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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/53 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
B65G47/53 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020059952
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021155210
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年11月27日~29日 IIFES(Innovative Industry Fair for E x E Solutions,アイアイフェス)2019にて公開 令和1年12月18日~21日 2019国際ロボット展にて公開 令和2年1月22日 ショールーム 「オートメーションセンタ TOKYO(ATC-TOKYO)」にてメディア向けに公開 令和2年1月29日 2019年度 第3四半期決算 決算説明会にて決算発表資料に写真を掲載 令和2年1月30日~31日、2月6日~7日 オムロンソリューション展示会にて公開 令和2年2月20日 ハノーバーメッセ2020のプレスリリースにて公開 令和2年2月24日 ハノーバーメッセ2020についてYoutubeにてオフィシャルトレーラーを公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 昭朗
(72)【発明者】
【氏名】岸田 晃宏
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3027119(JP,U)
【文献】特開2014-201426(JP,A)
【文献】特開2018-153899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 ー 47/96
B65G 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の搬送経路の一部を構成しており、前記搬送経路の下流側への前記搬送物の搬送を許容する搬送状態と、前記搬送経路の下流側への前記搬送物の搬送を禁止する禁止状態と、に切り替え可能な搬送部と、
前記搬送部を前記搬送状態と前記禁止状態とに切り替えるための切替機構と、
前記搬送物に対する操作が可能な多関節ロボットと、
前記搬送部に接続されたカウンタウェイトと、を備え、
前記多関節ロボットは、前記切替機構を操作可能であり、
前記搬送物は、物品を搬送可能なトレイを含み、
前記多関節ロボットは、前記搬送物に対する操作として前記物品を前記トレイに積載する操作と、前記切替機構の操作と、を行うことが可能であり、
前記切替機構は、
前記多関節ロボットにより操作される操作部と、
前記操作部と前記搬送部とを連結しており、前記多関節ロボットにより前記操作部に入力された操作力を前記搬送部に伝達する伝達部と、を有し、
前記伝達部は、前記操作部が操作された際に前記搬送部を前記禁止状態から前記搬送状態に切り替え、
前記搬送部は、当該搬送部に外力が作用していない状態では前記禁止状態に保持されており、
前記カウンタウェイトは、前記搬送部が前記禁止状態から前記搬送状態となるように前記多関節ロボットが前記操作部を操作する際の操作力を補助する、搬送システム。
【請求項2】
前記多関節ロボットが前記物品に対する作業を行うための作業台をさらに備え、
前記操作部は、前記作業台と前記搬送部との間に配置されている、請求項に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記搬送経路における前記搬送部の下流側に配置されており、前記搬送経路の下流側への前記搬送物の搬送を許容する搬送状態と、前記搬送経路の下流側への前記搬送物の搬送を禁止する禁止状態と、に切り替え可能な他の搬送部と、
前記他の搬送部を前記搬送状態と前記禁止状態とに切り替えるための他の切替機構と、をさらに備え、
前記他の切替機構は、
前記多関節ロボットにより操作される他の操作部と、
前記他の操作部と前記他の搬送部とを連結しており、前記多関節ロボットにより前記他の操作部に入力された操作力を前記他の搬送部に伝達する他の伝達部と、を有し、
前記他の伝達部は、前記他の操作部が操作された際に前記他の搬送部を前記禁止状態から前記搬送状態に切り替える、請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記他の操作部は、前記操作部に隣接するように配置されている、請求項に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレイ等の搬送物を搬送する装置が知られている。例えば、特開2015-81150号公報には、第一傾斜ローラコンベアと、中継傾斜ローラコンベアと、エアシリンダと、圧縮空気源と、を備える搬送装置が開示されている。第一傾斜ローラコンベアは、下流側に向かうにしたがって下降するように傾斜している。中継傾斜ローラコンベアは、高さ位置を変更することが可能に構成されている。エアシリンダは、中継傾斜ローラコンベアに接続されている。圧縮空気源からエアシリンダに供給する圧縮空気が調整されることにより、中継傾斜ローラコンベアの高さ位置が変化する。これにより、搬送物(トレイ)が搬送される搬送状態と、搬送物の搬送が停止される禁止状態と、が切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-81150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2015-81150号公報に記載されるような搬送装置では、エアシリンダや圧縮空気源のように、搬送物を搬送状態と禁止状態とに切り替えるための専用の動力が必要となる。
【0005】
本開示の目的は、搬送部を搬送状態と禁止状態とに切り替えるための専用の動力を省略することが可能な搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の一局面に従った搬送システムは、搬送物の搬送経路の一部を構成しており、前記搬送経路の下流側への前記搬送物の搬送を許容する搬送状態と、前記搬送経路の下流側への前記搬送物の搬送を禁止する禁止状態と、に切り替え可能な搬送部と、前記搬送部を前記搬送状態と前記禁止状態とに切り替えるための切替機構と、前記搬送物に対する操作が可能な多関節ロボットと、を備え、前記多関節ロボットは、前記切替機構を操作可能である。
【0007】
この搬送システムでは、搬送物に対する操作を行う多関節ロボットにより、搬送部を搬送状態と禁止状態とに切り替えるための切替機構が操作されるため、切替機構を切り替えるための専用の動力(モータ等の動力)が不要となる。
【0008】
また、前記搬送物は、物品を搬送可能なトレイを含んでいてもよい。前記多関節ロボットは、前記搬送物に対する操作として前記物品を前記トレイに積載する操作と、前記切替機構の操作と、を行うことが可能であることが好ましい。
【0009】
また、前記切替機構は、前記多関節ロボットにより操作される操作部と、前記操作部と前記搬送部とを連結しており、前記多関節ロボットにより前記操作部に入力された操作力を前記搬送部に伝達する伝達部と、を有していてもよい。前記伝達部は、前記操作部が操作された際に前記搬送部を前記禁止状態から前記搬送状態に切り替える。
【0010】
また、前記搬送システムは、前記多関節ロボットが前記物品に対する作業を行うための作業台をさらに備えていてもよい。この場合において、前記操作部は、前記作業台と前記搬送部との間に配置されていることが好ましい。
【0011】
このようにすれば、多関節ロボットが操作部を操作するために移動する距離を小さくすることが可能となる。
【0012】
また、前記搬送システムにおいて、前記搬送部に接続されたカウンタウェイトをさらに備えていてもよい。この場合において、前記搬送部は、当該搬送部に外力が作用していない状態では前記禁止状態に保持されており、前記カウンタウェイトは、前記搬送部が前記禁止状態から前記搬送状態となるように前記多関節ロボットが前記操作部を操作する際の操作力を補助することが好ましい。
【0013】
このようにすれば、搬送部を禁止状態から搬送状態とする際における多関節ロボットによる操作部の操作力が低減される。このため、多関節ロボットとして、人と共に作業することが可能ないわゆる協調ロボットを用いることが可能となる。
【0014】
また、前記搬送システムにおいて、前記搬送経路における前記搬送部の下流側に配置されており、前記搬送経路の下流側への前記搬送物の搬送を許容する搬送状態と、前記搬送経路の下流側への前記搬送物の搬送を禁止する禁止状態と、に切り替え可能な他の搬送部と、前記他の搬送部を前記搬送状態と前記禁止状態とに切り替えるための他の切替機構と、をさらに備えていてもよい。この場合において、前記他の切替機構は、前記多関節ロボットにより操作される他の操作部と、前記他の操作部と前記他の搬送部とを連結しており、前記多関節ロボットにより前記他の操作部に入力された操作力を前記他の搬送部に伝達する他の伝達部と、を有し、前記他の伝達部は、前記他の操作部が操作された際に前記他の搬送部を前記禁止状態から前記搬送状態に切り替えることが好ましい。
【0015】
また、前記他の操作部は、前記操作部に隣接するように配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
この開示によれば、搬送部を搬送状態と禁止状態とに切り替えるための専用の動力を省略することが可能な搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態の搬送システムの全体構成を示す斜視図である。
図2】移載ステーション及び多関節ロボットの平面図である。
図3】搬送物の移載ステーションへの搬送が完了した状態を示す斜視図である。
図4】搬送物の移載ステーションへの搬送が完了した状態を示す斜視図である。
図5】第1搬送部が搬送状態となっている移載ステーションの斜視図である。
図6】多関節ロボットが第1操作部を操作した状態を示す斜視図である。
図7】第2搬送部が禁止状態となっている移載ステーションの斜視図である。
図8】第2搬送部が搬送状態となっている移載ステーションの斜視図である。
図9】多関節ロボットが第2操作部を操作した状態を示す斜視図である。
図10】待機状態にあるストッパ機構に搬送物が当接している状態を示す斜視図である。
図11】モバイルロボットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で参照する図面では、同一又はそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態の搬送システムの全体構成を示す斜視図である。搬送システム1は、搬送物10を搬送可能で、かつ、多関節ロボット200が搬送物10に対する操作を行うことが可能なシステムである。本実施形態では、搬送物10として、物品(電子部品等)を収容可能なトレイが用いられている。以下、搬送物10をトレイ10と表記することもある。
【0020】
図1に示されるように、搬送システム1は、移載ステーション100と、多関節ロボット200と、作業台210と、モバイルロボット300と、を備えている。
【0021】
移載ステーション100は、コンベア110と、支持体120と、「切替機構」に相当する第1切替機構130と、「他の切替機構」に相当する第2切替機構140と、第1カウンタウェイト151と、第2カウンタウェイト152と、ストッパ機構160と、カム部170と、を有している。移載ステーション100は、モータ等の動力を有していない。
【0022】
コンベア110は、搬送物10の搬送経路を構成している。コンベア110は、受け部111と、「搬送部」に相当する第1搬送部112と、「他の搬送部」に相当する第2搬送部113と、渡し部114と、を有している。受け部111、第1搬送部112、第2搬送部113及び渡し部114は、搬送経路の上流側から下流側に向かってこの順に並ぶように設けられている。
【0023】
受け部111は、搬送経路の一部を構成しており、ローラコンベアで構成されている。受け部111は、モバイルロボット300から搬送物10を受けるとともに、その搬送物10を第1搬送部112に搬送する。受け部111は、搬送経路の下流側に向かうにしたがって下降するように傾斜している。
【0024】
第1搬送部112は、搬送経路における受け部111の下流側に配置されている。第1搬送部112は、搬送経路の一部を構成している。第1搬送部112は、搬送経路の下流側への搬送物10の搬送を許容する搬送状態と、搬送経路の下流側への搬送物10の搬送を禁止する禁止状態と、に切り替え可能である。第1搬送部112は、当該第1搬送部112に外力が作用していない状態では禁止状態に保持されている。第1搬送部112は、第1固定ローラ112aと、第1可動ローラ112bと、を有している。
【0025】
第1固定ローラ112aは、ローラコンベアで構成されている。第1固定ローラ112aは、当該第1固定ローラ112aの高さ位置が変更できないように支持体120に支持されている。第1固定ローラ112aは、受け部111から送られてきた搬送物10を受けることが可能な高さに設けられている。第1固定ローラ112aの搬送方向は、受け部111の搬送方向と同一である。第1固定ローラ112aは、搬送経路の下流側に向かって下降するように傾斜しており、第1搬送部112の延長線上に配置されている。
【0026】
第1可動ローラ112bは、ローラコンベアで構成されている。第1可動ローラ112bの搬送方向は、第1固定ローラ112aの搬送方向と直交している。第1可動ローラ112bは、第1固定ローラ112aを挟むように配置されている。第1可動ローラ112bは、搬送経路の下流側に向かって下降するように傾斜している。第1可動ローラ112bは、第1固定ローラ112aに対する高さ位置が変更可能となるように支持体120に支持されている。具体的に、第1可動ローラ112bは、低位置と高位置との間で第1固定ローラ112aに対して相対変位可能である。
【0027】
低位置(図1図3及び図4に示される位置)は、第1可動ローラ112bの下流側の端部が搬送経路における第1搬送部112の下流側に位置する第2搬送部113の上流側の端部よりも低い位置である。このため、第1可動ローラ112bが低位置に位置する状態では、第1搬送部112から第2搬送部113に向けて搬送物10が搬送されない。つまり、第1可動ローラ112bが低位置に位置する状態が前記禁止状態に相当する。第1可動ローラ112bは、当該第1可動ローラ112bに外力が作用していない状態では、低位置に保持されている。
【0028】
高位置(図5及び図6に示される位置)は、第1可動ローラ112bの下流側の端部が第2搬送部113の上流側の端部と同じ高さかそれよりも僅かに高い位置である。このため、第1可動ローラ112bが高位置に位置する状態では、第1搬送部112から第2搬送部113に向けて搬送物10が搬送される。つまり、第1可動ローラ112bが高位置に位置する状態が前記搬送状態に相当する。
【0029】
第2搬送部113は、搬送経路における第1搬送部112の下流側に配置されている。第2搬送部113は、搬送経路の一部を構成している。第2搬送部113は、搬送経路の下流側への搬送物10の搬送を許容する搬送状態と、搬送経路の下流側への搬送物10の搬送を禁止する禁止状態と、に切り替え可能である。第2搬送部113は、当該第2搬送部113に外力が作用していない状態では禁止状態に保持されている。第2搬送部113は、第2固定ローラ113aと、第2可動ローラ113bと、を有している。
【0030】
第2固定ローラ113aは、ローラコンベアで構成されている。第2固定ローラ113aは、当該第2固定ローラ113aの高さ位置が変更できないように支持体120に支持されている。第2固定ローラ113aは、高位置に位置する第1可動ローラ112b(搬送状態における第1搬送部112)から送られてきた搬送物10を受けることが可能な高さに設けられている。第2固定ローラ113aの搬送方向は、第1可動ローラ112bの搬送方向と同一である。第2固定ローラ113aは、搬送経路の下流側に向かって下降するように傾斜しており、高位置に位置する第1可動ローラ112bの延長線上に配置されている。
【0031】
第2可動ローラ113bは、ローラコンベアで構成されている。第2可動ローラ113bの搬送方向は、第2固定ローラ113aの搬送方向と直交している。第2可動ローラ113bの搬送方向は、受け部111の搬送方向と逆向きである。第2可動ローラ113bは、第2固定ローラ113aを挟むように配置されている。第2可動ローラ113bは、搬送経路の下流側に向かって下降するように傾斜している。第2可動ローラ113bは、第2固定ローラ113aに対する高さ位置が変更可能となるように支持体120に支持されている。具体的に、第2可動ローラ113bは、低位置と高位置との間で第2固定ローラ113aに対して相対変位可能である。
【0032】
低位置(図7に示される位置)は、第2可動ローラ113bの下流側の端部が搬送経路における第2搬送部113の下流側に位置する渡し部114の上流側の端部よりも低い位置である。このため、第2可動ローラ113bが低位置に位置する状態では、第2搬送部113から渡し部114に向けて搬送物10が搬送されない。つまり、第2可動ローラ113bが低位置に位置する状態が前記禁止状態に相当する。第2可動ローラ113bは、当該第2可動ローラ113bに外力が作用していない状態では、低位置に保持されている。
【0033】
高位置(図8及び図9に示される位置)は、第2可動ローラ113bの下流側の端部が渡し部114の上流側の端部と同じ高さかそれよりも僅かに高い位置である。このため、第2可動ローラ113bが高位置に位置する状態では、第2搬送部113から渡し部114に向けて搬送物10が搬送される。つまり、第2可動ローラ113bが高位置に位置する状態が前記搬送状態に相当する。
【0034】
渡し部114は、搬送経路の一部を構成しており、ローラコンベアで構成されている。渡し部114は、第2搬送部113から搬送経路の下流側に向けて搬送物10を搬送するとともに、その搬送物10をモバイルロボット300に渡す。渡し部114は、搬送経路の下流側に向かうにしたがって下降するように傾斜している。
【0035】
支持体120は、設置面よりも高い位置でコンベア110を支持している。本実施形態では、支持体120は、複数の支柱部材と複数の梁部材とが互いに接続された枠体構造で構成されている。
【0036】
第1切替機構130は、第1搬送部112を搬送状態と禁止状態とに切り替えるための機構である。具体的に、第1切替機構130は、第1可動ローラ112bを、当該第1可動ローラ112bが低位置に位置する状態と高位置に位置する状態とに切り替えるための機構である。第1切替機構130は、「操作部」に相当する第1操作部132と、「伝達部」に相当する第1伝達部134と、を有している。
【0037】
第1操作部132は、多関節ロボット200により操作されることが可能である。本実施形態では、第1操作部132は、多関節ロボット200による押圧を受けていない非押圧位置(図4に示される位置)と、多関節ロボット200による押圧を受けている押圧位置(図6に示される位置)と、の間で鉛直方向に沿って移動可能である。
【0038】
第1伝達部134は、第1操作部132と第1可動ローラ112bとを連結している。第1伝達部134は、第1操作部132に入力された押圧力、つまり、多関節ロボット200による押圧力を第1可動ローラ112bに伝達する。本実施形態では、第1伝達部134は、ギアで構成されている。第1伝達部134は、第1操作部132が押圧された際に第1可動ローラ112bを低位置から高位置に移動させる。第1伝達部134は、第1操作部132の押圧が解除された際に第1可動ローラ112bを高位置から低位置に移動させる。第1操作部132が多関節ロボット200により押圧されていない状態では、第1伝達部134は、第1操作部132を非押圧位置に位置させ、かつ、第1可動ローラ112bを低位置に位置させる。
【0039】
第2切替機構140は、第2搬送部113を搬送状態と禁止状態とに切り替えるための機構である。具体的に、第2切替機構140は、第2可動ローラ113bを、当該第2可動ローラ113bが低位置に位置する状態と高位置に位置する状態とに切り替えるための機構である。第2切替機構140は、「他の操作部」に相当する第2操作部142と、「他の伝達部」に相当する第2伝達部144と、を有している。
【0040】
第2操作部142は、多関節ロボット200により操作されることが可能である。本実施形態では、第2操作部142は、多関節ロボット200による押圧を受けていない非押圧位置(図7に示される位置)と、多関節ロボット200による押圧を受けている押圧位置(図8及び図9に示される位置)と、の間で鉛直方向に沿って移動可能である。第2操作部142は、第1操作部132に隣接するように配置されている。
【0041】
第2伝達部144は、第2操作部142と第2可動ローラ113bとを連結している。第2伝達部144は、第2操作部142に入力された押圧力、つまり、多関節ロボット200による押圧力を第2可動ローラ113bに伝達する。本実施形態では、第2伝達部144は、ギアで構成されている。第2伝達部144は、第2操作部142が押圧された際に第2可動ローラ113bを低位置から高位置に移動させる。第2伝達部144は、第2操作部142の押圧が解除された際に第2可動ローラ113bを高位置から低位置に移動させる。第2操作部142が多関節ロボット200により押圧されていない状態では、第2伝達部144は、第2操作部142を非押圧位置に位置させ、かつ、第2可動ローラ113bを低位置に位置させる。
【0042】
第1カウンタウェイト151は、第1搬送部112に接続されている。具体的に、第1カウンタウェイト151は、第1可動ローラ112bに接続されている。
【0043】
第2カウンタウェイト152は、第2搬送部113に接続されている。具体的に、第2カウンタウェイト152は、第2可動ローラ113bに接続されている。
【0044】
ストッパ機構160は、搬送物10が渡し部114からモバイルロボット300に移動するのを禁止する待機状態と、搬送物10が渡し部114からモバイルロボット300に移動するのを許容する送り状態と、に切り替え可能な機構である。ストッパ機構160は、ストッパ部162と、切替部164と、を有している。
【0045】
図10に示されるように、ストッパ部162は、支持体120のうち渡し部114の下流側の端部に位置する搬送物10と当接する部位に設けられている。ストッパ部162は、搬送物10に当接する当接位置と、搬送物10から退避する退避位置と、の間で移動可能である。ストッパ部162が当接位置に位置する状態が待機状態であり、ストッパ部162が退避位置に位置する状態が送り状態である。
【0046】
切替部164は、ストッパ部162を当接位置と退避位置とに切り替える。切替部164に外力が作用していない状態では、ストッパ部162は当接位置に位置している。図1及び図2に示されるように、切替部164は、支持体120からモバイルロボット300の移動軌跡に突出する形状を有している。つまり、切替部164は、モバイルロボット300により押圧される。切替部164は、モバイルロボット300に押圧されることにより、ストッパ部162を退避位置に位置させる。これにより、搬送物10は、渡し部114からモバイルロボット300に移動する。
【0047】
カム部170は、支持体120に固定されている。図1及び図2に示されるように、カム部170は、支持体120のうち受け部111を支持する部位から側方に突出する形状を有している。
【0048】
多関節ロボット200は、搬送物10に対する操作が可能である。本実施形態では、多関節ロボット200は、搬送物10に対する操作として、物品をトレイ10に積載する操作が可能である。本実施形態では、多関節ロボット200として、人と共に作業することが可能ないわゆる協調ロボットが用いられている。
【0049】
多関節ロボット200は、物品をトレイ10に積載する前記操作の他、第1切替機構130の操作と、第2切替機構140の操作と、を行うことが可能である。具体的に、多関節ロボット200は、第1操作部132の押圧操作と、第2操作部142の押圧操作と、を行うことが可能である。多関節ロボット200は、第1搬送部112が禁止状態から搬送状態となるように第1操作部132を押圧する。多関節ロボット200は、第2搬送部113が禁止状態から搬送状態となるように第2操作部142を押圧する。
【0050】
第1カウンタウェイト151は、第1搬送部112が禁止状態から搬送状態となるように多関節ロボット200が第1操作部132を操作する際の操作力を補助する。具体的に、第1カウンタウェイト151は、第1可動ローラ112bに接続されており、第1可動ローラ112bが低位置から高位置となるように多関節ロボット200が第1操作部132を操作する際の操作力を補助する。
【0051】
第2カウンタウェイト152は、第2搬送部113が禁止状態から搬送状態となるように多関節ロボット200が第2操作部142を操作する際の操作力を補助する。具体的に、第2カウンタウェイト152は、第2可動ローラ113bに接続されており、第2可動ローラ113bが低位置から高位置となるように多関節ロボット200が第2操作部142を操作する際の操作力を補助する。
【0052】
作業台210は、多関節ロボット200が物品に対する作業を行うための台である。図1及び図2に示されるように、作業台210は、第1搬送部112及び第2搬送部113の側方に配置されている。
【0053】
第1操作部132は、作業台210と第1搬送部112との間に配置されている。第2操作部142は、作業台210と第2搬送部113との間に配置されている。第1操作部132及び第2操作部142は、多関節ロボット200が前記物品をトレイ10に積載する操作を行う際に多関節ロボット200が移動する範囲ないしその近傍に配置されている。
【0054】
モバイルロボット300は、搬送物10を移動させるロボットである。本実施形態では、モバイルロボット300は、空のトレイ10や物品が積載されたトレイ10を移動させる。モバイルロボット300は、空のトレイ10を移載ステーション100に渡すことと、物品が積載されたトレイ10を移載ステーション100から受け取ることと、を行う。モバイルロボット300は、予め設定された移動軌跡に沿って移動可能である。図11に示されるように、モバイルロボット300は、ロボット本体310と、保持部320と、カム部330と、ストッパ機構340と、を有している。
【0055】
ロボット本体310は、予め設定された移動軌跡に沿って移動可能である。移動軌跡は、受け部111及び渡し部114の側方(受け部111及び渡し部114を基準として作業台210が配置されている側と反対側)を通るように設定されている。
【0056】
保持部320は、ロボット本体310に支持されている。保持部320は、搬送物10を保持することが可能である。保持部320の高さは、作業台210の高さとほぼ同じに設定されている。保持部320は、上流側保持部321と、下流側保持部322と、支持枠323と、を有している。
【0057】
上流側保持部321は、例えば、空のトレイ10を保持する。上流側保持部321は、ロボット本体310が移載ステーション100の側方に位置したときに受け部111と対向する。上流側保持部321は、ローラコンベアで構成されている。上流側保持部321は、搬送経路の下流側に向かって下降するように傾斜している。
【0058】
下流側保持部322は、例えば、物品が積載されたトレイ10を保持する。下流側保持部322は、ロボット本体310が移載ステーション100の側方に位置したときに渡し部114と対向する。下流側保持部322は、ローラコンベアで構成されている。下流側保持部322は、搬送経路の下流側に向かって下降するように傾斜している。
【0059】
支持枠323は、ロボット本体310上に上流側保持部321及び下流側保持部322を支持している。
【0060】
カム部330は、支持枠323のうち切替部164を操作可能な部位に接続されている。カム部330は、ロボット本体310が移載ステーション100の側方に位置するときに切替部164を押し上げる。これにより、ストッパ部162が当接位置から退避位置に切り替わる。
【0061】
ストッパ機構340は、支持枠323のうちカム部170に操作されることが可能な部位に接続されている。ストッパ機構340の構造は、ストッパ機構160の構造と同じである。すなわち、ロボット本体310が移載ステーション100の側方に位置したときに、カム部170がストッパ機構340を操作することにより、空のトレイ10が上流側保持部321から受け部111に搬送される。
【0062】
続いて、搬送物10の移動態様の例について説明する。
【0063】
例えば、図1に示されるように、モバイルロボット300は、空のトレイ10を保持した状態で移載ステーション100の側方に移動する。このとき、移載ステーション100のカム部170がモバイルロボット300のストッパ機構340を操作することにより、上流側保持部321に保持されている空のトレイ10が移載ステーション100の受け部111に向けて搬送される。これにより、図3に示されるように、空のトレイ10は、受け部111を経て第1搬送部112に搬送される。
【0064】
続いて、図5及び図6に示されるように、多関節ロボット200は、第1操作部132を押圧する。これにより、第1可動ローラ112bが高位置に移動するため、図7に示されるように、空のトレイ10が第2搬送部113に搬送される。
【0065】
次に、多関節ロボット200は、物品を作業台210からトレイ10内に移動させる。物品のトレイ10への積載が終了すると、図8及び図9に示されるように、多関節ロボット200は、第2操作部142を押圧する。これにより、第2可動ローラ113bが高位置に移動するため、物品が積載されたトレイ10が渡し部114に搬送される。このとき、図9に示されるように、トレイ10は、当接位置に位置するストッパ部162に当接する。
【0066】
その後、上流側保持部321に空のトレイ10を保持したモバイルロボット300が再び移載ステーション100の側方に移動する。このとき、上記のようにカム部170がストッパ機構340を操作する。これと同時に、モバイルロボット300のカム部330が切替部164を操作する。そうすると、ストッパ部162が退避位置に移動するため、渡し部114に待機していたトレイ10は、モバイルロボット300の下流側保持部322に搬送される。
【0067】
以上のようにして、モバイルロボット300及び移載ステーション100間でのトレイ10の受け渡しが自動で行われる。
【0068】
以上に説明したように、本実施形態の搬送システム1では、搬送物10に対する操作を行う多関節ロボット200により、第1搬送部112を搬送状態と禁止状態とに切り替えるための第1切替機構130の操作と、第2搬送部113を搬送状態と禁止状態とに切り替えるための第2切替機構140の操作と、が行われるため、各切替機構130,140を切り替えるための専用の動力(モータ等の動力)が不要となる。
【0069】
また、各操作部132,142は、作業台210と各搬送部112,113との間に配置されているため、多関節ロボット200が各操作部132,142を操作するために移動する距離を小さくすることが可能となる。
【0070】
また、第1搬送部112には、第1カウンタウェイト151が接続されているため、第1搬送部112を禁止状態から搬送状態とする際における多関節ロボット200による第1操作部132の操作力が低減される。このことは、多関節ロボット200が第2操作部142を操作する場合についても同様である。このため、多関節ロボット200として、人と共に作業することが可能ないわゆる協調ロボットを用いることが可能となる。
【0071】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0072】
例えば、第1搬送部112を禁止状態から搬送状態へ切り替える手段は、第1可動ローラ112bの高さ位置を変えることに限らず、ストッパ機構160と同様の構成であってもよい。このことは、第2搬送部113についても同様である。
【0073】
<付記>
上記実施形態の搬送システム1の特徴的な構成を要約すると、以下のとおりである。
【0074】
[構成1]
搬送物(10)の搬送経路の一部を構成しており、前記搬送経路の下流側への前記搬送物の搬送を許容する搬送状態と、前記搬送経路の下流側への前記搬送物の搬送を禁止する禁止状態と、に切り替え可能な搬送部(112)と、
前記搬送部を前記搬送状態と前記禁止状態とに切り替えるための切替機構(130)と、
前記搬送物に対する操作が可能な多関節ロボット(200)と、を備え、
前記多関節ロボットは、前記切替機構を操作可能である、搬送システム(1)。
【0075】
[構成2]
前記搬送物(10)は、物品を搬送可能なトレイを含み、
前記多関節ロボット(200)は、前記搬送物に対する操作として前記物品を前記トレイに積載する操作と、前記切替機構の操作と、を行うことが可能である、構成1に記載の搬送システム。
【0076】
[構成3]
前記切替機構(130)は、
前記多関節ロボットにより操作される操作部(132)と、
前記操作部と前記搬送部とを連結しており、前記多関節ロボットにより前記操作部に入力された操作力を前記搬送部に伝達する伝達部(134)と、を有し、
前記伝達部(134)は、前記操作部が操作された際に前記搬送部を前記禁止状態から前記搬送状態に切り替える、構成2に記載の搬送システム。
【0077】
[構成4]
前記多関節ロボットが前記物品に対する作業を行うための作業台(210)をさらに備え、
前記操作部(132)は、前記作業台と前記搬送部との間に配置されている、構成3に記載の搬送システム。
【0078】
[構成5]
前記搬送部に接続されたカウンタウェイト(151)をさらに備え、
前記搬送部(112)は、当該搬送部に外力が作用していない状態では前記禁止状態に保持されており、
前記カウンタウェイト(151)は、前記搬送部が前記禁止状態から前記搬送状態となるように前記多関節ロボットが前記操作部を操作する際の操作力を補助する、構成3又は4に記載の搬送システム。
【0079】
[構成6]
前記搬送経路における前記搬送部の下流側に配置されており、前記搬送経路の下流側への前記搬送物の搬送を許容する搬送状態と、前記搬送経路の下流側への前記搬送物の搬送を禁止する禁止状態と、に切り替え可能な他の搬送部(113)と、
前記他の搬送部を前記搬送状態と前記禁止状態とに切り替えるための他の切替機構(140)と、をさらに備え、
前記他の切替機構(140)は、
前記多関節ロボットにより操作される他の操作部(142)と、
前記他の操作部と前記他の搬送部とを連結しており、前記多関節ロボットにより前記他の操作部に入力された操作力を前記他の搬送部に伝達する他の伝達部(144)と、を有し、
前記他の伝達部(144)は、前記他の操作部が操作された際に前記他の搬送部を前記禁止状態から前記搬送状態に切り替える、構成3から5のいずれかに記載の搬送システム。
【0080】
[構成7]
前記他の操作部(142)は、前記操作部(132)に隣接するように配置されている、構成6に記載の搬送システム。
【符号の説明】
【0081】
1 搬送システム、10 搬送物(トレイ)、100 移載ステーション、110 コンベア、111 受け部、112 第1搬送部、112a 第1固定ローラ、112b 第1可動ローラ、113 第2搬送部、113a 第2固定ローラ、113b 第2可動ローラ、114 渡し部、120 支持体、130 第1切替機構、132 第1操作部、134 第1伝達部、140 第2切替機構、142 第2操作部、144 第2伝達部、151 第1カウンタウェイト、152 第2カウンタウェイト、160 ストッパ機構、162 ストッパ部、164 突出部、200 多関節ロボット、210 作業台、300 モバイルロボット、310 ロボット本体、320 保持部、330 ストッパ機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11