(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】制御装置、端末、及び演算方法
(51)【国際特許分類】
B66C 13/46 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
B66C13/46 C
(21)【出願番号】P 2020040141
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 真輔
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-107736(JP,A)
【文献】特開2018-095375(JP,A)
【文献】特開昭62-004190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機により搬送されている荷物の重心位置に関する情報を取得する第一取得部と、
前記荷物における前記重心位置とは異なる第一部分の位置に関する情報を取得する第二取得部と、
前記荷物の重心位置に関する情報と、前記第一部分の位置に関する情報とに基づいて、前記荷物の向きに関する情報を算出する演算部と、を備える
制御装置。
【請求項2】
前記第一取得部は、前記荷物の重心位置に関する情報を前記作業機から取得する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第二取得部は、前記第一部分の位置に関する情報を、前記第一部分に設けられた情報記憶部から情報を読み取り可能な情報読取装置から取得し、
前記第一部分の位置に関する情報は、前記情報読取装置が前記情報記憶部から情報を読み取った際の前記情報読取装置の位置に関する情報である、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記荷物の識別情報に対応付けて、前記荷物の据え付け予定位置に関する情報を記憶する記憶部と、
前記荷物の重心位置に関する情報と前記荷物の据え付け予定位置に関する情報とに基づいて、前記荷物が正しい据え付け位置に存在するか否かを判定する、判定部と、を更に備える、請求項1~3の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記荷物の識別情報に対応付けて、前記荷物の据え付け予定方向に関する情報を記憶する記憶部と、
前記荷物の向きに関する情報と前記荷物の据え付け予定方向に関する情報とに基づいて、前記荷物の向きが正しい据え付け方向を向いているか否かを判定する、判定部と、を更に備える、請求項1~4の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の制御装置を搭載した、
端末。
【請求項7】
制御装置を備えた端末において実施される演算方法であって、
作業機により搬送されている荷物の重心位置に関する情報を取得するステップと、
前記荷物における前記重心位置と異なる第一部分の位置に関する情報を取得するステップと、
前記荷物の重心位置に関する情報と前記第一部分の位置に関する情報とに基づいて、前記荷物の向きに関する情報を算出するステップと、を含む
演算方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、端末、及び演算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機の一例として、旋回可能に設けられたブーム、及び、ブームの先端部からワイヤロープを介して吊られたフックを有するクレーンが開示されている。
【0003】
上記クレーンにより荷物を搬送する際、クレーンの作業者(以下、「クレーン作業者」と称する。)は、ブームを操作することによりフックを、仮置きされた荷物の位置まで移動させる。
【0004】
仮置きされた荷物の周囲には、玉掛け作業を行う作業者(以下、「玉掛け作業者」と称する。)が待機している。玉掛け作業者は、玉掛け具(例えば、玉掛け用のワイヤロープ)を荷物に取り付ける玉掛け作業を行う。その後、クレーン作業者は、荷物を目標位置(例えば、据え付け位置)まで搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようなクレーンを用いた搬送作業において、例えば、荷物を正しい向きで据え付けるために、据え付け位置における荷物の向きを知ることが重要である。
【0007】
本発明の目的は、作業機により搬送されている荷物の向きを算出できる制御装置、端末、及び演算方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る制御装置の一態様は、
作業機により搬送されている荷物の重心位置に関する情報を取得する第一取得部と、
荷物における重心位置とは異なる第一部分の位置に関する情報を取得する第二取得部と、
荷物の重心位置に関する情報と、第一部分の位置に関する情報とに基づいて、荷物の向きに関する情報を算出する演算部と、を備える。
【0009】
本発明に係る端末の一態様は、上述の制御装置を備える。
【0010】
本発明に係る演算方法の一態様は、
制御装置を備えた端末において実施される演算方法であって、
作業機により搬送されている荷物の重心位置に関する情報を取得するステップと、
荷物における重心位置とは異なる第一部分の位置に関する情報を取得するステップと、
荷物の重心位置に関する情報と第一部分の位置に関する情報とに基づいて、荷物の向きに関する情報を算出するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業機により搬送されている荷物の向きを算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、クレーンが配置された作業現場を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、搬送先提示システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、表示部に表示された画像の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、表示部に表示された画像の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、クレーンが実施する搬送先提示処理のフローチャートである。
【
図6】
図6は、荷物の方向演算処理のフローチャートである。
【
図7】
図7は、荷物の方向演算処理が実施される作業現場の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るいくつかの実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。尚、後述の実施形態に係る制御装置82、端末(後述のサーバ8)、及び演算方法は、本発明に係る制御装置、端末、及び演算方法の一例であり、本発明は後述の実施形態により限定されない。
【0014】
[実施形態]
図1は、移動式クレーン(図示の場合、ラフテレーンクレーン)の作業状態における側面図である。移動式クレーンは、作業機の一例に該当する。
【0015】
移動式クレーンとして、例えば、オールテレーンクレーン、トラッククレーン、又は、積載形トラッククレーン(カーゴクレーンともいう。)が挙げられる。但し、本発明に係るクレーンは、移動式クレーンに限定されず、例えば、タワークレーン等であってもよい。尚、作業機は、移動式クレーンに限定されず、荷物を搬送可能な種々の作業機であってよい。
【0016】
<移動式クレーン>
図1に示すように、移動式クレーンCは、走行体1と、アウトリガ2と、旋回体3と、を有する。
【0017】
移動式クレーンCが実施する搬送作業の一例として、移動式クレーンCは、荷物Wが仮置きされた搬送元T1(
図1に小さい星印で示された位置)から、搬送先T2(
図1に大きい星印で示された位置)まで、荷物Wを搬送する。
【0018】
<クレーンの構成の概要>
本実施形態に係る移動式クレーンCは、フック装置312に設けられた情報読取部(情報読取装置320)により、荷物Wに設けられた情報記憶部5から搬送先T2の位置に関する情報(例えば、座標)を取得する。又、移動式クレーンCは、荷物Wを搬送先T2に搬送するためのクレーンの操作に関する情報を演算する。そして、取得した位置に関する情報及び算出したクレーンの操作に関する情報を、表示部6に表示する。以下、移動式クレーンCの具体的な構成について説明する。
【0019】
<走行体>
走行体1は、複数個の車輪11を有する。アウトリガ2は、走行体1の四隅に設けられている。旋回体3は、走行体1の上部に旋回可能に設けられている。
【0020】
<旋回体>
旋回体3は、旋回台301と、伸縮式ブーム302と、伸縮装置306と、起伏装置308と、ジブ310と、ワイヤロープ311と、フック装置312と、を有する。
【0021】
又、旋回体3は、運転室313と、位置検出部317Aと、表示部6と、操作入力部319と、情報読取装置320と、第二通信部323と、撮像部324と、検出部325と、制御部326と、記憶部327と、を有する。
【0022】
<旋回台>
旋回台301は、走行体1に旋回可能に支持されており、旋回体3を旋回させるためのものである。
【0023】
<伸縮式ブーム>
伸縮式ブーム302は、ブームの一例に該当し、基端部が旋回台301に固定されている。伸縮式ブーム302は、複数のブーム要素からなる。複数のブーム要素はそれぞれ、筒状である。複数のブーム要素は、互いに、テレスコピック状に組み合わされている。
【0024】
具体的には、収縮状態において、複数のブーム要素は、内側から順に先端ブーム要素303、中間ブーム要素304、及び、基端ブーム要素305である。本実施形態の場合、中間ブーム要素304は、2本の中間ブーム要素からなる。尚、中間ブーム要素304は、1本でもよいし、3本以上でもよい。又、ブームは、伸縮可能なブームに限らず、伸縮不可能なブームであってもよい。
【0025】
<伸縮装置>
伸縮装置306は、油圧源(不図示)、油圧ポンプ(不図示)、制御弁(不図示)、及び伸縮シリンダ装置307等を有する。伸縮装置306を構成する各エレメント同士は、配管により接続されている。このような伸縮装置306は、伸縮シリンダ装置307の伸縮に基づいて、伸縮式ブーム302を伸縮させる。
【0026】
<起伏装置>
起伏装置308は、油圧源(不図示)、油圧ポンプ(不図示)、制御弁(不図示)、及び伸縮シリンダ装置309等を有する。このような起伏装置308は、伸縮シリンダ装置309の伸縮に基づいて、伸縮式ブーム302を起伏させる。
【0027】
<ジブ>
ジブ310は、伸縮式ブーム302の先端部に接続されている。ワイヤロープ311は、ジブ310の先端部から垂れ下がっている。
【0028】
<フック装置>
フック装置312は、フックの一例に該当し、ジブ310の先端部からワイヤロープ311により吊られている。
【0029】
具体的には、フック装置312は、フックブロック314と、フック315と、を有する。フックブロック314は、シーブ(不図示)を有する。シーブには、ワイヤロープ311が掛け回されている。本実施形態の場合、ワイヤロープ311の掛け数は2本である。但し、ワイヤロープ311のかけ数は、本実施形態の場合に限定されない。ワイヤロープのかけ数は、1本又は3本以上であってもよい。
【0030】
尚、本実施形態において、伸縮式ブーム302及びジブ310は、被操作機能部の一例に該当する。ジブ310は、作業状態に応じて、使用されない場合もある。ジブ310が使用されない場合、伸縮式ブーム302が、被操作機能部の一例に該当する。
【0031】
<位置検出部>
位置検出部317Aは、自身の位置に関する情報を取得する。
【0032】
本実施形態の場合、位置検出部317Aは、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムから情報を受信するためのGNSSアンテナである。位置検出部317Aは、衛星測位システムから、自身の位置に関する情報(座標)を取得する。
【0033】
本実施形態の場合、位置検出部317Aは、被操作機能部(本実施形態の場合、ジブ310)の先端部に設けられている。よって、本実施形態の場合、位置検出部317Aが取得する位置に関する情報(以下、「位置情報」と称する。)は、被操作機能部(本実施形態の場合、ジブ310)の先端部の位置に関する情報でもある。
【0034】
尚、位置検出部317Aの位置は、本実施形態の位置に限定されない。位置検出部317Aの位置は、被操作機能部(本実施形態の場合、ジブ310)の先端部に近い位置であると好ましい。ジブ310が使用されない場合には、位置検出部317Aは、ブーム302の先端部に設けられてもよい。
【0035】
位置検出部317Aは、検出した位置に関する情報を、制御部326に送る。
【0036】
<表示部>
表示部6は、情報等を表示する。表示部6は、運転室313に設けられている。表示部6は、例えば、ディスプレイ又はモニタである。ディスプレイは、タッチパネル式のディスプレイであってもよい。
【0037】
<操作入力部>
操作入力部319は、操作部の一例に該当し、運転室313に設けられている。操作入力部319は、例えば、移動式クレーンCの走行を操作するための操作具、及び、移動式クレーンCを操作するための操作具を含む。
【0038】
移動式クレーンCを操作するための操作具は、例えば、ブームの旋回動作を操作するための旋回操作具(不図示)、ブームの起伏動作を操作するための起伏操作具(不図示)、ブームの伸縮動作を操作するための伸縮操作具(不図示)、及びウインチを操作するためのドラム操作具(不図示)のうちの少なくとも一つの操作具を含んでよい。
【0039】
移動式クレーンCを操作するための操作具は、例えば、移動式クレーンCの動作に対応する複数のレバーにより構成されている。レバーの操作方向は、移動式クレーンCの動作の方向に対応し、レバーの操作量は、移動式クレーンCの動作の速度に対応する。
【0040】
尚、ウインチは、ワイヤロープの繰り入れ(巻き上げ)及び繰り出し(巻き下げ)を行うための装置である。本明細書において、ウインチは、メインフックを吊るワイヤロープの繰り入れ及び繰り出しを行うためのメインウインチ、及び、サブフックを吊るワイヤロープの繰り入れ及び繰り出しを行うためのサブウインチのうちの何れか一方のウインチであってもよいし、両方のウインチであってもよい。
【0041】
<情報読取装置>
情報読取装置320は、情報読取部の一例に該当し、フック装置312に設けられている。情報読取装置320は、読取部321と、第一通信部322と、を有する。
【0042】
読取部321は、移動式クレーンCが搬送する荷物Wに設けられた情報記憶部5(後述)から情報を取得する機能を有する。読取部321は、例えば、RFタグ等のICタグから情報を読み取るRFIDリーダである。尚、情報読取装置320は、ICタグに情報を書き込むための書込部を備えてもよい。
【0043】
読取部321は、情報記憶部5と無線通信を確立して、情報記憶部5に記憶された情報を読み取る。尚、荷物Wは、玉掛け用ワイヤロープ316を介して、フック315に吊られる。読取部321は、取得した情報を、第一通信部322に送る。
【0044】
読取部321が読み取る情報は、荷物に関する情報である。荷物に関する情報は、例えば、荷物の識別情報、荷物の搬送元の位置に関する情報(以下、「荷物の搬送元位置情報」と称する。)、荷物の搬送先の位置に関する情報(以下、「荷物の搬送先位置情報」と称する。)、及び荷物の諸元情報のうちの少なくとも一つの情報を含んでよい。
【0045】
荷物の搬送先位置情報は、例えば、荷物の搬送先の座標(以下、単に「搬送先座標」と称する。)である。搬送先座標は、作業現場内の所定位置を基準としたローカル座標であってもよいし、グローバル座標であってもよい。
【0046】
荷物の諸元情報は、荷物の寸法に関する情報(以下、「荷物の寸法情報」と称する。)、荷物の重量に関する情報(以下、「荷物の重量情報」と称する。)、及び荷物の形状に関する情報(以下、「荷物の形状情報」と称する。)のうちの少なくとも一つの情報を含んでよい。
【0047】
第一通信部322は、第二通信部323(後述)と無線通信を確立して、読取部321から取得した情報を、第二通信部323に送る。
【0048】
第一通信部322と第二通信部323との間の無線通信の方式は、例えば、WiFi(登録商標)等の無線LAN、Bluetooth(登録商標)、又はNFC(Near Field Communication)等であってよい。
【0049】
第二通信部323は、例えば、運転室313に設けられている。第二通信部323は、第一通信部322と無線通信を確立して、第一通信部322から情報を取得する。第二通信部323は、取得した情報を、制御部326に送る。
【0050】
<撮像部>
撮像部324は、例えば、デジタルカメラ装置である。撮像部324は、ジブ310の先端部に設けられている。
【0051】
撮像部324は、制御部326に接続されている。撮像部324と制御部326との接続方式は、有線接続方式であってもよいし、無線接続方式であってもよい。撮像部324と制御部326との接続方式は、公知の接続方式であってよい。
【0052】
撮像部324は、制御部326の制御下で、ジブ310の先端部から鉛直方向における下方を撮像する。撮像部324は、ジブ310の先端部から、フック装置312を含む、フック装置の周囲を撮像する。
【0053】
撮像部324の画角は、ジブ310の先端部からフック装置312を含む所定範囲を撮像可能な画角であればよい。撮像部324は、荷物Wの搬送元の位置(例えば、荷物Wの仮置き場所)と、荷物Wの搬送先の位置と、を撮像可能な画角を有すると好ましい。撮像部324は、制御部326の制御下で、撮像方向を変更可能であってよい。
【0054】
撮像部324は、制御部326の制御下で、移動式クレーンCが荷物Wを搬送元から搬送先まで移動した場合に、荷物Wが通る経路を含む画像(以下、「経路画像」と称する。)を撮像してもよい。経路画像は、複数枚の静止画像が合成された画像であってもよい。
【0055】
撮像部324は、画像データを生成し、生成した画像データを制御部326に送る。撮像部324は、制御部326の制御下で開始してから停止するまで、常時撮像してよい。又、撮像部324は、制御部326の制御下で、所定の条件に該当した場合に、撮像してもよい。
【0056】
撮像部324の撮像方向は、鉛直方向における下方に固定されてよい。但し、撮像部324の撮像方向は、変更可能であってもよい。撮像部324の撮像方向は、作業者からの操作入力に基づいて、制御部326により制御されてよい。或いは、撮像部324の撮像方向は、制御部326の判断に基づいて、制御部326により自動的に制御されてよい。
【0057】
<検出部>
検出部325は、移動式クレーンCに関する情報を検出する。移動式クレーンCに関する情報は、移動式クレーンCの姿勢に関する情報を含む。検出部325は、移動式クレーンCに設けられた複数のセンサにより構成されている。検出部325は、検出した姿勢に関する情報を、制御部326に送る。
【0058】
姿勢に関する情報は、例えば、ブームの起伏角、ブームの長さ、ブームの旋回角、ジブの起伏角、ジブの長さ、アウトリガの張出幅、及びワイヤの吊り下げ長さを含んでよい。
【0059】
尚、姿勢に関する情報は、センサにより検出される情報だけでなく、センサにより検出される情報に基づいて算出される情報であってもよい。姿勢に関する情報は、制御部326において実施される、フック装置312の位置情報の算出に必要な情報を含んでよい。よって、フック装置312の位置情報は、姿勢に関する情報に含まれてもよい。
【0060】
検出部325が検出する情報は、制御部326において実施される、地切りの検出に必要な情報を含んでよい。地切りの検出に必要な情報は、例えば、ワイヤロープ311に作用する荷重に関する情報であってよい。
【0061】
又、検出部325は、制御部326において実施される、荷物の据え付けが完了したことの検出に必要な情報を含んでよい。荷物の据え付けが完了したことの検出に必要な情報は、例えば、ワイヤロープ311に作用する荷重に関する情報であってよい。
【0062】
<制御部>
制御部326は、既述の移動式クレーンCが備える各エレメントの動作を制御する。制御部326は、演算能力を備えた回路又はデバイスであってよい。
【0063】
制御部326には、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、及び、GPU(graphics processing unit)の少なくとも1つが用いられてよい。例えば、制御部326は、搬送先提示システム専用の制御部であってよい。
【0064】
又、制御部326は、移動式クレーンCに設けられた安全装置(例えば、過負荷防止装置)等の制御装置であってもよい。以下に説明する制御部326の機能は、一つの制御部により実現されてもよいし、複数の制御部の協働により実現されてもよい。
【0065】
制御部326は、クレーンの位置に関する情報(以下、「クレーンの位置情報」と称する。)を取得する。制御部326は、位置検出部317Aから取得した位置情報に基づいて、クレーンの位置情報(座標)を取得する。
【0066】
尚、クレーンの位置情報は、位置検出部317Aの位置に関する情報であってもよいし、クレーンにおける他の部分(例えば、旋回体3の旋回中心)の位置に関する情報であってもよい。
【0067】
クレーンの位置情報が、旋回体3の旋回中心の位置に関する情報の場合には、制御部326は、位置検出部317Aから取得した位置情報、検出部325から取得したクレーンの姿勢に関する情報、及び記憶部(不図示)から取得したクレーンの諸元データ(例えば、ブームの起伏始点と旋回体の旋回中心との位置関係に関する情報)に基づいて、ブームの旋回中心の位置に関する情報を取得する。
【0068】
又、クレーンの位置情報は、作業現場内の所定位置を基準としたローカル座標であってもよいし、グローバル座標であってもよい。クレーンの位置情報がローカル座標の場合には、制御部326は、位置検出部317Aから取得した位置情報を、適宜ローカル座標に変換する。
【0069】
制御部326は、クレーンの向きに関する情報(以下、「クレーンの向き情報」)を取得する。制御部326は、位置検出部317Aから取得した位置情報と、検出部325から取得した姿勢に関する情報と、に基づいて、クレーンの向き情報を取得する。クレーンの向き情報は、クレーンの前方の方位と捉えてよい。
【0070】
制御部326は、荷物の搬送先位置情報を取得する。制御部326は、情報読取装置320から荷物の搬送先の位置に関する情報を取得する。制御部326は、取得した荷物の搬送先位置情報を、後述のサーバ8に送信してもよい。
【0071】
制御部326は、搬送先に対応するクレーンの姿勢に関する情報(以下、「搬送先におけるクレーンの姿勢情報」と称する。)を取得する。制御部326は、クレーンの位置情報、クレーンの向き情報、及び荷物の搬送先位置情報に基づいて、搬送先におけるクレーンの姿勢情報を算出する。
【0072】
搬送先におけるクレーンの姿勢情報は、クレーンが荷物を搬送先に搬送した状態における、クレーンの姿勢を意味する。このように制御部326は、クレーンの位置情報、クレーンの向き情報、及び荷物の搬送先位置情報を、搬送先に対応するクレーンの姿勢情報に変換する機能を有する。
【0073】
制御部326は、地切りが完了したことを検出する。又、制御部326は、地切りが完了したか否かを判定する。
【0074】
制御部326は、検出部325から取得した情報(例えば、ワイヤロープ311に作用する荷重)に基づいて、地切りが完了したか否かを判定する。具体的には、制御部326は、ワイヤロープ311に作用する荷重が増加し、その後、一定になった場合に、地切りが完了したと判定する。
【0075】
制御部326は、荷物の据え付けが完了したことを検出する。又、制御部326は、荷物の据え付けが完了したか否かを判定する。
【0076】
制御部326は、検出部325から取得した情報(例えば、ワイヤロープ311に作用する荷重)に基づいて、荷物の据え付けが完了したか否かを判定する。具体的には、制御部326は、クレーンが荷物を吊っている状態においてワイヤロープ311に作用する荷重から、荷物の荷重が除かれた場合に、荷物の据え付けが完了したと判定する。
【0077】
制御部326は、搬送作業の可否の判定(以下、「搬送作業判定」と称する。)を行う。制御部326は、以下のような方法で、搬送作業判定を行う。
【0078】
制御部326は、搬送先におけるクレーンの姿勢情報に対応する性能情報を取得する。上記性能情報は、移動式クレーンCが、搬送先におけるクレーンの姿勢情報が示す姿勢(以下、「搬送先のクレーンの姿勢」と称する。)である場合に吊り上げることができる荷物の最大荷重を意味する。このような性能情報は、演算により算出されてもよいし、記憶部に予め記憶されていてもよい。
【0079】
又、制御部326は、情報読取装置320から荷物の重量情報を取得する。そして、制御部326は、取得した性能情報と、取得した荷物の重量情報とに基づいて、移動式クレーンCが荷物を搬送先に搬送可能か否かを判定する。
【0080】
具体的には、取得した性能情報が、搬送する荷物の重量よりも大きい場合、制御部326は、移動式クレーンCが荷物を搬送先に搬送可能であると判定する。一方、取得した性能情報が、搬送する荷物の重量よりも小さい場合、制御部326は、移動式クレーンCが荷物を搬送先に搬送不可能であると判定する。
【0081】
制御部326は、荷物Wを搬送先に搬送するためのクレーンの操作に関する情報(以下、「クレーンの操作情報」と称する。)を算出する。制御部326は、情報読取装置320から取得した荷物に関する情報に基づいて、荷物Wを搬送先に搬送するためのクレーンの操作情報を算出する。
【0082】
クレーンの操作情報は、例えば、荷物Wを搬送先に搬送する際にクレーンが取り得る姿勢に関する情報(以下、「クレーンの姿勢情報」と称する。)を含む。
【0083】
クレーンの姿勢情報は、搬送元の荷物Wを吊り上げる際のクレーンの姿勢情報(以下、「搬送元に対応するクレーンの姿勢情報」と称する。)を含む。
【0084】
又、クレーンの姿勢情報は、搬送先に荷物Wを降ろす際のクレーンの姿勢情報(以下、「搬送先に対応するクレーンの姿勢情報」と称する。)を含む。
【0085】
又、クレーンの操作情報は、荷物Wを搬送元から搬送先に搬送する際に移動式クレーンCが取り得る姿勢に対応する操作入力部319(操作具)の操作量に関する情報(以下、「操作具の操作量に関する情報」と称する。)を含む。
【0086】
制御部326は、位置検出部317Aから取得した位置情報、及び、検出部325から取得した情報(例えば、ワイヤの吊り下げ長さ)に基づいて、荷物の重心G(
図7参照)の位置に関する情報(例えば、座標)を取得する。以下、荷物の重心Gの位置に関する情報を、単に、荷物の重心位置情報と称する。制御部326は、取得した荷物の重心位置に関する情報を、後述のサーバ8に送信する。
【0087】
制御部326は、情報読取装置320が書込部(後述)を備えている場合、取得した荷物の重心位置情報を、荷物Wに設けられた情報記憶部5に書き込むよう、情報読取装置320を制御してもよい。
【0088】
尚、制御部326により荷物の重心位置情報を取得する方法は、特に限定されない。例えば、制御部326は、位置検出部317Aから取得した位置情報と、検出部325から取得した移動式クレーンCの姿勢に関する情報(ブームの起伏角、ブームの長さ、ブームの旋回角、ジブの起伏角、ジブの長さ、及びワイヤの吊り下げ長さ等)とに基づいて、荷物の重心位置情報を取得してもよい。
【0089】
<情報読取装置>
情報読取装置7は、例えば、搬送先T2にいる作業者9(以下、「搬送先の作業者9」と称する。
図7参照)により操作される。このような情報読取装置7は、荷物に設けられた情報記憶部5から情報を読み取った際の自身の位置情報を取得する。そして、情報読取装置7は、取得した自身の位置情報を後述のサーバ8に送信する。
【0090】
具体的には、情報読取装置7は、読取部71と、位置検出部72と、通信部73と、を有する。
【0091】
<読取部>
読取部71は、荷物Wに設けられた情報記憶部5から情報を取得する機能を有する。読取部71は、例えば、RFタグ等のICタグから情報を読み取るRFIDリーダである。尚、情報読取装置7は、ICタグに情報を書き込むための書込部を備えてもよい。
【0092】
読取部71は、搬送先の作業者9の操作に基づいて、情報記憶部5と無線通信を確立して、情報記憶部5に記憶された情報を読み取る。
【0093】
読取部71が読み取る情報は、例えば、荷物に関する情報である。荷物に関する情報は、例えば、荷物の識別情報、荷物の搬送元位置情、荷物の搬送先位置情報、及び荷物の諸元情報のうちの少なくとも一つの情報を含んでよい。読取部71は、取得した情報を、通信部73に送る。読取部71が取得する情報は、既述の読取部321が取得する情報と同様であってよい。
【0094】
又、情報記憶部5が荷物の重心位置情報を記憶している場合、読取部71は、情報記憶部5から荷物の重心位置情報を取得してもよい。読取部71は、取得した荷物の重心位置情報を、通信部73に送ってもよい。
【0095】
<位置検出部>
位置検出部72は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムから情報を受信するためのGNSSアンテナである。位置検出部72は、衛星測位システムから、自身の位置に関する情報(座標)を取得する。
【0096】
本実施形態の場合、位置検出部72は、情報読取装置7に組み込まれている。よって、本実施形態の場合、位置検出部72が取得する位置に関する情報は、位置検出部72の位置に関する情報でもある。
【0097】
本実施形態の場合、位置検出部72は、読取部71の動作に応じて、自身の位置に関する情報を取得する。具体的には、位置検出部72は、読取部71が情報記憶部5から情報を読み取ったタイミングで、自身の位置に関する情報を取得する。
【0098】
搬送先の作業者9は、情報読取装置7により情報記憶部5から情報を読み取る際、情報読取装置7を情報記憶部5に近づける。
【0099】
よって、読取部71が情報記憶部5から情報を読み取ったタイミングにおける位置検出部72の位置に関する情報は、情報記憶部5(つまり、荷物において情報記憶部5が設けられた部分)の位置情報でもある。荷物において情報記憶部5が設けられた部分は、荷物における第一部分の一例に該当する。荷物における第一部分は、荷物の重心位置とは異なる部分である。具体的には、荷物の第一部分は、荷物の長手方向において、荷物の重心位置とは異なる部分である。
【0100】
荷物において情報記憶部5が設けられた部分は、荷物の第一部分の一例に該当する。以下、情報記憶部5(荷物において情報記憶部5が設けられた部分)の位置情報を、荷物の第一部分の位置情報と称する。
【0101】
荷物の第一部分は、荷物の重心位置からずれた位置である。荷物の第一部分は、荷物の長手方向における両端のうちの一端であると好ましい。又、荷物の第一部分は、据え付けられた状態における方向が予め決められた部分であると好ましい。
【0102】
<通信部>
通信部73は、サーバ側通信部81と通信を確立して、位置検出部72から取得した情報(荷物の第一部分の位置情報)を、サーバ側通信部81に送る。
【0103】
又、通信部73は、読取部71から荷物の重心位置情報を取得した場合、取得した荷物の重心位置情報を、サーバ側通信部81に送ってもよい。
【0104】
通信部73とサーバ側通信部81とは、例えば、インターネット等のネットワークを介して通信接続される。通信部73とサーバ側通信部81との接続方式は、特に限定されない。通信部73とサーバ側通信部81との接続方式は、例えば、WiFi(登録商標)等の無線LAN、又は、Bluetooth(登録商標)等であってもよい。
【0105】
<サーバ>
サーバ8は、端末の一例に該当し、移動式クレーンC及び/又は情報読取装置7と、例えば、インターネット等のネットワークを介して通信接続されている。
【0106】
このようなサーバ8は、移動式クレーンCにより吊られている荷物の重心位置に関する情報と、荷物に設けられた情報記憶部5の位置に関する情報とを取得する。そして、サーバ8は、取得した荷物の重心位置に関する情報と、取得した荷物の第一部分の位置情報とに基づいて、荷物の向きに関する情報を算出する。以下、サーバ8の具体的な構成について説明する。
【0107】
サーバ8は、サーバ側通信部81と、制御装置82と、を備える。
【0108】
<サーバ側通信部>
サーバ側通信部81は、移動式クレーンCの第二通信部323、及び/又は、情報読取装置7の通信部73と通信を確立して、移動式クレーンC及び情報読取装置7から情報を受信する。サーバ側通信部81は、移動式クレーンC及び/又は情報読取装置7に情報を送信してもよい。
【0109】
サーバ側通信部81と、移動式クレーンCの第二通信部323及び情報読取装置7の通信部73とは、ネットワークを介して通信接続されている。
【0110】
具体的には、サーバ側通信部81は、移動式クレーンCの第二通信部323から、荷物の重心位置情報を取得する。そして、サーバ側通信部81は、取得した荷物の重心位置情報を制御装置82に送る。
【0111】
尚、サーバ側通信部81は、荷物の重心位置情報を情報読取装置7から取得してもよい。或いは、サーバ側通信部81は、荷物の重心位置情報を、移動式クレーンC及び情報読取装置7以外の装置から取得してもよい。
【0112】
又、サーバ側通信部81は、情報読取装置7の通信部73から、荷物の第一部分の位置情報を取得する。そして、サーバ側通信部81は、取得した荷物の第一部分の位置情報を制御装置82に送る。
【0113】
尚、サーバ側通信部81は、荷物の第一部分の位置情報を、情報読取装置7以外の装置から取得してもよい。
【0114】
又、サーバ側通信部81は、移動式クレーンCの第二通信部323、又は、情報読取装置7の通信部73から、荷物に関する情報(例えば、荷物の識別情報)を取得してもよい。
【0115】
<制御装置>
制御装置82は、記憶部821と、取得部822と、演算部823と、判定部824と、を有する。
【0116】
<記憶部>
記憶部821は、情報を記憶している。具体的には、記憶部821は、荷物の識別情報に対応付けて、荷物の据え付け予定位置に関する情報(例えば、座標)を記憶している。
【0117】
荷物の据え付け予定位置に関する情報は、例えば、BIM(Building Information Modeling)等のアプリケーションにより予め決定されている情報である。以下、荷物の据え付け予定位置に関する情報を、単に、据え付け予定位置情報と称する。
【0118】
又、記憶部821は、荷物の識別情報に対応付けて、荷物の据え付け予定方向に関する情報(例えば、座標)を記憶している。
【0119】
荷物の据え付け予定方向に関する情報は、例えば、BIM(Building Information Modeling)等のアプリケーションにより予め決定されている情報である。以下、荷物の据え付け予定方向に関する情報を、単に、据え付け予定方向情報と称する。
【0120】
据え付け予定方向情報は、例えば、荷物における第一部分の方位であってよい。荷物の据え付け予定方向は、例えば、荷物における重心位置に対する第一部分の方位であってよい。
【0121】
記憶部821は、後述の判定部824が、荷物が正しい据え付け位置に存在すると判定し、且つ、荷物が正しい据え付け方向を向いていると判定した場合、荷物の重心位置情報及び荷物の向き情報(後述)をログとして記憶する。
【0122】
<取得部>
取得部822は、サーバ側通信部81を介して、荷物の重心位置情報を取得する。本実施形態の場合、取得部822は、移動式クレーンCから、荷物の重心位置情報を取得する。但し、取得部822は、移動式クレーンC以外の装置(例えば、情報読取装置7)から荷物の重心位置情報を取得してもよい。
【0123】
又、取得部822は、サーバ側通信部81を介して、荷物の第一部分の位置情報を取得する。本実施形態の場合、取得部822は、情報読取装置7から、荷物の第一部分の位置情報を取得する。このような取得部822は、第一取得部及び第二取得部の一例に該当する。
【0124】
そして、取得部822は、取得した荷物の重心位置情報、及び、取得した荷物の第一部分の位置情報を、演算部823に送る。
【0125】
<演算部>
演算部823は、取得部822から取得した、荷物の重心位置情報及び荷物の第一部分の位置情報に基づいて、荷物の向きに関する情報(以下、単に「荷物の向き情報」と称する。)を算出する。
【0126】
荷物の向き情報は、荷物の重心位置を基準とした、荷物の第一部分の方位に関する情報と捉えてよい。演算部823は、算出した荷物の向き情報を、判定部824に送る。
【0127】
<判定部>
判定部824は、演算部823から取得した荷物の向き情報と、記憶部821から取得した据え付け予定方向情報とに基づいて、荷物が正しい据え付け方向を向いているか否かを判定する。
【0128】
又、判定部824は、取得部822又は演算部823から取得した荷物の重心位置情報と、記憶部821から取得した荷物の据え付け予定位置に関する情報とに基づいて、荷物が正しい据え付け位置に存在するか否かを判定する。
【0129】
判定部824は、移動式クレーンC又は情報読取装置7から取得した荷物の搬送先位置情報と、取得部822又は演算部823から取得した荷物の重心位置情報とに基づいて、荷物が正しい据え付け位置(搬送先)に存在するか否かを判定してもよい。
【0130】
尚、判定部824が判定を行う状態は、例えば、荷物が移動式クレーンCに吊られており、且つ、荷物が据え付け予定位置の近傍に搬送された状態である。この状態における、荷物の重心位置情報と、記憶部821から取得した据え付け予定位置情報とは、僅かにずれている。
【0131】
このため、判定部824は、荷物の重心位置(座標)と、荷物の据え付け予定位置(座標)との差が所定範囲内の場合、荷物が正しい据え付け位置に存在すると判定してよい。又、判定部824は、荷物の重心位置(座標)と、荷物の搬送先位置情報(座標)との差が所定範囲内の場合、荷物が正しい搬送先に存在すると判定してよい。
【0132】
<搬送先提示処理>
以下、
図1及び
図5を参照して、移動式クレーンCの搬送作業において、移動式クレーンCが実施する搬送先提示処理(搬送先提示方法)について説明する。
図5は、搬送先提示処理のフローチャートである。
図5に示すフローチャートは、移動式クレーンCが荷物Wを搬送元から搬送先まで搬送する際、移動式クレーンCにおいて実施される搬送先提示処理を示している。
【0133】
図5に示される搬送先提示処理は、移動式クレーンCが備える搬送先提示システムSにより実現される。搬送先提示処理は、移動式クレーンCが備える複数のエレメントが協働することにより実現する。各エレメントの動作は、各エレメントが自律的に実施してもよいし、各エレメントが制御部326の制御下で実施してもよい。
【0134】
以下の説明において、例えば、移動式クレーンCが実施する搬送作業は、
図1に示す搬送元T1(
図1に小さい星印で示された位置)から、搬送先T2(
図1に大きい星印で示された位置)まで、荷物Wを搬送する作業である。
【0135】
図1には、建築物Bの周囲に配置された移動式クレーンCが示されている。
図1に示す移動式クレーンCは、荷物Wを所定高さまで吊上げている。搬送先提示処理は、例えば、玉掛け作業者による玉掛け作業から荷物Wの地切りが完了するまでの間に実施される。
【0136】
先ず、作業者は、操作入力部319を操作して、フック装置312を搬送元T1に置かれた荷物Wの上方に移動させる。尚、フック装置312を荷物Wの上方に移動させる動作は、制御部326により自動的に行われてもよい。
【0137】
又、玉掛け作業者は、適宜のタイミングで、荷物Wに玉掛け用ワイヤロープ316を掛ける。
【0138】
図5のステップS101において、情報読取装置320は、荷物Wに設けられた情報記憶部5から荷物に関する情報を取得する。そして、情報読取装置320は、取得した荷物に関する情報を、制御部326に送る。搬送先提示処理の開始のタイミングは、情報読取装置320が、情報記憶部5から荷物に関する情報を取得した時点であってもよい。
【0139】
ステップS101において情報読取装置320が取得する荷物に関する情報は、例えば、荷物の識別情報、荷物の搬送元位置情報、荷物の搬送先位置情報、及び荷物の諸元情報のうちの少なくとも一つの情報を含んでよい。
【0140】
ステップS101において、情報読取装置320は、本動作例の各制御処理において使用される荷物に関する情報を取得すればよい。
【0141】
情報記憶部5には、情報記憶部5が取り付けられる荷物Wに対応する荷物に関する情報が記憶されている。情報記憶部5は、例えば、ICタグ、バーコード、又はQRコード(登録商標)であってよい。
【0142】
情報記憶部5がICタグの場合、情報記憶部5は、例えば、情報読取装置320からの電波等を動力源としバッテリーが搭載されていないパッシブ型のICタグ、又、バッテリーが搭載されたアクティブ型のICタグであってよい。
【0143】
又、情報読取装置320と情報記憶部5との間の通信方式、使用する周波数帯は特に限定されない。又、情報記憶部5は、例えば、情報の読取専用であって、情報の書き込みができないリードオンリー型のICタグ、又は、情報の読取及び書き込みが可能なリードライト型のICタグであってよい。
【0144】
情報読取装置320に記憶された荷物の搬送先位置情報は、例えば、荷物Wの搬送先の緯度、経度、及び高さを含んでよい。情報読取装置320に記憶された荷物の搬送元位置情報は、例えば、荷物Wの搬送元の緯度、経度、及び高さを含んでよい。
【0145】
図5のステップS102において、制御部326は、地切りが完了したか否かを判定する。制御部326は、検出部325から取得した情報(例えば、ワイヤロープ311に作用する荷重)に基づいて、地切りが完了したか否かを判定する。
【0146】
図5のステップS102において、制御部326は、例えば、ワイヤロープ311に作用する荷重が増加し、その後、一定になった場合に、地切りが完了したと判定する。尚、地切りの判定方法は、この方法に限定されない。
【0147】
制御部326は、地切りが完了したと判定した場合(ステップS102において“YES”)、制御処理をステップS103に移行する。
【0148】
制御部326は、地切りが完了していないと判定した場合(ステップS102において“NO”)、ステップS102の制御処理を繰り返し実行する。
【0149】
図5のステップS103において、制御部326は、荷物が適切であるか否かの判定を行う。具体的には、制御部326は、移動式クレーンCが吊っている荷物(以下、「吊上荷物」と称する。)が、情報読取装置320から取得した荷物に関する情報に対応する荷物(以下、「吊上予定荷物」と称する。)であるか否かを判定する。
【0150】
ステップS103において、制御部326は、地切り完了後のワイヤロープ311に作用する荷重に基づいて、移動式クレーンCが吊っている荷物の重量情報を算出する。そして、制御部326は、算出した荷物の重量情報と、情報読取装置320から取得した荷物の重量情報とが一致(所定範囲内の誤差を含む。)しているか否かを判定する。
【0151】
制御部326は、算出した荷物の重量情報と、情報読取装置320から取得した荷物の重量情報とが一致(所定範囲内の誤差を含む。)している場合、吊上荷物が、吊上予定荷物に対応していると判定する。
【0152】
吊上荷物が吊上予定荷物に対応していると判定した場合(ステップS103において“YES”)、制御部326は、制御処理を、ステップS104に移行する。
【0153】
一方、制御部326は、算出した荷物の重量に関する情報と、情報読取装置320から取得した荷物の重量情報とが一致していない場合、吊上荷物が、吊上予定荷物に対応していないと判定する。
【0154】
吊上荷物が吊上予定荷物に対応していない判定した場合(ステップS103において“NO”)、制御部326は、制御処理を、ステップS105に移行する。
【0155】
ステップS104において、制御部326は、搬送情報を表示するように、表示部6を制御する。搬送情報は、例えば、荷物の搬送先位置情報、及び、クレーンの操作情報を含む。
【0156】
制御部326は、表示部6に表示されている画像(以下、「ベース画像」と称する。)に、搬送情報を重ねて表示するように、表示部6を制御する。
【0157】
制御部326は、ベース画像が、撮像部324により撮像された画像の場合、制御部326は、撮像部324から取得した画像(ベース画像)に、搬送情報を合成した合成画像を生成する。そして、制御部326は、合成画像を表示するように、表示部6を制御する。
【0158】
ベース画像は、撮像部324により撮像された画像に限らない。例えば、ベース画像は、BIM(Building Information Modeling)等の画像生成アプリケーションにより生成された画像であってもよい。
【0159】
ベース画像は、撮像部324以外の撮像装置により撮像された画像であってもよい。撮像装置は、移動式クレーンCの周囲に設けられ、移動式クレーンC、荷物Wの搬送元の位置、及び荷物Wの搬送先の位置を撮像可能であると好ましい。
【0160】
<表示される画像の一例>
ここで、表示部6に表示される画像(合成画像)の一例について説明する。
図3は、制御部326により生成され、表示部6に表示される画像の一例を示す。
【0161】
本例の場合、表示部6の画面6aが、第一領域61Aと第二領域62Aとに分割されている。本例の場合、第二領域62Aは、画面6aにおいて第一領域61Aの右側に設けられている。
【0162】
第一領域61Aには、第一画像611Aが表示されている。第一画像611Aは、撮像部324により撮像された撮像画像(ベース画像)と、この撮像画像における搬送先T2の位置を示す搬送先画像612を含む。第一画像611Aは、撮像部324により撮像された撮像画像(ベース画像)に、搬送先画像612が合成された合成画像である。搬送先画像612は、搬送先の位置に関する情報の一例に該当する。
【0163】
第二領域62Aには、第二画像622Aが表示されている。第二画像622Aは、クレーンの姿勢情報の画像(以下、「姿勢情報画像」と称する。)を含む。姿勢情報画像は、操作に関する情報の一例に該当する。
【0164】
姿勢情報画像は、起伏角度に関する情報の画像(以下、「起伏角度画像」と称する。)、旋回角度に関する情報の画像(以下、「旋回角度画像」と称する。)、ロープ長さに関する情報の画像(以下、「ロープ長さ画像」と称する。)、及びブーム長さに関する情報の画像(以下、「ブーム長さ画像」と称する。)を含む。
【0165】
姿勢情報画像は、姿勢毎に、搬送元に対応する姿勢情報と、搬送先に対応する姿勢情報と、を含む。搬送元に対応する姿勢情報は、搬送元の荷物を吊り上げる際の、クレーンの姿勢情報である。又、搬送先に対応する姿勢情報は、搬送先に荷物を搬送した際の、クレーンの姿勢情報である。
【0166】
具体的には、起伏角度画像は、搬送元に対応する起伏角度に関する画像、及び、搬送先に対応する起伏角度に関する画像を含む。本例の場合、左側に表示された値(本例の場合、「72°」)が、搬送元に対応する起伏角度である。又、右側に表示された値(本例の場合、「60°」)が、搬送先に対応する起伏角度である。
【0167】
又、旋回角度画像は、搬送元に対応する旋回角度に関する画像、及び、搬送先に対応する旋回角度に関する画像を含む。本例の場合、左側に表示された値(本例の場合、「270°」)が、搬送元に対応する旋回角度である。又、右側に表示された値(本例の場合、「250°」)が、搬送先に対応する旋回角度である。
【0168】
又、ロープ長さ画像は、搬送元に対応するロープ長さに関する画像、及び、搬送先に対応するロープ長さに関する画像を含む。本例の場合、左側に表示された値(本例の場合、「5m」)が、搬送元に対応するロープ長さである。又、右側に表示された値(本例の場合、「7m」)が、搬送先に対応するロープ長さである。
【0169】
又、ブーム長さ画像は、搬送元に対応するブーム長さに関する画像、及び、搬送先に対応するブーム長さに関する画像を含む。本例の場合、左側に表示された値(本例の場合、「44m」)が、搬送元に対応するブーム長さである。又、右側に表示された値(本例の場合、「44m」)が、搬送先に対応するブーム長さである。
【0170】
以上のような第一画像611A及び第二画像622Aは、ベース画像にクレーンの操作情報(姿勢情報画像及び搬送先画像)が合成された合成画像である。第一画像611A及び第二画像622Aは、搬送作業の間、継続して表示部6に表示される。
【0171】
制御部326は、搬送元から搬送先に荷物を搬送する際の動作の順序(以下、「動作の優先度」と称する。)を、作業者が認識できる表示態様で、姿勢情報画像を表示してもよい。
【0172】
具体的には、制御部326は、動作の優先度に対応して、姿勢情報画像における姿勢情報の色を変えてよい。本例の場合、4色に分けて姿勢情報画像を表示すれば、作業者は、動作の優先度を色により認識できる。尚、動作の優先度が同じ場合には、姿勢情報画像は同色であってよい。
【0173】
又、制御部326は、動作の優先度が高い動作に対応する姿勢情報を、姿勢情報画像における上側に表示してもよい。
図3に示す姿勢情報画像の場合、動作の優先度は、高い方から順に、起伏角度を変更する動作、旋回角度を変更する動作、ロープ長さを変更する動作、及びブーム長さを変更する動作である。
【0174】
又、制御部326は、搬送先の姿勢情報に到達した姿勢情報を、作業者が認識できる表示態様で姿勢情報画像を表示してもよい。例えば、制御部326は、搬送先の姿勢情報(目標姿勢)に到達した姿勢情報の色(例えば、赤色)を、搬送先の姿勢情報(目標姿勢)に到達してない姿勢情報の色(例えば、白色)と異ならせてよい。
【0175】
<表示される画像の一例>
表示部6に表示される画像の一例について説明する。
図4は、制御部326により生成され、表示部6に表示される画像の一例を示す。
【0176】
本例の場合、表示部6の画面6aが、第一領域61Bと第二領域62Bとに分割されている。本例の場合、第二領域62Bは、画面6aにおいて第一領域61Bの下側に設けられている。
【0177】
第一領域61Bには、第一画像611Bが表示されている。第一画像611Bは、撮像部324により撮像された撮像画像と、この撮像画像における搬送先T2の位置を示す搬送先画像612を含む。
【0178】
第二領域62Bには、第二画像622Bが表示されている。第二画像622Bは、クレーンの姿勢情報の画像(以下、「姿勢情報画像」と称する。)を含む。姿勢情報画像は、起伏角度に関する画像、旋回角度に関する画像、ロープ長さに関する画像、及びブーム長さに関する画像を含む。
【0179】
姿勢情報画像は、姿勢毎に、搬送元に対応する姿勢情報と、搬送先に対応する姿勢情報と、を含む。搬送元に対応する姿勢情報は、搬送元の荷物を吊り上げる際の、クレーンの姿勢情報である。又、搬送先に対応する姿勢情報は、搬送先に荷物を搬送した際の、クレーンの姿勢情報である。
【0180】
又、姿勢情報画像は、操作入力部319を模した画像(以下、「操作部模擬画像」と称する。)を含む。本例の場合、操作部模擬画像は、操作入力部319を構成する操作レバーを模した画像を含む。
【0181】
姿勢情報画像は、搬送元から搬送先に荷物を搬送する際、作業者が操作すべき操作レバーの操作方向及び操作量を認識できる態様を有する。姿勢情報画像は、搬送元に対応する操作レバーの位置を示す画像、搬送先に対応する操作レバーの位置を示す画像、及び作業者が操作すべき操作レバーの方向を示す画像を含む。
【0182】
搬送元に対応する操作レバーの位置を示す画像、搬送先に対応する操作レバーの位置を示す画像、及び作業者が操作すべき操作レバーの方向を示す画像は、操作部の操作量に関する情報及び操作部の操作方向に関する情報の一例に該当する。
【0183】
本例の場合、第二画像622Bは、左から順に、旋回角度に関する画像、ブーム長さに関する画像、ロープ長さに関する画像、及び起伏角度に関する画像を含む。
【0184】
具体的には、旋回角度に関する画像は、旋回用の操作レバー(以下、「旋回レバー」と称する。)を模した操作レバー模擬画像623、搬送元に対応する旋回角度に関する画像、及び、搬送先に対応する旋回角度に関する画像を含む。
【0185】
操作レバー模擬画像623は、搬送元に対応する旋回レバーの位置を示す搬送元レバー位置画像623a、搬送先に対応する旋回レバーの位置を示す搬送先レバー位置画像623b、及び作業者が操作すべき旋回レバーの操作方向を示す操作方向画像623cを含む。
【0186】
又、本例の場合、操作レバー模擬画像623の左側に表示された値(本例の場合、「270°」)が、搬送元に対応する旋回角度である。又、右側に表示された値(本例の場合、「250°」)が、搬送先に対応する旋回角度である。
【0187】
又、ブーム長さに関する画像は、伸縮用の操作レバー(以下、「伸縮レバー」と称する。)を模した操作レバー模擬画像624、搬送元に対応するブーム長さに関する画像、及び搬送先に対応するブーム長さに関する画像を含む。
【0188】
操作レバー模擬画像624は、搬送元に対応する伸縮レバーの位置を示す搬送元レバー位置画像624a、搬送先に対応する伸縮レバーの位置を示す搬送先レバー位置画像624b、及び作業者が操作すべき伸縮レバーの操作方向を示す操作方向画像(不図示)を含む。
【0189】
尚、本例の場合、搬送元に対応する伸縮レバーの位置と、搬送先に対応する伸縮レバーの位置とが同じため、作業者は、伸縮レバーを操作しない。よって、伸縮レバーの操作方向を示す操作方向画像は省略される。
【0190】
又、本例の場合、操作レバー模擬画像624の左側に表示された値(本例の場合、「44m」)が、搬送元に対応するブーム長さである。又、右側に表示された値(本例の場合、「44m」)が、搬送先に対応するブーム長さである。
【0191】
又、ロープ長さに関する画像は、ウインチ用の操作レバー(以下、「ウインチレバー」と称する。)を模した操作レバー模擬画像625、搬送元に対応するロープ長さに関する画像、及び、搬送先に対応するロープ長さに関する画像を含む。
【0192】
操作レバー模擬画像625は、搬送元に対応するウインチレバーの位置を示す搬送元レバー位置画像625a、搬送先に対応するウインチレバーの位置を示す搬送先レバー位置画像625b、及び作業者が操作すべきウインチレバーの操作方向を示す操作方向画像625cを含む。
【0193】
又、本例の場合、操作レバー模擬画像625の左側に表示された値(本例の場合、「5m」)が、搬送元に対応するロープ長さである。又、右側に表示された値(本例の場合、「7m」)が、搬送先に対応するロープ長さである。
【0194】
又、起伏角度に関する画像は、起伏用の操作レバー(以下、「起伏レバー」と称する。)を模した操作レバー模擬画像626、搬送元に対応する起伏角度に関する画像、及び、搬送先に対応する起伏角度に関する画像を含む。
【0195】
操作レバー模擬画像626は、搬送元に対応する起伏レバーの位置を示す搬送元レバー位置画像626a、搬送先に対応する起伏レバーの位置を示す搬送先レバー位置画像626b、及び作業者が操作すべき起伏レバーの操作方向を示す操作方向画像626cを含む。
【0196】
又、本例の場合、操作レバー模擬画像626の左側に表示された値(本例の場合、「72°」)が、搬送元に対応する起伏角度である。又、右側に表示された値(本例の場合、「60°」)が、搬送先に対応する起伏角度である。
【0197】
本例の場合も、第一画像611B及び第二画像622Bは、搬送作業の間、継続して表示部6に表示される。制御部326は、搬送元から搬送先に荷物を搬送する際の動作の順序(以下、「動作の優先度」と称する。)を、作業者が認識できる表示態様で、姿勢情報画像を表示してもよい。
【0198】
具体的には、制御部326は、動作の優先度に対応して、姿勢情報画像における姿勢情報の色を変えてよい。本例の場合、4色に分けて姿勢情報画像を表示すれば、作業者は、動作の優先度を色により認識できる。尚、動作の優先度が同じ場合には、姿勢情報画像は同色であってよい。
【0199】
又、制御部326は、動作の優先度が高い動作に対応する姿勢情報を、姿勢情報画像における左側に表示してもよい。
図4に示す姿勢情報画像の場合、動作の優先度は、高い方から順に、旋回角度を変更する動作、ブーム長さを変更する動作、ロープ長さを変更する動作、及び起伏角度を変更する動作である。
【0200】
又、制御部326は、搬送先の姿勢情報に到達した姿勢情報を、作業者が認識できる表示態様で姿勢情報画像を表示してもよい。例えば、制御部326は、搬送先の姿勢情報(目標姿勢)に到達した姿勢情報の色(例えば、赤色)を、搬送先の姿勢情報(目標姿勢)に到達していない姿勢情報の色(例えば、白色)と、異ならせてもよい。
【0201】
ここで
図5のフローチャートの説明に戻る。
図5のステップS105において、制御部326は、吊上荷物が適切でないことを報知する。例えば、制御部326は、吊上荷物が適切でないことを表示するように、表示部6を制御する。そして、制御部326は、搬送位置提示処理を終了する。
【0202】
図5のステップS106において、制御部326は、荷物Wの搬送が完了したか否かを判定する。荷物Wの搬送が完了した状態は、荷物Wが搬送先に搬送され、且つ、荷物Wがフック装置312から外された状態と捉えてよい。
【0203】
制御部326は、フック装置312に掛けられた荷物Wの位置を算出し、算出した荷物Wの位置が、搬送先の位置情報に対応する位置と一致した場合に、荷物Wが搬送先に搬送されたと判定する。
【0204】
又、制御部326は、検出部325から取得した情報(例えば、ワイヤロープ311に作用する荷重)に基づいて、荷物Wが搬送先の所定位置に置かれたことを判定する。
【0205】
荷物Wの搬送が完了した(荷物Wの設置が完了した)と判定した場合(ステップS106において“YES”)、制御部326は、制御処理をステップS107に移行する。
【0206】
荷物Wの搬送が完了していないと判定した場合(ステップS106において“NO”)、制御部326は、ステップS106の制御処理を繰り返す。
【0207】
図5のステップS107において、制御部326は、終了した搬送作業のログを生成し、記憶部327に記憶する。
【0208】
搬送作業のログは、例えば、作業日、荷物に関する情報、搬送作業の開始時刻、及び搬送作業の終了時刻を含む。
【0209】
搬送作業のログに含まれる荷物に関する情報は、例えば、荷物の識別情報、荷物の搬送元位置情報、荷物の搬送先位置情報、及び荷物の諸元情報のうちの少なくとも一つの情報を含んでよい。
【0210】
搬送作業のログは、搬送作業を行ったクレーンに関する情報を含んでよい。クレーンに関する情報は、
【0211】
搬送作業のログは、搬送作業中のクレーンの姿勢に関する情報を含んでもよい。搬送作業のログに含まれるクレーンの姿勢に関する情報は、搬送元におけるクレーンの姿勢情報及び/又は搬送先におけるクレーンの姿勢情報を含んでもよい。
【0212】
搬送作業のログは、制御部326が行った搬送作業判定の結果を含んでよい。尚、搬送作業判定の結果が「搬送不可能」である場合、搬送作業は実施されない。この場合、搬送作業のログに、例えば、作業日、荷物に関する情報、及びクレーンに関する情報を含む。クレーンに関する情報は、クレーンの識別情報を含んでよい。
【0213】
尚、制御部326は、
図5のステップS107において、荷物Wに設けられた情報記憶部5に、荷物Wの搬送が完了した(荷物Wの設置が完了した)際の、荷物Wの重心座標を情報記憶部5に記憶するように、情報読取装置320の書込部(不図示)を制御してもよい。制御部326は、搬送先に対応するクレーンの姿勢情報に基づいて荷物Wの重心座標を算出する。このような荷物Wの重心座標は、出来形管理に利用される。
【0214】
そして、制御部326は、搬送先提示処理を終了する。
【0215】
<荷物の方向演算処理>
次に、
図6及び
図7を参照して、本実施形態に係る荷物の方向演算処理について説明する。
図6は、荷物の方向演算処理のフローチャートである。
【0216】
荷物の方向演算処理は、例えば、上述の搬送先提示処理において荷物Wの搬送が完了した状態(
図7参照)において実施される。換言すれば、荷物の方向演算処理は、荷物が搬送先に位置する状態で実施される。尚、荷物の方向演算処理は、搬送先提示処理とは独立して実施可能である。
【0217】
又、
図7に示す荷物の方向演算処理における一部の制御処理は、適宜省略されてもよい。又、技術的に矛盾しない範囲において、
図7に示す荷物の方向演算処理における制御処理の順番は、変更されてもよい。
【0218】
先ず、
図6のステップS201において、サーバ8の制御装置82(具体的には、取得部822)は、移動式クレーンCにより吊られている荷物の重心位置情報と、荷物の第一部分の位置情報とを取得する。その後、制御装置82は、制御処理をステップS202に移行する。
【0219】
本例の場合、制御装置82は、移動式クレーンCから、荷物の重心位置情報(例えば、座標)を取得する。又、制御装置82は、情報読取装置7から、荷物の第一部分の位置情報(例えば、座標)を取得する。
【0220】
荷物の第一部分の位置情報は、搬送先の作業者9の操作に基づいて情報読取装置7が取得する情報である。既述のように、荷物の第一部分の位置情報は、荷物において情報記憶部5が設けられた部分の位置情報に該当する。
【0221】
次に、
図6のステップS202において、制御装置82(具体的には、演算部823)は、取得した荷物の重心位置情報(例えば、座標)及び取得した荷物の第一部分の位置情報(例えば、座標)に基づいて、荷物の向き情報を算出する。その後、制御装置82は、制御処理をステップS203に移行する。
【0222】
次に、
図6のステップS203において、制御装置82(具体的には、判定部824)は、算出した荷物の向き情報と、記憶部821から取得した据え付け予定方向情報とに基づいて、荷物が正しい据え付け方向を向いているか否かを判定する。
【0223】
ステップS203において、荷物が正しい据え付け方向を向いていると判定した場合(ステップS203において“YES”)、制御装置82は、制御処理をステップS204に移行する。
【0224】
ステップS203において、荷物が正しい据え付け方向を向いていないと判定した場合(ステップS203において“NO”)、制御装置82は、制御処理をステップS205に移行する。
【0225】
尚、ステップS203において、追加的に、制御装置82(具体的には、判定部824)は、取得した荷物の重心位置情報と、記憶部821から取得した据え付け予定位置情報とに基づいて、荷物が正しい据え付け位置に存在するか否かを判定してもよい。
【0226】
或いは、ステップS203において、追加的に、制御装置82(具体的には、判定部824)は、取得した荷物の重心位置情報と、移動式クレーンC又は情報読取装置7から取得した荷物の搬送先位置情報とに基づいて、荷物が正しい据え付け位置に存在するか否かを判定してもよい。
【0227】
図6のステップS204において、制御装置82は、荷物が正しい据え付け方向を向いていることを報知する。ステップS204において、制御装置82は、荷物が正しい据え付け方向を向いていることを示す情報を、移動式クレーンCに送信してよい。移動式クレーンCは、荷物が正しい据え付け方向を向いていることを示す情報を、表示部6に表示することによりクレーン作業者に報知してよい。
【0228】
又、ステップS204において、制御装置82は、荷物が正しい据え付け方向を向いていることを示す情報を、情報読取装置7に送信してもよい。情報読取装置7は、荷物が正しい据え付け方向を向いていることを示す情報を、情報読取装置7の表示部(不図示)に表示することにより搬送先の作業者9に報知してよい。その後、制御装置82は、制御処理をステップS206に移行する。
【0229】
尚、ステップS203において、制御装置82(具体的には、判定部824)が、荷物が正しい据え付け位置に存在していると判定した場合、ステップS204において、制御装置82は、荷物が正しい据え付け位置に存在していることを報知する。
【0230】
ステップS204において、制御装置82は、荷物が正しい据え付け位置に存在していることを示す情報を、移動式クレーンCに送信してよい。移動式クレーンCは、荷物が正しい据え付け位置に存在していることを示す情報を、表示部6に表示することによりクレーン作業者に報知してよい。
【0231】
又、ステップS204において、制御装置82は、荷物が正しい据え付け位置に存在していることを示す情報を、情報読取装置7に送信してもよい。情報読取装置7は、荷物が正しい据え付け位置に存在していることを示す情報を、情報読取装置7の表示部(不図示)に表示することにより搬送先の作業者9に報知してよい。
【0232】
荷物が正しい据え付け方向を向いていること、及び/又は、荷物が正しい据え付け位置に存在していることを認識した搬送先の作業者9は、荷物を据え付けるための作業を進めることができる。
【0233】
図6のステップS205において、制御装置82は、荷物が正しい据え付け方向を向いていないことを報知する。ステップS205において、制御装置82は、荷物が正しい据え付け方向を向いていないことを示す情報を、移動式クレーンCに送信してよい。移動式クレーンCは、荷物が正しい据え付け方向を向いていないことを示す情報を、表示部6に表示することによりクレーン作業者に報知してよい。
【0234】
又、ステップS205において、制御装置82は、荷物が正しい据え付け方向を向いていないことを示す情報を、情報読取装置7に送信してよい。情報読取装置7は、荷物が正しい据え付け方向を向いていないことを示す情報を、表示部(不図示)に表示することにより搬送先の作業者9に報知してよい。
【0235】
尚、ステップS203において、制御装置82(具体的には、判定部824)が、荷物が正しい据え付け位置に存在していないと判定した場合、ステップS205において、制御装置82は、荷物が正しい据え付け位置に存在していないことを報知する。ステップS205において、制御装置82は、荷物が正しい据え付け位置に存在していないことを示す情報を、移動式クレーンCに送信してよい。移動式クレーンCは、荷物が正しい据え付け位置に存在していないことを示す情報を、表示部6に表示することによりクレーン作業者に報知してよい。
【0236】
又、ステップS203において、制御装置82(具体的には、判定部824)が、荷物が正しい据え付け位置に存在していないと判定した場合、ステップS205において、制御装置82は、荷物が正しい据え付け位置に存在していないことを示す情報を、情報読取装置7に送信してよい。情報読取装置7は、荷物が正しい据え付け位置に存在していないことを示す情報を、情報読取装置7の表示部(不図示)に表示することにより搬送先の作業者9に報知してよい。
【0237】
荷物が正しい据え付け方向を向いていないこと、及び/又は、荷物が正しい据え付け位置に存在していないことを認識したクレーン作業者及び搬送先の作業者9は、荷物の方向を正しい方向に変更する作業、及び/又は、荷物の位置を正しい据え付け位置に変更する作業を実施した後、据え付け作業を進めることができる。
【0238】
次に、
図6のステップS206において、制御装置82は、据え付けが完了した後、荷物の重心位置情報及び荷物の向き情報をログとして記憶部821に記憶させる。
【0239】
尚、制御装置82は、据え付けが完了したことを示す情報を、移動式クレーンCから取得してよい。或いは、制御装置82は、据え付けが完了したことを、移動式クレーンCから取得した情報(例えば、ワイヤロープ311に作用する荷重に関する情報)に基づいて判定してよい。
【0240】
そして、制御装置82は、荷物の方向演算処理を終了する。
【0241】
<本実施形態の作用・効果>
以上のような構成を有する本実施形態の場合、サーバ8(具体的には、演算部823)は、取得した荷物の重心位置情報と取得した荷物の第一部分の位置情報とに基づいて、荷物の向き情報を算出する機能を有する。よって、クレーン作業者及び/又は搬送先の作業者は、移動式クレーンCにより搬送されている荷物の向きを知ることができる。
【0242】
又、サーバ8(具体的には、判定部824)は、取得した荷物の向き情報と、取得した据え付け予定方向情報とに基づいて、荷物が正しい据え付け方向を向いているか否かを判定する機能を有する。よって、クレーン作業者及び/又は搬送先の作業車は、この判定結果を確認することにより、荷物が正しい据え付け方向を向いているか否かを知ることができる。
【0243】
又、サーバ8(具体的には、判定部824)は、取得した荷物の重心位置情報と、取得した荷物の据え付け予定位置に関する情報とに基づいて、荷物が正しい据え付け位置に存在するか否かを判定する機能を有する。よって、クレーン作業者及び/又は搬送先の作業車は、この判定結果を確認することにより、荷物が正しい据え付け位置に存在しているか否かを知ることができる。
【0244】
又、本実施形態によれば、作業効率を向上できる。即ち、本実施形態の場合、フック装置312に設けられた情報読取装置320が、荷物Wに設けられた情報記憶部5から、荷物の搬送先位置情報を取得する。そして、情報読取装置320により取得された搬送先位置情報は、表示部6に表示される。作業者は、表示部6に表示された搬送先位置情報を見ることにより、荷物の搬送先を知ることができる。
【0245】
本実施形態の場合、玉掛け作業者は、荷物Wに設けられた情報記憶部5から搬送先位置情報を読み取る作業を実施せず、玉掛け作業を行える。よって、搬送作業の作業効率を向上できる。
【0246】
又、本実施形態の場合、搬送作業のログを記憶部327に記憶している。このようなログは、作業後の出来高管理に利用できる。尚、移動式クレーンCは、情報読取装置320により、自身が搬送した荷物以外の荷物(以下、「他の荷物」と称する。)に設けられた情報記憶部5から、他の荷物の搬送先位置情報を取得してもよい。
【0247】
他の荷物の搬送先位置情報を取得した際、移動式クレーンCの制御部326は、例えば、位置検出部317Aの検出値に基づいて、他の荷物の位置に関する情報(以下、「他の荷物の推定位置情報」と称する。)を推定してよい。
【0248】
そして、制御部326は、他の荷物の搬送先位置情報と、他の荷物の推定位置情報とを対応付けて記憶部327に記憶してもよい。
【0249】
又、他の荷物に設けられた情報記憶部5に、他の荷物の重心座標が記憶されている場合には、移動式クレーンCは、情報読取装置320により、他の荷物に設けられた情報記憶部5から、荷物の重心座標を取得してもよい。そして、制御部326は、他の荷物の搬送先位置情報と、他の荷物の重心座標とを対応付けて記憶部327に記憶してもよい。
【0250】
例えば、サーバ等の出来高管理システムにより、他の荷物の搬送先位置情報と、他の荷物の推定位置情報又は他の荷物の重心座標とを比較することにより、他の荷物が搬送先に据え付けられているか否かを判定できる。比較基準位置は、他の荷物の搬送先の位置からずれているとしても、このずれが所定の範囲内であれば、出来高管理システムは、他の荷物が搬送先に据え付けられていると判定してよい。
【産業上の利用可能性】
【0251】
本発明は、クレーンに限らず、種々の作業機を対象とすることができる。
【符号の説明】
【0252】
B 建築物
C 移動式クレーン
S 搬送先提示システム
T1 搬送元
T2 搬送先
W 荷物
1 走行体
11 車輪
2 アウトリガ
3 旋回体
301 旋回台
302 伸縮式ブーム
303 先端ブーム要素
304 中間ブーム要素
305 基端ブーム要素
306 伸縮装置
307 伸縮シリンダ装置
308 起伏装置
309 伸縮シリンダ装置
310 ジブ
311 ワイヤロープ
312 フック装置
313 運転室
314 フックブロック
315 フック
316 玉掛け用ワイヤロープ
317A 置検出部
319 操作入力部
320 情報読取装置
321 読取部
322 第一通信部
323 第二通信部
324 撮像部
325 検出部
326 制御部
327 記憶部
5 情報記憶部
6 表示部
6a 画面
61A、61B 第一領域
62A、62B 第二領域
611A、611B 第一画像
612 搬送先画像
622A、622B 第二画像
623、624、625、626 操作レバー模擬画像
623a、624a、625a、626a 搬送元レバー位置画像
623b、624b、625b、626b 搬送先レバー位置画像
623c、625c、626c 操作方向画像
7 情報読取装置
71 読取部
72 位置検出部
73 通信部
8 サーバ
81 サーバ側通信部
82 制御装置
821 記憶部
822 取得部
823 演算部
824 判定部
9 搬送先の作業者