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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240312BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B41J2/165 501
B41J2/01 207
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020112568
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011430
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】大原 瑛一
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-046990(JP,A)
【文献】特開2006-159602(JP,A)
【文献】特開2014-217950(JP,A)
【文献】特開2016-124266(JP,A)
【文献】特開2016-087979(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0032438(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクのドットであって第1サイズのドットと前記第1サイズよりも小さい第2サイズのドットとを吐出するノズルを有する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドを制御することにより、前記ノズルによるインク吐出の状態を検査するためのテストパターンを印刷媒体へ印刷させる制御部と、を備え、
前記テストパターンは、前記第1サイズの複数のドットで形成される第1パターン要素と、前記第2サイズの複数のドットで形成される第2パターン要素と、を有し、
前記制御部は、前記第1パターン要素を形成する前記第1サイズのドット数よりも前記第2パターン要素を形成する前記第2サイズのドット数が多い前記テストパターンを、前記印刷ヘッドに印刷させる、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷ヘッドは、所定方向への移動に伴い前記ノズルからインクを吐出する走査を実行可能であり、
前記制御部は、前記第1パターン要素を印刷する走査回数よりも前記第2パターン要素を印刷する走査回数が多い前記テストパターンを、前記印刷ヘッドに印刷させる、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ノズルによる前記第1パターン要素を印刷するための前記第1サイズのドットの吐出率よりも前記ノズルによる前記第2パターン要素を印刷するための前記第2サイズのドットの吐出率が高い前記テストパターンを、前記印刷ヘッドに印刷させる、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記印刷ヘッドと前記印刷媒体との相対移動により前記テストパターンを印刷するときの前記相対移動の速度を、通常印刷をするときの前記相対移動の速度と同じとする、ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記テストパターンを印刷するときに前記ノズルの駆動に用いる駆動信号の波形を、通常印刷をするときに前記ノズルの駆動に用いる駆動信号の波形と同じとする、ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
インクのドットであって第1サイズのドットと前記第1サイズよりも小さい第2サイズのドットとを吐出するノズルを有する印刷ヘッドを使用して前記ノズルによるインク吐出の状態を検査するためのテストパターンを印刷媒体へ印刷する印刷工程を有し、
前記テストパターンは、前記第1サイズの複数のドットで形成される第1パターン要素と、前記第2サイズの複数のドットで形成される第2パターン要素と、を有し、
前記印刷工程は、前記第1パターン要素を形成する前記第1サイズのドット数よりも前記第2パターン要素を形成する前記第2サイズのドット数が多い前記テストパターンを、前記印刷ヘッドに印刷させる、ことを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の印刷装置であって、記録ヘッドにより印刷用紙へテストパターンを記録し、テストパターンをスキャナーにより読み取り、読取データを補間処理し、補間処理後の読取データに基づいてノズルの異常を判定する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007‐54970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ノズルから複数のサイズのドットを吐出可能なヘッドによりテストパターンを印刷媒体へ印刷した場合に、テストパターンにおける、前記複数のサイズのうち比較的小さいドットにより印刷した部分については、印刷媒体との濃度差が小さくなることがあった。その結果、ノズルの検査に必要なテストパターンの読み取りや読取データに基づく検査が一部適切に行えないことがあった。よって、読み取りや読み取り後の検査を適切に遂行するために好適なテストパターンが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
印刷装置は、インクのドットであって第1サイズのドットと前記第1サイズよりも小さい第2サイズのドットとを吐出するノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドを制御することにより、前記ノズルによるインク吐出の状態を検査するためのテストパターンを印刷媒体へ印刷させる制御部と、を備え、前記テストパターンは、前記第1サイズの複数のドットで形成される第1パターン要素と、前記第2サイズの複数のドットで形成される第2パターン要素と、を有し、前記制御部は、前記第1パターン要素を形成する前記第1サイズのドット数よりも前記第2パターン要素を形成する前記第2サイズのドット数が多い前記テストパターンを、前記印刷ヘッドに印刷させる。
【0006】
印刷方法は、インクのドットであって第1サイズのドットと前記第1サイズよりも小さい第2サイズのドットとを吐出するノズルを有する印刷ヘッドを使用して前記ノズルによるインク吐出の状態を検査するためのテストパターンを印刷媒体へ印刷する印刷工程を有し、前記テストパターンは、前記第1サイズの複数のドットで形成される第1パターン要素と、前記第2サイズの複数のドットで形成される第2パターン要素と、を有し、前記印刷工程は、前記第1パターン要素を形成する前記第1サイズのドット数よりも前記第2パターン要素を形成する前記第2サイズのドット数が多い前記テストパターンを、前記印刷ヘッドに印刷させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】装置構成を簡易的に示すブロック図。
図2】搬送部や印刷ヘッドを含む構成の具体例を示す図。
図3】印刷媒体と印刷ヘッドとの関係性を上方からの視点により示す図。
図4】TPの印刷からノズルの検査までの流れを示すフローチャート。
図5】TP画像データの例を示す図。
図6】TPの一部を拡大して示す図。
図7】サイズ別ドット数テーブルの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0009】
1.装置構成:
図1は、本実施形態にかかる印刷装置10の構成を簡易的に示している。
印刷装置10は、制御部11、表示部13、操作受付部14、通信IF15、搬送部16、キャリッジ17、印刷ヘッド18、読取部19等を備える。IFは、インターフェイスの略である。制御部11は、プロセッサーとしてのCPU11a、ROM11b、RAM11c等を有する一つ又は複数のICや、その他の不揮発性メモリー等を含んで構成される。
【0010】
制御部11では、プロセッサーつまりCPU11aが、ROM11bや、その他のメモリー等に保存された一つ以上のプログラム12に従った演算処理を、RAM11c等をワークエリアとして用いて実行することにより、印刷制御部12a、読取制御部12b、検査部12c等の各種機能を実現する。なお、プロセッサーは、一つのCPUに限られることなく、複数のCPUや、ASIC等のハードウェア回路により処理を行う構成であってもよいし、CPUとハードウェア回路とが協働して処理を行う構成であってもよい。
【0011】
表示部13は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部13は、ディスプレイと、ディスプレイを駆動するための駆動回路とを含む構成であってもよい。操作受付部14は、ユーザーによる操作を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、マウスや、キーボード等によって実現される。むろん、タッチパネルは、表示部13の一機能として実現されるとしてもよい。
【0012】
表示部13や操作受付部14は、印刷装置10の構成の一部であってもよいが、印刷装置10に対して外付けされた周辺機器であってもよい。通信IF15は、印刷装置10が公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠して有線又は無線で外部と接続するための一つまたは複数のIFの総称である。
【0013】
搬送部16は、印刷媒体を搬送するための手段であり、ローラーや、ローラー等を回転させるモーターを含む。印刷ヘッド18は、インクジェット方式によりノズルからインクを印刷媒体へ吐出して印刷を実行する。読取部19は、印刷媒体における印刷結果を読み取る手段である。読取部19をスキャナーとも呼ぶ。ただし、印刷装置10は読取部19を含まない構成であってもよい。
【0014】
キャリッジ17は、不図示のキャリッジモーターによる動力を受けて所定方向に沿って往復移動可能な機構である。キャリッジ17が移動する所定方向を、主走査方向とも呼ぶ。キャリッジ17は図2図3に示すように印刷ヘッド18を搭載している。
【0015】
図1に示す印刷装置10の構成は、一台のプリンターによって実現されてもよいし、通信可能に接続した複数の装置により実現されてもよい。
つまり、印刷装置10は、実態として印刷システム10であってもよい。印刷システム10は、例えば、制御部11として機能する情報処理装置と、搬送部16やキャリッジ17や印刷ヘッド18や更には読取部19を含んだプリンターと、を含む。このような印刷装置10または印刷システム10により、本実施形態の印刷方法が実現される。
また、制御部11のうち印刷制御部12aとして機能する部分と、読取制御部12bや検査部12cとして機能する部分とは、別体の情報処理装置であってもよい。
【0016】
図2は、印刷装置10の一部であって主に搬送部16や印刷ヘッド18を含む構成の具体例を示している。図2では、印刷媒体30の搬送方向D2に直交する視点により前記具体例を示している。
搬送部16は、搬送の上流に繰出軸22を備え、かつ、搬送の下流に巻取軸25を備える。搬送の上流、下流を、単に、上流、下流と表記する。繰出軸22および巻取軸25にロール状に巻き付けられた長尺な印刷媒体30が、搬送方向D2に沿って張架されている。印刷媒体30は搬送方向D2へ搬送される。印刷媒体30は、用紙であってもよいし、紙以外の素材による媒体であってもよい。
【0017】
図2の例では、繰出軸22が時計回りに回転することで、繰出軸22に巻き付けられた印刷媒体30が下流へ繰り出される。繰出軸22の下流位置には、前駆動ローラー23が設けられ、巻取軸25の上流位置には、後駆動ローラー24が設けられている。前駆動ローラー23は、前記時計回りに回転することで、繰出部22から繰り出される印刷媒体30を下流へ搬送する。前駆動ローラー23に対してはニップローラー23nが設けられている。ニップローラー23nは、印刷媒体30に当接することにより、前駆動ローラー23との間で印刷媒体30を挟み込んでいる。
【0018】
後駆動ローラー24は、前記時計回りに回転することで、前駆動ローラー23により下流へ搬送される印刷媒体30を更に下流へ搬送する。後駆動ローラー24に対してはニップローラー24nが設けられている。ニップローラー24nは、印刷媒体30に当接することにより、後駆動ローラー24との間で印刷媒体30を挟み込んでいる。
【0019】
前駆動ローラー23と後駆動ローラー24との間には、印刷媒体30に対して上方からインクを吐出する印刷ヘッド18が配設されている。図2から解るように、印刷ヘッド18は、キャリッジ17に搭載されている。印刷ヘッド18は、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)といった複数色のインクを吐出可能である。
【0020】
印刷ヘッド18が有する各ノズルは、印刷ヘッド18の印刷媒体30に対向するノズル面20に開口しており、印刷ヘッド18は、印刷データに基づいてインクをノズルから吐出したり吐出しなかったりする。ノズルが吐出するインクを、インク滴と呼んだりドットと呼んだりもする。印刷ヘッド18を、印字ヘッド、インクジェットヘッド、液体吐出ヘッド、記録ヘッド等と呼んでもよい。
【0021】
巻取軸25が前記時計回りに回転することにより、後駆動ローラー24により搬送される印刷後の印刷媒体30が巻取軸25に巻き取られる。
繰出軸22や、巻取軸25や、各ローラーや、これらを適宜回転させるための不図示のモーター等が、印刷媒体30を搬送する搬送部16の具体例である。印刷媒体30を搬送するために搬送経路の途中に設けられるローラーの数や配置は、図2に示した態様に限定されない。また、印刷ヘッド18が吐出するインクの色も上述した色に限定されない。言うまでもなく、前駆動ローラー23と後駆動ローラー24との間には、印刷ヘッド18からのインク吐出を受ける印刷媒体30を下方から支持する平坦なプラテン等が設けられていてもよい。また、印刷ヘッド18による印刷が施された印刷媒体30の部分は、巻取軸25によってロール状に巻き取られるのではなく、不図示のカッターにより当該部分よりも上流の印刷媒体30から切り離されて回収されるとしてもよい。
【0022】
図2の例では、読取部19は、キャリッジ17および印刷ヘッド18よりも下流かつ後駆動ローラー24よりも上流の位置に設けられている。読取部19は、印刷ヘッド18により印刷がなされた印刷媒体30をイメージセンサーにより光学的に読み取って、読取結果としての画像データを出力する。読取部19は、印刷ヘッド18と同様にキャリッジにより移動しながら印刷媒体30の読み取りを行う構成であってもよいし、静止した状態で読み取りを行う構成であってもよい。
【0023】
図3は、印刷媒体30と印刷ヘッド18との関係性を上方からの視点により簡易的に示している。キャリッジ17に搭載された印刷ヘッド18は、キャリッジ17とともに主走査方向D1の一端から他端への移動(往路移動)や他端から一端への移動(復路移動)をする。主走査方向D1と搬送方向D2とは交差している。この交差は直交と解してよい。従って、図2は、主走査方向D1を向く視点により印刷ヘッド18等を図示している。ただし、例えば製品としてのプリンターにおける種々の誤差により、主走査方向D1と搬送方向D2とは厳密には直交していないこともある。
【0024】
図3では、ノズル面20におけるノズル21の配列の一例を示している。ノズル面20内の一つ一つの小さな丸がノズル21である。印刷ヘッド18は、インクカートリッジやインクタンク等と呼ばれる不図示の液体保持手段から各色のインクの供給を受けてノズル21から吐出する構成において、ノズル列26を複数備える。図3は、CMYKインクを吐出する印刷ヘッド18の例である。Cインクを吐出するノズル21からなるノズル列26をノズル列26Cとも記載する。同様に、Mインクを吐出するノズル21からなるノズル列26をノズル列26M、Yインクを吐出するノズル21からなるノズル列26をノズル列26Y、Kインクを吐出するノズル21からなるノズル列26をノズル列26Kと夫々記載することがある。ノズル列26C,26M,26Y,26Kは、主走査方向D1に沿って並んでいる。
【0025】
夫々のノズル列26は、搬送方向D2におけるノズル21同士の間隔であるノズルピッチが一定或いはほぼ一定とされた複数のノズル21により構成される。ノズル列26を構成する複数のノズル21が並ぶ方向を、ノズル列方向D3と呼ぶ。図3の例では、ノズル列方向D3は、搬送方向D2と平行である。ノズル列方向D3が搬送方向D2と平行な構成においては、ノズル列方向D3と主走査方向D1とは直交する。ただし、ノズル列方向D3は、搬送方向D2と平行でなく、主走査方向D1に対して斜めに交差する構成であってもよい。
複数のノズル21の夫々は、一滴あたりの体積が異なる複数サイズのドットを吐出可能である。本実施形態では、あるサイズのドットを「第1サイズ」のドットと呼んだとき、第1サイズよりも小さいサイズのドットを「第2サイズ」のドットと呼ぶ。以下では便宜上、第1サイズのドットを「大ドット」と称し、第2サイズのドットを「小ドット」と称する。大ドット、小ドット夫々のサイズは設計上決められたサイズである。
【0026】
搬送方向D2におけるノズル列26C,26M,26Y,26Kそれぞれの位置は、互いに一致している。印刷装置10は、搬送方向D2への印刷媒体30の搬送と、主走査方向D1に沿ったキャリッジ17の移動に伴う印刷ヘッド18によるインク吐出とを組み合わせて実行することで、印刷媒体30へ画像を印刷する。キャリッジ17の往路移動や復路移動に伴い印刷ヘッド18がインク吐出する動作を「走査」や「パス」と呼ぶ。印刷ヘッド18がキャリッジ17により主走査方向D1へ移動することは、印刷ヘッド18と印刷媒体30との相対移動の一つに該当する。
【0027】
2.テストパターン印刷:
図4は、制御部11がプログラム12に従って実行する、TPの印刷からTPに基づくノズル21の検査までの流れをフローチャートにより示している。TPは、テストパターンの略である。フローチャートは、概略、TP印刷処理(ステップS100)と、印刷されたTPの読取結果の取得(ステップS200)と、TPの読取結果に基づく検査(ステップS300)とからなる。ステップS100は、TPの印刷工程に該当する。図4では、ステップS100を、ステップS110~S150に分けて詳しく示している。
【0028】
ステップS110では、印刷制御部12aは、TPを表現する画像データであるTP画像データを、制御部11が通信可能な所定のメモリーや記憶装置等の保存元から取得する。TP画像データは、例えば、所定の表色系で各画素の色を規定したビットマップ形式の画像データである。ここで言う表色系とは、例えば、RGB(レッド、グリーン、ブルー)表色系、CMYK表色系等、様々である。
【0029】
ステップS120では、印刷制御部12aは、TPの印刷条件を設定する。印刷制御部12aは、通常印刷をするときの印刷条件を、そのままTPの印刷条件として設定する。通常印刷とは、TPではなく、例えばユーザーが任意に選んだ写真やテキストやCG等のオブジェクトを印刷する処理を指す。ユーザーは、表示部13に表示されたユーザーインターフェイス(UI)画面を視認しつつ、操作受付部14を操作することにより、通常印刷のための印刷条件を設定することができる。印刷条件には、例えば、印刷媒体30の種類や印刷品質が含まれる。
【0030】
印刷品質は、例えば高精細、普通、速い、といった感覚的な選択肢でユーザーに提示されるが、印刷制御部12aは、印刷品質の選択に応じてキャリッジ17の移動速度、搬送部16による搬送速度、ノズル21の駆動に用いる駆動信号の波形、パス中のノズル21の駆動周期、といった印刷実行に必要な各項目を設定する。また、印刷条件には初期設定が用意されており、ユーザーが特に初期設定を変更しない場合は、印刷制御部12aは、そのような初期設定をTPの印刷や通常印刷に適用する。
ステップS110とステップS120との実行順は図4における表記順と逆であってもよいし、実質的に同時であってもよい。
【0031】
ステップS130では、印刷制御部12aは、TPを印刷するための印刷データを、TP画像データから生成する。印刷制御部12aは、TP画像データに対して、色変換処理やハーフトーン処理といった所定の画像処理を必要に応じて実行することにより、画素毎かつインク色毎にインク吐出(ドットオン)またはインク非吐出(ドットオフ)を規定した印刷データを生成する。ここで言うドットオンは、大ドットオンまたは小ドットオンのいずれかを意味する。図3に例示したように、印刷ヘッド18がCMYKの4色のインクを使用することを前提とすると、ステップS130では、印刷制御部12aは、TP画像データに基づいて、画素毎かつCMYK毎にドットオン・オフを規定した印刷データを生成する。
【0032】
図5は、ステップS110で取得されたTP画像データ40の例を示している。TP画像データ40は、TP41を表現する画像データである。図5や後述の図6では、TP画像データ40と、方向D1,D2との対応関係も併せて示している。TP41は、インク色毎のTPを含んでいる。図5によれば、TP41CL,41CSは、色がCで表現されたTPである。同様に、TP41ML,41MSはM色のTPであり、TP41YL,41YSはY色のTPであり、TP41KL,41KSはK色のTPである。また、TP41CL,41ML,41YL,41KLは夫々が対応する色の大ドットで印刷されるTPであり、TP41CS,41MS,41YS,41KSは夫々が対応する色の小ドットで印刷されるTPである。
【0033】
TP画像データ40において、インク色毎かつドットサイズ毎のTP41CL,41CS,41ML,41MS,41YL,41YS,41KL,41KSは、主走査方向D1に対応して並んでおり、搬送方向D2における位置は互いに同じである。TP41CL,41CS,41ML,41MS,41YL,41YS,41KL,41KSは、夫々が複数の「パターン要素」の集合である。図5の例では、一つ一つのパターン要素は、主走査方向D1に平行な罫線である。一つのパターン要素は、対応するインク色の一つのノズル21で印刷される画像である。
【0034】
図6は、TP画像データ40が表現するTP41の一部を拡大して示している。具体的には、図6ではTP41CL,41CS夫々の一部を示している。TP41CLは、搬送方向D2において等間隔に並ぶ複数のパターン要素42CLにより構成されており、TP41CSは、搬送方向D2において等間隔に並ぶ複数のパターン要素42CSにより構成されている。図6では、理解容易とするために、TP41CL,41CSとともに、これらTP41CL,41CSの印刷に用いるノズル列26Cの一部を併せて示している。つまり、TP41CLを構成する一つのパターン要素42CLがノズル列26Cを構成する一つのノズル21により印刷されるように、各パターン要素42CLは搬送方向D2においてノズルピッチと同様の間隔で配置されている。同様に、TP41CSを構成する一つのパターン要素42CSがノズル列26Cを構成する一つのノズル21により印刷されるように、各パターン要素42CSは搬送方向D2においてノズルピッチと同様の間隔で配置されている。
【0035】
また、図6の例では、各パターン要素42CLは、それらの一つ一つを検査時に確認し易くするために、主走査方向D1における位置が3個周期で一致するように、主走査方向D1に位置をずらして配置されている。同様に、各パターン要素42CSも主走査方向D1における位置が3個周期で一致するように、主走査方向D1に位置をずらして配置されている。ただし、インク色およびドットサイズの一つの組み合わせに対応するTPを構成するパターン要素は、主走査方向D1における位置が全て同じであってもよい。
また、図6の例では、パターン要素42CL及びパターン要素42CSは、それらの一つ一つが滲んでしまうことを低減するために、主走査方向D1にドットの位置をずらして配置されている。例えば、パターン要素42CLを2回のパスで印刷する場合、1パス目で印刷するドットを主走査方向D1の奇数番目の画素位置に配置し、2パス目で印刷するドットを主走査方向D1の偶数番目の画素位置に配置する。また、例えばパターン要素42CSを6回のパスで印刷する場合、1パス目、3パス目および5パス目で印刷するドットを主走査方向D1の奇数番目の画素位置に配置し、2パス目、4パス目および6パス目で印刷するドットを主走査方向D1の偶数番目の画素位置に配置する。ただし、滲みが発生しづらい印刷媒体30に印刷する場合、各パスで全ての画素にドットを形成してもよい。
【0036】
ステップS130で生成される印刷データは、このようなTP画像データ40が表現するTP41を、ドットのオン・オフで表した画像データである。TP41CL,41CS,41ML,41MS,41YL,41YS,41KL,41KSの夫々を構成する各パターン要素は、対応するインク色およびサイズのドットのみで形成される。
【0037】
ステップS140では、印刷制御部12aは、TPを印刷する際のパス数および間引き率を、ドットサイズ毎に決定する。図5で示したように、TP41は、TP41CL,41CS,41ML,41MS,41YL,41YS,41KL,41KSからなるため、印刷制御部12aは、TP41CL,41CS,41ML,41MS,41YL,41YS,41KL,41KSの夫々について、ドットサイズに応じてパス数および間引き率を決定する。
【0038】
本実施形態では、第1サイズの複数のドットで形成されるパターン要素を「第1パターン要素」と呼び、第2サイズの複数のドットで形成されるパターン要素を「第2パターン要素」と呼ぶ。図6に示したTP41CLを構成する各パターン要素42CLは第1パターン要素の一例であり、TP41CSを構成する各パターン要素42CSは第2パターン要素の一例である。
【0039】
図7は、サイズ別ドット数テーブル50の例を示している。サイズ別ドット数テーブル50は、制御部11がアクセス可能な印刷装置10内外のメモリーや記憶装置に予め記憶されている。サイズ別ドット数テーブル50は、ドットサイズ毎のTPを印刷媒体30に印刷するためのドット数を直接あるは間接的に決定するパラメーターを定義するテーブルである。図7によれば、サイズ別ドット数テーブル50は、ドットサイズである大ドット、小ドットの夫々に対してパス回数および間引き率を規定している。ステップS140では、印刷制御部12aは、ドットサイズ毎のパス数および間引き率を、サイズ別ドット数テーブル50を参照して決定する。
【0040】
パス回数は、TPを印刷するパスの回数である。例えば、あるドットサイズに関してパス回数=2であれば、ステップS130で生成した印刷データが表現する当該ドットサイズの一つの色のTPを2回のパスで分担して印刷するのではなく、印刷データが表現する当該ドットサイズの一つの色のTPを印刷するパスを、2回繰り返す。従って、パス回数が多い程、印刷媒体30に再現されるTPを形成するドット数は増える。サイズ別ドット数テーブル50によれば、印刷制御部12aは、大ドットに関してはパス回数=2と決定し、小ドットに関してはパス回数=6と決定する。
【0041】
間引き率は、1回のパス中における間引き率である。例えば、あるドットサイズに関して間引き率=50%であれば、1回のパス中において、ステップS130で生成した印刷データが表現する当該ドットサイズの一つのインク色のTPを印刷する期間内に、50%の画素については元々ドットオンであるかドットオフであるかに関係無く強制的にドットオフとしてインクを吐出しない。従って、間引き率が高い程、印刷媒体30に再現されるTPを形成するドット数は減る。また、間引き率が高ければノズル21によるインクの吐出率は下がり、間引き率が低ければノズル21によるインクの吐出率は上がると言える。従って、ドットサイズ毎に間引き率を変えることで、ドットサイズ毎にノズル21の吐出率をコントロールすることができる。サイズ別ドット数テーブル50によれば、印刷制御部12aは、大ドットに関しては間引き率=50%と決定し、小ドットに関しては間引き率=0%と決定する。間引き率=0%は、パス毎に印刷データの通りに印刷することを意味する。
【0042】
ここで、ステップS130で生成した印刷データにおいては、TP41CL,41CS,41ML,41MS,41YL,41YS,41KL,41KSのいずれかを構成する個々のパターン要素はどれも、ほぼ同数のドット数で構成されていると仮定する。サイズ別ドット数テーブル50を参照したステップS140によれば、大ドットによるTPであるTP41CL,41ML,41YL,41KLについては、パス回数=2かつ間引き率=50%と決定され、小ドットによるTPであるTP41CS,41MS,41YS,41KSについては、パス回数=6かつ間引き率=0%と決定される。そのため、ステップS140の決定を反映して印刷媒体30に印刷されるパターン要素同士でドット数を比較すると、一つの第2パターン要素、例えば、一つのパターン要素42CSを形成するCインクの小ドットのドット数は、一つの第1パターン要素、例えば、一つのパターン要素42CLを形成するCインクの大ドットのドット数の約6倍となる。
【0043】
ステップS150では、印刷制御部12aは、ステップS120で設定した印刷条件と、ステップS130で生成した印刷データと、ステップS140で決定したドットサイズ毎のパス数および間引き率と、に従ってキャリッジ17の移動や印刷ヘッド18によるインク吐出を制御することにより、印刷媒体30へTP41を印刷させる。具体的には、サイズ別ドット数テーブル50に倣えば、印刷ヘッド18は、6回のパスを実行してTP41を印刷媒体30へ印刷する。印刷ヘッド18は、この6回のパスのうち全6回の夫々でノズル列26C,26M,26Y,26Kの各ノズル21からCMYKインクの小ドットを吐出し、印刷データに基づいて且つ間引き率0%でTP41CS,41MS,41YS,41KSを印刷する。また、印刷ヘッド18は、この6回のパスのうちの2回のパスの夫々で、ノズル列26C,26M,26Y,26Kの各ノズル21からCMYKインクの大ドットを吐出し、印刷データに基づいて且つ間引き率50%でTP41CL,41ML,41YL,41KLを印刷する。
【0044】
この結果、印刷制御部12aは、パターン要素単位で比較した時に第1パターン要素を形成する第1サイズのドット数よりも第2パターン要素を形成する第2サイズのドット数が多いTP41を印刷させたことになる。なお、印刷制御部12aは、ステップS150で印刷ヘッド18がTP41を印刷するための最初のパスから最後のパスが終わるまでの期間、搬送部16に印刷媒体30を搬送させない。
【0045】
以上が、ステップS100の説明である。ステップS200,S300については簡単に説明する。
ステップS200では、読取制御部12bは、読取部19を制御することにより、ステップS100でTP41が印刷された後の印刷媒体30の読み取りを実行させ、読取部19から読取結果としての画像データを取得する。むろん、搬送部16は、印刷後の印刷媒体30を読取部19に読み取りさせるために必要な分の搬送を実行する。
ただし、ステップS200においては、TP41が印刷された印刷媒体30の読取結果を取得できればよい。従って、TP41が印刷された印刷媒体30をユーザーが外部のスキャナーに読み取らせ、その読取結果を印刷装置10が通信IF15を介して取得するとしてもよい。
【0046】
ステップS300では、検査部12cは、ステップS200で読取結果として取得された画像データに基づいて、印刷ヘッド18のノズル21によるインク吐出の状態を検査する。インク吐出の状態は、正常と異常とに分けられる。異常とは、ドットが吐出できない吐出不能、ドットの着弾位置が理想的な位置からずれている着弾位置ずれ、等である。検査部12cは、画像データを解析し、各パターン要素の濃度や位置を特定することにより、各ノズル21について各ドットサイズのインク吐出が正常であるか異常であるかを検査し、検査結果をデータとして保存する。
以上で、図4のフローチャートを終了する。
【0047】
3.まとめ及び効果の説明:
このように本実施形態によれば、印刷装置10は、インクのドットであって第1サイズのドットと第1サイズよりも小さい第2サイズのドットとを吐出するノズル21を有する印刷ヘッド18と、印刷ヘッド18を制御することにより、ノズル21によるインク吐出の状態を検査するためのTPを印刷媒体30へ印刷させる制御部11と、を備える。TPは、第1サイズの複数のドットで形成される第1パターン要素と、第2サイズの複数のドットで形成される第2パターン要素と、を有する。そして、制御部11は、第1パターン要素を形成する第1サイズのドット数よりも第2パターン要素を形成する第2サイズのドット数が多いTPを、印刷ヘッド18に印刷させる。
【0048】
前記構成によれば、第2サイズのドットである小ドットによる第2パターン要素を、第1サイズのドットである大ドットによる第1パターン要素よりも多くのドットを用いて印刷する。この結果、第2パターン要素についてもある程度濃く印刷することができる。これにより、各ノズル21を検査するためのTPにおける比較的小さいドットを用いて印刷した部分について印刷媒体30との明度差が小さいために読み取りや読取結果に基づく検査が適切に行えない、といった不都合が解消される。具体的には、白色や明るい色である印刷媒体30との明度差が小さいパターン要素については、読取結果に基づく検査時に位置等を正確に特定しづらいため、上述したような正常か異常かの判断が高精度に行えないが、本実施形態のステップS100で印刷したTPを用いれば、ノズル21による異なるサイズのドットの吐出の夫々についてパターン要素から高精度に検査をすることができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、印刷ヘッド18は、所定方向への移動に伴いノズル21からインクを吐出する走査を実行可能であり、制御部11は、第1パターン要素を印刷する走査回数よりも第2パターン要素を印刷する走査回数を多くして印刷ヘッド18にTPを印刷させる。つまり、制御部11は、第1パターン要素を印刷する走査回数よりも第2パターン要素を印刷する走査回数が多いTPを、印刷ヘッド18に印刷させる。
前記構成によれば、制御部11は、第1パターン要素を印刷する走査回数よりも第2パターン要素を印刷する走査回数を多くすることにより、第1パターン要素を形成する第1サイズのドット数よりも第2パターン要素を形成する第2サイズのドット数が多いTPを容易に印刷することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、制御部11は、ノズル21による第1パターン要素を印刷するための第1サイズのドットの吐出率よりもノズル21による第2パターン要素を印刷するための第2サイズのドットの吐出率を高くして印刷ヘッド18にTPを印刷させる、としてもよい。つまり、制御部11は、ノズル21による第1パターン要素を印刷するための第1サイズのドットの吐出率よりもノズル21による第2パターン要素を印刷するための第2サイズのドットの吐出率が高いTPを、印刷ヘッド18に印刷させる。
前記構成によれば、制御部11は、ある色のインクを吐出するノズル21による第1パターン要素を印刷するための第1サイズのドットの吐出率よりも、当該ノズル21による第2パターン要素を印刷するための第2サイズのドットの吐出率を高くすることにより、第1パターン要素を形成する第1サイズのドット数よりも第2パターン要素を形成する第2サイズのドット数が多いTPを容易に印刷することができる。
【0051】
図7に示したサイズ別ドット数テーブル50におけるドットサイズ毎のパス回数や間引き率の数値は、一例に過ぎない。また、サイズ別ドット数テーブル50は、例えば、パス回数についてはドットサイズに関わらず同一とし、間引き率について第1サイズと第2サイズとで差を設けたテーブルであってもよい。あるいは、サイズ別ドット数テーブル50は、間引き率についてはドットサイズに関わらず同一とし、パス回数について第1サイズと第2サイズとで差を設けたテーブルであってもよい。
【0052】
また、本実施形態によれば、TPを印刷するときの印刷条件は、通常印刷をするときの印刷条件と同じとする。
つまり、制御部11は、印刷ヘッド18と印刷媒体30との相対移動によりTPを印刷するときの相対移動の速度を、通常印刷をするときの前記相対移動の速度と同じとする。これまでの説明によれば、ここで言う相対移動の速度は、パス実行時におけるキャリッジ17の移動速度である。
【0053】
また、制御部11は、TPを印刷するときにノズル21の駆動に用いる駆動信号の波形を、通常印刷をするときにノズル21の駆動に用いる駆動信号の波形と同じとする。ノズル21の駆動に用いる駆動信号は、パルス波であり、この駆動信号をドットオンの情報に応じてノズル21単位の駆動素子へ印加することでノズル21からドットを吐出させる。駆動信号の波形が異なれば、ノズル21が1回の駆動で吐出するドットのサイズも異なる。従って、本実施形態では、TPを印刷するときにノズル21から第1ドットを吐出するための駆動信号の波形を、通常印刷をするときにノズル21から第1ドットを吐出するための駆動信号の波形と同じとし、同様に、TPを印刷するときにノズル21から第2ドットを吐出するための駆動信号の波形を、通常印刷をするときにノズル21から第2ドットを吐出するための駆動信号の波形と同じとする。
このように、前記相対移動の速度や駆動信号をTPの印刷と通常印刷とで共通とすることにより、ノズル21の検査を行うために適したTPを、通常印刷を実行する場合と同じ条件で印刷することができる。
【0054】
本実施形態は、印刷装置10や印刷システム10以外の方法やプログラム12といった各カテゴリーの発明も開示する。
印刷方法は、インクのドットであって第1サイズのドットと第1サイズよりも小さい第2サイズのドットとを吐出するノズル21を有する印刷ヘッド18を使用してノズル21によるインク吐出の状態を検査するためのTPを印刷媒体へ印刷する印刷工程を有し、TPは、第1サイズの複数のドットで形成される第1パターン要素と、第2サイズの複数のドットで形成される第2パターン要素と、を有し、印刷工程は、第1パターン要素を形成する第1サイズのドット数よりも第2パターン要素を形成する第2サイズのドット数が多いTPを、印刷ヘッド18に印刷させる。
【0055】
4.他の実施形態:
本実施形態は上述の態様に限定されない。
印刷ヘッド18が有する複数のノズル21の夫々は、2種類よりも多い種類のドットサイズを吐出可能であってもよい。ノズル21は、例えば、一滴あたりの体積が大きい順に、大ドット、中ドット、小ドットを吐出可能であってもよい。この場合、本実施形態では、大ドットを第1サイズと扱い、中ドットおよび小ドットを第2サイズと扱ってもよいし、大ドットおよび中ドットを第1サイズと扱い、小ドットを第2サイズと扱ってもよい。
【0056】
また、印刷装置10は、大ドットによるパターン要素、中ドットによるパターン要素、小ドットによるパターン要素の夫々について、ドットサイズが小さいものほど一つのパターン要素あたりのドット数が多くなるようにTPを印刷するとしてもよい。
また、第1サイズのドットである「大ドット」は、第2サイズのドットである「小ドット」を複数吐出することにより形成されるものであってもよい。
また、本実施形態では、第1サイズ及び第2サイズのドットを同一のノズルから吐出していたが、これに限らず、印刷ヘッド18は、第1サイズ吐出用のノズルと第2サイズ吐出用のノズルとを別々に備えていてもよい。
【0057】
印刷装置10は、これまでに説明したような主走査方向D1へ移動するキャリッジ17に印刷ヘッド18を搭載した、いわゆるシリアル型のインクジェットプリンターでなくてもよい。
搬送方向D2に交差する主走査方向D1に延在して、印刷媒体30の幅をカバー可能な長さのノズル列26をインク色毎に有する印刷ヘッド18により、インク吐出を行ういわゆるライン型のインクジェットプリンターを想定してもよい。ライン型のインクジェットプリンターでは、ノズル列方向D3は、搬送方向D2ではなく主走査方向D1と平行と解せばよい。
【0058】
印刷装置10がライン型のインクジェットプリンターであると仮定して本実施形態を説明すると、図5に示したTP41は、罫線である各パターン要素が主走査方向D1ではなく搬送方向D2と平行となる向きで印刷媒体30へ印刷される。また、これまでに説明した印刷ヘッド18のパスを複数回実現することに関しては、搬送部16によるバックフィードを用いて対応する。バックフィードとは、搬送部16が印刷媒体30を下流から上流に向けて搬送する処理である。つまり、印刷媒体30を上流から下流へ搬送する過程で印刷媒体30が印刷ヘッド18の下を通過したときに、印刷媒体30への印刷が1回行われる。この後、搬送部16は、バックフィードをして、1回印刷済みの印刷媒体30の部分を印刷ヘッド18よりも上流の位置に戻して再び下流への搬送を開始する。これを繰り返すことにより、シリアル型のインクジェットプリンターが複数回のパスでTP41を重ねて印刷するのと同様に、TP41を繰り返し印刷することができる。
【0059】
印刷装置10がライン型のインクジェットプリンターである場合、印刷ヘッド18による印刷期間中の搬送部16による印刷媒体30の搬送が、印刷ヘッド18と印刷媒体30との相対移動に該当する。つまり、印刷装置10がライン型のインクジェットプリンターである場合、印刷ヘッド18による印刷期間中の搬送部16による搬送速度を、TPの印刷時と通常印刷時とで共通とする。
【0060】
いうまでもなく、印刷媒体30は、図2に例示したようなロール状に巻かれた連続紙等でなくてもよい。印刷媒体30は、ページ単位で切り分けられた単票紙等であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…印刷装置、11…制御部、11a…CPU、11b…ROM、11c…RAM、12…プログラム、12a…印刷制御部、12b…読取制御部、12c…検査部、16…搬送部、17…キャリッジ、18…印刷ヘッド、19…読取部、21…ノズル、26,26C,26M,26Y,26K…ノズル列、30…印刷媒体、40…TP画像データ、41,41CL,41CS,41ML,41MS,41YL,41YS,41KL,41KS…TP、42CL,42CS…パターン要素、50…サイズ別ドット数テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7