(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】画像読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240312BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240312BHJP
F16B 37/12 20060101ALI20240312BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20240312BHJP
H05K 7/12 20060101ALI20240312BHJP
G03G 15/04 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
G03G21/16 147
H04N1/00 519
F16B37/12 Z
G03B27/62
H05K7/12 D
G03G15/04 114
(21)【出願番号】P 2020030216
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩志
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-087149(JP,A)
【文献】特開平11-125231(JP,A)
【文献】特開2008-153364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
H04N 1/00
F16B 37/12
G03B 27/62
H05K 7/12
G03G 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を読み取る読取ユニットと、
前記読取ユニットを走査可能に支持するレール部と、
前記読取ユニットを前記レール部に沿って移動させる駆動部と、
前記レール部に上方側から対向する対向部を有するフレームおよび前記フレームに固定される外装部材を含み、前記読取ユニットおよび前記レール部を収容する筐体と、
前記フレームに前記外装部材を固定するための固定構造と、を備え、
前記対向部には、第1貫通孔が設けられ、
前記外装部材には、前記第1貫通孔に対向する位置に第2貫通孔が設けられており、
前記固定構造は、前記第1貫通孔に挿入されたコイルバネと、前記第2貫通孔および前記コイルバネに挿入された雄ネジとを含み、
前記コイルバネは、前記雄ネジと同じねじり方向を有するとともに、前記雄ネジに設けられたネジ溝に嵌合する螺旋部を有し、
前記螺旋部が前記第1貫通孔を規定する前記フレームの内壁面を押圧した状態で、前記フレームに前記外装部材が固定されて
おり、
前記コイルバネは、前記第1貫通孔から前記外装部材が位置する側に引き出された第1端部を有し、
前記第1端部は、前記フレームに対して前記コイルバネの移動が規制されるように前記フレームの一部に係合している、画像読取装置。
【請求項2】
前記コイルバネの前記第1端部は、前記コイルバネが前記第1貫通孔の軸回りに回転しないように前記フレームの前記一部に係合している、請求項
1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記フレームには、当該フレームの一部が折り曲げられた係止部が設けられており、
前記コイルバネの前記第1端部は、前記係止部に係合するフック形状を有する、請求項
2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第1貫通孔から前記外装部材が位置する側に引き出された前記コイルバネの少なくとも一部は、前記対向部と前記外装部材とによって挟み込まれている、請求項1から
3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記コイルバネは、前記第1貫通孔から前記外装部材が位置する側とは反対側に引き出された第2端部を有し、
前記第2端部は、前記雄ネジの先端側を覆う形状を有する、請求項1から
4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記雄ネジおよび前記コイルバネは、前記フレームよりも硬い硬度を有する、請求項1から
5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
画像を読み取る読取ユニットと、
前記読取ユニットを走査可能に支持するレール部と、
前記読取ユニットを前記レール部に沿って移動させる駆動部と、
前記レール部に上方側から対向する対向部を有するフレームおよび前記フレームに固定される外装部材を含み、前記読取ユニットおよび前記レール部を収容する筐体と、
前記フレームに前記外装部材を固定するための固定構造と、を備え、
前記対向部には、第1貫通孔が設けられ、
前記外装部材には、前記第1貫通孔に対向する位置に第2貫通孔が設けられており、
前記固定構造は、前記第1貫通孔に挿入されたコイルバネと、前記第2貫通孔および前記コイルバネに挿入された雄ネジとを含み、
前記コイルバネは、前記雄ネジと同じねじり方向を有するとともに、前記雄ネジに設けられたネジ溝に嵌合する螺旋部を有し、
前記螺旋部が前記第1貫通孔を規定する前記フレームの内壁面を押圧した状態で、前記フレームに前記外装部材が固定されており、
前記第1貫通孔から前記外装部材が位置する側に引き出された前記コイルバネの少なくとも一部は、前記対向部と前記外装部材とによって挟み込まれている、画像読取装置。
【請求項8】
画像を読み取る読取ユニットと、
前記読取ユニットを走査可能に支持するレール部と、
前記読取ユニットを前記レール部に沿って移動させる駆動部と、
前記レール部に上方側から対向する対向部を有するフレームおよび前記フレームに固定される外装部材を含み、前記読取ユニットおよび前記レール部を収容する筐体と、
前記フレームに前記外装部材を固定するための固定構造と、を備え、
前記対向部には、第1貫通孔が設けられ、
前記外装部材には、前記第1貫通孔に対向する位置に第2貫通孔が設けられており、
前記固定構造は、前記第1貫通孔に挿入されたコイルバネと、前記第2貫通孔および前記コイルバネに挿入された雄ネジとを含み、
前記コイルバネは、前記雄ネジと同じねじり方向を有するとともに、前記雄ネジに設けられたネジ溝に嵌合する螺旋部を有し、
前記螺旋部が前記第1貫通孔を規定する前記フレームの内壁面を押圧した状態で、前記フレームに前記外装部材が固定されており、
前記コイルバネは、前記第1貫通孔から前記外装部材が位置する側とは反対側に引き出された第2端部を有し、
前記第2端部は、前記雄ネジの先端側を覆う形状を有する、画像読取装置。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の画像読取装置を備えた、画像形成装置。
【請求項10】
画像形成部と、
前記画像形成部を制御するための回路基板と、
前記画像形成部および前記回路基板を収容する筐体と、
前記筐体内に配置され、前記回路基板に上方側から対向する対向部を有するフレームと、
前記回路基板の上方に配置され、前記フレームに固定される被固定部材と、
前記フレームに前記被固定部材を固定するための固定構造と、を備え、
前記対向部には、第1貫通孔が設けられ、
前記被固定部材には、前記第1貫通孔に対応する位置に第2貫通孔が設けられており、
前記固定構造は、前記第1貫通孔に挿入されたコイルバネと、前記第2貫通孔および前記コイルバネに挿入された雄ネジとを含み、
前記コイルバネは、前記雄ネジと同じねじり方向を有するとともに、前記雄ネジに設けられたネジ溝に嵌合する螺旋部を有し、
前記螺旋部が前記第1貫通孔を規定する前記フレームの内壁面を押圧した状態で、前記フレームに前記被固定部材が固定されて
おり、
前記コイルバネは、前記第1貫通孔から前記被固定部材が位置する側に引き出された第1端部を有し、
前記第1端部は、前記フレームに対して前記コイルバネの移動が規制されるように前記フレームの一部に係合している、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雄ネジと雌ネジを嵌合させて部材を固定する方法が広く知られている。雌ネジは、ナットのようにネジ溝が加工された部品として存在するものがある。
【0003】
たとえば、特開平11-125231号公報(特許文献1)には、雄ネジと雌ネジとの嵌合をより強固にするために、雄ネジと雌ネジとの間にコイルバネを介在させることが開示されている。
【0004】
また、特開2016-161126号公報(特許文献2)には、ボルトに締結されたナットの緩みを防止するために、ナットの下方に脱落を防止する規制部材を設けることが開示されている。規制部材は、筒体と、内側コイル部および外側コイル部を有するコイルバネとによって構成されており、筒体の外周面に外側コイル部が密着し、ナットから露出するボルトの先端に内側コイル部が密着している。
【0005】
ここで、画像読取装置および画像形成装置等の精密機器では、小型化、安価、軽量の要望から、他の部品を支持する板金フレームに直接ネジ溝(雌ネジの溝)を切削する方法が一般的である。
【0006】
その方法としては、フレームにネジ溝の無い下穴のみプレス加工した後で、ねじタップと呼ばれる工具でネジ溝を後加工する方法と、専用工具による後処理を不要とするために、ねじタップ形状が先端に有するセルフタッピングねじをネジ溝の無い下穴に回転させながら挿入することで、ねじ自身がネジ溝を形成しながら部品を締結する方法がある。いずれも板金を切削する加工であり、雄ネジのネジ溝と、加工したネジ溝(雌ネジ)を嵌合させて固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平11-125231号公報
【文献】特開2016-161126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、板金で構成されたフレーム筐体に外装部品をネジ締結する場合には、ネジ溝と雄ネジが強く摺動しネジ溝を部分的に切削するため、ネジ穴直下に切粉が落下することがある。特に、ネジは焼き入れされているため、板金で形成されたフレームよりも硬度が大きい。このため、ねじ込み時にネジがフレームに摺動する場合には、切粉が発生しやすい。
【0009】
画像読取装置は防塵性が必要となるため、密封したフレーム構成をクリーンルームで組み立てる。このため、最終工程である外装部品取付時に装置内に切粉が落下した場合、落下した切粉の異物を容易に除去することができない。
【0010】
特に、クリーンルーム外で切粉除去のため画像読取装置を分解すると、気中の異物が混入し画像センサー等に付着し画像ノイズを発生させる不具合が新たに発生してしまう。鉄等の金属からなる切粉は大きく堅い異物である。このため、画像読取ユニットが原稿をスキャンするときのレールに落下すると、走査時にスライダーブッシュと異物との接触によってショックノイズが画像に形成されたり、摺動抵抗増加により異音が発生したりする。また、画像形成装置においても、各部品を筐体内に配置する場合において、回路基板上に切粉が落ちてきた場合には、回路が短絡したりすることも起こり得る。このように、切粉の発生を抑制できる固定構造が必要であった。
【0011】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、切粉の発生を抑制できる固定構造を備えた画像読取装置、および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に基づく画像読取装置は、原稿を読み取る読取ユニットと、上記読取ユニットを走査可能に支持するレール部と、上記読取ユニットを上記レール部に沿って移動させる駆動部と、上記レール部に上方側から対向する対向部を有するフレームおよび上記フレームに固定される外装部材を含み、上記読取ユニットおよび上記レール部を収容する筐体と、上記フレームに上記外装部材を固定するための固定構造と、を備える。上記対向部には、第1貫通孔が設けられている。上記外装部材には、上記第1貫通孔に対向する位置に第2貫通孔が設けられている。上記固定構造は、上記第1貫通孔に挿入されたコイルバネと、上記第2貫通孔および上記コイルバネに挿入された雄ネジとを含む。上記コイルバネは、上記雄ネジと同じねじり方向を有するとともに、上記雄ネジに設けられたネジ溝に嵌合する螺旋部を有する。上記螺旋部が上記第1貫通孔を規定する上記フレームの内壁面を押圧した状態で、上記フレームに上記外装部材が固定されている。
【0013】
上記本発明に基づく画像読取装置にあっては、上記コイルバネは、上記第1貫通孔から上記外装部材が位置する側に引き出された第1端部を有していてもよい。この場合には、上記第1端部は、上記フレームに対して上記コイルバネの移動が規制されるように上記フレームの一部に係合していることが好ましい。
【0014】
上記本発明に基づく画像読取装置にあっては、上記コイルバネの上記第1端部は、上記コイルバネが上記第1貫通孔の軸回りに回転しないように上記フレームの上記一部に係合していてもよい。
【0015】
上記本発明に基づく画像読取装置にあっては、上記フレームには、当該フレームの一部が折り曲げられた係止部が設けられていてもよく、上記コイルバネの上記第1端部は、上記係止部に係合するフック形状を有していてもよい。
【0016】
上記本発明に基づく画像読取装置にあっては、上記第1貫通孔から上記外装部材が位置する側に引き出された上記コイルバネの少なくとも一部は、上記対向部と上記外装部材とによって挟み込まれていてもよい。
【0017】
上記本発明に基づく画像読取装置にあっては、上記コイルバネは、上記第1貫通孔から上記外装部材が位置する側とは反対側に引き出された第2端部を有していてもよい。この場合には、上記第2端部は、上記雄ネジの先端側を覆う形状を有していてもよい。
【0018】
上記本発明に基づく画像読取装置にあっては、上記雄ネジおよび上記コイルバネは、上記フレームよりも硬い硬度を有していることが好ましい。
【0019】
上記本発明の第1の局面に基づく画像形成装置は、上記画像読取装置を備えている。
上記本発明の第2の局面に基づく画像形成装置は、画像形成部と、上記画像形成部を制御するための回路基板と、上記画像形成部および上記回路基板を収容する筐体と、上記筐体内に配置され、上記回路基板に上方側から対向する対向部を有するフレームと、上記回路基板の上方に配置され、上記フレームに固定される被固定部材と、上記フレームに上記被固定部材を固定するための固定構造と、を備える。上記対向部には、第1貫通孔が設けられている。上記被固定部材には、上記第1貫通孔に対応する位置に第2貫通孔が設けられている。上記固定構造は、上記第1貫通孔に挿入されたコイルバネと、上記第2貫通孔および上記コイルバネに挿入された雄ネジとを含む。上記コイルバネは、上記雄ネジと同じねじり方向を有するとともに、上記雄ネジに設けられたネジ溝に嵌合する螺旋部を有する。上記螺旋部が上記第1貫通孔を規定する上記フレームの内壁面を押圧した状態で、上記フレームに上記被固定部材が固定されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、切粉の発生を抑制できる固定構造を備えた画像読取装置、および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態1に係る画像形成装置の概略図である。
【
図2】実施の形態1に係る画像読取装置の部分断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る画像読取装置において、外装部材を固定する前の状態を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る画像読取装置において、外装部材を固定した後の状態を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る画像読取装置において、固定構造によって外装部材が固定されている様子を示す断面図である。
【
図6】実施の形態1に係る固定構造に含まれるコイルバネがフレームに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図7】実施の形態1に係る固定構造に含まれるコイルバネを示す斜視図である。
【
図8】実施の形態2に係る画像読取装置において、固定構造によって外装部材が固定されている様子を示す断面図である。
【
図9】実施の形態2に係る固定構造に含まれるコイルバネを示す斜視図である。
【
図10】実施の形態3に係る画像形成装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0023】
(実施の形態1)
[画像形成装置]
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置の概略図である。
図1を参照して、実施の形態1に係る画像形成装置1について説明する。
【0024】
以下では、画像形成装置1がカラープリンタである場合について説明するが、画像形成装置1は、カラープリンタに限定されない。たとえば、画像形成装置1は、モノクロプリンタであってもよいし、FAXであってもよいし、モノクロプリンタ、カラープリンタおよびFAXの複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。
【0025】
図1に示すように、実施の形態1に係る画像形成装置1は、画像読取部100、画像形成部110、および給紙部120を備える。
【0026】
画像読取部100は、画像読取装置101と、自動原稿搬送装置(ADF: Automatic Document Feeder)102と、原稿トレイ103とを備える。自動原稿搬送装置102は原稿トレイ103に載置された原稿を1枚ずつ画像読取装置101に供給する。画像読取装置101は、自動原稿搬送装置102が供給する原稿を読み取り、プラテンガラス220(
図2参照)上に載置された原稿S(
図2参照)を読み取って画像データを生成する。
【0027】
画像形成部110は、たとえば、画像読取装置101が生成した画像データに基づいて画像を形成する。画像形成部110は、画像形成ユニット111、中間転写ベルト112、および2次転写ローラー113、および定着装置114を含む。
【0028】
画像形成部110は、画像形成ユニット111にてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の色毎にトナー像を形成し、中間転写ベルト112上に順次重ね合わせて静電転写(1次転写)しカラートナー像とする。中間転写ベルト112は、無端状のベルトであって、
図1中矢印C方向に回転走行する。
【0029】
給紙部120は、給紙トレイ121から記録媒体を供給する。記録媒体は、2次転写ローラー113と中間転写ベルト112とによって形成されるニップ部に搬送され、中間転写ベルト112からトナー像を転写される。
【0030】
トナー像が転写された記録媒体は、定着装置114によって加圧および加熱される。この際、トナー像は、記録媒体上で融解し、記録媒体上に定着する。その後、記録媒体は、排出トレイに排出される。
[画像読取装置]
図2は、実施の形態1に係る画像読取装置の部分断面図である。
図2を参照して、画像読取装置101の構成について説明する。なお、以下においては、画像読取装置101が、CCD方式である場合を例示して説明するが、これに限定されず、CIS方式であってもよい。
【0031】
図2に示すように、画像読取装置101は、読取ユニット200、プラテンガラス220を含む筐体210、スライダーブッシュ230、レール部240、駆動部250、および固定構造50(
図4参照)を備える。
【0032】
読取ユニット200は、プラテンガラス220上に載置された原稿Sの画像を読み取る。読取ユニット200は、キャリッジとしてのスライダー部201と、光学系202とを含む。
【0033】
スライダー部201は、レール部240に沿ってスライド移動可能に設けられている。具体的には、スライダー部201は、スライダーブッシュ230によってレール部240と接続されている。
【0034】
光学系202は、スライダー部201の内部に配置されている。光学系202は、光源から出射されてプラテンガラス220上に載置された原稿Dから反射された光を、CCD等の素子に導く。なお、CCD等の素子は、スライダー部201の外部に設けられていてもよいし、スライダー部201の内部に設けられていてもよい。
【0035】
レール部240は、所定の方向に延在する。レール部240は、読取ユニット200を走査可能に支持する。駆動部250は、読取ユニット200をレール部240に沿って移動させる。駆動部250としては、たとえば光学用のモータ等を採用することができる。
【0036】
筐体210は、箱状形状を有し、内部に、少なくとも読取ユニット200およびレール部240を収容する。筐体210の天井部の一部は、プラテンガラス220によって構成されている。
【0037】
図3は、実施の形態1に係る画像読取装置において、外装部材を固定する前の状態を示す斜視図である。
図4は、実施の形態1に係る画像読取装置において、外装部材を固定した後の状態を示す斜視図である。
図3および
図4を参照して、画像読取装置101の筐体210の構成について説明する。
【0038】
図3および
図4に示すように、筐体210は、フレーム211と、外装部材212とを含む。フレーム211は、プラテンガラス220の周囲を囲むように設けられている。フレーム211は、レール部240に上方側から対向する対向部211aを有する。フレーム211は、たとえば、板金等の金属部材で形成されている。
【0039】
外装部材212は、フレーム211を覆うように設けられている。外装部材212は、固定構造50によってフレーム211に固定されている。外装部材212は、たとえば樹脂部材で形成されている。
【0040】
図5は、実施の形態1に係る画像読取装置において、固定構造によって外装部材が固定されている様子を示す断面図である。
図6は、実施の形態1に係る固定構造に含まれるコイルバネがフレームに取り付けられた状態を示す斜視図である。
図7は、実施の形態1に係る固定構造に含まれるコイルバネを示す斜視図である。
図5から
図7を参照して、外装部材212が固定構造50によって固定される態様について説明する。
【0041】
図5に示すように、上述のフレーム211の対向部211aには、当該フレーム211の厚み方向に貫通する第1貫通孔211bが設けられている。また、対向部211aには、当該対向部211aの一部を構成する舌片部が外装部材212側(具体的には、外装部材212のうち対向部211aに対向する部分)に向かうように折り曲げられた折曲部211cが設けられている。
【0042】
折曲部211cは、対向部211aから上方に向かう立壁部211c1と、当該立壁部211c1から対向部211aと略平行となる平坦部211c2とを含む。なお、折曲部211cは、後述するコイルバネ52の第1端部52aに係合する係止部に相当する。
【0043】
外装部材212においては、上記第1貫通孔211bに対応する位置に第2貫通孔212bが設けられている。
【0044】
固定構造50は、雄ネジ51と、コイルバネ52とを含む。雄ネジ51およびコイルバネ52は、板金で構成さえるフレーム211よりも硬い硬度を有する。
【0045】
雄ネジ51は、頭部511と、ネジ溝が形成された軸部512とを含む。頭部511は、外装部材212の外部に露出しており、当該外装部材212を締め付けている。軸部512は、第2貫通孔212bを通って後述するコイルバネ52の螺旋部522の内側に挿入されている。
【0046】
図5から
図7に示すように、コイルバネ52は、第1端部52a、第2端部52b、接続部521、および螺旋部522を含む。螺旋部522は、第1貫通孔211bに挿入されている。螺旋部522は、雄ネジ51と同じねじり方向を有している。螺旋部522は、上記雄ネジ51の軸部512に設けられたネジ溝に嵌合する。
【0047】
第1端部52aは、コイルバネ52の一端側を構成する部分である。第1端部52aは、第1貫通孔211bから外装部材212が位置する側(より特定的には外装部材212のうち対向部211aに対向する部分が位置する側)に引き出されている。
【0048】
第1端部52aは、上記対向部211aに設けられた折曲部211cに係合している。具体的には、第1端部52aは、フック形状を有し、上記対向部211aに設けられた折曲部211cに引っ掛けられている。より詳細的には、第1端部52aは、環状形状を有し、当該環状形状の空洞部に折曲部211cの立壁部211c1が挿入されている。
【0049】
これにより、雄ネジ51の軸部512を螺旋部522の内側に挿入して螺合させる際に、螺旋部522が第1貫通孔211bの軸周りに回転することが規制される。また、第1端部52aの上方に、平坦部211c2が配置されることにより、外装部材212の組付け時にコイルバネ52が上方に移動することも規制することができる。
【0050】
接続部521は、第1端部52aと螺旋部522とを接続する。当該接続部521は、外装部材212と対向部211aとによって挟まれている。このことによっても、外装部材212の組付け時にコイルバネ52が移動することを規制することができる。
【0051】
第2端部52bは、コイルバネ52の他端側を構成する部分であり、螺旋部522の先端側を構成している。第2端部52bは、第1貫通孔211bから外装部材212が位置する側とは反対側に引き出されている。すなわち、第2端部52bは、筐体210の内側に引き出されている。
【0052】
上記固定構造50を用いて、外装部材212をフレーム211に固定する場合には、まず、フレーム211の対向部211aにコイルバネ52を取り付ける。具体的には、フレーム211の対向部211aに設けられた第1貫通孔211bにコイルバネ52の螺旋部522を挿入し、コイルバネ52の第1端部52aを上記折曲部211cに係合させる。なお、コイルバネ52の第1端部52aを上記折曲部211cに係合させてから、螺旋部522を第1貫通孔211bに挿入してもよいし、第1端部52aの係合と、螺旋部522の挿入を同時に行なってもよい。
【0053】
続いて、外装部材212に設けられた第2貫通孔212bが第1貫通孔211bに重なるように、外装部材212でフレーム211を覆う。この際、コイルバネ52の接続部521を外装部材212と対向部211aとで挟み込む。
【0054】
次に、雄ネジ51の先端を第2貫通孔212bを通ってコイルバネ52の螺旋部522の内側に挿入する。そして、締め付け方向に雄ネジ51を回転させる。この際、上記のようにコイルバネ52の第1端部52aがフレーム211の一部と係合していることにより、雄ネジ51の回転によって、コイルバネ52が回転することを防止することができる。
【0055】
雄ネジ51を回転させ、雄ネジ51を螺旋部522の内側に進入させていくことにより、螺旋部522は雄ネジ51のねじ溝に嵌合(螺合)しつつ、径方向に押し広げられる。この結果、螺旋部522が第1貫通孔211bを規定するフレーム211の内壁面を押圧した状態で、外装部材212がフレーム211に固定される。
【0056】
ここで、雄ネジ51において、ネジの外径、ネジの谷径、ネジのピッチ当の各種寸法は、JIS規格によって定められている。コイルバネ52の螺旋部522における線径は、螺旋部522が雄ネジ51のネジ溝に埋もれない径であることが好ましく、ネジのピッチ以下であることが好ましい。
【0057】
螺旋部522が雄ネジ51のネジ溝に埋もれる場合には、第1貫通孔211bを規定するフレーム211の内壁面と螺旋部522とが接触しなくり、組付け時にフレーム211の上記内壁面にとネジ山が摺動することが懸念される。また、コイルバネ52の螺旋部522における線径がネジのピッチよりも大きい場合には、ネジ溝に螺旋部522が嵌合できなくなる。
【0058】
また、コイルバネ52の螺旋部522におけるバネの内径は、雄ネジ51のネジ外径より小さいことが好ましい。これにより、螺旋部522に雄ネジ51のネジ溝を嵌合させることができる。なお、第1貫通孔211bの孔径は、雄ネジ51の外径より大きく、螺旋部522が雄ネジ51によって拡径された場合の螺旋部522の最大外径よりも小さい。
【0059】
たとえば、ネジの外径は、3.0mmであり、ネジの谷径は、2.459mmであり、ピッチは、0.5mmとする場合には、第1貫通孔211bの孔径をφ3.1mmとすることが好ましい。
【0060】
上記のような寸法を有する場合には、コイルバネ52の螺旋部522における線径は、φ0.25mm以上0.5mm以下であることが好ましい。また、螺旋部522におけるばねの内径は、φ3.0mmより小さいことが好ましい。
【0061】
このような寸法において、固定構造50を用いて外装部材212をフレーム211に固定する場合には、フレーム211にネジ溝(雌ネジ)を加工した場合と同様に、略9kgfcmの締め付けトルクが得られる。
【0062】
さらに、上記のように雄ネジ51を回転させ、雄ネジ51を螺旋部522の内側に進入させていく場合には、雄ネジ51のネジ山の頂部が、第1貫通孔211bを規定するフレーム211の内壁面に接触することなく、螺旋部522の間に入り込む。このため、雄ネジ51が、第1貫通孔211bを規定するフレーム211の内壁面を削ることを防止できるため、切粉の発生を抑制することができる。
【0063】
この結果、切粉がレール部240上に落下することを抑制でき、読取ユニット200の走査時にスライダーブッシュと異物との接触によってショックノイズが画像に形成されたり、摺動抵抗増加により異音が発生したりすることを抑制することができる。
【0064】
以上のように、実施の形態1に係る画像読取装置101および画像形成装置1においては、上記固定構造50を有することにより、切粉の発生を抑制できる。
【0065】
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2に係る画像読取装置において、固定構造によって外装部材が固定されている様子を示す断面図である。
図9は、実施の形態2に係る固定構造に含まれるコイルバネを示す斜視図である。
図8および
図9を参照して、実施の形態2に係る画像読取装置101について説明する。
【0066】
図8に示すように、実施の形態2に係る画像読取装置101Aは、実施の形態1に係る画像読取装置101と比較した場合に、固定構造50におけるコイルバネ52Aの形状が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
【0067】
コイルバネ52Aは、実施の形態1同様に、第1貫通孔211bから外装部材212が位置する側に引き出された第1端部52aと、第1貫通孔211bから外装部材212が位置する側とは反対側に引き出された第2端部52bを有する。
【0068】
図8および
図9に示すように、実施の形態2におけるコイルバネ52Aにあっては、第2端部52bが、雄ネジ51の先端側を覆う形状を有する。すなわち、第2端部52bは、袋状の形状を有する。具体的には、コイルバネ52Aの第2端部52bは、対向部211aから遠ざかるにつれて内径が徐々に小さくなる形状を有する。
【0069】
このように構成される場合であっても、実施の形態2に係る画像読取装置101Aは、実施の形態1に係る画像形成読取装置101とほぼ同様の効果を有する。さらに、コイルバネ52Aの第2端部52bが、雄ネジ51の先端側を覆う形状を有する。このため、雄ネジ51の挿入時において、雄ネジ51がコイルバネ52に摺動する際に、万一コイルバネ52が削れた場合であっても、切粉を第2端部52bで捕捉することができる。
【0070】
(実施の形態3)
図10は、実施の形態3に係る画像形成装置を示す概略図である。
図3を参照して、実施の形態3に係る画像形成装置1Bについて説明する。
【0071】
図10に示すように、実施の形態3に係る画像形成装置1Bは、実施の形態1に係る画像形成装置1と比較した場合に、回路基板150の上方において、被固定部材170が固定構造50を用いてフレーム160に固定されている点において相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
【0072】
実施の形態3に係る画像形成装置1Bは、画像形成部110と、回路基板150と、筐体80と、フレーム160と、被固定部材170と、固定構造50とを備える。
【0073】
回路基板150は、画像形成部110を制御する。回路基板150は、電子部品が搭載される搭載面150aが上方を向くように配置されている。回路基板150に搭載される電子部品には、たとえば高電圧が印加される。
【0074】
筐体80は、箱状形状を有し、画像形成部110および回路基板150を収容する。フレーム160は、筐体80内に配置され、回路基板150に上方側から対向する対向部161を有する。当該対向部161は、具体的には、上述の回路基板150における搭載面150aに対向する。
【0075】
被固定部材170は、回路基板150の上方に配置され、実施の形態1同様に固定構造50によってフレーム160に固定される。被固定部材170は、たとえば、画像形成部110を構成する各種のパーツを保持する保持部材であってもよいし、筐体80の一部を構成する外装部材であってもよい。
【0076】
対向部161には、第1貫通孔161aが設けられており、被固定部材170には、第1貫通孔161aに対応する位置に第2貫通孔171aが設けられている。
【0077】
固定構造50は、実施の形態1同様の構成を有し、第1貫通孔161aに設けられたコイルバネ52と、コイルバネ52の内側に到達するように第2貫通孔171aに挿入された雄ネジ51とを含む。コイルバネ52は、雄ネジ51と同じねじり方向を有するとともに、雄ネジ51に設けられたネジ溝に嵌合する螺旋部を有する。当該螺旋部が第1貫通孔161aを規定するフレーム160の内壁面を押圧した状態で、フレーム160に被固定部材170が固定されている。
【0078】
このように構成される場合には、実施の形態1同様に、雄ネジ51のネジ山の頂部が、第1貫通孔161aを規定するフレーム160の内壁面に接触することなく、コイルバネ52の螺旋部の間に入り込む。このため、雄ネジ51が、第1貫通孔161aを規定するフレーム160の内壁面を削ることを防止できるため、切粉の発生を抑制することができる。
【0079】
このため、切粉が回路基板150が有する上記搭載面150aに落下することを防止できる。この結果、回路基板150に搭載された電子備品が短絡することを防止でき、電気系の不具合が発生することを防止できる。
【0080】
なお、上述した実施の形態3においては、回路基板150は、搭載面150aが上方を向くように配置される場合について説明したが、これに限定されず、搭載面150aが上下方向に交差する方向、より限定的には水平方向を向くように回路基板150が配置されていてもよい。
【0081】
以上、今回発明された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1,1B 画像形成装置、50 固定構造、51 雄ネジ、52,52A コイルバネ、52a 第1端部、52b 第2端部、80 筐体、100 画像読取部、101,101A 画像読取装置、102 自動原稿搬送装置、103 原稿トレイ、110 画像形成部、111 画像形成ユニット、112 中間転写ベルト、113 2次転写ローラー、114 定着装置、120 給紙部、121 給紙トレイ、150 回路基板、150a 搭載面、160 フレーム、161 対向部、161a 第1貫通孔、170 被固定部材、171a 第2貫通孔、200 読取ユニット、201 スライダー部、202 光学系、210 筐体、211 フレーム、211a 対向部、211b 第1貫通、211c 折曲部、211c1 立壁部、211c2 平坦部、212 外装部材、212b 第2貫通孔、220 プラテンガラス、230 スライダーブッシュ、240 レール部、250 駆動部、511 頭部、512 軸部、521 接続部、522 螺旋部。