IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像形成方法および画像形成装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】画像形成方法および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 101
B41J2/01 305
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020139275
(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公開番号】P2022035155
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安川 裕之
(72)【発明者】
【氏名】松本 好康
(72)【発明者】
【氏名】本谷 昭博
(72)【発明者】
【氏名】河村 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】植村 直子
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-69478(JP,A)
【文献】特開2016-186562(JP,A)
【文献】特表2020-527476(JP,A)
【文献】特開2020-124883(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0081096(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0141720(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41F 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写体に活性線硬化型インクを付与する工程と、
前記中間転写体の裏面側から活性線を照射して、前記付与された活性線硬化型インクを増粘させつつ、転写ローラで加圧して記録媒体に転写する工程と、
前記転写された活性線硬化型インクを硬化させる工程と、
を有し、
前記転写ローラは、弾性層を有し、
前記活性線は、前記転写ローラの外側から照射され、前記転写ローラを透過して前記活性線硬化型インクに到達する、
画像形成方法。
【請求項2】
前記弾性層の弾性率は、0.5MPa以上10MPa以下である、請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記弾性層は、アスカーゴム硬度計A型による硬度が5度以上50度以下である、請求項1または請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記弾性層は、400nmの波長の光の透過率が85%以上100%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記活性線は、365~455nmの波長を有する光である、請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記弾性層は、シリコーンゴムを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項7】
中間転写体と、
前記中間転写体の表面に活性線硬化型インクを付与するインク付与部と、
前記中間転写体の裏面側から活性線を照射して、前記付与された活性線硬化型インクを増粘させる活性線照射部と、
前記増粘した活性線硬化型インクを転写ローラで加圧して記録媒体に転写する転写部と、
前記転写された活性線硬化型インクを硬化させる硬化部と、
を有し、
前記転写ローラは、弾性層を有し、
前記活性線照射部は、前記転写ローラの外側に配置され、
前記活性線は前記転写ローラを透過して前記活性線硬化型インクに到達する、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット法は、簡便かつ安価に画像を作製できるため、各種印刷、マーキング、細線形成、カラーフィルター等の特殊印刷を含む様々な印刷分野に応用されている。インクジェット法は、版を用いずデジタル印刷が可能であるため、多様な画像を少量ずつ形成するような用途に特に好適である。
【0003】
インクジェット法によって、紙などのインクを吸収する記録媒体に画像を形成するとき、インクジェットヘッドから吐出されて記録媒体に着弾したインクの一部は、記録媒体の内部へ浸透する。そのため、インク使用量を低減して画像形成を低コスト化しようとすると、画像の隠蔽率が低下してしまい、形成した画像にムラが生じやすくなる。一方で、上記記録媒体への浸透を抑制して記録媒体の表面でインクを広がりやすくするため、インクを低粘度化すると、インクが滲みやすく、高精細な画像を形成しにくい。
【0004】
そのため、より少量のインクであっても隠蔽率の高い画像を形成することができるとともに、インクの滲みを抑制して、高精細な画像を形成するために、インクを浸透させにくい中間転写体の表面に中間画像を形成し、形成した中間画像を記録媒体に転写する画像形成方法が検討されてきた。しかしながら、上述の画像形成方法では、インクの滲みは抑制できるものの、中間転写体の表面に付与されたインクの液滴の粘度が低く、記録媒体への転写時の押圧により、インクの液滴がつぶれてしまい、高精細な画像を得ることができないことがあった。
【0005】
そこで、記録媒体へ転写する前に、中間転写体の表面に付与されたインクに活性線を照射して、インクの液滴を予め増粘させ、転写部でさらに活性線を照射して、転写とインクの液滴の本硬化を同時に行う画像を形成方法が検討されている。
【0006】
たとえば、特許文献1には、紫外線(放射線)を透過させる部材から形成されている環状の転写媒体の表面に付与されたインクを、完全に硬化しない程度に硬化させるための第1の硬化手段(紫外線照射器)と、上記転写媒体の環内に設けられた第1のローラ(透明ローラ)と第2のローラ(転写ローラ)とで押圧して上記付与されたインクを記録媒体に転写するための転写手段とを有し、上記第1のローラの内部には、上記インクを転写と同時に硬化させるための第2の硬化手段(紫外線照射器)が配置されている印刷装置が記載されている。特許文献1によると、上記印刷装置は、放射線を透過させる部材から形成される転写媒体および紫外線(放射線)を透過させる第1のローラを有することから、転写媒体と記録媒体との押圧および記録媒体上のインクへの紫外線(放射線)の照射を一度に行えるので、記録媒体への転写性を向上できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-069478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らが検討したところ、特許文献1のように、活性線(例えば紫外線)を透過させる部材から形成される中間転写体、および活性線を透過させ、かつ、内部に活性線の照射装置が配置されている転写ローラを用いることにより、中間転写体と記録媒体との押圧および記録媒体上のインクへの活性線の照射を一度に行うことができた。しかしながら、特許文献1に記載の印刷装置では、転写と同時に活性線を照射して、記録媒体上のインクを本硬化させることから、本硬化したインクと凹凸の大きい記録媒体との密着性が低く、所望する転写性を得ることができなかった。また、特許文献1に記載の印刷装置では、転写ローラ内に活性線の照射装置が配置されているため、印刷中に活性線を照射する光源が過熱しやすく、光源の劣化が早いために安定に活性線を照射できず所望する転写性を得られないことがあった。
【0009】
本発明の目的は、かかる点に鑑みてなされたものであり、長期間にわたり転写性に優れる画像形成方法および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る画像形成方法は、中間転写体に活性線硬化型インクを付与する工程と、前記中間転写体の裏面側から活性線を照射して、前記付与された活性線硬化型インクを増粘させつつ、転写ローラで加圧して記録媒体に転写する工程と、前記転写された活性線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を有し、前記転写ローラは、弾性層を有し、前記活性線は、前記転写ローラの外側から照射され、前記転写ローラを透過して前記活性線硬化型インクに到達する。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置は、中間転写体と、前記中間転写体の表面に活性線硬化型インクを付与するインク付与部と、前記中間転写体の裏面側から活性線を照射して、前記付与された活性線硬化型インクを増粘させる活性線照射部と、前記増粘した活性線硬化型インクを転写ローラで加圧して記録媒体に転写する転写部と、前記転写された活性線硬化型インクを硬化させる硬化部と、を有し、前記転写ローラは、弾性層を有し、前記活性線照射部は、前記転写ローラの外側に配置され、前記活性線は前記転写ローラを透過して前記活性線硬化型インクに到達する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長期間にわたり転写性に優れる画像形成方法および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の例示的な構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係る画像形成方法および画像形成装置について順番に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
1.画像形成方法
本発明の一実施の形態に係る画像形成方法は、(1)中間転写体に活性線硬化型インクを付与する工程と、(2)中間転写体の裏面側から活性線を照射して、付与された活性線硬化型インクを増粘させつつ、転写ローラで加圧して記録媒体に転写する工程と、(3)転写された活性線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を有する。
【0016】
以下、各工程について説明する。
【0017】
1-1.活性線硬化型インクを付与する工程
活性線硬化型インクを付与する工程は、中間転写体の表面に活性線硬化型インクを付与して、中間画像を形成する工程である。
【0018】
[中間転写体]
本発明の一実施の形態に係る中間転写体は、無端状のベルトであることが好ましい。ここで、「無端状」とは、例えば、概念的(幾何学的)には一枚の長尺のシート状物の両端部を繋ぎ合わせて形成されるようなループ状の形状を意味する。中間転写体の実際の形状としては、シームレスのベルト状または円筒状の形状とすることが好ましい。
【0019】
上記中間転写体は、後述する転写ローラ、駆動ローラおよび従動ローラによって張架される。また、駆動ローラおよび従動ローラに張架された部分は、例えば、インクジェットヘッドから吐出される後述する活性線硬化型インクの着弾面となる。
【0020】
上記中間転写体は、基材層および弾性層を含むことが好ましい。
【0021】
(基材層)
基材層は、無端状のベルトであり、365~455nmの波長の光を透過する材料から構成されることが好ましい。
【0022】
基材層は、例えば、可撓性を有する樹脂によって構成されている。基材層を形成する樹脂の例には、芳香族ポリイミド(PI)、芳香族ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、芳香族ポリカーボネート(PC)、芳香族ポリエーテルケトン(PEK)などのベンゼン環を含む構造単位を有する樹脂、ポリフッ化ビニリデン、またはこれらの混合物や共重合物が含まれる。
【0023】
あるいは、上記基材層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、1,4-ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリスチレン(PS)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリサルホン(PSU)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ナイロン(NY)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリアミド(PA)フィルム、およびアイオノマー(IO)フィルムなどの樹脂フィルム、セロハン、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体から形成されていてもよい。
【0024】
また、基材層は上記樹脂以外の成分を含んでいてもよい。
【0025】
基材層は、公知の一般的な方法により製造できる。たとえば、基材層は材料となる耐熱性樹脂を押出機により溶融し、環状ダイを使用したインフレーション法により筒状に成形した後、輪切りにすることで環状(無端状のベルト)に製造できる。
【0026】
また、基材層は表面処理されてもよい。基材層の表面処理方法は、特に限定されないが、UV照射、コロナ処理、オゾン処理、ブラスト処理、テクスチャー処理、カップリング剤塗布による表面処理をしてもよい。
【0027】
(弾性層)
弾性層は、基材層の表面に配置される層であり、365~455nmの波長の光を透過する材料から構成されることが好ましい。
【0028】
弾性層の材料は、耐熱性ゴムが好ましい。耐熱性ゴムの例には、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、フッ素ゴム、液状フッ素エラストマーが含まれる。耐熱性ゴムは、耐熱性の観点から、シロキサン結合を主鎖とする弾性ゴムが好ましく、シリコーンゴムが好ましい。耐熱性ゴムは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0029】
また、弾性層は、上記波長の光を透過させることができれば、上記弾性樹脂材料以外の成分をさらに含んでいてもよい。
【0030】
弾性層の厚さは、例えば、記録媒体に対する追従性および伝熱性を十分に発現させる観点から、50μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0031】
上記中間転写体は、400nmの波長の光の透過率が85%以上100%以下であることが好ましい。上記透過率は、例えば、分光光度計「U-3310」(株式会社日立ハイテクノロジーズ)を用いて測定することができる。上記透過率は、光路長を10mmとしたサンプルについての、400nmが含まれる分光波長領域(たとえばU-3310ならば190~900nm)の透過率を測定し、測定された透過率のうち、400nmの透過率を算出する方法で、測定することができる。
【0032】
なお、上記中間転写体は、表面層を含んでもいてもよい。上記表面層は、基材層または弾性層の外周面上に配置される層であり、365~455nmの波長の光を透過する材料から構成されることが好ましい。
【0033】
上記表面層は、樹脂などを含む塗布液の硬化物である。また、上記塗布液はさらに溶剤を含んでいてもよい。
【0034】
樹脂の例には、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルアルコールが含まれる。
【0035】
また、表面層の厚さは、表面層の耐久性を向上させる観点から、0.5~10μmであることが好ましく、1.0~8.0μmであることがより好ましい。
【0036】
(中間転写体の作製方法)
基材層は、公知の一般的な方法により製造できる。たとえば、基材層は、円筒状の金型を回転させながら、ディスペンサーノズルを用いて基材層形成用の塗布液を塗布し、加熱処理することにより形成することができる。また、材料となる耐熱性樹脂を押出機により溶融し、環状ダイを使用したインフレーション法により筒状に成形した後、輪切りにすることで基材層を形成することができる。
【0037】
弾性層は、公知の一般的な方法により製造できる。たとえば、弾性層は、上記基材層が形成された円筒状の金型を回転させながら、ディスペンサーノズルを用いて上記弾性層形成用の塗布液を塗布し、加熱処理することにより形成することができる。なお、上記弾性層形成用の塗布液に、活性線重合性化合物が含有されている場合には、基材層の表面の配置される弾性層上の塗膜に活性線を照射して硬化させることができる。
【0038】
表面層は、公知の一般的な方法により製造できる。たとえば、表面層は、上記基材層を回転させながら、表面層形成用の塗布液を、基材層の外周面(弾性層側)にノズルを用いて塗布することにより形成される。
【0039】
[活性線硬化型インク]
本発明の一実施の形態に係る活性線硬化型インクは、活性線重合性化合物を含み、活性線(例えば紫外線)の照射により上記活性線重合性化合物が重合および架橋して硬化するインクである。また、上記活性線硬化型インクは、必要に応じて、重合開始剤、ゲル化剤、重合禁止剤、染料および顔料などの色材、顔料を分散させるための分散剤、顔料を基材に定着させるための定着樹脂、界面活性剤、pH調整剤、保湿剤、紫外線吸収剤などを含有してもよい。上記その他の成分は、上記組成物中に、1種類のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
【0040】
(活性線重合性化合物)
活性線重合性化合物は、活性線の照射により架橋または重合する化合物である。活性線の例には、電子線、紫外線、α線、γ線およびエックス線などが含まれる。上記活性線の中では、紫外線および電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。上記活性線重合性化合物の例には、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、またはそれらの混合物が含まれる。上記活性線重合性化合物の中では、ラジカル重合性化合物が好ましい。なお、上記活性線重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマーおよびこれらの混合物のいずれであってもよい。
【0041】
ラジカル重合性化合物とは、分子中にエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物である。ラジカル重合性化合物は、単官能、多官能の化合物でありうる。ラジカル重合性化合物の例には、不飽和カルボン酸エステル化合物である、(メタ)アクリレートが含まれる。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を意味する。
【0042】
単官能の(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸およびt-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0043】
多官能の(メタ)アクリレートの例には、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの2官能の(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の(メタ)アクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、ならびにこれらの変性物などが含まれる。上記変性物の例には、エチレンオキサイド基を挿入したエチレンオキサイド変性(EO変性)(メタ)アクリレート、およびプロピレンオキサイドを挿入したプロピレンオキサイド変性(PO変性)(メタ)アクリレートが含まれる。上記多官能の(メタ)アクリレートは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0044】
また、カチオン重合性化合物とは、分子中にカチオン重合性基を有する化合物である。カチオン重合性化合物の例には、単官能および多官能のエポキシ化合物、単官能および多官能のビニルエーテル化合物、単官能および多官能のオキセタン化合物などが含まれる。
【0045】
単官能のエポキシ化合物の例には、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイドなどが含まれる。
【0046】
多官能のエポキシ化合物の例には、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ε-カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1-メチル-4-(2-メチルオキシラニル)-7-オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサノン-メタ-ジオキサンおよびビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテルなどの脂環式エポキシ樹脂、1,4-ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびグリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種類または2種類以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドなど)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどを含む脂肪族エポキシ化合物、ならびに、ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、およびノボラック型エポキシ樹脂などを含む芳香族エポキシ化合物などが含まれる。
【0047】
単官能のビニルエーテル化合物の例には、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル-o-プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、およびオクタデシルビニルエーテルなどが含まれる。
【0048】
多官能のビニルエーテル化合物の例には、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、およびトリメチロールプロパントリビニルエーテルなどを含むジまたはトリビニルエーテル化合物などが含まれる。
【0049】
単官能のオキセタン化合物の例には、3-ヒドロキシメチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ノルマルブチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ベンジルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシブチル-3-メチルオキセタンおよび3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタンなどが含まれる。
【0050】
多官能のオキセタン化合物の例には、1,4ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、およびジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテルなどが含まれる。
【0051】
上述の活性線重合性化合物の含有量は、例えば、活性線硬化型インクの全質量に対して1質量%以上97質量%以下であることが好ましく、30質量%以上90質量%以下とすることがより好ましい。
【0052】
(重合開始剤)
本発明の一実施の形態に係る活性線硬化型インクは、重合開始剤を含むことができる。上記重合開始剤は、活性線の照射により、上記活性線重合性化合物の重合を開始できるものであればよい。たとえば、上記活性線硬化型インクがラジカル重合性化合物を有するときは、重合開始剤は光ラジカル開始剤とすることができ、上記活性線硬化型インクがカチオン重合性化合物を有するときは、重合開始剤は光カチオン開始剤(光酸発生剤)とすることができる。
【0053】
ラジカル重合開始剤には、分子内結合開裂型のラジカル重合開始剤と分子内水素引き抜き型のラジカル重合開始剤とが含まれる。
【0054】
分子内結合開裂型のラジカル重合開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、および2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノンなどを含むアセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、およびベンゾインイソプロピルエーテルなどを含むベンゾイン類、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどを含むアシルホスフィンオキシド系の開始剤、ならびに、ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステルなどが含まれる。
【0055】
分子内水素引き抜き型のラジカル重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、および3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノンなどを含むベンゾフェノン系の開始剤、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントンなどを含むチオキサントン系の開始剤、ミヒラーケトン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノンなどを含むアミノベンゾフェノン系の開始剤、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、ならびにカンファーキノンなどが含まれる。
【0056】
カチオン系の重合開始剤の例には、光酸発生剤が含まれる。光酸発生剤の例には、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、およびホスホニウムなどを含む芳香族オニウム化合物のB(C 、PF 、AsF 、SbF 、CFSO 塩など、スルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、ならびに鉄アレン錯体などが含まれる。
【0057】
(ゲル化剤)
本発明の一実施の形態に係る活性線硬化型インクは、ゲル化剤を含むことができる。ゲル化剤は、常温では固体であるが、加熱すると液体となることにより、上記活性線硬化型インクを温度変化に応じてゾルゲル相変移させることができる有機物である。ゲル化剤は、加熱されて液体状となった活性線硬化型インクを、記録媒体への着弾により温度が低下した際に即時にゲル化して仮固定(ピニング)する。これにより、ゲル化剤は、記録媒体に着弾したインクの過剰な広がりを抑制し、より高精細な画像の形成を可能とする。
【0058】
また、ゲル化剤は、インクのゲル化温度以下の温度で、インク中で結晶化することが好ましい。ここで、ゲル化温度とは、加熱によりゾル化または液体化したインクを冷却していったときに、インクがゾルからゲルに相転移し、インクの粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化または液体化したインクを、例えば、レオメータ「MCR300」(AntonPaar社製)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、そのインクのゲル化温度とすることができる。
【0059】
ゲル化剤がインク中で結晶化すると、板状に結晶化した上記ゲル化剤およびワックスによって形成された三次元空間に活性線重合性化合物が内包される構造が形成されることがある(このような構造を、以下「カードハウス構造」という)。カードハウス構造が形成されると、液体の活性線重合性化合物が上記空間内に保持されるため、インクが付着して形成されたドットがより濡れ広がりにくくなり、インクのピニング性がより高まる。インクのピニング性が高まると、インクが記録媒体に付着して形成されたドット同士が合一しにくくなる。
【0060】
ゲル化剤の例には、ジペンタデシルケトン、ジヘプタデシルケトン、ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジミリスチルケトン、ラウリルミリスチルケトン、ラウリルパルミチルケトン、ミリスチルパルミチルケトン、ミリスチルステアリルケトン、ミリスチルベヘニルケトン、パルミチルステアリルケトン、バルミチルベヘニルケトンおよびステアリルベヘニルケトン等の脂肪族ケトンワックス;パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ベヘニル、ステアリン酸パルミチル、ステアリン酸ラウリル、パルミチン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、リノール酸ステアリル、オレイン酸ベヘニルおよびリノール酸アラキジル等の脂肪族エステルワックス;N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミド、N-(2-エチルヘキサノイル)-L-グルタミン酸ジブチルアミド等のアミド化合物;1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-グルシトール等のジベンジリデンソルビトール類;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ、およびホホバエステル等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリンおよび鯨ロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、および水素化ワックス等の鉱物系ワックス;硬化ヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体またはポリエチレンワックス誘導体等の変性ワックス;ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、およびエルカ酸等の高級脂肪酸;ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシステアリン酸;12-ヒドロキシステアリン酸誘導体;ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、12-ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド;N-ステアリルステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド等のN-置換脂肪酸アミド;N,N’-エチレンビスステアリルアミド、N,N’-エチレンビス-12-ヒドロキシステアリルアミド、およびN,N’-キシリレンビスステアリルアミド等の特殊脂肪酸アミド;ドデシルアミン、テトラデシルアミンまたはオクタデシルアミンなどの高級アミン;ステアリルステアリン酸、オレイルパルミチン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル化合物;ショ糖ステアリン酸、ショ糖パルミチン酸等のショ糖脂肪酸エステル;ポリエチレンワックス、α-オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックス等の合成ワックス;重合性ワックス;ダイマー酸;ダイマージオール等が含まれる。これらのワックスは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0061】
これらのうち、インクのピニング性をより高める観点からは、脂肪族ケトンワックス、脂肪族エステルワックス、高級脂肪酸、高級アルコールおよび脂肪酸アミドが好ましく、ケト基またはエステル基を挟んで両側に配置された炭素鎖の炭素数がいずれも9以上25以下である脂肪族ケトンワックスまたは脂肪族エステルワックスがより好ましい。
【0062】
ゲル化剤の含有量は、活性線硬化型インクの全質量に対して0.5質量%以上10質量%未満であることが好ましく、活性線硬化型インクの全質量に対して1質量%以上10質量%未満であることがより好ましく、活性線硬化型インクの全質量に対して2質量%以上7質量%以下であることがさらに好ましい。
【0063】
(重合禁止剤)
上記活性線硬化型インクは、重合禁止剤を含むことができる。
【0064】
上記重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシムが含まれる。
【0065】
重合禁止剤の含有量は、インクの全質量に対して0.05質量%以上0.2質量%以下とすることができる。
【0066】
(色材)
上記活性線硬化型インクは、色材を含むことができる。色材には、顔料および染料が含まれる。活性線硬化型インクの分散安定性をより高め、かつ耐光性が高い画像を形成する観点からは、色材は顔料であることが好ましい。顔料の例には、有機顔料および無機顔料が含まれる。染料の例には、各種の油溶性染料が含まれる。
【0067】
顔料は、形成すべき画像の色などに応じて、例えば、カラーインデックスに記載される赤またはマゼンタ顔料、黄顔料、緑顔料、青またはシアン顔料および黒顔料から選択することができる。
【0068】
顔料または染料の含有量は、インクの全質量に対して0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。顔料または染料の含有量が、インクの全質量に対して0.1質量%以上であると、得られる画像の発色が十分となる。顔料または染料の含有量がインクの全質量に対して20質量%以下であると、インクの粘度が高まりすぎない。
【0069】
(分散剤)
顔料は、分散剤で分散されていてもよい。上記分散剤は、上記顔料を十分に分散させることができればよい。分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、およびステアリルアミンアセテートが含まれる。
【0070】
分散剤の含有量は、顔料の全質量に対して10質量%以上200質量%以下であることが好ましく、20質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。分散剤の含有量が顔料の全質量に対して10質量%以上であると、顔料の分散安定性が高まり、分散剤の含有量が顔料の全質量に対して200質量%以下であると、インクジェットヘッドからのインクの吐出性が安定しやすくなる。
【0071】
(定着樹脂)
上記活性線硬化型インクは、定着樹脂を含有してもよい。定着樹脂を含有することにより塗膜の耐擦過性およびブロッキング耐性をより高めることができる。
【0072】
定着樹脂の例には、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、マレイン酸樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、およびアルキド樹脂が含まれる。
【0073】
定着樹脂の含有量は、例えば、活性線重合性化合物の全質量に対して1質量%以上10質量%以下とすることができる。
【0074】
(界面活性剤)
上記活性線硬化型インクは、界面活性剤を含有してもよい。
【0075】
界面活性剤は、インクの表面張力を調整して、付与後のインクの基材に対する濡れ性を調整したり、隣接する液滴間の合一を抑制したりすることができる。
【0076】
界面活性剤の例には、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、およびパーフルオロアルケニル基を有するフッ素系界面活性剤などが含まれる。
【0077】
界面活性剤の含有量は、活性線硬化型インクの全質量に対して0.001質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。
【0078】
(その他の成分)
活性線硬化型インクは、上記成分以外に、必要に応じて、多糖類、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防黴剤、防錆剤などを含んでもよい。
【0079】
(活性線硬化型インクの物性)
活性線硬化型インクの粘度は、インクジェットヘッドからの射出性をより高める観点からは、上記活性線硬化型インクがゲル化剤を含まないインクであるとき、上記活性線硬化型インクの40℃における粘度は、3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。また、上記活性線硬化型インクがゲル化剤を含むインクであるとき、上記活性線硬化型インクの80℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。80℃における粘度が3mPa・s以上20mPa・s以下であると、インクジェットヘッドからの上記活性線硬化型インクの射出時に活性線硬化型インクがゲル化しにくいため、より安定して上記活性線硬化型インクを射出することができる。また、活性線硬化型インクがゲル化剤を含有している場合には、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させる観点から、上記活性線硬化型インクの25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。25℃における粘度は1000mPa・s以上であると、前処理層を有する記録媒体に付与されたインク液滴が広がり難く、液滴同士が合一し難い。
【0080】
活性線硬化型インクの40℃および80℃における粘度は、レオメータにより、活性線硬化型インクを100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータ「Physica MCR301」(Anton Paar社製)によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で40℃までインクを冷却して得られた粘度の温度変化曲線において40℃および80℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求める。
【0081】
[活性線硬化型インクの調製方法]
活性線硬化型インクは、前述の活性線重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、色材と、任意のその他の成分とを、加熱下において混合することにより調製することができる。この際、得られた混合液を所定のフィルターで濾過することが好ましい。なお、顔料を含有するインクを調製する際は、顔料、活性線重合性化合物を含む顔料分散液を調製し、その後、顔料分散液と他の成分とを混合することが好ましい。顔料分散液は、分散剤をさらに含んでもよい。
【0082】
上記顔料分散液は、活性線重合性化合物に顔料を分散して調製することができる。顔料の分散は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカーなどを用いて行えばよい。このとき、分散剤を添加してもよい。
【0083】
[活性線硬化型インクの付与方法]
活性線硬化型インクを中間転写体の表面に付与する方法は、特に限定されず、スプレー塗布、浸漬法、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット法などの公知の方法を使用することができる。本実施の形態では、活性線硬化型インクを、インクジェットヘッドから吐出するインクジェット法を用いることが好ましい。
【0084】
インクジェット法で使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式およびコンティニュアス方式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドの例には、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型を含む電気-機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(「バブルジェット」はキヤノン株式会社の登録商標)型を含む電気-熱変換方式等が含まれる。
【0085】
また、インクジェットヘッドは、スキャン式およびライン式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。
【0086】
このとき、活性線硬化型インクの液滴の吐出性を高めるために、インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクを40~120℃に加熱して、上記加熱された活性線硬化型インクを吐出することが好ましい。
【0087】
また、活性線硬化型インクがゲル化剤を含むときは、インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクの温度を、活性線硬化型インクに含まれるゲル化剤のゲル化温度より10℃以上40℃未満高い温度に設定することが好ましい。インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクの温度をゲル化温度+10℃以上にすることで、インクジェットヘッド内もしくはノズル表面で活性線硬化型インクがゲル化することがなく、活性線硬化型インクを良好に射出することができる。また、インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクの温度を活性線硬化型インクのゲル化温度+40℃未満とすることで、インクジェットヘッドの熱的負荷を小さくすることができる。特に、ピエゾ素子を用いたインクジェットヘッドでは、熱的負荷による性能低下が生じやすいため、活性線硬化型インクの温度を上記範囲内とすることが特に好ましい。
【0088】
活性線硬化型インクがゲル化剤を含むときは、中間転写体の表面に付与された活性線硬化型インクは、ゲル化剤が結晶化してピニングされる。これにより、活性線硬化型インクが付与されて形成されたドットがより濡れ広がりにくくなり、活性線硬化型インクが上記中間転写体の表面に着弾して形成されたドット同士が合一するのを抑制することができる。
【0089】
このとき、活性線硬化型インクのピニング性を高めるために、中間転写体の表面温度をゲル化剤のゲル化温度の付近またはそれ以下としてもよい。
【0090】
なお、上記活性線硬化型インクを中間転写体の表面に直接付与する方法を説明したが、これに限定されない。上記活性線硬化型インクを、中間転写体の表面に、予め付与された液体状のプレコート層の表面に付与してもよい。
【0091】
1-2.活性線硬化型インクを転写する工程
活性線硬化型インクを転写する工程(以下、単に「転写工程」という)は、中間転写体の表面に形成された中間画像(活性線硬化型インク)と、搬送路の表面に配置されて搬送されてきた記録媒体とを、転写部(中間転写体と搬送路とが最接近した部分)において、転写ローラと搬送部とで押圧して、中間画像を中間転写体から記録媒体に転写する工程である。中間画像(活性線硬化型インク)が上記転写部に到達する直前から到達時おいて、転写ローラの外部に配置された活性線の照射装置から活性線が照射される。活性線を照射された中間画像(活性線硬化型インク)は増粘した状態で、記録媒体に転写される。
【0092】
このとき、転写部におけるニップ幅は、5mm以上10mm以下であることが好ましく、6mm以上8mm以下であることがより好ましい。ニップ幅が5mm以上であると、中間画像(活性線硬化型インク)を記録媒体に転写する前に十分な量の活性線を活性線硬化型インクに到達させて、活性線硬化型インクの硬度を高くして、表面側の活性線硬化型インクの硬度が低くなるように増粘させることができる。これにより、活性線硬化型インクと凹凸の大きい記録媒体との密着性が向上するので、転写性を向上させることができる。また、10mm以下であると、活性線硬化型インクが転写時に中間転写体から剥離しやすくなるので通紙ジャムが生じるのを抑制できる。
【0093】
また、転写ローラと搬送部とで押圧するときの圧力は、100kPa以上400kPa以下であることが好ましく、200kPa以上350kPa以下であることがより好ましい。圧力が100kPa以上であると、凹凸が大きい記録媒体であっても良好な転写性を得ることができる。また、400kPa以下であると、転写時に活性線硬化型インクが過剰につぶれて、色滲みが生じるのを抑制することができる。
【0094】
また、上記活性線の照射装置は、後述する転写ローラの芯材に活性線が照射されない位置に配置されおり、照射される活性線は転写ローラの弾性層のみを透過する。これにより、活性線硬化型インクが増粘するのに十分な量の活性線を活性線硬化型インクに到達させることができる。
【0095】
上記活性線の照射装置から照射された活性線は、365nm以上455nm以下であることが好ましく、380nm以上450nm以下であることがより好ましく、390nm以上430nm以下であることがさらに好ましい。上記活性線の波長が365nm以上であると、照射される活性線(例えば紫外線)による転写ローラの弾性層の劣化を抑制できるので、長期にわたり安定した転写圧力を転写時にかけることができる。455nm以下であると、活性線が転写ローラを透過して、中間画像の裏面側の活性線硬化型インクに到達し、裏面側の活性線硬化型インクの硬度を高くして、表面側の活性線硬化型インクの硬度が低くなるように増粘させることができる。これにより、活性線硬化型インクと凹凸の大きい記録媒体との密着性が向上するので、転写性を向上させることができる。また、中間転写体と接する裏面側の活性線硬化型インクの硬度を高くすることで、転写性を向上させつつ、記録媒体と接する表面側の活性線硬化型インクの硬度を低いままにすることで、記録媒体への活性線硬化型インクの粘着性を維持し、転写性をさらに高めることができる。
【0096】
転写工程では、上述の中間転写体の表面に付与された活性線硬化型インクに対して、365~455nmの波長を有する活性線を、上記中間転写体の裏面側であって、転写ローラの外側に配置された活性線の照射装置を用いて、中間画像の裏面側の活性線硬化型インクに対して活性線を照射して増粘させることが好ましい。このとき、中間画像の裏面側の活性線硬化型インクに対して、照射された活性線は、転写ローラを透過した光(例えば紫外線)である。
【0097】
活性線の照射装置は、転写ローラの外部に配置されて、転写ローラを透過した活性線を、ニップ部を通過する活性線硬化型インクに照射する。活性線の照射装置を転写ローラの外部に配置することにより、活性線から生じる熱が転写ローラに籠りにくくなり、光源が過熱されるのを抑制できる。これにより、活性線の照射を安定して行えるため、長期にわたり転写性に優れる画像を形成できる。
【0098】
[転写ローラ]
本発明の一実施の形態に係る転写ローラは、芯材の外周面に弾性層を有することが好ましい。
【0099】
転写ローラの芯材は、弾性層を外周面に配置できれば、特に限定されない。転写ローラの芯材の例には、鉄、アルミ、ステンレス、銅、銅合金などの金属材料、石英ガラス、パイレックス(「パイレックス」はコーニング社の登録商標)などのガラス材料、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などの樹脂材料が含まれる。
【0100】
弾性層を構成する樹脂は、活性線を透過させることができれば、特に限定されない。弾性層を構成する樹脂の例には、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂などが含まれる。上記樹脂の中では、シリコーン樹脂であることが好ましい。シリコーン樹脂は硬度を調整しやすいことから、所望する硬度を有する弾性層を得やすい。また、耐光性に優れるため、活性線(例えば紫外線)の照射による劣化を抑制できる。
【0101】
転写ローラの弾性層の厚さは、10mm以上100mm以下であることが好ましく、20mm以上50mm以下であることがより好ましい。弾性層の厚さが10mm以上であることにより、十分な弾性を有するので表面の凹凸が大きい記録媒体に対しても追従性を有することができる。また、100mm以下であることにより、十分な量の活性線を活性線硬化型インクまで到達させることができる。
【0102】
転写ローラの弾性層は、400nmの波長の光の透過率が85%以上100%以下であることが好ましく、87%以上100%以下であることがより好ましい。転写ローラの弾性層の透過率が、85%以上であると、活性線が、転写ローラを透過しても十分な量の活性線を中間画像に到達させて、裏面側の活性線硬化型インクの硬度を高くして、表面側の活性線硬化型インクの硬度が低くなるように増粘させることができる。これにより、上記中間画像が中間転写体から剥離しやすくなるため、中間転写体の表面への中間画像の残存(転写もれ)を抑制し、転写性を向上させることができる。また、転写ローラが活性線を過剰に吸収することによる、転写ローラの劣化を抑制することができる。これにより、転写ローラを長期間使用することができるようになる。
【0103】
なお、転写ローラの弾性層の透過率は、例えば、上述の分光光度計「U-3310」を用いて測定することができる。
【0104】
また、転写ローラの弾性層の弾性率は、0.5MPa以上10MPa以下であることが好ましく、0.5MPa以上8MPa以下であることがより好ましく、0.5MPa以上5MPa以下であることがさらに好ましい。上記弾性層の弾性率が、0.5MPa以上であることにより、転写部(後述)において、弾性層の過剰な変形を抑制しつつ、記録媒体と中間転写体との密着性を高め、記録媒体への定着性を向上させることができる。また、10MPa以下であることにより、弾性層が適度に変形して、表面の凹凸が大きい記録媒体に対しても追従性を有することができるので、転写性を向上させることができる。なお、転写ローラの弾性層の弾性率は、JIS K 6251:2017に準拠して測定することができる。
【0105】
また、弾性層のアスカーゴム硬度計A型による硬度は、5度以上50度以下であることが好ましく、10度以上45度以下であることが好ましく、20度以上40度以下であることがさらに好ましい。上記弾性層の硬度が、5度以上であると、転写圧力(100~400kPa)に耐える十分な強度の転写ローラが得られる。また、50度以下であると、転写部において、弾性層が適度に変形して、表面の凹凸が大きい記録媒体に対しても追従性を有することができるので、転写性を向上させることができる。なお、弾性層の硬度は、JIS K 6253-1:2012に準拠して測定することができる。
【0106】
また、上記転写ローラは、上記弾性層の外周面上に表面層を有していてもよい。上記表面層は、400nmの波長の光の透過率が95%以上100%以下であれば、表面層の材料は、特に限定されない。なお、転写ローラの表面層の透過率は、例えば、上述の分光光度計「U-3310」を用いて測定することができる。
【0107】
上記表面層は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルアルコールなどの樹脂を含む塗布液の硬化物であることが好ましい。
【0108】
また、表面層の厚さは、表面層の耐久性を向上させる観点から、10~100μmが好ましく、25~50μmがより好ましい。
【0109】
[活性線照射装置]
活性線照射装置の光源は、365~455nmの波長の光を照射できれば、特に制限されない。活性線を照射するための光源の例には、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、タングステンランプ、発光ダイオード(LED)などが含まれる。上記光源の中では、発光ダイオード(LED)が好ましい。光源が発光ダイオード(LED)であると、発光波長の半値幅が少なく、より効率的なエネルギー消費で活性線硬化型インクを硬化することができる。なお、発光ダイオード(LED)を用いたときも、筐体から発生する熱による、光源の過熱は発生する。
【0110】
1-3.活性線硬化型インクを硬化させる工程
活性線硬化型インクを硬化させる工程は、上述の転写工程において、増粘した状態で記録媒体に転写された活性線硬化型インクに活性線(例えば紫外線)を照射して、記録媒体上の上記活性線硬化型インクを完全に硬化させる工程である。硬化させる工程は、ニップ部において記録媒体に転写された活性線硬化型インクがニップ部を通過した後に、中間転写体から離れて記録媒体に転写された活性線硬化型インクに活性線を照射して、上記転写された活性線硬化型インクを本硬化させる。これにより、記録媒体の表面に、目的とする高精細な画像が形成される。なお、当該工程で照射される活性線の波長は365nm以上455nm以下であること好ましく、380nm以上430nm未満であることがより好ましい。これにより、活性線硬化型インクを本硬化させることにより、記録媒体と活性線硬化型インクとの定着性を高めることができる。
【0111】
2.画像形成装置
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置100の例示的な構成を示す模式図である。
【0112】
本発明の一実施の形態に係る画像形成装置100は、中間転写体110と、中間転写体110の表面に活性線硬化型インクを付与するインク付与部120と、中間転写体の裏面側から活性線を照射して、上記付与された活性線硬化型インクを増粘させるための活性線照射部130と、上記増粘した活性線硬化型インクを転写ローラで加圧して記録媒体に転写する転写部140と、転写された活性線硬化型インクを硬化させる硬化部150と、を有し、活性線照射部130は転写ローラ160の外部に配置されている。
【0113】
画像形成装置100は、無端状のベルトの形状を有する中間転写体110を張架するための転写ローラ160、駆動ローラ161および従動ローラ162と、記録媒体Pを搬送するための搬送路170と、記録媒体Pに転写されずに中間転写体110の表面に残存した活性線硬化型インクを中間転写体110の表面から除去するクリーニング部180と、を有する。
【0114】
中間転写体110は、転写ローラ160、駆動ローラ161および従動ローラ162によって張架され、かつ回転移動し、中間画像形成部121によって中間転写体110の表面に形成された中間画像を転写部140に搬送する。
【0115】
駆動ローラ161および従動ローラ162は、中間転写体110をA方向に回転させる。
【0116】
中間転写体110は、上述の中間転写体である。
【0117】
中間転写体110における、逆三角形状の左右の頂点部分に位置する駆動ローラ161および従動ローラ162に張架された部分は、インク付与部120から付与された活性線硬化型インクの着弾面となっている。中間転写体110における、逆三角形状の下側の頂点部分に位置する転写ローラ160は、中間転写体110を搬送路170に向けて所定のニップ圧により加圧する加圧ローラであり、インク付与部120から吐出された活性線硬化型インクが付与して形成された中間画像を記録媒体Pに転写する加圧部141として機能する。
【0118】
転写ローラ160は上述の弾性層を有する転写ローラである。
【0119】
インク付与部120でもある中間画像形成部121は、本実施の形態ではインクジェット法により中間画像を形成するインク付与部であり、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色の活性線硬化型組成物(インクジェット用インク)をノズルから吐出して中間転写体110の表面に付与させる、インクジェットヘッド120Y、120M、120Cおよび120Kを有する。インクジェットヘッド120Y、120M、120Cおよび120Kは、上記各色の活性線硬化型インクを、中間転写体110の表面のうち形成されるべき画像に応じた位置に付与して、中間画像を形成する。
【0120】
転写部140は、中間転写体110と搬送路170とが最接近した部分であって、逆三角形状の下側の頂点部分に位置する転写ローラ160および逆三角形状の左右の頂点部分に位置する駆動ローラ161および従動ローラ162によって中間転写体110が、搬送路170の方向に付勢されることにより、中間転写体110が接する搬送路170の表面を加圧する。このときのニップ幅は5mm以上10mm以下となるように調整される。ニップ幅が5mm以上であると、中間画像(活性線硬化型インク)を記録媒体に転写する前に十分な量の活性線を活性線硬化型インクに到達させて、活性線硬化型インクの硬度を高くし、表面側の活性線硬化型インクの硬度が低くなるように増粘させることができる。これにより、活性線硬化型インクと凹凸の大きい記録媒体との密着性が向上するので、転写性を向上させることができる。また、10mm以下であると、活性線硬化型インクが転写時に中間転写体から剥離しやすくなるので通紙ジャムが生じるのを抑制できる。
【0121】
そして、中間転写体110の表面に形成され、搬送されてきた中間画像(活性線硬化型インク)と、搬送路170の表面に配置されて搬送されてきた記録媒体Pとが、転写部140において接触する直前に活性線照射部130から、365~455nmの波長の光を有する活性線(例えば紫外線)が中間転写体110に向けて照射される。照射された活性線は、転写ローラ160(加圧部141)を透過して、中間画像の裏面側の活性線硬化型インクに到達し、活性線硬化型インクが増粘した状態で中間転写体110から搬送路170側に100kPa以上400kPa以下で加圧されることで、記録媒体Pに転写される。圧力が100kPa以上であると、凹凸が大きい記録媒体であっても、良好な転写性を得ることができる。また、400kPa以下であると、転写時に活性線硬化型インクが過剰につぶれて、色滲みが生じるのを抑制することができる。
【0122】
転写ローラ160の弾性層は、400nmの波長の光の透過率が85%以上100%以下であることから、活性線照射部130から照射される活性線が、転写ローラを透過しても十分な量の活性線を中間画像に到達させて、裏面側の活性線硬化型インクの硬度を高くして、表面側の活性線硬化型インクの硬度が低くなるように増粘させることができる。これにより、上記中間画像が中間転写体から剥離しやすくなるため、中間転写体の表面への中間画像の残存(転写もれ)を抑制し、転写性を向上させることができる。また、転写ローラが活性線を過剰に吸収することによる、転写ローラの劣化を抑制することができる。これにより、転写ローラを長期間使用することができるようになる。
【0123】
搬送路170は、例えば、金属ドラムで構成され、中間画像を転写される記録媒体Pを搬送する。搬送路170は、中間転写体110の一部の表面に接して配置され、転写ローラ160(加圧部141)よって中間転写体110の上記接する表面が加圧されることで、転写部140が形成される。搬送路170は、記録媒体Pの先端を固定する爪(不図示)を有してもよい。搬送路170は、当該爪に記録媒体Pの先端を固定し、図1における反時計回り方向に回転することで、記録媒体Pを転写部に搬送する。
【0124】
硬化部150は、搬送路170による記録媒体Pの搬送方向における、転写部140より下流側に配置され、搬送路170の表面に向けて活性線(例えば365nm以上455nm以下の波長の光)を照射する。これにより、硬化部150は、記録媒体Pに転写された中間画像を構成する活性線硬化型インクを硬化(本硬化)させる。これにより、記録媒体Pの表面に、目的とする高精細な画像が形成される。
【0125】
クリーニング部180は、ウェブローラやスポンジローラ等のクリーニングローラであり、転写部130の下流側で、中間転写体110の表面に接触する。クリーニング部180は、上記クリーニングローラが駆動回転することで、転写部140において記録媒体Pに転写されずに中間転写体110の表面に残存した残組成物(残塗布物)を除去する。
【0126】
本発明の一実施の形態に係る画像形成装置100は、活性線照射部130は転写ローラ160の外部に配置されていることから、活性線から生じる熱が転写ローラに籠りにくくなり、光源が過熱されるのを抑制できる。これにより、活性線の照射を安定して行えるため、長期にわたり転写性に優れる画像を形成できる。
【実施例
【0127】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0128】
1.中間転写体の作製
(基材層の形成)
粉体ポリイミド樹脂(KPI-MX300F、河村産業株式会社製)を固形分20質量%のN-メチルピロリドン溶液とし、レベリング剤(KF-96、信越化学工業株式会社製)をポリイミドワニスの全重量に対し100ppmを添加して、ミキサーを用いて混合することにより基材層形成用の塗布液を調製した。
【0129】
次いで、周長2500mm、幅800mmの円筒状のステンレス製金型を、円筒軸を中心に100rpmで回転させると共に、ディスペンサーノズルを円筒軸方向に移動させながら全幅700mm、焼成後の厚さが750μmになるように、上記基材層形成用の塗布液を塗布して、ウエット膜を形成した。
【0130】
次いで、円筒軸を中心に100rpmで回転させながら遠赤外線乾燥装置を用いて100℃で2時間加熱(焼成)することにより溶媒を揮発させて基材層が流下しない状態にした。
【0131】
最後に、上記金型を加熱炉へ導入し、段階的に昇温し380℃で保持した状態で90分加熱処理(焼成)した。十分に冷却し、厚さが750μmの基材層を得た。
【0132】
基材層の厚さはFICHERSCOPE MMS PC2(フィッシャーインストルメンツ社製)を用いて測定した。
【0133】
(弾性層の形成)
下記成分を下記量で固形分濃度が20質量%となるようにトルエンに溶解させた後、弾性層形成用の塗布液とした。
【0134】
(弾性層形成用の塗布液)
マトリックスポリマー:KE1603A/B(信越化学工業株式会社製)
【0135】
次いで、金型外周面に形成した基材層を用い、円筒軸を中心に200rpmで回転させると共に、ディスペンサーノズルを円筒軸方向に移動させながら、全幅700mm、焼成後の厚さが500μmになるように、上記弾性層形成用の塗布液を塗布して、ウエット膜を積層した。
【0136】
次いで、当該金型を加熱炉へ導入し、段階的に昇温し180℃で保持した状態で60分加熱処理(加硫)した。十分に冷却し、基材層(80μm)と弾性層(500μm)の積層ベルトである中間転写体を得た。
【0137】
得られた中間転写体の透過率を分光光度計「U-3310」(株式会社日立ハイテクノロジーズ)を用いて測定したところ、85%であった。上記透過率は、光路長を10mmとしたサンプル(中間転写体)についての、190~900nmの透過率を測定し、測定された透過率のうち、400nmの透過率を算出する方法で、測定したものである。
【0138】
2.転写ローラの作製
(弾性層の形成)
弾性層は、下記に示すようにして作製した。
【0139】
A剤とB剤(シリコーン樹脂「KE-1950-30」、信越化学工業株式会社製)との混合液を準備し、芯材が挿入されている円筒状の金型に、上記混合液を流し込んだ。
【0140】
次いで、混合液が流し込まれた金型を、120℃で10分間加熱することで一次加硫を行い、一次加硫後の硬化した樹脂を金型から取り外し、さらにオーブンに入れて、200℃で4時間加熱することで二次加硫を行い、転写ローラ1を得た。
【0141】
得られた転写ローラ1の弾性層の透過率を上述の分光光度計を用いて測定したところ、83.3%であった。上記透過率は、光路長を10mmとしたサンプル(弾性層)についての、190~900nmの透過率を測定し、測定された透過率のうち、400nmの透過率を算出する方法で、測定したものである。
【0142】
上記塗布液に含まれる樹脂の種類を変更した以外は、転写ローラ1と同様にして転写ローラ2~10を得た。また、転写ローラ2~10の弾性層についても、転写ローラ1と同様にして透過率を測定した。
【0143】
表1に、転写ローラ1~10の弾性層を構成する樹脂の種類、および弾性層の弾性率、透過率、硬度の測定値を示す。
【0144】
表1に示される各略号は次のとおりである。
【0145】
(樹脂)
A-1 :KE-1950-30
A-2 :KE-1603
A-3 :Silopren LSR-7030
A-4 :Silopren LSR-7030/LSR-7005=3/7
A-5 :Silopren LSR-7030/LSR-7005=1/9
A-6 :KE2061-80
A-7 :タフロン LEV2200KL
A-8 :軟質ポリウレタンゴム「ハイパーゲル」
A-9 :XE15-B7354
A-10:KE2061-30
【0146】
上記A-1~A-6、A-9、A-10はシリコーン樹脂であり、上記A-7はポリカーボネート樹脂であり、A-8は軟質ポリウレタン樹脂である。また、A-1、A-2、A-6、A-10は信越化学工業株式会社製であり、A-3~A-5はモメンティブ社製であり、A-7は出光興産株式会社製であり、上記A-8はエクシール社製である。また、Siloprenは、モメンティブ社の登録商標であり、「タフロン」は出光興産株式会社の登録商標である。
【0147】
表1に示される転写ローラ1~10の弾性層の弾性率は、転写ローラ1~10に示した樹脂で作製された樹脂シート(2mm厚)を用意し、JIS K 6251:2017に準拠して測定した。
【0148】
また、表1に示される転写ローラ1~10の弾性層の硬度は、転写ローラ1~10に示した樹脂で作製された樹脂シート(2mm厚)を用意し、JIS K 6253-1:2012に準拠して測定した。
【0149】
【表1】
【0150】
3.評価
転写ローラ1~10の転写性および耐久性の評価を行った。
【0151】
3-1.活性線硬化型インクの調製
以下の手順で転写性の評価に用いるための活性線硬化型インクを以下の手順で調製した。
【0152】
(顔料分散液の調製)
9.0質量部の顔料分散剤(アジスパーPB824、味の素ファインテクノ株式会社製、「アジスパー」は味の素株式会社の登録商標)と、70.0質量部の活性線重合性化合物(トリプロピレングリコールジアクリレート)と、0.02質量部の重合禁止剤(Irgastab UV10、BASF社製、「Irgastab」は同社の登録商標)と、をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレートで加熱しながら、1時間加熱撹拌した。
【0153】
上記混合液を室温まで冷却した後、これに21.0質量部のPigment Red 122(大日精化工業株式会社製、クロモファインレッド6112JC)を加えた。混合液を、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて8時間分散処理した。その後、ジルコニアビーズを除去して顔料分散液を得た。
【0154】
(活性線硬化型インクの調製)
5.0質量%のゲル化剤「ルナックBA」(ベヘニン酸、花王株式会社製、「ルナック」は同社の登録商標)と、29.9質量%の活性線重合性化合物(ポリエチレングリコール#400ジアクリレート)と、23.0質量%の6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレートと、15.0質量%の4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートと、6.0質量%の重合開始剤「DAROCUR TPO」(BASF社製、「DAROCUR」は同社の登録商標)と、1.0質量%の重合開始剤「ITX」(DKSHジャパン社製)と、1.0質量%の重合開始剤「DAROCUR EDB」(BASF社製)と、0.1質量%の界面活性剤「KF-352」(信越化学工業株式会社製)と、19.0質量%の顔料分散液をステンレスビーカーに入れ、これを80℃のホットプレートで加熱しながら1時間撹拌した。得られた溶液を加熱しながら、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過することにより活性線硬化型インクを得た。
【0155】
3-2.画像形成
(画像形成1)
上記調製した活性線硬化型インクを、実施例で作製した中間転写体、転写ローラおよびピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録ヘッドを有する画像形成装置に導入し、ペルチェ冷却ユニットを用いて25℃とした中間転写体に対し、解像度720×720dpiの条件でそれぞれ20cm×20cmの正方形状のベタ画像(100%印字)を印字した。上記中間転写体として、上述の紫外線への透過性を有する中間転写体(波長395nmにおける透過率:85%)を用いた。なお、インクジェット記録装置において、上記作製した中間転写体は、逆三角形状の左右の頂点部分に位置する駆動ローラおよび従動ローラ、および逆三角形状の下側の頂点部分に位置する上記作製した転写ローラにより張架されている。
【0156】
上記中間転写体を800m/sの速度で走行させて、中間転写体に印字された画像に対し、中間転写体の裏面側であって、転写ローラの外部に配置されたUV光源装置「LS-80-V5」(HOYA株式会社製)から、紫外線(波長395nm、露光量10mJ/cm)を100msで照射し、画像と記録媒体(レザック66、305g/m、特種東海製紙株式会社製)とを当接させた状態で、転写部を通過させ、記録媒体に転写した。このときのニップ幅は8mmであった。また、上記転写部は、転写ローラと搬送路とが最接近した部分であり、照射された紫外線は、転写ローラを透過させた光である。
【0157】
(画像形成2)
UV光源装置「LS-80-V5」を転写ローラの内部に配置した以外は、画像形成1と同様にして、画像形成を行った。
【0158】
3-3.転写性評価
(評価方法)
画像形成方法1、2により、上記記録媒体に転写された活性線硬化型インクの面積の割合を求め、転写率とした。活性線硬化型インクの面積の割合は、キーエンス社製のVK-7000を用いて、光学顕微鏡輝度情報を二値化してその面積より求めた。
【0159】
3-4.耐久性評価
(評価方法)
転写ローラ1~10に対して、UV光源装置「LS-80-V5」を用いて1W/cmの光量で表2、3に示される波長を有する活性線を500時間照射した。照射後の転写ローラ1~10を用いて、画像形成方法1、2により、記録媒体に転写された活性線硬化型インクの面積の割合を求め、耐久性試験後の転写率とした。活性線硬化型インクの面積の割合は、キーエンス社製のVK-7000を用いて、光学顕微鏡輝度情報を二値化してその面積より求めた。
【0160】
転写ローラ1~10を用いた転写性および耐久性の評価結果を表2および表3に示す。
【0161】
【表2】
【0162】
【表3】
【0163】
活性線の照射装置を転写ローラの外部に配置することにより、耐久性試験後の転写性の低下を抑制できることがわかった。これは、活性線の照射装置を転写ローラの外部に配置することで、活性線から生じる熱が転写ローラに籠りにくくなり、光源が過熱されるのを抑制できるので、活性線を安定して照射できるためであると考えられる。
【0164】
転写ローラの弾性層の弾性率が、0.5MPa以上10MPa以下である弾性層を有する転写ローラを用いることにより、良好な転写性を得られることがわかった。また、アスカーゴム硬度計A型による硬度が5度以上50度以下である弾性層を有する転写ローラを用いることにより、良好な転写性を得られることがわかった。これは、転写ローラの表面が硬くなりすぎないので、記録媒体(凹凸紙など)への追従性が向上するためであると考えられる。
【0165】
転写ローラの、400nmの波長の光における透過率が85%以上100%以下であることにより、良好な転写性を得られることがわかった。これは、中間画像(活性線硬化型インク)と記録媒体とが転写部で接触する直前から転写中において、活性線硬化型インクに十分な量の活性線を到達させることができるので、裏面側の活性線硬化型インクの硬度を高くして、表面側の活性線硬化型インクの硬度が低くなるように増粘させることができるためであると考えられる。
【0166】
また、転写ローラの、400nmの波長の光における透過率が85%以上100%以下であることにより、転写ローラが活性線を過剰に吸収することによる、転写ローラの弾性層の劣化を抑制することができる。
【0167】
活性線を透過させる転写ローラおよび中間転写体を用いることにより、十分なニップ幅を確保できた。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明の画像形成方法を用いることにより、長期間にわたり良好な転写性を有する画像形成方法を提供することができる。そのため、本発明は、活性線硬化型インクを用いた中間転写方式の画像形成方法の適用の幅を広げ、同分野の技術の進展および普及に貢献することが期待される。
【符号の説明】
【0169】
100 画像形成装置
110 中間転写体
120 インク付与部
121 中間画像形成部
130 活性線照射部
140 転写部
141 加圧部
150 硬化部
160 転写ローラ
161 駆動ローラ
162 従動ローラ
170 搬送路
180 クリーニング部
P 記録媒体
図1