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特許7452174ポリエステル樹脂及びポリエステル樹脂製ブロー成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ポリエステル樹脂及びポリエステル樹脂製ブロー成形体
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/692 20060101AFI20240312BHJP
   C08K 5/5333 20060101ALI20240312BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C08G63/692
C08K5/5333
C08L67/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020056875
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021155550
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 悟
(72)【発明者】
【氏名】魚谷 耕輔
(72)【発明者】
【氏名】金高 慎也
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/067083(WO,A1)
【文献】特開2012-122063(JP,A)
【文献】特開2006-282800(JP,A)
【文献】国際公開第2021/192962(WO,A1)
【文献】特開2014-239125(JP,A)
【文献】国際公開第2005/075539(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/692
C08K 5/5333
C08L 67/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム化合物由来成分とリン化合物由来成分を触媒量含むポリエステル樹脂であって、前記ポリエステル樹脂はエチレンテレフタレート構造単位を85モル%以上含有し、前記ポリエステル樹脂中に存在する全リン元素量に対するポリエステルのヒドロキシル基末端に結合して存在するリン元素の合計量が42~60モル%であり、
アルミニウム元素の含有量が13~25ppmであり、
アルミニウム元素に対するリン元素のモル比(P/Al)が1.5~3.5であることを特徴とするポリエステル樹脂。
【請求項2】
環状三量体量が3300ppm以下である請求項1に記載のポリエステル樹脂。
【請求項3】
前記ポリエステル樹脂の水分率を100ppm以下とし、射出成形機のシリンダー温度を290℃として溶融成形した時に発生する環状三量体量が650ppm以下である請求項1または請求項2に記載のポリエステル樹脂。
【請求項4】
前記ポリエステル樹脂のヒドロキシル基末端に結合しているリン化合物の構造が、下記(化式1)~(化式3)の少なくとも1種である請求項1~3のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
【化1】

【化2】

【化3】
【請求項5】
リン元素の含有量が25~60ppmである請求項1~4のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
【請求項6】
請求項1~のいずれかに記載のポリエステル樹脂を用いて成形されたポリエステル樹脂製ブロー成形体。
【請求項7】
環状三量体の含有量が3600ppm以下である請求項に記載のポリエステル樹脂製ブロー成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル樹脂及びポリエステル樹脂製ブロー成形体に関する。上記ポリエステル樹脂は、アルミニウム化合物由来成分とリン化合物由来成分を触媒量含み、上記ポリエステル樹脂中の環状三量体量の低減と上記ポリエステル樹脂をブロー成形した場合の環状三量体量の低減との両立が図られ、かつ固相重合活性が向上されている。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等に代表されるポリエステル樹脂は、機械的特性、および化学的特性に優れており、それぞれのポリエステル樹脂の特性に応じて、例えば衣料用や産業資材用の繊維、包装用、磁気テープ用、光学用などのフイルムやシート、中空成形品であるボトル、電気・電子部品のケーシング、その他エンジニアリングプラスチック成形品等の広範な分野において使用されている。特に、PETなどの飽和ポリエステル樹脂からなるボトルは、機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れるため、ジュース、炭酸飲料、清涼飲料などの飲料充填用容器および目薬、化粧品などの容器として広く使用されている。
【0003】
代表的なポリエステル樹脂である芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールに由来するユニットを主構成成分とするポリエステル樹脂は、例えばPETの場合には、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル化反応もしくはエステル交換反応によってビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートなどのオリゴマー混合物を製造し、これを高温、真空下で触媒を用いて溶融重合させ製造されている。
【0004】
従来から、このようなポリエステル樹脂の重合時に用いられるポリエステル重合触媒としては、アンチモン化合物あるいはゲルマニウム化合物が広く用いられている。アンチモン化合物の一例である三酸化アンチモンは、安価で、かつ優れた触媒活性をもつ触媒であるが、これを主成分、即ち、実用的な重合速度が発揮される程度の添加量にて使用すると、重合時に金属アンチモンが析出するため、ポリエステル樹脂に黒ずみや異物が発生し、フイルムの表面欠点の原因にもなる。また、中空の成形品等の原料とした場合には、透明性の優れた中空成形品を得ることが困難である。このような経緯で、アンチモンを全く含まないか或いはアンチモンを触媒主成分として含まないポリエステル樹脂が望まれている。
【0005】
アンチモン化合物以外で優れた触媒活性を有し、かつ上記の問題を有しないポリエステル樹脂を与える触媒としては、ゲルマニウム化合物がすでに実用化されている。しかし、ゲルマニウム化合物は非常に高価であるという問題点や、重合中に反応系から系外へ留出しやすいため反応系の触媒濃度が変化し重合の制御が困難になるという課題を有しており、触媒主成分として使用することには問題がある。
【0006】
アンチモン化合物あるいはゲルマニウム化合物に代わる重合触媒の検討も行われており、テトラアルコキシチタネートに代表されるチタン化合物がすでに提案されている。しかし、チタン化合物を用いて製造されたポリエステル樹脂は溶融成形時に熱劣化を受けやすく、またポリエステル樹脂が著しく着色するという問題点を有する。
【0007】
以上のような経緯で、アンチモン、ゲルマニウム、およびチタン以外の金属成分を触媒の主たる金属成分とする重合触媒であり、触媒活性に優れ、色調や熱安定性に優れかつ成形品の透明性に優れたポリエステル樹脂を与える重合触媒が望まれている。
【0008】
ポリエステル樹脂の用途の一つにブロー成形体がある。該ポリエステル樹脂製ブロー成形体においては、成形体の透明性が高いことが望まれており、新規の重合触媒として、アルミニウム化合物とリン化合物とからなる触媒が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また、アルミニウム化合物とリン化合物とからなる触媒を用いた場合、透明性の高いポリエステル樹脂を得るにはアルミニウム系異物の発生を抑制する必要がある。アルミニウム系異物の発生を抑制する方法が特許文献2において開示されている。
【0010】
しかし、上記の特許文献1の方法で実施した場合は、触媒組成であるアルミニウム化合物やリン化合物の添加量や組成比により得られるポリエステル樹脂の透明度が変動するという課題がある。
【0011】
一方、上記の特許文献2の方法で実施することにより、上記の課題であるアルミニウム系異物を抑制でき、透明性の高いポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂製ブロー成形体を得ることができる。しかしながら、ポリエステル樹脂製ブロー成形体については、該成形時に用いる金型が、ポリエステル樹脂に含まれる環状三量体(以下、CTと称する)や成形時に発生する環状三量体(以下、ΔCTと称する)により金型の汚れが起こり、連続成形時にこの金型汚れによる透明性の悪化などの問題が発生するという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2004-256633号公報
【文献】特許第5299655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上述の従来技術の課題を背景になされたもので、アンチモン元素、ゲルマニウム元素、およびチタン元素以外の金属成分が主たる金属成分であるアルミニウム化合物とリン化合物とからなる重合触媒を用いた場合に、該重合触媒を用いて得られたポリエステル樹脂の特徴である色調や耐熱性等の各種安定性を有するうえに、アルミニウム系異物の生成が抑制され透明性が高く、更に、CT量の低減とΔCT量の低減との両立を図ることにより、ポリエステル樹脂製ブロー成形体製造時の金型汚染が抑制され、かつアルミニウム化合物とリン化合物とからなる重合触媒を用いてなるポリエステル樹脂の製造方法の問題点の一つである固相重合速度が低いという問題点を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、従来技術で未解決であったポリエステル樹脂製ブロー成形体の製造時のCTおよびΔCTによる金型の汚染を抑制し、ポリエステル樹脂製ブロー成形体の品質や生産性を高める方法を見出し、本発明に到達した。
【0015】
上記CT量とΔCT量は後述のように二律背反的な挙動を示す。そこで本発明者らは、CTの低減とΔCTの低減との両立を図り、CTとΔCTの合計量を抑制し、金型汚れを抑制する方法の確立を目指した。
特許文献2は、ポリエステル樹脂中に存在するリン化合物の特定構造に着目して確立された方法である。一方、ポリエステル樹脂中に存在するリン化合物は、特許文献2で着目した構造を含め、9種類のリン化合物が存在することが分かった。該リン化合物には、後記する(化式1)~(化式3)で示されるポリエステルのヒドロキシル基末端に結合しているリン化合物が存在する。
一方、ポリエステル樹脂中のCTやΔCTは、下記化学式に示したようなポリエステルのヒドロキシル基末端が該末端より3個目のエステル結合を攻撃することにより生成するというヒドロキシル基末端の環化解重合、すなわちバックバイティング反応により生成すると推測される。
【0016】
【化1】
【0017】
本発明者らは、上記状況において、前記した(化式1)~(化式3)の化合物量を増大させることで、ポリエステル中のヒドロキシル基濃度を低下させることにより、上記ヒドロキシル基末端のバックバイティング反応を抑制し、CTやΔCTの生成を抑制できると考えて種々検討を行い、本発明を完成した。さらに、上記検討により想定外の効果として、アルミニウム化合物とリン化合物からなるポリエステル重合触媒を用いたときには、アンチモン触媒を用いたときに比べて固相重合活性が劣るという課題も改善できることも見出した。
【0018】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、以下の(1)~(8)の構成を有するものである。
(1)アルミニウム化合物由来成分とリン化合物由来成分を触媒量含むポリエステル樹脂であって、前記ポリエステル樹脂はエチレンテレフタレート構造単位を85モル%以上含有し、前記ポリエステル樹脂中に存在する全リン元素量に対するポリエステルのヒドロキシル基末端に結合して存在するリン元素の合計量が42~60モル%であることを特徴とするポリエステル樹脂。
(2)環状三量体量が3300ppm以下である上記(1)に記載のポリエステル樹脂。
(3)前記ポリエステル樹脂の水分率を100ppm以下とし、射出成形機のシリンダー温度を290℃として溶融成形した時の環状三量体の増加量が650ppm以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のポリエステル樹脂。
(4)前記ポリエステル樹脂のヒドロキシル基末端に結合しているリン化合物の構造が、下記(化式1)~(化式3)の少なくとも1種である上記(1)~(3)のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
【化2】

【化3】

【化4】

(5)アルミニウム元素の含有量が13~25ppmである上記(1)~(4)のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
(6)アルミニウム元素に対するリン元素のモル比(P/Al)が1.5~3.5である上記(1)~(5)のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
(7)上記(1)~(6)のいずれかに記載のポリエステル樹脂を用いて成形されたポリエステル樹脂製ブロー成形体。
(8)環状三量体の含有量が3600ppm以下である上記(7)に記載のポリエステル樹脂製ブロー成形体。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるポリエステル樹脂は、アンチモン、ゲルマニウムおよびチタン以外の金属成分が主たる金属成分であるアルミニウム化合物とリン化合物とからなる重合触媒を用いて得られたポリエステル樹脂であり、該重合触媒を用いて得られたポリエステル樹脂の特徴である色調や耐熱性等の各種安定性を有するうえに、アルミニウム系異物の生成が抑制されており透明性が高い。また、ポリエステルのヒドロキシル基末端の一部が、リン化合物により封鎖されて、ポリエステル樹脂の製造工程およびポリエステル樹脂をブロー成形する成形工程におけるCTおよびΔCTの生成が抑制されるので、成形用の金型汚染が抑制できるという効果が発現される。さらに、想定外の効果として、アルミニウム化合物とリン化合物からなるポリエステル重合触媒を用いたときには、アンチモン触媒を用いたときに比べて固相重合活性が劣るという課題も改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例および比較例の結果より求めた最終重合槽の温度時間積T×RT×(P/Al)とCTおよびΔCTの相関図である。
図2】実施例および比較例の結果より求めた最終重合槽の温度時間積T×RT×(P/Al)と全CT量(=CT量+ΔCT量)との相関図である。
図3】実施例および比較例の結果より求めた最終重合槽の温度時間積T×RT×(P/Al)と末端封鎖型リン化合物量との相関図である。
図4】実施例および比較例の結果より求めた末端封鎖型リン化合物量と全CT量(=CT量+ΔCT量)との相関図である。
図5】実施例および比較例の結果より求めた末端封鎖型リン化合物量と固相重合速度との相関図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
(ポリエステル樹脂)
本発明のポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレート構造単位を85モル%以上含有しており、90モル%以上含むことがより好ましく、95モル%以上含有することがさらに好ましい。本発明のポリエステル樹脂は、多価カルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体と多価アルコールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とから成ることが好ましい。
【0023】
多価カルボン酸はジカルボン酸であることが好ましく、特にテレフタル酸であることが好ましいが、テレフタル酸以外のジカルボン酸が含まれていてもよい。テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3-シクロブタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5-(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体;が挙げられる。
【0024】
また、ジカルボン酸以外にも少量であれば3価以上の多価カルボン酸を併用してもよく、3~4価の多価カルボン酸であることが好ましい。該多価カルボン酸としては、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3,4,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0025】
多価アルコールはジオールであることが好ましく、特にエチレングリコールであることが好ましいが、エチレングリコール以外のジオールが含まれていてもよい。エチレングリコール以外のジオールとしては、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジエタノール、1,10-デカメチレングリコール、1,12-ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール;ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビスフェノール、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5-ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例示される芳香族グリコール;が挙げられる。
【0026】
また、ジオール以外にも少量であれば3価以上の多価アルコールやヒドロキシカルボン酸を併用してもよく、3~4価の多価アルコールであることが好ましい。該多価アルコールとしては、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸、4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0027】
また、環状エステルの併用も許容される。該環状エステルとしては、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。
【0028】
多価カルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらの化合物のアルキルエステルやヒドロキシルアルキルエステル等が挙げられる。
【0029】
多価アルコールのエステル形成性誘導体としては、多価アルコールの酢酸等の低級脂肪族カルボン酸とのエステルが挙げられる。
【0030】
(重合触媒)
本発明のポリエステル樹脂は、アルミニウム化合物由来成分とリン化合物由来成分を触媒量含んでいる。すなわち、本発明のポリエステル樹脂は、アルミニウム化合物とリン化合物からなる重合触媒を用いて製造されており、アルミニウム化合物及びリン化合物の添加量は触媒量であればよい。触媒量とは多価カルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体と多価アルコールおよび/またはそのエステル形成性誘導体との反応を進行させるための有効量のことであり、具体的には得られるポリエステル樹脂中に後述の所定量のアルミニウム元素及びリン元素が残存するような触媒量であればよい。
【0031】
(アルミニウム化合物)
上記重合触媒を構成するアルミニウム化合物は溶媒に溶解するものであれば限定されないが、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩;塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩;アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn-プロポキサイド、アルミニウムiso-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイド、アルミニウムt-ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド;アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso-プロポキサイドなどのキレート化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、アルミニウムのアルコキサイドやアルミニウムキレート化合物とヒドロキシカルボン酸からなる反応生成物、酸化アルミニウム、超微粒子酸化アルミニウム、アルミニウムシリケート、アルミニウムとチタンやケイ素やジルコニウムやアルカリ金属やアルカリ土類金属などとの複合酸化物などが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩、およびキレート化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、これらの中でも酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、及びアルミニウムアセチルアセトネートから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、及び水酸化塩化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種がさらに好ましく、酢酸アルミニウム及び塩基性酢酸アルミニウムから選ばれる少なくとも1種が最も好ましい。
【0032】
上記アルミニウム化合物は水やグリコールなどの溶剤に可溶化するアルミニウム化合物であることが好ましい。本発明で使用できる溶媒とは、水およびアルキレングリコール類である。アルキレングリコール類には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。好ましくは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、及びテトラメチレングリコールから選ばれる少なくとも1種であり、さらに好ましくはエチレングリコールである。アルミニウム化合物を水又はエチレングリコールに溶解した溶液を用いることが本発明の効果を顕著に発現することができるので好ましい。可溶化の観点から、アルミニウム化合物は、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、及びアルミニウムアセチルアセトネートから選ばれる少なくとも1種が好ましく、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、及び水酸化塩化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、酢酸アルミニウム及び塩基性酢酸アルミニウムから選ばれる少なくとも1種が最も好ましい。
【0033】
アルミニウム化合物の使用量は、得られるポリエステル樹脂の全質量に対してアルミニウム元素が13~25ppmとなるような使用量とすることが好ましい。より好ましくは14~20ppmである。アルミニウム元素が13ppm未満では、重合活性が低下するおそれがある。一方、25ppmを超えるとアルミニウム系異物量が増大するおそれがある。
【0034】
(リン化合物)
本発明の重合触媒を構成するリン化合物としては、特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きいため好ましく、これらの中でもホスホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果が特に大きいためより好ましい。
【0035】
上記リン化合物のうち、同一分子内にフェノール構造を有するリン化合物が好ましい。フェノール構造を有するリン化合物であれば特に限定はされないが、同一分子内にフェノール構造を有するホスホン酸系化合物、同一分子内にフェノール構造を有するホスフィン酸系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましく、一種または二種以上の同一分子内にフェノール構造を有するホスホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果が非常に大きくより好ましい。
【0036】
また、同一分子内にフェノール構造を有するリン化合物としては、P(=O)R1(OR2)(OR3)やP(=O)R14(OR2)で表される化合物などが挙げられる。R1はフェノール部を含む炭素数1~50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基およびフェノール構造を含む炭素数1~50の炭化水素基を表す。R4は、水素、炭素数1~50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基を含む炭素数1~50の炭化水素基を表す。R2、R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1~50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基などの置換基を含む炭素数1~50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造やシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。R2とR4の末端どうしは結合していてもよい。
【0037】
同一分子内にフェノール構造を有するリン化合物としては、例えば、p-ヒドロキシフェニルホスホン酸、p-ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチル、p-ヒドロキシフェニルホスホン酸ジエチル、p-ヒドロキシフェニルホスホン酸ジフェニル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(p-ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸メチル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸フェニル、p-ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、p-ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸メチル、p-ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸フェニル、p-ヒドロキシフェニルホスフィン酸、p-ヒドロキシフェニルホスフィン酸メチル、p-ヒドロキシフェニルホスフィン酸フェニル、下記(化式4)で表される3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸ジアルキルなどが挙げられる。同一分子内にフェノール構造を有するリン化合物としては、特にヒンダードフェノール構造を有するリン化合物であることが好ましく、中でも、下記(化式4)に示す3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸ジアルキルであることが好ましい。
【0038】
【化5】

((化式4)において、X1、X2は、それぞれ、水素、炭素数1~4のアルキル基を表す。)
【0039】
上記X1、X2のアルキル基の炭素数は1~4が好ましく、1~2がより好ましい。特に、炭素数2のエチルエステル体は、Irganox1222(ビーエーエスエフ社製)が市販されており容易に入手できるので好ましい。
【0040】
リン化合物の使用量は、得られるポリエステル樹脂の全質量に対してリン元素が25~60ppmとなるような使用量とすることが好ましい。より好ましくは30~50ppmである。リン元素が25ppm未満では、重合活性の低下やアルミニウム系異物量が増大するおそれがある。一方、60ppmを超えるとCT量の低減とΔCT量の低減との両立を図ることが困難になると共にリン化合物の添加量が多くなり、触媒コストが増大するおそれがある。
【0041】
本発明においては、上記リン化合物は溶媒中で加熱処理されたものであることが好ましい。使用する溶媒としては、水およびアルキレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であれば限定されないが、アルキレングリコールとしては、リン化合物を溶解する溶媒を用いることが好ましく、エチレングリコール等の目的とするポリエステル樹脂の構成成分であるグリコールを用いることがより好ましい。溶媒中での加熱処理は、リン化合物を溶解してから行うのが好ましいが、完全に溶解していなくてもよい。
【0042】
加熱処理の温度は特に限定されないが、20~250℃であることが好ましく、より好ましくは150~200℃である。
【0043】
上記加熱処理時のリン化合物溶液の濃度は、5~15質量%が好ましい。
【0044】
上記の加熱処理により、前記アルミニウム化合物と併用することによる重合触媒活性が向上すると共に、該重合触媒に起因する異物生成量が低下する。
【0045】
上記加熱処理において、本発明において用いられる(化式4)で示したリン化合物である3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸ジアルキルエステルの一部が構造変化する。例えば、t-ブチル基の脱離、エチルエステル基の加水分解およびヒドロキシエチルエステル交換構造などに変化する。従って、本発明においては、リン化合物としては、(化式4)で示した3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸ジアルキルエステル以外にも表1に示すような構造変化したリン化合物も含まれる。エチレングリコール溶液中での表1に記載の各リン化合物の成分量は、該溶液のP-NMRスペクトル測定法により定量できる。
【0046】
【表1】
【0047】
従って、本発明におけるリン化合物としては、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル以外にも上記表1で示される3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルの変性体も含まれる。
【0048】
(ポリエステル樹脂中のリン化合物構造)
リン化合物として3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルおよびその変性体を用いて製造されたポリエステル樹脂中には、前記した(化式1)~(化式3)の3種を含む9種類の構造として存在する。9種類のリン化合物構造を表2に示す。なお、後述するポリエステル樹脂製ブロー成形体中にもポリエステル樹脂と同様に表2に記載する9種類のリン化合物構造が含まれる。
【0049】
【表2】
【0050】
前記した特許文献2で開示されている技術は、上記表2の(化式7)に着目して確立された技術である。
【0051】
本発明においては、前述のように、(化式1)~(化式3)で示したポリエステルのヒドロキシル基末端に結合するリン化合物の総量を増やすことによりCTおよびΔCTの生成が抑制できるとの考えに立脚している。
【0052】
従って、本発明においては、ポリエステル樹脂中に存在する全リン元素量の42~60モル%がポリエステルのヒドロキシル基末端に結合して存在すること、すなわち、ポリエステル樹脂中に存在する全リン元素量に対する(化式1)~(化式3)に含まれるリン元素の合計量が42~60モル%以上である。下限は、好ましくは44モル%以上であり、上限は、高い方が好ましいので100モル%であってもよいが、技術的な困難性より上限は60モル%であり、55モル%であることが好ましく、50モル%であることがより好ましい。なお、ポリエステルのヒドロキシル基末端に結合して存在するリン化合物を末端封鎖型リン化合物と称することもある。
【0053】
上記範囲を満たすことで、CT量の低減とΔCT量の低減との両立を図ることが出来る。
さらに、想定外の効果として、アルミニウム化合物とリン化合物からなるポリエステル重合触媒の課題である固相重合活性がアンチモン触媒に比べて劣るという課題も改善できる。ポリエステルの末端封鎖型リン化合物量を増やすことで固相重合活性が向上する理由は明らかでないが、固相重合反応におけるヒドロキシル基末端と末端封鎖型リン化合物との反応活性が、カルボキシル基末端と末端封鎖型リン化合物との反応活性より高くなるためと推測している。
【0054】
(ポリエステル樹脂中のアルミニウム/リン比)
本発明のポリエステル樹脂において、アルミニウム元素に対するリン元素のモル比(以下、P/Al比と称する)は、1.5~3.5であることが好ましい。下限はより好ましくは1.6以上であり、上限はより好ましくは3.0以下であり、さらに好ましくは2.4以下である。P/Al比が1.5未満では、CT量の低減とΔCT量の低減との両立を図ることが困難になると共にアルミニウム系異物量が増大するおそれがある。一方、P/Al比が3.5を超えると、CT量の低減とΔCT量の低減との両立を図ることが困難になると共にリン化合物の添加量が多くなり、触媒コストが増大するおそれがある。また、重合活性も低下する。
【0055】
(ポリエステル樹脂中のCT量)
本発明のポリエステル樹脂中に含まれるCT量が3300ppm以下であることが好ましい。より好ましくは3200ppm以下であり、さらに好ましくは3100ppm以下である。下限は限定されないが、技術的な困難性より2500ppm程度である。CT量が3300ppmを超えると成形時の金型汚れが増加するため好ましくない。
【0056】
(ポリエステル樹脂の溶融成形時のΔCT量)
本発明のポリエステル樹脂の水分率を100ppm以下とし、射出成形機のシリンダー温度を290℃として溶融成形した時のΔCT量は650ppm以下であることが好ましい。より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは400ppmである。下限は0ppmであることが好ましいが、技術的な困難性より200ppm程度である。ΔCT量が650ppmを超えると成形時の金型汚れが増加するので好ましくない。
【0057】
(ポリエステル樹脂製ブロー成形体)
本発明のブロー成形体は、上記ポリエステル樹脂を用いて成形されたポリエステル樹脂製ブロー成形体であることが重要である。上記ポリエステル樹脂を用いることで、CT量とΔCT量が共に抑制できるため、成形時の金型の汚染が抑制される。
【0058】
本発明におけるポリエステル樹脂製ブロー成形体の製造方法は限定されない。例えば、プリフォームを成形する工程、口栓部を結晶化する工程、プリフォームを再加熱する工程、再加熱されたプリフォームを金型内でブロー延伸する工程、ブロー延伸された中空成形体を加熱された金型内でヒートセットする工程を含む製造法が挙げられる。
【0059】
PETのブロー成形による中空容器は様々な用途の容器として利用されている。特にジュースやお茶、ミネラルウォーターなどの飲料類の容器(ボトル)として非常に多く用いられている。
【0060】
これらの飲料容器は炭酸飲料等用の耐圧ボトル、無菌充填用のアセプティックボトル、高温充填用の耐熱ボトルに大別される。
【0061】
耐熱ボトルは充填物を80℃近辺の高温で充填するため、ボトルにもこの充填温度で変形しない耐熱性が求められ、ボトルの口栓部、胴部を結晶化させることにより耐熱性を達成している。
【0062】
胴部の結晶化はプリフォームを加熱後、ブロー延伸を130~180℃に加熱された金型内で行い、さらに0.5秒から10秒程度ボトルを金型内で保持することによりボトル胴部の結晶化を高めている。
【0063】
この時に、PET中のCTやブロー成形中に生成するΔCTなどのオリゴマーが金型表面に移行して金型表面を汚染し、成形を繰り返すことにより汚染が蓄積されて、ある程度の回数成形した後には得られたボトルが曇り、商品価値がなくなるため金型を清掃する必要があった。
【0064】
金型の清掃は溶媒を用いて人力で拭き取る必要があり、商業的な大規模のブロー成形機は複数個のブロー成形金型を備えていることから、全ての金型を清掃し終わるには数時間から1日の時間を要し、生産性の低下や作業環境の面で改善が要求されていた。
【0065】
従って、本発明においては、ブロー成形体中の環状三量体の含有量が3600ppm以下であることが好ましい。より好ましくは3500ppm以下である。ブロー成形体中の環状三量体の含有量は少ない方が好ましいが、技術的な困難性より、例えば1000ppm以上であり、2000ppm以上であることが好ましく、2700ppm以上であることがさらに好ましい。
【0066】
本発明においては、ポリエステル樹脂の結晶化特性を改良するために、ポリエチレンテレフタレート以外の樹脂を含んでもよい。ポリエチレンテレフタレート以外の樹脂として、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタ-ル樹脂、ポリブチレンテレフタレ-ト樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂であることが好ましい。ポリエチレンテレフタレート以外の樹脂の配合量は好ましくは0.1ppb~1000ppm(質量基準)、より好ましくは0.3ppb~100ppm(質量基準)、さらに好ましくは0.5ppb~1ppm(質量基準)、特に好ましくは0.5ppb~45ppb(質量基準)である。
【0067】
ポリエステル樹脂に上記の樹脂を配合する方法は、ポリエステル樹脂製造工程中での添加、製造後のポリエステル樹脂とのドライブレンド等、均一に混合し得る方法が好ましく、ポリエステル樹脂製造工程中、具体的には、原料スラリー調製時、エステル化反応またはエステル交換反応の任意の段階および重合反応工程の初期の何れかの時点で添加することが好ましい。また、結晶性樹脂部材にPETチップを接触させる方法も好ましい形態である。
【0068】
(CT量の減少とΔCT量の減少との両立を図るための達成手段)
本発明において、CT量の減少およびΔCTの減少との両立を図るためには、ポリエステル樹脂中に存在するリン化合物中の末端封鎖型リン化合物量が多い方が好ましい。そのため、本発明のポリエステル樹脂の製造方法としては、アルミニウム化合物とリン化合物を重合触媒として用い、2個以上の重合槽(エステル化反応/エステル交換反応の工程より後の重縮合を行う重合反応槽)により連続的に溶融重合し、かつ、最終重合槽での重合が下記(I)式の条件を満たす溶融重合工程と、前記溶融重合工程の後に固相重合する固相重合工程とを有することが好ましい。なお、本明細書では「重合槽」とはエステル化反応/エステル交換反応の工程より後の重縮合を行う重合槽のことを指す。
410≦T×RT×(P/Al)≦580 … (I)
[上記式(I)中、Tは最終重合槽の温度(℃)、RTは最終重合槽の滞留時間(時間)、P/Alはポリエステル樹脂中のアルミニウム元素に対するリン元素のモル比を示す。]
末端封鎖型リン化合物は、ポリエステル樹脂の溶融重合法における最終重合槽の温度および滞留時間の積と、ポリエステル樹脂中に残存するリン元素とアルミニウム元素のモル比との積の支配を受ける。従って、本発明においては、上記の溶融重合方法において、最終重合槽の温度と滞留時間の積が重要となる。上記重合槽の数は、2~5個であることがより好ましく、3~4個であることがさらに好ましく、3個であることが最も好ましい。
【0069】
上記(I)式の値は、420以上であることがより好ましく、450以上であることがさらに好ましく、500以上であることが特に好ましい。また、上記(I)式の値は、560以下であることがより好ましく、530以下であることがさらに好ましい。上記(1)式の値が580を超えた場合、あるいは410未満の場合は、末端封鎖型リン化合物量が減少することによりCT量とΔCT量の合計量が増大し、ポリエステル樹脂を成形する場合の金型汚染が増大するおそれがある。
【0070】
本発明のポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、テレフタル酸を含む多価カルボン酸と多価アルコールとの直接エステル化法、もしくは、テレフタル酸等のアルキルエステルと多価アルコールとのエステル交換法によってテレフタル酸等と多価アルコールとのオリゴマーを得、しかる後に、常圧あるいは減圧下で溶融重合してポリエステル樹脂を得ることができる。このとき、必要に応じてエステル化触媒もしくは前記の重合触媒を用いることができる。
【0071】
(ポリエステル樹脂の溶融重合方法)
アルミニウム化合物とリン化合物とからなる重合触媒を用いて得られた本発明のポリエステル樹脂の製造方法においては、アンチモン、ゲルマニウム、およびチタン系の触媒よりも重合槽に供給されるポリエステルオリゴマーの組成の影響を大きく受ける。従って、下記方法で行うのが好ましい。
【0072】
本発明によるポリエステル樹脂の溶融重合方法は、触媒としてアルミニウム化合物およびリン化合物からなるポリエステル樹脂重合触媒を用いる点および上記の溶融重合条件およびポリエステル樹脂中のP/Al(モル比)を特定範囲にする点以外は、従来公知の工程を備えた方法で行うことができる。例えば、PETを製造する場合は、テレフタル酸とエチレングリコール、および必要により他の共重合成分を直接反応させて、水を留去しエステル化した後、減圧下に重合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコール、および必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重合を行うエステル交換法により製造される。固相重合前の結晶化促進のため、溶融重合ポリエステル樹脂を吸湿させた後、加熱結晶化させ、また水蒸気を直接ポリエステル樹脂チップに吹きつけて加熱結晶化させたりしてもよい。
前記溶融重合反応は、連続式反応装置で行うことが好ましい。連続式反応装置とは、エステル化反応またはエステル交換反応の反応容器と溶融重合反応容器を配管でつなぎ、それぞれの反応容器を空にさせることなく連続的に原料投入、配管での溶融重合反応容器への移送、溶融重合反応容器からの樹脂の抜き出しを行う方法である。なお、この場合、連続とは完全に常時原料投入から抜き出しが行われている必要はなく、少量ずつ、例えば反応容器量の1/10程度の量で、原料投入から抜き出しを行うような間欠的なものであってもよい。
これらいずれの方式においても、エステル化反応、あるいはエステル交換反応は、1段階で行ってもよいし、また多段階に分けて行ってもよい。溶融重合反応も、1段階で行ってもよいし、また多段階に分けて行ってもよく、2~5段階であることが好ましく、3~4段階であることがより好ましく、3段階であることがさらに好ましい。
【0073】
本発明においては、重合工程に供給されるポリエステルオリゴマーのカルボキシル末端基濃度の設定値が800~1500eq/tonであることが好ましい。より好ましくは800~1450eq/tonである。該ポリエステルオリゴマーのカルボキシル末端基濃度の設定値を上記範囲にすることにより、重合触媒の活性を十分に引き出すことが出来る。
【0074】
また、本発明においては、重合工程に供給されるポリエステルオリゴマーの全末端基濃度に対するヒドロキシル末端基濃度の割合は45~70モル%が好ましく、47~68モル%がより好ましい。
【0075】
重合工程に供給されるオリゴマーのカルボキシル末端基濃度は、上記の好ましい範囲で、かつカルボキシル末端基濃度の変動を設定値±6%以内にするのが好ましい。±5%以内がより好ましく、±4%以内がさらに好ましく、±3%以内が特に好ましい。該カルボキシル末端基濃度変動が±6%を超えた場合は、得られるポリエステル樹脂の品質の均一性が低下するおそれがある。一方、下限は無変動である±0%が最も好ましいが、コストパフォーマンスの点より、±0.2%が好ましく、±0.5%がより好ましい。
【0076】
例えば、複数のエステル化反応槽を用いてエステル化反応を行う場合、重合工程に供給されるオリゴマーである最終エステル化反応槽出口のポリエステルオリゴマーのカルボキシル末端基濃度変動を抑制するには、第1エステル化反応槽出口のポリエステルオリゴマーのカルボキシル末端基濃度の変動を抑制することが重要であり、該特性の変動を抑制すれば、最終エステル化反応槽出口のポリエステルオリゴマーのカルボキシル末端基濃度変動が極めて小さくできる。また、該第1エステル化反応槽出口のポリエステルオリゴマーのカルボキシル末端基濃度の変動は、第1エステル化反応槽内に滞留する反応物の単位時間当たりの熱量変動が大きく影響しているので、該熱量変動を適切範囲で制御するのが好ましい。
【0077】
すなわち、ジカルボン酸とグリコールとからなるスラリーをスラリー調製槽で調製して該スラリーをエステル化反応槽に連続的に供給し、エステル化反応槽を用いてエステル化反応を行い、引き続き重合反応槽に連続的に供給し重合を行うことによりポリエステル樹脂を連続的に製造する方法において、上記スラリーが供給されるエステル化反応槽出口のカルボキシル末端基濃度を設定値±10%以内に抑制するのが好ましい。±9%以内が好ましく、±8%以内がより好ましく、±6%以内がさらに好ましい。該範囲にすることにより最終エステル化反応槽出口のオリゴマーのカルボキシル末端基濃度の変動を好ましい範囲に抑制することが可能となり、後続の重合反応や得られるポリエステル樹脂の品質の安定化に繋げることができるので好ましい。一方、下限は無変動である±0%が最も好ましいが、コストパフォーマンスの点より、±0.5%が好ましく、±1.0%がより好ましい。該対応により、結果として後続のエステル化反応槽の制御が従来公知の変動レベルであっても重合工程に供給されるポリエステルオリゴマーのカルボキシル末端基濃度の変動を大きく抑制できる。
【0078】
さらに、上記エステル化反応工程において、ポリエステルオリゴマーのカルボキシル末端基濃度やヒドロキシル末端基濃度をオンラインで計測して、前記したスラリー温度制御系にフィードバックすることにより該制御精度や安定性を向上するのが好ましい。
【0079】
該オリゴマー特性の計測方法は限定されないが、近赤外線分光光度計を用いて計測するのが好ましい。オリゴマーが流動している部分、例えば反応缶、配管などにおいて、近赤外分光光度計を用いながら連続的に行うのが好ましい。オンラインで連続的に測定可能な近赤外分光光度計であれば、特に限定されない。例えば、NIRSシステムズ社(ニレコ社)、BRAN LUEBBEおよび横河電機社製の近赤外オンライン分析計等の市販品を使用してもよいし、本目的のためにシステム化した装置を製作して対応してもよい。
【0080】
なお、近赤外分光光度計の検出セルは高温域に設置する必要があり、該対応のための設計が必要である。また、エステル化反応缶間に設置する場合は加圧状態に、エステル化反応缶から初期重合缶への移送ラインに設置する場合は、加圧と減圧の両方に耐えるような構造にする必要がある。該対応は設置場所等により適宜実施するのが好ましい。
【0081】
上記近赤外分光光度計の測定セルの設置場所は、エステル化反応開始より重合反応開始直前までの任意の場所に設定すればよい。エステル化反応缶に設定してもよいし、各反応缶の移送ラインに設置してもよい。それぞれの反応缶や移送ラインに直接設置してもよいし、バイパスラインを設けて該バイパスラインに設置してもよい。該バイパスラインに設置する場合の反応缶の内部を検出する場合は、対象とする反応缶に反応内容物が循環する循環ラインを設けて、該循環ラインに設置するのが好ましい。該設置された測定セルはメンテナンスが必要な場合があるので、バイパスラインに設置するのが好ましい。本発明においては、前述のごとく第1エステル化反応槽出口のオリゴマーのカルボキシル末端基濃度が重要となるため、例えば、第1エステル化反応槽より第2エステル化反応槽への移送ラインにバイパスラインを設置し、該バイパスラインに検出器を設置して計測するのが好ましい。また、最終エステル化反応槽から第1重合反応槽への移送ラインにももう一基の検出器を設置して両方のオリゴマーの特性値を計測して制御精度を高めてもよい。該、複数個の検出器を用いてエステル化反応を制御する方法においては、第1エステル化反応槽出口の移送ラインに設置した検出器で計測された計測値による制御は第1エステル化反応槽へ供給するスラリー温度にフィードバックして行うのが好ましい。他の検出場所で検出される計測値による制御は、他のエステル化反応を変化させる制御系、例えば、第2エステル化反応槽へ供給されるエステル化反応調整用グリコールの供給量にフィードバックしてもよい。最も精度が向上できる制御系を適宜選択して実施すればよい。
【0082】
上記オリゴマー特性はカルボキシル末端基濃度のみを計測を行ってもよいしカルボキシル末端基濃度とヒドロキシル末端基濃度の両方を同時に計測してもよいし、複数箇所で計測する場合はそれぞれの場所で計測する内容を変えて行ってもよい。例えば、第1エステル化反応槽出口の移送ラインに設置した検出器による制御系はカルボキシル末端基濃度で制御し、最終エステル化反応槽出口の移送ラインに設置した検出器による制御系はカルボキシル末端基濃度とヒドロキシル末端基濃度の両方を同時に測定して両方の末端基濃度が所定範囲になるように制御するのが好ましい。近赤外線の測定波長は限定されない。測定箇所に対応したモデルオリゴマーを用いて、感度が高く、かつ外乱の少ない波長を調査して適宜設定するのが好ましい。例えば、カルボキシル末端基濃度の場合は、1444nm、ヒドロキシル末端基濃度の場合は2030nmの波長を用いるのが好ましい。
【0083】
上記方法で定量される両末端基濃度の検量線は、上記のモデルオリゴマーを用いて作成するのが好ましい。この場合のモデルオリゴマーのカルボキシル末端基濃度およびヒドロキシル末端基濃度はNMR法により測定した値を用いるのが好ましい。
【0084】
本発明における重合工程の反応器の個数やサイズおよび各工程の製造条件等は限定なく適宜選択できる。
【0085】
例えば、初期重合、中期重合および後期重合の3段階方式が場合の重合反応条件は、1段階目の重合の反応温度は250~290℃、好ましくは260~280℃であり、圧力は2.6~65kPa、好ましくは4~27kPaで、最終段階の重合反応の温度は265~300℃、好ましくは265~290℃であり、圧力は0.013~1.3kPa、好ましくは0.065~0.65kPaである。3段階以上で実施する場合には、中間段階の重合反応の反応条件は、上記1段階目の反応条件と最終段階の反応条件の間の条件である。これらの重合反応工程の各々において到達される極限粘度の上昇の度合は滑らかに分配されることが好ましい。
【0086】
(ポリエステル樹脂の重合触媒の添加)
本発明においては、アルミニウム化合物溶液およびリン化合物溶液の添加法や添加場所は限定されない。アルミニウム化合物溶液とリン化合物溶液とは、同時に添加することが好ましい。同時に添加するとは、それぞれ単独で同じ反応容器や反応容器間の配管に添加する方法、あらかじめアルミニウム化合物溶液およびリン化合物溶液を混合して、一液化して添加する方法が挙げられる。一液化する方法としては、それぞれの溶液をタンクで混合する方法、触媒を添加する配管を途中で合流して混合させる方法などが挙げられる。なお、反応容器に添加する場合には、反応容器の撹拌を高くすることが好ましい。反応容器間の配管に添加する場合には、インラインミキサーなどを設置して、添加された触媒溶液が速やかに均一混合されるようにすることが好ましい。
【0087】
アルミニウム化合物溶液およびリン化合物溶液を別々に添加した場合、アルミニウム化合物に起因する異物が多く発生しやすく、昇温結晶化温度が低くなったり、降温結晶化温度が高くなったり、十分な触媒活性が得られなくなる場合がある。アルミニウム化合物とリン化合物を同時に添加することで、重合活性をもたらすアルミニウム化合物とリン化合物の複合体が速やかに無駄なく生成できるが、別々に添加した場合には、アルミニウム化合物とリン化合物の複合体の生成が不十分であり、また、リン化合物との複合体を生成できなかったアルミニウム化合物が異物として析出するおそれがある。
また、アルミニウム化合物溶液およびリン化合物溶液は、エステル化反応またはエステル交換反応終了後に添加することが好ましい。エステル化反応またはエステル交換反応終了前に添加すると、アルミニウム系異物量が増大することがある。
【0088】
(ポリエステル樹脂の固相重合法)
本発明において、CT量を下げる方法として、溶融重合法で製造されたポリエステル樹脂を固相重合法で追加重合するのが好ましい。固相重合は、前記溶融重合法により得られたポリエステルを粉粒体状にして実施される。粉粒体とはチップ、ペレット、フレーク、粉末状のポリエステルを意味するが、好ましくはチップまたはペレットであり、通常2.0~5.5mm、好ましくは2.2~4.0mmの平均粒径を有することが望ましい。
【0089】
上記固相重合は粉粒体状のポリエステルをポリエステルの融点以下の温度にて、不活性ガス流通下あるいは減圧下で加熱することにより実施される。固相重合工程は、少なくとも1段からなり、重合温度が通常190~235℃、好ましくは195~230℃であり、不活性ガス流通法の場合、圧力が通常0.98MPa~0.0013MPa、好ましくは0.49MPa~0.013MPaの条件下で、窒素、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガス流通下で実施され、減圧法の場合、圧力が通常13~39000Pa、好ましくは、13~13300Paの条件下で実施される。固相重合時間は、温度が高いほど短時間で所望の物性に到達するが、通常1~50時間、好ましくは5~30時間、さらに好ましくは10~25時間である。固相重合工程は多段で実施しても構わない。
【0090】
固相重合工程に供給される粉粒状ポリエステルは、あらかじめ固相重合を行なう場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行なった後、固相重合工程に供給してもよい。
【0091】
このような予備結晶化工程は、粉粒状ポリエステルを乾燥状態で通常120~200℃、好ましくは130~180℃の温度に1分~4時間加熱することによって行なってもよく、あるいは粉粒状ポリエステルを水蒸気雰囲気下又は水蒸気含有不活性ガス雰囲気下あるいは水蒸気含有空気雰囲気下で、通常120~200℃の温度に1分間以上加熱することによって行なってもよい。
【0092】
前記のようにして溶融重合されたポリエステルは、例えば、チップ化されたあと輸送配管中を貯蔵用サイロや固相重合工程に輸送される。このようなチップの輸送を、例えば空気を使用した強制的な低密度輸送方法で行うと、溶融重合ポリエステルのチップの表面には配管との衝突によって大きな衝撃力がかかり、この結果ファインやフイルム状物が多量に発生する。このようなファインやフイルム状物は ポリエステルの結晶化を促進させる効果を持っており、多量に存在する場合には得られた成形体の透明性が非常に悪くなる。従って、このようなファインやフイルム状物を除去する工程を付加することは好ましい実施態様の一つである。
【0093】
上記のファインやフイルム状物を除去する方法は限定されないが、例えば、前記の固相重合工程と固相重合工程のあとに設置される後工程との中間工程に別々に設置した振動篩工程および空気流による気流分級工程、重力式分級工程等で処理する方法等が挙げられる。
【0094】
本発明の製造方法で得られたポリエステルは、環状三量体などのオリゴマー類が成形時に金型内面や金型のガスの排気口、排気管等に付着することによる金型汚れ等をより一層防止するために、固相重合の後に水との接触処理を行なうことができる。該方法も限定されないが、水中に浸ける方法やシャワ-でチップ上に水をかける方法等が挙げられる。処理時間としては5分~2日間、好ましくは10分~1日間、さらに好ましくは30分~10時間で、水の温度としては20~180℃、好ましくは40~150℃、さらに好ましくは50~120℃である。
【0095】
本発明における固相重合や上記の付随処理は、回分式、連続式のいずれであっても構わないが、得られるポリエステルの品質均一性や経済性の点より連続法が好ましい。
【0096】
本発明において、ポリエステルの重合度の設定は、得られるポリエステルの使用用途の要求特性に合わせて適宜設定すればよいが、一般には溶融重合で固有粘度が0.3~0.65dl/gのポリエステルを得て、該溶融重合で得たポリエステルを固相重合で固有粘度が0.60~1.20dl/gに上昇させるのが好ましい。
【0097】
(ポリエステル樹脂製ブロー成形体の製造方法)
本発明におけるポリエステル樹脂製ブロー成形体の製造方法は限定されないが、以下の方法で実施するのが好ましい。
【0098】
耐熱性ボトルのブロー成形では一般にはプリフォームと呼ばれる有底の前駆体を作成し、このプリフォームを金型内でブロー延伸し、さらにヒートセットされる。プリフォームの製造は、圧縮成形、射出成形などの方法が用いられる。射出成形を例にすると、260~300℃に加熱溶融し、プリフォームの金型内に射出することでプリフォームを得ることができる。通常、プリフォームは肉厚の試験管状の形状で底部にゲート部を持ち、口栓部にはキャップ用のスクリューが刻まれている。
【0099】
耐熱性ボトルでは得られたプリフォームの口栓部を結晶化させる。結晶化させることで高温の内容物を充填する場合であっても、口栓部が変形することを防ぐことができる。口栓部の結晶化は130~200℃に加熱することで行うことが好ましく、より好ましくは140~190℃である。加熱方法としては、赤外線ヒーター、熱風、誘導加熱、オイルバスへの浸漬など用いることができ、赤外線ヒーターを用いることが生産性の面などから好ましい。なお、口栓部の加熱結晶化はブロー成形後でもよい。
【0100】
プリフォームを加熱し、このプリフォームをボトル長さ方向(縦方向)に延伸すると共に周方向にブロー成形してボトルを得る。長さ方向には通常棒状の延伸ロッドで延伸され、周方向には空気、窒素などの加圧ガスを用いる。加圧ガスは1~10MPaが好ましい。延伸ロッドを挿入しながら加圧ガスを吹き込み、長さ方向と周方向の同時に延伸する方法が好ましいが、長さ方向に延伸した後周方向に延伸してもよい。加熱は赤外線ヒーター、熱風、誘導加熱などが用いられる。加熱温度は通常80~130℃であり、好ましくは90~120℃である。
【0101】
ボトル長さ方向の延伸倍率の下限は好ましくは1.5倍であり、より好ましくは2倍である。上記未満であると延伸むらとなることがある。長さ方向の延伸倍率の上限は好ましくは6倍であり、より好ましくは5倍であり、さらに好ましくは4倍である。上記を超えると破れ等が起こりやすくなる。
【0102】
ボトルの周方向の延伸倍率の下限は好ましくは2倍であり、より好ましくは2.5倍である。上記未満であると延伸むらとなることがある。周方向の延伸倍率の上限は好ましくは6倍であり、より好ましくは5倍であり、さらに好ましくは4倍である。上記を超えると破れ等が起こりやすくなる。
【0103】
ブロー成形の後引き続き同一金型内でヒートセットする場合、ブロー成形の金型温度の下限は好ましくは80℃であり、より好ましくは120℃であり、さらに好ましくは130℃であり、最も好ましくは140℃である。上記未満であると後に行われるヒートセットで充分な結晶促進が行われず耐熱性が不足したり、ヒートセット時間を長く取る必要があり生産性低下となったりすることがある。
【0104】
金型温度の上限は好ましくは200℃であり、より好ましくは190℃であり、さらに好ましくは180℃、特に好ましくは170℃である。金型温度が高くなると金型汚れが多くなり、連続成形可能な回数が少なくなる場合がある。
【0105】
ブロー成形されたボトルは引き続き金型内でヒートセットされる。ヒートセット時間の下限は好ましくは0.5秒であり、より好ましくは1秒であり、さらに好ましくは1.5秒である。上記未満であると充分な結晶促進が行われず耐熱性が不足することがある。ヒートセット時間の上限は15秒であり、好ましくは10秒であり、より好ましくは5秒である。長時間のヒートセット時間は生産性が劣るだけでなく、ロータリー式のブロー成形機の場合は金型を多く揃える必要があり装置が大型になると経済性に劣ることがある。なお、金型内でのヒートセットの後、さらに赤外線、熱風、誘導加熱等で加熱して追加ヒートセットを行ってもよい。
【0106】
また、ブロー成形を5~50℃の金型内で行い、引き続き加熱金型内でヒートセットする方法も可能である。この場合のヒートセット金型の温度は上記の場合の金型温度と同様である。
【0107】
ブロー成形の装置は一つの金型を備えたものであってもよいが、量産用の場合は、複数の金型を備え、これら金型が、加熱したプリフォームを金型にセットする場所、延伸する場所、ヒートセットする場所、ボトルを排出する場所、を順次移動していく方式のものが好ましい。
【0108】
なお、上記では冷却されたプリフォームを再加熱するコールドパリソン法を説明したが、プリフォームを完全に冷却しないでブロー成形を行うホットパリソン法も可能である。
【0109】
成形するボトルの内容量としては200mL~6Lのものが好ましい。特には300mL~2Lのものが好ましい。ボトル胴部の形状は円形、四角形(角部をカットした形状を含む)、六角形など任意の形状が可能である。
【実施例
【0110】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はもとよりこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各実施例および比較例において用いた評価方法は以下の通りである。
【0111】
[評価方法]
(1)ポリエステル樹脂の固有粘度(IV)
ポリエステル樹脂をフェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタンの6/4(重量比)混合溶媒に溶解し、温度30℃にて測定した。
【0112】
(2)ポリエステル樹脂中に存在する全リン元素量に対するポリエステルのヒドロキシル基末端に結合して存在するリン元素の合計量の定量
(2-1)P-NMRスペクトル測定
ポリエステル樹脂420mgをヘキサフルオロイソプロパノール+重ベンゼン(1+1)混合溶媒2.7mLに溶解し、リン酸25%重アセトン溶液を10μL添加して遠心分離を行った。その後、上澄み液にトリフルオロ酢酸100~150mgを添加し、すぐにP-NMR測定を行った。なお、ポリエステル末端基結合リン化合物量の測定方法は上記と同じ方法に限定されず、上述の(化式1)~(化式3)(以下、「ポリエステル末端基結合リン化合物3種」という)に対応するピークを確かめられる方法であればよい。
装置:フーリエ変換核磁気共鳴装置(BRUKER製、AVANCE500)
31P共鳴周波数:202.456MHz
ロック溶媒:重ベンゼン
検出パルスのフリップ角:65°
データ取り込み時間:1.5秒
遅延時間:0.5秒
プロトンデカップリング:フルデカップル
測定温度:25~35℃
積算回数:20000~30000回程度
【0113】
(2-2)定量方法
上記(2-1)で得られたスペクトルでは、27~38ppmに6本、50~55ppmに0~3本のピークが観察された。該当するポリエステル末端基結合リン化合物3種に対応するピーク3本は、27~38ppmに現れるピークのうち、トリフルオロ酢酸量を上記の添加量の範囲で10~20%程度変えても、ポリエステル末端基結合リン化合物3種に対応しない他の3本のピークと比較して、殆どシフト変化がないピーク3本であり、ケミカルシフト値は一本目28.8±0.3ppm、二本目30.1±0.3ppm、および、三本目30.5±0.3ppmであった。一本目ピークと二本目のシフト差は1.3±0.1ppm、二本目ピークと三本目のシフト差は0.4±0.1ppmである。これら3本のピーク積分値の、全リン化合物に相当するピークの積分値を合わせた合計に対する比率を求め、表4中にa、b、cとして示した。また、上記a~cの合計値をポリエステル末端結合リン元素量(ポリエステル樹脂中に存在する全リン元素量に対するポリエステル末端基結合リン化合物3種に含まれるリン元素の合計量)とした。
【0114】
(3)ポリエステル樹脂中のアルミニウム元素の定量(乾式分解法)
白金製るつぼにポリエステル樹脂を秤量し、電気コンロでの炭化の後、マッフル炉で550℃/8時間の条件で灰化した。灰化後のサンプルを6M塩酸で酸処理の後、1.2M塩酸により20mLに定容した。
ICP発光測定により金属濃度を求めた。
装置:SPECTRO社製 CIROS-120
プラズマ出力:1400W
プラズマガス:13.0L/min
補助ガス:2.0L/min
ネブライザー:クロスフローネブライザー
チャンバー:サイクロンチャンバー
測定波長:167.078nm
【0115】
(4)ポリエステル樹脂中のリン元素の定量(モリブデンブルー比色法)
ポリエステル樹脂を硫酸、硝酸、過塩素酸で湿式分解を行った後、アンモニア水で中和した。調整した溶液にモリブデン酸アンモニウムおよび硫酸ヒドラジンを加えた後、紫外-可視吸光光度計(島津製作所社製、UV-1700)を用いて、波長830nmでの吸光度を測定した。
【0116】
(5)アルミニウム系異物量
ポリエステル樹脂30gおよびパラクロロフェノール/テトラクロロエタン(3/1:重量比)混合溶液250mLを、撹拌子を入れた500mL三角フラスコに投入し、ホットスターラーを使用して100~105℃、1.5時間で加熱溶解した。該溶液を、直径47mm/孔径1.0μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルター(Advantec社製PTFEメンブレンフィルター、品名:T100A047A)を用いて、異物を濾別した。有効濾過直径は37.5mmとした。濾過終了後、引き続きクロロホルム50mLを用いて洗浄し、次いでフィルターを乾燥させた。
該メンブレンフィルターの濾過面を、走査型蛍光X線分析装置(RIGAKU社製、ZSX100e、Rhライン球4.0kW)でアルミニウム元素量を定量した。定量はメンブレンフィルターの中心部直径30mmの部分について行った。なお、該蛍光X線分析法の検量線はアルミニウム元素含有量が既知のポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて求め、見掛けのアルミニウム元素量をppmで表示した。測定はX線出力50kV-70mAで分光結晶としてペンタエリスリトール、検出器としてPC(プロポーショナルカウンター)を用い、PHA(波高分析器)100-300の条件でAl-Kα線強度を測定することにより実施した。検量線用PET樹脂中のアルミニウム元素量は、高周波誘導結合プラズマ発光分析法で定量した。
【0117】
(6)CTおよびΔCTの定量
固相重合されたポリエステル樹脂あるいは後述の方法で成形されたポリエステル樹脂製ブロー成形体を冷凍粉砕あるいは細片化し、試料100mgを精秤した。これを、ヘキサフルオロイソプロパノ-ル/クロロホルム混合液(容量比=2/3)3mLに溶解し、さらにクロロホルム20mLを加えて希釈した。これにメタノ-ル10mLを加えてポリマ-を沈殿させた後、濾過した。濾液を蒸発乾固し、ジメチルホルムアミド10mLで定容とした。次いで下記の高速液体クロマトグラフ法で環状三量体を定量した。
なお、CT量は固相重合されたポリエステル樹脂中の環状三量体量を示す。また、ΔCT量は、ポリエステル樹脂製ブロー成形体中の環状三量体量より、固相重合されたポリエステル樹脂中の環状三量体量を差し引いた値である。さらに、全CT量(=CT量+ΔCT量)は、ポリエステル樹脂製ブロー成形体中の環状三量体量である。
装置:L-7000(日立製作所社製)
カラム:μ-Bondasphere C18 5μ 100オングストローム 3.9mm×15cm(Waters社製)
溶媒:溶離液A:2%酢酸/水(v/v)
溶離液B:アセトニトリル
グラジエントB%:10→100%(0→55分)
流速:0.8ml/分
温度:30℃
検出器:UV-259nm
【0118】
(7)アルミニウム化合物の調製
塩基性酢酸アルミニウムの20g/L水溶液に対して、等量(容量比)のエチレングリコールをともに調合タンクに仕込み、室温で数時間撹拌した後、減圧(3kPa)下、50~90℃で数時間撹拌しながら系から水を留去し、アルミニウム化合物が20g/L含まれたエチレングリコール溶液を調製した。
【0119】
(8)リン化合物の調製
リン化合物として、Irganox1222(ビーエーエスエフ社製)を、エチレングリコールとともに調合タンクに仕込み、窒素置換下撹拌しながら液温175℃で2時間半加熱し、リン化合物が50g/L含まれたエチレングリコール溶液を調製した。得られた溶液中の(化式4)で表されるリン化合物のモル分率は40%、(化式4)から構造変化した化合物のモル分率は60%であった。
【0120】
実施例1,2、比較例1,2
(溶融重合法)
3基の連続エステル化反応器および3基の重縮合反応器よりなり、かつ第3エステル化反応器から第1重縮合反応器への移送ラインに高速撹拌器を有したインラインミキサーが設置された連続式ポリエステル製造装置に、高純度テレフタル酸1質量部に対してエチレングリコール0.75質量部を混合して調整されたスラリーを連続的に供給し、表3に記載の温度、圧力および滞留時間に従って反応させて、低次縮合物を得た。該低次縮合生成物を、3基の反応器よりなる連続重縮合装置に連続して移送し、表3に記載の温度、圧力および滞留時間に従って重縮合を行い、IVが0.554dl/gのPETを得た。ポリエステル樹脂は、ストランド状に押し出し、水中で冷却した後カットして、平均粒重23.5mgのチップとした。
なお、ポリエステル樹脂は、表3に記載の条件で生産した。また、ポリエステル樹脂は前バッチの影響を排除して高品位な製品を確保するため、運転開始後または条件変更後30時間以上経過したものを採取した。
インラインミキサーからは、前記方法にて調製したアルミニウム化合物が20g/L含まれた前記エチレングリコール溶液及び前記方法にて調製したリン化合物が50g/L含まれた前記エチレングリコール溶液を、重合終了後の残留量が、得られるポリエステル樹脂の質量に対して、表4に記載の量となるように添加した。
【0121】
【表3】
【0122】
(固相重合法)
次いで、得られたチップを連続式固相重合装置へ輸送した。窒素雰囲気下、約155℃で結晶化し、さらに窒素雰囲気下で約200℃に予熱後、連続固相重合反応器に送り窒素雰囲気下約207℃で固相重合した。引き続き、振動式篩分工程および気流分級工程で処理してファインおよびフイルム状物を除去し、IV=0.735dl/gのポリエステル樹脂を得た。
【0123】
(ポリエステル樹脂製ブロー成形体の製造方法)
ポリエステル樹脂を真空乾燥機にて乾燥して、水分率を100ppm以下とし、名機製作所製150C-DM型射出成形機、およびプリフォーム用金型(金型温度5℃)を用いて有底プリフォームを成形した。M-150C-DM射出成形機による可塑化条件は、フィードスクリュー回転数=70%、スクリュー回転数=120rpm、背圧0.5MPa、シリンダー温度はホッパー直下から順に45℃、250℃およびノズルを含めた以降のシリンダー温度を290℃に設定した。また成形品重量が28.4±0.2gになるように射出圧力および保圧を調整した。
次いで、プリフォームの口栓部を、フロンティア(株)製NC-01口栓部結晶化装置を用いて加熱結晶化させた。更に、シデル社製のSBO LabN゜1045タイプ1Labブロー成形機を用いて、160℃に設定した金型内で圧力36barの空気を吹込みながら、30秒の成形サイクルにて、750bphで、縦方法に2.5倍、周方向に3.8倍の倍率で、前記プリフォームを二軸延伸ブローした。
【0124】
実施例1,2および比較例1,2で得られたポリエステル樹脂の最終溶融重合槽(第3重合槽)の条件およびポリエステル樹脂製ブロー成形体の特性値を表4に示した。
【0125】
【表4】
【0126】
表4において、CT量はポリエステル樹脂の固相重合品に含まれる環状三量体の測定値、全CT量(=CT量+ΔCT量)はポリエステル樹脂製ブロー成形体に含まれる環状三量体の測定値である。また、アルミニウム系異物量および末端封鎖型リン化合物量は、溶融重合法で得られたポリエステル樹脂の測定値である。アルミニウム系異物量および末端封鎖型リン化合物量は、固相重合処理およびブロー成形評価ではほぼ変化しないため、ポリエステル樹脂の固相重合品およびポリエステル樹脂製ブロー成形体についても表4の測定値と同程度とみなした。なお、アルミニウム系異物量および末端封鎖型リン化合物量が固相重合やブロー成型工程で変化しないのは、固相重合工程は温度が低いことが、ブロー成型工程は滞留時間が極めて短いためであると考えている。
【0127】
実施例1,2のポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂製ブロー成形体は、CT量および全CT量(CT量+ΔCT量)が少なく、比較例1,2のポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂製ブロー成形体より高品質である。
【0128】
表4の実施例および比較例の結果を用いて、T×RT×(P/Al)とCTおよびΔCTとの関係を図1に、T×RT×(P/Al)と全CT量(CT量+ΔCT量)との関係を図2に、T×RT×(P/Al)と末端封鎖型リン化合物量との関係を図3に、末端封鎖型リン化合物量と全CT量(CT量+ΔCT量)との関係を図4に、末端封鎖型リン化合物量と固相重合速度との関係を図5に示した。
【0129】
これらの図より、本発明の請求範囲が臨界的であることが明確である。また、CT量とΔCT量が二律背反事象であることが明確である。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明のポリエステル樹脂は、アンチモン元素、ゲルマニウム元素、およびチタン元素以外の金属成分を触媒の主たる金属成分としたアルミニウム化合物とリン化合物とからなる重合触媒を用いて得られたポリエステル樹脂に関するものである。該重合触媒を用いて得られたポリエステル樹脂の特徴である色調や耐熱性等の各種安定性を有するうえに、アルミニウム系異物量の生成が抑制され透明性が高い。また、ポリエステル樹脂のヒドロキシル基末端の一部がリン化合物により封鎖されているため、ポリエステル樹脂の製造工程およびポリエステル樹脂をブロー成形する成形工程におけるCTおよびΔCTの生成が抑制され、成形用の金型汚染が抑制できるという効果が発現され、更に、固相重合速度を向上させることができる。したがって、産業界に寄与すること大である。
図1
図2
図3
図4
図5