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特許7452090処理システム、処理方法、管理者装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】処理システム、処理方法、管理者装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/51 20060101AFI20240312BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20240312BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20240312BHJP
   G06F 16/90 20190101ALI20240312BHJP
【FI】
H04M3/51
H04M3/42 P
G10L15/00 200T
G06F16/90 100
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020030958
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021136560
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】則松 陽一
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029984(JP,A)
【文献】特開2020-009140(JP,A)
【文献】特開2013-073495(JP,A)
【文献】特開2010-141804(JP,A)
【文献】特開2016-119634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
1/24- 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
99/00
G06Q 10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z 99/00
G10L 13/00-99/00
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換装置と、検索装置と、管理者装置とを備える処理システムであって、
前記変換装置は、ユーザからの音声を音声認識し第1のテキストデータに変換する変換部を備え、
前記検索装置は、前記第1のテキストデータから管理者によって抽出されたキーワードに基づいて、第1の支援情報を出力する検索部を備え、
前記管理者装置は、前記第1の支援情報に基づく前記管理者の音声による指示が前記変換部で第2のテキストデータに変換された第2の支援情報をオペレータに送出する送出部を備える
処理システム。
【請求項2】
前記送出部は、前記第2の支援情報に加え、前記第1の支援情報を前記オペレータに送出する
請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
支援情報が記憶されたナレッジデータベースをさらに備え
前記検索部は、前記キーワードを前記ナレッジデータベースに入力することによって前記第1の支援情報を取得し出力する
請求項1または請求項2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記第1のテキストデータ及び前記第2のテキストデータを記憶する記憶部をさらに備える
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項5】
前記変換装置と、前記検索装置とは、1つの装置から構成される
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項6】
変換装置と、検索装置と、管理者装置とを備える処理システムにおける処理方法であって、
前記処理システムは、
ユーザからの音声を音声認識し第1のテキストデータに変換する変換ステップ
前記第1のテキストデータから管理者によって抽出されたキーワードに基づいて、第1の支援情報を出力する検索ステップ
前記第1の支援情報に基づく前記管理者の音声による指示が前記変換装置で第2のテキストデータに変換された第2の支援情報をオペレータに送出する送出ステップ実行する
処理方法。
【請求項7】
前記変換装置と、前記検索装置とは、1つの装置から構成される
請求項6に記載の処理方法。
【請求項8】
変換装置と、検索装置と、管理者装置とを備える処理システムであり、
前記変換装置は、ユーザからの音声を音声認識し第1のテキストデータに変換する変換部を備え、
前記検索装置は、前記第1のテキストデータから管理者によって抽出されたキーワードに基づいて、第1の支援情報を出力する検索部を備える
処理システムにおける管理者装置であって、
前記管理者装置は、前記第1の支援情報に基づく前記管理者の音声による指示が前記変換部で第2のテキストデータに変換された第2の支援情報をオペレータに送出する送出部を備える
管理者装置。
【請求項9】
前記変換装置と、前記検索装置とは、1つの装置から構成される
請求項8に記載の管理者装置。
【請求項10】
変換装置と、検索装置と、管理者装置とを備える処理システムであり、
前記変換装置は、ユーザからの音声を音声認識し第1のテキストデータに変換する変換部を備え、
前記検索装置は、前記第1のテキストデータから管理者によって抽出されたキーワードに基づいて、第1の支援情報を出力する検索部を備える
処理システムにおける管理者装置の処理方法であって、
前記管理者装置は、前記第1の支援情報に基づく前記管理者の音声による指示が前記変換部で第2のテキストデータに変換された第2の支援情報をオペレータに送出する送出ステップを有する
処理方法。
【請求項11】
前記変換装置と、前記検索装置とは、1つの装置から構成される
請求項10に記載の処理方法。
【請求項12】
変換装置と、検索装置と、管理者装置とを備える処理システムであり、
前記変換装置は、ユーザからの音声を音声認識し第1のテキストデータに変換する変換部を備え、
前記検索装置は、前記第1のテキストデータから管理者によって抽出されたキーワードに基づいて、第1の支援情報を出力する検索部を備える
処理システムにおける管理者装置としてのコンピュータを、
前記第1の支援情報に基づく前記管理者の音声による指示が前記変換部で第2のテキストデータに変換された第2の支援情報をオペレータに送出する送出部として機能させるための
プログラム。
【請求項13】
前記変換装置と、前記検索装置とは、1つの装置から構成される
請求項12に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理システム、処理方法、管理者装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
処理装置はさまざまな分野における機器に付随する装置として、広く用いられている。
その分野の一例として、例えばコンタクトセンタシステム(コールセンタシステム)に用いられる処理装置がある。この「コンタクトセンタ(コールセンタ)」とは、例えば電話、チャット、電子メール等の通信装置やコンピュータ等の情報処理装置などを用いて、顧客等の要求、商品の受注や問い合わせやクレームの受付などに対応するところ(部署、部門など)である。従来、ユーザからの問い合わせ内容を管理者(スーパバイザ)も聴取し、管理者がオペレータに対し回答内容に関するアドバイスをメッセージを介してオペレータに提供する構成を備えたコンタクトセンタシステムの処理装置が検討されている。
【0003】
上記の処理装置に関連して、特許文献1には、複数のオペレータ端末と当該オペレータ端末を管理する管理端末とを備えるオペレータ管理システムにおいて、オペレータ端末、管理端末、及び外部の電話機の接続回線を分岐させる回線分岐手段と、オペレータ端末、及び外部の電話機の接続回線について、それぞれの会話音声情報を相互に送受信可能に接続し、管理端末の接続回線について、当該会話音声情報を当該管理端末が受信可能に接続すると共に、当該管理端末から送信される管理音声情報をオペレータ端末にのみ送信可能に接続する接続制御手段と、当該接続制御手段の制御に基づいて、回線分岐手段が分岐させた各回線の接続を切り替える接続切替手段とを備えるオペレータ管理システムが開示されている。特許文献1に係るオペレータ管理システムでは、管理者が顧客とオペレータとの間の通話をモニタリングし、クレーム等の会話におけるトラブルに対応するためのアドバイスを、音声情報、あるいはメッセージ情報によってオペレータに対し送信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-141804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に係るオペレータ管理システムも含めた従来の検討では、管理者のアドバイスに基づいて支援を行うことを前提としている。しかしながら、オペレータに対する支援のレベルは、管理者のアドバイスのスキルに依存し、必ずしもユーザの求めるレベルの回答に至らない場合もあった。
【0006】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、ユーザを応対するオペレータに対して、管理者がより適切な支援を行うことができる処理システム、処理方法、管理者装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明に係る処理装置は、ユーザからの音声を音声認識し第1のテキストデータに変換する変換部と、前記第1のテキストデータから管理者によって抽出されたキーワードに基づいて、第1の支援情報を出力する検索部と、前記第1の支援情報に基づく前記管理者の音声による指示が前記変換部で第2のテキストデータに変換された第2の支援情報をオペレータに送出する送出部と、を含むものである。
上述した目的を達成するために、本発明に係る処理システムは、変換装置と、検索装置と、管理者装置とを備える処理システムであって、前記変換装置は、ユーザからの音声を音声認識し第1のテキストデータに変換する変換部を備え、前記検索装置は、前記第1のテキストデータから管理者によって抽出されたキーワードに基づいて、第1の支援情報を出力する検索部を備え、前記管理者装置は、前記第1の支援情報に基づく前記管理者の音声による指示が前記変換部で第2のテキストデータに変換された第2の支援情報をオペレータに送出する送出部を備えるものである。
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明に係る処理方法は、変換装置と、検索装置と、管理者装置とを備える処理システムにおける処理方法であって、前記処理システムは、ユーザからの音声を音声認識し第1のテキストデータに変換する変換ステップ、前記第1のテキストデータから管理者によって抽出されたキーワードに基づいて、第1の支援情報を出力する検索ステップ、前記第1の支援情報に基づく前記管理者の音声による指示が前記変換部で第2のテキストデータに変換された第2の支援情報をオペレータに送出する送出ステップ実行するものである。
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明に係る管理者装置は、変換装置と、検索装置と、管理者装置とを備える処理システムであり、前記変換装置は、ユーザからの音声を音声認識し第1のテキストデータに変換する変換部を備え、前記検索装置は、前記第1のテキストデータから管理者によって抽出されたキーワードに基づいて、第1の支援情報を出力する検索部を備える処理システムにおける管理者装置であって、前記管理者装置は、前記第1の支援情報に基づく前記管理者の音声による指示が前記変換部で第2のテキストデータに変換された第2の支援情報をオペレータに送出する送出部を備えるものである。
【0010】
上述した目的を達成するために、本発明に係る処理方法は、変換装置と、検索装置と、管理者装置とを備える処理システムであり、前記変換装置は、ユーザからの音声を音声認識し第1のテキストデータに変換する変換部を備え、前記検索装置は、前記第1のテキストデータから管理者によって抽出されたキーワードに基づいて、第1の支援情報を出力する検索部を備える処理システムにおける管理者装置の処理方法であって、前記管理者装置は、前記第1の支援情報に基づく前記管理者の音声による指示が前記変換部で第2のテキストデータに変換された第2の支援情報をオペレータに送出する送出ステップを有するものである。
【0011】
上述した目的を達成するために、本発明に係るプログラムは、変換装置と、検索装置と、管理者装置とを備える処理システムであり、前記変換装置は、ユーザからの音声を音声認識し第1のテキストデータに変換する変換部を備え、前記検索装置は、前記第1のテキストデータから管理者によって抽出されたキーワードに基づいて、第1の支援情報を出力する検索部を備える処理システムにおける管理者装置としてのコンピュータを、前記第1の支援情報に基づく前記管理者の音声による指示が前記変換部で第2のテキストデータに変換された第2の支援情報をオペレータに送出する送出部として機能させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザを応対するオペレータに対して、管理者がより適切な支援を行うことができる処理装置、処理方法、及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係るユーザからの電話による問い合わせに応対するコンタクトセンタシステムの概略図である。
図2】本実施の形態に係るコンタクトセンタシステムでの通信プロトコルを示すシーケンス図である。
図3】本実施の形態に係る管理者装置における処理制御に特化したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、本発明に係る処理システム、処理方法、管理者装置、及びプログラムを、一例としてコンタクトセンタにおいて、電話で応対するオペレータを管理者(スーパバイザ)が監視する構成に適用した形態を例示して説明する。なお、以下で参照する各図は、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更または変形を行うことができる。また、本実施の形態では、本発明と直接的に関連しない構成や周知な構成については、説明を省略する場合がある。各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する場合がある。
【0015】
図1は、本実施の形態に係るユーザからの電話による問い合わせに応対するコンタクトセンタシステムの概略図である。
【0016】
コンタクトセンタシステムは、コンタクトセンタサーバ10、オペレータ装置12、管理者装置42、音声認識サーバ14、検索装置48、ナレッジデータベース18、及びユーザ情報データベース16を備え、それぞれが専用ネットワーク20(例えば、LAN「ローカルエリアネットワーク」)に接続され、相互に情報の通信が実行可能とされている。
【0017】
専用ネットワーク20には、電話回線網やIP(Internet Protocol)回線網等の公衆の通信回線網22が接続されている。
【0018】
例えば、通信回線網22が電話回線網であれば、通信端末装置24として固定電話が接続され、本実施の形態に係るコンタクトセンタシステムと接続されることで、音声通話が可能となっている。
【0019】
また、例えば、通信回線網22がIP回線網であれば、通信端末装置24としてスマートフォンやIP電話機が接続され、本実施の形態に係るコンタクトセンタシステムと接続されることで、音声通話が可能となっている。
【0020】
なお、本実施の形態におけるコンタクトセンタシステムは、音声通話による応対が主体であるが、画像を含むテレビ電話等による応対でもよいし、電子メールやチャット通信等の音声以外での通信による応対も可能である。
【0021】
(コンタクトセンタサーバ10)
図1に示される如く、コンタクトセンタサーバ10は、ACD(Automatic Call Distribution)制御部26、音声認識制御部28、データ検索部30、及び通信制御部32を備えている。コンタクトセンタサーバ10はこれら以外に、図示しない通信端末装置24(本実施の形態では電話機)とのインタフェース機能(GW(GateWay)機能)を司る部位を備えている。
【0022】
ACD制御部26は、着信呼自動分配装置であり、ユーザから電話等を用いて着信があったときに自動的に管理し(呼出中ガイダンスの実行等)、状況に合わせて、かかってきた電話を、自動的にオペレータに振り分ける。
【0023】
音声認識制御部28は、ユーザが発話した内容に基づいて、音声認識サーバ14へ音声情報を送信する。
【0024】
データ検索部30は、ユーザとオペレータとの通話が終了した後に、会話した音声から生成されるテキストデータを管理する。
【0025】
通信制御部32は、オペレータ装置12との間で、ユーザとオペレータとの間の会話を中継する。
【0026】
(オペレータ装置12)
オペレータ装置12はオペレータによって使用される端末装置であり、UI(ユーザインタフェイス)部34、及び通信制御部36を備えている。オペレータ装置12の具体例は、例えばPC(Personal Computer)であり、電話機能が付属している。オペレータ装置12は外線、内線への着信や発信などの呼制御を例えばPCの操作により行い、オペレータが使用する電話機能(下記のUI部34、IP電話機等であってもよい)は、オペレータ装置12で呼制御を行っている呼の音声通話、及びユーザへ提供する音声認識データによる応答データのやりとり等を行う。
【0027】
オペレータ装置12では、ヘッドセット等のUI部34を用いて、通信制御部36を介して、ユーザとの音声による通話を実行する。なお、ユーザとオペレータとの通話は、コンタクトセンタサーバ10を中継するようになっており、コンタクトセンタサーバ10では、ユーザ及びオペレータの音声を抽出することができる。また、オペレータ装置12は、通信制御部36を介して、管理者装置42から送信される管理者支援情報(後述)を受信する。
【0028】
(管理者装置42)
管理者装置42は管理者によって使用される端末装置であり、UI部44、及び通信制御部46を備えている。管理者装置42の具体例は、例えばPCであり、別途電話機能を備えてもよい。なお、管理者装置42は、本発明に係る「管理者装置」の一例である。
【0029】
UI部44は例えばディスプレイであり、主として音声認識データ一時記憶部40(後述)から読みだしたテキストデータ、あるいは検索装置48から受信したテキストデータを表示する。通信制御部46は主として、オペレータ装置12、音声認識部38、音声認識データ一時記憶部40、検索装置48との通信を実行する。また、管理者装置42は、通信制御部46を介して、後述する管理者支援情報をオペレータ装置12に送信する。なお、通信制御部46は、本発明に係る「送出部」の一例である。
【0030】
(音声認識サーバ14)
音声認識サーバ14は、音声認識部38と音声認識データ一時記憶部40を備えている。なお、音声認識サーバ14は、本発明に係る「変換装置」の一例である。
【0031】
音声認識サーバ14の音声認識部38には、コンタクトセンタサーバ10で抽出したユーザとオペレータとの通話による音声が取り込まれ、当該音声認識部38で当該音声を認識してテキストデータに変換し、音声認識データ一時記憶部40に一時的に記憶する。また、音声認識部38は、管理者装置42から送信された音声による助言音声情報(後述)をテキストデータに変換し、音声認識データ一時記憶部40に一時的に記憶する。なお、音声認識部38は、本発明に係る「変換部」の一例である。
【0032】
(検索装置48)
検索装置48は、ナレッジデータベース18を用いて、管理者装置42から送信されたキーワードに基づいて支援情報を検索し、検索した支援情報を管理者装置42に送信する。なお、検索装置48は、本発明に係る「検索部」の一例である。
【0033】
(ユーザ情報データベース16)
ユーザ情報データベース16は、過去にコンタクトセンタサーバ10にアクセスしてきたユーザの個人を識別する情報(ユーザID、パスワード、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日、顔写真等)が格納された大規模記憶装置である。例えば、オペレータが通話中にユーザから取得した情報(例えば、氏名と生年月日)から、ユーザのその他の個人情報を認識することができる。ユーザ情報データベース16に格納されているユーザの個人情報は、例えば管理者装置42が後述する管理者支援情報を生成するにあたって、必要に応じ参照される。
【0034】
(ナレッジデータベース18)
ナレッジデータべース18はオペレータに対する支援情報を蓄積したデータベースであり、キーワードを入力することによって検索が可能なように構成されている。
【0035】
以下に本実施の形態に係る処理システム、処理方法、管理者装置、及びプログラムの動作を、図2及び図3に従い説明する。本実施の形態に係る処理システム、処理方法、管理者装置、及びプログラムでは、例えば、ユーザからの電話での問い合わせ通話をオペレータに送出すると共に管理者にも送出して、必要に応じて音声認識を実施する。そして、本実施の形態に係る処理システム、処理方法、管理者装置、及びプログラムでは、例えば、音声認識結果から支援情報を検索し、検索結果を用いて管理者支援情報を生成し、ユーザからの問い合わせ内容に対する適切な回答例として該管理者支援情報を当該オペレータに提供することにより、オペレータの支援を行う。
【0036】
図2は、ユーザが通信端末装置24を用いてコンタクトセンタサーバ10に対して問い合わせを行う場合における、本実施の形態に係るコンタクトセンタシステムを構築する各機能のうち、通信端末装置24、コンタクトセンタサーバ10、音声認識部38、音声認識データ一時記憶部40、オペレータ装置12、管理者装置42、検索装置48、及びナレッジデータベース18での通信プロトコルを示すシーケンス図である。
【0037】
コンタクトセンタサーバ10では、通信端末装置24から着信があると(ステップ200)、即時に回線を開通させて応答し(ステップ202)、ACD処理による呼出中ガイダンスが開始されるACD処理により、通信端末装置24からの着信について振り分けることができるオペレータを決める(ステップ204)。
ここで、コンタクトセンタサーバ10では、ACD処理(ステップ204)において、振り分けることができるオペレータが決まるまで、IVR(Interactive Voice Response(音声自動応答))処理により、通信端末装置24に対して、呼出中ガイダンスを送信する。
【0038】
ACD処理の実行に基づき、振り分けるオペレータが決まると、着信通知をオペレータ装置12へ送信する(ステップ206)。この着信通知によって、オペレータ装置12と通信端末装置24とが接続され、オペレータがユーザに応答する(ステップ208、210)。
【0039】
その後、通信端末装置24とオペレータ装置12との間で音声通話が実行される(ステップ212)。このとき、コンタクトセンタサーバ10では、音声通話における音声情報を抽出し(ステップ214)、音声認識部38へ抽出した音声情報を送信する(ステップ216)と共に、管理者装置42にも送信する(ステップ218)。ここで、抽出される音声情報は、少なくとも通信端末装置24の音声通話が含まれる(さらに、オペレータ装置12の音声通話が含まれてもよい)。
【0040】
音声認識部38では、受信した音声情報に基づいて音声認識を実行し(ステップ220)、音声認識したデータ(音声認識テキストデータ)を音声認識データ一時記憶部40に送出し(ステップ222)、一時的に記憶する(ステップ224)。
【0041】
管理者装置42は、オペレータの操作に基づいて(または管理者装置42が逐次)、音声認識データ一時記憶部40に対して一時的に記憶された音声認識テキストデータの読み出しを指示する音声認識テキストデータ読出指示を出す(ステップ226)。
【0042】
これにより、音声認識データ一時記憶部40では、上記音声認識テキストデータを管理者装置42へ送信する(ステップ228)。以下、ステップ214で抽出された音声情報を「問い合わせ音声情報」といい、ステップ228で読み出された音声認識テキストデータを「問い合わせテキストデータ」という場合がある。なお、問い合わせテキストデータは、本発明に係る「第1のテキストデータ」の一例である。
【0043】
次に、管理者は、管理者装置42を介して、管理者装置42は、管理者の操作に基づき、問い合わせ内容を想起させるのにふさわしいキーワードが入力される。ここで、キーワードは、管理者が、問い合わせ音声情報を聞きながら、音声認識データ一時記憶部40から受け取った問い合わせテキストデータに含まれる、問い合わせ内容を想起させるのにふさわしいキーワードとして抽出した、情報を検索するために手掛かりとなる語である。そして、管理者装置42は、入力されたキーワードを検索装置48に送信する(ステップ230)。
【0044】
検索装置48は、管理者装置42から受け取ったキーワードに基づいて、ナレッジデータベース18に支援情報の検索指示を送信する(ステップ232)。
【0045】
ナレッジデータベース18は、検索装置48からの指示に基づいて支援情報の検索を実行し(ステップ234)、検索結果を検索装置48に送信する(ステップ236)。
【0046】
検索装置48は、ナレッジデータベース18から回答された支援情報を管理者装置42に送信する(ステップ238)。なお、ナレッジデータベース18から回答された支援情報は、本発明に係る「第1の支援情報」の一例である。
【0047】
管理者は、管理者装置42のUI部44に表示された検索装置48からの支援情報を参照し、当該オペレータ装置12は、オペレータの操作に基づき、支援情報を加味した管理者の音声による助言を音声認識部38に送信する(ステップ240)。以下、当該助言を「助言音声情報」という場合がある。ここで、支援情報を加味した管理者の音声による助言は、管理者が、管理者装置42のUI部44に表示された検索装置48からの支援情報を参照して、当該支援情報を加味した管理者の音声である。
【0048】
音声認識部38は、管理者装置42から受け取った助言音声情報について音声認識を実行し(ステップ242)、音声認識したデータ(音声認識テキストデータ)を音声認識データ一時記憶部40に送出し(ステップ244)、一時的に記憶する(ステップ246)。以下、ステップ244で送出された音声テキストデータを「助言テキストデータ」という場合がある。
【0049】
管理者装置42は、音声認識データ一時記憶部40に対して一時的に記憶された音声認識テキストデータ(助言テキストデータ)の読み出しを指示する音声認識テキストデータ読出指示を出す(ステップ248)。
【0050】
これにより、音声認識データ一時記憶部40では、上記助言テキストデータを管理者装置42へ送信する(ステップ250)。
【0051】
管理者装置42は、検索装置48から送信された支援情報と、助言テキストデータとを併せた管理者による管理者支援情報をオペレータ装置12に送信する(ステップ252)。ここで、本実施の形態では、管理者支援情報として支援情報と助言テキストデータとを併せて生成しているが、これに限られず助言テキストデータだけで生成してもよい。なお、管理者支援情報は本発明に係る「第2のテキストデータ」、「第2の支援情報」の一例である。
【0052】
オペレータ装置12は、管理者装置42から受け取った管理者支援情報を参照して、適切な回答をユーザに対して行う(ステップ254)。オペレータ装置12からの回答はコンタクトセンタサーバ10を介してユーザの通信端末装置24に送信される(ステップ256)。
【0053】
以上詳述にように、本実施の形態に係る処理システム、処理方法、管理者装置、及びプログラムによれば、ユーザからの電話による問い合わせ内容をテキスト化して問い合わせテキストデータを生成する(ステップ220)。管理者は、問い合わせテキストデータを参照してキーワードを抽出し、当該キーワードに基づいて検索装置48を介してナレッジデータベース18の検索を行い、支援情報を取得する(ステップ230~238)。以上の構成により、管理者は迅速に適切な支援情報を取得することができる。
【0054】
さらに管理者装置42は、支援情報を加味した助言の助言テキストデータを取得し(ステップ250)、支援情報と助言テキストデータを併せた最終的な管理者支援情報をオペレータ装置12に送信する(ステップ252)。以上の構成により、オペレータは適切な管理者支援情報リアルタイムで取得することができ、その結果適切な回答をユーザに送ることができる。
【0055】
図3は、本実施の形態の管理者装置42における処理制御に特化した管理者装置処理制御のフローチャートである。前述した図2の説明では、通信主体が時々刻々と変化する状態で説明したのに対し、図3では、管理者装置42を主体とした制御を説明する。このため、図3の説明において、図2と重複説明する場合もある。
【0056】
ステップ100では、コンタクトセンタサーバ10からの問い合わせ音声情報を受信したか否か判定する。このステップ100で否定判定された場合は、ステップ100を繰り返し、問い合わせ音声情報を受信するまで待機する。本ステップは、図2のステップ218に対応している。
【0057】
また、ステップ100で肯定判定されると、ステップ102に移行して、音声認識データ一時記憶部40に問い合わせテキストデータの読出指示を送信し、次いで、ステップ104で問い合わせテキストデータを受信する。本ステップは、図2のステップ226~228に対応している。
【0058】
ステップ106では、検索装置48にキーワードを送信し、ステップ108で、検索装置48から支援情報を受信する。本ステップは、図2のステップ230~238に対応している。
【0059】
ステップ110では、助言音声情報を音声認識部38に送信する。本ステップは、図2のステップ240に対応している。
【0060】
ステップ112では、音声認識データ一時記憶部40に助言テキストデータの読出指示を送信し、ステップ114で助言テキストデータを受信する。本ステップは、図2のステップ248~250に対応している。
【0061】
ステップ116では、管理者支援情報をオペレータ装置12に送信する。その後、本ルーチンを終了する。本ステップは、図2のステップ252に対応している。
【0062】
なお、上記実施の形態では、管理者装置42が問い合わせテキストデータ、あるいは助言テキストデータを取得する場合において、管理者装置42から音声認識データ一時記憶部40に対して読出指示を実行することにより取得する形態(図2のステップ226、248)を例示して説明したが、これに限られない。例えば、管理者装置42の指示によらず音声認識データ一時記憶部40が自動的に管理者装置42に送信する形態としてもよい。その際、音声認識データ一時記憶部40に一時記憶せず、音声認識部38が音声認識後、直接管理者装置42に送信する形態としてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、管理者装置42が支援情報を取得する場合において、検索装置48がナレッジデータベース18を介して管理者装置42から送信されたキーワードに基づく支援情報の検索結果を回答する形態(図2のステップ230~238)を例示して説明したが、これに限られず、管理者装置42がキーワードを直接ナレッジデータベース18に送信して支援情報を取得する形態としてもよい。
また、上記実施の形態において、音声認識サーバ14、検索装置48は、例えば、1つの処理装置にて構成されてもよい。ここで、当該処理装置は、例えば、ナレッジデータベース18が含まれてもよく、さらにユーザ情報データベース16が含まれてもよく、さらにまたコンタクトセンタサーバ10が含まれてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 コンタクトセンタサーバ
12 オペレータ装置
14 音声認識サーバ
16 ユーザ情報データベース
18 ナレッジデータベース
20 専用ネットワーク
22 通信回線網
24 通信端末装置
26 ACD制御部
28 音声認識制御部
30 データ検索部
32 通信制御部
34 UI部
36 通信制御部
38 音声認識部
40 音声認識データ一時記憶部
42 管理者装置
44 UI部
46 通信制御部
48 検索装置
図1
図2
図3