(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】レーザー溶接加工装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/08 20140101AFI20240312BHJP
B23K 26/10 20060101ALI20240312BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20240312BHJP
B23K 26/70 20140101ALI20240312BHJP
【FI】
B23K26/10
B23K26/21 F
B23K26/70
(21)【出願番号】P 2020062757
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】三井 一成
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-072850(JP,A)
【文献】特開2000-000689(JP,A)
【文献】特開平08-132291(JP,A)
【文献】特開平08-033996(JP,A)
【文献】特開平08-323493(JP,A)
【文献】特開昭51-141743(JP,A)
【文献】特表2005-535463(JP,A)
【文献】実開昭55-151775(JP,U)
【文献】実開昭61-053086(JP,U)
【文献】米国特許第05630269(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第01057579(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の薄板を端と端が接するように配置し、
前記薄板の端と端が接した部分に集光させたレーザーを入射し走査させて溶接する加工装置であって、
前記薄板が磁性体金属材料であり、
前記薄板の一方の面に接するように平坦な台を備え、
前記平坦な台が非磁性材料であり、
前記平坦な台の薄板と接した面とは反対側の面に、前記薄板の端と端が接した領域を少なくとも一部含むように磁力源を有し、
前記磁力源が前記レーザーを入射させる部分の近傍のみに配置されており、
前記磁力源とは反対方向からレーザーを入射することを特徴とするレーザー溶接加工装置。
【請求項2】
2枚の薄板を端と端が接するように配置し、
前記薄板の端と端が接した部分に集光させたレーザーを入射し走査させて溶接する加工装置であって、
前記薄板が磁性体金属材料であり、
前記薄板の一方の面に接するように平坦な台を備え、
前記平坦な台が非磁性材料であり、
前記平坦な台の薄板と接した面とは反対側の面に、前記薄板の端と端が接した領域を少なくとも一部含むように磁力源を有し、
前記磁力源をレーザーの走査に合わせて移動させる機構を備え、
前記磁力源とは反対方向からレーザーを入射することを特徴とするレーザー溶接加工装置。
【請求項3】
前記薄板の平坦な台と接した面と反対側の面に、前記薄板を固定する固定治具を有し、
前記固定治具は、前記薄板のレーザー入射部の近傍を
固定する、
請求項1または2に記載のレーザー溶接加工装置。
【請求項4】
前記薄板の一方の面の一部に微細構造が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザー溶接加工装置。
【請求項5】
前記薄板がニッケルであることを特徴とする
請求項1または2に記載のレーザー溶
接加工装置。
【請求項6】
前記薄板の厚さが100μm以上500μm以下であることを特徴とする
請求項1または2に記載のレーザー溶接加工装置。
【請求項7】
前記微細構造が形成されている面が平坦な台に接していることを特徴とする
請求項4に記載のレーザー溶接加工装置。
【請求項8】
前記磁力源の中心から垂直方向における薄板の位置において磁束密度が2000ガウス以上8000ガウス以下であることを特徴とする
請求項1または2に記載のレーザー溶接加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板をレーザー溶接加工する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄板同士を溶接するための装置では、一般に、互いに溶接すべき薄板を一対のベースプレート上にそれぞれ載置して位置決めし、その上方からリンク機構あるいはシリンダ機構等により作動される平板状の板押えを押付ける構造となっていた。
【0003】
薄板の溶接すべき端縁部に隣接する部分を把持し、薄板の端縁部を剪断した後、剪断によって仕上げられた新規の端縁部を溶接位置まで進出させるようにした薄板溶接機のクランプ構造に係る提案や、ベースプレートを装入可能な間隔で上側腕部と下側腕部とを有する一対のフレームを水平方向に移動可能にかつ上下方向に移動可能に設けた押圧機構の小型化を目的とした改良に係る提案が公知である。(特許文献1,2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭60-113190号公報
【文献】特許第2864764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薄板の突合せ溶接においては、溶接作業中に熱歪みで薄板が変形すると溶接部に隙間や段差が生じて溶接不良の原因となる。特に、板厚が薄い場合やレーザー溶接のように溶融範囲の狭い溶接の場合に溶接不良が発生しやすい。このため、熱歪みによる薄板の変形を抑えるために、板押えでの工夫が必要となっている。特に、微小領域に加工を行なうレーザー溶接では、目標位置を押さえ冶具で押えつつ、治具内の撮影画像に基づいて行われることもあり、押さえ冶具はレーザー溶接部の予定領域に近接して配置するのが好ましいとされている。特許文献1,2では、機械的な手法による板押えの押圧荷重を大きくする上での、または小型化を目的とした押圧機構の改良が図られている。
本発明は、機械的な手法に依存しない押圧機構を採用して、薄板の溶接すべき箇所の変形を抑制し、さらには2枚の薄板の突き合せ時に生じる位置ズレを抑えることが可能となるレーザー溶接加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
2枚の薄板を端と端が接するように配置し、前記薄板の端と端が接した部分にレーザーを入射し走査させて溶接する加工装置であって、
前記薄板が磁性体金属材料であり、前記薄板の一方の面に接するように平坦な台を備え、前記平坦な台が非磁性材料であり、前記平坦な台の薄板と接した面とは反対側の面に前記薄板の端と端が接した領域を少なくとも一部含むように磁力源を有し、前記磁力源が前記レーザーを入射させる部分の近傍のみに配置されており、前記磁力源とは反対方向からレーザーを入射することを特徴とするレーザー溶接加工装置である。
【0007】
上記の構成であれば、磁力源で薄板を平坦な台に密着させることが可能であり、薄板の垂直方向の突き合せズレを小さくすることが可能である。
【0008】
本発明に係るレーザー溶接加工装置は、さらに前記薄板の平坦な台と接した面と反対側の面に、前記薄板を固定する固定治具を有し、前記固定治具が前記薄板のレーザー入射部の近傍を固定してもよい。
【0009】
上記構成によれば、さらに薄板の変形が抑えられ、溶接部において段差や位置ずれが小さくなる。
前記薄板の一方の面の一部に微細構造が形成されてもよい。
上記構成によれば、意匠性の高い大型サイズのスタンパを作成することが可能となる。
前記薄板がニッケルであってもよい。
上記構成によれば、安価に薄板を製造することが可能となる。
前記薄板の厚さが100μm 以上500μm 以下であってもよい。
上記構成によれば、ハンドリング性が向上した意匠性の高いスタンパを提供することが可能となる。
前記微細構造が形成されている面が平坦な台に接してもよい。
上記構成によれば、微細構造が形成されている面が平坦な台に接させることで、薄板の垂直方向の突き合せズレを小さくすることが可能となる。
前記磁力源の中心から垂直方向における薄板の位置において磁束密度が2000ガウス以上8000ガウス以下であってもよい。
上記構成によれば、水平方向と垂直方向に十分な力が働くため、変形や位置ずれが生じにくくなる。
【発明の効果】
【0010】
溶接部の段差や位置ずれを抑制する上で、機械的な手法に依存しない磁力による押圧機構を採用したレーザー溶接加工装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る加工装置の第一の構成を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る加工装置の第二の構成を示す平面図である。
【
図5】固定治具による薄板歪み補正効果を示す断面図である。
【
図6】磁力源による薄板歪み補正効果を示す断面図である。
【
図7】磁力源と薄板の位置関係による力のかかり方を示した図である。
【
図8】磁力源により設置した2枚の薄板にかかる力を示した図である。
【
図10】磁力源が走査する場合の
図3のII-IIの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明のレーザー溶接加工装置について図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明の第一実施形態に係るレーザー溶接加工装置の主要部(薄板の突き合せ溶接部)を示す平面図である。
図2は、
図1のI-I線に沿った断面図である。図示を省略したレーザー光源は、炭酸ガスレーザーやYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザーYbファイバーレーザーなどとできる。YAGレーザーやYbファイバーレーザーは、炭酸ガスレーザーより波長が短いため、金属吸収率が高い。また、Ybファイバーレーザーは、ビーム品質が高く、レンズによりレーザーを小さいビーム径にすることが可能である。そのため、Ybファイバーレーザーを選択することが好ましい。溶接する部材の材料に応じて、出力、ビーム径、照射時間が選定される。レーザー光源は、材質に応じて出力、ビーム径、照射時間などによりエネルギーを調整することで、溶接部材の変形を抑えることができ、スタンパの溶接に適している。レーザー光源の出力は、1W以上、200W以下とできる。また、レーザー光源からのレーザービームを薄板に照射する際に、集光レンズにより、集光してもよい。さらにレーザーのプロファイルを成型する光学系を用いてもよい。また、レーザービームの照射位置を定めるために、ガイド光を用いてもよい。
【0014】
図2に示すように、平坦な台1の上に2枚の薄板2同士の端と端が突き合せるように設置されている。さらに、磁力源5が平坦な台1の下に設置されており、薄板2を下方(磁力源5側)に吸引しているため、薄板2の変形を抑えられ、さらに水平方向の突き合せズレを小さく抑制することができる。この状態で、薄板2同士の端と端が突き合わさった部分にレーザー4を集光することで、段差や位置ずれが抑制されて溶接することができる。
図2において、薄板2の表面に微細構造10が形成されているが、印刷等が施されている薄板を用いても良い。
【0015】
薄板2に使用する材料としては、強磁性体材料が好ましい。強磁性体材料としては、鉄、ニッケル、コバルトなどの使用が可能である。ニッケルを用いると安価に製造することが可能となるニッケルは、電鋳を利用しニッケルの電鋳薄板を形成できる。ニッケルの電鋳薄板は薄板2とできる。ニッケルの電鋳薄板は、剛性が高く、靭性もあるため、スタンパに適している。また、電鋳により微細構造を複製した薄板が製造できる。以上のことから、ニッケルを薄板2として用いることが好ましい。ニッケルの電鋳薄板は、微量の有機物を含有してもよい。有機物の含有量は、0.01%以上、2%以下としてもよい。
【0016】
薄板2の厚さとしては、100μm以上500μm以下が好ましい。厚さが100μm未満であると溶接の強度を保てなくなる。また、500μmより大きい場合には磁力源で薄板を変形させることが困難となる。
【0017】
平坦な台1の材料としては、常磁性体や反磁性体材料が好ましい。平坦な台1が常磁性体や反磁性体材料であれば、平坦な台1で磁束が吸収されず、吸着力が弱まることないためである。常磁性体や反磁性体材料としては、ガラス、アルミ、銅などが使用可能である。平坦な台1の厚みは、3mm未満であることが好ましい。3mm未満であれば、薄板2と磁力源5との距離が短く、十分な磁力源5による吸着力を得やすい。平坦な台1の厚みは、1mm以上とできる。1mm以上であれば、十分な強度を得やすい。ガラスは、石英ガラス、ソーダライムガラスとできる。また、ガラスは複数枚を重ね合わせ、または貼り合せてもよい。ガラスは、ノングレアガラスとしてもよい。
【0018】
磁力源5としては、磁石又は電磁石を用いることができる。磁力源5の中心から垂直方向における薄板2の位置において、磁束密度が2000ガウス以上8000ガウス以下であることが好ましい。2000ガウス未満の場合には、薄板2を十分保持できず、さらに変形を抑制することが困難となる。また、8000ガウスより大きい場合には、薄板2を水平方向にかかる力が強くなり、薄板を歪ませてしまう可能性がある。
【0019】
薄板2は、エンボス複製用のスタンパである場合もあり、複数枚の薄板2を繋ぎ合わせ
て(面付け)、大サイズのシートにエンボス複製する目的においても本発明は適用しうる。スタンパとしての用途の場合、形成される微細構造10としては、反射、回折、干渉、散乱等の光学効果を生じるような構造が好ましい。例えば、回折格子やホログラム等の微細構造において、観察角度の変化に応じて、色変化等を生じさせる効果を有することが可能となる。
【0020】
微細構造を有する薄板2の作製方法としては、感光性レジストを塗布した平板状の基板に電子ビームを照射することにより、感光性レジストをパターン露光し、基板上に微細構造を設ける。その後、ニッケル等を電鋳することにより、微細構造を有する薄板を作製することができる。
【0021】
図3は、本発明の第二実施形態に係るレーザー溶接加工装置の主要部(薄板の突き合せ溶接部)を示す平面図である。
図4は、
図3のI-I線に沿った断面図である。
【0022】
第二実施形態に係るレーザー溶接加工装置は、第一実施形態に係るレーザー溶接加工装置に固定治具を加えた装置なので、一致する箇所の説明は省略する。
【0023】
図4に示すように、平坦な台1の上に2枚の薄板2同士の端と端が突き合せるように設置されている。また、磁力源5が平坦な台1の下に設置されており、薄板2を下方(磁力源5側)に吸引している。さらに、薄板2の上に固定治具3が設置されている。固定治具3は主に薄板2に対する「重し」として機能する。また、固定治具3はレーザー4を妨げないように薄板の端と端が突き合わさった部分を避けるように設置されている。固定治具3はレーザー照射部6から2.5mm程度離れた位置に設置する。固定治具3の位置がレーザー照射部に近いと、固定治具がレーザーの熱で溶融してしまう。また、離れすぎると垂直方向の突き合せズレの制御が困難となる。
【0024】
固定治具3の材料としては、鉄、アルミ、チタンなどの金属を用いることが好ましい。また固定治具には、薄板2を固定する圧力を変動させるために、固定治具3の上から圧力をかけられるような機構を付与してもよい。さらに、圧力の分布を均一化するために、固定治具3と薄板の間にスポンジなどの弾性体を挟んでもよい。
【0025】
図5に固定治具3で薄板2を押さえたときの薄板2の挙動を示す。
図5に示すように、薄板2の歪みが固定治具3によって押さえられている。このように、固定治具3により薄板2の歪みを補正することが可能である。しかし、薄板2の端と端が突き合わさった部分は固定治具3で押さえられていないため、歪みを補正しきれない。
【0026】
平坦な台1の下に磁力源5を設置することによって、磁力により薄板2が下方(磁力源5側)に吸引され、薄板2の端と端が突き合わさった部分を押さえることが可能となる。
図6に磁力源5で薄板2を押さえたときの薄板2の挙動を示す。固定治具3で押さえられていない薄板2の端と端が突き合わさった部分に合わせて平坦な台1の下に磁力源5を配置することにより、薄板2の歪みを補正することが可能である。この方法であれば、レーザー4の照射を妨げることはなく、レーザー照射部6となる薄板2同士の突き合わせ部に隙間,位置ずれ,浮き(段差)を少なくした状態で溶接加工の良好な準備となる。
【0027】
隙間や位置ずれは、カメラで突き合せ部を撮影することで確認が可能である。そして、薄板2を平坦な台の水平方向に移動可能な治具を用いて調整する。
【0028】
固定治具3と磁力源5によって薄板2が固定され、端と端が突き合わさった部分にレーザー4を照射することで、薄板2の突き合せズレを小さく溶接することができる。レーザー照射方法として、スポット溶接11による仮止めを行ってから、レーザーを走査させて溶接することが好ましい。仮止めとは、溶接する前に突き合わさった端にレーザー照射でのスポット溶接11を施すことで、溶接部に穴開き不良や溶接時の熱による熱変形を軽減できる。
図11は仮止めの方法を示した平面図である。
図11に示すようにスポット溶接位置を等間隔A毎(
図11a)、α領域βなどの領域毎(
図11b)、粗密に行う(
図11c)などがある。また、レーザーを走査することで、直線や曲線の溶接を行うことが可能である。
【0029】
磁力源5の設置場所について説明を行う。
【0030】
図7に示すように薄板2の端からはみ出すように磁力源5を設置する。このように磁力源5を配置すると薄板2が磁化した部分が磁力源5に引き寄せられる。つまり、斜め方向の力αが働く。この力は平坦な台1に水平な方向の力aと垂直な方向の力bに分解でき、この二つの力により薄板2は磁力源5の右端まで移動して固定される。
【0031】
図8は、2枚の薄板2の端と端が突き合わさった部分の下に磁力源5を設置した場合の力のかかり方を示している。2枚の薄板は、磁力源5に引き寄せられるようにして固定される。このとき、平坦な台1に水平方向では、2枚の薄板2が端と端が吸い付くような力a1,a2が働き、垂直方向では、薄板2の歪みを補正するような力b1,b2が働く。
【0032】
水平方向に働く力(a1,a2)によって、薄板2の端と端の隙間を小さくすることが可能である。これにより隙間が大きい状態で溶接されることがないため、溶接不良を軽減することが可能となる。さらに、繰り返し溶接を行う場合に隙間を一定にすることが可能になるため、溶接品質を向上させることが可能である。また、垂直方向では、垂直方向に働く力(b1,b2)によって、2枚の薄板2を平坦な台1に密着させることで、突き合せズレを小さくすることが可能である。
【0033】
図9に
図3のII-IIの断面図を示す。
図9に示すように、溶接する部分の全域に磁力源5が配置している形になっている。また、必ずしも
図9のように磁力源5を溶接する部分全域に設置する必要はなく
図10に示すように、レーザー4の走査と同期して磁力源5も移動するような構成にしてもかまわない。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を説明する。
【0035】
接合する薄板2には厚み300μmのニッケル板を電鋳によって製造したものを用いる。薄板2表面には微細構造が形成されている。レーザーには、Ybファイバーレーザー(波長=1070nm)を用いる。集光レンズとして、NAが0.05のレンズを用い、レーザースポットサイズを30μmにする。平坦な台としては、厚さ2.8mmの青板ガラスを用いる。磁力源としては、磁束密度が2000ガウスのネオジム磁石を用いる。
【0036】
平坦な台の上に2枚の薄板2同士の端と端が突き合せるように設置する。また、磁力源を平坦な台の下に設置し、薄板2を下方(磁力源5側)に吸引して、薄板2を固定及び変形を補正する。そして、溶接条件をレーザー出力80W、加工速度40mm/sとして、レーザーで溶接加工することで、薄板2同士の溶接すべき箇所の変形が抑制され、2枚の薄板の突き合せ時に生じる位置ズレが抑えられた状態で、2枚の薄板2同士が好適に接合された。
【符号の説明】
【0037】
1…平坦な台(非磁性体)
2…薄板(磁性体)
3…固定治具
4…レーザー
5…磁力源
6…レーザー照射部
10…微細構造