(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】情報処理端末、音響システム、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
H04R3/00
(21)【出願番号】P 2020105934
(22)【出願日】2020-06-19
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野中 剛
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-213139(JP,A)
【文献】特開2008-278540(JP,A)
【文献】国際公開第2018/083991(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0364321(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0266867(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048-3/04895
G06F 3/16
H04H 60/04-60/05
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器と、
複数の入出力端子を有するI/O機器の機種を識別する識別部と、
前記識別部の識別結果に基づいて前記複数の入出力端子の配置を示す配置データを生成する配置データ生成部と、
前記複数の入出力端子に対応する音響処理パラメータを取得する取得部と、
前記配置データに基づいて前記複数の入出力端子のそれぞれに対応する音響処理パラメータを前記表示器に表示する表示処理部と、
を備えた情報処理端末。
【請求項2】
前記識別部は、前記I/O機器を撮影した画像データに基づいて前記I/O機器の機種を区別する、
請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項3】
前記表示処理部は、前記撮影した画像データに前記音響処理パラメータを重畳して表示する、
請求項2に記載の情報処理端末。
【請求項4】
さらにユーザの操作を受け付ける操作受付部を備え、
前記ユーザの操作は、前記音響処理パラメータに対する操作を含む、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の情報処理端末。
【請求項5】
前記ユーザの操作は、表示の切り替え操作を含む、
請求項4に記載の情報処理端末。
【請求項6】
前記ユーザの操作は、前記複数の入出力端子の設定画面を表示する表示操作を含む、
請求項4または請求項5に記載の情報処理端末。
【請求項7】
前記ユーザの操作は、CUEのオン/オフ操作を含む、
請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の情報処理端末。
【請求項8】
前記ユーザの操作は、シーンリコールのプレビューを表示するプレビュー操作を含む、
請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載の情報処理端末。
【請求項9】
前記音響処理パラメータは、チャンネル名を含む、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の情報処理端末。
【請求項10】
I/O機器と、情報処理端末と、音響処理装置と、を備える音響システムであって、
前記I/O機器は、音信号を受け付け、前記音信号を前記音響処理装置に送受信するための複数の入出力端子を備え、
前記音響処理装置は、前記複数の入出力端子のそれぞれに対応する音響処理パラメータに基づいて前記音信号を処理する信号処理部を備え、
前記情報処理端末は、
表示器と、
前記I/O機器の機種を識別する識別部と、
前記識別部の識別結果に基づいて前記複数の入出力端子の配置を示す配置データを生成する配置データ生成部と、
前記複数の入出力端子に対応する前記音響処理パラメータを取得する取得部と、
前記配置データに基づいて前記複数の入出力端子のそれぞれに対応する音響処理パラメータを前記表示器に表示する表示処理部と、
を備える、
音響システム。
【請求項11】
複数の入出力端子を有するI/O機器の機種を識別し、
識別結果に基づいて前記複数の入出力端子の配置を示す配置データを生成し、
前記複数の入出力端子に対応する音響処理パラメータを取得し、
前記配置データに基づいて前記複数の入出力端子のそれぞれに対応する音響処理パラメータを表示器に表示する、
情報処理方法。
【請求項12】
前記識別することにおいて、前記I/O機器を撮影した画像データに基づいて前記I/O機器の機種を区別する、
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記表示することにおいて、前記撮影した画像データに前記音響処理パラメータを重畳して表示する、
請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
さらにユーザの操作を受け付けることを備え、
前記ユーザの操作は、前記音響処理パラメータに対する操作を含む、
請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記ユーザの操作は、表示の切り替え操作を含む、
請求項14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記ユーザの操作は、前記複数の入出力端子の設定画面を表示する表示操作を含む、
請求項14または請求項15に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記ユーザの操作は、CUEのオン/オフ操作を含む、
請求項14乃至請求項16のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記ユーザの操作は、シーンリコールのプレビューを表示するプレビュー操作を含む、
請求項14乃至請求項17のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項19】
前記音響処理パラメータは、チャンネル名を含む、
請求項11乃至請求項18のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項20】
複数の入出力端子を有するI/O機器の機種を識別し、
識別結果に基づいて前記複数の入出力端子の配置を示す配置データを生成し、
前記複数の入出力端子に対応する音響処理パラメータを取得し、
前記配置データに基づいて前記複数の入出力端子のそれぞれに対応する音響処理パラメータを表示器に表示する、
処理を情報処理端末に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理端末、音響システム、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の入出力端子を有するI/O機器は、多数のマイク等の音響機器を接続する。音響エンジニア等の利用者は、複数の入出力端子のそれぞれを所定のチャンネルに割り当てるパッチ設定を行う(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者は、入出力端子の数およびチャンネル数が多くなると、どの入出力端子にどの様な音響処理パラメータが割り当てられているか、把握し難しい。利用者は、例えば紙に記載した割り当て表等を見て、どの入出力端子にどの様な音響処理パラメータが設定されているか把握していた。しかし、割り当てを変更すると、紙に記載された内容の修正が必要になり、紙の内容と実際の割り当ての内容が一致していることを確認する必要がある。
【0005】
そこで、この発明は、どの入出力端子にどの様な音響処理パラメータが設定されているか、直感的に把握することができる情報処理端末、音響システム、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
情報処理端末は、表示器と、複数の入出力端子を有するI/O機器の機種を識別する識別部と、前記識別部の識別結果に基づいて前記複数の入出力端子の配置を示す配置データを生成する配置データ生成部と、前記複数の入出力端子に対応する音響処理パラメータを取得する取得部と、前記配置データに基づいて前記複数の入出力端子のそれぞれに対応する音響処理パラメータを前記表示器に表示する表示処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
利用者は、どの入出力端子にどの様な音響処理パラメータが設定されているか、直感的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】音響システム100の構成を示すブロック図である。
【
図2】I/O機器13の構成を示すブロック図である。
【
図4】信号処理部204およびCPU206で実現される信号処理の機能的ブロック図である。
【
図5】情報処理端末12の構成を示すブロック図である。
【
図7】CPU303の動作を示すフローチャートである。
【
図9】変形例1に係るI/O機器13および情報処理端末12の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、音響システムの構成を示すブロック図である。音響システム100は、ミキサ11、情報処理端末12、I/O機器13、複数のスピーカ14、および複数のマイク15を備えている。
【0010】
ミキサ11およびI/O機器13は、ネットワークケーブルを介して接続されている。I/O機器13、複数のスピーカ14、および複数のマイク15は、オーディオケーブルを介して接続されている。情報処理端末12は、無線通信を介してミキサ11に接続されている。
【0011】
ただし、本発明において、機器間の接続は、上述の例に限るものではない。例えば、ミキサ11および情報処理端末12は、USBケーブル、HDMI(登録商標)、またはMIDI等の通信線で接続されていてもよい。また、ミキサ11およびI/O機器13は、オーディオケーブルで接続されていてもよい。
【0012】
ミキサ11は、本発明の音響処理装置の一例である。ミキサ11は、I/O機器13からオーディオ信号を入力する、またはI/O機器13に対してオーディオ信号を出力する。なお、音響処理装置は、ミキサ11に限らない。例えば、オーディオの録音、編集、またはミキシング等の作業を行なうためのハードウェアまたはソフトウェアからなるシステム(DAW:Digital Audio Workstation)も、音響処理装置の一例である。
【0013】
図2は、I/O機器13の構成を示すブロック図である。
図3は、ミキサ11の構成を示すブロック図である。
図4は、信号処理部を機能的に示したブロック図である。
図5は、情報処理端末12の構成を示すブロック図である。
【0014】
I/O機器13は、表示器101、ユーザインタフェース(I/F)102、入出力端子103、フラッシュメモリ104、RAM105、ネットワークインタフェース(I/F)106、およびCPU107を備えている。
【0015】
表示器101、ユーザインタフェース(I/F)102、オーディオインタフェース(I/F)103、フラッシュメモリ104、RAM105、ネットワークインタフェース(I/F)106、およびCPU107は、バス151に接続されている。
【0016】
表示器101は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)またはOLED(Organic Light-Emitting Diode)等からなり、種々の情報を表示する。ユーザI/F102は、スイッチ、摘まみ、またはタッチパネル等からなり、ユーザの操作を受け付ける。ユーザI/F102がタッチパネルである場合、該ユーザI/F102は、表示器101とともに、GUI(Graphical User Interface以下略)を構成する。
【0017】
CPU107は、記憶媒体であるフラッシュメモリ104に記憶されているプログラムをRAM105に読み出して、所定の機能を実現する。なお、CPU107が読み出すプログラムは、自装置内のフラッシュメモリ104に記憶されている必要はない。例えば、プログラムは、サーバ等の外部装置の記憶媒体に記憶されていてもよい。この場合、CPU107は、該サーバから都度プログラムをRAM105に読み出して実行すればよい。
【0018】
図6は、I/O機器13の外観を示す図である。一例として、I/O機器13は、直方体形状の筐体を有する。
図6は、筐体のフロントパネルを示す図である。筐体のフロントパネルには、表示器101、入出力端子103、およびネットワークI/F106が配置されている。なお、表示器101には、タッチパネルからなるユーザI/F102が積層されている。
【0019】
表示器101は、I/O機器13の機種名(
図6の例ではA0001)を表示する。ただし、機種名は、表示器101に表示する必要はない。機種名は、筐体の一部に印刷または刻印されていてもよい。
【0020】
入出力端子103は、複数の入出力端子からなる。
図6の例では、入出力端子103は、8×3の24個の入力端子を有する。それぞれの入力端子は、マイク15に接続される。それぞれの入力端子は、マイク15から音信号を入力する。また、入出力端子103は、8個の出力端子を有する。それぞれの出力端子は、スピーカ14に接続される。それぞれの出力端子は、スピーカ14に音信号を出力する。なお、端子の数はこの例に限るものではない。
【0021】
CPU107は、入出力端子103のそれぞれの入力端子から入力した音信号をネットワークI/F106を介してミキサ11に送信する。また、CPU107は、ネットワークI/F106を介してミキサ11から受信した音信号を入出力端子103のそれぞれの出力端子に出力する。
【0022】
ミキサ11は、表示器201、ユーザI/F202、オーディオI/O(Input/Output)203、信号処理部(DSP)204、ネットワークI/F205、CPU206、フラッシュメモリ207、およびRAM208を備えている。これら構成は、バス171を介して接続されている。
【0023】
CPU206は、ミキサ11の動作を制御する制御部である。CPU206は、記憶媒体であるフラッシュメモリ207に記憶された所定のプログラムをRAM208に読み出して実行することにより各種の動作を行なう。
【0024】
なお、CPU206が読み出すプログラムも、自装置内のフラッシュメモリ207に記憶されている必要はない。例えば、プログラムは、サーバ等の外部装置の記憶媒体に記憶されていてもよい。この場合、CPU206は、該サーバから都度プログラムをRAM208に読み出して実行すればよい。
【0025】
信号処理部204は、各種信号処理を行なうためのDSPから構成される。信号処理部204は、オーディオI/O203またはネットワークI/F205を介してI/O機器13等の機器から入力されるオーディオ信号に、ミキシング処理およびフィルタ処理等の信号処理を施す。信号処理部204は、信号処理後のオーディオ信号を、オーディオI/O203またはネットワークI/F205を介して、I/O機器13等の他の機器に出力する。
【0026】
図4は、信号処理部204およびCPU206で実現される信号処理の機能的ブロック図である。
図4に示すように、信号処理は、機能的に、入力パッチ401、入力チャンネル402、バス403、出力チャンネル404、および出力パッチ405によって行なわれる。
【0027】
入力チャンネル402は、一例として24チャンネルの信号処理機能を有する。入力パッチ401は、I/O機器13の各入力端子を入力チャンネル402のいずれかのチャンネルに割り当てる。
【0028】
入力チャンネル402の各チャンネルには、入力パッチ401からオーディオ信号が供給される。入力チャンネル402の各チャンネルは、入力されたオーディオ信号に対して、各種の信号処理を施す。また、入力チャンネル402の各チャンネルは、信号処理後のオーディオ信号を、後段のバス403へ送出する。
【0029】
バス403は、入力されるオーディオ信号をそれぞれミキシングして出力する。バス403は、STL(ステレオL)バス、STR(ステレオR)バスを、AUXバス、MIXバス等の複数のバスを有する。
【0030】
出力チャンネル404は、複数のバスから出力された、それぞれのオーディオ信号に信号処理を施す。出力パッチ405は、出力チャンネル404のそれぞれのチャンネルをI/O機器13の各出力端子に割り当てる。出力パッチ405は、オーディオI/O203またはネットワークI/F205を介して、I/O機器13に音信号を送信する。
【0031】
情報処理端末12は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、またはタブレット型PC等の情報処理装置である。情報処理端末12は、表示器301、ユーザI/F302、CPU303、ネットワークI/F305、フラッシュメモリ306、RAM307、およびカメラ308を備えている。
【0032】
表示器301には、タッチパネルからなるユーザI/F302が積層され、GUIが構成されている。CPU303は、記憶媒体であるフラッシュメモリ306に記憶されているプログラムをRAM307に読み出して、所定の機能を実現する。なお、CPU303が読み出すプログラムも、自装置内のフラッシュメモリ306に記憶されている必要はない。例えば、プログラムは、サーバ等の外部装置の記憶媒体に記憶されていてもよい。この場合、CPU303は、該サーバから都度プログラムをRAM307に読み出して実行すればよい。
【0033】
CPU303は、上記プログラムにより、識別部371、配置データ生成部372、取得部373、および表示処理部374を構成する。
【0034】
図7は、CPU303の動作を示すフローチャートである。CPU303の識別部371は、まずI/O機器13の機種の識別を行う(S11)。具体的には、識別部371は、カメラ308で撮影した画像データから、機種名の情報を抽出し、抽出した機種名に基づいて機種の識別を行う。利用者は、情報処理端末12のカメラ308を用いてI/O機器13の筐体のフロントパネルを撮影する。識別部371は、画像認識処理により機種名に対応する情報を抽出する。
図6の例では、表示器101に機種名が表示されている。したがって、識別部371は、「A0001」の機種名を抽出する。なお、識別部371は、サーバに画像データを送信して、サーバで対応する機種名を抽出することで、機種の識別を行ってもよい。また、機種名の情報が筐体に表示されていない場合、識別部371は、画像認識処理により機種の識別を行ってもよい。この場合、識別部371は、カメラ308で撮影した画像データに最も近似した機種を割り出し、機種の識別を行う。
【0035】
次に、CPU303の配置データ生成部372は、識別部371の識別結果に基づいて複数の入出力端子の配置を示す配置データを生成する(S12)。フラッシュメモリ306は、機種毎の配置データを予め記憶している。配置データ生成部372は、識別結果である機種名の情報でフラッシュメモリ306を参照し、対応する配置データを読み出す。配置データは、入出力端子の数を示す情報、それぞれの入出力端子の名称を示す情報、およびそれぞれの入出力端子の位置を示す情報等が含まれている。入出力端子の位置は、例えばI/O機器13の所定の位置(例えばフロントパネルを正視して左下の位置)を基準とする直交座標で表される。
【0036】
また、配置データ生成部372は、配置データをサーバからダウンロードしてもよい。サーバは、機種毎の配置データを蓄積している。配置データ生成部372は、識別結果である機種名の情報をサーバに送信する。サーバは、受信した機種名の情報に対応する配置データを返信する。
【0037】
一方、CPU303の取得部373は、複数の入出力端子のそれぞれに対応する音響処理パラメータを取得する(S13)。音響処理パラメータは、例えばチャンネル名、ゲイン、ファンタム電源のオン/オフ、極性、信号処理(例えばフィルタ処理)の内容、CUEのオン/オフ等である。取得部373は、ミキサ11から、複数の入出力端子のそれぞれに対する音響処理パラメータを取得する。例えば、取得部373は、入力パッチ401の割り当て情報を取得する。
【0038】
表示処理部374は、S12で生成した配置データに基づいて複数の入出力端子のそれぞれに対応する音響処理パラメータを表示器301に表示する(S14)。例えば、表示処理部374は、
図8に示す様に、I/O機器13のフロントパネルの画像のうち、複数の入出力端子のそれぞれの位置にチャンネル名を表示する。I/O機器13のフロントパネルの画像は、予めフラッシュメモリ306に記憶しておいてもよいし、サーバからダウンロードしてもよい。また、I/O機器13のフロントパネルの画像は、カメラ308で撮影した画像であってもよい。カメラ308で撮影した画像を用いる場合には、表示処理部374は、カメラ308で現在撮影している画像に重畳して音響処理パラメータを表示する。
【0039】
図8の例では、第1入力端子にVocalのチャンネル名を有する入力チャンネルが対応している。そのため、表示処理部374は、第1入力端子にVocalのチャンネル名を表示する。なお、この例では、各入力チャンネルに利用者が予めチャンネル名を入力している。しかし、利用者がチャンネル名を入力していない場合、表示処理部374は、それぞれの入出力端子に、例えば「入力チャンネル1」等のチャンネル名を表示してもよい。
【0040】
これにより、利用者は、どの入出力端子にどの様な音響処理パラメータが割り当てられているか、容易に把握することができる。また、仮にミキサ11で割り当てを変更した場合でも、表示処理部374は、変更後の内容を表示器301に表示する。したがって、利用者は、割り当てを変更しても、各入出力端子に割り当てている音響処理パラメータの内容を容易に把握することができる。
【0041】
(変形例1)
上述の例では、識別部371は、カメラ308で撮影したI/O機器13のフロントパネルの画像に基づいて、機種の識別を行った。しかし、識別部371は、例えば所定の通信機能を用いてI/O機器13から機種情報を取得してもよい。
図9は、変形例1に係るI/O機器13および情報処理端末12の外観を示す図である。
【0042】
図9の例では、通信インタフェースとしてNFCを利用する。NFCI/F502は、
図9に示す様に、例えばI/O機器13の筐体の一部に設けられている。NFCI/Fは、通信インタフェースの一例であり、アンテナを介して他の機器との通信を行なう。NFCは、規格上、通信可能な距離が例えば10cm等の至近距離に制限されている。そのため、NFCは、至近距離の機器に限り、通信を行なうことができる。無論、通信インタフェースは、NFCに限るものではない。例えば、I/O機器13の筐体は、Bluetooth(登録商標)Low Energyのビーコンを備えていてもよい。情報処理端末12は、Bluetooth(登録商標)を利用して機種名の情報を取得してもよい。
【0043】
利用者は、
図9に示す様に、情報処理端末12をI/O機器13の筐体に近づける。この場合、情報処理端末12もNFCI/Fを備える。識別部371は、NFCを介して、I/O機器13から機種名の情報を取得する。これにより、識別部371は、機種の識別を行ってもよい。
【0044】
(変形例2)
図10および
図11は、変形例2に係る表示器301の表示例である。表示器301には、タッチパネルからなるユーザI/F302が積層され、GUIが構成されている。ユーザI/F302は、タッチパネルを介して、利用者から音響処理パラメータに対する操作を受け付ける。
【0045】
例えば、利用者が表示器301にタッチすると、表示処理部374は、
図10および
図11に示す「INPUT INFO」画面を表示する。「INPUT INFO」は、表示の切り替え操作用の画面である。
図10の例では、「INPUT INFO」は、「NAME」、「GAIN」、「+48V」、「POLARITY」および「FILTER」を含む。「NAME」はチャンネル名を示す。「GAIN」はゲインを示す。「+48V」はファンタム電源を示す。「POLARITY」は、極性を示す。「FILTER」はフィルタを示す。
【0046】
ここで、利用者が表示の切り替え操作として、例えば「GAIN」を選択する。すると、
図11に示す様に、表示処理部374は、音響処理パラメータとして、チャンネル名に変えてゲインを表示する。
図11の例では、表示処理部374は、ゲインの数値と、レベルゲージと、を表示している。ゲインは、数値だけでもよいし、レベルゲージだけでもよい。また、例えば
図12に示す様に、表示処理部374は、チャンネル名とレベルゲージとを両方表示してもよい。これにより、利用者は、各入出力端子のゲインを一覧することができる。
【0047】
なお、表示の切り替えは、上述の例に限らない。例えば、表示処理部374は、シーンリコールのプレビューを表示してもよい。シーンリコールは、ミキサ11のフラッシュメモリ207に記憶されているシーンデータを読み出す処理である。利用者がシーンリコールを行うと、音響処理パラメータの内容が変化する。シーンリコールのプレビュー表示は、ミキサ11における音響処理パラメータを維持したまま、表示器301に表示される音響処理パラメータの内容だけが変化する機能である。利用者がシーンリコールのプレビュー表示操作を行うと、情報処理端末12は、ミキサ11から対応するシーンデータを受信する。表示処理部374は、シーンデータに対応する音響処理パラメータの内容を表示器301の各入出力端子の位置に表示する。これにより、利用者は、シーンリコールを行った場合に音響処理パラメータの内容がどの様に変化するかを把握することができる。このとき、ミキサ11の信号処理の内容はまだ変化していないため、利用者は、コンサートの本番等、音を切り替えられない状態であっても、音響処理パラメータの内容を容易に把握することができる。
【0048】
(変形例3)
図13は、変形例3に係る表示器301の表示例である。変形例3の情報処理端末12は、ミキサ11の設定を行うことができる。例えば、利用者が表示器301に表示されている各入出力端子の位置をタッチすると、表示処理部374は、
図13に示す様な、各入出力端子の設定画面を表示する。
【0049】
図13の例では、入力端子1がタッチされている。表示処理部374は、入力端子1の設定画面「IN1:Vocal」を表示する。設定画面は、「PATCH」、「NAME」、「GAIN」、「+48V」、「POLARITY」、「FILTER」、「EDIT」、「CUE」および「CANCEL」を含む。
【0050】
利用者は、「PATCH」をタッチすると、入力端子1に割り当てる入力チャンネルを変更できる。利用者が入力端子1に割り当てる入力チャンネルを変更すると、情報処理端末12は、割り当てる対象の入力チャンネルを示す情報をミキサ11に送信する。ミキサ11は、受信した情報に基づいて、入力パッチ401の割り当てを変更する。
【0051】
利用者は、「NAME」をタッチすると、チャンネル名を変更できる。この場合、入力パッチ401の割り当ては変更されず、チャンネル名だけが変更される。
【0052】
利用者は、「GAIN」をタッチすると、ゲインを変更できる。表示処理部374は、「GAIN」のタッチを受け付けると、例えば、摘まみまたはフェーダを表示する。情報処理端末12は、摘まみまたはフェーダの操作を受け付けることで、ゲイン変更操作を受け付ける。情報処理端末12は、変更後のゲインの情報をミキサ11に送信する。ミキサ11は、受信したゲインの情報に基づいて、入力パッチ401の割り当てを変更する。
【0053】
利用者は、「+48V」をタッチすると、ファンタム電源をオン/オフできる。利用者は、「POLARITY」をタッチすると、極性を反転できる。利用者は、「FILTER」をタッチすると、フィルタ設定画面に移行し、フィルタのオン/オフおよびフィルタ特性の設定を行うことができる。
【0054】
利用者は、「EDIT」をタッチすると、チャンネル設定画面に移行する。チャンネル設定画面は、例えば、信号処理の内容、音信号の送り先、または送り量等の設定を行うことができる。
【0055】
利用者は、「CUE」をタッチすると、CUEのオン/オフを行うことができる。CUEがオンになると、対応するチャンネルの音信号が利用者のモニタ用ヘッドフォンに送出される。
【0056】
利用者が「CANCEL」をタッチすると、設定画面が閉じる。
【0057】
図13では、入力端子および入力チャンネルの音響処理パラメータの内容を変更する例を示しているが、出力端子および出力チャンネルも同様にミキサ11の音響処理パラメータの内容を変更することができる。
【0058】
(変形例4)
上述までの例では、識別部371は、カメラ308で撮影した画像データから、機種名の情報を抽出し、抽出した機種名に基づいて機種の識別を行った。しかし、識別部371は、機種名ではなく、例えばユーザのユニットIDや機器毎の固有情報(製造番号)等に基づいて機種の識別を行なってもよい。なお、ユニットIDとは、音響システム100内で、当該音響システム100を構成する複数の機器のそれぞれに固有に割り当てられる管理番号(例えば英数字)である。ユニットIDは、ユーザがマスタとなる機器(例えばミキサ11)を用いて各機器に手動で割り当ててもよいし、マスタとなる機器が自動で割り当ててもよい。これにより、識別部371は、同じ機種のI/O機器が複数使われている場合でも、それぞれのI/O機器を区別することができる。
【0059】
本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0060】
例えば、操作受付部は、音声認識処理により利用者の操作を受け付けてもよい。また、情報処理端末は、ヘッドマウント型の情報処理端末であってもよい。この場合、情報処理端末の操作受付部は、利用者のジェスチャーを認識し、利用者のジェスチャーに対応する操作を受け付ける。
【符号の説明】
【0061】
11…ミキサ
12…情報処理端末
13…I/O機器
14…スピーカ
15…マイク
100…音響システム
101…表示器
103…入出力端子
104…フラッシュメモリ
105…RAM
107…CPU
151…バス
171…バス
201…表示器
204…信号処理部
206…CPU
207…フラッシュメモリ
208…RAM
301…表示器
303…CPU
306…フラッシュメモリ
307…RAM
308…カメラ
371…識別部
372…配置データ生成部
373…取得部
374…表示処理部
401…入力パッチ
402…入力チャンネル
403…バス
404…出力チャンネル
405…出力パッチ