(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】生産ライン監視システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240312BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240312BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2020049024
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一二三
(72)【発明者】
【氏名】今井 篤
(72)【発明者】
【氏名】石井 智則
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 学
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-099010(JP,A)
【文献】特開2021-114116(JP,A)
【文献】特開2009-265719(JP,A)
【文献】特開2019-191748(JP,A)
【文献】特開2003-204199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生産装置を含む生産ラインを監視する生産ライン監視システムであって、
複数の作業員に取り付けられる複数の端末と、
複数の前記端末と無線ネットワークを介して通信可能なサーバーと、
前記生産ラインの生産計画が記憶された記憶部と、
を含み、
前記サーバーは、
前記生産装置の稼働情報を受信し、前記稼働情報に基づいてイベント情報を生成する処理と、
複数の前記端末のうちの第1端末および第2端末に、前記イベント情報を送信する処理と、
前記イベント情報を送信する処理を行った後に、前記第1端末から送信された対応情報を受信した場合に、前記第2端末にイベント停止情報を送信する処理と、
を行
い、
前記稼働情報は、前記生産ラインのリアルタイムな生産実績に関する情報であり、
前記サーバーは、前記生産実績が前記生産計画を下回った場合に、前記イベント情報を生成する処理を行う、生産ライン監視システム。
【請求項2】
請求項1において、
複数の前記端末の各々に対して前記イベント情報を送信するか否かが定義されたテーブルが記憶された記憶部を含み、
前記サーバーは、前記テーブルに基づいて、複数の前記端末のうち前記イベント情報を送信する前記端末を決定する処理を行う、生産ライン監視システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1端末から送信された対応情報を受信した後に、前記第2端末から送信された対応情報を受信した場合、前記サーバーは、前記第2端末に対応済情報を送信する処理を行う、生産ライン監視システム。
【請求項4】
請求項1ないし
3のいずれか1項において、
前記稼働情報を検出するセンサーを含む、生産ライン監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ライン監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安定した生産を確保するため、生産ラインを構成する複数の生産装置は、自動化され、自動搬送機能を備えたロボットへの置き換えが進んでいる。
【0003】
このような生産装置がエラーにより停止したことを、シグナルタワーの点灯によってオペレーターに通知する場合、オペレーターは、シグナルタワーを目視できる場所に居る必要がある。
【0004】
特許文献1には、オペレーターが電子メールを受信する携帯電話を携行しており、ホストコンピューターが、オペレーターに生産装置の停止の情報を含む電子メールを送信することが記載されている。オペレーターは、電子メールで呼び出された場合に現場に行けばよく、常にシグナルタワーが目視できる場所で監視することが不可欠でなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、作業機の停止の情報を含む電子メールが複数のオペレーターに送信されると、複数のオペレーターが停止した生産装置を補修するために移動する場合がある。そのため、工場内のオペレーターの配置が偏り、オペレーターの数が少ない場所では、生産装置の保守作業に遅延が生じる可能性がある。生産装置の保守作業に遅延すると、生産装置の稼働率が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る生産ライン監視システムの一態様は、
複数の生産装置を含む生産ラインを監視する生産ライン監視システムであって、
複数の作業員に取り付けられる複数の端末と、
複数の前記端末と無線ネットワークを介して通信可能なサーバーと、
を含み、
前記サーバーは、
前記生産装置の稼働情報を受信し、前記稼働情報に基づいてイベント情報を生成する処理と、
複数の前記端末のうちの第1端末および第2端末に、前記イベント情報を送信する処理と、
前記イベント情報を送信する処理を行った後に、前記第1端末から送信された対応情報を受信した場合に、前記第2端末にイベント停止情報を送信する処理と、
を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る生産ライン監視システムを模式的に示す図。
【
図2】第1実施形態に係る生産ライン監視システムの機能ブロック図。
【
図3】第1実施形態に係る生産ライン監視システムの稼働情報を説明するための図。
【
図4】第1実施形態に係る生産ライン監視システムの記憶部に記憶されているテーブルを説明するための図。
【
図5】第1実施形態に係る生産ライン監視システムの端末の動作を説明するための図。
【
図6】第1実施形態に係る生産ライン監視システムの端末の動作を説明するための図。
【
図7】第1実施形態に係る生産ライン監視システムのサーバーの動作を説明するための図。
【
図8】第1実施形態の変形例に係る生産ライン監視システムを模式的に示す図。
【
図9】第2実施形態に係る生産ライン監視システムの生産ラインの生産計画および生産実績を示すグラフ。
【
図10】第2実施形態に係る生産ライン監視システムの生産ラインの生産計画および生産実績を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1. 第1実施形態
1.1. 生産ライン監視システム
1.1.1. 構成
まず、第1実施形態に係る生産ライン監視システムについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る生産ライン監視システム100を模式的に示す図である。
図2は、第1実施形態に係る生産ライン監視システム100の機能ブロック図である。
【0011】
生産ライン監視システム100は、生産ライン10を監視する。生産ライン監視システムは、
図1および
図2に示すように、例えば、第1サーバー20と、第2サーバー30と、無線ネットワーク40と、複数の端末50と、を含む。
【0012】
生産ライン10は、工場内に配置されている。生産ライン10は、工場内に多数配列されている。便宜上、
図1では、2つの生産ライン10を図示している。生産ライン10は、複数の生産装置12を含む。生産装置12は、対象物に対して所定の処理を行い、生産物を生産する装置である。生産ライン10は、例えば、生産物として、エッチングされたウェハーを生産する。この場合、生産ライン10は、半導体ウェハーが投入される投入装置としての生産装置12と、投入された半導体ウェハーを前処理する前処理装置としての生産装置12と、前処理された半導体ウェハーをエッチングするエッチング装置としての生産装置12と、エッチングされた半導体ウェハーを後処理する後処理装置としての生産装置12と、後処理された半導体ウェハーを検査する検査装置としての生産装置12と、を有している。
【0013】
なお、生産ライン10は、半導体ウェハーをエッチングするための生産ラインに限定されず、例えば、半導体ウェハーにフォトリソグラフィーを行うための生産ラインであってもよいし、半導体ウェハーにめっき処理を行うための生産ラインであってもよい。また、生産ライン10で生産される製造物も、半導体ウェハーに限定されず、例えば、金属からなる構造体、樹脂からなる構造体などであってもよい。
【0014】
生産装置12は、
図2に示すように、例えば、生産部14と、処理部16と、記憶部18と、を有している。
【0015】
生産部14は、生産装置12の主目的である処理を行う。例えば、生産装置12がエッチング装置である場合、生産部14は、エッチングを行う部分であり、真空チャンバーやプラズマ発生装置などで構成される。例えば、生産装置12が検査装置である場合、生産部14は、検査を行う部分であり、カメラなどで構成される。
【0016】
処理部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで構成される。
【0017】
処理部16は、生産部14の稼働状態に基づいて、稼働情報を生成する処理を行う。生産部14の稼働が順調に行われてる場合、処理部16は、稼働情報として、生産部14の稼働が順調に行われてる旨の情報を生成する。一方、生産部14の稼働にエラーが生じた場合、処理部16は、稼働情報としてエラー情報を生成する。ここで、
図3は、生産装置12の処理部16が生成する稼働情報としてのエラー情報を説明するための図である。
【0018】
処理部16は、
図3に示すように、エラーコードと、エラー内容と、を含むエラー情報を生成する。さらに、図示はしないが、エラー情報は、エラーが発生した生産ライン10のID(Identification)および生産装置12のIDと、エラーが発生した時刻と、を含む。
図3に示す例では、エラー内容として、「給材要求」、「ワーク検出エラー」、「検査NG」、および「圧力低下」が示されている。「給材要求」は、投入装置としての生産装置12に、対象物が所定時間、投入されていないことを意味する。「ワーク検出エラー」は、生産部14の稼働を検出できないことを意味する。「検査NG」は、検査装置としての生産装置12における検査結果が所定値を下回ったことを意味する。「圧力低下」は、生産装置12の圧力が所定値を下回ったことを意味する。なお、図示のエラー内容は、一例であり、図示したエラー内容以外のエラー内容も存在する。
【0019】
処理部16は、エラー内容に応じて、エラー情報のオペレーションタイプを決定する。図示の例では、オペレーションタイプとして、「単純オペレーション」、「修理故障対応オペレーション」、および「品質対応オペレーション」が示されている。処理部16は、生産装置12について高度な知識を有していなくても対応できるエラー情報のオペレーションタイプを「単純オペレーション」と決定する。処理部16は、生産装置12の修理や故障対応が必要であり、生産装置12について高度な知識を有していないと対応できないエラー情報のオペレーションタイプを「修理故障対応オペレーション」と決定する。処理部16は、エラー内容が「検査NG」の場合、エラー情報のオペレーションタイプを「品質対応オペレーション」と決定する。
【0020】
記憶部18は、
図2に示すように、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成される。記憶部18は、処理部16が生成した稼働情報を記憶する。処理部16は、所定時間ごとに、稼働情報を生成し、生成した稼働情報を記憶部18に記憶させる。
【0021】
第1サーバー20は、有線または無線のネットワークを介して、複数の生産装置12と通信可能である。第1サーバー20は、所定時間ごとに、複数の生産装置12の記憶部18に記憶された稼働情報を受信する。第1サーバー20は、例えば、処理部22と、記憶部24と、を有している。処理部22は、処理部16と同様に、CPUやMPUなどで構成される。記憶部24は、記憶部18と同様に、ROMやRAMなどで構成される。処理部22は、受信した稼働情報を記憶部24に記憶させる。
【0022】
第2サーバー30は、有線または無線のネットワークを介して、第1サーバー20と通信可能である。第2サーバー30は、所定時間ごとに、第1サーバー20の記憶部24に記憶された稼働情報を受信する。なお、第2サーバー30は、第1サーバー20を介さず、直接、生産装置12の記憶部18に記憶された稼働情報を受信してもよい。
【0023】
第2サーバー30は、例えば、処理部32と、記憶部34と、を有している。処理部32は、処理部16と同様に、CPUやMPUなどで構成される。記憶部34は、記憶部18と同様に、ROMやRAMなどで構成される。
【0024】
処理部32は、受信された稼働情報に基づいてイベント情報を生成する。イベント情報とは、作業員にイベントを発生させるための情報であり、具体的には、稼働情報のうちのエラー情報の内容を含む情報のことである。イベント情報は、エラー情報と同様にオペレーションタイプが付される。
【0025】
記憶部34は、データーベース36を有している。ここで、
図4は、データーベース36に記憶されているテーブルを説明するための図である。データーベース36に記憶されているテーブルには、複数の端末50の各々に対してイベント情報を送信するか否かが定義されている。テーブルには、全ての端末50について定義されていてもよいが、図示の例では、3つの端末50について定義されている。端末50には、IDが付されている。
【0026】
記憶部34に記憶されているテーブルには、複数の生産装置12の各々について、エラー情報のオペレーションタイプに応じて、どの端末50にイベント情報を送信するかが定義されている。図示の例では、処理部32は、「〇」が付されている端末50にイベント情報を送信することを決定する。テーブルには、全ての生産ライン10について定義されていてもよいが、図示の例では、2つの生産ライン10について定義されている。生産ライン10および生産装置12には、IDが付されている。
【0027】
処理部32は、記憶部34に記憶されているテーブルに基づいて、端末50にイベント情報を送信する。例えば、生産ライン10「PROC-01」の生産装置12「C010」についてイベント情報が生成され、当該イベント情報のオペレーションタイプが「単純オペレーション」だった場合、処理部32は、テーブルに基づいて、端末50「9B2L」にイベント情報を送信する。当該イベント情報のオペレーションタイプが「修理故障対応オペレーション」だった場合、処理部32は、テーブルに基づいて、端末50「AC2E」および端末50「P8KE」にイベント情報を送信する。当該イベント情報のオペレーションタイプが「品質対応オペレーション」だった場合、処理部32は、テーブルに基づいて、端末50「P8KE」にイベント情報を送信する。
【0028】
なお、図示はしないが、エラー情報の内容によって、処理部32は、全ての端末50にイベント情報を送信してもよい。
【0029】
無線ネットワーク40は、
図1および
図2に示すように、複数の端末50と第2サーバー30とを通信可能な状態にする。
【0030】
端末50は、複数設けられている。複数の端末50は、
図1に示すように、複数の作業員Uの各々に1つずつ取り付けられている。端末50は、ウエラブル端末である。具体的には、端末50は、作業員Uの手首に取り付けられる腕時計型の端末である。
【0031】
端末50は、
図2に示すように、例えば、表示部52と、出力部54と、操作部56と、処理部58と、を有している。図示はしないが、端末50は、記憶部を有していてもよ
い。
【0032】
表示部52は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、EPD(Electrophoretic Display)、タッチパネル型ディスプレイなどで構成される。表示部52は、処理部58からの指示に従って、各種の画像を表示する。
【0033】
出力部54は、例えば、バイブレーター、ブザー、スピーカーなどで構成される。出力部54は、処理部58からの指示に従って、振動や音を発生させる。
【0034】
操作部56は、例えば、ボタン、キー、マイク、タッチパネルなどで構成される。操作部56は、作業員Uからの指示に従って、処理部58に信号を送信する。
【0035】
処理部58は、例えば、処理部16と同様に、CPUやMPUなどで構成される。処理部58は、第2サーバー30からの信号に基づいて、表示部52および出力部54を制御する。さらに、処理部58は、操作部56からの信号に基づいて、第2サーバー30に信号を送信する。
【0036】
ここで、
図5および
図6は、端末50の動作を説明するための図である。以下では、3つの端末50(ID:「9B2L」、「AC2E」、「P8KE」)の動作について説明する。なお、端末50「AC2E」、端末50「P8KE」、端末50「9B2L」を、それぞれ、「第1端末50a」、「第2端末50b」、「第3端末50c」ともいう。
【0037】
第1端末50aおよび第2端末50bが第2サーバー30からイベント情報を受信した場合、
図5に示すように、第1端末50aおよび第2端末50bの処理部58は、表示部52の表示を、「監視中」からイベント情報に変更させる。具体的には、処理部58は、イベント情報として、表示部52に、生産ライン10のID「PROC-01」、生産装置12のID「C010」、イベント発生時刻、エラーコード「E004」、およびエラー内容「圧力低下」を表示させる。さらに、処理部58は、出力部54を振動させる。第3端末50cは、イベント情報を受信していないので、表示部52の表示は、「監視中」である。
【0038】
次に、第1端末50aの作業員Uが操作部56を操作する(例えばボタンを押す)と、第1端末50aの処理部58は、表示部52に「対応します」と表示させ、さらに、第2サーバー30に対応情報を送信する。対応情報を受信した第2サーバー30は、第2端末50bにイベント停止情報を送信する。イベント停止情報を受信した第2端末50bの処理部58は、表示部52の表示を「監視中」に戻し、出力部54の振動を停止させる。
【0039】
一方、
図6に示すように、第1端末50aが第2サーバー30に対応情報を送信した後、第2サーバー30からのイベント停止情報を第2端末50bが受信する前に、第2端末50bの作業員Uが操作部56を操作した場合、第2端末50bの処理部58は、表示部52に「対応します」と表示させ、さらに、第2サーバー30に対応情報を送信する。第2端末50bから対応情報を受信した第2サーバー30は、第2端末50bに対応済情報を送信する。対応済情報を受信した第2端末50bの処理部58は、表示部52に「対応済です」と表示させる。
【0040】
1.1.2. 第2サーバーの処理
図7は、生産ライン監視システム100の第2サーバー30の処理を説明するためのフローチャートである。以下では、第2サーバー30と、端末50a,50b,50cと、の動作について説明する。
【0041】
第2サーバー30の処理部32は、第1サーバー20から生産装置12の稼働情報を受信するまで待機し(ステップS1で「No」)、稼働情報を受信したら(ステップS1で「Yes」)、受信した稼働情報がエラー情報か否か判定する(ステップS2)。受信した稼働情報がエラー情報でないと判断した場合(ステップS2で「No」)、処理部32は、ステップS1およびステップS2の処理を繰り返し行う。
【0042】
一方、受信した稼働情報がエラー情報であると判断した場合(ステップS2で「Yes」)、処理部32は、稼働情報に基づいて、イベント情報を生成する処理を行う(ステップS3)。
【0043】
次に、処理部32は、データーベース36に記憶されたテーブルに基づいて、複数の端末50のうちイベント情報を送信する端末50決定する処理を行う(ステップS4)。
図4に示すように、例えば、生成したイベント情報において、生産ライン10のIDが「PROC-01」、生産装置12のIDが「C010」、エラーコードが「E004」、エラー内容が「圧力低下」であった場合、オペレーションタイプは、「修理故障対応オペレーション」である。そのため、処理部32は、
図4に示すテーブルに基づいて、第1端末50aおよび第2端末50bにイベント情報を送信することを決定する。
【0044】
次に、
図7に示すように、処理部32は、複数の端末50のうちの第1端末50aおよび第2端末50bに、イベント情報を送信する処理を行う(ステップS5)。
【0045】
次に、処理部32は、第1端末50aまたは第2端末50bのいずれかから対応情報を受信するまで待機し(ステップS6で「No」)、対応情報を受信したら(ステップ6で「Yes」)、ステップS7の処理を行う。
【0046】
処理部32は、ステップS6において第1端末50aおよび第2端末50bのうち対応情報を受信していない方の端末50から、対応情報を受信したか否か、判定する(ステップS7)。すなわち、ステップS6において第1端末50aから対応情報を受信した場合、処理部32は、ステップS7において第2端末50bから対応情報を受信したか否か、判定する。一方、ステップS6において第2端末50bから対応情報を受信した場合、処理部32は、ステップS7において第1端末50aから対応情報を受信したか否か、判定する。
【0047】
ステップS7で「No」の場合、処理部32は、ステップS6において対応情報を受信していない方の端末50にイベント停止情報を送信する(ステップS8)。例えば、ステップS6において、第1端末50aから対応情報を受信し第2端末50bから対応情報を受信していない場合、処理部32は、第2端末50bにイベント停止情報を送信する。
【0048】
ステップS7で「Yes」の場合、処理部32は、ステップS6において対応情報を受信していない方の端末50に対応済情報を送信する(ステップS9)。例えば、ステップS6において第2端末50bから対応情報を受信しておらず、ステップS7において第2端末50bから対応情報を受信した場合、処理部32は、第2端末50bに対応済情報を送信する。そして、処理部32は、ステップS8の処理を行う。
【0049】
その後、処理部32は、処理をステップS1に戻す。
【0050】
1.1.3. 作用効果
生産ライン監視システム100では、第2サーバー30は、生産装置12の稼働情報を受信し、稼働情報に基づいてイベント情報を生成する処理(ステップS3)と、複数の端
末50のうちの第1端末50aおよび第2端末50bに、イベント情報を送信する処理(ステップS5)と、イベント情報を送信する処理を行った後に、第1端末50aから送信された対応情報を受信した場合に、第2端末50bにイベント停止情報を送信する処理(ステップS8)と、を行う。そのため、第2端末50bを装着している作業員Uは、イベント情報を解除するために移動する必要がなくなったことを知ることができる。これにより、第2端末50bを装着している作業員Uは、イベント情報を解除するための作業とは別の作業を行うことができる。したがって、生産装置12の稼働率を向上させることができる。
【0051】
生産ライン監視システム100では、複数の端末50の各々に対してイベント情報を送信するか否かが定義されたテーブルが記憶された記憶部34を含み、第2サーバー30は、記憶部34に記憶されたテーブルに基づいて、複数の端末50のうちイベント情報を送信する端末50を決定する処理(ステップS4)を行う。そのため、イベント情報の内容に適した作業員Uのみにイベント情報を送信することができる。
【0052】
生産ライン監視システム100では、第1端末50aから送信された対応情報を受信した後に、第2端末50bから送信された対応情報を受信した場合、第2サーバー30は、第2端末50bに対応済情報を送信する処理(ステップS9)を行う。そのため、第2端末50bを装着している作業員Uは、他の作業員がイベント情報を解除するための作業を行っていることを知ることができる。
【0053】
1.2. 変形例
次に、第1実施形態の変形例に係る生産ライン監視システムについて、図面を参照しながら説明する。
図8は、第1実施形態の変形例に係る生産ライン監視システム110を模式的に示す図である。以下、第1実施形態の変形例に係る生産ライン監視システム110において、上述した第1実施形態に係る生産ライン監視システム100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
生産ライン監視システム110では、
図8に示すように、生産装置12のシグナルタワー19に、センサー60が設けられている。
【0055】
シグナルタワー19は、例えば、緑色に点灯する緑色点灯部19aと、黄色に点灯する黄色点灯部19bと、赤色に点灯する赤色点灯部19cと、を有している。例えば、生産装置12の生産部14が動作中の場合、生産装置12の処理部16は、緑色点灯部19aを点灯させる。生産部14の動作が終了し待機の状態である場合、処理部16は、黄色点灯部19bを点灯させる。例えば、生産部14の動作が中断した場合、処理部16は、赤色点灯部19cを点灯させる。
【0056】
センサー60は、生産装置12の稼働情報を検出し、検出した稼働情報を第1サーバー20に送信する。第1サーバー20は、稼働情報を第2サーバー30に送信する。なお、センサー60は、検出した稼働情報を、第1サーバー20を介さずに、直接、第2サーバー30に送信してもよい。
【0057】
センサー60は、例えば、3つ設けられている(第1センサー60a、第2センサー60b、第3センサー60c)。第1センサー60aは、緑色点灯部19aの点灯を稼働情報として検出する。第2センサー60bは、黄色点灯部19bの点灯を稼働情報として検出する。第3センサー60cは、赤色点灯部19cの点灯を稼働情報として検出する。第2サーバー30は、例えば、第3センサー60cから稼働情報の送信があった場合に、イベント情報を生成する。
【0058】
なお、センサー60は、生産装置12の稼働情報を検出することができれば、シグナルタワー19以外の箇所に設けられていてもよい。
【0059】
生産ライン監視システム110では、稼働情報を検出するセンサー60を含むため、稼働情報を生産装置12の記憶部18に記憶させずに、センサー60から稼働情報を第1サーバー20または第2サーバー30に送信することができる。これにより、記憶部18の容量を確保することができ、生産装置12の処理速度を向上させることができる。
【0060】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係る生産ライン監視システムについて、図面を参照しながら説明する。以下、第2実施形態に係る生産ライン監視システムにおいて、上述した第1実施形態に係る生産ライン監視システム100の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0061】
第2実施形態に係る生産ライン監視システムでは、第2サーバー30は、稼働情報として、生産ライン10のリアルタイムな生産実績を受信する。第2サーバー30の記憶部34には、生産ライン10の生産計画が記憶されている。第2サーバー30の処理部32は、生産計画と生産実績とを比較し、
図9に示すように、生産実績が生産計画を下回った場合に、処理部32は、イベント情報を生成する処理を行う。当該イベント情報は、例えば、全ての端末50に送信される。一方、
図10に示すように、生産実績が生産計画を上回っている場合は、処理部32は、イベント情報を生成する処理を行わない。
【0062】
なお、
図9および
図10は、生産ライン10の生産計画および生産実績を示すグラフである。
図9および
図10に示すグラフにおいて、横軸は、時刻を示し、縦軸は、生産ライン10で生産される生産物(対象物)の個数を示している。生産実績は、例えば、生産ライン10を構成する複数の生産装置12のうち最後に対応する生産装置12が対応した回数によって決定される。
【0063】
第2実施形態に係る生産ライン監視システムでは、生産実績が生産計画を下回った場合に、処理部32は、イベント情報を生成する処理を行うため、生産実績が生産計画を下回っている状態の時間を短くすることができる。
【0064】
なお、生産実績が生産計画を上回っている状態において、処理部32は、これまでの生産実績に基づいてシミュレーションを行い、今後の生産予想を計算してもよい。そして処理部32は、生産予想が生産計画を下回る場合、その旨の情報を、端末50に送信してもよい。
【0065】
また、例えば、生産ライン10が同じ機能を備えた生産装置12を2つ有している場合、一方の生産装置12の生産速度の低下によって生産予想が生産計画を下回ったとしても、他方の生産装置12の生産速度を向上させることによって生産予想が生産計画を下回ることを防止できる場合は、その旨の情報を、端末50に送信してもよい。
【0066】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0067】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成
を含む。
【0068】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0069】
生産ライン監視システムの一態様は、
複数の生産装置を含む生産ラインを監視する生産ライン監視システムであって、
複数の作業員に取り付けられる複数の端末と、
複数の前記端末と無線ネットワークを介して通信可能なサーバーと、
を含み、
前記サーバーは、
前記生産装置の稼働情報を受信し、前記稼働情報に基づいてイベント情報を生成する処理と、
複数の前記端末のうちの第1端末および第2端末に、前記イベント情報を送信する処理と、
前記イベント情報を送信する処理を行った後に、前記第1端末から送信された対応情報を受信した場合に、前記第2端末にイベント停止情報を送信する処理と、
を行う。
【0070】
この生産ライン監視システムによれば、第2端末を装着している作業員は、イベント情報を解除するために移動する必要がなくなったことを知ることができる。これにより、第2端末を装着している作業員は、イベント情報を解除するための作業とは別の作業を行うことができる。したがって、生産装置の稼働率を向上させることができる。
【0071】
生産ライン監視システムの一態様において、
複数の前記端末の各々に対して前記イベント情報を送信するか否かが定義されたテーブルが記憶された記憶部を含み、
前記サーバーは、前記テーブルに基づいて、複数の前記端末のうち前記イベント情報を送信する前記端末を決定する処理を行ってもよい。
【0072】
この生産ライン監視システムによれば、イベント情報の内容に適した作業員のみにイベント情報を送信することができる。
【0073】
生産ライン監視システムの一態様において、
前記第1端末から送信された対応情報を受信した後に、前記第2端末から送信された対応情報を受信した場合、前記サーバーは、前記第2端末に対応済情報を送信する処理を行ってもよい。
【0074】
この生産ライン監視システムによれば、第2端末を装着している作業員は、他の作業員がイベント情報を解除するための作業を行っていることを知ることができる。
【0075】
生産ライン監視システムの一態様において、
前記生産ラインの生産計画が記憶された記憶部を含み、
前記稼働情報は、前記生産ラインのリアルタイムな生産実績に関する情報であり、
前記サーバーは、前記生産実績が前記生産計画を下回った場合に、前記イベント情報を生成する処理を行ってもよい。
【0076】
この生産ライン監視システムによれば、生産ラインの生産実績が生産計画を下回っている状態の時間を短くすることができる。
【0077】
生産ライン監視システムの一態様において、
前記稼働情報を検出するセンサーを含んでもよい。
【0078】
この生産ライン監視システムによれば、稼働情報を生産装置に記憶させずに、センサーから稼働情報をサーバーに送信することができる。
【符号の説明】
【0079】
10…生産ライン、12…生産装置、14…生産部、16…処理部、18…記憶部、19…シグナルタワー、19a…緑色点灯部、19b…黄色点灯部、19c…赤色点灯部、20…第1サーバー、22…処理部、24…記憶部、30…第2サーバー、32…処理部、34…記憶部、36…データーベース、40…無線ネットワーク、50…端末、50a…第1端末、50b…第2端末、50c…第3端末、52…表示部、54…出力部、56…操作部、58…処理部、60…センサー、60a…第1センサー、60b…第2センサー、60c…第3センサー、100,110…生産ライン監視システム