなく、布帛からはみ出して印字される領域における印字面と、記録ヘッド3のノズル面との間のギャップも参照して、クリーニング間隔を決定する。
【0089】
例えば、布帛及び記録ヘッド3のノズル面間のギャップが5mm、布帛からはみ出した領域におけるギャップが3.5mmであるとする。この場合、クリーニング間隔決定部109は、ギャップの5mmと対応付けられた吐出不良ノズルの予想発生数と、3.5mmと対応付けられた吐出不良ノズルの予想発生数と、吐出不良ノズルの予想発生数の許容数とに基づいて、クリーニング間隔を決定する。
【0090】
<吐出不良ノズル予想発生数-吐出不良回復率テーブルの構成>
次に、
図10を参照して、吐出不良ノズル予想発生数-吐出不良回復率テーブルT4の構成について説明する。
図10は、吐出不良ノズル予想発生数-吐出不良回復率テーブルT4の構成例を示す図である。
図10Aには、連続印字時間が30分の場合の吐出不良ノズル予想発生数-吐出不良回復率テーブルT4aの構成例を示し、
図10Aには、連続印字時間が60分の場合の吐出不良ノズル予想発生数-吐出不良回復率テーブルT4bの構成例を示す。
【0091】
図10Aに示す吐出不良ノズル予想発生数-吐出不良回復率テーブルT4aは、「ギャップ」、「連続印字時間30分経過後の吐出不良ノズル予想発生数」及び「クリーニング後の95%平均回復率」の各項目を有する。「連続印字時間30分経過後の吐出不良ノズル予想発生数」の項目には、連続印字時間が30分を経過した後の吐出不良ノズル予想発生数(個)が格納される。「クリーニング後の95%平均回復率」には、クリーニング部7によるノズル面のクリーニング実施後に吐出不良が95%回復する場合における、吐出不良ノズル予想発生数(個)が格納される。
【0092】
図10Aに示す例では、ギャップが3mmである場合には、連続印字時間が30分を経過した後であっても、クリーニングが実施されることにより、吐出不良が95%回復する場合における吐出不良ノズル予想発生数は0.1個となることが示されている。すなわち、クリーニングが実施されることにより、ノズル33の吐出不良はほぼ解消されることが分かる。
【0093】
一方、ギャップが5mmである場合には、連続印字時間が30分を経過した時点で、吐出不良ノズル予想発生数は257.5個となり、クリーニングが実施されたとしても、吐出不良が95%回復する場合における吐出不良ノズル予想発生数は11.6個となる。つまり、ノズル33の吐出不良の回復率は、ギャップが3mmである場合と比較してかなり低くなることが分かる。
【0094】
図10Bに示す吐出不良ノズル予想発生数-吐出不良回復率テーブルT4bは、「ギャップ」、「連続印字時間60分経過後の吐出不良ノズル予想発生数」及び「クリーニング後の77%平均回復率」の各項目を有する。「連続印字時間60分経過後の吐出不良ノズル予想発生数」の項目には、連続印字時間が60分を経過した後の吐出不良ノズル予想発生数(個)が格納される。「クリーニング後の77%平均回復率」には、クリーニング部7によるノズル面のクリーニング実施後に吐出不良が77%回復する場合における、吐出不良ノズル予想発生数(個)が格納される。
【0095】
連続印字時間が60分を経過した場合、ノズル33の近辺又はノズル面に付着したインクは乾いて固まってしまうため、クリーニングが実施されたとしても、吐出不良が回復する確率は低くなる。したがって、クリーニング実施後のノズル33の吐出不良の回復率は77%が目安とされる。
【0096】
図10Bに示すように、ギャップが3mmである場合、連続印字時間が60分を経過した時点で、吐出不良ノズル予想発生数は3個となり、クリーニングが実施されることにより、吐出不良が77%回復する場合における吐出不良ノズル予想発生数は0.7個となることが示されている。
【0097】
一方、ギャップが5mmである場合には、連続印字時間が60分を経過した時点で、吐出不良ノズル予想発生数は506.8個となり、クリーニングが実施されたとしても、吐出不良が77%回復する場合における吐出不良ノズル予想発生数は114個となる。つまり、ギャップが5mmである場合である場合、連続印字時間が60分を経過すると、クリーニングが実施されたとしても、ノズル33の吐出不良の回復率は非常に低くなることが分かる。
【0098】
クリーニング間隔決定部109は、吐出不良ノズル予想発生数-吐出不良回復率テーブルT4(T4a又はTab)に記載の情報と、予めユーザーによって定められた吐出不良ノズル発生数の許容値の情報と、に基づいて、クリーニング間隔を決定する。
【0099】
図11は、ギャップが5mmである場合における、連続印字時間と、クリーニング実施後の吐出不良の回復率との対応を示すグラフである。グラフの横軸は、連続印字時間(min)を示し、縦軸は、クリーニング実施後の吐出不良の回復率(%)を示す。
図11に示すグラフにおいては、シアン、イエロー、ブラック、ライトマゼンタの各色における、連続印字時間と、クリーニング実施後の吐出不良の回復率との対応を示す。
【0100】
図11に示すグラフにおいて、シアンの吐出不良の回復率は太字の破線線で示し、イエローの吐出不良の回復率は破線線で示し、ブラックの吐出不良の回復率は太字の実線で示し、ライトマゼンタの吐出不良の回復率は実線で示す。シアン、イエロー、ライトマゼンタ及びブラックのいずれの色においても、連続印字時間が30分の時点でクリーニングが実行されれば、約85%以上の回復率が得られることが示されている。
【0101】
ところが、連続印字時間が60分となると、ノズル33の吐出不良の回復率は、シアン及びライトマゼンタにおいては約100%であるが、イエローにおいては約85%となり、ブラックにおいては40%弱となってしまう。つまり、印字画像に含まれる色の割合によっても、クリーニングを要する時間は変化することが分かる。
【0102】
したがって、クリーニング間隔決定部109は、ジョブに含まれる印字用の画像に含まれるインクの色の情報も参照してクリーニング間隔を決定することにより、インクの吐出不良等の発生を適切に防ぐことができる。
【0103】
<インクジェット記録装置によるクリーニング間隔決定方法>
次に、
図12を参照して、本実施形態に係るインクジェット記録装置1000によるクリーニング間隔決定方法について説明する。
図12は、インクジェット記録装置1000によるクリーニング間隔決定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0104】
まず、インクジェット記録装置1000の電源がONされる(ステップS1)。次いで、ギャップ決定部107(
図5参照)は、機械動作前の記録ヘッド3及び搬送ベルト13間の高さを測定し、ユーザーによって入力された布帛の布種の情報に基づいて、記録ヘッド3のノズル面と布帛との間の高さであるギャップを決定する(ステップS2)。次いで、クリーニング間隔決定部109は、ギャップを記憶部104に記憶された布種-ギャップテーブルを参照してクリーニング間隔を決定する。
【0105】
なお、布帛の布種の情報は、不図示の端末装置等から投入されるジョブの設定情報等に記載されている。つまり、布帛の布種の情報は、端末装置を操作するユーザーによって指定される。もしくは、クリーニング間隔決定部109によるクリーニング間隔の決定時に、操作表示部105の画面に、布種を選択するUI(User Interface)を表示させ、該UIを介してユーザーに布種を選択させ、その情報を使用してもよい。
【0106】
次いで、クリーニング間隔決定部109は、ギャップが予め定められた閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。なお、ギャップは、ギャップ決定部107により決定された値に基づき判定されてもよいが、不図示のセンサ等に基づいて測定された実際のギャップに基づいて判定されてもよい。もしくは、主走査装置昇降部9に設けられている不図示の高さ調整用のメモリがユーザーによって操作されることにより、ギャップが調整された場合には、該メモリの値に基づいてギャップが判定されてもよい。
【0107】
ステップS3で、ギャップは閾値以上であると判定された場合(ステップS3がYES判定の場合)、クリーニング間隔決定部109は、クリーニング間隔を、印刷枚数や連続印字時間等により定められる標準のクリーニング間隔よりも短くする(ステップS4)。
【0108】
一方、ステップS3で、ギャップは閾値以上ではないと判定された場合(ステップS3がNO判定の場合)、クリーニング間隔決定部109は、ギャップは閾値より小さいか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5で、ギャップは閾値より小さいと判定された場合(ステップS5がYES判定の場合)、クリーニング間隔決定部109は、クリーニング間隔を、印刷枚数や連続印字時間等により定められる標準のクリーニング間隔よりも長くする(ステップS6)。
【0109】
ステップS4又はステップS6の処理後、もしくは、ステップS5がNO判定の場合、制御部100は、記録ヘッド3による印字動作を開始させる(ステップS7)。次いで、クリーニング動作制御部701は、クリーニング間隔決定部109により決定されたクリーニング間隔により定まる、定期クリーニングの実行タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS8)。
【0110】
ステップS8で、定期クリーニングの実行タイミングは到来していないと判定された場合(ステップS8がNO判定の場合)、クリーニング動作制御部701は、ステップS8の判定を繰り返す。一方、ステップS8で、定期クリーニングの実行タイミングが到来したと判定された場合(ステップS8がYES判定の場合)、クリーニング動作制御部701は、クリーニング部7を制御して記録ヘッド3のノズル面のクリーニングを実施させる(ステップS9)。ステップS9の処理後、インクジェット記録装置1000によるクリーニング間隔決定処理は終了する。
【0111】
上述した本実施形態では、クリーニング間隔決定部109が、記録ヘッド3及び記録媒体間のギャップに基づいて、クリーニング間隔を決定する。より詳細には、クリーニング間隔決定部109は、ギャップが所定の閾値より大きい場合、クリーニング間隔を標準のクリーニング間隔より短くする。それゆえ、本実施形態によれば、記録ヘッド3のノズル面のクリーニングの実行間隔を、記録ヘッド3及び記録媒体間のギャップの高さに応じた間隔にすることができる。
【0112】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0113】
上述した実施形態では、記録媒体が布帛で構成される場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、記録媒体は、紙、合成紙、ポリ塩化ビニル(PVC)、PET素材、セラミック、ガラス、ラミネート素材などの、他の素材で構成されてもよい。
【0114】
また、例えば、上述した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために装置(インクジェット記録装置)の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、
図5において実線で示す制御線又は情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線又は情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1…搬送装置、2…キャリッジ、3…記録ヘッド、4…主走査装置、7…クリーニング部、9…主走査装置昇降部、13…搬送ベルト、32…インクジェットヘッド、33…ノズル、100…制御部、107…ギャップ決定部、109…クリーニング間隔決定部、1000…インクジェット記録装置、T1…インク種-クリーニング間隔テーブル、T2…布種-ギャップテーブル、T3…ギャップ-吐出不良発生確率テーブル、T4…吐出不良ノズル予想発生数-吐出不良回復率テーブル