(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】画像形成システム、画像検査装置、異常検出レベルの設定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20240312BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20240312BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240312BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240312BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J21/00 Z
G03G21/00 388
G03G21/00 386
G06T7/00 U
H04N1/00 Z
(21)【出願番号】P 2020100822
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 章生
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-191979(JP,A)
【文献】特開2015-034749(JP,A)
【文献】特開2015-117957(JP,A)
【文献】特開2020-032571(JP,A)
【文献】特開2012-025064(JP,A)
【文献】特開2020-046523(JP,A)
【文献】特開2016-055525(JP,A)
【文献】特開2006-339928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41J 21/00
G03G 21/00
G06T 7/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブに含まれる設定情報および原稿画像データに基づいて、記録媒体上に印刷画像を形成する画像形成部と、
前記印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部と、
前記読み取り画像データを用いて、前記印刷画像に含まれる異常を検出する異常検出部と、
前記異常が検出された読み取り画像データを、サンプル画像データとして複数記憶するとともに、前記印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターを、対応するサンプル画像データに紐付けて記憶する記憶部と、
実行予定の印刷ジョブ
に含まれる設定情報または原稿画像データが有する前記特徴パラメーター
に基づいて、前記記憶部に記憶されたサンプル画像データを検索する検索部と、
前記検索され
たサンプル画像データを表示する表示部と、
前記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対するユーザーの評価を受け付ける受け付け部と、
前記ユーザーの評価に基づいて、前記異常検出部における異常検出レベルを設定する検出レベル設定部とを備える、画像形成システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブの原稿画像データの特徴を表すパラメーターを含む、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
印刷ジョブに含まれる設定情報および原稿画像データに基づいて、記録媒体上に印刷画像を形成する画像形成部と、
前記印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部と、
前記読み取り画像データを用いて、前記印刷画像に含まれる異常を検出する異常検出部と、
前記異常が検出された読み取り画像データを、サンプル画像データとして複数記憶するとともに、前記印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターを、対応するサンプル画像データに紐付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された複数の特徴パラメーターから、実行予定の印刷ジョブの特徴に類似または一致する特徴パラメーターを検索する検索部と、
前記検索された特徴パラメーターに紐付けられたサンプル画像データを表示する表示部と、
前記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対するユーザーの評価を受け付ける受け付け部と、
前記ユーザーの評価に基づいて、前記異常検出部における異常検出レベルを設定する検出レベル設定部とを備え
、
前記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブの原稿画像データの特徴を表すパラメーターを含む、画像形成システム。
【請求項4】
前記原稿画像データに基づくビットマップ形式の画像は、互いに属性の異なる複数の画像領域に区分され、
前記少なくとも1つの特徴パラメーターは、前記原稿画像データの特徴を表すパラメーターとして、前記複数の画像領域の各々の割合を含む、請求項2
または3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記記憶部は、複数の前記サンプル画像データにそれぞれ対応付けて、前記複数の画像領域のうち異常が検出された画像領域を特定する情報をさらに記憶し、
前記受け付け部は、前記ユーザーから異常が検出された画像領域の指定を受け付け、
前記検索部は、実行予定の印刷ジョブの各画像領域の割合に一致または類似し、かつ、ユーザーに指定された画像領域に異常を含むサンプル画像データを検索して、前記表示部に表示させる、請求項
4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
画像検査装置であって、
設定情報および原稿画像データを含む印刷ジョブに従って画像形成部が記録媒体上に形成した印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部と、
前記読み取り画像データを用いて、前記印刷画像に含まれる異常を検出し、前記異常が検出された読み取り画像データをサンプル画像データとして記憶部に記憶させる異常検出部とを備え、
前記異常検出部は、前記記憶部に記憶させた複数の前記サンプル画像データの各々に紐付けて、対応する印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターをさらに前記記憶部に記憶させ、
前記画像検査装置は、さらに、
実行予定の印刷ジョブ
に含まれる設定情報または原稿画像データが有する前記特徴パラメーター
に基づいて、前記記憶部に記憶されたサンプル画像データを検索し、前記検索され
たサンプル画像データを表示部に表示させる検索部と、
前記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対してユーザーの評価を受け付け、前記ユーザーの評価に基づいて、前記異常検出部における異常検出レベルを設定する検出レベル設定部とを備える、画像検査装置。
【請求項7】
画像検査装置であって、
設定情報および原稿画像データを含む印刷ジョブに従って画像形成部が記録媒体上に形成した印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部と、
前記読み取り画像データを用いて、前記印刷画像に含まれる異常を検出し、前記異常が検出された読み取り画像データをサンプル画像データとして記憶部に記憶させる異常検出部とを備え、
前記異常検出部は、前記記憶部に記憶させた複数の前記サンプル画像データの各々に紐付けて、対応する印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターをさらに前記記憶部に記憶させ、
前記画像検査装置は、さらに、
前記記憶部に記憶された複数の特徴パラメーターから、実行予定の印刷ジョブの特徴に類似または一致する特徴パラメーターを検索し、前記検索された特徴パラメーターに紐付けられたサンプル画像データを表示部に表示させる検索部と、
前記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対してユーザーの評価を受け付け、前記ユーザーの評価に基づいて、前記異常検出部における異常検出レベルを設定する検出レベル設定部とを備え
、
前記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブの原稿画像データの特徴を表すパラメーターを含む、画像検査装置。
【請求項8】
画像検査装置における異常検出レベルの設定方法であって、
前記画像検査装置は、
設定情報および原稿画像データを含む印刷ジョブに従って画像形成部が記録媒体上に形成した印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部と、
制御部とを備え、
前記異常検出レベルの設定方法は、
前記制御部が、前記読み取り画像データを用いて、前記印刷画像に含まれる異常を検出し、前記異常が検出された読み取り画像データをサンプル画像データとして記憶部に記憶させるステップと、
前記制御部が、前記記憶部に記憶させた複数の前記サンプル画像データの各々に紐付けて、対応する印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターをさらに前記記憶部に記憶させるステップと、
前記制御部が
、実行予定の印刷ジョブ
に含まれる設定情報または原稿画像データが有する前記特徴パラメーター
に基づいて、前記記憶部に記憶されたサンプル画像データを検索するステップと、
前記制御部が、前記検索され
たサンプル画像データを表示部に表示させるステップと、
前記制御部が、前記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対するユーザーの評価を受け付けるステップと、
前記制御部が、前記ユーザーの評価に基づいて、前記異常検出レベルを設定するステップとを備える、異常検出レベルの設定方法。
【請求項9】
画像検査装置における異常検出レベルの設定方法であって、
前記画像検査装置は、
設定情報および原稿画像データを含む印刷ジョブに従って画像形成部が記録媒体上に形成した印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部と、
制御部とを備え、
前記異常検出レベルの設定方法は、
前記制御部が、前記読み取り画像データを用いて、前記印刷画像に含まれる異常を検出し、前記異常が検出された読み取り画像データをサンプル画像データとして記憶部に記憶させるステップと、
前記制御部が、前記記憶部に記憶させた複数の前記サンプル画像データの各々に紐付けて、対応する印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターをさらに前記記憶部に記憶させるステップと、
前記制御部が、前記記憶部に記憶された複数の特徴パラメーターから、実行予定の印刷ジョブの特徴に類似または一致する特徴パラメーターを検索するステップと、
前記制御部が、前記検索された特徴パラメーターに紐付けられたサンプル画像データを表示部に表示させるステップと、
前記制御部が、前記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対するユーザーの評価を受け付けるステップと、
前記制御部が、前記ユーザーの評価に基づいて、前記異常検出レベルを設定するステップとを備え
、
前記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブの原稿画像データの特徴を表すパラメーターを含む、異常検出レベルの設定方法。
【請求項10】
画像検査装置における異常検出レベルの設定方法を実現するためのプログラムであって、
前記画像検査装置は、
設定情報および原稿画像データを含む印刷ジョブに従って画像形成部が記録媒体上に形成した印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部を備え、
前記異常検出レベルの設定方法は、
コンピューターに、
前記読み取り画像データを用いて、前記印刷画像に含まれる異常を検出し、前記異常が検出された読み取り画像データをサンプル画像データとして記憶部に記憶させるステップと、
前記記憶部に記憶させた複数の前記サンプル画像データの各々に紐付けて、対応する印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターをさらに前記記憶部に記憶させるステップと、
実行予定の印刷ジョブ
に含まれる設定情報または原稿画像データが有する前記特徴パラメーター
に基づいて、前記記憶部に記憶されたサンプル画像データを検索するステップと、
前記検索され
たサンプル画像データを表示部に表示させるステップと、
前記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対するユーザーの評価を受け付けるステップと、
前記ユーザーの評価に基づいて、前記異常検出レベルを設定するステップとを実行させる、プログラム。
【請求項11】
画像検査装置における異常検出レベルの設定方法を実現するためのプログラムであって、
前記画像検査装置は、
設定情報および原稿画像データを含む印刷ジョブに従って画像形成部が記録媒体上に形成した印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部を備え、
前記異常検出レベルの設定方法は、
コンピューターに、
前記読み取り画像データを用いて、前記印刷画像に含まれる異常を検出し、前記異常が検出された読み取り画像データをサンプル画像データとして記憶部に記憶させるステップと、
前記記憶部に記憶させた複数の前記サンプル画像データの各々に紐付けて、対応する印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターをさらに前記記憶部に記憶させるステップと、
前記記憶部に記憶された複数の特徴パラメーターから、実行予定の印刷ジョブの特徴に類似または一致する特徴パラメーターを検索するステップと、
前記検索された特徴パラメーターに紐付けられたサンプル画像データを表示部に表示させるステップと、
前記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対するユーザーの評価を受け付けるステップと、
前記ユーザーの評価に基づいて、前記異常検出レベルを設定するステップとを実行させ
、
前記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブの原稿画像データの特徴を表すパラメーターを含む、プログラム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブの前記設定情報に規定された、前記記録媒体としての用紙に関するパラメーターを含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の画像形成システム
、請求項6もしくは7に記載の画像検査装置、請求項8もしくは9に記載の異常検出レベルの設定方法、または請求項10もしくは11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記用紙に関するパラメーターは、用紙の坪量、サイズおよび紙種の少なくとも1つを含む、請求項
12に記載の画像形成システム
、画像検査装置、異常検出レベルの設定方法、またはプログラム。
【請求項14】
前記用紙に関するパラメーターは、用紙の物性値を含む、請求項
12または
13に記載の画像形成システム
、画像検査装置、異常検出レベルの設定方法、またはプログラム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブを実行したユーザー名を含む、請求項1~
5および12~14のいずれか1項に記載の画像形成システム
、請求項6、7、および12~14のいずれか1項に記載の画像検査装置、請求項8、9、および12~14のいずれか1項に記載の異常検出レベルの設定方法、または請求項10~14のいずれか1項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成システム、画像検査装置、異常検出レベルの設定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
用紙上に印刷された画像の良否を判断するために、用紙上の画像を光学的に読み取ることにより画像に含まれる異常を検出するアルゴリズムが知られている。異常の検出アルゴリズムにおいては、異常か正常かを決定する基準となる検出パラメーター、すなわち異常検出レベルが設定される。
【0003】
異常検出レベルの設定に関し、例えば、特開2017-191979号公報(特許文献1)は、「用紙上に画像を形成する画像形成部と、前記用紙面を読み取ってスキャン画像を生成する画像読取部と、前記スキャン画像中の異常を検出する画像検査部と、検出した各異常の検出情報を前記スキャン画像に埋め込み、履歴画像を生成する履歴生成部と、を備える画像形成装置と、前記履歴画像を保存する記憶装置と、前記履歴画像を用いて前記画像検査部による異常の検出結果を表示し、前記異常の検出結果に対するユーザーの評価を入力するユーザー端末と、を備え、前記画像形成装置は、前記ユーザーの評価に応じてスキャン画像中の異常を最終決定し、最終決定した異常を検出し、最終決定しなかった異常を検出しないように、異常の検出パラメーターを決定して設定するパラメーター設定部をさらに備える」画像形成システムを開示する([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザーが用紙上に印刷された画像に含まれる異常を許容するか否かは、印刷された画像の特徴に依存する。例えば、印刷された画像が「文字」だけを含む場合と、「写真」のみからなる場合とでは、同じ検知レベルの異常であってもユーザーの許容度は異なる場合がある。
【0006】
したがって、特許文献1に記載されているように異常箇所を含むサンプル画像に対するユーザーの評価に基づいて異常検知レベルを設定する場合には、これから実行する印刷ジョブの特徴に応じて適切なサンプル画像を表示する必要がある。例えば、「文字」だけからなる画像を印刷する場合には、「文字」だけからなるサンプル画像を表示するのが適切であり、「写真」のみのサンプル画像を表示するのは不適切である。
【0007】
本開示は、上記のような背景を鑑みてなされたものである。ある局面に従うと、異常箇所を含むサンプル画像に対するユーザーの評価に基づいて異常検知レベルを設定する場合において、実行する印刷ジョブの特徴に応じて適切なサンプル画像を表示する技術が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施形態に従う画像形成システムは、印刷ジョブに含まれる設定情報および原稿画像データに基づいて、記録媒体上に印刷画像を形成する画像形成部と、上記印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部と、上記読み取り画像データを用いて、上記印刷画像に含まれる異常を検出する異常検出部と、上記異常が検出された読み取り画像データを、サンプル画像データとして複数記憶するとともに、上記印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターを、対応するサンプル画像データに紐付けて記憶する記憶部と、実行予定の印刷ジョブに含まれる設定情報または原稿画像データが有する上記特徴パラメーターに基づいて、上記記憶部に記憶されたサンプル画像データを検索する検索部と、上記検索されたサンプル画像データを表示する表示部と、上記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対するユーザーの評価を受け付ける受け付け部と、上記ユーザーの評価に基づいて、上記異常検出部における異常検出レベルを設定する検出レベル設定部とを備える。
【0009】
上記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブの原稿画像データの特徴を表すパラメーターを含む。
他の実施形態に従う画像形成システムは、印刷ジョブに含まれる設定情報および原稿画像データに基づいて、記録媒体上に印刷画像を形成する画像形成部と、上記印刷画像を光
学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部と、上記読み取り画像データを用いて、上記印刷画像に含まれる異常を検出する異常検出部と、上記異常が検出された読み取り画像データを、サンプル画像データとして複数記憶するとともに、上記印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターを、対応するサンプル画像データに紐付けて記憶する記憶部と、上記記憶部に記憶された複数の特徴パラメーターから、実行予定の印刷ジョブの特徴に類似または一致する特徴パラメーターを検索する検索部と、上記検索された特徴パラメーターに紐付けられたサンプル画像データを表示する表示部と、上記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対するユーザーの評価を受け付ける受け付け部と、上記ユーザーの評価に基づいて、上記異常検出部における異常検出レベルを設定する検出レベル設定部とを備える。上記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブの原稿画像データの特徴を表すパラメーターを含む。
【0010】
上記原稿画像データに基づくビットマップ形式の画像は、互いに属性の異なる複数の画像領域に区分される。上記少なくとも1つの特徴パラメーターは、上記原稿画像データの特徴を表すパラメーターとして、上記複数の画像領域の各々の割合を含む。
【0011】
上記記憶部は、複数の上記サンプル画像データにそれぞれ対応付けて、上記複数の画像領域のうち異常が検出された画像領域を特定する情報をさらに記憶する。上記受け付け部は、上記ユーザーから異常が検出された画像領域の指定を受け付ける。上記検索部は、実行予定の印刷ジョブの各画像領域の割合に一致または類似し、かつ、ユーザーに指定された画像領域に異常を含むサンプル画像データを検索して、上記表示部に表示させる。
【0012】
上記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブの上記設定情報に規定された、上記記録媒体としての用紙に関するパラメーターを含む。
【0013】
上記用紙に関するパラメーターは、用紙の坪量、サイズおよび紙種の少なくとも1つを含む。
【0014】
上記用紙に関するパラメーターは、用紙の物性値を含む。
上記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブを実行したユーザー名を含む。
【0015】
他の実施形態に従うと、画像検査装置が提供される。この画像検査装置は、設定情報および原稿画像データを含む印刷ジョブに従って画像形成部が記録媒体上に形成した印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部と、上記読み取り画像データを用いて、上記印刷画像に含まれる異常を検出し、上記異常が検出された読み取り画像データをサンプル画像データとして記憶部に記憶させる異常検出部とを備える。上記異常検出部は、上記記憶部に記憶させた複数の上記サンプル画像データの各々に紐付けて、対応する印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターをさらに上記記憶部に記憶させる。上記画像検査装置は、さらに、実行予定の印刷ジョブに含まれる設定情報または原稿画像データが有する上記特徴パラメーターに基づいて、上記記憶部に記憶されたサンプル画像データを検索し、上記検索されたサンプル画像データを表示部に表示させる検索部と、上記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対してユーザーの評価を受け付け、上記ユーザーの評価に基づいて、上記異常検出部における異常検出レベルを設定する検出レベル設定部とを備える。
さらに他の実施形態に従うと、画像検査装置が提供される。この画像検査装置は、設定情報および原稿画像データを含む印刷ジョブに従って画像形成部が記録媒体上に形成した印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部と、上記読み取り画像データを用いて、上記印刷画像に含まれる異常を検出し、上記異常が検出された読み取り画像データをサンプル画像データとして記憶部に記憶させる異常検出部とを備える。上記異常検出部は、上記記憶部に記憶させた複数の上記サンプル画像データの各々に紐付けて、対応する印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターをさらに上記記憶部に記憶させる。上記画像検査装置は、さらに、上記記憶部に記憶された複数の特徴パラメーターから、実行予定の印刷ジョブの特徴に類似または一致する特徴パラメーターを検索し、上記検索された特徴パラメーターに紐付けられたサンプル画像データを表示部に表示させる検索部と、上記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対してユーザーの評価を受け付け、上記ユーザーの評価に基づいて、上記異常検出部における異常検出レベルを設定する検出レベル設定部とを備える。上記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブの原稿画像データの特徴を表すパラメーターを含む。
【0016】
さらに他の実施形態に従うと、画像検査装置における異常検出レベルの設定方法が提供される。上記画像検査装置は、設定情報および原稿画像データを含む印刷ジョブに従って
画像形成部が記録媒体上に形成した印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部と、制御部とを備える。上記異常検出レベルの設定方法は、上記制御部が、上記読み取り画像データを用いて、上記印刷画像に含まれる異常を検出し、上記異常が検出された読み取り画像データをサンプル画像データとして記憶部に記憶させるステップと、上記制御部が、上記記憶部に記憶させた複数の上記サンプル画像データの各々に紐付けて、対応する印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターをさらに上記記憶部に記憶させるステップと、上記制御部が、実行予定の印刷ジョブに含まれる設定情報または原稿画像データが有する上記特徴パラメーターに基づいて、上記記憶部に記憶されたサンプル画像データを検索するステップと、上記制御部が、上記検索されたサンプル画像データを表示部に表示させるステップと、上記制御部が、上記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対するユーザーの評価を受け付けるステップと、上記制御部が、上記ユーザーの評価に基づいて、上記異常検出レベルを設定するステップとを備える。
さらに他の実施形態に従うと、画像検査装置における異常検出レベルの設定方法が提供される。上記画像検査装置は、設定情報および原稿画像データを含む印刷ジョブに従って画像形成部が記録媒体上に形成した印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部と、制御部とを備える。上記異常検出レベルの設定方法は、上記制御部が、上記読み取り画像データを用いて、上記印刷画像に含まれる異常を検出し、上記異常が検出された読み取り画像データをサンプル画像データとして記憶部に記憶させるステップと、上記制御部が、上記記憶部に記憶させた複数の上記サンプル画像データの各々に紐付けて、対応する印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターをさらに上記記憶部に記憶させるステップと、上記制御部が、上記記憶部に記憶された複数の特徴パラメーターから、実行予定の印刷ジョブの特徴に類似または一致する特徴パラメーターを検索するステップと、上記制御部が、上記検索された特徴パラメーターに紐付けられたサンプル画像データを表示部に表示させるステップと、上記制御部が、上記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対するユーザーの評価を受け付けるステップと、上記制御部が、上記ユーザーの評価に基づいて、上記異常検出レベルを設定するステップとを備える。上記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブの原稿画像データの特徴を表すパラメーターを含む。
【0017】
さらに他の実施形態に従うと、画像検査装置における異常検出レベルの設定方法を実現するためのプログラムが提供される。上記画像検査装置は、設定情報および原稿画像データを含む印刷ジョブに従って画像形成部が記録媒体上に形成した印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部を備える。上記異常検出レベルの設定方法は、コンピューターに、上記読み取り画像データを用いて、上記印刷画像に含まれる異常を検出し、上記異常が検出された読み取り画像データをサンプル画像データとして記憶部に記憶させるステップと、上記記憶部に記憶させた複数の上記サンプル画像データの各々に紐付けて、対応する印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターをさらに上記記憶部に記憶させるステップと、実行予定の印刷ジョブに含まれる設定情報または原稿画像データが有する上記特徴パラメーターに基づいて、上記記憶部に記憶されたサンプル画像データを検索するステップと、上記検索されたサンプル画像データを表示部に表示させるステップと、上記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対するユーザーの評価を受け付けるステップと、上記ユーザーの評価に基づいて、上記異常検出レベルを設定するステップとを実行させる。
さらに他の実施形態に従うと、画像検査装置における異常検出レベルの設定方法を実現するためのプログラムが提供される。上記画像検査装置は、設定情報および原稿画像データを含む印刷ジョブに従って画像形成部が記録媒体上に形成した印刷画像を光学的に読み取ることにより、読み取り画像データを生成する画像読み取り部を備える。上記異常検出レベルの設定方法は、コンピューターに、上記読み取り画像データを用いて、上記印刷画像に含まれる異常を検出し、上記異常が検出された読み取り画像データをサンプル画像データとして記憶部に記憶させるステップと、上記記憶部に記憶させた複数の上記サンプル画像データの各々に紐付けて、対応する印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターをさらに上記記憶部に記憶させるステップと、上記記憶部に記憶された複数の特徴パラメーターから、実行予定の印刷ジョブの特徴に類似または一致する特徴パラメーターを検索するステップと、上記検索された特徴パラメーターに紐付けられたサンプル画像データを表示部に表示させるステップと、上記表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対するユーザーの評価を受け付けるステップと、上記ユーザーの評価に基づいて、上記異常検出レベルを設定するステップとを実行させる。上記少なくとも1つの特徴パラメーターは、対応する印刷ジョブの原稿画像データの特徴を表すパラメーターを含む。
【発明の効果】
【0018】
ある局面に従うと、異常箇所を含むサンプル画像に対するユーザーの評価に基づいて異常検知レベルを設定する場合において、実行する印刷ジョブの特徴に応じて適切なサンプル画像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】画像形成システム170のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】
図1の画像形成装置100および画像検査装置102の詳細なハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図2のコントローラー117の詳細なハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図1のクライアント端末155の詳細なハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】画像形成システム170において、画像検査装置102が実行する処理を説明するための機能ブロック図である。
【
図6】実行予定の印刷ジョブの選択ページおよび複数のサンプル画像について、図形領域の割合および文字領域の割合の一例を表形式で示す図である。
【
図7】実施形態1の画像形成システム170において、画像異常の検出レベルを設定するための手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】ユーザーから印刷ジョブの選択を受け付けるために操作パネル130に表示されるジョブリスト画面700の一例を示す図である。
【
図9】ユーザーのページの選択を受け付けるため、および適合サンプル画像の検索の指示を受け付けるために、ステップS610,615において操作パネル130に表示されるジョブチケット編集画面800の一例を示す図である。
【
図10】適合サンプル画像に含まれる異常を許容するか否かをユーザーに問い合わせるために表示部510に表示される適合サンプル画像表示画面1000の一例を示す図である。
【
図11】適合サンプル画像に含まれる異常を許容するか否かをユーザーに問い合わせるために表示部510に表示される適合サンプル画像表示画面1000の一例を示す図である。
【
図12】実施形態2の画像形成システム170において、画像異常の検出レベルを設定するための手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図6において、さらに異常が検出された領域を明示した図である。
【
図14】実施形態3の画像形成システムにおいて、画像異常の検出レベルを設定するための手順の一例を示すフローチャートである。
【
図15】原稿画像データに基づくビットマップ形式の画像に含まれる画像領域および文字領域の割合に応じて、実行ジョブの各ページを分類した結果を一覧表示する画面の一例を示す図である。
【
図16】実施形態4の画像形成システム170において、画像異常の検出レベルを設定するための手順の一例を示すフローチャートである。
【
図17】実施形態5の画像形成システム170において、画像異常の検出レベルを設定するための手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。個数または量などに言及する場合には、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は、必ずしもその個数または量などに限定されない。複数の同じ構成要素に対して言及する場合、構成要素123A,123Bのように参照符号の末尾にA,B,…を付して表現することがある。構成要素123A,123Bなどを総称する場合は、構成要素123と表現する。
【0021】
以下、記録媒体の一例として用紙を用いるが、用紙の代わりに紙以外の素材からなる記録媒体が用いられてもよい。
【0022】
<実施形態1>
[印刷システムのハードウェア構成およびその動作の概要]
まず、
図1~
図4を参照して、本実施形態における画像形成システム170のハードウェア構成およびその動作の概要について説明する。
図1は、画像形成システム170のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0023】
図1に示されるように、画像形成システム170は、画像形成装置100と、画像検査装置102と、少なくとも1つのクライアント端末155と、通信回線160と、後処理装置165とを含む。画像形成装置100と、画像検査装置102と、後処理装置165とは、直列に接続されている。他の局面において、画像形成システム170は、後処理装置165を備えていなくてもよい。さらに他の局面において、画像検査装置102は、画像形成装置100とは独立した単体の画像検査装置であってもよい。
【0024】
画像形成装置100は、ユーザーから指定された印刷ジョブの原稿画像データに基づいて、給紙トレイ110から給紙される用紙に印刷画像を形成する。より具体的には、プリンターコントローラー(図示しない)は、PDL(Page Description Language)言語により記述された原稿画像データに対してラスタライズ処理を行うことによりビットマップデータを生成する。画像形成装置100は、生成されたビットマップデータに基づいて、用紙に印刷画像を形成する。ラスタライズ処理は、PDL言語により記述された画像および文字データをビットマップデータに変換する処理である。なお、本開示において、画像は、文字、図形、写真、バーコードなどを含む。
【0025】
印刷ジョブは、原稿画像データと設定情報とを含む。設定情報は、印刷ジョブにおける画像形成および後処理などについての各種条件を規定している制御用データであるジョブチケットを含む。一例として、ジョブチケットは、印刷する用紙のサイズ、紙種、坪量および物性値、印刷部数、印刷に用いるデータファイル、ページ数、ユーザー名、両面/片面印刷の別、用紙の選択、倍率、出力部数、画像のシフト量、スタンプの位置、面付け情報、画質調整、印刷ジョブにおいて施される後処理などについての設定情報を含む。
【0026】
図1の例において、画像形成装置100は、給紙トレイ110と、メディアセンサー112と、コントローラー117と、画像形成部120と、スキャナー125と、操作パネル130と、DF(Document Feeder)175とを備える。操作パネル130および画像形成装置100の詳細な構成は、後述する。
【0027】
給紙トレイ110は、用紙を収容する。印刷ジョブによって指定された種類の用紙は、給紙トレイ110から1枚ずつ取り出され、搬送機構(図示しない)によって、画像形成部120に向けて給紙される。
図1の例において、給紙トレイ110は、複数の給紙トレイ110A,110B,110Cを備えており、各給紙トレイ110は、サイズ、紙質、坪量(g/m
2)、または後述する用紙物性値などが異なる複数種類の用紙を収容する。
【0028】
メディアセンサー112は、搬送路113を通過する用紙の物性値を検出するための光学センサーである。メディアセンサー112は、用紙の搬送経路内に設けられ、用紙に光を当てた時の透過率、反射率などから、当該用紙の表面性、紙厚、坪量などの用紙物性値を検出できる。他の局面において、メディアセンサー112は、画像形成装置100に対して外付けされてもよい。
【0029】
搬送路113は、画像形成装置100および画像検査装置102において記録媒体が通過する経路である。
【0030】
定着ユニット115は、トナー像形成ユニット121によりトナー像が形成された用紙を加熱及び加圧する。
【0031】
コントローラー117は、画像形成装置100の動作を制御する。一例として、コントローラー117は、画像形成部120の動作を制御する。
【0032】
画像形成部120は、定着ユニット115と、トナー像形成ユニット121とを含む。定着ユニット115は、トナー像形成ユニット121によりトナー像が形成された用紙を加熱及び加圧する。トナー像形成ユニット121は、電子写真方式により、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びキー・プレート(K)の4色のトナーからなる画像を用紙に形成する。用紙の両面に画像が形成される場合には、当該用紙は、一方の面において画像が形成された後に、搬送ローラー(図示しない)により搬送される向きを変えられ、トナー像形成ユニット121へ再度送られ、他方の面において画像が形成される。
【0033】
他の局面において、画像形成部120は、カラー画像ではなくモノクロ画像を形成するユニットあってもよい。さらに他の局面において、画像形成部120は、例えば、インクジェット方式により用紙に画像を形成してもよく、画像を形成する方式は特に限定されない。
【0034】
スキャナー125は、ある局面において、ユーザーがDF175にセットした用紙を走査することにより、印刷ジョブにおける入力画像データを取得する。一例として、スキャナー125は、CCD(Charge Coupled Device)センサーによって実現されてもよい。
【0035】
画像検査装置102は、用紙に形成された画像を読み取ることにより、当該画像における異常の有無を検査する。画像検査装置102は、画像形成装置100により用紙の各面に形成された画像を読み取るためのスキャナー105,106を備える。スキャナー105,106は、用紙の搬送経路において画像形成装置100の下流側に配置され、用紙に形成された画像を読み取り、読み取った面に対応する読み取り画像を生成する。例えば、スキャナー105が用紙の下面の画像を読み取る場合、スキャナー106は、用紙の上面の画像を読み取る。スキャナー105,106は、例えば、光源から射出され用紙の表面で反射した光を受光素子で受光し、光の強度に応じた信号を出力するセンサーである。スキャナー105,106は、複数の受光素子が用紙搬送方向と直交する方向に所定の間隔で配置されたラインセンサーによって構成されてもよいし、用紙搬送方向と直交する方向における所定の領域のみを読み取るものであってもよい。画像検査装置102の詳細な構成は、後述する。
【0036】
図1の例において、画像検査装置102は、その筐体内にコントローラー150を備える。コントローラー150は、画像検査装置102の動作を制御する。
【0037】
クライアント端末155は、画像形成装置100によって実行される印刷ジョブを、通信回線160を介して画像形成装置100に送信する。ある局面において、ユーザーは、クライアント端末155を操作することにより、印刷ジョブにおける設定情報を入力または変更できる。印刷ジョブにおける設定情報は、一例として、用紙サイズ、用紙の坪量、用紙の紙種、用紙の物性値、ユーザー名、印刷枚数などの各種設定を含む。ある局面において、クライアント端末155は、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォンまたはタブレット端末などの情報処理装置によって実現され得る。
【0038】
後処理装置165は、コントローラー117からの指令に基づいて、画像検査装置102が検査した用紙に対して、印刷ジョブに応じて、ステープル、重ね中折り、重ね三つ折り、中とじ、およびパンチなどの後処理を行う。後処理装置165は、印刷ジョブに後処理に関する命令が含まれていない場合、当該用紙に後処理を行わず、排紙トレイ140に用紙を排出する。一方、後処理装置165は、印刷ジョブに後処理に関する命令が含まれている場合、指定された後処理を用紙に行った後、用紙を排紙トレイ135に排出する。
【0039】
図2は、
図1の画像形成装置100および画像検査装置102の詳細なハードウェア構成の一例を示す図である。まず、画像形成装置100について説明する。
【0040】
画像形成装置100は、メディアセンサー112と、コントローラー117と、操作パネル130と、画像形成部120と、補助記憶装置210と、通信装置215とを含む。なお、図解を容易にするために、
図1において示された、給紙トレイ110、定着ユニット115、スキャナー125、およびDF175などは、
図2において示されていない。
図1で既に説明したメディアセンサー112および画像形成部120については説明を繰り返さない。コントローラー117の詳細な構成については、
図3を参照して後述する。
【0041】
操作パネル130は、ある局面において、ボタン132と、モニター134とを含む。操作パネル130は、例えば、タッチセンサーが組み込まれた、複数のボタンを備えるタッチスクリーンである。
【0042】
より詳細には、ボタン132は、画像形成装置100に対する操作の入力を受け付ける。ボタン132は、物理キーおよびソフトウェアキーのいずれであってもよい。ボタン132は、一例として、印刷ジョブの選択、異常検出処理の実行の有無の設定、画像が形成される用紙の坪量、サイズおよび紙種の設定などの、印刷ジョブに関する設定情報を設定するために操作される。ボタン132は、操作されると、各ボタンに対応する信号をコントローラー117に送信する。コントローラー117は、ボタン132から受信した信号に基づいて、ユーザーの操作内容を判断し、当該操作内容に応じた内部動作を実行し、応答表示をモニター134に送信する。
【0043】
モニター134は、コントローラー150から受信した信号に基づいて操作画面などを表示する。一例として、モニター134は、液晶モニターなどであり、操作メニューを表示する。コントローラー150は、ボタン132から受信した信号に基づいて、ユーザーの操作内容を判断し、当該操作内容に応じた内部動作を実行し、応答表示をモニター134へ送信する。
【0044】
補助記憶装置210は、画像形成装置100および画像検査装置102の動作に関する各種データなどを不揮発的に記憶する。補助記憶装置210は、画像形成装置100および画像検査装置102において使用される様々なプログラムとデータとを格納する。ある局面において、補助記憶装置210は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、DVD(Digital Versatile Disk-Read Only Memory)、磁気ディスク、光ディスク、およびUSB(Universal Serial Bus)メモリーなどにより実現される。
【0045】
通信装置215は、
図1のクライアント端末155などの他の機器とデータを送受信する。画像形成装置100は、複数の通信装置215を備えてもよい。ある局面において、通信装置215は、LAN(Local Area Network)ポートもしくはWi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)の送受信装置などのいずれかまたは全てを含んでもよい。画像形成装置100は、通信装置215を介することにより、外部ネットワーク220に接続された、PCなどの他のクライアント端末155から、印刷ジョブを取得できる。
【0046】
次に、画像検査装置102について説明する。画像検査装置102は、スキャナー105,106と、コントローラー150と、画像解析装置205とを備える。
図1を参照して既に説明したスキャナー105,106については、説明を繰り返さない。コントローラー150については、
図3を参照して後述する。
【0047】
画像解析装置205は、AI(Artificial intelligence)技術によるパターン認識などの画像解析を行うことができる。一例として、画像解析装置205は、スキャナー105,106が読み取った画像(以下、「読み取り画像」とも称する)を解析することにより、当該画像における異常の有無を判断する。異常は、例えば、色ずれ、位置ずれ、汚れなどを含む。
【0048】
画像解析装置205は、一例として、読み取り画像と、読み取り画像に対応する正解画像とを比較することにより、読み取り画像と正解画像との濃度差を求める。正解画像は、用紙上に形成された画像であって異常が無いと判断された読み取り画像であってもよいし、原稿画像データであってもよい。画像解析装置205は、当該濃度差が予め定められた閾値以上である領域が存在する場合に、その領域に異常が存在すると判断する。
【0049】
さらに、画像解析装置205は、解析対象の画像を、文字領域、画像領域などの複数の領域に区分できる。領域を区分する処理については、
図6を参照して後述する。
【0050】
図2の例において、補助記憶装置210および通信装置215は、画像形成装置100の筐体内に含まれている。他の局面において、補助記憶装置210、および通信装置215は、画像形成装置100の筐体内に加えて、画像検査装置102の筐体内に含まれていてもよい。
【0051】
図3は、
図2のコントローラー117の詳細なハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示されるように、コントローラー117は、CPU(Central Processing Unit)300と、RAM(Random Access Memory)305と、ROM(Read-Only Memory)310とを備える。他の局面において、コントローラー117は、フラッシュメモリなど電気的に書き換え可能な不揮発性メモリーをさらに備えてもよい。
【0052】
CPU300は、画像形成装置100を制御するためのプログラムを実行する。一例として、CPU300は、操作画面の表示、および補助記憶装置210に格納されたデータの読み出しのためのプログラムを実行する。CPU300は、バス315を介して、RAM305と、ROM310とに接続されている。他の局面において、コントローラー150は、少なくとも1つの組み込みCPU、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらの組み合わせによって構成されてもよい。
【0053】
RAM305は、CPU300によって実行されるプログラムおよび参照されるデータを一時的に格納する。CPU300は、ROM310に保存されているプログラムまたは各種データをRAM305に読み込んで実行する。ある局面において、RAM305は、SRAM(Static Random Access Memory)またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)によって実現されてもよい。
【0054】
ROM310は、画像形成装置100を制御するためのプログラム、および画像形成装置100の製造事業者によって予め準備された各種データ等を記憶している。ROM310は、スキャナー105,106が読み取った画像データを保存してもよい。
【0055】
図3には示されていないが、コントローラー150は、コントローラー117と同様に、CPUと、RAMと、ROMと、バスとを備える。コントローラー150を構成するCPU、RAM、ROMおよびバスの構成は、コントローラー117を構成するCPU300、RAM305、ROM310およびバス315の構成とそれぞれ同様である。したがって、コントローラー150を構成する上記の要素の説明を繰り返さない。
【0056】
図4は、
図1のクライアント端末155の詳細なハードウェア構成の一例を示す図である。
【0057】
図4に示されるように、クライアント端末155は、CPU400と、RAM405と、ROM410と、補助記憶装置415と、データリーダー/ライター417と、通信装置420と、キーボード422と、モニター440と、バス445とを備える。
【0058】
CPU400は、クライアント端末155全体の動作を制御する。一例として、CPU400は、通信装置420を介して画像形成装置100に印刷ジョブを送信する。
【0059】
RAM405、ROM410、補助記憶装置415、通信装置420およびバス445の各構成は、それぞれ、画像形成装置100を構成するRAM305、ROM310、補助記憶装置210、通信装置215およびバス315の各構成とそれぞれ同様である。したがって、これらの説明を繰り返さない。
【0060】
データリーダー/ライター417には、外付けHDDなどの外部の記憶媒体318が脱着自在に装着される。データリーダー/ライター417は、CPU400からの命令に基づいて、装着された記憶媒体418に画像を含むデータまたはプログラムを書き込み、または、記憶媒体318からデータを読み出す。記憶媒体418は、コンピューターその他装置が、記録されたプログラム等の情報を読み取ることができるように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的または化学的作用によって格納する。データリーダー/ライターは、画像形成装置100に設けられていてもよい。
【0061】
キーボード422は、ユーザーがクライアント端末155を操作するために用いる機器である。他の局面において、クライアント端末155は、当該機器としてのキーボード422に代えて、マウスを備えてもよい。
【0062】
モニター440は、CPU400からの命令に基づいて情報を表示する。ある局面において、モニター440として、液晶パネル又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイが用いられる。
【0063】
[異常検出レベルの設定]
図5を参照して、実施形態1の画像形成システム170において、印刷画像の異常の検出レベルを設定するための処理について説明する。
図5は、画像形成システム170において、画像検査装置102が実行する処理を説明するための機能ブロック図である。
【0064】
以下に具体的に示すように、画像検査装置102が実行する処理は、大きく2つに分けることができる。第1の処理として、画像検査装置102は、スキャナー105,106によって生成された読み取り画像データに基づいて、印刷画像に異常部分が含まれているか否かを判定する。そして、画像検査装置102は、異常部分が含まれている印刷画像を検出したときに、対応する読み取り画像データをサンプル画像データとして補助記憶装置210などにより実現される記憶部505に記憶する。これにより、多数のサンブル画像データを含むデータベースが生成される。ここで、サンプル画像データは、対応する印刷ジョブの特徴を表す情報(以下、特徴パラメータと称する)とともに記憶部に記憶される。
【0065】
第2の処理として、画像検査装置102は、実行予定の印刷ジョブに基づいて、ユーザーの評価に適したサンプル画像をデータベースから選択して表示部に表示する。サンプル画像の選択には、上記の特徴パラメーターが利用される。画像検査装置102は、サンプル画像に対するユーザーの評価に基づいて異常検出レベルを設定する。
【0066】
以下、上記の第1の処理(データベース生成処理)および第2の処理(異常検出レベルの設定処理)について詳しく説明する。
【0067】
(データベース生成処理)
画像検査装置102は、その機能的構成として、異常検出部520と、特徴パラメーター取得部522と、検索部525と、検出レベル設定部530とを備える。異常検出部520の機能は、画像解析装置205の機能に含まれる。特徴パラメーター取得部522、検索部525、および検出レベル設定部530の機能は、コントローラー150のCPUが、ROMに格納されたプログラムに従って動作することにより実現される。
【0068】
異常検出部520は、画像形成部120により用紙上に形成された印刷画像に含まれる異常を検出する。具体的に、異常検出部520は、画像処理技術を用いて、印刷画像からスキャナー105,106により生成された読み取り画像データと正解画像データとを比較することにより異常部分を検出する。異常検出部520は、読み取り画像データにおいて異常部分を検出した場合、その異常を含む読み取り画像データをサンプル画像データ550A~550Mとして記憶部505に格納する。
【0069】
記憶部505は、一局面において、画像形成装置100の補助記憶装置210によって実現される。他の局面において、記憶部505は、画像形成装置100または画像検査装置102のコントローラー117,150に設けられた電気的に書き換え可能な不揮発性メモリーによって実現されてもよい。さらに他の局面において、記憶部505は、クライアント端末155または他のサーバー装置の補助記憶装置415または記憶媒体418により実現されてもよい。
【0070】
詳しくは後述するように、記憶部505は、サンプル画像データ550A~550Mを、それぞれ対応する特徴パラメーター545A~545Mとともに記憶する。なお、
図5の例では、記憶部505に格納されるサンプル画像データ550A~550Mおよび特徴パラメーター545A~545Mの数は、それぞれ13であるが、その数は限定されない。
【0071】
特徴パラメーター取得部522は、印刷ジョブの特徴を表す情報である少なくとも1つの特徴パラメーターを取得する。特徴パラメーターとして、印刷ジョブにおける原稿画像データの特徴を表すパラメーター用いてもよいし、印刷ジョブに含まれる設定情報を用いてもよい。実施形態1では、一例として、印刷ジョブの原稿画像データに基づいて生成されるビットマップ形式の画像における文字領域の割合と図形領域の割合とが特徴パラメーターとして用いられる。印刷ジョブにおける用紙の設定情報を特徴パラメーターとして用いる場合については、実施形態4,5において説明する。
【0072】
原稿画像データに基づくビットマップ画像における文字領域の割合と図形領域の割合とを取得するために、特徴パラメーター取得部522は、PDLにより記述された原稿画像データに基づいて属性情報を取得する。属性情報とは、原稿画像データに基づいて生成されるビットマップ形式の画像の各画素の属性を表す情報、例えば、その画素が、ビットマップ形式の画像において図形または文字などのいずれを構成するのかを表す情報である。
【0073】
特徴パラメーター取得部522は、例えば、PDLで記述されたデータに基づいて、かな、英字、記号、数字などの文字が形成される領域内の各画素の属性を文字属性として取得し、罫線、多角形、円などの図形が形成される領域内の各画素の属性を図形属性として取得する。特徴パラメーター取得部522は、文字属性を有する画素に対して、さらに、数字属性、英字属性、記号属性などの属性ごとに、属性情報を取得してもよい。特徴パラメーター取得部522は、PDLで記述されたデータにバーコードを生成する命令がある場合、その命令に従ってバーコードが形成される領域内の各画素の属性を、バーコード属性として取得する。特徴パラメーター取得部522は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などのファイルに基づいて写真が形成される領域内の各画素の属性を写真属性として取得する。特徴パラメーター取得部522は、いずれの属性も有さない画素の属性を、背景属性として取得し得る。
【0074】
このようなビットマップ画像の画素ごとの属性に基づいて、ビットマップ画像は互いに属性の異なる複数の画像領域に区分される。特徴パラメーター取得部522は、ビットマップ画像における各画像領域の割合を特徴パラメーターとして取得する。例えば、原稿画像データに基づいて生成されるビットマップ画像が図形領域および文字領域に区分される場合、特徴パラメーター取得部522は、そのビットマップ画像における図形領域の割合R1と、文字領域の割合R2とを特徴パラメーターとして取得する。特徴パラメーター取得部522は、原稿画像データに基づくビットマップ画像が英字領域、記号領域、数字領域、バーコード領域、写真領域、背景領域などの複数の画像領域に区分される場合、ビットマップ画像における各画像領域の割合を特徴パラメーターとして取得してもよい。
【0075】
特徴パラメーター取得部522は、異常検出部520による検出結果に基づいて、読み取り画像データにおける異常部分が、どの属性の画像領域に含まれるかという情報を取得してもよい。例えば、特徴パラメーター取得部522は、読み取り画像データにおける異常部分が、図形領域または文字領域のいずれに含まれるのかという情報を取得する。詳しくは、実施形態2で説明する。
【0076】
特徴パラメーター取得部522は、サンプル画像データ550A,550B,…550Mの各々を記憶部505に格納する際に、各サンプル画像に対応する印刷ジョブにおいて取得された少なくとも1つの特徴パラメーターとともに記憶部505に格納する。これにより、異常部分を含む複数のサンプル画像データと、これらの画像データにそれぞれ紐付けられた複数の特徴パラメーターとを含むデータベース555が生成される。
【0077】
(異常検出レベルの設定処理)
次に、実行予定の印刷ジョブにおける異常検出レベルを、サンプル画像に対するユーザーの評価に基づいて設定する処理について説明する。異常検出レベルの設定処理は、特徴パラメーター取得部522、検索部525、および検出レベル設定部530によって実行される。
【0078】
クライアント端末155が画像形成装置100に実行予定の印刷ジョブを送信すると、当該印刷ジョブは、画像検査装置102のコントローラー150によって受信される。画像検査装置102の特徴パラメーター取得部522は、受信された印刷ジョブの特徴を表す少なくとも1つの特徴パラメーターを取得する。印刷ジョブが複数の原稿画像データを含む場合、特徴パラメーター取得部522は、各原稿画像データの特徴パラメーターを取得し得る。
【0079】
検索部525は、データベース555における特徴パラメーター545A,545B,…545Mから、実行予定の印刷ジョブの特徴パラメーターに類似または一致する特徴パラメーターを検索する。例えば、検索部525は、実行予定の印刷ジョブに基づく特徴パラメーターに対して閾値範囲内の特徴パラメーターをデータベース555から検索する。検索部525は、検索された特徴パラメーターに関連付けられたサンプル画像の識別番号(以下、サンプル番号とも称する)を、検索結果として適合サンプルリスト565に登録する。
図5の例では、適合サンプルリスト565は、コントローラー150のRAMの記憶領域に格納される。なお、実行予定のジョブの特徴パラメーターに一致または類似した特徴パラメーターがデータベース555に記憶されていない場合、適合サンプルリスト565には、識別番号が登録されない。
【0080】
表示部510は、データベース555におけるサンプル画像データ550A~550Mのうち、適合サンプルリスト565に登録された識別番号に対応するサンプル画像データを、検索部525からの指令に従って適合サンプル画像として表示する。表示部510は、操作パネル130のモニター134またはクライアント端末155のモニター440のいずれにより実現されてもよい。なお、適合サンプルリスト565に複数の識別番号が登録される場合には、表示部510は、格納された識別番号に対応するサンプル画像に関連付けられる特徴パラメーターのうち、実行予定の印刷ジョブの特徴パラメーターに最も近い特徴パラメーターに関連付けられたサンプル画像データを表示してもよい。表示部510に表示されるサンプル画像の具体例については、
図10および
図11を参照して後述する。
【0081】
受け付け部515は、表示部510に表示されたサンプル画像データに含まれる異常に対するユーザーの評価、すなわち表示された異常がユーザーにより許容されるか否かを受け付ける。受け付け部515は、クライアント端末155のボタン132またはクライアント端末155のキーボード440のいずれにより実現されてもよい。
【0082】
検出レベル設定部530は、受け付けられたユーザーの評価に基づいて、異常検出部520における異常検出レベルを設定する。例えば、モニター134,440に表示された異常がユーザーにより許容される場合、検出レベル設定部530は、異常の検出レベルを、現在設定されている検出レベルよりも低感度に設定してもよい。すなわち、検出レベル設定部530は、読み取り画像と正解画像とを比較したときにおける、異常の検出に用いられる濃度差などの閾値を、現在設定されている閾値よりも大きく設定してもよい。
【0083】
これに対して、モニター134,440に表示された異常がユーザーにより許容されない場合、検出レベル設定部530は、異常の検出レベルを維持または、現在設定されている検出レベルよりも高感度に設定してもよい。すなわち、検出レベル設定部530は、異常の検出レベルをより高感度に設定する場合には、異常の検出に用いられる閾値を、現在設定されている閾値よりも小さく設定してもよい。
【0084】
なお、印刷ジョブが複数のページを含む場合、検出レベル設定部530は、ユーザーにより選択されたページごとに異常検出レベルを設定し得る。より具体的には、検出レベル設定部530は、ページごとに設定された異常検出レベルを、実行予定の印刷ジョブのページごとの設定情報に追加する。異常検出部520は、そのジョブにおいて、ページごとに設定された異常検出レベルを用いて、用紙上に形成された印刷画像に含まれる異常を検出する。
【0085】
上記のデータベース生成処理と異常検出レベルの設定処理とにおいて、特徴パラメーター取得部522、検索部525、および検出レベル設定部530の機能は、コントローラー117のCPUが、ROM310に格納されたプログラムに従って動作することにより実現されてもよい。もしくは、上記の機能は、少なくとも1つのサーバーがそのプログラムの処理の全部または一部を実行する所謂クラウドサービスにより実現されてもよい。
【0086】
図6を参照して、データベース555に基づいて検索部525が実行する検索処理の具体例について説明する。
図6は、実行予定の印刷ジョブの選択ページおよび複数のサンプル画像について、図形領域の割合および文字領域の割合の一例を表形式で示す図である。
【0087】
図6においては、ジョブA,B,Cの各々のサンプル番号1~8のサンプル画像について、図形領域および文字領域の割合がそれぞれ特徴パラメーターとして示されている。これらの図形領域および文字領域の割合の値は、各々に対応するサンプル画像とともにデータベース555に格納されている。
【0088】
さらに、
図6には、選択ページの図形領域および文字領域の割合の値も示されている。ユーザーは、実行予定のジョブに含まれる複数のページのうちの1つを選択ページとして選択する。
【0089】
検索部525は、実行予定のジョブの選択ページの図形領域および文字領域の割合に対して、それぞれ閾値範囲内である図形領域および文字領域の割合を、実行予定の印刷ジョブの特徴に類似する特徴パラメーターとしてデータベースから検索する。
【0090】
図6の例では、実行予定のジョブのページの図形領域の割合が「50%」であり、文字領域の割合が「30%」である。そこで、例えば、上記の閾値範囲は、実行予定のジョブのページの図形領域または文字領域の割合から、その割合の±10%以内の範囲として定められる。なお、上記の閾値範囲は、一例であって、限定されない。
【0091】
具体的に
図6に示すように、サンプル画像の図形領域の割合が、45%から55%の範囲にあるという第1の条件を満たす場合と、サンプル画像の文字領域の割合が27%から33%の範囲内にあるという第2の条件を満たす場合とが検索対象になる。
図6に示す表において、第1条件および第2条件の各々を満たすセルにはハッチングが付されている。
【0092】
したがって、検索部525は、第1の条件および第2の条件を満たすサンプル画像の識別表示であるジョブCのサンプル番号5を検索結果として適合サンプルリスト565に登録する。画像検査装置102のコントローラー117のCPUは、ジョブCのサンプル番号5のサンプル画像を適合サンプル画像として表示部510に表示する。表示部510に表示された適合サンプル画像に対するユーザーの評価に基づいて、異常検出レベルが設定される。
【0093】
他の局面において、適合サンプルリスト565に複数の適合サンプル画像の識別番号が登録される場合、検索部525は、選択ページの画像の図形領域および文字領域の割合と、サンプル画像の図形領域および文字領域の割合とから、それらの画像の近さを表す評価値を取得してもよい。
【0094】
検索部525は、例えば、選択ページの画像の図形領域の割合と、サンプル画像の図形領域の割合の差、および選択ページの文字領域の割合とサンプル画像の文字領域の割合との差の合計を評価値として取得する。検索部525は、適合サンプルリスト565に識別番号が登録された複数の適合サンプル画像のうち、選択ページの画像に最も近いもの、すなわち評価値が最小となるものを第1の適合サンプル画像として決定する。
【0095】
このとき、画像検査装置102のコントローラー117のCPUは、実行予定の印刷ジョブの特徴パラメーターに最も近い特徴パラメーターを有するサンプル画像として第1の適合サンプル画像を表示部510に表示してもよい。
【0096】
[異常の検出レベルを設定するための手順]
以下、
図7~
図11を参照して、異常の検出レベルを設定するための手順について説明する。
図7は、実施形態1の画像形成システム170において、画像異常の検出レベルを設定するための手順の一例を示すフローチャートである。ある局面において、
図7に示される処理は、画像検査装置102に設けられたコントローラー150のCPUがROMに格納された処理プログラムを実行することにより実現される。
【0097】
ステップS605において、CPUは、操作パネル130を介したユーザー操作に基づいて、印刷ジョブの選択を受け付ける。このときに操作パネル130に表示される表示画面の例について、
図8を参照して説明する。
【0098】
図8は、ユーザーから印刷ジョブの選択を受け付けるために操作パネル130に表示されるジョブリスト画面700の一例を示す図である。ジョブリスト画面700は、補助記憶装置210に格納されている印刷ジョブを一覧表示するジョブリスト712と、ジョブチケットボタン740とを含む。
【0099】
図8の例では、ジョブリスト712は、対応する印刷ジョブのファイル名715、ユーザー名720、最終更新日時725、ページ数730、および印刷部数735を示す。ユーザーは、ジョブリスト712に記載されているファイル名715のいずれかを選択することにより、印刷ジョブを選択する。
【0100】
ジョブチケットボタン740は、選択された印刷ジョブの各種設定情報を編集するための
図9のジョブチケット編集画面800に、操作パネル130に表示される画面を切り替えるためのボタンである。CPUは、ジョブチケットボタン740がユーザーにより操作されたことに基づいて、選択された印刷ジョブのジョブチケット編集画面800に、操作パネル130の画面を切り替える。
【0101】
再び
図7を参照して、ステップS610において、CPUは、操作パネル130のジョブチケット編集画面800におけるユーザー操作に基づいて、ステップS605で選択された印刷ジョブにおけるページの選択を受け付ける。このとき、CPUは、印刷ジョブの全てのページの選択を受け付けても、複数の代表的なページの選択を受け付けてもよい。このように、全てのまたは代表的なページの選択を受け付けた場合、CPUは、以下のステップS620~ステップS680の処理を、選択されたページごとに実行する。
【0102】
その次のステップS615において、CPUは、操作パネル130を介したユーザー操作に基づいて、選択されたページに対する適合サンプル画像の検索の指示を受け付ける。
【0103】
以下、ステップS610,615において操作パネル130に表示されるジョブチケット編集画面800の例について、
図9を参照して説明する。
【0104】
図9は、ユーザーのページの選択を受け付けるため、および適合サンプル画像の検索の指示を受け付けるために、ステップS610,615において操作パネル130に表示されるジョブチケット編集画面800の一例を示す図である。
【0105】
ジョブチケット編集画面800は、ページ別チケット編集画面827と、基本設定ボタン群815と、出力設定ボタン群825と、キャンセルボタン870と、新規保存ボタン872と、上書き保存ボタン874とを含む。
【0106】
基本設定ボタン群815および出力設定ボタン群825は、選択された印刷ジョブにおける全てのページに共通する設定情報を設定するためにユーザーにより操作される。これに対して、ページ別チケット編集画面827は、選択されたページごとの設定情報を設定するためにユーザーにより操作されるボタンを含む。
【0107】
より具体的には、ページ別チケット編集画面827は、ページ番号表示ウィンドウ835と、ページ送りボタン836,837と、ページ送りバー838と、ウィンドウ840と、用紙設定ボタン群830とを含む。
【0108】
ページ送りボタン836,837およびページ送りバー838は、ステップS605で選択された印刷ジョブにおいてページを選択するためにユーザーにより操作される(ステップS610)。
【0109】
ページ番号表示ウィンドウ835は、ステップS605で選択された印刷ジョブにおいてステップS610で選択されたページ番号を表示する。ページ番号は、実行ジョブにおいて原稿画像データに割り当てられる番号である。
図9の例では、選択されているページ番号は3である。
【0110】
ウィンドウ840は、ページ送りボタン836,837またはページ送りバー838を介して選択されたページの原稿画像データに基づくビットマップ画像をプレビュー表示する。ユーザーは、ページ送りボタン836,837またはページ送りバー838を用いて切り替わるビットマップ画像を見ながら、サンプル画像を用いて異常検出レベルが設定されるページを選択できる。
【0111】
用紙設定ボタン群830は、選択されたページに対して用いられる用紙のサイズ、紙種、坪量などの用紙に関する設定情報を設定するためにユーザーにより操作される。
【0112】
基本設定ボタン群815は、印刷ジョブのファイル名および設定部数を設定するためにユーザーにより操作される。
【0113】
出力設定ボタン群825は、ソート、排紙順、異常の検出処理の実行の有無などを設定するためにユーザーにより操作される。出力設定ボタン群825は、さらに、異常検出ボタン855と、適合サンプルボタン865とを含む。
【0114】
具体的に、異常検出ボタン855は、画像検査装置102によって印刷画像の異常検出処理を実行するか否かについて、ユーザーの設定を受け付ける。
【0115】
適合サンプルボタン865は、異常検出処理を実行するようユーザーにより設定されている場合において、選択されたページについて異常検出レベルを設定するための適合サンプル画像を検索する指示を受け付ける(ステップS615)。なお、適合サンプル画像の検索処理を実行しないページについては、デフォルトの異常検出レベルが設定される。
【0116】
キャンセルボタン870は、ジョブチケット編集画面800に基づく設定をキャンセルするために、ユーザーにより操作される。新規保存ボタン872は、その設定を新たな設定情報として補助記憶装置210などの記憶部505に新規に保存するためにユーザーにより操作される。上書き保存ボタン874は、その設定を上書き保存するために、ユーザーにより操作される。ユーザーは、適合サンプル画像に基づく検出レベルを設定した場合に、新規保存ボタン872または上書き保存ボタン874を操作することにより、設定された検出レベルを、印刷ジョブと関連付けて保存できる。
【0117】
以下、再び
図7を参照して、ユーザーが適合サンプルボタン865を操作したときに(ステップS615)、CPUが実行する処理について説明する。
【0118】
ステップS620において、CPUは、実行予定の印刷ジョブの選択ページにおける図形領域の割合R1と文字領域の割合R2とを取得する。
図5を参照して説明したように、CPUは、例えば、PDLで記載された原稿画像データの内容を分析することにより、それらの割合を取得する。なお、このような分析結果として図形領域の割合R1と文字領域の割合R2とが特徴パラメーターとして印刷ジョブに既に含まれている場合には、CPUは印刷ジョブからその特徴パラメーターを取得する。
【0119】
その次のステップS625において、CPUは、記憶部505に格納された異常部分を含むサンプル画像(以下、「過去サンプル画像」と称する)があるか否かを判断する。過去サンプル画像がある場合(ステップS625においてYES)、CPUは、処理をステップS635に進める。他方、過去サンプル画像がない場合(ステップS625においてNO)、CPUは、ステップS670において操作パネル130に適合サンプル画像が無い旨を表示した後、一連の処理を終了する。
【0120】
ステップS635において、CPUは、記憶部505のデータベース555に格納されているM個のサンプル画像の各々について、図形領域の割合r1と文字領域の割合r2とを取得する。これらの領域の割合r1,r2は、特徴パラメーターとして各サンプル画像に対応付けてデータベース555に格納されている。
【0121】
その次のステップS640において、CPUは、処理対象のサンプル画像をカウントするためのカウント数Nを1に初期化する。
【0122】
その次のステップS645において、CPUは、処理対象のサンプル画像について、原稿画像データに基づくビットマップ画像の図形領域の割合R1とサンプル画像の図形領域の割合r1との差、および原稿画像データに基づくビットマップ画像の文字領域の割合R2とサンプル画像の文字領域の割合r2との差の各々が閾値範囲内であるか否かを判断する。これらの差がいずれも閾値範囲内である場合(ステップS645においてYES)、CPUは、ステップS647においてサンプル画像の識別番号を適合サンプルリスト565に登録した後、処理をステップS650に進める。他方、これらの差の少なくとも一方が閾値範囲内でない場合(ステップS645においてNO)、CPUは、処理をステップS650に進める。
【0123】
ステップS650において、CPUは、カウント数Nをカウントアップする。
その次のステップS655において、CPUは、カウント数Nが、記憶部505に格納されているサンプル画像の個数であるM以下であるか否かを判断する。カウント数NがM以下である場合(ステップS655においてYES)、CPUは、処理をステップS645に戻す。その後、CPUは、カウント数NがMよりも大きくなるまで、すなわち、全てのサンプル画像についての処理が完了するまでステップS645の処理を繰り返す。カウント数NがMより大きい場合(ステップS655においてNO)、CPUは、処理をステップS660に進める。
【0124】
その次のステップS660において、CPUは、適合サンプルリスト565にサンプル画像の識別番号の登録があるか否かを判断する。適合サンプルリスト565に識別番号の登録がある場合(S660においてYES)、CPUは、処理をステップS665に進める。他方、適合サンプルリスト565に識別番号の登録がない場合(S660においてNO)、CPUは、ステップS670において操作パネル130に適合サンプル画像が無い旨を表示した後、一連の処理を終了する。
【0125】
ステップS665において、CPUは、適合サンプルリスト565に格納された識別番号に対応するサンプル画像を表示部510に表示する。
【0126】
その次のステップS675において、CPUは、受け付け部515を介して、表示部510に表示された適合サンプル画像に対するユーザーの評価を受け付ける。
【0127】
その次のステップS680において、CPUは、ステップS675において受け付けたユーザーの評価に基づいて、選択されたページに関して異常検出レベルを設定する。より具体的には、CPUは、実行予定の印刷ジョブにおける選択ページの設定情報に、設定された異常検出レベルの設定値を追加する。なお、ステップS615において選択ページ以外のページの異常検出レベルには、印刷ジョブに対してデフォルトで設定されている異常検出レベルが適用される。他の局面において、選択ページ以外のページの異常検出レベルは、選択されたページに対する異常検出レベルに基づいて定められてもよい。例えば、選択ページ以外のページの異常検出レベルは、選択されたページの異常検出レベルの平均値として定められてもよい。ステップS675の後、CPUは、一連の処理を終了する。
【0128】
以下、ステップS665において表示されるサンプル画像の例について、
図10および
図11を参照して説明する。
【0129】
図10および
図11は、適合サンプル画像に含まれる異常を許容するか否かをユーザーに問い合わせるために表示部510に表示される適合サンプル画像表示画面1000の一例を示す図である。
【0130】
図10および
図11において、適合サンプル画像表示画面1000は、サンプル画像1001,1105と、許容ボタン1002と、非許容ボタン1005とを含む。
図10のサンプル画像1001は、「図形」のみからなる画像であり、異常部分1010を含む。
図11のサンプル画像1105は、「文字」のみからなる画像であり、異常部分1115を含む。
【0131】
許容ボタン1002は、ユーザーにより異常部分1010または1115が許容されるときに操作される。非許容ボタン1005は、ユーザーにより異常部分1010または1115が許容されないときに操作される。これにより、CPUは、適合サンプル画像に対するユーザーの評価を受け付けて(ステップS675)、このユーザーの評価に基づいて異常検出レベルを設定する(ステップS680)。
【0132】
前述したように、ユーザーが用紙上に印刷された画像に含まれる異常を許容するか否かは、印刷される画像の特徴に依存する。例えば、実行予定のジョブにおいて印刷される画像が、「図形」のみを含む場合と「文字」のみからなる場合とでは、同じ検出レベルの異常であってもユーザーの許容度は異なる場合がある。例えば、「図形」のみのサンプル画像1001に含まれる異常部分1010は、ユーザーにより許容され得る一方で、「文字」のみのサンプル画像1105に含まれる異常部分1115は、ユーザーにより許容されない可能性がある。
【0133】
したがって、例えば、実行予定のジョブの原稿画像データに基づくビットマップデータが「図形」のみからなる場合、検索部525は、そのジョブの原稿画像データの特徴を表す特徴パラメーターに一致または類似する特徴パラメーターに関連付けられたサンプル画像データを検索する。より具体的には、検索部525は、その原稿画像データに基づくビットマップ画像における図形領域の割合および文字領域の割合が一致または類似する適合サンプル画像データをデータベース555から検索する。
図10の例では、「図形」のみのサンプル画像1001が適合サンプル画像に該当する。画像検査装置102のCPUは、この「図形」のみのサンプル画像1001を適合サンプル画像として表示部510に表示する。
【0134】
これに対して、例えば、実行予定のジョブの原稿画像データに基づくビットマップデータが「文字」のみからなる場合、同様に、
図11の「文字」のみのサンプル画像1115が、適合サンプル画像に該当する。この場合、画像検査装置102のCPUは、この「文字」のみのサンプル画像1115を適合サンプル画像として表示部510に表示する。
【0135】
以下、上記の処理手順の変形例について説明する。
図7の例とは異なり、CPUは、ステップS610,S615の処理に代えて、印刷ジョブの先頭ページおよび最終ページに対応する適合サンプル画像に関して、それぞれ、自動的にステップS620~S680を実行してもよい。CPUは、さらに、印刷ジョブにおいて図形領域の割合が最大のページ、および文字領域の割合が最大のページに関して、それぞれ、自動的にステップS620~S680を実行してもよい。これにより、ユーザーがページの選択をする手間を省いたうえで、適合サンプル画像を用いて検出レベルを設定できる。
【0136】
[実施形態1の効果]
実施形態1に従う画像形成システム170によれば、検索部525は、実行予定の印刷ジョブにおける原稿画像データの特徴を表す特徴パラメーターに一致または類似する特徴パラメーターを有するサンプル画像をデータベース555から検索する。サンプル画像は、特徴パラメーターに対応付けてデータベース555に格納されている。より具体的には、サンプル画像が互いに属性の異なる複数の画像領域に区分される場合に、各画像領域の割合が特徴パラメーターとして用いられる。これにより、実行予定の印刷ジョブの原稿画像データの特徴に近い特徴を有するサンプル画像を表示部510に表示できる。したがって、実行予定の印刷ジョブの印刷画像に生じ得る異常に対するユーザーの許容度をできるだけ反映するように異常検出レベルを設定できる。結果として、異常検出処理の精度が向上する。
【0137】
上記の方法によらない場合、記憶部505に格納された複数のサンプル画像を表示部に表示させ、実行予定の印刷ジョブの原稿画像データに応じて適切なサンプル画像をユーザーが選択する必要がある。実施形態1の画像形成システム170によれば、このようにユーザーが適切なサンプル画像を選択するという手間を省くことができる。
【0138】
<実施形態2>
実施形態2の画像形成システム170は、画像検査装置102のCPUが、ユーザーによって指定された画像領域(文字領域または図形領域など同一の属性を有する領域)に異常を有するサンプル画像を検索する点で、前述の実施形態1の画像形成システム170と異なる。なお、実施形態2における画像形成システム170のその他の点は、実施形態1の場合と同様である。したがって、同一または対応する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0139】
具体的に、サンプル画像においてどの属性を有する画像領域に異常が検出されたかという情報は、各画像領域の割合を表す特徴パラメーターとともにデータベース555に格納される。画像検査装置102のCPUは、複数の画像領域のうち、異常が検出された画像領域の指定をユーザーから受け付ける。そして、CPUは、属性に基づいて区分された複数の画像領域の各割合が原稿画像データの場合と一致または類似しているという条件と、ユーザーによって指定された画像領域に異常が検出されたという条件とを両方とも満たすサンプル画像を検索する。
【0140】
以下、
図12~
図13を参照して、実施形態2において画像検査装置102のCPUが実行する処理について詳細に説明する。
【0141】
図12は、実施形態2の画像形成システム170において、画像異常の検出レベルを設定するための手順の一例を示すフローチャートである。ある局面において、
図12に示される処理は、画像検査装置102のCPUがROMに格納された処理プログラムを実行することにより実現される。なお、
図7のフローチャートに示す処理と同じ処理には同一のステップ番号を付すことにより、その処理についての説明を繰り返さない。
【0142】
まず、CPUは、
図7のステップS605からステップS615までの処理を実行する。ステップS615において、CPUは、ユーザーから適合サンプル画像の検索の指示を受け付ける。
【0143】
その次のステップS1217において、CPUは、ユーザーから、異常が検出された領域の指定を受け付ける。例えば、
図9の適合サンプルボタン865がユーザーにより操作された後に、CPUは、異常が検出された領域が図形領域であるサンプル画像、または文字領域であるサンプル画像のいずれを検索するかをユーザーに問い合わせる画面を操作パネル130に表示する。他の局面において、異常が検出された領域が、背景領域であるサンプル画像、写真領域であるサンプル画像、バーコード領域であるサンプル画像などのいずれを検索するかをユーザーに問い合わせる画面を操作パネル130に表示してもよい。CPUは、このような問い合わせ画面を操作パネル130に表示することにより、異常が検出された領域の指定をユーザーから受け付ける。
【0144】
次に、CPUは、
図7のステップS620からステップS635までの処理を実行する。ステップS635において、CPUは、M個のサンプル画像の各々について、図形領域の割合r1と文字領域の割合r2をデータベース555から取得する。
【0145】
その次のステップS1237において、CPUは、異常が検出された領域の情報を取得する。より具体的には、原稿画像データに基づくビットマップ形式の画像が属性に応じて複数の画像領域に区分される場合、CPUは、どの属性の画像領域において異常部分が検出されたかを示す情報を、データベース555から取得する。CPUは、一例として、その画像領域が図形領域または文字領域のいずれであるかを示す情報を取得する。
【0146】
次に、CPUは、
図7のステップS640,S645の処理を実行する。ステップS645においてCPUは、処理対象のサンプル画像について、原稿画像データに基づくビットマップ形式の画像の図形領域の割合R1とサンプル画像の図形領域の割合r1との差、および原稿画像データに基づくビットマップ形式の画像の文字領域の割合R2とサンプル画像の文字領域の割合r2との差の各々が閾値範囲内であるか否かを判断する。ステップS645でYES(すなわち、閾値範囲内である)と判断した場合に、CPUは処理をステップS1246に進める。
【0147】
ステップS1246において、CPUは、サンプル画像において、ユーザーによって指定された領域で異常が検出されていたか否かを判断する。指定された領域で異常が検出されていた場合(ステップS1246においてYES)、CPUは、ステップS647においてサンプル画像の識別番号を適合サンプルリスト565に登録した後、処理をステップS650に進める。他方、指定された領域で異常が検出されていない場合(ステップS1246においてNO)、CPUは、ステップS650に処理を進める。
【0148】
その後のステップS650~S680の処理は
図7の場合と同様であるので、説明を繰り返さない。
【0149】
以下、S1246において実行される判断処理の具体例について、
図13を参照して説明する。
図13は、
図6において、さらに異常が検出された領域を明示した図である。
【0150】
図13に示す表において、「E」というマークが付されているセルは、そのセルに対応する領域で異常が検出されたことを示す。例えば、ジョブCのサンプル番号が「5」に対応するサンプル画像は、図形領域において異常が検出されていない一方で、文字領域において異常が検出されたことが示されている。
【0151】
図5を参照して説明したように、ジョブCのサンプル番号5のサンプル画像は、その文字領域および図形領域の割合が、実行予定のジョブのページの図形領域および文字領域の割合から、それぞれ、閾値範囲内であるという条件を満たす(ステップS645においてYES)。さらに、
図12のステップS1217において、例えば文字領域がユーザーにより指定された領域である場合、上記のサンプル画像は、ユーザーにより指令された領域で異常が検出されたという条件を満たす(ステップS1246でYES)。したがって、検索部525は、ジョブCのサンプル番号5を検索結果として適合サンプルリスト565に登録する(ステップS647)。
【0152】
[実施形態2の効果]
実施形態2に従う画像形成システム170によれば、画像検査装置102のCPUは、属性情報に応じた複数の領域のうちで異常が検出された領域の指定をユーザーから受け付ける。検索部525は、原稿画像データに基づくビットマップ形式の画像における複数の領域の各割合を示す特徴パラメーターに加えて、ユーザーにより指定された領域の属性に基づいて、適合サンプル画像の識別番号を検索する。CPUは、検索された適合サンプル画像を表示部510に表示する。これにより、異常が検出された領域の属性に応じて変わり得る、ユーザーの異常に対する許容度を異常検出レベルに反映できる。
【0153】
<実施形態3>
実施形態3の画像形成システム170は、印刷ジョブに含まれる原稿画像データのページ数が大量にある場合を考慮したものである。具体的に、画像検査装置102のCPUは、各ページの図形領域および文字領域の割合がどの数値範囲に含まれるかに応じて、実行ジョブの各ページを分類する。この分類結果は、操作パネル130に一覧表示される。検索部525は、ユーザーにより一覧表示から選択された数値範囲に対応する適合サンプル画像データをデータベース555から検索する。これにより、ユーザーは全てのページについて適合サンプル画像を検索するかどうかを検討する必要はない。実施形態3の画像形成システム170は、上記の点において、前述の実施形態1,2における画像形成システム170と異なる。
【0154】
なお、実施形態3における画像形成システム170のハードウェア構成は、
図1~
図4に示される実施形態1の場合のハードウェア構成と同様である。また、実施形態3の画像形成システム170における機能的構成は、基本的には、
図5に示される機能的構成と同様である。したがって、同一または対応する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0155】
以下、
図14および
図15を参照して、実施形態3において画像検査装置102のCPUが実行する処理について説明する。
【0156】
図14は、実施形態3の画像形成システムにおいて、画像異常の検出レベルを設定するための手順の一例を示すフローチャートである。ある局面において、
図14に示される処理は、画像検査装置102のCPUがROMに格納された処理プログラムを実行することにより実現される。また、前述の処理と同じ処理には同一のステップ番号を付してある。したがって、同じ処理の説明は繰り返さない。
【0157】
まず、CPUは、
図7のステップS605,S610の処理を実行する。ステップS605において、CPUはユーザーから印刷ジョブの選択を受け付け、ステップS610において、CPUはユーザーから適合サンプル画像の検索の指示を受け付ける。
【0158】
その次のステップS1412において、CPUは、ステップS605において受け付けたジョブの各ページの図形領域の割合R1と、文字領域の割合R2とを取得する。
図5を参照して説明したように、CPUは、例えば、PDLで記載された原稿画像データの内容を分析することにより、原稿画像データに基づくビットマップ形式の画像における各画像領域の割合を取得する。なお、このような分析結果として図形領域の割合R1と文字領域の割合R2とが特徴パラメーターとして印刷ジョブに既に含まれている場合には、CPUは、印刷ジョブからその特徴パラメーターを取得する。
【0159】
その次のステップS1413において、CPUは、各ページの図形領域の割合R1および文字領域の割合R2がどの数値範囲に含まれるかに応じて各ページを分類して、操作パネル130に各数値範囲に含まれるページ番号を一覧表示する。
【0160】
その次のステップS1414において、CPUは、画像領域の割合R1および文字領域の割合R2の数値範囲の選択を受け付ける。
【0161】
以下、ステップS1413,1414において操作パネル130に表示される表示画面の例について、
図15を参照して説明する。
【0162】
図15は、原稿画像データに基づくビットマップ形式の画像に含まれる画像領域および文字領域の割合に応じて、実行ジョブの各ページを分類した結果を一覧表示する画面の一例を示す図である。
【0163】
一覧表示画面1500は、図形領域の割合1505および文字領域の割合1510の各数値範囲に対して該当するページのページ番号1515を表示する(ステップS1413)。CPUは、図形領域の割合1505および文字領域の割合1510により表される数値範囲またはその数値範囲に含まれるページ番号の選択をユーザーから受け付ける(ステップS1414)。
【0164】
以下、再び
図14を参照して、一覧表示画面1500においてユーザーにより数値範囲が選択されたときに、CPUが実行する処理について説明する。
【0165】
CPUは、
図7のステップS625からステップS640までの処理を実行する。具体的に、ステップS635において、CPUは、記憶部505のデータベース555に格納されているM個のサンプル画像の各々について、図形領域の割合r1と文字領域の割合r2とを取得する。ステップS640において、CPUは、処理対象のサンプル画像をカウントするためのカウント数Nを1に初期化する。
【0166】
その次のステップS1245において、CPUは、サンプル画像の図形領域の割合r1が原稿画像データに基づくビットマップ形式の画像の図形領域の割合R1の選択された数値範囲内であるという条件と、サンプル画像の文字領域の割合r2が原稿画像データに基づくビットマップ形式の画像の文字領域の割合R2の選択された数値範囲内であるという条件との両方が満たされるか否かを判断する。上記の両方の条件が満たされる場合(ステップS1245においてYES)、CPUは、ステップS647においてサンプル画像の識別番号を適合サンプルリストに登録した後、処理をステップS650に進める。他方、上記の少なくとも一方の条件が満たされない場合(ステップS1245においてNO)、CPUは、処理をステップS650に進める。
【0167】
その後、CPUは、
図7のステップS650において、カウント数Nをカウントアップする。その次のステップS655において、CPUは、カウント数NがMよりも大きくなるまでステップS645(およびステップS1246)の処理を繰り返す。カウント数NがMより大きい場合(ステップS655においてNO)、CPUは、処理をステップS660に進める。
【0168】
その後、CPUは、
図7のステップS660~S680の処理を実行した後、一連の処理を終了する。
【0169】
なお、
図15の例では、画像領域の割合1505および文字領域の割合1510に関する各数値範囲には、印刷ジョブにおける3~5枚程度のページが比較的均等に対応している。しかしながら、通常の印刷ジョブでは、画像領域の割合1505および文字領域の割合1510の一部の数値範囲に対して、印刷ジョブの大部分のページが集中的に対応していることが多い。このような場合、ユーザーは、上記の一部の数値範囲に対して表示される適合サンプル画像に対して評価を入力することより、印刷ジョブの大部分のページに対する異常検出レベルを設定できる。
【0170】
[実施形態3の効果]
実施形態3に従う画像形成システム170によれば、画像検査装置102のCPUは、各ページの図形領域および文字領域の割合がどの数値範囲に含まれるかに応じて、実行ジョブの各ページを分類する。この分類結果は、操作パネル130に一覧表示される。検索部525は、ユーザーにより一覧表示から選択された数値範囲またはページ番号に対応する適合サンプル画像をデータベース555から検索し、操作パネル130に表示する。ユーザーは、表示された適合サンプル画像に対して評価を入力する。
【0171】
これにより、印刷ジョブに含まれる原稿画像データのページ数が大量にある場合であっても、ユーザーは全てのページについて適合サンプル画像を検索するかどうかを検討する必要はない。また、選択された数値範囲が、印刷ジョブの複数のページに対応する場合、それらのページに対して同じサンプル画像を用いて一括して検出レベルを設定できるため、ユーザーが異常検出レベルを設定する手間を軽減できる。
【0172】
<実施形態4>
実施形態4の画像形成システム170は、画像検査装置102のCPUが、実行予定の印刷ジョブにおける記録媒体としての用紙の設定情報を特徴パラメーターとして用いる点で、前述の実施形態1~3の画像形成システム170と異なる。
【0173】
なお、実施形態4における画像形成システム170のハードウェア構成は、実施形態1の場合のハードウェア構成と同様である。また、実施形態4の画像形成システム170の機能的構成は、基本的には、
図5に示される機能的構成と同様である。したがって、同一または対応する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0174】
一般に、用紙上の印刷画像に含まれる異常がユーザーにより許容されるか否かは、用紙の坪量、サイズ、紙種、光沢などに依存し得る。
【0175】
例えば、用紙の坪量が小さい場合、すなわち用紙が薄紙である場合、用紙の下表面に形成された画像が用紙の上表面に「裏写り」する場合がある。この場合、ユーザーは、「裏写り」が異常として誤検知されることを防ぐために、異常検出レベルを低感度に変更するべきと判断し得る。これに対して、用紙の下表面に同じ画像が形成されるとしても、用紙が厚紙である場合には、用紙の上表面に「裏写り」そのものが発生しないため、ユーザーは、異常検出レベルを変更する必要がないと判断し得る。
【0176】
また、用紙のサイズ、紙種、坪量、光沢などが変わるにつれて、異常の目立ちやすさは変わり得る。例えば、同じ大きさの異常であっても、用紙のサイズがその異常に対して十分大きい場合には、ユーザーは、その異常が目立たないと判断して、その異常を許容し得る。他方、用紙のサイズが比較的小さい場合には、ユーザーは、その異常が目立つと判断して、その異常を許容しないことがあり得る。したがって、用紙のサイズ、紙種、坪量、光沢などに応じて異常検出レベルを変更する必要がある。
【0177】
そこで、実施形態4では、検索部525は、実行予定の印刷ジョブにおいて設定される用紙の設定情報に基づいて、検索処理を実行する。具体的に、サンプル画像に対応する印刷ジョブにおいて用いられた用紙の設定情報は、特徴パラメーターとしてサンプル画像に対応付けてデータベース555に格納される。
【0178】
以下、
図16を参照して、実施形態4において画像検査装置102のCPUが実行する処理について説明する。
【0179】
図16は、実施形態4の画像形成システム170において、画像異常の検出レベルを設定するための手順の一例を示すフローチャートである。ある局面において、
図16に示される処理は、画像検査装置102のCPUがROMに格納された処理プログラムを実行することにより実現される。また、前述の処理と同じ処理には同一のステップ番号を付してある。したがって、同じ処理の説明は繰り返さない。
【0180】
まず、CPUは、
図7のステップS605からステップS615までの処理を実行する。ステップS615において、CPUは、操作パネル130を介したユーザー操作に基づいて、選択されたページに対する適合サンプル画像の検索の指示を受け付ける。
【0181】
その次のステップS1620において、CPUは、ステップS605において選択された印刷ジョブの用紙情報を取得する。用紙情報は、そのジョブの用紙に関する特徴パラメーターであり、用紙の坪量、サイズおよび紙種の少なくとも1つを含む。また、用紙情報は、用紙の表面性、紙厚、坪量などの用紙の物性値であってもよい。ここで表面性とは、光沢度などの、用紙の表面の物理特性を表すものである。あるいは、用紙の設定情報は、以下に説明するように、用紙に付けられた名前であってもよい。
【0182】
ユーザーは、印刷ジョブにおいて使用される用紙の種類ごとに用紙名を付け、その用紙の坪量、紙種、サイズ、物性値などを含む設定情報とその用紙名と関連付けて、用紙プロファイルとして補助記憶装置210などに登録できる。例えば、「用紙A」と名付けられたデータが、用紙プロファイルに登録されているとする。また、実行予定の印刷ジョブにおいて用いられる用紙は、「用紙A」であるとする。この場合、CPUは、実行予定の印刷ジョブにおける用紙情報として、「用紙A」という用紙名を、特徴パラメーターとして取得してもよい。
【0183】
その後、CPUは、
図7のステップS625において、記憶部505に過去サンプル画像が格納されているか否かを判断する。過去サンプル画像が記憶部505に格納されている場合、CPUは処理をステップS1635に進める。
【0184】
その次のステップS1635において、CPUは、M個のサンプル画像の各々について、用紙に関する情報を取得する。ステップS1635において各サンプル画像に対して取得する用紙情報は、ステップS1620において印刷ジョブに対して取得された用紙情報に対応するものである。その後、CPUは、ステップS640において処理対象のサンプル画像をカウントするためのカウント数Nを1に初期化する。
【0185】
その次のステップS1645において、CPUは、実行予定のジョブの用紙情報と、処理対象のサンプル画像のジョブの用紙情報とが一致するか否かを判断する。実行予定のジョブの用紙情報とサンプル画像のジョブの用紙情報とが一致する場合(ステップS1645においてYES)、CPUは、ステップS647においてサンプル画像の識別番号を適合サンプルリスト565に登録した後、処理をステップS650に進める。他方、これらの用紙情報が一致しない場合(ステップS645においてNO)、CPUは、処理をステップS650に進める。
【0186】
ステップS1645において実行される、実行予定のジョブの用紙情報と、処理対象のサンプル画像のジョブの用紙情報とが一致するか否かの判断には、種々の方法があり得る。
【0187】
例えば、CPUは、それらの用紙の登録された用紙名が一致するか否かを判断してもよい(第1の判断処理)。CPUは、それらの用紙の坪量、サイズ、紙種に関するパラメーターの全てが一致するか否かを判断してもよい(第2の判断処理)。また、CPUは、用紙の坪量、サイズ、紙種に関するパラメーターの少なくとも1つが一致するか否かを判断してもよい(第3の判断処理)。あるいは、CPUは、それらの用紙の物性値の少なくとも1つが一致するか否かを判断してもよい(第4の判断処理)。ここで、それらの用紙の物性値が一致することは、それらの物性値の差が測定誤差の範囲内にあることを含む。
【0188】
上記の第1~第3の判断処理について優先順位が設定されてもよい。例えば、CPUは、最も高い優先順位が設定される第1の判断処理を実行する。第1の判断処理において、これらの用紙名が一致する場合、CPUは、処理をステップS647に進める。前述のようにステップS647において、CPUはサンプル画像の識別番号を適合サンプルリスト565に登録する。他方、それらの用紙名が一致しない場合、CPUは、その次に高い優先順位が設定された第2の判断処理を実行する。第2の判断処理において全てのパラメーターが一致する場合、CPUは処理をステップS647に進める。他方、全てのパラメーターが一致しない場合、CPUは、第3の判断処理を実行する。第3の判断処理において少なくとも1つのパラメーターが一致する場合、CPUは処理をステップS647に進める。他方、いずれのパラメーターも一致しない場合、CPUは、処理をステップS650に進める。ステップS650において、CPUは、カウント数Nをカウントアップする。
【0189】
その次のステップS655において、CPUは、カウント数NがMよりも大きくなるまでステップS1645の処理を繰り返す。カウント数NがMより大きい場合(ステップS655においてNO)、CPUは、処理をステップS660に進める。
【0190】
その次のステップS660以降の処理は、
図7の場合と同様である。したがって、詳細な説明を繰り返さない。
【0191】
なお、ステップS1645において第4の判断処理が実行されるにも拘わらず、その印刷ジョブで用いられる用紙の物性値が登録されていない場合がある。この場合、CPUは、用紙の物性値を測定するようにユーザーに促すメッセージを操作パネル130に表示してもよい。ユーザーは、例えば、外部のメディアセンサー(不図示)で測定した用紙の物性値を取得して、用紙プロファイルに登録し得る。他の局面において、ユーザーは、テスト印刷を実行し、メディアセンサー112により測定された用紙の物性値を取得して、用紙プロファイルに登録し得る。
【0192】
[実施形態4の効果]
実施形態4に従う画像形成システム170によれば、画像検査装置102のCPUは、ユーザーにより選択された印刷ジョブの特徴パラメーターとして用紙に関する情報を取得する。サンプル画像データは、対応する印刷ジョブの用紙に関する情報に関連付けてデータベース555に格納されている。検索部525は、取得された用紙に関する情報に基づいて、その情報に一致する用紙に関する情報をデータベース555から検索する。CPUは、検索された用紙に関する情報に関連付けられた適合サンプル画像を表示部510に表示する。CPUは、ユーザーによって入力された適合サンプル画像に対する評価に基づいて、異常検出レベルを変更する。これにより、印刷画像が形成される用紙の坪量、サイズ、紙種、物性値などに応じて変わり得る、異常に対するユーザーの許容度を異常検出レベルに反映できる。
【0193】
<実施形態5>
実施形態5の画像形成システム170は、画像検査装置102のCPUが、実行予定の印刷ジョブのユーザー名と一致するユーザー名をデータベース555から検索する点で、前述の実施形態1の画像形成システム170と異なる。
【0194】
なお、実施形態5における画像形成システム170のハードウェア構成は、
図1~
図4に示される実施形態1の場合のハードウェア構成と同様である。また、実施形態3の画像形成システム170における機能的構成は、基本的には、
図5に示される機能的構成と同様である。したがって、同一または対応する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0195】
実施形態1~4では、ユーザーは、ユーザー自身により実行された印刷ジョブとは異なる印刷ジョブのサンプル画像に対して評価を行うことがある。これに対して、ユーザーは、過去に自身が実行した印刷ジョブのサンプル画像を用いて、実行予定の印刷ジョブにおける異常検出レベルを設定することを望む場合がある。そこで、実施形態5では、検索部525は、実行予定の印刷ジョブの特徴パラメーターとしてのユーザー名に基づいて、検索処理を実行する。具体的に、サンプル画像に対応する印刷ジョブのユーザー名は、特徴パラメーターとしてデータベース555に格納される。
【0196】
以下、
図17を参照して、実施形態5において画像検査装置102のCPUが実行する処理について詳細に説明する。
【0197】
図17は、実施形態5の画像形成システム170において、画像異常の検出レベルを設定するための手順の一例を示すフローチャートである。ある局面において、
図17に示される処理は、画像検査装置102のCPUがROMに格納された処理プログラムを実行することにより実現される。なお、
図7のフローチャートに示す処理と同じ処理には同一のステップ番号を付すことにより、その処理についての説明を繰り返さない。
【0198】
まず、CPUは、
図17のステップS605からステップS615までの処理を実行する。ステップS615において、CPUは、ユーザーから適合サンプル画像の検索の指示を受け付ける。
【0199】
その次のステップS1720において、CPUは、ステップS605において印刷ジョブを選択したユーザー名を取得する。
【0200】
その次のステップS625において、CPUは、過去サンプル画像があるか否かを判断する。過去サンプル画像がある場合、CPUは、処理をステップS1735に進める。他方、過去サンプル画像がない場合、CPUは、ステップS670において操作パネル130に適合サンプル画像が無い旨を表示した後、一連の処理を終了する。
【0201】
その次のステップS1735において、M個のサンプル画像の各々について、ユーザー名を取得する。
【0202】
次に、CPUは、処理対象のサンプル画像をカウントするためのカウント数Nを1に初期化する。
【0203】
その次のステップS1745において、CPUは、処理対象のサンプル画像について、そのサンプル画像に関連付けられたユーザー名が、実行予定のジョブのユーザー名と一致するか否かを判断する。それらのユーザー名が一致すると判断した場合に(ステップS1745でYES)、CPUは、
図7のステップS647においてサンプル画像の識別番号を適合サンプルリスト565に登録した後、ステップS650に処理を進める。他方、それらのユーザー名が一致しないと判断した場合に(ステップS1745でNO)、CPUは、ステップS650に処理を進める。
【0204】
その後のステップS650において、カウント数Nをカウントアップする。その次のステップS655において、CPUは、カウント数NがMよりも大きくなるまでステップS745の処理を繰り返す。カウント数NがMより大きい場合(ステップS655においてNO)、CPUは、処理をステップS660に進める。
【0205】
その次のステップS660~S680の処理は
図7の場合と同様であるので、説明を繰り返さない。
【0206】
[実施形態5の効果]
実施形態に従う画像形成システム170によれば、検索部525は、実行予定の印刷ジョブの特徴パラメーターとしてのユーザー名をデータベース555から検索する。サンプル画像データは、ユーザー名に関連付けてデータベース555に格納されている。これにより、実行予定の印刷ジョブにユーザー名が一致するサンプル画像を表示部510に表示できる。その結果、ユーザーは、そのユーザー自身が実行した印刷ジョブのサンプル画像を用いて、実行予定の印刷ジョブにおける異常検出レベルを設定できる。
【0207】
[変形例]
実施形態1~5は、適宜組み合わされてもよい。
【0208】
例えば、実施形態1と実施形態4とを組み合わせる場合、記憶部550には、特徴パラメーターとして、属性に応じた各画像領域の割合と印刷ジョブに関する用紙に関する情報とが格納される。CPUは、実施形態1の
図7のステップS635の後に、実施形態4の
図16のステップS1635を実行する。さらに、
図7のステップS645でYESの場合に、CPUは、さらに
図16のステップS1645について判断する。CPUは、ステップS645とステップS1645が共に満たされているときに、ステップS647において、サンプル画像の識別番号を適合サンプルリスト565に登録する。
【0209】
また、実施形態1と実施形態5とを組み合わせる場合、記憶部550には、特徴パラメーターとして、属性に応じた各画像領域の割合と印刷ジョブのユーザー名とが格納される。CPUは、実施形態1の
図7のステップS635の後に、実施形態5の
図17のステップS1735を実行する。さらに、
図7のステップS645でYESの場合に、CPUは、さらに
図17のステップS1745について判断する。CPUは、ステップS645とステップS1745が共に満たされているときに、ステップS647において、サンプル画像の識別番号を適合サンプルリスト565に登録する。
【0210】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0211】
100 画像形成装置、102 画像検査装置、170 画像形成システム、117,150 コントローラー、120 画像形成部、121 トナー像形成ユニット、130 操作パネル、210,415 補助記憶装置、300 CPU、505 記憶部、510 表示部、515 受け付け部、520 異常検出部、522 特徴パラメーター取得部、525 検索部、530 検出レベル設定部、545A,545B,545M 特徴パラメーター、555 データベース、565 適合サンプルリスト。