IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイフクの特許一覧

<>
  • 特許-フローティングユニット 図1
  • 特許-フローティングユニット 図2
  • 特許-フローティングユニット 図3
  • 特許-フローティングユニット 図4
  • 特許-フローティングユニット 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】フローティングユニット
(51)【国際特許分類】
   F16C 32/04 20060101AFI20240312BHJP
   B25J 17/02 20060101ALI20240312BHJP
   F16D 37/02 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F16C32/04 Z
B25J17/02 G
F16D37/02 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020060032
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021154472
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大江 正浩
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-039530(JP,A)
【文献】特開2014-052044(JP,A)
【文献】特開2019-002421(JP,A)
【文献】実開平02-031631(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 17/02
F16D 37/02
F16C 32/04
F16F 15/04
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1対向面を有する第1部材と、
前記第1対向面に対して規定の第1方向に対向するように配置された第2対向面を有する第2部材と、
前記第1部材に対して前記第2部材が、前記第1方向に直交する第2方向に相対移動すると共に、前記第1方向に沿う軸を中心として相対回転するように、前記第1部材及び前記第2部材を支持する可動支持部と、
前記第2部材を前記第1部材に対する基準位置に向けて付勢する付勢機構と、
前記第1方向における前記第1対向面と前記第2対向面との間に形成された対向空間を封止する封止機構と、
前記対向空間に充填された磁性流体と、
前記第1対向面と前記第2対向面とが異なる磁極を有する磁極面となる磁場を生成する磁場生成状態と、前記磁場を生成しない磁場未生成状態と、に状態変更可能に構成された磁場生成部と、を備え
前記第1部材は、前記第1方向に沿う軸心を有する筒状に形成された筒状部と、当該筒状部から径方向の内側に突出するように形成されて前記筒状部に固定された板状の第1板状部と、を備え、
前記第2部材は、前記第1板状部に対して前記径方向の内側に配置されて前記第1方向に沿って延在する軸状部と、当該軸状部から前記径方向の外側に突出するように形成されて前記軸状部に固定された板状の第2板状部と、を備え、
前記第1板状部と前記第2板状部とが、前記第1方向に並んで配置され、
前記第1板状部における前記第1方向を向く面に、前記第1対向面が形成され、
前記第2板状部における前記第1方向を向く面に、前記第2対向面が形成され、
前記磁場生成部は、前記筒状部の前記径方向の外側を囲むように配置されたコイルを備え、
前記封止機構は、可撓性を有する可撓性部材を備え、
前記可撓性部材は、前記筒状部に対して前記第1方向の両側において前記軸状部の前記径方向の外側を囲むように配置され、前記筒状部に対して前記第1方向の両側において前記第1部材と前記第2部材とを連結している、フローティングユニット。
【請求項2】
第1対向面を有する第1部材と、
前記第1対向面に対して規定の第1方向に対向するように配置された第2対向面を有する第2部材と、
前記第1部材に対して前記第2部材が、前記第1方向に直交する第2方向に相対移動すると共に、前記第1方向に沿う軸を中心として相対回転するように、前記第1部材及び前記第2部材を支持する可動支持部と、
前記第2部材を前記第1部材に対する基準位置に向けて付勢する付勢機構と、
前記第1方向における前記第1対向面と前記第2対向面との間に形成された対向空間を封止する封止機構と、
前記対向空間に充填された磁性流体と、
前記第1対向面と前記第2対向面とが異なる磁極を有する磁極面となる磁場を生成する磁場生成状態と、前記磁場を生成しない磁場未生成状態と、に状態変更可能に構成された磁場生成部と、を備え
前記第1部材は、前記第2方向に沿って延在するように形成された第1フランジ部を備え、
前記第2部材は、前記第2方向に沿って延在するように形成されて、前記第1フランジ部に対して前記第1方向の両側に並んで配置された第2フランジ部及び第3フランジ部を備え、
前記可動支持部は、前記第1方向における前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との間、及び、前記第1方向における前記第1フランジ部と前記第3フランジ部との間のそれぞれに配置されて、前記第1部材に対して前記第2部材が前記第1方向に相対移動しないように支持する支持体を備えている、フローティングユニット。
【請求項3】
前記第1部材は、複数の前記第1対向面を有し、
前記第2部材は、複数の前記第2対向面を有し、
前記対向空間が、前記第1方向に複数並んで配置され、
前記磁場生成部は、前記磁場生成状態で、前記第1方向に並ぶ全ての前記対向空間における磁場の向きを同じとするように構成されている、請求項1に記載のフローティングユニット。
【請求項4】
前記可動支持部は、前記第1部材に対する前記第2部材の前記第2方向の移動を規定の可動範囲内に制限するように構成され、
前記可動範囲内では、前記第1方向に沿う第1方向視で第1対向面と前記第2対向面とが互いに重複する部分の面積が一定に維持される、請求項1から3のいずれか一項に記載のフローティングユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1部材に対して第2部材が相対移動可能に構成されたフローティングユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなフローティングユニットの一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、「背景技術」及び「発明が解決しようとする課題」の説明では、特許文献1における部材名及び符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1のフローティングユニットは、第1部材(搬送台2)に対して第2部材(フローティング台3)が水平方向に相対移動するように、当該第1部材及び第2部材を支持する可動支持部(直動案内4)と、第2部材(フローティング台3)を第1部材(搬送台2)に対する基準位置に向けて付勢する付勢機構(弾性体6)と、を備えている。
【0004】
このようなフローティングユニットでは、付勢機構(弾性体6)の付勢力に抗するように第2部材(フローティング台3)に対して水平方向の外力が付与されると、当該第2部材は第1部材に対して水平方向に相対移動する。このとき、第1部材(搬送台2)に対する第2部材(フローティング台3)の水平方向の相対位置に応じた付勢機構(弾性体6)の付勢力が、第2部材(フローティング台3)に作用した状態となる。そして、第2部材(フローティング台3)に対する外力の付与が解除されると、当該第2部材は付勢機構(弾性体6)の付勢力により基準位置に戻るように移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-126762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、フローティングユニットを用いた所定の作業の完了後に、基準位置からずれた第2部材の位置を一時的に維持する等して、第2部材の基準位置への復帰を遅らせることが望まれる場合がある。しかし、特許文献1のフローティングユニットでは、基準位置からずれた第2部材(フローティング台3)に対する外力の付与が解除されると、直ちに第2部材(フローティング台3)が付勢機構(弾性体6)の付勢力により基準位置への移動を開始する。そのため、基準位置からずれた第2部材(フローティング台3)に対する外力の付与が解除された後に、当該第2部材の基準位置への復帰を遅らせることは難しかった。このように、特許文献1のフローティングユニットでは、第2部材(フローティング台3)が第1部材(搬送台2)に対する基準位置に戻るための復帰力を制御することは難しかった。
【0007】
そこで、第2部材が第1部材に対する基準位置に戻るための復帰力を容易に制御できるフローティングユニットの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みた、フローティングユニットの特徴構成は、
第1対向面を有する第1部材と、
前記第1対向面に対して規定の第1方向に対向するように配置された第2対向面を有する第2部材と、
前記第1部材に対して前記第2部材が、前記第1方向に直交する第2方向に相対移動すると共に、前記第1方向に沿う軸を中心として相対回転するように、前記第1部材及び前記第2部材を支持する可動支持部と、
前記第2部材を前記第1部材に対する基準位置に向けて付勢する付勢機構と、
前記第1方向における前記第1対向面と前記第2対向面との間に形成された対向空間を封止する封止機構と、
前記対向空間に充填された磁性流体と、
前記第1対向面と前記第2対向面とが異なる磁極を有する磁極面となる磁場を生成する磁場生成状態と、前記磁場を生成しない磁場未生成状態と、に状態変更可能に構成された磁場生成部と、を備え
前記第1部材は、前記第1方向に沿う軸心を有する筒状に形成された筒状部と、当該筒状部から径方向の内側に突出するように形成されて前記筒状部に固定された板状の第1板状部と、を備え、
前記第2部材は、前記第1板状部に対して前記径方向の内側に配置されて前記第1方向に沿って延在する軸状部と、当該軸状部から前記径方向の外側に突出するように形成されて前記軸状部に固定された板状の第2板状部と、を備え、
前記第1板状部と前記第2板状部とが、前記第1方向に並んで配置され、
前記第1板状部における前記第1方向を向く面に、前記第1対向面が形成され、
前記第2板状部における前記第1方向を向く面に、前記第2対向面が形成され、
前記磁場生成部は、前記筒状部の前記径方向の外側を囲むように配置されたコイルを備え、
前記封止機構は、可撓性を有する可撓性部材を備え、
前記可撓性部材は、前記筒状部に対して前記第1方向の両側において前記軸状部の前記径方向の外側を囲むように配置され、前記筒状部に対して前記第1方向の両側において前記第1部材と前記第2部材とを連結している点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、磁場生成部が磁場生成状態である場合、磁性流体に含まれる磁性微粒子が、第1対向面と第2対向面とを接続するように鎖状クラスタを形成する。その結果、第2部材が第1部材に対して相対移動又は相対回転する際の抵抗が増加する。したがって、磁場生成部を磁場生成状態とすることで、基準位置からずれた位置にある第2部材を付勢機構の付勢力に抗して定位置に保持し、或いは当該第2部材が基準位置に戻る速度を小さく抑えることができる。つまり、第2部材に付勢機構の付勢力が作用している場合であっても、第2部材が第1部材に対する基準位置に戻るための復帰力を、零又は当該付勢力よりも小さくすることができる。
一方で、磁場生成部が磁場未生成状態である場合、磁性流体に含まれる磁性微粒子は、鎖状クラスタを形成せず、溶媒中に分散している。その結果、第2部材が第1部材に対して相対移動又は相対回転する際の抵抗が、磁場生成部が磁場生成状態である場合に比べて小さくなる。したがって、磁場生成部を磁場未生成状態とすることで、第2部材に付勢機構の付勢力が作用している場合に、第2部材が第1部材に対する基準位置に戻るための復帰力を、当該付勢力と同等にすることができる。また、磁場生成部を磁場未生成状態とすることで、第2部材が基準位置からずれた位置に移動し易い状態(いわゆるフローティング状態)とすることができる。
更に、本特徴構成によれば、磁場の強さに応じて、鎖状クラスタの強度を変化させることができる。これにより、第2部材が第1部材に対して相対移動又は相対回転する際の抵抗を容易に変化させることができる。
以上のように、本特徴構成によれば、第2部材が第1部材に対する基準位置に戻るための復帰力を容易に制御することができる。
また、本特徴構成によれば、第1部材の筒状部が、第2部材の軸状部及び第2板状部の径方向の外側を囲むように配置されている。そして、磁場生成部のコイルが、第1部材の筒状部の径方向の外側を囲むように配置されている。このように、軸状部と筒状部とコイルとが、径方向に並んで配置されている。これにより、フローティングユニットの第1方向の寸法を小さく抑えることが容易となっている。また、筒状部に対して径方向内側の空間に対向空間が形成されるので、当該対向空間を封止する封止機構の構成を簡略化することが容易となっている。
また、本特徴構成によれば、可撓性を有する可撓性部材は、第2部材が第1部材に対して相対移動又は相対回転することに伴って変形する。これにより、第2部材が第1部材に対して相対移動又は相対回転した場合であっても、可撓性部材によって対向空間の封止状態を維持することができる。したがって、第1部材に対する第2部材の相対位置に関わらず、対向空間に磁性流体を適切に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るフローティングユニットの第1方向に沿う断面図
図2】実施形態に係るフローティングユニットの要部拡大断面図
図3図1におけるIII-III断面図
図4】実施形態に係るフローティングユニットを備えた着脱設備の一例を示す側面図
図5】実施形態に係るフローティングユニットを備えた着脱設備の別例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、実施形態に係るフローティングユニット100について、図面を参照して説明する。図1に示すように、フローティングユニット100は、第1部材1と、第2部材2と、可動支持部3と、付勢機構4と、封止機構5と、磁場生成部6と、を備えている。
【0012】
図2に示すように、第1部材1は、第1対向面1aを有している。そして、第2部材2は、第2対向面2aを有している。第1対向面1aと第2対向面2aとは、互いに規定の第1方向Vに対向するように配置されている。第1対向面1aと第2対向面2aとは、互いに第1方向Vに離れて配置されており、第1方向Vにおける第1対向面1aと第2対向面2aとの間には、対向空間Fが形成されている。
【0013】
本実施形態では、第1部材1は、筒状部11と、第1板状部12と、を備えている。
【0014】
筒状部11は、第1方向Vに沿う軸心を有する筒状に形成されている。本実施形態では、筒状部11の内周面は、第1方向Vに沿う軸心を有する円筒状に形成されている。以下の説明では、筒状部11の軸心を基準として、「軸方向L」、「径方向R」、及び「周方向C(図3参照)」を定義している。
【0015】
軸方向Lは、筒状部11の軸心に沿う方向である。つまり、軸方向Lは、第1方向Vに一致する。径方向Rは、軸方向Lに直交する方向であって、筒状部11の軸心から放射状に延在する方向である。そのため、筒状部11の軸心周りの全周のうちの一部又は全部の径方向Rは、第1方向Vに直交する第2方向Hに該当する。本実施形態では、筒状部11の軸心周りの全周に係る径方向Rが第2方向Hに該当する。周方向Cは、筒状部11の軸心を中心とする円周に沿う方向である。以下の説明では、軸方向Lの一方側を「軸方向第1側L1」とし、軸方向Lの他方側を「軸方向第2側L2」とする。また、径方向Rにおいて、筒状部11の軸心側を「径方向内側R1」とし、その反対側を「径方向外側R2」とする。
【0016】
第1板状部12は、筒状部11に固定されている。第1板状部12は、筒状部11から径方向内側R1に突出する板状に形成されている。本実施形態では、第1板状部12は、径方向R及び周方向Cに延在する円環板状に形成されている(図3参照)。そして、第1板状部12の外径は、筒状部11における第1板状部12が配置される部分の内径と同一に設定されている。また、本実施形態では、複数の第1板状部12が軸方向Lに等間隔で並ぶように配置されている。このような配置を実現するため、本例では、軸方向Lに隣接する一対の第1板状部12の間に、筒状の第1スペーサ12sが配置されている。そして、複数の第1板状部12は、筒状部11に対する軸方向Lの相対移動が規制されるように軸方向Lの両側から保持されている。こうして、複数の第1板状部12は、筒状部11に対して固定されている。
【0017】
図2に示すように、本実施形態では、第2部材2は、軸状部21と、第2板状部22と、を備えている。
【0018】
軸状部21は、第1方向Vに沿って延在するように形成されている。つまり、軸状部21は、軸方向Lに沿う軸心を有する軸状に形成されている。本実施形態では、軸状部21は、軸方向Lに沿う軸心を有する円柱状に形成されている。軸状部21は、第1板状部12に対して径方向内側R1に配置されている。
【0019】
第2板状部22は、軸状部21に固定されている。第2板状部22は、軸状部21から径方向外側R2に突出する板状に形成されている。本実施形態では、第2板状部22は、径方向R及び周方向Cに延在する円環板状に形成されている(図3参照)。そして、第2板状部22の内径は、軸状部21における第2板状部22が配置される部分の外径と同一に設定されている。また、本実施形態では、複数の第2板状部22が軸方向Lに等間隔で並ぶように配置されている。このような配置を実現するため、本例では、軸方向Lに隣接する一対の第2板状部22の間に、筒状の第2スペーサ22sが配置されている。そして、複数の第2板状部22は、軸状部21に対する軸方向Lの相対移動が規制されるように軸方向Lの両側から保持されている。こうして、複数の第2板状部22は、軸状部21に対して固定されている。
【0020】
図2に示すように、第1板状部12と第2板状部22とは、第1方向Vに並んで配置されている。そして、第1板状部12における第1方向Vを向く面に、第1対向面1aが形成されている。また、第2板状部22における第1方向Vを向く面に、第2対向面2aが形成されている。本実施形態では、第1板状部12と第2板状部22とが第1方向Vに交互に位置すると共に、最も軸方向第1側L1と最も軸方向第2側L2のそれぞれに第1板状部12が位置するように、複数の第1板状部12と複数の第2板状部22とが第1方向Vに並んで配置されている。そして、各第1板状部12における第2板状部22と対向する面に第1対向面1aが形成されていると共に、各第2板状部22における第1板状部12と対向する面に第2対向面2aが形成されている。本例では、軸方向Lに隣接する一対の第1板状部12の間に1つの第2板状部22が位置するように、6つの第1板状部12と5つの第2板状部22とが配置されている。そして、最も軸方向第1側L1の第1板状部12の軸方向第2側L2を向く面に第1対向面1aが形成されていると共に、最も軸方向第2側L2の第1板状部12の軸方向第1側L1を向く面に第1対向面1aが形成されている。更に、残りの4つの第1板状部12のそれぞれにおける、軸方向第1側L1を向く面と軸方向第2側L2を向く面とのそれぞれに、第1対向面1aが形成されている。また、5つの第2板状部22のそれぞれにおける、軸方向第1側L1を向く面と軸方向第2側L2を向く面とのそれぞれに、第2対向面2aが形成されている。
【0021】
このように、本実施形態では、第1部材1が複数の第1対向面1aを有していると共に、第2部材2が複数の第2対向面2aを有している。そして、第1方向Vにおける第1対向面1aと第2対向面2aとの間に形成された対向空間Fが、第1方向Vに複数並んで配置されている。本例では、10個の対向空間Fが、第1方向Vに並んで配置されている。
【0022】
図1に示すように、本実施形態では、第1部材1は、第1取付部13と、第1フランジ部14と、連結部15と、を更に備えている。
【0023】
第1取付部13は、フローティングユニット100を第1の取付対象に取り付けるために設けられている。第1取付部13は、第2方向Hに沿って延在する板状に形成されている。本実施形態では、第1取付部13は、径方向R及び周方向Cに延在する円環板状に形成されている。また、本実施形態では、第1取付部13は、筒状部11よりも軸方向第2側L2に配置されている。
【0024】
第1フランジ部14は、第2方向Hに沿って延在するように形成されている。本実施形態では、第1フランジ部14は、筒状部11から径方向外側R2に突出するように形成されている。そして、第1フランジ部14は、筒状部11に固定されている。また、本実施形態では、第1フランジ部14は、第1支持部141と、第2支持部142と、接続部143と、を有している。
【0025】
第1支持部141と第2支持部142とのそれぞれは、軸方向Lに離れて配置されている。接続部143は、第1支持部141と第2支持部142とを接続するように形成されている。本実施形態では、第2支持部142は、筒状部11の軸方向第2側L2の端部から径方向外側R2に突出するように形成されている。そして、第2支持部142における筒状部11よりも径方向外側R2の部分から軸方向第1側L1に向けて、接続部143が突出するように形成されている。更に、接続部143の軸方向第1側L1の端部から径方向外側R2に向けて、第1支持部141が突出するように形成されている。図示の例では、筒状部11と第1支持部141と第2支持部142と接続部143とが一体的に形成されている。
【0026】
連結部15は、第1取付部13と第1フランジ部14とを連結するように形成されている。本実施形態では、連結部15は、筒状部11よりも径方向Rの寸法が大きい筒状に形成されている。そして、連結部15は、第1取付部13と第2支持部142とを連結している。図示の例では、連結部15は、第1取付部13と一体的に形成されている。また、連結部15は、ボルトによって第2支持部142と固定されている。
【0027】
本実施形態では、第2部材2は、第2取付部23と、第2フランジ部24と、第3フランジ部25と、第1連結部26と、第2連結部27と、を更に備えている。
【0028】
第2取付部23は、フローティングユニット100を第2の取付対象に取り付けるために設けられている。第2取付部23は、第2方向Hに沿って延在する板状に形成されている。本実施形態では、第2取付部23は、径方向R及び周方向Cに延在する円環板状に形成されている。そして、第2取付部23は、軸状部21に対して径方向外側R2であって、径方向Rに沿う径方向視で軸状部21の軸方向第1側L1の端部と重複する位置に配置されている。ここで、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。
【0029】
第2フランジ部24及び第3フランジ部25のそれぞれは、第2方向Hに沿って延在するように形成されている。本実施形態では、第2フランジ部24は、第2取付部23から径方向外側R2に突出するように、径方向R及び周方向Cに延在する円環板状に形成されている。また、本実施形態では、第2フランジ部24は、第2取付部23に対して軸方向第2側L2に配置されている。そして、第2フランジ部24は、第2取付部23に固定されている。図示の例では、第2フランジ部24と第2取付部23とが一体的に形成されている。また、本実施形態では、第3フランジ部25は、径方向R及び周方向Cに延在する円環板状に形成されている。そして、第3フランジ部25は、軸状部21に対して径方向外側R2に配置されている。
【0030】
第2フランジ部24及び第3フランジ部25は、第1フランジ部14に対して第1方向Vの両側に並んで配置されている。本実施形態では、第2フランジ部24は、第1フランジ部14の第1支持部141に対して軸方向第1側L1から対向するように配置されている。また、本実施形態では、第3フランジ部25は、第2連結部27と連結されるフランジ連結部251と、当該フランジ連結部251から径方向外側R2に突出するように形成されたフランジ本体部252と、を有している。フランジ連結部251は、フランジ本体部252に対して軸方向第2側L2に配置されている。フランジ本体部252は、第1フランジ部14の第2支持部142に対して軸方向第2側L2から対向すると共に、第1取付部13に対して軸方向第1側L1から対向するように配置されている。
【0031】
第1連結部26は、軸状部21と第2取付部23とを連結している。本実施形態では、第1連結部26は、軸状部21の軸方向第1側L1の端部と、第2取付部23の径方向内側R1の端部とを連結している。図示の例では、第1連結部26は、軸状部21と第2取付部23とのそれぞれに対して、ボルトによって固定されている。
【0032】
第2連結部27は、軸状部21と第3フランジ部25とを連結している。本実施形態では、第2連結部27は、軸状部21の軸方向第2側L2の端部と、第3フランジ部25のフランジ連結部251とを連結している。図示の例では、第2連結部27と軸状部21との双方に対して径方向Rに沿って挿通されたピン2pによって、第2連結部27と軸状部21とが互いに固定されている。また、第2連結部27は、ボルトによってフランジ連結部251と固定されている。
【0033】
可動支持部3は、第1部材1に対して第2部材2が、第2方向Hに相対移動すると共に、第1方向Vに沿う軸を中心として相対回転するように、第1部材1及び第2部材2を支持する。本実施形態では、可動支持部3は、第1支持体31と、第2支持体32と、を備えている。また、上記の通り、本実施形態では、全ての径方向Rが第2方向Hに該当する。したがって、第2部材2は、第1部材1に対して任意の径方向Rに相対移動できるように、可動支持部3によって支持されている。
【0034】
第1支持体31及び第2支持体32は、第1部材1に対して第2部材2が第1方向Vに相対移動しないように支持する。第1支持体31は、第1方向Vにおける第1フランジ部14と第2フランジ部24との間に配置されている。本例では、第1支持体31は、第1方向Vにおける第1フランジ部14の第1支持部141と第2フランジ部24との間に配置されている。第2支持体32は、第1方向Vにおける第1フランジ部14と第3フランジ部25との間に配置されている。本例では、第2支持体32は、第1方向Vにおける第1フランジ部14の第2支持部142と第3フランジ部25との間に配置されている。
【0035】
本実施形態では、第1支持体31は、球状に形成された第1転動部311と、当該第1転動部311を全方向に回転自在に保持する第1保持部312と、を備えている。
【0036】
第1転動部311は、第2フランジ部24における軸方向第2側L2を向く面に形成された第1転動面24aに当接するように配置されている。第1転動部311は、第1部材1に対して第2部材2が相対移動又は相対回転した場合に、第1転動面24a上を転動する。第1転動面24aは、第2方向Hに沿う平面として形成されている。
【0037】
第1保持部312は、当該第1保持部312から第1転動部311の一部が軸方向第1側L1に突出するように、第1転動部311を保持している。第1保持部312は、第1フランジ部14の第1支持部141に固定されている。
【0038】
本実施形態では、第2支持体32は、第1支持体31と同様に構成されている。具体的には、第2支持体32は、球状に形成された第2転動部321と、当該第2転動部321を全方向に回転自在に保持する第2保持部322と、を備えている。
【0039】
第2転動部321は、第3フランジ部25のフランジ本体部252における軸方向第1側L1を向く面に形成された第2転動面25aに当接するように配置されている。第2転動部321は、第1部材1に対して第2部材2が相対移動又は相対回転した場合に、第2転動面25a上を転動する。第2転動面25aは、第2方向Hに沿う平面として形成されている。
【0040】
第2保持部322は、当該第2保持部322から第2転動部321の一部が軸方向第2側L2に突出するように、第2転動部321を保持している。第2保持部322は、第1フランジ部14の第2支持部142に固定されている。
【0041】
本実施形態では、複数の第1支持体31が、周方向Cに分散して配置されている。また、複数の第2支持体32も、周方向Cに分散して配置されている。なお、本実施形態に係る第1支持体31及び第2支持体32として、例えば、公知のボールキャスタを採用可能である。
【0042】
図3に示すように、本実施形態では、可動支持部3は、第1部材1に対する第2部材2の第2方向Hの移動を規定の可動範囲内に制限するように構成されている。図3に示す例では、第2板状部22の外周端が、第1板状部12の内周端よりも径方向内側R1に位置することがないように、第1部材1に対する第2部材2の第2方向Hの移動が制限されている。なお、図3では、筒状部11の軸心と軸状部21の軸心とが一致している状態における第2板状部22の位置を破線で示している。また、筒状部11の軸心に対して軸状部21の軸心が最も径方向Rに離れた状態における第2板状部22の位置を1点鎖線で示している。このように、上記の可動範囲内では、第1方向Vに沿う第1方向視で第1対向面1aと第2対向面2aとが互いに重複する部分(ここでは、第1板状部12と第2板状部22とが互いに重複する部分)の面積が一定に維持される。
【0043】
図1に示すように、付勢機構4は、第2部材2を第1部材1に対する基準位置Pに向けて付勢する。ここで、基準位置Pは、第2方向Hの外力が第2部材2に付与されていない場合における、第1部材1に対する第2部材2の相対位置である。本実施形態では、基準位置Pは、筒状部11の軸心と軸状部21の軸心とが重なっている状態における、第1部材1に対する第2部材2の相対位置である。つまり、本実施形態では、第2部材2が基準位置Pにある場合、筒状部11と軸状部21とが同軸となる。
【0044】
本実施形態では、付勢機構4は、プランジャ41と、受け部材42と、を備えている。プランジャ41は、第1部材1及び第2部材2のいずれか一方に配置されている。受け部材42は、第1部材1及び第2部材2のいずれか他方に配置されている。
【0045】
プランジャ41は、摺動部411と、当該摺動部411を軸方向Lに付勢する付勢部412と、摺動部411及び付勢部412を保持する保持部413と、を備えている。本実施形態では、摺動部411は球状に形成されている。付勢部412は、摺動部411を受け部材42の側へ押圧する方向へ付勢する。本実施形態では、付勢部412は、軸方向Lに伸縮する圧縮コイルばねである。保持部413は、摺動部411が軸方向Lに摺動する内周面を有する筒状に形成されている。摺動部411は、付勢部412の付勢力に抗する外力が摺動部411に付与されていない状態では、当該摺動部411の一部が保持部413から受け部材42の側へ突出するように配置される。本実施形態では、保持部413は、第1取付部13から軸方向第1側L1に突出するように、第1取付部13に固定されている。つまり、本実施形態では、プランジャ41は、第1部材1に取り付けられている。
【0046】
受け部材42は、プランジャ41に対して軸方向Lに対向するように配置されている。本実施形態では、受け部材42は、プランジャ41に対して軸方向第1側L1から対向するように配置されている。そして、受け部材42は、第3フランジ部25のフランジ本体部252に固定されている。つまり、本実施形態では、受け部材42は、第2部材2に取り付けられている。
【0047】
受け部材42は、プランジャ41の摺動部411が摺動する摺動面42aを有している。摺動面42aは、中心位置から第2方向Hに離れるに従って、第1方向Vにおけるプランジャ41の側(ここでは、軸方向第2側L2)に向かうように傾斜している。このような摺動面42aは、例えば、円錐面状、角錐面状、又は球面状に形成される。
【0048】
本実施形態では、互いに軸方向Lに対向する1つのプランジャ41と1つの受け部材42とを一組として、周方向Cに複数組が分散配置されている。
【0049】
本実施形態では、第2部材2が基準位置Pにある場合に、プランジャ41の摺動部411が最も軸方向第1側L1に位置するように、摺動面42aに対する摺動部411の相対位置が設定されている。つまり、摺動面42aにおける最も軸方向第1側L1の位置である中心位置が、第2部材2が基準位置Pにある状態での摺動部411の位置に対応する位置となっている。そして、第2部材2に第2方向Hの外力が付与されて第2部材2が基準位置Pからずれた位置に移動されると、摺動部411が摺動面42aによって軸方向第2側L2に押圧される。その結果、摺動部411が付勢部412の付勢力に抗して軸方向第2側L2に移動する。また、第2部材2が基準位置Pからずれた位置にある場合、摺動部411は付勢部412によって軸方向第1側L1に付勢されているため、第2部材2に対する第2方向Hの外力の付与が解除されると、摺動面42aの傾斜に沿って摺動部411が軸方向第1側L1に移動するように、受け部材42を支持する第2部材2がプランジャ41を支持する第1部材1に対して相対移動する。このように、第2部材2が基準位置Pからずれた位置にある場合、摺動面42aにおける摺動部411との接触部分に、第2部材2を基準位置Pに戻す力が作用する。
【0050】
図1及び図2に示すように、封止機構5は、第1方向Vにおける第1対向面1aと第2対向面2aとの間に形成された対向空間Fを封止する。本実施形態では、封止機構5は、可撓性を有する第1可撓性部材51及び第2可撓性部材52を備えている。
【0051】
第1可撓性部材51及び第2可撓性部材52は、筒状部11に対して第1方向Vの両側において、軸状部21の径方向外側R2を囲むように配置されている。そして、第1可撓性部材51及び第2可撓性部材52は、筒状部11に対して第1方向Vの両側において、第1部材1と第2部材2とを連結している。本実施形態では、第1可撓性部材51及び第2可撓性部材52のそれぞれは、蛇腹状に形成された部分を有する筒状部材である。
【0052】
本実施形態では、第1可撓性部材51は、筒状部11に対して軸方向第1側L1において、最も軸方向第1側L1の第1板状部12と第1連結部26とを連結している。具体的には、本実施形態では、最も軸方向第1側L1の第1板状部12には、当該第1板状部12の径方向内側R1の端部から軸方向第1側L1に突出する円筒状に形成された第1突出部12aが設けられている。また、第1連結部26には、軸状部21の外周面を覆うように軸方向第2側L2に突出する円筒状に形成された第1ボス部26aが設けられている。そして、第1可撓性部材51が第1突出部12aの外周面と第1ボス部26aの外周面とを覆うように、第1可撓性部材51が軸方向第1側L1から第1突出部12aに嵌挿されていると共に、軸方向第2側L2から第1ボス部26aに嵌挿されている。
【0053】
また、本実施形態では、第2可撓性部材52は、筒状部11に対して軸方向第2側L2において、最も軸方向第2側L2の第1板状部12と第2連結部27とを連結している。具体的には、本実施形態では、最も軸方向第2側L2の第1板状部12には、当該第1板状部12の径方向内側R1の端部から軸方向第2側L2に突出する円筒状に形成された第2突出部12bが設けられている。また、第2連結部27には、軸状部21の外周面を覆うように軸方向第1側L1に突出する円筒状に形成された第2ボス部27aが設けられている。そして、第2可撓性部材52が第2突出部12bの外周面と第2ボス部27aの外周面とを覆うように、第2可撓性部材52が軸方向第2側L2から第2突出部12bに嵌挿されていると共に、軸方向第1側L1から第2ボス部27aに嵌挿されている。
【0054】
本実施形態では、軸方向Lにおける第1突出部12aと第1ボス部26aとの間の開口が第1可撓性部材51によって塞がれていると共に、軸方向Lにおける第2突出部12bと第2ボス部27aとの間の開口が第2可撓性部材52によって塞がれている。こうして、軸状部21と、第1連結部26及び第2連結部27と、筒状部11と、最も軸方向第1側L1の第1板状部12と、最も軸方向第2側L2の第1板状部12と、第1可撓性部材51及び第2可撓性部材52とによって、封止空間Sが形成されている。封止空間Sには、複数の対向空間Fが含まれている。そのため、封止機構5によって封止空間Sが封止されることに伴って、複数の対向空間Fも封止されている。
【0055】
可撓性を有する第1可撓性部材51及び第2可撓性部材52は、第1部材1に対して第2部材2が相対移動又は相対回転することに伴って、第1部材1と第2部材2との連結状態を維持しつつ変形する。こうして、第1部材1に対して第2部材2が相対移動又は相対回転した場合であっても、第1可撓性部材51及び第2可撓性部材52によって対向空間Fの封止状態が維持される。
【0056】
対向空間Fには、磁性流体MRが充填されている。本実施形態では、複数の対向空間Fを含む封止空間Sに、磁性流体MRが充填されている。磁性流体MRは、磁性を有した流体であり、周辺の磁場を変化させることにより粘性を変化させることができる機能性流体である。このような磁性流体MRとして、例えば、マグネタイト、マンガン亜鉛フェライト等の磁性微粒子と、当該磁性微粒子の表面を覆う界面活性剤と、水、油等の分散媒と、を含むコロイド溶液を用いることができる。本例では、磁性流体MRは、例えばミクロンオーダーのメジアン径の磁性微粒子を含む磁気粘性(Magnetorheological:MR)流体である。
【0057】
磁場生成部6は、第1対向面1aと第2対向面2aとが異なる磁極を有する磁極面となる磁場を生成する磁場生成状態と、前記磁場を生成しない磁場未生成状態と、に状態変更可能に構成されている。図2に示すように、本実施形態では、磁場生成状態の磁場生成部6は、磁力線Mが複数の対向空間Fを軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向けて通るように磁場を生成する。つまり、磁場生成部6は、磁場生成状態で、第1方向Vに並ぶ全ての対向空間Fにおける磁場の向きを同じとする。そのため、本実施形態では、複数の第1対向面1a及び複数の第2対向面2aのうち、軸方向第2側L2を向く対向面がN極の磁極面となり、軸方向第1側L1を向く対向面がS極の磁極面となる。なお、第1対向面1aと第2対向面2aとを磁極面として機能させるために、少なくとも、第1部材1における第1対向面1aが形成された部分と第2部材2における第2対向面2aが形成された部分とが、磁性体(具体的には、鉄、ケイ素鋼、電磁ステンレス鋼等の軟磁性材料)により構成されていると良い。本実施形態では、第1板状部12と第2板状部22とが磁性体により構成されている。
【0058】
図1及び図2に示すように、本実施形態では、磁場生成部6は、コイル61を備えている。コイル61は、規定の通電装置(図示を省略)により通電されることで、磁場を生成する電磁コイルである。通電装置によりコイル61に流れる電流の大きさを変化させることで、コイル61が生成する磁場の強さを変化させることができる。
【0059】
コイル61は、筒状部11の径方向外側R2を囲むように配置されている。また、コイル61は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。本実施形態では、コイル61は、筒状部11の軸心と一致する軸心を有する円筒状に形成され、筒状部11の径方向外側R2を囲むように配置されている。図示の例では、コイル61は、筒状部11と第1フランジ部14とによって囲まれた空間に配置されている。具体的には、筒状部11と、第1フランジ部14の第2支持部142及び接続部143とによって、軸方向第1側L1が開放された空間が形成されており、この空間にコイル61が軸方向第1側L1から収容されている。なお、このコイル61の収容空間における軸方向第1側L1の開放部分は、径方向R及び周方向Cに延在する円環板状の閉塞部16によって閉塞されている。
【0060】
磁場生成部6が磁場生成状態である場合、磁性流体MRに含まれる磁性微粒子が、第1対向面1aと第2対向面2aとを接続するように鎖状クラスタを形成する。その結果、第2部材2が第1部材1に対して相対移動又は相対回転する際の抵抗が増加する。したがって、磁場生成部6を磁場生成状態とすることで、基準位置Pからずれた位置にある第2部材2を付勢機構4の付勢力に抗して定位置に保持し、或いは当該第2部材2が基準位置Pに戻る速度を小さく抑えることができる。つまり、第2部材2に付勢機構4の付勢力が作用している場合であっても、第2部材2が第1部材1に対する基準位置Pに戻るための復帰力を、零又は当該付勢力よりも小さくすることができる。なお、上記の鎖状クラスタの強度は、磁場の強さに応じて変化する。本実施形態では、通電装置によりコイル61に流れる電流の大きさを変化させることで、コイル61が生成する磁場の強さ、延いては鎖状クラスタの強度を変化させることができる。
【0061】
一方で、磁場生成部6が磁場未生成状態である場合、磁性流体MRに含まれる磁性微粒子は、鎖状クラスタを形成せず、溶媒中に分散している。その結果、第2部材2が第1部材1に対して相対移動又は相対回転する際の抵抗が、磁場生成部6が磁場生成状態である場合に比べて小さくなる。したがって、磁場生成部6を磁場未生成状態とすることで、第2部材2に付勢機構4の付勢力が作用している場合に、第2部材2が第1部材1に対する基準位置Pに戻るための復帰力を、当該付勢力と同等にすることができる。また、磁場生成部6を磁場未生成状態とすることで、第2部材2が基準位置Pからずれた位置に移動し易い状態(いわゆるフローティング状態)とすることができる。
【0062】
図4に示すように、本実施形態では、フローティングユニット100は、規定の部品を着脱するための着脱設備10に設けられている。
【0063】
着脱設備10は、部品を把持する把持装置20と、多関節のロボットアーム30と、を備えている。把持装置20は、フローティングユニット100の第2取付部23に取り付けられている。ロボットアーム30の先端部は、フローティングユニット100の第1取付部13に取り付けられている。ロボットアーム30を制御することで、把持装置20をロボットアーム30の動作範囲内において所望の位置に移動させると共に所望の角度に調整することができる。
【0064】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、着脱設備10が多関節のロボットアーム30を備えた構成を例として説明したが、そのような構成に限定されない。例えば、図5に示すように、着脱設備10が、ロボットアーム30の代わりに、水平面に沿って互いに交差する方向に延在する第1水平レール40X及び第2水平レール40Yと、鉛直方向に沿って延在する鉛直レール40Zと、を備えていても良い。図5に示す例では、フローティングユニット100は、軸方向第1側L1が鉛直方向の下側となるように配置されている。そして、フローティングユニット100の第1取付部13に、第2水平レール40Yが取り付けられている。第2水平レール40Yは、第1取付部13を第2水平レール40Yの延在方向に沿って移動自在に支持している。第1水平レール40Xは、第2水平レール40Yを第1水平レール40Xの延在方向に沿って移動自在に支持している。鉛直レール40Zは、第1水平レール40Xを鉛直レール40Zの延在方向(鉛直方向)に沿って移動自在に支持している。ここでは、第1水平レール40Xと第2水平レール40Yとは、互いに直交するように配置されている。なお、図示は省略するが、着脱設備10は、第1取付部13を第2水平レール40Yの延在方向に沿って移動させる第1駆動力源と、第2水平レール40Yを第1水平レール40Xの延在方向に沿って移動させる第2駆動力源と、第1水平レール40Xを鉛直レール40Zの延在方向(鉛直方向)に沿って移動させる第3駆動力源と、を備えている。
【0065】
(2)上記の実施形態では、複数の対向空間Fが第1方向Vに並んで配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、複数の対向空間Fが第2方向Hに並んで配置されていても良い。或いは、複数の対向空間Fが第1方向V及び第2方向Hに分散して配置されていても良い。また、1つの対向空間Fのみが配置された構成としても良い。
【0066】
(3)上記の実施形態では、第1方向Vに沿う第1方向視で第1対向面1aと第2対向面2aとが互いに重複する部分の面積が、第1部材1に対する第2部材2の第2方向Hの相対位置によらず一定に維持される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1方向視で第1対向面1aと第2対向面2aとが互いに重複する部分の面積が、第1部材1に対する第2部材2の第2方向Hの相対位置に応じて変化する構成としても良い。
【0067】
(4)上記の実施形態では、コイル61が軸方向Lに沿う軸心を有する円筒状に形成された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、複数の電磁コイルが筒状部11の径方向外側R2を囲むように周方向Cに並んで配置されていても良い。
【0068】
(5)上記の実施形態では、封止機構5が、可撓性を有する第1可撓性部材51及び第2可撓性部材52を備え、複数の対向空間Fを含んでそれより広い封止空間Sを封止する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、封止機構5が対向空間Fのみを封止する構成としても良い。
【0069】
(6)上記の実施形態では、第1支持体31が第1転動部311と第1保持部312とを備えると共に、第2支持体32が第2転動部321と第2保持部322とを備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1支持体31及び第2支持体32のそれぞれが、対向する2つの平面のうちの一方の平面に固定されて、他方の平面上を摺動自在に構成されたブッシュ等の摺動部材を備えた構成であっても良い。
【0070】
(7)上記の実施形態では、第1部材1の筒状部11が円筒状に形成され、第2部材2の軸状部21が円柱状に形成され、第1板状部12及び第2板状部22が円環板状に形成された構成を例として説明した。しかし、これらの形状はこのようなものには限定されず、他の様々な形状とすることができる。例えば、第1部材1の筒状部11が、例えば四角形や六角形等の多角形筒状に形成され、第2部材2の軸状部21が例えば四角形や六角形等の多角形柱状に形成されていても良い。これらの場合において、第1板状部12及び第2板状部22も、多角形の環状状に形成されていても良い。
【0071】
(8)上記の実施形態では、第1部材1に対して第2部材2が相対移動する方向を第2方向Hとして、筒状部11の軸心周りの全周に係る径方向Rが第2方向Hに該当する構成を例として説明した。しかしこれには限定されず、筒状部11の軸心周りの全周のうちの一部の径方向Rのみが、第2方向Hに該当する構成としても良い。この場合、第2部材2は、第1部材1に対して、筒状部11の軸心周りの全周に係る径方向Rのうちの一部の径方向Rについてのみ相対移動できる構成となる。例えば、第2部材2は、第1部材1に対して、筒状部11の軸心周りの全周のうちの直交する2つの径方向Rのみに相対移動できる構成であっても良い。
【0072】
(9)上記の実施形態では、フローティングユニット100は、軸方向第1側L1が鉛直方向の下側となるように配置された構成を例として説明したが、フローティングユニット100が配置される向きは、これには限定されない。フローティングユニット100は、例えば、軸方向第1側L1が鉛直方向の上側となる向きや、軸方向Lが水平方向に沿う向きや、軸方向Lが鉛直方向及び水平方向に対して傾斜した方向に沿う向きとなるように配置されていていも良い。また、フローティングユニット100は、例えば垂直多関節型ロボットのアームの先端等、使用中に鉛直方向に対する軸方向Lの向きが様々に変化する部分に取り付けられても良い。
【0073】
(10)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0074】
〔上記実施形態の概要〕
以下では、上記において説明したフローティングユニットの概要について説明する。
【0075】
フローティングユニットは、
第1対向面を有する第1部材と、
前記第1対向面に対して規定の第1方向に対向するように配置された第2対向面を有する第2部材と、
前記第1部材に対して前記第2部材が、前記第1方向に直交する第2方向に相対移動すると共に、前記第1方向に沿う軸を中心として相対回転するように、前記第1部材及び前記第2部材を支持する可動支持部と、
前記第2部材を前記第1部材に対する基準位置に向けて付勢する付勢機構と、
前記第1方向における前記第1対向面と前記第2対向面との間に形成された対向空間を封止する封止機構と、
前記対向空間に充填された磁性流体と、
前記第1対向面と前記第2対向面とが異なる磁極を有する磁極面となる磁場を生成する磁場生成状態と、前記磁場を生成しない磁場未生成状態と、に状態変更可能に構成された磁場生成部と、を備えている。
【0076】
この構成によれば、磁場生成部が磁場生成状態である場合、磁性流体に含まれる磁性微粒子が、第1対向面と第2対向面とを接続するように鎖状クラスタを形成する。その結果、第2部材が第1部材に対して相対移動又は相対回転する際の抵抗が増加する。したがって、磁場生成部を磁場生成状態とすることで、基準位置からずれた位置にある第2部材を付勢機構の付勢力に抗して定位置に保持し、或いは当該第2部材が基準位置に戻る速度を小さく抑えることができる。つまり、第2部材に付勢機構の付勢力が作用している場合であっても、第2部材が第1部材に対する基準位置に戻るための復帰力を、零又は当該付勢力よりも小さくすることができる。
一方で、磁場生成部が磁場未生成状態である場合、磁性流体に含まれる磁性微粒子は、鎖状クラスタを形成せず、溶媒中に分散している。その結果、第2部材が第1部材に対して相対移動又は相対回転する際の抵抗が、磁場生成部が磁場生成状態である場合に比べて小さくなる。したがって、磁場生成部を磁場未生成状態とすることで、第2部材に付勢機構の付勢力が作用している場合に、第2部材が第1部材に対する基準位置に戻るための復帰力を、当該付勢力と同等にすることができる。また、磁場生成部を磁場未生成状態とすることで、第2部材が基準位置からずれた位置に移動し易い状態(いわゆるフローティング状態)とすることができる。
更に、本構成によれば、磁場の強さに応じて、鎖状クラスタの強度を変化させることができる。これにより、第2部材が第1部材に対して相対移動又は相対回転する際の抵抗を容易に変化させることができる。
以上のように、本構成によれば、第2部材が第1部材に対する基準位置に戻るための復帰力を容易に制御することができる。
【0077】
ここで、前記第1部材は、複数の前記第1対向面を有し、
前記第2部材は、複数の前記第2対向面を有し、
前記対向空間が、前記第1方向に複数並んで配置され、
前記磁場生成部は、前記磁場生成状態で、前記第1方向に並ぶ全ての前記対向空間における磁場の向きを同じとするように構成されていると好適である。
【0078】
この構成によれば、フローティングユニット全体として、第1対向面と第2対向面との対向面積を大きく確保することができる。これにより、磁場生成部が磁場生成状態である場合に、フローティングユニット全体として、多くの鎖状クラスタを形成することができる。その結果、第2部材が第1部材に対して相対移動又は相対回転する際の抵抗を大きくすることができる。したがって、第2部材に作用する付勢機構の付勢力が比較的大きい場合であっても、第2部材が第1部材に対する基準位置に戻るための復帰力を適切に制御することができる。
【0079】
また、前記可動支持部は、前記第1部材に対する前記第2部材の前記第2方向の移動を規定の可動範囲内に制限するように構成され、
前記可動範囲内では、前記第1方向に沿う第1方向視で第1対向面と前記第2対向面とが互いに重複する部分の面積が一定に維持されると好適である。
【0080】
この構成によれば、第1部材に対する第2部材の相対位置よって、鎖状クラスタの形成に影響する第1対向面と第2対向面との対向面積が変化しない。これにより、第1部材に対する第2部材の相対位置に関わらず、第2部材が第1部材に対して相対移動又は相対回転する際の抵抗を一定にすることができる。したがって、第2部材が第1部材に対する基準位置に戻るための復帰力を適切に制御することができる。
【0081】
また、前記第1部材は、前記第1方向に沿う軸心を有する筒状に形成された筒状部と、当該筒状部から径方向の内側に突出するように形成されて前記筒状部に固定された板状の第1板状部と、を備え、
前記第2部材は、前記第1板状部に対して前記径方向の内側に配置されて前記第1方向に沿って延在する軸状部と、当該軸状部から前記径方向の外側に突出するように形成されて前記軸状部に固定された板状の第2板状部と、を備え、
前記第1板状部と前記第2板状部とが、前記第1方向に並んで配置され、
前記第1板状部における前記第1方向を向く面に、前記第1対向面が形成され、
前記第2板状部における前記第1方向を向く面に、前記第2対向面が形成され、
前記磁場生成部は、前記筒状部の前記径方向の外側を囲むように配置されたコイルを備えていると好適である。
【0082】
この構成によれば、第1部材の筒状部が、第2部材の軸状部及び第2板状部の径方向の外側を囲むように配置されている。そして、磁場生成部のコイルが、第1部材の筒状部の径方向の外側を囲むように配置されている。このように、軸状部と筒状部とコイルとが、径方向に並んで配置されている。これにより、フローティングユニットの第1方向の寸法を小さく抑えることが容易となっている。また、筒状部に対して径方向内側の空間に対向空間が形成されるので、当該対向空間を封止する封止機構の構成を簡略化することが容易となっている。
【0083】
また、前記第1部材が前記筒状部と前記第1板状部とを備えると共に、前記第2部材が前記軸状部と前記第2板状部とを備えた構成において、
前記封止機構は、可撓性を有する可撓性部材を備え、
前記可撓性部材は、前記筒状部に対して前記第1方向の両側において前記軸状部の前記径方向の外側を囲むように配置され、前記筒状部に対して前記第1方向の両側において前記第1部材と前記第2部材とを連結していると好適である。
【0084】
この構成によれば、可撓性を有する可撓性部材は、第2部材が第1部材に対して相対移動又は相対回転することに伴って変形する。これにより、第2部材が第1部材に対して相対移動又は相対回転した場合であっても、可撓性部材によって対向空間の封止状態を維持することができる。したがって、第1部材に対する第2部材の相対位置に関わらず、対向空間に磁性流体を適切に保持することができる。
【0085】
また、前記第1部材は、前記第2方向に沿って延在するように形成された第1フランジ部を備え、
前記第2部材は、前記第2方向に沿って延在するように形成されて、前記第1フランジ部に対して前記第1方向の両側に並んで配置された第2フランジ部及び第3フランジ部を備え、
前記可動支持部は、前記第1方向における前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との間、及び、前記第1方向における前記第1フランジ部と前記第3フランジ部との間のそれぞれに配置されて、前記第1部材に対して前記第2部材が前記第1方向に相対移動しないように支持する支持体を備えていると好適である。
【0086】
この構成によれば、第1部材に対して第2部材が第1方向に相対移動しないように、第1部材と第2部材とが支持体によって支持されている。これにより、例えば、第1方向に荷重(重力を含む)が作用した場合であっても、第1部材と第2部材との第1方向の相対位置関係を維持することができる。したがって、鉛直方向に対するフローティングユニットの向きや荷重が作用する向きによらず、フローティングユニットを適切に動作させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示に係る技術は、第1部材に対して第2部材が相対移動可能に構成されたフローティングユニットに利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
100 :フローティングユニット
1 :第1部材
1a :第1対向面
2 :第2部材
2a :第2対向面
3 :可動支持部
4 :付勢機構
5 :封止機構
6 :磁場生成部
F :対向空間
P :基準位置
V :第1方向
H :第2方向
図1
図2
図3
図4
図5