(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】タイヤ、タイヤの製造方法、タイヤの設計方法及び模様構成単位の配列決定方法
(51)【国際特許分類】
B60C 11/03 20060101AFI20240312BHJP
B29D 30/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B60C11/03 A
B29D30/00
(21)【出願番号】P 2020049430
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 賢
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-175116(JP,A)
【文献】特開平04-148840(JP,A)
【文献】特開2009-161115(JP,A)
【文献】特開平09-288002(JP,A)
【文献】特開平04-008606(JP,A)
【文献】特開2020-023175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
B29D 30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部には、複数の模様構成単位がタイヤ周方向に配列された模様列を含むトレッドパターンが設けられ、
前記模様列を、前記模様構成単位に対応するパルスを前記模様構成単位の配列の順に、前記模様構成単位のタイヤ周方向の長さに応じた間隔を空けて並べた第1パルス列に置換し、
前記第1パルス列から、前記模様列における周長に対する接地長の比に相当する位相分、前記第1パルス列をシフトした第2パルス列を取得し、
前記第1パルス列の前記パルスと前記第2パルス列の前記パルスとを重ね合わせた第3パルス列を取得したときに、
前記第3パルス列を下記式(1)でフーリエ変換して得られる1~k次の振幅P
kの最大値P
maxが下記式(2)を満たす、
タイヤ。
【数1】
【数2】
ここで、
N:タイヤ1周分のパルスの総数(タイヤ1周での模様構成単位の総数Ntに2を乗じた積)
L:タイヤ周長変数(タイヤ1周の全ての模様構成単位の長さの比の総和)
k:1~2Nまでの自然数
X(j):第3パルス列の起点からj番目のパルス位置(起点からj番目までのパルスの間隔の和)
Nt:タイヤ1周での模様構成単位の総数
【請求項2】
前記模様列は、タイヤ周方向の長さが異なる少なくとも2種類の前記模様構成単位を含む、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記パルスの間隔は、前記パルスに対応する前記模様構成単位のタイヤ周方向の長さの、少なくとも2種類の前記模様構成単位のタイヤ周方向の長さの中央値に対する比として定義される、請求項2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記比として定義された少なくとも2種類の前記パルスの間隔は、その差の絶対値が0.05~0.35である、請求項3に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記1~k次の振幅P
kのうち、1次数の振幅P
1が、1.2以下である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記1~k次の振幅P
kのうち、1次数の振幅P
1が、1.0以下である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項7】
タイヤ1周での前記模様構成単位の総数Ntは、30~90個である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記最大値P
maxが下記式(3)を満たす、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のタイヤ。
【数3】
【請求項9】
前記最大値P
maxが下記式(4)を満たす、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のタイヤ。
【数4】
【請求項10】
トレッド部に、複数の模様構成単位がタイヤ周方向に配列された模様列を含むトレッドパターンが設けられたタイヤを製造するための方法であって、
前記模様列を、前記模様構成単位に対応するパルスを前記模様構成単位の配列の順に、前記模様構成単位のタイヤ周方向の長さに応じた間隔を空けて並べた第1パルス列に置換する第1工程と、
前記第1パルス列から、前記模様列における周長に対する接地長の比に相当する位相分、前記第1パルス列をシフトした第2パルス列を取得する第2工程と、
前記第1パルス列の前記パルスと前記第2パルス列の前記パルスとを重ね合わせた第3パルス列を取得する第3工程と、
前記第3パルス列を下記式(1)でフーリエ変換して得られる1~k次の振幅P
kの最大値P
maxが下記式(2)を満たすような前記模様列を形成する第4工程とを含む、
タイヤの製造方法。
【数1】
【数2】
ここで、
N:タイヤ1周分のパルスの総数(タイヤ1周での模様構成単位の総数Ntに2を乗じた積)
L:タイヤ周長変数(タイヤ1周の全ての模様構成単位の長さの比の総和)
k:1~2Nまでの自然数
X(j):第3パルス列の起点からj番目のパルス位置(起点からj番目までのパルスの間隔の和)
Nt:タイヤ1周での模様構成単位の総数
【請求項11】
トレッド部に、複数の模様構成単位がタイヤ周方向に配列された模様列を含むトレッドパターンが設けられたタイヤを設計するための方法であって、
前記模様列を、前記模様構成単位に対応するパルスを前記模様構成単位の配列の順に、前記模様構成単位のタイヤ周方向の長さに応じた間隔を空けて並べた第1パルス列に置換する第1工程と、
前記第1パルス列から、前記模様列における周長に対する接地長の比に相当する位相分、前記第1パルス列をシフトした第2パルス列を取得する第2工程と、
前記第1パルス列の前記パルスと前記第2パルス列の前記パルスとを重ね合わせた第3パルス列を取得する第3工程と、
前記第3パルス列を下記式(1)でフーリエ変換して得られる1~k次の振幅P
kの最大値P
maxが下記式(2)を満たすように前記模様構成単位の配列を決定する第4工程とを含む、
タイヤの設計方法。
【数1】
【数2】
ここで、
N:タイヤ1周分のパルスの総数(タイヤ1周での模様構成単位の総数Ntに2を乗じた積)
L:タイヤ周長変数(タイヤ1周の全ての模様構成単位の長さの比の総和)
k:1~2Nまでの自然数
X(j):第3パルス列の起点からj番目のパルス位置(起点からj番目までのパルスの間隔の和)
Nt:タイヤ1周での模様構成単位の総数
【請求項12】
タイヤのトレッドパターンに含まれる模様列について、前記模様列を構成する模様構成単位のタイヤ周方向の配列を決定するための方法であって、
前記模様列を、前記模様構成単位に対応するパルスを前記模様構成単位の配列の順に、前記模様構成単位のタイヤ周方向の長さに応じた間隔を空けて並べた第1パルス列に置換する第1工程と、
前記第1パルス列から、前記模様列における周長に対する接地長の比に相当する位相分、前記第1パルス列をシフトした第2パルス列を取得する第2工程と、
前記第1パルス列の前記パルスと前記第2パルス列の前記パルスとを重ね合わせた第3パルス列を取得する第3工程と、
前記第3パルス列を下記式(1)でフーリエ変換して得られる1~k次の振幅P
kの最大値P
maxが下記式(2)を満たすように前記模様構成単位の配列を決定する第4工程とを含む、
模様構成単位の配列決定方法。
【数1】
【数2】
ここで、
N:タイヤ1周分のパルスの総数(タイヤ1周での模様構成単位の総数Ntに2を乗じた積)
L:タイヤ周長変数(タイヤ1周の全ての模様構成単位の長さの比の総和)
k:1~2Nまでの自然数
X(j):第3パルス列の起点からj番目のパルス位置(起点からj番目までのパルスの間隔の和)
Nt:タイヤ1周での模様構成単位の総数
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレッド部を有するタイヤ、タイヤの製造方法、タイヤの設計方法及び模様構成単位の配列決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレッド部に、少なくとも2種類の模様構成単位がタイヤ周方向に配列された列を含むトレッドパターンを有するタイヤが知られている。例えば、下記特許文献1は、模様構成単位の列を、模様構成単位をパルスとしたパルス列に置換し、パルス列をフーリエ変換して得られる1~k次の振幅Pkの最大値Pmaxを所定の範囲内に限定してピッチノイズを低減したタイヤを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のタイヤは、タイヤの転動によりタイヤパターンが路面に接地する際に発生するインパクト音と、路面から離地する際に発生するポンピング音とを考慮しておらず、更なる改善が求められていた。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ピッチノイズを低減し得るタイヤ、タイヤの製造方法、タイヤの設計方法及び模様構成単位の配列決定方法を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トレッド部を有するタイヤであって、前記トレッド部には、複数の模様構成単位がタイヤ周方向に配列された模様列を含むトレッドパターンが設けられ、前記模様列を、前記模様構成単位に対応するパルスを前記模様構成単位の配列の順に、前記模様構成単位のタイヤ周方向の長さに応じた間隔を空けて並べた第1パルス列に置換し、前記第1パルス列から、前記模様列における周長に対する接地長の比に相当する位相分、前記第1パルス列をシフトした第2パルス列を取得し、前記第1パルス列の前記パルスと前記第2パルス列の前記パルスとを重ね合わせた第3パルス列を取得したときに、前記第3パルス列を下記式(1)でフーリエ変換して得られる1~k次の振幅P
kの最大値P
maxが下記式(2)を満たすことを特徴とする。
【数1】
【数2】
ここで、
N:タイヤ1周分のパルスの総数(タイヤ1周での模様構成単位の総数Ntに2を乗じた積)
L:タイヤ周長変数(タイヤ1周の全ての模様構成単位の長さの比の総和)
k:1~2Nまでの自然数
X(j):第3パルス列の起点からj番目のパルス位置(起点からj番目までのパルスの間隔の和)
Nt:タイヤ1周での模様構成単位の総数
【0007】
本発明のタイヤにおいて、前記模様列は、タイヤ周方向の長さが異なる少なくとも2種類の前記模様構成単位を含むのが望ましい。
【0008】
本発明のタイヤにおいて、前記パルスの間隔は、前記パルスに対応する前記模様構成単位のタイヤ周方向の長さの、少なくとも2種類の前記模様構成単位のタイヤ周方向の長さの中央値に対する比として定義されるのが望ましい。
【0009】
本発明のタイヤにおいて、前記比として定義された少なくとも2種類の前記パルスの間隔は、その差の絶対値が0.05~0.35であるのが望ましい。
【0010】
本発明のタイヤにおいて、前記1~k次の振幅Pkのうち、1次数の振幅P1が、1.2以下であるのが望ましい。
【0011】
本発明のタイヤにおいて、前記1~k次の振幅Pkのうち、1次数の振幅P1が、1.0以下であるのが望ましい。
【0012】
本発明のタイヤにおいて、タイヤ1周での前記模様構成単位の総数Ntは、30~90個であるのが望ましい。
【0013】
本発明のタイヤにおいて、前記最大値P
maxが下記式(3)を満たすのが望ましい。
【数3】
【0014】
本発明のタイヤにおいて、前記最大値P
maxが下記式(4)を満たすのが望ましい。
【数4】
【0015】
本発明は、トレッド部に、複数の模様構成単位がタイヤ周方向に配列された模様列を含むトレッドパターンが設けられたタイヤを製造するための方法であって、前記模様列を、前記模様構成単位に対応するパルスを前記模様構成単位の配列の順に、前記模様構成単位のタイヤ周方向の長さに応じた間隔を空けて並べた第1パルス列に置換する第1工程と、前記第1パルス列から、前記模様列における周長に対する接地長の比に相当する位相分、前記第1パルス列をシフトした第2パルス列を取得する第2工程と、前記第1パルス列の前記パルスと前記第2パルス列の前記パルスとを重ね合わせた第3パルス列を取得する第3工程と、前記第3パルス列を下記式(1)でフーリエ変換して得られる1~k次の振幅P
kの最大値P
maxが下記式(2)を満たすような前記模様列を形成する第4工程とを含むことを特徴とする。
【数1】
【数2】
ここで、
N:タイヤ1周分のパルスの総数(タイヤ1周での模様構成単位の総数Ntに2を乗じた積)
L:タイヤ周長変数(タイヤ1周の全ての模様構成単位の長さの比の総和)
k:1~2Nまでの自然数
X(j):第3パルス列の起点からj番目のパルス位置(起点からj番目までのパルスの間隔の和)
Nt:タイヤ1周での模様構成単位の総数
【0016】
本発明は、トレッド部に、複数の模様構成単位がタイヤ周方向に配列された模様列を含むトレッドパターンが設けられたタイヤを設計するための方法であって、前記模様列を、前記模様構成単位に対応するパルスを前記模様構成単位の配列の順に、前記模様構成単位のタイヤ周方向の長さに応じた間隔を空けて並べた第1パルス列に置換する第1工程と、前記第1パルス列から、前記模様列における周長に対する接地長の比に相当する位相分、前記第1パルス列をシフトした第2パルス列を取得する第2工程と、前記第1パルス列の前記パルスと前記第2パルス列の前記パルスとを重ね合わせた第3パルス列を取得する第3工程と、前記第3パルス列を下記式(1)でフーリエ変換して得られる1~k次の振幅P
kの最大値P
maxが下記式(2)を満たすように前記模様構成単位の配列を決定する第4工程とを含むことを特徴とする。
【数1】
【数2】
ここで、
N:タイヤ1周分のパルスの総数(タイヤ1周での模様構成単位の総数Ntに2を乗じた積)
L:タイヤ周長変数(タイヤ1周の全ての模様構成単位の長さの比の総和)
k:1~2Nまでの自然数
X(j):第3パルス列の起点からj番目のパルス位置(起点からj番目までのパルスの間隔の和)
Nt:タイヤ1周での模様構成単位の総数
【0017】
本発明は、タイヤのトレッドパターンに含まれる模様列について、前記模様列を構成する模様構成単位のタイヤ周方向の配列を決定するための方法であって、前記模様列を、前記模様構成単位に対応するパルスを前記模様構成単位の配列の順に、前記模様構成単位のタイヤ周方向の長さに応じた間隔を空けて並べた第1パルス列に置換する第1工程と、前記第1パルス列から、前記模様列における周長に対する接地長の比に相当する位相分、前記第1パルス列をシフトした第2パルス列を取得する第2工程と、前記第1パルス列の前記パルスと前記第2パルス列の前記パルスとを重ね合わせた第3パルス列を取得する第3工程と、前記第3パルス列を下記式(1)でフーリエ変換して得られる1~k次の振幅P
kの最大値P
maxが下記式(2)を満たすように前記模様構成単位の配列を決定する第4工程とを含むことを特徴とする。
【数1】
【数2】
ここで、
N:タイヤ1周分のパルスの総数(タイヤ1周での模様構成単位の総数Ntに2を乗じた積)
L:タイヤ周長変数(タイヤ1周の全ての模様構成単位の長さの比の総和)
k:1~2Nまでの自然数
X(j):第3パルス列の起点からj番目のパルス位置(起点からj番目までのパルスの間隔の和)
Nt:タイヤ1周での模様構成単位の総数
【発明の効果】
【0018】
本発明のタイヤにおいて、第1パルス列のパルスと第2パルス列のパルスとを重ね合わせた第3パルス列を取得したときに、前記第3パルス列をフーリエ変換して得られる1~k次の振幅Pkの最大値Pmaxが一定条件を満たしている。このようなタイヤは、タイヤの転動によりタイヤパターンが路面に接地する際に発生するインパクト音と、路面から離地する際に発生するポンピング音とを包括した振幅Pkの最大値Pmaxが規定されているので、ピッチノイズをより低減することができる。
【0019】
本発明のタイヤの製造方法は、第3パルス列をフーリエ変換して得られる1~k次の振幅Pkの最大値Pmaxが一定条件を満たすような模様列を形成する第4工程を含んでいる。このようなタイヤの製造方法は、タイヤの転動により発生するインパクト音とポンピング音とを包括した振幅Pkの最大値Pmaxを規定しているので、ピッチノイズをより低減したタイヤを製造することができる。
【0020】
本発明のタイヤの設計方法は、第3パルス列をフーリエ変換して得られる1~k次の振幅Pkの最大値Pmaxが一定条件を満たすように模様構成単位の配列を決定する第4工程を含んでいる。このようなタイヤの設計方法は、タイヤの転動により発生するインパクト音とポンピング音とを包括した振幅Pkの最大値Pmaxを規定しているので、ピッチノイズをより低減したタイヤを設計することができる。
【0021】
本発明の模様構成単位の配列決定方法は、第3パルス列をフーリエ変換して得られる1~k次の振幅Pkの最大値Pmaxが一定条件を満たすように模様構成単位の配列を決定する第4工程を含んでいる。このような模様構成単位の配列決定方法は、タイヤの転動により発生するインパクト音とポンピング音とを包括した振幅Pkの最大値Pmaxを規定しているので、ピッチノイズをより低減したタイヤの模様構成単位の配列を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】タイヤのトレッド部の一例を示す展開図である。
【
図2】転動時のタイヤを模式的に示す概念図である。
【
図7】模様構成単位の配列決定方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。なお、各図面は、発明の内容の理解を容易にするためのものであり、誇張された表示が含まれる場合があり、また、各図面間において、縮尺等が厳密に一致するものではない。
【0024】
図1は、本実施形態のタイヤ1のトレッド部2の一例を示す展開図である。
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1のトレッド部2には、トレッドパターン3が設けられている。
【0025】
本実施形態のトレッドパターン3は、複数の模様構成単位4がタイヤ周方向に配列された模様列5を含んで構成されている。模様列5は、少なくとも1列、本実施形態では、5列設けられている。
図1には、各模様構成単位4が、タイヤ軸方向で隣り合う他の模様列5の模様構成単位4と、タイヤ周方向の位置が同一である場合が例示されている。タイヤ軸方向で隣り合う模様構成単位4は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、タイヤ周方向の位置、すなわち位相がずれていてもよい。
【0026】
模様列5は、それぞれ、タイヤ周方向の長さDが異なる少なくとも2種類、本実施形態では、5種類(大きい方から順にDLL、DL、DM、DS、DSS)の模様構成単位4を含んでいる。長さDの異なる模様構成単位4の種類は、例えば、タイヤ1が装着される車両や路面の条件に応じて適宜設定され得る。模様構成単位4は、好ましくは、2~10種類の長さDを有している。模様列5のそれぞれは、例えば、タイヤ周方向の長さDがそれぞれ同一である1種類の模様構成単位4で構成されていてもよい。
【0027】
ここで、本明細書において、特に言及されない場合、タイヤ1の各部の寸法等は、正規状態で測定された値である。「正規状態」とは、タイヤ1が空気入りタイヤの場合、タイヤ1が正規リムにリム組みされかつ正規内圧に調整された無負荷の状態である。
【0028】
「正規リム」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
【0029】
「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0030】
図1には、5種類の長さD
LL、D
L、D
M、D
S、D
SSの模様構成単位4が、順に並べられた模様列5が例示されている。模様列5の配列は、このような態様に限定されるものではなく、少なくとも2種類の模様構成単位4がランダムに並べられるのが望ましい。このような模様列5は、ピッチノイズを広い周波数範囲に分散させてホワイトノイズ化させる、いわゆるピッチバリエーションによるノイズ低減効果を期待することができる。
【0031】
模様構成単位4のタイヤ周方向の長さDは、少なくとも2種類の模様構成単位4のタイヤ周方向の長さDの中央値Dcに対する比D/Dcを比較した場合、好ましくは、比D/Dcの差の絶対値が0.05~0.35である。ここで、少なくとも2種類の模様構成単位4のタイヤ周方向の長さDの中央値Dcは、例えば、長さDが上記5種類の場合、中央の長さDMに相当する。
【0032】
差の絶対値が0.05以上であることで、ピッチバリエーションのノイズ低減効果を効果的に発揮することができる。このような観点から、差の絶対値は、好ましくは0.10以上であり、より好ましくは0.15以上である。
【0033】
差の絶対値が0.35以下であることで、模様構成単位4間の剛性差が大きくなることを抑制し、トレッド部2の偏摩耗を抑止することができる。このような観点から、差の絶対値は、好ましくは0.30以下であり、より好ましくは0.25以下である。
【0034】
模様列5は、それぞれ、タイヤ1周での模様構成単位4の総数Ntを適宜設定することができる。タイヤ1周での模様構成単位4の総数Ntは、好ましくは、30~90個である。総数Ntが30個以上であることで、ピッチバリエーションによるノイズ低減効果を十分に発揮することができる。このような観点から、総数Ntは、好ましくは40個以上であり、より好ましくは50個以上である。総数Ntが90個以下であることで、トレッド部2の偏摩耗を抑制することができる。このような観点から、総数Ntは、好ましくは80個以下であり、より好ましくは70個以下である。
【0035】
模様構成単位4は、例えば、1つのブロック6と、このブロック6とタイヤ周方向の一方側で隣り合う1つの横溝7とで構成されている。この場合のトレッドパターン3は、ブロックパターンである。ブロック6は、横溝7と、横溝7と交わる向きに延び、かつ、タイヤ周方向に連続して延びる主溝8とで区分されるのが望ましい。なお、トレッドパターン3は、ブロックパターンに限定されるわけではなく、例えば、リブパターンであってもよい。
【0036】
図2は、転動時のタイヤ1を模式的に示す概念図である。
図2に示されるように、タイヤ1のトレッド部2は、例えば、転動時に回転方向Rの先着側の第1接地端2aで接地し、後着側の第2接地端2bで離地している。
【0037】
タイヤ1の転動時のピッチノイズは、例えば、第1接地端2aにおけるインパクト音と、第2接地端2bにおけるポンピング音とを含んでいる。ここで、「インパクト音」とは、ブロック6が接地するときに発生する衝撃音である。また、「ポンピング音」とは、接地時に圧縮されていた横溝7内の空気が解放されるときに発生する音である。このようなインパクト音とポンピング音とは、模様列5の接地長Lc分、発生位置、すなわち位相がずれている。
【0038】
図3は、振幅P
kを求めるための第1パルス列11の一例を示す線図である。
図3において、横軸はパルス10の間隔G、縦軸はパルス10の大きさBを示している。
図1及び
図3に示されるように、タイヤ1は、例えば、模様構成単位4を、同一の大きさBを有するパルス10に置換して模様列5の配列に応じて並べることでピッチノイズを把握することができる。
【0039】
図3には、任意の模様列5を置換した第1パルス列11が示されている。本実施形態の第1パルス列11は、模様列5を、パルス10を模様構成単位4の配列の順に、模様構成単位4のタイヤ周方向の長さDに応じた間隔Gを空けて並べたものである。第1パルス列11は、模様列5の一周分のパルス10が並べられるのが望ましい。
【0040】
このような第1パルス列11は、インパクト音によるピッチノイズを把握することができる。なお、トレッド部2に複数の模様列5が形成されている場合は、例えば、複数の模様列5のうちの任意の模様列5から第1パルス列11が置換されてもよく、複数の模様列5のそれぞれから第1パルス列11が置換されてもよい。
【0041】
パルス10の間隔Gは、パルス10に対応する模様構成単位4のタイヤ周方向の長さDの、少なくとも2種類の模様構成単位4のタイヤ周方向の長さDの中央値Dcに対する比D/Dcとして定義されるのが望ましい。
【0042】
なお、パルス10の間隔Gは、間隔Gを構成する一対のパルス10のうち、一方のパルス10に対応する模様構成単位4のタイヤ周方向の長さDに応じて定義されるのが望ましい。パルス10の間隔Gは、例えば、間隔Gを構成する一対のパルス10に対応する2つの模様構成単位4のタイヤ周方向の長さDの平均値に応じて定義されてもよい。
【0043】
比D/Dcとして定義された少なくとも2種類のパルス10の間隔Gは、好ましくは、その差の絶対値が0.05~0.35である。差の絶対値が0.05以上であることで、ピッチバリエーションのノイズ低減効果を効果的に発揮することができる。このような観点から、差の絶対値は、好ましくは0.10以上であり、より好ましくは0.15以上である。
【0044】
差の絶対値が0.35以下であることで、模様構成単位4間の剛性差が大きくなることを抑制し、トレッド部2の偏摩耗を抑止することができる。このような観点から、差の絶対値は、好ましくは0.30以下であり、より好ましくは0.25以下である。
【0045】
図4は、振幅P
kを求めるための第2パルス列12の一例を示す線図である。
図4に示されるように、本実施形態の第2パルス列12は、第1パルス列11から、模様列5における周長Laに対する接地長Lcの比Lc/Laに相当する位相f分、第1パルス列11をシフトすることで取得している。このため、第2パルス列12のパルス10の大きさは、第1パルス列11のパルス10の大きさBと同一である。シフトさせる位相fは、例えば、下記式(5)により求めることができる。
【数5】
【0046】
このような第2パルス列12は、ポンピング音によるピッチノイズを把握することができる。なお、模様列5によって接地長Lcが異なる場合の第2パルス列12は、例えば、置換対象の模様列5のタイヤ軸方向の中心の接地長Lcに基づき、第1パルス列11をシフトさせることで取得され得る。
【0047】
第1パルス列11と第2パルス列12とは、例えば、タイヤ1周分の第1パルス列11をシフトさせた場合に、互いに重複しない部分Aを生じる。一方、転動時のタイヤ1は、タイヤ1周分の回転に加え、次のタイヤ1周分の回転が連続して行われる。このため、
図4には、タイヤ1周分の第1パルス列11及び第2パルス列12が例示されているが、第1パルス列11及び第2パルス列12は、それぞれ、連続して繰り返されるものであることが理解され得る。
【0048】
図5は、振幅P
kを求めるための第3パルス列13の一例を示す線図である。
図5に示されるように、本実施形態の第3パルス列13は、第1パルス列11のパルス10と第2パルス列12のパルス10とを重ね合わせることで取得している。このとき、タイヤ1周分の第3パルス列13は、第1パルス列11と第2パルス列12とが重複しない部分Aを含まないように連続して繰り返される第1パルス列11と第2パルス列12とを重ね合わせるのが望ましい。このため、第3パルス列13のパルス10の大きさは、全て第1パルス列11のパルス10の大きさBと同一である。このような第3パルス列13は、タイヤ1の転動により発生するインパクト音とポンピング音とを包括したピッチノイズを把握することができる。
【0049】
本実施形態のタイヤ1は、第3パルス列13を下記式(1)でフーリエ変換して得られる1~k次の振幅P
kのうち、振幅P
kの最大値P
maxが下記式(2)を満たすように構成されている。
【数1】
【数2】
ここで、
N:タイヤ1周分のパルス10の総数(タイヤ1周での模様構成単位4の総数Ntに2を乗じた積)
L:タイヤ周長変数(タイヤ1周の全ての模様構成単位4の長さDの比D/Dcの総和)
k:1~2Nまでの自然数
X(j):第3パルス列13の起点sからj番目のパルス位置(起点sからj番目までのパルス10の間隔PL(j)の和)
Nt:タイヤ1周での模様構成単位4の総数
【0050】
上記式(1)のタイヤ周長変数Lは、
図1に示されたタイヤ1周にわたって配置されている全ての模様構成単位4について、模様構成単位4のタイヤ周方向の長さDの中央値Dcに対する比D/Dcを総和したものとして定義される。
【0051】
図6は、
図5の部分拡大図である。
図6に示されるように、上記式(1)のパルス位置X(j)(jは、1~Nまでの自然数)は、第3パルス列13の任意の起点sからj番目のパルス10までの位置によって定義される。すなわち、パルス位置X(j)は、以下のように、第3パルス列13の起点sからj番目までのパルス10の間隔PL(j)の和として定義される。
X(1)=PL(1)
X(2)=PL(1)+PL(2)
・
・
・
X(j)=PL(1)+PL(2)+ … +PL(j)
【0052】
起点sは、第3パルス列13の任意の位置が選択可能であって、例えば、パルス10と重なる位置が選択されてもよい。起点sがパルス10と重なる場合の1番目のパルス10は、重なったパルス10の次のパルス10である。また、起点sがパルス10と重ならない場合の起点sから1番目のパルス10までの間隔PL(1)は、起点sから1番目のパルス10までの長さに相当する。
【0053】
このようなタイヤ1は、タイヤ1の転動により発生するインパクト音とポンピング音とを包括した振幅Pkの最大値Pmaxが上記式(2)のように規定されているので、ピッチノイズをより低減することができる。
【0054】
このような観点から、振幅P
kの最大値P
maxは、好ましくは、下記式(3)を、より好ましくは、下記式(4)を満たすように構成されている。
【数3】
【数4】
【0055】
1~k次の振幅Pkのうち、1次数の振幅P1は、タイヤ1周で1回変動するノイズエネルギーに影響する。このような1次数の振幅P1は、例えば、走行時のうなり音を発生させるとともに、走行時の車内振動を発生させる要因となり得る。
【0056】
1~k次の振幅Pkのうち、1次数の振幅P1は、好ましくは、1.2以下、より好ましくは、1.0以下である。このようなタイヤ1は、走行時のうなり音を抑制することができ、走行時の車内振動を効果的に抑制することができる。
【0057】
次に、
図1ないし
図6を参酌しつつ、本実施形態の模様構成単位4の配列決定方法が説明される。
図7は、本実施形態の模様構成単位4の配列決定方法のフローチャートである。
図7に示されるように、本実施形態の模様構成単位4の配列決定方法は、タイヤ1のトレッドパターン3に含まれる模様列5について、模様列5を構成する模様構成単位4のタイヤ周方向の配列を決定するための方法である。
【0058】
本実施形態の模様構成単位4の配列決定方法は、まず、模様列5を、模様構成単位4に対応するパルス10を模様構成単位4の配列の順に、模様構成単位4のタイヤ周方向の長さDに応じた間隔を空けて並べた第1パルス列11に置換する第1工程S1が行われる。このような第1工程S1は、インパクト音によるピッチノイズを把握するのに役立つ。
【0059】
本実施形態の模様構成単位4の配列決定方法は、第1工程S1の次に、第1パルス列11から、模様列5における周長Laに対する接地長Lcの比Lc/Laに相当する位相f分、第1パルス列11をシフトした第2パルス列12を取得する第2工程S2が行われる。このような第2工程S2は、ポンピング音によるピッチノイズを把握するのに役立つ。
【0060】
本実施形態の模様構成単位4の配列決定方法は、第2工程S2の次に、第1パルス列11のパルス10と第2パルス列12のパルス10とを重ね合わせた第3パルス列13を取得する第3工程S3が行われる。このような第3工程S3は、タイヤ1の転動により発生するインパクト音とポンピング音とを包括したピッチノイズを把握することができる。
【0061】
本実施形態の模様構成単位4の配列決定方法は、第3工程S3の次に、第3パルス列13を上記式(1)でフーリエ変換して得られる1~k次の振幅Pkの最大値Pmaxが上記式(2)を満たすように模様構成単位4の配列を決定する第4工程S4が行われる。
【0062】
このような第4工程S4は、タイヤ1の転動により発生するインパクト音とポンピング音とを包括した振幅Pkの最大値Pmaxが上記式(2)のように規定しているので、ピッチノイズをより低減したタイヤ1の模様構成単位4の配列を決定することができる。
【0063】
次に、
図1ないし
図7を参酌しつつ、本実施形態のタイヤ1の設計方法が説明される。
本実施形態のタイヤ1の設計方法は、トレッド部2に、複数の模様構成単位4がタイヤ周方向に配列された模様列5を含むトレッドパターン3が設けられたタイヤ1を設計するための方法である。
【0064】
本実施形態のタイヤ1の設計方法は、まず、模様列5を、模様構成単位4に対応するパルス10を模様構成単位4の配列の順に、模様構成単位4のタイヤ周方向の長さDに応じた間隔を空けて並べた第1パルス列11に置換する第1工程S1が行われる。このような第1工程S1は、インパクト音によるピッチノイズを把握するのに役立つ。
【0065】
本実施形態のタイヤ1の設計方法は、第1工程S1の次に、第1パルス列11から、模様列5における周長Laに対する接地長Lcの比Lc/Laに相当する位相f分、第1パルス列11をシフトした第2パルス列12を取得する第2工程S2が行われる。このような第2工程S2は、ポンピング音によるピッチノイズを把握するのに役立つ。
【0066】
本実施形態のタイヤ1の設計方法は、第2工程S2の次に、第1パルス列11のパルス10と第2パルス列12のパルス10とを重ね合わせた第3パルス列13を取得する第3工程S3が行われる。このような第3工程S3は、タイヤ1の転動により発生するインパクト音とポンピング音とを包括したピッチノイズを把握することができる。
【0067】
本実施形態のタイヤ1の設計方法は、第3工程S3の次に、第3パルス列13を上記式(1)でフーリエ変換して得られる1~k次の振幅Pkの最大値Pmaxが上記式(2)を満たすように模様構成単位4の配列を決定する第4工程S4が行われる。
【0068】
このような第4工程S4は、タイヤ1の転動により発生するインパクト音とポンピング音とを包括した振幅Pkの最大値Pmaxが上記式(2)のように規定しているので、ピッチノイズをより低減したタイヤ1を設計することができる。
【0069】
次に、
図1ないし
図7を参酌しつつ、本実施形態のタイヤ1の製造方法が説明される。
本実施形態のタイヤ1の製造方法は、トレッド部2に、複数の模様構成単位4がタイヤ周方向に配列された模様列5を含むトレッドパターン3が設けられたタイヤ1を製造するための方法である。
【0070】
本実施形態のタイヤ1の製造方法は、まず、模様列5を、模様構成単位4に対応するパルス10を模様構成単位4の配列の順に、模様構成単位4のタイヤ周方向の長さDに応じた間隔を空けて並べた第1パルス列11に置換する第1工程S1が行われる。このような第1工程S1は、インパクト音によるピッチノイズを把握するのに役立つ。
【0071】
本実施形態のタイヤ1の製造方法は、第1工程S1の次に、第1パルス列11から、模様列5における周長Laに対する接地長Lcの比Lc/Laに相当する位相f分、第1パルス列11をシフトした第2パルス列12を取得する第2工程S2が行われる。このような第2工程S2は、ポンピング音によるピッチノイズを把握するのに役立つ。
【0072】
本実施形態のタイヤ1の製造方法は、第2工程S2の次に、第1パルス列11のパルス10と第2パルス列12のパルス10とを重ね合わせた第3パルス列13を取得する第3工程S3が行われる。このような第3工程S3は、タイヤ1の転動により発生するインパクト音とポンピング音とを包括したピッチノイズを把握することができる。
【0073】
本実施形態のタイヤ1の製造方法は、第3工程S3の次に、第3パルス列13を上記式(1)でフーリエ変換して得られる1~k次の振幅Pkの最大値Pmaxが上記式(2)を満たすような模様列5を形成する第4工程S4が行われる。
【0074】
このような第4工程S4は、タイヤ1の転動により発生するインパクト音とポンピング音とを包括した振幅Pkの最大値Pmaxが上記式(2)のように規定しているので、ピッチノイズをより低減したタイヤ1を製造することができる。
【0075】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
【実施例】
【0076】
異なる模様構成単位の配列を有するタイヤが表1及び表2の仕様に基づき試作された。
【表1】
【0077】
試作されたタイヤを用いて、台上騒音試験と、実車を用いた車内騒音試験及び車内振動試験とが実施された。試作タイヤの共通仕様と試験方法は、以下のとおりである。
【0078】
<共通仕様>
タイヤサイズ:195/65R15
リムサイズ:15×6.5J
空気圧:230kPa
トレッドパターン:タイヤ軸方向の内側のみがブロックパターンの4リブパターン
模様構成単位の種類数:5種類
【0079】
<台上騒音試験>
試作タイヤが無響室に設置されたドラム試験機に装着され、4.20kNの荷重が負荷された状態で、時速60kmから時速20kmに惰行走行させたときの音圧が計測された。結果は、比較例1を100とする指数であり、数値が小さいほど音圧が小さく、騒音性能に優れていることを示す。
【0080】
<車内騒音試験及び車内振動試験>
試作タイヤが全輪に装着された国産中型乗用車を用いて、ロードノイズ計測用のテストコースを時速60kmで走行したときの車内音と車内振動とが、テストドライバーの官能により評価された。結果は、10点法で評価され、数値が大きいほど、車内騒音及び車内振動が小さく、騒音性能及び振動性能に優れていることを示す。
【0081】
【0082】
試験の結果、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに対して、騒音性能に優れており、ピッチノイズを低減していることが確認された。
【符号の説明】
【0083】
1 タイヤ
2 トレッド部
3 トレッドパターン
4 模様構成単位
5 模様列
10 パルス
11 第1パルス列
12 第2パルス列
13 第3パルス列