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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ステアリングシステム
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20240312BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20240312BHJP
   B62D 5/083 20060101ALI20240312BHJP
   B62D 5/065 20060101ALI20240312BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20240312BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D5/04
B62D5/083
B62D5/065 B
B62D5/065 A
B62D119:00
B62D113:00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020089404
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021183447
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】永野 貴宣
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-123231(JP,A)
【文献】特開2011-037394(JP,A)
【文献】特開2019-098964(JP,A)
【文献】特開2011-057163(JP,A)
【文献】特開2005-247201(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0126981(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B62D 5/04
B62D 5/083
B62D 5/065
B62D 119/00
B62D 113/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転舵輪を転舵させる転舵機構と、
前記転舵機構に転舵力の一部を付与する油圧機構と、
前記転舵機構に転舵力の他部を付与する電動モータと、
前記電動モータを制御するモータ制御装置と、
前記電動モータと操作部材との間に介在配置される第一トーションバーと、
前記電動モータと前記転舵機構との間に介在配置される第二トーションバーと、を備え、
前記モータ制御装置は、
前記転舵輪の実舵角を取得する実舵角取得部と、
前記転舵輪の舵角の目標値である目標舵角を取得する目標舵角取得部と、
前記転舵輪の実舵角が前記目標舵角と一致する様に前記電動モータを制御するモータ制御値を生成する制御値生成部と、
前記モータ制御値に対して、前記第一トーションバー、および前記第二トーションバーに基づく固有振動数をフィルタした指示値を生成する指示値演算部と、
を備えるステアリングシステム。
【請求項2】
前記指示値演算部は、遅れ系の伝達関数からなるローパスフィルタに基づき演算する
請求項1に記載のステアリングシステム
【請求項3】
前記ステアリングシステムの固有振動数を解析的、または実測により求めて得られたフィルタに関するフィルタ情報を取得して前記指示値演算部に出力するフィルタ情報取得部を備える
請求項1または2に記載のステアリングシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧機構、および電動モータにより転舵力の一部が付与される転舵機構を備えたステアリングシステムにおいて、前記電動モータを制御するモータ制御装置、およびモータ制御装置を備えたステアリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるように、電動モータによる電動アシストと油圧機構による油圧アシストの2つのアシスト機構を備えたステアリングシステムが存在する。このステアリングシステムは、例えば、ステアリングホイールなどの操作部材から入力される操舵トルクが小さい場合には、電動モータのみできめ細かに操舵をアシストし、操舵力が大きい場合には、前記電動モータと油圧機構とを併用して操舵をアシストする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2018/055803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今では自動運転技術を実現するため、運転者の操作に対してアシスト力を付与する電動モータを自動的に制御して運転者のステアリング操作をサポートしたり、自動制御装置がステアリング操作を実行したりする場合がある。
【0005】
このような自動運転技術を、電動モータと油圧機構とを備えたステアリングシステムに導入しようとした場合、操作部材から転舵機構に至る操舵系に自励振動が発生することを発明者は見出すに至った。
【0006】
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、自励振動を抑制するモータ制御装置、およびモータ制御装置を備えたステアリングシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の1つであるモータ制御装置は、転舵輪を転舵させる転舵機構に転舵力の一部を付与する油圧機構と転舵力の他部を付与する電動モータとを備えるステアリングシステムにおいて、前記電動モータを制御するモータ制御装置であって、前記転舵輪の実舵角を取得する実舵角取得部と、前記転舵輪の舵角の目標値である目標舵角を取得する目標舵角取得部と、前記転舵輪の実舵角が前記目標舵角と一致する様に前記電動モータを制御するモータ制御値を生成する制御値生成部と、前記モータ制御値に対して、前記ステアリングシステムの固有振動数をフィルタした指示値を生成する指示値演算部と、を備える。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明の他の一つであるステアリングシステムは、転舵輪を転舵させる転舵機構と、前記転舵機構に転舵力の一部を付与する油圧機構と、前記転舵機構に転舵力の他部を付与する電動モータと、前記電動モータを制御するモータ制御装置と、前記電動モータと操作部材との間に介在配置される第一トーションバーと、前記電動モータと前記転舵機構との間に介在配置される第二トーションバーと、を備え、前記モータ制御装置は、前記転舵輪の実舵角を取得する実舵角取得部と、前記転舵輪の舵角の目標値である目標舵角を取得する目標舵角取得部と、前記転舵輪の実舵角が前記目標舵角と一致する様に前記電動モータを制御するモータ制御値を生成する制御値生成部と、前記モータ制御値に対して、前記第一トーションバー、および前記第二トーションバーに基づく固有振動数をフィルタした指示値を生成する指示値演算部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操舵系における自励振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】モータ制御装置を備えるステアリングシステムを模式的に表す図である。
図2】モータ制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】ステアリングシステムの操舵系を固有振動数の観点でモデル化した図である。
図4】モータ制御装置を備えるステアリングシステムの別例を模式的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るモータ制御装置、およびモータ制御装置を備えたステアリングシステムの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の位置関係、および接続状態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として説明する場合があるが、請求項に記載されていない構成要素については、その請求項に係る発明に関しては任意の構成要素であるとして説明している。また、図面は、本発明を説明するために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
【0012】
図1は、モータ制御装置を備えるステアリングシステムを模式的に表す図である。ステアリングシステム200は、目標舵角に応じて転舵輪220を転舵し、ステアリングシステム200が搭載される車両の走行方向を操作するシステムである。ステアリングシステム200は、転舵機構230と、油圧機構240と、電動モータ110と、手動操作装置210と、モータ制御装置100と、を備えている。
【0013】
転舵機構230は、転舵輪220を転舵させるための機構である。転舵機構230は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、ラック・アンド・ピニオンが採用されている。具体的に転舵機構230は、ピニオンシャフト231と、ラックシャフト232と、タイロッド233と、を備えている。
【0014】
ピニオンシャフト231は、ラックシャフト232に設けられたラックと噛合うピニオンを備えた棒状の部材である。ピニオンシャフト231は、モータ制御装置100に連結されており、モータ制御装置100からトルクが付与されて回転し、ラックシャフト232の軸方向にラックシャフト232を移動させる。
【0015】
ラックシャフト232は、外周面の一部にピニオンシャフト231と噛み合うラックが設けられ、ピニオンシャフト231の回転を、ラックシャフト232の軸方向の移動量に変換し、タイロッド233を介して転舵輪220を旋回させる部材である。ラックシャフト232には、油圧機構240が接続されており、油圧によって転舵輪220を転舵するための転舵力の一部、いわゆるアシスト力が付与される。ラックシャフト232は、車体に取り付けられたラックハウジング内に収容され、ラックハウジングによりラックシャフト232の移動が案内されている。
【0016】
油圧機構240は、ピニオンシャフト231の回転角などに応じて油圧を調整し、ラックシャフト232にラックシャフト232の軸方向の力を転舵力の一部として付与する。油圧機構240は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、パワーシリンダ241と、ロータリーバルブ242と、オイルポンプ243と、リザーバタンク244とを備えている。
【0017】
パワーシリンダ241は、ピストン245によって二つの空間に隔てられたシリンダ246を備え、二つの空間のそれぞれに充填された油の油圧が調整されることによりピストン245がラックシャフト232の軸方向に移動する。ピストン245は、ラックシャフト232に連結されており、ピストン245からラックシャフト232に移動方向の力が付与される。
【0018】
ロータリーバルブ242は、ピストン245によって隔てられた二つの空間にそれぞれ供給される油圧を調整する装置である。ロータリーバルブ242の構造は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、ピニオンシャフト231とモータ制御装置100との間に介在配置される第二トーションバー282を備えている。ロータリーバルブ242は、第二トーションバーの捩れによって生じる内側バルブと外側バルブとの相対移動に応じ、オイルポンプ243から圧送される油を、ピストン245によって隔てられた二つの空間の一方に供給する量を調整すると共に、他方の空間の余剰油をリザーバタンク244に還流する量を調整することにより、ピストン245の動作を制御している。
【0019】
電動モータ110は、転舵機構230に付与するアシスト力の一部を出力する。電動モータ110が発生させた駆動力の転舵機構230への伝達態様は特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、電動モータ110は、転舵機構230のピニオンシャフト231に連結される操舵軸体111と減速機を介することなく接続され、電動モータ110の出力軸の回転を1:1の回転比でピニオンシャフト231に伝達している。電動モータ110が転舵機構230に付与する転舵力であるモータ転舵力は、油圧機構240が転舵機構230に付与する転舵力である油圧転舵力よりもかなり小さい。例えば、転舵輪220を転舵させる力のほとんどは油圧転舵力であり、モータ転舵力は、転舵輪220の舵角、および転舵方向を制御するための制御力(制御情報)として転舵機構230に伝達される程度である。
【0020】
手動操作装置210は、ステアリングホイール等の操作部材211を運転者が操作することにより転舵輪220を転舵させることができる装置である。本実施の形態の場合、図1に示すように、手動操作装置210は、操作部材211と、軸部材212と、第一トーションバー281と、トルク検出装置213と、を備えている。なお、手動操作装置210は、さらに、反力装置、目標舵角検出手段などを備えても構わない。
【0021】
軸部材212は、操作部材211に機械的に連結され、操作部材211の操作に応じて回転する棒状の部材である。軸部材212と転舵機構230との接続態様は、特に限定されるものではない。本実施の形態の場合、軸部材212は、操舵軸体111を介してピニオンシャフト231に機械的に連結されている。
【0022】
なお、手動操作装置210は、自動運転中においては、クラッチなどを用いて軸部材212とピニオンシャフト231との機械的連結を切り離してもよく、軸部材212と転舵機構230とは機械的に連結されていない、いわゆるリンクレス・ステア・バイ・ワイヤシステムであっても構わない。
【0023】
第一トーションバー281は、軸部材212に介在配置され、運転者が操作部材211を操作することにより入力されるトルクに応じて捩れる部材である。トルク検出装置213は、第一トーションバー281の捩れ量を検出し、操作トルクを出力する。第一トーションバー281、およびトルク検出装置213は、例えば自動運転レベル2におけるオーバーライドの検出などに用いられる。
【0024】
図2は、モータ制御装置の機能構成を示すブロック図である。モータ制御装置100は、目標舵角に応じて電動モータ110を制御する装置であり、ECU(Electronic Control Unit)の1つである。モータ制御装置100は、プログラムを実行することにより実現する処理部として、実舵角取得部134と、目標舵角取得部131と、制御値生成部132と、指示値演算部133と、を備えている。本実施の形態の場合、モータ制御装置100は、処理部としてフィルタ情報取得部135をさらに備えている。
【0025】
実舵角取得部134、転舵輪220の実舵角を取得する。本実施の形態の場合、実舵角取得部134は、転舵輪220や転舵輪220を転舵するリンク機構などに取り付けられたセンサが出力した信号に基づき実舵角を取得する。
【0026】
目標舵角取得部131は、転舵輪220を転舵するための目標舵角を取得する。本実施の形態の場合、目標舵角取得部131は、自動運転を実行するためにステアリングシステム200を制御する自動制御装置250から目標舵角を取得する。
【0027】
なお、手動操作装置210が、目標舵角検出手段を備えてもよい。目標舵角検出手段は、操作部材211の回転角を検出し目標舵角として出力する装置である。例えば、目標舵角検出手段は、軸部材212の回転を操作部材211の回転として検出している。目標舵角検出手段の種類は、特に限定されるものではないが、例えば電動モータ110に取り付けられるレゾルバ、ロータリーエンコーダ、軸部材212と共に回転する主歯車と、主歯車に噛み合う径の異なる二つの従動歯車とを備え、従動歯車にそれぞれ備えられた永久磁石の回転をホール素子などで検出することにより出力軸の回転角度ばかりでなく回転方向も検出できる装置などを例示できる。
【0028】
自動制御装置250は、ステアリングシステム200が搭載されている車両を自動運転するためのECUの1つである。本実施の形態の場合、自動制御装置250は、車両外部の障害物、白線、信号などに関する情報を、例えばカメラ251、レーザーライダー252などのセンサから取得し、取得した情報に基づき自動運転に対応した目標舵角を逐次生成して目標舵角取得部131に出力する。
【0029】
制御値生成部132は、目標舵角取得部131が取得した目標舵角、および実舵角取得部134が取得した実舵角に基づき実際の転舵輪220の実舵角が目標舵角に一致する様に電動モータ110を制御する。本実施の形態の場合、電動モータ110は、複数のスイッチング素子を備えたPWMインバータ260によって電力が供給されている。制御値生成部132は、目標舵角と実舵角との差に応じて、電動モータ110を制御する目標トルクをモータ制御値として生成する。目標トルクの生成は、一般的には、PID制御が用いられる。具体的には、目標舵角と実舵角との差の項、当該差の積分項および当該差の微分項にそれぞれ比例ゲイン、積分ゲインおよび微分ゲインが乗算された後、それらの項が加算されることにより目標トルクがモータ制御値として演算される。
【0030】
指示値演算部133は、制御値生成部132が生成したモータ制御値に対して、ステアリングシステム200の固有振動数をフィルタした指示値を生成する。本実施の形態の場合、ステアリングシステム200の固有振動数は、例えば図3に示すモデルによって模式的に示すことができる。図3は、運転者が操作部材211をロックした状態において、第一トーションバー281と第二トーションバー282との間に配置される電動モータ110のモータ軸、操舵軸体111などの質量に基づく慣性、第二トーションバー282に連結される油圧機構240のガタに基づき発生する慣性などによりステアリングシステム200の固有振動数が決定されることを模式的に示している。
【0031】
本実施の形態の場合、指示値演算部133は、制御値生成部132から取得したモータ制御値を入力とするローパスフィルタに基づき演算し指示値を出力する。ローパスフィルタは、ステアリングシステム200の操舵系の固有振動数より低い振動数のみを出力する。例えばローパスフィルタの1つとして、遅れ系の伝達関数を例示することができる。具体的に1次遅れ系のモデルとして下記の式1
G(s)=1/(1+Ts)・・・式1
を示すことができる。
【0032】
指示値演算部133は、ローパスフィルタを通過したモータ制御値である指示値を電流指令値に変換し、PWMインバータ260に出力する。
【0033】
フィルタ情報取得部135は、ステアリングシステム200の固有振動数を解析的、または実測により求めて得られたフィルタに関するフィルタ情報を取得する。例えば、ステアリングシステム200の固有振動数を解析的に導出するには、第一トーションバー281のばね定数、および第二トーションバー282のばね定数、第一トーションバー281と第二トーションバー282との間に連結される部材の慣性モーメント、第二トーションバー282の先に連結される油圧機構240に基づく慣性モーメントを設定して導出してもよい。また、固有振動数は、シミュレーションによって導出しても構わない。また、実測としては、電動モータ110から周波数f=1~200HzのQ軸電流を発生させ、Q軸指示電流-実トルクの関係からゲインがピークになる位置をステアリングシステム200の固有振動数としてもよい。フィルタ情報取得部135は、得られた固有振動数に基づき導出された時定数Tをモデル情報として取得して記憶し、指示値演算部133に出力する。
【0034】
フィルタ情報取得部135が取得した時定数Tをフィルタ情報取得部135に入力するモータ制御装置100によれば、固有振動数が異なる種類のステアリングシステム200でも、それぞれのTを導出してモータ制御装置100に入力することで、種類の異なるステアリングシステム200にそれぞれ搭載するモータ制御装置100を共通化することができる。
【0035】
以上のモータ制御装置100を備えたステアリングシステム200によれば、操舵系における自励振動を抑制することができる。
【0036】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0037】
例えば、ステアリングシステム200は、図4に示すように、手動操作装置210と、転舵機構230とが機械的に接続されず、手動操作装置210が備える目標舵角検出装置214から出力される目標舵角に基づきモータ制御装置100が電動モータ110を制御し転舵輪220を転舵させるリンクレス・ステア・バイ・ワイヤシステムでも構わない。
【0038】
また、制御値生成部132は、モータ制御値として目標トルクを算出したが、制御値生成部132は、算出した目標トルクを目標電流に変換し、目標電流をモータ制御値として出力しても構わない。この場合、指示値演算部133は、目標電流にローパスフィルタをかけて指示値を電動モータ110に出力しても構わない。
【0039】
また、指示値演算部133が、制御値生成部132が生成したモータ制御値に対して、ステアリングシステム200の固有振動数をフィルタした指示値を生成する場合を説明した。しかし、指示値演算部133が目標舵角と実舵角との差の固有振動数情報を取得し、
制御値生成部132内で目標舵角と実舵角との差に対し、目標舵角と実舵角との差の固有振動数情報を考慮したフィルタを掛けてから、PID制御により目標電流を求めてもよい。
【0040】
また、指示値演算部133が、制御値生成部132から取得したモータ制御値を入力とするローパスフィルタに基づき演算し指示値を出力し、この指示値を電流指令値に変換し、PWMインバータ260に出力する場合を説明した。しかし、指示値演算部133が、制御値生成部132から取得したモータ制御値を電流値に変換し、この電流指令値を入力とするローパスフィルタに基づき演算し電流指令値を出力し、この電流指令値をPWMインバータ260に出力してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、車両、特に、転舵輪の転舵に大きな力が必要な、大型車両、農業用車両、建設用車両などに利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
100…モータ制御装置、110…電動モータ、111…操舵軸体、131…目標舵角取得部、132…制御値生成部、133…指示値演算部、134…実舵角取得部、135…フィルタ情報取得部、200…ステアリングシステム、210…手動操作装置、211…操作部材、212…軸部材、213…トルク検出装置、214…目標舵角検出装置、220…転舵輪、230…転舵機構、231…ピニオンシャフト、232…ラックシャフト、233…タイロッド、240…油圧機構、241…パワーシリンダ、242…ロータリーバルブ、243…オイルポンプ、244…リザーバタンク、245…ピストン、246…シリンダ、250…自動制御装置、251…カメラ、252…レーザーライダー、260…インバータ、281…第一トーションバー、282…第二トーションバー
図1
図2
図3
図4