(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】LIDARの補正パラメータの生成方法、LIDARの評価方法、およびLIDARの補正装置
(51)【国際特許分類】
G01S 17/87 20200101AFI20240312BHJP
【FI】
G01S17/87
(21)【出願番号】P 2020145216
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】福田 智広
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-079781(JP,A)
【文献】特表2018-511799(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159382(WO,A1)
【文献】特開2020-067402(JP,A)
【文献】特表2003-519387(JP,A)
【文献】特開2004-037239(JP,A)
【文献】特開2016-090435(JP,A)
【文献】特開2016-153775(JP,A)
【文献】特開2020-106475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/64
13/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲に照射したレーザ光の反射光を受光する第1LIDAR装置(LR1)による測距点データを第1測距点データとし、前記車両の周囲に照射したレーザ光の反射光を受光する第2LIDAR装置(LR2)による測距点データを第2測距点データとし、
前記第1測距点データに応じて特定された物体の1つを対象物体とし、前記第1測距点データに基づく前記対象物体の位置座標を算出する対象座標算出処理(S16)と、
前記第2測距点データに応じて特定された物体のうち、前記対象物体との距離が最小となる物体を同一物体とし、前記第2測距点データに基づき前記同一物体の位置座標を算出する同一座標算出処理(S44)と、
前記車両の前後方向および横方向によって張られる面内において、前記対象物体の前記位置座標と前記同一物体の前記位置座標とを相対的に回転させた後の位置座標同士の差の絶対値が最小となるときの相対回転角を、前記測距点データに基づく物体の位置を補正する補正パラメータとして選択する選択処理(S34)と、を実行装置(42,44)に実行させ、
前記対象座標算出処理は、前記対象物体の位置に関し、前記車両の前後方向および横方向によって張られる面内において一次独立な一対の方向のそれぞれを有した座標軸における成分である第1軸成分および第2軸成分を前記第1測距点データに基づき算出する処理であり、
前記同一座標算出処理は、前記同一物体の位置に関し、前記第1軸成分および前記第2軸成分を前記第2測距点データに基づき算出する処理であり、
前記対象座標算出処理によって算出された前記第1軸成分および前記第2軸成分と、前記同一座標算出処理によって算出された前記第1軸成分および前記第2軸成分との2組のうちの少なくとも1組を入力とし、複数通りの前記相対回転角のそれぞれに応じて前記入力された前記第1軸成分および前記第2軸成分を回転させる回転処理(S18)と、
前記対象物体の前記位置座標と前記同一物体の前記位置座標との前記回転処理によって相対回転された後の位置座標同士の差を算出する誤差算出処理(S24)と、を前記実行装置に実行させ、
前記対象物体と前記車両との相対速度を取得する相対速度取得処理(S16)と、
前記回転処理の入力となる前記第1軸成分および前記第2軸成分のそれぞれを、第1補正量および第2補正量のそれぞれによって補正する補正処理(S18)と、を前記実行装置に実行させ、
前記補正処理は、前記相対速度が大きい場合に小さい場合よりも前記第1補正量の絶対値および前記第2補正量の絶対値を大きくする処理を含
むLIDARの補正パラメータの生成方法。
【請求項2】
前記選択処理は、前記相対速度と前記第1補正量との関係のうち前記相対回転された後の位置座標同士の差の絶対値が最小となるときの関係を規定するパラメータを、前記補正パラメータとして選択する処理を含む請求項
1記載のLIDARの補正パラメータの生成方法。
【請求項3】
車両の周囲に照射したレーザ光の反射光を受光する第1LIDAR装置(LR1)による測距点データを第1測距点データとし、前記車両の周囲に照射したレーザ光の反射光を受光する第2LIDAR装置(LR2)による測距点データを第2測距点データとし、
前記第1測距点データに応じて特定された物体の1つを対象物体とし、前記第1測距点データに基づく前記対象物体の位置座標を算出する対象座標算出処理(S16)と、
前記第2測距点データに応じて特定された物体のうち、前記対象物体との距離が最小となる物体を同一物体とし、前記第2測距点データに基づき前記同一物体の位置座標を算出する同一座標算出処理(S44)と、
前記車両の前後方向および横方向によって張られる面内において、前記対象物体の前記位置座標と前記同一物体の前記位置座標とを相対的に回転させた後の位置座標同士の差の絶対値が最小となるときの相対回転角を、前記測距点データに基づく物体の位置を補正する補正パラメータとして選択する選択処理(S34)と、を実行装置(42,44)に実行させ
、
前記同一座標算出処理は、前記対象物体との距離が最小となる物体の加速度の絶対値が所定値以下であることを条件に、前記同一物体として特定する処理を含むLIDARの補正パラメータの生成方法。
【請求項4】
前記対象座標算出処理は、前記第1測距点データに基づき認知される複数の物体のそれぞれを前記対象物体とする処理を含み、
前記複数の物体のそれぞれについて、前記同一座標算出処理、前記回転処理、および前記誤差算出処理を前記実行装置に実行させ、
前記選択処理は、前記複数の物体のそれぞれに関する前記差の絶対値の和が最小となる前記相対回転角を、前記測距点データに基づく物体の位置を補正する補正パラメータとして選択する処理である請求項
1または2に記載のLIDARの補正パラメータの生成方法。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の補正パラメータの生成方法における前記補正パラメータを用いて前記第1LIDAR装置による物体の認知結果および前記第2LIDAR装置による物体の認知結果を相対回転させた後に、前記相対回転させた後の前記一対の認知結果を比較することによって、前記第1LIDAR装置および前記第2LIDAR装置の2つのうちの少なくとも1つの性能を評価するLIDARの評価方法。
【請求項6】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の補正パラメータの生成方法における前記実行装置を備えたLIDARの補正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LIDARの補正パラメータの生成方法、LIDARの評価方法、およびLIDARの補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば下記特許文献1には、レーダ装置とカメラ装置との双方を用いて物体の検出精度を向上させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両に複数のセンサを備える場合、それらを車両に取り付ける際のずれ等に起因して、複数のセンサによる物体の検知結果にずれが生じうる。したがって、複数のLIDAR装置を車両に備える場合、それらによる物体の検知結果にずれが生じうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.車両の周囲に照射したレーザ光の反射光を受光する第1LIDAR装置(LR1)による測距点データを第1測距点データとし、前記車両の周囲に照射したレーザ光の反射光を受光する第2LIDAR装置(LR2)による測距点データを第2測距点データとし、前記第1測距点データに応じて特定された物体の1つを対象物体とし、前記第1測距点データに基づく前記対象物体の位置座標を算出する対象座標算出処理(S16)と、前記第2測距点データに応じて特定された物体のうち、前記対象物体との距離が最小となる物体を同一物体とし、前記第2測距点データに基づき前記同一物体の位置座標を算出する同一座標算出処理(S44)と、前記車両の前後方向および横方向によって張られる面内において、前記対象物体の前記位置座標と前記同一物体の前記位置座標とを相対的に回転させた後の位置座標同士の差の絶対値が最小となるときの相対回転角を、前記測距点データに基づく物体の位置を補正する補正パラメータとして選択する選択処理(S34)と、を実行装置(42,44)に実行させるLIDARの補正パラメータの生成方法である。
【0006】
上記方法では、第1測距点データに基づく対象物体の位置座標と第2測距点データに基づく対象物体の位置座標とを相対回転させた際の位置座標同士の差の絶対値が最小となるときの相対回転角を補正パラメータとして選択する。そのため、第1LIDAR装置および第2LIDAR装置の軸ずれに起因した双方の位置座標同士のずれを好適に補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】同実施形態にかかる評価装置が実行する処理の手順を示す流れ図。
【
図5】(a)および(b)は、上記実施形態の変更例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるLIDARの評価システムの構成を示す。
【0009】
図1に示す試験用の車両VCは、第1光センサ10および第2光センサ12を備えている。第1光センサ10および第2光センサ12は、いずれも、たとえば近赤外線等のレーザ光を照射する。また、第1光センサ10は、レーザ光の反射光を受光することに基づき、レーザ光を反射した物体と車両との距離を示す変数である距離変数と、レーザ光の照射方向を示す変数である方向変数と、反射した物体の反射強度を示す変数である強度変数とを示す測距点データである第1測距点データDrpc1を生成する。第2光センサ12は、レーザ光の反射光を受光することに基づき、レーザ光を反射した物体と車両との距離を示す変数である距離変数と、レーザ光の照射方向を示す変数である方向変数と、反射した物体の反射強度を示す変数である強度変数とを示す測距点データである第2測距点データDrpc2を生成する。
【0010】
第1LIDARECU20は、第1測距点データDrpc1に基づき、レーザ光を反射した物体の認識処理を実行する。詳しくは、第1LIDARECU20は、レーザ光の照射方向を水平方向および垂直方向に走査する処理を繰り返し、それら水平方向および垂直方向への操作の一周期を1走査周期とする。そして、1走査周期毎に、第1測距点データDrpc1に基づきクラスタリング処理等によって物体を認識する。第1LIDARECU20は、CPU22、ROM24、記憶装置26および周辺回路28を備えており、それらがローカルネットワーク29を介して通信可能とされたものである。ここで、周辺回路28は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路や、電源回路、リセット回路等を含む。第1LIDARECU20は、ROM24に記憶されたプログラムをCPU22が実行することにより認識処理を実行する。記憶装置26には、上記認識処理によって認識された物体に関するデータである第1検知データDd1が記憶されている。第1検知データDd1は、複数の走査周期の第1測距点データDrpc1に基づくデータであり、認識した物体の軌跡情報を含む。
【0011】
本実施形態では、第1光センサ10および第1LIDARECU20を備えた第1LIDAR装置LR1は、量産された車両に実際に搭載され使用されているものである。
第2LIDARECU30は、第2測距点データDrpc2に基づき、レーザ光を反射した物体の認識処理を実行する。詳しくは、第2LIDARECU30は、レーザ光の照射方向を水平方向および垂直方向に走査する処理を繰り返し、それら水平方向および垂直方向への操作の一周期を1走査周期とする。そして、1走査周期毎に、第2測距点データDrpc2に基づきクラスタリング処理等によって物体を認識する。第2LIDARECU30は、CPU32、ROM34、記憶装置36および周辺回路38を備えており、それらがローカルネットワーク39を介して通信可能とされたものである。ここで、周辺回路38は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路や、電源回路、リセット回路等を含む。第2LIDARECU30は、ROM34に記憶されたプログラムをCPU32が実行することにより認識処理を実行する。記憶装置36には、上記認識処理によって認識された物体に関するデータである第2検知データDd2が記憶されている。第2検知データDd2は、複数の走査周期の第2測距点データDrpc2に基づくデータであり、認識した物体の軌跡情報を含む。
【0012】
本実施形態では、第2光センサ12および第2LIDARECU30を備えた第2LIDAR装置LR2は、未だ量産された車両に搭載された実績がなく、量産された車両に搭載する以前に性能を評価することが望まれているものである。
【0013】
評価装置40は、車両VCの外部に配置されている。評価装置40は、車両VCに搭載される車速センサ50によって検出される車速SPDの時系列データである車速データDspdや、第1検知データDd1および第2検知データDd2を用いて、第2LIDAR装置LR2の性能を評価する装置である。この評価においては、まず、車両VCを所定期間にわたって実際の道路を走行させる。具体的には、本実施形態では、自動車専用道路において、先行車両の速度以下となる車速で車両VCを走行させる。そして、車両VCが走行している所定期間にわたって第1LIDARECU20は、記憶装置26に第1検知データDd1を蓄積する。また、車両VCが走行している所定期間にわたって第2LIDARECU30は、記憶装置36に第2検知データDd2を蓄積する。そして、所定期間経過後、評価装置40は、車両VCから、第1検知データDd1および第2検知データDd2を取得し、記憶装置46に記憶させる。そして、評価装置40は、第2LIDAR装置LR2の性能を評価する。
【0014】
なお、本実施形態では、第1LIDARECU20による1走査周期の方が、第2LIDARECU30による1走査周期よりも短い。そのため、評価装置40は、第2検知データDd2を構成する各走査周期の始点の前であって当該始点に最も近いタイミングを始点とする走査周期のそれぞれにおける第1測距点データDrpc1によって、第1検知データDd1を構成する。これにより、第1検知データDd1を構成する各第1測距点データDrpc1は、第2検知データDd2を構成する対応する第2測距点データDrpc2の走査周期の始点よりも前に始点を有する走査周期に対応するデータとなる。なお、以下において、「走査周期」を単体で用いる場合には、第2LIDARECU30による走査周期を意味することとする。
【0015】
評価装置40は、CPU42、ROM44、記憶装置46および周辺回路48を備えており、それらがローカルネットワーク49を介して通信可能とされている。
図2に、評価装置40が実行する処理の手順を示す。
図2に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42が実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって各処理のステップ番号を表現する。
【0016】
図2に示す一連の処理において、CPU42は、まず、所定のタイミングにおいて第1検知データDd1が示す車両VCの周囲の物体のうちの1つを対象物体に選択する(S10)。次にCPU42は、対象物体が移動物体であるか否かを判定する(S12)。この処理は、本実施形態では、第1LIDAR装置LR1によって認識された移動物体を第2LIDAR装置LR2が認識するか否かに基づき第2LIDAR装置LR2の性能を評価することを想定していることに鑑みた処理である。
【0017】
CPU42は、移動物体であると判定する場合(S12:YES)、後述の座標成分(x1,y1)を補正するためのパラメータβx,βy,γを1つ選択する(S14)。すなわち、本実施形態では、パラメータβx,βy,γの3つのうちの少なくとも1つの値が互いに異なる複数の組み合わせが予め定められており、CPU42は、それら複数の組み合わせのうちの1つの組を選択する。特に本実施形態では、パラメータγについては正の値、負の値および「0」のいずれをも取りうるものの、パラメータβx,βyについては正の値としている。パラメータγ,βx,βyは、第1LIDARECU20によって検知される物体の位置と、第2LIDARECU30によって検知される物体の位置とのずれ量を調整するためのパラメータである。
【0018】
次にCPU42は、第1検知データDd1に基づき、対象物体のx軸の座標成分x1およびy軸の座標成分y1と、対象物体である先行車両と車両VCとの相対速度Vrとを算出する(S16)。ここで、x軸は、車両VCの前後方向に平行であって且つ車両VCの重心を通る。また、y軸は、車両VCの横方向であって且つ車両VCの重心を通る。詳しくは、本実施形態では、対象物体である先行車両の後端部の中心座標を対象物体の座標成分(x1,y1)とする。なお、
図2には、相対速度Vrを、車両VCの車速SPDから、対象物体の車速を減算したものと表記している。すなわち、車速SPDから、対象物体のx軸の速度成分Vxおよびy軸の速度成分Vyの2乗和の平方根を減算した値であると記載している。しかし、対象物体の速度成分(Vx,Vy)を算出する際、CPU42は、実際には車速SPDを利用する。
【0019】
次に、CPU42は、対象物体の位置に関する座標を原点である車両VCの重心を中心として「γ」だけ回転補正する(S18)。ここで、CPU42は、回転補正される座標である対象物体の位置に関する座標を、S16の処理によって算出された座標(x1,y1)が相対速度Vrに応じて補正されたものとする。すなわち、CPU42は、座標成分x1については、相対速度Vrの絶対値をパラメータβxによって除算した値αxと、対象物体の速度成分Vxとの積によって減少補正する。ここでパラメータβxは正である。これにより、座標成分x1は減少補正される。これは、本実施形態では、第1検知データDd1を構成するデータの各1走査周期の始点が対応する第2検知データDd2を構成するデータの走査周期の始点よりも後のタイミングとなって且つ、車両VCが先行車両の走行速度以下で走行することに鑑みた設定である。すなわち、その場合、相対速度Vrがゼロでない場合には、第2LIDARECU30によって検知される物体の位置よりも第1LIDAR装置LR1によって検知される物体の位置の方が車両VCから遠ざかる。
【0020】
また、CPU42は、座標成分y1については、相対速度Vrの絶対値をパラメータβyによって除算した値αyと、対象物体の速度成分Vyとの積によって補正する。
次にCPU42は、第2検知データDd2が示す物体のうちの対象物体と同一の物体を判定する処理を実行する(S20)。
【0021】
図3に、S20の処理の詳細を示す。
図3に示す一連の処理において、CPU42は、まず、対象物体の後端が車両VCから所定範囲内にあるか否かを判定する(S40)。所定範囲は、車両VCからの距離が規定距離以上であって且つ所定距離以下の範囲とする。これは、車両VCから所定距離よりも離間した位置にある物体の場合、第1LIDARECU20の分解能と第2LIDARECU30の分解能との差に起因した精度差が顕著となることに鑑みたものである。また、車両VCとの距離が規定距離よりも短い場合には第1LIDARECU20の視野と第2LIDARECU30の視野との差に起因した精度差が顕著となることに鑑みたものである。
【0022】
CPU42は、所定範囲内にあると判定する場合(S40:YES)、第2検知データDd2が示す物体を選択する(S42)。そして、CPU42は、第2検知データDd2に基づき、選択した物体のx軸およびy軸の座標成分(x2,y2)を算出する(S44)。詳しくは、座標成分(x2,y2)は、選択した物体の後端部の中心座標である。次に、CPU42は、対象物体のS18の処理による補正後の座標成分(x1c,y1c)とS44の処理によって算出した座標成分とのユークリッド距離が、相対速度Vrの絶対値に所定の係数Kを乗算した値よりも小さいか否かを判定する(S46)。この処理は、選択した物体が対象物体の可能性があるか否かを判定する処理である。ここで、可能性の有無の判定のための閾値を相対速度Vrの大きさに比例させたのは、第1検知データDd1を構成する第1測距点データDrpc1の1走査周期の始点と、対応する第2検知データDd2を構成する第2測距点データDrpc2の1走査周期の始点とのずれに起因した誤差の影響を考慮するためである。
【0023】
CPU42は、相対速度Vrの絶対値に所定の係数Kを乗算した値以上であると判定する場合(S46:NO)、対象物体と同一の物体ではないと判定する(S48)。
これに対し、CPU42は、相対速度Vrの絶対値に所定の係数Kを乗算した値よりも小さいと判定する場合(S46:YES)や、S48の処理を完了する場合には、第2検知データDd2が示す物体の全てをS42の処理によって選択したか否かを判定する(S50)。CPU42は、未だ選択されていない物体があると判定する場合(S50:NO)、S42の処理に戻る。
【0024】
これに対しCPU42は、全ての物体を選択済みであると判定する場合(S50:YES)、対象物体とのユークリッド距離としての誤差が最小となる物体の加速度が閾値以下であるか否かを判定する(S52)。この処理は、誤差が最小となる物体を対象物体と同一の物体としてよいか否かを判定する処理である。ここで、閾値は、車両の加速度として想定される最大値よりも大きい値に設定されている。なお、CPU42は、隣接する走査周期のそれぞれにおいて算出される物体の速度の変化量を上記加速度とする。
【0025】
CPU42は、閾値よりも大きいと判定する場合(S52:NO)、誤差が最小の物体が同一物体ではないと判定する(S54)。すなわち、隣接する走査周期間での速度の変化が過度に大きい物体等の場合には、先行車両の変位としてありえないことから、その場合には同一物体である旨の判定を控える。
【0026】
これに対し、CPU42は、閾値以下であると判定する場合(S52:YES)、誤差が最小となる物体を同一物体であると判定する(S56)。なお、CPU42は、S54,S56の処理を完了する場合や、S40の処理において否定判定する場合には、
図2のS20の処理を完了する。
【0027】
そして、CPU42は、パラメータγ,βx,βyの組に紐づけられる誤差の加算条件を満たすか否かを判定する(S22)。本実施形態では、加算条件を、S20の処理によって同一物体と判定された物体が所定の長さを有する時間にわたって同一物体であると判定され続ける旨の条件とする。CPU42は、加算条件が成立しないと判定する場合(S22:NO)、S16の処理に戻る。これにより、S10の処理において対象物体が選択されたときの走査周期の次の走査周期の認知結果に基づき、座標成分(x1,y1)や座標成分(x2,y2)が算出されることとなる。なお、複数の走査周期にわたって
図3の処理がなされる場合には、
図3のS52の処理においてユークリッド距離の平均値が最小となる物体を同一物体の候補とすればよい。
【0028】
一方、CPU42は、加算条件を満たすと判定する場合(S22:YES)、加算条件を満たすまでの期間に算出された対象物体とのユークリッド距離の平均値を、誤差errとして算出する(S24)。そしてCPU42は、S14の処理によって選択したパラメータγ,βx,βyの組に関する、誤差の積算値Inerr(γ,βx,βy)にS24の処理によって算出した誤差errを加算する(S28)。
【0029】
次にCPU42は、S14の処理において、パラメータγ,βx,βyの組の全てを選択済みであるか否かを判定する(S30)。そしてCPU42は、未だ選択していない組があると判定する場合(S30:NO)、S14の処理に戻る。これに対し、CPU42は、全ての組を選択済みであると判定する場合(S30:YES)、S10の処理において、第1検知データDd1が示す全ての物体を選択済みであるか否かを判定する(S32)。CPU42は、未だ選択していない物体があると判定する場合(S32:NO)や、S12の処理において否定判定する場合には、S10の処理に戻る。
【0030】
これに対し、CPU42は、全ての物体を選択済みであると判定する場合(S32:YES)、パラメータγ,βx,βyの組のうち、積算値Inerrを最小とする組を補正パラメータDcに選択し、記憶装置46に記憶させる(S34)。補正パラメータDcは、第1検知データDd1が示す物体の位置と第2検知データDd2が示す物体の位置とのずれを低減するためのパラメータである。
【0031】
そしてCPU42は、補正パラメータDcを用いて第1検知データDd1が示す物体の位置を補正したうえで、第2LIDAR装置LR2の性能を評価する(S36)。すなわち、CPU42は、第1LIDAR装置LR1が検知した物体と同一の物体を第2LIDAR装置LR2が正確に検知しているか否かに基づき、第2LIDAR装置LR2の性能を評価する。ここでCPU42は、第1LIDAR装置LR1が検知した物体が位置する車線と、第2LIDAR装置LR2が検知した同一の物体が位置する車線とが一致していることを条件に正確に検知していると判定する。
【0032】
なお、CPU42は、S36の処理を完了する場合、
図2に示す一連の処理を終了する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
【0033】
CPU42は、車両VCの走行中に生成された第1検知データDd1および第2検知データDd2に基づき、第1検知データDd1が示す物体と第2検知データDd2が示す物体との位置ずれを補償するための補正パラメータDcを決定する。そしてCPU42は、補正パラメータDcに基づき、第1検知データDd1が示す物体の位置を補正し、補正後の位置に対応する物体を、第2LIDAR装置LR2が正確に検知しているか否かに基づき、第2LIDAR装置LR2の性能を評価する。
【0034】
すなわち、第1LIDAR装置LR1と第2LIDAR装置LR2とを車両VCに組み付ける際には、それら第1LIDAR装置LR1と第2LIDAR装置LR2とで軸ずれが生じうる。これは、第1検知データDd1が示す物体の位置が、第2検知データDd2が示す物体の位置を相対回転した位置となるような誤差を生じさせる要因となる。また、第1検知データDd1と第2検知データDd2とで走査周期の始点にタイミングのずれが生じる場合、検知した先行車両と車両VCとの相対速度Vrがゼロではない場合、第1LIDAR装置LR1と第2LIDAR装置LR2とで、車両VCと先行車両との距離にずれが生じる要因となる。
【0035】
上述したずれが生じる場合、第1LIDAR装置LR1が検知する物体と第2LIDAR装置LR2が検知する物体との位置に、上記ずれに起因した誤差が生じる。そしてこれは、第2LIDAR装置LR2の性能を正確に評価することを妨げる要因となる。
【0036】
これに対し、本実施形態では、補正パラメータDcによって補正された値を用いることにより、第1検知データDd1と第2検知データDd2との互いに対応するデータの走査周期のタイミングずれや軸ずれに起因した検知結果同士のずれを抑制しつつ、第2LIDAR装置LR2の性能を評価できる。
【0037】
図4に、補正パラメータDcによる補正の効果を示す。
図4において、「自」、「右1」、「右2」、「左1」、「左2」は、それぞれ車線を示す。また、車両VC(1)は、第1LIDAR装置LR1および第2LIDARLR2を搭載した車両を示す。また、第1LIDAR装置LR1が検知した先行車両VC(2)を二点鎖線L2にて示し、第2LIDAR装置LR2が検知した同一の先行車両VC(2)を実線Lにて示した。この場合、第2LIDARLR2は、先行車両VC(2)が車両VC(1)の走行する車線の右隣りの車線に位置すると検知している一方、第1LIDAR装置LR1は、先行車両VC(2)が車両VC(1)の走行する車線の右側の2つ目の車線に位置すると検知していることとなる。これに対し、補正パラメータDcによって補正された第1検知データDd1による検知結果を
図4に一点鎖線L1にて示すように、補正後の検知結果は、先行車両VC(2)が車両VC(1)の走行する車線の右隣りの車線に位置することを示す。したがって、第1LIDAR装置LR1が検知した先行車両VC(2)を、第2LIDAR装置LR2も正確に検知していると評価できる。
【0038】
これに対し補正パラメータDcを用いない場合には、第1LIDAR装置LR1が検知した先行車両VC(2)を、第2LIDAR装置LR2が正確に検知できているにもかかわらず、組付け時の軸ずれ等の影響によって、正確に検知していないと評価されるおそれがある。
【0039】
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する作用および効果が得られる。
(1)対象物体と同一である物体と判定する条件に、物体の加速度が閾値以下である旨の条件を加えた。これにより、ノイズ等の影響で誤って同一物体と判定することを抑制できる。
【0040】
(2)複数の物体のそれぞれを対象物体とし、それらについての誤差errを積算した積算値Inerrが最小となるパラメータγ,βx,βyを補正パラメータDcとした。これにより、単一の物体に関する誤差errを最小とするパラメータγ,βx,βyを補正パラメータDcとする場合と比較して、ノイズの影響を抑制できることから、補正パラメータDcをより高精度に算出できる。
【0041】
(3)誤差の加算条件に、予め定められた長さを有する時間にわたって同一物体であると判定される旨の条件を含めた。これにより、ノイズの影響を抑制できることから、補正パラメータDcをより高精度に算出できる。
【0042】
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0043】
「座標について」
・上記実施形態では、車両VCの前後方向に平行なx軸と、横方向に平行なy軸とによって座標を定めたがこれに限らない。車両VCの前後方向および横方向によって張られる平面内における任意の互いに一次独立な一対の方向によって座標を定めてよい。
【0044】
「同一座標算出処理について」
・
図3の処理では、S46の処理において、仮に定めたパラメータγ,βx,βyによって補正された座標成分(x1c,x1c)を用いることを例示したが、これに限らない。たとえば、仮に定めたパラメータγ,βx,βyによって補正される前の座標成分(x1,x1)を用いてもよい。
【0045】
・第1検知データDd1が示す物体と第2検知データDd2が示す物体とが同一物体であるか否かを判定する処理における閾値としては、S46の処理において例示したように、車両VCとの相対速度に応じて可変とされる値に限らず、たとえば予め定められた固定値であってもよい。
【0046】
・上記実施形態では、仮に定めたパラメータγ,βx,βyの評価をするために利用する物体を、加速度が閾値未満である旨の条件を満たす物体としたがこれに限らない。
・S40の処理を省いてもよい。
【0047】
「相対速度取得処理について」
・上記実施形態では、相対速度を第1測距点データDrpc1に基づき算出したが、これに限らない。たとえば、第2測距点データDrpc2に基づき算出してもよい。すなわち、たとえば、S20の処理によって同一物体と判定された物体の車速成分(Vx,Vy)を第2測距点データDrpc2に基づき算出してもよい。
【0048】
「誤差算出処理について」
・
図2のS24の処理では、座標成分(x1c,y1c)と座標成分(x2,y2)とのユークリッド距離の平均値を誤差errとしたが、これに限らない。たとえば、同ユークリッド距離のサンプリング数全ての積算値を誤差errとしてもよい。
【0049】
・
図2のS28の処理では、補正パラメータDcの決定に利用する誤差として誤差errの積算値Inerrを用いたが、これに限らない。たとえば、誤差errの平均値であってもよい。
【0050】
「回転処理について」
・上記実施形態では、座標の原点を車両VCの重心とし、重心を中心としてパラメータγによる回転角を定義したが、これに限らない。たとえば、座標の原点を第1光センサ10の配置されている位置や第2光センサ12の配置されている位置としたり、それらの中点としたりしてもよい。
【0051】
・
図2の処理では、パラメータγを回転角として座標成分(x1,y1)が補正された成分を回転させたが、これに限らず、たとえば、パラメータγを回転角として座標成分(x2,y2)が補正された成分を回転させてもよい。ここで、相対速度による補正を無視する場合、座標成分(x1,y1)をパラメータγによって回転させた後の座標成分および座標成分(x2,y2)の原点とのなす角度は、座標成分(x2,y2)を「-γ」によって回転させた後の座標成分および座標成分(x2,y2)の原点とのなす角度と等しい。
図5(a)には、座標成分(x2,y2)をパラメータγによって回転させた場合を示し、
図5(b)には、座標成分(x1,y1)を「-γ」によって回転させた場合を示す。いずれの場合も、回転後の一対の座標と原点とのなす角度は、等しい角度θ0となっている。なお、座標成分(x2,y2)が補正された成分をパラメータγを回転角として回転させる代わりに、座標成分(x2,y2)自体をパラメータγを回転角として回転させてもよい。その場合、座標成分(x1,y1)を相対速度Vrに応じて補正したものと、座標成分(x2,y2)自体を回転させたものとのユークリッド距離に応じて誤差errを算出すればよい。
【0052】
・
図2の処理では、パラメータγを回転角として座標成分(x1,y1)が補正された成分を回転させたが、これに限らず、たとえば、パラメータγを回転角として座標成分(x1,y1)自体を回転させてもよい。その場合、座標成分(x2,y2)を相対速度Vrに応じて補正したものと、座標成分(x1,y1)自体を回転させたものとのユークリッド距離に応じて誤差errを算出すればよい。
【0053】
・回転させる対象としては、座標成分(x1,y1)と座標成分(x2,y2)との2つのうちのいずれか1つに限らない。要は、座標成分(x1,y1)と座標成分(x2,y2)とのいずれか一方が他方に対して相対的に回転すればよいことから、たとえば相対回転角をパラメータγとする場合、座標成分(x1,y1)を回転角θ1で回転させ座標成分(x2,y2)を回転角θ2で回転させてもよい。ただし、「|θ1-θ2|=|γ|」とする。
【0054】
「補正処理について」
・上記実施形態では、第1測距点データDrpc1のサンプリングタイミングが第2測距点データDrpc2のサンプリングタイミングよりも後となることが予め把握できていることと、先行車両の走行速度が自車両の走行速度以上であることとを前提に、座標成分x1を減少補正したが、これに限らない。たとえば、第1測距点データDrpc1のサンプリングタイミングと第2測距点データDrpc2のサンプリングタイミングとのいずれが先かについて確定できない場合などには、補正パラメータDcの候補として、正の値および負の値の双方を用意しておいてもよい。これにより、仮に選択したパラメータβxの符号に応じて、座標成分x1を減少補正するか増加補正するかが決まることとなる。
【0055】
・S18の処理では、x軸の座標成分x1の補正量を対象物体のx軸の速度成分Vxに比例させたがこれに限らず、たとえば、x軸の座標成分x1の補正量をパラメータαxとしてもよい。さらに、第1測距点データDrpc1のサンプリングタイミングと第2測距点データDrpc2のサンプリングタイミングとのいずれが先かについて確定できない場合には、相対速度Vrの絶対値を、正の値および負の値のいずれともなりうるパラメータにて除算した値をパラメータαxとしてもよい。加えて、たとえば相対速度Vrの符号が正とも負ともなりうる場合には、相対速度Vrを、正の値および負の値のいずれともなりうるパラメータにて除算した値をパラメータαxとしてもよい。さらに、たとえば、x軸の座標成分x1の補正量を、相対速度Vrのx軸成分に、正とも負ともなりうる係数を乗算した値としてもよい。
【0056】
・S18の処理では、y軸の座標成分y1の補正量を対象物体のy軸の速度成分Vyに比例させたがこれに限らず、たとえば、y軸の座標成分y1の補正量をパラメータαyとしてもよい。また、たとえば、y軸の座標成分y1の補正量を、相対速度Vrのy軸成分に、正とも負ともなりうる係数を乗算した値としてもよい。
【0057】
・x軸の座標成分x1を相対速度に応じて補正するものの、y軸の座標成分y1については補正しないこととしてもよい。
・「回転処理について」の欄に記載したように、座標成分(x1,y1)を補正する代わりに、座標成分(x2,y2)を補正してもよい。ただし、座標成分(x1,y1)の補正量の符号が限定されている実施例については、補正対象を座標成分(x2,y2)に変更する際には、補正量の符号を反転させる。
【0058】
「選択処理について」
・たとえば、第1測距点データDrpc1と第2測距点データDrpc2とのサンプリングタイミングのずれを低減する何らかの処理がなされるのであれば、補正パラメータをパラメータγのみとしてもよい。
【0059】
・パラメータγの値を特定する手法としては、パラメータγの様々な値のそれぞれについて誤差を算出し、誤差が最小となる値を特定する手法に限らない。たとえば、S24の処理による誤差errを算出する式をパラメータγで微分した値をゼロとするパラメータγの値を探索する処理としてもよい。
【0060】
・積算値Inerrが最小となるときのパラメータγ,βx,βyを補正パラメータDcとする処理に限らない。たとえば、1つの対象物体と同一物体との誤差errを最小とするパラメータγ,βx,βyを補正パラメータDcとしてもよい。
【0061】
「第1測距点データ、第2測距点データについて」
・上記実施形態では、評価対象となるLIDAR装置による測距点データを第2測距点データとしたが、これに限らず、評価対象となるLIDAR装置による測距点データを第1測距点データとしてもよい。すなわちたとえば、S10の処理において第2検知データDd2に基づき対象物体を選択し、S20の処理において、第1検知データDd1に基づき同一物体を選択してもよい。なお、いずれか一方が評価対象となるLIDAR装置による測距点データであることも必須ではなく、たとえば双方が評価対象となるLIDAR装置による測距点データであってもよい。こうした状況は、たとえば互いに異なる一対のLIDAR装置の性能比較をする際に生じうる。
【0062】
「補正パラメータの用途について」
・上記実施形態では、評価対象となる第2LIDAR装置30の評価のために補正パラメータDcを用いたが、これに限らない。たとえば量産車両に複数のLIDAR装置を搭載する場合、それら複数のLIDAR装置のそれぞれが検知する位置同士のずれを低減するために補正パラメータDcを用いてもよい。これは、量産された各車両の出荷後に、それら各車両に搭載された実行装置によって
図2のS10~S34の処理を実行することにより実現できる。
【0063】
「第1LIDAR装置について」
・第1LIDAR装置LR1における第1LIDARECU20と第1光センサ10との役割分担は、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば第1光センサ10において受光した信号を第1LIDARECU20が受け取り、これに基づき第1LIDARECU20によって測距点データを生成してもよい。
【0064】
・上記実施形態では、第1光センサ10と第1LIDARECU20とを互いに通信可能な別の装置としたが、これに限らず、一体としてもよい。
「第2LIDAR装置について」
・第2LIDAR装置LR2における第2LIDARECU30と第2光センサ12との役割分担は、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば第2光センサ12において受光した信号を第2LIDARECU30が受け取り、これに基づき第2LIDARECU30によって測距点データを生成してもよい。
【0065】
・上記実施形態では、第2光センサ12と第2LIDARECU30とを互いに通信可能な別の装置としたが、これに限らず、一体としてもよい。
「評価装置について」
・
図2においては、S10~S34の処理と、S36の処理とを同一の評価装置40が実行したが、これに限らず、S10~S34の処理を実行する装置と、S36の処理を実行する装置とを別の装置としてもよい。
【0066】
「補正装置について」
・補正装置としては、評価装置40に限らない。たとえば「補正パラメータの用途について」の欄に記載したように、量産車両に複数のLIDAR装置を搭載する場合、車両に搭載される装置としてもよい。なお、その際、補正装置と、第1LIDAR装置LR1および第2LIDAR装置LR2とが別部材であることも必須ではない。たとえば、第1LIDARECU20および第2LIDARECU30と、補正パラメータDcを算出する処理を実行する補正装置とを一体としてもよい。
【0067】
「実行装置について」
・S10~S36の処理やそれらの各変更例における処理を実行する実行装置としては、CPUとROMとを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、実行装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…第1光センサ
12…第2光センサ
20…第1LIDARECU
30…第2LIDARECU
40…評価装置